JP4028190B2 - 金属ガスケット - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、二つの接合面にそれぞれ設けられた流体用開口を互いに連通させる流体用孔と、その流体用孔を囲繞するビードとを具え、前記二つの接合面間に挟持されて前記ビードでそれら二つの接合面と当該ガスケットとの間をシールする金属ガスケットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
上述の如き金属ガスケットとしては、例えば図7に示す、エンジンのシリンダヘッドと、吸気マニホールドに取り付けられるとともにEGRシステム用のガス通路凹部を形成されたEGRプレートとの各々の接合面である二つの接合面1,2間に挟持される金属ガスケット3があり、かかる金属ガスケット3は通常、シリンダヘッドの接合面1と吸気マニホールドに取り付けられたEGRプレートの接合面2とにそれぞれ設けられた流体用開口としての吸気口1aと吸気管口2aとを互いに連通させる吸気用孔3aと、その吸気用孔3aを囲繞するビードとしての(図ではV字状に見える)山形断面形状のフルビード3bとを具え、そのフルビード3bの全周を、図示しない取付けボルトにより図中矢印Aで示す如く互いの接近方向に付勢される上記二つの接合面1,2によって挟持されてそれらの接合面1,2に強く押し付けられ、これにより、フルビード3bの全周に亘って高い面圧が生じて高いシール性を発揮する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで近年、エンジンの排出ガスのより一層のクリーン化や燃費のより一層の向上等の要請から、図8に示すように、金属ガスケット3を挟持する二つの接合面1,2のうちの一方である、吸気マニホールドに取り付けられたEGRプレートの接合面2の、ビード3bの一部分に対向する位置に、上記のガス通路凹部2bが形成されたり、図示しないが軽量化用の肉抜き孔や肉抜き凹部が形成されたりする場合があり、かかるガス通路凹部2bや肉抜き孔等の押圧面不在部分が形成されている場合に、従来一般に使用されている単板型の金属ガスケット3では、ビード3bの、上記ガス通路凹部2bや肉抜き孔等の押圧面不在部分に対向する部分が、本来は図中破線で示す如く他方の接合面に押し付けられるべき処、そこを押圧する面がなく図中実線で示す如く押圧面不在部分に逃げ得るため、他方の接合面であるシリンダヘッドの接合面1に充分に強く押し付けられず、それゆえビード3bのその部分のシール性が低下してしまうという問題があった。そしてそのシール性の低下は、流体用開口が吸気口1aと吸気管口2aとであるためその開口内が負圧となる上記シリンダヘッドの接合面1とEGRプレートの接合面2との間に金属ガスケット3が挟持される場合に特に顕著であるため特に問題であった。
【0004】
そこで、ビードの全周に亘ってシール性を確保すべく、金属ガスケットを積層型にして、上記他方の接合面に隣接するガスケット構成板のビードの、上記一方の接合面のガス通路凹部や肉抜き孔等の押圧面不在部分に対向する部分を、他のガスケット構成板でその他方の接合面に押し付けることも検討されたが、このようにすると、金属ガスケット全体としての重量が増すとともに製造コストも増してしまい、軽量化および低コスト化の要請に充分応えられない場合があるという問題があった。
【0005】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
この発明は、上記課題を有利に解決した金属ガスケットを提供することを目的とするものであり、この発明の金属ガスケットは、第1の接合面と第2の接合面との二つの接合面にそれぞれ対向する第1の表面および第2の表面と、前記二つの接合面にそれぞれ設けられた流体用開口を互いに連通させる流体用孔と、その流体用孔を囲繞して前記第1の接合面と当接するために前記第1の表面から突出する環状のビードとを具え、前記二つの接合面間に挟持されて前記ビードでそれら二つの接合面と当該ガスケットとの間をシールする単板型金属ガスケットにおいて、前記ビードの一部分が、前記第2の接合面の開口部に対向するとともに前記第1の接合面のみに当接し、前記ビードの、前記第2の接合面の開口部に対向するとともに前記第1の接合面のみに当接する部分の近傍に、前記第2の表面から突出して先端が前記第2の接合面に当接する凸部が設けられ、その凸部が前記ビードの前記部分を前記第1の接合面に向けて附勢することを特徴としている。
【0006】
かかる金属ガスケットにあっては、当該ガスケットを挟持する第1の接合面と第2の接合面との二つの接合面のうちの第1の接合面と当接するために当該ガスケットの第1の表面から突出する環状のビードの、第2の接合面にはガス通路凹部や肉抜き孔等の押圧面不在部分が存在するため第1の接合面のみに当接する部分の近傍に、当該ガスケットの第2の表面から突出して前記第2の接合面に先端が当接する凸部を設け、その凸部で前記ビードの前記部分を第1の接合面に向けて附勢するようにしたから、第2の接合面への凸部先端の当接によって該金属ガスケットのその凸部の周辺の部分が第1の接合面へ向けて押圧されて、金属ガスケットのその凸部の近傍の、第1の接合面のみに当接するビード部分がその第1の接合面に強く押し付けられ、これによって環状のビードの、その第1の接合面のみに当接する部分にも高い面圧が生ずる。
【0007】
従って、この発明の金属ガスケットによれば、エンジンの排出ガスのより一層のクリーン化や燃費のより一層の向上等の要請から、金属ガスケットを挟持する二つの接合面のうちの一方の、ビードに部分的に対向する位置に、EGRシステム用のガス通路凹部や軽量化用の肉抜き孔等の押圧面不在部分が形成されている場合に、あえて積層型とせずに単板型を採用しても、ビードの、そのガス通路凹部や肉抜き孔等の押圧面不在部分に対向する部分について、上記の高い面圧によって高いシール性を発揮することができる。
【0009】
なお、この発明の金属ガスケットにおいては、前記凸部を、前記二つの接合面のうちの前記第2の接合面のみに当接する位置すなわち、前記第1の接合面には当接しない位置に設けることとしても良く、このようにすれば、前記第2の接合面に先端が当接した凸部が前記第1の接合面の方向に、その第1の接合面に拘束されることなく押し遣られて、その凸部の近傍に位置するビード部分を、より強く前記第1の接合面に押し付けるので、より高い面圧が生じて、より高いシール性(耐圧力)を得ることができる。
【0010】
また、この発明の金属ガスケットにおいては、前記ビードをフルビードとするとともに、前記ビードの、前記二つの接合面のうちの第1の接合面のみに当接する部分を、前記フルビードの先端とすることとしても良く、このようにすれば、金属ガスケットの前記凸部の近傍の、前記第1の接合面のみに当接するビード部分が、フルビードの先端となり、前記第2の接合面への凸部先端の当接によって、そのフルビードの先端が前記第1の接合面に強く押し付けられるので、ビードの、その第1の接合面のみに当接する部分に、より高い面圧が生じて、より高いシール性(耐圧力)を得ることができる。
【0011】
さらに、この発明の金属ガスケットにおいては、前記凸部の少なくとも先端部を半球状に形成し、前記金属ガスケットの素材金属板の両面の、前記凸部の先端部と、前記二つの接合面の流体通路部分に対向する流体通路画成部分とを少なくとも除いた部分に、合成ゴム等からなるラバー被膜を設けることとしても良く、このようにすれば、少なくとも接合面に当接する凸部先端付近の先端部が半球状をなしているので、接合面の平面度に公差の範囲内で多少のばらつきがあってもビードに均一に圧力が加わるようにすることができ、また、金属ガスケットの素材金属板の両面に設けたラバー被膜が両接合面の工具痕等に対応して弾性変形するので、より高いシール性を得ることができ、しかも凸部の先端部と流体通路画成部分とを少なくとも除いた部分にラバー被膜を設けるので、凸部の先端部については、エンジンの温度変化の繰返しで生ずる接合面のフレッチング(摺動)によるラバー被膜の摩耗を避けることができるとともに圧力の伝達効率を向上させることができ、一方、流体通路画成部分については、流体の通流によるラバー被膜の剥離を避けることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に、この発明の実施の形態を実施例によって、図面に基づき詳細に説明する。ここに、図1は、この発明の金属ガスケットの一実施例としての単板型金属ガスケットを示す平面図、図2は、その実施例の金属ガスケットを挟持する二つの接合面のうちの一方である、自動車用エンジンのシリンダヘッドの吸気マニホールド装着用接合面を示す平面図、そして図3は、上記実施例の金属ガスケットを挟持する二つの接合面のうちの他方である、吸気マニホールドに取り付けられたEGRプレートの、シリンダヘッドへの接合面を示す平面図である。
【0013】
図2に示す、自動車用エンジンのシリンダヘッドの吸気マニホールド装着用接合面1には、流体用開口として4つの吸気口1aが設けられるとともに、図では接合面1の上部にて左方から中央部まで溝状に延在する押圧面不在部分としてのEGRシステム用のガス通路凹部1bと、図では接合面1の上部および隣り合う吸気口1a間にそれぞれ位置するこれも押圧面不在部分としての軽量化用の肉抜き凹部1cと、シリンダヘッドへの上記EGRプレートの取付け用の5つの取付けボルト孔1dとが設けられ、各吸気口1aには、その吸気口1aに隣接する吸気口1aへ向けて延在する延長部1eが設けられている。
【0014】
また、図3に示す、吸気マニホールドに取り付けられたEGRプレートの接合面2には、流体用開口として4つの吸気管口2aが設けられるとともに、図では接合面2の上部にて左右に溝状に延在するとともに両端部が下がって左右2つずつの隣り合う吸気管口2a間に位置する押圧面不在部分としてのEGRシステム用のガス通路凹部2bと、シリンダヘッドへの当該EGRプレートの取付け用の5つの取付けボルト挿通孔2cとが設けられている。
【0015】
そして図1に示す、この実施例の金属ガスケット3は、例えばステンレス鋼板を素材金属板とし、図4に上記接合面1,2間に挟持された状態で示すように、シリンダヘッドの接合面1に設けられた上記4つの吸気口1aとEGRプレートの接合面2に設けられた上記4つの吸気管口2aとをそれぞれ互いに連通させる4つの吸気用孔3aと、後述する図5では下向きの面(第1の表面)から突出してそれらの吸気用孔3a同士を互いに仕切るようにそれらの吸気用孔3aをそれぞれ環状に囲繞するビードとしての山形断面形状の連続したフルビード3bとを具えるとともに、シリンダヘッドの接合面1に設けられた上記ガス通路凹部1bとEGRプレートの接合面2に設けられた上記ガス通路凹部2bの中央部とを互いに連通させるガス通路孔3cと、EGRプレートの接合面2に設けられた上記ガス通路凹部2bの両端部とシリンダヘッドの接合面1に設けられた上記各吸気口1aの延長部1eとをそれぞれ互いに連通させる4つのガス通路孔3dと、上記EGRプレートの取付け用の5つの取付けボルト孔1dおよび5つの取付けボルト挿通孔2cに対応して位置する5つの取付けボルト挿通孔3eとを具えている。
【0016】
ここで、上記フルビード3bは、各吸気口1aに対応する吸気用孔3aとその吸気口1aの延長部1eに対応するガス通路孔3dとを一緒にして囲繞して、それら吸気用孔3aとガス通路孔3dとを、左右2つずつの隣り合う吸気口1a間にそれぞれ位置する肉抜き凹部1cに対してシールするとともに、接合面1のガス通路凹部1bを囲むようにして中央部のガス通路孔3cを囲繞している。
【0017】
さらに、この実施例の金属ガスケット3は、図4に上記接合面1,2間に挟持された状態で示すとともに、その図4中のB−B線に沿う図5の断面図に示すように、シリンダヘッドの接合面1の左右2つずつの隣り合う吸気口1a間にそれぞれ位置する肉抜き凹部1cに凹み側が対向する位置で、図5では上向きの面(第2の表面)から突出する、凸部としての二つの、各々全体的に略半球状をなすバランスビード3fを具えており、それらのバランスビード3fの先端は、EGRプレートの接合面2の、図4ではガス通路凹部2bの両端部の下方の位置にそれぞれ当接している。
【0018】
ところで、上記フルビード3bの、EGRプレートの接合面2のガス通路凹部2bの両端部をそれぞれ渡る部分は、図5に示すように接合面1のみに当接し、接合面2側についてはガス通路凹部2bに対向していて押圧力を接合面2からは受けられない状態となる処、上記各バランスビード3fは、図4に示すように、フルビード3bの、それらガス通路凹部2bの両端部を渡る部分の近傍に位置するとともに、図5に示すように、先端が接合面2に当接し、かつ凹み側が肉抜き凹部1cに対向しているためその肉抜き凹部1c内に押し遣られることができる状態となる。
【0019】
さらに、この実施例の金属ガスケット3は、当該金属ガスケットの素材金属板の両面の、上記略半球状のバランスビード3fの全体の部分と、接合面1のガス通路凹部1bおよび延長部1eと接合面2のガス通路凹部2bとに対向する流体通路画成部分と、をそれぞれ除いた部分に合成ゴム等からなる図示しない通常のラバー被膜を設けられている。
【0020】
上記のように構成されたこの実施例の金属ガスケット3にあっては、シリンダヘッドの接合面1とEGRプレートの接合面2との間に配置された後、それら二つの接合面1,2が、取付けボルト挿通孔2c,3eに挿通されて取付けボルト孔1dにそれぞれ螺合された5本の取付けボルトの締付け力により図5中矢印Aで示す如く互いの接近方向に付勢されると、フルビード3bの、接合面2のガス通路凹部2bの両端部を渡る部分以外の部分については、上記二つの接合面1,2によって挟持されてそれらの接合面1,2に強く押し付けられ、高い面圧が生ずる。
【0021】
また、この実施例の金属ガスケット3にあっては、フルビード3bの、一方の接合面であるシリンダヘッドの接合面1のみに当接する、EGRプレートの接合面2のガス通路凹部2bの両端部をそれぞれ渡る部分の近傍に、図5に示すように、他方の接合面であるEGRプレートの接合面2に先端が当接するバランスビード3fが設けられているから、そのEGRプレートの接合面2へのバランスビード3fの先端の当接によってそのバランスビード3fの周辺の部分が上記シリンダヘッドの接合面1へ向けて押圧されて、金属ガスケット3のそのバランスビード3fの近傍の、シリンダヘッドの接合面1のみに当接するフルビード3bの部分である、接合面2のガス通路凹部2bの両端部を渡る部分がそのシリンダヘッドの接合面1に強く押し付けられ、これによってフルビード3bの、シリンダヘッドの接合面1のみに当接する部分にも高い面圧が生ずる。
【0022】
従って、この実施例の金属ガスケット3によれば、エンジンの排出ガスのより一層のクリーン化や燃費のより一層の向上等の要請から、金属ガスケット3を挟持するシリンダヘッドの接合面1とEGRプレートの接合面2とのうちのEGRプレートの接合面2の、フルビード3bに部分的に対向する位置に、EGRシステム用のガス通路凹部2bが形成されていても、単板型を採用しているにもかかわらず、フルビード3bの、そのガス通路凹部2bに対向する部分を含めた全周について、上記の高い面圧によって高いシール性を発揮することができ、これにより、シリンダヘッドの接合面1に設けられたガス通路凹部1bからガス通路孔3cを介してEGRプレートの接合面2に設けられたガス通路凹部2bを通り、そのガス通路凹部2bの両端部からガス通路孔3dを介してシリンダヘッドの接合面1に設けられた上記各吸気口1aの延長部1eに至る高気密のEGRガス通路が画成される。
【0023】
さらに、この実施例の金属ガスケット3によれば、前記凸部としてのバランスビード3fを、EGRプレートの接合面2のみに当接する位置すなわち、シリンダヘッドの接合面1には当接しない肉抜き凹部1cの位置に設けているから、EGRプレートの接合面2に先端が当接したバランスビード3fがシリンダヘッドの接合面1の方向に、その接合面1に拘束されることなく押し遣られて、そのバランスビード3fの近傍に位置するフルビード3bの部分を、より強くシリンダヘッドの接合面1に押し付けるので、より高い面圧が生じて、より高いシール性(耐圧力)を得ることができる。
【0024】
さらに、この実施例の金属ガスケット3によれば、吸気用孔3aとガス通路孔3dとを囲繞するビードをフルビード3bとするとともに、そのフルビード3bの、シリンダヘッドの接合面1のみに当接する部分を、そのフルビード3bの先端としたから、金属ガスケット3のバランスビード3fの近傍の、シリンダヘッドの接合面1のみに当接するビード部分が、フルビード3bの先端となり、EGRプレートの接合面2へのバランスビード3fの先端の当接によって、そのフルビード3bの先端がシリンダヘッドの接合面1に強く押し付けられるので、フルビード3bの、その一方の接合面1のみに当接する部分に、より高い面圧が生じて、より高いシール性(耐圧力)を得ることができる。
【0025】
さらに、この実施例の金属ガスケット3によれば、バランスビード3fを全体的に半球状に形成し、当該金属ガスケット3の素材金属板の両面の、バランスビード3f全体と上記流体通路画成部分とを除いた部分に合成ゴム等からなる通常のラバー被膜を設けたから、接合面に当接するバランスビード3fが半球状をなしているので、接合面の平面度に公差の範囲内で多少のばらつきがあっても、フルビード3bの、シリンダヘッドの接合面1のみに当接する部分に均一に圧力が加わるようにすることができ、また、金属ガスケットの素材金属板の両面に設けたラバー被膜が両接合面の工具痕等に対応して弾性変形するので、より高いシール性を得ることができ、しかもバランスビード3fの全体と流体通路画成部分とを除いた部分にラバー被膜を設けるので、バランスビード3fについては、エンジンの温度変化の繰返しで生ずる接合面1,2のフレッチング(摺動)によるラバー被膜の摩耗を避けることができるとともに圧力の伝達効率を向上させることができ、一方、流体通路画成部分については、流体としてのEGRガスの通流によるラバー被膜の剥離を避けることができる。
【0026】
以下の表1は、バランスビード3fがある上記実施例の金属ガスケット3と、その金属ガスケット3からバランスビード3fを除いたバランスビードなしの比較例の金属ガスケットとについて、負圧を与えてシール性能を比較した試験結果を示すものであり、図6は、この試験結果を示すグラフである。
【0027】
【表1】
【0028】
上記試験の結果、バランスビードなしの比較例は−450mmHgでリーク量が29cc/minとなって所定要求性能を満たせなかったが、バランスビード3fがある上記実施例の金属ガスケット3は−650mmHgでもリーク量が僅か2.2cc/minとなって充分に所定要求性能を満たした。これにより、上記実施例の金属ガスケット3が極めて高いシール性を持つことが確認された。
【0029】
以上、図示例に基づき説明したが、この発明は上述の例に限定されるものでなく、例えば、前記ビードは山形のフルビードに限られず片斜面のハーフビードでも良く、また前記凸部は略半球状のものに限られず略円錐状のものや突条状に延在する山形のフルビードや片斜面のハーフビードでも良い。そしてこの発明の金属ガスケットは、エンジンの接合面間に限られず他の接合面間に用いても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の金属ガスケットの一実施例としての単板型金属ガスケットを示す平面図である。
【図2】 上記実施例の金属ガスケットを挟持する二つの接合面のうちの一方である、自動車用エンジンのシリンダヘッドの吸気マニホールド装着用接合面を示す平面図である。
【図3】 上記実施例の金属ガスケットを挟持する二つの接合面のうちの他方である、吸気マニホールドに設けられたEGRプレートの、シリンダヘッドへの接合面を示す平面図である。
【図4】 上記実施例の金属ガスケットを上記二つの接合面間に挟持された状態で示す説明図である。
【図5】 図4のB−B線に沿う断面図である。
【図6】 バランスビードがある上記実施例の金属ガスケットと、バランスビードなしの比較例の金属ガスケットとについて負圧を与えてシール性能を比較した試験結果を示すグラフである。
【図7】 従来の金属ガスケットを押圧面不在部分のない二つの接合面間に挟持された状態で示す説明図である。
【図8】 従来の金属ガスケットを一方に押圧面不在部分がある二つの接合面間に挟持された状態で示す説明図である。
【符号の説明】
1 シリンダヘッドの吸気マニホールド装着用接合面
1a 吸気口
1b ガス通路凹部
1c 肉抜き凹部
1d 取付けボルト孔
1e 延長部
2 吸気マニホールドに設けられたEGRプレートの接合面
2a 吸気管口
2b ガス通路凹部
2c 取付けボルト挿通孔
3 金属ガスケット
3a 吸気用孔
3b フルビード
3c ガス通路孔
3d ガス通路孔
3e 取付けボルト挿通孔
3f バランスビード
Claims (4)
- 第1の接合面(1)と第2の接合面(2)との二つの接合面にそれぞれ対向する第1の表面および第2の表面と、前記二つの接合面にそれぞれ設けられた流体用開口(1a,2a)を互いに連通させる流体用孔(3a)と、その流体用孔を囲繞して前記第1の接合面(1)と当接するために前記第1の表面から突出する環状のビード(3b)とを具え、前記二つの接合面間に挟持されて前記ビードでそれら二つの接合面と当該ガスケットとの間をシールする単板型金属ガスケットにおいて、
前記ビード(3b)の一部分が、前記第2の接合面(2)の開口部(2b)に対向するとともに前記第1の接合面(1)のみに当接し、
前記ビード(3b)の、前記第2の接合面(2)の開口部(2b)に対向するとともに前記第1の接合面(1)のみに当接する部分の近傍に、前記第2の表面から突出して先端が前記第2の接合面(2)に当接する凸部(3f)が設けられ、その凸部が前記ビード(3b)の前記部分を前記第1の接合面(1)に向けて附勢することを特徴とする、金属ガスケット。 - 前記凸部(3f)を、前記二つの接合面のうちの前記第2の接合面(2)のみに当接する位置に設けたことを特徴とする、請求項1記載の金属ガスケット。
- 前記ビード(3b)をフルビードとするとともに、前記ビードの、前記二つの接合面のうちの前記第1の接合面(1)のみに当接する部分を、前記フルビードの先端としたことを特徴とする、請求項1または2記載の金属ガスケット。
- 前記凸部(3f)の少なくとも先端部を半球状に形成し、
前記金属ガスケットの素材金属板の両面の、前記凸部(3f)の先端部と、前記二つの接合面(1,2)の流体通路部分(1b,1e,2b)に対向する流体通路画成部分とを少なくとも除いた部分にラバー被膜を設けたことを特徴とする、請求項1から3までの何れか記載の金属ガスケット。
Priority Applications (7)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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