JP4016854B2 - 演算増幅回路を有する半導体装置 - Google Patents

演算増幅回路を有する半導体装置 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、演算増幅回路を有する半導体装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の演算増幅回路の構成を図4に示す。図に示すように、演算増幅回路は、負荷のNチャネル型電界効果トランジスタ12a、12bと、差動対11を構成しているPチャネル型電界効果トランジスタ11a、11bと、定電流源を構成するPチャネル型電界効果トランジスタ13、14と、出力段のNチャネル型電界効果トランジスタ15と、抵抗16と、コンデンサ17とにより構成されている。
【0003】
負荷のトランジスタ12a、12bは、互いのゲートが接続されカレントミラー回路として構成されている。そして、トランジスタ12a、12bには等しい定電流が流れる。
【0004】
差動対11を構成しているトランジスタ11a、11bの各ゲートは、反転入力端子VIN−、非反転入力端子VIN+にそれぞれ接続されている。そして、反転入力端子VIN−、非反転入力端子VIN+に印加される各電圧の電位差に応じた電流が各トランジスタ11a、11bに流れる。
【0005】
定電流源を構成するトランジスタ13、14の各ゲートには、バイアス端子BIASが共通に接続されている。そして、このバイアス端子BIASに入力されるバイアス電圧に応じた電流がトランジスタ13、14にそれぞれ流れる。
【0006】
出力段のNチャネル型トランジスタ15は、ゲート電位に応じてトランジスタ14から出力端子OUT1に電流を供給する。
【0007】
なお、抵抗16およびコンデンサ17は、回路の安定度を高くするための位相補償回路として設けられている。
【0008】
上記した構成においてその作動を説明する。非反転入力端子IN+に入力される入力信号の電圧が、反転入力端子IN−に入力される入力信号の電圧よりも高くなった場合には、トランジスタ11bに流れる電流が、トランジスタ11aに流れる電流よりも大きくなる。また、トランジスタ11a、11bには、カレントミラー回路を構成しているトランジスタ12a、12bから、それぞれ等しい電流が供給される。したがって、トランジスタ11bのドレイン(A点)の電位は低下する。すなわち、トランジスタ15のゲート電位は低下し、出力端子OUT1の電圧は上昇する。
【0009】
反対に、反転入力端子IN−に入力される入力信号の電圧が、非反転入力端子IN+に入力される入力信号の電圧よりも高くなった場合には、トランジスタ11aに流れる電流が、トランジスタ11bに流れる電流よりも大きくなる。したがって、トランジスタ11bのドレイン(A点)の電位は上昇する。このため、トランジスタ15のゲート電位は上昇し、出力端子OUT1の電圧は低下する。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上記した構成の演算増幅回路では、差動対11を構成しているトランジスタ11a、11bの各ゲート閾値電圧(以下、閾値電圧という)Vtの差分がオフセット電圧として出力端子OUT1から出力される。つまり、トランジスタ11a、11bの各ゲート閾値電圧Vtのばらつきが大きいと、各ゲート閾値電圧Vtの差分が大きくなるため、オフセット電圧も大きくなる。
【0011】
例えば、トランジスタ11aの閾値電圧Vtがトランジスタ11bの閾値電圧Vtよりも大きい場合、反転入力端子IN−と非反転入力端子IN+に入力される各入力信号の電圧が等しくても、トランジスタ11bに流れる電流が、トランジスタ11aに流れる電流よりも大きくなりA点の電位は低下する。そして、トランジスタ15に流れる電流は増加し、出力端子OUT1の電位は上昇し、オフセット電圧は上昇する。
【0012】
また、上記閾値電圧Vtは経時劣化によっても変動する。反転入力端子IN−と非反転入力端子IN+に継続的に電圧を印加すると、トランジスタ11a、11bは、スロートラップ現象により、閾値電圧Vtが変動する。そして、反転入力端子IN−と非反転入力端子IN+の電圧を印加する時間が長いほどトランジスタ11a、11bの各閾値電圧Vtの差が大きくなり、オフセット電圧が大きくなる。なお、閾値電圧Vtの変動速度はゲート酸化膜やLOCOS酸化などのプロセスのばらつきにより異なる。このように、演算増幅回路のオフセット電圧の経時劣化による変動は、差動対11を構成しているトランジスタ11a、11bの閾値電圧Vtの変動に依存する。
【0013】
したがって、オフセット電圧の特性仕様が厳しい場合には、製造時におけるゲート閾値電圧(初期ゲート閾値電圧)Vtのばらつきおよび経時劣化によるゲート閾値電圧Vtの変動量をいかに抑えるかが問題となる。特に、高いゲインの演算増幅回路においては、ゲート閾値電圧Vtの差分が大きく増幅されてしまうため、初期ゲート閾値電圧Vtのばらつきが小さくても、経時劣化によりゲート閾値電圧Vtが変動すると演算増幅回路の仕様を満たさなくなり、不良となってしまう場合がある。
【0014】
本発明は上記問題に鑑みたもので、演算増幅回路の不良を事前に検出できるようにすることを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記目的を達成するため、鋭意検討を行い、演算増幅回路のオフセット電圧の変動量が、差動対を構成しているトランジスタのゲート面積に依存することを見出した。以下、この点について説明する。
【0016】
図3に、ゲート面積の違いによるオフセット電圧の変動量の特性を示す。この特性は、差動対を構成しているトランジスタのゲート面積を異ならせ、スロートラップ電圧加速試験により、オフセット電圧の変動量を示したものである。なお、スロートラップ電圧加速試験は、差動対を構成しているトランジスタのみに対して、高温下で所定時間トランジスタのゲートに所定の電圧を印加してストレスを与える試験である。トランジスタのゲートに所定の電圧を印加することにより、シリコンとゲート酸化膜との界面に固定電荷が形成され、ゲート閾値電圧Vtが変動する。そして、トランジスタのゲートに電圧を印加する時間が長いほど各トランジスタの閾値電圧Vtの差が大きくなり、オフセット電圧も大きくなる。図3は、このときのオフセット電圧をモニタし、その変動量(オフセット変動量)を示したものである。この図から、差動対を構成している各トランジスタのゲート面積が大きいと、オフセット電圧の変動量が小さく、差動対を構成している各トランジスタのゲート面積が小さいとオフセット電圧の変動量が大きいということがわかる。
【0017】
本発明者は、上記した実験結果を基に、製品として用いる演算増幅回路とは別に、同一チップ内に、その演算増幅回路よりもゲート面積の小さいモニタ用の演算増幅回路を形成すれば、モニタ用の演算増幅回路の方が製品として用いる演算増幅回路よりもオフセット電圧の変動量が大きいため、モニタ用の演算増幅回路のオフセット電圧をモニタすることにより、製品として用いる演算増幅回路の不良を事前に検出できるということを着想した。
【0018】
このような着想を基になされた請求項1に記載の発明では、反転入力端子、非反転入力端子に接続され差動対を構成する第1、第2のトランジスタ(11a、11b)を有する演算増幅回路(10)と、反転入力端子、非反転入力端子に接続され差動対を構成する第3、第4のトランジスタ(21a、21b)を有し、第3、第4のトランジスタ(21a、21b)のゲート面積が第1、第2のトランジスタ(11a、11b)のゲート面積より小さくなっているモニタ用演算増幅回路(20)と、を備えたことを特徴としている。
【0019】
この発明によれば、モニタ用演算増幅回路(20)の差動対を構成する第3、第4のトランジスタ(21a、21b)のゲート面積を、演算増幅回路(10)の差動対を構成する第1、第2のトランジスタ(11a、11b)のゲート面積より小さくしているため、モニタ用演算増幅回路(20)の方が演算増幅回路(10)よりもオフセット電圧の変動量が大きくなる。したがって、モニタ用演算増幅回路(20)のオフセット電圧をモニタすることにより演算増幅回路(10)の不良を事前に検出することができる。
【0020】
この場合、モニタ用演算増幅回路(20)の反転入力端子、非反転入力端子に同電位の電圧がそれぞれ入力されているときのモニタ用演算増幅回路(20)の出力に基づいてオフセット電圧の経時劣化を判定する判定回路(30〜35)を備えることによって、演算増幅回路(10)の不良を事前に検出することができる。
【0021】
また、請求項に記載の発明のように、判定回路(30〜35)がオフセット電圧の経時劣化を判定するモニタ期間においては、モニタ用演算増幅回路(20)の反転入力端子、非反転入力端子に同電位の電圧をそれぞれ入力し、モニタ期間以外のときには、モニタ用演算増幅回路(20)の反転入力端子、非反転入力端子を、演算増幅回路(10)の反転入力端子、非反転入力端子にそれぞれ接続する回路を備えれば、モニタ用演算増幅回路(20)を演算増幅回路(10)と同一の環境で動作させたものとすることができる。
【0022】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施形態に係る演算増幅回路を有する半導体装置の構成を図1に示す。なお、上記した従来技術と同一部分には、同一符号を付して説明を省略し、以下異なる部分についてのみ説明する。本実施形態では、製品として用いる演算増幅回路(図4に示した演算増幅回路と同一構成のもので、以下、製品用演算増幅回路という)10の他に、同一チップ内にモニタ用演算増幅回路20が設けられている。
【0024】
モニタ用演算増幅回路20は、基本的に製品用演算増幅回路10と同様の構成のものであり、負荷のNチャネル型電界効果トランジスタ22a、22bと、差動対21を構成しているPチャネル型電界効果トランジスタ21a、21bと、定電流源を構成するPチャネル型電界効果トランジスタ23、24と、出力段のNチャネル型電界効果トランジスタ25と、抵抗26と、コンデンサ27とにより構成されている。
【0025】
モニタ用演算増幅回路20の差動対21を構成しているトランジスタ21a、21bの各ゲート面積は、製品用演算増幅回路10の差動対を構成しているトランジスタ11a、11bの各ゲート面積よりも小さいものとなっている。具体的には、差動対21を構成しているトランジスタ21a、21bの各ゲート面積は、50μm2となっており、差動対11を構成しているトランジスタ11a、11bの各ゲート面積は、100μm2となっている。つまり、差動対21を構成しているトランジスタ21a、21bの各ゲート面積は、差動対11を構成しているトランジスタ11a、11bの各ゲート面積の1/2となっている。なお、トランジスタ21a、21bとトランジスタ11a、11bの増幅動作が同じになるようにトランジスタ21a、21bの各ゲートとトランジスタ11a、11bの各ゲートのゲート幅Wとゲート長Lの比W/Lは等しくなっている。
【0026】
このように、製品用演算増幅回路10とモニタ用演算増幅回路20は、差動対を構成しているゲート面積が異なっているが、同じ増幅動作をするように構成されており、モニタ用演算増幅回路20を製品用演算増幅回路10と同一の環境で動作させ、モニタ用演算増幅回路20のオフセット電圧をモニタすることで、製品用演算増幅回路10の差動対を構成しているトランジスタ11a、11bの経時劣化により製品用演算増幅回路10が不良となることを事前に検出することができる。
【0027】
このようなオフセット電圧のモニタを行うため、モニタを行うタイミング、例えば電源投入時に、所定のモニタ期間だけ、モニタ用演算増幅回路20の非反転入力端子VIN+と反転入力端子VIN−にモニタ用の同電位の電圧を入力するようにし、モニタ期間の経過後、モニタ用演算増幅回路20の反転入力端子VIN−、非反転入力端子VIN+を製品用演算増幅回路10の反転入力端子VIN−、非反転入力端子VIN+にそれぞれ接続する切り換え回路(図示せず)が設けられている。なお、モニタ用演算増幅回路20バイアス入力端子BIASは、製品用演算増幅回路10のバイアス入力端子BIASと接続されている。
【0028】
図2に、モニタ用演算増幅回路20から出力されるオフセット電圧の判定を行う判定回路の構成を示す。図に示すように、オフセット電圧の判定回路は、コンパレータ30、抵抗31〜34およびLED35により構成されている。
【0029】
コンパレータ30の反転入力端子には、抵抗31を介してモニタ用演算増幅回路20の出力信号が入力される。この場合、上記した切り換え回路により、モニタ期間だけモニタ用演算増幅回路20の出力信号が入力される。また、コンパレータ30の非反転入力端子には、抵抗33、34により電源電圧VDDを分圧した電圧が印加されている。なお、この電位はモニタ用演算増幅回路20のオフセット電圧の仕様となる電圧、例えば1mVに設定されている。
【0030】
また、コンパレータ30の出力端子には、抵抗32とLED33が接続され、コンパレータ30の出力端子の論理レベルがハイレベルになるとLED35が点灯するように構成されている。
【0031】
そして、モニタ用演算増幅回路20から入力されるオフセット電圧が1mVよりも大きくなると、コンパレータ30の出力端子からハイレベルの出力信号が出力され、LED35が点灯して警報が通知される。
【0032】
このように、モニタ用演算増幅回路20から入力されるオフセット電圧が仕様の電圧をオーバーした場合に、警報を出力するようにしているので、製品用演算増幅回路10の不良を事前に検出することができる。
【0033】
なお、上記実施形態において、コンパレータ30は、オフセット電圧が仕様の電圧である1mVをオーバーした場合に、LED35を点灯させる例について示したが、オフセット電圧の仕様は任意に設定することができる。
【0034】
また、トランジスタ21a、21bとトランジスタ11a、11bの増幅動作が同じになるように、トランジスタ21a、21bの各ゲートとトランジスタ11a、11bの各ゲートのゲート幅Wとゲート長Lの比W/Lが等しくなるように構成した例について示したが、トランジスタ23のゲートサイズを調整してトランジスタ21a、21bとトランジスタ11a、11bの増幅動作が同じになるように構成してもよい。
【0035】
また、上記した実施形態では、製品用演算増幅回路10とモニタ用演算増幅回路20とを同一の環境で動作させるため、電源投入時などにおける所定のモニタ期間においてのみモニタ動作させ、それ以外のときには、モニタ用演算増幅回路20の反転入力端子VIN−、非反転入力端子VIN+を製品用演算増幅回路10の反転入力端子VIN−、非反転入力端子VIN+にそれぞれ接続するものを示したが、製品用演算増幅回路10とモニタ用演算増幅回路20とを同一の環境で動作できるのであれば、モニタ用演算増幅回路20の反転入力端子VIN−、非反転入力端子VIN+に、製品用演算増幅回路10の反転入力端子VIN−、非反転入力端子VIN+と独立して、モニタ用の同電位の電圧をそれぞれ入力してオフセット判定を行うようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る演算増幅回路の構成を示す図である。
【図2】モニタ用演算増幅回路のオフセット電圧の判定回路の構成を示す図である。
【図3】ゲート面積の違いによるオフセット電圧の変動量の特性を示す図である。
【図4】従来の演算増幅回路の構成の一例を示す図である。
【符号の説明】
10…製品用演算増幅回路、20…モニタ用演算増幅回路、
11a、11b…製品用演算増幅回路の差動対を構成しているトランジスタ、
12a、12b…モニタ用演算増幅回路の差動対を構成しているトランジスタ、
30…判定回路を構成するコンパレータ。

Claims (2)

  1. 反転入力端子、非反転入力端子に接続され差動対を構成する第1、第2のトランジスタ(11a、11b)を有する演算増幅回路(10)と、
    反転入力端子、非反転入力端子に接続され差動対を構成する第3、第4のトランジスタ(21a、21b)を有し、前記第3、第4のトランジスタ(21a、21b)のゲート面積が前記第1、第2のトランジスタ(11a、11b)のゲート面積より小さくなっているモニタ用演算増幅回路(20)と、を備え、
    前記モニタ用演算増幅回路(20)の前記反転入力端子、非反転入力端子に同電位の電圧がそれぞれ入力されているときの前記モニタ用演算増幅回路(20)の出力に基づいてオフセット電圧の経時劣化を判定する判定回路(30〜35)を備えたことを特徴とする演算増幅回路を有する半導体装置。
  2. 前記判定回路(30〜35)が前記オフセット電圧の経時劣化を判定するモニタ期間においては、前記モニタ用演算増幅回路(20)の前記反転入力端子、非反転入力端子に同電位の電圧をそれぞれ入力し、前記モニタ期間以外のときには、前記モニタ用演算増幅回路(20)の前記反転入力端子、非反転入力端子を、前記演算増幅回路(10)の前記反転入力端子、非反転入力端子にそれぞれ接続する回路を備えたことを特徴とする請求項に記載の演算増幅回路を有する半導体装置。
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