JP3958415B2 - ポリアリーレンスルフィド成形体の製造方法 - Google Patents

ポリアリーレンスルフィド成形体の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、射出成形によりポリアリーレンスルフィド樹脂組成物からなる成形体を製造する方法に関し、さらに詳しくは、射出成形に際し、金型温度を充分に低くしても、再結晶化や表面光沢に優れ、機械的強度が良好で、バリが少なく、かつ、成形体の電気抵抗率が導電性ないしは半導電性に制御された成形体を得ることができるポリアリーレンスルフィド成形体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリアリーレンスルフィド(以下、PASと略記)は、式[−Ar−S−](ただし、Arは、アリーレン基である。)で表されるアリーレンスルフィドの繰り返し単位を主たる構成要素とする芳香族ポリマーであり、ポリフェニレンスルフィド(以下、PPSと略記)がその代表例である。PASは、耐熱性、耐薬品性、難燃性、寸法安定性、機械的性質、電気絶縁性等に優れたエンジニアリングプラスチックであり、自動車部品、電気・電子機器部品、化学機器部品などの分野で使用されている。
PASは、射出成形、押出成形、圧縮成形などの各種成形法により成形体に成形される。特に、PASに繊維状充填材や非繊維状充填剤を配合したPAS樹脂組成物を使用すると、射出成形により、引張強度、曲げ弾性率、曲げ強度などの機械的物性に優れた成形体を得ることができる。
【0003】
ところが、PASは、ガラス転移温度や、ガラス状態からの結晶化温度(冷結晶化温度)が高いため、射出成形により成形体を製造する場合、金型温度を高くしないと、結晶化度の高い成形体を得ることができない。また、PASは、結晶化速度が比較的遅いため、射出成形に際し、PASの結晶化度を高めるために比較的長いサイクル時間を必要とする。PASを射出成形する場合、結晶化を促進し、かつ、良好な外観の成形体を得るには、通常、130℃以上の高温に金型を加熱する必要があった。例えば、特許第2547266号公報には、PASに無機充填材を配合したPAS樹脂組成物が開示されているが、その実施例では、金型温度150℃で射出成形している。しかも、PASの射出成形では、金型を高温にしても、硬度、寸法安定性、形状安定性、光沢などに優れた成形体を得るには、射出・冷却時間を長くして、樹脂の結晶化度を高める必要があった。
【0004】
このようにPASの射出成形には、高い金型温度と長い成形サイクルを必要とするため、生産性に問題がある。また、金型温度が高いと、金型潤滑のために特殊なグリースを使用する必要があること、グリースの取り扱いに際して火傷の危険が高いこと、作業場の温度が高くなること等の作業環境上の問題もある。さらに、PASを通常の高い金型温度で射出成形すると、バリの発生が著しいという問題があった。なお、バリとは、成形用金型のキャビティ部において、その組み合わせ部の隙間から溶融した成形材料が流出した部分が、そのまま成形体に付着したものをいう。
【0005】
PASの射出成形時の金型温度を低減することができるならば、生産性の向上に加えて、前述の如き諸問題も軽減される。従来より、PASの射出成形時の金型温度を下げるために、各種可塑剤を添加してPASのガラス転移温度を下げることにより、結晶化速度を高める方法が提案されている。可塑剤としては、例えば、オリゴマー状エステル(特開昭62−45654号公報)、チオエーテル(特開昭62−230849号公報)、カルボン酸エステル(特開昭62−2308848号公報)、燐酸エステル(特開昭62−230850号公報、特開平1−225660号公報)などが提案されている。しかしながら、このような可塑剤の多くは、熱安定性に劣るため、PASのような高融点の樹脂に添加すると、コンパウンド作製のための溶融加工時に、揮発ガスや分解ガスを発生するという問題があった。熱安定性に優れた特殊な可塑剤は、高価である。また、金型温度を充分に下げるには、PASに比較的多量の可塑剤を配合する必要があるため、機械的物性の低下や可塑剤のブリードなどのおそれがある。
【0006】
PASに少量の黒鉛粉末を1種の結晶核剤として添加することにより、結晶化速度を高める方法が提案されているが(特開平5−239354号公報)、その実施例では、PPSに40重量%のガラス繊維と共に1重量%の黒鉛粉末を配合した樹脂組成物を、金型温度135℃(275°F)で射出成形した例が示されているだけであり、金型温度を充分に下げることができていない。
特開平5−86982号公報には、PPSに特定の導電性カーボンブラック、天然鱗状黒鉛、及び無機充填材を配合したPPS樹脂組成物が開示されているが、その実施例には、金型温度140℃で射出成形した例しか示されていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、ポリアリーレンスルフィドを含有する樹脂組成物を用いて、従来よりも低温の金型温度で金型内に射出成形した場合に、充分な結晶化度と表面光沢を有し、機械的物性にも優れ、バリの発生が抑制され、しかも成形体の電気抵抗率が導電性ないしは半導電性に制御された成形体の製造方法を提供することにある。
【0008】
本発明者らは、前記従来技術の問題点を克服するために鋭意研究した結果、降温結晶化温度が高いPASに導電性カーボンブラックを特定の割合で配合し、さらに好ましくは、その他の充填材を配合した樹脂組成物を用いて、125℃以下の金型温度で金型内に射出成形することにより、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定した成形体の表面の再結晶化エネルギーが3J/g以下の充分な結晶化度と表面光沢を有し、機械的物性にも優れ、しかもバリの発生が大幅に抑制された成形体の得られることを見いだした。機械物性の面から、導電性カーボンブラックとしては、DBP吸油量が360ml/100g以上のものが好ましい。
本発明は、これらの知見に基づいて完成するに至ったものである。
【0009】
【課題を達成するための手段】
本発明によれば、310℃、剪断速度1200/秒で測定した溶融粘度が5〜600Pa・sの範囲で、かつ、示差走査熱量計により降温速度10℃/分で測定した降温結晶化温度(Tc )が230℃以上である直鎖状ポリアリーレンスルフィド(A)30〜88重量%、DBP吸油量が360ml/100g以上である導電性カーボンブラック(B)2〜40重量%、及びその他の充填材(C)10〜68重量%を含有する樹脂組成物を80〜125℃の金型温度で金型内に射出成形することを特徴とするポリアリーレンスルフィド成形体の製造方法が提供される。
【0010】
【発明の実施の形態】
ポリアリーレンスルフィド(PAS)
本発明で使用するPASとは、式[−Ar−S−](ただし、−Ar−はアリーレン基である。)で表されるアリーレンスルフィドの繰り返し単位を主たる構成要素とする芳香族ポリマーである。[−Ar−S−]を1モル(基本モル)と定義すると、本発明で使用するPASは、この繰り返し単位を通常50モル%以上、好ましくは70モル%以上、より好ましくは90モル%以上含有するポリマーである。
アリーレン基としては、例えば、p−フェニレン基、m−フェニレン基、置換フェニレン基(置換基は、好ましくは炭素数1〜6のアルキル基、またはフェニル基である。)、p,p′−ジフェニレンスルホン基、p,p′−ビフェニレン基、p,p′−ジフェニレンカルボニル基、ナフチレン基などを挙げることができる。PASとしては、主として同一のアリーレン基を有するポリマーを好ましく用いることができるが、加工性や耐熱性の観点から、2種以上のアリーレン基を含んだコポリマーを用いることもできる。
【0011】
これらのPASの中でも、p−フェニレンスルフィドの繰り返し単位を主構成要素とするPPSが、加工性に優れ、しかも工業的に入手が容易であることから特に好ましい。この他に、ポリアリーレンケトンスルフィド、ポリアリーレンケトンケトンスルフィドなどを使用することができる。コポリマーの具体例としては、p−フェニレンスルフィドの繰り返し単位とm−フェニレンスルフィドの繰り返し単位を有するランダムまたはブロックコポリマー、フェニレンスルフィドの繰り返し単位とアリーレンケトンスルフィドの繰り返し単位を有するランダムまたはブロックコポリマー、フェニレンスルフィドの繰り返し単位とアリーレンケトンケトンスルフィドの繰り返し単位を有するランダムまたはブロックコポリマー、フェニレンスルフィドの繰り返し単位とアリーレンスルホンスルフィドの繰り返し単位を有するランダムまたはブロックコポリマーなどを挙げることができる。これらのPASは、結晶性ポリマーであることが好ましい。また、PASは、靭性や強度などの観点から、直鎖状ポリマーであることが好ましい。
このようなPASは、極性溶媒中で、アルカリ金属硫化物とジハロゲン置換芳香族化合物とを重合反応させる公知の方法(例えば、特公昭63−33775号公報)により得ることができる。
【0012】
アルカリ金属硫化物としては、例えば、硫化リチウム、硫化ナトリウム、硫化カリウム、硫化ルビジウム、硫化セシウムなどを挙げることができる。反応系中で、NaSHとNaOHを反応させることにより生成させた硫化ナトリウムなども使用することができる。
ジハロゲン置換芳香族化合物としては、例えば、p−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、2,5−ジクロロトルエン、p−ジブロムベンゼン、2,6−ジクロロナフタリン、1−メトキシ−2,5−ジクロロベンゼン、4,4′−ジクロロビフェニル、3,5−ジクロロ安息香酸、p,p′−ジクロロジフェニルエーテル、4,4′−ジクロロジフェニルスルホン、4,4′−ジクロロジフェニルスルホキシド、4,4′−ジクロロジフェニルケトンなどを挙げることができる。これらは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0013】
PASに多少の分岐構造または架橋構造を導入するために、1分子当たり3個以上のハロゲン置換基を有するポリハロゲン置換芳香族化合物を少量併用することができる。ポリハロゲン置換芳香族化合物の好ましい例としては、1,2,3−トリクロロベンゼン、1,2,3−トリブロモベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼン、1,2,4−トリブロモベンゼン、1,3,5−トリクロロベンゼン、1,3,5−トリブロモベンゼン、1,3−ジクロロ−5−ブロモベンゼンなどのトリハロゲン置換芳香族化合物、及びこれらのアルキル置換体を挙げることができる。これらは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。これらの中でも、経済性、反応性、物性などの観点から、1,2,4−トリクロロベンゼン、1,3,5−トリクロロベンゼン、及び1,2,3−トリクロロベンゼンがより好ましい。
極性溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPと略記)などのN−アルキルピロリドン、1,3−ジアルキル−2−イミダゾリジノン、テトラアルキル尿素、ヘキサアルキル燐酸トリアミドなどに代表されるアプロチック有機アミド溶媒が、反応系の安定性が高く、高分子量のポリマーが得やすいので好ましい。
【0014】
PASの分子量は、特に限定されず、低分子量のものから高分子量のものまで使用することができる。310℃、剪断速度1200/秒で測定したPASの溶融粘度は、通常5〜600Pa・s、好ましくは10〜400Pa・s、より好ましくは20〜300Pa・sである。本発明では、比較的高分子量、したがって高溶融粘度のPASを用いても、射出成形性を改善することができるが、充填材を高充填する場合には、溶融粘度が比較的小さいPASを用いることが、射出成形時の溶融流動性の観点から好ましい。
また、PASは、示差走査熱量計(DSC)により降温速度10℃/分で測定した降温結晶化温度(Tcが230℃以上、好ましくは235℃以上である。降温結晶化温度が低いと、低温金型を用いて射出成形により良好な表面性を有する成形体を得ることが困難である。
【0015】
導電性カーボンブラック
本発明で使用する導電性カーボンブラックは、特に制限はなく、例えば、アセチレンブラック、オイルファーネスブラック、サーマルブラック、チャンネルブラックなどを用いることができる。導電性カーボンブラックの添加による機械物性及び成形性の低下を最小限度に抑えるには、少量の添加量で導電性ないしは半導電性が発現されることが好ましく、この観点から、DBP吸油量が360ml/100g以上の導電性カーボンブラックを好適に用いることができる。導電性カーボンブラックのDBP吸油量は、ASTM D2414で規定された方法で測定する。すなわち、測定装置(Absorpotometer)のチャンバーの中にカーボンブラックを入れ、そのチャンバー中に、一定の速度でDBP(n−ジブチルフタレート)を加える。DBPを吸収するに従い、カーボンブラックの粘度は上昇するが、ある程度に達した時までに吸収したDBPの量からDBP吸油量を算出する。粘度の検出は、トルクセンサーで行う。
導電性カーボンブラックの配合割合は、導電性カーボンブラックの導電性、構造、DBP吸油量、PASの溶融粘度、樹脂組成物の目標電気抵抗率などに依存し、一概には規定できないが、通常、組成物基準で1〜50重量%であり、好ましくは2〜40重量%である。導電性カーボンブラックを配合することにより、電気抵抗率がほぼ10−1〜1013Ωcmの成形体を得ることができる。
【0016】
その他の充填材
本発明においては、PASに対して、導電性カーボンブラックと共に、その他の充填材を配合することができる。その他の充填材は、一般に、機械的強度、耐熱性、寸法安定性、電気的性質等の諸特性に優れた成形体を得る目的で用いられる。したがって、その他の充填材の種類及び配合割合は、これらの目的に応じて適宜選択される。
その他の充填材としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、アスベスト繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化硼素繊維、窒化珪素繊維、硼素繊維、チタン酸カリ繊維などの無機質繊維状物;ステンレス、アルミニウム、チタン、銅、真鍮などの金属繊維状物;ポリアミド、フッ素樹脂、ポリエステル樹脂、アクルリ樹脂などの高融点有機質繊維状物質;などの繊維状充填材を挙げることができる。
【0017】
また、その他の充填材としては、例えば、シリカ、アルミナ、カオリン、硫酸カルシウム、炭酸カルシム、酸化チタン、カーボンブラック、グラファイト、フェライト、ガラス粉、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸ニッケル、酸化チタン、酸化鉄、石英粉末、炭酸マグネシウム、硫酸バリウムなどの非繊維状(粒状または粉末状)充填材が挙げられる。
これらの充填材は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。また、その他の充填材は、必要に応じて、集束剤や表面処理剤により処理されたものであってもよい。集束剤または表面処理剤としては、例えば、エポキシ系化合物、イソシアネート系化合物、シラン系化合物、チタネート系化合物などの官能性化合物が挙げられる。これらの化合物は、予め表面処理または集束処理を施して用いるか、あるいは材料調製の際に、同時に添加してもよい。その他の充填材としては、機械的強度や寸法安定性などの観点から、ガラス繊維などの繊維状充填材が好ましい。
【0018】
その他の配合剤
本発明で使用する樹脂組成物には、所望により、その他の熱可塑性樹脂を配合することができる。その他の熱可塑性樹脂としては、PASが溶融加工される高温条件下において安定な熱可塑性樹脂が好ましい。熱可塑性樹脂の具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等の芳香族ポリエステル、ポリアセタール、ポリスチレン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリアルキルアクリレート、ABS樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、プロピレン/テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン/クロロトリフルオロエチレン共重合体、エチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体等のフッ素樹脂を挙げることができる。これらの熱可塑性樹脂は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0019】
また、本発明で使用する樹脂組成物には、必要に応じて、エポキシ基含有α−オレフィン系共重合体などの耐衝撃性改質剤、アミノアルコキシシラン化合物などのシランカップリング剤、エチレングリシジルメタクリレートなどの樹脂改良剤;ペンタエリスリトールテトラステアレートなどの滑剤;熱硬化性樹脂;酸化防止剤、紫外線吸収剤などの安定剤;ボロンナイトライドなどの核剤;難燃剤;染料や顔料等の着色剤;などを配合することができる。
本発明で使用する樹脂組成物は、(A)PASが30〜88重量%、好ましくは40〜70重量%、(B)導電性カーボンブラックが2〜40重量%、好ましくは2〜30重量%、及び(C)その他の充填材が10〜68重量%、好ましくは28〜58重量%を含有するPAS樹脂組成物である。
【0020】
導電性カーボンブラックの配合割合が重量%未満では、低温金型の射出成形に際し、充分な結晶化度と表面光沢を有し、かつ、バリの発生が大幅に抑制された導電性ないしは半導電性の成形体を得ることができない。一方、導電性カーボンブラックの配合割合が大きすぎると、成形体の機械的物性の低下が大きく、成形性の低下も著しい。導電性カーボンブラックの配合割合を調整することにより、成形体の電気抵抗率を導電性から半導電性まで(約10−1〜約1013Ωcm)の範囲で変化させることができるので、用途に応じて、所望の電気的特性を有する成形体を得ることができる。その他の充填材の配合割合が大きすぎると、射出成形性に問題が生じるほか、成形体の機械的強度が低下することがある。低温金型での射出成形性と、曲げ弾性率、曲げ強度、曲げたわみ、引張強度、引張伸度などの機械的物性とのバランスの観点から、各成分の配合割合は、前記の好ましい範囲内、さらには、より好ましい範囲内にあることが望ましい。
【0021】
各成分を含有する樹脂組成物は、一般に合成樹脂組成物の調製に用いられる設備と方法により調製することができる。すなわち、必要な成分を混合し、1軸または2軸の押出機を使用して混練し、押し出して成形用ペレットとすることができる。必要成分の一部をマスターバッチとして混合し、成形する方法、また、各成分の分散混合を良くするために、使用する原料の一部を粉砕し、粒径を揃えて混合し、溶融押し出しすることなどもできる。
本発明の製造方法では、前記樹脂組成物を125℃以下の低温の金型温度で金型内に射出成形する。金型温度は、80〜125℃、好ましくは100〜120℃、最も好ましくは110〜120℃である。
【0022】
本発明の樹脂組成物を使用すると、125℃以下の金型温度の低温金型内に射出成形しても、PASの射出成形において一般に採用されている130℃以上、多くの場合140℃以上の金型温度で射出成形した場合に匹敵する結晶化度と表面光沢度とを有し、かつ、電気抵抗率が半導電性ないしは導電性に制御された成形体を得ることができる。すなわち、前記樹脂組成物を125℃以下の金型温度で金型内に射出成形することにより、DSCを用いて測定した成形体表面の再結晶化エネルギーが3.0J/g以下、好ましくは2.0J/g以下の高い結晶化度の成形体を得ることができる。この成形体は、目視判定でも表面性に優れていることが分かる。また、成形体の電気抵抗率は、おおむね10−1〜1013Ωcmの範囲である。
【0023】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を挙げて、本発明についてより具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。
物性の測定法は、以下に示すとおりである。
【0024】
〈測定法〉
(1)溶融粘度
キャピログラフ1C(東洋精機社製)により、長さ10mm、径1mmのキャピラリーを用いて、温度310℃、剪断速度1200/秒の条件で測定した。
(2)再結晶化エネルギー
金型温度を所望の温度にセットした射出成形機で、ASTM D638タイプ1で規定されている引張り試験片を作成し、その成形体の最も結晶化しにくいと思われる端部の表層約100μmを切り出し、示差走査熱量計(DSC)による測定用サンプルとした。DSCとしてパーキンエルマー社製DSC7を用い、サンプルを、窒素雰囲気、昇温速度10℃/分で200℃まで昇温し、その際の熱的転移温度を測定した。得られたDSCチヤートから、昇温過程での結晶化に伴う発熱ピークの面積を測定し、再結晶化エネルギーを計算した。
【0025】
(3)降温結晶化温度(Tc
樹脂試料10mgを2枚のアルミニウム箔の間に挟み、熱プレス機を用いて、320℃に加熱し、約30秒間保持して樹脂を溶融させた後、厚さ0.5mmのシートになるように加圧した。加圧して得たシートを氷水で急冷して、非晶のシート状サンプルを得た。シート状サンプル5mgを切り出し、DSCによる測定用サンプルとした。DSCとしてパーキンエルマー社製DSC7を用い、サンプルを、窒素雰囲気下、昇温速度50℃/分で340℃まで昇温した後、降温速度10℃/分で120℃まで降温し、熱的転移温度を測定した。得られたDSCチャートから、降温過程での発熱ピークの温度を読み取って、降温結晶化温度(TC)とした。
(4)引張物性(引張強度及び引張伸度)
溶融押出により作成したペレット状物を用いて、射出成形により試験片を作成し、ASTM D638に準拠して、標点間距離50mm、クロスヘッド速度5mm/分で、引張強度及び引張伸度を測定した。
【0026】
(5)バリ評価方法
溶融押出により得られたペレット状物を用いて、直径70mm、厚さ3mmのキャビティを有する金型内に、完全に樹脂組成物が充填される最小の充填圧力で射出成形し、金型の円周部に設けられた厚さ20μm、幅5mmの隙間(バリ評価スリット)に生じるバリの長さを、拡大投影機を用いて測定した。
(6)外観
目視で成形品の表面光沢を観察し、以下の基準で評価した。
◎:表面全体の光沢に優れている、
○:表面全体の光沢が良好である、
△:表面光沢がある、
×:表面光沢がない。
(7)体積固有抵抗率
JIS K 6911あるいはJIS K 7194に従って測定した。
【0027】
[合成例1]ポリマーA
重合缶に、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)720kgと46.21重量%の硫化ナトリウム(NaS)を含む硫化ナトリウム5水塩420kgを仕込み、窒素ガスで置換後、撹拌しながら徐々に200℃まで昇温して水158kgを留出させた。この時、62モルの硫化水素(HS)が揮散した。
脱水工程後、重合缶にp−ジクロロベンゼン(pDCB)374kgとNMP189kgとを加え、撹拌しながら220℃で4.5時間反応させた。その後、撹拌を続けながら水49kgを圧入し、次いで、255℃に昇温して5時間反応させた。反応終了後、室温付近まで冷却してから、内容物を100メッシュのスクリーンに通して粒状ポリマーを篩分し、アセトン洗2回、さらに水洗3回を行い、洗浄ポリマーを得た。この洗浄ポリマーを3%塩化アンモニウム水溶液で洗浄した後、水洗を行った。脱水後、回収した粒状ポリマーを105℃で3時間乾燥した。
このようにして得られたポリマー(ポリマーA)の収率は92%であり、降温結晶化温度(Tc)は248℃で、溶融粘度は55Pa・sであった。
【0028】
[合成例2]ポリマーB
合成例1と同様にして、重合缶にNMP720kg及び硫化ナトリウム5水塩420kgを仕込み、脱水を行ったところ、水160kgと硫化水素62モルが溜出した。次に、pDCB371kgとNMP250kgを加え、撹拌しながら220℃で4.5時間反応させた後、撹拌を続けながら水59kgを圧入し、次いで、255℃に昇温して5時間反応させた。反応終了後、室温付近まで冷却してから、内容物を100メッシュのスクリーンに通して粒状ポリマーを篩分し、アセトン洗2回、さらに水洗5回を行い、洗浄ポリマーを得た。この洗浄ポリマーを脱水後、回収した粒状ポリマーを105℃で5時間乾燥した。得られたポリマー(ポリマーB)の収率は93%であり、降温結晶化温度(Tc)は202℃で、溶融粘度は95Pa・sであった。
【0029】
[実施例1]
合成例1で作成したPPS(ポリマーA)55重量%、導電性カーボンブラック(ライオン社製ケッチェンブラックEC600JD)5重量%、及びガラス繊維(日本電気硝子社製;直径13μm)40重量%をドライブレンドし、2軸混練機(シリンダー温度310℃)を用いて、溶融混練した後、ペレット化した。このペレットを、射出成形機(東芝機械製IS−75)を用いて射出成形を行った。シリンダー温度は310℃とし、金型温度(実温)を150℃、120℃、110℃、及び100℃と変化させ、射出時間10秒間、冷却時間15秒間で、試験片を成形した。
試験片表面の再結晶化エネルギーは、金型温度110℃以上では検出できず、金型温度100℃で1.1J/gであった。目視で成形品の表面光沢を観察したところ、表面全体に光沢があり、かつ、優れた光沢であった。また、成形品の体積固有抵抗率は5×10Ω・cm、金型温度120℃でのバリ長は30μmであった。試験片の機械的物性を評価したところ、表1に示すように、良好な機械的特性を示した。組成及び結果を表1に示す。
【0030】
[比較例1]
合成例1で作成したPPS(ポリマーA)60重量%、及びガラス繊維(日本電気硝子社製;直径13μm)40重量%をドライブレンドし、実施例1と同様に溶融混練し、ペレット化した後、同様に種々の金型温度で射出成形して試験片を作製し、評価した。
試験片の表面の再結晶化エネルギーは、金型温度150℃で0J/g、金型温度120℃で7J/g、金型温度110℃で11.2J/g、金型温度100℃で15.6J/gであり、金型温度120℃以下では結晶化が不充分であった。目視で金型温度100℃の成形品の表面光沢を評価したところ、光沢部分は全く見られなかった。また、成形品の体積固有抵抗率は1×1016Ω・cm、金型温度120℃でのバリ長は290μmであった。
したがって、前記樹脂組成物は、150℃の高温金型を用いると良好な物性の成形体を与えることができるが、低温金型では、満足できる物性の(半)導電性の成形体を得ることができない。
【0031】
比較例5
合成例1で作成したPPS(ポリマーA)58.5重量%、導電性カーボンブラック(ライオン社製ケッチェンブラックEC600JD)1.5重量%、ガラス繊維(日本電気硝子社製;直径13μm)25重量%、及び炭酸カルシウム(白石工業社製;ホワイトンP−30)15重量%をドライブレンドし、実施例1と同様に溶融混練し、ペレット化した後、同様に種々の金型温度で射出成形して試験片を作製し、評価した。
試験片の表面の再結晶化エネルギーは、金型温度120℃以上では、検出されず、金型温度110℃で0.9J/g、金型温度100℃で2.1J/gであった。目視で金型温度100℃の成形品の表面光沢を観察したところ、表面全体に光沢があり、かつ、優れた光沢であった。また、成形品の体積固有抵抗率は1×10Ω・cm、金型温度120℃でのバリ長は40μmであった。試験片の機械物性を評価したところ、表1に示すように、良好な機械的特性を示した。
【0032】
[実施例
合成例1で作成したPPS(ポリマーA)57重量%、導電性カーボンブラック(ライオン社製ケッチェンブラックEC600JD)3重量%、ガラス繊維(日本電気硝子社製;直径13μm)25重量%、及び、炭酸カルシウム(白石工業社製;ホワイトンP−30)15重量%をドライブレンドし、実施例1と同様に溶融混練し、ペレット化した後、同様に種々の金型温度で射出成形して試験片を作製し、評価した。
試験片の表面の再結晶化エネルギーは、金型温度110℃以上では、検出されず、金型温度100℃で0.8J/gであった。目視で金型温度100℃の成形品の表面光沢を観察したところ、表面全体に光沢があり、かつ、優れた光沢であった。また、成形品の体積固有抵抗率は3×10Ω・cm、金型温度120℃でのバリ長は27μmであった。試験片の機械物性を評価したところ、表1に示すように、良好な機械的特性を示した。
【0033】
[実施例
合成例1で作成したPPS(ポリマーA)53重量%、導電性カーボンブラック(ライオン社製ケッチェンブラックEC600JD)7重量%、ガラス繊維(日本電気硝子社製;直径13μm)25重量%、及び炭酸カルシウム(白石工業社製;ホワイトンP−30)15重量%をドライブレンドし、実施例1と同様に溶融混練し、ペレット化した後、同様に種々の金型温度で射出成形して試験片を作製し、評価した。
試験片の表面の再結晶化エネルギーは、金型温度110℃以上では検出されず、金型温度100℃で0.5J/gであった。目視で金型温度100℃の成形品の表面光沢を観察したところ、表面全体に光沢があり、かつ、優れた光沢であった。また、成形品の体積固有抵抗率は2×10Ω・cm、金型温度120℃でのバリ長は20μmであった。試験片の機械物性を評価したところ、表1に示すように、良好な機械的特性を示した。
【0034】
[比較例2]
合成例1で作成したPPS(ポリマーA)60重量%、ガラス繊維(日本電気硝子社製;直径13μm)25重量%、及び炭酸カルシウム(白石工業社製;ホワイトンP−30)15重量%をドライブレンドし、実施例1と同様に溶融混練し、ペレット化した後、同様に種々の金型温度で射出成形して試験片を作製し、評価した。
試験片の表面の再結晶化エネルギーは、金型温度150℃で0J/g、金型温度120℃で6J/g、金型温度110℃で8.8J/g、金型温度100℃で12.5J/gであり、金型温度120℃以下では、結晶化が不充分であった。目視で金型温度100℃の成形品の表面光沢を評価したところ、光沢部分は全く見られなかった。また、成形品の体積固有抵抗率は1×1016Ω・cm、金型温度120℃でのバリ長は150μmであった。
したがって、前記樹脂組成物は、140℃の高温金型を用いると良好な物性の成形体を与えることができるが、低温金型では、満足できる物性の(半)導電性の成形体を得ることができない。
【0035】
[比較例3]
合成例1で作成したPPS(ポリマーA)59.5重量%、導電性カーボンブラック(ライオン社製ケッチェンブラックEC600JD)0.5重量%、ガラス繊維(日本電気硝子社製;直径13μm)25重量%、及び炭酸カルシウム(白石工業社製;ホワイトンP−30)15重量%をドライブレンドし、実施例1と同様に溶融混練し、ペレット化した後、同様に種々の金型温度で射出成形して試験片を作製し、評価した。
試験片の表面の再結晶化エネルギーは、金型温度150℃で0J/g、金型温度120℃で4.5J/g、金型温度110℃で7.2J/g、金型温度100℃で13.4J/gであり、金型温度120℃以下では、結晶化が不充分であった。目視で金型温度100℃の成形品の表面光沢を評価したところ、成形体表面中央部に僅かに光沢部分が見られるものの、その他の部分では、光沢部分は殆ど見られなかった。また、成形品の体積固有抵抗率は1×1016Ω・cm、金型温度120℃でのバリ長は90μmであった。
したがって、前記樹脂組成物は、150℃の高温金型を用いると良好な物性の成形体を与えることができるが、低温金型では、満足できる物性の(半)導電性の成形体を得ることができない。
【0036】
[比較例4]
合成例1で作成したPPS(ポリマーA)55重量%、黒鉛(日本黒鉛性ACP−3000)5重量%、及びガラス繊維(日本電気硝子社製;直径13μm)40重量%をドライブレンドし、実施例1と同様に溶融混練し、ペレット化した後、同様に種々の金型温度で射出成形して試験片を作製し、評価した。
試験片の表面の再結晶化エネルギーは、金型温度150℃で0J/g、金型温度120℃で1.7J/g、金型温度110℃で3.5J/g、金型温度100℃で5.6J/gであり、金型温度120℃以下では結晶化が不充分であった。目視で金型温度100℃の成形品の表面光沢を評価したところ、成形品中央部表は光沢があるものの、成形品の端部には光沢部分が殆ど見られなかった。また、成形品の体積固有抵抗率は1×1016Ω・cm、金型温度120℃でのバリ長は60μmであった。
したがって、前記樹脂組成物は、150℃の高温金型を用いると良好な物性の成形体を与えることができるが、低温金型では、満足できる物性の(半)導電性の成形体を得ることができない。
【0037】
比較例6
合成例1で作成したPPS(ポリマーA)45重量%、導電性カーボンブラック(三菱化成工業社製MA−100)15重量%、ガラス繊維(日本電気硝子社製;直径13μm)25重量%、及び炭酸カルシウム(白石工業社製;ホワイトンP−30)15重量%をドライブレンドし、実施例1と同様に溶融混練し、ペレット化した後、同様に種々の金型温度で射出成形して試験片を作製し、評価した。
試験片の表面の再結晶化エネルギーは、金型温度120℃以上では、検出されず、金型温度110℃で0.5J/g、金型温度100℃で1.8J/gであった。目視で金型温度100℃の成形品の表面光沢を観察したところ、表面全体に光沢があり、かつ、優れた光沢であった。また、成形品の体積固有抵抗率は6×10Ω・cm、金型温度120℃でのバリ長は35μmであった。
【0038】
[実施例
合成例1で作成したPPS(ポリマーA)52重量%、導電性カーボンブラック(ライオン社製ケッチェンブラックEC600JD)3重量%、ガラス繊維(日本電気硝子社製;直径13μm)30重量%、及びタルク(松村産業株式会社製クラウンタルク)15重量%をドライブレンドし、実施例1と同様に溶融混練し、ペレット化した後、同様に種々の金型温度で射出成形して試験片を作製し、評価した。
試験片の表面の再結晶化エネルギーは、金型温度100℃以上では、検出されなかった。目視で金型温度100℃の成形品の表面光沢を観察したところ、表面全体に光沢があり、かつ、優れた光沢であった。また、成形品の体積固有抵抗率は2×10Ω・cm、金型温度120℃でのバリ長は22μmであった。
【0039】
比較例7
合成例2で作成したPPS(ポリマーB)58.5重量%、導電性カーボンブラック(ライオン社製ケッチェンブラックEC600JD)1.5重量%、ガラス繊維(日本電気硝子社製;直径13μm)25重量%、及び炭酸カルシウム(白石工業社製;ホワイトンP−30)15重量%をドライブレンドし、実施例1と同様に溶融混練し、ペレット化した後、同様に種々の金型温度で射出成形して試験片を作製し、評価した。
試験片の表面の再結晶化エネルギーは、金型温度150℃で0J/g、金型温度120℃で2.4J/g、金型温度110℃で4.2J/g、金型温度100℃で6.1J/gであった。目視で金型温度100℃の成形品の表面光沢を観察したところ、成形品の端部の一部を除いて、優れた光沢であった。また、成形品の体積固有抵抗率は4×1011Ω・cm、金型温度120℃でのバリ長は38μmであった。
【0040】
【表1】
Figure 0003958415
【0041】
脚注:
(*1)PPS;溶融粘度=55Pa・s、Tc =248℃
(*2)PPS;溶融粘度=95Pa・s、Tc =202℃
(*3)ライオン社製ケッチェンブラックEC600JD
(*4)三菱化成工業社製MA−100
(*5)日本黒鉛製ACP−3000
(*6)日本電気硝子社製ガラス繊維;直径13μm
(*7)白石工業社製ホワイトンP−30
(*8)松村産業社製クラウンタルク
【0042】
【発明の効果】
本発明によれば、ポリアリーレンスルフィドを含有する樹脂組成物を用いて、従来よりも低温の金型温度で金型内に射出成形した場合に、充分な結晶化度と表面光沢を有し、機械的物性にも優れ、しかもバリの発生が抑制された成形体を与えることができる成形体の製造方法が提供される。

Claims (7)

  1. 310℃、剪断速度1200/秒で測定した溶融粘度が5〜600Pa・sの範囲で、かつ、示差走査熱量計により降温速度10℃/分で測定した降温結晶化温度(Tc )が230℃以上である直鎖状ポリアリーレンスルフィド(A)30〜88重量%、DBP吸油量が360ml/100g以上である導電性カーボンブラック(B)2〜40重量%、及びその他の充填材(C)10〜68重量%を含有する樹脂組成物を80〜125℃の金型温度で金型内に射出成形することを特徴とするポリアリーレンスルフィド成形体の製造方法。
  2. ポリアリーレンスルフィド(A)が、ポリフェニレンスルフィドである請求項1記載の製造方法。
  3. 成形体の電気抵抗率が10−1〜1013Ωcmの範囲である請求項1または2に記載の製造方法。
  4. その他の充填材(C)が、繊維状充填材である請求項1乃至3のいずれか1項に記載の製造方法。
  5. その他の充填材(C)が、繊維状充填材及び炭酸カルシウムである請求項1乃至4のいずれか1項に記載の製造方法。
  6. その他の充填材(C)が、繊維状充填材及びタルクである請求項1乃至5のいずれか1項に記載の製造方法。
  7. 差走査熱量計を用いて測定した成形体表面の再結晶化エネルギーが3.0J/g以下である請求項1乃至6のいずれか1項に記載の製造方法
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