JP3950968B2 - YおよびEuを分離回収する方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、三波長蛍光体を用いる廃棄蛍光管からYおよびEuを分離回収する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
希土類元素は、原子番号57番のランタンから71番のルテニウムまでの15元素にスカンジウムとイットリウムを加えた17元素に対する総称である。希土類元素は、先端産業分野を支えている材料を構成する元素群の一つであり、蛍光材料、触媒、光学ガラス、セラミックス、磁石などの機能性材料に広く使われている。我が国ではこれら希土類元素をすべて輸入に頼っており、また、希土類元素を使用した製品からの希土類元素の回収は行われておらず、資源確保と環境保全の面からも製品廃棄物からのリサイクル技術の開発は必須であると指摘されている。
希土類元素が使用されている製品の中に蛍光管がある。蛍光管の内部には水銀蒸気が封入されているため、破砕すると水銀が大気中に放出されることが懸念される。また、廃棄蛍光管を未処理のまま埋め立てると、土壌の水銀汚染を引き起こすことも懸念される。このため、従来の廃蛍光管処理は水銀の回収・処理に視点を置いて実施されてきた。しかしながら、この処理では、ガラスと水銀が一部で再利用されているものの、同時に排出される蛍光体は再資源化されていないことが資源の有効利用の点から見て問題である。蛍光管には、希土類元素を含まない白色蛍光体(ハロリン酸カルシウム)を用いる蛍光管と、希土類元素を含む三波長蛍光体を用いる蛍光管がある。三波長蛍光体を用いる蛍光管から希土類元素を取り出すこと、具体的には、YおよびEuの分離・回収を行うことは、その含有量が多いことから、資源の有効活用という点から見て好ましいことである。
廃希土類蛍光体から希土類酸化物を回収する際に、塩酸と過酸化水素に溶解させ、硝酸を添加し、シュウ酸を加えて沈殿を発生させ、回収した沈殿物を焼成して希土類酸化物を回収することが知られている(特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4)。また、メカノケミカル処理して結晶構造を変化させ、低濃度の塩酸や硫酸などにより浸出させることも知られている(特許文献5、特許文献6)。
これらの方法は、希土類酸化物として回収するものであるが、さらに、YとEuとして回収する方法も知られている(非特許文献1)。この方法での処理対象である廃蛍光管の組成は、希土類元素を含まない白色蛍光体が80%、希土元素を含む三波長蛍光体が20%である。そして、この方法では、水銀化合物を除去した後、鉱酸によって蛍光体を浸出処理し、浸出液のpHをpH調節剤により2.0に調節後、有機溶媒によりYとEuを同時に抽出し、次に鉱酸によって逆抽出し、得られる抽出液のpHを0.5にし、有機溶媒により抽出を行い、Yを有機相に、一方、Euを水相に分離し、有機相を塩酸により逆抽出して得られる水溶液のpHを調整し、得られる沈殿を加熱してYOとして、また、水相に対してシュウ酸を加え得られる沈殿を加熱してEuOとして、それぞれ回収するものである。
しかしながら、この方法は、YとEuの分離に先立つ2回の有機溶媒による処理操作全体において、pH調整剤として用いるアルカリの使用量が多いことが問題点とされている。アルカリの使用量が多いことは、無理な条件を用いるものであり、それに伴い廃水処理などにも余分な負担がかかるので、回収方法としては好ましいものではない。
【0003】
【特許文献1】
特公平4−29607号公報
【特許文献2】
特開平11−209828号公報
【特許文献3】
特開2001―288460号公報
【特許文献4】
特開2001−240853号公報
【特許文献5】
特開平11−7111号公報
【特許文献6】
特開2000−192167号公報
【非特許文献1】
高橋徹、高野明富、斎藤隆之、長野伸泰、平井伸治、嶋影和宜: 資源・素材、117、No.7、p579-585(2001)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、廃棄三波長蛍光体混合物から、単純な操作によりYおよびEuを分離回収する方法を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、三波長蛍光体を用いる蛍光管から希土類元素を回収することについて鋭意研究し、水銀化合物を除去した後の処理対象物を処理してYとEuを分離する際に、最初の工程となる硫酸による蛍光体混合物の浸出処理により得られる浸出液のpHをpH調節剤により0.5〜1.1程度に調節した後の浸出液に対して、有機溶剤による抽出操作を行うことにより、YとEuの分離を行うことができるものであり(有機相にYを、水相にEuを分離する)、特に、Euを最適に分離することができ、また、分離されたYを含む溶液およびEuを含む溶液から各々を回収することができ、また、全体の処理操作に関して、従来の方法に比較して、アルカリの添加量が少なくてもすむことを見出して本発明を完成させた。
すなわち、本発明によれば以下の方法が提供される。
【0006】
(1)廃棄された三波長蛍光管から分離された被処理対象物から水銀化合物を除去した蛍光物質を含む混合物からYおよびEuを分離回収する方法において、前記混合物を硫酸水溶液により処理してYとEuを含有する浸出液を取り出し(第1工程)、前記浸出液のpHを0.5〜1.1程度の範囲の状態とし(第2工程)、疎水性抽出試薬を含む有機溶媒により抽出処理することにより、Yを含んだ有機相とEuを含んだ水相に分離し(第3工程)、得られる有機相を硫酸処理してYを含んだ有機相を取り出し、さらに塩酸で処理することにより、Yを含んだ塩酸水溶液を取り出し(第4工程)、前記塩酸水溶液にシュウ酸を添加して生ずる沈殿物をろ別し、加熱処理してYOとして取り出し(第5工程)、一方、前記第3工程で得られるEuを含有する水相のpHを1.2〜2.2程度に調節し(第6工程)、疎水性抽出試薬を含む有機溶媒により抽出して得られる有機相を取り出し、さらに塩酸で処理してEuを含んだ塩酸水溶液を取り出し(第7工程)、前記塩酸水溶液にシュウ酸を添加して生ずる沈殿物をろ別して、Euを含む化合物を取り出し、加熱処理してEuOを取り出す(第8工程)ことを特徴とする廃棄された三波長蛍光管から分離された被処理対象物である蛍光物質からYおよびEuを分離回収する方法。
(2)前記疎水性抽出試薬が、2−エチルヘキシルホスホン酸モノ2−エチルヘキシルエステル(PC-88A)であることを特徴とする(1)記載の廃棄された三波長蛍光管から分離された被処理対象物である蛍光物質からYおよびEuを分離回収する方法。
(3)前記で得られる有機相を硫酸処理してYを含んだ有機相を取り出し、さらに塩酸で処理することにより、Yを含んだ塩酸水溶液を取り出した後に、残された有機相を第3工程の有機溶剤による抽出工程に戻し(第4工程)、また、第7工程で有機溶媒により抽出して得られる有機相を取り出し、さらに塩酸で処理してEuを含んだ塩酸水溶液を取り出し、残された有機相を第7工程の有機溶剤による抽出工程に戻すようにすることを特徴とする請求項1記載の廃棄された三波長蛍光管から分離された被処理対象物である蛍光物質からYおよびEuを分離回収する方法。
(4)前記有機溶媒により抽出処理して得られるYを含んだ有機相(第3工程において得られる一方の相)を硫酸処理した後、塩酸を含んだシュウ酸と接触させて、Yをシュウ酸水溶液により逆抽出し、Yをシュウ酸塩沈殿として晶析・分離させる(第5工程別法)ことを特徴とする(1)記載の廃棄された三波長蛍光管から分離された被処理対象物である蛍光物質からYおよびEuを分離回収する方法。
(5)第7工程において有機溶媒により抽出して得られる有機相を、シュウ酸水溶液または塩酸を含んだシュウ酸水溶液と接触させて、Euをシュウ酸塩沈殿として晶析・分離させる(第8工程別法)ことを特徴とする(1)記載の廃棄された三波長蛍光管から分離された被処理対象物である蛍光物質からYおよびEuを分離回収する方法。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明が処理しようとする処理対象物質は、三波長蛍光体を用いる蛍光管である。この蛍光管は、工場内の生産工程から出る不良品および三波長蛍光体を用いる蛍光管として使用後に回収されたものである。特に、工場内の生産工程から発生する、三波長蛍光体を用いる蛍光管を対象として処理することが有効である。
一般的な希土類元素を含む三波長蛍光体には、赤色蛍光体:Y2O3:Eu3+、青色蛍光体:(Sr,Ca,Ba)5(PO4)3Cl:Eu2+、緑色蛍光体:LaPO4:Ce,Tbが含まれる。これらの蛍光体混合物からYおよびEuを分離することが本発明の目的である。
【0008】
三波長蛍光体を用いる被処理蛍光管は、物理的な選別方法によって蛍光体とガラスとに分離され、回収された蛍光体より水銀を除去する。本発明では、水銀を除去された後の三波長蛍光体を対象とする。本発明で対象とする水銀を除去された後の三波長蛍光体について、蛍光X線を用いた分析結果は、以下の通りである。
【表1】
Figure 0003950968
【0009】
本発明の「廃棄された三波長蛍光管から分離された被処理対象物から水銀化合物を除去した蛍光物質を含む混合物からYおよびEuを分離回収する方法」は、以下の工程から構成される。
三波長蛍光管より水銀を除去して得られる被処理対象物の三波長蛍光体を、処理液体として硫酸を用いて処理し、浸出液を取り出す工程(第1工程)、
得られた硫酸による浸出液にアルカリを添加して、pHを0.5〜1.1程度とする工程(第2工程)、
pH調節された浸出液に対して、疎水性抽出試薬を含む有機溶剤により抽出を行い、有機相(Yを含有する相)および水相(Euを含有する相)に分ける工程(第3工程)、
第3工程で得られる有機相を硫酸水溶液で処理することにより得られる有機相(Yを含む)を取り出し、さらに塩酸で処理することにより、Yの塩酸水溶液として逆抽出し、必要に応じて残された有機相を第3工程の有機溶剤による抽出工程に戻す工程(第4工程)、
第4工程で得られるYの塩酸水溶液にシュウ酸を加えてYの沈殿物を生成させて、ろ別した沈殿生成物を加熱焼成することによりYOを回収する工程(第5工程)、
有機溶媒により抽出処理して得られるYを含んだ有機相(第3工程で得られる相)を、硫酸処理した後、シュウ酸溶液または塩酸を含んだシュウ酸水溶液と接触させて、Yをシュウ酸水溶液により逆抽出し、Yをシュウ酸塩沈殿として晶析・分離させる工程(前記第5工程の別法)、
第3工程の有機溶剤処理により得られる水相のpHを1.2〜2.2程度に調節する工程(第6工程)、
第3工程で生成する水相のpHを1.2〜2.2程度に調節した溶液(第6工程で得られる溶液)を、疎水性抽出試薬を含む有機溶剤による抽出操作を行い、その結果、Euを含む有機相を取り出し、さらに塩酸で処理してEuを含んだ塩酸水溶液を取り出し、必要に応じて残された有機相を前記有機溶剤による抽出工程に戻す工程(第7工程)、
第7工程の塩酸により抽出されたEu抽出液にシュウ酸を添加し、Euを沈殿物としてろ別し、EuOを取り出す工程(第8工程)、および
第7工程において有機溶媒により抽出して得られる有機相を、シュウ酸水溶液または塩酸を含んだシュウ酸水溶液と接触させて、Euをシュウ酸塩沈殿として晶析・分類させる (第8工程の別法)。
以下に前記各工程について説明する。
【0010】
三波長蛍光管より水銀を除去して得られる被処理対象物の三波長蛍光体を、処理液体として硫酸を用いて処理し、浸出液を取り出す工程(第1工程)についてこの工程で用いられる処理液体は、硫酸の他に鉱酸であれば使用可能である。
この中で、処理液体として硫酸で処理することがもっとも良好な結果が得られることにより、硫酸を用いることとしたものである。なお、処理液体としては、塩酸、硝酸などを挙げることができる。
この工程では、硫酸で処理して得られる浸出液を回収する。浸出操作により回収される浸出液は、YとEuを含む水溶液である。
硫酸による浸出操作では、Caの浸出が少ない水溶液が得られる(すなわち、処理対象物に含まれるCaは、浸出液に含まれない状態となるので、この点で浸出液に含まれる処理量を少なくすることができる)。また、Laの除去にも役立つ操作となる。
また、硫酸による浸出法では、不純物であるCa、Sr、Baなどのアルカリ土類金属が硫酸塩沈殿として残渣に残る。
また、他の希土類元素(La、Ce、Tb)に対しても、硫酸を使用した場合の方が、例えば、硝酸を使用した場合に比べて、浸出率は低い結果となり、好ましい操作である。硝酸を用いて浸出処理をすると、La等の他元素の浸出が見られた(表2)。
これらのことから、浸出処理には硫酸を用いることが、もっとも好ましいということができる。
さらに具体的な最適条件を、実験によって下記のように求めた。
まず、Y、EuおよびCaの浸出率に及ぼす硫酸濃度および温度の影響を、浸出時間3時間、パルプ濃度(蛍光体試料/浸出液)30 g/lとして調べた。図1、2は、それぞれ、YおよびCaについての結果であり、硫酸濃度0.65〜1.3 mol/l、温度60℃以上で、Yを95%以上浸出させることができることがわかる。硫酸濃度6.5 mol/lではYの浸出率は低いが、これはYの硫酸塩が生成したためと思われる。これらと同様の傾向がEuについても見られた。Caについては、温度による浸出率の変化は小さかった。これらのことからわかるように、浸出処理における硫酸濃度は、0.4〜3 mol/lの範囲が好ましいが、次工程の溶媒抽出のためのpH調節も考えると、より好ましくは0.4〜0.8 mol/l、特に好ましくは0.6〜0.7 mol/lである。また温度は、やや高くすることが好ましい。通常、60から70℃程度で十分である。
次にY、EuおよびCaの浸出率に及ぼすパルプ濃度の影響を、温度70℃、浸出時間1時間、硫酸濃度を0.65および1.3 mol/lとして調べた。図3は、Yについての結果であり、Yの浸出率は、パルプ濃度30 g/lの場合は硫酸濃度に関わりなく100%近いが、パルプ濃度の増加にともなって低下し、パルプ濃度100 g/lの場合は、硫酸濃度0.65および1.3 mol/lのとき、それぞれ、76%および95%となることがわかった。Euについても同様の挙動が見られた。Caについては、硫酸濃度に関わりなく、パルプ濃度30 g/lの場合は55〜60%、100 g/lのときは45〜48%であった。このことより、浸出処理におけるパルプ濃度は25〜50 g/lが好ましいといる。
以上より、浸出の最適条件は、硫酸濃度0.6〜0.7 mol/l、パルプ濃度25〜50 g/l、温度60〜70℃であるといえる。表3に、最適条件(硫酸濃度0.65 mol/l、温度70℃、浸出時間1時間、パルプ濃度30 g/l)で得られた浸出液中の各元素の組成を示す。YとEuについては、ほぼ100%浸出することができ、その他の希土類元素(La、Ce、Tb)の浸出は、1 mg/l以下と非常に低くすることができた。この他に、Ca、Sr、Alが不純物として確認された。
【表2】
Figure 0003950968
【表3】
Figure 0003950968
【0011】
なお、硫酸による浸出法では、不純物であるCa、Sr、Baなどのアルカリ土類金属が硫酸塩沈殿として残渣に残る。また、他の希土類元素(La、Ce、Tb)についても、硫酸を使用した場合の方が、硝酸を使用した場合に比べ浸出率が低かった。これは、蛍光体試料中にYおよびEuは酸化物として存在しているが、他の希土類元素はリン酸塩として存在しているためと考えられる。したがって、YおよびEuを処理対象物とするときには、硫酸による浸出法は有効な操作である。残渣として取り出される前記の化合物を処理すれば、これらの物質を分離回収することができる。
【0012】
得られた硫酸による浸出液にアルカリを添加して、pHを0.5〜1.1程度とする工程(第2工程)について
硫酸による浸出液のpH調整のためにアルカリ水溶液が用いられる。具体的には、苛性ソーダ水溶液が使用される。
この操作は、次工程の有機溶剤による抽出処理を行ってYを含有する相(有機相)とEuを含有する相(水相)に分離する際に,pH 0.5〜1.1程度で行うことが有効であり、そのために、予め前記のpHの範囲に調節が行われる。この範囲が好ましいことについては、次工程の有機溶剤による抽出処理の点で述べる。
【0013】
pH調節された浸出液に対して、疎水性抽出試薬を含む有機溶剤により抽出を行い、有機相(Yを含有する相)および水相(Euを含有する相)に分ける工程(第3工程)について
ここでの疎水性抽出試薬としては、基礎的な分野から工業的な生産にいたるまで、広く希土類元素の精製に用いられている酸性有機リン化合物を用いることができる。
具体的には、ビス(2-エチルヘキシル)燐酸 (D2EHPA、大八化学製)、2-エチルヘキシルホスホン酸モノ2-エチルヘキシルエステル(PC-88A、大八化学製)、ビス(2, 4, 4’-トリメチルペンチル)ホスフィン酸 (CYANEX272、サイテック製)などを挙げることができる。
本発明の方法では、採用される条件を検討してみると、PC-88Aを使用する場合がもっとも良好な結果が得られる。
これらの抽出試薬は希釈して用いることが一般的である。希釈剤としては、シェルゾールD70(シェル化学製)等の有機溶剤を用いることができる。
具体的には、有機相として、D2EHPA、PC-88A、CYANEX272をシェルゾールD70で希釈し、PC-88Aについては16体積%(0.5 mol/l)、32体積%(1.0 mol/l)、D2EHPAおよびCYANEX272については16体積%(0.5 mol/l)となるように調製したものを用いた。また、D2EHPAおよびCYANEX272については、シェルゾールD70で希釈した場合濁りが生じたので、改質剤としてn-デカノールを5体積%加えたものを用いた。
これらの抽出剤を用いる抽出および逆抽出操作は、特に断らない限り、25℃に保った恒温水槽中で行った
【化1】
Figure 0003950968
【0014】
前記有機溶剤により抽出された有機相にはYが含まれ、一方、水相には、Euが含まれる。すなわち、はじめに硫酸処理され、pH調節された浸出液により取り出されたYおよびEuを含有する混合液体を、前記有機溶媒により抽出処理し、Y(有機相)とEu(水相)に分離することができる。
この有機相と水相に分離する操作がpHの影響を受けることは前記の通りであるが、その根拠は以下の知見による。
図4は、D2EHPA、PC-88A、CYANEX272の塩酸および硫酸溶液からのYの抽出率と平衡pHの関係を示したものである。ここで抽出剤濃度は16体積%、供試水相中のY濃度は1 g/l、有機相と水相の体積比は1とした。この結果から、どの抽出剤についても、塩酸溶液からの抽出よりも硫酸溶液からの抽出の方が高いpHで起こっていることがわかった。これは、Y3+とHSO4 -やSO4 2-との錯体の方がCl-との錯体に比べて安定であり、水相中の遊離のY3+濃度が、硫酸溶液の方が低いことによるものと考えられる。この傾向はEuにも見られ、同様に抽出曲線が高pH側に移動している。
続いて、Y、Eu、Caの三成分を含んだ硫酸溶液を調製し溶媒抽出を行った。ここで供試水相のY、Eu、Caの濃度は、それぞれ、1、 0.1、0.1 g/lとし、有機相と水相の体積比は1とした。図5は、16体積%PC-88AによるY、Eu、Caの抽出率と平衡pHの関係を示す。Y、Euとも、単成分の抽出試験の時と変化は見られなかった。YとEuの分離に関し、塩酸溶液での最適平衡pHは0.5付近であったが、硫酸溶液での最適平衡pHは0.8付近であり高pH側に移動した。YとEuの分離係数は塩酸および硫酸溶液とも各々100程度と大きな違いは見られない。また、Yの抽出を行うpH領域では、Caは全く抽出されないことがわかった。
次に、Y抽出後の水相からEuを抽出することを考え、Eu、Caの二成分を含む溶液を調製し、両者の分離に関する実験を行った。ここで、抽出剤濃度は16体積%、EuおよびCaの濃度はともに0.1 g/l、有機相と水相の体積比は1とした。図6、7は、それぞれD2EHPAおよびPC-88AによるEuおよびCaの抽出率と平衡pHの関係を示す。
これらの図からわかるように、D2EHPAについては平衡pH 1.0付近、PC-88Aについては平衡pH 1.2〜2.2でEuとCaの分離を良好に行うことができる。また、Caの抽出については、D2EHPAよりもPC-88Aの方が抽出されにくい。したがって、安定したEuとCaの分離を行うには、PC-88Aを使用する方が有効である。
【0015】
この第3工程の抽出操作により得られる有機相には、Euも少量抽出されており、わずかではあるが、Yの純度を低下させることがある。一方、抽残水相には、Euが含まれ、その中にYがわずかに含まれることがある。
向流多段抽出操作を行った場合の、上記のような有機相および水相の不純物濃度を見積もるために、Y 4.8 g/l、Eu 0.3 g/l、Ca 0.09 g/lを含む硫酸酸性(pH 0.9)の水相および32体積%のPC-88Aを含む有機相を使用し、有機相に対する水相の体積比を1.8、段数を4としてバッチシミュレーションを行った。その結果は表4に示したが、得られた有機相中のYの純度は99.8%、また抽残水相中のYは1.8 mg/lであった。
得られる有機相中のY純度をさらに高くするためには、有機相を洗浄(スクラビング)することも、有効であると考えられる。この洗浄操作は、抽出後の有機相を、適したpH値とした洗浄液で洗浄するものであり、抽出された不純物元素の除去を行う。表5にスクラビング前後の有機相中のYおよびEuの濃度を示した。洗浄液として、pH 0.5、0.7、0.9の硫酸溶液を使用し、水相に対する有機相の体積比を2.5とした。pH 0.9の硫酸溶液による洗浄では有機相中のEuの60%を逆抽出、除去することができ、Yの純度を99.9%に向上することができることを確認した。
したがって、pH 0.9の洗浄液で数回洗浄することによって、Yの純度をさらに向上させることができる。また、pH 0.5の硫酸溶液による洗浄では、有機相中のEuをほぼ100%除去することができ、Yの純度は99.9%に達した。それと同時に、Yも12%水相へ逆抽出されたが、洗浄に使用された洗浄液は浸出液と混ぜられ、再びYの抽出に使用することが可能であるので、ここでYが逆抽出されても、大きな問題となることはない。洗浄槽を設けることによって、Yの純度を向上させることができることを確認した。
【表4】
Figure 0003950968
【表5】
Figure 0003950968
【0016】
第3工程で得られる有機相を硫酸水溶液で処理することにより得られる有機相(Yを含む)を取り出し、さらに塩酸で処理することにより、Yの塩酸水溶液として逆抽出し、必要に応じて残された有機相を第3工程の有機溶剤による抽出工程に戻す工程(第4工程)について
有機相と塩酸を接触させてYの逆抽出を行う際の塩酸濃度は、2 mol/l程度である。
図8に示すように、Yを9.3 g/l含む32体積%PC-88Aからの、2 mol/lの塩酸によるYの逆抽出等温線を作成し、向流多段法によるYの逆抽出における所要段数等の操作条件を求めた。図に示したように、McCabe-Thiele解析により、たとえば、水相に対する有機相の体積比2.2、向流3段の操作を行えば、有機相中の9 g/lのYを95%逆抽出し、20 g/lのYを含む水相を得ることが可能である。
向流多段抽出の段数を3段から4段に増やすことによってYの逆抽出率を95%以上に上げることもできる。しかし、ここで逆抽出後の有機相は再びYの抽出に利用されるので、100%逆抽出する必要はない。
有機相(Yを含む)を取り出し、さらに塩酸で処理することにより、Yの塩酸水溶液として逆抽出した後に残る有機相は、必要に応じて第3工程の有機溶剤として再循環して利用することができる。再循環利用することによって、処理する溶剤の使用量を削減できるので合理的である。
【0017】
第4工程のYの塩酸水溶液にシュウ酸を加えてYの沈殿物を生成させて、ろ別した沈殿生成物を加熱焼成することにより,YOを回収する工程(第5工程)について
有機相に抽出された希土類元素は、鉱酸によりイオンとして逆抽出液中に回収し、次工程に移されることが通常行われる。
この工程では、Yの塩酸水溶液にシュウ酸を加えて沈殿を生成させて、ろ別した沈殿生成物を800〜900℃で加熱焼成する。この結果、YOを分離回収することができる。
希土類元素シュウ酸塩の溶解度積は10-30(mol/l)5と非常に小さいので、完全な沈殿物としてYの回収を行うことができるものであり、得られた沈殿物を800〜900℃で加熱焼成することにより容易に酸化物としてYを回収することができる。この方法は、希土類元素の分離方法として有効な方法である。
【0018】
有機溶媒により抽出処理して得られるYを含んだ有機相(第3工程で得られる相)を、シュウ酸水溶液または塩酸を含んだシュウ酸水溶液と接触させて、Yを逆抽出すると同時に、シュウ酸塩沈殿として晶析・分離させる工程(第5工程の別法)について
前記第5工程の別法として、有機溶媒により抽出処理して得られるYを含んだ有機相(第3工程で得られる相)を、シュウ酸水溶液または塩酸を含んだシュウ酸水溶液と接触させて、Yを逆抽出すると同時に、シュウ酸塩沈殿として晶析・分離させることによる晶析逆抽出法を用いる事ができる。
ここでは、Yを約9 g/l(0.1 mol/l) 含む32体積%PC-88Aを用いて晶析逆抽出の実験を行った。逆抽出水相中のシュウ酸濃度の影響を調べる実験では、種々のシュウ酸濃度(0.1〜0.3mol/l)の水相10mlと含Y有機相10mlを共栓付三角フラスコに入れ、25 ± 0.1℃の恒温水槽中で一晩振盪することにより平衡に到達させ、得られた水相および有機相中のY濃度を定量した。ここで有機相中のY濃度の分析は、得られた有機相 1mlを1:1 HCl 10mlで逆抽出し、生成した水相中のY濃度を定量することにより行った。また、逆抽出率および晶析率は下式のように定義した。
Figure 0003950968
酸濃度の逆抽出率および晶析率におよぼす影響を調べる実験では、水相中のシュウ酸濃度を0.2 mol/l一定とし、塩酸を0.01 mol/l、0.1 mol/lになるように加え、上記と同様の方法で逆抽出率および晶析率を求めた。
シュウ酸による晶析逆抽出法は、逆抽出液にシュウ酸溶液を使うことによって、逆抽出されたYが水相中に溶解することができず、直ちにシュウ酸塩沈殿としてYを回収できる利点がある。また、シュウ酸イットリウムの溶解度が低いため、逆抽出水相中のYの残存を防ぐことができることも利点としてあげられる。希土類元素とシュウ酸の反応は次式のように表される。
Figure 0003950968
ここでR2H2は酸性有機リン化合物の2量体、上線は有機相中の化学種であることを示す。
上式からYのシュウ酸塩の生成に必要なシュウ酸のモル量は、Yのモル量に対して1.5倍であることがわかる。図9に、シュウ酸濃度に対する逆抽出率および晶析率の関係を示した。水相へ逆抽出されたYは、水相への溶解度が非常に低いので、ほぼ100%晶析することになり、逆抽出率と晶析率は同じ値を示した。Yに対するシュウ酸の当量濃度0.15 mol/lでは逆抽出率、晶析率ともに70%程度であり、0.1 mol/lのYを100%逆抽出、晶析するためには当量濃度の2倍、0.3 mol/lのシュウ酸が必要であることがわかった。
図10に、酸濃度に対する逆抽出率および晶析率の関係を示した。シュウ酸は二塩基酸であり、その解離には水素イオン濃度が関係する。また、有機相からのYの逆抽出に関しても水素イオン濃度が関係する。従って、塩酸を水素イオン濃度調節剤として用い、逆抽出率および晶析率への影響を調べた。図から明らかなように、塩酸濃度0〜0.1 mol/lの範囲では、塩酸濃度の増加に伴い逆抽出率および晶析率は90%〜95%に上昇した。さらに水素イオン濃度を増加させることにより逆抽出率および晶析率を向上できる可能性が考えられる。しかし、水素イオン濃度が増加することにより、シュウ酸の解離が抑えられ、遊離のC2O4 2-の濃度が減少する。したがって、水素イオン濃度を増加させることによっての逆抽出率および晶析率上昇の効果は限界があると思われる。
晶析逆抽出法により、有機相から直接Yをシュウ酸塩沈殿として回収できる。晶析に必要なシュウ酸のモル量は、Yのモル量に対して、理論上は1.5倍であるが、実際には2倍であった。また、晶析逆抽出液中の酸濃度を増加させることによって、晶析逆抽出率を上げることができることを確認した。
ろ別したシュウ酸塩を加熱処理し、YOを得ることができる。
【0019】
第3工程の有機溶剤処理により得られる水相のpHを1.2〜2.2程度に調節する工程(第6工程)について
有機溶剤により抽出を行って得られる有機相(Yを含有する相)および水相(Euを含有する相)より分離された水相に関し、そのpHを1.2〜2.2程度に調節する。
pHの調節には、アルカリ水溶液が用いられる。具体的には、苛性ソーダ水溶液が使用される。
この操作は、次工程の有機溶剤による抽出処理を行ってEuを含有する相(有機相)と分離する際に、pHを1.2〜2.2程度で行うことが有効であり、そのために、予め前記の範囲のpHの範囲に調節が行われる。この範囲が好ましいことについては、次工程の有機溶剤による抽出処理の点で述べる。
【0020】
第3工程で生成する水相のpHを1.2〜2.2程度に調節した溶液(第6工程で得られる溶液)に対して、有機溶媒による抽出操作を行い、その結果、有機相(Euを含む相)を取り出し、さらに塩酸で処理してEuを含んだ塩酸水溶液を取り出し、必要に応じて残された有機相をEuの抽出工程に戻す工程(第7工程)について
第3工程のY抽出後の有機相から分離された水相からEuを抽出することに関し、有機溶剤による抽出処理を行ってEuを含有する相(有機相)と分離する際に、pHを1.2〜2.2程度に予め調節した後に、疎水性抽出試薬を含む有機溶剤による抽出操作を行う。ここで疎水性抽出試薬としては、すでに【0013】で記したように、D2EHPA、PC-88Aなどを用いることができる。なお、CYANEX272については、このpHの範囲では効率的なEuの抽出は困難であった。
ここでは、EuとCaの分離について16体積%PC-88Aによる抽出等温線を作成し、向流多段抽出の所要段数、操作条件の決定を行った。使用した水相は、Eu(0.49 g/l)およびCa(0.1 g/l)の二成分からなる硫酸溶液であり、pH 1.5であった。図11にEu抽出等温線を示した。図に示したように、McCabe-Thiele解析により、たとえば、有機相に対する水相の体積比3.3、向流3段の操作を行えば、水相中の0.3 g/lのEuをほぼ100%抽出し、1 g/lのEuを含む有機相を得ることができる。
【0021】
次に、1 mol/lの塩酸を使用したときのEuの逆抽出について説明する。
図12は、Euを1.1 g/l含む16体積%PC-88A溶液からの各種濃度の塩酸によるEuの逆抽出率を示したものである。この図から、Euを約1.1 g/l含む有機相からEuを逆抽出するには、0.5 mol/l以上の塩酸が必要であることがわかった。
次に、前記有機相を用いて、1 mol/lの塩酸によるEuの逆抽出等温線を作成し、McCabe-Thiele解析を行い、Eu逆抽出に必要な向流多段抽出の所要段数、操作条件を求めた。図12に示したように、たとえば、向流多段抽出の段数2段、水相に対する有機相の体積比4.5の操作を行えば、有機相中の1.1 g/lのEuを99%逆抽出し、5 g/lのEuを含む水相を得ることが可能である。
【0022】
有機相(Euを含む)を取り出し、さらに塩酸で処理することにより、Euの塩酸水溶液として逆抽出した後に残る有機相は、必要に応じてEu抽出工程の有機溶剤として再循環して利用することができる。再循環利用することによって、処理する溶剤の使用量を少なくすることができるので合理的である。
【0023】
第7工程の塩酸により抽出されたEu抽出液にシュウ酸を添加し、Euを沈殿物としてろ別し、EuOを取り出す工程(第8工程)について
有機相に抽出された希土類元素は、通常鉱酸でイオンとして逆抽出液中に回収し、次工程に移されることが行われる。
本発明の工程では、この鉱酸として塩酸を用いるものである。また、抽出有機相中から直接金属イオンを金属や化合物の形態で逆抽出する方法も有効である。この方法は、付加価値の高い生成物を得ることができること、逆抽出工程と晶析工程を同時に行うので、使用する薬剤を節約し、装置スペースの削減も果たすことができる。
希土類元素の晶析剤としては、シュウ酸を用いる。希土類元素シュウ酸塩の溶解度積は10-30(mol/l)5と非常に小さく、800〜900℃で加熱することにより容易に酸化物を生成することから、希土類元素の分離方法として有効な方法である。
ここで、第8工程の別法として、第7工程において有機溶媒により抽出して得られる有機相を、シュウ酸水溶液または塩酸を含んだシュウ酸水溶液と接触させて、Euをシュウ酸塩沈殿として晶析・分離・加熱処理し、Eu2O3を得ることもできる。
【0024】
非特許文献1記載の方法と本発明の方法では、本発明の方法の方がアルカリの使用量が少ない。本発明の方法では、蛍光体試料を0.65 mol/l硫酸で浸出した後のpHは、浸出液の2倍稀釈で約0.5である。前記文献の方法では、YとEuを同時に抽出するためにpHを2.0とし、その後、YとEuを抽出し、2 mol/l塩酸により逆抽出する。その逆抽出された液(pHが0以下)を再び0.5にするアルカリが必要となる。一方、本発明では,Euの抽出は、Y抽出後の水相にアルカリを添加して,pHを1.2〜2.2程度として行う。
したがって、本発明の方法では、アルカリはpHが0.5から1.2〜2.2程度とするために必要となるにすぎないから、アルカリの使用量が少なくてすむということができる。
【0025】
【発明の効果】
本発明によれば、廃棄三波長蛍光体混合物からのYとEuの分離回収に関し、YとEuの分離を完全にすることができ、しかも、従来の方法と比較して、アルカリの使用量も削減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】Yの浸出率と温度、硫酸濃度の関係を示す図
【図2】Caの浸出率と温度、硫酸濃度の関係を示す図
【図3】Yの浸出率とパルプ濃度、硫酸濃度の関係を示す図
【図4】D2EHPA、PC-88A、CYANEX272の塩酸および硫酸溶液からのYの抽出率と平衡pHの関係を示す図
【図5】16体積%PC-88AによるY、Eu、Caの抽出率と平衡pHの関係を示す図
【図6】16体積%D2EHPAによるEuおよびCaの抽出率と平衡pHの関係を示す図
【図7】16体積%PC-88AによるEuおよびCaの抽出率と平衡pHの関係を示す図
【図8】9.3 g/lのYを含む32体積%PC-88Aからの2 mol/lの塩酸によるYの逆抽出等温線を示す図
【図9】シュウ酸濃度に対する逆抽出率および晶析率の関係を示す図
【図10】酸濃度に対する逆抽出率および晶析率の関係を示す図
【図11】16体積%PC-88AによるEu抽出等温線を示す図
【図12】Euを1.1 g/l含む16体積%PC-88A溶液からの各濃度の塩酸によるEuの逆抽出率を示す図
【図13】Euを1.1 g/l含む16体積%PC-88Aからの塩酸による逆抽出等温線を示す図

Claims (5)

  1. 廃棄された三波長蛍光管から分離された被処理対象物から水銀化合物を除去した蛍光物質を含む混合物からYおよびEuを分離回収する方法において、前記混合物を硫酸水溶液により処理してYとEuを含有する浸出液を取り出し(第1工程)、前記浸出液のpHを0.5〜1.1程度の範囲の状態とし(第2工程)、有機溶媒により抽出処理することにより、Yを含んだ有機相とEuを含んだ水相に分離し(第3工程)、得られる有機相を硫酸処理してYを含んだ有機相を取り出し、さらに塩酸で処理することにより、Yを含んだ塩酸水溶液を取り出し(第4工程)、前記塩酸水溶液にシュウ酸を添加して生ずる沈殿物をろ別し、加熱処理してYOとして取り出し(第5工程)、一方、前記第3工程で得られるEuを含有する水相のpHを1.2〜2.2程度に調節し(第6工程)、有機溶媒により抽出して得られる有機相を取り出し、さらに塩酸で処理してEuを含んだ塩酸水溶液を取り出し(第7工程)、前記塩酸水溶液にシュウ酸を添加して生ずる沈殿物をろ別して、Euを含む化合物を取り出し、加熱処理してEuOを取り出す(第8工程)ことを特徴とする廃棄された三波長蛍光管から分離された被処理対象物である蛍光物質からYおよびEuを分離回収する方法。
  2. 前記有機溶媒が、2−エチルヘキシルホスホン酸モノ2−エチルヘキシルエステル(PC-88A)であることを特徴とする請求項1記載の廃棄された三波長蛍光管から分離された被処理対象物である蛍光物質からYおよびEuを分離回収する方法。
  3. 前記で得られる有機相を硫酸処理してYを含んだ有機相を取り出し、さらに塩酸で処理することにより、Yを含んだ塩酸水溶液を取り出した後に、残された有機相を第3工程の有機溶剤による抽出工程に戻し(第4工程)、また、第7工程で有機溶媒により抽出して得られる有機相を取り出し、さらに塩酸で処理してEuを含んだ塩酸水溶液を取り出し、残された有機相を第7工程の有機溶剤による抽出工程に戻すようにすることを特徴とする請求項1記載の廃棄された三波長蛍光管から分離された被処理対象物である蛍光物質からYおよびEuを分離回収する方法。
  4. 前記有機溶媒により抽出処理して得られるYを含んだ有機相(第3工程において得られる一方の相)を硫酸処理した後、シュウ酸水溶液または塩酸を含んだシュウ酸水溶液と接触させて、Yをシュウ酸塩沈殿として晶析・分離させる(第5工程別法)ことを特徴とする請求項1記載の廃棄された三波長蛍光管から分離された被処理対象物である蛍光物質からYおよびEuを分離回収する方法。
  5. 第7工程において得られる有機相を、シュウ酸水溶液または塩酸を含んだシュウ酸水溶液と接触させて、Euをシュウ酸塩沈殿として晶析・分離させる(第8工程別法)ことを特徴とする請求項1記載の廃棄された三波長蛍光管から分離された被処理対象物である蛍光物質からYおよびEuを分離回収する方法。
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