JP3935729B2 - リチウム二次電池用電極 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、リチウム二次電池用電極に関し、特に、集電体上に活物質層が形成されるリチウム二次電池用電極に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、リチウムイオン電池と称せられるリチウム二次電池は、携帯電話やパソコン用の電源として広く用いられている。これらの携帯電話やパソコンなどは、高機能化や小型化などの開発が進んでいるために、さらに高容量のリチウム二次電池が必要である。しかしながら、一般に実用化されているリチウム二次電池は、重量エネルギー密度が150Wh/kg程度であり、さらなる重量エネルギー密度の高密度化が求められている。
【0003】
上記のような一般に実用化されているリチウム二次電池用電極は、負極に黒鉛などの炭素系材料が用いられているとともに、正極にLiCoO2などのリチウム含有酸化物が用いられている。そして、電解液として、LiPF6などの電解質を溶かしたエチレンカーボネートのような環状カーボネートや、ジメチルカーボネートのような鎖状カーボネートなどの有機溶剤が用いられている。
【0004】
そして、充電時には正極からリチウムイオンが負極へ移動して吸蔵され、放電時には逆に負極から正極へリチウムイオンが戻る構造となっている。このため、エネルギー密度は正極の理論容量、負極の理論容量および電池電圧によって決定される。たとえば、負極材料に一般的に用いられている炭素系材料の理論容量は、最も大きい黒鉛で370mAh/gである。そして、正極材料に一般的に用いられているLiCoO2の理論容量は、約150mAh/gである。このように、正極と負極の理論容量を比べた場合、負極の容量が、正極の2倍以上であるため、エネルギー密度を高めるためには、負極より正極の理論容量を高める方が効果的であるということが知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、LiCoO2のようなリチウム含有酸化物からなる正極では、充放電時にリチウムイオンが正極から完全に引き抜かれると、LiCoO2の結晶構造が崩れるため、充放電サイクルが著しく低下してしまうという不都合があった。このため、従来のLiCoO2からなる正極では、LiCoO2中のリチウムを全て使用せずにある程度残す必要があるので、正極の理論容量をより高めることは困難であった。その結果、放電容量が高く、かつ、充放電特性に優れたリチウム二次電池を得ることが困難であるという問題点があった。
【0006】
さらに、LiCoO2に含まれているコバルトは、埋蔵量が少ないとともに、高価であるため、LiCoO2に代わる正極材料が求められている。
【0007】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、
この発明の1つの目的は、放電容量が高く、かつ、充放電特性に優れたリチウム二次電池用電極を提供することである。
【0008】
この発明のもう1つの目的は、上記のリチウム二次電池用電極において、LiCoO2のようなリチウム含有酸化物に代わる正極材料を用いることである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面によるリチウム二次電池用電極は、集電体と、集電体上に気相または液相から原料を供給する方法により形成され、Feを含む酸化物を主成分とするとともに、X線回折法により評価した場合に30°付近に回折ピークを有する正極活物質層とを備え、正極活物質層は、Fe以外の遷移金属を含み、正極活物質層は、X線回折法により評価した場合に、Feと遷移金属との金属間化合物のピークと、Feと遷移金属との複合酸化物のピークとを有しない。なお、本発明における気相または液相から原料を供給する方法は、たとえば、スパッタリング法、反応性蒸着法、真空蒸着法、化学蒸着法(CVD法)、溶射法またはめっき法やこれらの組み合わせなどを含む広い概念である。
【0010】
この第1の局面によるリチウム二次電池用電極では、上記のように、Feを含む酸化物を主成分とするとともに、X線回折法により評価した場合に30°付近に回折ピークを有する正極活物質層を設けることによって、正極の放電容量が高められるので、放電容量が高く、かつ、充放電サイクル特性に優れたリチウム二次電池を得ることができる。また、従来のLiCoOのようなリチウム含有酸化物とは異なる材料を正極材料として用いることができる。また、正極活物質層は、Fe以外の遷移金属を含む。このように構成すれば、正極の放電容量の低下を少なくすることができる。この場合、正極活物質層は、X線回折法により評価した場合に、Feと遷移金属との金属間化合物のピークと、Feと遷移金属との複合酸化物のピークとを有しないのが好ましい。これは、遷移金属は、Feを含む酸化物中に分散される一方で、Feと遷移金属との金属間化合物やFeと遷移金属との複合酸化物を形成していないということを意味する。また、遷移金属は、NiおよびCoのうちのいずれか一方であるのが好ましい。
【0011】
この発明の第2の局面によるリチウム二次電池用電極は、集電体と、集電体上 に気相または液相から原料を供給する方法により形成され、Feを含むFe酸化物を主成分とする正極活物質層とを備え、正極活物質層は、Fe以外の遷移金属を含み、正極活物質層は、X線回折法により評価した場合に、Feと遷移金属との金属間化合物のピークと、Feと遷移金属との複合酸化物のピークとを有しない
【0012】
この発明の第2の局面によるリチウム二次電池用電極では、上記のように、Feを含むFe酸化物を主成分とする正極活物質層を設けることによって、正極の放電容量が高められるので、放電容量が高く、かつ、充放電サイクル特性に優れたリチウム二次電池を得ることができる。また、従来のLiCoOのようなリチウム含有酸化物とは異なる材料を正極材料として用いることができる。また、正極活物質層は、Fe以外の遷移金属を含む。このように構成すれば、正極の放電容量の低下を少なくすることができる。この場合、正極活物質層は、X線回折法により評価した場合に、Feと遷移金属との金属間化合物のピークと、Feと遷移金属との複合酸化物のピークとを有しないのが好ましい。これは、遷移金属は、Feを含む酸化物中に分散される一方で、Feと遷移金属との金属間化合物やFeと遷移金属との複合酸化物を形成していないということを意味する。また、遷移金属は、NiおよびCoのうちのいずれか一方であるのが好ましい。
【0014】
なお、上記第1または第2の局面によるリチウム二次電池用電極において、集電体は、AlまたはAl合金であってもよい。
【0015】
【実施例】
以下、本発明の実施例を具体的に説明する。
【0016】
(実施例1〜実施例6)
[正極の作製]
図1は、本発明の実施例1〜6によるリチウム二次電池用電極(正極)の製造に用いた真空蒸着装置を示した概略図である。まず、図1を参照して、実施例1〜6で用いた真空蒸着装置1は、真空チャンバ2と、回転ホルダー3と、るつぼ4と、電子銃5と、膜厚センサ(水晶振動式)6とを備えている。回転ホルダー3と、るつぼ4とは、対向するように設置されている。回転ホルダー3には、集電体7が配置されている。るつぼ4内には、蒸着材8が配置される。また、るつぼ4内の蒸着材8に電子ビーム5aが照射されるように、電子銃5が設置されている。膜厚センサ6は、集電体7付近に設置されている。
【0017】
実施例1〜6では、上記のような真空蒸着装置1を用いて、以下の表1に示す条件下で、集電体7上に薄膜を形成した。
【0018】
【表1】
Figure 0003935729
上記表1を参照して、実施例1〜6では、蒸着材8として、Fe、CoおよびNiを用いた。この蒸着材8の組み合わせとして、実施例1では、Feのみを用いた。実施例2および3では、FeとCoとの混合物を用いた。実施例4および5では、FeとNiとの混合物を用いた。実施例6では、Feと、Coと、Niとの混合物を用いた。それぞれの重量の比率は、Feを1.0とすると、CoおよびNiは約0.1〜0.3の割合とした。
【0019】
また、集電体7としては、約20cm×60cmの大きさと20μmの厚みとを有するAl箔を用いるとともに、この集電体7上に形成される薄膜の膜厚は、1.0μm〜1.3μmとした。回転ホルダー3としては、直径20cmの円筒ホルダーを用いるとともに、その円筒ホルダーの円筒面にAl箔からなる集電体7を設置した。
【0020】
具体的な作製プロセスとしては、まず、図1に示した真空チャンバ2内を真空状態にした。そして、回転ホルダー3に配置されたAl箔からなる集電体7を、約10rpmで回転させながら、電子銃5から電子ビーム5aを照射することによって蒸着材8を加熱した。これにより、蒸発した蒸着材8の分子や原子などを、集電体7上に堆積させることにより、集電体7上に薄膜を形成した。蒸発速度は、膜厚センサ6を用いて、0.2nm/s(FeO換算)になるように制御した。
【0021】
そして、この蒸着材8を蒸発させる際に、雰囲気ガスとしてO2ガス(20sccm)を導入して薄膜形成を行った。
【0022】
上記実施例1〜6によるAl箔からなる集電体7上に形成された薄膜について、蛍光X線分析を行い、薄膜中のFeとCoおよびNiとの割合を測定した。この結果を以下の表2に示す。なお、各元素の比率は重量比である。
【0023】
【表2】
Figure 0003935729
上記表2を参照して、実施例1により形成された薄膜中には、CoおよびNiは含まれていない。実施例2により形成された薄膜中には、Coが3.0%の割合で含まれていた。実施例3により形成された薄膜中には、Coが4.6%の割合で含まれていた。実施例4により形成された薄膜中には、Niが4.4%の割合で含まれていた。実施例5により形成された薄膜中には、Niが6.7%の割合で含まれていた。実施例6により形成された薄膜中には、Coが4.3%、Niが6.2%の割合で含まれていた。
【0024】
さらに、薄膜形成後、実施例1〜6により形成された薄膜に対して、大気中において、600℃で2時間のアニール処理を行った。
【0025】
そして、上記と同様に実施例1〜6により形成された薄膜中のFeとCoおよびNiとの割合を測定したところ、アニール処理前のアズデポ状態とアニール処理後とでは、FeとCoおよびNiとの割合については変化がないことが判明した。
【0026】
次に、実施例1〜6により形成された薄膜のアニール処理前のアズデポ状態とアニール処理後とについて、X線回折を行い、その結晶性について評価した。
【0027】
図2は、本発明の実施例1〜6によるアニール処理前のアズデポ状態とアニール処理後の状態とにおける薄膜のX線回折法による評価結果を示した波形図である。図2の横軸には、X線の入射線の方向となす角(2θ)がとられており、縦軸には任意単位(a.u.)の強度がとられている。また、アズデポとは、アニール処理前の状態を示しており、アニールとは、アニール処理後の状態を示している。また、図中の「○」はFe23、「□」はFe34、「△」はAl(集電体)にそれぞれ対応すると考えられるピーク位置を示している。
【0028】
図2を参照して、実施例1〜6により形成された薄膜は、アニール処理を行うことにより、30°付近のFe34と考えられるピークが減少するとともに、Fe23と考えられるピークが増加することが判明した。
【0029】
また、すべての実施例1〜6による薄膜において、Fe23またはFe34と考えられるピークが見られるので、Fe23またはFe34が混合した結晶性の薄膜であると考えられる。
【0030】
また、実施例2〜6による薄膜では、FeとCoまたはNiとの金属間化合物や、FeとCoまたはNiとの複合酸化物と考えられる明確なピークが見られなかった。これにより、実施例2〜6による薄膜では、CoやNiは、FeとCoまたはNiとの金属間化合物や、FeとCoまたはNiとの複合酸化物を形成せずに、薄膜中に存在していると考えられる。
【0031】
上記のように形成した実施例1〜6によるAl箔からなる集電体7および薄膜を、20mm角に切り出すことによって、実施例1〜6による正極を作製した。
【0032】
(比較例1)
比較例1として、Fe23粉末を用いてペレット電極を作製した。具体的には、Fe23粉末40重量部と、導電材としてのアセチレンブラック40重量部と、結着材としてのポリテトラフルオロエチレン20重量部とを混合した。そして、この混合物を直径16mm、厚み0.1mmに加圧成形するとともに、110℃で真空乾燥することによって、比較例1の正極を作製した。
【0033】
[電解液の作製]
エチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)との等体積混合溶媒に、LiPF6を溶解させて、1モル/リットルの濃度を有する電解液を作製した。
【0034】
[ビーカーセル(三極式セル)の作製]
上記実施例1〜6により形成されたアズデポ状態およびアニール処理後の薄膜からなる正極と比較例1による正極とを作用極として、ビーカーセル(三極式セル)を作製した。対極および参照極としては、リチウム金属を成形したものを用いた。電解液としては、上記のように作製した電解液を用いた。
【0035】
次に、上記のようにして作製した実施例1〜6および比較例1によるビーカーセルの電池特性を調べるために、以下のような充放電サイクル試験を行った。
【0036】
[充放電サイクル試験]
充放電サイクル試験における充放電の条件としては、充電電流1.0mAで、充電電圧3.0Vとなるまで充電した。その後、1サイクル目は、放電電流1.0mAで、放電電圧0.5Vとなるまで放電し、引き続き、放電電流0.5mAで、放電電圧0.5Vとなるまで放電した。2サイクル目以降は、放電電流0.5mAで、放電電圧0.5Vとなるまで放電した。そして、実施例1〜6および比較例1によるビーカーセルについて、放電容量および容量維持率を求めた。この充放電サイクル試験の結果は、図3および図4に示されている。
【0037】
図3は、充放電サイクル試験における1〜5サイクル目の放電容量を示した電池特性図である。図4は、充放電サイクル試験における1〜5サイクル目の容量維持率を示した電池特性図である。なお、図3および図4において、(a)はアニール処理前のアズデポ状態を示しており、(b)はアニール処理後の状態を示している。また、図4の容量維持率は、それぞれのビーカーセルにおいて、充放電サイクル試験において測定された最大容量を基準としている。具体的には、実施例5(b)以外は1サイクル目の容量を100%としており、実施例5(b)は、2サイクル目の容量を100%としている。
【0038】
図3を参照して、上記実施例1〜6によるビーカーセルでは、アニール処理を行っていないアズデポ状態の実施例1(a)〜6(a)によるビーカーセルの方が、アニール処理を行った実施例1(b)〜6(b)によるビーカーセルよりも、サイクル評価後の放電容量が大きく、かつ、放電容量の低下が少ないことが判明した。この結果と、図2に示したような、アニール処理を行うことにより、30°付近のFe34と考えられるピークが減少するとともに、Fe23と考えられるピークが増加するという結果とから、放電容量の増大および維持には、30°付近にピークを示すFe34系の結晶成分が効果的であるといえる。これにより、Fe34を主成分とするとともに、X線回折法により評価した場合に30°付近に回折ピークを有する正極活物質層を設けることによって、正極の放電容量が高められると考えられる。その結果、放電容量が高く、かつ、充放電サイクル特性に優れたリチウム二次電池を得ることができる。
【0039】
また、Fe23粉末を用いてペレット電極を作製した比較例1によるビーカーセルと、アニール処理を行っていないアズデポ状態の実施例1(a)〜6(a)によるビーカーセルとを比較しても、上記と同様に、実施例1(a)〜6(a)によるビーカーセルの方がサイクル評価後の放電容量が大きく、かつ、放電容量の低下が小さいことが判明した。
【0040】
次に、図4を参照して、Niが添加されているとともに、アニール処理を行っていないアズデポ状態の実施例5(a)によるビーカーセルでは、放電容量の低下が少ないことが判明した。しかしながら、実施例4(a)によるビーカーセルでは、Niが添加されているにもかかわらず、実施例5(a)によるビーカーセルと比較すると放電容量の低下が大きくなるという結果となった。これは、薄膜中のNiの割合が、上記表2に示すように、実施例4では4.4%であるのに対し、実施例5では6.7%であり、実施例5の方が薄膜中のNiの割合が高いためであると考えられる。このことから、Fe以外の遷移金属であるNiを薄膜形成時にある程度以上の割合で添加することによって、Fe34成分が増加すると考えられる。
【0041】
さらに、図4に示すように、NiとCoとが添加されているとともに、アニール処理を行っていないアズデポ状態の実施例6(a)によるビーカーセルでも、放電容量の低下が少ないことがわかった。これにより、Fe以外の遷移金属であるCoを薄膜形成時に添加することによっても、Niを添加した場合と同様、Fe34成分が増加すると考えられる。
【0042】
なお、今回開示された実施例は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施例の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0043】
たとえば、上記実施例1〜6では、集電体上に気相または液相から原料を供給する方法の一例として、真空蒸着法を用いて正極活物質層を形成する例を示したが、本発明はこれに限らず、スパッタリング法、反応性蒸着法、化学蒸着法(CVD法)、溶射法またはめっき法やこれらの組み合わせなどを用いて正極活物質層を形成するようにしてもよい。
【0044】
また、上記実施例1〜6では、集電体(基板)の加熱を行わずに薄膜形成を行ったが、本発明においては、できるだけ低温で薄膜形成を行うのが好ましい。これにより、Fe34が増加し、その結果、充放電特性を向上させることができると考えられる。
【0045】
また、上記実施例1〜6では、集電体(基板)としてAl箔を用いるようにしたが、本発明はこれに限らず、Al合金を用いるようにしてもよい。この場合、厚みが薄い箔を用いることが好ましい。
【0046】
また、上記実施例1〜6では、充放電サイクル試験の際、負極としてリチウム金属を成形したものを用いたが、本発明はこれに限らず、リチウムをあらかじめ吸蔵させた材料を負極として用いるようにしてもよい。たとえば、リチウムをあらかじめ吸蔵させた炭素系材料および合金などが挙げられる。この合金としては、シリコン、アルミニウム、錫、ゲルマニウム、インジウムおよびマグネシウムと、リチウムとの合金などが挙げられる。
【0047】
また、上記実施例1〜6では、充放電サイクル試験の際、電解液して環状カーボネートであるエチレンカーボネートと、鎖状カーボネートであるジメチルカーボネートとの混合溶媒に、LiPF6を溶解するようにしたが、本発明はこれに限らず、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネートなどの環状カーボネートと、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどの鎖状カーボネートとの混合溶媒を用いるようにしてもよい。また、環状カーボネートと、1,2−ジメトキシエタンまたは1,2−ジエトキシエタンなどのエーテル系溶媒との混合溶媒を用いるようにしてもよい。また、電解液の溶質として、LiBF4、LiCF3SO3、LiN(CF3SO22、LiN(C25SO22、LiN(CF3SO2)(C49SO2)、LiC(CF3SO23、LiC(C25SO23などおよびこれらの混合物を用いるようにしてもよい。また、電解質として、ポリエチレンオキシド、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデンなどのポリマー電解質に、電解液を含浸したゲル状ポリマー電解質を用いるようにしてもよい。
【0048】
また、上記実施例2〜6では、薄膜中にFe以外の遷移金属であるNiやCoを添加するようにしたが、本発明はこれに限らず、Fe以外の他の遷移金属を薄膜中に添加するようにしてもよい。
【0049】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、放電容量が高く、かつ、充放電特性に優れたリチウム二次電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1〜6によるリチウム二次電池用電極(正極)の製造に用いる真空蒸着装置を示した概略図である。
【図2】本発明の実施例1〜6により形成された薄膜のX線回折法による評価結果を示した波形図である。
【図3】充放電サイクル試験における1〜5サイクル目の放電容量を示した電池特性図である。
【図4】充放電サイクル試験における1〜5サイクル目の容量維持率を示した電池特性図である。
【符号の説明】
1 真空蒸着装置
7 集電体

Claims (3)

  1. 集電体と、
    前記集電体上に気相または液相から原料を供給する方法により形成され、Feを含む酸化物を主成分とするとともに、X線回折法により評価した場合に30°付近に回折ピークを有する正極活物質層とを備え
    前記正極活物質層は、Fe以外の遷移金属を含み、
    前記正極活物質層は、X線回折法により評価した場合に、前記Feと前記遷移金属との金属間化合物のピークと、前記Feと前記遷移金属との複合酸化物のピークとを有しない、リチウム二次電池用電極。
  2. 集電体と、
    前記集電体上に気相または液相から原料を供給する方法により形成され、Feを含むFe酸化物を主成分とする正極活物質層とを備え、
    前記正極活物質層は、Fe以外の遷移金属を含み、
    前記正極活物質層は、X線回折法により評価した場合に、前記Feと前記遷移金属との金属間化合物のピークと、前記Feと前記遷移金属との複合酸化物のピークとを有しない、リチウム二次電池用電極。
  3. 前記遷移金属は、NiおよびCoのうちのいずれか一方である、請求項またはに記載のリチウム二次電池用電極。
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