JP3932820B2 - インクジェット記録用水性インク - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェットプリンターに用いる記録用水性インクに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、インクジェット記録方式としては、静電吸引方式、圧電素子等を用いてインクに機械的振動又は変位を与える方式、インクを加熱させることにより気泡を発生させ、その時の圧力を利用する方法等のインク吐出方式が知られている。これらの吐出方式によりインク小滴を形成し、それらの一部又は全部を紙等の被記録材に付着させて記録を行うものである。このようなインクジェット記録方式に使用するインクとしては、各種の水溶性染料又は顔料を、水又は水と水溶性有機溶媒とからなる液媒体に溶解又は分散させたものが知られ、使用されている。
【0003】
このようなインクを用い長時間にわたって良好な記録を行うためには、使用するインクの粘度、表面張力、導電率、密度等の特性値が適当な値であること、記録装置のノズル、オリフィスでの目詰まりを防止するために、熱等により析出物が生じたり、物性値が変化したりしないこと、記録画像が耐水性、耐光性等に優れていること、等の条件が必要である。これらの条件を満足させるため、数多くの提案がなされている。
【0004】
しかしながら近年は、コスト、環境への配慮からインクジェット専用紙に記録するよりも普通紙への記録要求が高まっている。従来の多くのインクでは普通紙に記録した場合、異なった色同士が隣接する部分で混ざり合うカラーブリードが発生し易いという問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、普通紙へ記録してもカラーブリードが低減されるインクジェット記録用水性インクを提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、少なくとも、水、着色剤、アセチレングリコールエチレンオキサイド付加体、及び、2種以上のポリオキシアルキレングリコール−n−アルキルエーテルを含有するインクジェット記録用水性インクであって、上記ポリオキシアルキレングリコール−n−アルキルエーテルの少なくとも1種は、3つ以上のプロピレンオキサイドを有するポリプロピレングリコール−n−ブチルエーテルであるインクジェット記録用水性インクである。
なお、本明細書において、ポリオキシアルキレングリコール−n−アルキルエーテルは、オキシアルキレン基を1つ有するモノオキシアルキレングリコール−n−アルキルエーテルをも含むものである。
以下に本発明を詳述する。
【0007】
本発明のインクジェット記録用水性インクは、少なくとも、水、着色剤を含有するものである。
【0008】
本発明で用いられる水としては特に限定されないが、水道水等の一般的な水を使用するよりも、イオン交換水、蒸留水等の純度の高いものを使用することが好ましい。
上記水の含有量は、上記着色剤及びポリオキシアルキレングリコール−n−アルキルエーテルの種類、その組成又は所望されるインクの特性に依存して決定すればよいが、インクの全重量に対して一般に10〜98重量%であることが好ましい。10重量%未満であっても、98重量%を超えても、通常時のインク粘度を正常噴射可能な粘度に保つことが困難になる。より好ましくは、30〜97重量%であり、更に好ましくは、40〜95重量%である。
【0009】
本発明で用いられる着色剤としては、例えば、染料、顔料等を用いることができる。
上記染料としては、直接染料、酸性染料、塩基性染料、反応性染料等に代表される水溶性染料が用いられる。
上記水溶性染料としては特に限定されないが、インクジェット記録方式に用いるインクに好適で、鮮明性、水溶性、安定性、耐光性、その他の要求される性能を満たすものが好ましく、例えば、C.I.ダイレクトブラック17、19、32、51、71、108、146、154、168;C.I.ダイレクトブルー6、22、25、71、86、90、106、199;C.I.ダイレクトレッド1、4、17、28、83、227;C.I.ダイレクトイエロー12、24、26、86、98、132、142;C.I.ダイレクトオレンジ34、39、44、46、60;C.I.ダイレクトバイオレット47、48;C.I.ダイレクトブラウン109;C.I.ダイレクトグリーン59;C.I.アシッドブラック2、7、24、26、31、52、63、112、118;C.I.アシッドブルー9、22、40、59、93、102、104、113、117、120、167、229、234;C.I.アシッドレッド1、6、32、37、51、52、80、85、87、92、94、115、181、256、289、315、317;C.I.アシッドイエロー11、17、23、25、29、42、61、71;C.I.アシッドオレンジ7、19;C.I.アシッドバイオレット49;C.I.ベーシックブラック2;C.I.ベーシックブルー1、3、5、7、9、24、25、26、28、29;C.I.ベーシックレッド1、2、9、12、13、14、37;C.I.ベーシックバイオレット7、14、27;C.I.フードブラック1、2等を挙げることができる。
【0010】
上記顔料としては水相に分散可能なものであれば特に限定されず、例えば、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料;フタロシアニン顔料、ペリレン、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料等の多環式顔料;塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ等の染料レーキ;ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック昼光蛍光顔料等の有機顔料;酸化チタン、酸化鉄系顔料、カーボンブラック系顔料等の無機顔料を挙げることができる。本発明で用いられる顔料として、上記の各種顔料を界面活性剤や高分子分散剤等で表面処理したもの等を使用することも可能である。このようなものとしては、例えば、グラフトカーボンを挙げることができる。
【0011】
上記顔料を本発明で用いられる着色剤として使用する場合、適当な分散剤、溶媒、純水及び必要に応じて他の添加剤とともに、従来知られている方法により分散処理を行う。
上記分散剤としては、例えば、特開昭62−101672号公報に記載されている顔料分散に用いられる高分子分散剤や界面活性剤を使用することができる。
上記高分子分散剤としては特に限定されず、例えば、ゼラチン、アルブミン等の蛋白質;アラビアゴム、トラガントゴム等の天然ゴム類;サポニン等のグルコシド類;メチルセルロース、カルボキシセルロース、ヒドロキシメチルセルロース等のセルロース誘導体;リグニンスルホン酸塩、セラック等の天然高分子;ポリアクリル酸塩、スチレン−アクリル酸共重合物の塩、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合物の塩、スチレン−マレイン酸共重合物の塩、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合物の塩、β−ナフタレンスルホン酸ホリマリン縮合物のナトリウム塩、リン酸塩等の陰イオン性高分子;ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール等の非イオン性高分子等を挙げることができる。
【0012】
上記界面活性剤としては、例えば、高級アルコール硫酸エステル塩類、液体脂肪油硫酸エステル塩類、アルキルアリルスルホン酸塩類等の陰イオン界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルエステル類、ソルビタンアルキルエステル類、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル類等の非イオン性界面活性剤等を挙げることができる。
これらの分散剤は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記分散剤の配合量は、一般的にインクの全重量に対して0.01〜20重量%であることが好ましい。0.01重量%未満であっても、20重量%を超えても、顔料の分散安定性が不充分であり、顔料の凝集、沈降等の分散破壊が生じることがある。
【0013】
上記顔料の分散処理に用いる分散機としては特に限定されず、一般的な分散機を広く使用することができるが、例えば、ボールミル、ロールミル、サンドミル等を挙げることができる。なかでも、高速型のサンドミルが好ましい。
上記染料及び顔料は、それぞれ単独で用いられてもよいし、染料同士、顔料同士、また、染料と顔料を2種以上混合して用いられてもよい。
上記着色剤の含有量は、インクの全重量に対して一般に0.1〜20重量%であることが好ましい。0.1重量%未満であると、充分な印字濃度が得られず、20重量%を超えると、染料であれば溶剤へ充分溶解することができず析出することがあり、顔料であれば分散安定性を保つことが困難となる。より好ましくは、0.3〜15重量%であり、更に好ましくは、0.5〜10重量%である。
【0014】
本発明のインクジェット記録用水性インクは、更に、アセチレングリコールエチレンオキサイド付加体、及び、2種以上のポリオキシアルキレングリコール−n−アルキルエーテルを含有することを特徴とする。
【0015】
本発明で用いられるアセチレングリコールエチレンオキサイド付加体としては特に限定されず、例えば、下記一般式(1)で表される化合物を挙げることができる。
【0016】
【化2】
【0017】
本発明のインクジェット記録用水性インクは、上記アセチレングリコールエチレンオキサイド付加体を含有することにより、インクの記録紙への浸透が効果的に速くなる。
【0018】
上記アセチレングリコールエチレンオキサイド付加体の含有量としては、インクの全重量に対して0.01〜10重量%であることが好ましい。0.01重量%未満であると、記録紙への充分な浸透作用が得られず、10重量%を超えると、通常時のインク表面張力を正常噴射可能な適正値に保つことが困難になる。より好ましくは、0.1〜1重量%である。
【0019】
本発明で用いられるポリオキシアルキレングリコール−n−アルキルエーテルとしては、アルキル基の炭素数が5以下であり、オキシアルキレン基の炭素数が12以下であるものが好ましい。分子の鎖の長いものは粘度の上昇が激しくインクジェット記録用水性インクの材料として適さない。
【0020】
上記ポリオキシアルキレングリコール−n−アルキルエーテルとしては、エチレングリコール系、プロピレングリコール系のアルキルエーテルに代表されるグリコールエーテルを挙げることができる。
【0021】
上記エチレングリコール系化合物としては、例えば、エチレングリコール−n−メチルエーテル、エチレングリコール−n−エチルエーテル、エチレングリコール−n−プロピルエーテル、エチレングリコール−n−ブチルエーテル、エチレングリコール−n−イソブチルエーテル、ジエチレングリコール−n−メチルエーテル、ジエチレングリコール−n−エチルエーテル、ジエチレングリコール−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコール−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコール−n−イソブチルエーテル、トリエチレングリコール−n−メチルエーテル、トリエチレングリコール−n−エチルエーテル、トリエチレングリコール−n−プロピルエーテル、トリエチレングリコール−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコール−n−イソブチルエーテル等を挙げることができる。
【0022】
上記プロピレングリコール系化合物としては、例えば、プロピレングリコール−n−メチルエーテル、プロピレングリコール−n−エチルエーテル、プロピレングリコール−n−プロピルエーテル、プロピレングリコール−n−イソプロピルエーテル、プロピレングリコール−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコール−n−メチルエーテル、ジプロピレングリコール−n−エチルエーテル、ジプロピレングリコール−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコール−n−イソプロピルエーテル、ジプロピレングリコール−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコール−n−メチルエーテル、トリプロピレングリコール−n−エチルエーテル、トリプロピレングリコール−n−プロピルエーテル、トリプロピレングリコール−n−イソプロピルエーテル、トリプロピレングリコール−n−ブチルエーテル、テトラプロピレングリコール−n−メチルエーテル、テトラプロピレングリコール−n−エチルエーテル、テトラプロピレングリコール−n−プロピルエーテル、テトラプロピレングリコール−n−イソプロピルエーテル、テトラプロピレングリコール−n−ブチルエーテル、ペンタプロピレングリコール−n−メチルエーテル、ペンタプロピレングリコール−n−エチルエーテル、ペンタプロピレングリコール−n−プロピルエーテル、ペンタプロピレングリコール−n−イソプロピルエーテル、ペンタプロピレングリコール−n−ブチルエーテル等を挙げることができる。
【0023】
本発明は、上記ポリオキシアルキレングリコール−n−アルキルエーテルの少なくとも1種が、3つ以上のプロピレンオキサイドを有するポリプロピレングリコール−n−ブチルエーテルであることを必須の要件とする。
上記3つ以上のプロピレンオキサイドを有するポリプロピレングリコール−n−ブチルエーテルとしては、例えば、トリプロピレングリコール−n−ブチルエーテル、テトラプロピレングリコール−n−ブチルエーテル、ペンタプロピレングリコール−n−ブチルエーテル等を挙げることができる。
【0024】
本発明のインクジェット記録用水性インクは、上記ポリオキシアルキレングリコール−n−アルキルエーテルを含有することにより、記録紙上での遅乾性に起因するカラーブリードが効果的に低減する。
【0025】
上記3つ以上のプロピレンオキサイドを有するポリプロピレングリコール−n−ブチルエーテルは単独で使用してもカラーブリードを効果的に低減することはできないが、先に挙げたアセチレングリコールエチレンオキサイド付加体、他のポリオキシアルキレングリコール−n−アルキルエーテルと組み合わせてインク組成物に添加することにより、普通紙へ記録した場合においても異なった色同士が隣接する部分で混ざり合うカラーブリードを極めて効果的に低減できる。アセチレングリコールエチレンオキサイド付加体、他のポリオキシアルキレングリコール−n−アルキルエーテル及び3つ以上のプロピレンオキサイドを有するポリプロピレングリコール−n−モノブチルエーテルを併用することによってカラーブリードを効果的に低減できる理由は定かではないが、以下のように推定することができる。
【0026】
3つ以上のプロピレンオキサイドを有するポリプロピレングリコール−n−ブチルエーテルはポリオキシアルキレングリコール−n−アルキルエーテルの中でも特にインクと空気との界面に局在化しやすい性質を持ちインク滴が記録紙に着弾する際、他のポリアルキレングリコール−n−アルキルエーテルを単独で用いた場合よりもインクの浸透速度を効果的に速めているものと考えられる。また、アセチレングリコールエチレンオキサイド付加体は濡れ性が高い為、記録紙へのインクの浸透を促し、他のポリオキシアルキレングリコール−n−アルキルエーテルと3つ以上のプロピレンオキサイドを有するポリプロピレングリコール−n−ブチルエーテルとを同時に用いることで、それぞれを単独で用いた場合よりもインクの記録紙上への浸透速度を相乗効果的に速めていると考えられる。
【0027】
すなわち、他のポリアルキレングリコール−n−アルキルエーテルを単独で使用した場合にはポリアルキレングリコール−n−アルキルエーテルはインク中で局在することなく均等に分散して存在するため、インクの浸透性を均一に速める効果を有するのみであるが更にアセチレングリコールエチレンオキサイド付加体及び3つ以上のプロピレンオキサイドを有するポリプロピレングリコール−n−ブチルエーテルを併用することにより、ポリアルキレングリコール−n−アルキルエーテルの均一な浸透効果に加えて、インク滴の最表面に3つ以上のプロピレンオキサイドを有するポリプロピレングリコール−n−ブチルエーテルとアセチレングリコールエチレンオキサイド付加体とが均一に局在化することによって、記録紙に着弾した瞬間の極初期の浸透速度を速めているものと考えられる。
【0028】
また、3つ以上のプロピレンオキサイドを有するポリプロピレングリコール−n−ブチルエーテルは上記のようにインク滴が記録紙に着弾する際、インクの浸透速度を効果的に速めるものではあるが、水への溶解性が大きくない為、水性インクへの多量添加が困難であり、3つ以上のプロピレンオキサイドを有するポリプロピレングリコール−n−ブチルエーテルの単独使用で効果的な記録紙への浸透作用が得られることは少ない。
【0029】
更に、このような優れたカラーブリード低減効果は、例えば、3つ以上のプロピレンオキサイドを有するポリプロピレングリコール−n−ブチルエーテルの代わりに一般的な界面活性剤を用いても充分には得られない。このことは、一般的な界面活性剤と比較して3つ以上のプロピレンオキサイドを有するポリプロピレングリコール−n−ブチルエーテルの分子が小さく、インク滴最表面への移動速度が充分に速いことに起因するものと考えられる。また、他のポリアルキレングリコール−n−アルキルエーテルと3つ以上のプロピレンオキサイドを有するポリプロピレングリコール−n−ブチルエーテルの構造が類似していることもインク滴の記録紙への浸透がインク滴最表面から内部に渡って連続的、且つ、スムーズに進行するために必要な要素となっているものと推察される。
【0030】
上記ポリオキシアルキレングリコール−n−アルキルエーテルの総含有量は、インクの全重量に対して2〜15重量%であることが好ましい。2重量%未満であると、インクの記録紙への浸透速度が遅く、乾燥時間が長く、カラーブリードに問題を生じることがある。一方、15重量%を超えると、インクの記録紙への浸透が激しくなり、記録紙の裏までインクが達してしまったり、紙の繊維に沿ってインクが髭状に滲む現象であるフェザリングにも問題を生じることがある。より好ましくは、3〜12重量%であり、更に好ましくは、4〜10重量%である。
【0031】
3つ以上のプロピレンオキサイドを有するポリプロピレングリコール−n−ブチルエーテルと他のポリオキシアルキレングリコール−n−アルキルエーテルとの配合比は、その組成又は所望されるインクの特性に依存して広い範囲で決定される。一般にポリオキシアルキレングリコール−n−アルキルエーテルの総含有量に対して3つ以上のプロピレンオキサイドを有するポリプロピレングリコール−n−ブチルエーテルが占める割合が1〜80重量%であることが好ましい。1重量%未満であると、記録紙への効果的な浸透作用を得ることが困難になり、80重量%を超えると、ポリプロピレングリコール−n−ブチルエーテルの水への溶解性が大きくないので、インク中に充分溶解せず、効果的な浸透作用を得ることが困難になる。より好ましくは、3〜60重量%であり、更に好ましくは、5〜50重量%である。
【0032】
本発明のインクジェット記録用水性インクは、その他、従来公知の各種分散剤、界面活性剤、粘度調整剤、表面張力調整剤、pH調整剤、防腐防カビ剤等を必要に応じて含有してもよい。
【0033】
本発明のインクジェット記録用水性インクは、更に、例えば、インクの液安定性を向上させる為に以下に掲げる化合物を含有してもよい。このような化合物としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,3−ブタントリオール、ペトリオール等の多価アルコール類;N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、ε−カプロラクタム等の含窒素複素環化合物;ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン等のアミン類;ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール等の含硫黄化合物等を挙げることができる。これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0034】
これらの化合物はインクジェットプリンターヘッドのノズルでのインクの乾燥防止(湿潤)効果を有する。
これらの化合物の含有量は、インクの組成又は所望されるインクの特性に依存して広い範囲で決定されるが、一般に0〜40重量%であることが好ましい。40重量%を超えると、インクが必要以上に増粘して、吐出不能となったり、記録紙上での乾燥が極端に遅くなったりする等の問題を生じることがある。より好ましくは、5〜30重量%である。
【0035】
また、本発明のインクジェット記録用水性インクが、記録液を帯電させるタイプのインクジェット記録方法に使用される場合には、塩化リチウム、塩化アンモニウム、塩化ナトリウム等の無機塩類等の比抵抗調整剤を含有してもよい。
更に、本発明のインクジェット記録用水性インクが、熱エネルギーの作用によってインクを吐出させるタイプのインクジェット方式に使用される場合には、例えば、比熱、熱膨張係数、熱電導率等の熱的な物性値が調整されてもよい。
【0036】
以上のようにして得られる本発明のインクジェット記録用水性インクは、従来技術の問題点が充分に解決されており、インクジェット方式におけるカラーブリードが低減され、鮮明なカラー記録を与えることができる。
【0037】
【実施例】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0038】
(実施例1〜8及び比較例1〜8)
表1〜16に、それぞれ実施例1〜8及び比較例1〜8において作成したインクの組成を示した。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】
【表3】
【0042】
【表4】
【0043】
【表5】
【0044】
【表6】
【0045】
【表7】
【0046】
【表8】
【0047】
【表9】
【0048】
【表10】
【0049】
【表11】
【0050】
【表12】
【0051】
【表13】
【0052】
【表14】
【0053】
【表15】
【0054】
【表16】
【0055】
実施例1〜8と比較例1〜8のインクそれぞれについて各材料を充分に混合攪拌した後、0.8μmのメンブランフィルタで濾過して以下の評価に使用した。
【0056】
これらの黒インク、シアンインク、マゼンタインク、イエローインクをMFC−7150C(ブラザー工業社製)を用いて記録した。記録サンプルは色の異なる2色のインクがそれぞれ文字色と背景色になるように色を組み合わせて記録し、色の混ざり合う境界面の滲みと文字の判別を評価対象とし、各色背景なしで記録した文字を評価の基準となる記録サンプルとした。記録した文字の大きさはMicrosoftWord97を用いて文字のサイズを11に設定し、MFC−7150Cを用いて普通紙(Xerox4200)を使用して記録した。比較例のインクも各色同様の記録を行った。
【0057】
次に記録した記録サンプルの評価方法を以下に示す。評価基準は背景なしの文字と比較して、背景有りの文字がどの程度滲んでいるのかを目視評価した。評価基準は以下の通りである。
【0058】
◎・・・カラーブリードがほとんどなく、背景なしの文字と比較して同程度の鮮明さがある。
○・・・背景なしの文字と比較して僅かなカラーブリードが発生しているが、文字は充分に判読できる。
△・・・背景なしの文字と比較して明らかにカラーブリードが発生しているが、文字は判読できる。
×・・・背景なしの文字と比較して明らかにカラーブリードが発生し、文字の判読も困難である。
表17及び表18に、各インクを使用した記録サンプルの評価結果を示した。
【0059】
【表17】
【0060】
【表18】
【0061】
表17に示した通り、各実施例において、本発明のインクジェット記録用水性インクではカラーブリードによる滲みはほとんど認められず、優れたカラーブリード低減効果を得ることができた。一方、表18に示した通り、比較例においては明らかにカラーブリードが発生しており、満足いく印字品質を得ることはできなかった。
【0062】
【発明の効果】
本発明は、上述の構成よりなるので、カラーブリードが低減され、鮮明なカラー記録を行うことができる。
Claims (4)
- 少なくとも、水、着色剤、アセチレングリコールエチレンオキサイド付加体、及び、2種以上のポリオキシアルキレングリコール−n−アルキルエーテルを含有するインクジェット記録用水性インクであって、
前記ポリオキシアルキレングリコール−n−アルキルエーテルの少なくとも1種は、3つ以上のプロピレンオキサイドを有するポリプロピレングリコール−n−ブチルエーテルである
ことを特徴とするインクジェット記録用水性インク。 - 前記3つ以上のプロピレンオキサイドを有するポリプロピレングリコール−n−ブチルエーテルが、前記ポリオキシアルキレングリコール−n−アルキルエーテルの総含有量に対して1〜80重量%であることを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録用水性インク。
- 前記アセチレングリコールエチレンオキサイド付加体の含有量が、インクの全重量に対して0.01〜10重量%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のインクジェット記録用水性インク。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2001097015A JP3932820B2 (ja) | 2001-03-29 | 2001-03-29 | インクジェット記録用水性インク |
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