JP3932068B2 - 画像読取装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はコンピュータ、ファクシミリ、複写機等の入力装置として、原稿の画像を読み取る画像読取装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
画像読取装置は画像の入力装置として、操作性、汎用性に優れ、近年OA機器、情報機器等の分野で広く用いられている。特に近年、家庭用ファクシミリ装置の需要が高まり、これに用いられる画像読取装置として小型で使い易いものが要求されているところから光源に発光ダイオード(以下「LED」という。)アレイを用いた密着型画像読取装置が普及しつつある。図8は従来のかかる密着型画像読取装置の断面図であり、その概要を説明する
【0003】
図9に示すように、密着型画像読取装置は光電変換を行うセンサー画素が複数配列された原稿読取受光素子21と、保護膜22と、これが実装された基板23とからなる成る受光素子アレイ24と、原稿を照射する線状光源であるLEDアレイ25と、原稿29の像を受光部である前記受光素子アレイ24に結像するレンズアレイ26と、原稿29を載置する透明板27と、これらの部材を支持する外装ケース28より構成されている。
【0004】
上記密着型画像読取装置における動作は、LEDアレイ25により原稿面を照射し、前記原稿面の読み取りライン上の拡散反射光をレンズアレイ26により受光素子アレイ上に結像し、前記反射光のもつ原稿29の濃淡情報、即ち光の強弱を受光素子アレイ24における個々のセンサー画素が電気信号に変換し、シリアル又はパラレルの信号出力として読み取りラインごとに送り出す。そして、前記原稿29とセンサー画素列との相対位置をラインと垂直方向に移動させて、前記ラインごとのデータ送出を繰り返すことにより、2次元画像情報を時系列電気信号に変換する。
【0005】
しかしながら、前述の密着型画像読取装置には次のような問題がある。その一つは、光源に関する問題である。すなわち、読み取り精度を上げるため、LEDアレイ25のLEDの数を多くし、密に配列することにより、その照明する原稿面の照度を実質的に均一化するようにすると、LEDの使用個数が多いため部品費が高くなり、コストの低減が困難となる。
【0006】
問題点の他の一つは、レンズアレイに関する問題である。すなわち、レンズアレイ26としては従来、ロッドレンズアレイを配列して結合する構成のものであり、読み取り精度を上げるためには、ロッドレンズが屈折率を特定の関数で分布させた特殊な材料であることを要するため、ロッドレンズアレイよりなるイメージガイド部材のコストの低減が困難となる。
【0007】
問題点の更に他の一つは、光源であるLEDアレイ25とレンズアレイ26に関する組立の問題である。すなわち、従来は外装ケース8に対しLEDアレイ25、レンズアレイ26および受光素子アレイ24をそれぞれ別個に組み付けていた。そのため、これらの部品の寸法誤差および組み付け誤差により、原稿面の照明光のラインとレンズアレイのラインとのずれおよびレンズアレイのラインと受光素子アレイのずれを生ずる。これらのラインのずれにより、受光素子に入射する光の均一性が低下し、読み取り精度が低下する。又は、受光素子に入射する光の均一性を高く維持するには、ラインを精度よく整合させるため組立に時間と手間がかかり、製造コストの上昇を招く傾向がある。
【0008】
本願は上記3つの問題点を解決することを課題とするものであり、本願の発明は、かかる課題を解決し、読み取り精度の高い画像読取装置、特に密着型画像読取装置を低い製造コストにおいて提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための第1の手段としては、原稿面をライン状に照明する照明手段、前記照射された原稿面からの反射光を結像する集光手段、前記結像された光を受光して光電変換するライン状に配列した複数の受光素子を有し、原稿面の画像データを受光素子への光入力により検知する画像読取装置において、前記照明手段は発光素子および該発光素子の発光を前記原稿面に案内する導光手段を備え、該導光手段は屈折率N1の母部材および該母部材の傾斜する側面に設けられ、原稿面に向けて上方に広がる複数のガイド溝と、その傾斜する側面の下端部においてこれら複数のガイド溝に連通する共通溝、並びにこれらガイド溝と共通溝に充填された屈折率N1より大なる屈折率を有する拡散用透光部材により構成され、前記共通溝内に発光素子が配置されることを特徴とする。
【0010】
上記課題を解決するための第2の手段としては、前記第1の手段において、前記発光素子は光源基板に搭載され、その光源基板は前記発光素子が実装された状態で、前記拡散用透光部材の充填に先立って前記母部材に取り付けられることを特徴とする。
【0011】
上記課題を解決するための第3の手段としては、前記第の手段において、前記母部材は6の辺のうちで上方に2辺が凹形状をなす変則6角形の断面を有する角柱の形状をなし、前記角柱の長さ方向に沿って垂直に立ち上がる側面には垂直方向に平行なガイド溝が設けられ、前記垂直に立ち上がる側面の反対側で斜めに立ち上がる側面には下方から上方に向かって放射状に広がる複数のガイド溝が設けられていることを特徴とする。
【0012】
上記課題を解決するための第4の手段としては、前記第の手段において、屈折率N1である透光材よりなるスペーサが前記母部材の垂直に立ち上がる側面に接合された後、画像読取装置の外装ケースの内側の窪みに設けられたスペーサ位置決め用窪みに挿入接合されることを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下図面に基づいて本発明の好適な実施の形態の一つである実施例について説明する。図1は本実施例に係る密着型画像読取装置の構成を示す断面図でり、図2は図1のAーA断面図であり、図3は図1に示す画像読取装置の要部である光路変換ユニットを示す斜視図である。1は屈折率n1の母部材2および該母部材2に設けられた拡散用透光部材3および集光用透光部材4を有する光路変換ユニットである。拡散用透光部材3および集光用透光部材4は共に前記n1に対し、n2>n1なる関係を有する屈折率n2の透光材よりなっている。集光用透光部材4の各柱状レンズの光入力端および光出力端にそれぞれ凸レンズ4b1および4b2が設けられている。11は原稿10を載置する透明板である。遮光材よりなる外装ケース12はスぺーサ13を介して光路変換ユニット1を保持するとともに、直接に透明板11を支持する。後述する発光素子7および光源基板8は光路変換ユニット1に取付けられ、受光素子アレイ9は外装ケース12の内側の底面において、集光素子4と対向する位置に配置されている。
【0017】
母部材2は6の辺のうちで上方に2辺が凹形状をなす変則6角形の断面を有する角柱の形状をなし、前記角柱の長さ方向に沿って垂直に立ち上がるな側面2bには垂直方向に平行な複数のガイド溝5bが設けられ、該ガイド溝5b内に集光用透光部材4が充填されている。前記垂直に立ち上がる側面2bの反対側で斜めに立ち上がる側面2aには下方から上方に向かって放射状に広がる形で複数のガイド溝5aが設けられ、側面2aの下端中央およびその近傍には前記複数のガイド溝5aと共通に連通する共通溝6が設けられている。共通溝6の内部にはLEDからなる発光素子7が配置され、共通溝6およびガイド溝5aには発光素子7を被うようにして、拡散用透光部材3が充填されている。母部材2の下面で側面2aに隣接する部分には発光素子7を保持する光源基板8が取付けられている。光源基板8には発光素子7であるLEDの図示しない電極と導通する図示しない配線が設けられている。光源基板8は発光素子7が実装された状態で、拡散用透光部材3の充填に先だって、母部材2に接着等により取付けられる。
【0018】
スペーサ13は屈折率が前記n1である透光材よりなり、母部材の側面2bに接合された後、外装ケース12の内壁に設けられたスペーサ位置決め用窪み12aに挿入され接合される。受光素子アレイ9は光電変換を行うフォトトランジスタ等からなるセンサー画素15が複数配列された原稿読取受光素子16と、保護膜17と、これが実装された受光基板18とからなる成る。受光基板18は外装ケース12の内側の底面に設けられた受光基板位置決め用窪み12baに挿入され、前記原稿読取受光素子16のラインと、前記集光用透光部材4の配列ラインの位置が垂直方向に一致または略一致する位置おいて、接合固定される。母部材2の上側の端面でガイド溝5a、5b以外の部分およびスペーサ13の上端の露出した部分には塗料等よりなる遮光膜14が設けられている。
【0019】
本例の画像読取装置の動作につき説明する。図示しない光源駆動回路から光源基板8に設けられた前記配線を通じてLEDからなる発光素子7の電極に駆動電圧を印加すると発光素子7は点灯し、LEDの種類に応じてR、G、Bのいずれか1色の光を発光する。図4は発光素子7であるLEDの指向特性を示す図である。発光主面7aの方向では強く、側面7bの方向に行くに従って弱くなる傾向がある。この傾向は図3の面に垂直な方向についても同様である。共通溝内6において、発光素子7からの発光の極く一部は拡散用透明部材3の表裏の界面を透過して空気中又は母部材2中に放射されるが、それ以外の光は直接に又は前記表裏の界面での反射を経て図3に示す指向特性にほぼ従ってガイド溝5aに向かって発光が広がって行き、大部分の光がガイド溝5aに入り込む。ガイド溝5aに入り込んだ光は母部材2と拡散用透光部材3の界面をなすガイド溝5aの側面および前記表裏の界面において、一部が透過し一部が反射する。
【0020】
すなわち、拡散用透光部材3の側面及び裏側の界面においては相対的臨界角θ1は前記屈折率n1とn2により決まり、θ1=sinー1(n1/n2)となり、表の空気との界面においては固有の臨界角θ0はn2により決まり、θ0=sinー1(1/n2)となる。本例においては母部材2はアクリルであって、n1=1.49、拡散用透光部材3はアクリル系樹脂であって、n2=1.53であり、従って上記の関係から母部材2との界面の臨界角θ1はθ1=sinー1
1.49/1.53)=76.9°であり、空気との界面の臨界角θ0はθ0=sinー1(1/1.53)=40.8°である。ガイド溝5aの拡散用透光部材3内に入り込んだ光の一部は前記側面の界面および表裏の界面のいずれをも経ることなく拡散用透光部材3の上端の界面から外部に射出される。これ以外の光は1回は前記界面に入射する。
【0021】
このとき入射角(界面の法線に対する角度)θが界面の臨界角(θ1又はθ0)よりも小であるときは一部が通過し、一部が反射する。入射角θが前記臨界角と等しいか又は大であるときは光の全部が反射する。拡散用透光部材3の前記の表裏および側部の界面は図2に示すように入射光にほぼ沿った形となっているので前記界面に対する入射角90度に近い場合が多く、大部分は当該界面の臨界角76.9°又は76.9°を越える角度で入射し前記界面を透過することなく1回又は複数回の反射の後に拡散用透光部材3の上端の界面から外部に射出される。拡散用透光部材3の各分岐部分は上端に近付くに従って幅が広くなり、上端部は互いに近接してライン状に配列されているので、発光素子7の発光は効率よく線状の光束に変換されて、拡散用透光部材3の上端面から外部に射出される。
【0022】
拡散用透光部材3の各分岐に入射する光線の密度と出射する光線の密度の比率はその分岐の入射部の幅と出射部の幅の比に逆比例する関係にある。一方、発光素子7の指向特性により、各分岐の入射部における光線の密度は中央部の分岐が高く、両端部の分岐に行くに従って低下する傾向にある。従って、例えば、各分岐の入射部の幅を等しくとった場合に、出射部の幅については、中央部の分岐において広く、両端部に行くに従ってそれよりも狭くなるような適切な寸法とすれば、発光素子7の指向性が補正され、拡散用透光部材3の上端面から外部に射出される前記線状の光束の光線の密度は均一となり、明るさは均一となる。これとは逆に、各分岐の出射部の幅を等しくとり、入射部の寸法については中央部の分岐において狭く、両端部に行くに従ってそれよりも広くなるような適切な寸法とした場合も同様の効果が得られる。
【0023】
このようにして1個の発光素子7を用いて、拡散用透光部材3の上端面から明るさの均一な線状の光束よりなる光を射出することができる。この線状の光束よりなる光は透明板11の上に載置された原稿10の面を照射し、原稿面上の読み取りライン上の拡散反射光を母部材2の垂直に立ち上がる側面2bにライン方向に配列された複数の柱状のレンズよりなる集光用透光部材4に入射する。ここで図3に示すように母部材2の側面2bに設けられた集光用透光部材4の配列ラインは母部材2の側面2aに設けられた拡散用透光部材3の配列ラインと平行に設けられている。そして、拡散用透光部材3からの出射光の照射による原稿面上の照射ラインは本来、拡散用透光部材3の配列ラインに平行であり、又、原稿面上の読み取りラインは集光用透光部材4の配列ラインと平行である。よって、原稿面上の前記照射ラインと読み取りラインは平行となる。本例においては、照射ラインの幅は読み取りラインの幅より多少広くなっており、照射ラインの領域の中に読み取りラインの領域が入るようになっている。
【0024】
照射ラインの領域においては、前述のように明るさの均一な照明がなされるので、原稿面上の読み取りラインの領域の拡散反射光は均一の条件で集光用透光部材4の配列ラインに入射する。すなわち、読み取りラインの領域内の原稿9の濃淡情報を均一の条件で光の強弱に変換して、前記凸レンズ4b1を通って集光用透光部材4の配列ラインに入射する。
【0025】
集光用透光部材4の配列ラインに入射した光は、集光用透光部材4を構成する各柱状レンズにおいて、一部はその側部の界面を経ることなく、入射と反対側に出射するが、大部分はすで説明したのと同様の原理により、その側部の界面における1回又は複数回の反射を経て入射と反対側に凸レンズ4b2を経て出射する。
【0026】
集光用透光部材4の配列ラインの各柱状レンズから凸レンズ4b2を経て出射した光は前記の受光素子アレイ9の対応するセンサー画素15に入射して結像する。本例においては集光用透光部材4と原稿面およびセンサ画素の間はある程度離れているが、凸レンズ4b1、4b2を設けることにより、入射端および出射端から離れたところで焦点を結び、原稿面の画像をぼけがないようにセンサー画素15に結像することができる。前記焦点の位置は凸レンズ4b1、4b2の曲率を適宜選択することにより、適切な位置に合わせることができる。かかるレンズアレイにおいては、配列方向のレンズのピッチを小さくして行き、センサー画素15の配列ピッチと同じか又は小とすることにより、結像の分解能をセンサー画素15の配列ピッチで決まる所定のレベルにまで高めることができる。なお、レンズアレイのピッチを更に小さくし、1個のセンサー画素15に対し複数の柱状レンズが対応するような構成とすると、分解能の限界そのものは変わらないが、センサー画素15に対する柱状レンズの位置合わせに多少の誤差があっても、所定の分解能を確保することができるので有利である。本例においては、図2に示すように、集光用透光部材4の前記柱状レンズはその配列ライン方向におけるピッチが前記センサー画素15の配列ピッチよりも小となるように構成されている。本例においては、前記柱状レンズは成形型等を用いて母部材2に形成された溝bに透光部材が充填されて形成されるので、配列ライン方向の幅およびピッチを必要に応じ小さくすることは容易にできる。
【0027】
前記センサー画素15における結像の明るさに対応して各センサー画素15は電気信号出力する。これにより、前記原稿面上の読み取りラインの領域の反射光のもつ原稿10の濃淡情報、即ち光の強弱を受光素子アレイ9における個々のセンサー画素15が電気信号に変換し、シリアル又はパラレルに信号出力として読み取りラインごと図示しない信号出力端から出力する。そして、前記原稿10とセンサー画素15の列との相対位置をラインと垂直方向に移動させて、前記ラインごとのデータ送出を繰り返すことにより、2次元画像情報を時系列電気信号に変換する。かかる画像情報の電気信号への変換の原理は公知のものと同様である。
【0028】
本例においては、上述のように、原稿10の面における読み取りラインの領域内の原稿10の濃淡情報を均一の条件で光の強弱に変換して、集光用透光部材4の配列ラインに入射し、入射した光が集光用透光部材4に導かれて、十分な分解能をもってセンサー画素に結像するので、画像情報が正確に電気信号に変換されるので、従来と同等又はそれ以上の画像データの再現性を備えることができる。
【0029】
なお、図示は省略するが、原稿面と前記集光用透光部材4がかなり近接している場合は前記光入力端の凸レンズ4b1を省略することができ、センサー画素と前記集光用透光部材4がかなり近接している場合は前記光出力端の凸レンズ4b2を省略することができる。これは、集光用透光部材4の各柱状レンズそのものは光ファイバーと同様に集光作用はないが、ギャップがゼロに近い場合は光の拡散による画像情報のぼけ、分解能の低下が許容できる程度となるからである。
【0030】
又、集光用透光部材4および拡散用透光部材3において、凸レンズ等の集光レンズを別途設けなくても、透光部材の屈折率を場所により変化させることにより、集光性を付与することができる。図5は透光部材内部におけるかかる集光作用を示す原理図である。20は集光用透光部材4又は拡散用透光部材3に相当する透光部材であり、20aは屈折率naの部分、20bは屈折率nbの部分であり、
nb>naの関係がある。部分20aと20bの界面20dは光の射出面20cに対し中央部が突き出した形で傾斜している。界面20dに対しその法線NSに角度α1で入射した光線s1は屈折して、この法線NSに対し前記α1より大きい角度α2をなす光線s2になり、部分20aを通過して外部に射出する。もし、透光部材20が部分20bのみのときは光線s1は仮想線s3の方向に進む。光線s2は仮想線s3に比べ内側に屈折していることがわかる。このように、界面20dのレンズ効果により集光作用がなされる。上記のような部分的な屈折率の変化は添加剤の部分的な混入等により、実現することができる。
【0031】
拡散用透光部材3の光の出射部においてこのような原理により厚み方向又は幅方向の光の拡散を防止し、原稿面上の必要な場所に効率よく、照度の高い前記照射ラインを照射することができる。
【0032】
以上に述べたように、本実施例においては、原稿面照明用の光学手段である拡散用透光部材3と原稿面からの反射光を集光する光学手段である集光用透光部材4が共に共通の母部材2に形成され、一体として光路変換ユニット1が構成される。これにより、部品点数が減少し、部品の製造および組立の手間が低減されるとともに、拡散用透光部材3と集光用透光部材4の間の相対的な位置精度が光路変換ユニット1として確保されているので、組立の際に特別の調整をすることなく、集光用透光部材4の配列位置によって決まる原稿面における読み取りラインに対し、拡散用透光部材3の配列位置によって決まる原稿面における照明ラインを正しい位置関係で重ね合わせることができるので、原稿10の濃淡情報を正しく反射光の強弱に変換して集光用透光部材4に入力することができ、画像読み取りの性能を高めることができる。
【0033】
次に、原稿面に対する照明手段について言えば、すでに説明したように、1個の発光素子と拡散用透光部材3を組み合わせることにより、原稿面上に多数の発光素子を用いた従来の照明手段と同等又はそれ以上に均一な明るさの照明ラインを照射することができる。又、拡散用透光部材3は、母部材2の成型と同時に型等により形成されたガイド溝5aに透光材を充填することにより、形成することができるので、光ファイバー等を用いた従来の光拡散手段に比し、製造コストの低減ができる。以上の理由により、本例の照明手段については従来よりも大幅にそのコストを低減することができる。
【0034】
次に、原稿面からの反射光を集光する光学手段である集光用透光部材4についていえば、すでに説明したように、前記拡散用透光部材3と同様の方法により形成することができ、その構成要素である柱状レンズのピッチを小さくすることができるので、従来のロッドレンズアレイ等の集光光学手段に比して大幅なコストダウンができるとともに、画像読み取りの分解能を向上させる上で有利となる。
【0035】
以下図面に基づいて本発明の好適な実施の形態の他の一つである実施例について説明する。図6は本実施例に係るフルカラー用の密着型画像読取装置における構成の一部を示す斜視図である。2は図1と同様の母部材であり、図2aも同様の斜めに立ち上がる母部材の側面である。側面2aには下方から上方に向かって放射状に広がる形で複数のガイド溝5aが設けられ、側面2aの下端中央およびその近傍には前記複数のガイド溝5aと共通に連通する共通溝6が設けられている。共通溝6の内部にはR、G、BのLEDが1個ずつ重なり合って発光素子7として配置され、共通溝6およびガイド溝5aには発光素子7を被うようにして、拡散用透光部材3が充填されている。母部材2の下面で側面2aに隣接する部分には発光素子7保持する光源基板8が取付けられている。光源基板8には発光素子7であるR、G、BのLEDの図示しない電極の各々とそれぞれ導通する図示しない配線が設けられている。その他の構成については、図1に示した実施例と同様である。
【0036】
本例の動作につき説明する。図示しない光源駆動回路から光源基板8に設けられた前記配線を通じて発光素子7のR、G、BのLEDの電極に時分割で順次駆動電圧を印加するとR、G、BのLEDは1色ごとに順次点灯する。そして原稿稿面上の同一の読み取りラインをカバーする照射ラインをすでに述べたのと同様の原理により、各色ごとに順次形成し、各色毎の拡散反射光を同様の原理によりセンサー画素に入射、結像して前記原稿面上の読み取りラインの領域の反射光のもつ原稿10の各色別の濃淡情報、即ち各色別の光の強弱を受光素子アレイ9における個々のセンサー画素15が色別に時分割的に順次電気信号に変換し、シリアル又はパラレルに信号出力として読み取りラインごと図示しない信号出力端から出力する。
【0037】
そして、その読みとりラインにおけるR、G,Bすべての出力が終了した後、前記原稿10とセンサー画素15の列との相対位置をラインと垂直方向に移動させて、前記ラインごとのデータ送出を繰り返すことにより、2次元のフルカラー画像情報を時系列電気信号に変換する。かかる画像情報の電気信号への変換の原理は公知のものと同様である。本例においては、LEDの数は3個で、フルカラー用の密着型画像読取装置としては、LEDの数を低減させることができる。その他、図1に示した実施例と同様の長所を有する。
【0038】
以上に述べてきた実施例においては、共通の母部材2にガイド溝5a、5bを設けてこれらに透光部材を充填し、前記光路変換ユニット1が構成されていたが、本発明はこれに限らず、図7に示すように別々の母部材2にそれぞれガイド溝5a、5bを形成し、照明手段部1aと集光手段部1bこれらに透光部材を充填して照明手段部1aと集光手段部1bを別々に構成した後に、該照明手段部1aと集光手段部1bをを接合して光路変換ユニット1を構成することもできる。更に、照明手段部1aを単独で原稿照明手段として別個の画像読取装置に使用しても、コスト低減の効果が得られる。集光手段部1bについても同様である。
【0039】
本発明は更に図8に示すように光路変換ユニット1の集光用透光部材4の下側において共通の母部材2に位置決め用のスリット部2dを設け、該スリット部2dに受光素子アレイ基板18を収納、位置決めする構成のものを適用することもできる。本例においては、同一母材に、拡散用透光部材3、集光用透光部材4、及びセンサー画素15を搭載する受光素子アレイ基板18が設けられるので、これらの位置関係を精度よく設定することができるとともに、図示しないケースへの組み付けも調整なしにできるので容易となる。又、本例においては、センサー画素15と集光用透光部材4とが近接しているため、前記光出力端の凸レンズ4b2を省略することができる。
【0040】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、読み取り性能に優れた画像読取装置を低い製造コストにおいて提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の一つである画像読取装置の構成を示す断面図である。
【図2】図1のAーA断面図である。
【図3】図1に示す画像読取装置の要部の構成を示す斜視図である。
【図4】図1に示す画像読取装置の光源の発光素子の発光の指向性を示す図である。
【図5】透光部材内における集光作用を示す原理図である。
【図6】本発明の実施の形態の一つである画像読取装置の要部の構成を示す斜視図である。
【図7】本発明の実施の形態の一つである画像読取装置の要部の構成を示す斜視図である。
【図8】本発明の実施の形態の一つである画像読取装置の要部の構成を示す斜視図である。
【図9】従来の画像読取装置の構成を示す断面図である。
【符号の説明】
1 光路変換ユニット
2 母部材
3 拡散用透光部材
4 集光用透光部材
4b 凸レンズ
5 ガイド溝
7 発光素子
10 原稿
15 センサー画素
16 原稿読取受光素子

Claims (4)

  1. 原稿面をライン状に照明する照明手段、前記照射された原稿面からの反射光を結像する集光手段、前記結像された光を受光して光電変換するライン状に配列した複数の受光素子を有し、原稿面の画像データを受光素子への光入力により検知する画像読取装置において、前記照明手段は発光素子および該発光素子の発光を前記原稿面に案内する導光手段を備え、該導光手段は屈折率N1の母部材および該母部材の傾斜する側面に設けられ、原稿面に向けて上方に広がる複数のガイド溝と、その傾斜する側面の下端部においてこれら複数のガイド溝に連通する共通溝、並びにこれらガイド溝と共通溝に充填された屈折率N1より大なる屈折率を有する拡散用透光部材により構成され、前記共通溝内に発光素子が配置されることを特徴とする画像読取装置。
  2. 前記発光素子は光源基板に搭載され、その光源基板は前記発光素子が実装された状態で、前記拡散用透光部材の充填に先立って前記母部材に取り付けられることを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置
  3. 前記母部材は6の辺のうちで上方に2辺が凹形状をなす変則6角形の断面を有する角柱の形状をなし、前記角柱の長さ方向に沿って垂直に立ち上がる側面には垂直方向に平行なガイド溝が設けられ、前記垂直に立ち上がる側面の反対側で斜めに立ち上がる側面には下方から上方に向かって放射状に広がる複数のガイド溝が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置
  4. 屈折率N1である透光材よりなるスペーサが前記母部材の垂直に立ち上がる側面に接合された後、画像読取装置の外装ケースの内側の窪みに設けられたスペーサ位置決め用窪みに挿入接合されることを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置
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