JP3891799B2 - Mri装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、MR(Magnetic Resonance)イメージング方法およびMRI(Magnetic Resonance Imaging)装置に関し、更に詳しくは、画質の良好な画像を得ることが出来るMRイメージング方法およびMRI装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
特許第2898329号公報には、次のMRイメージング方法が開示されている。
(1)SSFP(Steady State Free Precession)状態でデータ収集を行うことを位相エンコード量を次々に変えて繰り返してk空間を埋める各ビューvのデータfv(0)を取得する。
(2)SSFP状態でデータ収集を行うことを位相エンコード量を次々に変えると共にRF位相を交互に180゜変えることを繰り返してk空間を埋める各ビューvのデータfv(1)を取得する。
(3)fv(0)とfv(1)を加算処理または減算処理してデータAvを生成する。
Av=0.5×Fv(0)+0.5×Fv(1)
または
Av=0.5×Fv(0)−0.5×Fv(1)
(4)得られたデータAvから画像を再構成する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
特許第2898329号公報に開示のMRイメージング方法では、画質の良好な画像を得ることが出来る場合もあったが、画質の悪い画像(例えば、磁場不均一によるバンドアーチファクトが現れた画像)しか得られない場合もあった。
そこで、本発明の目的は、従来のMRイメージング方法では画質の悪い画像しか得られない場合に、画質の良好な画像を得られる可能性のあるMRイメージング方法およびMRI装置を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
第1の観点では、本発明は、(1)SSFP状態でデータ収集を行うことを位相エンコード量を次々に変えて繰り返してk空間を埋める各ビューvのデータfv(k)を取得することをk=0からk=N−1までN(=2のべき乗数)回繰り返し、その際、RF位相を360゜・v・k/Nとし、(2)操作者がDFT処理を選択すればデータfv(k)をRF位相に対してDFT処理してデータFv(n)を生成し、操作者がDFT処理を選択しなければデータfv(k)をそのままデータFv(n)とし、(3)荷重加算処理とMIP処理のうちの少なくとも一つの処理および平方自乗平均処理のうちから操作者が選択した処理をデータFv(n)に施してデータAvを生成し、(4)得られたデータAvから画像を再構成することを特徴とするMRイメージング方法を提供する。
【0005】
上記第1の観点によるMRイメージング方法では、データfv(k)をRF位相に対してDFT処理するか否かを操作者が選択できる。DFT処理すると、データのFID(Free Induction Decay)成分とスピンエコー(Spin Echo)成分もしくは励起エコー(Stimulated Echo)成分の支配性を分離することが可能となる。この理由は次の通りである。
例えばN=4とした場合、k=0では、RF位相は0−0−0−0−…となり、データfv(0)におけるFID成分の極性は+Y(Y軸の正方向)、スピンエコー成分もしくは励起エコー成分の極性は−Y(Y軸の負方向)になる。k=1では、RF位相は0−π/2−π−3π/2−…となり、データfv(1)におけるFID成分の極性は+Y、スピンエコー成分もしくは励起エコー成分の極性は+X(X軸の正方向)になる。k=2では、RF位相は0−π−0−π−…となり、データfv(2)におけるFID成分の極性は+Y、スピンエコー成分もしくは励起エコー成分の極性は+Yになる。k=3では、RF位相は0−3π/2−π−π/2−…となり、データfv(3)におけるFID成分の極性は+Y、スピンエコー成分もしくは励起エコー成分の極性は−X(X軸の負方向)になる。
データFv(0)=fv(0)+fv(1)+fv(2)+fv(3)となるから、上記極性のため、FID成分が残り、スピンエコー成分もしくは励起エコー成分が打ち消し合う。実際には理想状態からのズレがあるが、FID成分が支配的となる。また、データFv(1)=fv(0)−j・fv(1)−fv(2)+j・fv(3)となるから、上記極性のため、FID成分が打ち消し合い、スピンエコー成分もしくは励起エコー成分が残り、スピンエコー成分もしくは励起エコー成分が支配的となる。一般的に、データFv(n)のnが奇数ならFID信号が支配的となり、nが偶数ならスピンエコー成分もしくは励起エコー成分が支配的となる。よって、FID成分とスピンエコー成分もしくは励起エコー成分の支配性を分離することが可能となる。
【0006】
また、上記第1の観点によるMRイメージング方法では、データFv(n)に施す処理を荷重加算処理とMIP処理のうちの少なくとも一つの処理および平方自乗平均処理のうちから操作者が選択できる。荷重加算処理すると、データのFID成分とスピンエコー成分もしくは励起エコー成分の支配性を選ぶことが可能となる。また、MIP処理すると、SNRを向上することが可能となる。また、平方自乗平均処理すると、SNRを向上することが可能となる。
【0007】
上記第1の観点によるMRイメージング方法では、上記のように少なくとも4通りの処理を選択できるため、従来のMRイメージング方法では画質の悪い画像しか得られない場合に、画質の良好な画像を得られる可能性がある。
本発明の発明者の研究によれば、特許第2898329号公報に開示のMRイメージング方法ではバンドアーチファクトが画像に現れたデータfv(0)とfv(1)に対して平方自乗平均処理を選択すると、バンドアーチファクトのない画像が得られる場合があった。また、Nの数を大きくする(例えば8以上にする)と共にDFT処理および平方自乗平均処理を選択すると、画質の良好な画像が得られる場合が多かった。
【0008】
第2の観点では、本発明は、(1)SSFP状態でデータ収集を行うことを位相エンコード量を次々に変えて繰り返してk空間を埋める各ビューvのデータfv(k)を取得することをk=0からk=N−1までN(=2のべき乗数)回繰り返し、その際、RF位相を360゜・v・k/Nとし、(2)データfv(k)をRF位相に対してDFT処理してデータFv(n)を生成し、(3)荷重加算処理とMIP処理のうちの少なくとも一つの処理および平方自乗平均処理のうちから操作者が選択した処理をデータFv(n)に施してデータAvを生成し、(4)得られたデータAvから画像を再構成することを特徴とするMRイメージング方法を提供する。
上記第2の観点によるMRイメージング方法では、データfv(k)をRF位相に対してDFT処理する。DFT処理すると、データのFID成分とスピンエコー成分もしくは励起エコー成分の支配性を分離可能となる。また、データFv(n)に施す処理を荷重加算処理とMIP処理のうちの少なくとも一つの処理および平方自乗平均処理のうちから操作者が選択できる。荷重加算処理すると、データのFID成分とスピンエコー成分もしくは励起エコー成分の支配性を選ぶことが可能となる。また、MIP処理すると、SNRを向上することが可能となる。また、平方自乗平均処理すると、SNRを向上することが可能となる。このように少なくとも2通りの処理を選択できるため、従来のMRイメージング方法では画質の悪い画像しか得られない場合に、画質の良好な画像を得られる可能性がある。
本発明の発明者の研究によれば、Nの数を大きく(例えば8以上)すると共にDFT処理および平方自乗平均処理を選択すると、画質の良好な画像が得られる場合が多かった。
【0009】
第3の観点では、本発明は、(1)SSFP状態でデータ収集を行うことを位相エンコード量を次々に変えて繰り返してk空間を埋める各ビューvのデータfv(k)を取得することをk=0からk=N−1までN(=2のべき乗数)回繰り返し、その際、RF位相を360゜・v・k/Nとし、(2)データfv(k)をそのままデータFv(n)とし、(3)荷重加算処理とMIP処理のうちの少なくとも一つの処理および平方自乗平均処理のうちから操作者が選択した処理をデータFv(n)に施してデータAvを生成し、(4)得られたデータAvから画像を再構成することを特徴とするMRイメージング方法を提供する。
上記第3の観点によるMRイメージング方法では、データFv(n)に施す処理を荷重加算処理とMIP処理のうちの少なくとも一つの処理および平方自乗平均処理のうちから操作者が選択できる。荷重加算処理すると、データのFID成分とスピンエコー成分もしくは励起エコー成分の支配性を選ぶことが可能となる。また、MIP処理すると、SNRを向上することが可能となる。また、平方自乗平均処理すると、SNRを向上することが可能となる。このように少なくとも2通りの処理を選択できるため、従来のMRイメージング方法では画質の悪い画像しか得られない場合に、画質の良好な画像を得られる可能性がある。
本発明の発明者の研究によれば、特許第2898329号公報に開示のMRイメージング方法ではバンドアーチファクトが画像に現れたデータfv(0)とfv(1)に対して平方自乗平均処理を選択すると、バンドアーチファクトのない画像が得られる場合があった。
【0010】
第4の観点では、本発明は、上記構成のMRイメージング方法において、SSFP状態でデータ収集を行うパルスシーケンスが、1TR内の勾配磁場の時間積分値が0でFID信号とエコー信号とを同時に収集するシーケンスであることを特徴とするMRイメージング方法を提供する。
SSFP状態でデータの収集を行うパルスシーケンスは種々知られている。例えば、FIESTA(Fast Imaging Employing STeady state Acqisition)、True SSFPなどである。
上記第4の観点によるMRイメージング方法では、FIESTAと呼ばれているパルスシーケンスを使用できる。
【0011】
第5の観点では、本発明は、上記構成のMRイメージング方法において、RF位相に対するDFT処理が、
Fv(n)=k=0ΣN-1fv(k)・exp{-j・n・2π・k/N}
であることを特徴とするMRイメージング方法を提供する。
上記第5の観点によるMRイメージング方法により、データfv(k)をRF位相に対してDFT処理することが出来る。
【0012】
第6の観点では、本発明は、上記構成のMRイメージング方法において、N=2の場合の荷重加算処理が、
Av=0.5×Fv(0)+0.5×Fv(1)
であることを特徴とするMRイメージング方法を提供する。
上記第6の観点によるMRイメージング方法では、データfv(k)に含まれるFID成分を支配的にすることが出来る。
【0013】
第7の観点では、本発明は、上記構成のMRイメージング方法において、N=2の場合の荷重加算処理が、
Av=0.5×Fv(0)−0.5×Fv(1)
であることを特徴とするMRイメージング方法を提供する。
上記第7の観点によるMRイメージング方法では、データfv(k)に含まれるスピンエコー成分もしくは励起エコー成分を支配的にすることが出来る。
【0014】
第8の観点では、本発明は、上記構成のMRイメージング方法において、MIP処理が、max{}を最大値を取り出す関数とするとき、
Av=max{Fv(0),…,Fv(N-1)}
であることを特徴とするMRイメージング方法を提供する。
上記第8の観点によるMRイメージング方法では、N回のデータのうちで最も大きな信号を集めるため、SNRを向上できる場合が多い。
【0015】
第9の観点では、本発明は、上記構成のMRイメージング方法において、平方自乗平均処理が、
Av=√{(Fv(0)+…+Fv(N-1))/N}
であることを特徴とするMRイメージング方法を提供する。
上記第9の観点によるMRイメージング方法では、N回のデータを全て用いると共にデータ同士が互いに相殺しあうことがないため、SNRを向上できる場合が多い。
【0016】
第10の観点では、本発明は、RFパルスを送信するための送信コイルと、勾配磁場を印加するための勾配コイルと、NMR信号を受信するための受信コイルと、前記送信コイルと勾配コイルと受信コイルとを駆動してデータを収集するスキャン手段と、収集したデータを演算処理して画像を生成するデータ処理手段とを具備してなるMRI装置であって、前記スキャン手段は、SSFP状態でデータ収集を行うことを位相エンコード量を次々に変えて繰り返してk空間を埋める各ビューvのデータfv(k)を取得することをk=0からk=N−1までN(=2のべき乗数)回繰り返し、その際、RF位相を360゜・v・k/Nとし、前記データ処理手段は、操作者がDFT処理を選択すればデータfv(k)をRF位相に対してDFT処理してデータFv(n)を生成し、操作者がDFT処理を選択しなければデータfv(k)をそのままデータFv(n)とし、次に荷重加算処理とMIP処理のうちの少なくとも一つの処理および平方自乗平均処理のうちから操作者が選択した処理をデータFv(n)に施してデータAvを生成し、得られたデータAvから画像を再構成することを特徴とするMRI装置を提供する。
上記第10の観点によるMRI装置では、前記第1の観点によるMRイメージング方法を好適に実施できる。
【0017】
第11の観点では、本発明は、RFパルスを送信するための送信コイルと、勾配磁場を印加するための勾配コイルと、NMR信号を受信するための受信コイルと、前記送信コイルと勾配コイルと受信コイルとを駆動してデータを収集するスキャン手段と、収集したデータを演算処理して画像を生成するデータ処理手段とを具備してなるMRI装置であって、前記スキャン手段は、SSFP状態でデータ収集を行うことを位相エンコード量を次々に変えて繰り返してk空間を埋める各ビューvのデータfv(k)を取得することをk=0からk=N−1までN(=2のべき乗数)回繰り返し、その際、RF位相を360゜・v・k/Nとし、前記データ処理手段は、データfv(k)をRF位相に対してDFT処理してデータFv(n)を生成し、次に荷重加算処理とMIP処理のうちの少なくとも一つの処理および平方自乗平均処理のうちから操作者が選択した処理をデータFv(n)に施してデータAvを生成し、得られたデータAvから画像を再構成することを特徴とするMRI装置を提供する。
上記第11の観点によるMRI装置では、前記第2の観点によるMRイメージング方法を好適に実施できる。
【0018】
第12の観点では、本発明は、RFパルスを送信するための送信コイルと、勾配磁場を印加するための勾配コイルと、NMR信号を受信するための受信コイルと、前記送信コイルと勾配コイルと受信コイルとを駆動してデータを収集するスキャン手段と、収集したデータを演算処理して画像を生成するデータ処理手段とを具備してなるMRI装置であって、前記スキャン手段は、SSFP状態でデータ収集を行うことを位相エンコード量を次々に変えて繰り返してk空間を埋める各ビューvのデータfv(k)を取得することをk=0からk=N−1までN(=2のべき乗数)回繰り返し、その際、RF位相を360゜・v・k/Nとし、前記データ処理手段は、データfv(k)をそのままデータFv(n)とし、次に荷重加算処理とMIP処理のうちの少なくとも一つの処理および平方自乗平均処理のうちから操作者が選択した処理をデータFv(n)に施してデータAvを生成し、得られたデータAvから画像を再構成することを特徴とするMRI装置を提供する。
上記第12の観点によるMRI装置では、前記第3の観点によるMRイメージング方法を好適に実施できる。
【0019】
第13の観点では、本発明は、上記構成のMRI装置において、SSFP状態でデータ収集を行うパルスシーケンスが、1TR内の勾配磁場の時間積分値が0でFID信号とエコー信号とを同時に収集するシーケンスであることを特徴とするMRI装置を提供する。
上記第13の観点によるMRI装置では、前記第4の観点によるMRイメージング方法を好適に実施できる。
【0020】
第14の観点では、本発明は、上記構成のMRI装置において、RF位相に対するDFT処理が、
Fv(n)=k=0ΣN-1fv(k)・exp{-j・n・2π・k/N}
であることを特徴とするMRI装置を提供する。
上記第14の観点によるMRI装置では、前記第5の観点によるMRイメージング方法を好適に実施できる。
【0021】
第15の観点では、本発明は、上記構成のMRI装置において、N=2の場合の荷重加算処理が、
Av=0.5×Fv(0)+0.5×Fv(1)
であることを特徴とするMRI装置を提供する。
上記第15の観点によるMRI装置では、前記第6の観点によるMRイメージング方法を好適に実施できる。
【0022】
第16の観点では、本発明は、上記構成のMRI装置において、N=2の場合の荷重加算処理が、
Av=0.5×Fv(0)−0.5×Fv(1)
であることを特徴とするMRI装置を提供する。
上記第16の観点によるMRI装置では、前記第7の観点によるMRイメージング方法を好適に実施できる。
【0023】
第17の観点では、本発明は、上記構成のMRI装置において、MIP処理が、max{}を最大値を取り出す関数とするとき、
Av=max{Fv(0),…,Fv(N-1)}
であることを特徴とするMRI装置を提供する。
上記第17の観点によるMRI装置では、前記第8の観点によるMRイメージング方法を好適に実施できる。
【0024】
第18の観点では、本発明は、上記構成のMRI装置において、平方自乗平均処理が、
Av=√{(Fv(0)+…+Fv(N-1))/N}
であることを特徴とするMRI装置を提供する。
上記第18の観点によるMRI装置では、前記第9の観点によるMRイメージング方法を好適に実施できる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、図に示す実施形態により本発明をさらに詳しく説明する。なお、これにより本発明が限定されるものではない。
【0026】
図1は、本発明の一実施形態にかかるMRI装置を示すブロック図である。
このMRI装置100において、マグネットアセンブリ1は、内部に被検体を挿入するための空間部分(ボア)を有し、この空間部分を取りまくようにして、被検体に一定の静磁場を印加する静磁場コイル1pと、X軸,Y軸,Z軸の勾配磁場(X軸,Y軸,Z軸の組み合わせによりスライス勾配軸,リード勾配軸,位相エンコード勾配軸が形成される)を発生するための勾配磁場コイル1gと、被検体内の原子核のスピンを励起するためのRFパルスを与える送信コイル1tと、被検体からのNMR信号を検出する受信コイル1rとが配置されている。静磁場コイル1p,勾配磁場コイル1g,送信コイル1tおよび受信コイル1rは、それぞれ静磁場電源2,勾配磁場駆動回路3,RF電力増幅器4および前置増幅器5に接続されている。
なお、静磁場コイル1pの代わりに永久磁石を用いてもよい。
【0027】
シーケンス記憶回路6は、計算機7からの指令に従い、記憶しているパルスシーケンスに基づいて勾配磁場駆動回路3を操作し、マグネットアセンブリ1の勾配磁場コイル1gから勾配磁場を発生させると共に、ゲート変調回路8を操作し、RF発振回路9の搬送波出力信号を所定タイミング・所定包絡線形状のパルス状信号に変調し、それをRFパルスとしてRF電力増幅器4に加え、RF電力増幅器4でパワー増幅した後、マグネットアセンブリ1の送信コイル1tに印加し、所望の撮像面を選択励起する。
【0028】
前置増幅器5は、マグネットアセンブリ1の受信コイル1rで受信された被検体からのNMR信号を増幅し、位相検波器10に入力する。位相検波器10は、RF発振回路9の搬送波出力信号を参照信号とし、前置増幅器5からのNMR信号を位相検波して、AD変換器11に与える。AD変換器11は、位相検波後のアナログ信号をデジタルデータに変換して、計算機7に入力する。
【0029】
計算機7は、操作コンソール12から入力された情報を受け取るなどの全体的な制御を受け持つ。また、計算機7は、AD変換器11からデジタルデータを読み込み、演算処理を行って画像を生成する。
表示装置13は、画像やメッセージを表示する。
【0030】
図2は、MRI装置100によるMRイメージング処理を示すフロー図である。
ステップS1では、繰返しカウンタk=0に初期化する。
ステップS2では、SSFP状態でデータ収集を行うことを位相エンコード量を次々に変えて繰り返してk空間を埋める各ビューvのデータfv(k)を取得する。その際、RF位相を360゜・v・k/Nとする。
ステップS3,S4では、k=1〜N−1について上記ステップS2を繰り返す。
なお、説明の都合上、N=8とする。このとき、RF位相はv・k・π/4となる。
【0031】
図3は、SSFP状態でデータ収集を行うパルスシーケンスの一つで、FIESTAと呼ばれているパルスシーケンスの例示図である。
このFIESTAシーケンスでは、RFパルスを測定対象のT2よりも短いTRで繰り返し打ち、SSFP状態になって現れるFID信号およびエコー信号(スピンエコー信号もしくはスティミュレイテッドエコー信号)からデータfv(k)を収集する。1TR内の勾配磁場の時間積分値が“0”になるような勾配磁場波形が採用される。また、位相エンコード軸勾配は、各ビューvに対応した大きさに順に変えられる。さらに、RF位相も各ビューvと繰返しカウンタkの値に対応して順に変えられる。
【0032】
図4は、k空間とデータ収集軌跡の概念図である。
k空間は、リード軸方向と位相エンコード軸方向の2次元空間である。
ここでは、位相エンコード軸方向に#0〜#31のビューvがあるものとする。
そして、k空間は、ビュー#0〜#7の第1領域と、ビュー#8〜#15の第2領域と、ビュー#16〜#23の第3領域と、ビュー#24〜#31の第4領域とに分割されているものとする。
【0033】
図5は、k=0におけるデータ収集順とRF位相の例示図である。
まず、データを収集しないでFIESTAシーケンスを繰り返し、SSFP状態にする。これを空うちと言う。
SSFP状態になったら、FIESTAシーケンスにより第1領域のビュー#0〜#7のデータf0(0)〜f7(0)を連続的に収集する。RF位相は、0−0−0−0−0−0−0−0とする。
続いて、空うちによりSSFP状態にし、第2領域のビュー#8〜#15のデータf8(0)〜f15(0)を連続的に収集する。RF位相は、0−0−0−0−0−0−0−0とする。
続いて、空うちによりSSFP状態にし、第3領域のビュー#16〜#23のデータf16(0)〜f23(0)を連続的に収集する。RF位相は、0−0−0−0−0−0−0−0とする。
続いて、空うちによりSSFP状態にし、第4領域のビュー#24〜#31のデータf24(0)〜f31(0)を連続的に収集する。RF位相は、0−0−0−0−0−0−0−0とする。
【0034】
図6は、k=1におけるデータ収集順とRF位相の例示図である。
まず、空うちによりSSFP状態にし、第1領域のビュー#0〜#7のデータf0(1)〜f7(1)を連続的に収集する。RF位相は、0−π/4−π/2−3π/4−π−5π/4−3π/2−7π/4と変化させる。
続いて、空うちによりSSFP状態にし、第2領域のビュー#8〜#15のデータf8(1)〜f15(1)を連続的に収集する。RF位相は、0−π/4−π/2−3π/4−π−5π/4−3π/2−7π/4と変化させる。
続いて、空うちによりSSFP状態にし、第3領域のビュー#16〜#23のデータf16(1)〜f23(1)を連続的に収集する。RF位相は、0−π/4−π/2−3π/4−π−5π/4−3π/2−7π/4と変化させる。
続いて、空うちによりSSFP状態にし、第4領域のビュー#24〜#31のデータf24(1)〜f31(1)を連続的に収集する。RF位相は、0−π/4−π/2−3π/4−π−5π/4−3π/2−7π/4と変化させる。
【0035】
図2に戻り、ステップS5では、操作者がDFT処理を選択しておればステップS6へ進み、そうでないならステップS7へ進む。
ステップS6では、データfv(k)をRF位相に対してDFT処理してデータFv(n)を生成する。すなわち、
Fv(n)=k=0Σ7fv(k)・exp{-j・n・π・k/4}
とする。そして、ステップS8へ進む。
【0036】
ステップS7では、データfv(k)をそのままデータFv(n)とする。そして、ステップS8へ進む。
【0037】
ステップS8では、操作者が平方自乗平均処理を選択しておればステップS9へ進み、そうでないならステップS10へ進む。
ステップS9では、データFv(n)に対して平方自乗平均処理を施し、データAvを生成する。すなわち、
Av=√{(Fv(0)+…+Fv(7))/8}
とする。そして、ステップS11へ進む。
【0038】
ステップS10では、データFv(n)に対して荷重加算処理またはMIP処理のいずれか操作者に選択された処理を施し、データAvを生成する。すなわち、
荷重加算処理なら、C0,C1,…,C7を荷重とするとき、
Av=C0・Fv(0)+C1・Fv(1)+…+C7・Fv(7)
とする。なお、N=2なら、C0=C1=0.5またはC0=0.5,C1=−0.5とする。
MIP処理なら、max{}を最大値を取り出す関数とするとき、
Av=max{Fv(0),…,Fv(7)}
とする。
そして、ステップS11へ進む。
【0039】
ステップS11では、データAvから画像を再構成する。そして、処理を終了する。
【0040】
以上のMRI装置100によれば、データfv(k)をRF位相に対してDFT処理するか否かを操作者が選択でき、また、データFv(n)に施す処理を荷重加算処理とMIP処理のうちの少なくとも一つの処理および平方自乗平均処理のうちから操作者が選択できるため、従来のMRイメージング方法では画質の悪い画像しか得られない場合に、画質の良好な画像を得られる可能性がある。
【0041】
上記実施形態では、k空間を4つの領域に分割したが、分割しなくてもよいし、5以上に分割してもよい。
【0042】
【発明の効果】
本発明のMRイメージング方法およびMRI装置によれば、バンドアーチファクトの無い画質の良好な画像が得られる可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかるMRI装置のブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態にかかるMRイメージング処理のフローチャートである。
【図3】FIESTAシーケンスのパルスシーケンスを示す例示図である。
【図4】k空間とビューの説明図である。
【図5】データ収集順とRF位相の例示図である。
【図6】データ収集順とRF位相の別の例示図である。
【符号の説明】
100 MRI装置
1 マグネットアセンブリ
1t 送信コイル
1r 受信コイル
4 RF電力増幅器
5 前置増幅器
7 計算機
8 シーケンス記憶回路

Claims (9)

  1. RFパルスを送信するための送信コイルと、勾配磁場を印加するための勾配コイルと、NMR信号を受信するための受信コイルと、前記送信コイルと勾配コイルと受信コイルとを駆動してデータを収集するスキャン手段と、収集したデータを演算処理して画像を生成するデータ処理手段とを具備してなるMRI装置であって、
    前記スキャン手段は、SSFP状態でデータ収集を行うことを位相エンコード量を次々に変えて繰り返してk空間を埋める各ビューvのデータfv(k)を取得することをk=0からk=N−1までN(=2のべき乗数)回繰り返し、その際、RF位相を360゜・v・k/Nとし、
    前記データ処理手段は、操作者がDFT処理を選択すればデータfv(k)をRF位相に対してDFT処理してデータFv(n)を生成し、操作者がDFT処理を選択しなければデータfv(k)をそのままデータFv(n)とし、次に荷重加算処理とMIP処理のうちの少なくとも一つの処理および平方自乗平均処理のうちから操作者が選択した処理をデータFv(n)に施してデータAvを生成することを特徴とするMRI装置。
  2. RFパルスを送信するための送信コイルと、勾配磁場を印加するための勾配コイルと、NMR信号を受信するための受信コイルと、前記送信コイルと勾配コイルと受信コイルとを駆動してデータを収集するスキャン手段と、収集したデータを演算処理して画像を生成するデータ処理手段とを具備してなるMRI装置であって、
    前記スキャン手段は、SSFP状態でデータ収集を行うことを位相エンコード量を次々に変えて繰り返してk空間を埋める各ビューvのデータfv(k)を取得することをk=0からk=N−1までN(=4以上である2のべき乗数)回繰り返し、その際、RF位相を360゜・v・k/Nとし、
    前記データ処理手段は、データfv(k)をRF位相に対してDFT処理してデータFv(n)を生成し、次に荷重加算処理とMIP処理のうちの少なくとも一つの処理および平方自乗平均処理のうちから操作者が選択した処理をデータFv(n)に施してデータAvを生成することを特徴とするMRI装置。
  3. RFパルスを送信するための送信コイルと、勾配磁場を印加するための勾配コイルと、NMR信号を受信するための受信コイルと、前記送信コイルと勾配コイルと受信コイルとを駆動してデータを収集するスキャン手段と、収集したデータを演算処理して画像を生成するデータ処理手段とを具備してなるMRI装置であって、
    前記スキャン手段は、SSFP状態でデータ収集を行うことを位相エンコード量を次々に変えて繰り返してk空間を埋める各ビューvのデータfv(k)を取得することをk=0からk=N−1までN(=2のべき乗数)回繰り返し、その際、RF位相を360゜・v・k/Nとし、
    前記データ処理手段は、データfv(k)をそのままデータFv(n)とし、次に荷重加算処理とMIP処理のうちの少なくとも一つの処理および平方自乗平均処理のうちから操作者が選択した処理をデータFv(n)に施してデータAvを生成することを特徴とするMRI装置。
  4. 請求項1から請求項3のいずれかに記載のMRI装置において、SSFP状態でデータ収集を行うパルスシーケンスが、1TR内の勾配磁場の時間積分値が0でFID信号とエコー信号とを同時に収集するシーケンスであることを特徴とするMRI装置。
  5. 請求項1,請求項2または請求項3のいずれかに記載のMRI装置において、RF位相に対するDFT処理が、
    Fv(n)=k=0ΣN-1fv(k)・exp{-j・n・2π・k/N}
    であることを特徴とするMRI装置。
  6. 請求項1から請求項5のいずれかに記載のMRI装置において、N=2の場合の荷重加算処理が、
    Av=0.5×Fv(0)+0.5×Fv(1)
    であることを特徴とするMRI装置。
  7. 請求項1から請求項5のいずれかに記載のMRI装置において、N=2の場合の荷重加算処理が、
    Av=0.5×Fv(0)−0.5×Fv(1)
    であることを特徴とするMRI装置。
  8. 請求項1から請求項7のいずれかに記載のMRI装置において、MIP処理が、max{}を最大値を取り出す関数とするとき、
    Av=max{Fv(0),…,Fv(N-1)}
    であることを特徴とするMRI装置。
  9. 請求項1から請求項8のいずれかに記載のMRI装置において、平方自乗平均処理が、
    Av=√{(Fv(0)+…+Fv(N-1))/N}
    であることを特徴とするMRI装置。
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