JP3861836B2 - 車両案内用タグを用いた車両案内システム - Google Patents

車両案内用タグを用いた車両案内システム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば道路や駐車場において、車両を所定方向に案内することができる車両案内用タグを用いた車両案内システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、知的輸送システム(ITS:Intelligent Transport System)の分野において、全自動運転システム(AHS:Automated Highway System)が研究されている。このAHSでは、道路の情報インフラと自動車に搭載した通信機との間で通信を行う路車間通信と、車同士で通信を行う車車間通信が用いられる。
【0003】
前記AHSでは、図18に示す様に、車両の走行を制御するために、走行目標ラインを設定し、それに沿って磁気ネイルと呼ばれる磁性体が、道路に一定間隔で設置される(特開平7−334789号公報参照)。この磁気ネイルは、情報を送信せず、単に磁場を道路上に形成するだけである。
【0004】
そして、前記磁気ネイルを用いる場合には、車両の前後に、磁気ネイルが発生する磁場を検知する磁気センサを複数備え、車両が磁気ネイルから離脱しない様に、車両の走行を自動的に制御する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、前記磁気ネイルが、車両を案内するために十分な磁場を発生するためには、ある程度の大きさが必要であるので、磁気ネイルの大きさをあまり小さくできなかった。
【0006】
その結果、大きな寸法の磁気ネイルを敷設するために、道路を深く掘る作業が必要となるので、作業能率が悪く、また、敷設費用が高くなってしまう。この対策として、磁気ネイルを小さくするためには、保磁力の高い磁性体材料を使用する必要があるが、保磁力の高い材料は一般に高価であるため、材料費用が高くなるという別な問題が生ずる。
【0007】
また、磁場を検出するだけのために、車両に複数の磁気センサを設けることは、車両のコストアップにもつながり、必ずしも好ましくない。一方、上述した磁気ネイルを用いる技術とは別に、路車間通信においては、路上ビーコンと呼ばれるデータ送信機を設置し、道路情報を車両に伝達する技術がある。
【0008】
この路上ビーコンは、数100m程度の通信エリアを持ち、比較的広い範囲に道路情報(広域情報)を送ることができるが、車両を正確に案内可能な様に、道路の数m範囲の状況を車両に伝達するシステムは開発されていないのが現状である。
【0009】
本発明は、前記課題を解決するためになされたものであり、簡易な構成で、車両を好適に案内することができる車両案内用タグを用いた車両案内システムを提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、通信により車両を案内するために、地面に配置される車両案内用タグを用いた車両案内システムであって、
走行目標ラインに沿って配列された前記車両案内用タグを備えるとともに、
前記車両側には、
前記車両案内用タグとの間で情報の送受信可能な通信手段と、
該通信手段により、前記車両案内用タグに対して、前記情報を前記車両に送信させるための命令を送信する命令手段と、
該命令に応じて、前記車両案内用タグから前記車両に送信された前記情報に基づいて、前記車両の走行制御を行なう走行制御手段と、
を備え、
更に、前記通信手段は、中央及びその両側に第1〜第3アンテナを有し、隣接するアンテナにより形成される通信エリア同士が重複するように設定し、かつ前記第1〜第3アンテナの送信信号は1つの周波数を用い、前記両側の第1及び第3アンテナは同一タイミングで送信信号を出力し、前記中央の第2アンテナは、前記第1及び第3アンテナが送信信号を出力しないタイミングで送信信号を出力すると共に、
前記走行制御手段は、前記第2アンテナのみで前記車両案内用タグからの送信信号を受信した場合には、現走行制御を維持し、前記第1アンテナのみ又は第3アンテナのみで前記車両案内用タグからの送信信号を受信した場合には、前記車両をそれぞれ大きく左又は右に向ける制御を行なうと共に、
前記第1及び第2アンテナのみ又は第2及び第3アンテナのみで前記車両案内用タグからの送信信号を受信した場合には、前記第1アンテナのみ又は第3アンテナのみで前記車両案内用タグからの送信信号を受信した場合に対して前記車両をそれぞれ小さく左又は右に向ける制御を行なうことを特徴とする車両案内用タグを用いた車両案内システムを要旨とする。
【0011】
本発明では、車両側の通信手段により、車両案内用タグとの間で情報の送受信が可能である。そして、命令手段によって、車両案内用タグに対して情報を出力させるための命令を送信すると、その命令に応じて車両案内用タグから情報が送信されるので、その情報に基づいて、走行手段によって車両の走行制御を行なうことができる。
【0012】
また、本発明では中央及びその両側の第1〜第3アンテナを有するとともに、両側の第1及び第2アンテナは同一タイミングで送信信号を出力し、中央の第2アンテナは、第1及び第3アンテナが送信信号を出力しないタイミングで送信信号を出力するので、1つの周波数で電波干渉なしに、複数のアンテナを用いて1つの車両案内用タグに対する通信を行うことができる。
【0013】
更には、隣接するアンテナにより形成される通信エリア同士が重複する様に設定し、中央の第2アンテナのみで車両案内用タグからの送信信号を受信した場合には、現走行制御を維持し、第1アンテナのみ又は第3アンテナのみで車両案内用タグからの送信信号を受信した場合には、車両が大きくずれているので車両をそれぞれ大きく左又は右に向ける制御を行い、第1及び第2アンテナのみ又は第2及び第3アンテナのみで車両案内用タグからの送信信号を受信した場合には、車両が僅かにずれているので車両をそれぞれ小さく左又は右に向ける制御を行うので、車両を所定の方向に正確に案内することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の車両案内用タグを用いた車両案内システムの実施の形態の例(実施例)を説明する。
【0015】
[実施例1]
本発明の一実施例として、車両案内用タグ(以下単にタグ(Tag)とも記す)、該タグの使用方法、及び該タグを用いた車両案内システムについて説明する。
【0016】
a)まず、本実施例の車両案内システムを説明する。図2に示す様に、本実施例の車両案内システムでは、道路側の構成として、道路上に走行目標ラインが設定され、その走行目標ラインに沿って、所定間隔(例えば10m)毎に、タグ1が埋め込まれている。このタグ1とは、後に詳述する様に、車両を走行目標ラインに沿って案内するために、車両に対して案内情報を送信する固定機である。
【0017】
一方、車両側には、前記タグ1との通信を行なうため及び車両を案内する制御を行なうために、車両の前後に複数のアンテナが設けられている。つまり、車両の前方に、3つのアンテナからなる前方車載アンテナ3、車両の後方に、同様な3つのアンテナからなる後方車載アンテナ5が設けられている。
【0018】
この前後の車載アンテナ3,5は、車両側にて通信を行なう路車間通信機(車載通信機)8に接続され、車載通信機8は、走行目標ラインに沿って車両を走行させる制御を行なうために、マイクロコンピュターを備えた走行制御装置7に接続されている。
【0019】
b)次に、タグ1について説明する。図3(a)に示す様に、タグ1は、回路基板(プリント基板)11が、スペーサ13を介して2枚の強化ガラス板15a,15b(15と総称する)に挟まれ、シール剤17にて封着された基本構造を有しており、この基本構造体20が、保護部材であるマウンティングガード19内に収容されている。
【0020】
前記回路基板11は、ガラスエポキシ材、BTレジン材等の高周波特性に優れた材料から構成されている。そのため、損失が少なく、利得を稼ぐことができる。尚、前記シール剤17と強化ガラス板15のガラス材とは、耐水性、強度等を考えて最初に選定し、シール剤17とガラス材の誘電率と損失を加味して、高周波回路設計を行なう(通常、シール剤17やガラス材を用いると誘電率は大きい方にすれ、通信周波数は低い方にずれる)。
【0021】
この回路基板11は、図3(a)の上方(道路表面側)より、平面アンテナであるパッチアンテナ21が設けられた上側層23と、中間の接地層25と、デジタル回路27が設けられた下側層29とから構成され、各層23,25,27を貫いてスルーホール30が形成されている。
【0022】
図4に示す様に、上側層23の表面(上側面)のパッチアンテナ21は、回路基板11をエッチングしてパッチアンテナ形状としたものであり、このパッチアンテナ21の表面は、錆を防ぐために、ニッケル等でメッキされている。中間の接地層25は、銅薄膜が上側層23の下面(又は下側層29の上面)全体に形成され、それが、下側層29(又は上側層23)に挟まれた構造である。
【0023】
下側層29の表面(下側面)のデジタル回路27は、厚さ数mm以下の平板形電池31と、制御部である制御素子33と、通信部である通信素子35、及びその他周辺回路37から構成されている。また、前記マウンティングガード19は、図3(b)に示す様に、上方が大きく開口した箱状のものであり、上述した基本構造体20を収容した状態において、上側には車両と通信するための空間41を有する。尚、空間41の四方には、水が溜らない様に、水抜き穴43が設けてある。
【0024】
このマウンティングガード19の側方には、前記基本構造体20を入れるための開口部45が設けてあり、この開口部45からマウンティングガード19の内部に基本構造体20を挿入することにより、タグ11が完成する。前記マウンティングガード19は、その上を車両が走行しても破損しない様に、頑丈な金属材料(例えばステンレス材)から構成されている。また、材質を金属にすることにより、図5に示す様に、通信エリアが広がり過ぎない様することができ、これにより、隣接するタグ11との混信を防止することができる。
【0025】
b)次に、本実施例のタグ1の製造方法について説明する。図6(a)に示す様に、(道路に設置した際に上方となる)一方の強化ガラス板15aの周囲に、強化ガラス材からなる四角枠形状のスペーサ13を接着する。
【0026】
次に、図6(b)に示す様に、パッチアンテナ21等の各部品を実装した回路基板11を、パッチアンテナ21側を下にして、強化ガラス板15a上に載置する。次に、図6(c)に示す様に、他方の強化ガラス板15bを回路基板11の上からかぶせて、スペーサ13に接着する。このとき、パッチアンテナ21の表面(アンテナ面)は、その全面にて強化ガラス15aに密着させるようにする。これは、アンテナ面の周囲がなるべくガラスに密着する方が、高周波特性が安定するからである。
【0027】
次に、図6(d)に示す様に、樹脂注入口(図示せず)からシリコーン材からなるシール剤17を注入し、その後、シール剤17から泡をとるための脱気処理を行なう。次に、図6(e)に示す様に、シール剤17を硬化させ、直方体形状の基本構造体20を形成する。この場合、シール剤17の硬化法は、熱硬化でも光硬化でもよいが、ガラスは光硬化がやり易いので、光硬化の方が好適である。
【0028】
次に、図6(f)に示す様に、マウンティングガード19に、その側方の開口部45から、アンテナ面を上にして基本構造体20を挿入し、タグ11を完成する。
【0029】
c)次に、本実施例のタグ11の使用方法、即ち、車両案内システムにおいて、タグ11を用いて車両を案内する方法について説明する。
【0030】
▲1▼まず、車両案内システムの基本的な構成及び動作を説明する。車載通信機8は、車載アンテナ3,5を用いて、路上に設置されたタグ1との通信を行なう。尚、前後の車載アンテナ3,5は同様な機能を有するので、以下では、主として前方の車載アンテナ3で説明する。
【0031】
例えば前方の車載アンテナ3においては、図7に示す様に、そのアンテナA1,A2,A3により形成される通信エリア(送受信エリア)は、隣接するアンテナにより形成されるエリア同士が相互に重複する様に設定する。アンテナA1〜A3からは、図8に示すタイミングで、問い合わせ信号(送信信号)を定期的に出力する。この問い合わせ信号は、送信命令と搬送波から構成されている。具体的には、アンテナA1,A3は、同一タイミングで送信信号を出力し、隣接するアンテナA2は、アンテナA1,A3が信号を出していないタイミングで、交替で送信信号を出力する。
【0032】
この様なタイミングで切り替えを行なうことで、1つの周波数で電波干渉なしに、複数のアンテナを用いて1つのタグ1に対する通信を行なうことができる。一方、タグ1は、車両より送信された搬送波を、反射変調して、応答信号を車両に返送する。
【0033】
タグ1により反射変調された信号は、車載アンテナ3,5で受信される。車両には、前後各々3つのアンテナA1〜A3が設けられているので、例えば図7に示す様な場合には、タグ1の真上の受信アンテナ(例えば中央のアンテナA2)が最も強い応答信号を受信する。
【0034】
走行制御装置7は、例えば車載アンテナ3の受信強度を、車載通信機8を介してモニターし、車両の走行位置と、進行方向(道路に対する角度)を検出する。そして、例えば直進走行においては、走行制御装置7は、車両の中央のアンテナA2の領域E1でタグ1の信号を受信するように、各種アクチュエータ(例えばステアリングを駆動するステアリング駆動モータやスロットルバルブを駆動するスロットル駆動モータ)に制御信号を出力して、車両の制御(例えばステアリング角の制御、スロットル開度の制御)を行ない、直進走行を実現する。
【0035】
▲2▼次に、直進走行時の制御を、図9のフローチャートに基づいて説明する。尚、以下の説明では、車両側における受信の有無で説明しているが、それを受信強度の大小に置き換えてもよい。図9のステップ100では、アンテナA1がタグ1からの送信信号を受信している否かを判定し、ここで肯定判断されるとステップ110に進み、一方否定判断されるとステップ180に進む。
【0036】
ステップ110では、アンテナA2が受信している否かを判定し、ここで否定判断されるとステップ120に進み、一方肯定判断されるとステップ150に進む。ステップ120では、アンテナA3が受信している否かを判定し、ここで肯定判断されると、両側のアンテナA1,A3で受信しているが、中央のアンテナA2で受信していないので、異常であるとして、一旦本処理を終了する。尚、異常の場合には、異常の報知等、異常に対応した処理を行う。
【0037】
一方、ここで否定判断されると、ステップ130にて、アンテナA1のみが受信しているので、タグ1は領域E4(以下、領域は図7(b)参照)にあると判断し、対応するフラグをセットする。続くステップ140では、図7(b)の場合を考えると、タグ1が領域E4にある場合には、車両が大きく右にずれているので、車両を左に戻す様に、ステアリング制御を行なって、一旦本処理を終了する。
【0038】
また、前記ステップ110で肯定判断されて進むステップ150では、アンテナA3が受信しているか否かを判定する。ここで、肯定判断されると、全てのアンテナA1〜A3で受信していることになるので、異常であると判断して、一旦本処理を終了する。
【0039】
一方、ここで否定判断されると、ステップ160にて、アンテナA1及びアンテナA2のみ受信しているので、タグ1は領域E2にあると判断する。続くステップ160では、この場合、車両が僅かに右にずれているので、車両を左に戻す様に、ステアリング制御を行なって、一旦本処理を終了する。
【0040】
更に、前記ステップ100で否定判断されて進むステップ180では、アンテナA2が受信しているか否かを判定する。ここで肯定判断されるとステップ190に進み、一方否定判断されるとステップ240に進む。ステップ190では、アンテナA3で受信しているか否かを判定し、ここで肯定判断されるとステップ220に進み、一方否定判断されるとステップ200に進む。
【0041】
ステップ200では、アンテナA2のみ受信しているので、タグ1は領域E1にあると判断する。続くステップ210では、この場合、車両が車線中央を走行しているので、現在の走行制御状態を維持し、一旦本処理を終了する。
【0042】
一方、前記ステップ220では、アンテナA2及びアンテナA3のみ受信しているので、タグ1は領域E3にあると判断する。続く230では、この場合、車両が僅かに左にずれているので、車両を右に戻す様に、ステアリング制御を行なって、一旦本処理を終了する。
【0043】
また、前記ステップ180で否定判断されて進むステップ240では、アンテナA3が受信しているか否かを判定する。ここで、否定判断されると、全てのアンテナA1〜A3が受信していないので、異常と判断して、一旦本処理を終了する。
【0044】
一方、ここで肯定判断されるとステップ250に進み、アンテナA3のみが受信しているので、タグ1は領域E5にあると判断する。続くステップ260では、この場合、車両が大きく左にずれているので、車両を右に戻す様に、ステアリング制御を行なって、一旦本処理を終了する。
【0045】
そして、上述した様に車線に追従して走行する場合は、車線中央(即ち走行目標ラインに沿って)を走行することを目標に、ステアリング角度を調節するフィードバック制御を行なう。この様に、本実施例では、例えば道路や駐車場にて、その走行目標ラインに沿って、タグ1が配置されているので、車両は、このタグ1と信号の送受信することにより、走行制御に必要な情報を得ることができる。よって、この情報に基づいて、車両を所定の方向に正確に案内することができる。
【0046】
特に本実施例の場合は、強化ガラス板15a,15b間に回路基板11を挟み、パッチアンテナ21にて送受信する構成であるので、従来の磁気ネイルに比較して、詳細な情報を車両に送信することができる。また、アンテナとしてパッチアンテナ21を用い、しかも電池31を内蔵しているので、磁気ネイルに比べて寸法を小さくできる。そのため、道路を深く掘る必要ななく、作業能率が良く、また、敷設費用を低減できる。
【0047】
更に、従来の路上ビーコンと比べて、狭い範囲に確実に情報を送信できるので、車両を所定方向に精度良く案内するためには好適である。
【0048】
[実施例2]
次に、実施例2として、タグを用いた車線変更管理システムについて説明する。尚、前記実施例1と同様な部分は、省略又は簡略化する。
【0049】
この車線変更管理システムとは、車両が車線を変更する場合に、車線変更管理アンテナの通信エリア内にて、車両の車線変更を案内するシステムである。
【0050】
a)まず、本実施例の基本構成について説明する。図10に示す様に、本実施例の車線変更管理システムでは、3本の道路の車線に沿った走行目標ラインに通常の車両案内用タグ(以下直進用タグと記す)51が設けられるとともに、その直進用タグ51以外に、車線変更用の走行目標ラインに沿って、車線変更用タグ53が配置されている。
【0051】
ここでは、図11の上方より、第1レーンには、No.11〜19、1A,1B,1Cの直進用タグ51が配置され、第2レーンには、No.21〜29、2A,2B,2Cの直進用タグ51が配置され、第3レーンには、No.31〜39、3A,3B,3Cの直進用タグ51が配置されている。また、第1レーンから第2レーンへの車線変更用の2つの経路には、No.121〜126の車線変更用タグ53と、No.131〜136の車線変更用タグ53とが、各々配置されている。尚、第2レーンから第3レーンへも、車線変更用の2つの経路が設定され、同様に車線変更用タグ53が配置されている。
【0052】
また、車線変更を行う場所には、道路側に、車線変更管理アンテナ55が配置されており、この車線変更管理アンテナ55には道路側通信機56が接続され、道路側通信機56には、車線変更を管理する車線変更管理装置57が接続されている。
【0053】
前記車線変更管理アンテナ55の通信エリアは、車線変更を行う場所をカバーしている。
【0054】
b)次に、車線変更を行う場合の手順について説明する。ここでは、例えば図11に示す様に、第1レーンを走行する車両Aが、第2レーンへの車線変更を希望し、第2レーンを走行中の車両Bは、そのまま第2レーンを走行する場合を例に挙げる。尚、車載通信機8は、各タグ51,53との通信以外に、車線変更管理アンテナ55を介して道路側通信機56との通信が可能である。
【0055】
図12では、タグ51,53と、車載通信機8と、運転者側のインターフェースと、走行制御装置7との関係を示すとともに、車載通信機7と(道路側通信機5に接続された)車線変更管理装置57との関係を示す。この図12に示す様に、まず、車両Aの運転者が、車線を変更したい場合には、例えばスイッチ操作により、その車線変更依頼を自身の走行制御装置7に伝える。このとき、車両Aは、車線変更管理アンテナ55の通信エリア外であるので、車両Aは、第1レーンにおいて、直線走行制御を継続する。
【0056】
次に、車両Aの車載通信機8が、車線変更管理アンテナ55からの送信を受信することにより、車両A(即ち走行制御装置7)は、自身が通信エリアに入ったことを検知する。すると、車両Aの走行制御装置7は、車載通信機8により、車線変更依頼を道路側通信機56に送信する。それとともに、走行制御装置7は、運転者に対して、例えばランプや音声等により、車線変更制御の開始予告を行う。
【0057】
一方、道路側通信機56では、前記車線変更依頼を受信すると、車線変更管理装置57のデータや他の車両Bからの送信データ等に基づいて、周辺車両動向を検索する。このとき、車両Aは、車線変更可能領域にあるので、走行しながら直進用タグ51と交信し、その情報を読み取るとともに、該情報を道路側通信機56に送信する。これにより、道路側の車線変更管理装置57は、車線変更を依頼している車両Aが、どの位置を走行しているかを検知することができる。
【0058】
また、車線変更管理装置57は、車線変更を依頼している車両Aを基準に、隣接車線を走行する車両Bの走行位置を、車両Aと車両Bの移動位置を計算して予測する。即ち、後方を走行している車両Bがどの時点で車両Aを追い抜き、車両Aがいつ車線変更すると安全かを予測する。
【0059】
そして、車線変更管理装置57は、前記予測結果から、車線変更を依頼した車両Aが、車線変更可能か否かを判断する。例えば図11においては、車両AがNo.13の直進用タグ51を通過するときに車線変更を開始すれば、車両Bは十分な間隔を有して車両Aより前方を走行できると判断する。
【0060】
車線変更管理装置57は、車両Aが車線変更可能であると判断すると、車線変更を依頼した車両Aが安全に車線変更できるタイミンングを計算し、車両Aに対して、車線変更位置(車線変更開始のタグ)、速度、タイミングを送信する。具体的には、車両Aに対し、No.13の直進用タグ51から車線変更を開始し、No.121からNo.126の車線変更用タグ53の経路を使用して、速度vにて車線変更可能であることを送信する。
【0061】
車両Aは、車載通信機7により、そのデータを受信すると、走行制御装置7により、どの位置でどの様にステアリング、アクセル等を動かすかを決定する。また、運転者に対して、車線変更制御開始の報知を行う。同時に、走行制御装置7は、車両Aの位置を、各タグ51,53から読み取って確認する。尚、車両Aが、車線変更用タグ53から読み取ったデータは、道路側通信機56にも送信するので、車線変更管理装置57は、車線変更中の車両Aが、どの位置を走行中かを把握することができる。
【0062】
走行制御装置7は、車線変更に際して決定した動作を行うために、各アクチュエータを作動させ、前記実施例1と同様に、車線変更用タグ53に追従する様に、車両の走行を制御して、車線変更動作を行なう。具体的には、図11において、車両Aが、No.13の直進用タグ51を通過すると、走行制御装置7は、初期角度分ステアリングを右(第2レーン方向)にきる。これにより、車両AはNo.121の車線変更用タグ53上を通過する。このとき、前方車載アンテナ3のどのアンテナA1〜A3が、No.121の車線変更用タグ53の情報を受信したかをモニタし、次のNo.122の車線変更用タグ53の情報が、前記図7で示す様に、車両の中央のアンテナA2で受信できる様に、ステアリングの角度を決定する。
【0063】
尚、ここで、急激なステアリングの変化は、搭乗者に不安を与える恐れがあるため、ステアリング変化量の最大値が、車両の速度に応じて設定されている。つまり、車両Aを右に車線変更する場合は、車線変更用タグ53の信号は、前方車載アンテナ3の3つのアンテナA1〜A3により、その領域E5から受信が開始されることになる。従って、車線変更用タグ53の信号を受信した場合には、ステアリング制御により、領域E5,E3,E1の順に受信するように、車両の方向を制御し、最終的には、領域E1からのみ信号を受信できる様に走行を制御する。これによって、自動的に車線変更を行なうことができる。
【0064】
前記車両の走行制御は、各タグ51,53の通過予測位置と、実際の通過予測位置とを比較し、予測位置のずれができるだけ小さくなる様に、精密なフィードバック制御を行う。上述した制御により、車両Aが、No.121〜126の車線変更用タグ53を経由して、第2レーンに車線変更を完了すると、車両Aは、第2レーンのNo.29の直進用タグ51(車線変更完了のタグ)の情報を受信する。
【0065】
車載通信機7がその情報を受信すると、車線変更が完了したことを、運転者に報知する。それとともに、走行制御装置8は、第2レーンにおける直進走行制御を開始し、その旨を運転者に報知する。同時に、車線変更の完了を、道路側通信機56に送信する。
【0066】
車線変更管理装置57は、その情報を得ると、車線変更依頼を解除する。これにより、簡単に且つ安全に車線変更を行なうことができる。
【0067】
c)次に、道路側通信機56と車両側通信機8と通信に使用する通信フレームについて説明する。
【0068】
ここでは、複数の車両との通信を行うために、図13に示す様に、半二重通信の通信フレームを用いる。つまり、道路側通信機56と車載通信機8との通信に用いられる通信フレームは、フレームコントロールメッセージスロット(FCMS)と、メッセージデータスロット(MDS)と、アクティベーションスロット(ACTS)と、識別符号スロット(WCNS;図示せず)の4種類で構成されている。
【0069】
FCMSは、車線変更管理アンテナ55から、フレーム制御情報を、複数の車両に送信するために用いられるスロット(FCMC)を備え、1フレームに1つあり、フレームの先頭に位置する。MDSは、データの送受信に使用されるスロット(MDC)とアタックチャンネル(ACKC)で構成される。MDSの個数は、通信エリアの大きさや通信速度に応じ、適宜(複数個)設けられる。広い通信エリアになるほど多くの車両が通信エリア内に存在するようになるため、MDSの個数は増える。
【0070】
ACTSは、車線変更管理アンテナ55が車載通信機8をリンク(車載通信機8との通信結合を確保)するために用いるスイットで、複数のチャンネルが設定され、このチャンネルに車載通信機8のIDが含まれる信号が送られる。車線変更管理アンテナ55と通信を行いたい車載通信機8は、車線変更管理アンテナ55の通信エリアに入ると、このチャンネルに車載通信機8のIDを送り、車線変更管理アンテナ55に車載通信機8の存在を伝える。
【0071】
つまり、上述した構成を用いることで、道路側通信機56は、車線変更管理アンテナ55を介して、複数の車両との通信ができる。この様に、本実施例では、車線変更を行う場所には、車線変更を行う走行目標ラインに沿って車線変更用タグ53を配置するとともに、車線変更を管理する道路側のシステムとして、車線変更管理アンテナ55,道路側通信機56、車線管理制御装置57を備えている。
【0072】
従って、車両が車線変更を希望する場合には、車線変更管理アンテナ55の通信エリア内にて、車載通信機8と道路側通信機56との間にて走行位置等の必要な情報を送受信し、車線変更管理装置57から適切な指令を受けることにより、車両は安全に且つ確実に車線変更を行うことができる。
【0073】
尚、前記方法以外に、車線変更管理アンテナ55の管理下にある例えば直進用タグ51が、車両の送信要求に対して、車線変更管理アンテナ55の通信エリア内であること、即ち、車線変更が可能な場所であることを送信してもよい。
【0074】
[実施例3]
次に、実施例3として、タグを道路に設置する際に使用するタグの設置部品、及びタグの設置部品を用いたタグの設置装置について説明する。尚、前記実施例1と同様な部分は、省略又は簡略化する。a)まず、タグ設置部品について説明する。
【0075】
図14に示す様に、タグ61を道路に設置するためのタグ設置部品63は、メタルフィルムベース(又は樹脂ベース)65に、タグ61が多数配列されて、ローラ67に巻かれている。このタグ設置部品63は、図15に示す様に、その幅方向の両側に、タグ設置部品63をローラ67から引き出す際の案内用として、ガイド穴71が各々一列に設けられている。また、タグ設置部品63の中央には、タグ61が、細径の複数の支持部73を介して、メタルフィルムベース65に分離可能に接続されている。
【0076】
従って、タグ61の設置時には、タグ61をメタルフィルムベース65の垂直方向から押圧することにより、タグ61をメタルフィルムベース65から分離することができる。
【0077】
b)次に、タグ設置装置について説明する。
【0078】
図16に示す様に、このタグ設置装置71は、トラック等の車両73に搭載されている。具体的には、車両73の前方より、道路にタグ設置用のくぼみ75を開けるくぼみ形成機77と、形成されたくぼみ75にタグ61を固定するために、CCDカメラ79による位置合わせ機構を有する、シール剤80を注入充填するシール剤充填機81と、前記タグ設置部品63を巻き付けたローラ67と、くぼみ75に置かれたタグ61を押圧する押圧ローラ83を備えている。
【0079】
このタグ設置装置71では、車両がゆっくり走行するにつれて、くぼみ形成機77にてくぼみ75を形成し、そのくぼみ75にシール剤充填機81によりシール剤80を充填する。次に、シール剤80を充填したくぼみ75に、繰り出し機76により、タグ設置部品63をローラ67から繰り出しながら、タグ61をくぼみ75内に配置し、押圧ローラ83により、くぼみ75内のタグ61を押圧して、高さを揃える。その後、シール剤80が硬化したら、メタルフィルムベース65を剥し、タグ61の設置を完了する。
【0080】
c)次に、タグ61に対するデータの書き込み等の作業を説明する。図17に示す様に、車両の前方に、書き込み用のアンテナ91を設ける。書き込み用のアンテナ91は、車両を走行させながら、道路に設置されたタグ61に、順次情報を書き込む。尚、タグ61に、例えば座標情報を書き込む場合には、車両に搭載されたGPS装置93を用いることができる。
【0081】
車両の後方には、タグ61に書き込まれた座標情報が正確かどうかを確認するために、プログラミング確認用のアンテナ95を設ける。ここでは、書き込み用のアンテナ91によって書き込まれたデータが、プログラミング確認用のアンテナ95によって読み出されたデータと同じかどうかを、電子制御装置97により確認する。もし、誤りがあれば、再度書き込みを行う。
【0082】
この構成により、前記直進用タグ51や車線変更用タグ53が、正常に機能するか否かを確認することができる。尚、本発明は前記実施例になんら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施しうることはいうまでもない。
【0083】
例えばAHSの様に、高速道路や自動車専用道路に限定するものではない。例えば、一般家庭の駐車場(車庫)に車両を誘導する場合(車庫入れ)には、タグを道路から車庫まで敷設し、車両がタグ位置を検出することにより、正確に車庫入れすることができる。
【0084】
また、一般の駐車場において、空きスペースまでの案内(自動誘導)も、空きスペースまでの経路に配置したタグを利用して行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の車両案内用タグの構成を例示するブロック図である。
【図2】実施例1の車両案内システムを示す説明図である。
【図3】実施例1の車両案内タグを示し、(a)は車両案内用タグの(b)におけるA−A断面図、(b)は車両案内用タグの斜視図である。
【図4】実施例1の回路基板を示し、(a)は上面図、(b)は側面の断面図、(c)は下面図である。
【図5】実施例1の車両案内用タグの通信エリアを示す説明図である。
【図6】実施例1の車両案内用タグの製造手順を示す説明図である。
【図7】実施例1の車載アンテナを示し、(a)は3つのアンテナの配置を示す説明図、(b)は3つのアンテナの通信エリアを示す説明図である。
【図8】実施例1の車載アンテナから送信される送信信号を示す説明図である。
【図9】実施例1の車両案内システムによる車両案内の制御処理を示すフローチャートである。
【図10】実施例2の車線変更管理システムの構成を示す説明図である。
【図11】実施例2の車線変更管理システムにより管理される車線変更の様子を示す説明図である。
【図12】実施例2の車線変更管理システムにより管理される車線変更の手順を示す説明図である。
【図13】実施例2の車線変更管理システムに用いられる通信フレームを示す説明図である。
【図14】実施例3のタグ設置部品の巻いた状態を示す説明図である。
【図15】実施例3のタグ設置部品を示す平面図である。
【図16】実施例3のタグ設置装置を示す説明図である。
【図17】実施例3のタグに対するデータの書き込み等の作業を示す説明図である。
【図18】従来技術の説明図である。
【符号の説明】
1,61…車両案内用タグ
3…前方車載アンテナ
5…後方車載アンテナ
7…走行制御装置
8…車載通信機
11…回路基板(プリント基板)
13…スペーサ
15,15a,15b…強化ガラス板
17,80…シール剤
19…マウンティングケース
20…基本構造体
21…パッチアンテナ
27…デジタル回路
31…電池
33…制御素子
35…通信素子
51…直進用タグ
53…車線変更用タグ
55…車線変更管理アンテナ
56…道路側通信機
57…車線変更管理装置
63…タグ設置部品
71…タグ設置装置

Claims (1)

  1. 通信により車両を案内するために、地面に配置される車両案内用タグを用いた車両案内システムであって、
    走行目標ラインに沿って配列された前記車両案内用タグを備えるとともに、
    前記車両側には、
    前記車両案内用タグとの間で情報の送受信可能な通信手段と、
    該通信手段により、前記車両案内用タグに対して、前記情報を前記車両に送信させるための命令を送信する命令手段と、
    該命令に応じて、前記車両案内用タグから前記車両に送信された前記情報に基づいて、前記車両の走行制御を行う走行制御手段と、
    を備え、
    更に、前記通信手段は、中央及びその両側に第1〜第3アンテナを有し、隣接するアンテナにより形成される通信エリア同士が重複するように設定し、かつ前記第1〜第3アンテナの送信信号は1つの周波数を用い、前記両側の第1及び第3アンテナは同一タイミングで送信信号を出力し、前記中央の第2アンテナは、前記第1及び第3アンテナが送信信号を出力しないタイミングで送信信号を出力すると共に、
    前記走行制御手段は、前記第2アンテナのみで前記車両案内用タグからの送信信号を受信した場合には、現走行制御を維持し、前記第1アンテナのみ又は第3アンテナのみで前記車両案内用タグからの送信信号を受信した場合には、前記車両をそれぞれ大きく左又は右に向ける制御を行うと共に、
    前記第1及び第2アンテナのみ又は第2及び第3アンテナのみで前記車両案内用タグからの送信信号を受信した場合には、前記第1アンテナのみ又は第3アンテナのみで前記車両案内用タグからの送信信号を受信した場合に対して前記車両をそれぞれ小さく左又は右に向ける制御を行うことを特徴とする車両案内用タグを用いた車両案内システム。
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