JP3857899B2 - 表面保護フィルム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、金属板、被覆塗装鋼板、合成樹脂板、化粧合板、銘板、ガラス板等の各種材料の表面保護用として好適な表面保護フィルムに関する。尚、本発明で言う表面保護フィルムには、表面保護シートや表面保護テープも包含される。
【0002】

【従来の技術】
従来より、例えば、金属板、被覆塗装鋼板、合成樹脂板、化粧合板、銘板、ガラス板等の各種材料(被保護体)の表面をいわゆる表面保護フィルムで保護(被覆)して、輸送時や加工時、施工時等に発生しがちな表面汚染や表面損傷を防止することが広く行われている。
【0003】
このような表面保護フィルムは、一般に、熱可塑性樹脂フィルムや紙類等からなる支持体(基材)の一方の面に各種粘着剤からなる粘着剤層が形成された構成を有し、使用の際には、表面保護フィルムの粘着剤層が被保護体の表面に仮着され、それによって被保護体の表面を保護し、表面汚染や表面損傷の発生を防止する機能を発揮する。
【0004】
上記粘着剤層の形成方法としては、例えば、溶剤型粘着剤を支持体の所定の面に塗工した後、乾燥工程で溶剤を除去して粘着剤層を形成する方法や、ホットメルト型粘着剤を熱溶融させて支持体の所定の面に塗工した後、常温まで戻して粘着剤層を形成する方法等が広く行われている。
【0005】
しかし、前者の溶剤型粘着剤を用いる方法の場合には、粘着剤を構成する各成分が有機溶剤に可溶性である必要があること、乾燥工程において多量の有機溶剤を除去する必要があるため、設備規模が大きくなること、支持体がポリオレフィン系樹脂からなる場合、概して支持体に対する溶剤型粘着剤の粘着力(密着力)が弱いため、予め支持体の所定の面に例えばコロナ放電処理やプライマー塗工等の表面処理を施す必要が生じる等の問題点がある。また、後者のホットメルト型粘着剤を用いる方法の場合には、凝集力(弾性率)の高いホットメルト型粘着剤は溶融粘度が高くなるため、塗工が困難であること、支持体がポリオレフィン系樹脂からなる場合、概して支持体に対するホットメルト型粘着剤の粘着力が弱いため、予め支持体の所定の面に上記のような表面処理を施す必要が生じる等の問題点がある。
【0006】
上記問題点に対応するため種々の試みがなされており、例えば、特公昭58−30911号公報には、一般式−A−B−A−(但し、Aはホモ重合体として20℃以上のガラス転移温度を有するスチレン重合体ブロックであり、Bは共役ジエン重合体ブロックである)のブロック共重合体ゴム単独あるいは該ゴム100重量部に対し30重量部以下の粘着性付与樹脂を添加してなる常態において特定の接着力を有する接着剤(粘着剤)成分と溶融押出しによりフィルムを形成し得る例えばポリオレフィン系樹脂のような熱可塑性樹脂とを溶融押出しして、フィルム層(支持体)と接着剤層(粘着剤層)とを複合してなる表面保護フィルムの製造方法が開示されている。
【0007】
また、特公平1−26389号公報には、ポリエチレンあるいはポリプロピレンからなる支持体用樹脂と、エチレン共重合体、粘着性付与樹脂および安定剤を含む組成物にスチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−イソプレンブロック共重合体などのスチレン−ジエン系ブロック共重合体を配合してなる粘着剤層用樹脂コンパウンドを共押出する表面保護フィルムの製造方法が開示されている。
【0008】
さらに、特開平1−129085号公報には、ポリオレフィン系樹脂のような熱可塑性樹脂からなる支持体の片面に、一般式A−B−Aのブロック共重合体(但し、Aはスチレン重合体ブロックを示し、Bはブタジエン重合体ブロック、イソプレン重合体ブロックまたはこれらを水素添加して得られるオレフィン重合体ブロックを示す)と、粘着性付与樹脂と、高級アルキル基の導入されたポリエチレンイミンとを混和してなる粘着剤層が形成されている表面保護フィルムが開示されている。
【0009】
しかし、上記公報に開示されている表面保護フィルムは、いずれも表面に凹凸(例えば、中心線平均粗さRa:2μm以上)を有する被保護体に対する粘着力が低く、特に低温(0℃近辺)で貼付する際の粘着力が低いため、特に冬季においては表面に凹凸を有する被保護体からは剥離を生じ易かったり、貼付作業性が低下するという問題点がある。上記問題点に対応する方法として、粘着剤層の層厚を厚くして被保護体表面の凹凸への投錨性(アンカー性)を向上させる方法もあるが、この方法は製造コストが高くなるため、好ましい方法とは言えない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、低温から常温までの広い温度領域において、表面に凹凸を有する被保護体に対しても優れた粘着力や貼付作業性を発現する表面保護フィルムを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の表面保護フィルムは、熱可塑性樹脂からなる支持体の一方の面に、ゴム系ポリマー100重量部に対して、常温で固体の粘着性付与樹脂25〜60重量部および常温で液状の粘着性付与樹脂0.5〜50重量部を含有する粘着剤からなる粘着剤層が形成されてなることを特徴とする。
【0012】
本発明の表面保護フィルムの支持体を構成する熱可塑性樹脂としては、従来から表面保護フィルムの支持体用として慣用されている各種熱可塑性樹脂で良く、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンなどのポリエチレン樹脂;エチレン−エチレン以外のα−オレフィン共重合体;エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−n−ブチルアクリレート共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体などのエチレン−アルキル(メタ)アクリレート共重合体;エチレン−酢酸ビニル共重合体;ポリプロピレン樹脂;プロピレン−プロピレン以外のα−オレフィン共重合体等が挙げられる。上記共重合体は、ランダム共重合体であっても良いし、ブロック共重合体であっても良い。また、これらの熱可塑性樹脂は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0013】
上記α−オレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン等が挙げられる。これらのα−オレフィンは、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0014】
支持体を構成する熱可塑性樹脂には、本発明の課題達成を阻害しない範囲で必要に応じて、例えば、透明性や光沢性を向上させるためにベンジリデンソルビトールのような結晶核剤や、充填剤、増量剤、軟化剤(可塑剤)、界面活性剤、カップリング剤、酸化防止剤(老化防止剤)、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、着色剤、滑剤、帯電防止剤、難燃剤等の各種添加剤の1種類もしくは2種類以上が添加されていても良い。
【0015】
支持体の成形方法としては、例えば、熱可塑性樹脂および必要に応じて添加される各種添加剤からなる熱可塑性樹脂組成物を常法により予め調製した後、この熱可塑性樹脂組成物を押出機にて溶融混練して押出し、Tダイやサーキュラーダイ等を用いて、フィルム状(シート状も含む)に成形する方法や、熱可塑性樹脂組成物を有機溶剤などの溶媒に溶解もしくは分散させた後、キャスト方式でフィルム状に成形する方法、また、熱可塑性樹脂組成物と後述する粘着剤層を形成するために用いられる粘着剤との共押出を行って、支持体の成形と粘着剤層の形成とを同時に一括して行う方法等が挙げられ、いずれの方法が採られても良いが、生産性に優れることから、共押出法を採ることが好ましい。
【0016】
こうして得られる支持体は、単層構成であっても良いし、2層以上の複層構成であっても良い。
【0017】
また、支持体の厚みは、特に限定されるものではないが、20〜100μmであることが好ましい。支持体の厚みが20μm未満であると、得られる表面保護フィルムの強度や用済み後の剥離性が不十分となることがあり、逆に100μmを超えると、得られる表面保護フィルムの柔軟性や被保護体表面の凹凸への追従性が不十分となることがある。
【0018】
本発明の表面保護フィルムを構成する粘着剤層は、ゴム系ポリマー100重量部に対して、常温で固体の粘着性付与樹脂25〜60重量部および常温で液状の粘着性付与樹脂0.5〜50重量部を含有してなる粘着剤から形成される。
【0019】
上記ゴム系ポリマーとしては、従来から表面保護フィルムの粘着剤層用として慣用されている各種ゴム系ポリマーで良く、例えば、天然ゴム;スチレン−ブタジエン共重合ゴム、ポリイソプレンゴム、ブチルゴムなどの合成ゴム;A−B型ブロック共重合体、A−B−A型ブロック共重合体、A−B−C型ブロック共重合体などのブロック共重合体およびこれらの水素添加物等が挙げられる。これらのゴム系ポリマーは、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0020】
本発明においては、上記ゴム系ポリマーのなかでも、A−B型ブロック共重合体、A−B−A型ブロック共重合体およびA−B−C型ブロック共重合体からなる群より選択される少なくとも1種の水素添加されていても良いブロック共重合体が好適に用いられるが、とりわけA−B−C型ブロック共重合体およびその水素添加物が特に好適に用いられる。これらのブロック共重合体は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0021】
上記ブロック共重合体は一般式(A−B)n、(A−B)m−X、(A−B−A)、(A−B−A)m−X、(A−B−C)、(A−B−C)m−Xのいずれかで表される。
【0022】
上記一般式中、Aはビニル芳香族化合物重合ブロックを、Bはビニル芳香族化合物と共役ジエンとのランダム共重合ブロックを、Cはビニル芳香族化合物と共役ジエンの内、ビニル芳香族化合物が漸増するテーパーブロックを示す。また、nは1以上の整数を示し、mは2以上の整数を示し、Xはカップリング残基を示す。
【0023】
上記ビニル芳香族化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、1,1−ジフェニルエチレン等が挙げられるが、なかでもスチレンやα−メチルスチレンが好適に用いられる。これらのビニル芳香族化合物は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0024】
また、上記共役ジエンとは、エチレン結合2個が直接単結合で結合している構造(C=C−C=C)を有する炭化水素であり、例えば、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン等が挙げられるが、なかでもブタジエンやイソプレンが好適に用いられる。これらの共役ジエンは、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0025】
本発明においては、上記ブロック共重合体中におけるビニル芳香族化合物と共役ジエンとの構成比(重量比)が3/97〜50/50であることが好ましく、より好ましくは5/95〜40/60であり、特に好ましくは5/95〜25/75である。
【0026】
ビニル芳香族化合物と共役ジエンとの構成比(重量比)が3/97未満であると、得られる粘着剤(粘着剤層)の凝集力が不十分となって、用済み後の表面保護フィルムを被保護体から剥離する際に被保護体表面に曇りや糊残りを生じることがあり、逆に上記構成比(重量比)が50/50を超えると、得られる粘着剤(粘着剤層)の粘着性(タック)や粘着力が不十分となって、特に表面に凹凸を有する被保護体に対する表面保護フィルムの貼付作業性が阻害されることがある。
【0027】
なお、上記ブロック共重合体を構成するビニル芳香族化合物重合ブロック(A)及び(C)におけるビニル芳香族化合物の合計含量は、2〜20重量%であることが好ましい。
【0028】
上記ランダム共重合ブロック(B)中における共役ジエン部分の二重結合の水素添加率は、80モル%以上であることが好ましく、より好ましくは90モル%以上であり、特に好ましくは95〜100モル%である。
【0029】
上記水素添加率が80モル%未満であると、得られる粘着剤(粘着剤層)の熱安定性や耐候性が不十分となることがある。
【0030】
上記ブロック共重合体は、ポリスチレン換算の重量平均分子量が5万〜40万であることが好ましく、より好ましくは8万〜20万である。
【0031】
上記重量平均分子量が5万未満であると、得られる粘着剤(粘着剤層)の凝集力が不十分となって、用済み後の表面保護フィルムを被保護体から剥離する際に被保護体表面に曇りや糊残りを生じることがあり、逆に上記重量平均分子量が40万を超えると、得られる粘着剤(粘着剤層)の粘着性や粘着力が不十分となって、特に表面に凹凸を有する被保護体に対する表面保護フィルムの貼付作業性が阻害されることがある。
【0032】
本発明で用いられる粘着剤に含有される常温で固体の粘着性付与樹脂としては、例えば、脂肪族系石油樹脂、脂環族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、フェノール系樹脂、キシレン系樹脂、クマロンインデン系樹脂およびこれらの水素添加物等が挙げられる。これらの常温で固体の粘着性付与樹脂は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0033】
上記常温で固体の粘着性付与樹脂は、軟化点が100〜150℃であることが好ましい。軟化点が100℃未満であると、得られる粘着剤(粘着剤層)の耐熱性が不十分となることがあり、逆に150℃を超えると、得られる粘着剤(粘着剤層)のガラス転移点が上昇して、被保護体に対する表面保護フィルムの低温時における粘着力や貼付作業性が不十分となることがある。
【0034】
本発明で用いられる粘着剤においては、前記ゴム系ポリマー100重量部に対して、上記常温で固体の粘着性付与樹脂25〜60重量部が含有されていることが必要であり、好ましくは30〜50重量部である。
【0035】
上記含有量が25重量部未満であると、得られる粘着剤(粘着剤層)の被保護体に対する粘着性や粘着力が不十分となることがあり、逆に60重量部を超えると、得られる粘着剤(粘着剤層)の弾性率が高くなりすぎて、被保護体に対する表面保護フィルムの低温時における粘着力や貼付作業性が不十分となることがある。
【0036】
本発明で用いられる粘着剤に含有される常温で液状の粘着性付与樹脂としては、例えば、液状ロジン系樹脂、液状テルペン系樹脂、液状キシレン系樹脂、液状脂環族系石油樹脂およびこれらの水素添加物等が挙げられる。これらの常温で液状の粘着性付与樹脂は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0037】
上記液状ロジン系樹脂としては、例えば、ガムロジン、ウッドロジン、二量化ロジン、重合ロジン、不均化ロジンおよびこれらの水素添加物等の各液状体が挙げられる。
【0038】
また、上記液状テルペン系樹脂としては、例えば、テルペン樹脂、テルペン−フェノール共重合体、テルペン−スチレン共重合体およびこれらの水素添加物等の各液状体が挙げられる。
【0039】
上記常温で液状の粘着性付与樹脂は、25℃における粘度が5〜100Pa・sであることが好ましく、より好ましくは10〜50Pa・sである。常温で液状の粘着性付与樹脂の上記粘度が5Pa・s未満であると、粘着性付与樹脂の分子量が低すぎて、得られる粘着剤(粘着剤層)から粘着性付与樹脂が経時的にブリードアウトし、被保護体の表面を汚染することがあり、逆に100Pa・sを超えると、得られる粘着剤(粘着剤層)の低温時における弾性率が十分に低下せず、被保護体に対する表面保護フィルムの低温時における粘着力や貼付作業性が不十分となることがある。
【0040】
本発明で用いられる粘着剤においては、前記ゴム系ポリマー100重量部に対して、上記常温で液状の粘着性付与樹脂0.5〜50重量部が含有されていることが必要であり、好ましくは1〜40重量部である。
【0041】
上記含有量が0.5重量部未満であると、得られる粘着剤(粘着剤層)の粘着性や被保護体に対する低温時における粘着力が不十分となることがあり、逆に50重量部を超えると、得られる粘着剤(粘着剤層)から粘着性付与樹脂が経時的に著しくブリードアウトして、被保護体に対する粘着力や粘着剤層の凝集力が低下したり、被保護体の表面を汚染することがある。
【0042】
本発明で用いられる粘着剤には、必須成分であるゴム系ポリマー、常温で固体の粘着性付与樹脂および常温で液状の粘着性付与樹脂以外に、本発明の課題達成を阻害しない範囲で必要に応じて、例えば、剥離性調整剤、充填剤、増量剤、軟化剤(可塑剤)、界面活性剤、カップリング剤、酸化防止剤(老化防止剤)、光安定剤、紫外線吸収剤、着色剤、滑剤、帯電防止剤、難燃剤等の各種添加剤の1種類もしくは2種類以上が添加されていても良い。
【0043】
上記粘着剤の形態は、特に限定されるものではなく、例えば、溶剤型粘着剤、エマルジョン型粘着剤、ホットメルト型粘着剤等のいずれの形態であっても良い。又、上記粘着剤は、非架橋型粘着剤であっても良いし、架橋型粘着剤であっても良く、1液型粘着剤であっても良いし、2液以上の多液型粘着剤であっても良い。
【0044】
本発明の表面保護フィルムの作製方法としては、例えば、ロールコーター等の通常の塗工機を用いて、前記支持体の所定の面に粘着剤を直接的に塗工し、必要に応じて乾燥や冷却等の工程を経て、粘着剤層を形成した後、必要に応じて離型紙や離型フィルム等の離型材の離型処理面を粘着剤層に積層する直接塗工法、離型材の離型処理面に上記と同様の方法で粘着剤層を形成した後、この粘着剤層を支持体の所定の面に積層して、粘着剤層を支持体の所定の面に転写する転写法、支持体の所定の面に粘着剤を押出しラミネートして粘着剤層を形成する押出ラミネート法、支持体用の熱可塑性樹脂と粘着剤層用の粘着剤との共押出を行って、支持体の成形と粘着剤層の形成とを同時に一括して行う共押出法等が挙げられ、いずれの方法が採られても良いが、生産性に優れることから、共押出法を採ることが好ましい。尚、支持体の所定の面には、粘着剤層の密着性をより高めるために、予めコロナ放電処理、プラズマ放電処理、プライマー塗工等の表面処理が施されていても良い。
【0045】
本発明の表面保護フィルムを構成する粘着剤層は、周波数10Hzでの剪断貯蔵弾性率が0℃において15MPa以下であることが好ましい。上記剪断貯蔵弾性率が15MPaを超えると、表面に凹凸を有する被保護体に対する表面保護フィルムの低温時における粘着力が不十分となることがある。また、上記粘着剤層は、周波数10Hzでの剪断貯蔵弾性率が23℃において0.2〜0.9MPaであることが好ましい。
【0046】
上記粘着剤層の厚みは、特に限定されるものではないが、3〜50μmであることが好ましい。粘着剤層の厚みが3μm未満であると、得られる表面保護フィルムの粘着性や粘着力が不十分となることがあり、逆に50μmを超えると、得られる表面保護フィルムを用済み後に被保護体から剥離する際に被保護体表面に曇りや糊残りを生じることがある。
【0047】
【発明の実施の形態】
本発明をさらに詳しく説明するため以下に実施例を挙げるが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0048】
(実施例1)
支持体用の熱可塑性樹脂としてポリエチレン樹脂(商品名「ミラソン16」、メルトフローレート:3.7g/10分、三井化学社製)を準備した。また、ゴム系ポリマーとしてA−B−C型ブロック共重合体(全スチレン結合含量:10重量%、ブロックAおよびブロックCのスチレン結合含量:4.5重量%、ブロックB中の共役ジエン部分のビニル結合含量:80重量%、重量平均分子量:25万)100重量部、常温で固体の粘着性付与樹脂として脂環族系水添石油樹脂(商品名「アルコンP100」、荒川化学工業社製)40重量部、常温で液状の粘着性付与樹脂(商品名「クリアロンLH」、25℃における粘度:13Pa・s、ヤスハラケミカル社製)5重量部および酸化防止剤(商品名「イルガノックス1010」、チバスペシャルティケミカルズ社製)1重量部からなる粘着剤層用の粘着剤ペレットを調製した。
【0049】
次いで、共押出機(Tダイ法)を用いて、支持体用のポリエチレン樹脂「ミラソン16」と上記で得られた粘着剤層用の粘着剤ペレットとの2層共押出を行って、支持体の厚みが50μm、粘着剤層の厚みが10μm、全厚みが60μmの表面保護フィルムを作製した。
【0050】
(実施例2および実施例3)ならびに(比較例1〜比較例3)
粘着剤層用の粘着剤ペレットを表1に示す組成としたこと以外は実施例1の場合と同様にして、表面保護フィルムを作製した。
【0051】
実施例1〜実施例3および比較例1〜比較例3で得られた表面保護フィルムの粘着剤層の周波数10Hzでの0℃における剪断貯蔵弾性率を以下の方法で求めた。その結果は表1に示した。
〔剪断貯蔵弾性率の測定方法〕
動的粘弾性スペクトル測定器(岩本製作所社製)を用いて、周波数:10Hz、昇温速度:3℃/分、温度領域:−50℃〜+120℃の条件で剪断貯蔵弾性率を測定し、0℃における剪断貯蔵弾性率を求めた。
【0052】
また、上記表面保護フィルムの性能(▲1▼0℃における粘着力、▲2▼23℃における粘着力)を以下の方法で測定した。その結果は表1に示した。
【0053】
▲1▼0℃における粘着力:被保護体として塩ビラミネート鋼板−I(中心線平均粗さRa:7.4μm、表面グロス:4%)および塩ビラミネート鋼板−II(中心線平均粗さRa:4.2μm、表面グロス:7%)の2種類を準備し、0℃の雰囲気下において、上記2種類の被保護体に幅25mmの表面保護フィルムを2kgの圧着ローラーを用いて300mm/分の速度で貼り付け、60分間放置した後、JIS Z 0237「粘着テープ・粘着シート試験方法」に準拠して、180度角剥離強度を測定した。
【0054】
▲2▼23℃における粘着力:▲1▼の場合と同様の操作を23℃−65%RHの雰囲気下で行って、180度角剥離強度を測定した。
【0055】
【表1】
Figure 0003857899
【0056】
【発明の効果】
本発明の表面保護フィルムは、熱可塑性樹脂からなる支持体の一方の面に粘着剤層が形成されてなり、上記粘着剤層は、特定量のゴム系ポリマーに対して、粘着性付与樹脂として常温で固体の粘着性付与樹脂と常温で液状の粘着性付与樹脂とが併用され、その各特定量が含有されてなる粘着剤から形成されているので、低温から常温までの広い温度領域において、表面に凹凸を有する被保護体に対しても優れた粘着力や貼付作業性を発現する。
【0057】
また、上記ゴム系ポリマーとしてA−B型ブロック共重合体、A−B−A型ブロック共重合体およびA−B−C型ブロック共重合体からなる群より選択される少なくとも1種の水素添加されていても良いブロック共重合体を用い、また、上記常温で液状の粘着性付与樹脂として25℃において特定の粘度を有する粘着性付与樹脂を用い、あるいは、粘着剤層の0℃における剪断貯蔵弾性率(周波数10Hz)を特定の値とすることにより、上記性能は一段と向上する。
【0058】
以上述べたように、本発明の表面保護フィルムは、低温から常温までの広い温度領域において、表面に凹凸を有する被保護体に対しても優れた粘着力や貼付作業性を発現するので、例えば、金属板、被覆塗装鋼板、合成樹脂板、化粧合板、銘板、ガラス板等の各種材料(被保護体)の表面保護(表面被覆)用として好適に用いられる。

Claims (3)

  1. 熱可塑性樹脂からなる支持体の一方の面に、ゴム系ポリマー100重量部に対して、常温で固体の粘着性付与樹脂30〜50重量部および常温で液体であって25℃における粘度が5〜100Pa・sである粘着付与樹脂1〜40重量部を含有する粘着剤からなる粘着剤層が形成されてなることを特徴とする表面保護フィルム。
  2. ゴム系ポリマーが、A−B型ブロック共重合体、A−B−A型ブロック共重合体およびA−B−C型ブロック共重合体(但し、Aはビニル芳香族化合物重合ブロックを、Bはビニル芳香族化合物と共役ジエンとのランダム共重合ブロックを、Cはビニル芳香族化合物と共役ジエンの内、ビニル芳香族化合物が漸増するテーパーブロックを示す)からなる群より選択される少なくとも1種の水素添加されていても良いブロック共重合体であり、かつ、上記水素添加前のブロック共重合体中におけるビニル芳香族化合物と共役ジエンとの構成比(重量比)が3/97〜50/50であることを特徴とする請求項1に記載の表面保護フィルム。
  3. 粘着剤層の周波数10Hzでの剪断貯蔵弾性率が0℃において15MPa以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の表面保護フィルム。
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