JP3822118B2 - 毛髪化粧料 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は毛髪への塗布時の伸び、なじみが良く、髪にまとまりを与え、不自然な艶がなく、塗布後には、再整髪性に優れ、ドライヤー等の熱から毛髪を守る効果に優れた毛髪化粧料に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、整髪用の毛髪化粧料としてヘアージェル、ヘアークリーム、ヘアーフォーム、ヘアーローションなどが使用されている。これらの毛髪化粧料は一般に整髪成分として、シリコーン油、エステル油、炭化水素油などの油分や、被膜形成能を有する高分子化合物を可溶化、分散または乳化して配合している。しかしながら、シリコーン油に代表される液状油分では、艶の付与には優れるものの、毛髪に対するセット保持性(まとまり)が乏しく、不十分であり、ロウ類に代表される固形またはペースト状の油剤はセット保持性(まとまり)には優れるものの塗布時ののび、なじみが悪く塗布しづらいという欠点があった。また、液状油分を毛髪化粧料中に多量に配合すると、てかてかした不自然な艶がでてしまう傾向にあった。一方、皮膜形成能を有する高分子化合物は、セット保持性(まとまり)に優れているが、ごわつきがあり、しなやかさに欠けるものであり外観上不自然な髪型になりやすく、また、一度形成された皮膜がくずれてしまうと再整髪が困難であるという欠点があった。
【0003】
近年、ヘアスタイルの流行の変化、多様化により自然な仕上がり求められている。自然な仕上がりとは、外観上毛髪化粧料を使用していないかのように見えることであり、てかてかした不自然な艶がないことが特に重視されている。また、近年素早く整髪を行うためにドライヤーを使用する場合が多くなっている。ドライヤーの熱風は約60℃程度あり、使用方法、使用時間により80℃程度まで毛髪が加温される場合がある。毛髪を加温し、連用する場合髪内部のタンパク質が熱により変質し、枝毛、切れ毛、変色などのダメージが現れる。このような熱によるダメージを防ぐ効果をもつ毛髪化粧料が望まれている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明の目的は、毛髪への塗布時の伸び、なじみが良く、髪にまとまりを与え、不自然な艶がなく、塗布後には、再整髪性に優れ、ドライヤー等の熱から毛髪を守る効果に優れた毛髪化粧料を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための、本発明の請求項1は、
(A)分子量350万〜700万のポリアクリル酸ナトリウム
(B)固形またはペースト状油分
(C)液状油分
(D)アニオン性界面活性剤または非イオン性界面活性剤を含有することを特徴とする毛髪化粧料である。
【0006】
また、本発明の請求項2は更に(E)多価アルコールを含有することを特徴とする請求項1に記載の毛髪化粧料である。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の構成を詳述する。
【0008】
本発明に使用する(A)成分の分子量350万〜700万のポリアクリル酸ナトリウムはアクリル酸ナトリウムを過硫酸アンモニウムなどの触媒を用いて重合することで得られる。本発明においてはその分子量が350万〜700万の範囲にあることが必要であり、分子量が350万未満であると、毛髪化粧料に配合しても、好適なのびを得ることができず、また分子量が700万を越えると、なじみが悪くなる。
【0009】
本発明における(A)分子量350万〜700万のポリアクリル酸ナトリウムの好ましい配合量としては、化粧料の組成物全量に対して0.005〜1.0質量%(以下、単に%と略す)が好ましく、更に好ましくは0.01〜0.5%である。配合量が0.005%未満であると、塗布時ののびの面で劣る場合がある。また、配合量が1.0%を越えると、なじみの面で劣る場合がある。
【0010】
本発明に使用する(B)成分の固形またはペースト状の油分としては、一般に化粧料に用いられるものの中から選択され特に限定はないが、例えば、硬化油、モクロウ、蜜ロウ、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、鯨ロウ、ラノリン、パラフィンロウ、マイクロクリスタリンワックス、オゾケライト、ワセリン、モノヒドロキシステアリン酸硬化ヒマシ油、ステアリン酸(アルカリ塩は除く)、ミリスチン酸(アルカリ塩は除く)、シア脂、トリ(カプリル・カプリン・ミリスチン・ステアリン酸)グリセリド、セタノール,ステアリルアルコール、ステアリン酸ブチル、乳酸セチル、ジペンタエリトリット脂肪酸エステル、コレステロール、フィトステロール等が挙げられ、室温(25℃)で固形又はペースト状の物を選択して用いる。ぺースト状の油分の方が再整髪性の面で固形油分より優れており、この中でもワセリン、モノヒドロキシステアリン酸硬化ヒマシ油、トリ(カプリル・カプリン・ミリスチン・ステアリン酸)グリセリド、ジペンタエリトリット脂肪酸エステルが最も好適に用いられる。
【0011】
これらの固形またはペースト状の油分は1種又は2種以上を混合して用いることができ、その好ましい配合量としては、0.1〜40.0%であり、1.0〜20.0%が特に好ましい。配合量が0.1%未満では髪のまとまりや熱から髪を守る効果に不十分な場合が、40.0%を超えて配合すると毛髪化粧料のなじみに欠ける場合がある。
【0012】
本発明における(C)成分の液状油分は、例えば、オリーブ油、ヤシ油、サフラワー油、ヒマシ油、綿実油等の油脂類、流動パラフィン、スクワラン、揮発性イソパラフィン等の炭化水素油類、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール等のアルコール類、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等のシリコーン油類、ミリスチン酸イソプロピル等のエステル類などが挙げられ、それぞれ単独でまたは2種以上を混合して使用することができ、その配合量としては、化粧料の組成物全量に対して0.5〜25.0%が好ましく、更に好ましくは1.0〜20.0%である。上記液状油分の配合量が0.5%未満であると、髪のまとまりや再整髪性が損なわれる場合がある。また、配合量が25.0%を越える場合、不自然な艶がでてしまう傾向にある。
【0013】
本発明で用いられる(D)成分のアニオン性界面活性剤としては、脂肪酸石けん、アルキル硫酸塩型界面活性剤、アルキルエーテル硫酸塩型界面活性剤、オレフィンスルホン酸塩型界面活性剤、リン酸エステル型界面活性剤、アルキルエーテルカルボン酸塩型界面活性剤、アミノ酸塩型界面活性剤(サルコシン塩型、β−アラニン塩型、グルタミン酸塩型、アスパラギン酸塩型等)、スルホコハク酸塩型界面活性剤、タウリン型界面活性剤等が挙げられる。また、非イオン性界面活性剤としては、例えばソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンフィトステロール、ポリオキシエチレンフィトスタノール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンラノリン、ポリオキシエチレンラノリンアルコール、ポリオキシエチレンミツロウ誘導体、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルフェニルホルムアルデヒド縮合物単一鎖長ポリオキシエチレンアルキルエーテル、アルキルグルコシド、ポリオキシアルキレンアルキルグルコシド等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上が用いられる。また、アニオン性界面活性剤と非イオン性界面活性剤を併用すると、塗布時ののびやなじみがより向上する。
【0014】
本発明の(D)成分のアニオン性界面活性剤及び/または非イオン性界面活性剤の好ましい配合量は、化粧料の組成物全量に対して0.1〜10.0%が好ましく、更に好ましくは1.0〜5.0%である。上記アニオン性界面活性剤及び/または非イオン性界面活性剤の配合量が好適な範囲でないと塗布時ののびやなじみの面で劣る場合がある。
【0015】
本発明において更に(E)多価アルコールを配合すると、毛髪化粧料の塗布時ののび、なじみが向上する。
【0016】
本発明における(E)成分の多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、エチレングリコール、ポリエチレングリコール(平均分子量が1000以下)、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、ソルビトール、マンニトール等が挙げられる。
【0017】
尚、本発明における(E)成分の多価アルコールは、それぞれ単独でまたは2種以上を混合して使用することができ、その配合量としては、化粧料の組成物全量に対して0.05〜20.0%が好ましく、更に好ましくは0.1〜10.0%である。上記多価アルコールの配合量が0.05%未満であると、塗布時ののび、なじみの向上が得られにくく、また、配合量が20.0%を越える場合、不自然な艶を生じる場合がある。
【0018】
本発明において、発明の効果を損なわない範囲であれば、上記必須成分の他に、両性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ガム質、高分子化合物、低級アルコール類、噴射剤、防腐剤、キレート剤、酸化防止剤、pH調整剤、色素、香料等を配合することも可能である。
【0019】
本発明の毛髪化粧料は、ヘアージェル、ヘアークリーム、ヘアフォーム、ヘアリキッド、ヘアスプレー等の各種剤型に応用でき、整髪料、ヘアートリートメント、ヘアリンスとして用いることが出来るが、整髪料として用いると最も効果を発現させやすい。
【0020】
【実施例】
以下に実施例、比較例を挙げて本発明を説明する。本発明は、これらにより限定されるものではない。
【0021】
実施例、比較例に示した官能試験の試験方法は下記の通りである。尚、以下の表に示す組成物の配合量は、それぞれ%で示す。
【0022】
(1)官能試験
20名の被験者によって毛髪化粧料の試料を使用した。その後被験者本人が、毛髪化粧料の塗布時ののび、なじみ、まとまり、艶、再整髪性について官能評価した。評価基準は、以下の通りである。
【0023】
◎:非常に良好 良いと答えた被験者の数が18人以上
○:良好 良いと答えた被験者の数が12人以上、18人未満
△:やや悪い 良いと答えた被験者の数が8人以上、12人未満
×:悪い 良いと答えた被験者の数が8人未満
【0024】
(2)毛髪損傷防止効果
パーマネントウェーブや染毛を行っていない日本人毛1.5g(長さ15cm)の毛束に毛髪化粧料の試料を0.5g塗布し、ドライヤーで熱をかけながらブラッシングを10分間行った。その後毛束を洗浄し、これを1サイクルとする。10サイクル後の枝毛発生量を処理前と比較し評価した。
【0025】
評価基準は、以下の通りである。
◎:枝毛の増加が認められない
○:枝毛の増加がほどんど認められない
△:枝毛の増加がやや認められる
×:枝毛の増加が多い
【0026】
実施例1〜11、比較例1〜4
表1に示した処方の毛髪化粧料を常法により作製し、前記各試験を実施した。その結果を表1に併せて示す。
【0027】
【表1】
【0028】
表1より明らかなように本発明の成分を用いた実施例の毛髪化粧料はいずれも優れた性能を有していた。一方、必須成分のいずれかを欠いた比較例では、塗布時の伸び、なじみ、髪のまとまり、艶のなさ、再整髪性、ドライヤー等の熱から毛髪を守る効果のいずれかの面で劣っており、本発明の目的を達成できなかった。尚、比較例4では試料の調製が不可能であった。
【0029】
【0030】
上記組成の毛髪化粧料(ヘアクリーム)を常法により調製し、評価したところ、塗布時ののび、なじみ、髪のまとまり、艶のなさ、再整髪性、ドライヤー等のんつから毛髪を守る効果のいずれ面においても優れていた。
【0031】
【0032】
上記組成の原液95%に対し、液化石油ガス(0.4MPa、25℃)を5%を噴射剤として耐圧容器に充填し毛髪化粧料(ヘアフォーム)を調製し、評価したところ、整髪保持効果、塗布時ののび、艶の付与、再整髪性、保存安定性のいずれ面においても優れていた。
【0033】
尚、上記の実施例12及び実施例13において使用した香料の組成は表2に示す。
【0034】
【表2】
【0035】
【発明の効果】
上記の如く、本発明は、毛髪への塗布時の伸び、なじみが良く、髪にまとまりを与え、不自然な艶がなく、塗布後には、再整髪性に優れ、ドライヤー等の熱から毛髪を守る効果に優れた毛髪化粧料を提供するものである。
Claims (3)
- 下記(A)〜(D)を含有することを特徴とする毛髪化粧料。
(A)分子量350万〜700万のポリアクリル酸ナトリウム
(B)固形またはペースト状油分
(C)液状油分
(D)アニオン性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤 - 下記(A)〜(D)を含有することを特徴とする毛髪化粧料。
(A)分子量350万〜700万のポリアクリル酸ナトリウム 0.005〜1質量%
(B)固形またはペースト状油分 0.1〜40質量%
(C)液状油分 1〜20質量%
(D)アニオン性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤 1〜5質量% - 更に、(E)多価アルコールを含有する請求項1又は2に記載の毛髪化粧料。
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