JP3819157B2 - 光学装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は光学装置に関し、特にたとえばケース内に収容された半導体レーザから出射されたレーザ光をケースに設けられた窓を通してコリメータレンズに与えるようにした、レーザビームプリンタやディジタルPPC等のような光学装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図6に示すこの種の従来の光学装置としてのレーザビームプリンタ1は、半導体レーザユニット2から出射されたレーザ光をコリメータレンズ3,シリンダレンズ4,ポリゴンミラー5,fθレンズ6aおよび6b,反射ミラー7等を通して感光体ドラム8に照射して静電潜像を形成し、この静電潜像をトナー現像した後、トナー像を記録紙に転写するものである。
【0003】
このレーザビームプリンタ1に適用される半導体レーザユニット2は、図7に示すように、窓2aを有するケース2bを含み、ケース2b内には、ヒートシンク2cが設けられる。そして、ヒートシンク2cの側面にはサブマウント2dを介して半導体レーザ2eが取り付けられ、窓2aの内側にはガラス等のような透明材料からなるカバー2fが装着される。また、コリメータレンズ3は、鏡筒3aの一方端部に取り付けられ、鏡筒3aの他方端部は半導体レーザユニット2の窓2aに臨まされる。したがって、半導体レーザ2eから出射されたレーザ光は、窓2aおよび鏡筒3aを通してコリメータレンズ3に与えられ、さらにシリンダレンズ4を通してポリゴンミラー5に与えられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来技術では、半導体レーザ2eから出射されたレーザ光が窓2aおよび鏡筒3aを通してコリメータレンズ3に与えられていたため、レーザ光の一部が窓2aや鏡筒3aの内面で反射されて、本来の経路からずれて感光体ドラム8に与えられるおそれがあった。そして、たとえば、レーザ光の一部がポリゴンミラー5からずれて駆動モータ5a等で反射された場合には、そのレーザ光は感光体ドラム8に対して静止ビームとなるため、不所望な印字(縦の直線)を生じるおそれがあった。
【0005】
それゆえにこの発明の主たる目的は、トラブル光による不所望な印字を防止して画質を向上できる、光学装置を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明は、半導体レーザと、半導体レーザを収容するかつ半導体レーザから出射されたレーザ光を通す窓を有するケースと、窓を通過したレーザ光を平行光束化するコリメータレンズと、半導体レーザとコリメータレンズとの間に窓を通過したレーザ光を通すピンホールを有する遮光部材と、平行光束化されたレーザ光を主走査方向へ偏向する偏向器と、偏向されたレーザ光を走査面上に集光する集光器とを備える、光学装置において、ピンホールの内面で反射された後にコリメータレンズに直接入射するレーザ光を全て偏向器に与えることを特徴とする、光学装置である。
【0007】
【作用】
半導体レーザの光軸から所定の角度以上に拡がったレーザ光や、ケースに設けられた窓の内面で反射されたレーザ光の大部分は遮光部材のピンホールを通過しない。また、窓の内面やピンホールの内面で反射されたレーザ光の大部分は反射により減衰される。さらに、ピンホールの内面で反射された後にコリメータレンズに直接入射するレーザ光は、偏向器によって全て主走査方向に偏向されるので、走査面上の一点に集光されることを防止できる。したがって、不所望な印字の原因となるトラブル光は生じない。
【0008】
【発明の効果】
この発明によれば、不所望な印字を防止できるので、画質を向上できる。
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【0009】
【実施例】
図1に示すこの実施例の光学装置としてのレーザビームプリンタ10は、感光体ドラム12の表面を走査するための走査部14,感光体ドラム12の表面に形成された静電潜像をトナー現像するための現像装置およびトナー像を記録紙に転写するための転写装置等を含む。ただし、現像装置および転写装置は周知のものをそのまま適用できるため、図示および説明は省略する。
【0010】
走査部14は、半導体レーザユニット16を含み、半導体レーザユニット16から出射されたレーザ光がコリメータレンズ18,シリンダレンズ20,ポリゴンミラー22,fθレンズ24aおよび24b,反射ミラー26を通して感光体ドラム12の表面に集光される。
半導体レーザユニット16は、図2に示すように、窓28を有するケース30を含み、ケース30内には、ヒートシンク32が設けられる。そして、ヒートシンク32の側面にはサブマウント34を介して半導体レーザ36が取り付けられ、窓28の内側にはガラス等のような透明材料からなるカバー38が装着される。
【0011】
コリメータレンズ18は、図3に示すように、鏡筒40の一方端部に固定され、コリメータレンズ18の入射側の面にはビームスポット形状を規定するための楕円形のビームアパーチャ42が設けられる。そして、鏡筒40の他方端部は半導体レーザユニット16の窓28に臨まされ、鏡筒40(コリメータレンズ18)と半導体レーザユニット16との間にはトラブル光を遮断するための遮光部材44が設けられる。
【0012】
遮光部材44は、図2に示すように、プラスチック等からなる円盤状の本体46を含み、本体46の中央部にはピンホール48が形成される。また、本体46の半導体レーザユニット16側の側面には円錐状に傾斜された反射面50が形成される。なお、このような遮光部材44は、光を吸収し易くするために黒色材料で形成されることが望ましいが、黒色の塗料で塗装されてもよい。
【0013】
このようなレーザビームプリンタ10において、半導体レーザ36に電流を付与すると、その端面から楕円形断面のレーザ光が出射され、このレーザ光が、窓28,ピンホール48,鏡筒40を通してコリメータレンズ18に与えられ、コリメータレンズ18によって平行光束化される。そして、平行光束化されたレーザ光がシリンダレンズ20を通してポリゴンミラー22に与えられ、ポリゴンミラー22によって主走査方向へ偏向される。さらに、偏向されたレーザ光がfθレンズ24aおよび24bならびに反射ミラー26を通して感光体ドラム12の表面に集光されて、その表面に静電潜像が形成される。そして、この静電潜像が図示しない現像装置によってトナー現像された後、トナー像が図示しない転写装置によって記録紙上に転写される。
【0014】
半導体レーザ36から出射されたレーザ光がコリメータレンズ18に直接与えられた場合には、そのレーザ光(以下、「主レーザ光」という。)はシリンダレンズ20を通してポリゴンミラー22の反射面に正確に入射されて偏向される。しかし、半導体レーザ36から出射されたレーザ光は、半導体レーザ36の光軸Aに対して所定の角度で拡がって出射されるため、その一部は、遮光部材44の反射面50で反射されて、光軸Aから遠ざかる方向へ逃がされる。また、他の一部は、窓28やピンホール48の内面で反射されながらコリメータレンズ18へ向けて進行する。
【0015】
後者の場合、反射回数が2回以上になれば、反射による減衰効果によってレーザ光の強度が大幅に弱まるため、トラブル光の問題はほとんど生じなくなるが、たとえば図4に示すように、ピンホール48の内面で1回だけ反射された場合には、そのレーザ光(以下、「反射レーザ光」という。)は十分には減衰されず、しかも、主ビームに対してθ〔θ=tan-1(a/2f)、a:ピンホール48の口径、f:コリメータレンズ18の焦点距離〕の角度でずれて進行するため、従来と同様に、ポリゴンミラー22の駆動モータ22a等で反射されて感光体ドラム12の表面に静止ビームとして集光されるおそれがある。
【0016】
そこで、この実施例では、反射レーザ光の全てがポリゴンミラー22の反射面に入射され得るように、コリメータレンズ18とポリゴンミラー22との距離やポリゴンミラー22における反射面のサイズ等が設定される。このように設定すると、反射レーザ光の全てが主走査方向へ偏向されるので、反射レーザ光が感光体ドラム12の表面の一点に集光されるのを防止でき、1回の反射によってある程度減衰されることと相まって、不所望な印字を防止できる。
【0017】
また、遮光部材44におけるピンホール48の口径を大きくし過ぎると、トラブル光を遮断する効果を十分に発揮できず、一方、ピンホール48の口径を小さくし過ぎると、主レーザ光もが遮断されてしまうため、十分な解像度を得ることができない。そこで、この実施例では、解像度の低下を招くことなくトラブル光を確実に遮断し得るように、ピンホール48の口径aがピンホール48の位置における主レーザ光のスポット径b(図2)の2倍以上で、かつ窓28の口径c以下になるように設定される(2b≦a≦c)。この条件は、発明者等が実験により求めたものである。
【0018】
なお、図5は、スポット径bを0.1mmとし、窓28の口径cを1.6mmとし、コリメータレンズ18の先方に仮想像面を配置した場合における、ピンホール48の口径と仮想像面上のスポット形状との関係を示したものである。図5からも、2b≦aの条件を満足するときに十分な解像度を得られることがわかる。
【0019】
この実施例によれば、トラブル光による不所望な印字を防止できるので、画質を向上できる。
なお、上述の実施例では、この発明をレーザビームプリンタに適用した場合を示したが、この発明は、ディジタルPPC等のような他の光学装置にも同様に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例を示す図解図である。
【図2】半導体レーザユニットと遮光部材とを示す図解図である。
【図3】レーザ光の経路を示す図解図である。
【図4】反射レーザ光の経路を示す図解図である。
【図5】ピンホールの口径とスポット形状との関係を示す図解図である。
【図6】従来技術を示す図解図である。
【図7】従来技術におけるレーザ光の経路を示す図解図である。
【符号の説明】
10 …レーザビームプリンタ
12 …感光体ドラム
16 …半導体レーザユニット
18 …コリメータレンズ
20 …シリンダレンズ
22 …ポリゴンミラー
24a,24b …fθレンズ
26 …反射ミラー
28 …窓
40 …鏡筒
42 …ビームアパーチャ
44 …遮光部材
48 …ピンホール
50 …反射面

Claims (3)

  1. 半導体レーザと、前記半導体レーザを収容するかつ前記半導体レーザから出射されたレーザ光を通す窓を有するケースと、前記窓を通過した前記レーザ光を平行光束化するコリメータレンズと、前記半導体レーザと前記コリメータレンズとの間に前記窓を通過した前記レーザ光を通すピンホールを有する遮光部材と、平行光束化された前記レーザ光を主走査方向へ偏向する偏向器と、偏向された前記レーザ光を走査面上に集光する集光器とを備える、光学装置において、
    前記ピンホールの内面で反射された後に前記コリメータレンズに直接入射する前記レーザ光を全て前記偏向器に与えることを特徴とする、光学装置。
  2. 前記遮光部材における前記ピンホールの周囲に前記レーザ光を光軸から遠ざかる方向へ反射する反射面を設けた、請求項1記載の光学装置。
  3. 前記ピンホールの口径は、半導体レーザから前記コリメータレンズへ直接与えられる前記レーザ光の前記ピンホール位置におけるスポット径の2倍以上に設定される、請求項1または2記載の光学装置。
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