【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は可変圧縮比エンジンに関し、特に圧縮比制御に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両の動力用等のエンジンにおいて、運転状態に応じて適正な圧縮比に制御してエンジン性能の向上を図った可変圧縮比エンジンが知られている。
【0003】
圧縮比を調整する可変圧縮比機構として特開昭62−35033号公報記載のものがある。これは、ピストンのシリンダ内上下往復動をクランクシャフトの回転運動に変換するコンロッドがクランクシャフトとピストンとの間でく字状に屈曲可能に構成される。コンロッドの屈曲部には、支軸を中心に揺動するコントロールロッドが先端部にて係合し、コンロッド屈曲部はコントロールロッドの揺動範囲内で軌跡を描く。コントロールロッドの上記支軸を変位せしめることで、コンロッド屈曲部の軌跡を調整し、ピストンの実質的なストロークを制御し圧縮比の変更を可能としている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このように屈曲可能なコンロッドとコントロールロッドを備えた機構の場合、コンロッドからコントロールロッドにその長手方向に圧縮力もしくは引張力が作用し、この作用力により、コントロールロッドを支持する上記支軸が大きな反力を受けるおそれがあり、支軸の変位機構に大きな駆動力を出力可能な駆動装置が必要になる。
【0005】
本発明は上記実情に鑑みなされたもので、支軸の変位時に大きな駆動力を要しない可変圧縮比エンジンを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明では、コンロッドの屈曲部の軌跡を規定するコントロールロッドを揺動自在に軸支する支軸を現位置から指令圧縮比に応じた所定位置に変位せしめる制御手段を次の構成とする。すなわち、上記コントロールロッドから上記支軸が受ける作用力が、上記指令圧縮比に基づいて設定された上記支軸の変位方向と逆方向で所定の大きさ以上の時に、上記支軸を駆動する駆動手段を非作動とする構成とする。
【0007】
上記コントロールロッドから上記支軸が受ける作用力が、上記支軸の駆動に対してアシストする方向の時や駆動手段にとり大きな負担にならない小さな力の時にのみ駆動手段が作動するので、支軸の変位時に大きな駆動力を要しない。
【0008】
請求項2記載の発明では、請求項1の発明の構成において、上記制御手段を、上記コントロールロッドの長手方向の歪みを検出する歪み検出手段を具備し、検出された上記歪みに基づいて上記コントロールロッドから上記支軸が受ける作用力を求める構成とする。
【0009】
コントロールロッドにかかる荷重に応じてコントロールロッドに歪みを生じるから、この歪みからコントロールロッドにかかる荷重を正確に求めることができる。
【0010】
請求項3記載の発明では、請求項1の発明の構成において、上記制御手段を、クランク角を検出するクランク角検出手段と、予め求めた上記コントロールロッドから上記支軸が受ける作用力と上記クランク角との関係に基づいて設定された上記駆動手段を非作動とするクランク角の範囲を記憶し記憶されたクランク角範囲と検出されたクランク角とを照合して上記駆動手段を非作動とするか否かを判定する判定手段とを具備する構成とする。
【0011】
予め求めた上記コントロールロッドから上記支軸が受ける作用力と上記クランク角との関係に基づいて上記駆動手段を非作動とするクランク角の範囲を設定しておくので、直接にコントロールロッドにかかる荷重を求める必要がなく、構成が簡単である。
【0012】
請求項4記載の発明では、請求項1ないし3の発明の構成において、上記駆動手段は、上記支軸を偏心位置にて保持する回転軸と、該回転軸と直結したウォームホイールと、ウォームホイールと噛合しモータ駆動により回転するウォームとよりなるウォームギアを具備し、かつ、該ウォームギアの進み角を、上記ウォームホイールから上記ウォームへの伝動が禁止される角度に設定してなる構成とする。
【0013】
支軸の駆動中の逆転を防止することができるとともに、支軸位置の自己保持が可能となる。
【0014】
請求項5記載の発明では、請求項1ないし3の発明の構成において、上記駆動手段は、上記支軸を偏心位置にて保持する回転軸と、該回転軸と直結し油圧駆動により作動するヘリカルスプラインと、該ヘリカルスプラインと制御油の供給源とを結び上記ヘリカルスプラインへの制御油の供給と制御油の回収とを行う制御油管路と、該制御油管路の途中に設けられ上記ヘリカルスプラインにおける制御油の流出入方向を切り換える切り換え弁とを具備し、上記制御油管路には、上記切り換え弁よりも上記供給源側に、制御油の逆流を禁止する逆止弁を設けてなる構成とする。
【0015】
制御油の流量を増量することなく支軸の駆動中の逆転を防止することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
図1に本発明の第1実施形態になる可変圧縮比エンジンの構成を示す。本可変圧縮比エンジンの本体1は、基本的な構成は通常の可変圧縮比エンジンと同じもので、シリンダブロック21の上方にシリンダヘッド22が覆着されてなり、シリンダブロック21に形成されたシリンダ21a内にピストン61が摺動自在に保持されている。シリンダ21a内におけるピストン61の上下往復動がクランクシャフト62の回転運動に変換され、図略のトランスミッションへと伝達される。
【0017】
ピストン61の上方にシリンダブロック21、シリンダヘッド22を室壁として燃焼室200が形成され、燃焼室200内に、シリンダヘッド22を貫通して設けられたインジェクタ3により燃料が噴射されるとともに、吸気通路201から空気が供給されて、これら燃料と空気との混合気の爆発力によりピストン61を押し下げる。
【0018】
混合気への点火はシリンダヘッド22を貫通し燃焼室200内に突出して設けられた点火プラグ5により行われる。また、燃焼室200と吸気通路201との連通と遮断、ならびに燃焼室200と排気通路202との連通と遮断との切り換えは、カム動で作動する吸気バルブ41、排気バルブ42により行われる。各気筒のカム43を同軸に保持する共通のカムシャフト44は、図中仮想線で示す、タイミングベルト、クランクシャフトプーリ等からなるカム駆動系45によりエンジン動力を用いて駆動される。
【0019】
ピストン61の上下往復動からクランクシャフト62の回転運動への変換は、コンロッド64やコントロールロッド66によりなされる。コンロッド64は、第1、第2のコンロッド部材641,642を具備してなり、第1のコンロッド部材641のビッグエンドと第2のコンロッド部材642のスモールエンドとが上記クランクシャフト62等の軸方向と平行に設けられた接続ピン643を介して接続され、コンロッド64が中間部を屈曲部640としてく字状に屈曲自在となっている。第1のコンロッド部材641はスモールエンドがピストンピン65と接続され、第2のコンロッド部材642はビッグエンドがクランクシャフト62と接続される。
【0020】
コントロールロッド66は略水平方向に伸びる棒状部材で、コンロッド64の側方(図中左側)にクランクシャフト62等と平行に設けられたコンロールシャフト68により軸支され、コンロールシャフト68が挿通する環状基端部を中心に揺動自在としてある。コントロールロッド66の先端部は、第1のコンロッド部材641のビッグエンドと、上記クランクシャフト62等と平行に設けられた接続ピン67を介して接続され、コントロールロッド66がコンロッド屈曲部640の軌跡を規定している。
【0021】
コントロールロッド66の揺動中心を規定するコントロールシャフト68は駆動手段たる駆動部7によりコンロッド64側方向と反対方向とに変位可能である。駆動部7は、図2に示すように、サーボモータ71とウォームギア72とを有し、ウォームギア72はサーボモータ71と直結して回転するウォーム721とウォームホイール722とからなる。ウォームホイール722は、クランクシャフト62等と平行に設けられたコントロールシャフトガイド73の軸端に結合されている。コントロールシャフトガイド73は略丸棒状の部材で、一部に断面半月形の切り欠き部731が形成してあり、切り欠き部731の軸方向両側に位置する丸棒部732の間を軸方向に上記コントロールシャフト68が橋渡ししている。このようにコントロールシャフト68はコントロールシャフトガイド73に対して偏心位置に設けられ、コントロールシャフトガイド73が回動すると公転運動をするようになっている。
【0022】
しかして、サーボモータ71によりウォーム721が所定数回転すると、コントロールシャフト68がその回転数に応じた角度だけ公転運動し、コントロールシャフト68を変位せしめるようになっている。コントロールシャフト68の変位によりコンロッド屈曲部640の軌跡が変化してピストン61の実質的なストロークが変化し、圧縮比εが変化する。図例ではコントロールシャフト68はコントロールシャフトガイド73の周りに略3時の方向から略6時の方向の90°の範囲で変位し6時の方向ほど圧縮比εは高くなる(以下の説明において同じ)。
【0023】
また、コントロールロッド66の表面には歪み検出手段たる歪みゲージ85が接着してあり、コントロールロッド66の長手方向の歪み量を検出するようになっている。歪みゲージ85の検出信号はECU81に入力する。コントロールロッド66の歪みはコントロールロッド66に長手方向にかかる荷重に起因して生じるので、歪みゲージ85による検出歪みからコントロールロッド66にかかる上記荷重が知られる。
【0024】
ECU81はエンジンに搭載される一般的なECUと同様に、負荷検出手段であるスロットルポジションセンサ82、回転数検出手段である回転数センサ83、クランク角検出手段であるクランク角センサ84等から知られる運転状態に基づいてインジェクタ3や点火プラグ5等を制御するとともに、歪みゲージ85とともに制御手段8を構成して上記歪みゲージ81により検出されたコントロールロッド66の歪み量に基づいてサーボモータ71の回転方向および回転量を算出し、その結果に基づいてサーボモータ71を駆動する。
【0025】
図3にECU81における上記サーボモータ71すなわち圧縮比εの制御を示す。これにより圧縮比の制御手順とともに本可変圧縮比エンジンの作動を説明する。
【0026】
ステップS01では現在の圧縮比を読み込み、ステップS02で、読み込まれた圧縮比(以下、検出値という)を指令圧縮比である圧縮比の目標値と比較し、検出値が目標値と一致しているか否かを判定する。ここで判定は、例えば目標値を中心とする所定範囲内に入っていれば一致していると判断する。
【0027】
検出値が目標値と一致していなければステップS02からステップS03に進み、ステップS03で目標値から検出値を減じ、その正負を判ずる。正であれば高圧縮比への変更を意味し、負であれば低圧縮比への変更を意味することになる。
【0028】
ステップS03で(目標値−検出値)が正のときはステップS04に進み、歪みゲージ85の検出信号に基づくコントロールロッド66にかかる荷重を読み込む。
【0029】
続くステップS05ではサーボモータ71の駆動許容範囲内か否かを判定する。ステップS03で(目標値−検出値)は正と判定されているので、図においてウォームホイール722を時計周りに回転しコントロールシャフト68位置を3時の方向から6時の方向に、すなわちコンロッド64側と反対方向に変位する駆動が必要になる。
【0030】
このとき、ステップS04で検出された荷重が圧縮力の場合、コントロールロッド66からコントロールシャフト68に作用する力はコンロッド64側からコントロールシャフト68の方向に向いている。したがって、コントロールシャフト68がコントロールロッド66から受ける作用力の方向と、コントロールシャフト68の駆動方向とは同方向であり、上記荷重はウォームホイール722の回転駆動をアシストするように働く。しかして、検出荷重がサーボモータ71の駆動許容範囲と判じてステップS06に進み、サーボモータ71を駆動する。
【0031】
また、逆に、読み込まれた検出荷重(ステップS04)が引張力の場合、コントロールロッド66からコントロールシャフト68に作用する力はコントロールシャフト68側からコンロッド64の方向に向いている。したがって、コントロールシャフト68がコントロールロッド66から受ける作用力の方向と、コントロールシャフト68の駆動方向とは逆方向であり、上記荷重はサーボモータ71の回転駆動と対抗するように働く。したがって一定以上の荷重に対してはサーボモータ71にとって大きな負荷となる。そこで検出荷重がしきい値を越えていなければ上記のごとく検出荷重がサーボモータ71の駆動許容範囲と判じて検出荷重が圧縮力の場合と同様にステップS06に進む。なお、上記しきい値は例えば1kNに設定する。
【0032】
一方、検出荷重(ステップS04)が引張力の場合でその大きさが上記しきい値を越えている場合は、ステップS07に進み、サーボモータ71を静止しサーボモータ71の駆動を禁止する。
【0033】
一方、ステップS03で(目標値−検出値)が負と判定された場合は、ステップS08に進み、上記ステップS04と同様に歪みゲージ85により検出された荷重を読み込む。
【0034】
続くステップS09ではサーボモータ71の駆動許容範囲内か否かを判定する。ステップS03で(目標値−検出値)は負と判定されているので、図においてウォームホイール722を反時計周りに回転しコントロールシャフト68位置を6時の方向から3時の方向に、すなわちコンロッド64に近づくように変位する駆動が必要になる。
【0035】
このとき、ステップS08で検出された荷重が引張力の場合、コントロールシャフト68がコントロールロッド66から受ける作用力の方向と、コントロールシャフト68の駆動方向とは同方向であり、上記荷重はウォームホイール722の回転駆動をアシストするように働く。しかして、検出荷重がサーボモータ71の駆動許容範囲と判じてステップS10に進み、サーボモータ71を駆動する。
【0036】
また、読み込まれた検出荷重(ステップS08)が圧縮力の場合、コントロールシャフト68がコントロールロッド66から受ける作用力の方向と、コントロールシャフト68の駆動方向とは逆方向であり、上記荷重はウォームホイール722の回転駆動と対抗するように働く。したがって一定以上の荷重に対してはサーボモータ71にとって大きな負荷となる。そこで検出荷重がしきい値を越えていなければ上記のごとく検出荷重がサーボモータ71の駆動許容範囲と判じて検出荷重が圧縮力の場合と同様にステップS10に進む。なお、上記しきい値は例えば1kNに設定する。
【0037】
一方、検出荷重(ステップS08)が圧縮力の場合でその大きさが上記しきい値を越えている場合は、ステップS07に進み、サーボモータ71を静止しサーボモータ71の駆動を禁止する。
【0038】
なお、上記ステップS02で圧縮比εについて検出値が目標値と一致していれば上記ステップS07に進み、サーボモータ71を静止する。
【0039】
このように、圧縮比について目標値が検出値に対して上下いずれにあるかの判別と、コントロールロッド66にかかる荷重とに基づいて、サーボモータ71を駆動してもコントロールロッド66にかかる荷重が過剰な負荷とならない時に選択的にサーボモータ71を駆動するので、駆動部7をコンパクト化、省力化できる。また、高い応答性で圧縮比を変更することができる。例えば、歯数比40のウォームギア72と定格回転数3000rpmのサーボモータ71とを組み合わせることにより、コントロールシャフト68の90°回転で規定される低ε−高εフルストロークで約0.5secの応答性が得られる。
【0040】
なお、駆動部7はウォームギア72を用いているので、その進み角γを小さく設定することでウォームホイール722からウォーム721への伝動係数ηを0以下としセルフロック機能を付与しサーボモータ71駆動時の逆転を禁止するのもよい。例えば、ウォーム721とウォームホイール722との間の摩擦係数μが0.15、ウォーム721の圧力角αが20°であれば、進み角γは9°以下とすればよい。また、これによりサーボモータ71非駆動時にはコントロールシャフト66位置が自己保持され、ブレーキ機構が不要である。
【0041】
(第2実施形態)
第1実施形態ではコントロールシャフトの駆動部をサーボモータとウォームギアとを具備する構成としているが、別の構成でもよく、その一例を図4に示し、これにより本発明の別の可変圧縮比エンジンについて説明する。
【0042】
駆動部7Aは、コントロールシャフト68を偏心位置にて保持するコントロールシャフトガイド73の回転駆動にヘリカルスプライン74を用いている。ヘリカルスプライン74の制御は後述するECU81Aにより行われる。ECU81Aは第1実施形態における上記ECU81と同様に運転状態に応じてエンジン各部を制御するとともに、歪みゲージ85とともに制御手段8Aを構成してコントロールシャフト68がコントロールロッド66から受ける作用力が、上記指令圧縮比に基づいて設定されたコントロールシャフト68の変位方向と逆方向でしきい値1kN以上の時に駆動部7Aを非作動とする。
【0043】
ヘリカルスプライン74はコントロールシャフトガイド73と直結し、そのピストン部741が制御油中に浸漬している。ヘリカルスプライン74への制御油の供給と回収とを行う制御油管路75は、制御油の供給源であるポンプ76およびオイルタンク77と接続されている。なお、ポンプ76により加圧された制御油はエンジン各部に潤滑油として送出される。
【0044】
制御油管路75の途中には、ヘリカルスプライン74における制御油の流出入方向を切り換えヘリカルスプライン74の変位方向を切り換える切り換え弁78が設けられる。切り換え弁78はスプール式のもので、弁室781内を図中左右方向に摺動するスプール782をECU81Aにより直線駆動するようになっている。弁室781には、ポンプ76に通じる1つの高圧ポート7811、オイルタンク77に通じる2つの低圧ポート7812,7813を有し、スプール782の変位方向に低圧ポート7812、高圧ポート7811、低圧ポート7813の順に配列されている。また、弁室781には、ヘリカルスプラインピストン部741の図中左側に通じる第1のヘリカルスプライン側ポート7814、ピストン部の図中右側に通じる第2のヘリカルスプライン側ポート7815を有している。
【0045】
スプール782は2つのスプール弁体が一体的に設けられたもので、両ヘリカルスプライン側ポート7814,7815を高圧ポート7811と低圧ポート7812,7813とのいずれかに選択的に連通せしめるようになっている。図の状態では第1ヘリカルスプライン側ポート7814が高圧ポート7811と連通し、第2ヘリカルスプライン側ポート7815が低圧ポート7812と連通しており、ヘリカルスプライン74は図中白抜き矢印で示すように右側へ変位しつつ回転し、コントロールシャフト68を変位せしめる。なお、スプール782が右方変位すると第1ヘリカルスプライン側ポート7814が低圧ポート7813と連通し、第2ヘリカルスプライン側ポート7815が高圧ポート7811と連通し、ヘリカルスプライン74における制御油の流出入方向が逆転する。
【0046】
制御油管路75には、切り換え弁78とポンプ76との間にポンプ76から切り換え弁78に向かう方向を順方向とする逆止弁791が設けてあり、切り換え弁78とオイルタンク77との間には切り換え弁78からオイルタンク77に向かう方向を順方向とする逆止弁792が設けてある。かかる逆止弁791,792を設けることにより、コントロールシャフト68にコントロールロッド66から駆動方向とは逆方向の力が作用しても制御油供給量を増量することなく制御油が逆流するのが禁止され、コントロールシャフト68の逆方向変位を防止することができる。
【0047】
(第3実施形態)
図5に本発明の第3実施形態になる可変圧縮比エンジンの構成を示す。上記第1、第2実施形態において、歪みゲージを用いずに、コントロールシャフトが上記コントロールロッドから受ける作用力が、指令圧縮比に基づいて設定されたコントロールシャフトの変位方向と逆方向で所定の大きさ以上の時に、サーボモータ等を非作動とすることができるようにしたもので、図中、第1実施形態と同じ番号を付した部分は実質的に同じ作動をするので第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0048】
図6に、4気筒エンジンについて発明者らが得た、コントロールロッド66にかかる荷重とクランク角の関係を示す。この荷重はクランクシャフト62等の慣性力および各気筒での爆発力等に応じた方向と大きさで発生するが、クランクシャフト62が1/2回転するごとに4気筒が順次燃焼行程に入っていくので、180°CA周期で同一のプロファイルを示す。このプロファイルは、図より知られるようにエンジン回転数等のエンジン運転状態により異なる。
【0049】
ECU81Bには、かかるコントロールロッド66にかかる荷重とクランク角の関係に基づいてサーボモータ71の駆動を禁止するクランク角の範囲が予めメモリに記憶されており、この駆動禁止範囲とクランク角検出手段たるクランク角センサ84により検出された角度とを照合して、コントロールシャフト68への作用力が、指令圧縮比に基づいて設定されたコントロールシャフト68の変位方向と逆方向で所定の大きさ以上か否かを判断するようになっている。
【0050】
駆動禁止範囲は低圧縮比εから高圧縮比εへの変更の場合と、高圧縮比εから低圧縮比εへの変更の場合とで別々に次のように設定する。
【0051】
(1)低圧縮比εから高圧縮比εへの変更の場合
コントロールロッド66にかかる引張力はコントロールシャフト68に対してコントロールシャフト68をコンロッド64側へ引きつける力として作用するから、コントロールシャフト68を3時の方向から6時の方向すなわちコントロールシャフト68をコンロッド64側から引き離す方向にコントロールシャフトガイド73を回動駆動する低圧縮比εから高圧縮比εへの変更ではコントロールロッド66にかかる引張力はサーボモータ71によるコントロールシャフト68の変位駆動に対抗するように働く。したがって、コントロールロッド66にかかる荷重が引張力でその大きさが所定値(例えば上記1kN)を越えるクランク角の範囲を駆動禁止区間とする。これ以外のクランク角範囲については、コントロールシャフト68の変位駆動に対抗する力が小さいか、もしくはコントロールシャフト68の変位駆動をアシストする方向の力が存在することとなるので、サーボモータ71の駆動を許容する駆動許容範囲とする。
【0052】
(2)高圧縮比εから低圧縮比εへの変更の場合
コントロールロッド66にかかる圧縮力はコントロールシャフト68に対してコントロールシャフト68をコンロッド64側から引き離す力として作用するから、コントロールシャフト68を6時の方向から3時の方向すなわちコントロールシャフト68をコンロッド64側へ引きつける方向にコントロールシャフトガイド73を回動駆動する高圧縮比εから低圧縮比εへの変更では、コントロールロッド66にかかる圧縮力はサーボモータ71によるコントロールシャフト68の変位駆動に対抗するように働く。したがって、コントロールロッド66にかかる荷重が圧縮力でその大きさが所定値(例えば上記1kN)を越えるクランク角の範囲を駆動禁止区間とする。これ以外のクランク角範囲については、コントロールシャフト68の変位駆動に対抗する力が小さいか、もしくはコントロールシャフト68の変位駆動をアシストする方向の力が存在することとなるので、サーボモータ71の駆動を許容する駆動許容範囲とする。
【0053】
このように、圧縮比を現在の圧縮比から増大するか減少するかで2種類の駆動禁止範囲等を設定する。
【0054】
駆動許容範囲および駆動禁止範囲は、上記図6においてエンジン回転数が3000rpmで低圧縮比εから高圧縮比εへと変更する場合を例にとると、図中、矢印で示した区間が駆動許容範囲となり、それ以外の区間が駆動禁止範囲となる。
【0055】
なお、上記のごとく、コントロールロッド66にかかる荷重のプロファイルはエンジン回転数により異なるので、駆動禁止範囲もしくは駆動許容範囲はエンジン回転数に応じて設定する。例えばエンジン回転数を複数のレンジに分け、各レンジに対応して駆動禁止範囲等を設定する。あるいは駆動禁止範囲を広くとるとともにエンジン回転数によらずに単一に設定するのもよく、この場合は制御負担を軽減することができる。
【0056】
ECU81Bでは、指令圧縮比と現在の圧縮比とを比較し、クランク角センサ84により検出されたクランク角とエンジン回転数センサ83により検出されたエンジン回転数とを入力として駆動許容範囲か否かを判断し、駆動許容範囲においてのみサーボモータ71の駆動を行う。
【0057】
かかる構成でもサーボモータ71の駆動負担を軽減することができるので、駆動部7が大型化せず、エネルギーロスも減じることができる。しかも、クランク角やエンジン回転数は通常のエンジン制御において一般的に用いられる運転情報であるから、特に新たにセンサを設ける必要がなく構成簡単である。
【0058】
なお、図6の1周期分の荷重のデータをそのまま記憶して、検出されたクランク角やエンジン回転数等から荷重を読みだす構成とすれば、実質的に第1実施形態と同じ構成となる。この場合も歪みゲージ等は取り付ける必要がなくなる。
【0059】
また、本実施形態の特徴部分は、第2実施形態のごとくヘリカルスプラインを用いてコントロールシャフトを駆動する構成のものにも適用できるのは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の可変圧縮比エンジンの構成図である。
【図2】上記可変圧縮比エンジンのコントロールロッドを軸支するコントロールシャフトの駆動部の斜視図である。
【図3】上記可変圧縮比エンジンのECUで実行される制御を示すフローチャートである。
【図4】本発明の別の可変圧縮比エンジンのコントロールロッドを軸支するコントロールシャフトの駆動部の構成図である。
【図5】本発明のさらに別の可変圧縮比エンジンの構成図である。
【図6】上記可変圧縮比エンジンのECUで実行される制御を示すグラフである。
【符号の説明】
1 エンジン本体
61 ピストン
62 クランクシャフト
64 コンロッド
640 屈曲部
641,642 コンロッド部材
643 接続ピン
65 ピストンピン
66 コントロールロッド
67 接続ピン
68 コントロールシャフト(支軸)
7,7A 駆動部(駆動手段)
71 サーボモータ
72 ウォームギア
721 ウォーム
722 ウォームホイール
73 コントロールシャフトガイド(回転軸)
74 ヘリカルスプライン
75 制御油管路
76 ポンプ(供給源)
77 オイルタンク(供給源)
78 切り換え弁
8,8A,8B 制御手段
81,81A ECU
81B ECU(判定手段)
82 スロットルポジションセンサ(負荷検出手段)
83 エンジン回転数センサ
84 クランク角センサ(クランク角検出手段)
85 歪みゲージ(歪み検出手段)[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a variable compression ratio engine, and more particularly to compression ratio control.
[0002]
[Prior art]
2. Description of the Related Art A variable compression ratio engine is known in which engine performance is improved by controlling an appropriate compression ratio in accordance with an operating state in an engine for vehicle power.
[0003]
A variable compression ratio mechanism for adjusting the compression ratio is disclosed in Japanese Patent Application Laid-Open No. 62-35033. This is configured such that the connecting rod for converting the reciprocating motion of the piston in the cylinder into the rotational motion of the crankshaft can be bent in a square shape between the crankshaft and the piston. A control rod that swings about a support shaft engages with the bent portion of the connecting rod at the tip, and the connecting rod bent portion draws a locus within the swing range of the control rod. By displacing the support shaft of the control rod, the trajectory of the connecting rod bend is adjusted, the substantial stroke of the piston is controlled, and the compression ratio can be changed.
[0004]
[Problems to be solved by the invention]
By the way, in the case of a mechanism having a connecting rod and a control rod that can be bent in this way, a compressive force or a tensile force acts on the control rod in the longitudinal direction from the connecting rod, and the supporting shaft that supports the control rod by this acting force. May receive a large reaction force, and a driving device capable of outputting a large driving force to the displacement mechanism of the support shaft is required.
[0005]
The present invention has been made in view of the above circumstances, and an object thereof is to provide a variable compression ratio engine that does not require a large driving force when the support shaft is displaced.
[0006]
[Means for Solving the Problems]
According to the first aspect of the present invention, the control means for displacing the support shaft for pivotally supporting the control rod defining the locus of the bent portion of the connecting rod from the current position to a predetermined position corresponding to the command compression ratio is as follows. And That is, when the acting force received by the support shaft from the control rod is greater than or equal to a predetermined magnitude in the direction opposite to the displacement direction of the support shaft set based on the command compression ratio, the drive that drives the support shaft The means is made inactive.
[0007]
Since the driving means operates only when the acting force received by the support shaft from the control rod is in a direction assisting the driving of the support shaft or a small force that does not impose a heavy burden on the driving means, the displacement of the support shaft Sometimes a large driving force is not required.
[0008]
According to a second aspect of the present invention, in the configuration of the first aspect of the invention, the control means includes strain detection means for detecting a strain in the longitudinal direction of the control rod, and the control is performed based on the detected strain. It is set as the structure which calculates | requires the action force which the said spindle receives from a rod.
[0009]
Since the control rod is distorted in accordance with the load applied to the control rod, the load applied to the control rod can be accurately obtained from the distortion.
[0010]
According to a third aspect of the invention, in the configuration of the first aspect of the invention, the control means includes a crank angle detecting means for detecting a crank angle, an acting force received by the support shaft from the control rod determined in advance, and the crank. The crank angle range in which the driving means is set to be inactive based on the relationship with the angle is stored, the stored crank angle range is compared with the detected crank angle, and the driving means is inactivated. Determination means for determining whether or not.
[0011]
Since the crank angle range in which the drive means is inoperative is set based on the relationship between the acting force received by the support shaft from the control rod determined in advance and the crank angle, the load applied directly to the control rod The configuration is simple.
[0012]
According to a fourth aspect of the invention, in the configuration of the first to third aspects of the invention, the drive means includes a rotating shaft that holds the support shaft in an eccentric position, a worm wheel that is directly connected to the rotating shaft, and a worm wheel. And a worm gear comprising a worm that is rotated by driving a motor, and the advance angle of the worm gear is set to an angle at which transmission from the worm wheel to the worm is prohibited.
[0013]
It is possible to prevent reverse rotation during driving of the support shaft, and it is possible to self-hold the support shaft position.
[0014]
According to a fifth aspect of the present invention, in the configuration of the first to third aspects of the invention, the driving means includes a rotating shaft that holds the support shaft in an eccentric position, and a helical that is directly connected to the rotating shaft and is operated by hydraulic drive. A spline, a control oil line connecting the helical spline and a control oil supply source to supply control oil to the helical spline and recovering the control oil, and provided in the control oil line in the helical spline. A switching valve for switching the flow direction of control oil, and the control oil pipe line is provided with a check valve for prohibiting the backflow of control oil on the supply source side of the switching valve. .
[0015]
It is possible to prevent reverse rotation during driving of the support shaft without increasing the flow rate of the control oil.
[0016]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
(First embodiment)
FIG. 1 shows the configuration of a variable compression ratio engine according to the first embodiment of the present invention. The main body 1 of the present variable compression ratio engine has the same basic structure as that of an ordinary variable compression ratio engine. A cylinder head 22 is covered above a cylinder block 21, and a cylinder formed in the cylinder block 21. A piston 61 is slidably held in 21a. The reciprocating motion of the piston 61 in the cylinder 21a is converted into the rotational motion of the crankshaft 62 and transmitted to a transmission (not shown).
[0017]
A combustion chamber 200 is formed above the piston 61 with the cylinder block 21 and the cylinder head 22 as chamber walls, and fuel is injected into the combustion chamber 200 by the injector 3 provided through the cylinder head 22 and the intake air. Air is supplied from the passage 201, and the piston 61 is pushed down by the explosive force of the mixture of fuel and air.
[0018]
The air-fuel mixture is ignited by a spark plug 5 that extends through the cylinder head 22 and protrudes into the combustion chamber 200. Further, the communication valve 200 and the intake passage 201 are connected to and disconnected from each other, and the communication chamber 200 and the exhaust passage 202 are connected to and disconnected from each other by an intake valve 41 and an exhaust valve 42 operated by cam motion. A common cam shaft 44 that holds the cam 43 of each cylinder coaxially is driven using engine power by a cam drive system 45 including a timing belt, a crankshaft pulley, and the like, which are indicated by phantom lines in the drawing.
[0019]
Conversion from the vertical reciprocation of the piston 61 to the rotational motion of the crankshaft 62 is performed by a connecting rod 64 and a control rod 66. The connecting rod 64 includes first and second connecting rod members 641 and 642, and the big end of the first connecting rod member 641 and the small end of the second connecting rod member 642 are axial directions of the crankshaft 62 and the like. The connecting rod 64 can be bent in a square shape with the intermediate portion as a bent portion 640. The first connecting rod member 641 has a small end connected to the piston pin 65, and the second connecting rod member 642 has a big end connected to the crankshaft 62.
[0020]
The control rod 66 is a rod-like member extending in a substantially horizontal direction. The control rod 66 is supported by a control shaft 68 provided in parallel to the crankshaft 62 and the like on the side (left side in the figure) of the connecting rod 64, and an annular base through which the control shaft 68 is inserted. It is swingable around the end. The tip of the control rod 66 is connected to the big end of the first connecting rod member 641 via a connection pin 67 provided in parallel with the crankshaft 62 and the like, and the control rod 66 follows the locus of the connecting rod bending portion 640. It prescribes.
[0021]
The control shaft 68 that defines the swing center of the control rod 66 can be displaced in the direction opposite to the connecting rod 64 side by the drive unit 7 as drive means. As shown in FIG. 2, the drive unit 7 includes a servo motor 71 and a worm gear 72, and the worm gear 72 includes a worm 721 and a worm wheel 722 that rotate in direct connection with the servo motor 71. The worm wheel 722 is coupled to the shaft end of a control shaft guide 73 provided in parallel with the crankshaft 62 or the like. The control shaft guide 73 is a substantially round bar-like member, and a cutout portion 731 having a semicircular cross section is formed in part, and the space between the round bar portions 732 located on both sides in the axial direction of the cutout portion 731 is axially formed. The control shaft 68 bridges. In this way, the control shaft 68 is provided in an eccentric position with respect to the control shaft guide 73, and revolves when the control shaft guide 73 rotates.
[0022]
Thus, when the worm 721 rotates by a predetermined number of times by the servo motor 71, the control shaft 68 revolves by an angle corresponding to the rotation speed, thereby displacing the control shaft 68. Due to the displacement of the control shaft 68, the trajectory of the connecting rod bending portion 640 changes, the substantial stroke of the piston 61 changes, and the compression ratio ε changes. In the illustrated example, the control shaft 68 is displaced around the control shaft guide 73 in a range of 90 ° from the direction of about 3 o'clock to the direction of about 6 o'clock, and the compression ratio ε increases in the direction of 6 o'clock (the same applies in the following description). ).
[0023]
Further, a strain gauge 85 as a strain detecting means is adhered to the surface of the control rod 66 so that the amount of strain in the longitudinal direction of the control rod 66 is detected. A detection signal from the strain gauge 85 is input to the ECU 81. Since the strain of the control rod 66 is caused by the load applied to the control rod 66 in the longitudinal direction, the load applied to the control rod 66 is known from the strain detected by the strain gauge 85.
[0024]
The ECU 81 is known from a throttle position sensor 82 as a load detection means, a rotation speed sensor 83 as a rotation speed detection means, a crank angle sensor 84 as a crank angle detection means, and the like, like a general ECU mounted on an engine. The injector 3, the spark plug 5, and the like are controlled based on the operating state, and the control means 8 is configured together with the strain gauge 85 to rotate the servo motor 71 based on the strain amount of the control rod 66 detected by the strain gauge 81. The direction and amount of rotation are calculated, and the servo motor 71 is driven based on the result.
[0025]
FIG. 3 shows the control of the servo motor 71, that is, the compression ratio ε in the ECU 81. Thus, the operation of the variable compression ratio engine will be described together with the compression ratio control procedure.
[0026]
In step S01, the current compression ratio is read. In step S02, the read compression ratio (hereinafter referred to as a detection value) is compared with a target value of the compression ratio that is the command compression ratio, and the detection value matches the target value. It is determined whether or not. Here, the determination is made, for example, if they are within a predetermined range centered on the target value.
[0027]
If the detected value does not match the target value, the process proceeds from step S02 to step S03. In step S03, the detected value is subtracted from the target value, and the sign is determined. A positive value means a change to a high compression ratio, and a negative value means a change to a low compression ratio.
[0028]
When (target value-detected value) is positive in step S03, the process proceeds to step S04, and the load applied to the control rod 66 based on the detection signal of the strain gauge 85 is read.
[0029]
In a succeeding step S05, it is determined whether or not the servo motor 71 is within a drive allowable range. Since (target value-detected value) is determined to be positive in step S03, the worm wheel 722 is rotated clockwise in the figure to change the control shaft 68 position from the 3 o'clock direction to the 6 o'clock direction, that is, the connecting rod 64 side. It is necessary to drive in the opposite direction.
[0030]
At this time, when the load detected in step S04 is a compressive force, the force acting on the control shaft 68 from the control rod 66 is directed to the control shaft 68 from the connecting rod 64 side. Therefore, the direction of the acting force that the control shaft 68 receives from the control rod 66 and the driving direction of the control shaft 68 are the same direction, and the load acts to assist the rotational driving of the worm wheel 722. Accordingly, it is determined that the detected load is within the allowable drive range of the servo motor 71, and the process proceeds to step S06, where the servo motor 71 is driven.
[0031]
Conversely, when the read detected load (step S04) is a tensile force, the force acting on the control shaft 68 from the control rod 66 is directed to the connecting rod 64 from the control shaft 68 side. Therefore, the direction of the acting force that the control shaft 68 receives from the control rod 66 is opposite to the driving direction of the control shaft 68, and the load acts to counteract the rotational driving of the servo motor 71. Therefore, a large load is applied to the servo motor 71 when the load exceeds a certain level. If the detected load does not exceed the threshold value, the detected load is determined to be within the allowable drive range of the servo motor 71 as described above, and the process proceeds to step S06 as in the case where the detected load is a compressive force. The threshold value is set to 1 kN, for example.
[0032]
On the other hand, if the detected load (step S04) is a tensile force and the magnitude exceeds the threshold value, the process proceeds to step S07, where the servo motor 71 is stopped and the servo motor 71 is inhibited from being driven.
[0033]
On the other hand, if (target value−detected value) is determined to be negative in step S03, the process proceeds to step S08, and the load detected by the strain gauge 85 is read in the same manner as in step S04.
[0034]
In the subsequent step S09, it is determined whether or not the servo motor 71 is within the allowable drive range. Since (target value-detected value) is determined to be negative in step S03, the worm wheel 722 is rotated counterclockwise in the figure, and the control shaft 68 position is changed from the 6 o'clock direction to the 3 o'clock direction, that is, the connecting rod 64. It is necessary to drive so as to move closer to.
[0035]
At this time, when the load detected in step S08 is a tensile force, the direction of the acting force that the control shaft 68 receives from the control rod 66 and the driving direction of the control shaft 68 are the same, and the load is the worm wheel 722. It works to assist the rotation drive. Accordingly, it is determined that the detected load is within the allowable drive range of the servo motor 71, and the process proceeds to step S 10 to drive the servo motor 71.
[0036]
When the read detected load (step S08) is a compressive force, the direction of the acting force received by the control shaft 68 from the control rod 66 is opposite to the drive direction of the control shaft 68, and the load is a worm wheel. It works to counter the rotational drive of 722. Therefore, a large load is applied to the servo motor 71 when the load exceeds a certain level. If the detected load does not exceed the threshold value, the detected load is determined to be within the allowable drive range of the servomotor 71 as described above, and the process proceeds to step S10 as in the case where the detected load is a compressive force. The threshold value is set to 1 kN, for example.
[0037]
On the other hand, if the detected load (step S08) is a compressive force and the magnitude exceeds the threshold value, the process proceeds to step S07, where the servo motor 71 is stopped and the servo motor 71 is inhibited from being driven.
[0038]
If the detected value for the compression ratio ε matches the target value in step S02, the process proceeds to step S07, and the servo motor 71 is stopped.
[0039]
As described above, the load applied to the control rod 66 even if the servo motor 71 is driven based on the determination whether the target value of the compression ratio is above or below the detected value and the load applied to the control rod 66. Since the servo motor 71 is selectively driven when the load is not excessive, the drive unit 7 can be made compact and labor-saving. In addition, the compression ratio can be changed with high responsiveness. For example, by combining a worm gear 72 with a gear ratio of 40 and a servo motor 71 with a rated speed of 3000 rpm, a response of about 0.5 sec is achieved with a low ε-high ε full stroke defined by 90 ° rotation of the control shaft 68. Is obtained.
[0040]
Since the drive unit 7 uses the worm gear 72, by setting the advance angle γ to be small, the transmission coefficient η from the worm wheel 722 to the worm 721 is set to 0 or less to provide a self-lock function, and when the servo motor 71 is driven. It is also possible to prohibit reverse rotation. For example, if the friction coefficient μ between the worm 721 and the worm wheel 722 is 0.15 and the pressure angle α of the worm 721 is 20 °, the advance angle γ may be 9 ° or less. As a result, when the servo motor 71 is not driven, the position of the control shaft 66 is self-maintained, and a brake mechanism is unnecessary.
[0041]
(Second Embodiment)
In the first embodiment, the drive portion of the control shaft is configured to include a servo motor and a worm gear. However, another configuration may be used, and an example thereof is shown in FIG. 4, thereby another variable compression ratio engine of the present invention. explain.
[0042]
The drive unit 7A uses a helical spline 74 for rotationally driving a control shaft guide 73 that holds the control shaft 68 in an eccentric position. The helical spline 74 is controlled by an ECU 81A described later. Similar to the ECU 81 in the first embodiment, the ECU 81A controls each part of the engine in accordance with the operating state. The ECU 81A constitutes the control means 8A together with the strain gauge 85, and the acting force received by the control shaft 68 from the control rod 66 is the above command. When the threshold value is 1 kN or more in the direction opposite to the displacement direction of the control shaft 68 set based on the compression ratio, the drive unit 7A is deactivated.
[0043]
The helical spline 74 is directly connected to the control shaft guide 73, and its piston portion 741 is immersed in the control oil. A control oil conduit 75 for supplying and collecting control oil to the helical spline 74 is connected to a pump 76 and an oil tank 77 which are control oil supply sources. The control oil pressurized by the pump 76 is sent to each part of the engine as lubricating oil.
[0044]
In the middle of the control oil pipe 75, a switching valve 78 is provided for switching the flow direction of control oil in the helical spline 74 and switching the displacement direction of the helical spline 74. The switching valve 78 is of a spool type, and a spool 782 that slides in the valve chamber 781 in the horizontal direction in the drawing is linearly driven by the ECU 81A. The valve chamber 781 has one high-pressure port 7811 that communicates with the pump 76 and two low-pressure ports 7812 and 7813 that communicate with the oil tank 77. The low-pressure port 7812, the high-pressure port 7811, and the low-pressure port 7813 They are arranged in order. Further, the valve chamber 781 has a first helical spline side port 7814 that communicates with the left side of the helical spline piston portion 741 in the drawing, and a second helical spline side port 7815 that communicates with the right side of the piston portion in the drawing.
[0045]
The spool 782 is formed by integrating two spool valve bodies so that both the helical spline side ports 7814 and 7815 can selectively communicate with either the high pressure port 7811 or the low pressure ports 7812 and 7813. Yes. In the state shown in the drawing, the first helical spline side port 7814 communicates with the high pressure port 7811, the second helical spline side port 7815 communicates with the low pressure port 7812, and the helical spline 74 is on the right side as indicated by the white arrow in the figure. Rotating while displacing, the control shaft 68 is displaced. When the spool 782 is displaced to the right, the first helical spline side port 7814 communicates with the low pressure port 7813, the second helical spline side port 7815 communicates with the high pressure port 7811, and the flow direction of control oil in the helical spline 74 changes. Reverse.
[0046]
In the control oil pipe 75, a check valve 791 is provided between the switching valve 78 and the pump 76 so that the direction from the pump 76 toward the switching valve 78 is the forward direction, and between the switching valve 78 and the oil tank 77. Is provided with a check valve 792 whose forward direction is from the switching valve 78 toward the oil tank 77. By providing such check valves 791 and 792, the control oil is prohibited from flowing back without increasing the control oil supply amount even when a force in the direction opposite to the driving direction is applied to the control shaft 68 from the control rod 66. Thus, the reverse displacement of the control shaft 68 can be prevented.
[0047]
(Third embodiment)
FIG. 5 shows the configuration of a variable compression ratio engine according to the third embodiment of the present invention. In the first and second embodiments, the acting force that the control shaft receives from the control rod without using a strain gauge is a predetermined magnitude in the direction opposite to the displacement direction of the control shaft set based on the command compression ratio. At this time, the servo motor or the like can be deactivated. In the figure, the same reference numerals as those in the first embodiment operate substantially the same as in the first embodiment. The difference will be mainly described.
[0048]
FIG. 6 shows the relationship between the load applied to the control rod 66 and the crank angle obtained by the inventors for a four-cylinder engine. This load is generated in the direction and magnitude according to the inertial force of the crankshaft 62 and the like and the explosive force in each cylinder, etc., but every time the crankshaft 62 makes 1/2 rotation, the four cylinders enter the combustion stroke sequentially. Therefore, the same profile is shown in a 180 ° CA cycle. As is known from the figure, this profile varies depending on the engine operating state such as the engine speed.
[0049]
In the ECU 81B, a crank angle range for prohibiting the drive of the servo motor 71 based on the relationship between the load applied to the control rod 66 and the crank angle is stored in advance in the memory. By collating with the angle detected by the crank angle sensor 84, whether or not the acting force on the control shaft 68 is not less than a predetermined magnitude in the direction opposite to the displacement direction of the control shaft 68 set based on the command compression ratio. To come to judge.
[0050]
The drive inhibition range is set separately as follows for the case of changing from the low compression ratio ε to the high compression ratio ε and for the case of changing from the high compression ratio ε to the low compression ratio ε.
[0051]
(1) Change from low compression ratio ε to high compression ratio ε
Since the pulling force applied to the control rod 66 acts as a force for pulling the control shaft 68 toward the connecting rod 64 with respect to the control shaft 68, the control shaft 68 is moved from the 3 o'clock direction to the 6 o'clock direction, that is, the control shaft 68 is connected to the connecting rod 64 side. In the change from the low compression ratio ε to the high compression ratio ε that rotationally drives the control shaft guide 73 in the direction away from the tensile force, the tensile force applied to the control rod 66 works against the displacement drive of the control shaft 68 by the servo motor 71. . Therefore, a range of a crank angle in which the load applied to the control rod 66 is a tensile force and the magnitude thereof exceeds a predetermined value (for example, 1 kN) is defined as a drive inhibition section. In other crank angle ranges, the force against the displacement drive of the control shaft 68 is small, or there is a force in the direction of assisting the displacement drive of the control shaft 68, so the servo motor 71 is driven. The permissible drive allowable range.
[0052]
(2) Change from high compression ratio ε to low compression ratio ε
Since the compressive force applied to the control rod 66 acts on the control shaft 68 as a force for pulling the control shaft 68 away from the connecting rod 64 side, the control shaft 68 is moved from the 6 o'clock direction to 3 o'clock, that is, the control shaft 68 is moved to the connecting rod 64 side. In the change from the high compression ratio ε to the low compression ratio ε, which drives the control shaft guide 73 to rotate in the direction to be pulled toward, the compressive force applied to the control rod 66 opposes the displacement driving of the control shaft 68 by the servo motor 71. work. Therefore, the range of the crank angle in which the load applied to the control rod 66 is a compressive force and the magnitude thereof exceeds a predetermined value (for example, 1 kN above) is defined as the drive inhibition section. In other crank angle ranges, the force against the displacement drive of the control shaft 68 is small, or there is a force in the direction of assisting the displacement drive of the control shaft 68, so the servo motor 71 is driven. The permissible drive allowable range.
[0053]
In this way, two types of drive inhibition ranges are set depending on whether the compression ratio is increased or decreased from the current compression ratio.
[0054]
The allowable drive range and the prohibited drive range are shown in FIG. 6 where the engine speed is 3000 rpm and the low compression ratio ε is changed to the high compression ratio ε. It becomes a range, and a section other than that becomes a drive prohibition range.
[0055]
As described above, since the profile of the load applied to the control rod 66 varies depending on the engine speed, the drive inhibition range or the allowable drive range is set according to the engine speed. For example, the engine speed is divided into a plurality of ranges, and a drive inhibition range or the like is set corresponding to each range. Alternatively, the driving prohibition range may be widened and may be set to a single value regardless of the engine speed. In this case, the control burden can be reduced.
[0056]
The ECU 81B compares the command compression ratio with the current compression ratio, and inputs the crank angle detected by the crank angle sensor 84 and the engine speed detected by the engine speed sensor 83 to determine whether or not the drive is within the allowable drive range. The servo motor 71 is driven only in the allowable drive range.
[0057]
Even in such a configuration, the driving load of the servo motor 71 can be reduced, so that the driving unit 7 is not increased in size and energy loss can be reduced. Moreover, since the crank angle and the engine speed are operation information generally used in normal engine control, it is not necessary to provide a new sensor and the configuration is simple.
[0058]
If the load data for one cycle in FIG. 6 is stored as it is and the load is read from the detected crank angle, engine speed, etc., the configuration is substantially the same as in the first embodiment. . In this case, it is not necessary to attach a strain gauge or the like.
[0059]
Of course, the characteristic part of this embodiment is applicable also to the structure which drives a control shaft using a helical spline like 2nd Embodiment.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a configuration diagram of a variable compression ratio engine of the present invention.
FIG. 2 is a perspective view of a drive portion of a control shaft that pivotally supports a control rod of the variable compression ratio engine.
FIG. 3 is a flowchart showing control executed by the ECU of the variable compression ratio engine.
FIG. 4 is a configuration diagram of a drive portion of a control shaft that pivotally supports a control rod of another variable compression ratio engine of the present invention.
FIG. 5 is a configuration diagram of still another variable compression ratio engine of the present invention.
FIG. 6 is a graph showing control executed by the ECU of the variable compression ratio engine.
[Explanation of symbols]
1 Engine body
61 piston
62 Crankshaft
64 connecting rod
640 Bend
641,642 connecting rod members
643 Connection pin
65 piston pin
66 Control rod
67 Connection pin
68 Control shaft
7, 7A Drive unit (drive means)
71 Servo motor
72 Worm Gear
721 Warm
722 Worm wheel
73 Control shaft guide (rotating shaft)
74 Helical Spline
75 Control oil pipeline
76 Pump (supply source)
77 Oil tank (source)
78 Switching valve
8, 8A, 8B Control means
81, 81A ECU
81B ECU (determination means)
82 Throttle position sensor (load detection means)
83 Engine speed sensor
84 Crank angle sensor (Crank angle detection means)
85 Strain gauge (strain detection means)