JP3778075B2 - フィルタ回路 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、マイクロ波やミリ波周波数帯域で用いられる無線通信モジュール等に搭載されるフィルタ回路に関し、さらに詳しくは誘電体基板に形成されて共振器導体パターンを構成する導体パターンの短縮化を図ったフィルタ回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
無線通信モジュールは、情報通信技術の進展に伴って、各種の移動体通信機器(モバイル通信機器)やISDN(Integrated Service Digital Network:総合サービスデジタル網)或いはコンピュータ機器等の様々な機器、システムに搭載され、データ情報等の高速通信を可能とし、小型軽量化、複合化或いは多機能化が図られている。無線通信モジュールは、例えば無線LAN(Local Area Network)等の対応通信機器のようにマイクロ波、ミリ波帯域を搬送周波数とした高周波アプリケーションにおいて、低域フィルタや高域フィルタ、帯域フィルタ、結合器等がコンデンサやコイル等のチップ部品を用いた集中定数設計による回路で上述した要求仕様を達成することが困難となり、一般にマイクロストリップライン、ストリップライン等による分布定数設計による対応が図られる。
【0003】
従来、分布定数設計による帯域フィルタ(BPF)100は、例えば図14に示すように誘電体基板101の主面上に複数本の共振器導体パターン102a乃至102eをカスケード配列して形成してなる。BPF100は、第1の外側共振器導体パターン102aから高周波信号が入力され、内側に位置する第2共振器導体パターン102b乃至第4の共振器導体パターン102dによって所定の周波数帯域の高周波信号を選択して第5の外側共振器導体パターン102eから出力する。各共振器導体パターン102は、中央部の共振器導体パターン102cを除いて、それぞれ誘電体基板101の側面において結合されている。なお、誘電体基板101には、図示しないが裏面に全面に亘ってグランドパターンが形成されている。
【0004】
BPF100は、図14に示すように互いに隣り合う各共振器導体パターン102a乃至102eが、通過波長λの1/4の長さ範囲で重なり合うようにして上述したように誘電体基板101の主面上にカスケード配列されて形成されている。BPF100は、各共振器導体パターン102を高誘電率の基板101上に形成することで、マイクロストリップラインの波長短縮効果により各共振器導体パターン102の長さを短縮して小型化を図ることが可能とされる。
【0005】
波長短縮は、誘電体基板101の表層においてλ0/√(εw)(λ0:真空中での波長。εw:実効比誘電率。空気と誘電体の電磁界分布で決まる誘電率。)で発生するとともに、内層においてλ0/√(εr)(εr:基板の比誘電率。)で発生する。したがって、BPF100は、各共振器導体パターン102a乃至102eを最適化することによって所望の周波数帯域の高周波信号を選択的に通過するようにする。また、BPF100は、一般的な配線基板の形成工程と同様に誘電体基板101の主面上に各共振器導体パターン102を印刷技術やリソグラフ処理を施して形成することが可能であることから、回路パターン等と同時に形成される。
【0006】
しかしながら、かかるBPF100も、各共振器導体パターン102a乃至102eを通過波長の略λ/4の長さの重なり部分を以って配列することから、各共振器導体パターン102a乃至102eの長さが通過波長λによって規定される。したがって、BPF100は、各共振器導体パターン102a乃至102eの長さによってある程度の大きさの誘電体基板101が必要となり、小型化に限界があった。
【0007】
一方、図15及び図16に示した従来の他のBPF110は、一対の誘電体基板111、112からなる積層基板の内部に共振器導体パターン113、114を形成したいわゆるトリプレート構造によって構成されてなる。誘電体基板111、112には、それぞれの表面にグランドパターン115、116が形成されている。誘電体基板111、112には、外周部に多数個のビアホール117を形成して表裏のグランドパターン115、116が互いに導通されるようにして内層回路をシールドしている。
【0008】
各共振器導体パターン113、114は、それぞれが通過波長λの略1/4の長さMを有しており、一端をグランドパターン115、116に接続されるとともに他端を開放されて互いに平行に形成されている。各共振器導体パターン113、114には、それぞれ側方へと腕状に突出する入出力パターン118、119が形成されている。BPF110は、上述した誘電体基板111、112に形成した共振器導体パターン113、114が、図16に示すように等価回路的に並列共振回路を容量結合した構成となっている。すなわち、BPF110は、共振器導体パターン113とグランドパターンとの間に接続されたキャパシタC1とインダクタンスL1とからなる並列共振回路PR1と、共振器導体パターン114とグランドパターンとの間に接続されたキャパシタC2とインダクタンスL2とからなる並列共振回路PR2とがキャパシタC3を介して容量結合されて構成されてなる。
【0009】
かかるBPF110によれば、波長λの高周波信号に対して略λ/2の開放線路が所定の周波数帯域で共振させる機能を有し、λ/4において結合度が最大になることを利用する。BPF110によれば、共振器導体パターン113から入力された波長λの高周波信号が、並列共振回路PR1と並列共振回路PR2とにより所定の通過波長λの帯域において共振し、帯域外の高周波成分が除去されて出力される。BPF110においては、誘電体基板111、112に形成する共振器導体パターン113、114の長さがほぼλ/4に形成されることによって小型化が図られる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、無線通信モジュールは、モバイル通信機器のさらなる小型軽量化に伴って全体の大きさが例えば10mm角四方以下の大きさのものが要求されている。また、無線通信モジュールは、特にコスト条件が極めて厳しいコンシューマ向けモバイル通信機器等に搭載する場合に、基板が一般に用いられている廉価なプリント基板と同等品であることが必要となっている。
【0011】
BPF110は、共振器導体パターン113、114の全体の長さがλ/4まで低減されるが、上述した要求仕様を満足することは困難である。すなわち、無線LANシステムやBluetoohと称される近距離無線送信システム等においては、搬送周波数帯域が2.4GHzに規定され、空間での搬送波長λ0/4が約30mm程度となる。BPF110は、かかるシステムに適合するモバイル通信機器の無線通信モジュールに搭載されるとともに、基板材料として一般に用いられる比誘電率が約4のFRグレード4の銅張積層板(耐燃性ガラス布基材エポキシ樹脂銅張積層板)に共振器導体パターン113、114を内蔵して波長短縮を図ったとしても、通過波長λ/4が約15mm程度となることから上述した要求仕様を満足し得ない。
【0012】
BPF110においては、例えば比誘電率が10以上のセラミック材を用いることによって波長短縮の効果を高めて小型化を図ることも考慮される。しかしながら、かかるBPF110は、無線通信モジュールとして周辺部品を含んで集積化を図る場合に大型の基板が必要となり、比較的高価なセラミック材の基板を用いることによってコストがアップするために、上述したコストの要求仕様を満足し得ない。
【0013】
ところで、上述したBPF110においては、通過帯域特性や遮断特性等のフィルタ特性が、誘電体基板111、112や共振器導体パターン113、114間の電磁界分布によって決定される。BPF110においては、電界の強さが、奇励振モード状態で共振器共振器導体パターン113、114の対向間隔pによって変化するとともに、偶励振モード状態で誘電体基板111、112と共振器導体パターン113、114間の間隔、すなわち図15に示す誘電体基板111、112の厚みtによって変化する。また、BPF110は、電界の強さが共振器導体パターン113、114の幅wによっても変化する。
【0014】
BPF110は、電界の強さが奇励振モード状態や偶励振モード状態で変化することによって共振器導体パターン113、114の結合度が変化し、フィルタ特性が変化する。BPF110においては、所望のフィルタ特性を得るために誘電体基板111、112や共振器導体パターン113、114が精密に形成されている。
【0015】
BPFにおいては、一般に製造工程のバラツキによって所望のフィルタ特性が得られない場合が生じることがあり、例えば測定器等によって共振器導体パターンの出力特性をチェックしながらそれぞれの位置や面積等を適宜変化させるといった追加工処理による調整工程が施される。しかしながら、BPF110は、上述したように共振器導体パターン113、114を誘電体基板111、112の内層に形成することからかかる調整工程を施すことが困難であった。BPF110は、このために高精度の製造工程が採用されることによって各部の製作が行われるために製造効率が悪くなるととともに歩留りも低下するといった問題があった。
【0016】
したがって、本発明は、誘電体基板に形成されて共振器を構成する各共振器導体パターンが通過波長λに対してλ/4よりもさらに短い長さで形成されるが所定のフィルタ特性が得られることにより小型化を図ったフィルタ回路を提供することを目的に提案されたものである。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上述した目的を達成する本発明にかかるフィルタ回路は、ベース基板の第1主面上に、その誘電率よりも低い誘電率の誘電絶縁材によって形成した樹脂基板を積層してなる2層構成の誘電体基板を備える。フィルタ回路は、ベース基板が、第1主面と対向する第2主面側にグランドパターンを形成するとともに、第1主面側に互いに平行な第1共振器導体パターン乃至第3共振器導体パターンを形成する。フィルタ回路は、第1共振器導体パターンが、ビアを介して一端側をベース基板側のグランドパターンと接続されるとともに、他端側を開放された分布線路パターンとして形成され高周波信号が入力される。フィルタ回路は、第2共振器導体パターンが、ビアを介して一端側をベース基板側のグランドパターンと接続されるとともに他端側を開放された分布線路パターンとして形成され、第1共振器導体パターンと電磁結合することにより入力された高周波信号から所定の周波数帯域の高周波信号を選択して出力する。フィルタ回路は、第3共振器導体パターンが、第1共振器導体パターンと第2共振器導体パターンとの間に平行に位置して両端を開放された分布線路パターンとして形成される。フィルタ回路は、誘電絶縁材によって形成される樹脂基板が、第1共振器導体パターンとグランドパターンとの間に接続されて集中定数による並列容量を付加する第1コンデンサと、第2共振器導体パターンとグランドパターンとの間に接続されて集中定数による並列容量を付加する第2コンデンサとを内層に薄膜形成するとともに、第1共振器導体パターンと第2共振器導体パターンとに接続されて集中定数による直列容量を付加する第3コンデンサが設けられる。
【0018】
本発明にかかるフィルタ回路においては、第1共振器導体パターン乃至第3共振器導体パターンが、それぞれ入力された高周波信号の通過波長λに対してλ/4よりも短い長さに形成されることにより、第1共振器導体パターンと第2共振器導体パターンとの間において誘導型電磁結合が行われる。フィルタ回路においては、第1共振器導体パターン及び第2共振器導体パターンと第3共振器導体パターンとの間において容量型電磁結合がを行われる。フィルタ回路においては、第1共振器導体パターン乃至第3共振器導体パターンとが、第1共振器導体パターンに入力された高周波信号に対して通過波長λに応じた所定周波数帯域において共振動作を行って選択した周波数帯域の高周波信号を第2共振器導体パターンから出力する。フィルタ回路においては、第1共振器導体パターン乃至第3共振器導体パターンとによって構成する内部容量と第1コンデンサと第2コンデンサとにより付加される並列容量とを最適化することにより、第1共振器導体パターンと第2共振器導体パターンとの長さによって規定される共振周波数帯域の低域化が図られるようになる。フィルタ回路においては、λ/4よりも極めて短い長さ第1共振器導体パターン乃至第3共振器導体パターンをベース基板の主面上に形成して波長短縮効果がより有効に奏されるようにするとともに、高周波特性を要求される各コンデンサを高周波特性に優れた誘電絶縁材からなる樹脂基板の内層に形成することで、所定のフィルタ特性を保持して小型化が図られる。
【0019】
また、本発明にかかるフィルタ回路は、樹脂基板の主面に、複数の切換スイッチと容量調整用のコンデンサとからなり、それぞれビアを介して樹脂基板の内層に形成された第1コンデンサと第2のンデンサと並列に接続される第1容量調整回路及び第2容量調整回路を設ける。フィルタ回路は、各切換スイッチが、例えば薄膜技術によって微細に形成することが可能なメムズスイッチによって構成する。
【0020】
本発明にかかるフィルタ回路においては、例えば誘電体基板の内層に形成された各第1共振器導体パターン乃至第3共振器導体パターン或いは第1コンデンサや第2コンデンサの製造工程でのバラツキによって所定のフィルタ特性が得られないといったこともある。フィルタ回路においては、測定器等によって出力特性をチェックしながら、主面に設けた切替スイッチを介して所定の容量調整コンデンサを第1コンデンサや第2コンデンサと接続することによって並列容量の付加量を調節し、最適化が図られるようにする。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用した分布定数設計による帯域フィルタ(BPF)1の実施の形態について説明する。BPF1は、例えば図示しないが通信機能モジュール体のアンテナ入出力部を構成するバンドパスフィルタ回路に用いられて、アンテナにより送受信される例えば無線LANシステムやBluetooh等の2.4GHz搬送周波数に重畳された送受信信号の通過特性を有する。BPF1は、図1に示すように誘電体基板2の内層に分布定数設計によって詳細を後述する第1共振器導体パターン8乃至第3共振器導体パターン10及び入力導体パターン11と出力導体パターン12とがパターン形成されたトリプレート構造によって構成されてなる。
【0022】
BPF1は、図4及び図5に示すように、ベース基板3と樹脂基板4を積層した誘電体基板2とを備える。ここで、ベース基板3には、例えばガラスエポキシ基板の一方主面に銅箔層を形成したFRグレード4の銅張積層板が用いられる。樹脂基板4は、コア5の両面にそれぞれ所定の厚みを有する誘電絶縁層6、7を積層して形成されている。誘電体基板2は、ベース基板3の第1主面3a上に積層され、詳細を後述する第1共振器導体パターン8乃至第3共振器導体パターン10とをパターン形成するとともに第2主面3bにグランドパターン14が形成されさらに誘電樹脂基板4の誘電絶縁層7上に図示しないグランドパターンが形成されることにより、上述したトリプレート構造を構成してなる。
【0023】
誘電体基板2は、樹脂基板4の各誘電絶縁層6、7が、低誘電率で低Tanδの特性、すなわち高周波特性に優れた誘電絶縁材によって所定の厚みを有して形成されている。各誘電絶縁層6、7は、具体的にはポリフェニールエチレン(PPE)、ビスマレイドトリアジン(BT−resin)、ポリテトラフルオロエチレン(商標名テフロン)、ポリイミド、液晶ポリマ、ポリノルボルネン(PNB)、ポリオレフィン樹脂等の有機誘電樹脂材や、セラミック等の無機誘電材、或いは有機誘電樹脂材と無機誘電材との混合体によって形成される。
【0024】
BPF1は、図4及び図5に示すように誘電体基板2のベース基板3や樹脂基板4に各基板或いは全体を貫通してビア13が適宜形成され、これらビア13を介して内層に形成した詳細を後述する第1共振器導体パターン8及び第2共振器導体パターン9や配線パターン15或いは第1コンデンサ16や第2コンデンサ17がベース基板3の第2主面3bに形成したグランドパターン14や誘電樹脂基板4の誘電絶縁層7に形成したグランドパターン或いは第3コンデンサ18と接続される。グランドパターン14は、ベース基板3の第2主面3bに略全面に亘って形成されている。グランドパターン14は、前述した図16に示す従来のBPF110と同様に、外周部に形成した図示しない多数のビアを介して誘電体基板2の外周部において誘電絶縁層7側のグランドパターンと層間接続される。
【0025】
BPF1は、図1及び図4、図5に示すように樹脂基板4の内層に第1コンデンサ16が形成され、この第1コンデンサ16が配線パターン15aを介して第1共振器導体パターン8と並列に接続される。BPF1は、樹脂基板4の内層に第2コンデンサ17が形成され、この第2コンデンサ17が配線パターン15bを介して第2共振器導体パターン9と並列に接続される。第1コンデンサ16及び第2コンデンサ17は、ビア13c1、13c2を介してグランドパターン14と接続されている。BPF1は、樹脂基板4の誘電絶縁層7上に第3コンデンサ18が実装され、この第3コンデンサ18がビア13d1、13d2を介して樹脂基板4の内層から誘電絶縁層7の表面に導かれる配線パターン15c1、15c2によって第1共振器導体パターン8と第2共振器導体パターン9とに直列に接続される。BPF1は、例えば第1コンデンサ16と第2コンデンサ17とが誘電絶縁層6或いは誘電絶縁層7内に成膜されてなる成膜素子として形成されるとともに、第3コンデンサ18が誘電絶縁層7の主面上で配線パターン15c1、15c2とビア13d1、13d2とを介して第1共振器導体パターン8と第2共振器導体パターン9と接続されるチップ部品として実装されてなる。
【0026】
第1共振器導体パターン8と第2共振器導体パターン9とは、図1に示すようにやや幅広の長手方向の矩形パターンからなり、所定の間隔を以って対向する互いに平行に形成されてなる。第3共振器導体パターン10は、幅狭の矩形パターンからなり、第1共振器導体パターン8と第2共振器導体パターン9との間に全長に亘って位置してこれらと互いに平行に形成されている。これら第1共振器導体パターン8乃至第3共振器導体パターン10及び入力導体パターン11と出力導体パターン12とは、ベース基板3の第1主面3a上に、例えば金属箔の貼付工程、フォトリソグラフ処理によるパターン化工程或いはエッチング工程等を経る従来一般的に用いられる方法によりパターン形成されてなる。
【0027】
第1共振器導体パターン8は、入力導体パターン11が腕状に突出して形成されており、高周波信号が入力される一次側の共振器導体パターンを構成する。第1共振器導体パターン8は、図1及び図4、図5に示すように、一端部側がビア13を介して第2主面3b側のグランドパターン14と接続されて短絡端8aとされるとともに、他端部側が開放された開放端8bとされてなる。
【0028】
第2共振器導体パターン9も、出力導体パターン12が腕状に突出して形成されており、詳細を後述するように入力された高周波信号から選択した所定の周波数帯域の高周波信号を出力する二次側の共振器導体パターンを構成する。第2共振器導体パターン9も、一端部側がビア13を介して第2主面3b側のグランドパターン14と接続された短絡端9aとされるとともに他端部側が開放された開放端9bとされてなる。
【0029】
第1共振器導体パターン8と第2共振器導体パターン9とは、互いに同長であり、その長さNが搬送周波数帯の通過波長λに対するλ/4の電気長、約6mmよりも極めて短い、N<<λ/4の長さを以って形成されている。第1共振器導体パターン8と第2共振器導体パターン9とは、2.4GHz搬送周波数帯の通過波長λに対するλ/4の電気長が約6mmに対して、例えば約2.7mmの長さに形成されている。第3共振器導体パターン10も、第1共振器導体パターン8及び第2共振器導体パターン9と同長の約2.7mmの長さに形成されている。
【0030】
ところで、伝送線路においては、電磁的にカップリングする一対の線路が、図2に示すように先端短絡型の線路と先端開放型の線路とで通過波長λに対して線路長kによって誘導型動作特性と容量型動作特性との異なるなる動作特性を示すようになる。すなわち、先端短絡型の線路においては、同図実線で示すように0<k<λ/4の範囲で誘導型動作特性(インダクタ)を奏するとともに、λ/4を超すと容量型動作特性(キャパシタ)を奏する。一方、先端開放型の線路においては、同図鎖線で示すように0<k<λ/4の範囲で容量型動作特性(キャパシタ)を奏する。
【0031】
BPF1においては、ベース基板3の第1主面上に第1共振器導体パターン8乃至第3共振器導体パターン10を形成して、それぞれの長さで規定される共振特性を利用した基本的な構成を上述した従来のBPF110と同様とするが、ベース基板3の第1主面上に第1共振器導体パターン8乃至第3共振器導体パターン10を被覆するようにして積層した高周波特性に優れた樹脂基板4の内層にインダクティブ素子とキャパシティ部素子とを内蔵した構成に特徴を有している。すなわち、BPF1においては、上述した長さを有して一端部側を短絡された第1共振器導体パターン8及び第2共振器導体パターン9が誘導型電磁結合を行うとともに、これら第1共振器導体パターン8及び第2共振器導体パターン9と第3共振器導体パターン10がそれぞれ容量型電磁結合を行う。
【0032】
BPF1においても、第1共振器導体パターン8乃至第3共振器導体パターン10及び第1コンデンサ16乃至第3コンデンサ18が、図3に示した等価回路的に並列共振回路を容量結合した構成をとる。すなわち、BPF1も、第1共振器導体パターン8とグランドパターン14とによって構成された一次側インダクタンスLI10と、第2共振器導体パターン9とグランドパターン14とによって構成された二次側インダクタンスLO20とが電磁的にカップリングする。BPF1には、第1共振器導体パターン8及び第2共振器導体パターン9と第3共振器導体パターン10とによって構成された容量C31乃至容量C33からなる容量C30が付加される。
【0033】
BPF1においては、一次側インダクタンスLI10に対して第1コンデンサ16により並列容量C41が付加されるとともに、二次側インダクタンスLO20に対して第2コンデンサ17により並列容量C42が付加される。BPF1においては、第1コンデンサ16と第2コンデンサ17との間に第3コンデンサ18が直列に接続されて直列容量C43が付加される。BPF1においては、第1共振器導体パターン8側に容量C10に対して容量C31と容量C41が付加されたキャパシタCAを有する並列共振回路が構成されるとともに、第2共振器導体パターン9側に容量C20に対して容量C32と容量C42が付加されたキャパシタCCを有する並列共振回路が構成される。
【0034】
かかるBPF1によれば、上述したように第1共振器導体パターン8乃至第3共振器導体パターン10が入力される高周波信号の波長λに対してλ/4よりも極めて短く形成されており、電磁的にカップリングする一次側インダクタンスLIと二次側インダクタンスLOとにより所望の通過波長λよりも高い周波数帯域で共振動作が生じることになる。
【0035】
一方、BPF1は、一次側インダクタンスLIと二次側インダクタンスLOとに対して第1コンデンサ16と第2コンデンサ17とによる並列容量が付加されることから、パターン長の短縮化によって高帯域化された共振周波数帯域の低域化が図られて結合度がλ/4の線路長と同等に最大となる。したがって、BPF1によれば、第1共振器導体パターン8側から入力された波長λの高周波信号に対して、所定の通過波長λの周波数帯域において共振動作を生じることで帯域外の高周波成分が除去されて第2共振器導体パターン9側から所定の周波数帯域の高周波信号のみが出力される。
【0036】
また、BPF1によれば、第1コンデンサ16と第2コンデンサ17との間に直列に介挿された第3コンデンサ18によって入力された高周波信号に対して周波数ノッチ作用が奏せられる。したがって、BPF1によれば、トラップや減衰極成分の低減が図られ、第2共振器導体パターン9から不要成分が除去された高周波信号が安定した状態で出力されるようになる。
【0037】
なお、誘電体基板2は、ベース基板3側に上述した第1共振器導体パターン8乃至第3共振器導体パターン10とともに電源回路や制御回路を形成し、平坦化処理を施した主面上に積層形成する樹脂基板4側に上述した第1コンデンサ16や第2コンデンサ17とともに高周波信号回路や処理回路を形成することにより全体として通信モジュール基板を構成するようにしてもよい。通信モジュール基板は、ベース基板3側に充分な面積を以って電源回路やグランドを形成することが可能でありレギュレーションの高い電源供給が行われる。また、通信モジュール基板は、高周波信号回路等と電源回路等との電気的分離が図られて干渉を抑制された構成であることから、特性の向上が図られるようになる。
【0038】
ところで、BPFの製造工程においては、一般に製造工程中でのバラツキ等によって所定のフィルタ特性が得られない場合があるために、例えば測定器等によって出力特性をチェックしながら各部の位置や形状を調整する処理が施される。ところが、BPF1は、上述したように第1共振器導体パターン8乃至第3共振器導体パターン10や第1コンデンサ16及び第2コンデンサ17が誘電体基板2の内層に形成されているためにかかる調整処理を施すことが困難となる。
【0039】
図6に示したBPF30は、第1共振器導体パターン8及び第2共振器導体パターン9に並列容量を付加する第1コンデンサ16と第2コンデンサ17に対して、容量調整用の第1容量調整コンデンサ31と第2容量調整コンデンサ32とがそれぞれ並列に接続されてなる。これら第1容量調整コンデンサ31と第2容量調整コンデンサ32は、例えばチップ部品として誘電体基板2の表面に実装され、ビア13を介して第1コンデンサ16と第2コンデンサ17とに接続されている。
【0040】
BPF30は、実装型チップ部品からなる第1容量調整コンデンサ31と第2容量調整コンデンサ32を適宜交換することによって、所望の出力特性が得られるように調整される。勿論、BPF30においては、上述した内蔵型の第1コンデンサ16と第2コンデンサ17とに代えてチップ部品からなるコンデンサを用いることも可能である。しかしながら、チップコンデンサは、一般に容量値が大きくなるほど自己共振周波数が低くなるとともに容量値の飛びも粗くなるといった特性を有している。BPF30は、内蔵型の第1コンデンサ16と第2コンデンサ17と容量値の小さなチップ型の第1容量調整コンデンサ31と第2容量調整コンデンサ32とを並列接続することにより高周波信号の微調整が高精度に行われる。
【0041】
図7に示したBPF35も、後調整工程を可能としたものであり、第1共振器導体パターン8及び第2共振器導体パターン9に対して、それぞれアレィパターン15dを介して接続された第1メムズスイッチ36(36a〜36n)及び第1容量調整コンデンサ37(37a〜37n)の直列回路からなる複数の第1の容量付加回路と、アレィパターン15eを介して接続された第2メムズスイッチ38(38a〜38n)と第2容量調整コンデンサ39(39a〜39n)の直列回路からなる複数の第2の容量付加回路とを有してなる。
【0042】
BPF35においては、各第1メムズスイッチ36を選択的にスイッチングすることによって、第1共振器導体パターン8と第1容量調整コンデンサ37群との接続状態を切り替えて付加容量の調整が行われる。同様に、BPF35においては、各第2メムズスイッチ38を選択的にスイッチングすることによって、第2共振器導体パターン9と第2容量調整コンデンサ39群との接続状態を切り替えて付加容量の調整が行われる。
【0043】
図8は、代表的なメムズ(MEMS:Micro-Electro-Mechanical-System)スイッチ40を示した図である。メムズスイッチ40は、全体が絶縁カバー41によって覆われている。メムズスイッチ40は、シリコン基板42上に互いに絶縁されて第1固定接点43と、第2固定接点44と、第3固定接点45とが形成されてなる。メムズスイッチ40は、第1固定接点43に薄板状で可撓性を有する可動接点片46が回動自在に片持ち状態で支持されてなる。メムズスイッチ40は、第1固定接点43と第3固定接点45とがそれぞれ入出力接点とされ、リード47a、47bを介して絶縁カバー41に設けた入出力端子48a、48bとそれぞれ接続される。
【0044】
メムズスイッチ40は、可動接点片46が、その一端部をシリコン基板42側の第1固定接点43に対する常閉接点とされるとともに、自由端が第3固定接点45に対して常開接点を構成する。可動接点片46は、中央部に形成された第2固定接点44に対応して内部に電極49が設けられている。メムズスイッチ40は、通常状態において図9(A)に示すように可動接点片46が一端を第1固定接点43と接触するとともに、他端を第3固定接点45と非接触状態に保持されている。
【0045】
以上のように構成されたメムズスイッチ40は、誘電体基板2の主面上にそれぞれ実装される。各メムズスイッチ40は、一方の入出力端子48aがそれぞれアレィパターン15d、15eと接続されるとともに他方の入出力端子48bが第1容量調整コンデンサ37或いは第2容量調整コンデンサ39と接続される。したがって、メムズスイッチ40は、通常、アレィパターン15d、15e、換言すれば第1共振器導体パターン8と第1容量調整コンデンサ37或いは第2共振器導体パターン9と第2容量調整コンデンサ39との間の絶縁状態を保持する。
【0046】
メムズスイッチ40は、駆動信号が入力されると、第2固定接点44と可動接点片46の内部電極49とに駆動電圧が印加される。メムズスイッチ40は、これによって第2固定接点44と可動接点片46との間において吸引力が生成され、図9(B)に示すように可動接点片46が第1固定接点43を支点としてシリコン基板42側へと変位動作してその自由端が第3固定接点45と接続し、またこの接続状態が保持される。また、メムズスイッチ40は、上述した状態から第2固定接点44と可動接点片46の内部電極49とに逆バイアスの駆動電圧が印加されると、可動接点片46が初期状態へと復帰して第3固定接点45との接続状態が解除される。メムズスイッチ40は、極めて微小であるとともに動作状態を保持するための保持電流を不要とするスイッチであることから、BPF35に搭載してもこれを大型化することはなくかつ低消費電力化も図られるようになる。
【0047】
BPF35は、第1共振器導体パターン8側の入力共振器導体パターン11に基準信号を入力し、第2の共振器導体パターン9側の出力共振器導体パターン12からの出力を測定器によって測定しながら各第1メムズスイッチ36及び各第2のメムズスイッチ38をオン・オフ制御することによってフィルタ特性の調整が行われる。したがって、BPF35は、例えば図9に示すようにバンドパスフィルタ回路のフィードバックロジックを構成する。バンドパスフィルタ回路は、2.4GHz周波数帯域に重畳された高周波信号の通過特性を付与されて構成され、アンテナ50によって受信した信号を処理するBPF51、アンプ52、ミキサ53、発振器54とを備えている。バンドパスフィルタ回路は、第2BPF55によってミキサ53から出力される所定の周波数帯域の高周波信号を通過させて受信アンプ56へと供給する。
【0048】
バンドパスフィルタ回路は、誘電体基板2の厚みや第1共振器導体パターン8乃至第3共振器導体パターン10の位置或いは形状等により規定されたフィルタ特性から搭載機器の何らかの使用環境の変化による影響、例えば周囲に金属体や誘電体等が接近配置されたり温度や湿度の変化が生じた場合に、BPF51の周波数特性がずれてアンテナ50からの受信電力が低下することがある。バンドパスフィルタ回路においては、受信アンプ56の出力レベルが検出され、低下状態を検出するとスイッチ駆動回路部57に検出出力が送出される。
【0049】
バンドパスフィルタ回路においては、スイッチ駆動回路部57において各第1メムズスイッチ36及び各第2メムズスイッチ38を駆動する制御信号Sが生成されてBPF51へフィードバックされる。バンドパスフィルタ回路においては、各第1メムズスイッチ36及び各第2メムズスイッチ38が選択的にオン・オフ制御されることによって上述したように周波数特性の微調整が行われるようになる。
【0050】
なお、容量調整構造については、上述したBPF35の構成に限定されるものではなく、例えば第1メムズスイッチ36や第2メムズスイッチ38に代えて、アレィパターン15d、15eと第1コンデンサ37と第2コンデンサ39との間を開放状態として、銀ペースト等の導電性ペーストや銅箔等を適宜後付けして短絡するようにしてもよい。
【0051】
以上のように構成される本発明にかかるBPFについて、図10に示したBPF60の仕様に基づいて特性シュミレーションを行った結果を図11に示す。BPF60は、誘電体層61内に上述した構成の第1共振器導体パターン62乃至第3共振器導体パターン64がパターン形成されるとともに、図示しないが第1コンデンサ乃至第3コンデンサが備えられる。BPF60は、誘電体層61の両面にそれぞれグランドパターン65、66が形成されることによりトリプレート構造を構成している。BPF60には、グランドパターン66上に薄膜層76が積層形成されている。
【0052】
BPF60は、誘電体層61の総厚みを約0.7mmとし、平均の比誘電率が3.8とされている。また、BPF60は、第1共振器導体パターン62と第2共振器導体パターン63が約2.7mmの長さに形成され、これら第1共振器導体パターン62と第2共振器導体パターン63とに並列容量を付加する第1コンデンサと第2コンデンサの容量がそれぞれ約3pFとなっている。なお、BPF60は、直列容量を付加する第3コンデンサ容量が約0.7pFである。勿論、BPF60は、第1共振器導体パターン62と第2共振器導体パターン63とが一端を短絡されるとともに第3共振器導体パターン64が両端を開放されてなる。
【0053】
BPF60は、上述したように第1共振器導体パターン62と第2共振器導体パターン63とがその長さを通過波長λのλ/4に対して極めて短い長さに形成されているが、図11から明らかなようにこれら第1共振器導体パターン62と第2共振器導体パターン63の長さに規定されることなく2.4GHz帯域において最大の共振特性が現れる。
【0054】
なお、上述した各実施の形態においては、第1共振器導体パターン8乃至第3共振器導体パターン10をベース基板3の樹脂基板4が積層される第1主面上に形成することによって、誘電体基板2の内層にパターン形成するようにしたが、本発明はかかる構成に限定されるものでは無いことは勿論である。図12に示したBPF70は、誘電体層71の主面に第1共振器導体パターン72乃至第3共振器導体パターン74がパターン形成されてなる。BPF70は、誘電体層71の他方主面にグランドパターン75が全面に亘って形成され、さらにこのグランドパターン75上に薄膜層76が形成されてなる。BPF70は、第1共振器導体パターン8乃至第3共振器導体パターン10がマイクロストリップライン構造を構成する。
【0055】
また、図13に示したBPF80は、上述したBPF70に対して、誘電体層71にシールドケース81を組み合わせて構成してなる。BPF80は、第1共振器導体パターン8乃至第3共振器導体パターン10がグランドパターン75とシールドケース81との間で、誘電体層71とエアーによる誘電体層との間に内蔵されることでストリップライン構造を構成する。BPF80は、シールドケース81によって寄生容量による損失が低減される。
【0056】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように本発明にかかるフィルタ回路によれば、ベース基板の主面上に互いに平行な分布線路パターンとして形成されて電磁結合する第1共振器導体パターン乃至第3共振器導体パターンとを形成し、先端を短絡されて誘導的結合を行う第1共振器導体パターンと第2共振器導体パターンに樹脂基板内に形成した第1コンデンサと第2コンデンサにより並列容量を付加しかつこれらと開放パターンからなる第3共振器導体パターンとが容量的結合を行って内部コンデンサを構成する。したがって、フィルタ回路によれば、第1共振器導体パターン乃至第3共振器導体パターンが通過波長のλ/4の長さよりも極めて短く形成されるが、共振周波数帯域を各共振器導体パターンの線路長に関わらず内部容量と付加する並列容量との組合せにより低域で共振が行われるようになり小型化が図られるとともに所望の周波数特性が得られる。
【0057】
また、フィルタ回路によれば、誘電基板の内層に形成された第1コンデンサと第2コンデンサの容量調整を誘電基板の主面に設けた第1容量調整回路及び第2容量調整回路とによって行うことにより、製造工程中でのバラツキや使用環境の変化等によりフィルタ特性にバラツキやズレが生じた場合でも最適なフィルタ特性値に設定が可能となる。フィルタ回路は、これによって生産性や歩留りの向上が図られるとともに信頼性や性能の向上が図られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態として示すバンドパスフィルタの平面図である。
【図2】 伝送回路における一対の線路パターンの電磁的カップリング動作に関する線路長と通過波長との特性図である。
【図3】 バンドパスフィルタの並列共振回路の説明図である。
【図4】 バンドパスフィルタの図1におけるA−A線の断面図である。
【図5】 バンドパスフィルタの図1におけるB−B線の断面図である。
【図6】 第1の共振器導体パターンと第2の共振器導体パターンとに付加する並列容量の調整構造を備えた他のバンドパスフィルタの要部平面図である。
【図7】 メムズスイッチを用いた並列容量の調整構造を備えた他のバンドパスフィルタの要部平面図である。
【図8】 メムズスイッチの構成説明図であり、同図(A)は非導通状態の縦断面図、同図(B)は動作状態の要部縦断面図である。
【図9】 メムズスイッチを搭載したバンドパスフィルタを備えてフィードバックロジックを構成したバンドパスフィルタ回路の構成図である。
【図10】 バンドパスフィルタの要部縦断面図である。
【図11】 同バンドパスフィルタにおけるフィルタ特性のシュミレーション図である。
【図12】 共振器導体パターンを誘電体層の表面に形成したバンドパスフィルタの要部縦断面図である。
【図13】 共振器導体パターンを誘電体層の表面に形成してシールドカバーを設けたバンドパスフィルタの要部縦断面図である。
【図14】 従来のバンドパスフィルタの要部平面図である。
【図15】 従来のトリプレート構造のバンドパスフィルタの説明図である。
【図16】 同バンドパスフィルタの並列共振回路の説明図である。
【符号の説明】
1 バンドパスフィルタ(BPF)、2 誘電体基板、3 ベース基板、4 樹脂基板、8 第1共振器導体パターン、9 第2共振器導体パターン、10 第3共振器導体パターン、11 入力導体パターン、12 出力導体パターン、13 ビア、14 グランドパターン、15 配線パターン、16 第1コンデンサ、17 第2コンデンサ、18 第3コンデンサ、31,32 容量調整コンデンサ、36,38 メムズスイッチ、37,39 容量調整コンデンサ

Claims (2)

  1. ベース基板上に、その誘電率よりも低い誘電絶縁材によって形成される樹脂基板を積層してなる2層基板構成の誘電体基板を備え、
    上記ベース基板が、上記樹脂基板が積層される第1主面と対向する第2主面側に形成されたグランドパターンと、上記第1主面側にビアを介して一端側を上記グランドパターンと接続されるとともに他端側を開放された分布線路パターンとして形成されて高周波信号が入力される第1共振器導体パターンと、この第1共振器導体パターンと平行でかつビアを介して一端側を上記グランドパターンと接続されるとともに他端側を開放された分布線路パターンとして形成され上記第1共振器導体パターンと電磁結合することによって入力された上記高周波信号から選択した所定の周波数帯域の高周波信号を出力する第2共振器導体パターンと、上記第1共振器導体パターンと上記第2共振器導体パターンとの間に平行に位置して両端を開放された分布線路パターンとして形成された第3共振器導体パターンとを有し、
    誘電絶縁材によって形成される上記樹脂基板が、上記第1共振器導体パターンと上記グランドパターンとの間に接続されて集中定数による並列容量を付加する第1コンデンサと、上記第2共振器導体パターンと上記グランドパターンとの間に接続されて集中定数による並列容量を付加する第2コンデンサとを内層に薄膜形成するとともに、上記第1共振器導体パターンと上記第2共振器導体パターンとに接続されて集中定数による直列容量を付加する第3コンデンサとを有し、
    上記第1共振器導体パターン乃至第3共振器導体パターンが、それぞれ入力された上記高周波信号の通過波長λに対してλ/4よりも短い長さに形成されることにより、上記第1共振器導体パターンと第2共振器導体パターンとの間において誘導型電磁結合を行うとともに、これら上記第1共振器導体パターン及び第2共振器導体パターンと上記第3共振器導体パターンとの間において容量型電磁結合を行って所定周波数帯域の高周波信号を選択して通過させることを特徴とするフィルタ回路。
  2. 上記樹脂基板の主面に、複数の切換スイッチと容量調整用のコンデンサとからなり、それぞれビアを介して上記樹脂基板の内層に形成された上記第1コンデンサと上記第2コンデンサと並列に接続される第1容量調整回路及び第2容量調整回路を設け、
    上記各切替スイッチを切替操作して上記各容量調整コンデンサによる上記第1コンデンサ又は第2コンデンサに対する並列容量の付加量を調節することを特徴とする請求項1に記載のフィルタ回路。
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