JP3777026B2 - 乗客コンベア用ハンドレールの接続方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エスカレータなどの乗客コンベア用ハンドレールの接続方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般にエレベータなどの乗客コンベアに設けられる移動手摺りすなわちハンドレールは、複数枚の帆布を積層した芯体と、この芯体の内部に長手方向に沿って埋設される抗張体と、前記芯体の上に積層した化粧ゴムとを備えている。
【0003】
従来、このようなハンドレールの両端の接続方法は、複数枚の帆布の両端をすべて切断し、これらの切断面が互いにずれた位置になるように各帆布の両端をそれぞれ接続するものが開発されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来技術にあっては、複数枚の帆布の各切断面が互いに重ならないように各帆布の両端を斜めに切断するために、前記の各帆布に正確に罫書き作業を行なう必要があり、ハンドレール接続作業に要する時間が長くなってしまうという問題があった。
【0005】
本発明はこのような従来技術における実情に鑑みてなされたもので、その目的は、ハンドレール両端の接続作業を迅速に行なうことのできる乗客コンベア用ハンドレールの接続方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、複数枚の帆布を積層した芯体と、この芯体の内部に長手方向に沿って埋設させる抗張体と、前記芯体の上に積層した化粧ゴムとを有するハンドレールであって、前記抗張体の両端をラップさせるとともに、前記芯体の両端を接続する乗客コンベア用ハンドレールの接続方法において、前記複数枚の帆布のうち前記化粧ゴムから最も遠い位置にある最上面帆布の両端を、前記芯体の長手方向に対して斜めに切断し、かつ前記複数枚の帆布のうち前記化粧ゴムから最も近い位置にある最下面帆布の両端、およびこれらの最上面帆布および最下面帆布の間に設けられる複数枚の中間帆布の両端を、それぞれ前記芯体の長手方向に対して直角に切断するとともに、前記最下面帆布の両端を縫い合わせて、前記最上面帆布の両端、および前記複数枚の中間帆布の各両端をそれぞれ長さの異なる帆布片を介して接続することにより、前記最上面帆布の切断面と、前記複数枚の中間帆布の各切断面と、前記最下面帆布の縫い合わせ面とが互いにずれた位置となるように構成してある。
【0007】
上記のように構成した本発明では、芯体を形成する最下面帆布の両端を縫い合わせて、最上面帆布の両端および複数枚の中間帆布の各両端をそれぞれ長さの異なる帆布片を介して接続することにより、これらの最下面帆布、最上面帆布、および複数枚の中間帆布の各両面(すなわち切断面)が互いにずれた位置にあり、重ならないので、各帆布に正確に罫書き作業を行なう必要がなくて済み、これによって、ハンドレール両端の接続作業を迅速に行なえる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の乗客コンベア用ハンドレールの接続方法の実施の形態を図に基づいて説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る接続方法が用いられる乗客コンベア用ハンドレールの縦断面図、図2は最下面帆布の縫い合わせ状態を示す説明図、図3は第1中間帆布の接続状態を示す説明図、図4は第2中間帆布の接続状態を示す説明図、図5は抗張体の接続状態を示す説明図、図6は第3中間帆布の接続状態を示す説明図、図7は最上面帆布の接続状態を示す説明図、図8は図1のハンドレールに備えられる芯体の長手方向の縦断面図である。
【0009】
本実施形態の接続方法が用いられる図1のハンドレール1は、両側部が下方に湾曲する芯体2と、この芯体2の上に積層され、接着剤により固定される化粧ゴム3と、芯体1の内部に長手方向に沿って埋設される抗張体4とから構成されている。
【0010】
芯体2は、化粧ゴム3から最も近い位置にある最下面帆布5と、化粧ゴム3から最も遠い位置にある最上面帆布6と、これらの最下面帆布5および最上面帆布6の間に積層される第1中間帆布7、第2中間帆布8、第3中間帆布9とからなっている。
【0011】
抗張体4は、第2中間帆布8と第3中間帆布9との間に埋設される18本のスチールコードからなり、この抗張体4により、ハンドレール1の使用中の伸びを防止するとともに、ハンドレール1の補強を行なう。ハンドレール1の両端を接続する際、図6に示すように、抗張体4の両端部4a、4bを櫛形に形成するとともに前記の18本のスチールコードの両端を6本ずつ段違いに切断し、前記の櫛形の両端部4a、4bを互いにラップさせるようになっている。
【0012】
さらに、図2に示すように、最下面帆布5の両端面5a、5bは、芯体2の長手方向に対して直角に切断されている。図3に示すように、第1中間帆布7の両端面7a、7bは、最下面帆布5の両端面5a、5bより外方の位置で、芯体2の長手方向に対して直角に切断されるとともに、前記の両端面7a、7bが第1帆布片70を介して接続されている。
【0013】
図4に示すように、第2中間帆布8の両端面8a、8bは、第1中間帆布7の両端面7a、7bより外方の位置で、芯体2の長手方向に対して直角に切断されるとともに、前記の両端面8a、8bが第1帆布片70より長い第2帆布片80を介して接続されている。
【0014】
図6に示すように、第3中間帆布9の両端面9a、9bは、第2中間帆布8の両端面8a、8bより外方の位置で、芯体2の長手方向に対して直角に切断されるとともに、前記の両端面9a、9bが第2帆布片80より長い第3帆布片90を介して接続されている。
【0015】
図7に示すように、最上面帆布6の両端面6a、6bは、第3中間帆布9の両端面9a、9bより外方の位置で、芯体2の長手方向に対して所定角度、例えば60度の角度で斜めに切断されるとともに、前記の両端面6a、6bが第3帆布片90より長い平行四辺形状の最上面帆布片60を介して接続されている。
【0016】
この実施形態にあっては、次に述べる(1)〜(7)の作業手順にしたがってハンドレール1の接続作業を行なうようになっている。すなわち、(1)図2に示すように、まず最下面帆布5の両端面5a、5bを互いに突き合わせて糸10で縫い合わせた後、(2)第1帆布片70の両端面および背面に接着剤を塗布するとともに、図3に示すように、第1帆布片70を第1中間帆布7の両端面7a、7b間に介設して前記の接着剤で各端面を接合することにより、第1帆布片70を介して第1中間帆布7の両端面7a、7bを接続する。その際、第1帆布片70の背面を前記の接着剤により最下面帆布5に接合させる。
【0017】
次いで、(3)第2帆布片80の両端面および背面に接着剤を塗布するとともに、図4に示すように、第2帆布片80を第2中間帆布8の両端面8a、8b間に介設して前記の接着剤で各端面を接合することにより、第2帆布片80を介して第2中間帆布8の両端面8a、8bを接続する。その際、第2帆布片80の背面を前記の接着剤により第1帆布片70などに接合させる。
【0018】
次いで、(4)図5に示すように、抗張体4の両端部4a、4bをラップさせた状態で接続した後、(5)第3帆布片90の両端面および背面に接着剤を塗布するとともに、図6に示すように、第3帆布片90を第3中間帆布9の両端面9a、9b間に介設して前記の接着剤で各端面を接合することにより、第3帆布片80を介して第2中間帆布8の両端面8a、8bを接続する。その際、第3帆布片90の背面を前記の接着剤により第2帆布片80などに接合させる。
【0019】
次いで、(6)平行四辺形状の最上面帆布片60の両端面および背面に接着剤を塗布するとともに、図7に示すように、最上面帆布片60を最上面帆布6の両端面6a、6b間に介設して前記の接着剤で各端面を接合することにより、最上面帆布片60を介して最上面帆布6の両端面6a、6bを接続する。その際、最上面帆布片60の背面を前記の接着剤により第3帆布片90などに接合させる。
【0020】
このようにして最下面帆布5の両端面5a、5b、第1中間帆布7の両端面7a、7b、第2中間帆布8の両端面8a、8b、第3中間帆布9の両端面9a、9b、および最上面帆布6の両端面6a、6bを互いにずれた状態で、この複数枚の帆布5〜9すなわち芯体2を接続した後、最後に、(7)この芯体2の両端部分を化粧ゴム3とともに、従来と同様の図示しないモールド金型にセットして加硫処理を施すことにより、ハンドレール1が無端状に接続される。
【0021】
このように構成した実施形態では、複数枚の帆布5〜9の各端面が互いに重ならないため、各帆布5〜9に正確に罫書き作業を行なう必要がなくて済み、これにより、ハンドレール1の接続作業を迅速に行なえる。
【0022】
【発明の効果】
本発明は、以上のように構成したので、複数枚の帆布に正確に罫書き作業を行なう必要がなくて済み、ハンドレールの接続作業を迅速に行なえる。したがって、ハンドレール接続時の作業効率を向上できるとともに、緊急時などにハンドレール接続を短時間で行ない、乗客コンベアの早期復帰を図れるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る接続方法が用いられる乗客コンベア用ハンドレールの縦断面図である。
【図2】最下面帆布の縫い合わせ状態を示す説明図である。
【図3】第1中間帆布の接続状態を示す説明図である。
【図4】第2中間帆布の接続状態を示す説明図である。
【図5】抗張体の接続状態を示す説明図である。
【図6】第3中間帆布の接続状態を示す説明図である。
【図7】最上面帆布の接続状態を示す説明図である。
【図8】図1のハンドレールに備えられる芯体の長手方向の縦断面図である。
【符号の説明】
1 ハンドレール
2 芯体
3 化粧ゴム
4 抗張体(スチールコード)
5 最下面帆布
6 最上面帆布
7〜9 中間帆布
60 最上面帆布片
70 第1帆布片
80 第2帆布片
90 第3帆布片
Claims (3)
- 複数枚の帆布を積層した芯体と、この芯体の内部に長手方向に沿って埋設させる抗張体と、前記芯体の上に積層した化粧ゴムとを有するハンドレールであって、前記抗張体の両端をラップさせるとともに、前記芯体の両端を接続する乗客コンベア用ハンドレールの接続方法において、
前記複数枚の帆布のうち前記化粧ゴムから最も遠い位置にある最上面帆布の両端を、前記芯体の長手方向に対して斜めに切断し、かつ前記複数枚の帆布のうち前記化粧ゴムから最も近い位置にある最下面帆布の両端、およびこれらの最上面帆布および最下面帆布の間に設けられる複数枚の中間帆布の両端を、それぞれ前記芯体の長手方向に対して直角に切断するとともに、前記最下面帆布の両端を縫い合わせて、前記最上面帆布の両端、および前記複数枚の中間帆布の各両端をそれぞれ長さの異なる帆布片を介して接続することにより、前記最上面帆布の切断面と、前記複数枚の中間帆布の各切断面と、前記最下面帆布の縫い合わせ面とが互いにずれた位置となるようにしたことを特徴とする乗客コンベア用ハンドレールの接続方法。 - 前記帆布片の両端をそれぞれ前記最上面帆布の両端、および前記複数枚の中間帆布の各両端に接着剤で接合するようにしたことを特徴とする請求項1記載の乗客コンベア用ハンドレールの接続方法。
- 前記抗張体は、複数本のスチールコードからなることを特徴とする請求項1または請求項2記載の乗客コンベア用ハンドレールの接続方法。
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