JP3713701B2 - フォトセンサ装置及びその駆動制御方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、フォトセンサ装置及びその駆動制御方法に関し、特に、いわゆる、ダブルゲート構造を有する薄膜トランジスタを2次元配列して構成されるフォトセンサアレイを備えた画像読取装置に適用して良好なフォトセンサ装置及びその駆動制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、印刷物や写真、あるいは、指紋等の微細な凹凸の形状等を読み取る2次元画像の読取装置として、光電変換素子(フォトセンサ)をマトリクス状に配列して構成されるフォトセンサアレイを有する構造のものがある。このようなフォトセンサアレイとして、一般に、CCD(Charge Coupled Device)等の固体撮像デバイスが用いられている。
CCDは、周知の通り、フォトダイオードや薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)等のフォトセンサをマトリクス状に配列した構成を有し、各フォトセンサの受光部に照射された光量に対応して発生する電子−正孔対の電荷量を、水平走査回路及び垂直走査回路により検出し、照射光の輝度を検知している。
【0003】
このようなCCDを用いたフォトセンサシステムにおいては、走査された各フォトセンサを選択状態にするための選択トランジスタを個別に設ける必要があるため、画素数が増大するにしたがって、システム自体が大型化するという問題を有している。
そこで、近年、このような問題を解決するための構成として、フォトセンサ自体にフォトセンス機能と選択トランジスタ機能とを持たせた、いわゆる、ダブルゲート構造を有する薄膜トランジスタ(以下、ダブルゲート型フォトセンサという)を画像読取装置に適用して、システムの小型化、及び、画素の高密度化を図る試みがなされている。
【0004】
このようなフォトセンサを用いた画像読取装置は、概略、ガラス基板上にトップゲート電極及びボトムゲート電極を備えたダブルゲート型フォトセンサをマトリクス状に形成して、フォトセンサアレイを構成し、例えば、ガラス基板の背面側から照射光を入射して、フォトセンサアレイの上方に載置された2次元画像の画像パターンに応じた反射光を、ダブルゲート型フォトセンサにより明暗情報として検出し、2次元画像を読み取るものである。
ここで、フォトセンサアレイによる画像の読み取り動作は、リセットパルスの印加による初期化終了時から読み出しパルスが印加されるまでの光蓄積期間において、各ダブルゲート型フォトセンサ毎に蓄積されるキャリヤ(正孔)の蓄積量に基づいて、明暗情報が検出される。なお、ダブルゲート型トランジスタ、及び、フォトセンサアレイの具体的な構成及び動作については、後述する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述したようなダブルゲート型フォトセンサを適用したフォトセンサシステムにおいては、以下に示すような問題を有していた。
すなわち、ダブルゲート型フォトセンサを適用したセンサシステムにおいては、光蓄積期間におけるフォトセンサ毎のキャリヤ(正孔)の蓄積量に基づいて、画像の読み取りが行われるので、種々の環境下で被写体画像(2次元画像)を良好に読み取るためには、上記光蓄積期間(すなわち、読取感度に相当する)を適切に設定する必要がある。
特に、光蓄積期間は、環境照度等の周囲の条件に依存して異なるため、従来においては、環境照度を検出するための回路を別個に設けたり、正規のスキャン動作を開始する前に標準試料等を用いて、光蓄積期間を複数段階に変えて読み取り動作(いわゆる、事前読出動作)を行い、その検出結果や読取結果に基づいて、環境照度に応じた光蓄積期間の最適値を求める手法を採用していた。
【0006】
一方、上述したような従来技術に係るフォトセンサシステムにおいては、ダブルゲート型フォトセンサのトップゲート及びボトムゲートの各々に、非常に短い期間のみ、例えば、正電圧のリセットパルス及び読み出しパルスを印加し、リセットパルス及び読み出しパルスが印加されていない期間においては、これらのパルスとは逆の極性の信号電圧(負電圧)、又は、0V(GNDレベル)を印加する駆動制御方法が適用されていたため、トップゲート及びボトムゲートに印加される電圧波形は、0V(GNDレベル)に対して対称ではなく、実効電圧が、例えば、ローレベル(負電圧)側に大きく偏っていた。
【0007】
ここで、ダブルゲート型フォトセンサに光が照射された状態において、このような偏った実効電圧が各ゲートに印加され続けると、各ゲートに正孔あるいは電子がトラップされる等の現象が発生して、ダブルゲート型フォトセンサの素子特性が劣化し、感度特性が変化するという問題を有している。そのため、実効電圧を最適値に調整制御する必要がある。
ところが、上述したような事前読出動作により、環境照度に応じて、その都度、最適な光蓄積期間を変更設定すると、各ゲートに印加される実効電圧が必然的に変動して、予め設定した実効電圧の最適値から外れることになり、上記感度特性等の劣化が生じて、画像読取装置の信頼性を十分に確保することができなくなるという問題を有していた。
【0008】
そこで、本発明は、上述した問題を解決し、フォトセンサのゲートに印加される実効電圧の偏りや変動に起因する素子特性の劣化や感度特性の変化を抑制して、信頼性が十分に確保された画像読取装置を実現することができるフォトセンサ装置及びその駆動制御方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載のフォトセンサ装置は、複数のフォトセンサを2次元配列して構成されるフォトセンサアレイと、前記フォトセンサアレイにおける第1の電極にリセットパルスを印加して前記フォトセンサを初期化するとともに、前記第1の電極に印加される実効電圧を最適値にするための信号電圧を印加する第1の信号電圧印加手段と、前記フォトセンサアレイにおける第2の電極に読み出しパルスを印加するとともに、前記第2の電極に印加される実効電圧を最適値にするための信号電圧を印加する第2の信号電圧印加手段と、前記フォトセンサアレイにおける前記複数のフォトセンサにプリチャージパルスを印加するとともに、各フォトセンサの出力電圧を取り込む信号読み出し手段と、前記リセットパルス及び前記読み出しパルスによって設定される前記フォトセンサアレイにおける画像読取感度を変化させつつ、前記信号読み出し手段によって前記2次元配列されたフォトセンサに対応する画素より構成される被写体画像を読み取り、前記画像読取感度毎の前記被写体画像の画像パターンに基づいて、最適な画像読取感度を求める読取感度設定手段と、を具備することを特徴としている。
【0010】
請求項2記載のフォトセンサ装置は、請求項1記載のフォトセンサ装置において、前記フォトセンサは、半導体層からなるチャネル領域を挟んで形成されたソース電極及びドレイン電極と、少なくとも前記チャネル領域の上方及び下方に各々絶縁膜を介して形成されたトップゲート電極及びボトムゲート電極と、を備えたダブルゲート構造を有し、前記トップゲート電極を前記第1の電極として、前記リセットパルスを印加し、前記ボトムゲート電極を前記第2の電極として、前記読み出しパルスを印加することにより、前記初期化終了から前記読み出しパルスの印加までの電荷蓄積期間に前記チャネル領域に蓄積された電荷に対応した電圧を出力することを特徴としている。
【0011】
請求項3記載のフォトセンサ装置の駆動制御方法は、複数のフォトセンサを2次元配列して構成されるフォトセンサアレイを備えたフォトセンサシステムの駆動制御方法において、前記フォトセンサアレイの電極に第1のリセットパルス及び第1の読み出しパルスを印加して、画像読取感度を変化させつつ、前記2次元配列されたフォトセンサに対応する画素より構成される被写体画像を読み取り、前記画像読取感度毎の前記被写体画像の画像パターンに基づいて、最適な画像読取感度を設定する事前読出動作を実行する手順と、前記最適な画像読取感度を用いて、前記フォトセンサアレイの前記電極に第2のリセットパルス及び第2の読み出しパルスを印加して前記被写体画像の全域を読み取る画像読取動作を実行する手順と、前記事前読出動作及び前記画像読取動作の期間に、前記フォトセンサアレイの前記電極に印加された前記第1及び第2のリセットパルス及び前記第1及び第2の読み出しパルスによる信号の実効電圧を、最適値に調整する信号電圧を前記フォトセンサアレイの前記電極に印加する実効電圧調整動作を実行する手順と、を含むことを特徴としている。
【0012】
請求項4記載のフォトセンサ装置の駆動制御方法は、請求項3記載のフォトセンサ装置の駆動制御方法において、前記フォトセンサは、MOS構造を有し、前記事前読出動作を実行する手順は、前記複数のフォトセンサの第1の電極に、第1のタイミングで所定の極性の電圧を有する前記第1のリセットパルスを印加して、前記フォトセンサを初期化するとともに、前記第1のタイミング以外の期間には、前記第1のリセットパルスと逆極性の第1の信号電圧を印加する第1のステップと、前記初期化終了後、プリチャージパルスに基づくプリチャージ動作が終了した前記フォトセンサに対して、前記フォトセンサの第2の電極に、第2のタイミングで所定の極性の電圧を有する前記第1の読み出しパルスを印加して、前記初期化終了から前記第1の読み出しパルスの印加までの電荷蓄積期間に蓄積された電荷に対応した第1の読出電圧を出力するとともに、前記第2のタイミング以外の期間には、前記第1の読み出しパルスと逆極性の第2の信号電圧を印加する第2のステップと、を含み、前記第1の読み出しパルスは、前記第2のタイミングにより、前記電荷蓄積期間を所定の比率で変化させるように印加され、前記電荷蓄積期間毎に蓄積された電荷に対応して出力される前記第1の読出電圧により得られる前記被写体画像の画像パターンに基づいて、最適な前記電荷蓄積期間が決定されることを特徴としている。
【0013】
請求項5記載のフォトセンサ装置の駆動制御方法は、請求項4記載のフォトセンサ装置の駆動制御方法において、前記画像読取動作を実行する手順は、前記複数のフォトセンサの第1の電極に、第3のタイミングで所定の極性の電圧を有する前記第2のリセットパルスを印加して、前記フォトセンサを初期化するとともに、前記第3のタイミング以外の期間には、前記第2のリセットパルスと逆極性の第3の信号電圧を印加する第3のステップと、前記初期化終了後、プリチャージパルスに基づくプリチャージ動作が終了した前記フォトセンサに対して、前記フォトセンサの第2の電極に、前記事前読出動作により決定された前記最適な電荷蓄積期間を規定する第4のタイミングで所定の極性の電圧を有する前記第2の読み出しパルスを印加して、前記初期化終了から前記第2の読み出しパルスの印加までの前記最適な電荷蓄積期間に蓄積された電荷に対応した第2の読出電圧を出力するとともに、前記第4のタイミング以外の期間には、前記第2の読み出しパルスと逆極性の第4の信号電圧を印加する第4のステップと、とを含み、前記実効電圧調整動作を実行する手順は、前記第1及び第3のステップにおいて前記第1及び第2のリセットパルス及び前記第1及び第3の信号電圧により、前記フォトセンサの第1の電極に印加された実効電圧を、所定の最適値に調整制御する所定の実効電圧を有する第5の信号を、前記フォトセンサの第1の電極に印加する第5のステップと、前記第2及び第4のステップにおいて前記第1及び第2の読み出しパルス及び前記第2及び第4の信号電圧により、前記フォトセンサの第2の電極に印加された実効電圧を、所定の最適値に調整制御する所定の実効電圧を有する第6の信号を、前記フォトセンサの第2の電極に印加する第6のステップと、を含むことを特徴としている。
【0014】
請求項6記載のフォトセンサ装置の駆動制御方法は、請求項5記載のフォトセンサ装置の駆動制御方法において、前記第5の信号は、前記フォトセンサの感度特性に応じて設定される第1の電極側の実効電圧の前記最適値を基準として、前記第1及び第3のステップにおいて前記第1及び第2のリセットパルス及び前記第1及び第3の信号電圧により、前記フォトセンサの第1の電極に印加された実効電圧に対して、逆極性の実効電圧を有し、また、前記第6の信号は、前記フォトセンサの感度特性に応じて設定される第2の電極側の実効電圧の前記最適値を基準として、前記第2及び第4のステップにおいて前記第1及び第2の読み出しパルス及び前記第2及び第4の信号電圧により、前記フォトセンサの第2の電極に印加された実効電圧に対して、逆極性の実効電圧を有していることを特徴としている。
【0015】
請求項7記載のフォトセンサ装置の駆動制御方法は、請求項5記載のフォトセンサ装置の駆動制御方法において、前記第5のステップは、前記フォトセンサの感度特性に応じて設定される第1の電極側の実効電圧の前記最適値を基準として、該最適値より低い第5の電圧部分と該最適値より高い第6の電圧部分とを有し、前記第1及び第3の信号電圧と前記第5の電圧の時間積分値の絶対値と、前記第1及び第2のリセットパルスと前記第6の電圧の時間積分値の絶対値とが等しくなるように、各々所定の時間幅に設定された前記第5の信号を前記フォトセンサの第1の電極に印加し、また、前記第6のステップは、前記フォトセンサの感度特性に応じて設定される第2の電極側の実効電圧の前記最適値を基準として、該最適値より低い第7の電圧部分と該最適値より高い第8の電圧部分とを有し、前記第2及び第4の信号電圧と前記第7の電圧の時間積分値の絶対値と、前記第1及び第2の読み出しパルスと前記第8の電圧の時間積分値の絶対値とが等しくなるように、各々所定の時間幅に設定された前記第6の信号を前記フォトセンサの第2の電極に印加することを特徴としている。
【0016】
請求項8記載のフォトセンサ装置の駆動制御方法は、請求項3乃至7のいずれかに記載のフォトセンサ装置の駆動制御方法において、前記フォトセンサは、半導体層からなるチャネル領域を挟んで形成されたソース電極及びドレイン電極と、少なくとも前記チャネル領域の上方及び下方に各々絶縁膜を介して形成されたトップゲート電極及びボトムゲート電極と、を備えたダブルゲート構造を有し、前記トップゲート電極を前記第1の電極として、前記第1及び第3のステップにおける前記第1及び第2のリセットパルス、並びに、前記第1及び第3の信号電圧を印加するとともに、前記ボトムゲート電極を前記第2の電極として、前記第2及び第4のステップにおける前記第1及び第2の読み出しパルス、並びに、前記第2及び第4の信号電圧を印加することにより、前記最適な電荷蓄積期間に前記チャネル領域に蓄積された電荷に対応した電圧を出力することを特徴としている。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明に係るフォトセンサ装置及びその駆動制御方法の実施の形態について詳しく説明する。
まず、本発明に適用されるダブルゲート型トランジスタについて、図面を参照して説明する。
図1は、ダブルゲート型トランジスタの構造を示す概略断面図である。
図1(a)に示すように、ダブルゲート型フォトセンサ10は、可視光が入射されると電子−正孔対が生成されるアモルファスシリコン等の半導体層(チャネル層)11と、半導体層11の両端にそれぞれ設けられたn+シリコン層17、18と、n+シリコン層17、18上に形成されたソース電極12及びドレイン電極13と、半導体層11の上方(図面上方)にブロック絶縁膜14及び上部(トップ)ゲート絶縁膜15を介して形成されたトップゲート電極21と、半導体層11の下方(図面下方)に下部(ボトム)ゲート絶縁膜16を介して形成されたボトムゲート電極22と、を有して構成されている。
【0018】
なお、図1(a)において、トップゲート電極21、トップゲート絶縁膜15、ボトムゲート絶縁膜16、及び、トップゲート電極21上に設けられる保護絶縁膜20は、いずれも半導体層11を励起する可視光に対して透過率の高い材質により構成され、一方、ボトムゲート電極22は、可視光の透過を遮断する材質により構成されることにより、図面上方から入射する照射光のみを検知する構造を有している。
すなわち、ダブルゲート型フォトセンサ10は、半導体層11を共通のチャネル領域として、半導体層11、ソース電極12、ドレイン電極13及びトップゲート電極21により形成される上部MOSトランジスタと、半導体層11、ソース電極12、ドレイン電極13及びボトムゲート電極22により形成される下部MOSトランジスタとからなる2つのMOSトランジスタの組み合わせた構造が、ガラス基板等の透明な絶縁性基板19上に形成されている。
そして、このようなダブルゲート型フォトセンサ10は、一般に、図1(b)に示すような等価回路により表される。ここで、TGはトップゲート端子、BGはボトムゲート端子、Sはソース端子、Dはドレイン端子である。
【0019】
次に、上述したダブルゲート型フォトセンサを2次元配列して構成されるフォトセンサシステムについて、図面を参照して簡単に説明する。
図2は、ダブルゲート型フォトセンサを2次元配列して構成されるフォトセンサシステムの概略構成図である。
図2に示すように、フォトセンサシステムは、大別して、多数のダブルゲート型フォトセンサ10を、例えば、n行×m列のマトリクス状に配列したフォトセンサアレイ100と、各ダブルゲート型フォトセンサ10のトップゲート端子TG及びボトムゲート端子BGを各々行方向に接続したトップゲートライン101及びボトムゲートライン102と、トップゲートライン101及びボトムゲートライン102に各々接続されたトップゲートドライバ111及びボトムゲートドライバ112と、各ダブルゲート型フォトセンサのドレイン端子Dを列方向に接続したデータライン103と、データライン103に接続された出力回路部113と、を有して構成される。ここで、φtg及びφbgは、それぞれリセットパルスφT1、φT2、…φTi、…φTn、及び、読み出しパルスφB1、φB2、…φBi、…φBnを生成するための制御信号、φpgは、プリチャージ電圧Vpgを印加するタイミングを制御するプリチャージ信号である。
【0020】
このような構成において、トップゲートドライバ111からトップゲート端子TGに電圧を印加することによりフォトセンス機能が実現され、ボトムゲートドライバ112からボトムゲート端子BGに電圧を印加し、データライン103を介して検出信号を出力回路部113に取り込んでシリアルデータとして出力(Vout)することにより選択読み出し機能が実現される。
【0021】
次に、上述したフォトセンサシステムの駆動制御方法について、図面を参照して説明する。
図3は、フォトセンサシステムの駆動制御方法の一例を示すタイミングチャートであり、図4は、ダブルゲート型フォトセンサの動作概念図であり、図5は、フォトセンサシステムの出力電圧の光応答特性を示す図である。
まず、リセット動作においては、図3、図4(a)に示すように、i番目の行のトップゲートライン101にパルス電圧(リセットパルス;例えばVtg=+15Vのハイレベル)φTiを印加して、各ダブルゲート型フォトセンサ10の半導体層に蓄積されているキャリア(正孔)を放出する(リセット期間Treset)。
【0022】
次いで、光蓄積動作においては、図3、図4(b)に示すように、トップゲートライン101にローレベル(例えばVtg=−15V)のバイアス電圧φTiを印加することにより、リセット動作を終了し、キャリヤ蓄積動作による光蓄積期間Taがスタートする。光蓄積期間Taにおいては、トップゲート電極側から入射した光量に応じてチャネル領域にキャリアが蓄積される。
そして、プリチャージ動作においては、図3、図4(c)に示すように、光蓄積期間Taに並行して、プリチャージ信号φpgに基づいてデータライン103に所定の電圧(プリチャージ電圧)Vpgを印加し、ドレイン電極13に電荷を保持させる(プリチャージ期間Tprch)。
【0023】
次いで、読み出し動作においては、図3、図4(d)に示すように、プリチャージ期間Tprchを経過した後、ボトムゲートライン102にハイレベル(例えばVbg=+10V)のバイアス電圧(読み出し選択信号;以下、読み出しパルスという)φBiを印加することにより、ダブルゲート型フォトセンサ10をON状態にする(読み出し期間Tread)。
ここで、読み出し期間Treadにおいては、チャネル領域に蓄積されたキャリア(正孔)が逆極性のトップゲート端子TGに印加されたVtg(−15V)を緩和する方向に働くため、ボトムゲート端子BGのVbgによりnチャネルが形成され、ドレイン電流に応じてデータライン103のデータライン電圧VDは、図5(a)に示すように、プリチャージ電圧Vpgから時間の経過とともに徐々に低下する傾向を示す。
【0024】
すなわち、光蓄積期間Taにおける光蓄積状態が暗状態で、チャネル領域にキャリヤ(正孔)が蓄積されていない場合には、図4(e)、図5(a)に示すように、トップゲートTGに負バイアスをかけることによって、ボトムゲートBGの正バイアスが打ち消され、ダブルゲート型フォトセンサ10はOFF状態となり、ドレイン電圧、すなわち、データライン103の電圧VDが、ほぼそのまま保持されることになる。
一方、光蓄積状態が明状態の場合には、図4(d)、図5(a)に示すように、チャネル領域に入射光量に応じたキャリヤ(正孔)が捕獲されているため、トップゲートTGの負バイアスを打ち消すように作用し、この打ち消された分だけボトムゲートBGの正バイアスによって、ダブルゲート型フォトセンサ10はON状態となる。そして、この入射光量に応じたON抵抗に従って、データライン103の電圧VDは、低下することになる。
【0025】
したがって、図5(a)に示したように、データライン103の電圧VDの変化傾向は、トップゲートTGへのリセットパルスφTiの印加によるリセット動作の終了時点から、ボトムゲートBGに読み出しパルスφBiが印加されるまでの時間(光蓄積期間Ta)に受光した光量に深く関連し、蓄積されたキャリアが少ない場合には緩やかに低下する傾向を示し、また、蓄積されたキャリアが多い場合には急峻に低下する傾向を示す。そのため、読み出し期間Treadがスタートして、所定の時間経過後のデータライン103の電圧VDを検出することにより、あるいは、所定のしきい値電圧を基準にして、その電圧に至るまでの時間を検出することにより、照射光の光量が換算される。
【0026】
上述した一連の画像読取動作を1サイクルとして、i+1番目の行のダブルゲート型フォトセンサ10にも同等の処理手順を繰り返すことにより、ダブルゲート型フォトセンサ10を2次元のセンサシステムとして動作させることができる。
なお、図3に示したタイミングチャートにおいて、プリチャージ期間Tprchの経過後、図4(f)、(g)に示すように、ボトムゲートライン102にローレベル(例えばVbg=0V)を印加した状態を継続すると、ダブルゲート型フォトセンサ10はOFF状態を持続し、図5(b)に示すように、データライン103の電圧VDは、プリチャージ電圧Vpgを保持する。このように、ボトムゲートライン102への電圧の印加状態により、ダブルゲート型フォトセンサ10の読み出し状態を選択する選択機能が実現される。
【0027】
<実施形態>
次に、本発明に係るフォトセンサ装置の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下に示す実施形態においては、フォトセンサとして、上述したダブルゲート型フォトセンサを適用し、トップゲート電極を第1の電極として電圧を印加することにより、フォトセンス機能を実現するとともに、ボトムゲート電極を第2の電極として電圧を印加することにより、チャネル領域に蓄積された電荷量を読み出す機能を実現するものとして説明する。
図6は、本発明に係るフォトセンサシステムを適用した2次元画像読取装置の一例を示す概略構成図である。なお、ここでは、図1、図2に示したダブルゲート型フォトセンサ及びフォトセンサシステムの構成を適宜参照しながら説明する。また、図2に示したフォトセンサシステムと同等の構成については、同一の符号を付して説明する。
【0028】
図6に示すように、本実施形態に係るフォトセンサシステムは、図1に示したダブルゲート型フォトセンサ10を2次元配列して構成されるフォトセンサアレイ100と、ダブルゲート型フォトセンサ10のトップゲート端子TGに所定のタイミングで、所定のトップゲート電圧(リセットパルス)を印加するトップゲートドライバ(第1の信号電圧印加手段)111と、ダブルゲート型フォトセンサ10のボトムゲート端子BGに所定のタイミングで、所定のボトムゲート電圧(読み出しパルス)を印加するボトムゲートドライバ(第2の信号電圧印加手段)112と、ダブルゲート型フォトセンサ10へのプリチャージ電圧の印加及びデータライン電圧の読み出しを行うコラムスイッチ114、プリチャージスイッチ115、アンプ116からなる出力回路部(信号読み出し手段)113と、読み出されたデータ電圧(アナログ信号)をデジタル信号からなる画像データに変換するアナログ−デジタル変換器(以下、A/Dコンバータと記す)117と、フォトセンサアレイ100による被写体画像の読取動作制御や外部機能部200とのデータのやり取り等を行うとともに、本発明における感度設定機能及び異常検出機能を備えたコントローラ(読取感度設定手段)120と、読取画像データや後述する読取感度の設定、実効電圧の調整等に関連するデータ等を記憶するRAM130と、を有して構成されている。
【0029】
ここで、フォトセンサアレイ100、トップゲートドライバ111、ボトムゲートドライバ112、出力回路部113(コラムスイッチ114、プリチャージスイッチ115、アンプ116)からなる構成は、図2に示したフォトセンサシステムと略同等の構成及び機能を有しているので、その詳細な説明を省略する。コントローラ120は、トップゲートドライバ111及びボトムゲートドライバ112に制御信号φtg、φbgを出力することにより、トップゲートドライバ111及びボトムゲートドライバ112の各々から、フォトセンサアレイ100を構成する各ダブルゲート型フォトセンサのトップゲート端子TG及びボトムゲート端子BGに所定の信号電圧(リセットパルスφTi、読み出しパルスφBi)を印加するとともに、プリチャージスイッチ115に制御信号φpgを出力することにより、データラインにプリチャージ電圧Vpgを印加して、被写体画像の読取動作の実行を制御する。
【0030】
また、コントローラ120には、ダブルゲート型フォトセンサ10から読み出されたデータライン電圧VDがアンプ116及びA/Dコンバータ117を介してデジタル信号に変換され、画像データとして入力される。コントローラ120は、この画像データに対して、所定の画像処理を施したり、RAM130への書き込み、読み出しを行うとともに、画像データの照合や加工等の所定の処理を実行する外部機能部200に対してインタフェースとしての機能をも備えている。さらに、コントローラ120は、トップゲートドライバ111及びボトムゲートドライバ112に出力する制御信号φtg、φbgを設定制御することにより、外光等の環境照度に対応して被写体画像を最適に読み込むことができる読取感度、すなわち、ダブルゲート型フォトセンサ10の最適な光蓄積期間Taを設定する機能、及び、ダブルゲート型フォトセンサ10のトップゲートTG及びボトムゲートBGに印加される実効電圧の偏りを最適値に調整する機能を有している。
【0031】
次に、上述した構成を有するフォトセンサ装置の駆動制御方法について、図面を参照して説明する。
図7は、本発明に係るフォトセンサ装置の駆動制御方法の一実施形態を示すタイミングチャートである。ここでは、図2、図6に示したフォトセンサ装置の構成を適宜参照しながら、その駆動制御方法を説明する。
図7に示すように、本実施形態に係るフォトセンサ装置の駆動制御方法は、事前読出動作と、画像読取動作と、実効電圧調整動作の各手順を有し、いずれもコントローラ120から送出される制御信号(φtg、φbg、φpg等)に基づいて、各動作制御が行われる。
以下、各処理動作について具体的に説明する。
【0032】
<事前読出動作>
(第1のステップ)
図7に示すように、本実施形態における事前読取動作は、まず、ダブルゲート型フォトセンサ10のトップゲート端子TGを行方向に接続するトップゲートライン101の各々に対して、所定の遅れ時間Tdlyの時間間隔で順次リセットパルス(第1のリセットパルス)φT1、φT2、…φTnを印加してリセット期間Trstをスタートし、各行毎のダブルゲート型フォトセンサ10を初期化する。
ここで、リセットパルスφT1、φT2、…φTnは、ハイレベルが信号電圧Vtgh、ローレベルが信号電圧Vtglのパルス信号であり、第1のステップにおいて、ハイレベルVtghのリセットパルスφT1、φT2、…φTnが印加されるタイミング(第1のタイミング)以外では、ローレベルの信号電圧(第1の信号電圧)Vtglが印加された状態にある。
【0033】
(第2のステップ)
次いで、リセットパルスφT1、φT2、…φTnが立ち下がり、リセット期間Trstが終了することにより、光蓄積期間TA1、TA2、…TAnが順次スタートして、各行毎にダブルゲート型フォトセンサ10のトップゲート電極側から入射される光量に応じてチャネル領域に電荷(正孔)が発生し、蓄積される。
そして、各行毎に設定される光蓄積期間TA1、TA2、…TAnは、図7に示すように、最後のリセットパルスφTnが立ち下がった後、各行毎に所定の遅れ時間Tdly分ずつ段階的に変化させるように、プリチャージ信号φpg及び読み出しパルス(第1の読み出しパルス)φBn、…φB2、φB1を順次印加して、読み出し期間Trdをスタートし、ダブルゲート型フォトセンサ10に蓄積された電荷に対応する電圧変化VDを、出力回路部113によりデータライン103を介して読み出し、順次RAM130に記憶される。
【0034】
ここで、読み出しパルスφB1、φB2、…φBnは、ハイレベルが信号電圧Vbgh、ローレベルが信号電圧Vbglのパルス信号であり、第2のステップにおいて、ハイレベルVbghの読み出しパルスφB1、φB2、…φBnが印加されるタイミング(第2のタイミング)以外では、ローレベルの信号電圧(第2の信号電圧)Vbghが印加された状態にある。
なお、照射光量の検出方法は、上述したフォトセンサシステムと同様に、各データライン103の電圧VDの低下傾向を、読み出し期間Trdがスタートして、所定の時間経過後の電圧値を検出することにより、あるいは、所定のしきい値電圧を基準にして、その電圧値に至るまでの時間を検出することにより、照射光量に換算する。
したがって、このような事前読出動作によれば、各行毎に設定される光蓄積期間TA1、TA2、…TAn相互が所定の遅れ時間Tdlyの2倍の時間間隔で増加するので、一画面の読み込み動作により行数分以上の感度調整幅で設定された読取感度で読み取られた画像データが得られる。そして、この画像データに基づいて、コントローラ120は、明暗パターンのコントラストが最大となる光蓄積期間を抽出し、最適な光蓄積期間Taを決定する。
【0035】
<画像読取動作>
(第3のステップ)
次に、上述した事前読取動作により決定された最適な光蓄積時間Taを用いて画像読取動作を実行する。
すなわち、図7に示すように、ダブルゲート型フォトセンサ10のトップゲート端子TGを行方向に接続するトップゲートライン101の各々に、順次リセットパルス(第2のリセットパルス)φT1、φT2、…φTnを印加してリセット期間Trstをスタートし、各行毎のダブルゲート型フォトセンサ10を初期化する。
ここで、リセットパルスφT1、φT2、…φTnは、上述した第1のステップと同様に、ハイレベルが信号電圧Vtgh、ローレベルが信号電圧Vtglのパルス信号であり、ハイレベルVtghのリセットパルスφT1、φT2、…φTnが印加されるタイミング(第3のタイミング)以外では、ローレベルの信号電圧(第3の信号電圧)Vtglが印加される。
【0036】
(第4のステップ)
次いで、リセットパルスφT1、φT2、…φTnが立ち下がり、リセット期間Trstが終了することにより、各行毎に、上記最適な光蓄積期間Taが順次スタートして、ダブルゲート型フォトセンサ10のトップゲート電極側から入射される光量に応じてチャネル領域に電荷(正孔)が発生し、蓄積される。ここで、図7に示すように、光蓄積期間Ta内に並行して、プリチャージ信号φpgを印加することにより、プリチャージ期間Tprchをスタートし、データライン103にプリチャージ電圧Vprchを印加してダブルゲート型フォトセンサ10のドレイン電極に所定の電圧を保持させるプリチャージ動作が行われる。
【0037】
そして、最適な光蓄積期間Ta及びプリチャージ期間Tprchが終了したダブルゲート型フォトセンサ10に対して、各行毎に、ボトムゲートライン102に順次読み出しパルス(第2の読み出しパルス)φB1、φB2、…φBnを印加して、読み出し期間Treadをスタートし、ダブルゲート型フォトセンサ10に蓄積された電荷に対応する電圧変化VDを、コラムスイッチ113によりデータライン103を介して読み出す。
ここで、読み出しパルスφB1、φB2、…φBnは、上述した第1のステップと同様に、ハイレベルが信号電圧Vbgh、ローレベルが信号電圧Vbglのパルス信号であり、ハイレベルVbghの読み出しパルスφB1、φB2、…φBnが印加されるタイミング(第4のタイミング)以外では、ローレベルの信号電圧(第4の信号電圧)Vbghが印加された状態にある。
【0038】
<実効電圧調整動作>
(第5のステップ)
次に、上述した画像読取動作が、全ての行(n)において終了すると、一連の事前読取動作及び画像読取動作において印加された信号の実効電圧の偏りを調整して最適化する実効電圧調整動作を実行する。
すなわち、図7に示すように、上記第1及び第3のステップにおいて、リセットパルスによりダブルゲート型フォトセンサ10のトップゲートライン101(トップゲート端子TG)に印加された信号電圧の平均値、すなわち、実効電圧を、予め当該ダブルゲート型フォトセンサ10の感度特性に応じて設定した最適値に調整することができる所定の実効電圧を有する信号(第5の信号)を、各行のトップゲートライン101に印加する。
【0039】
(第6ステップ)
また、上記第2及び第4ステップにおいて、読み出しパルスによりダブルゲート型フォトセンサ10のボトムゲートライン102(ボトムゲート端子BG)に印加された信号電圧の平均値、すなわち、実効電圧を、予め当該ダブルゲート型フォトセンサ10の感度特性に応じて設定した最適値に調整することができる所定の実効電圧を有する信号(第6の信号)を、各行のボトムゲートライン102に印加する。
【0040】
ここで、実効電圧調整動作において、ダブルゲート型フォトセンサ10のトップゲートTG及びボトムゲートBGに印加される信号について、図面を参照してより具体的に説明する。
図8は、本実施形態に係るフォトセンサ装置の駆動制御方法における実効電圧調整動作の作用を示す概念図である。ここでは、図7に示したフォトセンサシステムの駆動制御方法のタイミングチャートを適宜参照しながら、駆動制御方法を説明する。なお、説明の都合上、1行目のトップゲートライン及びボトムゲートラインに印加される電圧波形に着目して説明する。
【0041】
図7に示したように、事前読出動作及び画像読取動作の第1のステップ及び第3のステップ、すなわち、リセット動作においては、第1及び第3のタイミングに係る極めて短い時間(Trst)のみ、ハイレベルの信号電圧(ここでは、正電圧)Vtghを有するリセットパルスφT1がトップゲートライン101を介してトップゲートTGに印加され、第1及び第3のタイミング以外の比較的長い期間では、ローレベルの信号電圧(ここでは、負電圧)Vtglが印加される。そのため、事前読出動作及び画像読取動作時において、トップゲートTGに印加される実効電圧は、ローレベル側に大きく偏っている。さらに、画像読出動作に設定される最適な光蓄積期間Taは、事前読出動作により環境照度等に応じて、その都度、変更設定されるため、上記トップゲートTGに印加される実効電圧は、必然的に変動する。
【0042】
一方、事前読出動作及び画像読取動作の第2のステップ及び第4のステップ、すなわち、読み出し動作においても、第2及び第4のタイミングに係る極めて短い時間(Trd)のみ、ハイレベルの信号電圧(ここでは、正電圧)Vbghを有する読み出しパルスφB1がボトムゲートライン102を介してボトムゲートBGに印加され、第2及び第4のタイミング以外の比較的長い期間では、ローレベルの信号電圧(ここでは、負電圧)Vtglを有する信号電圧が印加される。そのため、事前読出動作及び画像読取動作時において、ボトムゲートBGに印加される実効電圧も、ローレベル側に大きく偏っている。さらに、画像読出動作に設定される最適な光蓄積期間Taは、事前読出動作により環境照度等に応じて、その都度、変更設定されるため、上記ボトムゲートTGに印加される実効電圧は、必然的に変動する。なお、以下、説明の都合上、トップゲートTGに印加される実効電圧、及び、ボトムゲートBGに印加される実効電圧のいずれもが、ローレベル側に偏った実効電圧を有しているものとする。
【0043】
そのため、このような特定の極性の電圧側に偏った電圧がゲート電極に印加された状態が継続すると、上述したように、ゲート電極に正孔がトラップされて、ダブルゲート型フォトセンサの素子特性が劣化して感度特性が変化してしまう問題が生じる。
そこで、本実施形態においては、事前読出動作及び画像読取動作の処理サイクル内、及び、これから実行する実効電圧調整動作の処理サイクル内に印加される電圧波形について、ダブルゲート型フォトセンサの感度特性に応じて設定されるトップゲート側の実効電圧の最適値、及び、ボトムゲート側の実効電圧の最適値を基準として、上記電圧波形のハイレベル側の時間積分値の絶対値と、ローレベル側の時間積分値の絶対値とを等しくするように、調整パルス(第5の信号、第6の信号)を、実効電圧調整動作時に所定のタイミングでダブルゲート型フォトセンサのトップゲートライン、及び、ボトムゲートラインに印加する。
【0044】
ここで、トップゲートラインに印加される調整パルスは、図7に示すように、上記トップゲート側の実効電圧の最適値Vteを基準として、所定の信号幅(時間幅)Ttplを有するローレベル側の電圧成分(信号電圧Vtgl;第5の電圧部分)と、所定の信号幅Ttphを有するハイレベル側の電圧成分(信号電圧Vtgh;第6の電圧部分)からなる電圧波形を有している。一方、ボトムゲートラインに印加される調整パルスは、上記ボトムゲート側の実効電圧の最適値Vbeを基準として、所定の信号幅Tbpla、Tbplbを有するローレベル側の電圧成分(信号電圧Vbgl;第7の電圧部分)と、所定の信号幅Tbphを有するハイレベル側の電圧成分(信号電圧Vbgh;第8の電圧部分)からなる電圧波形を有している。
【0045】
すなわち、トップゲート側に印加される調整パルスと、他の信号波形との関係は、図8(a)の模式図に示すように、トップゲート側の実効電圧の最適値をVte、事前読出動作及び画像読取動作の処理サイクル内に印加される電圧波形のハイレベルをVtgh、ローレベルをVtgl、画像読取動作における最適な光蓄積時間をTa、事前読出動作及び画像読取動作における最適な光蓄積時間Ta以外のローレベルの期間をTlt、事前読出動作及び画像読取動作におけるハイレベルの期間(Trst+Trst)をThtとすると、次式にように表される。
Ht・(Ttph+Tht)=Lt・(Ta+Tlt+Ttpl) ……(1)
ここで、Htは、実効電圧の最適値Vteに対するハイレベルVtghの差分電圧の絶対値(|Vtgh−Vte|)であり、Ltは、実効電圧の最適値Vteに対するローレベルVtglの差分電圧の絶対値(|Vtgl−Vte|)である。
【0046】
上記(1)式より、調整パルスの印加時間、すなわち、ハイレベル側の電圧成分の信号幅Ttphは、次式のように表される。
Ttph=Lt/Ht・(Ta+Tlt+Ttpl)−Tht ……(2)
したがって、実効電圧調整動作において、(2)式のように表される時間分(Ttph)だけ、トップゲートラインにハイレベルVtghの調整パルスを印加して、信号電圧を付加することにより、環境照度に応じて画像読取動作の最適な光蓄積期間Taが変更設定された場合であっても、トップゲートに印加される実効電圧の偏りを打ち消して、最適値Vteに調整制御することができ、ダブルゲート型フォトセンサの素子特性の劣化による感度特性の変化を抑制することができる。
【0047】
一方、ボトムゲート側に印加される調整パルスと、他の信号波形との関係は、図8(b)の模式図に示すように、ボトムゲート側の実効電圧の最適値をVbe、事前読出動作及び画像読取動作の処理サイクル内に印加される電圧波形のハイレベルをVbgh、ローレベルをVbgl、画像読取動作における最適な光蓄積時間をTa、事前読出動作及び画像読取動作における最適な光蓄積時間Ta以外のローレベルの期間をTlb、事前読出動作及び画像読取動作におけるハイレベルの期間(Trd+Trd)をThbとすると、次式にように表される。
Hb・(Tbph+Thb)=Lb・(Ta+Tlb+Tbpl) ……(3)
ここで、Hbは、実効電圧の最適値Vbeに対するハイレベルVbghの差分電圧の絶対値(|Vbgh−Vbe|)であり、Lbは、実効電圧の最適値Vbeに対するローレベルVbglの差分電圧の絶対値(|Vbgl−Vbe|)である。また、Tbplは、調整パルスのローレベル側の電圧成分の合計信号幅(Tbpla+Tbplb)である。
【0048】
上記(3)式より、調整パルスの印加時間、すなわち、ハイレベル側の電圧成分の信号幅Tbphは、次式のように表される。
Tbph=Lb/Hb・(Ta+Tlb+Tbpl)−Thb ……(4)
したがって、実効電圧調整動作において、(4)式のように表される時間分(Tbph)だけ、ボトムゲートラインにハイレベルVbghの調整パルスを印加して、信号電圧を付加することにより、環境照度に応じて画像読取動作の最適な光蓄積期間Taが変更設定された場合であっても、ボトムゲートに印加される実効電圧の偏りを打ち消して、最適値Vbeに調整制御することができ、ダブルゲート型フォトセンサの素子特性の劣化による感度特性の変化を抑制することができる。
なお、上述した実効電圧調整動作において、ダブルゲート型フォトセンサの感度特性に応じて設定されるトップゲート側の実効電圧の最適値Vte、及び、ボトムゲート側の実効電圧の最適値Vbeについて、具体的な数値や電圧極性を示さなかったが、ダブルゲート型フォトセンサの素子特性や感度特性等に応じて、正又は負電圧、あるいは、0Vのいずれも最適値となる場合がある。
また、本実施形態においては、実効電圧調整動作においてトップゲート及びボトムゲートに印加される調整パルスのハイレベル側及びローレベル側の信号電圧として、事前読出動作及び画像読取動作におけるハイレベル及びローレベルを印加する場合について説明したが、他の電圧レベルを印加するものであってもよい。
【0049】
次に、本発明に係るフォトセンサシステムの駆動制御方法に適用することができる事前読出動作の他の具体例について、図面を参照して説明する。
図9は、本発明に係るフォトセンサシステムの駆動制御方法に適用することができる事前読出動作の他の実施例を示すタイミングチャートである。ここでは、図2、図6に示したフォトセンサ装置の構成を適宜参照しながら説明する。
図9に示すように、本実施例に係る事前読出動作は、まず、ダブルゲート型フォトセンサ10のトップゲート端子TGを行方向に接続するトップゲートライン101の各々に対して、同時にリセットパルスφT1、φT2、…φTnを印加してリセット期間Trstを同時にスタートし、各行毎のダブルゲート型フォトセンサ10を初期化する。
【0050】
次いで、リセットパルスφT1、φT2、…φTnが同時に立ち下がり、リセット期間Trstが終了することにより、全ての行におけるダブルゲート型フォトセンサ10の光蓄積期間TB1、TB2、…TBnが一斉にスタートして、各行毎のダブルゲート型フォトセンサ10のトップゲート電極側から入射される光量に応じてチャネル領域に電荷(正孔)が発生し、蓄積される。
ここで、各行毎に設定される光蓄積期間TB1、TB2、…TBnは、図9に示すように、各行毎に所定の遅れ時間Tdly分ずつ段階的に変化させるように、プリチャージ信号φpg及び読み出しパルスφB1、φB2、…φBnを印加する。したがって、上述した実施形態に示したような画像読取動作に先立って行う事前読出動作において、被写体画像を構成する各行毎に異なる読取感度(すなわち、行数分の異なる読取感度)で読み取られた画像データを、1回の被写体画像(一画面)の読み込みにより取得することができる。
【0051】
ここで、本発明に係るフォトセンサシステムの駆動制御方法に適用される事前読出動作の手法は、上述した実施形態及び実施例に限定されるものではなく、被写体画像を異なる読取感度で画像データを取得できるものであれば、例えば、リセット動作→光蓄積動作→プリチャージ動作→読み出し動作の一連の処理サイクルを読取感度を順次変更して複数回繰り返して、異なる読取感度による画像データを取得するものでもあってもよいし、さらに他の方法であってもよいことはいうまでもない。
【0052】
なお、上述した各実施形態においては、フォトセンサシステムを構成するフォトセンサとして、ダブルゲート型フォトセンサを適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、フォトセンサアレイを構成するフォトセンサにおいて、事前読出動作及び画像読取動作時に印加される信号電圧の極性の偏りにより、感度特性や素子特性が変化、又は、劣化する傾向を有し、かつ、実効電圧調整動作時に付加する調整パルスにより、当該特性の変化や劣化を抑制することができるものであれば、他の構成を有するフォトセンサであっても、本発明に係る駆動制御方法を良好に適用することができる。
【0053】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、フォトセンサアレイの第1の電極にリセットパルスを印加してフォトセンサを初期化するとともに、該第1の電極に印加される実効電圧を最適値にするための信号電圧を印加する第1の信号電圧印加手段と、フォトセンサアレイの第2の電極に読み出しパルスを印加するとともに、該第2の電極に印加される実効電圧を最適値にするための信号電圧を印加する第2の信号電圧印加手段と、リセットパルス及び読み出しパルスによって設定されるフォトセンサアレイにおける画像読取感度を変化させつつ、2次元配列されたフォトセンサに対応する画素より構成される被写体画像を読み取り、該写体画像の画像パターンに基づいて、最適な画像読取感度を求める読取感度設定手段と、を備えているので、新たな構成を付加することなく、環境照度に応じた最適な読取感度を設定して、被写体画像を良好に読み取ることができるとともに、フォトセンサの第1の電極及び第2の電極に印加される実効電圧を最適化して、フォトセンサの素子特性の劣化に伴う感度特性の変化を抑制することができ、信頼性が高いフォトセンサシステムを実現することができる。
【0054】
請求項3記載の発明によれば、複数のフォトセンサを2次元配列して構成されるフォトセンサアレイを備えたフォトセンサシステムの駆動制御方法において、フォトセンサアレイの電極に第1のリセットパルス及び第1の読み出しパルスを印加して、画像読取感度を変化させつつ、所定の被写体画像を読み取り、各画像読取感度毎の被写体画像の画像パターンに基づいて、最適な画像読取感度を設定する事前読出動作を実行する手順と、最適な画像読取感度を用いて、フォトセンサアレイの電極に第2のリセットパルス及び第2の読み出しパルスを印加して被写体画像の全域を読み取る画像読取動作を実行する手順と、事前読出動作及び画像読取動作の期間に、フォトセンサアレイの電極に印加された第1及び第2のリセットパルス及び第1及び第2の読み出しパルスによる信号の実効電圧を、最適値に調整する信号電圧をフォトセンサアレイの電極に印加する実効電圧調整動作を実行する手順と、を含んでいるので、事前読取動作により設定される最適な画像読取感度が、環境照度に応じて変更設定された場合であっても、実効電圧調整動作により事前読出動作及び画像読取動作に印加された信号の実効電圧を最適値に調整することができ、画像読取動作における画像読取感度を最適に保ちつつ、フォトセンサの素子特性の劣化に伴う感度特性の変化を抑制することができる。
【0055】
請求項4記載の発明によれば、事前読出動作を実行する手順は、複数のフォトセンサの第1の電極に第1のリセットパルスを印加して、フォトセンサを初期化する第1のステップと、フォトセンサの第2の電極に第1の読み出しパルスを印加して、電荷蓄積期間に蓄積された電荷に対応した第1の読出電圧を出力する第2のステップと、を含み、電荷蓄積期間を所定の比率で変化させて得られた画像パターンに基づいて、最適な前記電荷蓄積期間を決定する駆動制御方法を有しているので、画像読取動作に先立って行う事前読出動作において、被写体画像を構成する各行毎に異なる読取感度で読み取られた画像データを、1回の被写体画像の読み込みにより取得することができ、事前読出動作に要する処理時間を大幅に短縮することができ、迅速に最適な画像読取感度を設定して、正規の画像読取動作を実行することができる。
【0056】
請求項5記載の発明によれば、実効電圧調整動作を実行する手順は、第1及び第3のステップにおいて、フォトセンサの第1の電極に印加された実効電圧を、所定の実効電圧を有する第5の信号を印加して最適値に調整制御する第5のステップと、第2及び第4のステップにおいて、フォトセンサの第2の電極に印加された実効電圧を、所定の実効電圧を有する第6の信号を印加して最適値に調整制御する第6のステップと、を含んでいるので、事前読取動作により設定される最適な画像読取感度が、環境照度に応じて変更設定された場合であっても、実効電圧調整動作において、第5及び第6の信号を適宜設定することにより、上記実効電圧を最適値に調整制御することができ、簡易な制御方法でフォトセンサの素子特性劣化に伴う感度特性の変化を抑制することができる。
【0057】
請求項6記載の発明によれば、第5の信号は、フォトセンサの感度特性に応じて設定される第1の電極側の実効電圧の最適値を基準として、第1及び第3のステップにおいてフォトセンサの第1の電極に印加された実効電圧に対して、逆極性の実効電圧を有し、また、第6の信号は、フォトセンサの感度特性に応じて設定される第2の電極側の実効電圧の最適値を基準として、第2及び第4のステップにおいてフォトセンサの第2の電極に印加された実効電圧に対して、逆極性の実効電圧を有しているので、実効電圧調整動作において、所定の信号幅を有する第5及び第6の信号を第1及び第2の電極に印加することにより、実効電圧の最適値を調整制御することができ、フォトセンサの素子特性劣化に伴う感度特性の変化を抑制することができる。
【0058】
請求項7記載の発明によれば、第5のステップにおいて第1の電極に印加される第5の信号は、事前読出動作、画像読取動作、実効電圧調整動作の全ての動作期間中に、第1の電極側の実効電圧の最適値を基準として、第1の電極に印加される高電圧側の電圧成分の時間積分値の絶対値と、低電圧側の電圧成分の時間積分値の絶対値とが等しくなるように、高電圧側と低電圧側の時間幅が設定され、また、第6のステップにおいて第2の電極に印加される第6の信号は、事前読出動作、画像読取動作、実効電圧調整動作の全ての動作期間中に、第2の電極側の実効電圧の最適値を基準として、第2の電極に印加される高電圧側の電圧成分の時間積分値の絶対値と、低電圧側の電圧成分の時間積分値の絶対値とが等しくなるように、高電圧側と低電圧側の時間幅が設定されているので、事前読取動作により設定される最適な画像読取感度が、環境強度に応じて変更設定された場合であっても、実効電圧調整動作において、第5及び第6の信号の時間幅及び信号電圧を適宜設定することにより、両極性(実効電圧の最適値を基準として高電圧側と低電圧側)における時間積分値の絶対値を等しくして、各電極における実効電圧を最適値に調整制御することができ、簡易な制御方法でフォトセンサの素子特性劣化に伴う感度特性の変化を抑制することができる。
【0059】
請求項2又は8記載の発明によれば、上記フォトセンサは、半導体層からなるチャネル領域を挟んで形成されたソース電極及びドレイン電極と、少なくともチャネル領域の上方及び下方に各々絶縁膜を介して形成されたトップゲート電極及びボトムゲート電極とを備え、所定のタイミングでトップゲート電極にリセットパルスを印加するとともに、ボトムゲート電極に読み出しパルス印加することにより、電荷蓄積期間にチャネル領域に蓄積された電荷に対応した電圧を出力する、いわゆる、ダブルゲート型フォトセンサにより構成されているので、事前読出動作及び画像読取動作時にトップゲート電極及びボトムゲート電極に印加される信号の電圧極性の偏りにより生じるダブルゲート型フォトセンサの素子特性の劣化に伴う感度特性の変化を抑制することができ、信頼性の高いフォトセンサシステムを提供することができる。また、ダブルゲート型フォトセンサによれば、フォトセンサアレイを構成するフォトセンサデバイスを薄型化して、フォトセンサシステムが適用される2次元画像読取装置を小型化することができるとともに、読取画素を高密度化して被写体画像を高精細で読み取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るフォトセンサ装置に適用されるダブルゲート型フォトセンサの構造を示す概略断面図である。
【図2】ダブルゲート型フォトセンサを2次元配列して構成されるフォトセンサシステムの概略構成図である。
【図3】フォトセンサシステムの一般的な駆動制御方法を示すタイミングチャートである。
【図4】ダブルゲート型フォトセンサの動作概念図である。
【図5】フォトセンサシステムの出力電圧の光応答特性を示す図である。
【図6】本発明に係るフォトセンサ装置の一実施形態を示す概略構成図である。
【図7】一実施形態に係るフォトセンサ装置の駆動制御方法を示すタイミングチャートである。
【図8】一実施形態に係るフォトセンサ装置の駆動制御方法における実効電圧調整動作の作用を示す概念図である。
【図9】本発明に係るフォトセンサ装置の駆動制御方法に適用される事前読出動作の他の実施例を示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
10 ダブルゲート型フォトセンサ
11 半導体層
21 トップゲート電極
22 ボトムゲート電極
100 フォトセンサアレイ
101 トップゲートライン
102 ボトムゲートライン
103 データライン
111 トップアドレスデコーダ
112 ローアドレスデコーダ
113 出力回路部
120 コントローラ
Claims (8)
- 複数のフォトセンサを2次元配列して構成されるフォトセンサアレイと、
前記フォトセンサアレイにおける第1の電極にリセットパルスを印加して前記フォトセンサを初期化するとともに、前記第1の電極に印加される実効電圧を最適値にするための信号電圧を印加する第1の信号電圧印加手段と、
前記フォトセンサアレイにおける第2の電極に読み出しパルスを印加するとともに、前記第2の電極に印加される実効電圧を最適値にするための信号電圧を印加する第2の信号電圧印加手段と、
前記フォトセンサアレイにおける前記複数のフォトセンサにプリチャージパルスを印加するとともに、各フォトセンサの出力電圧を取り込む信号読み出し手段と、
前記リセットパルス及び前記読み出しパルスによって設定される前記フォトセンサアレイにおける画像読取感度を変化させつつ、前記信号読み出し手段によって前記2次元配列されたフォトセンサに対応する画素より構成される被写体画像を読み取り、前記画像読取感度毎の前記被写体画像の画像パターンに基づいて、最適な画像読取感度を求める読取感度設定手段と、
を具備することを特徴とするフォトセンサ装置。 - 前記フォトセンサは、半導体層からなるチャネル領域を挟んで形成されたソース電極及びドレイン電極と、少なくとも前記チャネル領域の上方及び下方に各々絶縁膜を介して形成されたトップゲート電極及びボトムゲート電極と、を備えたダブルゲート構造を有し、
前記トップゲート電極を前記第1の電極として、前記リセットパルスを印加し、前記ボトムゲート電極を前記第2の電極として、前記読み出しパルスを印加することにより、前記初期化終了から前記読み出しパルスの印加までの電荷蓄積期間に前記チャネル領域に蓄積された電荷に対応した電圧を出力することを特徴とする請求項1記載のフォトセンサ装置。 - 複数のフォトセンサを2次元配列して構成されるフォトセンサアレイを備えたフォトセンサシステムの駆動制御方法において、
前記フォトセンサアレイの電極に第1のリセットパルス及び第1の読み出しパルスを印加して、画像読取感度を変化させつつ、前記2次元配列されたフォトセンサに対応する画素より構成される被写体画像を読み取り、前記画像読取感度毎の前記被写体画像の画像パターンに基づいて、最適な画像読取感度を設定する事前読出動作を実行する手順と、
前記最適な画像読取感度を用いて、前記フォトセンサアレイの前記電極に第2のリセットパルス及び第2の読み出しパルスを印加して前記被写体画像の全域を読み取る画像読取動作を実行する手順と、
前記事前読出動作及び前記画像読取動作の期間に、前記フォトセンサアレイの前記電極に印加された前記第1及び第2のリセットパルス及び前記第1及び第2の読み出しパルスによる信号の実効電圧を、最適値に調整する信号電圧を前記フォトセンサアレイの前記電極に印加する実効電圧調整動作を実行する手順と、
を含むことを特徴とするフォトセンサ装置の駆動制御方法。 - 前記フォトセンサは、MOS構造を有し、
前記事前読出動作を実行する手順は、
前記複数のフォトセンサの第1の電極に、第1のタイミングで所定の極性の電圧を有する前記第1のリセットパルスを印加して、前記フォトセンサを初期化するとともに、前記第1のタイミング以外の期間には、前記第1のリセットパルスと逆極性の第1の信号電圧を印加する第1のステップと、
前記初期化終了後、プリチャージパルスに基づくプリチャージ動作が終了した前記フォトセンサに対して、前記フォトセンサの第2の電極に、第2のタイミングで所定の極性の電圧を有する前記第1の読み出しパルスを印加して、前記初期化終了から前記第1の読み出しパルスの印加までの電荷蓄積期間に蓄積された電荷に対応した第1の読出電圧を出力するとともに、前記第2のタイミング以外の期間には、前記第1の読み出しパルスと逆極性の第2の信号電圧を印加する第2のステップと、
を含み、
前記第1の読み出しパルスは、前記第2のタイミングにより、前記電荷蓄積期間を所定の比率で変化させるように印加され、前記電荷蓄積期間毎に蓄積された電荷に対応して出力される前記第1の読出電圧により得られる前記被写体画像の画像パターンに基づいて、最適な前記電荷蓄積期間が決定されることを特徴とする請求項3記載のフォトセンサ装置の駆動制御方法。 - 前記画像読取動作を実行する手順は、
前記複数のフォトセンサの第1の電極に、第3のタイミングで所定の極性の電圧を有する前記第2のリセットパルスを印加して、前記フォトセンサを初期化するとともに、前記第3のタイミング以外の期間には、前記第2のリセットパルスと逆極性の第3の信号電圧を印加する第3のステップと、
前記初期化終了後、プリチャージパルスに基づくプリチャージ動作が終了した前記フォトセンサに対して、前記フォトセンサの第2の電極に、前記事前読出動作により決定された前記最適な電荷蓄積期間を規定する第4のタイミングで所定の極性の電圧を有する前記第2の読み出しパルスを印加して、前記初期化終了から前記第2の読み出しパルスの印加までの前記最適な電荷蓄積期間に蓄積された電荷に対応した第2の読出電圧を出力するとともに、前記第4のタイミング以外の期間には、前記第2の読み出しパルスと逆極性の第4の信号電圧を印加する第4のステップと、
を含み、
前記実効電圧調整動作を実行する手順は、
前記第1及び第3のステップにおいて前記第1及び第2のリセットパルス及び前記第1及び第3の信号電圧により、前記フォトセンサの第1の電極に印加された実効電圧を、所定の最適値に調整制御する所定の実効電圧を有する第5の信号を、前記フォトセンサの第1の電極に印加する第5のステップと、
前記第2及び第4のステップにおいて前記第1及び第2の読み出しパルス及び前記第2及び第4の信号電圧により、前記フォトセンサの第2の電極に印加された実効電圧を、所定の最適値に調整制御する所定の実効電圧を有する第6の信号を、前記フォトセンサの第2の電極に印加する第6のステップと、
を含むことを特徴とする請求項4記載のフォトセンサ装置の駆動制御方法。 - 前記第5の信号は、前記フォトセンサの感度特性に応じて設定される第1の電極側の実効電圧の前記最適値を基準として、前記第1及び第3のステップにおいて前記第1及び第2のリセットパルス及び前記第1及び第3の信号電圧により、前記フォトセンサの第1の電極に印加された実効電圧に対して、逆極性の実効電圧を有し、また、
前記第6の信号は、前記フォトセンサの感度特性に応じて設定される第2の電極側の実効電圧の前記最適値を基準として、前記第2及び第4のステップにおいて前記第1及び第2の読み出しパルス及び前記第2及び第4の信号電圧により、前記フォトセンサの第2の電極に印加された実効電圧に対して、逆極性の実効電圧を有していることを特徴とする請求項5記載のフォトセンサシステムの駆動制御方法。 - 前記第5のステップは、前記フォトセンサの感度特性に応じて設定される第1の電極側の実効電圧の前記最適値を基準として、該最適値より低い第5の電圧部分と該最適値より高い第6の電圧部分とを有し、前記第1及び第3の信号電圧と前記第5の電圧の時間積分値の絶対値と、前記第1及び第2のリセットパルスと前記第6の電圧の時間積分値の絶対値とが等しくなるように、各々所定の時間幅に設定された前記第5の信号を前記フォトセンサの第1の電極に印加し、また、
前記第6のステップは、前記フォトセンサの感度特性に応じて設定される第2の電極側の実効電圧の前記最適値を基準として、該最適値より低い第7の電圧部分と該最適値より高い第8の電圧部分とを有し、前記第2及び第4の信号電圧と前記第7の電圧の時間積分値の絶対値と、前記第1及び第2の読み出しパルスと前記第8の電圧の時間積分値の絶対値とが等しくなるように、各々所定の時間幅に設定された前記第6の信号を前記フォトセンサの第2の電極に印加することを特徴とする請求項5記載のフォトセンサ装置の駆動制御方法。 - 前記フォトセンサは、半導体層からなるチャネル領域を挟んで形成されたソース電極及びドレイン電極と、少なくとも前記チャネル領域の上方及び下方に各々絶縁膜を介して形成されたトップゲート電極及びボトムゲート電極と、を備えたダブルゲート構造を有し、
前記トップゲート電極を前記第1の電極として、前記第1及び第3のステップにおける前記第1及び第2のリセットパルス、並びに、前記第1及び第3の信号電圧を印加するとともに、前記ボトムゲート電極を前記第2の電極として、前記第2及び第4のステップにおける前記第1及び第2の読み出しパルス、並びに、前記第2及び第4の信号電圧を印加することにより、前記最適な電荷蓄積期間に前記チャネル領域に蓄積された電荷に対応した電圧を出力することを特徴とする請求項3乃至7のいずれかに記載のフォトセンサ装置の駆動制御方法。
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