JP3712292B2 - ディスプレイ装置の駆動方法及びディスプレイ装置 - Google Patents

ディスプレイ装置の駆動方法及びディスプレイ装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、ディスプレイ装置の中間調画像表示方法に係わるものであり、より詳しくは映像信号をA/D変換し、得られたディジタル信号を時間幅、またはパルス幅変調し、発光・非発光の制御によって中間調、または階調表示をおこなう、例えばプラズマディスプレイ装置(以下、PDPと記す)や液晶等のマトリクス型のディスプレイ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、発光・非発光の二値によって画像を表示するマトリクス型のディスプレイ装置において、中間調の画像を表現する方法として、例えばPDPについてあげれば、文献「AC形プラズマディスプレイによる中間調動画表示」(電子通信学会画像工学研究会資料IT72−45、加治、他、1973−03)等の方法がある。この方法は、従来のCRTに代表されるディスプレイ装置と同等の階調表現が可能であり、PDPにNTSC等の自然画を表示する方法として、用いられることがある。
【0003】
16は従来のマトリクス型ディスプレイ装置、例えばPDPの中間調映像の表示の原理を示す図であり、ディスプレイ装置の各画素における発光のタイミングを示している。
一般に、映像信号をディジタル信号処理する場合には6乃至8ビット以上で量子化するが、この図では簡単のため4ビットで量子化し、16階調を表示するときのタイミングを示す。
図において、1はPDPパネルに書込をおこなうアドレッシング期間、2、3、4、5はそれぞれ20=1、21=2、22=4、24=8の時間荷重により重み付けされた発光期間を示している。1に示すアドレッシング期間は次に続く2、3、4、5の発光期間に選択した画素を光らすか光らさないかを全画面の画素に対して選択、切替をするための期間であり、この期間における発光は行われないとする。これら1から5を含むシーケンスは1フィールド(1F)単位ごと順次繰り返されており、各画素で表示する16階調レベルは、この2進で重み付けした発光期間2、3、4、5を組み合わせることによって、1フィールド内に発光する発光量を制御し表現する。また、各フィールドごとに全ての画素の階調をコントロールし、動画に対応した中間調の階調表現を可能としているわけである。このように、PDP等のディスプレイ装置は、1フィールドの映像信号を輝度の相対比がそれぞれ異なる複数のサブフィールドに分割し、画素ごとにこれらサブフィールドの発光、非発光を制御することで中間調の階調表示を行なっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来のPDPに代表される二値発光素子を使用したディスプレイ装置は、以上のように構成されていたので、以下に説明するような問題点があった。
17は、図16で示したシーケンスに基づき、階調”7”から階調”8”に変化したときの1画素の発光のパターンを示している。この場合、階調”7”では、7=(0111)2より、発光期間2、3、4のみが発光し、階調”8”では8=(1000)2より、発光期間5のみが発光する。
【0005】
ここで、一般的な人間の視覚の特性を考えた場合、文献「視覚情報処理」(朝倉書店 田崎京二他著)などによれば、「明るさ感覚における時間的加重効果」があげられる。この効果は、Ferry−Porter則としても知られ、臨界ちらつき頻度(CFF、Critical flicker frequency)以上の頻度では点滅する光がちらついて感じられず、連続光のように感じられることを示している。また、ちらつきの周波数は、輝度によって変化するが、5〜20Hzで感度が最高となり、その前後の周波数では感度が徐々に低下するため、一般的なNTSC等のテレビジョン信号のフィールド周波数(約60Hz)での明るさのちらつきはほとんど検知されないことがわかる。(以降、この効果のことを視覚特性の「時間的な積分効果」とよぶ。)
【0006】
したがって、図17のようなパターンでPDPパネルの全画素が同時に階調変化した場合は、階調”7”、および階調”8”の発光領域とも、上記の人間の視覚特性の時間的な積分効果によって、フィールド周波数内で変動する発光・非発光の成分が積分、平均化され、平滑に階調”7”から”8”へ移行したように見える。
【0007】
ところが、画面上で各画素の変化が異なるパターン、すなわち動画像として、上記の変化を表示、観察した場合、以下の現象となる。
例えば、画面を垂直方向に二分する(左側の画面が階調”8”で、右側の画面が階調”7”)パターンが、時間とともに画面左から右へ移動した場合、画面上の発光のパターンは図18に示す模式図で表すことができる。ここで、水平軸は水平方向の画素配列を示し、1画素単位で構成されている。垂直軸は時間軸であり、下方に時間が経過しており、この平面上に現れる発光のパターンは、図17に示したパターンを時計回りに90度回転させ、階調の切り替わるタイミングを1画素ごとに時間方向に1フィールドづつずらして描いている。図中、6の網掛けで示した部分が発光期間、7の白抜きの部分が非発光期間を表わしている。図中に表すように、階調”7”と階調”8”の切り替わり部分が、左から右に移動している。
この図では、水平方向に1ライン分のみの信号変化を表わしているが、垂直方向に変化していない信号であるとすれば、全ライン同じタイミングで図18の発光パターンが発生する。
このようなパターンを表示すると、人間の目は、この発光パターンの切り替わり部分を追視するため、あたかも発光パターンを斜めから観察したように見えることになる。この結果、図18の斜め右下の明るさの知覚量特性8で表わされる明るさとして知覚される。すると、発光のパターンを斜めから観察したことによって、階調”7”と階調”8”の間にある発光の隙間9が時間方向に変化しない固定のパターンとして検出され、黒い(発光しない)帯状の妨害として検知される。また、上記の階調変化を階調”8”から階調”7”の逆のパターンに変えたり、上記の階調変化のまま動画の動く方向を右から左へ変えた場合は、上記妨害は、発光の集中として発生し、輝度の高い(白、もしくは色付いた)帯状の妨害となる。この現象が動画像表示時特有の妨害で、偽輪郭として知られている。
この妨害は、上の例のように階調”7”から”8”の変化ばかりではなく、二進表示の桁上がり、もしくは桁下がりにおいて、程度の差こそあれ、すべての場合について発生する。
【0008】
また、上記の図16で説明したとおり、表示する階調数は、アドレッシング期間と時間荷重により重みづけされた発光期間とを組み合わせた期間の数で決定するため、デバイスの駆動スピードに制約があるPDP等においては、NTSCなどの映像信号を表示する際、与えられたフィールド期間(約16.7ms)に組み込める表示階調数に制限を受け、特に人間の視覚特性上、レベル変化に敏感な黒側において、階調性が不十分であるという問題点があった。
【0009】
この発明は以上のような問題点を解決するためになされたもので、第1の目的は、発光・非発光の二値によって画像を表示するマトリクス型のディスプレイ装置に動画像を表示した場合に検知される偽輪郭を軽減することを目的とする。
また、第2の目的は、駆動する階調数が少ない場合であっても、信号の黒レベル付近の階調性能を向上させることを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この発明に係るディスプレイ装置の駆動方法は、
輝度の相対比がそれぞれ異なる複数のサブフィールドにより1フィールドを構成し、上記サブフィールドの組合せにより中間調画像を表示するディスプレイ装置の駆動方法において、
上記中間調画像は、
入力映像信号の信号レベルが小さい領域では、上記入力映像信号の振幅を第1の所定の増幅率により増幅し、上記入力映像信号レベルが大きい領域では、上記入力映像信号に第1の所定のオフセット量を付加する第1の変換処理を行った信号に基づく第1の画像と、
上記入力映像信号の信号レベルが小さい領域では、上記入力映像信号の振幅を上記第1の所定の増幅率とは異なる第2の所定の増幅率により増幅し、上記入力映像信号レベルが大きい領域では、上記入力映像信号に上記第1の所定のオフセット量とは異なる第2の所定のオフセット量を付加する第2の変換処理を行った信号に基づく第2の画像とにより構成され、
上記第1の画像を構成する画素は、
垂直方向において上記第2の画像を構成する画素と隣接し、
水平方向において当該第2の画像を構成する画素とn画素ごと(nは1以上の整数)に交互に配列されることとしたものである。
【0018】
【発明の実施の形態】
この発明におけるディスプレイ装置においては、n画素ごと(nは1以上の整数)、かつラインごとに、その信号レベルが所定のオフセットあるいは振幅をもって変化する画素拡散信号、あるいは、n画素ごと(nは1以上の整数)、かつラインごと、かつフィールドごとに、その信号レベルが所定のオフセットあるいは振幅をもって変化する画素拡散信号により表示を行なうようにしているので、画面上において連続的に階調レベルの桁上がりまたは桁下がりする画素を分離し、さらにずらすことができ、その結果、動画において発生する偽輪郭のレベルを分散させ、オフセットまたは振幅変化した信号レベルとの平均化レベルで見えるように働く。
【0019】
また、2種類の変換テーブルに関し、その平均レベルがあらかじめ入力信号に付加されている特性を補正する特性になるように設定しておくことによって、補正特性を兼ねるように働き、さらになだらかな変化の補正特性に対して、変換テーブルの二つの特性を加えた特性として働く。
【0020】
さらにまた、上記2種類の変換テーブルに関し、その変換特性の切り替わり部分を異なるところに設定しているので、2種類の変換テーブルの合成特性は階調数が増加するように働く。
【0021】
以下、この発明をその実施の形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。
なお、以下の実施の形態の説明中、本発明にかかる表示の方法、またはその制御法を「画素拡散法」と称し、この発明にかかる制御するための切替信号を(画素)拡散制御信号、変換された映像信号を画素拡散信号と称することとする。
【0022】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1であるPDP装置のブロック図を示すもので、10は水平同期信号HDを入力とし、これに同期したクロック信号CLKを供給するクロック発生部、11はクロック信号を1/(n+1)分周(nは1以上の整数)し、n画素ごとに映像信号を切り替えるための切替信号と、それを反転し180度位相をずらした反転切替信号を生成するクロック分周回路、12はHD及び垂直同期信号VDを入力とし、毎HDで反転する拡散切替信号を発生する拡散切替信号発生部、13はクロック分周回路11から得られた互いに位相が180度異なる2種類の分周パルスを拡散切替信号によって選択し拡散制御信号DSWを発生する分周信号選択部、14は入力の映像信号VINにオフセット量を付加したオフセット映像信号VOFを得る映像信号レベル変換部、15は、入力映像信号VINと、オフセット映像信号VOFを、拡散制御信号DSWによって選択し、画素拡散信号VDSを生成する映像信号選択部、16は画素拡散信号VDSをディジタル信号に変換するA/D変換部、17はA/D変換された画素拡散信号にPDP駆動のための処理をおこなうディジタル信号処理部、18はPDPパネル19を表示駆動するための各種制御信号や駆動信号を発生するPDP表示駆動部である。また、20はクロック分周回路11、拡散切替信号発生部12、分周信号選択部13で構成される拡散制御信号発生部である。
【0023】
このように構成されたPDP装置の動作を以下説明をする。
図2は、図1の拡散制御信号発生部20での垂直同期信号VD、水平同期信号HD、クロックCLKと、任意のフィールドの拡散制御信号DSWのタイミングチャートを示している。ただしここでは、CLKはHDを偶数倍の分周比で分周した時の波形を示しており、DSWはクロック分周回路7の分周比を1/2分周としたときの(n=1のとき)波形を示している。
【0024】
まず、図2(d)に示す拡散制御信号DSWの波形について見た場合、このフィールドの第1ラインが正極性で開始するパルスであったとすると、次の第2ラインは負極性で開始するパルス、さらにその次の第3ラインは正極性で開始するパルスと、1ラインごとにその極性が反転する信号となり、この1ラインごと極性が反転する関係がそのフィールド内で連続的に保たれ、一画素ごと、かつラインごとの反転関係が継続されて、拡散制御信号DSWを形成している。
【0025】
このときの映像信号選択部15の入出力波形を図3に示す。入力映像信号VINとオフセット映像信号VOFは拡散制御信号DSWにより1画素ごとに切り替えられた画素拡散信号VDSに変換される。
このように変調された画素拡散信号VDSを、A/D変換部16に入力しディジタル信号に変換した後、ディジタル信号処理部17でPDPパネル19の駆動のための配列変換をおこない、これをPDP表示駆動部18に入力しPDPパネル19の駆動信号に変換してPDPパネル19を表示する。
この結果、画面における水平、垂直方向に1画素ごとに互いに位相反転する信号が発光、表示される。
【0026】
ここで、一般的な人間の視覚の特性を考えたとき、従来例で説明した「時間的な積分効果」のほかに、以下に示す空間的特性がある。文献「視覚情報処理」(朝倉書店 田崎京二他著)などによれば、明るさ知覚には、時間的加重のほかに空間的加重があり、刺激光の面積がある限界以内の場合は光覚閾を規定するのは輝度Lではなくむしろ輝度に刺激面積Aを乗じたL×AであるとするRiccoの法則であって、例えば、小面積で2値の明るさを交互に発光した場合は、その輝度はそれらの平均値となることがわかる。また、人間の空間周波数特性(MTF)は、帯域通過型から低域通過型特性であることも知られており、これらのことからも、小面積における発光・非発光の交互に配置されたパターンは、明るさが平均値でその発光の空間的パターンは検知されにくいことが分かる。(以降、この効果のことを視覚特性の「空間的な積分効果」とよぶ。)
【0027】
したがって、映像信号選択部15の出力画素拡散信号VDSは、その、画素間隔が小面積であれば、人間の視覚の空間的、時間的な積分効果により、切り替えられた二つの信号レベルが平均化されて認識される。
【0028】
以上のような処理をした信号を動画像としてPDP装置にて表示したときの画像の見え方について、以下に説明する。
従来例において説明をしたとおり、動画像表示時の偽輪郭妨害は、画素の発光パターンの二進表示の桁上がり、もしくは桁下がりが発生する階調変化部分がある方向に動いた場合、人間の目がその桁上がりまたは桁下がり部分(輝度変化部分)を追視し、その部分の発光のパターンの変化における発光の隙間や集中が知覚される妨害である。
そこで、隣り合う画素同士において、階調の桁上がりまたは桁下がりのタイミングをずらせば、視覚の空間的積分効果によって、この妨害の知覚レベルを軽減することが期待できる。
【0029】
この実施の形態の説明においては、簡単のためオフセット量を”+1”とした。したがって、従来の階調”7”の発光領域については、7=(0111)2と(1000)2を、従来階調”8”の発光領域については、8=(1000)2と(1001)2を1画素ごと、かつラインごとに切替表示しているものとする。
【0030】
図4は本発明「画素拡散法」における発光のパターンを示しており、水平軸は水平方向の画素配列を示し、1画素単位で構成されている。垂直軸は時間軸であり、下方に時間が経過している。ここで、上下に隣り合う画素間隔が非常に小さく、それら画素同士の信号はそれぞれオフセットがかかった信号であるとすると、上記の視覚の空間的積分効果により、各画素の発光パターンは上下方向に発光するパターン、すなわち、隣り合うオフセットのかかった二つの信号を平均化してみることができる。
【0031】
ここで、この平面上に現れる画素拡散された発光のパターンを以下3つの発光レベルに分ける。21の網掛けで示した領域は、拡散制御信号DSWの両極性とも発光する全発光期間、22の斜線で示した領域は、拡散制御信号DSWにより片方の極性でのみ発光する片発光期間、23の白抜きで示した領域は非発光期間とすれば、ここでの明るさの知覚量は、21の全発光期間を1とした場合、22の片発光期間は0.5、23の非発光期間は0の係数を乗して考えられる。
この結果、明るさの知覚特性24に示すように、本来、階調”7”から階調”8”の桁繰り上がり時に発生していた発光の隙間9は、オフセットした信号の片発光期間によって、軽減されている。
【0032】
なお、上記実施形態1では、映像信号レベル変換部14で発生する変換信号VOFを1種類に限定し、入力映像信号VINと変換信号VOFを一画素ごとに交互に切り替える構成とした例を挙げたが、上記の効果は信号のオフセット量によって、また表示する画素スピード等によっても、軽減効果の度合いが変わるため、映像信号レベル変換部14にて複数種類のオフセット映像信号群を生成し、このオフセット信号群と入力信号を含めた中から最適な2種類の変換信号を、表示する映像信号の種類、例えば、静止画や動画等に応じて選択的に切替るように設計してもよい。
【0033】
また、映像信号レベル変換部14で発生させる変換信号は、入力映像信号のオフセットレベルを変えたものではなく、その信号振幅(ゲイン)を拡散制御信号DSWのタイミングに応じて制御したものであっても、本実施の形態にて述べた原理から明らかなように、同等の効果を得ることができる。
【0034】
さらに、入力する映像信号の周波数帯域に比べて、表示するパネルの画素ピッチが細かい場合は、画素拡散信号の分周比を大きくし、2画素あるいはそれ以上のn画素の分周比で装置を構成しても同様の効果を得ることができる。
【0035】
実施の形態2.
上記実施の形態1では、表示画面の一画素ごと、かつラインごとにその極性が反転する切替信号によってオフセットの重畳がされた拡散制御信号DSWを形成した例を示したが、本実施の形態においては、さらに、時間方向、すなわち、フィールド間においても極性が反転する切替信号により拡散制御信号DSWを形成するものである。
これは、表示画面の一画素、ラインごとにのみ切り替えるものでは、PDPパネルの画素ピッチが小さい中・小画面においては空間的な積分効果のみで画素拡散された空間的パターンが平均化され、十分な偽輪郭低減効果が得られるものの、画面を大型化し、視聴者が画素ピッチをある程度以上認識できるような場合には、空間的な積分効果のみでは不十分になる。従って、本実施の形態では、画素拡散された空間パターンが検知される場合、さらに画素ごとの時間的な積分効果を加えることで一層の偽輪郭低減を達成している。
【0036】
図5は、本実施の形態における垂直同期信号VD、水平同期信号HD、クロックCLKと、任意のMフィールド目(Mは正の整数)の拡散制御信号DSWとその次の(M+1)フィールド目の拡散制御信号DSWのタイミングチャートを示す図であり、その他の装置の概略構成は実施の形態1で説明した図1と同様である。
また、本実施の形態においても、CLKはHDを偶数倍の分周比で分周した時の波形を示しており、二つのDSWはクロック分周回路7の分周比を1/2分周としたときの(n=1のとき)波形を示している。
【0037】
まず、図5(d)で示す第Mフィールドにおける拡散制御信号DSWの波形について見た場合、このフィールドの第1ラインが正極性で開始するパルスであったとすると、次の第2ラインは負極性で開始するパルス、さらにその次の第3ラインは正極性で開始するパルスと、1ラインごとにその極性が反転する信号となり、この1ラインごと極性が反転する関係がそのフィールド内で連続的に保たれている。
【0038】
次に、図5(e)第(M+1)フィールドにおける拡散制御信号DSWの波形を見た場合、この信号の第1ラインは前第Mフィールドのときと逆極性の負極性で開始するパルスであり、次の第2ラインは正極性で開始するパルス、さらにその次の第3ラインは負極性で開始するパルスの信号となり、第Mフィールドでの信号を反転した極性の信号がこのフィールド内で連続的に保たれている。
この拡散制御信号DSWの第Mフィールドと第(M+1)フィールドにおける信号極性の関係は、その後、保ち続けられ、一画素ごと、かつラインごと、かつフィールドごとの反転関係が継続されて、拡散制御信号DSWを形成している。この拡散制御信号を用いた装置の動作は、実施の形態1と同様であるので説明は省略する。
【0039】
実施の形態3.
上記実施の形態1あるいは2では、まず映像信号レベル変換部14にて変換信号VOFを得た後、映像信号選択部15によって入力映像信号VINと変換信号VOFを拡散制御信号DSWごとに交互に切り替える構成としたが、図6で示すように映像信号VINのDCレベルを直接コントロール可能な信号オフセット制御部25によって構成しても画素拡散信号VDSを得ることが可能で、同様の効果を得ることができる。
【0040】
実施の形態4.
また、上記実施の形態1あるいは2においては、映像信号レベル変換部14で発生させる変換信号について、オフセットレベルを変えるのではなく、その信号振幅(ゲイン)を変えた変換信号VOFの構成も示したが、図7で示すように映像信号のVINの信号振幅を直接コントロール可能な信号振幅コントロール部26によって構成しても、画素拡散信号VDSを得ることが可能で、同様の効果を得ることができる。
【0041】
実施の形態5.
図8は入力映像信号VINをA/D変換後、信号レベル変換する実施の形態を示すもので、27は入力信号がA/D変換器16によってディジタル変換された後のディジタル映像信号VIDをレベル変換するための信号レベル変換部であり、拡散制御信号DSWによってその出力は2種類の信号レベルに拡散された画素拡散映像信号VDSに変換される。この結果、実施の形態1あるいは2で説明したと同様の効果により、動画を表示した時に発生する偽輪郭を軽減できる。
【0042】
ここで、信号レベル変換部27の構成例としては、メモリ装置等を用い、入出力変換テーブルを2種類内蔵すれば、容易に実現が可能である。
特に、入力する映像信号が標準的なテレビジョン信号等の場合、入力の映像信号にはCRT発光特性を補正するための逆γ特性がかけられているため、PDPや液晶などのディスプレイ装置に表示するときは、入力映像信号にγ変換をする必要があり、γ補正用信号レベル変換部をすでに搭載していることが多い。
本発明の信号レベル変換部27は上記γ補正用信号レベル変換部と独立に構成してもよいが、上記γ補正用信号レベル変換部において、複数の特性テーブルをあらかじめ準備し、これを拡散信号発生部15で発生した拡散信号DSWによって制御可能な構成とすることにより、新たに回路素子を追加することなく、本発明の効果を得ることが可能である。
【0043】
図9は上記の入出力変換テーブルの一例を示すものである。図9においては、特性28と特性29が信号レベル変換部27より得られる2種類の信号レベルをそれぞれ示しており、これらの平均レベル30がすなわち、視覚上認識される特性となる。したがって、上記の例でいえば、γ補正用信号レベル変換特性が平均レベル30となるよう、特性28、29を決定すればよい。この実施例の場合、、特性28と29の平均レベル30に対する変化幅ΔSは、入力レベルが小さい領域でリニアに増加し、入力レベルが中から大にかけての領域で一定値となるように構成した例である。
もちろん、ΔSの変化量を固定値としたり、段階的に切り替えたり、これらを組みあわせても良い。
【0044】
実施の形態6.
次に、図8で構成したPDP装置において、信号レベル変換部27における変換テーブルの入力レベルが低い、つまり信号の黒レベル付近における特性を図10のようにした例を示す。この場合、平均レベル30に対する2種類の信号変換レベル28、29を図10のように選べば、その平均値として視覚上認識されるレベル30での階調数は、図11に示した本発明をおこなわない場合の階調数31に比べて、増加させることが可能であることを表わしている。
【0045】
つまり本発明によれば、傾きの大きい特性28と傾きの小さい特性29が平均化された平均レベル30が知覚されるため、その結果得られる階調数が二つの階調特性を加えた特性となるわけであり、変換レベルの傾きの大きい特性28側の階調をより多くとるように特性を決定すれば、特に元々の階調変化がなだらかな信号の黒レベル付近において、階調数を増やす効果がある。
【0046】
次に、図12では、二つの信号変換レベルの平均レベル30が、非常になだらかで、上記のように傾きが大きい方の変換レベル28の傾きもあまり大きくできない場合の変換レベル28、29の与え方の例を示している。すなわち、図に示すとおり、2種類の信号変換レベル28、29の変化点をずらしてやることによって、二つの特性の平均化レベル30の階調数を増加させることが可能である。図13には、図12の平均レベル30の漸近線に沿うように本発明をおこなわない場合のレベル変換特性31を示した。明らかに、図12の本発明による平均化レベル30の方が階調数が増加していることがわかる。
【0047】
以上のように、2種類の信号変換レベルの変換特性を、それぞれ上に示すごとく与えることにより、本発明の実施の形態1あるいは2にて説明した偽輪郭を低減する効果に加えて、動作する階調数を増やすことなく、実際の階調数よりより多くの階調を再現することができる効果が期待できる。
【0048】
実施の形態7.
図14は前記実施の形態5において、信号レベル変換部27にかえて信号オフセット制御部32によって構成したものである。この場合は、信号オフセット制御部32において拡散制御信号DSWのタイミングで入力信号のオフセット量をコントロールし、画素拡散信号VDSを直接得ることができ、上記と同様にして偽輪郭の低減効果を得ることができる。
【0049】
実施の形態8.
また、図15では、実施の形態5において、信号レベル変換部27にかえて、信号振幅コントロール部33を設けることによって構成したものである。この場合は、信号振幅コントロール部33において拡散制御信号DSWのタイミングで入力信号の振幅をコントロールし、画素拡散信号VDSを直接得ることができ、上記と同様にして偽輪郭の低減効果を得ることができる。
【0050】
ところで、上記説明では、この発明をPDP装置に利用する場合について述べたが、発光・非発光の二値によって画像を表示するその他のマトリクス型のディスプレイ装置にも利用できることはいうまでもない。
【0051】
【発明の効果】
この発明は、以上説明したように構成されているので、以下に示すような効果を奏する。
【0052】
この発明におけるディスプレイ装置の駆動方法は、輝度の相対比がそれぞれ異なる複数のサブフィールドにより1フィールドを構成し、上記サブフィールドの組合せにより中間調画像を表示するディスプレイ装置の駆動方法において、上記中間調画像は、入力映像信号の信号レベルが小さい領域では、上記入力映像信号の振幅を第1の所定の増幅率により増幅し、上記入力映像信号レベルが大きい領域では、上記入力映像信号に第1の所定のオフセット量を付加する第1の変換処理を行った信号に基づく第1の画像と、上記入力映像信号の信号レベルが小さい領域では、上記入力映像信号の振幅を上記第1の所定の増幅率とは異なる第2の所定の増幅率により増幅し、上記入力映像信号レベルが大きい領域では、上記入力映像信号に上記第1の所定のオフセット量とは異なる第2の所定のオフセット量を付加する第2の変換処理を行った信号に基づく第2の画像とにより構成され、上記第1の画像を構成する画素は、垂直方向において上記第2の画像を構成する画素と隣接し、水平方向において当該第2の画像を構成する画素とn画素ごと(nは1以上の整数)に交互に配列されることとしたので、動画において発生する偽輪郭のレベルを分散させ、オフセットあるいは振幅変化した信号レベルとの平均化レベルで見えるように働き、動画で発生する偽輪郭を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1を示すPDP装置のブロック図である。
【図2】 この発明の実施の形態1の拡散性誤信号発生部の動作を説明する図である。
【図3】 この発明の実施の形態1の動作波形を示す図である。
【図4】 この発明の実施の形態1の動画の発光パターンを示す図である。
【図5】 この発明の実施の形態2の拡散性誤信号発生部の動作を説明する図である。
【図6】 この発明の実施の形態3を示すPDP装置のブロック図である。
【図7】 この発明の実施の形態4を示すPDP装置のブロック図である。
【図8】 この発明の実施の形態5を示すPDP装置のブロック図である。
【図9】 この発明の実施の形態5の信号レベル変換部に備えた変換テーブルの例を示す図である。
【図10】 この発明の実施の形態6の効果の例を示す図である。
【図11】 従来例における変換テーブルの例を示す図である。
【図12】 この発明の実施の形態6の第2の効果の例を示す図である。
【図13】 従来例における変換テーブルの第2の例を示す図である。
【図14】 この発明の実施の形態7を示すPDP装置のブロック図である。
【図15】 この発明の実施の形態8を示すPDP装置のブロック図である。
【図16】 PDPの発光の中間調画像の表示の原理を示す図である。
【図17】 PDPの画素の発光のパターンを示す図である。
【図18】 従来の動画の発光パターンを示す図である。
【符号の説明】
1 アドレッシング期間、2 1の時間加重により重み付けされた発光期、32の時間加重により重み付けされた発光期間、4 4の時間加重により重み付けされた発光期間、5 8の時間加重により重み付けされた発光期間、6 発光期間、7 非発光期間、8 明るさの知覚量特性、9 発光の隙間、10 クロック発生部、11 クロック分周回路、12 拡散切替信号発生部、13 分周信号選択部、14 映像信号レベル変換部、15 映像信号選択部、16 A/D変換部、17 ディジタル信号処理部、18 PDP表示駆動部、19 PDPパネル、20 拡散制御信号発生部、21 全発光期間、22 片発光期間、23 非発光期間、24 明るさの知覚特性、25 信号オフセット部、26 信号振幅コントロール部、27 信号レベル変換部、28 傾きの大きい方の変換テーブル特性、29 傾きの小さい方の変換テーブル特性、30 平均レベルの変換テーブル特性、31 本発明を実施しないときの変換テーブル特性

Claims (8)

  1. 輝度の相対比がそれぞれ異なる複数のサブフィールドにより1フィールドを構成し、上記サブフィールドの組合せにより中間調画像を表示するディスプレイ装置の駆動方法において、
    上記中間調画像は、
    入力映像信号の信号レベルが小さい領域では、当該入力映像信号の振幅を第1の所定の増幅率により増幅し、上記入力映像信号レベルが大きい領域では、上記入力映像信号に第1の所定のオフセット量を付加する第1の変換処理を行った信号に基づく第1の画像と、
    上記入力映像信号の信号レベルが小さい領域では、上記入力映像信号の振幅を上記第1の所定の増幅率とは異なる第2の所定の増幅率により増幅し、上記入力映像信号レベルが大きい領域では、上記入力映像信号に上記第1の所定のオフセット量とは異なる第2の所定のオフセット量を付加する第2の変換処理を行った信号に基づく第2の画像とにより構成され、
    上記第1の画像を構成する画素は、
    垂直方向において上記第2の画像を構成する画素と隣接し、
    水平方向において当該第2の画像を構成する画素とn画素ごと(nは1以上の整数)に交互に配列される
    ことを特徴とするディスプレイ装置の駆動方法。
  2. 各画素における画像を構成するために用いられる信号は、
    上記入力映像信号に第1の変換処理を行った信号と、
    上記入力映像信号に第2の変換処理を行った信号とが
    上記画素についてフィールド毎に入れ替わること
    を特徴とする請求項1に記載のディスプレイ装置の駆動方法。
  3. 上記第1の変換処理において上記第1の所定のオフセットを付加することにより得られる信号及び、上記第2の変換処理において上記第2の所定のオフセットを付加することにより得られる信号が、異なるオフセット量をもつ複数種類のオフセット信号群から選択される2種類のオフセット量をそれぞれ付加した信号であり、
    上記第1の変換処理において上記第1の所定の増幅率により増幅することにより得られる信号、及び上記第2の変換処理において上記第2の所定の増幅率により増幅することにより得られる信号が、異なる増幅率をもつ複数種類の増幅率信号群から選択される2種類の増幅率によりそれぞれ振幅を増幅した信号であること
    を特徴とする請求項1または2に記載のディスプレイ装置の駆動方法。
  4. 輝度の相対比がそれぞれ異なる複数のサブフィールドにより1フィールドを構成し、上記サブフィールドの組合せにより中間調画像を表示するディスプレイ装置において、
    上記中間調画像は、
    入力映像信号の信号レベルが小さい領域では、上記入力映像信号の振幅を第1の所定の増幅率により増幅し、上記入力映像信号レベルが大きい領域では、上記入力映像信号に第1の所定のオフセット量を付加する第1の変換処理を行った信号に基づく第1の画像と、
    上記入力映像信号の信号レベルが小さい領域では、上記入力映像信号の振幅を上記第1の所定の増幅率とは異なる第2の所定の増幅率により増幅し、上記入力映像信号レベルが大きい領域では、上記入力映像信号に上記第1の所定のオフセット量とは異なる第2の所定のオフセット量を付加する第2の変換処理を行った信号に基づく第2の画像とにより構成され、
    上記第1の画像を構成する画素は、
    垂直方向において上記第2の画像を構成する画素と隣接し、
    水平方向において当該第2の画像を構成する画素とn画素ごと(nは1以上の整数)に交互に配列されることを特徴とするディスプレイ装置。
  5. 各画素における画像を構成するために用いられる信号は、
    上記入力映像信号に第1の変換処理を行った信号と
    上記入力映像信号に第2の変換処理を行った信号とが
    上記画素についてフィールド毎に入れ替わること
    を特徴とする請求項4に記載のディスプレイ装置。
  6. 上記入力映像信号に第1の変換処理を行った信号は、
    変換特性の異なる複数の変換テーブルから選択された第1の変換テーブルに基づき変換処理が行われた信号であり、
    上記入力映像信号に第2の変換処理を行った信号は、
    上記複数の変換テーブルから選択される第2の変換テーブルに基づき変換処理が行われた信号であること
    を特徴とする請求項4または5に記載のディスプレイ装置。
  7. 変換特性の異なる複数の変換テーブルから選択された第1、及び第2の変換テーブルの変換特性が、
    当該第1の変換テーブルに基づき変換処理が行われた信号と、上記第2の変換テーブルに基づき変換処理が行われた信号とにより視覚上認識される平均レベルの信号の階調数を、当該平均レベルの信号に対応する入力映像信号の階調数より増加させるものであること
    を特徴とする請求項6に記載のディスプレイ装置。
  8. 変換特性の異なる複数の変換テーブルから選択された第1、及び第2の変換テーブルの変換特性は、
    当該第1の変換テーブルに基づき変換処理が行われた信号の信号変換レベルの変化点と、上記第2の変換テーブルに基づき変換処理が行われた信号の信号変換レベルの変化点とを異なるように設定されたものであること
    を特徴とする請求項6又は7に記載のディスプレイ装置。
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