JP3711981B2 - ストリーム品質観測装置、プログラム、及び記録媒体 - Google Patents

ストリーム品質観測装置、プログラム、及び記録媒体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、インターネット上のストリーム配信やVoIPなどのシステムにおいて音声・ビデオなどのストリーム品質低下の原因となるネットワーク箇所を特定する技術に関わる。
【0002】
【従来の技術】
近年、ネットワークのブロードバンド化にともなって、音声や映像のストリーム配信サービスやインターネット電話サービスが普及してきている。このようなサービスを提供する業者(以下、サービス提供業者と呼ぶ)とその利用者とを接続する通信経路は、図2に示すように複数のネットワークセグメントで構成されたネットワーク網となることが多い。ここで言うネットワークセグメントとは、LANを構成する単位であるブロードキャストリクエストが到達できるネットワーク範囲であるブロードキャストドメインであっても良いし、又は組織のイントラネットを構成するWANであっても良く、ネットワークを論理的に区分けした範囲とする。図2で示す送信装置はサービス提供業者に相当し、受信装置は利用者に相当すると考える。前述の複数のネットワークセグメントで構成されたネットワーク網とは、図2で示すところのネットワークA400及びネットワークB500で構成されるネットワーク網に相当する。この様な接続形態において、ストリーム通信で配信される音声や映像が途切れるといった事象が発生した場合、ストリーム通信のネットワーク品質の低下を招いている原因となる箇所を特定することが必要となってくる。特にサービス提供業者は、問題となる箇所が、自らが管轄するネットワーク網内か、外部の通信事業者が管轄するネットワーク網内かを識別し、早急に対応する必要がある。
【0003】
ネットワークのサービス品質の観測結果から問題箇所を特定する従来の技術としては、ネットワークのサービス品質(ビットエラーレート、パケット損失レート、データジッタ、遅延変異等)を観測し、ネットワークの品質が基準より劣るようになれば、別の経路に切り替える機能を有する通信コントローラがある(特許文献1参照)。ここでの経路の切替は、各経路のサービス品質を観測することにより、ネットワーク品質の低下した箇所を特定し、自動的に行われるものとしている。
【0004】
また、サービス品質、セルの廃棄、セルの喪失及びその他のネットワークの品質値を複数のネットワーク要素から収集し、特定のノードや特定のリンクについて、サービス品質が低下していることを検出することができるデータモニタリング装置がある(特許文献2参照)。
【0005】
また、ネットワークのサービス品質を観測する従来の技術としては、送信装置と受信装置間のパケットロス・ジッタを求めるために送信装置から受信装置にpingコマンドを定期的に発行し、pingの応答の有無や応答までの時間により、ネットワーク品質を表すパケットロス率やジッタ値を求めるという技術が普及している。
【0006】
【特許文献1】
特開平11-27327号公報
【0007】
【特許文献2】
特開平10-233773号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上述の特許文献1,2に開示された従来の方法は、ネットワーク上を流れる全てのパケットを観測対象としており、ストリーム通信以外のパケットを観測対象に含む可能性があるため、観測結果とストリーム通信のネットワーク品質との関係が不明確であるという問題がある。すなわち、ネットワーク品質を表す値の一つであるパケットロス率を、ネットワーク上を流れる全てのパケットを観測対象として求めた場合、パケットロス率はストリーム通信以外のパケットの損失を含んだ値となる可能性がある。ところが、損失したパケットに占めるストリーム通信のパケットの割合を特定することができないため、全てのパケットを対象にして得たパケットロス率からは、実際のストリーム通信のネットワーク品質を判断することができない。
【0009】
この不具合を解決する技術として、ストリーム通信のネットワーク品質を表すパケットロス率及びジッタ値を、ストリーム通信を行う受信装置で観測し、ストリーム通信を行う送信装置に通知する技術が規約化されている。
【0010】
しかし、これより得られるストリーム通信のネットワーク品質からは、送信装置と受信装置とを接続するネットワーク網が複数のネットワークセグメントで構成されている場合に、送信装置と受信装置とを接続する通信網をさらに細分化した区間の品質を得ることが出来ない。そのため、音声や映像のストリームを配信しているサービス提供業者は、ストリーム通信の品質低下を招く原因となる箇所が、自らが管轄するネットワーク網内か、外部の通信事業者が管轄するネットワーク網かを識別することが困難となっている。
【0011】
上述のように、送信装置から受信装置までの通信経路を対象区間とした観測値からは、通信経路をさらに細分化した区間についての品質を得ることが出来ない、という問題がある。この問題を解決する公知の手段として、送信装置から受信装置までの通信経路上に観測地点を設ける方法がある。例えば図2に示すように、送信装置と受信装置とを接続する通信路であるネットワークA400とネットワークB500との間に観測装置を接続した場合、送信装置から受信装置へ(以下、下り方向と呼ぶ)送信されるパケットを、観測装置を用いて観測することで、送信装置と観測装置との間の下り方向のネットワーク品質を得ることが出来る。同様に、受信装置から送信装置へ(以下、上り方向と呼ぶ)送信されるパケットを、観測装置を用いて観測することで、受信装置と観測装置との間の上り方向のネットワーク品質を得ることが出来る。
【0012】
これにより、送信装置から受信装置までの通信経路を、さらに細分化した区間の品質を得ることが出来るが、前述の観測により得られたネットワークA400及びネットワークB500の品質値は、観測対象となる回線の方向が異なる。すなわち、ストリーム通信で配信される音声や映像を構成するストリームデータは、下り方向の回線を利用して送信装置から受信装置へ送られるが、前述の方法は全ての観測区間において下り方向を観測できていないため、ストリーム通信で配信される音声や映像を構成するストリームデータを実際に観測したことにはならない。このため、例えばADSLのように上り方向と下り方向とで帯域が異なる回線を使用した場合、上り方向と下り方向との回線でネットワークの品質値が異なる可能性があり、前述の方法ではストリーム通信に関する正確なネットワーク品質を観測することが出来ない、という問題がある。
【0013】
そこで本発明は、複数の異なるネットワークセグメントで構成されるネットワーク網を介して接続された送信装置と受信装置とを含むストリーム通信システムにおいて、送信装置と受信装置とを接続する通信経路を細分化した区間を観測対象とすると共に、送信装置と受信装置とを接続する通信経路が上り方向と下り方向とで回線の帯域が非対称又は対称であることに関係なく、ストリーム通信に関するネットワーク品質の正常性の判断を可能とすることを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、複数の異なるネットワークセグメントで構成されたネットワーク網を介して接続された送信装置と受信装置を含むストリーム通信システムにおいて、送信装置と受信装置とを接続する通信経路を構成するネットワークセグメントの間に接続され、送信装置と受信装置とを接続する通信経路におけるストリーム通信のネットワーク品質を観測する装置であって、送信端末と受信端末間における通信設定を通知する接続要求を取得し、前記接続要求に対してセション単位で一意となるセション識別子を割り振り、当該識別子に対応して前記通信設定を保持する接続要求取得処理手段と、前記通信設定に基づいて確立されている送信装置と受信装置とを接続する通信経路におけるストリーム通信のストリームデータを構成するパケットを受信するストリームデータ受信処理手段と、前記接続要求取得処理手段で保持された通信設定に基づいて、前記ストリームデータ受信処理手段を用いて受信した受信パケットに対して前記セション識別子を割り振り、前記受信パケットとセション識別子を対応付けて管理するセション識別処理手段と、前記受信パケットのパケット種別を識別するパケット種別識別処理手段と、前記パケット種別識別処理手段により前記受信パケットが受信装置から送信装置へ送信された受信状況メッセージであると判定された場合は、前記受信パケットから受信パケット中に含まれる送信装置と受信装置とを接続する通信経路におけるストリームの品質値を生成する第一の品質値生成処理手段と、前記受信パケット種別識別処理手段により前記受信パケットが送信装置から受信装置へ送信されたストリームデータであると判定された場合は、前記受信パケットから得られる情報をもとに送信装置と観測装置とを接続する通信経路におけるストリーム通信の品質値を生成する第二の品質値生成処理手段と、同一のセション識別子で対応付けされた前記第一及び第二の品質値生成処理手段を用いて生成した品質値から、観測装置と受信装置とを接続する通信経路におけるストリーム通信の品質値を生成する第三の品質値生成処理手段と、を備えることを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】
制御プロトコルとしてRTSP(Real Time Streaming Protocol;RFC2326)、ストリームデータ用プロトコルとしてRTP(Real-time Transport Protocol;RFC1889)を使用したストリーム通信システムを例に実施例を記述する。なお、制御プロトコルとしてH.323やSIP(Session Initiation Protocol)などの他のプロトコルを使用したり、ストリームデータプロトコルとしてRDT(Real Data Transport; RealNetworks社)などのプロトコルを使用してもよい。
【0016】
本発明の実施例1におけるシステム構成を図2に示す。実施例1の観測装置100は、送信装置200と受信装置300とを接続するネットワークA400とネットワークB500との間に接続され、制御プロトコルであるRTSPとストリームデータRTPと受信状況メッセージを含むRTCP(RTP Control Protocol)とを中継する中継装置として動作する。前記中継装置としては、RTSPプロキシが公知のものとして存在するため、中継装置としての動作の詳細な内容については省略する。
【0017】
図1にストリーム品質観測装置100の内部構成を示す。ストリーム品質観測装置100は、通信制御部150、ストリームデータ解析部130、受信状況メッセージ解析部140、ストリーム品質解析部120、表示制御部110、ストリーム管理データベース101を含んだ構成となる。
【0018】
ストリーム管理データベース101は、セション管理データベース102と各セションの受信パケットリスト103と品質データ104と規定値データ105,106の4種類のデータベースを含む。
【0019】
通信制御部150は、送信装置‐観測装置間及び観測装置‐受信装置間のコネクションを管理し、送信装置‐受信装置間でやり取りされるデータを中継するRTSPプロキシとしての機能を実現させるための図示しない中継処理手段を持つ。さらに通信制御部150は、セション管理データベース102に基づいて送信装置‐受信装置間のセションごとにデータの振り分けを行うセション識別部151と、パケット種別により受信パケットをストリームデータと受信状況メッセージとに振り分けを行うパケット種別識別部152を含む。前記中継処理手段は、公知のRTSPプロキシと同様の処理手順により実現される。
【0020】
ストリームデータ解析部130は、ストリームデータのフォーマットを解析し、ストリームデータより取得したシーケンス番号とタイムスタンプ及び受信時刻を、受信パケットリスト103に記録する。さらに、ストリームデータ解析部130は、受信パケットリスト103に記録した値より、ストリーム品質観測装置100で観測した受信パケットよりジッタ値J1、パケットロス率P1を生成する処理を含み、求めた値を品質データ104に記録する。
【0021】
受信状況メッセージ解析部140は、受信状況メッセージのフォーマットを解析し、受信状況メッセージに含まれている受信装置で観測されたパケットロス率P2及びジッタ値J2を取得する。さらに受信状況メッセージ解析部は、取得した品質値と通信制御部150にて取得したセションIDとを、品質管理データ104においてセションIDが一意となるように関連付けて記録する。
【0022】
ストリーム品質解析部120は、品質データ104に登録されている現在のJ1、J2、P1、P2の値から観測装置‐受信装置間のジッタ値J3、パケットロス率P3を求める処理と品質低下の原因個所を検出する処理を含む。
【0023】
表示制御部110は、セションID107-1、受信装置IPアドレス107-2、送信装置IPアドレス107-3、警告表示107-4より構成される表示データ107の内容を、表示装置を介して表示する。
【0024】
次に、記憶されている各種データについて図5乃至図11を用いて説明する。
【0025】
図5に示すセション管理データベースは、セションID102-1、受信装置IPアドレス102-2、送信装置IPアドレス102-3、受信状況メッセージ受信ポート102-4より構成される。
【0026】
図6に示す受信パケットリストは、受信時刻103-1、シーケンス番号103-2、タイムスタンプ103-3より構成される。
【0027】
図7に示す品質データは、セションID104-1、送信装置-中継装置間のパケットロス率(P1)104-5及びジッタ値(J1)104-6、送信装置-受信装置間のパケットロス率(P2)104-7及びジッタ値(J2)104-8、受信装置-観測装置間のパケットロス率(P3)104-9及びジッタ値(J3)104-10より構成される。
【0028】
図8及び図9に示す規定値データは、受信(送信)装置IPアドレス105-1(106-1)、パケットロス規定値105-2(106-2)、ジッタ規定値105-3(106-3)よりなる。
【0029】
図10に示す表示データは、セションID107-1、受信装置IPアドレス107-2、送信装置IPアドレス107-3、警告表示107-4より構成される。
【0030】
次に、図4に示すフローチャートを用いて、パケット受信時の処理の流れを説明する。
【0031】
まず観測装置100は、ストリーム通信を行う送信装置200から受信装置300へ送信されるストリームデータのパケットを、ネットワークA400を介して受信し(#401)、通信制御部150が実行される。実行された通信制御部150は、セション識別処理部151を用いてセション識別処理を受信パケットに対して行う(#402)。このセション識別処理#402では、受信装置のIPアドレスと送信装置のIPアドレス及び受信ポート番号を、受信パケットから取得し、取得した値とセション管理データベース102に記録されているデータとを照合することにより、セションを一意に識別するためのセションID102-1を得る(#402)。
【0032】
ここで用いられるセション管理データベース102の内容は、ストリーム通信を行う送信装置より送信されたRTSPのSETUP応答メッセージのパケットから取得した情報を用いて、前述のセション識別処理#402が実行される前に作成される。前述のRTSPのSETUP応答のメッセージは、ストリーム通信を行う受信装置から送信装置へ送信されるRTSPのSETUP要求に対する応答として、前述の送信装置から受信装置へ送信されるRTSPのパケットであり、この応答メッセージには受信装置で使用するストリームデータ(以下、RTPと呼称する場合がある)及び受信状況メッセージ(以下、RTCPと呼称する場合がある)のポート番号が記述されている。通信制御部150は、前述の応答メッセージより送信装置及び受信装置のIPアドレスとストリームデータ及び受信状況メッセージのポート番号を取得し、取得した値を受信装置のIPアドレス102-2、送信装置のIPアドレス102-3、ストリームデータ受信ポート102-4、受信状況メッセージ受信ポート102-5に各値の組み合わせが一意となるように関連付けて記録する。さらに通信制御部150は、前述の値の組み合わせをセション管理データベースにおいて一意に識別するための任意の値を、前述の値の組み合わせに関連付けてセションID102-1に記録することにより、セション管理データベース102を作成する。
【0033】
次に通信制御部150は、パケット種別識別処理部152を用いて、受信パケットのパケット種別を識別し、その種別に応じた解析処理を実行する(#403)。
【0034】
実行されたパケット種別識別処理部152は、受信パケットから受信装置及び送信装置のIPアドレスと受信ポート番号を取得し、取得した受信装置及び送信装置のIPアドレスの組み合わせに関連付けられているセション情報群を、セション管理データベースから取得する。前述のセション情報は、セション管理データベースに記録されている1レコードに相当し、セションID、受信装置及び送信装置のIPアドレス、ストリームデータ受信ポート、受信状況メッセージ受信ポートより構成される。次にパケット種別識別処理部152は、受信パケットから取得したポート番号を、取得したセション情報群のストリームデータ及び受信状況メッセージの受信ポートと照合し、ストリームデータ受信ポートと一致した場合は受信パケットの種別をストリームデータとして判定し、受信状況メッセージ受信ポートと一致した場合は受信パケットの種別を受信状況メッセージとして判定する。
【0035】
前述の識別処理において、パケット種別がストリームデータと判定された受信パケットは、ストリームデータ解析部130へ伝えられる(#403-1)。一方、パケット種別が受信状況メッセージと判定された受信パケットは、受信状況メッセージ解析部140へ伝えられる(#403-2)。
【0036】
ストリームデータ解析部130は、ストリームデータのフォーマット情報を備えており、フォーマット情報に基づいて、受信パケットからシーケンス番号とタイムスタンプ(送信装置からパケットが送信されたときの送信装置の時刻)を取得し、この取得処理実行時の観測装置の時刻(以下、受信時刻と呼ぶ)をシステム時刻から取得し、取得した各値を受信パケットリスト103の受信時刻103-1、シーケンス番号103-2、タイムスタンプ103-3に記録する。例えば図12に示すようにRTPのフォーマット情報700は、データの3〜4バイト目がシーケンス番号701、5〜8バイト目がタイムスタンプ702という形式になっており、受信パケットの3〜4バイト目及び5〜8バイト目より、シーケンス番号とタイムスタンプを取得することが出来る。
【0037】
次にストリームデータ解析部130は、受信パケットリスト103に記録した値から、パケットロス率P1、ジッタ値J1を求め、品質データ104のパケットロス率P1(104-5)、ジッタ値J1(104-6)に記録する(#405)。前述の処理は、あらかじめ設定する所定の時間間隔をもって繰返し実行される。
【0038】
パケットロス率P1の求め方は、受信パケットリスト103において、受信したパケット数Rとその受信したパケットのシーケンス番号103-2を参照し、スキップしている回数Sをカウントする。この回数Sをパケットロスの数とし、パケットロス率P1を次式で求める。
【0039】
【数1】
Figure 0003711981
ジッタ値J1は、タイムスタンプ103-3とRFC1889に記述されているアルゴリズムを使用して求める。
【0040】
受信状況メッセージ解析部140は、受信状況メッセージについてのフォーマット情報を備えており、フォーマット情報に基づいて、受信パケットからパケットロス率P2、ジッタ値J2を取得し(#406)、品質データ104の送信装置-受信装置間の品質値104-3のパケットロス率P2(104-7)及びジッタ値J2(104-8)に、前述のセションIDに対応付けて記録する(#407)。
【0041】
ストリーム品質解析部120は、品質データ104から、送信装置-観測装置間の品質値104-2のパケットロス率P1(104-5)及びジッタ値J1(104-6)と、送信装置-受信装置間の品質値104-3のパケットロス率P2(104-7)及びジッタ値J2(104-8)とを取得する。次にストリーム品質解析部120は、取得した送信装置-受信装置間の品質値104-3から、取得した送信装置-観測装置間の品質値104-2を減算することにより、受信装置-観測装置間の品質値104-4を生成し、パケットロス率P3(104-9)とジッタ値J3(104-10)に記録する(#408)。
【0042】
観測装置‐受信装置間のジッタ値J3及びパケットロス率P3は、次式を用いて求める。
【0043】
【数2】
Figure 0003711981
【0044】
【数3】
Figure 0003711981
次にストリーム品質解析部120は、品質データ104に記録されている各品質値について、正常性の判定処理を行う(#409)。この判定処理は、品質データ104に記録されている各品質値と規定値データ105,106とを比較することで行う。例えば、送信装置-観測装置間のジッタ値の判定処理は、品質データ104の送信装置-観測装置間のジッタ値J1(104-6)と、規定値データ(送信側)106のジッタ規定値106-3について、条件式[J1>ジッタ規定値]を評価し、評価結果が真となる場合は、送信装置-観測装置間のジッタ値J1(104-6)は異常であると判定し、評価結果が偽となる場合は正常と判定する(#409)。同様に、受信装置-観測装置間のジッタ値の判定処理は、品質データ104の受信装置-観測装置間のジッタ値J3(104-10)と規定値データ(受信側)105のジッタ規定値105-3について、条件式[J3>ジッタ規定値]を評価し、評価結果が真となる場合は、受信装置-観測装置間のジッタ値J3(104-10)は異常であると判定し、評価結果が偽となる場合は正常と判定する(#409)。パケットロス率についても同様に、各ネットワーク区間の品質値について、条件式[生成処理手段を用いて生成したパケットロス率>パケットロス規定率]を評価し、評価結果が真となる場合は異常と判定し、評価結果が偽となる場合は正常と判定する(#409)。
【0045】
前述の規定値データ105及び規定値データ106は、観測装置100を起動する前に設定されているものとし、ジッタ値及びパケットロス率と音声・映像ストリームの品質との関係を実験により調査して定めても良いし、又はプロバイダ事業者と利用者の間で交わされるサービス品質保証契約(SLA)で定めた値を用いても良い。
【0046】
次にストリーム品質解析部120は、前述のセションIDを用いてセション管理データベース102より得られる受信装置IPアドレス102-2及び送信装置IPアドレス102-3と、品質データ104に記録されているセションID104-1と、前述の判定結果とを用いて、表示データ107を作成し(#410)、表示制御部110を実行する。
【0047】
実行された表示制御部110は、ストリーム品質解析部120より通知された表示データ107を表示装置を介して表示する(#411)。
【0048】
本発明の実施例2におけるシステム構成を図3に示す。実施例2の観測装置100は、送信装置200と受信装置300とを接続するネットワークA400とネットワークB500との間に接続され、ハブ600のミラーリング機能を利用して、送信装置と受信装置間で送受信されるパケットのコピーを受信し、受信したパケットを観測する装置として機能する。
【0049】
本実施例2は、実施例1の観測装置で行っていた中継処理に相当する処理をハブ600で行うという点で実施例1と異なる以外は、実施例1と同じ構成となる。すなわち、ストリームデータ解析部130、受信状況メッセージ解析部140、ストリーム品質解析部120、表示制御部110については実施例1と同様となる。
【0050】
また以上で説明した実施例は、ストリーム通信の品質の正常性を判定する基準として、各品質値の種別毎(ジッタ値、パケットロス率)に1つの規定値を設けた例を示したが、品質が正常である状態から異常への遷移の判定に用いる第一の規定値と、異常である状態から正常への遷移の判定に用いる第二の規定値との2つの規定値を設けても良い。この場合、第一の規定値と第二の規定値とは次の関係式を満たすものとする。
【0051】
・第一の規定値 ≧ 第二の規定値
前記第一及び第二の規定値は、いずれか一方を設定することにより、他方の値を算出処理により導出しても良い。前記第一及び第二の規定値により、品質値が規定値近傍を推移する場合において、正常と異常とが短い間隔で交互に判定されることを避けることが可能となり、利用者の誤認を防ぐという効果を期待できる。
【0052】
【発明の効果】
本発明により、インターネット上のストリーム配信やVoIPなどのシステムにおいてユーザの音声・ビデオのストリーム品質が低下した時に、原因が送信装置側のネットワークか受信装置側のネットワークか識別できるようになる。
【0053】
以上の説明に関して更に以下の項を開示する。
【0054】
(付記1)複数の異なるネットワークセグメントで構成されたネットワーク網を介して接続された送信装置と受信装置を含むストリーム通信システムにおいて、送信装置と受信装置との通信経路を構成するネットワークセグメントの間に接続され、送信装置と受信装置とを接続する通信経路におけるストリーム通信のネットワーク品質を観測する装置であって、
送信装置と受信装置とを接続する通信経路におけるストリーム通信のストリームデータを構成するパケットを受信する受信処理手段と、
前記受信処理手段を用いて受信した受信パケットに対してセション単位で一意となるセション識別子を割り振り、前記受信パケットとセション識別子を対応付けて管理するセション識別処理手段と、
前記受信パケットのパケット種別を識別するパケット種別識別処理手段と、
前記パケット種別識別処理手段により前記受信パケットが受信装置から送信装置へ送信された受信状況メッセージであると判定された場合は、前記受信パケットから受信パケット中に含まれる送信装置と受信装置とを接続する通信経路におけるストリームの品質値を生成する第一の品質値生成処理手段と、
前記受信パケット種別識別処理手段により前記受信パケットが送信装置から受信装置へ送信されたストリームデータであると判定された場合は、前記受信パケットから得られる情報をもとに送信装置と観測装置とを接続する通信経路におけるストリーム通信の品質値を生成する第二の品質値生成処理手段と、
同一のセション識別子で対応付けされた前記第一及び第二の品質値生成処理手段を用いて生成した品質値から、観測装置と受信装置とを接続する通信経路におけるストリーム通信の品質値を生成する第三の品質値生成処理手段と、
を備えることを特徴とするストリーム品質観測装置。
【0055】
(付記2)送信装置と観測装置間及び観測装置と受信装置間におけるストリーム通信の品質値と、品質の判断基準とする目的であらかじめ設定された規定値と、を比較することによりストリーム通信の品質の正常性を判定する品質判定処理手段と、
を備えることを特徴とする付記1に記載のストリーム品質観測装置。
【0056】
(付記3)前記品質判定処理手段により判定された送信装置と観測装置間及び受信装置と観測装置間におけるストリーム通信の品質の結果をセション単位に表示する表示処理手段と、
を備えることを特徴とする付記2に記載のストリーム品質観測装置。
【0057】
(付記4)複数の異なるネットワークセグメントで構成されたネットワーク網を介して接続された送信装置と受信装置を含むストリーム通信システムにおいて、送信装置と受信装置とを接続する通信経路を構成するネットワークセグメントの間に接続され、送信装置と受信装置とを接続する通信経路におけるストリーム通信のネットワーク品質を観測する装置としてコンピュータを機能させるプログラムであって、
送信装置と受信装置とを接続する通信経路におけるストリーム通信のストリームデータを構成するパケットを受信する処理と、
前記受信処理で受信した受信パケットに対してセション単位で一意となるセション識別子を割り振り、前記受信パケットとセション識別子を対応付けて管理する処理と、
前記受信パケットのパケット種別を識別する処理と、
前記パケット種別識別処理により前記受信パケットが受信装置から送信装置へ送信された受信状況メッセージであると判定された場合は、前記受信パケットから得られる情報をもとに送信装置と受信装置とを接続する通信経路におけるストリーム通信の品質値を生成する第一の品質値生成処理と、
前記受信パケット種別識別処理により前記受信パケットが送信装置から受信装置へ送信されたストリームデータであると判定された場合は、前記受信パケットから得られる情報をもとに送信装置と観測装置とを接続する通信経路におけるストリーム通信の品質値を生成する第二の品質値生成処理と、
同一のセション識別子で対応付けされた前記第一及び第二の品質値生成処理で生成した品質値から、観測装置と受信装置とを接続する通信経路におけるストリーム通信の品質値を生成する第三の品質値生成処理と、
をコンピュータに行わせることを特徴とするプログラム。
【0058】
(付記5)送信装置と観測装置間及び観測装置と受信装置間におけるストリーム通信の品質値と、品質の判断基準とする目的であらかじめ設定された規定値と、を比較することによりストリーム通信の品質の正常性を判定する品質判定処理、
をコンピュータに行わせることを特徴とする付記4に記載のプログラム。
【0059】
(付記6) 前記品質判定処理により判定された送信装置と観測装置間及び観測装置と受信装置間におけるストリーム通信の品質の結果をセション単位に表示する処理、
をコンピュータに行わせることを特徴とする付記5に記載のプログラム。
【0060】
(付記7)複数の異なるネットワークセグメントで構成されたネットワーク網を介して接続された送信装置と受信装置を含むストリーム通信システムにおいて、送信装置と受信装置とを接続する通信経路を構成するネットワークセグメントの間に接続され、送信装置と受信装置とを接続する通信経路におけるストリーム通信のネットワーク品質を観測する装置としてコンピュータを機能させるプログラムを記録したコンピュータ可読の記録媒体であって、
送信装置と受信装置とを接続する通信経路におけるストリーム通信のストリームデータを構成するパケットを受信する処理と
前記受信処理で受信した受信パケットに対してセション単位で一意となるセション識別子を割り振り、前記受信パケットとセション識別子を対応付けて管理する処理と、
前記受信パケットのパケット種別を識別する処理と、
前記パケット種別識別処理により前記受信パケットが受信装置から送信装置へ送信された受信状況メッセージであると判定された場合は、前記受信パケットから受信パケット中に含まれる送信装置と受信装置とを接続する通信経路におけるストリーム通信の品質値を生成する第一の品質値生成処理と、
前記受信パケット種別識別処理により前記受信パケットが送信装置から受信装置へ送信されたストリームデータであると判定された場合は、前記受信パケットから得られる情報をもとに送信装置と観測装置とを接続する通信経路におけるストリーム通信の品質値を生成する第二の品質値生成処理と、
同一のセション識別子で対応付けされた前記第一及び第二の品質値生成処理で生成した品質値から、観測装置と受信装置とを接続する通信経路におけるストリーム通信の品質値を生成する第三の品質値生成処理と、
をコンピュータに行わせることを特徴とするプログラムを記録したコンピュータ可読の記録媒体。
【0061】
(付記8)送信装置と観測装置間及び観測装置と受信装置間におけるストリーム通信の品質値と、品質の判断基準とする目的であらかじめ設定された規定値と、を比較することによりストリーム通信の品質の正常性を判定する品質判定処理、
をコンピュータに行わせることを特徴とする付記7に記載のプログラムを記録したコンピュータ可読の記録媒体。
【0062】
(付記9) 前記品質判定処理により判定された送信装置と観測装置間及び観測装置と受信装置間におけるストリーム通信の品質の結果をセション単位に表示する処理、
をコンピュータに行わせることを特徴とする付記8に記載のプログラムを記録したコンピュータ可読の記録媒体。
【図面の簡単な説明】
【図1】観測装置の構成を示す図
【図2】実施例1のシステム構成を示す図
【図3】実施例2のシステム構成を示す図
【図4】パケット受信時の処理の内容を示すフローチャート図
【図5】実施例1のセション管理データベースの内容を示す図
【図6】受信パケットリストの内容を示す図
【図7】品質データの内容を示す図
【図8】規定値データ(受信側)の内容を示す図
【図9】規定値データ(送信側)の内容を示す図
【図10】表示データの内容を示す図
【図11】実施例2のセション管理データベースの内容を示す図
【図12】RTPのデータ形式(ストリームデータ)を示す図

Claims (4)

  1. 複数の異なるネットワークセグメントで構成されたネットワーク網を介して接続された送信装置と受信装置を含むストリーム通信システムにおいて、送信装置と受信装置とを接続する通信経路を構成するネットワークセグメントの間に接続され、送信装置と受信装置とを接続する通信経路におけるストリーム通信のネットワーク品質を観測する装置であって、
    送信端末と受信端末間における通信設定を通知する接続要求を取得し、前記接続要求に対してセション単位で一意となるセション識別子を割り振り、当該識別子に対応して前記通信設定を保持する接続要求取得処理手段と、
    前記通信設定に基づいて確立されている送信装置と受信装置とを接続する通信経路におけるストリーム通信のストリームデータを構成するパケットを受信するストリームデータ受信処理手段と、
    前記接続要求取得処理手段で保持された通信設定に基づいて、前記ストリームデータ受信処理手段を用いて受信した受信パケットに対して前記セション識別子を割り振り、前記受信パケットとセション識別子を対応付けて管理するセション識別処理手段と、
    前記受信パケットのパケット種別を識別するパケット種別識別処理手段と、
    前記パケット種別識別処理手段により前記受信パケットが受信装置から送信装置へ送信された受信状況メッセージであると判定された場合は、前記受信パケットから受信パケット中に含まれる送信装置と受信装置とを接続する通信経路におけるストリームの品質値を生成する第一の品質値生成処理手段と、
    前記受信パケット種別識別処理手段により前記受信パケットが送信装置から受信装置へ送信されたストリームデータであると判定された場合は、前記受信パケットから得られる情報をもとに送信装置と観測装置とを接続する通信経路におけるストリーム通信の品質値を生成する第二の品質値生成処理手段と、
    同一のセション識別子で対応付けされた前記第一及び第二の品質値生成処理手段を用いて生成した品質値から、観測装置と受信装置とを接続する通信経路におけるストリーム通信の品質値を生成する第三の品質値生成処理手段と、
    を備えることを特徴とするストリーム品質観測装置。
  2. 前記請求項1に記載のストリーム品質観測装置であって、
    前記品質判定処理手段により判定された送信装置と観測装置間及び受信装置と観測装置間におけるストリーム通信の品質の結果をセション単位に表示する表示処理手段と、
    を備えることを特徴とするストリーム品質観測装置。
  3. 複数の異なるネットワークセグメントで構成されたネットワーク網を介して接続された送信装置と受信装置を含むストリーム通信システムにおいて、送信装置と受信装置とを接続する通信経路を構成するネットワークセグメントの間に接続され、送信装置と受信装置とを接続する通信経路におけるストリーム通信のネットワーク品質を観測する装置としてコンピュータを機能させるプログラムであって、
    送信端末と受信端末間における通信設定を通知する接続要求を取得し、前記接続要求に対してセション単位で一意となるセション識別子を割り振り、当該識別子に対応して前記通信設定を保持する接続要求取得処理と、
    前記通信設定に基づいて確立されている送信装置と受信装置とを接続する通信経路におけるストリーム通信のストリームデータを構成するパケットを受信する処理と、
    前記接続要求取得処理手段で保持された通信設定に基づいて、前記ストリームデータの受信処理で受信した受信パケットに対してセション単位で一意となるセション識別子を割り振り、前記受信パケットとセション識別子を対応付けて管理する処理と、
    前記受信パケットのパケット種別を識別する処理と、
    前記パケット種別識別処理により前記受信パケットが受信装置から送信装置へ送信された受信状況メッセージであると判定された場合は、前記受信パケットから得られる情報をもとに送信装置と受信装置とを接続する通信経路におけるストリーム通信の品質値を生成する第一の品質値生成処理と、
    前記受信パケット種別識別処理により前記受信パケットが送信装置から受信装置へ送信されたストリームデータであると判定された場合は、前記受信パケットから得られる情報をもとに送信装置と観測装置とを接続する通信経路におけるストリーム通信の品質値を生成する第二の品質値生成処理と、
    同一のセション識別子で対応付けされた前記第一及び第二の品質値生成処理で生成した品質値から、観測装置と受信装置とを接続する通信経路におけるストリーム通信の品質値を生成する第三の品質値生成処理と、
    をコンピュータに行わせることを特徴とするプログラム。
  4. 複数の異なるネットワークセグメントで構成されたネットワーク網を介して接続された送信装置と受信装置を含むストリーム通信システムにおいて、送信装置と受信装置とを接続する通信経路を構成するネットワークセグメントの間に接続され、送信装置と受信装置とを接続する通信経路におけるストリーム通信のネットワーク品質を観測する装置としてコンピュータを機能させるプログラムを記録したコンピュータ可読の記録媒体であって、
    送信端末と受信端末間における通信設定を通知する接続要求を取得し、前記接続要求に対してセション単位で一意となるセション識別子を割り振り、当該識別子に対応して前記通信設定を保持する接続要求取得処理と、
    前記通信設定に基づいて確立されている送信装置と受信装置とを接続する通信経路におけるストリーム通信のストリームデータを構成するパケットを受信する処理と
    前記接続要求取得処理手段で保持された通信設定に基づいて、前記ストリームデータの受信処理で受信した受信パケットに対してセション単位で一意となるセション識別子を割り振り、前記受信パケットとセション識別子を対応付けて管理する処理と、
    前記受信パケットのパケット種別を識別する処理と、
    前記パケット種別識別処理により前記受信パケットが受信装置から送信装置へ送信された受信状況メッセージであると判定された場合は、前記受信パケットから受信パケット中に含まれる送信装置と受信装置とを接続する通信経路におけるストリーム通信の品質値を生成する第一の品質値生成処理と、
    前記受信パケット種別識別処理により前記受信パケットが送信装置から受信装置へ送信されたストリームデータであると判定された場合は、前記受信パケットから得られる情報をもとに送信装置と観測装置とを接続する通信経路におけるストリーム通信の品質値を生成する第二の品質値生成処理と、
    同一のセション識別子で対応付けされた前記第一及び第二の品質値生成処理で生成した品質値から、観測装置と受信装置とを接続する通信経路におけるストリーム通信の品質値を生成する第三の品質値生成処理と、
    をコンピュータに行わせることを特徴とするプログラムを記録したコンピュータ可読の記録媒体。
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