JP3697347B2 - シールド形コイルユニットおよびmri用能動遮蔽形傾斜磁場コイルユニット - Google Patents

シールド形コイルユニットおよびmri用能動遮蔽形傾斜磁場コイルユニット Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、所望の空間分布の磁場を発生させるメインコイルと、その磁場が外部に漏れるのを抑制するシールド用磁場を発生するシールドコイルとを備えたシールド形コイルユニットおよび磁気共鳴イメージング(MRI)用能動遮蔽形傾斜磁場コイルユニットに関する。
【0002】
【従来の技術】
医用のMRI装置には通常、静磁場を発生する静磁場コイル、静磁場の均一度を補正するシムコイル、静磁場に重畳する傾斜磁場を発生する傾斜磁場コイル、高周波信号の送受用のRFコイルなどの各種の磁場発生用コイルが使用されている。
【0003】
この内、傾斜磁場コイルとしては近年では、傾斜磁場の外部への漏れをシールドするシールド型コイルが好んで採用されている。このシールド型コイルには、能動遮蔽型傾斜磁場コイル(ASGC:Actively Shielded Gradient Coil )と呼ばれるタイプのものがある。このASGCは一般に、所望の空間分布のパルス状傾斜磁場を発生するメインコイルと、このメインコイルの周囲に配置されるシールドコイルとを備えている。メインコイルが発生する傾斜磁場の外部への漏れは、シールドコイルが発生するシールド用磁場によって押さえられる。このため、コイルユニットの外部に漏れる傾斜磁場が減少し、漏れ磁場による渦電流のイメージングへの影響などが押さえられる。
【0004】
このASGCのシールド効率は、そのシールドコイルのターン数(巻数)によって決まる。電源回路の構成面の要請などを考慮すると、メインコイルとシールドコイルを直列に接続して単一電源で両コイルに同時に電流を供給するコイル接続法が主流になっている。このように直列接続するように設計した場合、シールドコイルのターン数はメインコイルとの関係から一義的に決まってしまい、そのターン数に依ってシールド効率も決まってしまい、シールド効率をそれ以上、上げることはできない。
【0005】
そこで、シールドコイルのターン数を任意に変えてシールド効率を上げるという構成が、論文「“PRACTICAL ASPECTS OF SHIELDED GRADIENT DESIGN ”,Barry L.W.Chapman ,SMRM,943,1995」によって提案されている。これらのコイルには、通常の電気回路に用いるインダクタンス素子とは異なる特殊な条件が課されている。この従来例記載のシールドコイルの構成によれば、そのターン数を変えるので、シールドコイルに流れる電流値をコントロールする必要がある。具体的には、ダミー抵抗やシャント電源をシールドコイルに並列に付加してシールドコイルの流れる電流値をコントロールするようになっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のように電流コントロールのためにダミー抵抗を付加する構成の場合、抵抗の温度が上昇すると抵抗値が変わるから、ASGCの磁場特性が変化し、また、当然にシールド効率も低下する。
【0007】
とくに、流れる電流値がそのように時間的に変化すると、シールドコイルが入っている分岐側と入っていない分岐側とでインピーダンスが変わってくるため、シールドコイルが入っている分岐側の電流は流れ難くなる。このため、電流が時間的に速く変化するシーケンスの場合(例えば、EPI法などの超高速イメージングのシーケンスを実行させる場合)、その電流変化にコイルの発生磁場が追従できず、発生磁場の波形は鈍ってしまう。つまり、抵抗を付加する構造は現在、ますます高速化の様相を呈しているイメージングには不向きである。
【0008】
一方、前述したようにシールドコイルに並列にシャント電源を付加する場合、シャント電源に流す電流値が大きくなるほど電源も大形化し、製造コストも上昇する。また、このシャント電源を用いる場合、電源の応答時間が比較的大きいため、やはり超高速シーケンスの実行には適していない。
【0009】
本発明は上述した従来技術に伴う様々な困難を打破すべくなされたもので、その主目的は、シールドコイルにダミー抵抗やシャント電源などの電流コントロール要素を別途付加するという従来の構成を採用することなく、また無用な電磁誘導による影響を受けることなく、シールドコイルのシールド効率(シールド性能)を向上させる、ことである。
【0010】
とくに、MRI装置のASGCのシールドコイルにダミー抵抗やシャント電源などの電流コントロール要素を別途付加するという従来の構成を採用することなく、また無用な電磁誘導による影響を受けることなく、ユニット全体の大形化を回避し、シールドコイルのシールド効率およびシールド性能を向上させ、かつEPI法などの超高速イメージング法に好適なコイルユニットを提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上述した種々の目的を達成するため、本願の第1の発明は、導体を所定巻きパターンに沿って巻き回して形成された巻線部を有するメインコイルと、別の導体を所定巻きパターンに沿って巻き回して形成された巻線部を有するシールドコイルとを備え、このシールドコイルが発生したシールド用磁場によって前記メインコイルが発生した磁場を外界に対してシールドするようにしたシールド形コイルユニットにおいて、前記シールドコイルの巻線部および前記メインコイルの巻線部の少なくとも一方を成す導体を複数本に分割し、この複数本の分割導体を前記巻きパターンに沿って並列に巻装するとともに、この複数本の分割導体を、当該分割導体によって形成される閉路を貫く磁束に対して無誘導巻きの構造に巻装したことを特徴とする。
【0012】
これにより、巻線部の導体を分割して複数本の分割導体で構成することで、所望の電流分布を実現するために解析的に求めた理想流線関数を巻線で離散化する際、巻線密度が高くなっている分、巻線によってつくられる実際の流線関数がより滑らかになって、その理想流線関数をより忠実に再現できるものとなるから、より高精度な磁場分布を得ることができるとともに、ボビンに巻装するときの空間的な密度が高くなるから、巻線間の隙間が少なくなり、漏れ磁場も減少する。さらに、複数本の分割導体が作る閉ループが無誘導巻になっているから、自己チャンネルまたは他チャンネルからの発生磁場による閉ループに流れる誘導電流を排除または抑制できる。このように、分割導体がつくる閉ループに外来磁場に因る起電力が生じることは無くまたは殆ど無く、振動磁場を良好に抑制できる。このため、ダミー抵抗やシャント電源といった電流制御要素を用いる必要がなく、シールド効率やシールド性能を向上させることができ、EPI法などの超高速イメージングにも好適に適用できる。また、MRI画像のアーチファクトなどを低減できる。
【0013】
例えば、前記分割導体および無誘導巻の構造は、前記シールドコイルに適用した構成である。この場合、好適には、前記メインコイルおよび前記シールドコイルの組を複数チャンネルのチャンネルそれぞれについて備え、その複数チャンネルのシールドコイルのそれぞれは自己チャンネルの前記メインコイルが発生する磁場に対して前記無誘導巻きに巻装した構造である。また好適には、前記メインコイルおよび前記シールドコイルの組を複数チャンネルのチャンネルそれぞれについて備え、その複数チャンネルのシールドコイルのそれぞれは他チャンネルの前記メインコイルが発生する磁場に対して前記無誘導巻きに巻装した構造としてもよい。さらに好適には、前記メインコイルおよび前記シールドコイルの組を複数チャンネルのチャンネルそれぞれについて備え、その複数チャンネルのシールドコイルのそれぞれは自己チャンネルおよび他チャンネルの前記メインコイルが発生する磁場に対して前記無誘導巻きに巻装した構造であってもよい。
【0014】
また、本願の第2の発明は、導体を所定巻きパターンに沿って巻き回して形成された巻線部を有するメインコイルと別の導体を所定巻きパターンに沿って巻き回して形成された巻線部を有するシールドコイルとにより構成されるコイル対をXチャンネル、Yチャンネル、およびZチャンネルのそれぞれについて備え、前記シールドコイルが発生したシールド用磁場によって前記メインコイルが発生した傾斜磁場を外界に対してチャンネル毎にシールドするようにしたMRI用能動遮蔽形傾斜磁場コイル(ASGC)ユニットにおいて、前記各チャンネルの前記メインコイルおよびシールドコイルの少なくとも一方の巻線部を成す導体部分を複数本に分割し、この複数本の分割導体を前記巻きパターンに沿って並列に巻装するとともに、この複数本の分割導体を、当該分割導体によって形成される閉路を貫く磁束に対して無誘導巻きに巻装したことを特徴とする。
【0015】
例えば、前記分割導体および無誘導巻の構造は前記シールドコイルに適用した構成であり、かつ、前記分割導体の数は2である。
【0016】
この場合の好適は一例は、前記XチャンネルおよびYチャンネルそれぞれの前記シールドコイルは、渦状巻きパターンに沿って互いに逆向きに巻き回したサドル状巻線部をボビンの軸方向に沿って並置した巻線部対を前記ボビンの中心軸に関して対向して2対配置し、前記サドル状巻線部の各分割導体の渦状巻きパターンにおける巻線位置を前記巻線部対を形成する巻線部毎に入れ替えて配置した配線構造である。前記2対の巻線部を成す4個の巻線部それぞれの一方の分割導体を電気的直列に接続し、かつ、もう一方の分割導体を電気的直列に接続するとともに、この電気的直列回路同士を電気的並列に接続してもよい。
【0017】
さらに好適には、前記シールドコイルの各巻線部と前記メインコイルの各巻線部とを直列に接続して共通の電源に接続することである。
【0018】
さらにまた、前記Zチャンネルの前記シールドコイルは、ソレノイド状巻きパターンに沿って互いに逆向きに巻き回した巻線部をボビンの軸方向に沿って並置した巻線部対を配置し、前記巻線部それぞれの分割導体を電気的直列に接続し、かつ前記巻線部それぞれの前記分割導体の位置を巻線部間で前記ボビンの軸方向に関して入れ替えて配置してもよい。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態に係るシールド形コイルユニットを図面を参照して説明する。
【0020】
第1の実施形態
第1の実施形態を図1〜図10に基づき説明する。
【0021】
この実施形態では、このシールド形コイルユニットとして、MRI装置の能動(自己)遮蔽形傾斜磁場コイル(ASGC:Actively Shielded Gradient Coil )のX,Y,およびZチャンネルのコイルアセンブリの各シールドコイルを例示する。
【0022】
図1にMRI装置のガントリ1の概略断面を示す。このガントリ1はその全体が円筒状に形成されており、中心部のボアが診断用空間として機能し、診断時にはそのボア内に被検体Pが挿入可能になっている。
【0023】
ガントリ1は、略円筒状の静磁場コイルユニット11、このコイルユニット11のボア内に配置された略円筒状の傾斜磁場コイルユニット12、このユニット12の例えば外周面に取り付けられたシムコイルユニット13、および傾斜磁場コイルユニット12のボア内に配置されたRFコイル14を備える。被検体Pは図示しない寝台天板に載せられて、RFコイル14が形成するボア(診断用空間)内に遊挿される。
【0024】
静磁場コイルユニット12は超伝導磁石で形成されている。つまり、外側の真空容器の中に、複数個の熱輻射シールド容器および単独の液体ヘリウム容器が収められ、液体ヘリウム容器の内部に超伝導コイルが巻装・設置されている。
【0025】
傾斜磁場コイルユニット12は、ここでは能動遮蔽(アクティブシールド)形に形成されている。このコイルユニット12はX軸方向、Y軸方向、Z軸方向毎にパルス状の傾斜磁場を発生させるため、X,Y,Zチャンネル別々にコイルアセンブリを有し、しかも、そのコイルアセンブリは各チャンネル毎に傾斜磁場を外界に殆ど洩らさないシールド構造になっている。
【0026】
具体的には、能動遮蔽形傾斜磁場コイル(ASGC)ユニット12は図2に示すように、X,Y,ZチャンネルのXコイルアセンブリ12X,Yコイルアセンブリ12Y,Zコイルアセンブリ12Zがコイル層毎に絶縁されながら積層され、全体として略円筒状を成している。Xコイルアセンブリ12X,Yコイルアセンブリ12YおよびZコイルアセンブリ12Zの各々は、各軸方向の傾斜磁場を発生する複数の巻線部を有するメインコイルと、このメインコイルの巻線部が発生する傾斜磁場パルスを磁気的に外界に殆ど洩らさないようにシールドする複数の巻線部を有するシールドコイルとを備える。
【0027】
この内、Yコイルアセンブリ12Yは、図3に示すように、平板状の導体から成るメインコイル12Ymおよびシールドコイル12Ysを備える。メインコイル12Ymは、小径のボビンB1に巻装された4個のサドル状渦巻き形の巻線部CR1,CR2,CR3,およびCR4を備える。巻線部CR1およびCR2がZ軸方向に並置され且つ電気的に直列接続される。この巻線部の対を、Z軸に関して180度回転させた位置に、巻線部CR3およびCR4から成る巻線部の対が対向して配置される。各巻線部に流すパルス電流の向きは、Y軸方向傾斜磁場の大きさが線形に変わるように、対向する巻線部同士および並置される巻線部同士で図中の矢印のように設定されている。なお、図3では、後述するターン分割の構造の図示は省略している。
【0028】
シールドコイル12Ysは、ボビンB1よりも大径のボビンB2に巻装された4個のサドル型巻線部CR5,CR6,CR7,およびCR8を備える。巻線部CR5およびCR6がZ軸方向に並置され且つ電気的に直列接続される。この巻線部の対を、Z軸に関して180度回転させた位置に、巻線部CR6およびCR7から成る巻線部の対が対向して配置される。シールドコイル12Ysの各巻線部に流すパルス電流の向きは、メインコイル12Ymの各相当位置の巻線部とはY軸方向からみて反対向きで、かつY軸方向傾斜磁場の大きさが線形に変わるように、対向する巻線部同士および並置される巻線部同士で図中の矢印のように設定されている。
【0029】
なお、図3はサドル状渦巻き形の巻線パターンを1つのターン(巻線)について模式的に簡素化して示すもので、実際の各巻線部は複数ターンのサドル状渦巻形のコイルからなる。また、ボビンB1,B2は他チャンネルの巻線層の上に絶縁層を巻装して形成されている。
【0030】
Xコイルアセンブリ12Xも、Yコイルアセンブリ12YをZ軸に関して90度回転させた状態で同様に配置される。
【0031】
上述したXコイルアセンブリ12XおよびYコイルアセンブリ12Yは、それぞれ、本発明に独自の巻線構造および接続方法を採用している(図6照)。これについては後述する。
【0032】
さらに、ZチャンネルのZコイルアセンブリ12Zは図4にその概略を示すように、平板状の導体を複数ターンに巻装して成るメインコイル12Zmおよびシールドコイル12Zsを備える。メインコイル12Zmは円筒状のボビンB3にソレノイド状のコイルパターンに沿って巻装されている。シールドコイル12Zsは、ボビンB3よりも大径の円筒状ボビンB4にソレノイド状のコイルパターンに沿って巻装されている。メインコイル12Zmおよびシールドコイル12Zsのそれぞれは、Z軸方向の中心位置Z=0に関して巻線方向が反対方向になっている。なお、図4では、後述するターン分割の構造の図示は省略している。
【0033】
上述したXコイルアセンブリ12X、Yコイルアセンブリ12Y、およびZコイルアセンブリ12Zは、それぞれ、本発明に係る特徴的な巻線構造を採用している。
【0034】
まず、この巻線構造に係る巻線原理の一部を図5に示す。本発明に巻線構造は、コイルアセンブリの少なくとも一部の巻線部を形成する導体を、複数の導体に分割して巻装・形成する、いわゆる「ターン分割」構造にするとともに、その分割導体同士を、いわゆる「無誘導巻」となるように接続したものである。ここでは、各チャンネルのシールドコイルに「ターン分割」構造および「無誘導巻」構造を採用した例を示す。
【0035】
ターン分割構造はコイルの空間分布密度を上げて、例えばシールドコイルからの磁束の漏れをより確実に防止するものである。ただし、1つの導体を複数本 (例えば2本)に分割し、この複数本の分割導体を単純に所定の巻線パターンに沿って互いに平行のまま巻装した場合、分割導体同士が巻線部間に閉ループを形成してしまう。この閉ループに自己チャンネルおよび/または他チャンネルから生じた磁束が鎖交すると、誘導起電力に依りその閉ループに誘導電流が流れてしまう。この誘導電流は、本来のコイル電流に悪影響を与えるもので、例えばシールドコイルのシールド性能の劣化(すなわちASGCの性能劣化)や画像アーチファクトの原因となる。
【0036】
そこで、本発明では図5に模式的に示す巻線接続方法を採用する。なお、同図はXコイルアセンブリとZコイルアセンブリとの間の誘導を回避するための巻線接続方法を模式的に示すが、この接続関係はYコイルアセンブリおよびZコイルアセンブリ間においても同じである。同図における横軸方向はZ軸方向の位置を、縦軸はガントリの縦軸方向の位置を示す。
【0037】
模式的には、図5に示す如く、Z軸を中心にしてその上下部分にそれぞれ、Z軸に近い半径方向の位置から順にXチャンネルのメインコイル12Xm、Zチャンネルのメインコイル12Zm、Zチャンネルのシールドコイル12Zs、およびXチャンネルのシールドコイル12Xsを位置させることができる。このため、各巻線部に流れる電流の向きを代表ターン1〜4(シールドコイル)および代表ターン5、6(メインコイル)について図示の向きにそれぞれ設定できる。ターン1、2がZ軸の一方の側(Z>0)の位置において各チャンネルのシールドコイルを2分割した分割ターンを示し、一方、ターン3、4がZ軸の他方の側(Z<0)の位置において各チャンネルのシールドコイルを2分割した分割ターンを示す。図中、点線直線矢印はXチャンネルのメインコイル12Xmがつくる磁場の向きを、実線直線矢印はZチャンネルのメインコイル12Zmがつくる磁場の向きを模式的に示す。
【0038】
(1)まず、図5中のZ軸よりも上側部分を用いて自己チャンネルからの誘導に対する無誘導巻を達成する巻線部間の接続関係を説明する。
【0039】
(1−1)例えばXチャンネルの場合、そのメインコイル12Xmがつくる磁場はシールドコイル12Xsの分割ターンによる閉ループを貫く。このため、シールドコイル12Xsの分割ターン1、2および3、4による閉ループには、電流向き記号a,bおよびc,dで示す向きの誘導電流が流れようとする。そこで、+Z軸方向の分割ターン1を−Z軸方向の分割ターン3に電気的に接続し、かつ+Z軸方向の分割ターン2を−Z軸方向の分割ターン4に電気的に接続する。Z軸+側で分割ターン1を流れる紙面裏面から表面に抜ける電流aは、Z軸−側で分割ターン3を流れる紙面表面から裏面に抜ける電流cが巻線上では互いに逆方向になる。分割ターン2、4についても同等のことが言える。このため、シールドコイル12Xsの分割ターンがZ軸+側、−側両サイドで作る閉ループに流れようとする誘導が互いに相殺され、誘導電流は流れないことから、この誘導電流の影響は殆ど完全に解消される。
【0040】
(1−2)このことは、Yチャンネルについても全く同様に当てはまる。
【0041】
(1−3)Zチャンネルの場合、そのメインコイル12Zmがつくる磁場はシールド12Zsの分割ターンによる閉ループを貫く。このため、シールドコイル12Zsの分割ターン1、2および3、4による閉ループには、電流向き記号a′,b′およびc′,d′で示す向きの誘導電流が流れようとする。そこで、+Z軸方向の分割ターン1を−Z軸方向の分割ターン3に電気的に接続し、かつ+Z軸方向の分割ターン2を−Z軸方向の分割ターン4に電気的に接続する。Zチャンネルの場合、Z軸+側で分割ターン1を流れる紙面裏面から表面に抜ける電流a′は、Z軸−側で分割ターン3を同一向きに抜ける電流c′が巻線上では互いに逆方向になる。分割ターン2、4についても同等のことが言える。このため、シールドコイル12Zsの分割ターンがZ軸+側、−側両サイドで作る閉ループに誘導電流を流そうとする誘導起電力が互いに打ち消し合い、誘導電流は流れない。したがって、この誘導現象による干渉は殆ど完全に排除される。
【0042】
(2)図5中のZ軸よりも下側部分を用いて他チャンネルからの誘導に対する無誘導巻を達成する巻線部間の接続関係を説明する。
【0043】
(2−1)Zチャンネルのシールドコイル12Zsの分割ターンが呈する閉ループには、自己チャンネルのメインコイル12Zmの発生磁束のほか、他チャンネルであるXチャンネルおよびYチャンネルの発生磁場も鎖交する。例えばXチャンネルの発生磁場に依ってZチャンネルのシールドコイル12Zsのターン1、2、3、4に流れようとする誘導電流は、その発生磁場がかかる閉ループに入る位置と出る位置との2か所で発生しようする。すなわち、シールドコイル12ZsのZ軸+側の分割ターン1、2については、一方の角度位置で電流向き記号e,fの向きに、180度離れた他方の位置で電流向き記号e′,f′の向きに誘導電流が発生しようとする。これをみると、同一分割ターン1、2それぞれについて、180度角度が異なる位置での電流向きは互いに相殺される向きとなる。
【0044】
同様のことが、シールドコイル12ZsのZ軸−側の分割ターン3、4にも当てはまる。つまり、分割ターン3、4については、一方の角度位置で電流向き記号g,hの向きに、180度離れた他方の位置で電流向き記号g′,h′の向きに誘導電流が発生しようとするので、同一分割ターン3、4それぞれについて、180度角度が異なる位置での電流向きは互いに相殺される向きとなる。
【0045】
このため、Zチャンネルのシールドコイル12Zsが形成する分割ターンによる閉ループには、他チャンネルX,Yの発生磁束に依る誘導電流は自ら干渉し合うので、流れないこととなる。
【0046】
(2−2)なお、XチャンネルおよびYチャンネルのZチャンネルから発生する磁束に対する無誘導巻の構造は、後述するように、対向配置された2対の巻線部対CR1,CR2とCR3,CR4との間の結線方法によって達成されるようになっている。
【0047】
本実施形態では上述した巻線部の接続原理を踏まえた接続法を採っている。すなわち、XチャンネルおよびYチャンネルは図6の展開図のように接続し、Zチャンネルは図7の模式図に示すように接続している。
【0048】
この内、Yチャンネルの場合(Xチャンネルについても同様)、メインコイル12Ymの巻線部CR1〜CR4およびシールドコイル12Ysの巻線部CR5〜CR8をそれぞれ電気的に直列に接続し、共通のパルス電源PSに接続している。このパルス電源PSは図示しないパルスシーケンスにしたがってオン、オフ駆動させる。この結果、例えば実線矢印の向きに傾斜磁場発生用およびシールド磁場発生用の電流が流れる。各巻線部CR1〜CR8の内、シールドコイルのそれCR5〜CR8は同図に模式的に示すように、1本の平板状の導体の例えば横幅方向の長さを1/2にした2本の平板状の分割導体を使って渦巻サドル状に巻回した、いわゆるターン分割のコイル素子構造を成している。このため、シールド磁場発生用の電流(例えば100A)は2分割ターンの部分で2分岐して流れる(例えば50Aずつ)ので、シールドコイルの巻線に拠る空間電流密度が上がる。
【0049】
同時に、一方の巻線部対CR5,CR6について、一方の巻線部CR5で内周側に配置された分割ターン1がもう一方の巻線部CR6で分割ターン3に繋がりかつ外周側に配置されている。また、一方の巻線部CR5で外周側に配置された分割ターン2がもう一方の巻線部CR6で分割ターン4に繋がりかつ内周側に配置されている。つまり、各ターン1〜4間の繋ぎ方は前述した(1−1),(1−2)項に合致するので、自己チャンネルのメインコイル12Ym(12Xm)が発生した磁束に対して、その誘導起電力は図中の1点鎖線a〜dで示す如く同一値でかつ反対向きの誘導電流に対応するものとなるから、巻線部間で誘導電流は流れない。もう一方の巻線部対CR7,CR8についても全く同様の状況にあり、図示しないが、メインコイル12Ym(12Xm)が発生した磁束による誘導電流は流れない。
【0050】
さらに、XチャンネルおよびYチャンネルに対するZチャンネルからの影響を考えると、単独の巻線部対だけでは無誘導巻を形成していない。しかし、図6の接続構造の場合、一方の巻線部対の巻線部CR6の外周側に位置したターン3が、やはり他方の巻線部対の巻線部CR8の外周側に位置したターン3に繋がっている。Zチャンネルが発生した磁束に対して、その誘導起電力の向きは図中の点線鎖線i〜pで示す誘導電流の向きに対応する。しかしながら、それらの誘導電流の向きは巻先部対同士では点線矢印q〜tで表され、巻線部対間で同一値かつ互いに反対向きになる。したがって、一方の巻線部CR5,CR6の誘導起電力ともう一方の巻線部CR7,CR8が互いに殆ど打ち消し合い、結局、シールドコイル12Ys(12Xs)に誘導電流は流れない。
【0051】
さらに、Zチャンネルの場合、図7に示す如く、メインコイル12Zmの巻線部CR9、CR10(図7には図示せず)およびシールドコイル12Zsの巻線部CR11、CR12をそれぞれ電気的に直列に接続し、共通のパルス電源(図示せず)に接続している。このパルス電源は図示しないパルスシーケンスにしたがってオン、オフ駆動させる。この結果、例えば実線矢印の向きにシールド磁場発生用の電流が流れる。各巻線部CR9〜CR12の内、シールドコイルのそれCR11〜CR12は同図に模式的に示すように、1本の平板状の導体の例えば横幅方向の長さを1/2にした2本の平板状の分割導体を使ってソレノイド状に巻回した、いわゆるターン分割のコイル素子構造を成している。このため、Zチャンネルの場合も、シールド磁場発生用の電流は2分割ターンの部分で2分岐して流れるので、シールドコイルの巻線に拠る空間電流密度が上がる。
【0052】
同時に、シールドコイルでは、Z軸+側の巻線部CR11で外側に配置された分割ターン1がZ軸−側の巻線部CR12で分割ターン3に繋がりかつ外側に配置されている。また、Z軸+側の巻線部CR11で中心側に配置された分割ターン2がZ軸−側の巻線部CR12で分割ターン4に繋がりかつ中心側に配置されている。つまり、各ターン1〜4間の繋ぎ方は前述した(1−3)項に合致するので、自己チャンネルのメインコイル12Zmが発生した磁束に対して、その誘導起電力の向きは図中の点線矢印a′〜d′で示す如く巻線部間で反対向きの誘導電流に対応するものとなるから、巻線部間で誘導電流は流れない。すなわち無誘導巻構造を呈する。
【0053】
さらに、このZチャンネルは、XチャンネルおよびYチャンネルからの発生磁束に対しても上述した(2−1)項で示すように、誘導電流が流れない無誘導巻の構造になっている。Xチャンネル及びYチャンネル相互間の誘導電流(磁気的カップリング)は、XチャンネルとYチャンネルは互いに90°回転し、且つ同様なパターンとなっているので、発生しない。
【0054】
図8には、上述した分割ターンおよび無誘導巻きのシールドコイル12Ysの等価回路を示す。同図に示す如く、巻線部CR5〜CR8の合計4個のターン1、3、3、1と同巻線部CR5〜CR8の合計4個のターン2、4、4、2とが等価的には並列に接続される。同図中、黒矢印は自己チャンネルのメインコイルからの鎖交磁束による誘起電流の向きを表し、白抜き矢印は他チャンネルとしてのZチャンネルからの鎖交磁束による誘起電流の向きを表す。これらの誘起電流の大きさは各巻線部のターン数に比例する。これらの誘起電流を発生しようとする誘起起電力はそれぞれ打ち消し合う方向になるので、X,Y,Zの各チャンネルからの鎖交磁束による誘起電流は流れないことが分かる。この動作はXチャンネルについても同様である。
【0055】
また図9には、上述した分割ターンおよび無誘導巻のシールドコイル12Zsの等価回路を示す。同図に示す如く、巻線部CR11〜CR12の合計2個のターン1、3と同巻線部CR11〜CR12の合計2個のターン2、4とが並列に接続される。同図中、矢印は自己Zチャンネルのメインコイルからの鎖交磁束による誘起電流の向きを表す。これらの誘起電流の大きさは各巻線部のターン数に比例する。これらの誘起電流を発生しようとする誘起起電力はそれぞれ打ち消し合う方向になるので、Zチャンネルからの鎖交磁束による誘起電流は流れない。この場合、XチャンネルおよびYチャンネルからの鎖交磁束による誘起電流も流れない。
【0056】
前述した文献記載の従来例に係るシールドコイル部分の概念と本発明のそれとを比較すると、図10のように表すことができる。同図(a)はシールドコイルにダミー抵抗またはシャント電源を併設した従来例の構造を示し、一方、同図(b)はシールドコイル本発明に係る分割ターンおよび無誘導巻の構造を適用したものを示す。
【0057】
このように本実施形態によれば、分割ターン構造によってシールド電流の空間密度分布が高くなり、シールド効率が良くなる。すなわち、従来のものよりも、より密で且つ細かなステップ状の電流分布の流線関数を得ることができ、解析的に得られる理想流線関数にそれだけ近付けることができる。つまり、実際に発生する磁場も所望分布に非常に近いものとなり、より高精度のMRイメージングに寄与可能になる。分岐導体数を増やすほど、コイル配置による離散化の粗さが少なくなり、理想流線関数に近い流線関数となる。
【0058】
同時に、X,Y,Zチャンネルそれぞれのシールドコイルが自己チャンネルおよび他チャンネルに対して無誘導巻に構造になっている。このため、シールドコイルの分割ターンによる閉ループに電磁誘導現象に拠って流れようとする誘導電流を確実に抑制し、殆ど零の状態にできる。つまり、各チャンネルに磁気的に独立した存在となる。
【0059】
したがって、従来のように、MRI装置のASGCのシールドコイルにダミー抵抗やシャント電源などの電流コントロール要素を別途付加するという構成は全く不要である。また無用な電磁誘導による影響を受けることなく、ユニット全体の大形化を回避し、シールドコイルのシールド効率およびシールド性能を向上させ、かつEPI法などの超高速イメージング法に好適なASGCを提供することができる。
【0060】
第2の実施形態
本発明の第2の実施形態を図11に示す。
【0061】
この図11記載のYチャンネルのシールドコイル12Ysは、片方の巻線部対CR5,CR6またはCR7,XR8だけで分割ターンおよび自己チャンネルに対する無誘導巻きを実現するものである。その構成は、前述した図6記載のものと同様であるが、分割ターンはこの巻線部対だけで完結するようになっている。これによっても、自己チャンネルのメインコイルに対する無誘導巻きを実現でき、その分、無用な電磁誘導による影響を受けることなく、シールド性能の向上に寄与できる。
【0062】
第3の実施形態
本発明の第3の実施形態を図12に示す。
【0063】
本発明では、分割ターン構造を有するシールドコイルなどの場合、前述した図9の等価回路から分かるように、その閉ループ全体で誘起電流が流れなければ足りる。このため、各巻線部CR5〜CR8のターン数を必ずしも全て等しく設定する必要はない。
【0064】
この概念に基づいて巻線部のターン数を変えた実施形態に係る、ASGCのYチャンネルのシールドコイル12Ysの電気的な等価回路を図12に示す。このシールドコイルはXチャンネルにも当然に実施できる。
【0065】
同図に示す如く、巻線部CR5〜CR8の合計4個のターン1、3、3、1と同巻線部CR5〜CR8の合計4個のターン2、4、4、2とが電気的には並列に接続される。同図中、黒矢印は自己チャンネルのメインコイルからの鎖交磁束による誘起電流の向きを表し、白抜き矢印は他チャンネルとしてのZチャンネルからの鎖交磁束による誘起電流の向きを表す。これらの誘起電流の大きさは各巻線部のターン数に比例する。巻線部CR5〜CR8それぞれのターン数を等しい状態に保ちながら、分割ターンを形成する各巻線のターン数をΔNターンだけ増減させ、「N+ΔN」または「N−ΔN」のターンとしている(0≦ΔN<N)。これにより、巻線部全体としては発生しようとする誘起電流を相殺して、鎖交磁束による誘起電流は流れない。
【0066】
第4の実施形態
本発明の第4の実施形態を図13に示す。
【0067】
この実施形態は、図11に係る第2の実施形態を変形例に係り、各巻線部の分割ターン毎にターン数を変更したものである。ここではYチャンネルについて示すが、Xチャンネルにも同様に実施できる。
【0068】
同図に示す如く、電気的には、巻線部CR5、CR6の合計2個のターン1、3と同巻線部CR5、CR6の合計2個のターン2、4とが並列に接続され、かつ、巻線部CR8、CR7の合計2個のターン3、1と同巻線部CR8、CR7の合計2個のターン4、2とが並列に接続され、それらの並列回路が互いに直列に接続される。同図中、矢印は自己チャンネルのメインコイルからの鎖交磁束による誘起電流の向きを表す。これらの誘起電流の大きさは各巻線部のターン数に比例する。巻線部CR5〜CR8それぞれのターン数を等しい状態を保ちながら、分割ターンを形成する各巻線のターン数をΔNターンだけ増減させ、「N+ΔN」または「N−ΔN」のターンとしている(0≦ΔN<N)。これにより、巻線部全体としては発生しようとする誘起電流を相殺して、鎖交磁束による誘起電流は流れない。なお、ΔN=0のときには、前述した第2の実施形態の構成に対応する。
【0069】
他チャンネルとしてのZチャンネルに対しては無誘導巻にはなっていないが、自己チャンネルについては無誘導巻きの状態を保持しており、誘起電流が小さい場合にとくに有効である。
【0070】
第5の実施形態
本発明の第5の実施形態を図14に示す。
【0071】
この実施形態は、第1の実施形態のZチャンネルの変形に係り、そのシールドコイルの分割ターン毎にターン数を変更したものである。
【0072】
同図に示す如く、電気的には、巻線部CR11、CR12の合計2個のターン1、3と同巻線部CR11、CR12の合計2個のターン2、4とが並列に接続される。同図中、矢印は自己(Z)チャンネルのメインコイルからの鎖交磁束による誘起電流の向きを表す。これらの誘起電流の大きさは各巻線部のターン数に比例する。巻線部CR11、12それぞれのターン数を等しい状態を保ちながら、分割ターンを形成する各巻線のターン数をΔNターンだけ増減させ、「N+ΔN」または「N−ΔN」のターンとしている(0≦ΔN<N)。これにより、巻線部全体としては発生しようとする誘起電流を相殺して、鎖交磁束による誘起電流は流れない。なお、ΔN=0のときには、前述した第1の実施形態のZチャンネルの構成に対応する。
【0073】
これによっても、自己チャンネルおよび他チャンネルに対して無誘導巻になっており、前述と同様の作用効果を得ることができる。
【0074】
なお、上述した分割ターンおよび無誘導巻の構成は、X,Y,Zの各チャンネルのメインコイルにも同様に実施できる。
【0075】
さらに、分割ターン構造に拠る分岐導体数も2個に限定されず、3個以上であってもよい。分岐導体数を増やすほど、電流の空間密度分布を精細に設定でき、それだけシールド性能が向上する。
【0076】
また本発明の磁場発生用コイルは、円筒型や対向型、さらにサーフェイス型、オープン型と言ったコイルの形状や磁場発生方式に無関係に実施できる。
【0077】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のコイルユニットによれば、巻線部の導体を複数本に分割し、かつ、その分割導体が形成する閉ループを外来磁束に対して無誘導巻の構造に形成することを主要部とするため、従来のようにシールドコイルにダミー抵抗やシャント電源などの電流コントロール要素を別途付加する必要もなく、かつ、無用な外来磁束に因る電磁誘導の影響を確実に抑制または排除して、シールドコイルのシールド効率(シールド性能)を向上させるができる。とくに、MRI装置のASGCのシールドコイルをそのような従来法の束縛から解放し、ユニット全体の大形化を回避し、シールドコイルのシールド効率およびシールド性能を向上させ、かつEPI法などの超高速イメージング法に好適なコイルユニットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のシールド形コイルユニットを実施したMRI装置のガントリの概略断面図。
【図2】シールド形コイルユニットとしての能動遮蔽形傾斜磁場コイル(ASGC)のZ軸方向に直交する面の概略断面図。
【図3】ASGCのYチャンネルのメインコイルおよびシールドコイルの巻線部の配置状況を説明する模式図。
【図4】ASGCのZチャンネルのメインコイルおよびシールドコイルの巻線部の配置状況を説明する模式図。
【図5】本発明の無誘導巻に係る巻線部のターン接続の原理の一部を説明する図。
【図6】ASGCのYチャンネルの8つの巻線部を平面状に展開して示す図。
【図7】ASGCのZチャンネルの2つの巻線部の組を模式的に示す斜視図。
【図8】ASGCのYチャンネルのシールドコイルを示す電気的な等価回路図。
【図9】ASGCのZチャンネルのシールドコイルを示す電気的な等価回路図。
【図10】シールドコイルを例に採り、本発明と従来例に係るコイルの概要構成を対比して説明する図。
【図11】本発明の第2の実施形態に係るASGCのYチャンネルのシールドコイルを示す模式的な展開図。
【図12】本発明の第3の実施形態に係るASGCのYチャンネルのシールドコイルを示す電気的等価回路図。
【図13】本発明の第4の実施形態に係るASGCのYチャンネルのシールドコイルを示す電気的等価回路図。
【図14】本発明の第5の実施形態に係るASGCのZチャンネルのシールドコイルを示す電気的等価回路図。
【符号の説明】
12 能動遮蔽形傾斜磁場コイルのユニット(シールド形コイルユニット)
12X Xコイルアセンブリ
12Y Yコイルアセンブリ
12Z Zコイルアセンブリ
12Xs Xチャンネルのシールドコイル
12Xm Xチャンネルのメインコイル
12Ys Yチャンネルのシールドコイル
12Ym Yチャンネルのメインコイル
12Zs Zチャンネルのシールドコイル
12Zm Zチャンネルのメインコイル
CR1〜CR12 巻線部

Claims (11)

  1. 導体を所定巻きパターンに沿って巻き回して形成された巻線部を有するメインコイルと、別の導体を所定巻きパターンに沿って巻き回して形成された巻線部を有するシールドコイルとを備え、このシールドコイルが発生したシールド用磁場によって前記メインコイルが発生した磁場を外界に対してシールドするようにしたシールド形コイルユニットにおいて、
    前記シールドコイルの巻線部および前記メインコイルの巻線部の少なくとも一方を成す導体を複数本に分割し、この複数本の分割導体を前記巻きパターンに沿って並列に巻装するとともに、この複数本の分割導体を、当該分割導体によって形成される閉路を貫く磁束に対して無誘導巻きの構造に巻装したことを特徴とするシールド形コイルユニット。
  2. 請求項1記載の発明において、
    前記分割導体および無誘導巻の構造は、前記シールドコイルに適用した構成であるシールド形コイルユニット。
  3. 請求項2記載の発明において、
    前記メインコイルおよび前記シールドコイルの組を複数チャンネルのチャンネルそれぞれについて備え、その複数チャンネルのシールドコイルのそれぞれは自己チャンネルの前記メインコイルが発生する磁場に対して前記無誘導巻きに巻装した構造であるシールド形コイルユニット。
  4. 請求項2記載の発明において、
    前記メインコイルおよび前記シールドコイルの組を複数チャンネルのチャンネルそれぞれについて備え、その複数チャンネルのシールドコイルのそれぞれは他チャンネルの前記メインコイルが発生する磁場に対して前記無誘導巻きに巻装した構造であるシールド形コイルユニット。
  5. 請求項2記載の発明において、
    前記メインコイルおよび前記シールドコイルの組を複数チャンネルのチャンネルそれぞれについて備え、その複数チャンネルのシールドコイルのそれぞれは自己チャンネルおよび他チャンネルの前記メインコイルが発生する磁場に対して前記無誘導巻きに巻装した構造であるシールド形コイルユニット。
  6. 導体を所定巻きパターンに沿って巻き回して形成された巻線部を有するメインコイルと別の導体を所定巻きパターンに沿って巻き回して形成された巻線部を有するシールドコイルとにより構成されるコイル対をXチャンネル、Yチャンネル、およびZチャンネルのそれぞれについて備え、前記シールドコイルが発生したシールド用磁場によって前記メインコイルが発生した傾斜磁場を外界に対してチャンネル毎にシールドするようにしたMRI用能動遮蔽形傾斜磁場コイル(ASGC)ユニットにおいて、
    前記各チャンネルの前記メインコイルおよびシールドコイルの少なくとも一方の巻線部を成す導体部分を複数本に分割し、この複数本の分割導体を前記巻きパターンに沿って並列に巻装するとともに、この複数本の分割導体を、当該分割導体によって形成される閉路を貫く磁束に対して無誘導巻きに巻装したことを特徴とするMRI用能動遮蔽形傾斜磁場コイルユニット。
  7. 請求項6記載の発明において、
    前記分割導体および無誘導巻の構造は前記シールドコイルに適用した構成であり、かつ、前記分割導体の数は2であるシールド形コイルユニット。
  8. 請求項7記載の発明において、
    前記XチャンネルおよびYチャンネルそれぞれの前記シールドコイルは、渦状巻きパターンに沿って互いに逆向きに巻き回したサドル状巻線部をボビンの軸方向に沿って並置した巻線部対を前記ボビンの中心軸に関して対向して2対配置し、前記サドル状巻線部の各分割導体の渦状巻きパターンにおける巻線位置を前記巻線部対を形成する巻線部毎に入れ替えて配置した配線構造であるMRI用能動遮蔽形傾斜磁場コイルユニット。
  9. 請求項8記載の発明において、
    前記2対の巻線部を成す4個の巻線部それぞれの一方の分割導体を電気的直列に接続し、かつ、もう一方の分割導体を電気的直列に接続するとともに、この電気的直列回路同士を電気的並列に接続したMRI用能動遮蔽形傾斜磁場コイルユニット。
  10. 請求項7記載の発明において、
    前記シールドコイルの各巻線部と前記メインコイルの各巻線部とを直列に接続して共通の電源に接続したMRI用能動遮蔽形傾斜磁場コイルユニット。
  11. 請求項7記載の発明において、
    前記Zチャンネルの前記シールドコイルは、ソレノイド状巻きパターンに沿って互いに逆向きに巻き回した巻線部をボビンの軸方向に沿って並置した巻線部対を配置し、前記巻線部それぞれの分割導体を電気的直列に接続し、かつ前記巻線部それぞれの前記分割導体の位置を巻線部間で前記ボビンの軸方向に関して入れ替えて配置したMRI用能動遮蔽形傾斜磁場コイルユニット。
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