JP3686684B2 - エアブラシ方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、カラー写真やカラー画像等の画像を加工処理するカラー画像処理装置において、カラー画像データの指定された領域をぼかすためにエアブラシ処理を行うエアブラシ方法及びエアブラシ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、印刷,新聞,デザイン分野において、印刷物のカラー化の要求に伴い、コンピュータを用いてカラー画像を取り扱うカラー画像処理装置の開発が進められている。このカラー画像処理装置における画像の加工処理の一つにエアブラシと呼ばれるものがある。このエアブラシとは、画像データにスプレーを吹きかけるように、指定された部分をぼかす処理である。このエアブラシは、複数の画像を繋ぎ合わせたり、エアブラシ処理をかけた上に文字を重ね合わせるといった様々なオペレーションに用いられる。
【0003】
この場合、カラー画像データをRGB座標系またはYMC座標系で表すことによりエアブラシ処理を行っていた。図13に従来のこの種のエアブラシ処理を示す。
【0004】
まず、スキャナから入力したRGBデータの内、エアブラシ有効領域の画像データRkGkBk(k=1,n)に対して、オペレータにより指定されたブラシ色(RGB)、ブラシの大きさでエアブラシ処理を行う(図13(a)に示す。)。この場合、RGBデータの夫々について、図13(b)に示すような予め設定しておいた指定のブラシカーブRBGBBBからなるブラシ%でブラシ処理を行う。
【0005】
そして、ブラシ%によってエアブラシ処理を行った後のR'kG'kB'k(k=1,n)を算出する。図13(c)にエアブラシ処理結果として、特定のラインのX座標に沿ってのRGB夫々の濃度を示す。図中の点線部分がエアブラシをかけた結果を示す。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のRGB空間あるいはYMC空間においては、エアブラシ処理を行う場合、図14(a)に示すようにブラシ%をブラシ中心からブラシ枠にいくに従って線形に減少させても、急に明るさが変化したり、色がずれてしまう部分が生じてしまう。これは、図14(b)に示すように人間の目に見えるブラシ%は、ブラシ中心からブラシ枠にいくに従って非線形に減少する。すなわち、RGB空間が人間の感覚に合っていないためである。このため、人間の目に見えるブラシ%が図14(a)に示すようなブラシカーブになるように、図14(c)に示すようブラシカーブを作成する必要があった。このため、オペーレータの作業が大変であった。
【0007】
また、RGBやYMC空間では、明度(明るさ)、鮮やかさを変化させようとしてもR、G、B(Y、M、C)の変化量と明度、鮮やかさが対応していない。このため、色毎に明度、または鮮やかさを変化したブラシ色を求め、処理を行わなければならず、作業が非常に大変であった。
【0008】
本発明は、このような点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、オペレータがブラシカーブを調整することなくエアブラシ処理を行えるエアブラシ方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決し目的を達成するために下記の構成とした。図1は本発明にかかるエアブラシ装置の原理図である。本発明に係るエアブラシ装置は、画像データ、ブラシデータの色空間として、明度、彩度、色相空間を用いる。
【0010】
すなわち、このエアブラシ装置はRGBデータの指定された領域をぼかすためにエアブラシ処理を行うもので、変換手段3、指定手段8、抽出手段14、処理手段16を備える。
【0011】
変換手段3は、前記RGB座標系のRGBデータを明度/彩度/色相座標系の画像データに変換する。
指定手段8は、この変換手段3により変換された明度/彩度/色相座標系の画像データに対してエアブラシ処理を行うためのエアブラシ情報を指定する。
【0012】
抽出手段14は、変換手段3で変換された明度/彩度/色相系の画像データの内から前記エアブラシ情報に対応する画像データを抽出する。
処理手段16は前記エアブラシ情報に基づき抽出手段14で抽出された明度/彩度/色相系の画像データに対してエアブラシ処理を行う。
【0013】
図2は本発明にかかるエアブラシ方法の原理フローである。エアブラシ方法はRGBデータの指定された領域をぼかすためにエアブラシ処理を行う。
前記RGB座標系のRGBデータを明度/彩度/色相座標系の画像データに変換する変換ステップ52、
変換された明度/彩度/色相座標系の画像データに対してエアブラシ処理を行うためのエアブラシ情報を指定する指定ステップ54、
変換された明度/彩度/色相系の画像データの内から前記エアブラシ情報に対応する画像データを抽出する抽出ステップ56、
前記エアブラシ情報に基づき抽出された明度/彩度/色相系の画像データに対してエアブラシ処理を行う処理ステップ58とを含むようにする。
【0014】
ここで、前記変換手段3としては、前記RGBデータを明度L,彩度及び色相を表すabからなるLab座標系の画像データに変換するLab色変換部であってもよく、前記RGBデータを明度L,彩度及び色相を表すuvからなるLuv座標系の画像データに変換するLuv色変換部であってもよい。あるいは変換手段3としては、前記RGBデータを色相H,明度V,彩度CからなるHVC座標系の画像データに変換するHVC色変換部であってもよい。
【0015】
また、前記変換手段3は、色票を撮像することによりRGBデータを得る撮像手段2、色票を測色することにより明度/彩度/色相座標系の画像データを求める測色器24、前記RGBデータと明度/彩度/色相座標系の画像データとの対応データを学習することにより前記変換を行う学習手段26を備えるようにしてもよい。
【0016】
前記指定手段8は、エアブラシサイズ、エアブラシの位置、ブラシの色、ブラシカーブを含むエアブラシ情報を指定することが考えられる。
前記抽出手段14は、前記明度/彩度/色相系のデータの内から前記エアブラシサイズ、エアブラシの位置のエアブラシ情報に対応する明度/彩度/色相系の画像データを抽出するようにするとよい。
【0017】
前記処理手段16は、前記抽出手段14により抽出された明度/彩度/色相系の画像データに対して、ブラシの色とブラシカーブとのエアブラシ情報を演算することによりブラシ処理画像データを得るようにする。
【0018】
さらに、前記明度/彩度/色相座標系のデータをRGBデータに変換する色変換部31、この色変換部31により変換されたRGBデータを表示する表示部7とを備えるようにする。
【0019】
前記明度/彩度/色相座標系のデータをシアン・マゼンダ・イエローデータに変換する色変換部32、この色変換部32により変換されたシアン・マゼンダ・イエローデータを印刷するプリンタ6とを備えるようにする。
【0020】
【作用】
本発明によれば、RGB座標系のRGBデータを明度/彩度/色相座標系の画像データに変換し、変換された明度/彩度/色相座標系の画像データに対してエアブラシ処理を行うためのエアブラシ情報を指定する。
【0021】
そして、変換された明度/彩度/色相系の画像データの内から前記エアブラシ情報に対応する画像データを抽出し、前記エアブラシ情報に基づき抽出された明度/彩度/色相系の画像データに対してエアブラシ処理を行う。
【0022】
すなわち、人間の視覚に合った明度/彩度/色相座標系の画像データを用いるので、急激な色変化がなくなり、自然なブラシ効果が得られる。
また、明度/彩度/色相座標系の画像データを用い、明度、彩度、色相を含むエアブラシ情報に基づき元の画像データと明度の異なるブラシ、彩度の異なるブラシ、色相の異なるブラシをかけることができ、より効果的な画像加工を行える。
【0023】
【実施例】
以下、本発明にかかるエアブラシ方法及びエアブラシ装置を説明する。図3はエアブラシ方法を適用したエアブラシ装置の実施例1の構成ブロック図である。
【0024】
<実施例1>
図3において、スキャナ2は、例えばカラーイメージスキャナであり、原稿1を撮像することにより画像データとしてのRGBデータを得る。このスキャナ2にはLab色変換部3aが接続される。
【0025】
Lab色変換部3aは、スキャナ2と画像データ部4aとの間に設けられ、スキャナ2からのRGBデータを画像データ部4aにおける色空間に変換する。
画像データ部4aの色空間は、例えば、人間の視知覚に良く合っていると言われる均等色空間である。この均等色空間では、L*a*b*空間を用いる。画像データ部4aには、画像加工部5a、RGB色変換部31a,YMC色変換部32aが接続されている。
【0026】
YMC色変換部32aは、画像データ部4aからの画像データをプリンタ6の印刷に適したYMCデータに変換する。RGB色変換部31aは、画像データ部4aからの画像データをディスプレイ表示部7の表示に適したRGBデータに変換する。
【0027】
画像加工部5aは画像データ部4aからの画像データに対して加工を行うものであり、画像データ部4aからの画像データに対してエアブラシ処理を行うエアブラシ処理部10aを有している。このエアブラシ処理部10aには判定部9aが接続され、この判定部9aには指示部8aが接続されている。
【0028】
指示部8aは、判定部9aに対してブラシ処理の指示、あるいはディスプレイ表示指示、あるいはプリンタ出力指示を与えるものであり、例えば、キーボード、マウスなどの入力装置である。判定部9aは指示部8aからのいずれかの指示内容を判定し、その指示内容に応じたブラシデータ部12a、RGB色変換部31a、ディスプレイ表示部7のいずれかを動作させる。
【0029】
ブラシデータ部12aは、指示部8aからオペレータによって指示されたエアブラシの大きさやエアブラシをかける位置などのエアブラシ情報を入力する。このブラシデータ部12aには領域抽出部14aが接続される。
【0030】
領域抽出部14aは、画像データ部4aに格納された画像データ(Lab)の内からブラシデータ部12aから読み出したエアブラシ情報に対応する領域を抽出する。この領域抽出部14aには演算部16aが接続される。
【0031】
演算部14aは、抽出した画像データに対して、ブラシデータ部12aからのブラシ%と指定されたブラシ色とを演算することによりブラシ処理画像データを得る。
【0032】
<実施例1の処理>
次に、実施例1の装置によって実現されるエアブラシ方法について説明する。図5は実施例1のエアブラシ方法のフローチャートである。実施例1のエアブラシ処理は、明度、彩度、色相空間を用い、L*a*b*座標系を用いた。このL*a*b*座標系を図4に示す。ここで、L*軸は明度を示し、a*b*軸は色相を示す。また、図4(b)は前記色相の詳細を示し、例えば図中GYはグリーン・イエローである。
【0033】
まず、スキャナ2が原稿1を撮像することによりRGBデータに分解し(ステップ101)、Lab色変換部3aがRGB座標系からL*a*b*への座標変換を行うことによりRGBデータをLabデータに変換し、画像データ部4aに出力する(ステップ102)。
【0034】
ここで、RGB座標系からL*a*b*への座標変換は以下に示す式によって表される。まず、RGB座標系からXYZ座標に変換する。
X=0.608R+0.174G+0.200B
Y=0.299R+0.587G+0.114B
Z= 0 +0.066G+1.112B
次に、XYZ座標系からL*a*b*座標に変換する。
【0035】
X0=98.072
Y0=100.0
Z0=118,225
X/X0>0.008856のときには xt=(X/X0)1/3
X/X0<0.008856のときには xt=7.787X/X0+16/116
Y/Y0>0.008856のときには yt=(Y/Y0)1/3
Y/Y0<0.008856のときには yt=7.787Y/Y0+16/116
Z/Z0>0.008856のときには zt=(Z/Z0)1/3
Z/Z0<0.008856のときには zt=7.787Z/Z0+16/116
L*=116y−16
a*=500(xt−yt)
b*=200(yt−zt)
次に、オペレータが指示部8aからディスプレイ表示指示かプリンタ出力指示かあるいはエアブラシ指示かの指示を判定部9aに与えると、判定部9aが指示の内容を判定する(ステップ103)。
【0036】
ここで、オペレータが指示部8aからディスプレイ表示指示を行った場合には(ステップ104)、判定部9aがRGB色変換部31aを動作させる。すると、RGB色変換部31aでL*a*b*データをRGBデータに変換し(ステップ105)、ディスプレイ表示部7にそのRGBデータを表示する(ステップ106)。
【0037】
一方、オペレータが指示部8aからプリンタ出力指示を行った場合には(ステップ107)、判定部9aがYMC色変換部32aを動作させる。すると、YMC色変換部32aでL*a*b*データをYMCデータに変換し(ステップ108)、プリンタ6にそのYMCデータを出力する(ステップ109)。
【0038】
なお、ステップ107からステップ109の処理をステップ104からステップ106の処理の前に行ってもよい。
次に、ディスプレイ表示部7に表示された画像データについて、オペレータにより必要な画像加工指示を行なう。ここでは、エアブラシ処理部10aが画像加工の一つであるエアブラシ処理をL*a*b*空間で行う(ステップ110)。
【0039】
エアブラシデータ部12aは、指示部8aからオペレータによって指示されたエアブラシ情報を入力する(ステップ111)。エアブラシ情報は、例えば、エアブラシの大きさ(t)、エアブラシをかける位置(x,y)、ブラシの色(LB,aB,bB)、ブラシカーブ(α=f(s),またはブラシカーブの軌跡の内のいくつかの点の座標情報を格納したテーブル情報)などである。
【0040】
図6にブラシカーブの一例を示す。図6(a)はブラシカーブα=f(s)であり、中心のブラシ%が一番大きく、端部に行くに従ってブラシ&%が小さくなっている。図6(b)にブラシサイズ(t)を示す。
【0041】
次に、領域抽出部12aが、画像データ部4aに格納された画像データの内から、ブラシ位置とブラシサイズ情報により該当する画像データを抽出する(ステップ112)。
【0042】
そして、演算部14では、該当する画像データLkakbk(k=1,n)に対して、ブラシデータ部12aからのブラシカーブによるブラシ%と指定されたブラシ色(LBaBbB)とを演算することにより、ブラシ処理した後のブラシ処理画像データLk’ak’bk’(k=1,n)を以下の式によって算出する(ステップ113)。
Lk’=αLB+(1−α)Lk
ak’=αaB+(1−α)ak
bk’=αbB+(1−α)bk
0<α<1
そして、そのブラシ演算画像データLk’ak’bk’を画像データ部4に出力する(ステップ114)。なお、ステップ114の処理が終了した場合には、ステップ103の処理に戻る。
【0043】
さらに、加工した後の画像は、ディスプレイ表示部7またはプリンタ6によって確認できる。
ここでは、画像データとブラシデータが、L*a*b*座標のデータであるので、従来のRGBデータで不可能であった明度のみ変化するブラシを実現することができる。
【0044】
すなわち、L*a*b*座標を用いると、明るさL0のブラシ指示がされた場合に、画像データLkのみブラシ処理を行えば、結果として元の画像に対して明るさのみ変化したエアブラシ処理が行われる。
【0045】
また、鮮やかさT0=(a0 2+b0 2)1/2のブラシ指示がされた場合には、画像データak,bkより彩度Tk=(a k 2 +b k 2 )1/2を求めて、ブラシ処理を行うことができる。
【0046】
また、Lab空間を用いることで、図6(c)に示すようなブラシ効果が見られる。すなわち、図6(c)に示すブラシ特性は図6(a)に示すブラシ特性と同じであり、人間の心理量に合っている。
【0047】
さらに、図7に示すような格子上に明るさを変化させるようなエアブラシをかける場合、従来用いていたRGB空間では、
(a)まず、赤(RrGrBr)、青(RbGbBb)、黄(RyGyBy)の夫々の色に対して、明るさを変化させた色(Rr0Gr0Br0)、(Rb0Gb0Bb0)、(Ry0Gy0By0)を求め、ブラシ領域と画像データの色領域から分割された領域に対して、(a)で求めた色でブラシをかける。
【0048】
この例のように、単一の色で分割された画像である場合には、処理時間はかかるが、ブラシ処理が行える。
しかし、写真のように1画素毎に濃度が異なる画像である場合には、夫々についてRGBを決定しなければならず、ブラシ処理はほとんど不可能である。
【0049】
これに対して、実施例1によるL*a*b*空間では、L*は明るさを示しているので、指定のLとブラシが有効な画像データのLk(k=1,n)を用いて、明るさのみのエアブラシ処理が行える。従って、写真のように1画素毎に濃度が異なる画像であっても、ブラシ処理が容易に行える。
【0050】
<実施例2>
次に、本発明の実施例2を説明する。実施例2は色座標系としてL*u*v*を用いたものである。図8は実施例2の構成ブロック図である。
【0051】
図8において、Luv色変換部3bは、スキャナ2と画像データ部4bとの間に設けられ、スキャナ2からのRGBデータを画像データ部4bにおける色空間に変換する。
【0052】
画像データ部4bの色空間は、L*u*v*空間を用いる。画像データ部4bには、画像加工部5b、RGB色変換部31b,YMC色変換部32bが接続されている。
【0053】
YMC色変換部32bは、画像データ部4bからの画像データをプリンタ6の印刷に適したCMYデータに変換する。RGB色変換部31bは、画像データ部4bからの画像データをディスプレイ表示部7の表示に適したRGBデータに変換する。
【0054】
画像加工部5bは画像データ部4bからの画像データに対して加工を行うものであり、画像データ部4bからの画像データに対してエアブラシ処理を行うエアブラシ処理部10bを有している。このエアブラシ処理部10bには指示部8bが接続されている。指示部8bはL*u*v*空間におけるエアブラシ情報を指示する。さらに、ブラシデータ部12b、領域抽出部14b、演算部16bが設けられる。
【0055】
<実施例2の処理>
図9は実施例2のエアブラシ方法のフローチャートである。図面を参照して実施例2のエアブラシ方法を説明する。
【0056】
まず、スキャナ2が原稿1を撮像することによりRGBデータに分解し(ステップ201)、Lab色変換部3bがRGB座標系からL*u*v*への座標変換を行うことによりRGBデータをLuvデータに変換し、画像データ部4bに出力する(ステップ202)。
【0057】
ここで、RGB座標系からL*u*v*への座標変換への座標変換式(CIE1976で定められている。)は、以下の式で表される。
L*=116(Y/Y0)1/3−16 (Y/Y0>0.00856)
a*=13L*(u’−u0’)
b*=13L*(v−v0’)
u’=4X/(X+15Y+3Z)
v’=9Y/(X+15Y+3Z)
なお、RGB座標系からXYZ座標に変換するが、この変換は実施例1の例と同様である。
【0058】
次に、オペレータが指示部8bからディスプレイ表示指示かプリンタ出力指示かあるいはエアブラシ指示かの指示を判定部9bに与えると判定部9bが指示の内容を判定する(ステップ203)。
【0059】
ここで、オペレータが指示部8bからディスプレイ表示指示を行った場合には(ステップ204)、判定部9bがRGB色変換部31bを動作させる。すると、RGB色変換部でL*u*v*データをRGBデータに変換し(ステップ205)、ディスプレイ表示部7にそのRGBデータを表示する(ステップ206)。
【0060】
一方、オペレータが指示部8bからプリンタ出力指示を行った場合には(ステップ207)、判定部9bがYMC色変換部32bを動作させる。すると、YMC色変換部でL*u*v*データをYMCデータに変換し(ステップ208)、プリンタ6にそのYMCデータを出力する(ステップ209)。
【0061】
なお、ステップ207からステップ209の処理をステップ204からステップ206の処理の前に行ってもよい。
次に、ディスプレイ表示部7に表示された画像データについて、オペレータにより必要な画像加工指示を行なう。ここでは、エアブラシ処理部10bが画像加工の一つであるエアブラシ処理をL*u*v*空間で行う(ステップ210)。
【0062】
エアブラシデータ部12bは、指示部8bからオペレータによって指示されたエアブラシ情報を入力する(ステップ211)。エアブラシ情報は、実施例1に示す情報である。
【0063】
次に、領域抽出部12bが、画像データ部4bに格納された画像データの内から、ブラシ位置とブラシサイズ情報により該当する画像データを抽出する(ステップ212)。
【0064】
そして、演算部14bでは、該当する画像データLkukvk(k=1,n)について、ブラシデータ部12bからのブラシカーブによるブラシ%と指定されたブラシ色(LBuBvB)とを演算することにより、ブラシ処理した後のLk’uk’vk’(k=1,n)を以下の式によって算出する(ステップ213)。
Lk’=αLB+(1−α)Lk
uk’=αuB+(1−α)uk
vk’=αvB+(1−α)vk
0<α<1
そして、そのブラシ演算画像データLk’uk’vk’を画像データ部4bに出力する(ステップ214)。さらに、加工した後の画像は、ディスプレイ表示部7またはプリンタ6によって確認できる。
【0065】
なお、ステップ214の処理が終了した場合には、ステップ203の処理に戻る。ここで、画像データとブラシデータは、L*u*v*座標のデータであるので、従来のRGBデータで不可能であった明度のみ変化するブラシを実現することができる。
【0066】
<実施例3>
次に、本発明の実施例3を説明する。図10は実施例3の構成ブロック図である。実施例3では、色座標系としてHVC(H;色相,V;明度,C;彩度)を用いた例について説明する。
【0067】
HVC色変換部3cは、スキャナ2と画像データ部4bとの間に設けられ、スキャナ2からのRGBデータを画像データ部4cにおける色空間に変換する。
画像データ部4cの色空間は、HVC空間を用いる。画像データ部4cには、画像加工部5c、RGB色変換部31c,YMC色変換部32cが接続されている。
【0068】
YMC色変換部32cは、画像データ部4cからの画像データをプリンタ6の印刷に適したCMYデータに変換する。RGB色変換部31cは、画像データ部4cからの画像データをディスプレイ表示部7の表示に適したRGBデータに変換する。
【0069】
さらに、画像加工部5cにエアブラシ処理部10cを有している。このエアブラシ処理部10cにはブラシデータ部12c、領域抽出部14c、演算部16c、が設けられる。
【0070】
<実施例3の処理>
図11は実施例3のエアブラシ方法のフローチャートである。図面を参照して実施例3のエアブラシ方法を説明する。
【0071】
まず、スキャナ2が原稿1を撮像することによりRGBデータに分解し(ステップ301)、HVC色変換部3cがRGB座標系からHVCへの座標変換を行うことによりRGBデータをHVCデータに変換し、画像データ部4cに出力する(ステップ302)。
【0072】
ここで、RGB座標系からHVC(マンセル座標)への変換については、『JIS Z8721』に定められている対応テーブルを用いることにより、変換を行うことができる。
【0073】
次に、オペレータが指示部8cからディスプレイ表示指示かプリンタ出力指示かあるいはエアブラシ指示かの指示を判定部9cに与えると判定部9cが指示の内容を判定する(ステップ303)。
【0074】
ここで、オペレータが指示部8cからディスプレイ表示指示を行った場合には(ステップ304)、判定部9cがRGB色変換部31cを動作させる。すると、RGB色変換部でHVCデータをRGBデータに変換し(ステップ305)、ディスプレイ表示部7にそのRGBデータを表示する(ステップ306)。
【0075】
一方、オペレータが指示部8cからプリンタ出力指示を行った場合には(ステップ307)、判定部9cがYMC色変換部32cを動作させる。すると、YMC色変換部でHVCデータをYMCデータに変換し(ステップ308)、プリンタ6にそのYMCデータを出力する(ステップ309)。
【0076】
なお、ステップ307からステップ309の処理をステップ304からステップ306の処理の前に行ってもよい。
次に、ディスプレイ表示部7に表示された画像データについて、オペレータにより必要な画像加工指示を行なう。ここでは、エアブラシ処理部10cが画像加工の一つであるエアブラシ処理をHVC空間で行う(ステップ310)。
【0077】
エアブラシデータ部12cは、指示部8cからオペレータによって指示されたエアブラシ情報を入力する(ステップ311)。エアブラシ情報は、実施例1又は実施例2に記載したブラシ情報などである。
【0078】
次に、領域抽出部12cが、画像データ部4cに格納された画像データの内から、ブラシ位置とブラシサイズ情報により該当する画像データを抽出する(ステップ312)。
【0079】
そして、演算部14cでは、該当する画像データHkVkCk(k=1,n)について、ブラシデータ部12cからのブラシカーブによるブラシ%と指定されたブラシ色(HBVBCB)とを演算することにより、ブラシ処理した後のHk’Vk’Ck’(k=1,n)を以下の式によって算出する(ステップ213)。
Hk’=αHB+(1−α)Hk
Vk’=αVB+(1−α)Vk
Ck’=αCB+(1−α)Ck
0<α<1
そして、そのブラシ演算画像データHk’Vk’Ck’を画像データ部4cに出力する(ステップ314)。さらに、加工した後の画像は、ディスプレイ表示部7またはプリンタ6によって確認できる。
【0080】
なお、ステップ314の処理が終了した場合には、ステップ303の処理に戻る。
ここで、画像データとブラシデータは、HVC座標のデータであるので、従来のRGBデータで不可能であった明度のみ変化するブラシ、彩度のみ変化するブラシを実現することができる。
【0081】
<実施例4>
次に、実施例4について説明する。実施例4は前記座標変換をマスキング演算やニューラルネットワークによって行うものである。まず、マスキング演算は対応するデータから変換係数を算出しておき、変換するときにはマトリックス演算のみを行うというものである。ニューラルネットワークは対応データを予め学習させることにより変換を行うものである。
【0082】
以下にRGB座標系からLabへの2次マスキング演算の例を示す。
ニューラルネットワークの学習及びマスキング演算の係数決定方法として、複数色の色票を測色することで対応値を算出する方法がある。図12にRGBとLabの色変換のマスキング係数の決定及び学習の例を示す。
【0083】
まず、全域にわたる色見本としての色票22を測色器24によって測色を行うことにより、夫々のLabデータを求める。
一方、同一の色票をスキャナ2によって撮像することによりRGBデータを得る。これにより、LabデータとRGBデータとの対応データが作成できる。
【0084】
次に、RGBデータとLabデータとを学習係数算出部26によって学習し、あるいは最小二乗法などの方法を用いて、マスキング係数を算出することができる。
【0085】
【発明の効果】
本発明によれば、オペレータがブラシカーブを調整することなくエアブラシ処理を行えるエアブラシ方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るエアブラシ装置の原理図である。
【図2】本発明に係るエアブラシ方法の原理フローである。
【図3】実施例1のエアブラシ装置の構成ブロック図である。
【図4】L*a*b*座標系を示す図である。
【図5】実施例1のエアブラシ方法の処理フローである。
【図6】実施例1のブラシ特性を示す図である。
【図7】明るさを変化させたエアブラシ例を示す図である。
【図8】実施例2のエアブラシ装置の構成ブロック図である。
【図9】実施例2のエアブラシ方法の処理フローである。
【図10】実施例3のエアブラシ装置の構成ブロック図である。
【図11】実施例3のエアブラシ方法の処理フローである。
【図12】実施例4のエアブラシ装置の構成ブロック図である。
【図13】従来のエアブラシ方法の一例を示す図である。
【図14】従来のRGB空間におけるブラシカーブを示す図である。
【符号の説明】
1・・原稿
2・・スキャナ
3a・・Lab色変換部
4a〜4c・・画像データ部
5a〜5c・・画像加工部
6・・プリンタ
7・・ディスプレイ表示部
8a〜8c・・指示部
9a〜9c・・判定部
10a〜10c・・エアブラシ部
12a〜12c・・ブラシデータ部
14a〜14c・・領域抽出部
16a〜16c・・演算部
22・・色票
24・・測色器
26・・学習係数算出部
Claims (5)
- RGB座標系で表現されるRGBデータの指定された領域をぼかすためにエアブラシ処理を行うエアブラシ方法であって、
前記RGB座標系のRGBデータを明度L、彩度及び色相を表すabからなるLab座標系の画像データに変換する変換ステップと、
変換された、明度L、彩度及び色相を表すabからなるLab座標系の画像データに対してエアブラシ処理を行うために必要なエアブラシサイズ、エアブラシの位置情報、ブラシの色及びブラシカーブを含むエアブラシ情報を指定する指定ステップと、
変換された、明度L、彩度及び色相を表すabからなるLab座標系の画像データの中から前記エアブラシ情報に対応する画像データを抽出する抽出ステップと、
前記エアブラシ情報に基づき抽出された、明度L、彩度及び色相を表すabからなるLab座標系の画像データに対してエアブラシ処理を行う処理ステップとを含むエアブラシ方法。 - RGB座標系で表現されるRGBデータの指定された領域をぼかすためにエアブラシ処理を行うエアブラシ方法であって、
前記RGB座標系のRGBデータを明度L、彩度及び色相を表すuvからなるLuv座標系の画像データに変換する変換ステップと、
変換された、明度L、彩度及び色相を表すuvからなるLuv座標系の画像データに対してエアブラシ処理を行うために必要なエアブラシサイズ、エアブラシの位置情報、ブラシの色及びブラシカーブを含むエアブラシ情報を指定する指定ステップと、
変換された、明度L、彩度及び色相を表すuvからなるLuv座標系の画像データの中から前記エアブラシ情報に対応する画像データを抽出する抽出ステップと、
前記エアブラシ情報に基づき抽出された、明度L、彩度及び色相を表すuvからなるLuv座標系の画像データに対してエアブラシ処理を行う処理ステップとを含むエアブラシ方法。 - 前記処理ステップは、前記抽出された、明度L、彩度及び色相を表すabからなるLab座標系の画像データに対して、ブラシの色とブラシカーブとのエアブラシ情報を演算することによりブラシ処理画像データを得る請求項1に記載のエアブラシ方法。
- 前記処理ステップは、前記抽出された、明度L、彩度及び色相を表すuvからなるLuv座標系の画像データに対して、ブラシの色とブラシカーブとのエアブラシ情報を演算することによりブラシ処理画像データを得る請求項2に記載のエアブラシ方法。
- 前記ブラシカーブは、ブラシカーブを表わす関数もしくはブラシカーブの軌跡の内のいくつかの点の座標情報を格納したテーブル情報であることを特徴とする請求項1または2に記載のエアブラシ方法。
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