JP3679672B2 - ロール紙のニヤエンド検出装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ロール紙を印字媒体とする印字装置におけるロール紙の残量(ニヤエンド)を検出するロール紙のニヤエンド検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ロール状の連続用紙(以下、ロール紙という)を印字媒体として用いるプリンタを備えた装置としては、乗車券の発券機や売店のレジスターなどがある。
【0003】
これらの装置においては、所定の収納部に収納したロール紙を引き出し、サーマルプリンタ等によって所望の印字を行った後に、印字済みの紙片を排出するようになっている。
【0004】
ところで、上述のような装置においては、ロール紙を完全に使い切った状態で報知したのでは、交換に要する時間内において装置が停止して稼働率が低下したり、印字の途中で紙切れになってしまうと顧客を長時間待たせるという不都合を生じるので、ロール紙が一定の残量になった際に交換を促す、所謂ニアエンド検出が一般的に行われている。
【0005】
従来におけるニヤエンド検出は、光センサによるものが多かった。この光センサ方式のニヤエンド検出は、例えば収納部のロール紙側面に対向する箇所に発光素子と受光素子のペアを配設し、ロール紙が所定の巻径になると、発光素子から出射されロール紙側面で反射された光が受光素子に達しなくなり、受光素子から出力される信号の変化に基づいてロール紙のニヤエンドを検出するようになっていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の光センサ方式のニヤエンド検出は、部品点数が少なく構成も簡単であるというメリットはあるものの、光の散乱等の影響を受けやすく、またメンテナンス等の為に上記発券装置やレジスターの内部機構を開放した際に外部光が受光素子に入射して誤作動する等の問題点を有していた。
【0007】
また、測定精度を確保するために発光素子および受光素子は収納部の側面に固定されているので、ロール紙のニヤエンド検出時の巻径(即ち、残量)を変更したい場合などに柔軟に対応することができないという難点もあった。
【0008】
この発明は、上記問題点を解決すべく案出されたものであり、ロール紙のニヤエンドを確実に検出することができ、しかもニヤエンド検出時の巻径を変えたい場合にも柔軟に対応することのできるロール紙のニヤエンド検出装置を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、印字部に向けて引き出されるロール紙を転動可能に収納するロール紙収納部と、該収納部の側面側に設けられて前記ロール紙の巻径が所定値以下となり、ロール紙が所定位置まで降下した際に前記収納部の内側に変位するように付勢された揺動部材と、この揺動部材の変位に伴って出力が切り替わるスイッチとを少なくとも備えるロール紙のニヤエンド検出装置であって、前記揺動部材は、巻径が所定値以下となった際にロール紙の中空の芯部の内側に変位可能な第1の検出突起部と、該ロール紙の外周に沿って変位可能な第2の検出突起部とを備え、上記第1と第2の検出突起部の両方が前記収納部の内側に変位した際に、上記スイッチの出力が切り替わり、その出力の変化に基づいてロール紙のニヤエンドを検出するようにしたものである。
【0010】
これによれば、ロール紙の巻径が所定値以下になり、ロール紙が所定位置まで降下すると、第1の検出突起部がロール紙の中空の芯部の内側に変位し、同時に第2の検出突起部がロール紙の外周に沿って変位し、それに伴う揺動部材の変位によりスイッチの出力が切り替わるので、誤作動の確率を低減することができ、確実にロール紙のニヤエンドを検出することができる。
【0011】
なお、上記揺動部材は、上記収納部の側方に取り付け可能なフレームに揺動可能に軸支されると共に、弾性体により収納部の内側に付勢され、上記第1と第2の検出突起部がロール紙の側面に押し当てられた際に回動軸を中心に後退するように構成され、上記第1と第2の検出突起部とは上記揺動部材の回動軸と略平行に並設するとよい。
【0012】
また、上記スイッチは、弾性体により外側へ付勢されたスイッチボタンを有するマイクロスイッチで構成され、そのスイッチボタンは上記揺動部材の回動軸近傍に当接され、上記第1と第2の検出突起部がロール紙の側面に当接した未検出状態において、上記スイッチボタンを押圧状態に維持するとともに、上記第1と第2の検出突起部がロール紙の側面に当接していない状態において、上記スイッチボタンの押圧を解除した状態となるように構成してもよい。
【0013】
さらに、上記第1と第2の検出突起部の少なくとも一方は、互いの相対距離を変更可能に取り付けられ、前記ロール紙のニヤエンドの検出可能な巻径を変更できるように構成することもできる。
【0014】
これにより、上記第1または第2の検出突起部を移動させることによりロール紙のニヤエンド検出を行う巻径(即ち、ロール紙の残量)を変えたい場合にも柔軟に対応することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
図1は本発明に係るロール紙のニヤエンド検出装置Sを適用した印字装置の斜視図、図2はロール紙のニヤエンド検出装置Sの斜視図、図3はその側面図(a),上面図(b)および平面図(c)、図4および図5はロール紙のニヤエンド検出装置Sの動作を示す概略説明図である。
【0017】
図1に示すように、この実施形態の印字装置100は、発券装置やレジスター(共に図示せず)等に組み込まれるものであり、ロール紙Rを収納する収納部102と、そこから引き出されたロール紙に印字を行うサーマルプリンタ110とが一体的に構成されている。
【0018】
ロール紙Rのニヤエンド検出装置Sは、印字装置100のフレーム101の一側方に設けられている。
【0019】
そして、例えばロール紙Rを手動で多少引き出して搬送経路103に挿入し、ロール紙搬送用のローラ104を備える開閉自在な蓋部材105を矢印A方向に回動させることにより、印刷可能な状態となるように構成されている。
【0020】
ニヤエンド検出装置Sの構成は例えば図2から図5に示す通りであり、ベース部材1に検知部材2が、鉛直方向に配置される揺動軸3を中心に矢印B1,B2方向に揺動可能に取り付けられている。
【0021】
ベース部材1は、例えば金属板を加工して形成され、フレーム101に固定するためのビス穴1aが形成されている。また、ベース部材1には、検知部材2の揺動軸3を軸支するフレーム部材4が設けられている。
【0022】
検知部材2は、揺動軸3を有する樹脂製(例えば、ABS樹脂)の揺動部材5と、ロール紙Rの中空の芯部の内側r1に変位可能な第1の検出突起部K1と、ロール紙Rの外周r2に沿って変位可能な第2の検出突起部K2とから構成されている。
【0023】
なお、第1の検出突起部K1と第2の検出突起部K2は、印字装置100の使用状態において縦(鉛直方向)に並ぶように配置されている。
【0024】
第1の検出突起部K1と、第2の検出突起部K2は、芯部の内側r1および外周r2に沿って移動し易いように、先端部にテーパ部tが設けられている。また、第2の検出突起部K2は芯材によって揺動部材5に固設されるが、第1の検出突起部K1は揺動部材5に形成されたスライド溝5aに芯材の端部が挿通され、蝶ネジ7等によって固定したり緩めたりできるように構成されている。これにより、第1の検出突起部K1の蝶ネジ7を緩めてスライド溝5aに沿って移動させることにより、第2の検出突起部K2との相対距離を変化させることで、検出すべきロール紙Rの残量(巻径)を適宜変更することができる。
【0025】
揺動部材5の揺動軸3側には、ベース部材1に設けられたマイクロスイッチ8のスイッチボタン8aと当接する作用部5bが設けられている。ここで、スイッチボタン8aと作用部5bの関係は、図4(a)および(b)の概略図に示すように、第1の検出突起部K1と第2の検出突起部K2がロール紙Rの側部に当接して矢印B1方向に揺動部材5が後退している場合には、作用部5bがマイクロスイッチ8のスイッチボタン8aを押圧する状態となる。本実施形態ではこの状態でマイクロスイッチ8がオン状態となる。なお、この図4(b)の状態において、揺動部材5は、マイクロスイッチ8に内蔵されスイッチボタン8aを外側へ押圧するバネの付勢力により矢印B2方向に付勢される。
【0026】
これによって、ロール紙Rの残量が少なくなって、第1の検出突起部K1がロール紙Rの芯部の内側r1に移動し、かつ第2の検出突起部K2が残量が少なくなったロール紙Rの外周r2に沿って収納部102の内側に移動した場合には、図5(b)に示すように揺動部材5はスイッチボタン8aの付勢力により矢印B2方向に移動すると同時に、作用部5bによるスイッチボタン8aの押圧は解除され、マイクロスイッチ8はオフ状態に移行する。
【0027】
なお、マイクロスイッチ8の端子8bは、例えばロール紙Rの残量がある場合には点灯し、残量が所定量まで減ると点滅または消灯する報知ランプあるいは、残量が所定量まで減った際に鳴動する報知ブザー等に接続されている。
【0028】
以上が本実施形態に係るロール紙のニヤエンド検出装置の構成である。
【0029】
次に図1、図4および図5を参照して本実施形態に係るロール紙のニヤエンド検出装置の動作について説明する。
【0030】
まず、図1に示すような姿勢で配置されている印字装置100の収納部102にロール紙Rをセットし、ロール紙Rの端部をサーマルプリンタ110の挿入口103に挿入してから、蓋部材105を矢印A方向に回動させて印刷可能状態とされる。
【0031】
この際に、ニヤエンド検出装置Sの第1の検出突起部K1および第2の検出突起部K2はロール紙Rの側部r3に当接して揺動部材5が矢印B1方向に後退される(図2および図4(b)参照)。これによりマイクロスイッチ8のスイッチボタン8aが揺動部材5の作用部5bにより押圧されてオン状態とされる。これにより、例えば券売機やレジスターの表面に設置される報知ランプが点灯または消灯され、ロール紙Rの残量がまだあることを報知する。
【0032】
そして、ロール紙Rの消費により巻径が徐々に小さくなり、所定の巻径に達して、ロール紙Rが収納部102内の所定位置まで降下すると、第1の検出突起部K1がロール紙Rの芯部の内側r1に移動し、かつ第2の検出突起部K2が所定量の残量に達したロール紙Rの外周r2に沿って収納部102の内側に移動する。
【0033】
この際に、揺動部材5は矢印B2方向に戻り、マイクロスイッチ8はスイッチボタン8aへの作用部5bによる押圧が解除されてオフ状態となる。これにより、例えば券売機やレジスターの表面に設置される報知ランプが消灯あるいは点灯したり、報知ブザーが鳴るなどしてロール紙Rの残量が少ないことを報知する。よって、駅員や店員は、上記の報知に基づいて、券売機やレジスターのロール紙Rが完全に無くなる前に交換することができる。
【0034】
このように本発明に係るニヤエンド検出装置Sの構成によれば、第1の検出突起部K1と第2の検出突起部K2の双方の移動に伴って、ロール紙Rのニヤエンドを検出するので、誤作動が少なく、ロール紙Rの交換時期を確実に報知することができる。
【0035】
なお、第1の検出突起部K1を固定している蝶ネジ7を緩めてスライド溝5aに沿って移動させることにより、ロール紙Rの報知させたい残量(巻径)を変えることができる。
【0036】
また、マイクロスイッチ8に接続される報知手段としての報知ランプ等は、本実施形態のようにロール紙Rのニヤエンドが検出された際に点灯あるいは消灯される場合に限らず、ニヤエンドが検出された際に点滅して報知するようにしてもよい。また、報知手段は券売機やレジスタの本体に設けられる場合に限らず、印字装置100の外側面や管理室等に設けられるようにしてもよい。
【0037】
また、本実施形態では、揺動部材5はマイクロスイッチ8のスイッチボタン8aにより付勢される構成としたが、別途板バネ等の弾性部材により付勢するようにしてもよい。また、第1の検出突起部K1の固定は蝶ネジ7に限らず通常のネジであってもよい。
【0038】
また、本実施形態に係るニヤエンド検出装置Sを備えたロール紙保持具の用途は券売機やレジスターに限定されるものではなく、ロール紙を用いるプリンタを備えた装置全般に適用することが可能である。
【0039】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係るロール紙のニヤエンド検出装置は、印字部に向けて引き出されるロール紙を転動可能に収納するロール紙収納部と、該収納部の側面側に設けられて前記ロール紙の巻径が所定値以下となり、ロール紙が所定位置まで降下した際に前記収納部の内側に変位するように付勢された揺動部材と、この揺動部材の変位に伴って出力が切り替わるスイッチとを少なくとも備えるロール紙のニヤエンド検出装置であって、前記揺動部材は、巻径が所定値以下となった際にロール紙の中空の芯部の内側に変位可能な第1の検出突起部と、該ロール紙の外周に沿って変位可能な第2の検出突起部とを備え、上記第1と第2の検出突起部の両方が前記収納部の内側に変位した際に、上記スイッチの出力が切り替わり、その出力の変化に基づいてロール紙のニヤエンドを検出するようにしたので、ロール紙の巻径が所定値以下になり、ロール紙が所定位置まで降下すると、第1の検出突起部がロール紙の中空の芯部の内側に変位し、同時に第2の検出突起部がロール紙の外周に沿って変位し、それに伴う揺動部材の変位によりスイッチの出力が切り替わるので、誤作動の確率を低減することができ確実にロール紙のニヤエンドを検出することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係るロール紙のニヤエンド検出装置Sを適用したロール紙保持具の斜視図である。
【図2】本実施形態に係るロール紙のニヤエンド検出装置Sの斜視図である。
【図3】本実施形態に係るロール紙のニヤエンド検出装置Sの側面図、上面図および平面図である。
【図4】本実施形態に係るロール紙のニヤエンド検出装置Sの動作を示す概略説明図である。
【図5】本実施形態に係るロール紙のニヤエンド検出装置Sの動作を示す概略説明図である。
【符号の説明】
1 ベース部材
2 検知部材
3 揺動軸
4 フレーム部材
5 揺動部材
5a スライド溝
5b 作用部
7 蝶ネジ
8 マイクロスイッチ
8a スイッチボタン
100 印字装置
101 フレーム
102 収納部
R ロール紙
K1 第1の検出突起部
K2 第2の検出突起部

Claims (4)

  1. 印字部に向けて引き出されるロール紙を転動可能に収納するロール紙収納部と、該収納部の側面側に設けられて前記ロール紙の巻径が所定値以下となり、ロール紙が所定位置まで降下した際に前記収納部の内側に変位するように付勢された揺動部材と、この揺動部材の変位に伴って出力が切り替わるスイッチとを少なくとも備えるロール紙のニヤエンド検出装置であって、
    前記揺動部材は、巻径が所定値以下となった際にロール紙の中空の芯部の内側に変位可能な第1の検出突起部と、該ロール紙の外周に沿って変位可能な第2の検出突起部とを備え、
    上記第1と第2の検出突起部は上記揺動部材の回動軸と略平行に並設されており、 上記第1と第2の検出突起部の両方が前記収納部の内側に変位した際に、上記スイッチの出力が切り替わり、その出力の変化に基づいてロール紙のニヤエンドを検出することを特徴とするロール紙のニヤエンド検出装置。
  2. 上記揺動部材は、上記収納部の側方に取り付け可能なフレームに揺動可能に軸支されると共に、弾性体により収納部の内側に付勢され、上記第1と第2の検出突起部がロール紙の側面に押し当てられた際に回動軸を中心に後退するように構成されていることを特徴とする請求項1記載のロール紙のニヤエンド検出装置。
  3. 上記スイッチは、弾性体により外側へ付勢されたスイッチボタンを有するマイクロスイッチで構成され、そのスイッチボタンは上記揺動部材の回動軸近傍に当接され、上記第1と第2の検出突起部がロール紙の側面に当接した未検出状態において、上記スイッチボタンを押圧状態に維持するとともに、上記第1と第2の検出突起部がロール紙の側面に当接していない状態において、上記スイッチボタンの押圧を解除した状態となるように構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のロール紙のニヤエンド検出装置。
  4. 上記第1と第2の検出突起部の少なくとも一方は、互いの相対距離を変更可能に取り付けられ、前記ロール紙のニヤエンドの検出可能な巻径を変更できるように構成されていることを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載のロール紙のニヤエンド検出装置。
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