JP3679481B2 - インクセット、インクジェット記録方法及びインクジェット機器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、少なくとも2色以上の複数色の原色インクを用い、これらの原色インクを組み合わせて被記録材上にカラー画像を記録する際に使用するインクセット、インクジェット記録方法及びインクジェット機器に関し、とりわけ、インクジェット方式による画像記録における普通紙に対して発色性に優れ、鮮明で高品質な画像が得られ、更に印字物の耐水性に優れるインクセット、これを用いるインクジェット記録方法及びインクジェット機器に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録方式は、高電圧印加による静電吸引方式、圧電素子を用いてインク(着色インク)に機械的振動又は変位を与える方式、インクを加熱した際にインクが発泡する圧力を利用する方式等、種々のインク吐出方式によりインクの小滴を発生させ、これを飛翔させて紙等の被記録材にインクを付着させ、インクドットを形成させて記録を行うものであり、騒音の発生が少なく、高速印字、多色印字の行える記録方式である。
【0003】
特に、本願出願人による特公昭61−59911号公報、特公昭61−59912号公報、及び特公昭61−59914号公報等において開示した方式、即ち、吐出エネルギーの供給手段として電気熱変換体を用い、熱エネルギーをインクに与えて気泡を発生させることにより液滴を吐出させる方式によれば、記録ヘッドの高密度マルチオリフィス化が容易に実現でき、高解像度及び高品質の画像を高速で記録することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のインクジェット記録に用いられるインクは、一般に水を主成分としており、これに乾燥防止及び目詰まり防止等の目的からグリコール等の水溶性高沸点溶剤を含有したものが一般的である。このようなインクを用いて普通紙に記録を行った場合には、インクが被記録材の内部に浸透してしまい十分な画像濃度が得られなかったり、被記録材表面の填料、サイズ剤の不均一な分布によると思われる画像濃度の不均一が生じたりした。
又、特にカラー画像を得ようとした場合には、複数色のインクが、先に記録したインクが定着する以前に次々と重ねられるため、異色の画像の境界部分では、色が滲んだり、インクが不均一に混じり合って(以下ブリーディングという)満足すべき画像が得られなかった。又、近年、印字物の耐水性の要求が高まっており、この点からも満足すべき耐水性の印字物は得られていなかった。
【0005】
上記問題を解決する手段として、特開昭55−65269号公報には、インク中に界面活性剤等の浸透性を高める化合物を添加したインクを用いること、又、特開昭55−66976号公報には、揮発性溶媒を主体としたインクを用いることが開示されている。
更に米国特許第5106416号明細書には、カチオン性染料と両性界面活性剤と非イオン両親媒性物質を含有するインクが開示されている。又、米国特許第5342440号明細書には、水不溶性染料と高分子コロイドと界面活性剤を含有するインクが開示されている。又、特開昭60−96673号公報及び特開平4−139272号公報には、ベタイン型アクリル樹脂を用いたインクが開示されている。
【0006】
しかしながら、特開昭55−65269号公報に記載のインク中に、界面活性剤等の浸透性を高める化合物を添加するインクを用いた場合には、インクの被記録材への浸透性が向上し、ブリーディングについてはある程度抑制されるものの、インクが着色剤もろとも被記録材の奥深くまで浸透してしまうため、画像濃度が低下したりする等の不都合があった。又、被記録材表面に対する濡れ性が向上するために被記録材表面においてインクが広がり易く、解像度の低下をきたしたり、滲みが発生したりする等、好ましくないものであった。
又、特開昭55−66976号公報に記載の揮発性溶媒を主体としたインクを用いた場合には、上記のような不都合に加え、記録ヘッドのノズル部での溶剤の蒸発によるノズルの目詰まりが発生し易く、好ましくないものであった。
【0007】
更に米国特許第5106416号明細書のカチオン性染料と両性界面活性剤と非イオン両親媒性物質を含有するインクでは、界面活性剤を臨界ミセル濃度以上で添加することにより、着色剤の拡散を防止するものであるが、基本的には上記特開昭55−65269号と同様に界面活性剤の作用により、インク自体の浸透性が高まり、好ましい画像は得られなかった。
又、米国特許第5342440号明細書の水不溶性染料と高分子コロイドと界面活性剤を含有するインクの場合には、上記米国特許第5106416号明細書の不都合に加え、記録ヘッド内及びノズルでの水不溶性染料の析出、及びコロイドの凝集等によるノズルの目詰まり等が発生することがあり、好ましいものではなかった。
【0008】
又、特開昭60−96673号公報及び特開平4−139272号公報には、ベタイン型アクリル樹脂を用いたインクが、前者は油性インクの滲みを防止する目的から、又、後者は顔料インクの安定性向上の目的から上記アクリル樹脂を添加することが開示されているが、普通紙上での高画質は得られない。又、ここで、ベタイン型アクリル樹脂は、確かに両性的特徴を示すが、カチオン性基とアニオン性基を明確に有しているとはいい難く、更に分子内にアニオン性基を有するモノマーとカチオン性基を有するモノマーとの共重合体ではなく、且つ等電点を持たない。従って、後述の本発明で使用される両性イオン化合物とは基本的に異なるものである。
【0009】
本発明は上記実情に鑑みてなされたもので、本発明の目的は、被記録材、特に普通紙の記録において、十分な画像濃度が得られ、且つ画像濃度の均一性が高く、特にカラー画像におけるブリーディングを防止し、且つ鮮明で均一な高画質画像が得られ、更に印字物の文字品位の向上も図れるインクからなるインクセット、これを用いたインクジェット記録方法及びインクジェット機器を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の目的は以下の本発明によって達成される。即ち、本発明は、被記録材上にインクジェット記録方式でカラー画像を記録する際に用いられる、第1のインクと、該第1のインクとは異なる色の第2のインクと、を組み合わせたインクセットにおいて、上記第1及び第2のインクの各々が、色材及び液媒体を必須成分とし、該第1のインクは、アニオン性又はカチオン性界面活性剤を含み、且つ該第2のインクは、両性イオン化合物を含んでいることを特徴とするインクセット、これを用いたインクジェット記録方法及びインクジェット機器である。
【0011】
より具体的には、例えば、インクセットの構成を、第1のインクに含まれる色材が、アニオン性染料であり、同じく該インク中に含まれる界面活性剤が、アニオン性界面活性剤であり、更に第2のインクに含まれる色材が、カチオン性染料であり、且つ同時に該インク中に両性イオン化合物を含むものとするか、或いは、第1のインクに含まれる色材が、カチオン性染料であり、同じく該インクに含まれる界面活性剤が、カチオン性界面活性剤であり、更に第2のインクに含まれる色材が、アニオン性染料であり、且つ同時に該インク中に両性イオン化合物を含むものとする。
【0012】
その他、第1のインクに含まれる色材が、顔料であり、同じく該インク中に含まれる界面活性剤が、カチオン性界面活性剤であり、更に第2のインクに含まれる色材が、アニオン性染料であり、且つ同時に該インク中に両性イオン化合物を含むものとする。
同様に、第1のインクに含まれる色材が、顔料であり、同じく該インク中に含まれる界面活性剤がアニオン性界面活性剤であり、更に第2のインクに含まれる色材が、カチオン性染料であり、且つ同時に該インク中に両性イオン化合物を含むものとする。
【0013】
【発明の実施の形態】
次に好ましい実施の形態を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
先ず、本発明のインクセットの作用について説明する。例えば、本発明のインクセットの好ましい態様を例にとって説明すると、インクセットを構成している少なくとも1色のインク(第1のインク)の構成成分に、アニオン性染料と、アニオン性界面活性剤とを用い、更に該インクの色とは異なる他の色のインク(第2のインク)の構成成分に、カチオン性染料と、両性イオン化合物とを併用することによって、異なる2色以上のインクを、ほぼ同時に重ね打ちしたり、或いはいずれかのインクが被記録材上で乾燥状態になる以前にその色と異なる色のインクを隣接させて打ち込んだりした場合に、インクの混色を抑制することができる。
【0014】
その結果、得られるカラー画像の不定形な線太りによるフェザリングや、隣接する異色間の境界滲みを軽減することが可能となる。即ち、上記したような構成成分を有する異なる2色のインクを隣接させて打ち込んだ場合、各々のインクを構成している色素であるアニオン性染料とカチオン性染料の染料同士が、接触した時点で反応して不溶性の塩を形成するために、急激な液体間の混色を抑制することができる。しかし、これだけでは、反応不溶化の速度よりも、2色のインクの液体間での拡散速度が上回っていたり、更には反応による不溶化物質自体の分子量が不十分であると、異なる2色の液体の間で拡散するために混色抑制効果は不充分である。
【0015】
従って、この効果をより充分なものにするためには、前述の異なる2色のインク間でのアニオン性物質とカチオン性物質との不溶化反応速度を更に上げる必要があるが、それは異なる2色のインク間の反応基の数を増加させることで実現し得る。更には、アニオン性物質とカチオン性物質との不溶化物の拡散を抑制する必要があるが、それは生成する不溶化物の分子量を上げることで実現し得る。
そこで、第1のインクがアニオン性染料を含む場合、反応基であるアニオン性基の数をインク中でより多くすると共に、第2のインクのカチオン性物質との造塩物の分子量を増大させるには、炭素数の多い疎水基を有するアニオン性界面活性剤を同時に添加することで実現し得る。更に第2のインク中にカチオン性染料と共に両性イオン化合物を添加しておけば、カチオン性染料と両性イオン化合物の両者の反応物と、第1のインクのアニオン性物質とが反応し、より分子量の高い造塩物を作り、異なる2色のインク間のインクの定着時での境界滲みや混色時の線太りがより効果的に防止される。
【0016】
又、以上の場合とは逆の場合も同様に、第1のインクがカチオン性染料を含む場合、反応基であるカチオン性基の数をインク中でより多くすると共に、第2のインクのアニオン性物質との造塩物の分子量を増大させるには、炭素数の多い疎水基を有するカチオン性界面活性剤を同時に添加することで実現し得る。更に第2のインク中にアニオン性染料と共に両性イオン化合物を添加しておけば、アニオン性染料と両性イオン化合物の両者の反応物と、第1のインクのカチオン性物質とが反応し、より分子量の高い造塩物を作り、異なる2色間のインクの定着時での境界滲みや混色時の線太りがより効果的に防止される。
【0017】
その他、第1のインク中に顔料又は油性若しくは分散染料等の非水溶性染料の水性分散体が使用されている場合も、アニオン性界面活性剤を共に含有させ、第2のインクにはカチオン性染料及び両性イオン化合物が共に使用されていれば、顔料又は非水溶性染料とカチオン性染料とは接触した時点で互いに溶け合うことなく、むしろ反発するために急激な液体間の混色を抑制するものであるが、双方のインクに含まれるアニオン性物質とカチオン性物質とが反応することで2種のインク間の接触部が増粘等の物性変化により、2種のインク間の拡散が抑えられて同様の効果が期待できる。或いは逆に、第1のインク中に顔料又は油性若しくは分散染料等の非水溶性染料の水性分散体が使用されている場合も、カチオン性界面活性剤を共に含有させ、第2のインクにはアニオン性染料及び両性イオン化合物が共に使用されていれば、同様の効果が期待できる。
【0018】
次に、本発明のインクセットを構成する成分について説明する。
先ず、本発明のインクセットで使用されるインクは、アニオン性染料、カチオン性染料及び顔料と、アニオン性界面活性剤又はカチオン性界面活性剤、及び両性イオン化合物を適当な液媒体に溶解ないしは分散して得られる。
このようなインク中における色材の濃度は所望に応じて適宜決定されるが、通常は、0.001〜20重量%、好ましくは0.01〜15重量%、より好ましくは0.01〜10重量%の範囲とする。又、インク中におけるアニオン性又はカチオン性界面活性剤或いは両性イオン化合物の濃度は所望応じて適宜決定されるが、通常は、0.001〜50重量%、好ましくは0.01〜25重量%、より好ましくは0.01〜10重量%の範囲とする。
【0019】
上記したような本発明のインクセットを構成する第1及び第2のインクは、染料又は顔料等が液媒体に溶解又は分散されて構成されるが、この際に用いられる液媒体としては、水と有機溶剤との混合物を用いるのが好ましい。液媒体を混合形態とすると、極めて長期間(例えば、6ケ月或いは1年以上)に亘ってインクの物性変化或いは化学的性質(例えば、pH値)の変化が抑制されるという利点がある。
【0020】
本発明において用いられる有機溶剤としては、下記に挙げるような水溶性有機溶剤の中から所望に応じて適宜に選択されて使用される。具体的には、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、iso−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、iso−ブチルアルコール、アミルアルコール、n−ヘキサノール、シクロヘキサノール等の炭素数1〜7のアルキルアルコール類;アセトン、ジアセトンアルコール等のケトン又はケトンアルコール類;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等のアルカノールアミン類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、チオジグリコール、ブチレングリコール、グリセリン等のアルキレン基が2〜6個の炭素原子を含む多価アルコール類;エチレングリコールモノメチル(又はエチル或いはプロピル)エーテル、ジエチレングリコールモノメチル(又はエチル或いはブチル)エーテル、ジエチレングリコールジメチル(又はエチル)エーテル、ポリエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル等のアルキレングリコールから誘導された低級アルキルモノ又はジエーテル類(全炭素数は3〜8個);2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン等の窒素含有5員環ケトン類;α−バレロ−ラクトン、ε−カプロラクトン、ブチルラクトン等のオキシカルボン酸の分子内エステル類;モルホリン、ジメチルイミダゾリジンスルホラン等を挙げることができる。
【0021】
上記したような水溶性有機溶剤のインク中における含有量は、一般には5〜90重量%、好ましくは10〜80重量%、より好ましくは10〜50重量%の範囲であり、水の含有量は、一般には10〜90重量%、好ましくは10〜70重量%、より好ましくは20〜70重量%の範囲内とされる。
【0022】
本発明のインクセットを構成するインクの成分として好適に用いられるアニオン性又はカチオン性界面活性剤及び両性イオン化合物としては、既存のものでも、又、新規に合成したものでも、インクに必要な物性と、本発明の目的を達成し得る性能が得らるものであれば、大抵のものを使用することができる。
先ず、アニオン性界面活性剤としては、例えば、その親水基にはカルボン酸塩、スルホン酸塩、硫酸エステル塩、リン酸エステル塩等を有し、更に疎水基には炭素数が12〜18のパラフィン系、オレフィン系、炭素数が11〜15のアルキル基を有するベンゼン、炭素数が1〜5のアルキルナフタレン、炭素数が12〜18のアルキルフェノール、高級アルコール、高級メルカプタン、炭素数が11〜18の高級脂肪酸、総和炭素数が8〜21の高級脂肪酸エステル、炭素数が11〜17の多価アルコール脂肪酸部分エステル、炭素数が11〜17の高級脂肪酸アミド、その他の油脂、及びロウ等を原材料としたものから構成されたものが挙げられる。
【0023】
カチオン性界面活性剤としては、例えば、その親水基には第4級アンモニウム塩、ベンジルハライドの第4級アンモニウム塩、アミン塩、アルカノールアミン塩、ピリジニウム塩等を有し、疎水基には高級脂肪酸、炭素数が12〜34の高級アミン、炭素数が11〜17の高級脂肪酸アミド、炭素数が11〜17の高級アルキルハライド等Y素数が11〜18の高級脂肪酸、炭素数が12〜34の高級アミン、炭素数が11〜17の高級脂肪酸アミド、炭素数が11〜17の高級アルキルハライド等を原材料としたものから構成されたものが挙げられる。
【0024】
又、本発明のインクセットを構成する構成成分として用いられる両性イオン化合物としては、既存のものでも、又、新規に合成したものでも、インクに要求される適度な物性と、本発明の目的を達成し得る性能が得られれば大抵のものを好適に使用することができる。両性イオン化合物には、両性界面活性剤が含まれるが、これらは本発明において好適に用いられる。両性界面活性剤としては、具体的には、例えば、疎水基が炭素総数8〜18の直鎖及び分岐アルキルアミン、不飽和アルキルアミン、アルキル脂肪酸、アルキルハライド等であり、親水基がポリアミン類、モノクロロ酢酸塩、アクリル酸、カプロラクタム、マレイン酸、クロルアルキルスルホン酸塩、アミノスルホン酸塩、エチレンオキサイド、アミノエチルエタノールアミン、硫酸化剤等から合成されるものであり、ベタイン型化合物、アミノ酸誘導体、イミダゾリン誘導体等が挙げられ、これらを単独ないしは数種類を適宜組み合わせて使用することができる。
【0025】
更に本発明において用いられる両性イオン化合物としては、上記したような両性界面活性剤の他、下記一般式(I)で示される化合物も好適に使用することができる。
(式中、R1は炭素数1〜48のアルキル基又は水素原子を表し、R2は(CH2)a−X1又は水素原子を表し、aは1〜4のいずれかの整数とする。R3は(CH2)b−X2又はR4−Y又は水素原子を表し、bは1〜4のいずれかの整数とする。R4は炭素数1〜48のアルキル基又は水素原子を表す。Zは(NR5 ClH2l)c(NHCnH2n)dを表し、l及びnは2〜4のいずれかの整数、c+dは0〜50のいずれかの整数とする。Yは(NR6CmH2m)e(NHCpH2P)fを表し、m及びpは2〜4のいずれかの整数、e+fは0〜50のいずれかの整数とする。R5は(CH2)g−X3を表し、gは1〜4のいずれかの整数とする。R6は(CH2)h−X4を表し、hは1〜4のいずれかの整数とする。X1、X2、X3及びX4は、夫々、カルボキシル基、カルボキシル基の塩、スルホン基、スルホン基の塩又は水素原子からなる群から選ばれる。又、R2及びR3が夫々水素原子である時、c及びeが共に0になることはなく、又、X1、X2、X3及びX4 が全て水素原子になることもない。)
【0026】
本発明のインクセットを構成するインクの成分として用いられるアニオン性染料としては、既存のものでも、又、新規に合成したものでも適度な色調と濃度とを有するものであれば、大抵のものを使用することができる。又、これらのうちのいずれかを混合して用いることもできる。アニオン性染料の具体的なものとしては、例えば、下記のようなものが挙げられる。
C.I.ダイレクトイエロー 8、11、12、27、28、33、39、44、50、58、85、86、87、88、89、98、100、110、
C.I.ダイレクトレッド 2、4、9、11、20、23、24、31、39、46、62、75、79、80、83、89、95、197、201、218、220、224、225、226、227、228、230、
C.I.ダイレクトブルー 1、15、22、25、41、76、77、80、86、90、98、106、108、120、158、163、168、199、226、
【0027】
C.I.ダイレクトブラック 17、19、22、31、32、51、62、71、74、112、113、154、168、195、
C.I.アシッドイエロー 1、3、7、11、17、23、25、29、36、38、40、42、44、76、98、99、
C.I.アシッドレッド 6、8、9、13、14、18、26、27、32、35、42、51、52、80、83、87、89、92、106、114、115、133、134、145、158、198、249、265、289、
C.I.アシッドブルー 1、7、9、15、22、23、25、29、40、43、59、62、74、78、80、90、100、102、104、117、127、138、158、161、
【0028】
C.I.アシッドブラック 2、48、51、52、110、115、156、
C.I.リィアクティブイエロー 2、3、17、25、37、42、
C.I.リィアクティブレッド 7、12、13、15、17、20、23、24、31、42、45、46、59、
C.I.リィアクティブブルー 4、5、7、13、14、15、18、19、21、26、27、29、32、38、40、44、100、
C.I.フードイエロー 3、
C.I.フードレッド 87、92、94、
C.I.フードブラック1、2
【0029】
本発明のインクセットを構成するインクの成分として用いられるカチオン性染料としては、既存のものでも、又、新規に合成したものでも適度な色調と濃度とを有するものであれば、大抵のものを使用することができる。又、これらのうちのいずれかを混合して用いることもできる。カチオン性染料の具体的なものとしては、例えば、下記のようなものが挙げられる。
C.I.ベーシックイエロー 1、11、13、19、25、33、36、
C.I.ベーシックレッド 1、2、9、12、13、38、39、92、
C.I.ベーシックブルー 1、3、5、9、19、24、25、26、28、45、54、65、
C.I.ベーシックブラック 2、8、
Aizen Cathilon Black SBH、BXH、SH、ACH、MH、TH(保土ケ谷化学製)
Sumiacryl Black B、R、AP、BP、CP、FFP(住友化学製)、
Diacryl Supra Black GSL、RSL、ESL(三菱化成製)、
【0030】
本発明のインクセットを構成するインクの成分として用いられる分散染料を含む非水溶性染料としては、既に市販されているもの、又は、新規に合成したものでも適度な色調と濃度を有するものであれば大抵のものを使用することができるし、又、複数の染料を混色させて用いることもできる。本発明に使用し得る非水溶性染料としては、例えば、下記のようなものが挙げられる。
【0031】
C.I.ディスパースイエロー 3、4、5、7、23、33、42、49、54、56、64、71、79、82、83、86、88、93、99、116、119、141、160、163、198、204、218、224、226、230、
【0032】
C.I.ディスパースレッド 1、4、5、7、11、12、13、15、17、30、33、43、50、52、53、54、55、56、58、59、60、65、72、73、74、75、76、82、86、88、90、91、92、96、105、106、107、110、117、118、126、127、128、131、132、134、135、136、137、140、143、145、146、151s、153、159、164、167、169、177、181、184、188、190、191、200、203、205、206、221、223、224、225、227、229、239、240、258、277、278、279、283、288、302、309、311、312、323、329、332、340、341、343、
【0033】
C.I.ディスパースブルー 1、3、7、13、19、26、27、35、44、54、55、56、60、64、65、72、73、79、81、82、87、91、93、94、96、102、106、118、120、122、125、128、130、139、142、143、146、148、149、153、154、165、167、181、183、185、186、189、198、200、201、205、207、214、224、225、257、259、266、268、270、284、285、287、288、291、293、301、330、332、333、337、341、345、351、352、353、
【0034】
C.I.ディスパースブラック 1、9、10、Black GL、BlackB、Black L、Black 2B、Black B−T、Black OBL、Black RSR、Black TK、Black TG、Black S−CTL、Black H−DB、Black RD−SGT、Black S−2BL、Black S−3BL、Black S−5BL、Black S−BNL、Black S−3GLN、Black S−ST、Black S−FGB、Black S−SGN、Black S−WLA、Black S−WLAT、Black B82、Black BTNU82、Black 2BL、Black HR−FS、Black RB−FS、Black HG−FS、Black GB−FS、Black KN−FS。
尚、本発明において好適な非水溶性染料は上記に列挙したものに限定されるものではない。
【0035】
本発明のインクセットを構成するインクにおいて用いられる、分散型インクの色成分に好適に使用される顔料としては、既存のものでも、又、新規に合成したものでも、インクに適度な色調と濃度を有するものであれば、大抵のものを使用することができる。具体的には、例えば、チタン系、ベンガラ、アルミニウム粉、タルク、クレー、炭酸カルシウム、及びシリカ等の無機顔料;カーボンブラック、アゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、コチニール、及び紅花色素等の有機顔料等が挙げられる。
【0036】
又、この他にも分散型インクにおいては、非水溶性染料の分散剤又は可溶化剤として機能し得る高分子物質を使用することができる。このようなものとしては、例えば、ソルビタン脂肪酸誘導体、硫酸エステル誘導体、ポリオキシエチレンアルキレンエーテル型硫酸エステル、隣酸エステル誘導体、第4級アンモニウム塩誘導体、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルエステル類、脂肪酸類、アルケニルコハク酸塩類、高級アルコール硫酸エステル塩類、アルキルベンゼンスルホン酸ソーダ、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩類、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物等を含む界面活性剤を適宜に使用することができる。
【0037】
又、特に顔料を使用する場合、必要に応じて分散剤として、例えば、アニオン又はノニオン系界面活性剤、ポリリン酸塩系分散剤、ナフタレンスルホン酸塩のホルマリン縮合物、ポリアクリル酸、ポリスチレンスルホン酸、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体等のビニル化合物とカルボン酸系樹脂や、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸部分アルキルエステル、ポリアクリルポリアミン等の樹脂を適宜使用できる。
【0038】
分散型インクは、以上のような着色剤と分散剤又は可溶化剤の混合体をpH調整した後、ボールミル、ロールミル、及びサンドミル等の分散機を用いて分散処理或いは必要に応じて遠心分離機にて遠心処理や濾過を行うことで予め分散液を調製した後、溶剤、界面活性剤、両性イオン化合物等の添加剤を加えて得ることができる。
【0039】
以上のようにして調合される本発明で使用される各種のインクは、特に、サイズ度の高い被記録材との親和性に優れ、高速記録性、記録画像の光学濃度、色調、耐水性、耐摩擦性或いは耐光性に特に優れている。又、保存安定性、信号応答性、液滴形成の安定性、吐出安定性或いは連続記録性等に優れた実用的なインクである。
【0040】
本発明で使用される各種インクには、上記したような各種成分の他に、更にインクの物性値を改善する目的で種々の添加剤を使用してもよい。例えば、pH調整剤、尿素のような結晶性有機化合物の乾燥防止剤、粘度調整剤、種々の界面活性剤等の表面張力調整剤、防カビ或いは殺菌剤等が挙げられる。或いは又、インクの液滴を帯電させ偏向することによって記録を行う方式が採用される場合には、添加剤として特に比抵抗調整剤を挙げることができる。
本発明は、以上のような優れた特性を有する所望の物性値に調合した各色インクを調製し、少なくとも異なる2色以上のインクを組み合わせたインクセットとし、種々のインクジェット記録方式にこれを適用することによって、高濃度で高品位の画像が形成される。即ち、本発明では、上記で述べた物性を有する2色以上のインクを使用し、インクジェット方式により画像を形成することによって、所期の目的を達成する。
【0041】
本発明のインクジェット記録方法に適用されるインクジェット方式としては、従来公知の方式を何れも使用することができる。即ち、ピエゾ振動子の機械的振動を利用して液滴を発生させるタイプの記録ヘッドを有する記録装置以外の種々のインクジェット記録装置も好ましく用いられる。例えば、記録ヘッド内のインクに熱エネルギーの形で記録信号を与え、液滴を発生させて記録を行う装置等にも好適に用いられる。
尚、本発明に用いる黒色インク又はカラーのインクは、サインペン、万年筆等の筆記具用のインクに使用されてもよい。但し、筆記具用のインクとして使用する場合には、粘度、表面張力等をはじめ、種々の特性を筆記具用に調整する必要がある。
【0042】
以下、上記した記録ヘッドの室内のインクに記録信号に対応した熱エネルギーを与え、該エネルギーにより液滴を発生させて記録を行う本発明に適用される記録装置について説明する。その装置の主要部であるヘッド構成例を、図1、図2及び図3に示す。
【0043】
ヘッド13は、インクを通す溝14を有するガラス、セラミック又はプラスチック板等と、感熱記録に用いられる発熱ヘッド15(図では薄膜ヘッドが示されているが、これに限定されるものではない。)とを接着して得られる。発熱ヘッド15は、酸化シリコン等で形成される保護膜16、アルミニウム電極17−1及び17−2、ニクロム等で形成される発熱抵抗体層18、蓄熱層19、及びアルミナ等の放熱性のよい基板20より成っている。
【0044】
インク21は吐出オリフィス(微細孔)22まで来ており、圧力Pによりメニスカス23を形成している。
今、アルミニウム電極17−1及び17−2に電気信号情報が加わると、発熱ヘッド15のnで示される領域が急激に発熱し、ここに接しているインク21に気泡が発生し、その圧力でメニスカス23が突出し、インク21が吐出しインク小滴24となり、吐出オリフィス22より被記録材25に向って飛翔する。
【0045】
図3には図1に示すヘッドを多数並べたマルチヘッドの外観図を示す。該マルチヘッドはマルチ溝26を有するガラス板27と、図1で説明したものと同様の発熱ヘッド28を密着して作製されている。尚、図1は、インク流路に沿ったヘッド13の断面図であり、図2は図1のA−B線での断面図である。
【0046】
図4に、上記ヘッドを組み込んだインクジェット記録装置の一例を示す。図4において、61はワイピング部材としてのブレードであり、その一端はブレード保持部材によって保持されて固定端となり、カンチレバーの形態をなす。ブレード61は記録ヘッド65による記録領域に隣接した位置に配置され、又、本例の場合、記録ヘッド65の移動経路中に突出した形態で保持される。
62は記録ヘッド65の吐出口面のキャップであり、ブレード61に隣接するホームポジションに配設され、記録ヘッド65の移動方向と垂直な方向に移動して、インク吐出口面と当接し、キャッピングを行う構成を備える。更に63はブレード61に隣接して設けられるインク吸収体であり、ブレード61と同様、記録ヘッド65の移動経路中に突出した形態で保持される。
【0047】
上記ブレード61、キャップ62及びインク吸収体63によって吐出回復部64が構成され、ブレード61及びインク吸収体63によってインク吐出口面の水分、塵挨等の除去が行われる。
65は吐出エネルギー発生手段を有し、吐出口を配した吐出口面に対向する被記録材にインクを吐出して記録を行う記録ヘッド、66は記録ヘッド65を搭載してその移動を行うためのキャリッジである。
キャリッジ66はガイド軸67と摺動可能に係合し、キャリッジ66の一部はモーター68によって駆動されるベルト69と接続(不図示)している。これによりキャリッジ66はガイド軸67に沿った移動が可能となり、記録ヘッド65による記録領域及びその隣接した領域の移動が可能となる。
【0048】
51は被記録材を挿入するための給紙部、52は不図示のモーターにより駆動する紙送りローラーである。これらの構成によって記録ヘッド65の吐出口面と対向する位置へ被記録材が給紙され、記録が進行するにつれて排紙ローラー53を配した排紙部へ排紙される。
上記構成において記録ヘッド65が記録終了等でホームポジションに戻る際、吐出回復部64のキャップ62は記録ヘッド65の移動経路から退避しているが、ブレード61は移動経路中に突出している。この結果、記録ヘッド65の吐出口面がワイピングされる。尚、キャップ62が記録ヘッド65の吐出面に当接してキャッピングを行う場合、キャップ62は記録ヘッドの移動経路中に突出するように移動する。
【0049】
記録ヘッド65がホームポジションから記録開始位置へ移動する場合、キャップ62及びブレード61は、上述したワイピング時の位置と同一の位置にある。この結果、この移動においても記録ヘッド65の吐出口面はワイピングされる。上述の記録ヘッド65のホームポジションへの移動は、記録終了時や吐出回復時ばかりでなく、記録ヘッド65が記録のために記録領域を移動する間に所定の間隔で記録領域に隣接したホームポジションへ移動し、この移動に伴って上記ワイピングが行われる。
【0050】
【実施例】
次に実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明する。尚、以下の記載で、部又は%とあるものは特に断りのない限り重量比率を示すものである。
実施例1
(第1のインク成分)
・C.I.ダイレクトブラック195 3部
・エチルアルコール 1部
・エチレングリコール 10部
・尿素 5部
・スルホコハク酸ジオクチルナトリウム 0.1部
・イオン交換水 80.9部
【0051】
(第2のインク成分)
・C.I.ベーシックイエロー25 2.5部
・エチルアルコール 1部
・エチレングリコール 10部
・ラウリルジアミノエチルグリシンナトリウム塩 2部
・イオン交換水 84.5部
各インクは、上記第1及び第2のインク成分を容器の中で充分撹拌し、孔径0.45μmのテフロンフィルターで加圧濾過して調製した。
【0052】
実施例2
(第1のインク成分)
・C.I.ベーシックレッド92 2.5部
・エチルアルコール 1部
・エチレングリコール 10部
・尿素 5部
・塩化セチルトリメチルアンモニウム 0.1部
・イオン交換水 81.4部
【0053】
各インクは、上記第1及び第2のインク成分を容器の中で充分撹拌し、孔径0.45μmのテフロンフィルターで加圧濾過して調製した。
【0054】
実施例3
(第1のインク成分)
・C.I.アシッドブルー9 2部
・エチルアルコール 2部
・ジエチレングリコール 5部
・ポリエチレングリコール(平均分子量400) 5部
・下記構造式Aの化合物 1部
・イオン交換水 85部
第1のインクは、上記成分を容器の中で充分撹拌し、孔径0.45μmのテフロンフィルターで加圧濾過して調製した。
【0055】
(第2のインク成分)
<染料分散体成分>
・C.I.ディスパースイエロー230 5部
・ナフタレンスルホン酸ホルムアミド縮合物 10部
<染料分散体以外のインク成分>
・エチルアルコール 5部
・ジエチレングリコール 10部
・尿素 5部
・イオン交換水 65部
第2のインクは、染料分散体の成分を容器の中で充分撹拌し、ジルコニウムビーズを体積換算で50%充填した後、分散機により約3時間分散した後、孔径2.5μmのテフロンフィルターで加圧濾過をして粗大粒子を除去し、更に染料分散体以外のインク成分を添加し、水酸化ナトリウム等のpH調整剤でpHを7〜9に調整して撹拌した後、孔径1μmのテフロンフィルターで加圧濾過して調製した。
【0056】
実施例4
(第1のインク成分)
・Aizen Cathilon Black BXH(保土ケ谷化学) 3部
・エチルアルコール 2部
・エチレングリコール 5部
・ポリエチレングリコール(平均分子量400) 5部
・下記構造式Bの化合物 1部
・イオン交換水 84部
第1のインクは、上記成分を容器の中で充分撹拌し、孔径0.45μmのテフロンフィルターで加圧濾過して調製した。
【0057】
(第2のインク成分)
<染料分散体成分>
・C.I.ディスパースレッド88 5部
・ナフタレンスルホン酸ホルムアミド縮合物 10部
<染料分散体以外のインク成分>
・エチルアルコール 5部
・ジエチレングリコール 10部
・尿素 5部
・イオン交換水 65部
第2のインクは、染料分散体の成分を容器の中で充分撹拌し、ジルコニウムビーズを体積換算で50%充填した後、分散機により約3時間分散した後、孔径2.5μmのテフロンフィルターで加圧濾過をして粗大粒子を除去し、更に染料分散体以外のインク成分を添加し、水酸化ナトリウム等のpH調整剤でpHを7〜9に調整し撹拌した後、孔径1μmのテフロンフィルターで加圧濾過して調製した。
【0058】
実施例5
(第1のインク成分)
<顔料分散体成分>
・Hostaperm Pink E(着色剤、Hoechst製) 15部
・スチレン−アクリル酸−アクリル酸エチル共重合体 0.7部
(酸価174、平均分子量9,000)
・モノエタノールアミン 0.4部
・エチレングリコール 5部
・イオン交換水 78.9部
【0059】
上記の顔料分散体成分のうち、着色剤とエチルアルコールを除く成分を容器の中で混合し、ウォーターバスで70℃で加温して撹拌し、樹脂成分を完全に溶解させた後、着色剤とエチルアルコールを加えて30分撹拌混合し、ジルコニウムビーズを体積換算で50%充填した後、分散機により約3時間分散した後、遠心分離処理をして粗大粒子を除去した後、溶剤その他の添加剤を加えて混合し、1時間撹拌して顔料分散体を作製した。
<顔料分散体を含むインク成分>
・上記顔料分散体 40部
・グリセリン 10部
・エチレングリコール 10部
・エタノール 1部
・ポリエチレンラウリル硫酸ナトリウム 0.2部
・イオン交換水 38.8部
上記成分を混合し、1時間撹拌して顔料インクを調製した。
【0060】
(第2のインク成分)
・C.I.ベーシックイエロー25 2.5部
・エチルアルコール 1部
・エチレングリコール 10部
・ラウリルベタイン 2部
・イオン交換水 84.5部
第2のインクは、上記成分を容器の中で充分撹拌し、孔径0.45μmのテフロンフィルターで加圧濾過して調製した。
【0061】
比較例1
(第1のインク成分)
・C.I.ダイレクトブラック195 3部
・エチルアルコール 1部
・エチレングリコール 10部
・尿素 5部
・イオン交換水 81部
(第2のインク成分)
・C.I.ベーシックイエロー25 2.5部
・エチルアルコール 1部
・エチレングリコール 10部
・イオン交換水 86.5部
各インクは、上記第1及び第2のインク成分を容器に中で充分撹拌し、孔径0.45μmのテフロンフィルターで加圧濾過して調製した。
【0062】
但し、上記構造式A、B、a、及びbは、下記に示されるものである。
構造式Aの化合物
C25H51NH(C2H4NH)3CH2SO3Li
構造式Bの化合物
C15H31NH(C2H4NH)2C2H4COONH4
【0063】
構造式aの染料
【0064】
構造式bの染料
【0065】
[評価方法]
上記の実施例1〜5及び比較例1の各インクを用いて、以下の市販コピー用紙を含む上質紙に印字を行った。
・キヤノン製コピー用紙:PB PAPER
・ゼロックス製:4024 PAPER
・FOX RIVER製:PLOVER BOND PAPER
【0066】
▲1▼ 印字画像品位
印字画像は図5に示す通り、1cm四方の正方形内に、5×5のマス目で仕切り、2色で交互にベタ印字したものにより、2色間のブリーディング画像品位を以下の評価基準によって評価した。その結果を表1に示す。
(評価基準)
○:2色間の境界線が鮮明で、境界部に滲みや混色が見られない。
△:2色間の境界線が存在することが明らかであるが、境界部に多少の滲みや混色が見られる。
×:2色間の境界線が識別不能である。
【0067】
▲2▼ 文字品位
次に、単色文字品位及び混色文字品位の評価を行った。文字は、A4サイズの上質紙に1500文字の英数文字及び漢字の文章によるもので、打ち込み比率が、単色で100%、及び2色混色で200%で印字した。評価基準は以下の通りである。その結果を表1に示す。
(評価基準)
○:文字のエッジが鮮明で滲みによるフェザリングや線太りが見られない。
△:文字のエッジが多少滲み、均一な線太りが見られる。
×:文字のエッジが滲んでフェザリングが顕著で、不均一な線太りが見られる。
【0068】
[評価機]
使用したインクジェット記録装置としては、図4に示したと同様の記録装置を用い、図7に示した4つのヘッドを用いてカラー画像を形成した。尚、ここで用いた記録ヘッドとしてはBJC820(商品名、キヤノン社製インクジェットプリンター)に使用されているものと同一の記録ヘッドを用いた。記録ヘッドの駆動条件、即ちヒーターへの通電条件は各ヘッドとも印加電圧28V、パルス幅3.2μsec、駆動周波数5kHzとした。
【0069】
表1:評価結果
【0070】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、同一の被記録材に対して、異なる2色間の境界部におけるブリーディングのない、鮮明な文字品位の高画質カラー画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】インクジェット記録装置のヘッドの縦断面図である。
【図2】インクジェット記録装置のヘッドの横断面図である。
【図3】図1に示したヘッドをマルチ化したヘッドの外観斜視図である。
【図4】インクジェット記録装置の一例を示す斜視図である。
【図5】画像品位評価パターンである。
【符号の説明】
13:ヘッド
14:インク溝
15:発熱ヘッド
16:保護膜
17:アルミニウム電極
18:発熱抵抗体層
19:蓄熱層
20:基板
21:インク
22:吐出オリフィス(微細孔)
23:メニスカス
24:インク小滴
25:被記録材
26:マルチ溝
27:ガラス板
28:発熱ヘッド
51:給紙部
52:紙送りローラー
53:排紙ローラー
61:ブレード
62:キャップ
63:インク吸収体
64:吐出回復部
65:記録ヘッド
66:キャリッジ
67:ガイド軸
68:モーター
69:ベルト
Claims (12)
- 被記録材上にインクジェット記録方式でカラー画像を記録する際に用いられる、第1のインクと、該第1のインクとは異なる色の第2のインクと、を組み合わせたインクセットにおいて、上記第1及び第2のインクの各々が、色材及び液媒体を必須成分とし、該第1のインクは、アニオン性又はカチオン性界面活性剤を含み、且つ該第2のインクは、両性イオン化合物を含んでいることを特徴とするインクセット。
- 該第1のインク中の色材が、アニオン性染料であって、且つ該第1のインクがアニオン性界面活性剤を含み、該第2のインク中の色材が、カチオン性染料である請求項1に記載のインクセット。
- 該第1のインク中の色材が、カチオン性染料であって、且つ該第1のインクがカチオン性界面活性剤を含み、該第2のインク中の色材が、アニオン性染料である請求項1に記載のインクセット。
- 該第1のインク中の色材が、顔料であって、且つ該第1のインクが、カチオン性界面活性剤を含み、該第2のインク中の色材が、アニオン性染料である請求項1に記載のインクセット。
- 該第1のインク中の色材が、顔料であって、且つ該第1のインクが、アニオン性界面活性剤を含み、該第2のインク中の色材が、カチオン性染料である請求項1に記載のインクセット。
- 該両性イオン化合物が、両性界面活性剤或いは下記一般式(I)で示される化合物である請求項1〜5のいずれか1項に記載のインクセット:
(式中、R1は炭素数1〜48のアルキル基又は水素原子を表し、R2は(CH2)a−X1又は水素原子を表し、aは1〜4のいずれかの整数とする。R3は(CH2)b−X2又はR4−Y又は水素原子を表し、bは1〜4のいずれかの整数とする。R4は炭素数1〜48のアルキル基又は水素原子を表す。Zは(NR5Cl( エル )H2l( エル ))c(NHCnH2n)dを表し、l(エル)及びnは2〜4のいずれかの整数、c+dは0〜50のいずれかの整数とする。Yは(NR6CmH2m)e(NHCpH2P)fを表し、m及びpは2〜4のいずれかの整数、e+fは0〜50のいずれかの整数とする。R5は(CH2)g−X3を表し、gは1〜4のいずれかの整数とする。R6は(CH2)h−X4を表し、hは1〜4のいずれかの整数とする。X1、X2、X3及びX4は、夫々、カルボキシル基、カルボキシル基の塩、スルホン基、スルホン基の塩又は水素原子からなる群から選ばれる。又、R2及びR3が夫々水素原子である時、c及びeが共に0になることはなく、又、X1、X2、X3及びX4が全て水素原子になることもない。)。 - 該第1のインク及び第2のインクが、インクジェット記録用のインクである請求項1〜6のいずれか1項に記載のインクセット。
- 請求項7に記載のインクセットを構成している第1のインクと、第2のインクと、を各々インクジェット記録方式で被記録材上に付与する工程を有していることを特徴とするインクジェット記録方法。
- 前記工程が、該第1のインクと該第2のインクとが被記録材上で重なるように付与する工程、及び該第1のインクと該第2のインクとを被記録材上で隣接するように付与する工程、の少なくとも一方を含んでいる請求項8に記載のインクジェット記録方法。
- 請求項7に記載のインクセットを構成している第1のインクと第2のインクとの各々を収容しているインク収容部、及び第1のインクと、第2のインクとの各々を吐出させるためのインクジェット記録用ヘッドを備えていることを特徴とする記録ユニット。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載のインクセットを構成している第1のインク及び第2のインクの各々を収容しているインク収容部を備えていることを特徴とするインクカートリッジ。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載のインクセットを構成している第1のインク及び第2のインクの各々を収容しているインク収容部、及び該第1のインク及び第2のインクの各々を吐出させるためのインクジェット記録用ヘッドを有していることを特徴とするインクジェット記録装置。
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