JP3626921B2 - Inorganic hydrophilic hard layer forming material for lens, method for forming inorganic hydrophilic hard layer for lens - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、レンズ表面に高い親水性を付与するために使用するレンズ用無機親水性硬質層形成材料およびこれを用いたレンズ用無機親水性硬質層形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、レンズ表面コート処理による曇り止めメガネレンズに対する需要は高いが、こうした曇り止めを目的としたレンズ表面コート処理は実用的なレベルには達していなかった。これはメガネの仕様条件が非常に厳しく、こうした厳しい仕様条件を充足するメガネレンズの製造が困難であったからである。
【0003】
メガネレンズへの応用の例としては、いわゆるアナターゼ型酸化チタンの光触媒効果に基づく超親水性により、防曇をはかる方法が、例えばWO96/29375号公報に記載されている。これは、n型半導体であるアナターゼ型酸化チタンが、3.2eVのバンドギャップを持ち、波長360nm付近の紫外線を吸収して、価電子帯の電子を伝導帯に送り込み、その結果、価電子帯にホールを形成させると共に、伝導帯に励起電子を生じさせるという光触媒活性を利用するものである。
【0004】
すなわち、これらのホールによる酸化作用、励起電子による還元作用によって、酸化チタン表面の水分子が分解を受け、活性ラジカルが形成される。この活性ラジカルは、その強力な酸化作用によって表面に吸着するオイルなどの汚れ分子を分解し、表面を清澄な状態に保ち、本来の酸化チタン表面の高い親水性を保持することが可能となる。この原則に基づき、光触媒作用を有する酸化チタンをメガネレンズ表面にコートすることも不可能ではないが、酸化チタンの表面を活性化するためには、比較的高いエネルギーの紫外線の照射が必要であり、このような短波長で高エネルギーの紫外線は、メガネのようなレンズの使用環境として適切でない。また、仮にこうした原理を利用するにしても、メガネレンズの場合は、レンズの表面と裏面とで紫外線照射総量に大きな差が生じるため特性が異なってしまい、表面には曇りが発生しないが、裏面では曇りが発生するといった不都合が生ずる。
【0005】
さらに酸化チタンの硬度は、モース硬度で約5程度であり、柔らかいため、拭き取り操作によって、容易に表面傷が形成されてしまうこと、また酸化チタンの屈折率が2.5と高いため、表面が鏡のような状態となることなどの理由で、上記の公報に記載されている技術をメガネレンズに適用するのは妥当でない。
さらにWO96/29375号公報には、光触媒活性を有するアナターゼ型酸化チタンとシリカとを融合させ、親水性を保持し、なおかつ表面の反射率を下げる方法も記載されている。
【0006】
しかしながら、この公報に記載されている発明は、メガネレンズへ応用するには、その条件など仕様が厳しく、また硬度(機械的強度)あるいは反射率の点で問題があり、メガネレンズへの応用は、現在のところ著しく困難である。すなわち、光触媒機能を発現させるためには、複合膜の組成が制限されるため、硬度の向上が望めず、その結果、反射率が若干高くなり、メガネの仕様条件との整合性を取るのが困難であるという問題がある。
【0007】
また、防曇を期待した処理として、スプレーによる溶剤の塗布があるが、一過性であり、水に濡れると効果が消失してしまう点が問題である。また常にスプレーを所持、携帯しなければならないため煩雑でもある。
【0008】
【発明の目的】
本発明は、紫外線の照射などを必要とする光触媒効果や一過性のスプレーによる溶剤塗布ではなく、レンズ、特にメガネレンズに、長期間にわたり防曇効果を維持できる無機親水性硬質層を、比較的容易に形成することができる形成材料およびこの形成材料を用いてレンズ表面に無機親水性硬質層を形成する方法を提供することを目的としている。
【0009】
【発明の概要】
本発明は、フッ素原子の少なくとも一部を捕捉することにより、レンズ表面に析出して、酸化チタンを含有する無機親水性硬質層を形成する複数のヘキサフルオロ金属酸塩を含有しており、該複数のヘキサフルオロ金属酸塩が、ヘキサフルオロケイ酸アンモニウム、ヘキサフルオロジルコニウム酸アンモニウムおよびヘキサフルオロチタン酸アンモニウムを含有すると共に、該ヘキサフルオロチタン酸アンモニウムによって形成される酸化チタンの有する光触媒作用に対する光触媒抑制成分を形成可能なヘキサフルオロ金属酸塩を含有すると共に、界面活性剤を含浸可能に形成できるように無機親水性硬質層を形成するレンズ用無機親水性硬質層形成材料にある。
【0010】
本発明のレンズ用無機親水性硬質層形成材料を用いて形成される無機親水性硬質層は、ケイ素、ジルコニウムおよびチタンの単純酸化物あるいは複合酸化物を含有することが好ましい。
また、本発明の無機親水性硬質層形成材料を構成するヘキサフルオロ金属酸塩は、対応する金属酸化物をフッ化水素酸に溶解した後、中和することにより調製されたものであることが好ましい。
【0011】
特に本発明では、上記ヘキサフルオロ金属酸塩が、ヘキサフルオロケイ酸アンモニウム、ヘキサフルオロジルコニウム酸アンモニウム、ヘキサフルオロチタン酸アンモニウムを含有するものであることが好ましい。
また、本発明のレンズ用無機親水性硬質層形成材料においては、ヘキサフルオロ金属酸塩は、ヘキサフルオロケイ酸アンモニウムと、ヘキサフルオロジルコニウム酸アンモニウムと、ヘキサフルオロチタン酸アンモニウムとからなり、該ヘキサフルオロ金属酸塩を、金属原子比でケイ素とチタンとが99.9/0.1〜60:40、チタンとジルコニウムとが99.9/0.1〜90:10、ケイ素とジルコニウムとが99.9/0.1〜90:10の範囲内になるように配合することが好ましい。
【0012】
上記のようなヘキサフルオロ金属酸塩を使用することにより、酸化チタンが有している光触媒作用は著しく抑制される。すなわち、酸化チタンの光触媒活性は、酸化チタンの結晶構造に依存するが、上記のようにヘキサフルオロジルコニウム酸塩を使用することにより、酸化チタンが良好な光触媒活性を発現させるのに有利な構造を採りにくくなると考えられる。このような酸化チタンの光触媒活性を抑制する成分として、上記のようなジルコニウムの酸化物のほかに、リチウム、カリウム、ナトリウムなどのアルカリ金属も有効である。
【0013】
本発明では、上記のようなヘキサフルオロ金属酸塩を水性媒体に溶解した後、フッ素原子を捕捉すればヘキサフルオロ金属酸塩中の金属が活性な状態で析出させることができ、こうして析出した無機親水性硬質層に含有される酸化チタンの光触媒活性は適度に抑制される。このように光触媒活性が抑制された無機親水性硬質層が形成されると、この無機親水性硬質層の親水性および親媒性が共に良好になり、界面活性剤を含浸できるような無機親水性硬質層が形成され、この無機親水性硬質層に含浸された(あるいは吸着した)界面活性剤が酸化チタンの光触媒作用によって分解されることがなくなり、安定した状態で長期間レンズ表面に存在することができる。
【0014】
本発明のレンズ用無機親水性硬質層形成材料では、このようなヘキサフルオロ金属酸塩のフッ素原子を捕捉する成分がホウ素化合物であることが好ましく、さらに、このようなホウ素化合物は、酸化ホウ素および/またはホウ酸であることが好ましい。
また、形成された無機親水性硬質層は、SiとTiおよびZrとを含有するとともに、F、N、B、HおよびOからなる群からなる少なくとも一種類の原子を含有することが好ましい。
【0015】
さらに本発明のレンズ用無機親水性硬質層形成材料には、ヘキサフルオロジルコニウム酸アンモニウムと、ヘキサフルオロチタン酸アンモニウムとが、金属原子%比換算(Ti/Zr)で、99.9/0.1〜70/30の範囲内の量比で析出するように含まれていることが好ましい。
また本発明のレンズ用無機親水性硬質層形成材料には、ヘキサフルオロケイ酸アンモニウムと、ヘキサフルオロジルコニウム酸アンモニウムおよびヘキサフルオロチタン酸アンモニウムとが、金属原子%比換算(Si/(Ti+Zr))で、99.9/0.1〜60/40の範囲内の量比で析出するように含まれていることも好ましい。
【0016】
さらに、酸化チタンに対する光触媒抑制成分として、アルカリ金属を使用する場合には、塩化リチウム、塩化カリウム、塩化ナトリウムなどのアルカリ金属塩を形成材料に配合する。このアルカリ金属塩を用いると、酸化ケイ素、酸化チタン、必要により酸化ジルコニウムが析出する際にこれらの結晶と共に少量析出し、このアルカリ金属が酸化チタンの光触媒活性を抑制させることができる。
【0017】
本発明において、無機親水性硬質層が形成されるレンズは、表面に硬質層を有することもあるガラスレンズ、または、表面に硬質層を有するプラスチックレンズであることが好ましい。
さらに、本発明のレンズ用無機親水性硬質層の形成方法は、フッ素原子の少なくとも一部を捕捉することにより、レンズ表面に析出して、酸化チタンを含有する無機親水性硬質層を形成する複数のヘキサフルオロ金属酸塩を含有しており、該複数のヘキサフルオロ金属酸塩が、ヘキサフルオロチタン酸塩を含有すると共に、該ヘキサフルオロチタン酸塩によって形成される酸化チタンの有する光触媒作用に対する光触媒抑制成分を形成可能なヘキサフルオロ金属酸塩を含有するレンズ用無機親水性硬質層形成材料を用いて、ケイ素、ジルコニウムおよびチタンの酸化物複合体を含有し、チタンとジルコニウムの構成原子比(Ti/Zr)が3以上である膜状形成物を形成した後、さらに該膜状形成物上に同構成比が3未満の酸化物複合体からなる膜状形成物を形成して無機親水性硬質層となすことを特徴としている。
【0018】
このように本発明の形成材料を用いてレンズ表面に形成された無機親水性硬質層は、酸化チタンの有する光触媒作用に対する光触媒抑制成分を含有すると共に、界面活性剤を介在させることができる層である。このような無機親水性硬質層に含有される酸化チタンの有する光触媒作用が、酸化ジルコニウムなどの金属酸化物からなる光触媒抑制成分によって抑制されることにより、この無機親水性硬質層は、非常に高い親水性および高い親媒性を示す。さらに、この無機親水性硬質層が高い親媒性を有することによって、この無機親水性硬質層に界面活性剤が含浸できるように形成された場合にはその親水性がさらに高くなり、水は水滴の形態では存在し得ず、レンズ表面では極薄水膜となる。つまり、本発明の無機親水性硬質層形成材料で処理して親水性を付与したレンズは、高い防曇性を有し、水洗による清浄化を非常に良好に行うことができると共に、このように水洗しても洗浄水がレンズ表面で水滴状にならないので、乾燥が速く、水分が蒸発した際に滴状の水滴跡などが残留することがない。
【0019】
また、本発明のレンズ用無機親水性硬質層形成材料によってレンズ表面に形成された無機親水性硬質層は、単にレンズ表面を被覆しているのではなく、レンズあるいはレンズの表面に形成された硬質層と結合しているので、非常に高い耐久性を有し、通常の使用で2年以上その高い親水性が保持される(なお、本明細書において、「無機親水性硬質層」とは、本発明の無機親水性硬質層形成材料を用いて形成される界面活性剤を含浸できるような無機親水性硬質層をいい、「硬質層」とは、現在一般に行われているプラスチックあるいはガラスレンズ表面にシリカや有機材料などの複合材料プラスチックをコーティングしたものをいう)。
【0020】
また、本発明のレンズ用無機親水性硬質層形成材料によってレンズ表面に形成された無機親水性硬質層は、レンズとほぼ同等の屈折率を有するので、形成された無機親水性硬質層による像の歪みなどは、ほとんど発生しない。
しかも、本発明のレンズ用無機親水性硬質層形成材料を用いれば、高熱、紫外線のような高いエネルギーの電子線などの高いエネルギー源を使用することなく、水性媒体中で非常に穏和な条件でレンズ表面を非常に高い親水性にすることができる。このような高い親水性を有する無機親水性硬質層を形成する際に、レンズを高熱あるいは高いエネルギー条件下に置く必要がないので、プラスチックのような耐熱性が比較的低く、紫外線のような高エネルギー線によって劣化しやすい材料などで形成されたレンズであっても、非常に穏和な条件で、その表面に非常に高い親水性を付与することができる。本発明の材料を使用すれば、このように紫外線を関与させることなく、レンズ表面に無機親水性硬質層を形成することができるので、レンズの親水性化処理が非常に容易になる。また、このレンズの親水性化処理によって処理されるレンズ自体の特性が悪影響を受けることはない。
【0021】
【発明の具体的説明】
次に本発明のレンズ用無機親水性硬質層形成材料およびこれを用いたレンズの無機親水性硬質層形成方法について具体的に説明する。
本発明のレンズ用無機親水性硬質層形成材料は、複数のヘキサフルオロ金属酸塩の混合物である。ここで使用されるヘキサフルオロ金属酸塩は、水性媒体に可溶であると共に、この水に溶解した状態のヘキサフルオロ金属酸塩を形成するフッ素原子の少なくとも一部を捕捉することにより金属を含有する化合物が析出するという特性を有している。
【0022】
このようなヘキサフルオロ金属酸塩としては、ヘキサフルオロチタン酸アンモニウム((NH4)2TiF6:6フッ化チタンアンモニウム)を使用する。さらに本発明のレンズ用無機親水性硬質層形成材料においては、上記ヘキサフルオロチタン酸アンモニウム((NH4)2TiF6:6フッ化チタンアンモニウム)から形成される酸化チタンの光触媒作用をある程度抑制するような金属の酸化物を形成可能なヘキサフルオロ金属酸塩を使用する。このようなヘキサフルオロ金属酸塩の例としては、
ヘキサフルオロケイ酸アンモニウム((NH4)2SiF6:6フッ化ケイ素酸アンモニウム)、
ヘキサフルオロスズ酸アンモニウム((NH4)2SnF6:6フッ化スズアンモニウム)、および
ヘキサフルオロジルコニウム酸アンモニウム((NH4)2ZrF6:6フッ化ジルコニウムアンモニウム)を挙げることができる。
【0023】
本発明では、上記複数のヘキサフルオロ金属酸塩を用いて形成された無機親水性硬質層が、SiとTiおよびZrよりなる群から選ばれる少なくとも一種類の金属原子を含有するとともに、F、N、B、HおよびOからなる群からなる少なくとも一種類の原子を含有することが好ましいことから、このようなヘキサフルオロ金属酸塩として、ヘキサフルオロケイ酸アンモニウム((NH4)2SiF6:6フッ化ケイ素酸アンモニウム)およびヘキサフルオロチタン酸アンモニウム((NH4)2TiF6:6フッ化チタンアンモニウム)を使用し、ヘキサフルオロチタン酸アンモニウムに起因して形成される酸化チタンの光触媒活性が適度に抑制されるように、光触媒抑制成分となりうる他のヘキサフルオロ金属酸塩を配合して使用することが望ましい。このような光触媒抑制成分としては、ジルコニウムのような金属の酸化物を挙げることができる。ここで使用する他のヘキサフルオロ金属酸塩としては、本発明では、ヘキサフルオロジルコニウム酸アンモニウム((NH4)2ZrF6:6フッ化ジルコニウムアンモニウム)を併用することが好ましい。
【0024】
この場合、(NH4)2SiF6と(NH4)2ZrF6と(NH4)2TiF6との配合比率は、レンズ表面に形成される無機親水性硬質層について、蛍光X線分析により求めた無機親水性硬質層に含有されるSi:Zr:Tiが、原子%で、通常は20:1:10〜2000:10:1、好ましくは200:1:10〜200:10:1の範囲内の量比になるような量で用いられることが望ましい。さらに、ヘキサフルオロケイ酸アンモニウムと、ヘキサフルオロジルコニウム酸アンモニウムと、ヘキサフルオロチタン酸アンモニウムとを、ヘキサフルオロ金属酸塩中に含有される金属原子比で表わすと、ケイ素とチタンとを、通常は99.9/0.1〜60:40、好ましくは99:1〜80:20、チタンとジルコニウムとを、通常は99.9/0.1〜90:10、好ましくは99:1〜95:5、特に好ましくは99:1〜97:3、ケイ素とジルコニウムとを、通常は99.9/0.1〜90:10、好ましくは99:1〜95:5の範囲内になるような量で使用することが望ましい。上記ヘキサフルオロ金属酸アンモニウムを使用した場合における好適なヘキサフルオロ金属酸アンモニウムの使用量の範囲を図2に示す。また、このケイ素、チタンおよびジルコニウムの好適な比率を図3に示す。図2および図3において斜線を附した部分が好適な範囲である。
【0025】
特に本発明では、少量のTi、Zrを含有することにより、Siを含有する無機親水性硬質層とレンズ、特にレンズの表面に形成された硬質層に対する接合強度が高くなる。さらに、ジルコニウムの酸化物が含有されることによって、酸化チタンの光触媒活性が適度に抑制される。しかも、上記のように少量のTiやZrを含有していても、これらの量が少ないので、この無機親水性硬質層の屈折率が他の部分と著しく相違することがないので、レンズを通してみたときの像の歪みなどが発生することがなく、また、レンズの透明性にもほとんど影響を及ぼすことがない。特に形成される無機親水性硬質層におけるTiとZrとの原子比(Ti/Zr)が、通常99.9/0.1〜70/30、好ましくは99.9/0.1〜85/15の範囲内の量比になるように使用することにより、より強度の高い無機親水性硬質層を形成することができる。また、この無機親水性硬質層におけるSiと(Ti+Zr)との原子比(Si/(Ti+Zr))は、通常は、99.9/0.1〜40/60、好ましくは99.9/0.1〜50/50、特に好ましくは95/5〜45/35の範囲内になるようにヘキサフルオロ金属酸塩の利用量を決定することにより、強度が著しく高く、親水性および親媒性の両者に著しく優れた無機親水性硬質層を形成することができる。
【0026】
このように少量のTiおよびZrは、この無機親水性硬質層の下部にある硬質層中の酸素原子と何らかの形態の結合(例えば、化学的結合、物理化学的結合、物理的結合など)を形成するものと推定される。このTiおよびZrと酸素原子との結合力は、Siと酸素原子との結合力よりも著しく高いので、微量のTiおよびZrが無機親水性硬質層中に存在することにより、この無機親水性硬質層の下層に対する接合強度が著しく向上する。さらに、ジルコニウムの酸化物は、酸化チタンの光触媒活性の抑制剤となり、このような無機親水性硬質層は、Siのみを含有する層と比較して親水性が著しく高くなると共に親媒性も向上する。
【0027】
すなわち、このような光触媒作用のある程度抑制されたチタンを含有する酸化物を含有する層は、界面活性剤を吸着するいわゆる親媒性を有する。従って、チタン酸化物を含有する無機親水性硬質層は、親水性のみならず高い親媒性をも有する(なお、本明細書において、「親媒性」とは、水を含めた溶媒に対して親和性を有する性質をいい、「親水性」をも包含する意味である)。
【0028】
本発明のレンズ用無機親水性硬質層形成材料は、好適には金属としてケイ素、チタン、ジルコニウムを含有する化合物を組み合わせたものであるが、この他にこのようなヘキサフルオロ金属酸アンモニウム塩中に、ヘキサフルオロスズ酸アンモニウム((NH4)2SnF6)、ヘキサフルオロ鉄酸アンモニウム((NH4)2FeF6)、ヘキサフルオロ亜鉛酸アンモニウム((NH4)2ZnF6)、ヘキサフルオロストロンチウム酸アンモニウム((NH4)2SrF6)、ヘキサフルオロタングステン酸アンモニウム((NH4)2WF6)、および、ヘキサフルオロビスマス酸アンモニウム((NH4)2BiF6)などの他のヘキサフルオロ金属酸塩が含有されていてもよい。これらのヘキサフルオロ金属酸塩は単独であるいは組み合わせて使用することができる。ただし、これらの他のヘキサフルオロ金属酸塩の中には、ガラスレンズあるいはプラスチックレンズと著しく屈折率が異なったり、析出する化合物が着色しているものもあることから、このような影響が発現しないように、ケイ素原子100原子%に対して通常は10−3〜60原子%、好ましくは10−2〜30原子%となるような量で使用することができる。
【0029】
また、上記のヘキサフルオロ金属酸塩の例は、ヘキサフルオロ金属酸のアンモニウム塩を例にして説明したが、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩などであってもよい。このアルカリ金属の析出はホウ素化合物によるフッ素の補足とは直接的な関連はなく、アルカリ金属は析出結晶に付着するなどの形態で無機親水性硬質層に取り込まれるため、本発明のレンズ用無機親水性硬質層形成材料中におけるアルカリ金属塩の使用量に特に制限はないが、レンズ用無機親水性硬質層形成材料中におけるアルカリ金属塩を、通常は10−3〜10−5重量%の範囲内に設定することが望ましい。
【0030】
本発明で使用することができるヘキサフルオロ金属酸塩は、上記のようにヘキサフルオロ金属酸塩として供給されているものを使用することもできるし、対応する金属酸化物をフッ化水素酸の水溶液に溶解した後、所定のアルカリで中和して用いることもできる。
このようなヘキサフルオロ金属酸塩は、水性媒体に溶解して使用する。この際におけるヘキサフルオロ金属酸塩の濃度は、その塩の溶解度の範囲内で適宜設定することができるが、好ましくは10−3〜102g/100ml、特に好ましくは10−2〜30g/100mlの範囲内にあることが望ましい。
【0031】
上記のようなヘキサフルオロ金属酸塩を水性媒体に溶解させ、この溶液において、ヘキサフルオロ金属酸塩中のフッ素原子を捕捉することにより、これらの化合物の水性媒体に対する溶解度が低下して化合物が析出する。
本発明ではフッ素原子を捕捉するのに、ホウ素化合物を使用することが望ましい。ここで使用するホウ素化合物としては、酸化ホウ素、ホウ酸、ホウ酸塩などを挙げることができる。
【0032】
このようなホウ素化合物は、使用するヘキサフルオロ金属酸塩を形成するフッ素原子の少なくとも一部を捕捉する量であればよく、ヘキサフルオロ金属酸塩1モルに対して、通常は10−2〜105モル、好ましくは10−1〜103モル、特に好ましくは1〜102モルの範囲内の量で使用することが望ましい。
上記のような量のホウ素化合物を、ヘキサフルオロ金属酸塩が溶解されている水性媒体中に投入するが、その際には溶液の温度が10〜50℃程度の温度になるようにして実施する。次いで、ホウ素化合物の添加と共に強撹拌すると、これらが溶解して透明な水溶液が得られる。
【0033】
こうしてこれらを溶解させた後、静置すると水溶液全体が白濁し始めるので、処理対象のレンズをこの水溶液中に浸漬する。このときの温度は、通常は10〜60℃、好ましくは25〜50℃程度に設定するのがよい。このような条件で通常は1〜100時間、好ましくは5〜72時間、特に好ましくは10〜60時間程度放置することにより、レンズ表面に上記Siを含有する化合物と、その他の金属とを含有する複合物を析出させることができる。
【0034】
こうして表面に複合物が析出したレンズを、水溶液から取り出し、通常は水洗した後、乾燥させる。
ところで、このような硬質層あるいはシリカ膜を表面に形成したプラスチックレンズにおいて、ヘキサフルオロケイ酸アンモニウム、ヘキサフルオロジルコニウム酸アンモニウムおよびヘキサフルオロチタン酸アンモニウムの混合水溶液に、該レンズ基材を浸漬し、フッ素捕捉剤の酸化ホウ素を添加することによって酸化物複合体を析出させ、レンズ基材上に膜状形成物を作成する方法において、上記ヘキサフルオロ金属酸塩の混合比が、チタニウムがジルコニウムに対し、過剰である場合は、基材上に成膜し、かつ容易に剥離しない膜形成が期待できる。しかし、逆にジルコニウムがチタニウムに対し、過剰な場合は、成膜はするものの膜が剥離しやすくレンズの機能性発現に対する障害となることがある。
【0035】
従って、本発明の形成材料を用いることにより、レンズ表面に、機械的強度があり、かつ優れた親水効果を有する無機親水性硬質層を設けることができ、このような無機親水性硬質層は、剥離しにくく、長期間にわたり優れた親水性が維持される。
このような無機親水性硬質層形成方法として、両膜間の密着性が良好であることを利用して、まず基材に密着性の高いチタンリッチな成膜を実施し、これを基盤として、さらにジルコニウムリッチな成膜をその上に積み上げることにより、レンズ基材上に、ジルコニウムリッチ膜を作成することができる。
【0036】
以下に、本発明のレンズ用無機親水性硬質層形成材料を用いたレンズ表面への無機親水性硬質層の形成操作の好適な例について、さらに具体的に説明する
まず、ヘキサフルオロチタン酸アンモニウム(6フッ化チタンアンモニウム)と、ヘキサフルオロケイ酸アンモニウム(6フッ化ケイ素酸アンモニウム)、さらに好適にはヘキサフルオロジルコニウム酸アンモニウム(6フッ化ジルコニウムアンモニウム)を特定比率で混合した試薬を45℃の純水中に溶解させる。混合比率は、例えばヘキサフルオロチタン酸アンモニウム(6フッ化チタンアンモニウム)2g、ヘキサフルオロケイ酸アンモニウム(6フッ化ケイ素酸アンモニウム)8g、および、ヘキサフルオロジルコニウム酸アンモニウム(6フッ化ジルコニウムアンモニウム)0.1gを、それを純水中に添加混合し、完全に溶解し、600mlの処理液を作成する。
【0037】
ここにホウ酸H3BO3を20g程添加し、処理液の温度を45℃に保つ。その後、処理液全体を強く混合した後、予め用意した硬質層を設けたメガネレンズ基材を、これに浸漬する。このようにしてメガネレンズ基材の表面に析出が開始する。
浸漬は24〜48時間実施し、その後、取り出し、純水で洗浄、乾燥させコートを終了する。
【0038】
このようにして析出する複合物は、レンズ表面には均一に析出するが、多くの場合、レンズ表面は微視的にはラフになっている。また、レンズ表面に水滴として付着しないような非常に高い親水性および界面活性剤に対する高い親媒性を付与するためには、この析出した複合物は表面が平滑で厚さは薄い方がよい。そこで、上記のようにして複合物が析出したレンズ表面を、皮革などの比較的柔らかな素材で研磨して平滑化することが好ましい。このようないわゆる「ソフト研磨」により、レンズ表面に親水性を有する高精度の平滑性が与えられ、そこに界面活性剤が介在すると、付着した水膜が一様に広がり、レンズ自体に曇りが生じない。
【0039】
なお、本発明のレンズ用無機親水性硬質層形成材料を用いてレンズ表面に形成される無機親水性硬質層は、必ずしも均一な層である必要はなく、上記のようにして無機親水性硬質層を形成する場合、均一層を形成していることの方がむしろ稀で、通常は化合物が部分的に析出した構成を有する。従って、この無機親水性硬質層の平均厚さを求めることは必ずしも容易ではないが、析出した化合物とこの化合物の析出面積から算定した無機親水性硬質層の平均厚さは、通常は10Å〜0.5μm、好ましくは500Å〜0.3μmの範囲内にあることが望ましい。このような厚さで無機親水性硬質層を形成することにより、レンズの透明性や反射率に悪影響を及ぼすことなく、良好な親水性を示す無機親水性硬質層を形成することができる。また、上記範囲内の平均厚さの無機親水性硬質層は、耐久性にも優れており、通常の場合、レンズを少なくとも2年間程度、水洗により清浄化を繰り返しながら使用しても、その親水性が損なわれることがない。このように長期間にわたってレンズ表面に形成された無機親水性硬質層が維持されることからも、この本発明のレンズ用無機親水性硬質層形成材料を用いて形成された無機親水性硬質層が単にレンズ表面に付着しているだけでないことは明らかである。
【0040】
このような本発明のレンズ用無機親水性硬質層形成材料を用いて、レンズ表面に無機親水性硬質層を形成するとレンズ自体が非常に高い親水性を示すようになる。従って、本発明のレンズ用無機親水性硬質層形成材料を用いて、無機親水性硬質層が表面に形成されたレンズは、長期間にわたって水洗により表面を清浄に維持することができる。また、この水洗の際に、水が水滴状に残留せず、薄水膜層を形成してレンズ表面に残留することから、水の蒸発も早く、しかも水滴跡が残らない。さらに、この無機親水性硬質層を有するガラス表面は、少量の界面活性剤を含有する水に対しては、さらに高い親和性を示し、非常に効率よく水洗することが可能になると共に、界面活性剤の一部は、形成された無機親水性硬質層に含浸(主として吸着)されると考えられ、汚れの付着防止、および付着した汚れの除去も非常に容易になる。
【0041】
すなわち、上記記載の無機親水性硬質層は、界面活性剤を吸着する親媒性を有する無機親水性硬質層でもある。これら水になじむ親水性と、界面活性剤を吸着保持する親媒性は、ともに光触媒活性が適度に抑制されたTiO2によって発現するものと考えられる。従って、少量の界面活性剤を含有する水のみならず、直接、界面活性剤を無機親水性硬質層の表面に塗布し、含浸させることにより、常に一体化した状態にしても良い。
【0042】
また、本発明のレンズ用無機親水性硬質層形成材料を用いて、レンズ表面に無機親水性硬質層を形成し、また無機親水性硬質層表面に界面活性剤を介在させることにより、このレンズが極めて優れた防曇性を有するようになる。レンズの曇りは、レンズ表面に接触した水蒸気が、温度変化によって、微小な滴状になって、レンズ表面に付着することにより発生する。本発明のレンズ用無機親水性硬質層形成材料を用いてレンズ表面に形成された無機親水性硬質層において、水の接触角は、ほぼ0°であり、レンズ表面で水蒸気が凝集して形成された微細水滴は、隣接して形成される微細水滴と共同してレンズ表面に非常に薄い水膜を形成する。レンズの曇りは、レンズ表面に滴状の水が存在することにより生ずるのであり、こうした水が膜状になれば、水滴界面における光の散乱効果が低減されるので、レンズの曇りはほとんど発生しない。
【0043】
この防曇の様子について走査型電子顕微鏡(E−SEM)を用いて水蒸気圧下でのコート素材の表面を観察した場合を例にとって説明する。
本発明の材料で無機親水性硬質層が形成されたレンズ表面に、ある水蒸気圧がもたらされると、親水性領域にも疎水性領域にも一様に水分子が吸着される。特に疎水性領域では、水の接触角が大きいため、付着水が盛り上がったようになり、いわゆる水滴が形成され始める。しかし、この水滴は、表面張力によって表面の自由エネルギーが小さくなっているため、そうでない表面と比較して、水分子が表面吸着しにくくなっている。従って、水蒸気圧が増加していっても、水滴自体の大きさは変化せず、水滴の谷間にあたる親水性領域に優先的に水分子が吸着してゆく。これら一連のE−SEMの観察結果から、あたかも谷間の川の水嵩が増えていくように水分子が水滴の谷間を埋め、最終的に疎水性領域に形成された水滴を取り込んで、一様な水膜を形成することが分かる。
【0044】
従って、これら一連の水膜形成のプロセスから、防曇効果を発現させるためには、必ずしもレンズ表面全体が親水性である必要はなく、疎水性領域と親水性領域とが共存している状態であれば、親水性領域が核となって、全体の水膜形成が達成される。
このことはレンズ表面の大半が疎水性であっても、ある程度の密度で本発明の材料によって形成された無機親水性硬質層が存在していると、この無機親水性硬質層が水分子を吸着する核となって、レンズ全体に水膜が形成された状態をもたらしうることを示している。このような現象は、本発明の無機親水性硬質層形成材料を用いることによって、レンズ表面に防曇効果が発現している状態を的確に説明している。
【0045】
この親水性領域が、本発明の形成材料によってレンズ表面に形成された無機親水性硬質層であり、水分子の接触角を低減する。さらに界面活性剤を含有する水性媒体を使用した場合には、無機親水性硬質層は、界面活性剤を吸着している領域すなわち親媒性的な領域でもあり、この領域が核となって水膜が形成される。
こうした無機親水性硬質層から始まった水膜形成のプロセスは、順次他の部分にも波及し、特に他の疎水領域にある水滴を瞬時に取り込みながら、レンズ表面に極薄い水膜を形成する。
【0046】
しかもその効果は、再度の水あらいによって消失することはなく、数回の水洗い毎に、中性洗剤で洗浄することによって、レンズ表面に界面活性剤を供給することができるため、さらに長期間にわたって、優れた親水性を維持することができる。
また中性洗剤で洗浄するのみならず、直接、界面活性剤を無機親水性硬質層の表面に塗布し、一体化しても良い。界面活性剤は、無機親水性硬質層に吸着され、安定して長期にわたって存在するので、親水性が大きく助長され、かつ長期間、防曇効果等が維持される結果となる。
【0047】
上記と同様にして、ヘキサフルオロケイ酸アンモニウム、ヘキサフルオロジルコニウム酸アンモニウムおよびヘキサフルオロチタン酸アンモニウムを用いて、プラスチック板の表面に無機親水性硬質層を形成したサンプルについて、蛍光X線分析装置およびX線回折装置(XRD:日本電子(株)、理学電子(株))を使用して、無機親水性硬質層について分析したところ、この無機親水性硬質層から、Si、Ti、Zr、Fが検出された。
【0048】
従って、本発明のレンズ用無機親水性硬質層形成材料を用いてレンズ表面に形成された無機親水性硬質層によって奏される親水効果は、光触媒活性がある程度抑制された酸化チタンを含有する無機親水性硬質層によってもたらされるものであり、さらにこのような無機親水性硬質層に界面活性剤を含浸(主として吸着)させることによってもたらされるものである。
【0049】
また、本発明を用いて無機親水性硬質層を形成する際には、強い紫外線照射のような煩雑なプロセスは特に必要ない。また、表面を布や紙で拭き取っても、その特性が変化せず、表面を拭き取ると曇ってしまう光触媒効果による酸化チタン膜の場合とは異なり、その点で優位性がある。
なお、上記説明は、レンズについて説明したが、このレンズには、メガネレンズ、光学用レンズ、各種撮影機用のレンズ、写真用レンズなど各種レンズが包含されることはもちろん、著しい光屈折を必要としない用途、例えば、防曇効果を有することが必要な透明プラスチック板などの表面処理剤としても使用することが可能である。
【0050】
【発明の効果】
本発明のレンズ用無機親水性硬質層形成材料を使用することにより、レンズ表面に非常に高い親水性を示す領域を形成することができる。このように本発明のレンズ用無機親水性硬質層形成材料を用いて無機親水性硬質層を形成し、それに界面活性剤を含浸させることにより、長期間にわたり非常に優れた親水性を示すレンズを形成することができる。特に本発明のレンズ用無機親水性硬質層形成材料を用いることにより、非常に防曇性に優れたレンズを形成することが可能であり、湿温環境の急激な変化によっても曇りにくいレンズを製造することができる。このような防曇性の高いレンズは、特にメガネレンズとして好適である。さらに、本発明のレンズ用無機親水性硬質層形成材料によって形成される無機親水性硬質層は、耐擦傷性にも優れていると共に、無機親水性硬質層を形成する金属原子が、この下層に形成されているプラスチックレンズあるいはガラスレンズの硬質層などに含有される酸素原子などを共有して結合しているものと推定され、単に付着しただけの表面コート層とは異なり、非常に長期間(現在2年間の通常使用によっても無機親水性硬質層にほとんど損傷の発生は認められない)にわたって、親水性が変動しない。
【0051】
【実施例】
次に本発明の実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
【0052】
【実施例1】
SiO2:10g、TiO2:5gおよびZrO2:1gを混合した混合粉末を、46%のHF水溶液3mlを600mlの純水に溶解した水溶液に投入し、強く撹拌しながら約25℃で24時間反応させた。
その後、この未反応粉末の残存する水溶液を静置して、その上澄み液を分取した。この上澄み液にピペットを用いて、NH4OH水を滴下した。
【0053】
こうしてNH4OH水溶液を滴下するに従って、水溶液全体がやや白濁した状態となり、その後、液全体が透明になったところでNH4OH水溶液の添加を停止して処理液作成を終了した。
この処理液600ml(40℃)に酸化ホウ素(B2O3)10gを添加し、溶液全体を強く撹拌して、沈殿物を完全に溶解した。
【0054】
溶解後、しばらくすると、液全体が白濁し始めたので、予め用意していた硬質層を設けたプラスチックレンズを浸漬した。
処理液を40℃に保った状態で、硬質層を設けたプラスチックレンズを浸漬し、36時間保持した。
上記時間経過後、レンズを処理液から取り出し、表面を洗浄、乾燥した。
【0055】
以上のようにして、作成した処理レンズの表面を皮革製のポリッシャーを使用して「ソフトな研磨」を行い、レンズ表面の平滑化をはかり、さらに中性洗剤で洗浄し、乾燥させ、レンズへの表面処理を終了した。
こうして得られた無機親水性硬質層における酸化チタンの光触媒活性が著しく抑制されていた。
【0056】
このように表面処理したレンズ基材を高湿度環境に設置したところ、通常の無コート(未処理)レンズが曇ったのに対し、処理レンズ表面には干渉色を呈する水膜が形成され透明性が保持できた。
この透明性は、レンズへの応用という点で実用上問題のないものであった。
レンズ表面に形成された薄膜を、蛍光X線分析装置(XRD:日本電子(株)製)により組成分析したところ、表1に示すような組成の化合物であることが判明した。
【0057】
【表1】
【0058】
【実施例2】
ヘキサフルオロケイ酸アンモニウム(6フッ化ケイ素酸アンモニウム:(NH4)2SiF6)10g、ヘキサフルオロジルコニウム酸アンモニウム(6フッ化ジルコニウムアンモニウム:(NH4)2ZrF6)1gおよびヘキサフルオロチタン酸アンモニウム(6フッ化チタンアンモニウム:(NH4)2TiF6)5gを秤量し、これを600mlの純水に40℃で混合溶解した。
【0059】
こうして作成した処理液に酸化ホウ素10gを添加し、処理液全体を強く撹拌して、沈澱物を完全に溶解した。溶解後しばらくすると液全体が白濁しはじめたので、予め用意していた硬質層を設けたプラスチックレンズを浸漬した。
処理液を40℃に保った状態で24時間継続した後に浸漬を終了した。
その後、レンズを処理液から取り出し、表面を洗浄、乾燥した。
【0060】
こうして得られた無機親水性硬質層における酸化チタンの光触媒活性は著しく抑制されていた。
次に、このようにして作成した処理レンズの表面を皮革製ポリッシャーを用いてレンズ表面の平滑化をはかり、さらに中性洗剤で軽く洗浄し、乾燥させ、レンズ表面の処理を終了した。
【0061】
このように表面処理したレンズを高湿度環境に設置したところ、通常の無コートレンズが曇ったのに対し、処理レンズは透明性を保持したままでレンズ応用に耐えうるものであった。
処理レンズはさらに、水洗いすることで、汚れを落とすことができ、これを2年間ほど継続して実施したがレンズ表面には、大きな傷の発生は見られなかった。
【0062】
【表2】
【0063】
【実施例3】
本発明による無機親水性硬質層形成材料をコートしたメガネレンズを暗室内にそれぞれ1週間、2週間、1ヶ月間、3ヶ月間、放置した後、メガネレンズを暗室内から取り出し、防曇効果を発現するかどうかを図1に示した高湿チェンバーにより確認した。
【0064】
なお、ここで使用したレンズの表面に形成された薄膜について実施例1と同様にしてその成分組成を測定した。結果を表3に示す。
【0065】
【表3】
【0066】
暗室内から取り出したレンズを図1のチェンバーに設置し、サンプルごとに、光量測定装置による測定を実施した。
その結果、いずれのサンプルも高い透過光量を示し、曇りに起因する光量低下は観察されなかった。
従って、本発明による防曇効果は、光触媒によって生ずる超親水性に基づくものではないことが判明した。すなわち、光触媒によって超親水性が生ずるのであれば、放置時間に応じて透過光量の変化が生じるが、この実施例においては、放置時間に応じて通過光量は変化しなかった。
【0067】
【表4】
【0068】
上記表4に示した光の透過量から明らかなように、この実施例で使用したメガネレンズは、暗室に保管してあり紫外線に晒されていないにもかかわらず、良好な防曇作用を示し、メガネレンズ表面に付着した水分は、薄水膜層を形成した。従って、本発明のレンズ用無機親水性硬質層形成材料を用いたレンズ表面の無機親水性硬質層の形成には、紫外線は関与していない。
【0069】
【実施例4】
ヘキサフルオロケイ酸アンモニウム(6フッ化ケイ素酸アンモニウム)15g、ヘキサフルオロジルコニウム酸アンモニウム(6フッ化ジルコニウムアンモニウム)0.1gおよびヘキサフルオロチタン酸アンモニウム(6フッ化チタンアンモニウム)5gを純水600ml中に溶解させ、混合撹拌した。混合撹拌が充分行われた後、酸化ホウ素を15g添加し、撹拌混合しながら完全に溶解した。この段階では処理液は無色透明の状態であった。
【0070】
さらに、その後、この溶液に、硬質層を設けた径70mmのプラスチックレンズ基材を浸漬し、処理液を40℃に保って24時間放置した。
処理液は、5〜6時間を越えたあたりから白濁し始め、析出が徐徐に進行しているのが観察された。
24時間経過後、レンズ基材を処理液の中から取り出し、簡単に純水によって洗浄した後、さらに予め作成しておいたヘキサフルオロケイ酸アンモニウム(6フッ化ケイ素酸アンモニウム)15g、ヘキサフルオロジルコニウム酸アンモニウム(6フッ化ジルコニウムアンモニウム)5gおよびヘキサフルオロチタン酸アンモニウム(6フッ化チタンアンモニウム)0.75gを純水中に混合溶解し、さらに酸化ホウ素15gを添加し、完全に溶解した処理液中に、再度浸漬した。浸漬は、処理液温度を40℃に保ち、約10時間放置することで行った。
【0071】
10時間経過後、レンズ基材を取り出し、ぬるま湯で軽く洗浄後、乾燥させた。
こうして得られた無機親水性硬質層における酸化チタンの光触媒活性は著しく抑制されていた。
このレンズは、乾燥後、表面をセム皮でポリッシュして、純水中に浸漬したところ、高い親水性を示した。
【0072】
さらに、このレンズの表面にアルキル硫酸エステルナトリウム系化合物を主成分とする43重量%界面活性剤を薄くコートしたところ、2〜3週間経過後も防曇効果が維持され、高湿度環境下でレンズ表面に劣化の兆候として現れるスクラッチ様痕は、ほとんど形成されなかった。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の実施例3で行った防曇試験に用いた装置を模式的に示す図である。
【図2】図2は、本発明のレンズの製造方法で使用されるヘキサフルオロ金属酸塩の好適な使用量の例を示す組成図である。
【図3】図3は、本発明のレンズの製造方法で形成される無機親水性硬質層における金属の組成の例を示す組成図である。[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to an inorganic hydrophilic hard layer forming material for a lens used for imparting high hydrophilicity to a lens surface and a method for forming an inorganic hydrophilic hard layer for a lens using the same.
[0002]
[Prior art]
Conventionally, there is a high demand for anti-fog spectacle lenses by lens surface coating, but lens surface coating for the purpose of anti-fogging has not reached a practical level. This is because the specs of the spectacles are very strict, and it is difficult to manufacture spectacle lenses that satisfy these strict specs.
[0003]
As an example of application to eyeglass lenses, a method for preventing fogging by the superhydrophilicity based on the photocatalytic effect of so-called anatase-type titanium oxide is described in, for example, WO96 / 29375. This is because an anatase-type titanium oxide, which is an n-type semiconductor, has a band gap of 3.2 eV, absorbs ultraviolet rays in the vicinity of a wavelength of 360 nm, and sends electrons in the valence band to the conduction band. This utilizes the photocatalytic activity of forming holes in the substrate and generating excited electrons in the conduction band.
[0004]
That is, water molecules on the titanium oxide surface are decomposed by the oxidizing action by these holes and the reducing action by excited electrons, and active radicals are formed. This active radical decomposes dirt molecules such as oil adsorbed on the surface by its strong oxidizing action, keeps the surface clean, and maintains the high hydrophilicity of the original titanium oxide surface. Based on this principle, it is not impossible to coat the surface of the spectacle lens with photocatalytic titanium oxide, but in order to activate the surface of titanium oxide, it is necessary to irradiate with relatively high energy ultraviolet rays. Such ultraviolet light having a short wavelength and high energy is not appropriate as a use environment of a lens such as glasses. Even if such a principle is used, in the case of a spectacle lens, there is a large difference in the total amount of ultraviolet irradiation between the front surface and the back surface of the lens, resulting in different characteristics and no fogging on the front surface. Then, inconvenience such as cloudiness occurs.
[0005]
Further, the hardness of titanium oxide is about 5 in terms of Mohs hardness, and since it is soft, surface flaws are easily formed by wiping operation, and the refractive index of titanium oxide is as high as 2.5. It is not appropriate to apply the technique described in the above publication to a spectacle lens due to a mirror-like state.
Further, WO96 / 29375 discloses a method of fusing anatase-type titanium oxide having photocatalytic activity and silica to maintain hydrophilicity and lower the reflectance of the surface.
[0006]
However, the invention described in this publication has strict specifications such as conditions for application to eyeglass lenses, and there are problems in terms of hardness (mechanical strength) or reflectance. Currently, it is extremely difficult. In other words, in order to develop the photocatalytic function, the composition of the composite film is limited, so that improvement in hardness cannot be expected, and as a result, the reflectivity becomes slightly higher, and consistency with the specification conditions of the glasses is taken. There is a problem that it is difficult.
[0007]
In addition, as a treatment expecting anti-fogging, there is a problem that a solvent is applied by spraying, but it is transient and the effect disappears when wet. It is also cumbersome because you always have to carry and carry the spray.
[0008]
OBJECT OF THE INVENTION
The present invention is not a photocatalytic effect that requires irradiation of ultraviolet rays or a solvent application by a transient spray, but an inorganic hydrophilic hard layer that can maintain an antifogging effect over a long period of time on a lens, particularly a spectacle lens. It is an object of the present invention to provide a forming material that can be formed easily and a method for forming an inorganic hydrophilic hard layer on a lens surface using the forming material.
[0009]
SUMMARY OF THE INVENTION
The present invention contains a plurality of hexafluorometalates that form an inorganic hydrophilic hard layer containing titanium oxide by capturing at least part of fluorine atoms and depositing on the lens surface, Multiple hexafluorometalates are Ammonium hexafluorosilicate, ammonium hexafluorozirconate and ammonium hexafluorotitanate And containing the hexafluorotitanic acid Ammonium Inorganic lens for forming an inorganic hydrophilic hard layer so that it can be formed so as to be impregnable with a surfactant, while containing a hexafluorometalate capable of forming a photocatalytic inhibitor for the photocatalytic action of titanium oxide formed by It is in the hydrophilic hard layer forming material.
[0010]
The inorganic hydrophilic hard layer formed using the inorganic hydrophilic hard layer forming material for a lens of the present invention preferably contains a simple oxide or composite oxide of silicon, zirconium and titanium.
The hexafluorometalate constituting the inorganic hydrophilic hard layer forming material of the present invention may be prepared by dissolving the corresponding metal oxide in hydrofluoric acid and then neutralizing it. preferable.
[0011]
In particular, in the present invention, the hexafluorometal acid salt preferably contains ammonium hexafluorosilicate, ammonium hexafluorozirconate, and ammonium hexafluorotitanate.
In the inorganic hydrophilic hard layer forming material for a lens of the present invention, the hexafluorometalate salt is composed of ammonium hexafluorosilicate, ammonium hexafluorozirconate, and ammonium hexafluorotitanate. In the metal acid salt, 99.9 / 0.1 to 60:40 of silicon and titanium, 99.9 / 0.1 to 90:10 of titanium and zirconium, and 99.0.1 of silicon and zirconium in metal atomic ratio. It is preferable to mix | blend so that it may become in the range of 9 / 0.1-90: 10.
[0012]
By using the hexafluorometalate as described above, the photocatalytic action of titanium oxide is remarkably suppressed. That is, the photocatalytic activity of titanium oxide depends on the crystal structure of titanium oxide, but by using hexafluorozirconium salt as described above, a structure advantageous for titanium oxide to exhibit good photocatalytic activity is obtained. It will be difficult to pick. In addition to the zirconium oxide as described above, alkali metals such as lithium, potassium, and sodium are also effective as components for suppressing the photocatalytic activity of titanium oxide.
[0013]
In the present invention, after the hexafluorometalate as described above is dissolved in an aqueous medium, if the fluorine atom is captured, the metal in the hexafluorometalate can be precipitated in an active state. The photocatalytic activity of titanium oxide contained in the hydrophilic hard layer is moderately suppressed. When an inorganic hydrophilic hard layer with reduced photocatalytic activity is formed in this way, both the hydrophilicity and the philicity of the inorganic hydrophilic hard layer are improved, and the inorganic hydrophilic property can be impregnated with a surfactant. A hard layer is formed, and the surfactant impregnated (or adsorbed) in this inorganic hydrophilic hard layer is not decomposed by the photocatalytic action of titanium oxide and remains on the lens surface for a long time in a stable state. Can do.
[0014]
In the inorganic hydrophilic hard layer forming material for a lens of the present invention, the component that captures the fluorine atom of such hexafluorometalate is preferably a boron compound, and further, such a boron compound includes boron oxide and Preferred is boric acid.
The formed inorganic hydrophilic hard layer preferably contains Si, Ti, and Zr, and contains at least one kind of atom consisting of the group consisting of F, N, B, H, and O.
[0015]
Furthermore, in the inorganic hydrophilic hard layer forming material for a lens of the present invention, ammonium hexafluorozirconium and ammonium hexafluorotitanate are 99.9 / 0.1 in terms of metal atom% ratio (Ti / Zr). It is preferable that it is contained so as to precipitate at a quantitative ratio in the range of ˜70 / 30.
In addition, in the inorganic hydrophilic hard layer forming material for lenses of the present invention, ammonium hexafluorosilicate, ammonium hexafluorozirconate and ammonium hexafluorotitanate are converted into metal atomic% ratio (Si / (Ti + Zr)). , 99.9 / 0.1 to 60/40 is also preferably included so as to precipitate at a quantitative ratio in the range.
[0016]
Further, when an alkali metal is used as a photocatalyst suppressing component for titanium oxide, an alkali metal salt such as lithium chloride, potassium chloride, or sodium chloride is added to the forming material. When this alkali metal salt is used, when silicon oxide, titanium oxide and, if necessary, zirconium oxide are precipitated, a small amount is deposited together with these crystals, and this alkali metal can suppress the photocatalytic activity of titanium oxide.
[0017]
In the present invention, the lens on which the inorganic hydrophilic hard layer is formed is preferably a glass lens that may have a hard layer on the surface, or a plastic lens that has a hard layer on the surface.
Furthermore, in the method for forming an inorganic hydrophilic hard layer for a lens according to the present invention, a plurality of inorganic hydrophilic hard layers containing titanium oxide are formed by capturing at least part of fluorine atoms and depositing on the lens surface. And the plurality of hexafluorometalates contain hexafluorotitanate and photocatalyst for photocatalysis of titanium oxide formed by the hexafluorotitanate Using an inorganic hydrophilic hard layer forming material for lenses containing a hexafluorometalate capable of forming an inhibitory component, it contains an oxide composite of silicon, zirconium and titanium, and a constituent atomic ratio of titanium and zirconium (Ti / Zr) after forming a film-form formed product having a ratio of 3 or more, from the oxide composite having the same composition ratio of less than 3 on the film-form formed product It is characterized by forming an inorganic hydrophilic hard layer to form a that film shaped product.
[0018]
As described above, the inorganic hydrophilic hard layer formed on the lens surface using the forming material of the present invention is a layer that contains a photocatalyst suppressing component for the photocatalytic action of titanium oxide and can contain a surfactant. is there. Since the photocatalytic action of titanium oxide contained in such an inorganic hydrophilic hard layer is suppressed by a photocatalyst suppressing component made of a metal oxide such as zirconium oxide, the inorganic hydrophilic hard layer is very high. Shows hydrophilicity and high lyophilicity. Further, since the inorganic hydrophilic hard layer has high lyophilicity, when the inorganic hydrophilic hard layer is formed so as to be impregnated with a surfactant, the hydrophilicity is further increased, and water drops In this form, it cannot exist, and it becomes a very thin water film on the lens surface. In other words, the lens that has been treated with the inorganic hydrophilic hard layer forming material of the present invention to impart hydrophilicity has high antifogging properties and can be cleaned very well by washing with water. Even if washed with water, the washing water does not form droplets on the lens surface, so that drying is fast, and when the water evaporates, no droplets of water drops remain.
[0019]
In addition, the inorganic hydrophilic hard layer formed on the lens surface by the inorganic hydrophilic hard layer forming material for a lens of the present invention does not simply cover the lens surface, but is formed on the lens or the lens surface. Since it is bonded to the layer, it has a very high durability and retains its high hydrophilicity for 2 years or more under normal use (in the present specification, “inorganic hydrophilic hard layer” An inorganic hydrophilic hard layer that can be impregnated with a surfactant formed by using the inorganic hydrophilic hard layer forming material of the present invention. The “hard layer” is a surface of a plastic or glass lens that is generally used at present. Coated with a composite plastic such as silica or organic material).
[0020]
In addition, since the inorganic hydrophilic hard layer formed on the lens surface by the inorganic hydrophilic hard layer forming material for a lens of the present invention has a refractive index almost equal to that of the lens, the image of the formed inorganic hydrophilic hard layer is Almost no distortion occurs.
In addition, if the inorganic hydrophilic hard layer forming material for lenses of the present invention is used, it can be used in an aqueous medium under a very mild condition without using a high energy source such as a high energy electron beam such as high heat and ultraviolet rays. The lens surface can be made very hydrophilic. When forming such an inorganic hydrophilic hard layer having high hydrophilicity, it is not necessary to place the lens under high heat or high energy conditions, so heat resistance such as plastic is relatively low and high resistance such as ultraviolet rays. Even a lens formed of a material that easily deteriorates due to energy rays can impart very high hydrophilicity to the surface under very mild conditions. When the material of the present invention is used, an inorganic hydrophilic hard layer can be formed on the lens surface without involving ultraviolet rays in this way, so that the hydrophilic treatment of the lens becomes very easy. Further, the characteristics of the lens itself processed by the hydrophilic treatment of the lens are not adversely affected.
[0021]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
Next, the inorganic hydrophilic hard layer forming material for lenses of the present invention and the method for forming an inorganic hydrophilic hard layer of lenses using the same will be described in detail.
The inorganic hydrophilic hard layer forming material for lenses of the present invention is a mixture of a plurality of hexafluorometalates. The hexafluorometalate used here is soluble in an aqueous medium and contains a metal by capturing at least a part of fluorine atoms forming the hexafluorometalate dissolved in water. It has a characteristic that the compound to be precipitated.
[0022]
Such hexafluorometalates include ammonium hexafluorotitanate ((NH 4 ) 2 TiF 6 : Ammonium hexafluoride). Furthermore, in the inorganic hydrophilic hard layer forming material for a lens of the present invention, the ammonium hexafluorotitanate ((NH 4 ) 2 TiF 6 : Hexafluorometalate capable of forming a metal oxide that suppresses the photocatalytic action of titanium oxide formed from (ammonium hexafluoride) to some extent. Examples of such hexafluorometalates are:
Ammonium hexafluorosilicate ((NH 4 ) 2 SiF 6 : Ammonium hexafluorosilicate)
Ammonium hexafluorostannate ((NH 4 ) 2 SnF 6 : Ammonium hexafluoride), and
Ammonium hexafluorozirconate ((NH 4 ) 2 ZrF 6 : Zirconium ammonium hexafluoride).
[0023]
In the present invention, the inorganic hydrophilic hard layer formed using the plurality of hexafluorometalates contains at least one metal atom selected from the group consisting of Si, Ti and Zr, and F, N , B, H and O, it is preferable to contain at least one kind of atom, and as such a hexafluorometalate, ammonium hexafluorosilicate ((NH 4 ) 2 SiF 6 : Ammonium hexafluorosiliconate) and ammonium hexafluorotitanate ((NH 4 ) 2 TiF 6 : Hexafluorotitanium ammonium), and other hexafluorometalates that can serve as photocatalyst suppressing components so that the photocatalytic activity of titanium oxide formed due to ammonium hexafluorotitanate is moderately suppressed. It is desirable to mix and use. Examples of such a photocatalyst suppressing component include metal oxides such as zirconium. As another hexafluorometalate used here, in the present invention, ammonium hexafluorozirconate ((NH 4 ) 2 ZrF 6 : Zirconium hexafluoride ammonium) is preferably used in combination.
[0024]
In this case, (NH 4 ) 2 SiF 6 And (NH 4 ) 2 ZrF 6 And (NH 4 ) 2 TiF 6 The ratio of Si: Zr: Ti contained in the inorganic hydrophilic hard layer obtained by fluorescent X-ray analysis with respect to the inorganic hydrophilic hard layer formed on the lens surface is atomic%, usually 20: It is desirable to use it in such an amount that the quantitative ratio is in the range of 1:10 to 2000: 10: 1, preferably 200: 1: 10 to 200: 10: 1. Further, when ammonium hexafluorosilicate, ammonium hexafluorozirconate, and ammonium hexafluorotitanate are expressed in terms of the metal atomic ratio contained in the hexafluorometalate, silicon and titanium are usually 99. 0.9 / 0.1-60: 40, preferably 99: 1-80: 20, titanium and zirconium, usually 99.9 / 0.1-90: 10, preferably 99: 1-95: 5 Particularly preferably 99: 1 to 97: 3, in an amount such that silicon and zirconium are usually in the range 99.9 / 0.1 to 90:10, preferably 99: 1 to 95: 5. It is desirable to use it. FIG. 2 shows a preferable range of the amount of ammonium hexafluorometalate used when the above ammonium hexafluorometalate is used. Moreover, the suitable ratio of this silicon, titanium, and zirconium is shown in FIG. 2 and 3, the hatched portion is a preferred range.
[0025]
In particular, in the present invention, by containing a small amount of Ti and Zr, the bonding strength between the inorganic hydrophilic hard layer containing Si and the lens, particularly the hard layer formed on the surface of the lens, is increased. Furthermore, by containing zirconium oxide, the photocatalytic activity of titanium oxide is moderately suppressed. Moreover, even if it contains a small amount of Ti or Zr as described above, since these amounts are small, the refractive index of this inorganic hydrophilic hard layer is not significantly different from other parts. There will be no distortion of the image, and there will be little effect on the transparency of the lens. In particular, the atomic ratio (Ti / Zr) of Ti and Zr in the inorganic hydrophilic hard layer to be formed is usually 99.9 / 0.1 to 70/30, preferably 99.9 / 0.1 to 85/15. By using it so that it may become a quantity ratio in the range of this, an inorganic hydrophilic hard layer with higher intensity | strength can be formed. The atomic ratio (Si / (Ti + Zr)) between Si and (Ti + Zr) in this inorganic hydrophilic hard layer is usually 99.9 / 0.1 to 40/60, preferably 99.9 / 0. By determining the amount of hexafluorometalate to be in the range of 1-50 / 50, particularly preferably 95 / 5-45 / 35, the strength is remarkably high, both hydrophilic and philic It is possible to form an inorganic hydrophilic hard layer that is remarkably excellent.
[0026]
Thus, a small amount of Ti and Zr form some form of bonds (eg, chemical bonds, physicochemical bonds, physical bonds, etc.) with the oxygen atoms in the hard layer below this inorganic hydrophilic hard layer. Presumed to be. Since the bonding force between Ti and Zr and oxygen atoms is remarkably higher than the bonding force between Si and oxygen atoms, the presence of a small amount of Ti and Zr in the inorganic hydrophilic hard layer results in this inorganic hydrophilic hard layer. The bonding strength of the layer to the lower layer is significantly improved. Furthermore, the oxide of zirconium serves as an inhibitor of the photocatalytic activity of titanium oxide, and such an inorganic hydrophilic hard layer has significantly higher hydrophilicity and improved lyophilicity than a layer containing only Si. To do.
[0027]
That is, the layer containing an oxide containing titanium in which the photocatalytic action is suppressed to some extent has a so-called lyophilic property of adsorbing the surfactant. Therefore, the inorganic hydrophilic hard layer containing titanium oxide has not only hydrophilicity but also high lyophilicity (in this specification, “amphiphilic” refers to the solvent including water. In other words, it also includes “hydrophilicity”.
[0028]
The inorganic hydrophilic hard layer forming material for lenses of the present invention is preferably a combination of compounds containing silicon, titanium, and zirconium as metals, but in addition to these hexafluorometal acid ammonium salts. , Ammonium hexafluorostannate ((NH 4 ) 2 SnF 6 ), Ammonium hexafluoroferrate ((NH 4 ) 2 FeF 6 ), Ammonium hexafluorozincate ((NH 4 ) 2 ZnF 6 ), Ammonium hexafluorostrontate ((NH 4 ) 2 SrF 6 ), Ammonium hexafluorotungstate ((NH 4 ) 2 WF 6 ) And ammonium hexafluorobismuthate ((NH 4 ) 2 BiF 6 Other hexafluorometalates such as) may be contained. These hexafluorometalates can be used alone or in combination. However, some of these other hexafluorometalates have a refractive index that is significantly different from that of glass lenses or plastic lenses, and some of the precipitated compounds are colored, so this effect does not appear. Thus, it is usually 10 per 100 atomic percent of silicon atoms. -3 ~ 60 atomic%, preferably 10 -2 It can be used in such an amount that it is ˜30 atomic%.
[0029]
Moreover, although the example of said hexafluoro metal acid salt demonstrated the ammonium salt of hexafluoro metal acid as an example, alkali metal salt, alkaline-earth metal salt, etc. may be sufficient. This alkali metal precipitation is not directly related to the capture of fluorine by the boron compound, and the alkali metal is incorporated into the inorganic hydrophilic hard layer in a form such as adhering to the deposited crystal. Although there is no restriction | limiting in particular in the usage-amount of the alkali metal salt in a property hard layer formation material, Usually, the alkali metal salt in the inorganic hydrophilic hard layer formation material for lenses is 10 -3 -10 -5 It is desirable to set within the range of weight%.
[0030]
As the hexafluorometalates that can be used in the present invention, those supplied as hexafluorometalates as described above can be used, and the corresponding metal oxides can be used as an aqueous solution of hydrofluoric acid. It can also be used after neutralizing with a predetermined alkali.
Such hexafluorometalate is used after being dissolved in an aqueous medium. In this case, the concentration of the hexafluorometalate can be appropriately set within the solubility range of the salt, but preferably 10 -3 -10 2 g / 100 ml, particularly preferably 10 -2 It is desirable to be within a range of ˜30 g / 100 ml.
[0031]
By dissolving the hexafluorometalate as described above in an aqueous medium and capturing fluorine atoms in the hexafluorometalate in this solution, the solubility of these compounds in the aqueous medium is reduced and the compounds are precipitated. To do.
In the present invention, it is desirable to use a boron compound to capture a fluorine atom. Examples of the boron compound used here include boron oxide, boric acid, and borate.
[0032]
Such a boron compound may be an amount that captures at least a part of fluorine atoms forming the hexafluorometalate used, and is usually 10 per mole of hexafluorometalate. -2 -10 5 Moles, preferably 10 -1 -10 3 Mole, particularly preferably 1-10 2 It is desirable to use it in an amount in the molar range.
The amount of boron compound as described above is charged into an aqueous medium in which hexafluorometalate is dissolved. In this case, the temperature of the solution is set to about 10 to 50 ° C. . Next, when the boron compound is strongly stirred together with the addition of the boron compound, these are dissolved to obtain a transparent aqueous solution.
[0033]
After these are dissolved, the whole aqueous solution starts to become cloudy when left standing, so that the lens to be treated is immersed in this aqueous solution. The temperature at this time is usually set to 10 to 60 ° C., preferably about 25 to 50 ° C. Under such conditions, it is usually left for 1 to 100 hours, preferably 5 to 72 hours, particularly preferably 10 to 60 hours, so that the compound containing Si and other metals are contained on the lens surface. A composite can be deposited.
[0034]
The lens with the composite deposited on the surface in this manner is taken out from the aqueous solution, usually washed with water, and then dried.
By the way, in a plastic lens having such a hard layer or silica film formed on its surface, the lens substrate is immersed in a mixed aqueous solution of ammonium hexafluorosilicate, ammonium hexafluorozirconium and ammonium hexafluorotitanate, and fluorine In the method of depositing an oxide complex by adding boron oxide as a scavenger and creating a film-form product on a lens substrate, the mixing ratio of the hexafluorometalate is such that titanium is zirconium, When it is excessive, it is expected to form a film on the substrate and not easily peeled off. On the other hand, when zirconium is excessive with respect to titanium, although the film is formed, the film is easily peeled off, which may hinder the functional expression of the lens.
[0035]
Therefore, by using the forming material of the present invention, an inorganic hydrophilic hard layer having mechanical strength and having an excellent hydrophilic effect can be provided on the lens surface. It is difficult to peel off and maintains excellent hydrophilicity over a long period of time.
As such an inorganic hydrophilic hard layer forming method, utilizing the good adhesion between the two films, first carried out titanium-rich film formation with high adhesion to the substrate, based on this, Further, a zirconium-rich film can be formed on the lens substrate by stacking a zirconium-rich film thereon.
[0036]
Hereinafter, a preferred example of the operation for forming the inorganic hydrophilic hard layer on the lens surface using the inorganic hydrophilic hard layer forming material for a lens of the present invention will be described more specifically.
First, ammonium hexafluorotitanate (ammonium hexafluoride) and ammonium hexafluorosilicate (ammonium hexafluorosilicate), more preferably ammonium hexafluorozirconate (ammonium hexafluoride) at a specific ratio The mixed reagent is dissolved in pure water at 45 ° C. The mixing ratio is, for example, 2 g of ammonium hexafluorotitanate (ammonium hexafluoride), 8 g of ammonium hexafluorosilicate (ammonium hexafluorosilicate), and ammonium hexafluorozirconate (ammonium hexafluorozirconium) 0. Add 1g of it to pure water, mix completely and dissolve to make 600ml of processing solution.
[0037]
Here boric acid H 3 BO 3 About 20 g is added, and the temperature of a process liquid is kept at 45 degreeC. Thereafter, the entire treatment liquid is mixed strongly, and then a spectacle lens base material provided with a hard layer prepared in advance is immersed in this. In this way, deposition starts on the surface of the spectacle lens substrate.
The immersion is carried out for 24 to 48 hours, and then taken out, washed with pure water and dried to finish the coating.
[0038]
The composite deposited in this way is deposited uniformly on the lens surface, but in many cases, the lens surface is microscopically rough. Further, in order to impart very high hydrophilicity that does not adhere to the lens surface as water droplets and high lyophilicity to the surfactant, it is better that the deposited composite has a smooth surface and a small thickness. Therefore, it is preferable that the lens surface on which the composite is deposited as described above is polished and smoothed by a relatively soft material such as leather. Such so-called “soft polishing” gives high precision smoothness with hydrophilicity to the lens surface. When a surfactant is present there, the attached water film spreads uniformly and the lens itself becomes cloudy. Does not occur.
[0039]
In addition, the inorganic hydrophilic hard layer formed on the lens surface using the inorganic hydrophilic hard layer forming material for a lens of the present invention does not necessarily need to be a uniform layer. It is rather rare to form a uniform layer, and usually has a structure in which the compound is partially deposited. Therefore, although it is not always easy to determine the average thickness of the inorganic hydrophilic hard layer, the average thickness of the inorganic hydrophilic hard layer calculated from the precipitated compound and the precipitation area of the compound is usually from 10 to 0. It is desirable that the thickness be in the range of 0.5 μm, preferably 500 μm to 0.3 μm. By forming the inorganic hydrophilic hard layer with such a thickness, an inorganic hydrophilic hard layer exhibiting good hydrophilicity can be formed without adversely affecting the transparency and reflectance of the lens. In addition, the inorganic hydrophilic hard layer having an average thickness within the above range is also excellent in durability, and in the normal case, even if the lens is used for at least about 2 years while being repeatedly cleaned with water, There is no loss of sex. Thus, since the inorganic hydrophilic hard layer formed on the lens surface is maintained over a long period of time, the inorganic hydrophilic hard layer formed using the inorganic hydrophilic hard layer forming material for lenses of the present invention It is clear that it is not simply attached to the lens surface.
[0040]
When such an inorganic hydrophilic hard layer forming material for a lens of the present invention is used to form an inorganic hydrophilic hard layer on the lens surface, the lens itself exhibits very high hydrophilicity. Therefore, the lens having the inorganic hydrophilic hard layer formed on the surface using the inorganic hydrophilic hard layer forming material for lenses of the present invention can maintain the surface clean by washing with water for a long period of time. Further, at the time of this washing with water, water does not remain in the form of water droplets, but a thin water film layer is formed and remains on the lens surface. Furthermore, the glass surface having this inorganic hydrophilic hard layer shows a higher affinity for water containing a small amount of a surfactant and can be washed with water very efficiently. A part of the agent is considered to be impregnated (mainly adsorbed) into the formed inorganic hydrophilic hard layer, and it is very easy to prevent the adhesion of dirt and to remove the adhered dirt.
[0041]
That is, the inorganic hydrophilic hard layer described above is also an inorganic hydrophilic hard layer having a lyophilic property to adsorb a surfactant. The hydrophilicity that is compatible with water and the lyophilic property that adsorbs and retains the surfactant are both TiO whose photocatalytic activity is moderately suppressed. 2 It is thought that it is expressed by. Accordingly, not only water containing a small amount of a surfactant but also a surfactant may be directly applied to the surface of the inorganic hydrophilic hard layer and impregnated to be always in an integrated state.
[0042]
Further, by using the inorganic hydrophilic hard layer forming material for a lens of the present invention, an inorganic hydrophilic hard layer is formed on the surface of the lens, and a surfactant is interposed on the surface of the inorganic hydrophilic hard layer. It has extremely excellent antifogging properties. The fogging of the lens occurs when water vapor that contacts the lens surface forms fine droplets and adheres to the lens surface due to temperature changes. In the inorganic hydrophilic hard layer formed on the lens surface using the inorganic hydrophilic hard layer forming material for lenses of the present invention, the contact angle of water is almost 0 °, and water vapor is aggregated on the lens surface. The fine water droplets form a very thin water film on the lens surface in cooperation with the fine water droplets formed adjacently. The fogging of the lens is caused by the presence of droplets of water on the lens surface, and if such water becomes a film, the light scattering effect at the waterdrop interface is reduced, so that the lens is hardly fogged. .
[0043]
The state of this anti-fogging will be described by taking as an example a case where the surface of the coating material is observed under a water vapor pressure using a scanning electron microscope (E-SEM).
When a certain water vapor pressure is applied to the lens surface on which the inorganic hydrophilic hard layer is formed of the material of the present invention, water molecules are uniformly adsorbed in both the hydrophilic region and the hydrophobic region. Particularly in the hydrophobic region, the contact angle of water is large, so that the adhering water rises and so-called water droplets start to be formed. However, since the surface free energy of this water droplet is reduced by the surface tension, water molecules are less likely to be adsorbed on the surface compared to other surfaces. Therefore, even if the water vapor pressure increases, the size of the water droplet itself does not change, and water molecules are preferentially adsorbed to the hydrophilic region corresponding to the valley of the water droplet. From these series of E-SEM observation results, water molecules filled the valleys of the water droplets as if the volume of the river in the valleys increased, and finally the water droplets formed in the hydrophobic region were taken in, and uniform It can be seen that a water film is formed.
[0044]
Therefore, in order to develop the antifogging effect from these series of water film formation processes, the entire lens surface does not necessarily have to be hydrophilic, and the hydrophobic region and the hydrophilic region coexist. If present, the hydrophilic region serves as a nucleus, and the entire water film formation is achieved.
This means that even if most of the lens surface is hydrophobic, if there is an inorganic hydrophilic hard layer formed of the material of the present invention at a certain density, this inorganic hydrophilic hard layer will adsorb water molecules. It is shown that a water film can be formed on the entire lens. Such a phenomenon accurately explains the state in which the antifogging effect is exhibited on the lens surface by using the inorganic hydrophilic hard layer forming material of the present invention.
[0045]
This hydrophilic area | region is an inorganic hydrophilic hard layer formed in the lens surface with the forming material of this invention, and reduces the contact angle of a water molecule. Further, when an aqueous medium containing a surfactant is used, the inorganic hydrophilic hard layer is also a region that adsorbs the surfactant, that is, a lyophilic region, and this region serves as a nucleus for water. A film is formed.
The process of forming a water film starting from such an inorganic hydrophilic hard layer sequentially spreads to other parts, and forms an extremely thin water film on the lens surface while instantaneously taking in water droplets in other hydrophobic regions.
[0046]
In addition, the effect is not lost by re-watering, and the surfactant can be supplied to the lens surface by washing with a neutral detergent after every several washings. , Excellent hydrophilicity can be maintained.
In addition to washing with a neutral detergent, a surfactant may be directly applied to the surface of the inorganic hydrophilic hard layer and integrated. Since the surfactant is adsorbed on the inorganic hydrophilic hard layer and stably exists for a long time, the hydrophilicity is greatly promoted, and the antifogging effect and the like are maintained for a long time.
[0047]
In the same manner as described above, with respect to a sample in which an inorganic hydrophilic hard layer was formed on the surface of a plastic plate using ammonium hexafluorosilicate, ammonium hexafluorozirconium and ammonium hexafluorotitanate, a fluorescent X-ray analyzer and X When an inorganic hydrophilic hard layer was analyzed using a line diffractometer (XRD: JEOL Ltd., Rigaku Denshi Co., Ltd.), Si, Ti, Zr, and F were detected from this inorganic hydrophilic hard layer. It was done.
[0048]
Therefore, the hydrophilic effect exhibited by the inorganic hydrophilic hard layer formed on the lens surface using the inorganic hydrophilic hard layer forming material for a lens of the present invention is an inorganic hydrophilic material containing titanium oxide whose photocatalytic activity is suppressed to some extent. It is brought about by impregnating (mainly adsorbing) a surfactant in such an inorganic hydrophilic hard layer.
[0049]
Moreover, when forming an inorganic hydrophilic hard layer using this invention, the complicated process like intense ultraviolet irradiation is not especially required. Further, even if the surface is wiped with cloth or paper, the characteristics do not change. Unlike the case of the titanium oxide film due to the photocatalytic effect that becomes cloudy when the surface is wiped, there is an advantage in that respect.
In the above description, the lens has been described. However, this lens includes various lenses such as a spectacle lens, an optical lens, a lens for various photographing machines, and a photographic lens. For example, it can be used as a surface treatment agent such as a transparent plastic plate that needs to have an antifogging effect.
[0050]
【The invention's effect】
By using the inorganic hydrophilic hard layer forming material for a lens of the present invention, a region exhibiting extremely high hydrophilicity can be formed on the lens surface. Thus, by forming an inorganic hydrophilic hard layer using the inorganic hydrophilic hard layer forming material for a lens of the present invention and impregnating it with a surfactant, a lens exhibiting excellent hydrophilicity over a long period of time is obtained. Can be formed. In particular, by using the inorganic hydrophilic hard layer forming material for a lens of the present invention, it is possible to form a lens having excellent antifogging properties, and manufacturing a lens that is not easily fogged even by a sudden change in the humidity environment. can do. Such a high antifogging lens is particularly suitable as a spectacle lens. Furthermore, the inorganic hydrophilic hard layer formed by the material for forming an inorganic hydrophilic hard layer for lenses of the present invention is excellent in scratch resistance, and the metal atoms forming the inorganic hydrophilic hard layer are present in this lower layer. It is presumed that the oxygen atoms contained in the hard layer of the plastic lens or glass lens that is formed are bonded and shared, and unlike the surface coat layer that simply adheres, it is very long ( The hydrophilicity does not fluctuate over the course of two years of normal use with little damage to the inorganic hydrophilic hard layer.
[0051]
【Example】
EXAMPLES Next, the present invention will be described in more detail with reference to examples of the present invention, but the present invention is not limited thereto.
[0052]
[Example 1]
SiO 2 : 10 g, TiO 2 : 5 g and ZrO 2 1 g of the mixed powder was put into an aqueous solution obtained by dissolving 3 ml of 46% HF aqueous solution in 600 ml of pure water, and reacted at about 25 ° C. for 24 hours with vigorous stirring.
Thereafter, the remaining aqueous solution of the unreacted powder was allowed to stand, and the supernatant was collected. Using a pipette to this supernatant, NH 4 OH water was added dropwise.
[0053]
NH 4 As the OH aqueous solution was dropped, the entire aqueous solution became slightly cloudy, and then the NH became when the entire solution became transparent. 4 The addition of the aqueous OH solution was stopped and the preparation of the treatment liquid was completed.
Boron oxide (B) was added to 600 ml (40 ° C.) of this treatment solution. 2 O 3 ) 10 g was added and the whole solution was stirred vigorously to completely dissolve the precipitate.
[0054]
After a while after dissolution, the whole liquid began to become cloudy, and a plastic lens provided with a hard layer prepared in advance was immersed.
With the treatment liquid kept at 40 ° C., the plastic lens provided with the hard layer was immersed and held for 36 hours.
After the elapse of the time, the lens was taken out from the treatment liquid, and the surface was washed and dried.
[0055]
As described above, the surface of the prepared lens is “soft polished” using a leather polisher to smooth the lens surface, and then washed with a neutral detergent, dried, and then applied to the lens. Finished surface treatment.
The photocatalytic activity of titanium oxide in the inorganic hydrophilic hard layer thus obtained was remarkably suppressed.
[0056]
When the lens substrate thus surface-treated was placed in a high humidity environment, the normal uncoated (untreated) lens became cloudy, whereas the treated lens surface was formed with a water film exhibiting an interference color and was transparent. Was able to hold.
This transparency has no practical problem in terms of application to lenses.
When the composition of the thin film formed on the lens surface was analyzed by an X-ray fluorescence analyzer (XRD: manufactured by JEOL Ltd.), it was found to be a compound having a composition as shown in Table 1.
[0057]
[Table 1]
[0058]
[Example 2]
Ammonium hexafluorosilicate (ammonium hexafluorosilicate: (NH 4 ) 2 SiF 6 ) 10 g, ammonium hexafluorozirconium (zirconium ammonium hexafluoride: (NH 4 ) 2 ZrF 6 ) 1 g and ammonium hexafluorotitanate (ammonium hexafluoride: (NH 4 ) 2 TiF 6 ) 5 g was weighed and mixed and dissolved in 600 ml of pure water at 40 ° C.
[0059]
10 g of boron oxide was added to the treatment solution thus prepared, and the entire treatment solution was vigorously stirred to completely dissolve the precipitate. After a while after dissolution, the entire liquid began to become cloudy, and a plastic lens provided with a hard layer prepared in advance was immersed.
Immersion was terminated after 24 hours in a state where the treatment liquid was kept at 40 ° C.
Thereafter, the lens was taken out from the treatment liquid, and the surface was washed and dried.
[0060]
The photocatalytic activity of titanium oxide in the inorganic hydrophilic hard layer thus obtained was remarkably suppressed.
Next, the surface of the treated lens thus prepared was smoothed using a leather polisher, further lightly washed with a neutral detergent and dried to finish the treatment of the lens surface.
[0061]
When the surface-treated lens was placed in a high humidity environment, the normal uncoated lens was clouded, whereas the treated lens was able to withstand lens applications while maintaining transparency.
Further, the treated lens could be cleaned by washing with water, and this was continued for about 2 years. However, no large scratches were observed on the lens surface.
[0062]
[Table 2]
[0063]
[Example 3]
After the spectacle lens coated with the inorganic hydrophilic hard layer forming material according to the present invention is left in the dark room for 1 week, 2 weeks, 1 month, 3 months, respectively, the spectacle lens is taken out from the dark room and has an antifogging effect. Whether it was expressed or not was confirmed by the high humidity chamber shown in FIG.
[0064]
The component composition of the thin film formed on the surface of the lens used here was measured in the same manner as in Example 1. The results are shown in Table 3.
[0065]
[Table 3]
[0066]
The lens taken out from the dark room was placed in the chamber shown in FIG. 1, and measurement was performed for each sample using a light quantity measuring device.
As a result, all samples showed a high amount of transmitted light, and no decrease in the amount of light due to cloudiness was observed.
Accordingly, it has been found that the antifogging effect according to the present invention is not based on the superhydrophilicity generated by the photocatalyst. That is, if superhydrophilicity is generated by the photocatalyst, the amount of transmitted light changes according to the standing time, but in this example, the amount of passing light did not change according to the standing time.
[0067]
[Table 4]
[0068]
As is apparent from the light transmission amount shown in Table 4 above, the spectacle lens used in this example shows a good anti-fogging effect even though it is stored in a dark room and not exposed to ultraviolet rays. The water adhering to the spectacle lens surface formed a thin water film layer. Therefore, ultraviolet rays are not involved in the formation of the inorganic hydrophilic hard layer on the lens surface using the inorganic hydrophilic hard layer forming material for lenses of the present invention.
[0069]
[Example 4]
15 g of ammonium hexafluorosilicate (ammonium hexafluorosilicate), 0.1 g of ammonium hexafluorozirconate (ammonium hexafluoride) and 5 g of ammonium hexafluorotitanate (ammonium hexafluorotitanium) in 600 ml of pure water Dissolved and mixed and stirred. After sufficiently mixing and stirring, 15 g of boron oxide was added and completely dissolved while stirring and mixing. At this stage, the treatment liquid was colorless and transparent.
[0070]
Furthermore, after that, a plastic lens base material having a diameter of 70 mm provided with a hard layer was immersed in this solution, and the treatment liquid was kept at 40 ° C. and left for 24 hours.
The treatment liquid started to become cloudy after about 5 to 6 hours, and it was observed that the precipitation proceeded gradually.
After 24 hours, the lens base material was taken out of the processing solution, washed easily with pure water, and further prepared in advance 15 g of ammonium hexafluorosilicate (ammonium hexafluorosilicate), hexafluorozirconium. In a processing solution in which 5 g of ammonium oxalate (ammonium hexafluoride) and 0.75 g of ammonium hexafluorotitanate (ammonium hexafluoride) were mixed and dissolved in pure water, and further 15 g of boron oxide was added to completely dissolve the solution. And dipped again. Immersion was performed by keeping the temperature of the treatment liquid at 40 ° C. and leaving it for about 10 hours.
[0071]
After 10 hours, the lens substrate was taken out, gently washed with warm water, and then dried.
The photocatalytic activity of titanium oxide in the inorganic hydrophilic hard layer thus obtained was remarkably suppressed.
When this lens was dried, the surface was polished with a semi-skin and immersed in pure water to show high hydrophilicity.
[0072]
Furthermore, when the surface of this lens was thinly coated with a 43 wt% surfactant mainly composed of a sodium alkylsulfate ester compound, the antifogging effect was maintained even after 2 to 3 weeks, and the lens was maintained in a high humidity environment. Scratch-like marks appearing on the surface as signs of deterioration were hardly formed.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a diagram schematically showing an apparatus used in an anti-fogging test performed in Example 3 of the present invention.
FIG. 2 is a composition diagram showing an example of a suitable amount of hexafluorometalate used in the method for producing a lens of the present invention.
FIG. 3 is a composition diagram showing an example of a metal composition in an inorganic hydrophilic hard layer formed by the lens manufacturing method of the present invention.
Claims (13)
性硬質層形成材料。3. The inorganic hydrophilic hard layer forming material for a lens according to claim 1, wherein the inorganic hydrophilic hard layer contains a simple oxide or a composite oxide of silicon, zirconium and titanium.
機親水性硬質層形成材料。2. The inorganic hydrophilicity for lenses according to claim 1, wherein the hexafluorometalate is prepared by dissolving a corresponding metal oxide in hydrofluoric acid and then neutralizing it. Hard layer forming material.
とを99.9/0.1〜90:10の範囲内になるように使用されていることを特徴とする請求項第1項記載のレンズ用無機親水性硬質層形成材料。The hexafluorometalate salt is composed of ammonium hexafluorosilicate, ammonium hexafluorozirconate, and ammonium hexafluorotitanate. 9 / 0.1 to 60:40, titanium and zirconium in the range of 99.9 / 0.1 to 90:10, silicon and zirconium in the range of 99.9 / 0.1 to 90:10 The material for forming an inorganic hydrophilic hard layer for lenses according to claim 1, wherein the material is used.
一種類の原子を含有することを特徴とする請求項第1項記載のレンズ用無機親水性硬質層形成材料。The inorganic hydrophilic hard layer formed using the plurality of hexafluorometalates contains metal atoms of Si, Ti and Zr, and at least one of the group consisting of F, N, B, H and O The inorganic hydrophilic hard layer forming material for lenses according to claim 1, comprising various kinds of atoms.
比で析出するように配合することを特徴とする請求項第1項または第6項のいずれかに記載のレンズ用無機親水性硬質層形成材料。The ammonium hexafluorozirconate and ammonium hexafluorotitanate are precipitated in a metal atomic% ratio conversion (Ti / Zr) at a quantitative ratio in the range of 99.9 / 0.1 to 70/30. The inorganic hydrophilic hard layer forming material for a lens according to any one of claims 1 to 6 , which is blended.
。99.9 / 0.1-60 / 40 of said ammonium hexafluorosilicate, ammonium hexafluoro zirconate and ammonium hexafluorotitanate in terms of metal atomic% ratio (Si / (Ti + Zr)) lens inorganic hydrophilic hard layer forming material according to any one of claims paragraph 1 or paragraph 6, characterized in that formulated to deposit in an amount ratio in the range.
Priority Applications (7)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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