JP3577442B2 - ポジ型ホトレジスト組成物、感光性膜付基板、レジストパターンの形成方法およびポジ型ホトレジスト組成物の製造方法 - Google Patents

ポジ型ホトレジスト組成物、感光性膜付基板、レジストパターンの形成方法およびポジ型ホトレジスト組成物の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポジ型ホトレジスト組成物、感光性膜付基板、レジストパターンの形成方法、およびポジ型ホトレジスト組成物の製造方法に関するものであり、とくに厚膜条件下で形成された基板上での、パターンの垂直性、解像性、耐熱性等に優れたポジ型ホトレジスト組成物、感光性膜付基板、レジストパターンの形成方法、およびポジ型ホトレジスト組成物の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
これまで、アルカリ可溶性樹脂とキノンジアジド基含有化合物とからなるホトレジスト組成物は、i線(365nm)を用いたホトリソグラフィ技術において、解像性、感度、耐エッチング性に優れることから半導体素子や液晶素子の製造に十分実用に供してきているが、厚膜プロセスを必要とする製造分野、例えば、巨大磁気抵抗(GMR:Giant Magnetoresistive)ヘッドや磁気抵抗(MR:Magnetoresistive)ヘッド等の磁気ヘッド、とくに記録ヘッド(磁気ヘッド)の上部磁極を形成する分野などにおいては、3.0μm以上、とくに6.0〜8.0μm程度の厚膜条件下で、幅0.8μm以下の高アスペクト比のスペースパターンを、垂直性よく形成することが必要とされており、従来のi線用のポジ型ホトレジスト組成物を用いて、このような厚膜条件下で高アスペクト比のスペースパターンを垂直性よく形成することは困難とされている。
【0003】
また、特開平11−204399号公報、特開平11−283905号公報、および特開平11−283910号公報には、低アスペクト比のスペースパターン表面に第2のレジスト被膜を形成することにより、高アスペクト比のスペースパターンを形成できる技術が開示されているが、これには130℃程度の加熱処理を必要とすることから、この程度の加熱温度に対しても変形の少ない耐熱性に優れたスペースパターンの形成が必須とされる。
しかし、3.0μm以上、とくに6.0〜8.0μm程度の厚膜条件下では、耐熱性の良いスペースパターンの形成が困難であった。
【0004】
また、特開昭62−160444号公報には、クレゾール系の繰り返し単位を有し、水酸基の水素原子の1〜99モル%がナフトキノンジアジドスルホニル基で置換されている、Mnが1500以上のノボラック樹脂を含有してなるポジ型ホトレジスト組成物が記載されている。
しかし、当該レジスト組成物では、3.0μm以上、とくに6.0〜8.0μm程度の厚膜条件下で、耐熱性に優れる幅0.8μm以下の高アスペクト比のスペースパターンを垂直性よく形成することが困難である。
【0005】
また、特開平6−242602号公報には、水酸基の水素原子1原子当たり0.03〜0.27モルの割合で1,2−ナフトキノンジアジドスルホニル基で置換された、Mwが1000〜10000のノボラック樹脂を含有してなるポジ型ホトレジスト組成物が記載されている。
しかし、当該レジスト組成物では、3.0μm以上、とくに6.0〜8.0μm程度の厚膜条件下で、耐熱性に優れる幅0.8μm以下の高アスペクト比のスペースパターンを垂直性よく形成することが困難である。
【0006】
また、特開平8−286370号公報には、全水酸基の水素原子の最大20モル%が1,2−ナフトキノンジアジドスルホニル基で置換された、Mwが1500〜5500、Mw/Mnが1.6〜4のノボラック樹脂と、特定のキノンジアジドエステル化物とを含有してなるポジ型ホトレジスト組成物が記載されている。
しかし、当該レジスト組成物では、3.0μm以上、とくに6.0〜8.0μm程度の厚膜条件下で、耐熱性に優れる幅0.8μm以下の高アスペクト比のスペースパターンを垂直性よく形成することが困難である。
【0007】
また、特開平10−69077号公報には、全水酸基の水素原子の2〜27モル%が1,2−ナフトキノンジアジドスルホニル基で置換された、Mwが1000〜10000のノボラック樹脂と、フェノール性水酸基を有する特定の溶解促進剤とを含有してなるポジ型ホトレジスト組成物が記載されている。
しかし、当該レジスト組成物では、3.0μm以上、とくに6.0〜8.0μm程度の厚膜条件下で、耐熱性に優れる幅0.8μm以下の高アスペクト比のスペースパターンを垂直性よく形成することが困難である。
【0008】
また、特開平10−97066号公報には、全水酸基の水素原子の2.5〜27モル%が1,2−ナフトキノンジアジドスルホニル基で置換された、Mwが2000〜20000のノボラック樹脂と、フェノール性水酸基を有する特定の低核体とを含有してなるポジ型ホトレジスト組成物が記載されている。
しかし、当該レジスト組成物では、3.0μm以上、とくに6.0〜8.0μm程度の厚膜条件下で、耐熱性に優れる幅0.8μm以下の高アスペクト比のスペースパターンを垂直性よく形成することが困難である。
【0009】
また、特開平10−221847号公報には、水酸基の水素原子1原子当たり0.03〜0.27モルの割合で1,2−ナフトキノンジアジドスルホニル基で置換された、Mwが1000〜10000のノボラック樹脂、乳酸エステル類、および酢酸エステル類を含有してなるポジ型ホトレジスト組成物が記載されている。
しかし、当該レジスト組成物では、3.0μm以上、とくに6.0〜8.0μm程度の厚膜条件下で、耐熱性に優れる幅0.8μm以下の高アスペクト比のスペースパターンを垂直性よく形成することが困難である。
【0010】
また、特開平10−269521号公報には、水酸基の水素原子1原子当たり0.12〜0.22モルの割合で1,2−ナフトキノンジアジドスルホニル基で置換された、Mwが2000〜6000のノボラック樹脂を含有してなるポジ型ホトレジスト組成物が記載されている。
しかし、当該レジスト組成物では、3.0μm以上、とくに6.0〜8.0μm程度の厚膜条件下で、耐熱性に優れる幅0.8μm以下の高アスペクト比のスペースパターンを垂直性よく形成することが困難である。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
したがって本発明の目的は、3.0μm以上、とくに6.0〜8.0μm程度の厚膜が形成された基板上で、耐熱性に優れる幅0.8μm以下の高アスペクト比のスペースパターンを垂直性および解像性よく形成することが可能なポジ型ホトレジスト組成物、感光性膜付基板、レジストパターンの形成方法、およびポジ型ホトレジスト組成物の製造方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意研究した結果、前記の目的を解決することを得た。
【0013】
すなわち、本発明は、全フェノール性水酸基の水素原子の一部が1,2−ナフトキノンジアジドスルホニル基で置換されているアルカリ可溶性ノボラック樹脂を含有してなるポジ型ホトレジスト組成物において、前記アルカリ可溶性ノボラック樹脂は、ポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)が4000〜5000であり、分散度[重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)]が3.0以下であり、かつ下記一般式(I)で表される構成単位;
【0014】
【化7】
Figure 0003577442
【0015】
下記一般式(II)および(III)で表される構成単位から選ばれる少なくとも1種の構成単位;および
【0016】
【化8】
Figure 0003577442
【0017】
下記一般式(IV)で表される構成単位を含有してなることを特徴とするポジ型ホトレジスト組成物を提供するものである。
【0018】
【化9】
Figure 0003577442
【0019】
また、本発明は、前記アルカリ可溶性ノボラック樹脂は、全フェノール系構成単位中に、一般式(I)で表される構成単位を25〜55モル%;一般式(II)および(III)で表される構成単位から選ばれる少なくとも1種を15〜45モル%;一般式(IV)で表される構成単位を15〜45モル%の範囲で含有することを特徴とする前記のポジ型ホトレジスト組成物を提供するものである。
【0020】
また、本発明は、前記アルカリ可溶性ノボラック樹脂は、一般式(I)、(II)、および(IV)で表される構成単位を有することを特徴とする前記のポジ型ホトレジスト組成物を提供するものである。
【0021】
また、本発明は、前記アルカリ可溶性ノボラック樹脂は、全フェノール性水酸基の水素原子の3.0〜5.0モル%が、1,2−ナフトキノンジアジドスルホニル基で置換されていることを特徴とする前記のポジ型ホトレジスト組成物を提供するものである。
【0022】
また、本発明は、前記アルカリ可溶性ノボラック樹脂は、フェノール系モノマーの含有量が1重量%以下で、かつダイマーの含有量が4重量%以下であるフェノールノボラック樹脂と1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸化合物とのエステル化物であることを特徴とする前記のポジ型ホトレジスト組成物を提供するものである。
【0023】
また、本発明は、前記のポジ型ホトレジスト組成物を用いて形成した膜厚3.0μm以上感光性膜が、基板上に形成されていることを特徴とする感光性膜付基板を提供するものである。
【0024】
また、本発明は、前記のポジ型ホトレジスト組成物を用いて形成した膜厚6.0μm以上の感光性膜が、基板上に形成されている感光性膜付基板に、i線(365nm)を光源に用いた選択的露光を行い、幅0.8μm以下のスペースパターンを形成することを特徴とするレジストパターンの形成方法を提供するものである。
【0025】
また、本発明は、(1)前記のポジ型ホトレジスト組成物を用いて形成した感光性膜が基板上に形成されている感光性膜付基板に、i線(365nm)を光源に用いた選択的露光を行い、現像して、スペースパターンを形成する工程、
(2)前記スペースパターンが描かれた基板の全面に酸の作用により架橋反応を起こす酸架橋性材料の被膜を形成する工程、
(3)加熱処理を行い、スペースパターン表面から拡散する酸の作用によりスペースパターンに接する部分の前記酸架橋性材料を架橋させる工程、および
(4)現像液により架橋していない領域の前記酸架橋性材料を除くことにより、酸架橋性材料の被膜を形成する前のスペースパターンのスペース幅より狭い幅のスペースパターンを形成する工程、を有することを特徴とするレジストパターンの形成方法を提供するものである。
【0026】
また、本発明は、(1)前記のポジ型ホトレジスト組成物を用いて形成した感光性膜が基板上に形成されている感光性膜付基板に、i線(365nm)を光源に用いた選択的露光を行い、現像して、スペースパターンを形成する工程、
(2)前記スペースパターンが描かれた基板の全面に酸の作用により架橋反応を起こす酸架橋性材料の被膜を形成する工程、
(3)紫外線照射による全面露光または選択的露光を行い、スペースパターン表面あるいは内部に酸を発生させる工程、
(4)加熱処理を行い、スペースパターン表面から拡散する酸の作用によりスペースパターンに接する部分の前記酸架橋性材料を架橋させる工程、および
(5)現像液により架橋していない領域の前記酸架橋性材料を除くことにより、酸架橋性材料の被膜を形成する前のスペースパターンのスペース幅より狭い幅のスペースパターンを形成する工程、を有することを特徴とするレジストパターンの形成方法を提供するものである。
【0027】
また、本発明は、(1)前記一般式(I)で表される構成単位;前記一般式(II)および(III)で表される構成単位から選ばれる少なくとも1種の構成単位;および前記一般式(IV)および(V)で表される構成単位から選ばれる少なくとも1種の構成単位を含有してなるフェノールノボラック樹脂の低分子量域をカットする分別操作を行い、ポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)が4000〜5000、分散度[重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)]が3.0以下、フェノール系モノマーの含有量が1重量%以下、およびダイマーの含有量が4重量%以下のフェノールノボラック樹脂を合成する工程、
(2)前記フェノールノボラック樹脂と1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸化合物とのエステル化反応により、全フェノール性水酸基の水素原子の一部が1,2−ナフトキノンジアジドスルホニル基で置換されたアルカリ可溶性ノボラック樹脂を合成する工程、および
(3)前記アルカリ可溶性ノボラック樹脂を溶剤で所定濃度に調整する工程、を有することを特徴とするポジ型ホトレジスト組成物の製造方法を提供するものである。
【0028】
【発明の実施と形態】
アルカリ可溶性ノボラック樹脂
本発明において、使用されるアルカリ可溶性ノボラック樹脂は、特定の構成単位を含有し、特定のMw、および特定のMw/Mnを有する。そして該アルカリ可溶性ノボラック樹脂の全フェノール性水酸基の水素原子の一部が、1,2−ナフトキノンジアジドスルホニル基で置換されている。アルカリ可溶性ノボラック樹脂は、例えば特開平10−97066号公報に記載されているような常法に従い、フェノール化合物と縮合剤との脱水縮合反応により合成された重縮合生成物と、1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸化合物とのエステル化反応により合成することができる。
【0029】
ここで使用され得る1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸化合物としては、例えば、1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸クロライド、1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸クロライド等のキノンジアジド化合物のハロゲン化物が挙げられる。
【0030】
前記フェノール化合物としては、前記一般式(I)〜(V)で表される構成単位に対応するフェノール化合物が挙げられ、例えば、前記一般式(I)で表される構成単位に対応するフェノール化合物としては、m−クレゾール、前記一般式(II)で表される構成単位に対応するフェノール化合物としては、p−クレゾール、前記一般式(III)で表される構成単位に対応するフェノール化合物としては、3,4−キシレノール、前記一般式(IV)で表される構成単位に対応するフェノール化合物としては、2,3,5−トリメチルフェノール、および前記一般式(V)で表される構成単位に対応するフェノール化合物としては、3,5−キシレノールが挙げられる。
また、上記以外のフェノール化合物も使用可能であるが、これらは全フェノール化合物中の10モル%以下の範囲で用いられることが、本発明のポジ型ホトレジスト組成物の諸特性を損なわない点で望ましい。
【0031】
前記縮合剤としては、従来からフェノールノボラック樹脂の合成に用いられてきたアルデヒド類、およびケトン類が挙げられ、中でもアルデヒド類、特にホルムアルデヒドが好適に用いられる。
フェノール化合物と縮合剤との脱水縮合反応を行った後は、公知の分別操作により、低分子量域のカットを行い、ポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)が4000〜5000であり、分散度[重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)]が3.0以下のフェノールノボラック樹脂とする。
【0032】
なお、このとき、フェノール系モノマーの含有量が1重量%以下で、かつダイマーの含有量が4重量%以下となるように分別操作を行うことことが好ましい。フェノール系モノマーおよびダイマーの含有量がこの範囲を超えるとスペースパターン断面形状の垂直性が劣り、現像後の基板上に残渣(スカム)を発生させ、また耐熱性が低下する傾向があり好ましくない。
なお、フェノール系モノマーおよびダイマーの含有量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定の結果から確認することができる。
つまり、GPCチャートからは、合成したフェノールノボラック樹脂の分子量分布を確認することができ、フェノール系モノマーおよびダイマーの溶出時間に該当するピークの強度比を測定することにより、それぞれの含有量を算出することができる。
なお、フェノール系モノマーおよびダイマーの溶出時間は、測定手段により異なるため、カラム、溶離液、流量、温度、検出器、サンプル濃度、注入量、測定器等の特定が重要である。
なお、本発明においては、下記の測定手段を用いることにより、フェノール系モノマーの溶出時間は23〜25分付近に、ダイマーの溶出時間は21〜22分付近に、それぞれ帰属できる。
【0033】
[本発明におけるGPCの測定手段]
(1)試料20mgをTHF10mlに溶解し、試料溶液を調整する。
(2)(1)の試料溶液10μlを下記のGPC測定装置に注入し、28分間流してUV波長λ=280nm付近で検出される試料の溶出時間を測定した。
(測定装置)
ガードカラム(製品名「KF−G」;Shodex社製)と3本の分離カラム(6μm粒径のスチレン−ジビニルベンゼン共重合体を充填剤としたカラムサイズ8μm(径)×300mm(長さ)、製品名「KF−801」;Shodex社製)を備え、分離カラム温度は、オーブンを使用して40℃に設定したGPC測定装置(製品名「GPC SYSTEM 11」;Shodex社製)を用い、テトラヒドロフラン(THF)の溶離液の送液速度は、1.0ml/minの条件で行った。
【0034】
本発明のアルカリ可溶性ノボラック樹脂は、前記一般式(I)の構成単位;前記一般式(II)および(III)から選ばれる少なくとも1種の構成単位;前記一般式(IV)および(V)から選ばれる少なくとも1種の構成単位を含有することが必須であり、いずれの構成単位が欠ける場合は、3.0μm以上、とくに6.0〜8.0μm程度の厚膜条件下で、耐熱性に優れる幅0.8μm以下の高アスペクト比のスペースパターンを垂直性よく形成することが困難となる。
中でもとくに前記一般式(I)、(II)、および(IV)で表される構成単位を含有するものは、感度、解像性、およびスペースパターン断面形状の垂直性に優れて好ましい。
【0035】
また、前記アルカリ可溶性ノボラック樹脂は、全フェノール系構成単位中、前記一般式(I)の構成単位を25〜55モル%;前記一般式(II)および(III)から選ばれる少なくとも1種の構成単位を15〜45モル%;前記一般式(IV)および(V)から選ばれる少なくとも1種の構成単位を15〜45モル%の範囲で含有することが好ましい。
一般式(I)の構成単位が25モル%未満であると、感度および耐熱性が劣る傾向があり、55モル%を超えると膜減りが大きくなる傾向がある。
また、一般式(II)および(III)から選ばれる少なくとも1種の構成単位が15モル%未満であると、解像性が低下する傾向があり、45モル%を超えると感度および耐熱性が劣り、スカムが発生する傾向がある。
また、一般式(IV)および(V)から選ばれる少なくとも1種の構成単位が15モル%未満であると、スペースパターン(レジストパターン)断面形状の垂直性および耐熱性が劣る傾向があり、45モル%を超えると感度が著しく低下する傾向がある。
【0036】
前記アルカリ可溶性ノボラック樹脂のポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)は、4000〜5000が好ましく、Mwが4000未満であるとスペースパターン上部が広がることで断面形状の垂直性が悪くなり、現像時に顕著な未露光部の膜減りが起こり、解像性および耐熱性が劣る傾向がある。また、Mwが5000を越えると、同様にスペースパターンの断面形状の垂直性が悪くなり、解像性が劣化し、感度も低下する傾向にある。中でも、Mwが4100〜4500のものがとくに好ましい。
【0037】
前記アルカリ可溶性ノボラック樹脂の分散度[重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)]は、3.0以下が好ましく、Mw/Mnが3.0を越えるとスペースパターン上部が広がり、解像性が劣化し、スペースパターン断面形状の垂直性が悪くなる傾向にある。この傾向は、とくに露光時の光の焦点がプラス側にずれた場合(焦点がレジスト被膜の底部側にずれた場合)に顕著にみられ、結果として焦点深度幅特性は低下する。中でも、Mw/Mnが2.2〜2.8のものがとくに好ましい。
【0038】
また、前記アルカリ可溶性ノボラック樹脂は、全フェノール性水酸基の水素原子の3.0〜5.0モル%が1,2−ナフトキノンジアジドスルホニル基で置換されていることが好ましく、3.0モル%未満ではスペースパターン上部が広がり、また未露光部分の膜減り傾向が大きく好ましくなく、5.0モル%を越えると解像性が低下し、スペースパターン上部が広がることで断面形状の垂直性が悪くなり、また感度の劣化を起こす傾向もあり、好ましくない。
【0039】
密着性向上剤
本発明では、基板との密着性を上げるために、特開昭62−262043号公報、特開平11−223937号公報などに記載されている密着性向上剤を配合してもよい。例えば、6−メチル−8−ヒドロキシキノリン、6−エチル−8−ヒドロキシキノリン、5−メチル−8−ヒドロキシキノリン、8−ヒドロキシキノリン、8−アセチルオキシキノリン、4−ヒドロキシプテリジン、2,4−ジヒドロキシプテリジン、4−ヒドロキシプテリジン−2−スルホン酸、2−エチル−4−ヒドロキシプテリジン、2−メチル−4−ヒドロキシプテリジン、1,10−フェナントロリン、5,6−ジメチル−1,10−フェナントロリン、3,8−ジメチル−1,10−フェナントロリン、3,8−ジヒドロキシ−1,10−フェナントロリン、5−カルボキシ−1,10−フェナントロリン、5,6−ジヒドロキシ−1,10−フェナントロリン、1,10−フェナントロリン−5−スルホン酸、4,4’−ジメチル−2,2’−ビピリジル、2,2’−ビピリジル、2,2’−ビピリジル−5−カルボン酸、5,5’−ジクロロ−2,2’−ビピリジル、3,3’−ジヒドロキシ−2,2’−ビピリジル、3,3’−ジメルカプト−2,2’−ビピリジル等が挙げられる。
【0040】
また、とくに環上に、下記一般式(c−1)および(c−2)で表される結合から少なくとも1つと、下記一般式(c−3)で表される結合から少なくとも1つとを有する芳香族性の複素環化合物を配合することにより、ポジ型ホトレジスト組成物の基板に対する接着性を著しく高めることができる。
【0041】
【化10】
Figure 0003577442
【0042】
(式中、R14は、水素原子または炭素原子数1〜3のアルキル基を表す)
【0043】
【化11】
Figure 0003577442
【0044】
(式中、R15は、水酸基または水酸基が置換した炭素原子数1〜5の直鎖または分枝状のアルキル基を表す)
【0045】
前記複素環化合物としては、例えば「有機化合物構造式インデックス」(昭和52年12月20日発行、丸善(株))のpp.362−401に記載されているインドール系化合物、インドリン系化合物、インジゴ系化合物等の窒素1原子の5員環骨格を有するもの;ピリジン系化合物、キノリン系化合物、ヒドロキノリン系化合物、イソキノリン系化合物、アクリジン系化合物、ベンゾキノリン系化合物、ナフトキノリン系化合物、フェナントロリン系化合物等の窒素1原子の6員環骨格を有するもの;ピラゾール系化合物、イミダゾール系化合物、イミダゾリン系化合物、ベンゾイミダゾール系化合物等の窒素2原子の5員環骨格を有するもの;ジアジン系化合物、ヒドロピリジン系化合物、ベンゾジアジン系化合物、ジベンゾジアジン系化合物等の窒素2原子の6員環骨格を有するもの;トリアゾール系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物等の窒素3原子の5員環骨格を有するもの;トリアジン系化合物等の窒素3原子の6員環骨格を有するもの;テトラゾール、ペンテトラゾール等の窒素4原子の5員環骨格を有するもの;1,2,4,5−テトラジン等の窒素4原子の6員環骨格を有するもの;その他プリン系化合物、プテリジン系化合物、アロキサジン系化合物、2H−ピロール等が挙げられる。
これらの中でも、下記一般式(c−4)で表される化合物は、スカムの発生を抑制し、かつ基板に対する接着性に優れたポジ型ホトレジスト組成物を提供できる点で好ましく、とくに2−(2−ヒドロキシエチル)ピリジンは好ましい。
【0046】
【化12】
Figure 0003577442
【0047】
(式中、mは1〜3の整数を表し、R15は前記と同様の意味を表す)
【0048】
密着性向上剤の添加量は、前記アルカリ可溶性ノボラック樹脂、および所望により配合される下記増感剤の合計量に対して、0.1〜1.0重量%、とくに0.2〜0.5重量%が好ましく、0.1重量%未満であると、ポジ型ホトレジスト組成物の基板に対する接着性の向上効果が十分でなく、1.0重量%を超えると、解像性の低下とスペースパターン上部が広がる傾向が大きく、また現像後の基板上に若干スカムを発生させる傾向があるため、好ましくない。
【0049】
増感剤
また、本発明では、所望により増感剤を配合することができる。
本発明で用いることのできる増感剤としては、とくに制限はなく、ポジ型ホトレジスト組成物において増感剤として通常用いられ得るものの中から任意に選ぶことができる。例えば下記一般式(d−1)で表されるフェノール化合物を使用することができる。
【0050】
【化13】
Figure 0003577442
【0051】
〔式中、R〜Rはそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシル基、またはシクロアルキル基を表し;R〜R11はそれぞれ独立に水素原子または炭素原子数1〜6のアルキル基を表し;Qは水素原子、炭素原子数1〜6のアルキル基、Rと結合し、炭素原子鎖3〜6のシクロ環、または下記の化学式(d−2)で表される残基
【0052】
【化14】
Figure 0003577442
【0053】
(式中、R12およびR13はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシル基、またはシクロアルキル基を表し;cは1〜3の整数を示す)を表し;a、bは1〜3の整数を表し;dは0〜3の整数を表し;nは0〜3の整数を表す〕
【0054】
上記一般式(d−1)で表されるフェノール化合物としては、例えばビス(4−ヒドロキシ−2,3,5−トリメチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、1,4−ビス[1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)イソプロピル]ベンゼン、2,4−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニルメチル)−6−メチルフェノール、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、1−[1−(4−ヒドロキシフェニル)イソプロピル]−4−[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン、1−[1−(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)イソプロピル]−4−[1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン、2,6−ビス[1−(2,4−ジヒドロキシフェニル)イソプロピル]−4−メチルフェノール、4,6−ビス[1−(4−ヒドロキシフェニル)イソプロピル]レゾルシン、4,6−ビス(3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシフェニルメチル)ピロガロール、4,6−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニルメチル)ピロガロール、2,6−ビス(3−メチル−4,6−ジヒドロキシフェニルメチル)−4−メチルフェノール、2,6−ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニルメチル)−4−メチルフェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン等が挙げられる。またその他、6−ヒドロキシ−4a−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−9−1’−スピロシクロヘキシル−1,2,3,4,4a,9a−ヘキサヒドロキサンテン、6−ヒドロキシ−5−メチル−4a−(2,4−ジヒドロキシ−3−メチルフェニル)−9−1’−スピロシクロヘキシル−1,2,3,4,4a,9a−ヘキサヒドロキサンテン等も用いることができる。
これらの増感剤は単独でも、また二種以上を混合して用いてもよく、中でも1−[1−(4−ヒドロキシフェニル)イソプロピル]−4−[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼンとビス(4−ヒドロキシ−2,3,5−トリメチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタンとの組合せは、高感度化とスぺースパターンの垂直性に優れる点で好ましい。
増感剤の配合量は、前記アルカリ可溶性ノボラック樹脂に対して、10〜25重量%、好ましくは15〜20重量%の範囲で添加されるのが好ましい。
【0055】
高沸点有機溶剤
また、本発明では、所望により沸点が200〜350℃程度の高沸点有機溶剤の中から選ばれる少なくとも1種を配合することにより、レジスト被膜のバルク効果すなわち膜密度の偏りを小さくすることができ、ポジ型ホトレジスト組成物を用いて、表面に段差のある基板上に厚膜のレジスト被膜を形成した場合でも、垂直性に優れるスペースパターンを形成することができ好ましい。また、プリベーク処理、およびPEB(露光後加熱)処理の条件(加熱時間、加熱手段など)によらずに、良好なスペースパターンの形成が可能となり好ましい。
【0056】
上記高沸点有機溶剤としては、例えば酢酸ベンジル、サリチル酸イソアミル、サリチル酸メチル、サリチル酸ベンジル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジメチル、γ−ブチロラクトン、安息香酸エチル、安息香酸ブチル、安息香酸プロピル、安息香酸ベンジル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、1,3−オクチレングリコール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチラート、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコール、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、2−エチルヘキサン酸、カプリル酸、カプロン酸、カテコール、オクチルフェノール、N−メチルピロリドン等を挙げることができる。これらは単独でも、また2種以上混合して用いてもよい。
中でも沸点が250〜350℃のものが好ましく、とくにサリチル酸ベンジルは好適である。
高沸点有機溶剤の配合量は、上記アルカリ可溶性ノボラック樹脂、および所望により配合される上記増感剤の合計量に対して、3〜15重量%、とくに6〜12重量%が好ましく、3重量%未満であると、上記の現象を抑える効果に乏しく、15重量%を超えると、スペースパターン上部が広がるなどにより断面形状の垂直性が悪くなり好ましくない。
【0057】
酸発生剤
また、本発明では、所望により酸発生剤を配合することができる。
本発明で用いることのできる酸発生剤としては、とくに制限はなく、加熱処理や放射線の照射により分解して酸を発生させるものであれば用いることができる。
なお、実際の製造プロセスへの適用を考えた場合、本発明のポジ型ホトレジスト組成物と同じi線(365nm)の照射により酸を発生させる化合物が好ましい。
このような酸発生剤としては、例えば、特開平5−107755号公報に記載されているようなトリアジン系酸発生剤、オキシムスルホネート系酸発生剤、オニウム塩系酸発生剤などが挙げられ、中でも、3−(メチルスルホニル)オキシ−1,2,3−ベンゾトリアジン−4(3H)オンが、加熱処理、紫外線照射のいずれにおいても酸発生効果に優れ、酸架橋性材料を効率良く架橋させることができる点で好ましく、さらに本発明のポジ型ホトレジスト組成物の特性に対する影響がほとんどないことから好ましい。
酸発生剤の配合量は、その種類にもよるが、組成物(全固形分)に対し、おおよそ0.01〜5.0重量%、好ましくは0.1〜1.0重量%の範囲で選ぶのが好ましい。
【0058】
各種添加成分
本発明のポジ型ホトレジスト組成物には、解像度、露光余裕度、残膜率の向上を目的として、p−トルエンスルホン酸クロライド(PTSC)、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、1,4−ビス〔1−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)イソプロピル〕ベンゼン、1,3−ビス〔1−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)イソプロピル〕ベンゼン等を、組成物に対しそれぞれ0.01〜10重量%程度の範囲内で添加してもよい。
【0059】
また本発明のポジ型ホトレジスト組成物には、さらに必要に応じて、相容性のある添加物、例えばハレーション防止のための紫外線吸収剤、例えば4−ジメチルアミノ−2’,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、5−アミノ−3−メチル−1−フェニル−4−(4−ヒドロキシフェニルアゾ)ピラゾール、4−ジメチルアミノ−4’−ヒドロキシアゾベンゼン、4−ジエチルアミノ−4’−エトキシアゾベンゼン、4,4’−ジエチルアミノアゾベンゼン、クルクミン等や、またストリエーション防止のための界面活性剤、例えばフロラードFC−430、FC431(商品名、住友3M(株)製)、エフトップEF122A、EF122B、EF122C、EF126(商品名、トーケムプロダクツ(株)製)、メガファックR−08(大日本インキ化学工業(株)製)等のフッ素系界面活性剤などを本発明の目的に支障のない範囲で添加含有させることができる。
【0060】
本発明のポジ型ホトレジスト組成物は、前記アルカリ可溶性ノボラック樹脂、および必要に応じて添加される各種添加成分とを、適当な溶剤に溶解して溶液の形で用いるのが好ましい。このような溶剤の例としては、従来のポジ型ホトレジスト組成物に用いられる溶剤を挙げることができ、例えばアセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソアミルケトン、2−ヘプタノン等のケトン類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、あるいはこれらのモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテルまたはモノフェニルエーテル等の多価アルコール類およびその誘導体;ジオキサンのような環式エーテル類;および乳酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル等のエステル類を挙げることができる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。とくにアセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソアミルケトン、2−ヘプタノン等のケトン類;乳酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル等のエステル類が好ましい。
なお、溶剤は単独で用いても良いが、3.0μm以上、とくに6.0〜8.0μm程度の厚膜条件で良好な成膜性を得るため、2種以上の溶剤を組合せて用いてもよい。
【0061】
本発明のポジ型ホトレジスト組成物の好適な使用方法について一例を示すと、まず、Si、Fe−Ni合金(パーマロイ)等の基板上に、前記アルカリ可溶性ノボラック樹脂、および必要に応じて添加される各種添加成分を前記したような適当な溶剤に溶かした溶液をスピンナー等で塗布し、乾燥して感光層を形成させ、次いで365nm付近の波長の光を発光する光源、例えば低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯を用い、所望のマスクパターンを介して露光する。次にPEB(露光後加熱)処理を行い、これを現像液、例えば1〜10重量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液のようなアルカリ性水溶液に浸漬するなどして露光部を溶解除去することにより、マスクパターンに忠実な画像を得ることができる。
【0062】
なお、3.0μm以上、とくに6.0〜8.0μm程度の厚膜条件下で、幅0.8μm以下の高アスペクト比のスペースパターンを形成する場合においては、所望により、酸架橋性材料を用いた公知のパターン形成方法も利用できる。
当該パターン形成方法としては、レジストパターン(スペースパターン)が描かれた基板の全面に酸の作用により架橋反応を起こす酸架橋性材料の被膜を形成する工程、加熱処理を行いスペースパターン表面から拡散する酸の作用によりスペースパターンに接する部分の前記酸架橋性材料を架橋させる工程、現像液により架橋していない領域の前記酸架橋性材料を除くことにより、酸架橋性材料の被膜を形成する前のスペースパターンのスペース幅より狭い幅のスペースパターンを形成する工程、を有するレジストパターンの形成方法や、レジストパターン(スペースパターン)が描かれた基板の全面に酸の作用により架橋反応を起こす酸架橋性材料の被膜を形成する工程、紫外線照射による全面露光または選択的露光を行い、スペースパターン表面あるいは内部に酸を発生させる工程、加熱処理を行いスペースパターン表面から拡散する酸の作用によりスペースパターンに接する部分の前記酸架橋性材料を架橋させる工程、現像液により架橋していない領域の前記酸架橋性材料を除くことにより、酸架橋性材料の被膜を形成する前のスペースパターンのスペース幅より狭い幅のスペースパターンを形成する工程、を有するレジストパターンの形成方法などが知られている。
前記酸架橋性材料、および現像液としては、特に限定はなく、例えば特開平11−204399号公報に記載のものを挙げることができる。
【0063】
【実施例】
以下、本発明を実施例および比較例によりさらに説明する。
なお、ポジ型ホトレジスト組成物の諸物性は次のようにして求めた。
(1−1)断面形状評価1:
試料をスピンナーを用いて、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)処理されたシリコン基板上に塗布し、これをホットプレート上で100℃、90秒間乾燥して膜厚4.0μmのレジスト膜を得た。
次いで、この膜に、マスク寸法0.35μmのマスク(0.35μm幅のスペースパターン形成用)を介し、縮小投影露光装置NSR−2005i10D(ニコン社製、NA=0.50)を用いて、0.50μm幅のスペースパターンにパターン底部が仕上がるようにバイアスをかけて露光したのち、100℃、90秒間のPEB(露光後加熱)処理を行った。
次いで、現像操作として、23℃の2.38重量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液を基板上に適用し、60秒間保持した後、スピンナーの回転により振り切りを行った。
この現像操作を5回繰り返した後、30秒間水洗し、乾燥して、得られた0.50μm幅のスペースパターンの断面形状をSEM(走査型電子顕微鏡)写真にて観察し、パターン上部の幅(T)に対するパターン底部の幅(B)の比率(B/T)が、0.70≦(B/T)≦1.0のものを◎、0.65≦(B/T)<0.70のものを○、(B/T)<0.65のものを△、0.50μm幅のスペースパターンにパターン底部が形成できなかったものを××として表した。
なお、スペースパターンの断面形状を示す模式図を図1に示した。
図1において、1は基板、2はレジスト塗膜、3はスペースパタ−ンである。
【0064】
(1−2)断面形状評価2:
試料をスピンナーを用いて、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)処理されたシリコン基板上に塗布し、これをホットプレート上で100℃、90秒間乾燥して膜厚6.0μmのレジスト膜を得た。
次いで、この膜に、マスク寸法0.35μmのマスク(0.35μm幅のスペースパターン形成用)を介し、縮小投影露光装置NSR−2005i10D(ニコン社製、NA=0.50)を用いて、0.50μm幅のスペースパターンにパターン底部が仕上がるようにバイアスをかけて露光したのち、100℃、90秒間のPEB(露光後加熱)処理を行った。
次いで、現像操作として、23℃の2.38重量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液を基板上に適用し、60秒間保持した後、スピンナーの回転により振り切りを行った。
この現像操作を5回繰り返した後、30秒間水洗し、乾燥して、得られた0.50μm幅のスペースパターンの断面形状をSEM(走査型電子顕微鏡)写真にて観察し、パターン中部(パターン底部から膜厚方向に高さが3.5μmのところ)の幅(M)に対するパターン底部の幅(B)の比率(B/M)が、0.70≦(B/M)≦1.0のものを◎、0.65≦(B/M)<0.70のものを○、(B/M)<0.65のものを△、0.50μm幅のスペースパターンにパターン底部が形成できなかったものを××として表した。
なお、スペースパターンの断面形状を示す模式図を図2に示した。
図2において、1は基板、2はレジスト塗膜、3はスペースパタ−ンである。
【0065】
(2)解像性:
前記(1−2)の評価において、Eop(マスク寸法0.35μmのマスクを用い、バイアスをかけてパターン底部の寸法が0.50μmのスペースパターンとなるように形成したときの露光量)において、パターン底部の分離する最小マスク寸法(μm)を限界解像度で表した。
【0066】
(3)焦点深度幅特性:
前記(1−2)の評価において、Eop(マスク寸法0.35μmのマスクを用い、バイアスをかけてパターン底部の寸法が0.50μmのスペースパターンとなるように形成したときの露光量)を基準露光量とし、その露光量において、焦点を適宜上下にずらし、露光、現像を行って得られたスペースパターン底部のSEM写真の観察を行った。そのSEM写真より、スペースパターン底部の寸法が0.50μm±10%の寸法変化の範囲内で得られる焦点ずれの最大値(μm)を焦点深度幅特性とした。
【0067】
(4)耐熱性:
試料をスピンナーを用いて、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)処理されたシリコン基板上に塗布し、これをホットプレート上で90℃、90秒間乾燥して膜厚3.0μmのレジスト膜を得た。
次いで、この膜に、マスク寸法5μmのマスク(5μmのラインパターン形成用)を介し、縮小投影露光装置NSR−2005i10D(ニコン社製、NA=0.50)を用いて、5μmのラインパターンが形成されるように露光したのち、110℃、90秒間のPEB(露光後加熱)処理を行った。
次いで、現像操作とし、23℃の2.38重量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液を基板上に適用し、60秒間保持した後、スピンナーの回転により振り切りを行った。
この現像操作を3回繰り返した後、30秒間水洗し、乾燥して、得られた5μmラインパターン(レジストパターン)が形成された基板をホットプレート上で、130℃、600秒間の加熱処理を行った。
その後、5μmラインパターンの断面形状をSEM(走査型電子顕微鏡)写真にて観察し、基板界面とレジストパターン側壁との交点(図3のa点)とレジストパターントップの角(図3のb点)を結んだ直線と基板界面とのなす角度をθとしたとき、80°<θのものを◎、75°<θ≦80°のものを○、θ≦75°かつレジストパターントップの角が残っているものを△、レジストパターントップの角がなくなり、θの計測が不可能だったものを×として表した。
【0068】
(合成例1) アルカリ可溶性ノボラック樹脂1の合成
(m−クレゾ−ル/p−クレゾ−ル/2,3,5−トリメチルフェノ−ル=35/40/25(モル比)、Mw=4200、Mw/Mn=2.3、全フェノール性水酸基の水素原子に対する1,2−ナフトキノンジアジドスルホニル基の置換率=3.8モル%)
1.分別操作による重量平均分子量(Mw)、分散度(Mw/Mn)の制御
m−クレゾ−ル、p−クレゾ−ル、2,3,5−トリメチルフェノ−ル(モル比35:40:25)とホルマリンとの脱水縮合反応により合成した重縮合生成物(a)(Mw=2600、Mw/Mn=3.3)125gを2リットルビーカーに入れ、これにメタノ−ル920gを配合し、攪拌機を用いて溶解させた。
次いで、純水313gを加えて沈殿物を生成させ、これを取り出して、分子量、分散度が制御された重縮合生成物(b)(Mw=4200、Mw/Mn=2.3)を得た。
なお、GPC測定から求められるフェノール系モノマー、およびダイマーの含有量は、それぞれ0.49重量%、2.72重量%であった。
【0069】
なお、GPC測定は、以下の装置、条件によって行った。
[Mw、Mw/Mn測定におけるGPCの測定手段]
(1)試料20mgをTHF10mlに溶解し、試料溶液を調整する。
(2)(1)の試料溶液20μlを下記のGPC測定装置に注入し、35分間流してUV波長λ=280nm付近で検出される試料の溶出時間を測定した。
(測定装置)
ガードカラム(製品名「KF−G」;Shodex社製)と3本の分離カラム(6μm粒径のスチレン−ジビニルベンゼン共重合体を充填剤としたカラムサイズ8μm(径)×300mm(長さ)、製品名「KF−805s」;Shodex社製)を備え、分離カラム温度は、オーブンを使用して35℃に設定したGPC測定装置(製品名「GPC SYSTEM 11」;Shodex社製)を用い、テトラヒドロフラン(THF)の溶離液の送液速度は、1.0ml/minの条件で行った。
【0070】
[フェノール系モノマー、ダイマー量測定におけるGPCの測定手段]
(1)試料20mgをTHF10mlに溶解し、試料溶液を調整する。
(2)(1)の試料溶液10μlを下記のGPC測定装置に注入し、28分間流してUV波長λ=280nm付近で検出される試料の溶出時間を測定した。
(測定装置)
ガードカラム(製品名「KF−G」;Shodex社製)と3本の分離カラム(6μm粒径のスチレン−ジビニルベンゼン共重合体を充填剤としたカラムサイズ8μm(径)×300mm(長さ)、製品名「KF−801」;Shodex社製)を備え、分離カラム温度は、オーブンを使用して40℃に設定したGPC測定装置(製品名「GPC SYSTEM 11」;Shodex社製)を用い、テトラヒドロフラン(THF)の溶離液の送液速度は、1.0ml/minの条件で行った。
【0071】
2.置換反応
前記重縮合生成物(b)50gと、1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸クロライド4g(0.015モル)とを温度計、攪拌機、滴下ロートのついた1リットルの三つ口フラスコに入れ、これにジオキサン162gを加えて溶解させた後、滴下ロートからトリエチルアミン3.0g(0.030モル)を加え室温で2時間攪拌を続けた。
その後、濃度35%塩酸水溶液4.7g(0.045モル)を加え、さらに室温で30分攪拌を続けた後、ろ別することで赤褐色の液体を得た。
前記液体を、純水1リットルが入った2リットルビーカーに攪拌しながら加え、沈殿物を析出させた。
前記沈殿物をろ別し、得られた固形分を酢酸ブチルに溶解させた後、溶液を濃縮し、さらに乳酸エチルを加え、酢酸ブチル−乳酸エチルの混合溶液(混合比2:8)を溶媒とした、全フェノール性水酸基の水素原子の3.8モル%が1,2−ナフトキノンジアジドスルホニル基で置換されたアルカリ可溶性ノボラック樹脂1の溶液を得た。
【0072】
(合成例2) アルカリ可溶性ノボラック樹脂2の合成
(m−クレゾ−ル/3,4−キシレノ−ル/2,3,5−トリメチルフェノ−ル=35/40/25(モル比)、Mw=4150、Mw/Mn=2.2、全フェノール性水酸基の水素原子に対する1,2−ナフトキノンジアジドスルホニル基の置換率=4.0モル%)
1.分別操作による重量平均分子量(Mw)、分散度(Mw/Mn)の制御
m−クレゾ−ル、3,4−キシレノ−ル、2,3,5−トリメチルフェノ−ル(モル比35:40:25)とホルマリンとの脱水縮合反応により合成した重縮合生成物(c)(Mw=2550、Mw/Mn=2.9)125gを2リットルビーカーに入れ、これにメタノ−ル920gを配合し、攪拌機を用いて溶解させた。
次いで、純水313gを加えて沈殿物を生成させ、これを取り出して、分子量、分散度が制御された重縮合生成物(d)(Mw=4150、Mw/Mn=2.2)を得た。
【0073】
2.置換反応
前記重縮合生成物(d)50gと、1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸クロライド4g(0.015モル)とを温度計、攪拌機、滴下ロートのついた1リットルの三つ口フラスコに入れ、これにジオキサン162gを加えて溶解させた後、滴下ロートからトリエチルアミン3.0g(0.030モル)を加え室温で2時間攪拌を続けた。
その後、濃度35%塩酸水溶液4.7g(0.045モル)を加え、さらに室温で30分攪拌を続けた後、ろ別することで赤褐色の液体を得た。
前記液体を、純水1リットルが入った2リットルビーカーに攪拌しながら加え、沈殿物を析出させた。
前記沈殿物をろ別し、得られた固形分を酢酸ブチルに溶解させた後、溶液を濃縮し、さらに乳酸エチルを加え、酢酸ブチル−乳酸エチルの混合溶液(混合比2:8)を溶媒とした、全フェノール性水酸基の水素原子の4.0モル%が1,2−ナフトキノンジアジドスルホニル基で置換されたアルカリ可溶性ノボラック樹脂2の溶液を得た。
【0074】
(合成例3) アルカリ可溶性ノボラック樹脂3の合成
(m−クレゾ−ル/p−クレゾ−ル/3,5−キシレノール=35/40/25(モル比)、Mw=4100、Mw/Mn=2.5、全フェノール性水酸基の水素原子に対する1,2−ナフトキノンジアジドスルホニル基の置換率=3.7モル%)
1.分別操作による重量平均分子量(Mw)、分散度(Mw/Mn)の制御
m−クレゾ−ル、p−クレゾ−ル、3,5−キシレノール(モル比35:40:25)とホルマリンとの脱水縮合反応により合成した重縮合生成物(e)(Mw=2800、Mw/Mn=3.5)125gを2リットルビーカーに入れ、これにメタノ−ル920gを配合し、攪拌機を用いて溶解させた。
次いで、純水313gを加えて沈殿物を生成させ、これを取り出して、分子量、分散度が制御された重縮合生成物(f)(Mw=4100、Mw/Mn=2.5)を得た。
【0075】
2.置換反応
前記重縮合生成物(f)50gと、1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸クロライド4g(0.015モル)とを温度計、攪拌機、滴下ロートのついた1リットルの三つ口フラスコに入れ、これにジオキサン162gを加えて溶解させた後、滴下ロートからトリエチルアミン3.0g(0.030モル)を加え室温で2時間攪拌を続けた。
その後、濃度35%塩酸水溶液4.7g(0.045モル)を加え、さらに室温で30分攪拌を続けた後、ろ別することで赤褐色の液体を得た。
前記液体を、純水1リットルが入った2リットルビーカーに攪拌しながら加え、沈殿物を析出させた。
前記沈殿物をろ別し、得られた固形分を酢酸ブチルに溶解させた後、溶液を濃縮し、さらに乳酸エチルを加え、酢酸ブチル−乳酸エチルの混合溶液(混合比2:8)を溶媒とした、全フェノール性水酸基の水素原子の3.7モル%が1,2−ナフトキノンジアジドスルホニル基で置換されたアルカリ可溶性ノボラック樹脂3の溶液を得た。
【0076】
(合成例4) アルカリ可溶性ノボラック樹脂4の合成
(m−クレゾ−ル/p−クレゾ−ル/2,3,5−トリメチルフェノ−ル=35/40/25(モル比)、Mw=4050、Mw/Mn=2.4、全フェノール性水酸基の水素原子に対する1,2−ナフトキノンジアジドスルホニル基の置換率=3.8モル%)
1.分別操作による重量平均分子量(Mw)、分散度(Mw/Mn)の制御
m−クレゾ−ル、p−クレゾ−ル、2,3,5−トリメチルフェノ−ル(モル比35:40:25)とホルマリンとの脱水縮合反応により合成した重縮合生成物(a)(Mw=2600、Mw/Mn=3.3)125gを2リットルビーカーに入れ、これにメタノ−ル875gを配合し、攪拌機を用いて溶解させた。
次いで、純水313gを加えて沈殿物を生成させ、これを取り出して、分子量、分散度が制御された重縮合生成物(g)(Mw=4050、Mw/Mn=2.4)を得た。
なお、合成例1と同様にして求めたフェノール系モノマー、およびダイマーの含有量は、それぞれ0.55重量%、2.92重量%であった。
【0077】
2.エステル化反応
前記重縮合生成物(g)50gと、1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸クロライド4g(0.015モル)とを温度計、攪拌機、滴下ロートのついた1リットルの三つ口フラスコに入れ、これにジオキサン162gを加えて溶解させた後、滴下ロートからトリエチルアミン3.0g(0.030モル)を加え室温で2時間攪拌を続けた。
その後、濃度35%塩酸水溶液4.7g(0.045モル)を加え、さらに室温で30分攪拌を続けた後、ろ別することで赤褐色の液体を得た。
前記液体を、純水1リットルが入った2リットルビーカーに攪拌しながら加え、沈殿物を析出させた。
前記沈殿物をろ別し、得られた固形分を酢酸ブチルに溶解させた後、溶液を濃縮し、さらに乳酸エチルを加え、酢酸ブチル−乳酸エチルの混合溶液(混合比2:8)を溶媒とした、全フェノール性水酸基の水素原子の3.8モル%が1,2−ナフトキノンジアジドスルホニル基で置換されたアルカリ可溶性ノボラック樹脂4の溶液を得た。
【0078】
(合成例5) アルカリ可溶性ノボラック樹脂5の合成
(m−クレゾ−ル/p−クレゾ−ル/2,3,5−トリメチルフェノ−ル=35/40/25(モル比)、Mw=4600、Mw/Mn=2.2、全フェノール性水酸基の水素原子に対する1,2−ナフトキノンジアジドスルホニル基の置換率=3.8モル%)
1.分別操作による重量平均分子量(Mw)、分散度(Mw/Mn)の制御
m−クレゾ−ル、p−クレゾ−ル、2,3,5−トリメチルフェノ−ル(モル比35:40:25)とホルマリンとの脱水縮合反応により合成した重縮合生成物(a)(Mw=2600、Mw/Mn=3.3)125gを2リットルビーカーに入れ、これにメタノ−ル1125gを配合し、攪拌機を用いて溶解させた。次いで、純水313gを加えて沈殿物を生成させ、これを取り出して、分子量、分散度が制御された重縮合生成物(h)(Mw=4600、Mw/Mn=2.2)を得た。
なお、合成例1と同様にして求めたフェノール系モノマー、およびダイマーの含有量は、それぞれ0.44重量%、2.52重量%であった。
【0079】
2.置換反応
前記重縮合生成物(h)50gと、1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸クロライド4g(0.015モル)とを温度計、攪拌機、滴下ロートのついた1リットルの三つ口フラスコに入れ、これにジオキサン162gを加えて溶解させた後、滴下ロートからトリエチルアミン3.0g(0.030モル)を加え室温で2時間攪拌を続けた。
その後、濃度35%塩酸水溶液4.7g(0.045モル)を加え、さらに室温で30分攪拌を続けた後、ろ別することで赤褐色の液体を得た。
前記液体を、純水1リットルが入った2リットルビーカーに攪拌しながら加え、沈殿物を析出させた。
前記沈殿物をろ別し、得られた固形分を酢酸ブチルに溶解させた後、溶液を濃縮し、さらに乳酸エチルを加え、酢酸ブチル−乳酸エチルの混合溶液(混合比2:8)を溶媒とした、全フェノール性水酸基の水素原子の3.8モル%が1,2−ナフトキノンジアジドスルホニル基で置換されたアルカリ可溶性ノボラック樹脂5の溶液を得た。
【0080】
(比較合成例1) アルカリ可溶性ノボラック樹脂6の合成
(m−クレゾ−ル/p−クレゾ−ル=36/64(モル比)、Mw=4000、Mw/Mn=5.0、全フェノール性水酸基の水素原子に対する1,2−ナフトキノンジアジドスルホニル基の置換率=4.5モル%)
m−クレゾ−ル、p−クレゾ−ル(モル比36:64)とホルマリンとの脱水縮合反応により合成した重縮合生成物(i)(Mw=4000、Mw/Mn=5.0、フェノール系モノマーの含有量0.6重量%、フェノール系ダイマーの含有量8重量%)50gと、1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸クロライド5g(0.019モル)とを温度計、攪拌機、滴下ロートのついた1リットルの三つ口フラスコに入れ、これにジオキサン150gを加えて溶解させた後、滴下ロートからトリエチルアミン3.8g(0.037モル)を加え室温で2時間攪拌を続けた。
その後、濃度35%塩酸水溶液5.8g(0.056モル)を加え、さらに室温で30分攪拌を続けた後、ろ別することで赤褐色の液体を得た。
前記液体を、純水1リットルが入った2リットルビーカーに攪拌しながら加え、沈殿物を析出させた。
前記沈殿物をろ別し、得られた固形分を酢酸ブチルに溶解させた後、溶液を濃縮し、さらに乳酸エチルを加え、酢酸ブチル−乳酸エチルの混合溶液(混合比2:8)を溶媒とした、全フェノール性水酸基の水素原子の4.5モル%が1,2−ナフトキノンジアジドスルホニル基で置換されたアルカリ可溶性ノボラック樹脂6の溶液を得た。
【0081】
(比較合成例2) アルカリ可溶性ノボラック樹脂7の合成
(m−クレゾ−ル/p−クレゾ−ル/2,3,5−トリメチルフェノ−ル=35/40/25(モル比)、Mw=3800、Mw/Mn=2.5、全フェノール性水酸基の水素原子に対する1,2−ナフトキノンジアジドスルホニル基の置換率=3.8モル%)
1.分別操作による重量平均分子量(Mw)、分散度(Mw/Mn)の制御
m−クレゾ−ル、p−クレゾ−ル、2,3,5−トリメチルフェノ−ル(モル比35:40:25)とホルマリンとの脱水縮合反応により合成した重縮合生成物(a)(Mw=2600、Mw/Mn=3.3)125gを2リットルビーカーに入れ、これにメタノ−ル830gを配合し、攪拌機を用いて溶解させた。
次いで、純水313gを加えて沈殿物を生成させ、これを取り出して、分子量、分散度が制御された重縮合生成物(j)(Mw=3800、Mw/Mn=2.5)を得た。
なお、合成例1と同様にして求めたフェノール系モノマー、およびダイマーの含有量は、それぞれ1.2重量%、5.5重量%であった。
【0082】
2.置換反応
前記重縮合生成物(j)50gと、1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸クロライド4g(0.015モル)とを温度計、攪拌機、滴下ロートのついた1リットルの三つ口フラスコに入れ、これにジオキサン150gを加えて溶解させた後、滴下ロートからトリエチルアミン3.0g(0.030モル)を加え室温で2時間攪拌を続けた。
その後、濃度35%塩酸水溶液4.7g(0.045モル)を加え、さらに室温で30分攪拌を続けた後、ろ別することで赤褐色の液体を得た。
前記液体を、純水1リットルが入った2リットルビーカーに攪拌しながら加え、沈殿物を析出させた。
前記沈殿物をろ別し、得られた固形分を酢酸ブチルに溶解させた後、溶液を濃縮し、さらに乳酸エチルを加え、酢酸ブチル−乳酸エチルの混合溶液(混合比2:8)を溶媒とした、全フェノール性水酸基の水素原子の3.8モル%が1,2−ナフトキノンジアジドスルホニル基で置換されたアルカリ可溶性ノボラック樹脂7の溶液を得た。
【0083】
(比較合成例3) アルカリ可溶性ノボラック樹脂8の合成
(m−クレゾ−ル/p−クレゾ−ル/2,3,5−トリメチルフェノ−ル=35/40/25(モル比)、Mw=2600、Mw/Mn=3.3、全フェノール性水酸基の水素原子に対する1,2−ナフトキノンジアジドスルホニル基の置換率=3.8モル%)
m−クレゾ−ル、p−クレゾ−ル、2,3,5−トリメチルフェノ−ル(モル比35:40:25)とホルマリンとの脱水縮合反応により合成した重縮合生成物(a)(Mw=2600、Mw/Mn=3.3、フェノール系モノマーの含有量2.72重量%、ダイマーの含有量10.23重量%)50gと、1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸クロライド4g(0.015モル)とを温度計、攪拌機、滴下ロートのついた1リットルの三つ口フラスコに入れ、これにジオキサン162gを加えて溶解させた後、滴下ロートからトリエチルアミン3.0g(0.030モル)を加え室温で2時間攪拌を続けた。
その後、濃度35%塩酸水溶液4.7g(0.045モル)を加え、さらに室温で30分攪拌を続けた後、ろ別することで赤褐色の液体を得た。
前記液体を、純水1リットルが入った2リットルビーカーに攪拌しながら加え、沈殿物を析出させた。
前記沈殿物をろ別し、得られた固形分を酢酸ブチルに溶解させた後、溶液を濃縮し、さらに乳酸エチルを加え、酢酸ブチル−乳酸エチルの混合溶液(混合比2:8)を溶媒とした、全フェノール性水酸基の水素原子の3.8モル%が1,2−ナフトキノンジアジドスルホニル基で置換されたアルカリ可溶性ノボラック樹脂8の溶液を得た。
【0084】
(実施例1〜5)、および(比較例1〜3)
アルカリ可溶性ノボラック樹脂: 100重量部
(各合成例で得られたアルカリ可溶性ノボラック樹脂1〜8の濃度50重量%溶液200g)
増感剤: 15重量部
{1−[1−(4−ヒドロキシフェニル)イソプロピル]−4−[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン/ビス(4−ヒドロキシ−2,3,5−トリメチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン=1/1(重量比)の混合物}
前記の各成分を乳酸エチル−酢酸ブチル混合溶媒(混合比2:8)55重量部に溶解した後、これを孔径0.1〜0.2μmのメンブランフィルターを用いてろ過し、ポジ型ホトレジスト組成物を調製した。
実施例1〜5、および比較例1〜3で調製したポジ型ホトレジスト組成物について、前記(1)〜(4)の評価を行い、その結果を表1に示した。
【0085】
【表1】
Figure 0003577442
【0086】
(5)断面形状評価3:
前記(1−2)の評価と同様にして、パターン底部幅が0.50μmのスペースパターンを形成した。
次いで、酸架橋性材料の溶液を当該スペースパターン上全面にスピンナー塗布して、85℃で70秒間乾燥処理を行い、膜厚0.25μmの塗膜を形成した。次に120℃で90秒間の加熱処理を行い、その後、純水で洗浄した後、90℃で90秒間の加熱処理を行って得られるスペースパターンの断面形状をSEM写真にて観察した。
【0087】
(合成例6) 酸架橋性材料の合成
テトラ(ヒドロキシメチル)グリコールウリル(三井サイテック社製、商品名「サイメル1172」)20重量部、ポリビニルアセタール樹脂(積水化学工業社製、商品名「エスレックKW−1」)80重量部、および非イオン性フッ素・シリコーン系界面活性剤(大日本インキ化学工業社製、商品名「メガファックR−08」)0.1重量部を水1900重量部に溶解し、固形分5重量%の水溶液とした。次いで、孔径が0.2μmのメンブランフィルターを用いてろ過することによって、酸架橋性材料を得た。
【0088】
(実施例6)
実施例1で調製したポジ型ホトレジスト組成物について、前記(5)の評価を行ったところ、パターン底部の幅が0.45μmの垂直性のよい、高アスペクト比のスペースパターンが形成されていることが確認された。
なお、当該スペースパターンの断面形状を示す模式図を図4に示した。
なお、図4において、1は基板、2はレジスト塗膜、3はスペースパタ−ン、4は酸架橋性材料膜である。
【0089】
【発明の効果】
本発明によれば、3.0μm以上、とくに6.0〜8.0μm程度の厚膜が形成された基板上で、耐熱性に優れる幅0.8μm以下の高アスペクト比のスペースパターンを垂直性および解像性よく形成することが可能なポジ型ホトレジスト組成物、感光性膜付基板、レジストパターンの形成方法およびポジ型ホトレジスト組成物の製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】スペースパターンの断面形状評価1の尺度を示す模式図である。
【図2】スペースパターンの断面形状評価2の尺度を示す模式図である。
【図3】基板界面とレジストパターン側壁との交点(a点)と、レジストパターントップの角(b点)とを結んだ直線と基板界面とのなす角度θを説明した図である。
【図4】スペースパターン3上全面に酸架橋性材料膜4を施したスペースパターン3の断面形状を示す模式図である。
【符号の説明】
1 基板
2 レジスト塗膜
3 スペースパターン
4 酸架橋性材料膜

Claims (9)

  1. 全フェノール性水酸基の水素原子の一部が1,2−ナフトキノンジアジドスルホニル基で置換されているアルカリ可溶性ノボラック樹脂を含有してなるポジ型ホトレジスト組成物において、前記アルカリ可溶性ノボラック樹脂は、ポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)が4000〜5000であり、分散度[重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)]が3.0以下であり、かつ下記一般式(I)で表される構成単位を全フェノール系構成単位中の25〜55モル%
    Figure 0003577442
    下記一般式(II)および(III)で表される構成単位から選ばれる少なくとも1種の構成単位を全フェノール系構成単位中の15〜45モル%
    Figure 0003577442
    および、下記一般式(IV)で表される構成単位を全フェノール系構成単位中の15〜45モル%含有してなることを特徴とするポジ型ホトレジスト組成物。
    Figure 0003577442
  2. 前記アルカリ可溶性ノボラック樹脂は、一般式(I)、(II)、および(IV)で表される構成単位を有することを特徴とする請求項1に記載のポジ型ホトレジスト組成物。
  3. 前記アルカリ可溶性ノボラック樹脂は、全フェノール性水酸基の水素原子の3.0〜5.0モル%が、1,2−ナフトキノンジアジドスルホニル基で置換されていることを特徴とする請求項1または2に記載のポジ型ホトレジスト組成物。
  4. 前記アルカリ可溶性ノボラック樹脂は、フェノール系モノマーの含有量が1重量%以下で、かつダイマーの含有量が4重量%以下であるフェノールノボラック樹脂と1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸化合物とのエステル化物であることを特徴とする請求項1ないしのいずれか1項に記載のポジ型ホトレジスト組成物。
  5. 請求項1ないしのいずれか1項に記載のポジ型ホトレジスト組成物を用いて形成した膜厚3.0μm以上の感光性膜が、基板上に形成されていることを特徴とする感光性膜付基板。
  6. 請求項1ないしのいずれか1項に記載のポジ型ホトレジスト組成物を用いて形成した膜厚6.0μm以上の感光性膜が、基板上に形成されている感光性膜付基板に、i線(365nm)を光源に用いた選択的露光を行い、幅0.8μm以下のスペースパターンを形成することを特徴とするレジストパターンの形成方法。
  7. (1)請求項1ないしのいずれか1項に記載のポジ型ホトレジスト組成物を用いて形成した感光性膜が基板上に形成されている感光性膜付基板に、i線(365nm)を光源に用いた選択的露光を行い、現像して、スペースパターンを形成する工程、
    (2)前記スペースパターンが描かれた基板の全面に酸の作用により架橋反応を起こす酸架橋性材料の被膜を形成する工程、
    (3)加熱処理を行い、スペースパターン表面から拡散する酸の作用によりスペースパターンに接する部分の前記酸架橋性材料を架橋させる工程、および
    (4)現像液により架橋していない領域の前記酸架橋性材料を除くことにより、酸架橋性材料の被膜を形成する前のスペースパターンのスペース幅より狭い幅のスペースパターンを形成する工程、を有することを特徴とするレジストパターンの形成方法。
  8. (1)請求項1ないしのいずれか1項に記載のポジ型ホトレジスト組成物を用いて形成した感光性膜が基板上に形成されている感光性膜付基板に、i線(365nm)を光源に用いた選択的露光を行い、現像して、スペースパターンを形成する工程、
    (2)前記スペースパターンが描かれた基板の全面に酸の作用により架橋反応を起こす酸架橋性材料の被膜を形成する工程、
    (3)紫外線照射による全面露光または選択的露光を行い、スペースパターン表面あるいは内部に酸を発生させる工程、
    (4)加熱処理を行い、スペースパターン表面から拡散する酸の作用によりスペースパターンに接する部分の前記酸架橋性材料を架橋させる工程、および
    (5)現像液により架橋していない領域の前記酸架橋性材料を除くことにより、酸架橋性材料の被膜を形成する前のスペースパターンのスペース幅より狭い幅のスペースパターンを形成する工程、を有することを特徴とするレジストパターンの形成方法。
  9. (1)下記一般式(I)で表される構成単位;
    Figure 0003577442
    下記一般式(II)および(III)で表される構成単位から選ばれる少なくとも1種の構成単位;
    Figure 0003577442
    および下記一般式(IV)で表される構成単位
    Figure 0003577442
    を含有してなるフェノールノボラック樹脂の低分子量域をカットする分別操作を行い、ポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)が4000〜5000、分散度[重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)]が3.0以下、フェノール系モノマーの含有量が1重量%以下、およびダイマーの含有量が4重量%以下であり、
    かつ前記一般式(I)で表される構成単位を全フェノール系構成単位中の25〜55モル%;前記一般式( II )および( III )で表される構成単位から選ばれる少なくとも1種の構成単位を全フェノール系構成単位中の15〜45モル%;および前記一般式( IV )で表される構成単位を全フェノール系構成単位中の15〜45モル%の範囲で含有するフェノールノボラック樹脂を合成する工程、
    (2)前記フェノールノボラック樹脂と1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸化合物とのエステル化反応により、全フェノール性水酸基の水素原子の一部が1,2−ナフトキノンジアジドスルホニル基で置換されたアルカリ可溶性ノボラック樹脂を合成する工程、および
    (3)前記アルカリ可溶性ノボラック樹脂を溶剤で所定濃度に調整する工程、を有することを特徴とするポジ型ホトレジスト組成物の製造方法。
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