【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、車両に用いられるデファレンシャル装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
特開昭63−195449号公報に図11のような「すべり制限差動歯車アセンブリ」が記載されている。これはプラネタリーギヤ型の差動機構201と、その差動制限用の多板クラッチ203,205と、アーマチャ207を吸引して多板クラッチ203,205を締結する電磁石209と、カム211とを備えたデファレンシャル装置213である。カム211は多板クラッチ203が締結されると差動機構201の差動トルクを受け、カム部材215が多板クラッチ203の内側クラッチ板217との係合部で摺動して多板クラッチ205を締結する。デファレンシャル装置は車両に搭載されるから径方向と軸方向共に小型にしたいが、このデファレンシャル装置213ではカム211の力は多板クラッチ203には作用せず、従って、多板クラッチ203,205と電磁石209との小型化が不充分である。
【0003】
又、図12のデファレンシャル装置219はプラネタリーギヤ型の差動機構221と、電磁石223により締結されるパイロットクラッチ225と、ボールカム227と、メインクラッチ229とを備えている。パイロットクラッチ225が締結されるとボールカム227が差動トルクを受け、そのカムスラスト力によりピニオンキャリヤ231がスプラインを介して車軸上を移動し、メインクラッチ229が締結される。このように、ボールカム227の倍力機能により大きなトルク容量が得られるから、各クラッチ225,229と電磁石223との小型化によりデファレンシャル装置219はデファレンシャル装置213より小型に構成できる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、プラネタリーギヤ型の差動機構201,221はインターナルギヤ233,235が大径であるから径方向の小型化には限界があり、軸方向も多板クラッチ203,205やメインクラッチ229、パイロットクラッチ225などの配置により小型化が難しい。
【0005】
そこで、この発明は、差動制限手段を含めて径方向と軸方向とに小型に構成できるデファレンシャル装置の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明のデファレンシャル装置は、デフケースと一体回転可能に連結されたピニオンシャフトと、ピニオンシャフトに回転自在に支承されたピニオンギヤと、このピニオンギヤとそれぞれ噛合った一対のサイドギヤとを有するベベルギヤ型の差動機構と、この差動機構の径方向外側でデフケースとサイドギヤとの間に配置された一対の差動制限手段とを備え、該一対の差動制限手段は前記ピニオンシャフトを間にして両側にそれぞれ設けられ、プッシュリングを介して連動・連結されていることを特徴とする。
【0007】
請求項2の発明のデファレンシャル装置は、デフケースと一体回転可能に連結されたピニオンシャフトと、ピニオンシャフトに回転自在に支承されたピニオンギヤと、このピニオンギヤとそれぞれ噛み合った一対のサイドギヤとを有するベベルギヤ式の差動機構と、この差動機構の径方向外側でデフケースとサイドギヤとの間に配置された差動制限手段とを備え、前記差動制限手段は一対のサイドギヤのうちの一方のサイドギヤ側に配置され、他方のサイドギヤ側に電磁石によって締結されるパイロットクラッチと、このパイロットクラッチの締結によってスラスト力を発生するカムが配置され、前記差動制限手段と前記カムとの間に前記ピニオンシャフトを跨ぐ足部を有するプッシュリングが配置されたことを特徴とする。
【0008】
【作用】
請求項1の発明では、デフケースに入力した駆動力はピニオンシャフトとピニオンギヤから各サイドギヤに分配されると共に、各サイドギヤ間に駆動抵抗差が生じるとピニオンギヤの回転により各サイドギヤに差動分配される。この差動回転はデフケースとサイドギヤとの間に配置された差動制限手段により制限される。
【0009】
図7と図8はそれぞれプラネタリーギヤ型の差動機構とベベルギヤ型の差動機構の一般的な構造を示し、図9はプラネタリーギヤ型の差動機構(BP−1,BP−2,AP−1)とベベルギヤ型の差動機構(BB−1,AB−1)の図7と図8に示した軸方向寸法Lと径方向寸法D及びピニオンギヤM,Nのピニオンギヤ歯元応力比などのグラフであり、図10はこのグラフを表にしたものである。サイズAは大型、サイズBはそれより大旨小型のものである。
【0010】
サイズBではBP−1,BP−2はBB−1に対して軸方向に10mmと4mmそれぞれ短いが、いずれも30mm大径であり、サイズAではAP−1はAB−1より軸方向に8mm短いが36mm大径である。又、ピニオンギヤ歯元応力比はサイズB,AにおいてそれぞれBP−2,AP−1の歯元応力を1としたときの他の歯元応力を比で示したものである。
【0011】
図8のように径方向のスペースPに差動制限手段を配置したプラネタリーギヤ型と、軸方向のスペースQに図7のように差動制限手段を配置したプラネタリーギヤ型ではデファレンシャル装置全体(差動機構+差動制限手段)で同等の条件と考えるとこの発明のように差動制限手段をベベルギヤ型差動機構の径方向外側に配置したデファレンシャル装置はプラネタリーギヤ型のデファレンシャル装置に較べてピニオンギヤの歯元応力は3〜4割低い。
【0012】
て軸方向には最大10mm大きいが径方向に最大36mm小さい。従って、最大伝達トルクを同等にし、更に歯元応力比を同等にするとベベルギヤ型はプラネタリーギヤ型より軸方向と径方向共に小型が可能である。特に径方向には大幅に小径化できる。
【0013】
請求項2の発明では、一対のサイドギヤのうちの一方のサイドギヤ側に差動制限手段を配置し、他方のサイドギヤ側に電磁石によって締結されるパイロットクラッチと、このパイロットクラッチの締結によってスラスト力を発生するカムを配置し、前記差動制限手段と前記カムとの間にプッシュリングを配置したことで、差動機構の軸方向両側に差動制限手段と操作系(パイロットクラッチとカム)を振り分けて配置することができるので、デファレンシャル装置の外径寸法を小型化したうえで、左右方向の配置及び重量バランスを向上することができる。
【0014】
【実施例】
図1ないし図5により第1実施例の説明をする。図1はこの実施例のデファレンシャル装置を示し図5は各実施例を用いた車両の動力系を示す。左右の方向はこの車両及び図1での左右の方向であり、符号を附していない部材等は図示されていない。
【0015】
図5のように、この動力系はエンジン1、トランスミッション3、プロペラシャフト5、リヤデフ7(後輪側に配置された図1のデファレンシャル装置)、後車軸9,11、左右の後輪13,15、左右の前輪17,19などから構成されている。リヤデフ7において、デフケース21はデフキャリヤ23内に回転自在に配置されており、デフケース21にボルト25で固定されたリングギヤ27はドライブピニオンギヤ29と噛合っている。ドライブピニオンギヤ29はプロペラシャフト5側に連結されたドライブピニオンシャフト31と一体に形成されている。こうして、エンジン1の駆動力はトランスミッション3とプロペラシャフト5とを介してリヤデフ7に伝達されて、デフケース21を回転駆動する。
【0016】
図1のように、デフケース21内にはベベルギヤ型の差動機構33が配置されている。差動機構33は4本のピニオンシャフト35と、ピニオンシャフト35上に回転自在に支承されたピニオンギヤ37と、ピニオンギヤ37と噛合った左右のサイドギヤ39,41とを備え、左のサイドギヤ39は左の後車軸9とスプライン連結され、右のサイドギヤ41は右の後車軸11とスプライン連結されている。各サイドギヤ39,41とデフケース21との間にはそれぞれワッシャ43,45が配置されている。
【0017】
各ピニオンシャフト35はボス47を中心に等間隔で放射状に配置され、各先端部は図2のように噛合い部49を介してデフケース21に回転方向に連結されている。デフケース21とピニオンギヤ37との間には球面ワッシャ51が配置されている。
【0018】
デフケース21に入力したエンジン1の駆動力はピニオンシャフト35とピニオンギヤ37からサイドギヤ39,41を介して左右の後輪13,15側に分配され、後輪13,15間に駆動抵抗差が生じるとピニオンギヤ37の回転によりエンジン1の駆動力は左右各側に差動分配される。
【0019】
各サイドギヤ39,41とデフケース21との間にはそれぞれ多板式のメインクラッチ53,55(差動制限手段)が配置されている。これらのメインクラッチ53,55はピニオンギヤ37の径方向外側に配置されている。各メインクラッチ53,55の間には図3と図4に示したプッシュリング57が配置されている。プッシュリング57は図4に展開して示したように4本の足59とこれらを連結する基部61とからなり、図2に示したようにピニオンシャフト35と球面ワッシャ51とは各足59の間に入る。右のメインクラッチ55の押圧力はこのプッシュリング57を介して左のメインクラッチ53に伝達される。
【0020】
右のメインクラッチ55の右側には押圧部材63とカムリング65とが配置され、押圧部材63は右のサイドギヤ41に軸方向移動自在にスプライン連結されている。押圧部材63とカムリング65との間にはボールカム67が設けられており、押圧部材63とサイドギヤ41との間には押圧部材63を右方へ戻す皿ばね69が配置され、カムリング65とデフケース21との間にはボールカム67の反力を受けるベアリング71とシム73とが配置されている。
【0021】
デフケース21とカムリング65との間には多板式のパイロットクラッチ75が配置され、その左側には押圧部材77が配置されている。この押圧部材77はデフケース21を貫通したボルト79を介してデフケース21外部のアーマチャ81に連結されている。デフケース21の右ボス部83上にはベアリング85を介してリング状の電磁石87が配置されており、電磁石87とアーマチャ81との間にはエアギャップSが形成されている。電磁石87は支持部材を介してデフキャリヤ23に回転不能に固定されている。ベアリング85とデフケース21との間にはエアギャップSを調整するシム88が配置されている。
【0022】
アーマチャ81が電磁石87に吸引されると押圧部材77によりパイロットクラッチ75が押圧されて締結し、デフケース21と右サイドギヤ41間の差動トルクがボールカム67に掛り、そのカムスラスト力によりメインクラッチ53,55が締結される。
【0023】
各クラッチ53,55,75の連結力により差動機構33の差動が制限される。この差動制限力が強い程、図5の車両の直進安定性が向上すると共に、悪路などで後輪13,15の一方が空転するとこの差動制限力により他方の車輪に駆動力が送られて走破性が高く保たれる。電磁石87の磁力調整によりパイロットクラッチ75を適度に滑らせてボールカム67のカムスラスト力を調節すると、メインクラッチ53,55の滑りにより差動が許容され、円滑で安定な旋回が行える。又、パイロットクラッチ75を開放するとカムスラスト力が消失してメインクラッチ53,55も開放され、差動はフリーになる。
【0024】
こうして、リヤデフ7が構成されている。
【0025】
リヤデフ7はベベルギヤ型の差動機構33の径方向外側にメインクラッチ53,55を配置したから、「作用」の項で説明したようにプラネタリーギヤ型の差動機構を用いたデファレンシャル装置より軸方向と径方向共に小型になると共にピニオンギヤ37の歯元応力を小さくし耐久性を向上させることもできる。
【0026】
又、図11の従来例ではカム211の押圧力がカム部材215とクラッチ板217との摺動抵抗を受け、図12の従来例ではボールカム227の押圧力がピニオンキャリヤ231と車軸のスプラインの摺動抵抗を受けるのと異って、リヤデフ7では各クラッチ53,55,75の押圧にはこのような摺動抵抗が掛らないから、レスポンスが速く、トルク容量が大きい。
【0027】
次に、図6により第2実施例の説明をする。この実施例も第1実施例と同様に図5の車両のリヤデフ89として用いられている。以下、左右の方向はこの車両及び図6での左右の方向である。
【0028】
リヤデフ89のデフケース91はデフキャリヤ23内に配置されており、エンジン1からの駆動力によって回転駆動される。
【0029】
デフケース91内にはベベルギヤ型の差動機構93が配置されている。差動機構93は等間隔で放射状に配置された複数本のピニオンシャフト95と、ピニオンシャフト95上に回転自在に支承されたピニオンギヤ97と、ピニオンギヤ97と噛合った左右のサイドギヤ99,101とを備え、これらのサイドギヤ99,101はそれぞれ左右の後車軸9,11にスプライン連結されている。左のサイドギヤ99とデフケース91との間にはワッシャ103が配置され、右のサイドギヤ101とデフケース91の右側壁105との間にはワッシャ107,109が配置されている。
【0030】
各ピニオンシャフト95の先端部は噛合い部111を介してデフケース91に回転方向に連結されている。デフケース91とピニオンギヤ97との間には球面ワッシャ113が配置されている。デフケース91を回転させるエンジン1の駆動力はサイドギヤ99,101から左右の後輪13,15に分配され、後輪間の駆動抵抗差に応じて左右各側に差動分配される。
【0031】
各サイドギヤ99,101とデフケース91との間にはそれぞれ多板式のメインクラッチ115,117(差動制限手段)が配置されている。これらのメインクラッチ115,117はピニオンギヤ97の径方向外側に配置されている。各メインクラッチ115,117の間にはプッシュリング119が配置されている。このプッシュリング119は複数本の足121とこれらを連結する基部123
とからなり、ピニオンシャフト95と球面ワッシャ113はこれらの足121の間に入る。右のメインクラッチ117の押圧力はプッシュリング119を介して左のメインクラッチ115に伝達される。
【0032】
右のメインクラッチ115の右側には押圧部材125とカムリング127とが配置され、押圧部材125はデフケース91に軸方向移動自在にスプライン連結されている。押圧部材125とカムリング127との間にはボールカム129が設けられており、カムリング127と右側壁105との間にはボールカム129のスラスト反力を受けるベアリング131とシム133とが配置されている。
【0033】
右のサイドギヤ101とカムリング127との間には多板式のパイロットクラッチ135が配置され、その左側にはアーマチャ137が配置されている。デフケース91の右ボス部139にはベアリング141を介してリング状の電磁石143が支承され、支持部材を介してデフキャリヤ23に回転不能に固定されている。右側壁105には電磁石143の磁力145をアーマチャ137へ導くためのステンレス鋼のリング147が配置されている。
【0034】
アーマチャ137が電磁石143に吸引されるとパイロットクラッチ135が締結され、デフケース91とサイドギヤ101間の差動トルクがボールカム129に掛り、そのカムスラスト力によりメインクラッチ115,117が締結される。各クラッチ115,117,135の連結力により差動機構93の差動が制限される。この差動制限力は電磁石143によるパイロットクラッチ135の締結力調整により制御でき、パイロットクラッチ135を開放するとカムスラスト力が消失してメインクラッチ115,117も開放され、差動はフリーになる。
【0035】
こうして、リヤデフ89が構成されている。
【0036】
リヤデフ89はベベルギヤ型の差動機構93の径方向外側にメインクラッチ115,117を配置したから、第1実施例と同様にプラネタリーギヤ型の差動機構を用いたデファレンシャル装置より軸方向と径方向共に小型になると共に、ピニオンギヤ97の歯元応力を小さくし耐久性を向上させることができる。又、従来例と異って各クラッチ115,117,135の押圧に摺動抵抗が掛らないから、レスポンスが速く、トルク容量が大きい。
【0037】
なお、この発明で差動制限手段は摩擦クラッチに限らず、例えばビスカスカップリングでもよい。
【0038】
【発明の効果】
請求項1の発明のデファレンシャル装置は、ピニオンギヤの歯元応力を同等にしたときの外形寸法、特に径方向寸法がプラネタリーギヤ型より大幅に小さいベベルギヤ型差動機構の径方向外側に差動制限手段を配置したから、プラネタリーギヤ型のデファレンシャル装置に較べて外形寸法を小型にすると共に、歯元応力を小さくし耐久性を高めることができる。
【0039】
請求項2の発明のデファレンシャル装置は、差動機構の軸方向両側に差動制限手段と操作系(パイロットクラッチとカム)を振り分けて配置することができるので、デファレンシャル装置の外径寸法を小型化したうえで、左右方向の配置及び重量バランスを向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例の断面図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】プッシュリングの斜視図である。
【図4】プッシュリングの展開図である。
【図5】各実施例を用いた車両の動力系を示すスケルトン機構図である。
【図6】第2実施例の断面図である。
【図7】一般的なプラネタリーギヤ型差動機構を示す断面図である。
【図8】一般的なベベルギヤ型差動機構を示す断面図である。
【図9】プラネタリーギヤ型差動機構とベベルギヤ型差動機構の外形寸法や歯元応力な
どを比較するグラフである。
【図10】図9の比較事項を表にしたものである。
【図11】第1の従来例を示す断面図である。
【図12】第2の従来例を示す断面図である。
【符号の説明】
7,89 リヤデフ(デファレンシャル装置)
21,91 デフケース
33,93 ベベルギヤ型の差動機構
35,95 ピニオンシャフト
37,97 ピニオンギヤ
39,41,99,101 サイドギヤ
53,55,115,117 メインクラッチ(差動制限手段)[0001]
[Industrial applications]
The present invention relates to a differential device used for a vehicle.
[0002]
[Prior art]
Japanese Unexamined Patent Publication (Kokai) No. 63-195449 discloses a "slip limiting differential gear assembly" as shown in FIG. This includes a planetary gear type differential mechanism 201, multi-plate clutches 203 and 205 for limiting the differential, an electromagnet 209 that attracts the armature 207 to fasten the multi-plate clutches 203 and 205, and a cam 211. This is a differential device 213 provided. When the multi-plate clutch 203 is engaged, the cam 211 receives the differential torque of the differential mechanism 201, and the cam member 215 slides at the engagement portion of the multi-plate clutch 203 with the inner clutch plate 217, so that the multi-plate clutch 205 To conclude. Since the differential device is mounted on a vehicle, it is desired to reduce the size in both the radial direction and the axial direction. However, in this differential device 213, the force of the cam 211 does not act on the multi-plate clutch 203. 209 is insufficient.
[0003]
The differential device 219 of FIG. 12 includes a planetary gear type differential mechanism 221, a pilot clutch 225 that is fastened by an electromagnet 223, a ball cam 227, and a main clutch 229. When the pilot clutch 225 is engaged, the ball cam 227 receives the differential torque, and the pinion carrier 231 moves on the axle via the spline by the cam thrust force, and the main clutch 229 is engaged. As described above, a large torque capacity can be obtained by the boosting function of the ball cam 227, so that the differential device 219 can be made smaller than the differential device 213 by downsizing the clutches 225, 229 and the electromagnet 223.
[0004]
[Problems to be solved by the invention]
However, in the planetary gear type differential mechanisms 201 and 221, since the internal gears 233 and 235 have a large diameter, there is a limit in reducing the size in the radial direction, and the multi-plate clutches 203 and 205 and the main clutch 229 also have an axial direction. It is difficult to reduce the size due to the arrangement of the pilot clutch 225 and the like.
[0005]
Accordingly, it is an object of the present invention to provide a differential device that can be made compact in the radial direction and the axial direction, including the differential limiting means.
[0006]
[Means for Solving the Problems]
The differential device according to the first aspect of the present invention is a bevel gear type having a pinion shaft rotatably connected to a differential case, a pinion gear rotatably supported by the pinion shaft, and a pair of side gears respectively meshed with the pinion gear. A differential mechanism, and a pair of differential limiting means disposed between the differential case and the side gear radially outside of the differential mechanism, the pair of differential limiting means with the pinion shaft in between It is provided on both sides, and is interlocked and connected via a push ring .
[0007]
A differential device according to a second aspect of the present invention is a bevel gear type having a pinion shaft rotatably connected to a differential case, a pinion gear rotatably supported by the pinion shaft, and a pair of side gears meshing with the pinion gear. A differential mechanism, and differential limiting means disposed radially outside the differential mechanism between the differential case and the side gear, wherein the differential limiting means is disposed on one side gear side of the pair of side gears. A pilot clutch fastened by an electromagnet to the other side gear side, and a cam that generates a thrust force by fastening the pilot clutch, and a foot that straddles the pinion shaft between the differential limiting means and the cam. A push ring having a portion is disposed .
[0008]
[Action]
According to the first aspect of the present invention, the driving force input to the differential case is distributed from the pinion shaft and the pinion gear to each side gear, and when a driving resistance difference occurs between the side gears, the driving force is differentially distributed to each side gear by rotation of the pinion gear. This differential rotation is limited by the differential limiting means arranged between the differential case and the side gear.
[0009]
7 and 8 show general structures of a planetary gear type differential mechanism and a bevel gear type differential mechanism, respectively, and FIG. 9 shows a planetary gear type differential mechanism (BP-1, BP-2, BP-2). AP-1) and the bevel gear type differential mechanism (BB-1, AB-1) shown in FIGS. 7 and 8 in the axial dimension L and the radial dimension D, and the pinion gear tooth root stress ratio of the pinion gears M and N. FIG. 10 shows this graph as a table. Size A is large and size B is much smaller.
[0010]
In size B, BP-1 and BP-2 are 10 mm and 4 mm shorter in the axial direction than BB-1, respectively, but both have a larger diameter of 30 mm. In size A, AP-1 is 8 mm in the axial direction than AB-1. It is short but 36mm in diameter. The pinion gear tooth root stress ratio is a ratio of other tooth root stresses when the tooth root stress of BP-2 and AP-1 is 1 in sizes B and A, respectively.
[0011]
The planetary gear type in which the differential limiting means is disposed in the radial space P as shown in FIG. 8 and the planetary gear type in which the differential limiting means is disposed in the axial space Q as shown in FIG. Considering the same condition as (differential mechanism + differential limiting means), a differential apparatus in which the differential limiting means is arranged radially outside the bevel gear type differential mechanism as in the present invention is a planetary gear type differential apparatus. The root stress of the pinion gear is 30 to 40% lower than that of the pinion gear.
[0012]
However, it is up to 10 mm larger in the axial direction but smaller up to 36 mm in the radial direction. Therefore, if the maximum transmission torque is made equal and the root stress ratio is made equal, the bevel gear type can be smaller in both the axial direction and the radial direction than the planetary gear type. Particularly, the diameter can be significantly reduced in the radial direction.
[0013]
According to the second aspect of the present invention, differential limiting means is disposed on one side gear of the pair of side gears, and a pilot clutch which is fastened by an electromagnet to the other side gear, and a thrust force is generated by fastening the pilot clutch. By disposing a push ring between the differential limiting means and the cam, the differential limiting means and the operating system (pilot clutch and cam) are distributed on both axial sides of the differential mechanism. Since the arrangement can be performed, the outer diameter of the differential device can be reduced, and the arrangement in the left-right direction and the weight balance can be improved.
[0014]
【Example】
The first embodiment will be described with reference to FIGS. FIG. 1 shows a differential device of this embodiment, and FIG. 5 shows a power system of a vehicle using each embodiment. The left and right directions are the left and right directions in this vehicle and FIG. 1, and members and the like without reference numerals are not shown.
[0015]
As shown in FIG. 5, this power system includes an engine 1, a transmission 3, a propeller shaft 5, a rear differential 7 (differential device of FIG. 1 arranged on the rear wheel side), rear axles 9, 11 and left and right rear wheels 13, 15. And left and right front wheels 17, 19, and the like. In the rear differential 7, the differential case 21 is rotatably disposed in a differential carrier 23, and a ring gear 27 fixed to the differential case 21 with bolts 25 is engaged with a drive pinion gear 29. The drive pinion gear 29 is formed integrally with a drive pinion shaft 31 connected to the propeller shaft 5 side. Thus, the driving force of the engine 1 is transmitted to the rear differential 7 via the transmission 3 and the propeller shaft 5, and drives the differential case 21 to rotate.
[0016]
As shown in FIG. 1, a bevel gear type differential mechanism 33 is disposed in the differential case 21. The differential mechanism 33 includes four pinion shafts 35, a pinion gear 37 rotatably supported on the pinion shaft 35, and left and right side gears 39 and 41 meshed with the pinion gears 37. The right side gear 41 is spline-connected to the right rear axle 11. Washers 43 and 45 are arranged between the side gears 39 and 41 and the differential case 21, respectively.
[0017]
Each of the pinion shafts 35 is radially arranged at equal intervals around the boss 47, and each tip is connected to the differential case 21 via a meshing portion 49 in the rotational direction as shown in FIG. A spherical washer 51 is arranged between the differential case 21 and the pinion gear 37.
[0018]
The driving force of the engine 1 input to the differential case 21 is distributed from the pinion shaft 35 and the pinion gear 37 to the left and right rear wheels 13 and 15 via the side gears 39 and 41, and when a driving resistance difference occurs between the rear wheels 13 and 15. Due to the rotation of the pinion gear 37, the driving force of the engine 1 is differentially distributed to the left and right sides.
[0019]
Multi-plate type main clutches 53 and 55 (differential limiting means) are arranged between the side gears 39 and 41 and the differential case 21, respectively. These main clutches 53 and 55 are arranged radially outside the pinion gear 37. The push ring 57 shown in FIGS. 3 and 4 is disposed between the main clutches 53 and 55. The push ring 57 is composed of four feet 59 and a base 61 connecting them as shown in FIG. 4, and the pinion shaft 35 and the spherical washer 51 are attached to each of the feet 59 as shown in FIG. Get in between. The pressing force of the right main clutch 55 is transmitted to the left main clutch 53 via the push ring 57.
[0020]
A pressing member 63 and a cam ring 65 are arranged on the right side of the right main clutch 55, and the pressing member 63 is spline-connected to the right side gear 41 so as to be movable in the axial direction. A ball cam 67 is provided between the pressing member 63 and the cam ring 65, and a disc spring 69 for returning the pressing member 63 to the right is disposed between the pressing member 63 and the side gear 41, and the cam ring 65 and the differential case 21 The bearing 71 and the shim 73 which receive the reaction force of the ball cam 67 are arranged between the bearing 71 and the shim 73.
[0021]
A multi-plate pilot clutch 75 is disposed between the differential case 21 and the cam ring 65, and a pressing member 77 is disposed on the left side thereof. The pressing member 77 is connected to an armature 81 outside the differential case 21 via a bolt 79 penetrating the differential case 21. A ring-shaped electromagnet 87 is disposed on the right boss portion 83 of the differential case 21 via a bearing 85, and an air gap S is formed between the electromagnet 87 and the armature 81. The electromagnet 87 is non-rotatably fixed to the differential carrier 23 via a support member. A shim 88 for adjusting the air gap S is arranged between the bearing 85 and the differential case 21.
[0022]
When the armature 81 is attracted by the electromagnet 87, the pilot clutch 75 is pressed and fastened by the pressing member 77, a differential torque between the differential case 21 and the right side gear 41 is applied to the ball cam 67, and the main clutches 53, 55 are generated by the cam thrust force. Is concluded.
[0023]
The differential force of the differential mechanism 33 is limited by the coupling force of the clutches 53, 55, and 75. The stronger the differential limiting force is, the more the straight running stability of the vehicle shown in FIG. 5 is improved, and when one of the rear wheels 13, 15 idles on a rough road or the like, the driving force is transmitted to the other wheel by the differential limiting force. The running performance is kept high. When the pilot clutch 75 is appropriately slid by adjusting the magnetic force of the electromagnet 87 to adjust the cam thrust force of the ball cam 67, the slippage of the main clutches 53 and 55 allows a differential, thereby enabling smooth and stable turning. When the pilot clutch 75 is released, the cam thrust force disappears, the main clutches 53 and 55 are released, and the differential becomes free.
[0024]
Thus, the rear differential 7 is configured.
[0025]
As the rear differential 7 has the main clutches 53 and 55 arranged radially outside the bevel gear type differential mechanism 33, as described in the section of “operation”, the shaft is shifted from the differential device using the planetary gear type differential mechanism to the shaft. It is also possible to reduce the size of the pinion gear 37 in both the direction and the radial direction, and to improve the durability by reducing the root stress of the pinion gear 37.
[0026]
Further, in the conventional example of FIG. 11, the pressing force of the cam 211 receives the sliding resistance between the cam member 215 and the clutch plate 217, and in the conventional example of FIG. 12, the pressing force of the ball cam 227 is generated by sliding the pinion carrier 231 and the spline of the axle. Unlike receiving the dynamic resistance, the rear differential 7 does not apply such sliding resistance to the pressing of each of the clutches 53, 55, 75, so that the response is fast and the torque capacity is large.
[0027]
Next, a second embodiment will be described with reference to FIG. This embodiment is also used as a rear differential 89 of the vehicle shown in FIG. 5, as in the first embodiment. Hereinafter, the left and right directions are the left and right directions in this vehicle and FIG.
[0028]
The differential case 91 of the rear differential 89 is arranged in the differential carrier 23 and is rotated by the driving force from the engine 1.
[0029]
In the differential case 91, a bevel gear type differential mechanism 93 is arranged. The differential mechanism 93 includes a plurality of pinion shafts 95 radially arranged at equal intervals, a pinion gear 97 rotatably supported on the pinion shaft 95, and left and right side gears 99 and 101 meshed with the pinion gear 97. These side gears 99, 101 are spline-connected to left and right rear axles 9, 11, respectively. A washer 103 is disposed between the left side gear 99 and the differential case 91, and washers 107 and 109 are disposed between the right side gear 101 and the right side wall 105 of the differential case 91.
[0030]
The tip of each pinion shaft 95 is rotationally connected to the differential case 91 via a meshing portion 111. A spherical washer 113 is arranged between the differential case 91 and the pinion gear 97. The driving force of the engine 1 for rotating the differential case 91 is distributed from the side gears 99, 101 to the left and right rear wheels 13, 15, and is differentially distributed to the left and right sides according to the driving resistance difference between the rear wheels.
[0031]
Multi-plate type main clutches 115 and 117 (differential limiting means) are arranged between the side gears 99 and 101 and the differential case 91, respectively. These main clutches 115 and 117 are arranged radially outside the pinion gear 97. A push ring 119 is arranged between the main clutches 115 and 117. The push ring 119 includes a plurality of feet 121 and a base 123 connecting these feet.
And the pinion shaft 95 and the spherical washer 113 enter between these feet 121. The pressing force of the right main clutch 117 is transmitted to the left main clutch 115 via the push ring 119.
[0032]
On the right side of the right main clutch 115, a pressing member 125 and a cam ring 127 are arranged, and the pressing member 125 is spline-connected to the differential case 91 so as to be movable in the axial direction. A ball cam 129 is provided between the pressing member 125 and the cam ring 127, and a bearing 131 and a shim 133 that receive a thrust reaction force of the ball cam 129 are disposed between the cam ring 127 and the right side wall 105.
[0033]
A multi-plate pilot clutch 135 is disposed between the right side gear 101 and the cam ring 127, and an armature 137 is disposed on the left side thereof. A ring-shaped electromagnet 143 is supported on the right boss 139 of the differential case 91 via a bearing 141, and is fixed to the differential carrier 23 via a support member so as not to rotate. A stainless steel ring 147 for guiding the magnetic force 145 of the electromagnet 143 to the armature 137 is disposed on the right side wall 105.
[0034]
When the armature 137 is attracted to the electromagnet 143, the pilot clutch 135 is engaged, a differential torque between the differential case 91 and the side gear 101 is applied to the ball cam 129, and the main clutches 115, 117 are engaged by the cam thrust force. The differential of the differential mechanism 93 is limited by the coupling force of the clutches 115, 117, 135. This differential limiting force can be controlled by adjusting the engaging force of the pilot clutch 135 by the electromagnet 143. When the pilot clutch 135 is released, the cam thrust force disappears, the main clutches 115 and 117 are released, and the differential becomes free.
[0035]
Thus, the rear differential 89 is configured.
[0036]
In the rear differential 89, the main clutches 115 and 117 are arranged radially outside the bevel gear type differential mechanism 93, so that the rear differential 89 is more axially and radially larger than the differential device using the planetary gear type differential mechanism as in the first embodiment. The size can be reduced in both directions, and the root stress of the pinion gear 97 can be reduced to improve the durability. Further, unlike the conventional example, since no sliding resistance is applied to the pressing of each of the clutches 115, 117, 135, the response is fast and the torque capacity is large.
[0037]
In the present invention, the differential limiting means is not limited to the friction clutch, but may be, for example, a viscous coupling.
[0038]
【The invention's effect】
In the differential apparatus according to the first aspect of the present invention, the differential dimension is limited to a radially outer side of a bevel gear type differential mechanism whose outer dimensions when the tooth root stress of the pinion gear is made equal, particularly the radial dimension is significantly smaller than that of the planetary gear type. Since the means is arranged, the outer dimensions can be reduced as compared with the planetary gear type differential device, and the root stress can be reduced and the durability can be increased.
[0039]
In the differential device according to the second aspect of the present invention , the differential limiting means and the operation system (pilot clutch and cam) can be separately arranged on both axial sides of the differential mechanism, so that the outer diameter of the differential device can be reduced. In addition, the arrangement in the left-right direction and the weight balance can be improved.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a sectional view of a first embodiment.
FIG. 2 is a sectional view taken along line AA of FIG.
FIG. 3 is a perspective view of a push ring.
FIG. 4 is a development view of a push ring.
FIG. 5 is a skeleton mechanism diagram showing a power system of a vehicle using each embodiment.
FIG. 6 is a sectional view of a second embodiment.
FIG. 7 is a sectional view showing a general planetary gear type differential mechanism.
FIG. 8 is a sectional view showing a general bevel gear type differential mechanism.
FIG. 9 is a graph comparing the external dimensions, tooth root stress and the like of the planetary gear type differential mechanism and the bevel gear type differential mechanism.
FIG. 10 is a table showing comparison items of FIG. 9;
FIG. 11 is a sectional view showing a first conventional example.
FIG. 12 is a sectional view showing a second conventional example.
[Explanation of symbols]
7,89 Rear differential (differential equipment)
21, 91 Differential case 33, 93 Bevel gear type differential mechanism 35, 95 Pinion shaft 37, 97 Pinion gear 39, 41, 99, 101 Side gear 53, 55, 115, 117 Main clutch (differential limiting means)