JP3560461B2 - フォトクロミック硬化性組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、屈折率及びアッベ数が高いという光学物性に優れ、フォトクロミック特性に関しても発色濃度が高く、耐久性の良いフォトクロミック硬化体の製造に好適なフォトクロミック硬化性組成物およびにそのフォトクロミック硬化性組成物を硬化させてなるフォトクロミックレンズに関する。
【0002】
【従来の技術】
フォトクロミズムとは、ここ数年来注目をひいてきた現象であって、ある化合物に太陽光あるいは水銀灯の光のような紫外線を含む光を照射すると速やかに色が変わり、光の照射を止めて暗所に置くと元の色に戻る可逆作用のことである。この性質を有する化合物は、フォトクロミック化合物と呼ばれ、従来から種々の構造の化合物が合成され提案されてきた。
【0003】
フォトクロミズムを利用したものにフォトクロミックプラスチックレンズがあり、特開平3−124790号公報などにフォトクロミック化合物をラジカル重合性単量体に溶解させたフォトクロミック硬化性組成物が提案され、これを硬化することでフォトクロミック樹脂を得る方法が開示されている。特にこの硬化物をフォトクロミックレンズとして使用することが提案されている。しかしながら、これらの発明の多くは屈折率が1.55未満の材料である。
【0004】
ところで、メガネレンズは、より薄いものが求められる。このため、使用する樹脂の高屈折率化が種々検討されて、レンズ用硬化物やモノマー組成物が数多く検討され、提案されている。しかしながら、1.56を超えるようなフォトクロミックレンズに関する検討例は少なく、特開平8−169918号公報に開示されているほかは積極的な技術開発の開示例は少ない。また、一般的な高屈折率重合性単量体としてスチリル系化合物が数多く検討されているが、これらの高屈折率硬化物のフォトクロミック性は低屈折率の硬化物に比べ耐久性が低く、さらに発色濃度も低いといった欠点を有していたため、フォトクロミックレンズとして実用的ではない。また、メガネレンズの色収差を改善するためにアッベ数を高くすること望まれているが、一般的に屈折率を高くするとアッベ数は低下するため、高屈折率のプラスチックメガネレンズのアッベ数を高くすることは困難である。したがって、屈折率とアッベ数が高いという光学特性に優れ、かつ発色濃度や耐久性等のフォトクロミック特性に優れ、十分に実用的であるフォトクロミック硬化性組成物が求められている。
【0005】
一方、フォトクロミック化合物としては、例えばフルギミド化合物が知られている。フルギミド化合物の発色時の色調は、橙色〜青色である。また、クロメン化合物、あるいはスピロオキサジン化合物もフォトクロミック化合物としてよく知られており、これらの化合物の発色時の色調は一般的にクロメン化合物が橙色〜黄色、スピロオキサジン化合物が赤紫色〜青色である。
【0006】
一般的に、フォトクロミックレンズでは、発色時の色調は、グレー、アンバー及びブラウンが好まれる。しかしながら、上記化合物を単独で用いた場合は、好まれる中間色が得られない場合が多い。中間色を得る方法としては、クロメン化合物、フルギドまたはフルギミド化合物及びスピロオキサジン化合物で異なる発色色調どうしのものを任意の組成比にて混合することが挙げられる。例えば、特開平3−124790号公報には、クロメン化合物とフルギミド化合物を混合することにより、また、特開平5−9469号公報には、クロメン化合物とスピロオキサジン化合物を混合することにより、中間色が得られることが記載されている。さらに、DE4325154号公報には、スピロオキサジン化合物、クロメン化合物およびフルギミド化合物を混合した結果、グレー、アンバー、ブラウンをはじめ、その他、様々な中間色に発色すると記載されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術の欠点を補う新しい技術の開発が望まれてきた。即ち、本発明の目的は、屈折率が高くかつアッベ数が高いという光学物性に優れ、しかもフォトクロミック特性に関しても発色濃度が高く、耐久性の良いフォトクロミック硬化体の製造に好適な組成物ならびにそのフォトクロミック硬化性組成物を硬化させてなるフォトクロミックレンズを提案することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、高屈折率で高アッベ数の光学特性に優れ、フォトクロミック特性に関し、大きな発色濃度ならびに耐久性に優れた、フォトクロミックレンズに代表されるフォトクロミック硬化体を得るための組成物について鋭意研究を続けた。その結果、特定の重合性単量体を含むフォトクロミック硬化性組成物が、前記の要求物性を満たすフォトクロミック硬化体の製造に好適な組成物であることを見い出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
即ち、本発明は、下記一般式(1)
【0010】
【化2】
【0011】
(ただし、R1、R2、R3はそれぞれ同一または異なる水素原子またはメチル基であり、nは3である。)
で示される重合性単量体50〜90重量%及び当該重合性単量体と共重合可能な重合性単量体10〜50重量%からなり、且つ硬化したときの屈折率が1.574〜1.582であり、アッベ数が41〜46である重合性単量体組成物100重量部と、フォトクロミック化合物0.001〜10重量部とを含有してなることを特徴とするフォトクロミック性硬化性組成物である。また、他の発明は、上記フォトクロミック硬化性組成物を硬化させてなるフォトクロミックレンズである。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明における一般式(1)で示される重合性単量体において、置換基R2とR3は得られる硬化体の屈折率を上昇させるためには水素原子が好ましい。また、nは1〜10の整数であればよいが、得られる硬化体の耐熱性や硬度を考慮すると1〜5であることが特に好ましい。
【0013】
一般式(1)で示される重合性単量体を具体的に例示すると、ビス(メタクリロイルオキシエチル)スルフィド、ビス(アクリロイルオキシエチル)スルフィド、1,2−ビス(メタクリロイルオキシエチルチオ)エタン、1,2−ビス(アクリロイルオキシエチル)エタン、ビス(2−メタクリロイルオキシエチルチオエチル)スルフィド、ビス(2−アクリロイルオキシエチルチオエチル)スルフィド、1,2−ビス(メタクリロイルオキシエチルチオエチルチオ)エタン、1,2−ビス(アクリロイルオキシエチルチオエチルチオ)エタン、1,2−ビス(メタクリロイルオキシイソプロピルチオイソプロピル)スルフィド、1,2−ビス(アクリロイルオキシイソプロピルチオイソプロピル)スルフィドなどがあげられる。
【0014】
本発明で使用する重合性単量体組成物は、組成物の成型性、得られる硬化体の物理特性、光学特性やフォトクロミック特性の観点から、一般式(1)で示される重合性単量体のほかに共重合可能な1種または2種以上のラジカル重合性単量体を含む。その組成は、硬化体の屈折率とアッベ数を高く保つために、具体的には、屈折率を1.574〜1.582、アッベ数を41〜46とするために一般式(1)で示される重合性単量体が50〜90重量%であり、当該重合性単量体と共重合可能な重合性単量体が10〜50重量%である。
【0015】
本発明において一般式(1)で示される重合性単量体と共重合可能な重合性単量体として好適に使用できる化合物を具体的に例示すると、グリシジル(メタ)アクリレート、β−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、ビスフェノールA−モノグリシジルエーテル−メタクリレート、4−グリシジルオキシブチルメタクリレート、3−(グリシジル−2−オキシエトキシ)−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−(グリシジルオキシ−1−イソプロピルオキシ)−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−(グリシジルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、イソボルニル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸フェニル、トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、アルコキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、アルコキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、トリフロロメチル(メタ)アクリレート等の単官能(メタ)アクリレート系重合性単量体;トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ノナエチレングリコールジメタクリレート、テトラデカエチレングリコールジメタクリレート、トリプロピレングリコールジメタクリレート、テトラプロピレングリコールジメタクリレート、ノナプロピレングリコールジメタクリレート、ノナエチレングリコールジアクリレートのジ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、2,2’−ビス(4−メタクリロイルオキシエトキシフェニル)プロパンのアクリル酸およびメタクリル酸エステル化合物、2,2’−ビス(4−メタクリロイルオキシ・ポリエトキシフェニル)プロパンのアクリル酸およびメタクリル酸エステル化合物、2,2’−ビス(4−メタクリロイルオキシプロポキシフェニル)プロパンのアクリル酸およびメタクリル酸エステル化合物、2,2’−ビス(4−メタクリロイルオキシ・ポリプロポキシフェニル)プロパンのアクリル酸およびメタクリル酸エステル化合物、2,2’−ビス(3,5−ジブロモ−4−メタクリロイルオキシエトキシ)プロパンのアクリル酸およびメタクリル酸エステル化合物、水添加ビスフェノールAエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド付加物のアクリル酸およびメタクリル酸エステル化合物、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンポリエトキシジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エチレングリコール又はポリエチレングリコールとグリシジル(メタ)アクリレートの反応生成物、プロピレングリコール又はポリプロピレングリコールとグリシジル(メタ)アクリレートの反応生成物、ビスフェノールAエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド付加物とグリシジル(メタ)アクリレートの反応生成物、水添加ビスフェノールAエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド付加物とグリシジル(メタ)アクリレートの反応生成物、ウレタンアクリレート等の多官能性(メタ)アクリレート系重合性単量体;スチレン、クロロスチレン、α−メチルスチレン、α−メチルスチレンダイマー、ビニルナフタレン、イソプロペニルナフタレン、ブロモスチレン、ジビニルベンゼン等のスチリル系重合性単量体が挙げられる。これらの(メタ)アクリレート系重合性単量体及び/又はスチリル系単量体は一種または二種以上を混合して使用できる。
【0016】
次に、本発明において用いられるフォトクロミック化合物は、フォトクロミック作用を示す化合物を何ら制限なく採用することができる。例えば、フルギド化合物、クロメン化合物及びスピロオキサジン化合物等のフォトクロミック化合物がよく知られており、本発明においてはこれらのフォトクロミック化合物を使用することができる。上記のフォトクロミック化合物としては、米国特許第4882438号公報、米国特許第4960678号公報、米国特許第5130058号公報、米国特許第5106998号公報、国際公開特許第9422854号公報、国際公開特許第9505371号公報、米国特許第4913544号公報、欧州公開特許第0600669号公報等で公知の化合物を好適に使用できる。これらのフォトクロミック化合物は1種又は2種以上を混合して使用でき、その配合比は使用する用途に応じて決定してゆけばよい。
【0017】
本発明において好適に使用できるフォトクロミック化合物のうち、クロメン化合物は一般式(2)で表すことができる。
【0018】
【化3】
【0019】
(但し、R4、R5、R6およびR7は、それぞれ同一または異なる水素原子、アルキル基、アリール基、置換アミノ基、飽和複素環基又は不飽和複素環基であり、R6およびR7は、一緒になって環を形成していてもよく、
【0020】
【化4】
【0021】
で示される基は、それぞれハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数7〜14のアルコキシアリール基、炭素数1〜10の置換アミノ基、ニトロ基及びシアノ基よりなる群から選ばれた少なくとも一種の置換基で置換されていてもよい、二価の芳香族炭化水素基または二価の不飽和複素環基である。)
上記式(2)中、R4、R5、R6およびR7で示されるアルキル基としては、メチル基、エチル基等の炭素数1〜4のアルキル基を挙げることができ、アリール基としてはフェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等の炭素数6〜10のアリール基を挙げることができる。また、置換アミノ基は、上記したようなアルキル基またはアリール基で水素原子の少なくとも1つが置換されたアミノ基を挙げることができ、また、飽和複素環基は、ピロリジン環、イミダゾリジン環、ピペリジン環、ピペラジン環、モルホリン環等の窒素原子、酸素原子、またはイオウ原子を環構成原子として1〜2個含む5〜6員環から誘導される一価の基を挙げることができる。また、不飽和複素環基としては、フラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピロール環、インドール環、ピリジン環、キノリン環、イソキノリン環等から誘導される炭素数4〜9の基を挙げることができる。
【0022】
上記式(2)中、R6およびR7が一緒になって形成する環は、ノルボルニリデン基、ビシクロ[3.3.1]9−ノニリデン基等をあげることができる。
【0023】
また、上記式(2)中、
【0024】
【化5】
【0025】
で示される二価の芳香族炭化水素基としては、ベンゼン環1個またはその2〜3個の縮合環から誘導される二価の基を挙げることができ、また、二価の不飽和複素環基としては、酸素原子、窒素原子、またはイオウ原子を環構成原子として1〜2個含む5〜7員環またはこれとベンゼン環との縮合環から誘導される二価の基を挙げることができる。二価の芳香族炭化水素基を具体的に例示すると、ベンゼン環、ナフタレン環、フェナントレン環、アントラセン環等から誘導される炭素数6〜14の基をあげることができ、また、二価の不飽和複素環基を具体的に例示すると、フラン環、ベンゾフラン環、ピリジン環、キノリン環、イソキノリン環、ピロール環、チオフェン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環等から誘導される炭素数4〜9の基を挙げることができる。
【0026】
これらの二価の芳香族炭化水素基または不飽和複素環基は水素原子の少なくとも一つが置換されていてもよく、その置換基としては、特に制限されないが、例えば、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子:メチル基、エチル基等の炭素数1〜10のアルキル基:メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜10のアルコキシ基:フェニル基、トリル基、キシリル基等の炭素数6〜10のアリール基:炭素数7〜14のアルコキシアリール基(炭素数1〜4のアルコキシ基で置換された炭素数6〜10のアリール基):ジメチルアミノ基、ピロリジニル基、ピペリジニル基、モルホリノ基等の炭素数1〜10の置換アミノ基:ニトロ基:シアノ基等を例示することができる。
【0027】
クロメン化合物としては、特にR4およびR5は共に水素原子であり、R6およびR7は、それぞれ同一または異なるアリール基であるか、または不飽和複素環基であるか、若しくはこれらが一緒になって形成されたビシクロ〔3.3.1〕9−ノニリデン基またはノルボルニリデン基であり、
【0028】
【化6】
【0029】
は、炭素数1〜10のアルキル基または炭素数1〜10のアルコキシ基で置換されていてもよいナフタレン環から誘導される基である化合物が好適に使用できる。
【0030】
本発明において好適に使用できるクロメン化合物を具体的に例示すれば、次のような化合物を例示することができる。
【0031】
1)スピロ〔ノルボルナン−2,2′−〔2H〕ベンゾ〔h〕クロメン〕
2)スピロ〔ビシクロ〔3.3.1〕ノナン−9,2′−〔2H〕ベンゾ〔h〕クロメン〕
3)7′−メトキシスピロ〔ビシクロ〔3.3.1〕ノナン−9,2′−〔2H〕ベンゾ〔h〕クロメン〕
4)7′−メトキシスピロ〔ノルボルナン−2,2′−〔2H〕ベンゾ〔h〕クロメン〕
5)3,3−ビス(3−フルオロ−4−メトキシフェニル)−6−モルホリノ−3H−ベンゾ〔f〕クロメン
6)3,3−ビス(4−メトキシフェニル)−6−モルホリノ−3H−ベンゾ〔f〕クロメン
7)3−(3−トリフルオロメチル−4−メトキシフェニル)−3−(4−メトキシフェニル)−6−チオモルホリノ−3H−ベンゾ〔f〕クロメン
また、本発明で好適に用いられるスピロオキサジン化合物は、一般式(3)で表すことができる。
【0032】
【化7】
【0033】
ここで、一般式(3)において、R8、R9およびR10は、それぞれ同一または異なるアルキル基、シクロアルキル基、シクロアルアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、アルコキシカルボニル基、アルコキシカルボニルアルキル基、アリール基、アラルキル基、アリーロキシ基、アシル基、アシロキシ基またはアミノ基であり、R9およびR10は、一緒になって環を形成してもよく、R8、R9およびR10は置換基を有してもよく、置換基としては上記のような基のほかに、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基または複素環基等が上げられる。
【0034】
上記式(3)中のR8,R9及びR10で表されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基等の炭素数1〜10のアルキル基を挙げることができ、シクロアルキル基としてはシクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数3〜10のシクロアルキル基を挙げることができ、シクロアルアルキル基としてはシクロプロピルメチル基、シクロヘキシルメチル基、2−シクロヘキシルエチル基等の炭素数4〜11のシクロアルアルキル基を挙げることができ、アルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜10のアルコキシ基を挙げることができ、アルコキシアルキル基としてはメトキシメチル基、エトキシメチル基、t−ブトキシメチル基等の炭素数2〜11のアルコキシアルキル基を挙げることができ、アルコキシカルボニル基としてはメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等の炭素数2〜11のアルコキシカルボニル基を挙げることができ、アルコキシカルボニルアルキル基としてはメトキシカルボニルメチル基、メトキシカルボニルエチル基、エトキシカルボニルメチル基等の炭素数3〜12のアルコキシカルボニルアルキル基を挙げることができ、アリール基としてはフェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等の炭素数6〜12のアリール基を挙げることができ、アラルキル基としてはベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基等の炭素数7〜14のアラルキル基を挙げることができ、アリーロキシ基としてはフェノキシ基、ナフトキシ基等の炭素数6〜12のアリーロキシ基を挙げることができ、アシル基としてはアセチル基、ベンゾイル基等の炭素数2〜14のアシル基を挙げることができ、アシロキシ基としてはアセトキシ基、ベンゾイルオキシ基等の炭素数2〜14のアセトキシ基を挙げることができ、また、アミノ基としてはメチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、時エチルアミノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基等の炭素数1〜10のアミノ基を挙げることができる。
【0035】
また、
【0036】
【化8】
【0037】
で示される基は、それぞれ置換されていてもよい二価の芳香族炭化水素基または二価の不飽和複素環基であり、一般式(2)で示されるクロメン化合物の項で例示されたものと同じ基が採用される。
【0038】
【化9】
【0039】
で示される基は、それぞれ置換されていてもよい二価の芳香族炭化水素基または二価の不飽和複素環基である。二価の芳香族炭化水素基としては、ベンゼン環1個またはその2〜3個の縮合環から誘導される二価の基を挙げることができ、また、二価の不飽和複素環基としては、酸素原子、窒素原子、またはイオウ原子を環構成原子として1〜2個含む5〜7員環またはこれとベンゼン環との縮合環から誘導される二価の基を挙げることができる。二価の芳香族炭化水素基を具体的に例示すると、ベンゼン環、ナフタレン環、フェナントレン環、アントラセン環等から誘導される炭素数6〜14の基をあげることができ、また、二価の不飽和複素環基を具体的に例示すると、フラン環、ベンゾフラン環、ピリジン環、キノリン環、イソキノリン環、ピロール環、チオフェン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環等から誘導される炭素数4〜9の基を挙げることができる。
【0040】
また、上記の二価の芳香族炭化水素基又は二価の不飽和複素環基の置換基としては上記のR8、R9およびR10で述べたものと同じ基を選択できるが、中でも
【0041】
【化10】
【0042】
(但し、R11およびR12はそれぞれ同一又は異なる、置換されていても良い、アルキル基、アルコキシ基またはアリル基等であり、またR11およびR12は互いに結合、環化し、含窒素複素環を形成しても良い。)
で示される基で置換された二価の芳香族炭化水素基または二価の不飽和複素環基が、初期のフォトクロミック性能においてその発色濃度が高い点で好適である。
【0043】
本発明で好適に使用できるスピロオキサジン化合物を具体的に例示すれば、次のような化合物を例示することができる。
【0044】
1)1’−メトキシカルボニルメチル−8’’−メトキシ−6’’−(4−メチルピペラジノ)ジスピロ(シクロヘキサン−1,3’−(3H)インドール−2’−(1’H),3’’−(3H)ナフト(3,2−a)(1,4)オキサジン)
2)6’−フルオロ−1’,5’−ジメチル−6’’−モルホリノジスピロ(シクロヘキサン−1,3’−(3H)インドール−2’−(1’H),3’’−(3H)ナフト(3,2−a)(1,4)オキサジン)
3)6’−フルオロ−5’−メチル−1’−イソブチル−6’’−モルホリノジスピロ(シクロヘキサン−1,3’−(3H)インドール−2’−(1’H),3’’−(3H)ナフト(3,2−a)(1,4)オキサジン)
4)3’,3’−ジメチル−1’−イソプロピル−6’’−インドリノスピロ−(3H)インドール−2’−(1’H),3’’−(3H)ナフト(3,2−a)(1,4)オキサジン
5)3’,3’−ジメチル−1’−イソブチルスピロ−(3H)インドール−2’−(1’H),3’’−(3H)ナフト(3,2−a)(1,4)オキサジン
また、本発明で好適に用いられるフルギド化合物は一般式(4)で表すことができる。
【0045】
【化11】
【0046】
〔但し、
【0047】
【化12】
【0048】
はそれぞれ置換基を有していてもよい二価の芳香族炭化水素基または二価の不飽和複素環基であり、R13は、アルキル基、アリール基または一価の複素環基であり、
【0049】
【化13】
【0050】
は、ノルボルニリデン基またはアダマンチリデン基であり、Xは、酸素原子、
基 >N−R14、
基 >N−A1−B1−(A2)m−(B2)n−R15、
基 >N−A3−A4、または
基 >N−A3−R16である
(ここで、R14は、水素原子、アルキル基またはアリール基であり、A1、A2およびA3は、同一もしくは異なり、アルキレン基、アルキリデン基、シクロアルキレン基またはアルキルシクロアルカン−ジイル基であり、
B1およびB2は、同一もしくは異なってもよい
【0051】
【化14】
【0052】
であり、mおよびnは、それぞれ独立して0または1を示すが、mが0の時nは0であり、R15は、アルキル基、ナフチル基またはナフチルアルキル基であり、A4は、ナフチル基であり、R16は、ハロゲン原子、シアノ基またはニトロ基である。)。〕
上記式(4)中、
【0053】
【化15】
【0054】
で示される二価の芳香族炭化水素基または二価の不飽和複素環基は、前記式(2)における基と同様であり、これらの各基の置換基としては特に制限されないが、例えば、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子:メチル基、エチル基等の炭素数1〜10のアルキル基:メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜10のアルコキシ基:フェニル基、トリル基、キシリル基等の炭素数6〜10のアリール基:炭素数7〜14のアルコキシアリール基(炭素数1〜4のアルコキシ基で置換された炭素数6〜10のアリール基):ジメチルアミノ基、ピロリジニル基、ピペリジニル基、モルホリノ基等の炭素数1〜10の置換アミノ基:ニトロ基:シアノ基等を例示することができる。
【0055】
上記式(4)中、R13で示されるアルキル基、アリール基および複素環基は、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、および、酸素原子、窒素原子、またはイオウ原子を環構成原子として1〜2個含む5〜7員環またはこれとベンゼン環との縮合環から誘導される一価の基を挙げることができる。該アルキル基を具体的に例示すると、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、シクロプロピル基等を挙げることができる、また該アリール基を具体的に例示すると、フェニル基、トリル基、キシリル基等を挙げることができる、また、該複素環基を具体的に例示すると、ピロール環、ピリジン環、キノリン環、ピペリジン環等の含窒素複素環;フラン環、ベンゾフラン環、オキソラン環等の含酸素複素環;チオフェン環、ベンゾチオフェン環、チオラン環等の含硫黄複素環に基づく基を挙げることができる。
【0056】
上記式(4)中Xが>N−R14であるとき、R14で示されるアルキル基、アリール基は上記R13と同様である。Xが>N−A1−B1−(A2)m−(B2)n−R15、>N−A3−A4、または>N−A3−R16であるとき、A1、A2およびA3で示されるアルキレン基は、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基等の炭素数1〜4の基であることが好ましく、アルキリデン基は、エチリデン基、プロピリデン基、イソプロピリデン基等の炭素数2〜4の基であることが好ましく、また、シクロアルキレン基は、シクロヘキシレン基が好ましく、さらにアルキルシクロアルカン−ジイル基は、ジメチルシクロヘキサン−ジイル基が好ましい。
【0057】
また、上記式(4)中Xが>N−A1−B1−(A2)m−(B2)n−R15であるとき、R15で示されるアルキル基は上記R13と同様であり、ナフチルアルキル基は、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基等の炭素数11〜14の基であることが好ましい。
【0058】
上記式(4)で示されるフルギド化合物のなかでも、フォトクロミック作用の耐久性等を勘案すると、R13がアルキル基であり、Xが>N−R〔ただし、Rは炭素数1〜4のシアノアルキル基、炭素数1〜4のニトロアルキル基、または炭素数3〜9のアルコキシカルボニルアルキル基(炭素数1〜4のアルコキシ基と炭素数1〜4のアルキレン基を含む)である。〕であり、
【0059】
【化16】
【0060】
はアダマンチリデン基であり、
【0061】
【化17】
【0062】
は、炭素数6〜10のアリール基、または炭素数7〜14のアルコキシアリール基(炭素数1〜4のアルコキシ基で置換された炭素数6〜10のアリール基)で置換されていてもよい複素環基、特にチオフェン環から誘導される基である化合物が好ましい。
【0063】
本発明において好適に使用できるフルギド化合物を具体的に例示すると、次のような化合物を例示することができる。
【0064】
フルギド化合物:
1)N−シアノメチル−6,7−ジヒドロ−4−メチル−2−フェニルスピロ(5,6−ベンゾ〔b〕チオフェンジカルボキシイミド−7,2−トリシクロ〔3.3.1.1〕デカン)
2)N−シアノメチル−6,7−ジヒドロ−2−(p−メトキシフェニル)−4−メチルスピロ(5,6−ベンゾ〔b〕チオフェンジカルボキシイミド−7,2−トリシクロ〔3.3.1.1〕デカン)
3)N−シアノメチル−6,7−ジヒドロ−4−メチルスピロ(5,6−ベンゾ〔b〕チオフェンジカルボキシイミド−7,2−トリシクロ〔3.3.1.1〕デカン)
4)6,7−ジヒドロ−N−メトキシカルボニルメチル−4−メチル−2−フェニルスピロ(5,6−ベンゾ〔b〕チオフェンジカルボキシイミド−7,2−トリシクロ〔3.3.1.1〕デカン)
5)6,7−ジヒドロ−4−メチル−2−(p−メチルフェニル)−N−ニトロメチルスピロ(5,6−ベンゾ〔b〕チオフェンジカルボキシイミド−7,2−トリシクロ〔3.3.1.1〕デカン)
6)N−シアノメチル−6,7−ジヒドロ−4−シクロプロピル−3−メチルスピロ(5,6−ベンゾ〔b〕チオフェンジカルボキシイミド−7,2−トリシクロ〔3.3.1.1〕デカン)
7)N−シアノメチル−6,7−ジヒドロ−4−シクロプロピル−スピロ(5,6−ベンゾ〔b〕チオフェンジカルボキシイミド−7,2−トリシクロ〔3.3.1.1〕デカン)
本発明における硬化性組成物をメガネレンズに使用する場合は、グレーまたはブラウン等の色調が好まれるが、このような色調は単一のフォトクロミック化合物では得られないために、二種以上の異なるフォトクロミック化合物を混合する方法が採用される。上記したフルギド化合物及びスピロオキサジン化合物は一般に橙〜青に発色するが、これに黄〜橙に発色するクロメン化合物を混合することにより、グレー、ブラウン等の中間色を得ることができる。
【0065】
本発明において、フォトクロミック化合物の配合比は全重合性単量体100重量部に対して、フォトクロミック化合物は、0.001〜10重量部の範囲であり、0.001重量部より少ないとフォトクロミック特性の耐久性を損なうことになり、また、10重量部より多いときには硬化体の初期着色が大きくなる。フォトクロミック化合物の配合比は、全重合性単量体100重量部に対して、好ましくは0.01〜5重量部、より好ましくは0.01〜1重量部の範囲で用いられ、この範囲において耐久性と初期着色のバランスのとれた最も良好なフォトクロミック性能が得られる。
【0066】
本発明のフォトクロミック硬化性組成物には、更に離型剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、紫外線安定剤、酸化防止剤、着色防止剤、帯電防止剤、蛍光染料、染料、顔料、香料等の各種安定剤、添加剤を必要に応じて混合して使用することができる。
【0067】
本発明のフォトクロミック硬化性組成物に紫外線安定剤を混合して使用すると、フォトクロミック化合物の耐久性をさらに向上させることができるために好適である。また、紫外線安定剤としては、ヒンダードアミン光安定剤、ヒンダードフェノール光安定剤、イオウ系酸化防止剤を好適に使用することができる。
【0068】
紫外線安定剤の使用量は特に制限されるものではないが、通常は、全重合性単量体100重量部に対して各紫外線安定剤の配合量が0.001〜10重量部、さらに0.01〜1重量部の範囲であることが好適である。
【0069】
更に、フルギド化合物とクロメン化合物とを併用する場合には、亜リン酸エステル化合物を加えることにより、これらのフォトクロ化合物の混合色の経時的な変化を抑えることができる。したがって、フルギド化合物とクロメン化合物とを併用する系に上記した紫外線安定剤と亜リン酸エステル化合物の両者を使用することは、本発明において最も好適である。亜リン酸エステル化合物の配合量は、全重合性単量体100重量部に対して、0.001〜10重量部、さらに0.01〜1重量部であることが好ましい。
【0070】
更に又、赤外線吸収剤を混合して使用すると、フォトクロミック作用の他にも赤外線吸収能も有するフォトクロミック硬化体を得ることができる。赤外線吸収剤としてはポリメチン系化合物、ジイモニウム系化合物、シアニン系化合物、アントラキノン系化合物、アルミニウム系化合物が使用できるが、分子吸光係数が大きく、小量の添加で効果を発揮するジイモニウム系化合物が好適である。
【0071】
赤外線吸収剤の配合量は、全重合性単量体100重量部に対して、0.0001〜1重量部、さらに0.001〜0.01重量部であることが好ましい。
【0072】
本発明のフォトクロミック組成物から硬化体を得る重合方法は特に限定的でなく、公知のラジカル重合方法を採用できる。重合開始手段は、種々の過酸化物やアゾ化合物などのラジカル重合開始剤の使用、又は、紫外線、α線、β線、γ線等の照射あるいは両者の併用によって行うことができる。代表的な重合方法を例示すると、エラストマーガスケット又はスペーサーで保持されているモールド間に、ラジカル重合開始剤を混合した本発明のフォトクロミック組成物を注入し、空気炉中で硬化させた後、モールドより取り外す注型重合が採用される。
【0073】
ラジカル重合開始剤としては特に限定されず、公知のものが使用できるが、代表的なものを例示すると、ベンゾイルパーオキサイド、p−クロロベンゾイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド;t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネート、t−ブチルパーオキシネオデカネート、クミルパーオキシネオデカネート、t−ブチルパーオキシベンゾエート等のパーオキシエステル;ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート等のパーカーボネート;アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物等をあげることができる。
【0074】
ラジカル重合開始剤の使用量は、重合条件や開始剤の種類、前記の単量体の組成によって異なり、一概に限定できないが、一般的には、全重合性単量体100重量部に対して0.001〜10重量部、好ましくは0.01〜5重量部の範囲が好適である。
【0075】
重合条件のうち、特に温度は得られるフォトクロミック硬化体の性状に影響を与える。この温度条件は、開始剤の種類と量や単量体の種類によって影響を受けるので一概に限定はできないが、一般的に比較的低温で重合を開始し、ゆっくりと温度を上げていき、重合終了時に高温下に硬化させる所謂テーパ型の2段重合を行うのが好適である。重合時間も温度と同様に各種の要因によって異なるので、予めこれらの条件に応じた最適の時間を決定するのが好適であるが、一般に2〜40時間で重合が完結するように条件を選ぶのが好ましい。
【0076】
さらに、上記の方法で得られるフォトクロミック硬化体は、その用途に応じて以下のような処理を施すこともできる。即ち、分散染料などの染料を用いる染色、シランカップリング剤やケイ素、ジルコニウム、アンチモン、アルミニウム、スズ、タングステン等のゾルを主成分とするハードコート剤や、SiO2、TiO2、ZrO2等の金属酸化物の薄膜の蒸着や有機高分子の薄膜の塗布による反射防止処理、帯電防止処理等の加工および2次処理を施すことも可能である。
【0077】
【発明の効果】
本発明のフォトクロミック硬化性組成物を重合して得られる硬化体は、屈折率が高くかつアッベ数が高いという優れた光学物性を有し、さらにフォトクロミック特性に関しては発色濃度、耐久性ともに高く十分実用的である。詳しくは、本発明のフォトクロミック硬化性組成物を重合して得られる硬化体は、フォトクロミック特性に関し、低屈折率の硬化体と同程度かそれ以上の優れた発色濃度及び耐久性を有し、屈折率が1.56以上にも拘わらず高アッベ数である優れた光学物性を有する。したがって、本発明のフォトクロミック組成物を重合して得られる硬化体は、フォトクロミック性を有する高屈折率有機ガラスとして有用であり、例えば、フォトクロミックレンズ等の用途に好適に使用することができる。
【0078】
【実施例】
以下、本発明を具体的に説明するために、実施例を掲げて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0079】
以下の例で使用した化合物及び略称は下記のとおりである。
【0080】
(1)含S(メタ)アクリレート(一般式(1)で示されるの重合性単量体)
3S4G:ビス(2−メタクリロイルオキシエチルチオエチル)スルフィド
3S4GA:ビス(2−アクリロイルオキシエチルチオエチル)スルフィド
3S4GP:ビス(2−メタクリロイルオキシイソプロピルチオイソプロピル)スルフィド
(2)他の単量体
GMA:グリシジルメタクリレート
BzMA:ベンジルメタクリレート
TB:2,2−ビス〔4−メタクリロイルオキシエトキシ−3,5,−ジブロモフェニル〕プロパン
MS:α−メチルスチレン
BPE:2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシエトキシフェニル)プロパン
4G:テトラエチレングリコールジメタクリレート
St:スチレン
XEMA:1,4−ビス(メタクリロイルオキシエチルチオメチル)ベンゼン
(3)フォトクロミック化合物
C1:スピロ〔ビシクロ〔3.3.1〕ノナン−9,2’−〔2H〕ベンゾ〔h〕クロメン〕
S1:6’−フルオロ−1’,5’−ジメチル−6”−モルホリノジスピロ(シクロヘキサン−1,3’−(3H)インドール−2’−(1’H),3”−(3H)ナフト(3,2−a)(1,4)オキサジン)
F1:N−シアノメチル−6,7−ジヒドロ−2−(p−メトキシフェニル)−4−メチルスピロ(5,6−ベンゾ〔b〕チオフェンジカルボキシイミド−7,2−トリシクロ〔3.3.1.1〕デカン)
実施例1
含S(メタ)アクリレートとして3S4G90重量部と他の重合性単量体としてGMA10重量部を室温で2時間混合攪拌した。その混合溶液の中に、フォトクロミック化合物としてC1を0.05重量部、ラジカル重合開始剤としてt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネートを1重量部添加してよく混合した。この混合液をガラス板とエチレン−酢酸ビニル共重合体からなるガスケットで構成された鋳型の中へ注入し、注型重合を行った。重合は空気炉を用い、30℃から90℃で18時間かけ、徐々に温度を上げていき、90℃に2時間保持した。重合終了後、鋳型を空気炉から取り外し、放冷後、硬化体を鋳型のガラス型から取り外した。
【0081】
得られたフォトクロミック硬化体(厚み2mm)に、浜松ホトニクス製のキセノンランプL−2480(300W)SHL−100をエアロマスフィルター(コーニング社製)を介して20℃±1℃、硬化体表面でのビーム強度365nm=2.4mW/cm2,245nm=24μW/cm2で120秒照射して発色させ、下記の各種フォトクロミック特性を測定した。
【0082】
・最大吸収波長(λmax(nm)):
(株)大塚電子工業製の分光光度計MCPD1000により、この硬化体の発色後のλmaxを求めた。
【0083】
・発色濃度:
ε(120)−ε(0)を求め、発色濃度とした。但し、ε(120)は、上記条件にて光を120秒照射し、発色させた時のフォトクロミック化合物の最大吸収波長における吸光度であり、ε(0)は、光を照射する前の発色時と同じ吸収波長での吸光度である。
【0084】
・フォトクロミック耐久性:
スガ試験機(株)製キセノンフェードメーターFA−25AX−HCにより疲労寿命を測定し、フォトクロミック耐久性とした。疲労寿命は、重合体をキセノンフェードメーターに200時間照射した後、上記記載の方法にて硬化体を発色させ、その時のフォトクロミック化合物の発色に基づく最大吸収波長における吸光度を、フェードメーター照射前の発色での吸光度に対する割合(%)で表した。
【0085】
また、得られた硬化体の光学物性は下記の試験法により測定した。
【0086】
屈折率及びアッベ数:
アタゴ(株)製アッベ屈折計を用いて、20℃における屈折率とアッベ数を測定した。接触液にはブロモナフタレンを使用した。
【0087】
測定した結果を表1に示した。
【0088】
実施例2〜13及び比較例1〜3
表1に示した含S(メタ)アクリレート、他の単量体及びフォトクロミック化合物を用いた他は実施例1と同様に重合し、フォトクロミック硬化体を得た後、各種フォトクロミック特性を測定した。結果を表1に示した。
【0089】
【表1】
【0090】
比較例4〜8
比較例4〜8において、重合性単量体として表2に示した化合物を用いた以外は実施例1と全く同様に実施した。結果を表2に示した。
【0091】
比較例4はフォトクロミック性能は優れるものの、屈折率とアッベ数が共に低いためメガネレンズとしての高屈折率化、高アッベ数化といった要求を満たしていない。比較例5はスチリル系化合物を用いたため、屈折率は1.56以上あるものの、フォトクロミック性能の耐久性と発色濃度に劣る。比較例6は特開平8−169918号公報記載の化合物を用いた場合であるが、屈折率、フォトクロミック特性共に優れるが、アッベ数が十分に高いとは言えず、満足できるものではない。これに対し、一般的に屈折率を高くするとアッベ数は低下するにも拘わらず、実施例では比較例よりも高屈折率かつ高アッベ数を達成している。
【0092】
比較例7、8は比較例4と同様の重合性単量体を用いてフォトクロミック化合物をC1からそれぞれF1およびS2に変更した場合である。これら比較例と実施例との対比により、実施例中でフォトクロミック化合物としてF1やS1を用いた場合においても、発色濃度や耐久性が低屈折率のものと同等かそれ以上に優れ、十分実用的であることが分かる。
【0093】
【表2】
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