JP3538000B2 - スプリンクラーヘッド - Google Patents

スプリンクラーヘッド

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JP3538000B2
JP3538000B2 JP19968797A JP19968797A JP3538000B2 JP 3538000 B2 JP3538000 B2 JP 3538000B2 JP 19968797 A JP19968797 A JP 19968797A JP 19968797 A JP19968797 A JP 19968797A JP 3538000 B2 JP3538000 B2 JP 3538000B2
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    • A62C37/00Control of fire-fighting equipment
    • A62C37/08Control of fire-fighting equipment comprising an outlet device containing a sensor, or itself being the sensor, i.e. self-contained sprinklers
    • A62C37/10Releasing means, e.g. electrically released
    • A62C37/11Releasing means, e.g. electrically released heat-sensitive
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  • Business, Economics & Management (AREA)
  • Emergency Management (AREA)
  • Fire-Extinguishing By Fire Departments, And Fire-Extinguishing Equipment And Control Thereof (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、火災による周囲温
度の上昇で弁を開放作動して消火用水を自動的に放水す
ると共に、火災鎮火による周囲温度の低下で弁を閉鎖駆
動して消火用水の放水を自動的に停止する自動開閉型の
スプリンクラーヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】従来のスプリンクラーヘッドは、消火配
管に対するヘッド接続部の給水口とヘッド先端の放水口
とを結ぶ流路を、可溶合金等の火災時の熱で解ける感熱
材によって封止しておき、所定温度以上になると感熱材
が溶けて流路を開放することにより、放水が行われる構
成となっている。
【0003】このため、スプリンクラーヘッドが火災に
よる熱気流を受けて作動することによって一度流路が開
放されると、鎮火後も給水源からの消火用水の供給が無
くなるまで、もしくは係員が現場を確認して手動でバル
ブを閉めるまで放水が続けられ、消火用水の放水による
被害が大きかった。そこで、形状記憶合金等を使用し
て、火災による温度上昇で弁を開放して消火用水を自動
的に放水し、鎮火による温度低下で弁を閉鎖して放水を
自動的に停止するスプリンクラーヘッドが提案されてい
る。このような自動開閉型のスプリンクラーヘッドとし
ては例えば図9のものが知られている(特開平5−12
3419号)。
【0004】図9のスプリンクラーヘッドは、本体10
1の下部にコイルバネ状の形状記憶合金120を設けて
おり、火災により規定温度を越えると形状記憶合金12
0が予め記憶したコイルバネを伸ばした形状に復元し、
バネ113に抗して弁軸111に設けたパイロット弁体
112を押し上げてパイロット弁孔110を開く。この
ためピストン108の上側の部屋の圧力が低下し、ピス
トン108が上昇してゴムパッキン114が弁座から離
れ、放水口116から消火用水を放出させる。
【0005】消火用水の放出により火災が鎮火して温度
が低下すると、形状記憶合金120は記憶形状への復元
力は低下し、バネ113に押されてパイロット弁体11
2が押し下げられてパイロット弁孔110が閉じる。こ
のためパイロット導入孔104からの消火用水の圧力導
入でピストン108が押し下げられてゴムパッキン11
4で弁座を閉じ、放水を自動的に停止する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな形状記憶合金を用いた自動開閉型のスプリンクラー
ヘッドにあっては、火災時に、予め決められた規定温度
で弁を開放させて確実に作動させることができないとい
う問題があった。図10は形状記憶合金の温度に対する
弾性係数であり、復元力は弾性係数に比例する関係にあ
る。形状記憶合金は、低温時はマルテンサイト相の結晶
状態にあり、温度が増加するとオーステナイト相の結晶
状態に遷移し、その間に2相領域として知られた形状記
憶領域がある。この形状記憶領域は、温度方向で例えば
数十度以上といった幅をもっている。
【0007】このような特性の形状記憶合金120を用
いて火災時に弁を開放させるためには、まず火災による
熱気流を受けたときに放水を開始するため規定の作動温
度T1を決め、この作動温度T1に対応したP点の弾性
係数G1を求める。弾性係数G1が求まると、コイルバ
ネ形状をもつ形状記憶合金120の作動温度T1におけ
る復元力が決まり、この復元力でパイロット弁体112
が開くようにバネ113の力を設定する。
【0008】そして、規定の作動温度T1に加熱した状
態で、形状記憶合金120を伸展した記憶形状に変形さ
せ、その後に常温に戻して記憶前の初期形状に縮めて図
9のように組み込む。しかし、形状記憶合金は、図10
のように、温度上昇に伴って形状記憶領域で弾性係数が
序々に増加し、このため記憶形状への復元力も除々に増
加する。これに対しパイロット弁体112を開放させる
ための力は、バネ113の力以外にピストン室109に
導入された消火用水の圧力や弁軸111の摺動抵抗等に
よって変動し、ある程度のバラ付きをもっている。
【0009】このため規定の作動温度T1で形状記憶合
金120に伸展形状を記憶して規定の復元力を設定して
いたとしても、温度上昇に伴って復元力は序々に増加す
るため、パイロット弁112の開放力が低下していると
規定の作動温度T1より低めの温度で放水を開始し、ま
たパイロット弁112の開放力が増加していると、規定
の作動温度T1より高い温度で放水を開始することにな
る。
【0010】この結果、火災時に受ける熱気流による規
定の作動温度T1への到達で確実に放水を開始する保証
はなく、放水を開始する作動温度が安定しないという問
題があり、信頼性に欠けることから量産することが極め
て困難であった。また、火災時にピストン108が上昇
して放水口116から消火用水を放出するとスプリンク
ラーヘッドより下方に散水されるため、消火用水が蓋1
15にかかってしまい、消火用水自体で形状記憶合金1
20を冷却して、火災がまだ鎮火していないにもかかわ
らずスプリンクラーヘッドが放水停止してしまう。
【0011】更に、スプリンクラーヘッドに物がぶつか
って蓋115などが損壊した場合には、火災時にスプリ
ンクラーヘッドが作動しないこともある。本発明は、こ
のような従来の問題点に鑑みてなされたもので、形状記
憶合金を用いて火災時に決められた温度で正確に弁を開
放作動して消火用水を放水することができ、信頼性と量
産性に優れた自動開閉型のスプリンクラーヘッドを提供
することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
本発明は次のように構成する。まず本発明は、加圧消火
用水が充填された消火配管に接続され、火災時に加圧供
給された消火用水を放水する閉鎖型のスプリンクラーヘ
ッドを対象とする。このような閉鎖型のスプリンクラー
ヘッドとして本発明にあっては、形状記憶合金と復旧付
勢部材を対向させて配置し、所定の記憶回復温度より低
い温度の時は復旧付勢部材により形状記憶合金を初期形
状に変形させて弁機構を放水停止位置に保持し、記憶回
復温度に達した時は形状記憶合金の記憶形状への復元力
で弁機構を放水位置へ作動可能な状態とする第1感熱作
動部と、記憶回復温度より高い所定の放水開始温度を設
定し、放水開始温度より低い温度の時は、第1感熱作動
部の作動状態に関わらず弁機構を閉鎖状態に保持し、放
水開始温度に達した時は、熱により分解して弁機構の閉
鎖保持を解除して消火用水を放水させる第2感熱作動部
とを設けたことを特徴とする。
【0013】そして、第1感熱作動部は、第2感熱作動
部の作動による放水中に、記憶回復温度より低い温度に
低下した時は、復旧付勢部材により形状記憶合金を初期
形状に変形させることにより弁機構を閉鎖状態に作動し
て放水を停止させる。このような本発明のスプリンクラ
ーヘッドにあっては、火災による熱気流を受けると、ま
ず低めに設定している記憶回復温度に達した時に、形状
記憶合金が記憶形状に変形する復元力を生じ、第1感熱
作動部を作動して弁機構を放水可能状態とする。この状
態で更に熱気流による温度が上昇して規定の放水開始温
度に達すると、可溶合金やグラスバルブ等を使用した第
2感熱作動部が熱により分解し、放水可能状態に既に動
作している第1感熱作動部の保持を解除して放水を開始
できる。
【0014】このため形状記憶合金の記憶回復温度に幅
があっても、放水開始温度を第2感熱作動部に感熱材と
して設けている可溶金属やグラスバルブにより規定温度
に設定して保証することができ、形状記憶合金を用いた
自動開閉型のスプリンクラーヘッドの信頼性を確保して
量産を可能とする。また第1感熱作動部と第2感熱作動
部の両方が働いて初めて放水が開始される構造としてい
るため、監視時に例えば物をぶつけて破損したような場
合にも、両方を破損により作動状態としてしまうことは
ほとんどありえず、破損による放水を確実に防止でき
る。
【0015】また放水による火災が鎮火して温度が低下
すると、形状記憶合金が復旧付勢部材によって初期形状
に変形されることで第1感熱作動部の弁機構が閉鎖状態
となって自動的に放水を停止し、火災消火後の水損を最
小限に抑えることができる。また放水を停止するための
温度は、第2感熱作動機構に設定している放水開始温度
に対し低めに設定した形状回復温度となり、この放水停
止温度を十分に低くすることで、消火後の再発火の可能
性を大幅に低減できる。
【0016】第1感熱作動部は、放水による温度低下で
形状記憶合金を初期形状に変形させて放水を停止させた
後に再び記憶回復温度に達した時は、形状記憶合金の記
憶形状への復元力で弁機構を放水位置へ作動して再放水
させる。このため放水停止後に万が一、再度燃え上がっ
たような場合にも、再放水が自動的に行われ、確実に消
火できる。
【0017】第1感熱作動部は、形状記憶合金を第2感
熱作動部の周囲に複数配置し、複数の形状記憶合金の少
なくとも1つが記憶回復温度への到達で作動した時の復
元力で弁機構を放水位置へ作動可能な状態とする。この
ように記憶形状金属を複数配置したことで、火災時の熱
気流の方向による温度差をなくし、確実に放水作動でき
る。
【0018】また複数の形状記憶合金の全てが初期形状
に復旧した時に弁機構を閉鎖状態に作動して放水を停止
させる。このため周囲のいずれかの方向から熱気流を受
けている限り放水は停止されず、確実に消火できる。ま
た形状記憶合金は、第2感熱作動部が作動した際に下方
に露出する散水部よりも上方に配置することにより、消
火用水自体で形状記憶合金が冷却して鎮火前の放水停止
を防ぐことができると共に、形状記憶合金に向かう熱気
流を消火用水で遮って誤動作することを防ぐことができ
る。
【0019】第1感熱作動部に使用する形状記憶合金
は、初期形状として軸方向に縮んだコイルバネ形状を有
し、記憶回復温度への到達で軸方向に伸展したコイルバ
ネ形状に変形する。また形状記憶合金は、初期形状とし
て中央を円弧状に屈曲した板バネ形状としてもよく、記
憶回復温度への到達で軸方向に伸展した板バネ形状に変
形する。
【0020】第1感熱作動部の弁機構は、流入口から放
水口に至る流路の途中に開閉自在に配置された主弁と、
パイロット圧の供給で主弁を閉鎖位置に作動し、パイロ
ット圧の排出で主弁を開放位置に作動して放水させるア
クチュエータと、形状記憶合金の初期形状による弁位置
でパイロット圧をアクチュエータに供給して主弁を閉鎖
状態とし、形状記憶合金の記憶形状への変形による弁位
置でパイロット圧をアクチュエータから排出させて主弁
を開放状態として放水させるパイロット弁とを備える。
【0021】ここで、アクチュエータは、第2感熱作動
部により閉鎖位置に保持される軸部材を備えたダイヤフ
ラムピストン又はピストンを、パイロット圧の導入と排
出により摺動自在に備える。第1感熱作動部の弁構造の
他の形態としては、流入口から放水口に至る流路の途中
に開閉自在に配置され、第2感熱作動部により閉鎖位置
に保持され、放水開始温度に達した時の保持解除により
開放位置に作動して放水させる第1弁部材と、第1弁部
材の二次側の流路に配置されて流路を開閉自在な第2弁
部材と、流入口側からのパイロット圧の導入で第2弁部
材を閉鎖位置に作動し、パイロット圧の排出で第2弁部
材を開放位置に作動して放水させるアクチュエータと、
形状記憶合金の初期形状による弁位置でアクチュエータ
にパイロット圧を導入して第2弁部材を閉鎖位置とし、
形状記憶合金の記憶形状への変形による弁位置でパイロ
ット圧を排出して第2弁部材を開放位置に移動させて放
水させ、更に、第1弁部材が開放位置に作動した後に形
状記憶合金が初期形状に復旧した際のパイロット圧の再
導入で第2弁部材を閉鎖位置に作動させて放水を停止さ
せるパイロット弁とを備える。
【0022】更に、第2感熱作動部は、放水開始温度に
到達した時の熱で分解して離脱させる可溶合金又はグラ
スバルブを備え、これによって放水開始温度を正確に設
定できる。これ以外にも、例えばNiTi合金を用いた
形状記憶合金は、その材質的な特徴として耐腐食性が高
く、更に、放水の開始と停止につき、火災感知器による
火災検出信号に頼らないため、火災感知器の誤作動によ
る放水の問題がなく、信頼性が高い。
【0023】
【発明の実施の形態】図1は本発明の自動開閉型のスプ
リンクラーヘッドの第1実施形態の断面図であり、軸方
向の中心線の右側に放水を停止している定常監視状態の
断面構造を示し、左側に火災による熱気流を受けて放水
動作した状態の断面構造を示している。
【0024】図1において、スプリンクラーヘッド1
は、上部よりヘッド接続部1a、ヘッド本体部1b及び
ヘッド放水部1cの軸方向のねじ込みで構成され、中央
のヘッド本体部1bの内部にはアクチュエータ収納部1
dが組み込まれている。ヘッド接続部1aは加圧消火用
水が供給される給水配管に接続される接続ネジ4を有
し、流入口3によって給水配管に充填されている加圧さ
れた消火用水を導入している。この流入口3の突き当た
り部分には、ゴミを除去するためのストレーナ21が装
着されている。
【0025】ストレーナ21の組み込み部分に続いては
スプール穴3aが設けられ、スプール穴3aは内部流路
3bに連通し、更にアクチュエータ収納部1dの軸方向
周辺部に設けている連通穴20を通って下部の内部流路
3cに至り、最終的にヘッド放水部1cの内部に開口し
た放水口5に連通している。流入口3に続いて形成され
たスプール穴3aには、定常監視状態でスプール弁体7
aが位置し、流入口3と内部流路3bの間を閉鎖してい
る。スプール弁体7aは弁軸7cの一端に形成されてお
り、スプール弁体7aに続いてはアクチュエータ収納部
1dの部分にピストン部7bを一体に形成している。ア
クチュエータ収納部1dの内部には、スプール弁体7a
を開閉駆動するためのアクチュエータ8が組み込まれて
いる。
【0026】アクチュエータ8は弁軸7cに一体に形成
したピストン部7bにダイヤフラム8aの内周部を装着
し、ダイヤフラム8aの外周部を上下に分割した構造の
アクチュエータ収納部1dの間に挟み込み固定してい
る。これによってダイヤフラム8aの収納室は、下側の
ダイヤフラム室9aと上側のダイヤフラム室9bに仕切
られている。
【0027】アクチュエータ8に対しては、ヘッド本体
部1bの右側に示すようにパイロット弁12が設けられ
ている。パイロット弁12はパイロット弁室12bにパ
イロット弁体12aを収納しており、パイロット弁体1
2aの下部より弁軸12cを下方に取り出している。パ
イロット弁室12bに対しては流入口3のストレーナ2
1の組み込み部分からパイロット流入路15が連通され
る。またパイロット弁室12bはパイロット供給路16
によってダイヤフラム室9aに連通される。更に、パイ
ロット弁体12aの下部からヘッド放水部1cの内側の
開放部分に向けてパイロット排出路18が連通されてい
る。
【0028】ここで、パイロット排出路18をヘッド放
水部1cの内側に開口している理由は、パイロット弁1
2の作動によるパイロット圧の排出でパイロット排出路
18から排出された消火用水がヘッド放水部1cの外側
に配置している形状記憶合金10にかかり、熱気流によ
る加熱温度を冷却してしまうことを防止するためであ
る。
【0029】パイロット弁12に対しては、その下側に
復旧スプリング(復旧付勢部材)14と形状記憶合金1
0が、間にヘッド散水部1cの外周を囲む円筒状のスペ
ーサ11を介して互いに押し合うように配置される。形
状記憶合金10は、この実施形態にあってはコイルスプ
リング状に巻き回された形状をもち、ヘッド放水部1c
の下端部外周の鍔部1eの内側の複数箇所に組み込まれ
ている。
【0030】形状記憶合金10に続いてヘッド放水部1
cの外周部で軸方向に摺動自在に設けたスペーサ11に
対しては、パイロット弁12の弁軸12cの下端が固定
され、スペーサ11との間に復旧スプリング14を組み
込んでいる。形状記憶合金10としては、例えばNiT
i合金等を用いた耐腐食性の高い一方向性のものを使用
している。ここで形状記憶合金の一方向性とは、所定の
記憶回復温度で一定の形状を記憶させた後に低温で初期
形状に変形させ、その後に変態点以上の記憶回復温度に
加熱すると記憶した形状に戻るが、その後に再び低温に
しても、低温で変形した初期形状にはならないことを意
味する。
【0031】このような一方向性の形状記憶合金10に
は、所定の記憶回復温度T1でコイルバネを軸方向に引
き伸ばした復元形状が記憶され、低温に戻した状態で図
示のように初期形状に縮めて、鍔部1eとスペーサ11
の間に組み込んでいる。この形状記憶合金10の低温状
態での初期形状による復元力F1は、パイロット弁12
側に組み込んでいる復旧スプリング14の復元力F2よ
り十分に低く、復旧スプリング14の復元力F2による
押圧を受けて形状記憶合金10は図示の初期形状に保っ
ている。
【0032】形状記憶合金10が初期形状となっている
低温時にあっては、復旧スプリング14の復元力F2で
パイロット弁体12aは、図示のようにパイロット排出
路18を閉鎖する位置に保持されている。このため流入
口3に供給されている加圧消火用水から分岐したパイロ
ット流入路15によるパイロット圧は、パイロット弁1
2からパイロット供給路16を通ってアクチュエータ8
のダイヤフラム室9aに供給され、ダイヤフラム8aと
共にピストン部7bを図示のように上方に押し上げ、こ
れによってスプール弁体7aをスプール穴3aに嵌め入
れて流入口3から内部流路3bに至る流路を閉鎖してい
る。
【0033】これに対し、火災による熱気流をスプリン
クラーヘッド1が受けてヘッド放水部1cの周囲に組み
込んでいる形状記憶合金10が加熱されると、形状記憶
合金10が記憶形状に伸びることで復元力F1が増加
し、復旧スプリング14の復元力F2を超えた時にスペ
ーサ11を介して弁軸12cによりパイロット弁体12
aを上側に押し上げ、パイロット弁室12bに対するパ
イロット排出路18を開き、同時にパイロット流入路1
5を閉じる。
【0034】このためアクチュエータ8のダイヤフラム
室9aに供給されていたパイロット圧がパイロット排出
路18を通って抜け、スプール弁体7aに作用している
消火用水の圧力を受けてスプール弁体7aを下方に押す
力が生じ、スプール穴3aを開放可能な状態とする。図
2は図1のヘッド本体部1bのA−A断面であり、内部
に組み込んだアクチュエータ収納部1dの周辺部に2箇
所に分けて連通穴20を設けており、中央にアクチュエ
ータ8のダイヤフラム室9aが形成されている。ダイヤ
フラム室9aには、ヘッド本体部12b側に組み込まれ
ているパイロット弁12のパイロット弁室12bからの
パイロット供給路16が開口し、更に上部に向けてパイ
ロット流入路15が設けられている。
【0035】更に図1の左半断面から明らかなように、
ダイヤフラム8aの上側のダイヤフラム室9bは大気連
通路17により大気に開放しており、ピストン部7bの
上下動が可能となっている。このような図1,2のスプ
リンクラーヘッド1に設けられているスプール弁体7
a、アクチュエータ8、形状記憶合金10、復旧スプリ
ング14及びパイロット弁12を含む構造によって、本
発明における第1感熱作動部6が構成されている。
【0036】この第1感熱作動部6に対しては、ヘッド
放水部1c側に第2感熱作動部22が設けられている。
第2感熱作動部22は放水口5の下部にデフレクタ23
を下降自在に収納し、可溶合金30を用いた感熱作動機
構により保持している。即ち、デフレクタ23の中央部
には支持部材24が装着され、支持部材24の中央の凹
部にスプール弁体7a及びピストン部7bを一体に備え
た弁軸7cの先端を当接している。
【0037】支持部材24は可溶合金30を備えた感熱
作動機構により支持されている。この感熱作動機構は、
支持プレート25、押え板26、ロックボール27、集
熱板28,29、可溶合金30、スペーサ31及び止め
ネジ32で構成される。即ち、止めネジ32により可溶
合金30を固着した2枚の集熱板28,29をスペーサ
31及び押え板26を介して支持プレート25にねじ込
み固定し、この状態で支持プレート25と押え板26の
外周部にロックボール27を嵌め入れた状態でヘッド放
水部1cの内側の鍔部1gとその下の嵌合凹部1fに図
示のように嵌め込むことで支持固定している。
【0038】第2感熱作動部22は、火災による熱気流
を受けて可溶合金30が解けると、スペーサ31を介し
て支持している押え板26が緩むことでロックボール2
7が支持プレート25との隙間に入り込み、左半断面の
下部に示すように支持プレート25より下側の部分がヘ
ッド放水部1cから分離脱落し、弁軸7cの保持を解除
するようになる。第2感熱作動部22が作動すると、ヘ
ッド放水部1c内に収納されていたデフレクタ23(散
水部)が下降し、スプリンクラーヘッド1の下方に露出
する。
【0039】この第2感熱作動部22の可溶合金30が
火災による熱で溶けたときの分離脱落により弁軸7cの
保持が解除された時、それより低い形状記憶温度で第1
感熱作動部6のスプール弁体7aは既に開放可能な状態
にある。このため、弁軸7cの保持が解除されるとスプ
ール弁体7aがスプール穴3aから抜けて流路を開放
し、流入口3からの加圧消火用水はアクチュエータ収納
部1dの連通穴20、更に内部流路3cを通って放水口
5から放出され、デフレクタ23に当たって周囲に散水
される。
【0040】ここで、第1感熱作動部6に設けたパイロ
ット弁12の作動でアクチュエータ8によるスプール弁
体7aの開放可能状態を作り出す形状記憶合金10の復
元温度をT1、第2感熱作動部22が作動する可溶合金
30の溶融温度で決まる放水開始温度をT2とすると、
放水開始温度T2に対し形状記憶合金10の記憶回復温
度T1を低めに設定している。
【0041】このため火災による熱気流を受けたとき
に、まず形状記憶合金10の記憶回復温度T1に上昇し
て、パイロット弁12の作動によりアクチュエータ8を
スプール弁体7aの開放可能状態とし、次に火災による
熱気流で放水開始温度T2に達したときの可溶合金30
の溶解で、第2感熱作動部22による弁軸7cを介して
スプール弁体7aの保持が解除されて放水が開始され
る。
【0042】この放水が開始される可溶合金30の放水
開始温度T2は、可溶合金30の材質によって正確に決
まっており、形状記憶合金10の記憶回復温度T1は放
水開始の前段階の作動であることから、形状記憶合金1
0の復元力が温度上昇に対し幅をもっていても、この影
響を受けることなく、可溶合金30の材質で決まる所定
の放水開始温度T2で確実に放水を行うことができる。
【0043】図3は図1のスプリンクラーヘッド1に設
けたコイルバネ形状をもった形状記憶合金10の温度T
に対するその弾性係数Gの実測特性である。例えば第2
感熱作動部22の可溶合金30で決まる放水開始温度を
T2=74℃とすると、形状記憶合金の復元力によるパ
イロット弁12の作動温度範囲を例えばT1=30〜6
0℃の範囲、例えばT1=50℃に設定する。
【0044】具体的に説明すると、図3の温度50℃の
ときの弾性係数G50に基づく形状記憶合金10の復元力
F1にバランスしてパイロット弁体12aのパイロット
排出路18の流路を閉鎖する位置となるように、復旧ス
プリング14の復元力F2を決める。即ち、形状記憶合
金10の復元力F1に対し復旧スプリング14の復元力
F2が等しいか若干大きめに設定する。
【0045】これにより形状記憶合金10の温度がT1
=50℃に達すると、形状記憶合金10の復元力F1が
復旧スプリング14の復元力F2に打ち勝ってパイロッ
ト弁体12aを押し上げ、同時にパイロット流入路15
を閉鎖して、アクチュエータ8のダイヤフラム室9aか
らのパイロット圧の排出状態とする。尚、ヘッド放水部
1cの外周に設けた複数の形状記憶合金10のうち、一
つでも形状回復温度T1に達すれば、スペーサ11を上
昇させ、パイロット弁体12を作動させて放水可能状態
とする。これにより、気流の影響による温度検知の遅れ
を防ぎ、熱気流の方向に関係なく確実に火災温度を検知
して放水が行われる。
【0046】また、ヘッド放水部1cの端部外周に延在
した鍔部1eは、デフレクタ23にあたって放水される
消火用水が形状記憶合金10にかかり、直接冷却して鎮
火前に放水を停止することを防ぐ水避けの機能も有して
いる。また、第2感熱作動部22の周囲に配置した複数
の形状記憶合金10は、第2感熱作動部22の作動時
に、周囲に消火用水を散水する散水部としてのデフレク
タ23の露出位置よりも上方に位置している。よって、
放水する消火用水で形状記憶合金10を冷却することな
く、更に消火用水により形状記憶合金10に向かう熱気
流を遮って、鎮火前に放水停止することを防ぎ、周囲の
熱を正確に検出して誤作動を防いでいる。
【0047】次に図1の実施形態の動作を図4を参照し
ながら説明する。図4はスプリンクラーヘッドの周囲の
温度における各部の動作を示したグラフである。ここ
で、曲線aは火源直上における温度曲線を示し、曲線b
は火源直上から離れて配置されたスプリンクラーヘッド
1における周囲の温度曲線を示している。定常監視状態
となる低温時にあっては、第1感熱作動部6に設けた形
状記憶合金10の定常温度での復元力F1に対し復旧ス
プリング14の復元力F2が大きく、スペーサ11を介
して図示の初期形状に縮められている。このためパイロ
ット弁12はパイロット弁体12aによりパイロット流
入路15をパイロット弁室12bに開放し、パイロット
排出路18を閉鎖した弁位置に保持されている。
【0048】従って、流入口3に供給されている消火配
管に充填している加圧消火用水からの圧力がパイロット
圧としてアクチュエータ8のダイヤフラム室9aに供給
され、ダイヤフラム8a及びピストン部7bを図示のよ
うに上方に押し上げ、弁軸3cの先端のスプール弁体7
aをスプール穴3aに位置させて、内部流路3bに対す
る流入口3からの流路を閉鎖している。
【0049】この状態で火災による熱気流を受けると、
形状記憶合金10は形状記憶を行った所定の記憶回復温
度T1に達したときにその復元力F1が復旧スプリング
14の復元力F2に打ち勝ち、スペーサ11を介して弁
軸12cによりパイロット弁体12aを押し上げ、パイ
ロット流入路15を閉鎖すると同時にパイロット排出路
18をパイロット弁室12bに対し開放する。
【0050】そのため、アクチュエータ8のダイヤフラ
ム室9aに供給されていたパイロット圧は、パイロット
供給路16、パイロット弁室12bを通ってパイロット
排出路18から排出され、スプール本体7aをスプール
穴3aの閉鎖位置に押す力が解除される。しかしなが
ら、このとき第2感熱作動部22は作動しておらず、弁
軸7cをスプール弁体7aがスプール穴3aに位置する
閉鎖状態に保持している。
【0051】このように第1感熱作動部6が作動した状
態で火災による熱気流による温度が更に上昇し、第2感
熱作動部22の可溶合金30が溶ける放水開始温度T2
に上昇すると、可溶合金30が溶けて支持プレート26
がスペーサ31及び周熱板28,29と共に下がり、ロ
ックボール27によるロックが解除され、図1の左半断
面の下部に示すように支持プレート25より下側の感熱
作動機構の部材が分解して脱落する。
【0052】このため支持部材24による弁軸7cの閉
鎖状態での保持が解除され、デフレクタ23と共にヘッ
ド放水部1cの開口部1hに落下して鍔部1gにより保
持される。このような弁軸7cの保持解除により、既に
アクチュエータ8はスプール弁体7aの開放状態への作
動を可能としていることから、スプール弁体7aは流入
口3からの消火用水の圧力を受けて下降し、スプール穴
3aを開放する。
【0053】このため流入口3からの消火用水はスプー
ル穴3a、内部流路3b、貫通穴20及び内部流路3c
を通って放水口5からデフレクタ23に向けて放出さ
れ、デフレクタ23に当たって周囲に散水される。消火
用水の放水で炎の勢いが衰えることで、図4の曲線bに
示すように、熱気流の温度が徐々に低下する。このよう
な消火用水の放水によって火災が鎮火すると、熱気流を
受けなくなることで温度が低下する。この温度低下によ
り形状記憶合金10が記憶回復温度T1以下に下がる
と、形状記憶合金10の復元力F1が復旧スプリング1
4の復元力F2より小さくなり、復旧スプリング14に
押されて形状記憶合金10は図示の初期形状に変形され
る。
【0054】このときパイロット弁12のパイロット弁
体12aは、パイロット排出路18を閉じると同時にパ
イロット流入路15を開き、流入口3に対する加圧消火
用水の圧力がパイロット圧力としてアクチュエータ8の
ダイヤフラム室9aに供給される。このためダイヤフラ
ム8a及びピストン部7bによってスプール弁体7aが
押し上げられ、スプール穴3aに嵌まり込んで流路を閉
鎖する。これによって消火用水の放水が自動的に停止さ
れる。
【0055】消火用水の放水が自動停止した後に、万が
一、図4の破線で示すように、再度燃え上がって熱気流
を受けて形状記憶合金10が記憶回復温度T1に上昇す
ると、パイロット弁12が再び作動してダイヤフラム室
9aのパイロット圧を排出させる。このとき第2感熱作
動部22は既に作動していることから、ダイヤフラム室
9aからのパイロット圧の排出に伴う消火用水の圧力に
よってスプール弁体7aはスプール穴3aから下方に引
き出されて流路を開放し、消火用水の放水が再開され
る。
【0056】もちろん、放水を再開した後に火災が鎮火
して形状記憶合金10の温度が記憶回復温度T1以下に
下がれば、復旧スプリング14の復元力F2を受けて形
状記憶合金10は初期形状に変形し、パイロット弁12
がダイヤフラム室9aに対するパイロット圧の供給状態
に切り替わり、これによってスプール弁体7aがスプー
ル穴3aに戻って再び流路を閉鎖し、放水停止となる。
【0057】図5は本発明の自動開閉型のスプリンクラ
ーヘッドの第2実施形態であり、軸方向の中心線の右側
に低温時の放水停止状態の断面を、左側に火災による熱
気流を受けて放水動作を行った状態の断面を示してい
る。この第2実施形態にあっては、第2感熱作動部22
にグラスバルブを使用している。図5において、自動開
閉型のスプリンクラーヘッド1は、上部よりヘッド接続
部1a、ヘッド本体部1b、ヘッド放水部1cのねじ込
み構造で構成され、ヘッド本体部1bの内部にアクチュ
エータ収納部1dを組み込んでいる。ヘッド接続部1a
には流入口3が設けられ、その突き当たり部分にスプー
ル穴3aを形成し、弁軸7cの一端に形成したスプール
弁体7aを摺動自在に組み込んでいる。
【0058】ヘッド本体部1bの内部に収納されたアク
チュエータ収納部1bにはアクチュエータ8が組み込ま
れており、この実施形態にあっては、アクチュエータ8
としてダイヤフラムピストンの代わりに、弁軸7cにア
クチュエータピストン7dを形成し、シリンダ9に摺動
自在に組み込んでいる。シリンダ9はアクチュエータピ
ストン7dによって下部のシリンダ室9cと上部のシリ
ンダ室9dに仕切られている。アクチュエータ8は複数
のパイロット弁12により作動される。パイロット弁1
2は、パイロット弁体12aをパイロット弁室12bに
組み込んでおり、パイロット弁室12bには上部よりパ
イロット流入路15が連通し、またシリンダ室9cに対
しパイロット供給路16を連通している。
【0059】更にパイロット弁体12aの下部からは一
体に弁軸13が延在され、この弁軸13の収納における
ヘッド放水部1cの内側にパイロット排出路18を開口
している。弁軸13の先端はスペーサ11に固定され、
スペーサ11の下側に形状記憶合金10を組み込み、ス
ペーサ11の上側に復旧スプリング14を組み込んでい
る。
【0060】このスプール弁体7a、アクチュエータ
8、形状記憶合金10、復旧スプリング14及びパイロ
ット弁12を含む構造によって、この実施形態における
第1感熱作動部6が構成されている。図6は図5のヘッ
ド本体部1bのB−B断面である。この断面から明らか
なように、ヘッド本体1bの内部にはアクチュエータ収
納部1dが組み込まれており、アクチュエータ収納部1
dには2箇所に分けて連通穴20が形成されている。ま
たアクチュエータ収納部1dの中心部分にはシリンダ9
が形成され、中央をスプール弁体7a及びアクチュエー
タピストン7dを備えた弁軸7cが貫通している。
【0061】シリンダ9のシリンダ室に対しては、形状
記憶合金の数だけ設けたパイロット弁室12bよりパイ
ロット供給路16が連通し、内1つのパイロット弁室1
2bからは上部に向けてパイロット流入路15が形成さ
れている。再び図5を参照するに、シリンダ9のアクチ
ュエータピストンの上側となるシリンダ室9dに対して
は大気連通路17が開口している。
【0062】ヘッド放水部1cに対しては第2感熱作動
部22が設けられる。この実施形態の第2感熱作動部2
2にあっては、図1の可溶合金30の代わりにグラスバ
ルブ36を使用している。グラスバルブ36は、弁軸7
cの下端とヘッド放水部1cの下部開口部に装着したデ
フレクタ37の中央の支持部材38にねじ込み固定した
支持部材39との間に配置され、弁軸7cの先端のスプ
ール弁体7aをスプール穴3aに位置する閉鎖位置に保
持している。このグラスバルブ36によるスプール弁体
7aの位置は、支持部材39に対する支持部材38のね
じ込み調整で若干の位置調整ができる。グラスバルブ3
6は周知のように、カプセル状のガラス容器の中にアル
コール系の溶液を封入しており、熱気流を受けたときに
溶液が膨脹してガラスカプセルを破壊する構造であり、
所定の作動温度、即ち本発明のスプリンクラーヘッド1
における規定の放水開始温度T2を設定している。この
グラスバルブ36で決まる放水開始温度T2に対し、第
1感熱作動部6に設けている形状記憶合金10の記憶回
復温度T1は低めの温度に設定されている。
【0063】更に図5の実施形態にあっては、ヘッド放
水部1cの周囲に形状記憶合金10を複数配置すると同
時に、各形状記憶合金10ごとにスペーサ11、復旧ス
プリング14、パイロット弁12を設けている。このよ
うにスプリンクラーヘッド1の周囲の複数箇所に形状記
憶合金10、復旧スプリング14及びバイロット弁12
を設けたことで、火災による熱気流の方向にかかわら
ず、最も熱気流を受け易い位置の形状記憶合金10が最
初に作動してパイロット弁12によるシリンダ室9cか
らのパイロット圧の排出を行い、次に熱気流による温度
がグラスバルブ36で決まる放水開始温度T2に達する
と、グラスバルブ36の破壊によりスプール弁体7aの
閉鎖保持が解除されて消火用水の放水が行われる。
【0064】これに対し放水開始後で火災が鎮火したと
きの温度低下による放水停止は、スプリンクラーヘッド
1の周囲の複数箇所に設けている形状記憶合金10の全
てが記憶回復温度T1以下となって、復旧スプリング1
4により図示の初期形状に変形したときのパイロット弁
12の復旧で初めてアクチュエータ8のシリンダ室9c
に対するパイロット圧の供給が有効となり、このときア
クチュエータピストン7dの押し上げでスプール弁体7
aがスプール穴3aに戻って流路を閉鎖して放水を停止
するようになる。
【0065】図7は本発明による自動開閉型のスプリン
クラーヘッドの第3実施形態であり、軸方向の中心線の
右側に低温時の放水停止状態の断面を、左側に火災によ
る熱気流を受けて放水動作を行った状態の断面を示して
いる。図7の第3実施形態にあっても、スプリンクラー
ヘッド1はヘッド接続部1a、ヘッド本体部1b及びヘ
ッド放水部1cを軸方向にねじ込み固定した分割構造を
もっている。ヘッド接続部1aには流入口3が設けら
れ、流入口3の奥にストレーナ21が組み込まれ、続い
てスプール弁体7aを収納するスプール穴3aを形成し
ている。
【0066】スプール弁体7aは第1弁機構41を構成
しており、弁軸7cの先端を下部に装着した第2感熱作
動部22で閉鎖状態に保持しているだけである。この第
1弁機構41の周囲には第2弁機構42が設けられる。
第2弁機構42は、ヘッド接続部1aとヘッド本体部1
bの仕切壁50で区切られたシリンダ43の中に、バル
ブピストン44を上部にスプリング45を介して摺動自
在に組み込んでいる。
【0067】バルブピストン44は、流入口3に続くス
プール穴3aを囲んで形成された円筒状のガイド部51
に小径部44aの内周穴を摺動自在に組み込み、円筒部
44bを介して軸方向に段下げした大径部44cをシリ
ンダ43に摺動自在に組み込んでおり、更に大径部44
cの端面にバルブシール46を装着し、ヘッド本体部1
bの仕切壁50の端面に対する押圧で開閉動作を行うよ
うにしている。
【0068】図8は図7のC−C断面であり、ヘッド本
体部1bの仕切壁50に2箇所に分けて連通穴20を形
成しており、その中央部にはスプール弁体7aを備えた
弁軸7cが貫通しており、また周壁の部分にはパイロッ
ト弁12に対するパイロット流入路15が形成されてい
る。再び図7を参照するに、バルブピストン44のスプ
リング45が組み込まれたシリンダ室に対しては、流入
口3よりパイロット流入路48が開口されている。また
ヘッド本体部1bにはパイロット弁12が設けられてお
り、パイロット弁12のパイロット弁室12bに第2弁
機構42のシリンダ室からパイロット流入路15を連通
している。更にパイロット弁体12aの反対側はパイロ
ット排出路18によりヘッド放水部1cの内側に開口し
ている。
【0069】パイロット弁12の弁軸12cは下方に取
り出されており、弁軸12cの先端に円筒状のスペーサ
11を固着し、スペーサ11の下部とヘッド放水部1c
の端部外周に延在した鍔部1eとの間に形状記憶合金4
0を装着している。この実施形態において形状記憶合金
40は、中央部で円弧状に屈曲したバネ板形状のものを
使用しており、火災による熱気流を受けて記憶回復温度
を超えると、左半断面のように円弧部分が伸展した形状
を記憶している。
【0070】このような第2弁機構42、形状記憶合金
40、復旧スプリング14及びパイロット弁12によっ
て、この実施形態における第1感熱作動部6が構成され
ている。尚、第2弁機構42は、パイロット圧の導入排
出で作動するアクチュエータの機能も有する。またヘッ
ド放水部1c側に設けられた第2感熱作動部22は、図
1の第1実施形態と同じ可溶合金30を用いたものを使
用している。更に可溶合金30で決まる第2感熱作動部
22による放水開始温度T2に対し、第1感熱作動部6
に設けている形状記憶合金40の記憶回復温度T1は低
めに設定されている。
【0071】次に図7の第3実施形態の動作を説明す
る。低温となる定常監視状態にあっては、図7の右半断
面のように、形状記憶合金40は復旧スプリング14の
押圧力を受けて中央を円弧状に屈曲した板バネ形状とな
る初期形状を保持しており、このときパイロット弁12
はパイロット弁体12aによってパイロット排出路18
との連通を閉鎖している。
【0072】このため、第2弁機構42のシリンダ室に
対してはパイロット流入路48より加圧消火用水の圧力
が加わり、スプリング46の力と合わせてバルブピスト
ン44を押し下げ、大径部44cの端面に装着している
バルブシール46をヘッド本体部1bの仕切壁50に押
圧して弁閉鎖状態としている。このような低温の定常監
視状態で火災による熱気流を受けて形状記憶合金40が
所定の記憶回復温度T1に加熱されると、形状記憶合金
40が軸方向に伸展し、スペーサ11を介して復旧スプ
リング14に抗して弁軸12cによりパイロット弁体1
2aを押し上げ、パイロット流入路15をパイロット排
出路18に開放し、第2弁機構42のシリンダ室に加わ
っている圧力を排出する。このためバルブピストン44
は、スプリング45のみにより閉鎖状態に押圧支持され
ている。
【0073】続いて熱気流による温度が上昇して放水開
始温度T2に到達すると、第2感熱作動部22に設けて
いる可溶合金30が溶け、左半断面の下側のように支持
プレート25より下側に位置する部材が分離して脱落す
る。これによって弁軸7cを介した第1弁機構41にお
けるスプール弁体7aの閉鎖状態での保持が解除され、
スプール弁体7aは流入口3からの消火用水の圧力を受
けて下降し、スプール収納部47に収納される。
【0074】このため、流入口3及びスプール穴3aを
通って加圧消火用水がバルブピストン44の内側に流れ
込み、スプリング45に抗してバルブピストン44を左
半断面のように上方に押し上げ、バルブシール46によ
る第2弁機構42の閉鎖状態が解除されて開放する。流
入した消火用水は仕切壁50の周辺部に破線のように開
口した連通穴20を通って下部の放水口5から放出さ
れ、第2感熱作動部22の感熱作動で下側に落ちている
デフレクタ23に当たって周囲に散水される。
【0075】スプリンクラーヘッド1からの消火用水の
散水で火災が鎮火し、熱気流がなくなって温度が低下す
ると、所定の記憶回復温度T1より低くなったときに形
状記憶合金40の復元力F1が復旧スプリング14の復
元力F2を下回り、復旧スプリング14に押されて形状
記憶合金40は左半断面の初期形状に変形され、パイロ
ット弁12のパイロット弁体12aがパイロット排出路
18に対する連通を遮断する。
【0076】このため、バルブピストン44のシリンダ
室に対しパイロット流入路48より加圧消火用水の圧力
が導入され、バルブピストン44が右半断面のように下
降してバルブシール46を仕切壁50に当接し、貫通穴
20に至る流入路を閉鎖し、放水が自動的に停止され
る。また放水停止後に再度火災となって熱気流により形
状記憶合金40の記憶回復温度T1以上になると、その
復元力によってパイロット弁12のパイロット弁体12
aが作動してパイロット排出路18に対する連通状態と
なり、第2弁機構42のスプリング45を組み込んだシ
リンダ室に加わる圧力が排出されることで、バルブピス
トン44の内側に加わっている消火用水の圧力でバルブ
ピストン44は左半断面のように上昇し、バルブシール
46を仕切壁50の端面から離して再び流路を開放して
再放水させる。もちろん、再放水により形状記憶合金4
0が記憶回復温度T1以下に下がれば、再び放水停止を
自動的に行うようになる。
【0077】尚、本発明は上記の実施形態に限定され
ず、第1感熱作動部を感熱作動するための復元力を発生
する形状記憶合金の記憶回復温度T1を、第2感熱作動
部で放水開始を行わせる可溶合金やグラスバルブ等によ
る放水開始温度T2より低めに設定する構造であれば、
適宜の構造をとることができ、実施形態による限定は受
けない。
【0078】また形状記憶合金10と復旧スプリング1
4は、必ずしも互いに押し合う配置でなくとも良く、形
状記憶合金10が記憶回復温度T1より低い場合に、初
期状態に戻すように復旧スプリング14が作用する対向
した配置であれば良い。
【0079】
【発明の効果】以上説明してきたように本発明によれ
ば、火災による熱気流を受けると、まず低めに設定して
いる形状記憶合金の記憶回復温度に達したときの復元力
によって第1感熱作動部を作動して弁機構を放水可能状
態とし、この状態で更に熱気流による温度が上昇して規
定の放水開始温度に達すると、可溶合金やグラスバルブ
等を使用した第2感熱作動部が熱分解して、第1感熱作
動部によって既に放水可能状態となっている弁機構の保
持を解除して放水を開始でき、この結果、形状記憶合金
の記憶回復温度に幅があっても、放水開始温度を可溶合
金やグラスバルブ等により規定温度に正確に設定して放
水開始温度を保証し、形状記憶合金を用いた自動開閉型
のスプリンクラーヘッドの信頼性を確保して、同時に量
産を可能とする。
【0080】また形状記憶合金を用いた第1感熱作動部
と可溶合金やグラスバルブを用いた第2感熱作動部の両
方が働いて初めて放水が開始される構造としているた
め、監視時にスプリンクラーヘッドに例えば物をぶつけ
て破損したような場合にも、同時に両方が破損により作
動することはほとんどないことから、破損による放水を
確実に防止できる。
【0081】また放水により火災が鎮火して温度が下が
ると、形状記憶合金の復元力が低下して、復旧スプリン
グによって初期形状に変形され、これによって第1感熱
作動部の弁機構が閉鎖状態となって自動的に放水を停止
し、火災消火後の水損を最小限に抑えることができる。
また放水を停止するための温度は可溶合金やグラスバル
ブで決まる放水開始温度に対し十分に低めに設定した形
状記憶合金の記憶回復温度であり、このように放水停止
のための温度が十分に低くできることで、消火後の再発
火の可能性を大幅に低減できる。
【0082】もちろん、消火後の再発火による熱気流を
受けると所定の記憶回復温度で再度第1感熱作動部の弁
機構が作動して再放水でき、万が一最初の消火が不十分
であったような場合にも、再放水で確実に消火できる。
更に形状記憶合金は、その材質的な特徴として耐腐食性
が高く、長期間に亘る設置監視にあっても、確実に火災
による熱気流を受けたときに動作して高い信頼性が保証
できる。更にまた、放水の停止と開始について火災感知
器などによる火災検出信号に全く頼る必要がないため、
火災感知器の誤作動による放水の問題がなく、固定式消
火設備に設置した際の信頼性を保証できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態を監視状態と放水状態の
各々につき半断面で示した断面図
【図2】図1のA−A断面図
【図3】図1の形状記憶合金の温度に対する弾性係数を
実測した特性図
【図4】本発明の第1実施形態の動作を説明する説明図
【図5】本発明の第2実施形態を監視状態と放水状態の
各々につき半断面で示した断面図
【図6】図4のB−B断面図
【図7】本発明の第3実施形態を監視状態と放水状態の
各々につき半断面で示した断面図
【図8】図7のC−C断面図
【図9】従来のスプリンクラーヘッドの断面図
【図10】形状記憶金属の温度に対する弾性係数の特性
【符号の説明】
1:スプリンクラーヘッド 3b,3c:内部流路 6:第1感熱作動部 7a:スプール弁体 7b:ピストン部 7c:弁軸 8:アクチュエータ 8a:ダイヤフラム 9a,9b:ダイヤフラム室 10:形状記憶合金 12:パイロット弁 12a:パイロット弁体 12b:パイロット弁室 12c:弁軸 14:復旧スプリング(復旧付勢部材) 15:パイロット流入路 16:パイロット供給路 18:パイロット排出路 22:第2感熱作動部 30:可溶合金 36:グラスバルブ 40:形状記憶合金 41:第1弁機構 42:第2弁機構 43:シリンダ室 44:バルブピストン 46:バルブシール 47:スプール受け穴 48:パイロット流入路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−123419(JP,A) 特開 昭57−206456(JP,A) 特開 昭57−157363(JP,A) 特表 平7−506027(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A62C 37/11

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】加圧消火用水が充填された消火配管に接続
    され、火災時に加圧供給された消火用水を放水する閉鎖
    型スプリンクラーヘッドに於いて、 形状記憶合金と復旧付勢部材を対向させて配置し、所定
    の記憶回復温度より低い温度の時は前記復旧付勢部材に
    より前記形状記憶合金を初期形状に変形させて弁機構を
    放水停止位置に保持し、前記記憶回復温度に達した時は
    前記形状記憶合金の記憶形状への復元力で前記弁機構を
    放水位置へ作動可能な状態とする第1感熱作動部と、 前記記憶回復温度より高い所定の放水開始温度を設定
    し、該放水開始温度より低い温度の時は、前記第1感熱
    作動部の作動状態に関わらず前記弁機構を閉鎖状態に保
    持し、前記放水開始温度に達した時は、熱により分解し
    て前記弁機構の閉鎖保持を解除して消火用水を放水させ
    る第2感熱作動部と、を備えたことを特徴とするスプリ
    ンクラーヘッド。
  2. 【請求項2】請求項1記載のスプリンクラーヘッドに於
    いて、前記第1感熱作動部は、前記第2感熱作動部の作
    動による放水中に、前記記憶回復温度より低い温度に低
    下した時は、前記復旧付勢部材により形状記憶合金を初
    期形状に変形させることにより前記弁機構を閉鎖状態に
    作動して放水を停止させることを特徴とするスプリンク
    ラーヘッド。
  3. 【請求項3】請求項2記載のスプリンクラーヘッドに於
    いて、前記第1感熱作動部は、前記復旧付勢部材により
    前記形状記憶合金を初期形状に変形させて放水を停止さ
    せた後に、前記記憶回復温度に達した時は前記形状記憶
    合金の記憶形状への復元力で前記弁機構を放水位置へ作
    動して再放水させることを特徴とするスプリンクラーヘ
    ッド。
  4. 【請求項4】請求項1乃至3のいずれかに記載のスプリ
    ンクラーヘッドに於いて、 前記第1感熱作動部は、前記形状記憶合金を前記第2感
    熱作動部の周囲に複数配置し、複数の形状記憶合金の少
    くとも1つが前記記憶回復温度への到達で作動した時の
    復元力で前記弁機構を放水位置へ作動可能な状態とし、
    放水中に複数の形状記憶合金の全てが初期形状に復旧し
    た時に前記弁機構を閉鎖状態に作動して放水を停止させ
    ることを特徴とするスプリンクラーヘッド。
  5. 【請求項5】請求項4記載のスプリンクラーヘッドに於
    いて、前記複数の形状記憶合金は、前記第2感熱作動部
    が作動した際に下方に露出する散水部よりも上方に配置
    することを特徴とするスプリンクラーヘッド。
  6. 【請求項6】請求項1乃至5のいずれかに記載のスプリ
    ンクラーヘッドに於いて、前記形状記憶合金は、前記初
    期形状として軸方向に縮んだコイルバネ形状を有し、前
    記記憶回復温度への到達で軸方向に伸展したコイルバネ
    形状に変形することを特徴とするスプリンクラーヘッ
    ド。
  7. 【請求項7】請求項1乃至5のいずれかに記載のスプリ
    ンクラーヘッドに於いて、前記形状記憶合金は、前記初
    期形状として中央を円弧状に屈曲した板バネ形状を有
    し、前記記憶回復温度への到達で軸方向に伸展した板バ
    ネ形状に変形することを特徴とするスプリンクラーヘッ
    ド。
  8. 【請求項8】請求項1記載のスプリンクラーヘッドに於
    いて、前記第1感熱作動部の弁機構は、 流入口から放水口に至る流路の途中に開閉自在に配置さ
    れた主弁と、 パイロット圧の供給で前記主弁を閉鎖位置に作動し、パ
    イロット圧の排出で前記主弁を開放位置に作動して放水
    させるアクチュエータと、 前記形状記憶合金の初期形状による弁位置でパイロット
    圧を前記アクチュエータに供給して前記主弁を閉鎖状態
    とし、前記形状記憶合金の記憶形状への変形による弁位
    置でパイロット圧を前記アクチュエータから排出させて
    前記主弁を開放状態として放水させるパイロット弁と、
    を備えたことを特徴とするスプリンクラーヘッド。
  9. 【請求項9】請求項8記載のスプリンクラーヘッドに於
    いて、前記アクチュエータは、通常時、前記第2感熱作
    動部により閉鎖位置に保持される軸部材を一体に備えた
    ダイヤフラムピストン又はピストンをパイロット圧の導
    入と排出により摺動自在に備えたことを特徴とするスプ
    リンクラーヘッド。
  10. 【請求項10】請求項1記載のスプリンクラーヘッドに
    於いて、前記第1感熱作動部の弁機構は、 流入口から放水口に至る流路の途中に開閉自在に配置さ
    れ、前記第2感熱作動部により閉鎖位置に保持され、前
    記放水開始温度に達した時の保持解除により開放位置に
    作動して放水させる第1弁部材と、 前記第1弁部材の二次側の流路に配置されて該流路を開
    閉自在な第2弁部材と、 流入口側からのパイロット圧の導入で前記第2弁部材を
    閉鎖位置に作動し、パイロット圧の排出で前記第2弁部
    材を開放位置に作動して放水させるアクチュエータと、 前記形状記憶合金の初期形状による弁位置で前記アクチ
    ュエータにパイロット圧を導入して前記第2弁部材を閉
    鎖位置とし、前記形状記憶合金の記憶形状への変形によ
    る弁位置でパイロット圧を排出して前記第2弁部材を開
    放位置に移動させて放水させ、更に、前記第1弁部材が
    開放位置に作動した後に前記形状記憶合金が初期形状に
    復旧した際のパイロット圧の再導入で前記第2弁部材を
    閉鎖位置に作動させて放水を停止させるパイロット弁
    と、備えたことを特徴とするスプリンクラーヘッド。
  11. 【請求項11】請求項1記載のスプリンクラーヘッドに
    於いて、前記第2感熱作動部は、前記放水開始温度に到
    達した時の熱で分解して離脱させる可溶合金又はグラス
    バルブを備えたことを特徴とする閉鎖型スプリンクラー
    ヘッド。
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