JP3490844B2 - 仮撚機の冷却装置 - Google Patents
仮撚機の冷却装置Info
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Description
撚加工機等の仮撚機の冷却装置に関するものである。 【0002】 【従来の技術】一般に、仮撚加工機は、原糸パッケージ
から引き出された糸条に撚を付与する仮撚装置と、この
仮撚装置の上流側に設置され、仮撚装置によって付与さ
れ糸条に沿って遡及する撚による内部応力を緩和もしく
は除去する加熱装置と、この撚掛け状態を撚セットする
ために撚セットされた糸条を強制的に冷却する冷却装置
と、撚セットされた嵩高糸を巻き取る巻取装置とにより
構成されている。 【0003】また、延伸仮撚加工機は、上記の加熱装置
と仮撚装置による撚固定と同時にまたはそれに先立って
糸条を所定の倍率に延伸するための延伸装置を具備した
構成になっている。 【0004】上述の仮撚加工機等においては生産性向上
のためにある安定生産条件での仮撚加工速度より高速度
の状態で糸条の加工を行なうと、加撚域において張力と
撚レベル等のバランスが崩れて走行糸条に、いわゆるサ
ージング現象と呼ばれる糸揺れ現象が発生して糸切れ、
毛羽、撚り斑等を生じる。 【0005】このサージング現象を押さえる方法として
加撚域における張力を高くする方法があるが、張力を高
くすると毛羽が増加したり、嵩高糸の残留伸度が少なく
なって後工程での外乱に対する許容度が低下して結果的
に糸質とその収率を悪化させるという問題がある。 【0006】また、高速度の状態で糸条の加工を行なう
と従来の長さの冷却装置では、冷却時間が短くなって良
好な捲縮を得る温度まで糸条を冷却することができない
ため長尺の冷却装置を使用しなければならず、仮撚機全
体が大きくなって作業性、メンテナンス性が悪くなると
共に、冷却装置における糸条の接触抵抗、撚りの伝播抵
抗が大きくなって嵩高糸の捲縮と残留伸度が低下すると
いう問題がある。 【0007】上記のような問題点を解決するため、例え
ば特開昭58−191230号公報に記載されているよ
うな糸条案内部材の案内溝の底部より流体を流出させて
糸条を冷却する構成のもの、特開平8−35136号公
報に記載されているような分割された冷却装置の中間部
に糸支持部材が設けられていると共に、冷却装置の糸接
触面に穿設された孔から冷却用冷媒の吹出しまたは吸込
みを行なう部材が設けられた構成のもの、あるいは特開
平5−331727号公報に記載されているような糸道
を挟んで小間隙を形成して対設された2枚の溝壁部と、
該2枚の溝壁部の底部に糸条の走行方向に沿って所定の
間隔をあけて配設された複数の糸ガイドと、前記2枚の
溝壁部の反糸ガイド側先端を連結して前記溝壁部と糸ガ
イトを囲むパイプ室を形成する外壁部とにより冷却プレ
ートを形成し、前記パイプ室に吸引手段が連結された構
成のもの等が提案されている。 【0008】 【発明が解決しようとする課題】上述の第1の冷却装置
では糸条案内部材の案内溝の底部より流体を噴出させて
糸条を冷却するようになっているため、糸条の熱と糸条
に付与された油剤が温調された室内に放出されて作業環
境や温調効率が悪くなるという問題点を有している。 【0009】また、第2の冷却装置では冷却装置の中間
部に糸押えが設けられていると共に、冷却装置の糸接触
面に穿設された孔から冷却用冷媒の吹出しまたは吸込み
を行なうようになっているため糸条のサージング現象を
軽減させることができるが、冷却用エアーを糸条に直接
作用させずに糸条の熱を接触用板材に伝達してこの接触
用板材を冷却用エアーによって冷却する間接冷却である
ため、接触用板材を例えば延伸処理された後の糸太さが
75デニールの場合は少なくとも1.2m以上にしなけ
れば高速化に対処することができないという問題があ
り、接触用板材を短くするためにはアルコール、エーテ
ル、水の冷却液供給手段を設置しなければならないとい
う問題点を有している。 【0010】さらに、第3の冷却装置では、糸条が2枚
の溝壁部の底部に配設された複数の糸ガイドに接触して
走行し、該糸ガイドと底部とを囲むパイプ室に連結され
た吸引手段によって作用する吸引流で糸条が冷却される
ようになっているため、糸条に付与された油剤の余剰分
あるいはスカム等が溝壁部の底部または糸ガイド部に付
着する量を減少させることはできるが、これ等の付着を
完全に防止することができず、溝壁部の底部および糸ガ
イド部の清掃作業が非常に困難であると共に、糸切れし
た糸端部の絡み付きや掃除時に糸ガイドを破損するとい
う問題点を有している。 【0011】本発明は構成がコンパクトで、サージング
現象が生じず、清掃作業を容易に行なうことができ、し
かも所定の冷却機能を有する仮撚機の冷却装置を提供す
ることを課題とするものである。 【0012】 【課題を解決するための手段】上述の課題を解決するた
めに本発明の仮撚機の冷却装置は請求項1のように冷却
装置を、糸条が接触する底部を持たない一対の糸条接触
壁体によって構成し、前記一対の糸条接触壁体を、走行
糸条が一方の糸条接触壁体面に接触するか各糸条接触壁
体面に交互に接触するように所定の間隔をもって設置せ
しめると共に、前記糸条接触壁体には、糸条接触壁体間
に糸条に対して糸条の走行方向と交差する方向に直接吸
引流を作用させて糸条を冷却する吸引手段を装着し、糸
条が前記一対の糸条接触壁体間を吸引力の作用により、
走行方向と交差する方向に弓状になって走行するように
してある。 【0013】 【0014】 【発明の実施の態様】図1は本発明の冷却装置を有する
仮撚機の構成の1実施例を示す概略図、図2は図1にお
けるI−I矢視図であって、仮撚機は作業通路を挟んで
片側の外側に供給糸条パッケージ70を載置するクリー
ルスタンド2が設置され、このクリールスタンド2の内
側に第1糸送り装置3と第1加熱装置4と冷却装置5と
仮撚装置6と第2糸送り装置7とがこの順序で上方から
下方に向って機枠1に装着されていると共に、作業通路
の反対側には巻取装置11が設置され、作業通路の作業
台12の下方には第2加熱装置8と第3糸送り装置9と
油剤付与装置10が設置された構成になっており、これ
等の装置が機台長手方向に12錘分を1スパンとして複
数スパン分設置されている。 【0015】この冷却装置5の詳細は図3、図4、図5
に示されるように吸引手段13のダクト14に2糸条分
を一対とした冷却部15が12糸条分装着されており、
該ダクト14が複数本(例えば2〜10本)連結され、
その端部にインバータによって駆動用電動機の回転数が
制御される排気用フアン(図示せず)が連結されてい
る。 【0016】上述の冷却部15はダクト14に穿設され
た細幅縦長溝14a、14bの内側に位置するようにね
じ17によって取付けられた固定壁部材16と、この固
定壁部材16の両側に位置するようその下部がダクト1
4に取付けられたブラケット20、21に、上部がダク
ト14の上部に設置された排煙部材22に夫々ピン体2
3、24によって回動自在に取付けられた可動壁部材1
8、19とにより構成されている。 【0017】上述の可動壁部材18、19の上部はダク
ト14にブラケットを設けて回転自在に取付けた構成に
することもできる。 【0018】上述のダクト14は各ダクト毎の細幅縦長
溝14a、14bにおける吸引流体の速度が略一定にな
るように排気用フアンから遠ざかるに従って断面積が小
さくなるように形成したり溝幅を広くするのが好まし
く、各スパン毎に流量調節用オリフィスを設置するのが
より好ましい。 【0019】また、固定壁部材16は両側に冷却用の糸
条接触壁体16a、16bを有し、この糸条接触壁体1
6a、16bの間隔寸法が上部に対して下部の方が広く
なった末広がり状になっているが、この糸条接触壁体1
6a、16bは上部と下部の間隔寸法が同一の構成にす
ることもできる。 【0020】 上述の固定壁部材16の糸条接触壁体1
6a、16bと可動壁部材18、19の糸条接触壁体1
8a、19aは糸条走行方向に所定の間隔をもって凹凸
状に形成され、糸条接触壁体16a側においては固定壁
部材16の凹部16a1に可動壁部材18の凸部18a2
が、可動壁部材18の凹部18a1に固定壁部材16の
凸部16a2が位置するようになっており、糸条は固定
壁部材16と可動壁部材18の凸部16a2、18a2の
上面に交互に接触して走行するか前記両者の接線上を走
行するようになっている。もう一方の糸条接触壁体16
bと可動壁部材19の糸条接触壁体19aの関係も糸条
接触壁体16aと可動壁部材18の糸条接触壁体18a
と同じようになっている。なお、糸条接触壁体16a、
18a間、及び糸条接触壁体16b、19a間のダクト
14側には糸条の接触する底部なるものは設けられてい
ない。 【0021】上述の固定壁部材16と可動壁部材18、
19との関係を、糸条が停止している時は糸条が糸条接
触壁体16a、18a、19aには接触しない間隙で、
糸条の走行時には微小の弦振動の時には通過でき、大き
い弦振動の時は横揺れの弦振動が発生しないよう間隙に
すると、テール結び部の通過性を良くすることもでき
る。 【0022】この糸条が接触する凸部の糸条走行方向に
おける長さ寸法(L)は糸条の空中走行長さが50mm以
下、好ましくは10mm〜30mmに、糸条の接触壁体に対
する接触長さを接触壁体全長の約50%に、糸条走行方
向と直交する幅寸法(W)は10mm〜50mmに、凸部同
士の間隙寸法(δ)は糸条太さの2〜10倍に設定する
のが好ましい。 【0023】上述の固定壁部材16の糸条接触壁体16
aと糸条接触壁体16bは二つの固定壁部材によって形
成することもできる。 【0024】上述の各糸条接触壁体はステンレス鋼を窒
化加工して鏡面バフ仕上げするか、硬質クロームメッキ
もしくはフレームプレーティング等ピッカース硬度70
0以上で糸条との熱伝達のよい表面処理をする。 【0025】上述の可動壁部材18、19は厚さ寸法が
0.1mm〜0.5mm程度の板状ばね25、26の押圧力
によって常時固定壁部材16に対向するようにし、可動
壁部材18、19の少なくとも1箇所好ましくは上下2
箇所に螺着された間隙調節部材27によって凸部同士が
所定の間隙寸法(δ)なるように調節するようになって
いる。 【0026】上述の板ばね25、26は一端を可動壁部
材18、19に一体的に取付け、他端を弾性力によって
ダクト14に当接させるようにするか、板ばね25、2
6の他端部をゴム磁石28によってダクト14に吸着さ
せるようにして隙間を極力小さくする。 【0027】この間隙調節部材27は可動壁部材18、
19に形成された雌ねじにねじ体29を螺着してナット
30で固定するもの、あるいは固定壁部材16か可動壁
部材18、19の一方に取付けるピン等を使用する。 【0028】また、可動壁部材18、19は開口させる
とダクト14に取付けられた引掛け部材31によってダ
クト14の壁部に固定されるようになっている。 【0029】上述の固定壁部材16のダクト14の細幅
縦長溝14a、14bに隣接した壁面には放熱用のフイ
ン32、33が形成されている。このフイン32、33
は固定壁部材16と同一材質の板材を固定壁部材16に
溶着するか、同一材質または熱伝導率の良いアルミニウ
ム合金、銅合金等によってフイン部材を成形し、ねじま
たはリベットもしくは銀ロウ付等によって固定壁部材1
6に取付ける。 【0030】上述のフイン32、33は可動壁部材1
8、19、あるいは固定壁部材16と可動壁部材18、
19の両方に取付けることもできる。 【0031】このフイン32,33は放熱の役割を果た
すと共に、大きな糸屑等がダクト14内に入るのを防止
する役割を果たすようになっている。 【0032】上述の排煙部材22は糸条走行側に略矩形
状の開口部34aを有する箱体34と、この箱体34内
の糸条走行隣接位置に取付けられた仕切り板35と、こ
の箱体34とダクト14の間に移動自在に取付けられた
吸引量調節用板材36とにより構成されている。 【0033】この箱体34の開口部34aを形成する上
壁部と下壁部には糸条の糸掛け操作と糸条の走行ができ
るように平面的に見て細幅縦長溝34b、34cが穿設
され、箱体34のダクト14と対向する下壁部にはダク
ト14の上壁部に穿設された孔14dと連通するように
同一寸法の孔34dが穿設されており、下壁部の細幅縦
長溝34b、34cには糸道規制用のガイド37、38
が図6に示されるような状態で取付けられている。 【0034】また、仕切り板35には糸条の走行する方
向に細幅縦長溝35a、35bが穿設されている。 【0035】上述の吸引量調節用板材36にも箱体34
の孔34dと同一寸法の孔34aが穿設されており、こ
の吸引量調節用板材36を走行糸条に対して近接離反す
る方向に移動させることによって孔36aの開口量を調
節する。 【0036】上述の仕切り板35の細幅縦長溝35a、
35bとダクト14の内部とは孔14d、36d、34
dによって連通され、箱体34の開口部34aにおける
糸条走行部に吸引力が作用する。 【0037】上述の排煙部材22を形成する箱体34の
開口部34aに吸引力が作用すると、第1加熱装置4に
よって熱処理された糸条の油剤の油煙成分等が冷却装置
に入る前に吸引除去される。 【0038】上述の冷却装置5においては排煙部材22
のガイド37、38と仮撚装置6の入り口側に設けられ
ているガイド6aとを結ぶ略直線上を走行し、吸引手段
13が作動して固定壁部材16と可動壁部材18、19
との間隙部に吸引力が作用すると、糸条接触壁体16
a、18a、19a上を吸引力とバランスしながら糸条
の走行方向と直行する方向に微小移動しながら弓状にな
って走行する。 【0039】この糸条の微小移動と吸引流体によって糸
条接触壁体面に付着した粘着性の小さい油剤等の堆積物
が清掃される。 【0040】上述の冷却装置5は図7、図8に示される
ように垂直方向において糸条接触面が湾曲した形状にす
ることができ、ピン体41、42によってダクト14に
回動自在に取付けられた可動壁部材39、40は少なく
とも1個のコイルスプリング43、44の押圧力によっ
て常時固定壁部材38と対向され、ピン45、46によ
って所定の間隙を有するようになっていると共に、可動
壁部材39、40に軟質の合成ゴム、合成樹脂によって
形成されたシール部材47、48が取付けられており、
ダクト14と可動壁部材39、40との間隙部から流体
が流入するのを防止するようになっている。 【0041】この可動壁部材39、40の糸条接触壁体
は糸条が全長にわたって接触するように平坦な面にする
のが好ましい。 【0042】また、可動壁部材39、40には放熱用の
フイン49、50が取付けられている。 【0043】 【実施例1】上述の延伸仮撚加工機を使用して下記加工
条件で延伸仮撚加工を行なった。 【0044】 加工条件 原糸の種類 :ポリエステルフイラメント (POY 140デニール−36フイラメント) 第1加熱装置:加熱有効長(0.78m)、出口糸温度(215°度) 仮撚装置 :外接型3軸仮撚装置 (上下セラミック各1枚とゴムディスク7枚の組合わせ) 加撚解撚張力比(T1/T2=約1.2) 冷却装置の冷却部上にて約3300ターン/mの撚りを入れる 。 冷却装置 :冷却有効長(0.6m) 糸条走行部での平均吸引速度(約5m/秒) 加工速度 :800m/分 〜 1400m/分 延伸倍率 :解撚張力の変動が発生したり、冷却装置あるいは第1加熱装置 内の糸道でサージングが発生したりする限界値に経験的な余裕 値を加えた値(図10における実線で示す。) 上述の条件で延伸仮撚加工された嵩高糸を糸の物性値で
ある強度(CN/d)、伸度(%)、捲縮率(CR%)
として表示すると図11、図12、図13における実線
で示すような値であった。 【0045】上述の冷却装置における糸条走行部での平
均吸引速度を2m/秒にした場合には、図13において
破線で示すように捲縮率(CR%)が低下しており、吸
引流速度が速くなると糸冷却効果が増加して捲縮率(C
R%)が良くなることがわかる。 【0046】また、吸引速度を上げても図13より演繹
されるように捲縮率(CR%)はある値近傍で飽和し、
この値以上に無闇に吸引速度を上げてもフアン駆動用動
力としてのエネルギーをロスするため、糸条太さ、加工
速度に応じて適切な吸引速度を設定するのが好ましい。 【0047】そのため、簡単にはフアンの駆動用電動機
をインバータによって一定条件に設定したり、代表錘に
吸引速度もしくは静圧測定器を設け、設定吸引速度にな
るように測定値と設定値を比較器を介してフィードバッ
ク制御して吸引速度が一定になるようにすればより好ま
しい結果を得ることができる。 【0048】尚、吸引平均速度はピトー管により数箇所
測定してその値を平均したものである。 【0049】この吸引力の調節は吸引手段13の排気用
フアンの駆動用電動機をインバータによって回転制御す
ることによって行なう。 【0050】 【比較例1】図1の延伸仮撚加工機における冷却装置5
に代えて図9に示すようなジャケットに冷却水を循環さ
せる従来の冷却装置60[有効冷却長さ(L):1.0
8m、接糸部の曲率半径(R):10m]を設置し、実
施例1と同じ条件(但し、延伸倍率は図10の一点鎖線
で示す値)で延伸仮撚加工された嵩高糸を糸の物性値で
ある強度(CN/d)、伸度(%)、捲縮率(CR%)
として表示すると図11、図12、図13における一点
鎖線で示すような値であった。 【0051】上述の捲縮率(CR%)の測定は下記の順
序で行なったものである。 1.0.05CN/dの予備荷重を掛けた状態で10回
巻のかせを取りサンプルとする。 2.このサンプルを90°Cの沸騰水に20分間浸漬す
る。 3.その後室温で12時間放置する。 4.次いで20°Cの水中に0.04CN/dの加重を
掛けて沈める。 5.0.2CN/dの主荷重を水中で追加し、その2分
後にかせ長さ(L1)を測定する。 6.0.2CN/dの主荷重を水中で取り除いて0.0
4CN/dの荷重のみにし、その3分後にかせ長さ(L
2)を測定する。 7.下記式により捲縮率(CR%)を算出する。 【0052】 捲縮率(CR%)=(L1−L2)/L1×100 以上の結果から明らかなように、本発明の冷却装置の場
合には強度(図11)の点では若干従来の冷却装置より
小さい値になっているが、一般的に必要とされる4.6
CN/d以上の強度を有しており、伸度(図12)につ
いては従来の冷却装置よりも大きい値になっている。 【0053】また、捲縮率(図13)については従来の
冷却装置では加工速度が1200m/分になると、一般
的に必要とされる捲縮率40%を得ることができなくな
るが、本発明の冷却装置の場合は1400m/分でも4
2%の捲縮率を得ることができ、本発明の冷却装置の方
が優れていることがわかる。 【0054】さらに、延伸倍率(図10)については本
発明の冷却装置の方が延伸倍率を小さい値に設定するこ
とができ、工程張力を下げてもサージング現象を防止す
る効果を有していることを示しているということができ
る。 【0055】 【実施例2】上述の実施例1における糸条より太い糸条
について冷却装置での吸引速度と糸冷却能力の関係を確
認するため、実施例1と同じ延伸仮撚加工機を使用して
下記加工条件で延伸仮撚加工を行なった。 【0056】 加工条件 原糸の種類 :ポリエステルフイラメント (POY 270デニール−48フイラメント) 第1加熱装置:加熱有効長(0.78m)、出口糸温度(215°度) 仮撚装置 :外接型3軸仮撚装置 (上下セラミック各1枚とゴムディスク7枚の組合わせ) 加撚解撚張力比(T1/T2=約1.2) 冷却装置の冷却部上にて約2300ターン/mの撚りを入れる 。 冷却装置 :冷却有効長(0.6m) 糸条走行部での平均吸引速度(0m/秒、10m/秒、27m /秒) 加工速度 :800m/分 〜 1200m/分 延伸倍率 :解撚張力の変動が発生したり、冷却装置あるいは第1加熱装置 内の糸道でサージングが発生したりする限界値に経験的な余裕 値を加えた値(図14の下に示す。) 上述の条件で延伸仮撚加工された嵩高糸の吸引速度の違
いによる捲縮率(CR%)の状態を表示すると図14の
ような結果であった。 【0057】この図14から明らかなように40%以上
の捲縮率(CR%)を得るには加工速度が1100m/
分の場合には糸条走行部での吸引速度を27m/秒以上
にする必要があることがわかる。 【0058】また、糸条接触壁体に対する接触のみによ
る冷却装置の場合は、吸引速度が0m/秒であるため、
加工速度が800m/分でも32.5%の捲縮率しか得
られず、冷却有効長の長い冷却装置を使用しなければな
らないことがわかる。 【0059】 【発明の効果】本発明の仮撚機の冷却装置は請求項1の
ように冷却装置を、糸条が接触する底部を持たない一対
の糸条接触壁体によって構成し、前記一対の糸条接触壁
体を、走行糸条が一方の糸条接触壁体面に接触するか各
糸条接触壁体面に交互に接触するように所定の間隔をも
って設置せしめると共に、前記糸条接触壁体には、糸条
接触壁体間に糸条に対して糸条の走行方向と交差する方
向に直接吸引流を作用させて糸条を冷却する吸引手段を
装着せしめ、糸条が前記一対の糸条接触壁体間を吸引力
の作用により、走行方向と交差する方向に弓状になって
走行するようにしてあるため、糸条接触壁体による冷却
と吸引流体による冷却とによって冷却能力が大きくな
り、冷却装置の長さを従来の冷却装置の約半分にするこ
とが可能になるため、糸条の走行抵抗が小さく仮撚部に
おける張力(行程張力)を下げることができ、撚りの遡
及が容易になって従来よりも高速度で加工しても強度、
伸度、捲縮率の減少しない良質の嵩高糸を得ることがで
きると共に、糸条が少なくとも一方の糸条接触壁体面に
接触した状態で走行するため、行程張力を下げてもサー
ジング現象が発生するのを防止することができ、さらに
冷却装置の長さ寸法が短くなるため、仮撚機全体がコン
パクトになり作業性、保守性を良くすることができる。 【0060】
略断面図である。 【図2】図1におけるI−I矢視図である。 【図3】本発明の冷却装置の構成の1実施例を示す概略
正面図である。 【図4】図3におけるII−II矢視図である。 【図5】図3におけるIII−III矢視図である。 【図6】図3におけるガイド取り付け部の詳細を示す拡
大図である。 【図7】本発明の冷却装置の構成の他の実施例を示す概
略正面図である。 【図8】図6におけるIV−IV矢視図である。 【図9】従来の冷却装置の構成の一つの実施例を示す概
略斜視図である。 【図10】加工速度と安定延伸倍率との関係を示す概略
線図である。 【図11】加工速度と強度との関係を示す概略線図であ
る。 【図12】加工速度と伸度との関係を示す概略線図であ
る。 【図13】加工速度と捲縮率との関係を示す概略線図で
ある。 【図14】加工速度と延伸倍率と捲縮率との関係を示す
概略線図である。 【符号の説明】 1 機枠 2 クリールスタンド 3 第1糸送り装置 4 第1加熱装置 5 冷却装置 6 仮撚装置 7 第2糸送り装置 8 第2加熱装置 9 第3糸送り装置 10 油剤付与装置 11 巻取装置 12 作業台 13 吸引手段 14 ダクト 15 冷却部 16、38 固定壁部材 17 ねじ 18、19、39、40 可動壁部材 20、21 ブラケット 22 排煙部材 23、24、41、42 ピン体 25、26 板状ばね 27 間隙調節部材 28 ゴム磁石 29 ねじ体 30 ナット 31 引掛け部材 32、33、49、50 フイン 34 箱体 35 仕切り板 36 吸引量調節用板材 37、38 ガイド 43、44 コイルスプリング 45、46 ピン 47、48 シール部材 14a、14b、34b、34c、35a、35b 細
幅縦長溝 16a、16b、18a、19a 糸条接触壁体 34a 開口部 14d、34d、36a 孔 16a1、18a1 凹部 16a2、18a2 凸部
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 仮撚加工機または延伸仮撚加工機の加熱
装置と仮撚装置との間に設置され、加熱装置によって加
熱された糸条を冷却すると共に、糸条の振動を抑制して
安定させた状態で走行させる冷却装置において、前記冷
却装置を、糸条が接触する底部を持たない一対の糸条接
触壁体により構成し、前記一対の糸条接触壁体が、走行
糸条が一方の糸条接触壁体面に接触するか各糸条接触壁
体面に交互に接触するように所定の間隔をもって設置し
てあると共に、前記糸条接触壁体には、糸条接触壁体間
に糸条に対して糸条の走行方向と交差する方向に直接吸
引流を作用させて糸条を冷却する吸引手段が装着してあ
り、糸条が前記一対の糸条接触壁体間を吸引力の作用に
より、走行方向と交差する方向に弓状になって走行する
ようにしたことを特徴とする仮撚機の冷却装置。
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