JP3430935B2 - 画像読取装置及びレンズ - Google Patents
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Description
に読み取る画像読取装置に関するものである。
は、高速、高解像度、高画質、広幅(A3サイズ)読み
取りなどが求められ、また複写機等では、二つ折りに綴
じられた冊子や厚みのある本などが原稿になる関係上、
原稿浮きへの対応が要求される。これらを物理的、光学
的にとらえると、高いナイキスト周波数、高いMTF(M
odulation Transfer Function)特性、センサの高感度、
広い画角、深い焦点深度が求められることになる。この
うち、センサ特性、共役長を決定した後、結像光学系の
スペックに関わるものとしては、MTFの高さと焦点深
度が挙げられる。
等の場合は、上記の条件に加えて、レンズの色収差が問
題となる。色収差には、一つの色から他の色への光軸上
の像点位置の差を表す軸上色収差と、画像サイズの差を
表す倍率色収差があり、結像光学系の評価上、それぞれ
異なる影響を及ぼす。具体的に言うと、軸上色収差は、
結像光学系における各色MTFのピークをデフォーカス
方向にずらし、そのバランスをとる必要性から、結果的
にMTFを劣化させ、画質の悪化を引き起こす。これに
対して倍率色収差は、各色の結像位置をCCD(Charge
Coupled Device) センサの長手方向にずらすため、結果
的に色ずれを発生させる。
単色での収差がこれを劣化させるので、そのメカニズム
は非常に複雑である。また、MTFに関しての評価項目
としては、CCDセンサ面でのMTFの高さ、原稿が浮
いた場合の許容範囲(焦点深度)、各画角におけるカラ
ーバランス(ΔMTF)がある。このうち、ΔMTFの
増大と倍率色収差の増大は、物理的(光学的)挙動が異
なるものの、CCDセンサからの出力という観点から見
ると似通った結果をもたらす。すなわち、センサ長手方
向の同じ位置の3色の画素から出力されるべき信号値が
変化してしまい、その結果、それらを合成した色情報も
本来の値から変化してしまうという現象が起こる。色情
報が変化するということは、カラー複写機において出力
画像の原稿に対する色再現性を悪化させるということで
ある。カラー複写機の場合、B(ブルー),G(グリー
ン),R(レッド)で読み込んだ情報を、トナーの原色
であるY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シア
ン)、K(ブラック)に変換するというステップがある
が、読み込んだ大元のデータが不特定量ずれていると補
正は困難である。
一色領域のエッジの色付きがある。写真のような輪郭が
はっきりしない事の多いイメージ画像を複写出力する場
合、多少の色ずれは気にならないことが多い。しかしな
がら、ビジネス文書等のように文字や図形の組み合わせ
で構成された原稿の場合、倍率色収差によって文字や図
形の主走査方向のエッジ部分だけが異なる色になると非
常に目立ち、見た目の印象が悪くなる。これに対してM
TFの場合は、全体的に色の違いが出るものの、エッジ
部分だけが異なる色になることはない。この点において
は、ΔMTFよりも倍率色収差の方が始末が悪い。
稿がテキストであるのか、写真のようなイメージである
のかによって、画像処理が異なる場合が一般的である。
原稿がテキストの場合は、テキストとバックグラウンド
でコントラストがはっきりしている方が読みやすいもの
となる。そのため、テキスト原稿の場合は、テキストの
エッジ部分を強調させるような画像処理を行う。一方、
イメージ原稿の場合は、上記テキスト原稿と対照的に、
色の変化がなだらかである方が見た目の印象が良くな
る。このように原稿がテキストかイメージかによって画
像処理の仕方を変えるため、複写機の画像処理部の多く
には、T/I(テキスト/イメージ)分離処理機能が組
み込まれている。
場合、Y,M,Cのトナーを重ねて表現するよりも、K
のトナーで表現する方が美しい出力が得られる。そのた
め、カラー複写機には、上記T/I分離処理機能に加え
て、黒色判定処理機能を有したものも多い。その際、特
に黒文字をイメージ情報から分離させる場合に、上記収
差によってCCDセンサからの出力が黒からずれている
と、大きな問題が発生する。T/I分離処理エラーと黒
色判定エラーが同時に起こると、原稿の黒文字部分が色
付いて、なおかつぼけて出力されてしまい、原稿とかけ
離れた出力である印象をユーザに与えてしまう。
びプレゼンテーション資料作成ツールの発達と普及によ
り、高精細な文字情報を含むフルカラー原稿が溢れはじ
めており、こうした原稿のコピーをとる頻度も高くなっ
ている。そのため、上記色収差やΔMTFに起因する不
具合が頻発しているものと推測される。
読み取る画像読取装置で、読取センサのサンプリングピ
ッチ、つまり読取解像度を400dpiから600dp
iに上げるには、センサの画素サイズを小さくする必要
があるため、センサ感度が半分以下に低下する。これに
対しては、近年のCCDセンサのS/N比の改善によっ
て感度アップが図られているものの、上述のように読取
解像度を400dpiから600dpiに上げて、なお
かつ400dpiの場合と同等の読取速度を維持するた
めには、原稿に光を照射する照明の電力を固定したとし
て、結像用レンズとしてはF3.5〜F4.5程度の明
るさを確保する必要がある。
は、結像用レンズの画角を大きくしなければならない。
例えば、A3サイズの原稿を読み取るには、半画角で1
8°〜20°程度の読取範囲をカバーするレンズ設計が
求められる。こうした要求に加えて、カラーの画像読取
装置では、カラー画像処理のための倍率色収差を小さく
する必要がある。ところが、これを厳密に合わせ込もう
とすると、像面湾曲などの他の収差が大きくなる傾向に
あるため、レンズ設計がより困難なものとなる。
ト条件の下で、上述の諸条件、即ちレンズのF値を小さ
くし、画角を大きくし、倍率色収差を小さくするような
設計を行った場合、レンズの動径方向の解像度が低下す
る。この解像度の低下は、レンズの光軸から離れた光、
つまり原稿の端部からの反射光ほど顕著になる。動径方
向の解像度は、読取センサの副走査方向の読み取り性能
に影響を与えるため、上記の条件では画像周辺部の解像
度が低下することになる。また、最良像面が湾曲する
と、レンズの軸上色収差と相まって、レッド(R)・グ
リーン(G)・ブルー(B)の3色のモジュレーション
のずれ(MTFの差)が生じ、例えば黒文字を読み取っ
た際にその黒文字の線が色づいてしまい、画像処理部で
は黒文字と認識できずに文字品質が悪化するという問題
が生じる。
て、従来ではレンズを暗くして、収差を改善するという
手段が採られている。ところが、レンズ設計によって倍
率色収差を補正しようとすると、像面湾曲によりMTF
特性が悪化する傾向にある。そのため、色収差対策に有
効な異常分散ガラスを使用したとしても、レンズ単体で
の特性改善には自ずと限界がある。また、異常分散ガラ
スは、通常の硝材に比べて3倍から5倍ほどコストが高
いため、その使用には大幅なコストアップも伴う。
さくする場合には、口径を小さくするか、画角を小さく
する手法が採られる。ただし、画角に関しては、原稿サ
イズや複写機のスペースからの制約条件があるため、あ
まり大きく変えられない。そこで多くの場合は、口径を
小さくして(レンズを暗くして)収差を低減させる手法
が採られているが、センサのS/Nの関係上、高速・高
解像度を維持しつつレンズを暗くすると、必要な光量を
確保するためにランプ(光源)の光量をアップさせる必
要があり、消費電力の増大を招く結果となる。また、前
述したように高速、高解像度および高画質を実現するた
めには、センサ面上の露光量を落とすことはできない。
そのため、必要な露光量を確保するには、原稿に光を照
射する照明の光量をアップさせる必要がある。しかし、
照明光量のアップはそのまま消費電力の増大につながる
ため、以下に述べる理由により得策ではない。
再現性に優れかつ光量が多くとれるという理由からリニ
アハロゲンランプが多用されているが、このランプが電
力を光に変換する効率に劣るために、どうしても消費電
力が大きくなる。これに対して、通常のオフィス環境で
電源コンセントからとれる1電源系統あたりの使用電力
は1.5kVAであるが、電子写真式の複写機の場合
は、トナーの定着に熱を用いる関係で、その熱を発生さ
せるヒータ部分に非常に大きな電力を必要とする。ま
た、現状400dpiの読み取りにおいても、複写機で
の消費電力は1.5kVAをわずかに下回る、ぎりぎり
の数値となっている。そのため、原稿読み取り部で消費
される電力は極力減らす必要がある。
とに読み取り走査する場合には、ハロゲンランプを商用
周波数で交流点灯させたときのフリッカ(ちらつき)の
影響も無視できない。特に、カラーで高い階調の読み取
りを行う場合は、フリッカが比較的少ないハロゲンラン
プのような熱光源であっても、読み取った画質にフリッ
カの影響を受けてしまう。そのため、良好な読み取りを
行うには、電力を交流から直流に変換して、ハロゲンラ
ンプを直流点灯させる必要が生じる。ところが、この交
流/直流変換を行うと電力損失が生じるため、照明用に
消費される電力はますます大きくなる。
場合には、画像処理部のビデオレートのアップによる消
費電力の増加もあるため、照明光量のアップにさける電
力の余裕は殆どないに等しい。そのため、前述のように
照明の光量をアップさせて露光量を確保することは、こ
れに伴う複写システム全体のデメリット(例えば、ウォ
ームアップによる待ち時間の増加や処理速度の低下な
ど)を考えると得策ではない。
ってきたことにより、安価なメモリを利用して、読み込
んだ情報を一時記憶し、複写出力側(プリンタ側)と非
同期にすることにより、読み込みスピードを遅くする、
あるいはフルカラーの読み込みも1回の走査で読み込む
ことにより、1回の読み込みスピードを遅くするなどの
手法が考えられている。しかしながら、この手法を用い
ると、カラー複写機における白黒コピーの時間が遅くな
る傾向にあり、カラーコピーとのバランスをとる必要が
ある。ただし、あくまでも理想は、白黒,カラーにかぎ
らず、読み込みスピードを速くすることにある。
い理由は他にもある。それは、白黒複写機の最近の傾向
として、これまで原稿照明用ランプにハロゲンランプの
代わりに、消費電力の低いキセノンランプが用いられる
ようになってきており、当然にフルカラー複写機でも、
省エネルギーの観点からキセノンランプを採用する動き
が予想されるからである。ところが現状では、光量の出
力能力でキセノンランプがハロゲンランプに及ばないこ
とから、暗いレンズではS/N比の悪いデータしか読み
込めなくなる。
ンサの出力を電気的に重心補正する技術も公知である
が、これに関しては、電気信号としてのMTFの劣化を
招くことになり、文字再現に悪影響を与えてしまう。そ
のため、せっかく解像度を上げても、それが単にカタロ
グスペック上での事実にとどまり、実際に出力結果を見
た限りでは画質の向上が認められないという状況が発生
する懸念もある。また、レンズでカバーしきれない結像
特性を、電気回路や他の光学素子で補正する場合におい
ては、それに関連する付帯費用を考えると、確実にコス
トアップにつながる。
向の解像度を向上させる手段として、レンズ開口を副走
査方向(レンズのサジタル方向)に絞るサジタルストッ
パ(遮光板)が用いられている。しかしながら従来にお
いては、主走査方向における原稿の全域にわたって一定
レベル以上の解像度を得るために、結像用レンズを出来
るだけバランス良く設計したうえで、それでも要求され
るスペックを満たせなかった場合の補助的な手段として
のみサジタルストッパを利用していたため、結像光学系
全体の特性としては必ずしもベストの状態で設定されて
いるとは言えなかった。
もので、その目的とするところは、サジタルストッパを
より有効に利用することで、原稿からの反射光の光量ロ
スを必要最小限に抑えつつ、結像光学系全体の解像度特
性を向上させることにある。
置では、原稿に光を照射する照射手段と、この照射手段
によって光が照射された原稿からの反射光を結像させる
もので、原稿端近傍の画角における画像読取波長域の副
走査方向の解像度が、前記原稿端近傍より内側の画角に
おける画像読取波長域の副走査方向の最低解像度、及び
原稿の画角における画像読取波長域の主走査方向の最低
解像度よりも、最良像面において低い解像度特性を有す
るレンズと、前記照射手段によって光が照射された原稿
端近傍からの反射光における副走査方向の瞳径が小さく
なるように前記反射光の一部を遮光することにより、前
記原稿端近傍の画角における画像読取波長域の副走査方
向の解像度をアップさせる遮光手段と、この遮光手段で
一部が遮光され、かつ前記レンズで結像された前記反射
光を電気信号に変換する光電変換手段とを備えた構成を
採用している。
は、原稿端近傍の画角における画像読取波長域の副走査
方向の解像度が、原稿端近傍より内側の画角における画
像読取波長域の副走査方向の最低解像度、及び原稿の画
角における画像読取波長域の主走査方向の最低解像度よ
りも、最良像面において低い解像度特性を有するレンズ
を採用することで、レンズパラメータ設計の自由度が増
加するため、原稿端近傍より内側の画角における軸上色
収差や倍率色収差、像面湾曲、非点収差、歪曲収差等を
従来よりも低く抑えることができる。また、上記解像度
特性を有するレンズを採用すると、原稿端近傍の副走査
方向の解像度が低下することになるが、この解像度の低
下分については、原稿端近傍からの反射光がレンズに入
射する際の副走査方向の入射瞳径が小さくなるように反
射光の一部を遮光手段で遮光することにより、必要解像
度まで持ち上げるようにしているため、結果として結像
光学系全体としての収差の低減が達成される。
て図面を参照しつつ詳細に説明する。図1は本発明に係
る画像読取装置の構成を示す概略図である。図1におい
て、符号1は筐体構造をなすキャビネットであり、この
キャビネット1の上部開口に、原稿を載置するためのプ
ラテンガラス2が取り付けられている。このプラテンガ
ラス2に対しては、読み取るべき画像を下向きにして原
稿(不図示)がセットされる。キャビネット1の上部に
は、プラテンカバー3が開閉自在に取り付けられてい
る。このプラテンカバー3は、原稿の画像を読み取る際
にプラテンガラス2の上にかぶせられ、原稿をプラテン
ガラス2に密着させる働きをする。
ンガラス2上にセットされた原稿に光を照射するランプ
(照射手段)4と、このランプ4から発せられた光を効
率良く原稿面に集光する働きをするリフレクタ5と、原
稿からの反射光を側方に反射させる第1のミラー6と、
この第1のミラー6からの反射光を下方に反射させる第
2のミラー7と、この第2のミラー7からの反射光を側
方に反射させる第3のミラー8が設けられている。
1のミラー6は、図示せぬフルレートキャリッジに搭載
され、図中矢印方向に速度vで移動するようになってい
る。また、第2,第3のミラー7,8は、図示せぬハー
フレートキャリッジに搭載され、図中矢印方向に速度1
/2・vで移動するようになっている。
手段としてのサジタルストッパ9と、原稿からの反射光
を結像させるレンズ10と、このレンズ10によって結
像された光を電気信号に変換するCCDイメージセンサ
等のラインイメージセンサ(光電変換手段)11が設け
られている。ちなみに、結像用のレンズ10としては、
ダブルガウスタイプのレンズを採用している。
プ4から発せられかつリフレクタ5によって集光された
光が原稿に照射され、これによって得られた原稿からの
反射光が第1,第2,第3のミラー6,7,8によって
順次反射される。そして、第3のミラー8からの反射光
は、サジタルストッパ9を通してレンズ10に入射し、
このレンズ10を透過した後、ラインイメージセンサ1
1上で結像される。このとき、ラインイメージセンサ1
1は、各々の画素ごとに入射光の強さに応じて光電変換
を行い、これによって原稿画像に対応した画像信号(R
GB信号)が得られる。
0の基本的な特性について、図2を参照しつつ説明す
る。先ず、レンズ10で光軸axから離れた位置、つま
り原稿端近傍の画像を結像する際、光軸axを中心とす
る同心円の接線方向(タンジェンシャル方向)のライン
ペア情報と、同心円の動径方向(ラジアル方向)のライ
ンペア情報とでは、レンズの解像度を表すMTF(Modul
ation Transfer Function)特性が異なったものとなる。
ラインイメージセンサ11を使用した画像読取装置に、
このようなレンズ10を用いる場合、接線方向の解像度
(MTF)がラインイメージセンサ11の主走査方向
(センサ長手方向)の解像度に対応し、動径方向の解像
度がラインイメージセンサ11の副走査方向(センサ短
手方向)の解像度に対応する。結像レンズの特性上、動
径方向の解像度は、接線方向の解像度に比べて低くなり
がちである。したがって、ラインイメージセンサ11に
おいては、光軸axから離れた位置の画像の、副走査方
向の解像度が低くなることが多い。
ンズ10に入射する場合、その入射瞳のメリジオナル面
を通過した光線は、レンズ10の軸対称性により、レン
ズ10を出射した後もメリジオナル面から外れることは
ない。そのため、メリジオナル面を通過する光線に関し
ては副走査方向の解像度を低下させることはない。
を、その前段部分でメリジオナル面に直交するサジタル
方向に絞っていくと、それにつれて幾何学的な収差は減
少し結像状態が良くなる。また、それとともにサジタル
方向の結像光束の広がりを制限することで、ラジアル方
向の結像状態の焦点深度も改善される。そこで本実施形
態では、原稿端近傍からの反射光がレンズ10に入射す
る際の副走査方向の入射瞳径が小さくなるように反射光
の一部を遮光するものとして、副走査方向に対応するレ
ンズのサジタル方向に光束を絞るサジタルストッパ9が
設けられている。なお、図1においては、原稿からの反
射光の光路中において、レンズ10の手前にサジタルス
トッパ9を配置しているが、これ以外にも、レンズ10
とラインイメージセンサ(光電変換手段)11との間に
サジタルストッパ9を配置するようにしてもよい。
したサジタルストッパの構造と機能を説明する図であ
る。図示したサジタルストッパ9は、矩形の薄板であっ
て、その中央にはやはり矩形の開口部9aが形成されて
いる。このサジタルストッパ9は、開口部9aの中心が
原稿からの反射光の光軸axに合致し、開口部9aの長
辺が主走査方向、短辺が副走査方向に合致するように配
置される。即ち、開口部9aの長辺は、レンズ10に対
する原稿からの反射光のメリジオナル面と平行になさ
れ、短辺は、サジタル面に平行になされる。メリジオナ
ル面は、光学系において、軸外の物点と光軸とを結ぶ平
面であり、サジタル面はメリジオナル面に垂直な平面で
ある。
は、レンズ10自体の入射瞳で制限される入射光束Eの
範囲よりも小さく設定され、これによってレンズ10に
おける原稿端近傍の副走査方向の入射瞳径がサジタルス
トッパ9で小さくされる構成となっている。即ち、ある
物点OP1 から開口部9aよりも上または下に向かった
光線は、サジタルストッパ9で遮られ、レンズ10には
入射しない。これにより、レンズ10の入射瞳径は、サ
ジタル方向においてのみサジタルストッパ9で絞られ
る。このサジタルストッパ9による遮光作用は、開口部
9aが矩形をなしていることから、その長手方向(主走
査方向)の全体にわたって一様である。つまり、光軸a
x上の物点OP2 からの光はサジタルストッパ9により
部分的に遮られ、開口部9aを通過した光だけが像点I
P2 に結像し、光軸axから離れた物点OP1 からの光
もサジタルストッパ9で部分的に遮られ、開口部9aを
通過した光だけが像点IP1 に結像する。なお、図3
(A)において、斜線を付した部分は、サジタルストッ
パ9の上下の部分によりカットされる光束の部分を示し
ている。
方向の解像度に影響を与える、メリジオナル面から離れ
た光線をカットするので、主走査方向端部(原稿端近
傍)での副走査方向の解像度を良好にしてレンズの結像
性能を改善する。しかも、光量のカットが一方向(サジ
タル方向)のみであるため、レンズの結像性能を改善す
るための光量ロスが少なくて済む。
で副走査方向の光束が一様に絞られるため、光量も一定
の比率で減少する。その際、端の画角のMTFを改善す
るにあたり、サジタルストッパ9が最も効果を発揮する
のは、副走査方向の光量を25%程度カットするときで
あり、これに対応してサジタルストッパ9の開口径も設
定されている。このとき、25%程度の光量減少分を考
慮して、F3.5程度の明るさを、照明電力をアップさ
せずに結像光学系全体で確保するためには、レンズ単体
としてF3程度で設計する必要がある。これは、必要光
量がF値の比の二乗に比例することによるもので、現状
の照明電力を仮に100WとしてF3程度の明るさのレ
ンズを採用すると、100W×(3/3.5)2 ÷0.
75≒98Wとなり、照明電力をアップさせずに済むた
めである。
方向の解像度(MTF)の改善に関しては、主走査方向
での画角が大きくなればなるほど、その効果も大きくな
ることが分かっている。これは、一般にレンズの入射瞳
が原稿端近傍の画角ではレンズの端寄りになることで、
特にサジタル方向に広がった光束が副走査方向の収差を
増大させることに起因する。一方、レンズの設計段階に
おいて従来では、原稿端近傍より内側の画角での解像度
(MTF)を犠牲にして、原稿端近傍の画角での解像度
を持ち上げることにより、全体のバランスをとるように
している。
ようにレンズ単体でバランス良く解像度をコントロール
するのではなく、レンズの特性を決めるパラメータ設計
の段階で、端の画角での副走査方向の解像度を意図的に
低くなるように設計する。レンズ設計に関しては、関連
メーカー各社から光学シミュレーションソフトが市販さ
れているので、その光学シミュレーションソフトの自動
設計プログラムで、ラジアル方向の端の画角での重み、
つまり原稿端近傍の画角における画像読取波長域の解像
度を故意に低く設定することにより、原稿端近傍の画角
における画像読取波長域の副走査方向の解像度が、原稿
端近傍より内側の画角における画像読取波長域の最低解
像度よりも低い解像度特性を有するレンズ10を採用す
る。
る青、緑、赤の各波長域では、空間周波数(本/mm)
に対するMTFの特性が、それぞれの波長域に異なった
ものとなる。特に、文字認識を良好に行ううえでは、5
本/mm付近の空間周波数でのMTFの良否が重要なフ
ァクターとなる。これに対して本実施形態では、原稿端
近傍の画角における5本/mm付近の空間周波数での画
像読取波長域の副走査方向MTFが、最良像面において
原稿端近傍より内側の画角における画像読取波長域の最
低MTFよりも低い解像度特性をもつレンズ10をあえ
て採用している。これにより、レンズパラメータ設計の
自由度が高まるため、軸上色収差や倍率色収差、さらに
は像面湾曲や非点収差、歪曲収差等を従来よりも低く抑
えることができる。
像読取装置の光学系を構成すると、当然のことながら、
主走査方向の原稿端近傍において副走査方向のMTFが
悪化する。しかしながら、上述したサジタルストッパ9
による解像度(副走査方向のMTF)のアップ分を予め
見込んだうえで、原稿端近傍の画角における画像読取波
長域の副走査方向解像度を意図的に低く設定しておけ
ば、上述のようなパラメータ設計による解像度の低下を
解消することができる。つまり、本発明に係る画像読取
装置は、従来のように結像レンズを出来るだけバランス
良く設計したうえで、遮光板(サジタルストッパ)を補
助的に利用するのではなく、画像読取装置の光学系を構
成するうえでサジタルストッパ9を必須な要素と位置づ
け、これを利用することを前提にレンズ10の特性を決
めることにより、結像光学系全体の特性を最適化するも
のである。
TFバランスをとる場合に比較して、レンズ設計の自由
度が増加する分、端の画角以外、つまり原稿端近傍より
も内側の画角におけるMTFの特性を向上させることが
できる。ここで、可視光域での副走査方向のMTF周波
数特性の一例を図4(A),(B)のグラフで示す。な
お、グラフの実線カーブは端の画角でのMTF特性、破
線カーブはそれよりも内側の画角でのMTF特性を示
し、今回行ったシミュレーションでは、青、緑、赤の各
波長域について、いずれも図示のような特性カーブを示
した。
無しでのレンズのMTF周波数特性では、概ね5〜15
本/mmの空間周波数で端の画角でのMTFが、それよ
りも内側の画角でのMTFよりも低い特性を示してい
る。これに対して、図4(B)に示すサジタルストッパ
有りでのレンズのMTF周波数特性では、上述した5〜
15本/mmの空間周波数でのMTFがサジタルストッ
パ9の遮光効果により持ち上げられ、双方の画角で一様
に良好なMTF特性が得られている。
おけるMTFの特性は、レンズ設計段階でこれを犠牲に
することなく、従来よりも高いレベルに設定されてい
る。そして、原稿端近傍の画角におけるMTFについて
は、サジタルストッパ9の遮光作用により、内側の画角
におけるMTFと同等レベルまで持ち上げている。した
がって、結像光学系全体の特性としては、従来よりも収
差が低減されてベストの状態が達成される。
り、原稿端近傍の画角における副走査方向の解像度とそ
れよりも内側の画角における最低解像度との差分を、サ
ジタルストッパ9による解像度のアップ分相当に設定し
ておけば、図4(A)に示すサジタルストッパ無し状態
での所定周波数のMTFの差、例えば文字情報を読み取
る際の解像度に大きく影響を与える5本/mm付近のM
TFの差(ΔMTF)が、図4(B)に示すサジタルス
トッパ有り状態でほぼ0(ゼロ)になる。これにより、
原稿に記された文字情報を好適に読み取ることができる
とともに、結像光学系全体のMTFのバラツキも抑えら
れるため、これに起因した読取画質の低下を未然に防止
することができる。
赤の可視光波長域だけに限らず、それよりも広い紫外、
赤外光を加えた5つの波長域を含むものであってもよ
い。そして、原稿端近傍の画角における画像読取波長域
の副走査方向の解像度が、原稿端近傍より内側の画角に
おける画像読取波長域の最低解像度よりも低い、という
条件を満たすレンズ10の特性としては、紫外、赤、
緑、青、赤外の各波長域のうち、少なくともいずれか2
つ以上の波長域で上記条件を満たすものであればよい。
口部9aを有するサジタルストッパ9を採用したこと
で、前述のようにレンズ単体としてはF3程度で設計す
る必要が生じたが、さらにレンズ設計条件を緩和するた
めには、図5に示すようなサジタルストッパ19を採用
するとよい。
同様に矩形の薄板であるが、その中央に形成された開口
部20の形状が大きく異なっている。即ち、この場合の
開口部20は、サジタルストッパ19の長手方向に沿っ
た長尺状をなし、その長手方向の両端部が中央部よりも
幅狭に形成されている。
20cは、互いに同じ幅(ここでいう幅とは図の上下方
向の長さに相当)であって、中央の幅広部20bはこれ
らよりも広い幅を有する。このうち、幅狭部20a,2
0cの幅はレンズ10の入射瞳で制限される入射光束E
の直径よりも小さく、幅広部20bの幅はレンズ10の
入射瞳で制限される入射光束Eの直径と等しく設定され
ている。ただし、幅広部20bの幅は入射光束Eの直径
よりも大きく設定されていてもよい。また、幅広部20
bと幅狭部20aの間の部分は、幅狭部20aに向けて
徐々に幅が狭くなり、幅広部20bと幅狭部20cの間
の部分は、幅狭部20cに向かって徐々に幅が狭くなっ
ている。
用いた場合は、開口部20における幅狭部20a,20
cの幅が、レンズ10への入射瞳で制限される入射光束
Eの直径よりも小さいため、原稿端近傍からの反射光は
サジタルストッパ19によってサジタル方向に絞られ
る。即ち、図6(A)に示すように、光軸axから離れ
たある物点OP1 から開口部20よりも上または下に向
かった光は、サジタルストッパ19で遮光されてレンズ
10に入射せず、開口部10を通過した光だけがレンズ
10を透過して像点IP1 に結像する。
幅は、レンズ10の入射瞳で制限される入射光束Eの直
径と等しく設定されているため、原稿端中央からの反射
光はサジタルストッパ19によって絞られることはな
い。即ち、図6(B)に示すように、光軸ax上の物点
OP2 からサジタルストッパ19に向かった光は、その
全体が幅広部20bを通過してレンズ10に入射し、こ
のレンズ10の透過して像点IP2 に結像する。このこ
とは、光軸ax付近の物点からの光についても同様であ
る。
稿端近傍からの反射光のみをサジタル方向で遮光し、原
稿中央からの反射光については全く遮光しないため、原
稿端近傍での副走査方向の解像度を改善するにあたっ
て、サジタルストッパ19による光量ダウンを必要最小
限に抑えることができる。具体的には、例えば開口部1
9aの両端(最端の画角)から10%の部分の光量を上
記同様に25%ずつカットしたとすると、全体での光量
ダウンは5%で済むことになる。
副走査方向の光量が一様にカットされないため、それに
対応した光量補正が別途必要になる。そこで、こうした
主走査方向での光量の不均一性を補正するためには、次
のような手段を採用すればよい。例えば、照射手段とし
てリニアハロゲンランプを採用した場合は、これに組み
込まれるフィラメントの配置密度を変える。つまり、ラ
ンプ両端部におけるフィラメントの配置密度を、ランプ
中央部のそれよりも高くするのである。これにより、原
稿端での照射光量をアップさせることができるため、サ
ジタルストッパ19による端の画角での光量ダウンを相
殺でき、主走査方向の全域にわたって光量を均一にでき
る。
用した場合は、レンズ10の中央付近でサジタルストッ
パ19が入射瞳径を絞らないため、サジタルストッパ1
9による光量減少分を考慮する必要がなくなる。したが
って、レンズ単体としてはF3.5で設計することがで
きるため、先述の実施形態よりも更に高いレンズ特性
(MTF特性)をもって結像光学系を構成することが可
能となる。
で補充することになるが、例えばデジタル複写機などの
システムを考えた場合、この程度の僅かな電力アップは
システム全体での許容範囲内に含まれ、特に問題にはな
らないと考えられる。また、仮に5%の光量ダウンに伴
う電力アップが問題となる場合は、ランプの電源の力率
を改善する手段が種々提供されているため、その中か
ら、目標値およびコストに応じて所望の手段を選択すれ
ばよい。ちなみに、5%程度の電力(VA)を削減する
のであれば、ランプ電源の前段にチョークコイルを挿入
するだけで十分に対応できる。
いてランプ電源の力率を改善した場合、これによって削
減できる電力(VA)の限界は、25%から最大でも3
0%程度である。そのため、図3に示すサジタルストッ
パ9を用いて、レンズ10の明るさをF3.5で設計し
た場合は、チョークコイルによる力率改善での電力削減
の限界レベルとなるが、図5に示すサジタルストッパ1
9を採用した場合は、僅か5%程度の電力削減で済むた
め余裕でカバーできることになる。
9においては、開口部20の幅広部20bにて原稿中央
からの反射光を全く遮蔽しない構成になっていることか
ら、例えば図7に示すように、サジタルストッパ21を
主走査方向で二分割して、それら二つのストッパセグメ
ント21a,21bを同一平面で向かい合わせに配置
し、各々のストッパセグメント21a,21bの切り欠
き部22a,22bにて原稿端近傍からの反射光をサジ
タル方向で遮光するようにしても、サジタルストッパ1
9と同様の作用効果が得られる。
を用いた場合の光量の不均一性についても、例えば照射
手段に導波管(不図示)を採用した場合などでは、その
管内部に導かれた光を外部に漏出させるスリット孔の幅
を、導波管の端部と中央部とで適宜調整することにより
容易に補正することができる。
スキャナー等に用いられる様々な特性のレンズが提示さ
れている。また、特に結像特性の高いことを特徴とした
レンズとして、例えば特開平9−113802号公報に
は、4群6枚構成のガウスタイプで、F値(No.) が4.
5の読取レンズが開示されている。しかしながら、この
公報に開示された読取レンズは、耐水性、耐青ヤケ性、
耐潜傷性等の点で非常に扱いにくく、レンズ単体として
のコストも高いという難点がある。
タルストッパの有効活用により、倍率色収差とMTF特
性を同時に改善するものについて、例えばF4.5程度
の明るさを確保しようとすると、サジタルストッパによ
る遮光分を補うために、レンズ径を大きくしてレンズ単
体でのF値を小さく(明るく)する必要がある。そうす
ると、レンズ径が大きくなることでのサイズアップやコ
ストアップが懸念される。ただし、サジタルストッパと
の組み合わせでレンズ構成を考えた場合、光学系として
の明るさをF4.5相当に確保したうえで、上述のレン
ズ取り扱い上の難点や、レンズ径の拡大に伴うサイズア
ップ、コストアップを回避できるケースがある。以下
に、具体的な例を挙げて説明する。
構成を図8に示す。図示のように、レンズ全体では、物
体側から像側(図8において左側から右側)に向かって
順に、第1群、第2群、第3群、第4群のレンズ群が配
置されている。第1群を構成する第1レンズ101は、
物体側(図の左側)に凸面を向けた正メニスカスレンズ
である。第2群は、第2レンズ102と第3レンズ10
3を貼り合わせた接合レンズで構成されている。このう
ち、第2レンズ102は、物体側に凸面を向けた正メニ
スカスレンズであり、第3レンズ103は、物体側に凸
面を向けた負メニスカスレンズである。
105を貼り合わせた接合レンズで構成されている。こ
のうち、第4レンズ104は物体側に凹面を向けた負メ
ニスカスレンズであり、第5レンズ105は、物体側に
凹面を向けた正メニスカスレンズである。第4群を構成
する第6レンズ106は、物体側に凹面を向けた正メニ
スカスレンズである。また、第3レンズ103(第2
群)と第4レンズ104(第3群)との間には絞り10
7が配置され、この絞り107を挟んで、第1,第2群
が前段のレンズ群、第3,第4群が後段のレンズ群を構
成している。これにより、レンズ全体としては、4群6
枚構成のガウスタイプレンズとなっている。
群6枚構成のガウスタイプ)の具体的な特性値について
述べる。先ず、riを第i面の曲率半径、diを第i面
と(i+1)面の間隔、niを第iレンズのd線におけ
る屈折率、νiを第iレンズのd線におけるアッベ数と
すると、以下の表3に示す数値条件を満足するレンズを
採用している。
ストッパとしては、レンズの第1面上に、例えば副走査
方向に12.2mmの開口を持つ矩形型のものを採用し
ている。このサジタルストッパは、原稿とラインセンサ
間のどこに配置しても良いが、サジタルストッパの開口
幅は、レンズ瞳に対する遮光の比から適宜再計算する必
要がある。
パの形状とレンズ瞳に対する遮光状態は図3(B)のよ
うになる。ここで、どの程度光量が減るかについては、
瞳の中の光量分布が均一であると仮定して、サジタルス
トッパで遮光される面積と瞳全体の面積の比から求め、
その求めた結果から、光学系全体としての明るさをF
4.5相当に確保している。例えば、レンズのF値を
4.0とするならば、サジタルストッパの遮光による光
量減少分がF0.5相当となるように開口幅を設定する
ことで、光学系全体の明るさをF4.5相当とする。
する。図9において、光軸と被写体面の交点を原点
(0,0)とし、被写体像高をYob、レンズ第1面の曲
率半径をr、被写体とレンズ第1面の距離をZ1、被写
体からレンズに入射する最大光線高さでの、レンズ第1
面との交点座標をp(z2,h)、レンズ鏡筒の肉厚を
x、レンズ鏡筒がレンズ第1面よりも被写体側に突出す
る長さをm、レンズ径をφとすると、 z2=r−√(r2 −h2 )+Z1 tanθ=(Yob−h)/z2 x=φ/2−h−(z2−Z1+m)tanθ で表されるため、 φ/2=x+h+(z2−Z1+m)tanθ =x+Yob−(Z1−m)(Yob−h)/z2 となる。
Z1もmに対して十分大きいので、x=m=0,Z1/
z2=kとすると、 φ/2=Yob(1−k)+k・h となり、簡単な比の計算になる。このことから、φを小
さくするためには、k→1で、かつh→0、つまりレン
ズ第1面の曲率半径を大きくし、レンズ長を短くすれば
よいことになる。
い、即ち第1面の曲率を緩くしやすい4群以上の構成の
ガウスタイプレンズを用いてレンズの小径化を行うこと
が、本発明の効果をより一層高めることにつながる。そ
して、サジタルストッパとの組み合わせで特性とコスト
のバランスが最良のものとして、4群6枚構成のガウス
タイプレンズが挙げられる。
は、絞りを挟んで両側に小さい曲率半径の凹面が存在
し、これによってペッツバール(Petzval) 和を補正(小
さく)している。そのため、これまでは大きな画角での
サジタル方向の収差補正が困難とされ、高屈折率の硝材
を使用することで収差補正がしやすくなると言われてき
た。実際、レンズ自動設計において、レンズ素材となる
光学ガラスの屈折率範囲を高いところまで許容し、変数
として使用すると、特に第1、第5、第6レンズの屈折
率は高い方に変化していく傾向にある。
主走査方向(メリジオナル方向、副走査方向(サジタル
方向)の収差を同時に改善して、いわゆるエラーファン
クションを下げていくというレンズ自動設計のアルゴリ
ズムに起因するもので、エリア画像を同時に読み込む必
要のあるカメラレンズに適した設計手法である。これに
対して、カラー画像読取装置のようにラインセンサでR
GBの情報を別々にかつ1次元で読み取る構成のものに
上記設計手段を適用しても、結像光学系の性能向上が必
ずしも実現されない。
取装置では、白色光を結像させたときのエラーファンク
ションの低さ、あるいはMTFの高さよりはむしろ、同
強度のRGBの光を別々に結像させたときのMTFの均
一性や倍率色収差、そして各画角に対する均一性の方
が、後工程で色情報を合成する必要性から重要となる。
また、あまりナイキストでのMTFが高すぎると、モア
レの要因にもなる。
を導入することにより、レンズ単体でのサジタルフレア
補正の負担を軽減している。このサジタルストッパは、
ガウスタイプレンズの設計において、その短所を補うと
同時に、その長所を最大限に引き出し得る最適な手段と
なる。
分散も大きくなるため、結像系の色補正を考慮すると、
第1、第2、第5、第6レンズには、それぞれd線にお
ける屈折率が1.60〜1.68、アッベ数が47以上
である光学ガラスを用いることが、本実施形態に係る結
像光学系において、色補正とMTF特性のバランス、さ
らにはコスト的にも好適であると言える。
示した数値構成のレンズ単体(サジタルストッパ無し)
のR(レッド),G(グリーン),B(ブルー)のMT
F対周波数特性シミュレーション結果を示す。なお、図
10はRのMTF対周波数特性、図11はGのMTF対
周波数特性、図12はBのMTF対周波数特性をそれぞ
れ示している。また、各々の特性図において、のライ
ンは光軸上での主走査方向の特性カーブ、のラインは
同副走査方向の特性カーブ、のラインは画角−13.
67°での主走査方向の特性カーブ、のラインは同副
走査方向の特性カーブ、のラインは画角−19.07
°での主走査方向の特性カーブ、のラインは同副走査
方向の特性カーブをそれぞれ示している。
のMTF対周波数特性で、原稿端近傍の画角(−19.
07°)における副走査方向のMTFが低くなっている
ことが分かる。この部分の特性を意図的に低く抑えるこ
とで、レンズ設計におけるパラメータの自由度を増大さ
せ、主走査方向のMTFと倍率色収差の特性向上に注力
している。ここで、本実施形態のCCDセンサは、長手
方向の一辺が9.33μmの画素を使用している。
した数値構成のレンズとサジタルストッパを組み合わせ
た状態(サジタルストッパ有り)での、MTF対周波数
特性シミュレーション結果を示す。図から明らかなよう
に、先の図10乃至図12で見られた、レンズ単体での
副走査方向のMTFの低さは、サジタルストッパによる
解像度の改善効果によって完全に補正されていることが
分かる。
インペア/mmにおけるMTFの対画角特性を図16に
示す。なお、図16においては、画角の決定因子となる
物体高を横軸にとり、縦軸にMTFをとっている。図示
のように、B,G,Rの3色に関しては、物体高の変化
(画角の大小)にかかわらず、それぞれのMTFが非常
に良く揃っていることが分かる。この場合、反射光の副
走査方向における最高解像度と最低解像度との差、すな
わちΔMTFが20%以内に収まっている。これによ
り、読取解像度のムラが減少し、高画質化が達成でき
る。このΔMTFは、25%以内に収めれば十分な高画
質化が達成できる。
に示す。この図17では、本実施形態に係るレンズの対
画角特性を実線で示し、従来レンズの対画角特性を破線
で示している。図示のように、従来レンズでは倍率色収
差が0.933μmを超えているが、本実施形態に係る
レンズでは倍率色収差が0.933μm以内に収まって
いることが分かる。すなわちこれは、G色の波長におけ
る結像の重心と、他の読取色の波長における結像の重心
とのずれが画素の10%以下となるようレンズが設計さ
れていることを示している。これにより、CCDセンサ
で読み取った画像データから無彩色判定を行うときのエ
ラーが低減する。
レンズとサジタルストッパとの組み合わせにより、倍率
色収差を1μm以内で、なおかつMTFの差(ΔMT
F)が少ない結像光学系が実現されたことになる。これ
により、CCDセンサ出力を用いた画像処理において、
黒文字判定スレッシュレベル(CIE L* a* b* 色
空間でのc* )を従来の2/3以下の値にし、色再現可
能範囲を広げて、なおかつ、黒文字誤判定の発生率を低
減することが可能となる。また、カラー複写機の読取光
学系に省エネタイプのキセノンランプを用いる場合で
も、メモリを使用することにより、ハロゲンランプを用
いる場合と同等のプロセススピードを維持することが可
能となる。
2、第5、第6レンズに、それぞれd線における屈折率
が1.60〜1.68で、アッベ数が47以上の光学ガ
ラスを用いることにより、コストにも、取り扱い上もき
わめて有利になる。
1,r6)を±30mm以上としてその曲率を緩くし、
これに伴う収差の悪化分をサジタルストッパで改善して
光学系全体の結像性能を高めているため、特性の向上と
レンズ径の縮小を同時に実現することができる。したが
って、このレンズ径の縮小分と、レンズ単体でのF値を
小さくする(F4.5→F4.0)ときのレンズ径の拡
大分との相殺により、実質的にサイズアップを回避する
ことができる。
ンズに、それぞれ同一の素材(硝材)の光学ガラスを用
いることにより、硝材の共通化によるコストダウンも期
待できる。
は、以下の表4に示す数値構成を満足する4群6枚構成
のガウスタイプレンズを採用すると良い。
に示したレンズ構成と比較して、第1レンズと第6レン
ズの屈折率(d線に対する)を高くし(1.65以
上)、その分だけ第1面と最終面の曲率を緩くしてい
る。さらに、光学系全体としてのF値を4.5相当に確
保したうえで、レンズ単体でのF値を暗くし、その分の
光量低下を、サジタルストッパの開口幅を0.6mm
(12.2mm→12.8mm)広げて補うことによ
り、レンズの小型化を達成している。
ラインペア/mmにおけるMTFの対画角特性を示すも
ので、この図では、画角の決定因子となる物体高を横軸
にとり、縦軸にMTFをとっている。図示のように、
B,G,Rの3色に関しては、物体高の変化(画角の大
小)にかかわらず、それぞれのMTFが非常に良く揃っ
ていることが分かる(ΔMTFが20%以内)。
も、図19に示すように、倍率色収差が1μm以内に収
まっていることが分かる。このことから、表4に示す特
性のレンズとサジタルストッパとの組み合わせによって
も、倍率色収差を1μm以内で、なおかつMTFの差
(ΔMTF)が少ない結像光学系が実現されたことにな
る。
置によれば、原稿からの反射光の光量ロスを最小限に抑
えつつ、結像光学系全体の解像度特性を向上させること
ができる。
図である。
ある。
である。
のレンズのMTF周波数特性を示す図である。
る図である。
図である。
明する図である。
波数特性を示す図である。
周波数特性を示す図である。
波数特性を示す図である。
状態での、R(レッド)のMTF対周波数特性を示す図
である。
状態での、G(グリーン)のMTF対周波数特性を示す
図である。
状態での、B(ブルー)のMTF対周波数特性を示す図
である。
/mmにおける、MTFの対画角特性を示す図である。
での周波数が7.87ラインペア/mmにおける、MT
Fの対画角特性を示す図である。
差の対画角特性を示す図である。
トッパ(遮光手段)、10…レンズ、11…ラインイメ
ージセンサ(光電変換手段)
Claims (12)
- 【請求項1】 原稿に光を照射する照射手段と、前記照射手段によって光が照射された 原稿からの反射光
を結像させるもので、原稿端近傍の画角における画像読
取波長域の副走査方向の解像度が、前記原稿端近傍より
内側の画角における画像読取波長域の副走査方向の最低
解像度、及び原稿の画角における画像読取波長域の主走
査方向の最低解像度よりも、最良像面において低い解像
度特性を有するレンズと、前記照射手段によって光が照射された 原稿端近傍からの
反射光における副走査方向の瞳径が小さくなるように前
記反射光の一部を遮光することにより、前記原稿端近傍
の画角における画像読取波長域の副走査方向の解像度を
アップさせる遮光手段と、 前記遮光手段で一部が遮光され、かつ前記レンズで結像
された前記反射光を電気信号に変換する光電変換手段と
を備えることを特徴とする画像読取装置。 - 【請求項2】 前記レンズは、原稿面上での空間周波数
が略5本/mmにおいて前記解像度特性を有することを
特徴とする請求項1記載の画像読取装置。 - 【請求項3】 前記画像読取波長域は、紫外、青、緑、
赤、赤外の各波長域のうち、少なくともいずれか二つ以
上の波長域を含むことを特徴とする請求項1記載の画像
読取装置。 - 【請求項4】 前記原稿端近傍の画角における画像読取
波長域の副走査方向の解像度と前記原稿端近傍より内側
の画角における画像読取波長域の最低解像度との差分
を、前記遮光手段による前記原稿端近傍の画角における
画像読取波長域の解像度のアップ分に略等しくなるよう
に、前記レンズの解像度特性を設定してなることを特徴
とする請求項1記載の画像読取装置。 - 【請求項5】 前記レンズにより結像された反射光の副
走査方向における最高解像度と最低解像度との差が、原
稿の全画角内で25%以下であることを特徴とする請求
項1記載の画像読取装置。 - 【請求項6】 前記レンズは、G色の波長における結像
の重心と、他の読取色の波長における結像の重心とのず
れが画素の10%以下となるように設計されていること
を特徴とする請求項1記載の画像読取装置。 - 【請求項7】 前記レンズは、物体側より順に、 物体側に凸面を向けた正メニスカスの第1レンズと、 物体側に凸面を向けた正メニスカスの第2レンズと、 物体側に凸面を向けた負メニスカスの第3レンズと、 絞りと、 物体側に凹面を向けた負メニスカスの第4レンズと、 第5レンズと、 第6レンズとから構成され、 前記第2レンズと前記第3レンズを貼り合わせるととも
に、 前記第4レンズと前記第5レンズを貼り合わせてなる4
群6枚構成のガウスタイプレンズであることを特徴とす
る請求項1記載の画像読取装置。 - 【請求項8】 前記第1,第6レンズの屈折率が1.6
5〜1.68であることを特徴とする請求項7記載の画
像読取装置。 - 【請求項9】 前記第1,第2,第5,第6レンズに、
それぞれ同一の素材の光学ガラスを用いてなることを特
徴とする請求項7記載の画像読取装置。 - 【請求項10】 前記レンズは、riを第i面の曲率半
径、diを第i面と(i+1)面の間隔、niを第iレ
ンズのd線における屈折率、νiを第iレンズのd線に
おけるアッベ数として、 【表1】 を満足することを特徴とする請求項7記載の画像読取装
置。 - 【請求項11】 前記レンズは、riを第i面の曲率半
径、diを第i面と(i+1)面の間隔、niを第iレ
ンズのd線における屈折率、νiを第iレンズのd線に
おけるアッベ数として、 【表2】 を満足することを特徴とする請求項7記載の画像読取装
置。 - 【請求項12】 原稿に光を照射する照射手段と、前記
照射手段によって光が照射された原稿端近傍からの反射
光における副走査方向の瞳径が小さくなるように前記反
射光の一部を遮光することにより、前記原稿端近傍の画
角における画像読取波長域の副走査方向の解像度をアッ
プさせる遮光手段と、前記遮光手段で一部が遮光された
前記反射光を電気信号に変換する光電変換手段とを備え
る画像読取装置に用いられ、前記照射手段によって光が
照射された原稿からの反射光を結像させるレンズであっ
て、 原稿端近傍の画角における画像読取波長域の副走査方向
の解像度が、前記原稿端近傍より内側の画角における画
像読取波長域の副走査方向の最低解像度、及び原稿の画
角における画像読取波長域の主走査方向の最低解像度よ
りも、最良像面において低い解像度特性を有する ことを
特徴とするレンズ。
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