JP3427577B2 - 非水電解液二次電池 - Google Patents

非水電解液二次電池

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JP3427577B2 JP16414695A JP16414695A JP3427577B2 JP 3427577 B2 JP3427577 B2 JP 3427577B2 JP 16414695 A JP16414695 A JP 16414695A JP 16414695 A JP16414695 A JP 16414695A JP 3427577 B2 JP3427577 B2 JP 3427577B2
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  • Battery Electrode And Active Subsutance (AREA)
  • Ceramic Products (AREA)
  • Carbon And Carbon Compounds (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、炭素質材料を用いた非
水電解質二次電池に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、ビデオカメラやラジオカセットレ
コーダ等のポータブル機器の普及に伴い、使い捨てであ
る一次電池に代わって、繰り返し使用できる二次電池に
対する需要が高まっている。
【0003】ところで、これまで使用されている二次電
池の殆どはアルカリ電解液を用いたニッケルカドミウム
電池である。
【0004】しかしながら、このニッケルカドミウム電
池は、電池電圧が約1.2Vであるので、電池のエネル
ギー密度を向上させることが困難である。また、常温で
の自己放電率が1ヶ月で20%以上と極めて高いという
欠点も有している。
【0005】そこで、電解液に非水溶媒を使用し、負極
にリチウム等の軽金属を使用した、いわゆる非水電解質
二次電池が開発され、検討されている。この非水電解質
二次電池は、電池電圧が3V以上と高く、高エネルギー
密度を有し、しかも自己放電率も低い。
【0006】しかし、負極に金属リチウムを使用した非
水電解質二次電池では、充放電の繰り返しにより負極に
使用した金属リチウム等がデンドライト状に成長して正
極と接触し、この結果、電池内部において短絡が生じ易
いという問題があり、短寿命で実用化が難しい。
【0007】これを解決するために、負極リチウムを他
の金属と合金化することも試みられているが、この場合
には、充放電を繰り返すことにより、合金が微細粒子と
なり、短寿命となるという欠点がある。
【0008】このような状況から、例えば特開昭62−
90863号公報等に開示されるように、コークス等の
炭素質材料を負極活物質として使用する新規な非水電解
質二次電池が提案されている。
【0009】炭素質材料を負極とする非水電解質二次電
池は、負極における上述のような欠点を有していないた
め、サイクル寿命特性に優れており、しかも安全性の点
でも金属リチウムを用いたものに比べて格段に優れてい
る。そして、正極活物質としてリチウム複合酸化物を用
いることにより、電池寿命が向上し、ある程度高エネル
ギー密度の非水電解質二次電池を得ることができる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この炭
素質材料を負極活物質として用いた非水電解質二次電池
は、エネルギー密度が高いといっても、金属リチウム等
を負極活物質として用いた電池に比べると、かなり劣る
と言わざるを得ない。
【0011】炭素質材料を負極活物質として用いた電池
において、このような欠点を解消するための手法として
は、炭素質材料の充填密度を向上させる等の対策が考え
られるが、これにも限界がある。
【0012】そこで本発明は、リチウムイオンのドープ
・脱ドープ性能に優れた炭素質材料を用いることによっ
てサイクル寿命、安全性に優れ、高エネルギー密度を有
する非水電解質二次電池を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、鋭意検討
の結果、ある種の炭素質原料を用い、これを熱処理(焼
成)することで、非常に高容量の炭素質材料を開発する
に至った。
【0014】本発明の非水電解質二次電池は、炭素含有
量が90%以上、軟化開始温度が300℃以上、熱膨張
試験における全膨張率が10%以下である低膨張性炭素
粘結材を炭素質原料とし、当該炭素質原料が不活性ガス
雰囲気中、または10−1torr以下の減圧下におい
て、700℃〜1300℃で焼成され、真比重が1.5
5g/ml〜1.95g/mlであり、002面の格子
面間隔が3.58オングストローム〜3.74オングス
トロームである炭素質材料を負極活物質とするととも
に、リチウム複合酸化物を正極活物質とし、さらに有機
電解質を含有することを特徴とするものである。
【0015】本発明において、原料となる低膨張性炭素
粘結材としては、具体的には商品名LEC−1(大阪化
成社製)、商品名LEC−2(大阪化成社製)等が挙げ
られ、これらを用いることで非常に優れた炭素質材料を
簡単に得ることができる。
【0016】前記炭素質原料の焼成に際しては、温度や
雰囲気が重要で、例えば焼成雰囲気は、窒素、アルゴン
等の不活性ガス雰囲気とするか、あるいは10−1to
rr以下の減圧下とすることが好ましい。特に、後者
は、充放電容量の観点から好適である。また、焼成温度
については、700℃〜1300℃とすることが好まし
く、900℃〜1200℃とすることがより好ましい。
【0017】以上により得られる炭素質材料は、真比重
が1.55g/ml以上、1.95g/ml以下、00
2面の格子面間隔が3.58オングストローム〜3.7
4オングストロームであることが望ましい。さらに望ま
しくは、真比重が1.80g/ml以上、1.89g/
ml以下、002面の格子面間隔が3.60オングスト
ローム〜3.68オングストロームである。
【0018】上記の炭素質材料は、例えば集電体と共に
焼結することにより、非水電解質二次電池の負極とされ
る。
【0019】このとき、正極には、一般式LiMO
(但し、Mは1種類以上の遷移金属、好ましくはCo、
Ni、Feの少なくとも1種を表し、0.05≦x≦
1.10である。)で表されるリチウム複合酸化物を含
んだ活物質が使用される。かかる活物質としては、具体
的にはLiCoO、LiNiO、LiNiCo
(1−y)(但し、0<y<1)で表される複合酸
化物が挙げられる。さらには、LiMnを用いる
ことも可能である。
【0020】上記複合酸化物は、例えばリチウム、コバ
ルト、ニッケル等の炭酸塩を組成に応じて混合し、酸素
存在雰囲気下、600℃〜1000℃の温度範囲で焼成
することにより得られる。なお、このときの出発原料
は、前記炭酸塩に限定されず、水酸化物、酸化物からも
同様に合成可能である。
【0021】さらに、電池の構成要素としては、電解液
が挙げられるが、この電解液としても、有機溶剤に電解
質を溶解したものであれば、公知のものがいずれも使用
可能である。したがって、有機溶剤としては、プロピレ
ンカーボネート、エチレンカーボネート、γ−ブチロラ
クトン等のエステル類や、ジエチルエーテル、テトラヒ
ドロフラン、置換テトラヒドロフラン、ジオキソラン、
ピラン及びその誘導体、ジメトキシエタン、ジエトキシ
エタン等のエーテル類、3−メチル−2−オキサゾリジ
ノン等の3−置換−2−オキサゾリジノン類、スルホラ
ン、メチルスルホラン、アセトニトリル、プロピオニト
リル等が挙げられ、これらを単独もしくは2種類以上混
合して使用される。また、電解質としては、過塩素酸リ
チウム、ホウフッ化リチウム、リンフッ化リチウム、塩
化アルミン酸リチウム、ハロゲン化リチウム、トリフル
オロメタンスルホン酸リチウム等が使用できる。
【0022】
【作用】炭素含有量が90%以上、軟化開始温度が30
0℃以上、熱膨張試験における全膨張率が10%以下で
ある低膨張性炭素粘結材は、焼成するだけで簡単に特性
に優れた炭素質材料となる。
【0023】得られる炭素質材料は、リチウムのドープ
・脱ドープ性能に優れ、したがってこれを非水電解質二
次電池の負極活物質とすることで、高エネルギー密度化
が達成される。
【0024】
【実施例】以下、本発明を適用した実施例について、具
体的な実験結果に基づいて詳細に説明する。
【0025】(比較例1) 先ず、正極ペレットを以下の手順で作成した。
【0026】正極化合物としては、炭酸リチウム0.5
モルと炭酸コバルト1モルとを混合し、空気中で900
℃、5時間焼成することにより、LiCoOを得た。
このLiCoOをボウルミルで粉砕することによっ
て、平均粒径10μmの粉体を得た。次いで、このLi
CoO91重量部と導電材としてのグラファイト6重
量部と結着材としてのポリフッ化ビニリデン3重量部と
を混合し、これにN−メチルピロリドンを分散剤として
加えてペーストを作成した。そして、このペーストを乾
燥し、5トンの圧力下、直径15.5mmの円形に成形
し、正極ペレットを得た。この正極ペレットの体積密度
は3.5g/mlであった。
【0027】次に、負極ペレットを以下の手順で作成し
た。
【0028】炭素材料は、ピッチコークスを振動ミル中
で直径12.7mmのステンレス鋼製の球と共に15分
間粉砕することによって得た。平均粒径は33μmであ
った。なお、このとき用いたピッチコークスの真密度は
2.03g/ml、X線回折により日本学術振興会法に
準じて求めた002面の面間隔は3.46オングストロ
ーム、C軸方向の結晶厚みLcは40オングストローム
であった。次に、この粒状のピッチコークス90重量部
と結着材としてのポリフッ化ビニリデン10重量部とを
混合し、これにN−メチルピロリドンを分散剤として加
えてペーストを作成した。そして、このペーストを乾燥
し、直径16mmの円形に成形し、集電体となる銅エキ
スパンドメタルに圧着することで負極ペレットを得た。
【0029】また、電解液としては、炭酸エチレンとジ
エチルカーボネートの混合液に、リンフッ化リチウムL
iPFを1モル/リットルの割合で溶解したものを用
いた。
【0030】上記炭素材料負極ペレットと、正極ペレッ
ト、ポリプロピレン製の薄膜セパレータ、電解液、負極
カップ、正極缶、ガスケットを用い、正極ペレット、セ
パレータ、負極ペレットの順で積層し、電解液を注入し
た後、かしめて直径20mm、厚さ2.5mmのリチウ
ムイオンコイン型電池を作成した。この二次電池を比較
例1とする。
【0031】(実施例1) 以下のようにして作成される焼結複合体を負極に用いる
こと以外は、先の比較例1と同様にしてコイン型電池を
作成した。
【0032】焼結複合体の作成大阪化成社製の低膨張性
炭素粘結材(商品名LEC−1)(物性は表1及び表2
に示す。)を不活性ガス中、温度900℃で1時間仮焼
成し、得られた仮焼成体を250メッシュ以下となるよ
うに粉砕した。
【0033】この仮焼成体と未焼成の低膨張性炭素粘結
材LEC−1とを1:1なる割合で混合し、この混合粉
体をペレット状に仮成型した。
【0034】次に、この混合粉体の中央部に集電体とし
て銅エキスパンドメタルを挿入し、直径16.5mmの
ペレット状に3トンにて圧縮成型した。なお、ここで用
いた銅エキスパンドメタルは、厚みが0.1mm、開口
部形状が1×2mmである。
【0035】そして、この成型体を不活性ガス中、温度
1000℃で3時間焼成し、直径16.0mmの炭素焼
結体と集電体の焼結複合体を得た。この焼結複合体の集
電体部分を除いた炭素質部分の体積密度は1.2g/m
lであった。
【0036】また、炭素質部分の真比重は1.81g/
mlであり、粉末X線回折による002面の面間隔d0
02は、3.66オングストロームであった。なお、真
比重は、得られた焼結体または粉体をめのう乳鉢にて微
粉砕し、測定用ガラス瓶に約5g充填し、セイシン社
製、商品名 AUTO TRUE DENSER MA
T−5000 を使用し、ブタノールにて測定を行っ
た。粉末X線回折は、得られた焼結体または粉体をめの
う乳鉢にて微粉砕し、測定用ガラス板上に約1mm程度
の厚みに装填し、理学ガイガーフレックス社製、商品名
RAD−IICを使用してCuターゲットにて測定し
た。格子面間隔は、測定したまま補正を行わず、チャー
ト上のカーブにベースラインを引き、作図によりピーク
トップを決定し算出した。
【0037】(実施例2) 以下のようにして作成される焼結複合体を負極に用いる
こと以外は、先の比較例1と同様にしてコイン型電池を
作成した。
【0038】焼結複合体の作成大阪化成社製の低膨張性
炭素粘結材(商品名LEC−2)(物性は表1及び表2
に示す。)を不活性ガス中、温度900℃で1時間仮焼
成し、得られた仮焼成体を250メッシュ以下となるよ
うに粉砕した。
【0039】この仮焼成体と未焼成の低膨張性炭素粘結
材LEC−2とを1:1なる割合で混合し、この混合粉
体をペレット状に仮成型した。
【0040】次に、この混合粉体の中央部に集電体とし
て銅エキスパンドメタルを挿入し、直径16.5mmの
ペレット状に3トンにて圧縮成型した。なお、ここで用
いた銅エキスパンドメタルは、厚みが0.1mm、開口
部形状が1×2mmである。
【0041】そして、この成型体を不活性ガス中、温度
1000℃で3時間焼成し、直径16.0mmの炭素焼
結体と集電体の焼結複合体を得た。この焼結複合体の集
電体部分を除いた炭素質部分の体積密度は1.2g/m
lであった。
【0042】また、炭素質部分の真比重は1.82g/
mlであり、粉末X線回折による002面の面間隔d0
02は、3.67オングストロームであった。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】(実施例3〜9,比較例2) 実施例1と同様な構成、手順にて、最終焼成温度のみを
変化させ、各種二次電池を作成した。なお、最終焼成温
度は、600℃から1200℃まで変化させた。
【0046】以上の各実施例電池及び比較例電池につい
て、負極の炭素質材料の物性値を測定し、さらに下記の
条件で充放電し電池特性を調査した。結果を表3及び表
4に示す。
【0047】充電条件充電電圧4.2Vmax、充電電
流1mA放電条件放電カットオフ3.0V、放電電流5
mA
【0048】
【表3】
【0049】
【表4】
【0050】この結果より、各実施例電池は、比較例電
池に比べて優れた放電容量、低い内部抵抗を示すことが
明らかである。これは、焼結体とすることで導電率が向
上し、且つバインダーを添加していないことにより、反
応効率が向上したためと考えられる。
【0051】(実施例10) 次に、焼結体を粉砕して粉体を作成し、その評価を行っ
た。
【0052】すなわち、実施例1において作成した焼結
複合体の炭素質部分を集電体から分離させ、250メッ
シュ以下となるように粉砕した。
【0053】この炭素粉末に比較例1と同様にバインダ
ーを添加し、再度集電体を圧着したペレットを作成し、
比較例1と同様に電池化した。
【0054】得られた電池の電池特性を同様の条件によ
り評価したところ、表5に示すような結果が得られた。
【0055】
【表5】
【0056】この結果より、実施例1(焼結体を用いた
もの)に比べると特性に劣るものの、比較例1(ピッチ
コークスを用いたもの)よりは優れていると判断でき
る。したがって、本発明の効果は、焼結体にすることに
おいて最大限発揮されるが、粉砕した状態においてもあ
る程度認められ、低膨張性炭素粘結材LEC−1,LE
C−2を焼成したものが、負極活物質として非常に優れ
たものであることが確認された。
【0057】(実施例11、実施例12) 次に、不活性ガスではなく、減圧下にて実施例1の原料
(LEC−1)を焼成処理した。
【0058】すなわち、実施例1におけるペレット(集
電体とともに圧縮成型したもの)を1000℃にて3時
間、10−1torr以下及び10−2torr以下の
減圧下で焼成した。
【0059】得られた電池の電池特性を同様の条件によ
り評価したところ、表6に示すような結果が得られた。
【0060】
【表6】
【0061】結果として、実施例1と物性値は同等であ
るものの、充放電容量は増加した。特性が向上した理由
としては、不活性ガスである窒素やアルゴン気流中より
も、減圧下の方が揮発成分が揮発したためと推定され
る。
【0062】以上、本発明を適用した具体的な実施例に
ついて説明してきたが、本発明がこれらの実施例に限定
解釈されるものでないことは言うまでもない。例えば、
上述の実施例では、炭素質原料に低膨張性炭素粘結材L
EC−1、LEC−2を用いているが、これらと同等な
物性値を示す炭素質原料であればいずれも使用可能であ
る。
【0063】
【発明の効果】以上の説明からも明らかなように、本発
明の炭素質材料は、リチウムのドープ・脱ドープ性能に
非常に優れたものであり、したがってこの炭素質材料を
非水電解質電池の負極活物質として用いることで、サイ
クル寿命、安全性に優れ、高エネルギー密度を有する非
水電解質二次電池を提供することが可能である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−145669(JP,A) 特開 平5−101818(JP,A) 特開 平5−174820(JP,A) 特開 平5−325948(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01M 4/00 - 4/62 C01B 31/02 C04B 35/52

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭素含有量が90%以上、軟化開始温度
    が300℃以上、熱膨張試験における全膨張率が10%
    以下である低膨張性炭素粘結材を炭素質原料とし、当該
    炭素質原料が不活性ガス雰囲気中、または10 −1 to
    rr以下の減圧下において、700℃〜1300℃で焼
    成され、真比重が1.55g/ml〜1.95g/ml
    であり、002面の格子面間隔が3.58オングストロ
    ーム〜3.74オングストロームである炭素質材料を負
    極活物質とするとともに、リチウム複合酸化物を正極活
    物質とし、さらに有機電解質を含有することを特徴とす
    る非水電解質二次電池。
  2. 【請求項2】 炭素質材料が集電体とともに焼結され焼
    結複合体とされ、この焼結複合体が負極とされているこ
    とを特徴とする請求項1記載の非水電解質二次電池。
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