JP3401317B2 - ルーペ - Google Patents

ルーペ

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JP3401317B2
JP3401317B2 JP02543194A JP2543194A JP3401317B2 JP 3401317 B2 JP3401317 B2 JP 3401317B2 JP 02543194 A JP02543194 A JP 02543194A JP 2543194 A JP2543194 A JP 2543194A JP 3401317 B2 JP3401317 B2 JP 3401317B2
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守康 金井
博文 松尾
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ペンタックス株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は、倍率が4.5倍程度で、収差が
良好に補正された低コストのルーペに関する。
【0002】
【従来技術及びその問題点】ルーペは、最も簡単には、
倍率が2〜3倍程度の球面単レンズ(虫めがね)が用い
られている。しかし、単レンズは諸収差の補正ができず
性能が悪い。一方、高性能なルーペとして、倍率が7〜
20倍程度の高性能タイプも知られている。これは、特
開昭54−154342号公報や特公平4−28285
号公報などに示されるように、顕微鏡などの接眼レンズ
と同様の構成を有するもので、3〜5枚構成で、収差補
正のため形状の異なる高価な硝材からなるレンズを使用
している。このタイプをルーペに用いると、ルーペは、
イメージサークルが4〜5倍程度と大きく、かつ長いア
イレリーフを持つので、レンズ径が大きくなり、高価な
ものとなる。
【0003】
【発明の目的】本発明は、このような従来品の事情に基
づき、倍率が4.5倍程度で、諸収差が良好に補正さ
れ、しかも安価なルーペを得ることを目的とする。ま
た、本発明は、アイレリーフが長く、観察者が目の位置
を変化させても収差の変化が少ないルーペを得ることを
目的とする。
【0004】
【発明の概要】本発明のルーペは、物体側から順に、両
凸の正の第1レンズと;両凹の負の第2レンズと;両凸
の正の第3レンズと;正の第4レンズと;からなるもの
であって、これら第1、第3、及び第4の3枚の正レン
ズの6面の面形状を、絶対値で3種類以下の曲率半径の
組合わせから構成して共通化し、コストの低減を図ると
ともに、次の条件式(1)、(2)及び(3)を満足さ
せたことを特徴としている。但し、 (1)n 2 <1.75、ν 2 <35 (2)0.9f<r 7 <3f (3)(n 1 +n 3 +n 4 )/3<1.65 但し、 1 :第1レンズの屈折率、 2 :第2レンズの屈折率、 3 :第3レンズの屈折率、 ν 2 :第2レンズのアッベ数、 7 :第4レンズの第1面の曲率半径、 f:全系の焦点距離、 である。 『絶対値で』とは、曲率半径の正負(向き)は
問わないの意である。
【0005】3枚の正レンズは、2種類の曲率半径の組
み合わせから構成すれば、さらにコストの低減が図れ
る。1種類の曲率半径のみから構成すれば、より一層の
コスト低減を図ることができる。
【0006】
【0007】本発明のルーペはさらに、両凹の負の第2
レンズの第1面と第2面の凹面形状を同一にすることに
より、さらに加工コストの低減を図ることができる。
【0008】
【発明の実施例】本発明は、物体側から順に、両凸の正
の第1レンズと;両凹の負の第2レンズと;両凸の正の
第3レンズと;正の第4レンズと;からなるルーペであ
って、3枚の正レンズの6面の面形状を、3種類以下の
曲率半径の組合わせから構成して共通化したことに第一
の特徴がある。3枚の正レンズの曲率半径は、最大6種
類が設定され、従来の高級タイプのルーペにおいては、
実際に各面の曲率半径は独立に設定されている。このよ
うな曲率半径の設定は、収差補正に有利であることは明
らかであるが、反面、加工コストが高くなる。本発明
は、加工コストの低減を図るために、できるだけ曲率半
径を共通化したものであって、3種類以下の曲率半径の
組合わせから3枚の正レンズを構成した。4種類以上の
曲率半径によれば、より良好な収差補正が可能である
が、十分な加工コストの低減ができない。一方、本発明
によれば、3種類以下の曲率半径の組合わせによって
も、実用上十分な収差補正ができ、加工コストの低減を
図ることができる。
【0009】
【0010】条件式(1)(n2 <1.75、ν2 <3
5)は、第2レンズ(負レンズ)の材質に関する条件で
ある。n2 <1.75は、強い負のパワーを持つ第2レ
ンズの屈折率を小さくすることにより、正レンズ群の正
のペッツバール和を補正し、像面湾曲を小とする。屈折
率nがこの条件式を越えて大きくなると、像面湾曲が大
きくなる。一方、既存の硝材では、屈折率が小さくなる
とアッベ数νが大きくなるという傾向がある。このた
め、像面湾曲補正のために屈折率を下げていくとアッベ
数が大きくなって倍率の色収差が補正不足となる。この
ためアッベ数νをν2 <35とし、像面湾曲と倍率の色
収差をバランスよく補正する。
【0011】一方、ルーペでは、入射瞳が定まらないた
め、アイポイントが明確に決まらない。このため、観察
者がある程度眼の位置を変化させても良好な像が得られ
るようにする必要がある。つまり、広い射出瞳径におい
て、諸収差、特にコマ収差を良好に補正することが好ま
しい。条件式(2)(0.9f<r7 <3f)は、この
コマ収差の補正のための条件である。強いパワーの負の
第2レンズで発生したコマ収差は、第1レンズと第3レ
ンズだけで補正することは困難で、残存している。本発
明は、これを、第4レンズの第1面で補正するのであ
る。この条件式の下限を越えると、コマ収差の補正が過
剰となり、上限を越えると、補正不足となり、また、第
4レンズの第1面のパワーの不足を第2面のパワーを強
くすることで補うため、第2面の曲率半径が小さくな
り、その結果、ディストーションが大となる。
【0012】条件式(3)((n1 +n3 +n4 )/3
<1.65)は、低コスト化を図るための条件である。
この条件式を越えて高い屈折率の硝材は高価であり、全
体として低コストのルーペを得ることが困難になる。
【0013】以下具体的な数値実施例について本発明を
説明する。実施例1ないし3はいずれも、物体側から順
に、両凸の正の第1レンズ11と、両凹の負の第2レン
ズ12と;両凸の正の第3レンズ13と;正の第4レン
ズ14とからなっている。
【0014】[実施例1]図1は、本発明のルーペの第
1の実施例の光学構成図である。このルーペの具体的数
値データを表1に示し、諸収差を図2、図3に示す。諸
収差図中、d線、g線、c線は、それぞれの波長を示
し、Sはサジタル、Mはメリディオナルを示している。
この実施例では、3枚の正レンズの曲率半径は、83.91
4、53.897及び666.343、の3種類の組合わせからなって
いる。
【0015】表および図面中、f は焦点距離、ERは射出
瞳径(アイリング)、B は射出角、ri はレンズ各面の
曲率半径、di はレンズ厚もしくはレンズ間隔、Nはd
線の屈折率、νはd線のアッベ数を示す。
【0016】
【表1】 f=55.66 アイレリーフ=40.00 面No. r d N ν 1 83.914 10.00 1.58913 61.2 2 -83.914 1.95 - - 3 -140.152 2.00 1.71736 29.5 4 55.710 2.50 - - 5 83.914 10.00 1.58913 61.2 6 -83.914 0.50 - - 7 53.897 7.90 1.51633 64.1 8 666.343 - - -
【0017】[実施例2]図4は、本発明のルーペの第
2の実施例の光学構成図である。このルーペの具体的数
値データを表2に示し、諸収差を図5、図6に示す。こ
の実施例では、3枚の正レンズの曲率半径は、83.290の
1種類のみからなっている。また1枚の負レンズは、そ
の表裏の曲率半径が同一である。
【0018】
【表2】 f=55.72 アイレリーフ=40.00 面No. r d N ν 1 83.290 13.10 1.58913 61.2 2 -83.290 2.10 - - 3 -58.575 2.00 1.68893 31.1 4 58.575 2.10 - - 5 83.290 13.10 1.58913 61.2 6 -83.290 0.50 - - 7 83.290 13.10 1.58913 61.2 8 -83.290 - - -
【0019】[実施例3]図7は、本発明のルーペの第
3の実施例の光学構成図である。このルーペの具体的数
値データを表3に示し、諸収差を図8、図9に示す。こ
の実施例では、3枚の正レンズの曲率半径は、117.358
、57.973の2種類の組合わせからなっている。
【0020】
【表3】 f=55.50 アイレリーフ=40.00 面No. r d N ν 1 117.358 11.00 1.60311 60.7 2 -57.973 6.31 - - 3 -34.312 2.00 1.67270 32.1 4 70.823 2.41 - - 5 117.358 11.10 1.60311 60.7 6 -57.973 0.50 - - 7 117.358 11.00 1.60311 60.7 8 -57.973 - - -
【0021】[実施例4]図10は、本発明のルーペの
第4の実施例の光学構成図である。このルーペの具体的
数値データを表4に示し、諸収差を図11、図12に示
す。この実施例では、3枚の正レンズの曲率半径は、8
3.914、180.000 の2種類の組合わせからなっている。
【0022】
【表4】 f=56.74 アイレリーフ=40.00 面No. r d N ν 1 83.914 10.00 1.58913 61.2 2 -83.914 1.95 - - 3 -140.152 2.00 1.71736 29.5 4 55.710 2.50 - - 5 83.914 10.00 1.58913 61.2 6 -83.914 2.86 - - 7 83.914 8.50 1.51633 64.1 8 -180.000 - - -
【0023】次に、実施例1ないし4の各条件式に対応
する値を表5に示す。
【表5】 実施例1 実施例2 実施例3 実施例4 n2 1.717 1.689 1.672 1.717 ν2 29.5 31.1 32.1 29.5 r7 0.968f 1.495f 2.110f 1.479f (n1+n3+n4)/3 1.565 1.589 1.603 1.565
【0024】以上のように、実施例1ないし4の条件式
(1)、(2)及び(3)についての数値は、いずれも
各条件式の数値を満足しており、諸収差図及びコマ収差
図に示すように、これらの収差もよく補正されている。
特にコマ収差がよく補正されているため、観察者が光軸
と直交する方向に眼の位置を変えても、収差の変化が少
ない。また、いずれの実施例もアイレリーフが40mmと
長く、ルーペとして好適である。
【0025】
【発明の効果】以上のように本発明は、両凸の正レン
ズ、両凹の負レンズ、両凸の正レンズ、及び正レンズか
らなるルーペであって、その3枚の正レンズの曲率半径
が3種類以下の曲率半径の組合わせからなっているた
め、加工コストが安い安価なルーペが得られる。また条
件式(1)ないし(3)を満足することにより、諸収差
が良好に補正された安価なルーペが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるルーペの第1の実施例を示す光学
構成図である。
【図2】図1のルーペの諸収差図である。
【図3】図1のルーペのコマ収差図である。
【図4】本発明によるルーペの第2の実施例を示す光学
構成図である。
【図5】図4のルーペの諸収差図である。
【図6】図4のルーペのコマ収差図である。
【図7】本発明によるルーペの第3の実施例を示す光学
構成図である。
【図8】図7のルーペの諸収差図である。
【図9】図7のルーペのコマ収差図である。
【図10】本発明によるルーペの第4の実施例を示す光
学構成図である。
【図11】図10のルーペの諸収差図である。
【図12】図10のルーペのコマ収差図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02B 9/00 - 17/08 G02B 21/02 - 21/04 G02B 25/00 - 25/04

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 物体側から順に、両凸の正の第1レンズ
    と;両凹の負の第2レンズと;両凸の正の第3レンズ
    と;正の第4レンズと;からなり、 第1、第3、及び第4の3枚の正レンズの6面の面形状
    が、絶対値で3種類以下の曲率半径の組合わせから構成
    され、下記の条件式(1)、(2)及び(3)を満足すること
    を特徴とするルーペ。 (1)n 2 <1.75、ν 2 <35 (2)0.9f<r 7 <3f (3)(n 1 +n 3 +n 4 )/3<1.65 但し、 1 :第1レンズの屈折率、 2 :第2レンズの屈折率、 3 :第3レンズの屈折率、 4 :第4レンズの屈折率、 ν 2 :第2レンズのアッベ数、 7 :第4レンズの第1面の曲率半径、 f:全系の焦点距離。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のルーペにおいて、第1、
    第3、及び第4の3枚の正レンズの6面の面形状は、2
    種類の曲率半径の組合わせから構成されているルーペ。
  3. 【請求項3】 請求項1記載のルーペにおいて、第1、
    第3、及び第4の3枚の正レンズの6面の面形状は、す
    べて同一の曲率半径であるルーペ。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし3 のいずれか1項記載の
    ルーペにおいて、第2レンズの第1面と第2面の凹面形
    状が同一であるルーペ。
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