JP3392205B2 - 新規遷移金属化合物およびこれを用いたオレフィンの重合方法 - Google Patents

新規遷移金属化合物およびこれを用いたオレフィンの重合方法

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JP3392205B2
JP3392205B2 JP04026894A JP4026894A JP3392205B2 JP 3392205 B2 JP3392205 B2 JP 3392205B2 JP 04026894 A JP04026894 A JP 04026894A JP 4026894 A JP4026894 A JP 4026894A JP 3392205 B2 JP3392205 B2 JP 3392205B2
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  • Transition And Organic Metals Composition Catalysts For Addition Polymerization (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】本発明は新規な遷移金属化合物に関する。
詳しくはある特定の配位子を有する遷移金属化合物に関
する。本発明の化合物はオレフィン重合用触媒成分とし
て有用である。
【0002】
【従来の技術】シクロペンタジエニル基、インデニル
基、フルオレニル基、またはそれらの置換体を配位子と
する遷移金属化合物、いわゆるメタロセン化合物は、助
触媒、例えばアルミノキサンと共に使用してオレフィン
を重合することによりポリオレフィンが製造できること
が知られている。特開昭61−130314号公報には
立体的に固定したジルコン・キレート化合物およびアル
ミノキサンからなる触媒を用いてポリオレフィンを製造
する方法が記載されている。また、同公報には遷移金属
化合物としてエチレンビス(4,5,6,7−テトラヒ
ドロインデニル)ジルコニウムジクロリドを使用するこ
とにより、アイソタクチック度の高いポリオレフィンを
製造する方法が記載されている。特開平3−41303
号公報には、互いに非対称な架橋性配位子を有するメタ
ロセン化合物およびアルミノキサンからなる触媒を用い
ることによってシンジオタクチックポリ−α−オレフィ
ンが製造できることが記載されている。このように、メ
タロセン化合物を主成分とする触媒系では使用されるメ
タロセン化合物の構造を変えることにより、得られるポ
リマーの立体規則性、分子量等が制御できる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上述のように、メタロ
セン化合物の構造を変えることにより物性の異なるポリ
マーが製造できる。本発明の課題は各種用途に適したポ
リマーを製造するための触媒に使用される新しいメタロ
セン化合物を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく新規メタロセン化合物の合成について鋭意
検討した結果、ある特定の配位子を有する遷移金属化合
物を合成することに成功し、この化合物を触媒成分とし
てオレフィンの重合に使用することにより物性の良好な
ポリオレフィンを製造することができることを見出し、
本発明を完成するに到った。すなわち、本発明は一般式
〔I〕[化2]
【0005】
【化2】 (ここで、A1は置換されていてもよいシクロペンタジ
エニル基、置換されていてもよいインデニル基、置換さ
れていてもよい飽和もしくは部分飽和インデニル基、置
換されていてもよいフルオレニル基または置換されてい
てもよい飽和もしくは部分飽和フルオレニル基を示し、
2はアルキルシリル基で置換された1置換または2置
換フルオレニル基を示す。A3、A4は炭素数1〜10の
アルキル基、炭素数6〜20のアリール基、アルキルア
リール基、アラルキル基、ハロゲン化アリール基、アル
コキシアリール基または酸素、窒素、硫黄、珪素などの
ヘテロ原子を含む炭化水素基または水素原子である。Q
はA1、A2を連結する炭素原子、炭素数2〜10の炭化
水素基または珪素、ゲルマニウム、錫を含む炭化水素基
である。また、A3、A4は互いに連結していてA3
4、Qの間で環構造を形成していてもよい。R1、R2
はハロゲン原子、水素原子、炭素数1〜10のアルキル
基、炭素数6〜20までのアリール基、アルキルアリー
ル基、アリールアルキル基を示す。Mはチタン、ジルコ
ニウム、ハフニウムである。)で表される新規遷移金属
化合物であり、さらに上記一般式〔I〕で表される遷移
金属化合物と助触媒とからなる触媒の存在下にオレフィ
ンを重合することを特徴とするオレフィンの重合方法で
ある。
【0006】一般式〔I〕中、A1は置換されていてもよ
いシクロペンタジエニル基、置換されていてもよいイン
デニル基、置換されていてもよい飽和もしくは部分飽和
インデニル基、置換されていてもよいフルオレニル基ま
たは置換されていてもよい飽和もしくは部分飽和フルオ
レニル基を示す。
【0007】置換シクロペンタジエニル基の置換基の例
としては炭素数が1から4のアルキル基が挙げられ、こ
れらの1から4置換体が好ましく用いられる。置換シク
ロペンタジエニル基の好ましい具体例としては、例えば
メチルシクロペンタジエニル基、ジメチルシクロペンタ
ジエニル基、トリメチルシクロペンタジエニル基、テト
ラメチルシクロペンタジエニル基、t-ブチルシクロペン
タジエニル基、ジt−ブチルシクロペンタジエニル基等
を挙げることができる。
【0008】置換インデニル基または置換飽和もしくは
部分飽和インデニル基の置換基の例としては炭素数が1
から4のアルキル基が挙げられ、これらの1または2置
換体が好ましく用いられる。置換インデニル基の好まし
い具体例としては、例えば2-メチルインデニル基、3-メ
チルインデニル基、2-メチル4-イソプロピルインデニル
基が挙げられ、飽和もしくは部分飽和インデニル基の例
としては4,5,6,7-テトラヒドロインデニル基等を挙げる
ことができる。
【0009】置換フルオレニル基または置換飽和もしく
は部分飽和フルオレニル基の置換基の例としては炭素数
が1から4のアルキル基、炭素数が好ましくは1から5
のアルキルシリル基が挙げられ、これらの1または2置
換体が好ましく用いられる。置換フルオレニル基の好ま
しい具体例としては、例えば1-メチルフルオレニル基、
2,7-ジt-ブチルフルオレニル基が挙げられ、置換されて
もよい飽和もしくは部分飽和フルオレニル基の例として
は1,2,3,4,5,6,7,8-オクタヒドロフルオレニル基、1-メ
チル-1,2,3,4,5,6,7,8- オクタヒドロフルオレニル基等
を挙げることができる。
【0010】A2はアルキルシリル基で置換された1置
換または2置換フルオレニル基であり、アルキルシリル
基のアルキル基としては炭素数が1から5のアルキル基
が好ましい。A2の具体例としては例えば、2-トリメチ
ルシリルフルオレニル基、2,7-ビス(トリメチルシリ
ル)フルオレニル基、2-トリエチルシリルフルオレニル
基、2,7-ビス(トリエチルシリル)フルオレニル基、2-
トリプロピルシリルフルオレニル基、2,7-ビス(トリプ
ロピルシリル)フルオレニル基、2-トリブチルシリルフ
ルオレニル基、2,7-ビス(トリブチルシリル)フルオレ
ニル基、2-トリペンチルシリルフルオレニル基、2,7-ビ
ス(トリペンチルシリル)フルオレニル基などを挙げる
ことができる。
【0011】A3、A4は炭素数1〜10のアルキル基、
炭素数6〜20のアリール基、アルキルアリール基、ア
ラルキル基、ハロゲン化アリール基、アルコキシアリー
ル基または酸素、窒素、硫黄、珪素などのヘテロ原子を
含む炭化水素基または水素原子である。アルキル基とし
てはメチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられ、ア
リール基の例としてはフェニル基等が挙げられ、アルキ
ルアリール基の例としてはトルイル基等が挙げられ、ア
ラルキル基の例としてはベンジル基等が挙げられ、ハロ
ゲン化アリール基の例としてはフルオロフェニル基等が
挙げられ、アルコキシアリール基の例としてはメトキシ
フェニル基等を挙げることができる。また、ヘテロ原子
を含む炭化水素基としては酸素、窒素、硫黄、珪素を含
む炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリ
ール基、アラルキル基等を挙げるこきとができる。これ
らの中で合成の容易さなどの理由により酸素、窒素を含
む炭素数6〜10のアリール基、アラルキル基が好適で
ある。具体的にはメトキシベンジル基、ジメチルアミノ
フェニル基等を挙げることができる。
【0012】QはA1、A2を連結する炭素原子、炭素数
2〜10までの炭化水素基または珪素、ゲルマニウム、
錫を含む炭化水素基であり、好ましくは炭素数1〜4の
炭化水素基、珪素原子である。炭素数2〜4の炭化水素
基としては例えばエチレン基、プロピレン基、ブチレン
基が挙げられる。また、A3、A4は互いに連結していて
3、A4、Qの間で環構造を形成していてもよい。その
ような場合のA3、A4、Qがなす基としては、例えばシ
クロペンチリデン基、シクロヘキシリデン基、シクロペ
ンタン−1−シラ−1−イリデン基、テトラヒドロピラ
ン−4−イリデン基、テトラヒドロチオピラン−4−イ
リデン基などを挙げることができる。
【0013】R1、R2はハロゲン原子、水素原子、炭素
数1〜10のアルキル基、炭素数6〜20のアリール
基、アルキルアリール基、アリールアルキル基を示し、
好ましくは塩素原子、メチル基、ベンジル基である。M
はチタン、ジルコニウム、ハフニウムを示し、好ましく
はジルコニウム、ハフニウムである。
【0014】本発明の一般式〔I〕で表される遷移金属
化合物の好ましい具体例としては例えば、イソプロピリ
デン(シクロペンタジエニル)(2-トリメチルシリルフ
ルオレニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデ
ン(シクロペンタジエニル)(2-トリエチルシリルフル
オレニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン
(シクロペンタジエニル)〔2,7-ビス(トリメチルシリ
ル)フルオレニル〕ジルコニウムジクロリド、イソプロ
ピリデン(シクロペンタジエニル)〔2,7-ビス(トリエ
チルシリル)フルオレニル〕ジルコニウムジクロリド、
イソプロピリデン(メチルシクロペンタジエニル)(2-
トリメチルシリルフルオレニル)ジルコニウムジクロリ
ド、イソプロピリデン(メチルシクロペンタジエニル)
(2-トリエチルシリルフルオレニル)ジルコニウムジク
ロリド、イソプロピリデン(メチルシクロペンタジエニ
ル)〔2,7-ビス(トリメチルシリル)フルオレニル〕ジ
ルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(メチルシク
ロペンタジエニル)〔2,7-ビス(トリエチルシリル)フ
ルオレニル〕ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデ
ン(t-ブチルシクロペンタジエニル)(2-トリメチルシ
リルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロ
ピリデン(t-ブチルシクロペンタジエニル)(2-トリエ
チルシリルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、イ
ソプロピリデン(t-ブチルシクロペンタジエニル)〔2,
7-ビス(トリメチルシリル)フルオレニル〕ジルコニウ
ムジクロリド、イソプロピリデン(t-ブチルシクロペン
タジエニル)〔2,7-ビス(トリエチルシリル)フルオレ
ニル〕ジルコニウムジクロリド、
【0015】メチルフェニルメチレン(シクロペンタジ
エニル)(2-トリメチルシリルフルオレニル)ジルコニ
ウムジクロリド、メチルフェニルメチレン(シクロペン
タジエニル)(2-トリエチルシリルフルオレニル)ジル
コニウムジクロリド、メチルフェニルメチレン(シクロ
ペンタジエニル)〔2,7-ビス(トリメチルシリル)フル
オレニル〕ジルコニウムジクロリド、メチルフェニルメ
チレン(シクロペンタジエニル)〔2,7-ビス(トリエチ
ルシリル)フルオレニル〕ジルコニウムジクロリド、メ
チルフェニルメチレン(メチルシクロペンタジエニル)
(2-トリメチルシリルフルオレニル)ジルコニウムジク
ロリド、メチルフェニルメチレン(メチルシクロペンタ
ジエニル)(2-トリエチルシリルフルオレニル)ジルコ
ニウムジクロリド、メチルフェニルメチレン(メチルシ
クロペンタジエニル)〔2,7-ビス(トリメチルシリル)
フルオレニル〕ジルコニウムジクロリド、メチルフェニ
ルメチレン(メチルシクロペンタジエニル)〔2,7-ビス
(トリエチルシリル)フルオレニル〕ジルコニウムジク
ロリド、メチルフェニルメチレン(t-ブチルシクロペン
タジエニル)(2-トリメチルシリルフルオレニル)ジル
コニウムジクロリド、メチルフェニルメチレン(t-ブチ
ルシクロペンタジエニル)(2-トリエチルシリルフルオ
レニル)ジルコニウムジクロリド、メチルフェニルメチ
レン(t-ブチルシクロペンタジエニル)〔2,7-ビス(ト
リメチルシリル)フルオレニル〕ジルコニウムジクロリ
ド、
【0016】メチルフェニルメチレン(t-ブチルシクロ
ペンタジエニル)〔2,7-ビス(トリエチルシリル)フル
オレニル〕ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレ
ン(シクロペンタジエニル)(2-トリメチルシリルフル
オレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレ
ン(シクロペンタジエニル)(2-トリエチルシリルフル
オレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレ
ン(シクロペンタジエニル)〔2,7-ビス(トリメチルシ
リル)フルオレニル〕ジルコニウムジクロリド、ジフェ
ニルメチレン(シクロペンタジエニル)〔2,7-ビス(ト
リエチルシリル)フルオレニル〕ジルコニウムジクロリ
ド、ジフェニルメチレン(メチルシクロペンタジエニ
ル)(2-トリメチルシリルフルオレニル)ジルコニウム
ジクロリド、ジフェニルメチレン(メチルシクロペンタ
ジエニル)(2-トリエチルシリルフルオレニル)ジルコ
ニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(メチルシクロ
ペンタジエニル)〔2,7-ビス(トリメチルシリル)フル
オレニル〕ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレ
ン(メチルシクロペンタジエニル)〔2,7-ビス(トリエ
チルシリル)フルオレニル〕ジルコニウムジクロリド、
ジフェニルメチレン(t-ブチルシクロペンタジエニル)
(2-トリメチルシリルフルオレニル)ジルコニウムジク
ロリド、ジフェニルメチレン(t-ブチルシクロペンタジ
エニル)(2-トリエチルシリルフルオレニル)ジルコニ
ウムジクロリド、ジフェニルメチレン(t-ブチルシクロ
ペンタジエニル)〔2,7-ビス(トリメチルシリル)フル
オレニル〕ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレ
ン(t-ブチルシクロペンタジエニル)〔2,7-ビス(トリ
エチルシリル)フルオレニル〕ジルコニウムジクロリ
ド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2-ト
リメチルシリルフルオレニル)ジルコニウムジクロリ
ド、
【0017】ジメチルシリレン(シクロペンタジエニ
ル)(2-トリエチルシリルフルオレニル)ジルコニウム
ジクロリド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニ
ル)〔2,7-ビス(トリメチルシリル)フルオレニル〕ジ
ルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(シクロペン
タジエニル)〔2,7-ビス(トリエチルシリル)フルオレ
ニル〕ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(メ
チルシクロペンタジエニル)(2-トリメチルシリルフル
オレニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン
(メチルシクロペンタジエニル)(2-トリエチルシリル
フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリ
レン(メチルシクロペンタジエニル)〔2,7-ビス(トリ
メチルシリル)フルオレニル〕ジルコニウムジクロリ
ド、ジメチルシリレン(メチルシクロペンタジエニル)
〔2,7-ビス(トリエチルシリル)フルオレニル〕ジルコ
ニウムジクロリド、ジメチルシリレン(t-ブチルシクロ
ペンタジエニル)(2-トリメチルシリルフルオレニル)
ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(t-ブチル
シクロペンタジエニル)(2-トリエチルシリルフルオレ
ニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(t-
ブチルシクロペンタジエニル)〔2,7-ビス(トリメチル
シリル)フルオレニル〕ジルコニウムジクロリド、ジメ
チルシリレン(t-ブチルシクロペンタジエニル)〔2,7-
ビス(トリエチルシリル)フルオレニル〕ジルコニウム
ジクロリド等、あるいはこれらの化合物におけるジルコ
ニウムをハフニウムにおきかえた化合物を挙げることが
できる。
【0018】本発明の一般式〔I〕で表される遷移金属
化合物は、例えば特開平2−41303号公報、特開平
1−203404号公報、特開平1−301704号公
報などに記載されているような、メタロセン化合物を合
成する公知の方法により合成することができる。具体的
には例えば下記のような経路により合成することができ
る。Qが炭素原子の場合、[化3]
【0019】
【化3】 A34Q=A1 + HA2Li + HCl → A34QHA1HA2 + LiCl (1) A34QHA1HA2 + 2n−BuLi → A34QA12Li2 + 2BuH (2) A34QA12Li2 + MX4 → A34QA12MX2 + 2LiX (3) Qが炭素原子以外の場合、[化4]
【0020】
【化4】 HA1Li + A34QX1 2 → A34QHA11 + LiX1 (4) A34QHA11 + HA2Li → A34QHA1HA2 + LiX1 (5) A34QHA1HA2 + 2n−BuLi → A34QA12Li2 + 2BuH (6) A34QA12Li2 + MX4 → A34QA12MX2 + 2LiX (7) (ここでA2は1置換フルオレニル基または2置換フル
オレニル基、X,X1はハロゲン原子である。) さらに、上記A34QA12MX2は、RLiやRMg
X(Rはアルキル基、アリール基、アリールアルキル基
である)などの周期律表1A族、2A族の有機金属化合
物と反応させることにより、Xの少なくとも1つをRで
置換した化合物を得ることができる。
【0021】反応式(1)で使用されるA34Q=A1
で表されるフルベン化合物は、例えば、J. Org. Chem.,
33 , 2368 (1968) 、J. Organomet. Chem., 353, 93
(1984) などに記載されている方法を用いて合成するこ
とができる。反応式(1)および(2)または反応式
(4)、(5)、(6)を行う際に使用する溶媒として
はテトラヒドロフラン、ジエチルエーテルなどのエーテ
ル類が好ましく利用される。反応式(3)および(7)
を行う際に使用する溶媒としては、テトラヒドロフラ
ン、ジエチルエーテルなどのエーテル類、クロロホル
ム、ジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素の他に、
ペンタン、ヘキサン、ベンゼン、トルエンなどの脂肪族
または芳香族炭化水素媒体も使用することができる。
【0022】また、本発明の遷移金属化合物の内、イン
デニル基またはフルオレニル基を含有する化合物におい
ては、さらに水素化反応を行うことによりテトラヒドロ
インデニル基またはオクタヒドロフルオレニル基等の部
分飽和インデニル基または部分飽和フルオレニル基を含
有する遷移金属化合物に変換することができる。水素化
反応を行う際に使用される触媒としては、PtO2、P
d−Cなどの不飽和炭化水素を水素化する公知の触媒が
用いられる。使用する溶媒としては、テトラヒドロフラ
ン、ジエチルエーテルなどのエーテル類、クロロホル
ム、ジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素の他に、
ペンタン、ヘキサン、ベンゼン、トルエンなどの脂肪族
または芳香族炭化水素媒体も使用することができる。
【0023】本発明の一般式〔I〕で表される新規遷移
金属化合物は、メタロセン化合物とともに使用される公
知の助触媒と組み合わせることによりオレフィン重合用
触媒として使用することができる。そのような助触媒と
しては、公知のアルミノキサン類の他に特表平1−50
1950号公報、特表平1−502036号公報に記載
されているような遷移金属カチオンを安定化することの
できる化合物や、特開平3−179006号公報に記載
されているようなルイス酸性を示す化合物も使用するこ
とができる。
【0024】アルミノキサン類としては例えば特開昭5
9−95292号公報に記載されているようなトリアル
キルアルミニウムと水とを反応させることによって得ら
れる化合物を挙げることができる。好適にはトリメチル
アルミニウムを水と反応させることによって得られるメ
チルアルミノキサンでそのオリゴマー度が5量体以上、
好ましくは10量体以上、100量体以下のものが利用
される。上記アルミノキサン類には若干のアルキルアル
ミニウム化合物が混入していても差し支えない。また、
その他に、特開平2−24701号公報、特開平3−1
03407号公報などに記載されている二種類以上のア
ルキル基を有するアルミノキサンや、特開昭63−19
8691号公報などに記載されている微粒子状アルミノ
キサン、特開平2−167302号公報、特開平2−1
67305号公報などに記載されているアルミノキサン
を水や活性水素化合物と接触させて得られるアルミニウ
ムオキシ化合物なども好適に利用することができる。こ
れら助触媒の使用量は特に制限はないが、通常遷移金属
化合物に対して1〜10000モル倍である。
【0025】また、本発明における遷移金属化合物とア
ルミノキサン類からなる触媒は必要に応じて有機アルミ
ニウム化合物の存在下に使用することができる。そうす
ることにより、より少ないアルミノキサン類の使用量、
例えば1〜1000モル倍でオレフィンを重合させるこ
とができる。使用される有機アルミニウム化合物として
は、一般式〔II〕[化5]
【0026】
【化5】 R1 jAl(OR2klm 〔II〕 (ここでR1、R2は炭素数1〜20の炭化水素基で好ま
しくは炭素数1〜4のアルキル基を示し、R1、R2は互
いに同一であっても異なっていてもよい。Xはハロゲン
原子、Oは酸素原子、Hは水素原子を示す。jは1〜3
までの整数、k,l,mは0から2までの整数であり、
j+k+l+m=3である)で示される有機アルミニウ
ム化合物またはこの混合物が使用できる。具体的には例
えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウ
ム、トリイソブチルアルミニウム、ジエチルアルミニウ
ムクロリド、エチルアルミニウムジクロリド、ジイソブ
チルアルミニウムヒドリドなどを挙げることができる。
その中でも、トリエチルアルミニウム、トリイソブチル
アルミニウムが好適に用いられる。また、重合するモノ
マーによっては、特開平3−197513号公報に記載
されているような通常の有機アルミニウム化合物を助触
媒として使用することができる。本発明における遷移金
属触媒化合物および/または助触媒は、そのままでもS
iO2、Al23、MgCl2などのチーグラー型触媒を
担持する公知の担体上に担持して使用してもよい。
【0027】本発明の遷移金属触媒化合物を用いた重合
方法および重合条件については特に制限はなくオレフィ
ンの重合で行われる公知の方法が用いられ、不活性炭化
水素媒体を用いる溶媒重合法、または実質的に不活性炭
化水素媒体の存在しない塊状重合法、気相重合法も利用
でき、重合温度としては−100〜200℃、重合圧力
としては常圧〜100kg/cm2で行うのが一般的で
ある。好ましくは−50〜100℃、常圧〜50kg/
cm2である。
【0028】触媒の処理および/または重合に際し使用
される炭化水素媒体としては例えばブタン、ペンタン、
ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、シク
ロペンタン、シクロヘキサンなどの飽和炭化水素の他
に、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水
素も使用することができる。
【0029】重合に際し使用されるオレフィンとして
は、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテ
ン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ド
デセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オ
クタデセンなどの炭素数3〜25のα−オレフィンおよ
びエチレンを挙げることができる。本発明の遷移金属触
媒化合物は、オレフィンの単独重合のみならず、例えば
プロピレンとエチレン、プロピレンと1−ブテンなどの
炭素数2〜25程度のエチレンまたはα−オレフィンの
共重合体を製造する際にも利用できる。
【0030】
【実施例】以下に本発明を実施例によって具体的に説明
する。 実施例1 〔遷移金属化合物の合成〕ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)〔2,7-ビ
ス(トリメチルシリル)フルオレニル〕ジルコニウムジ
クロリド 充分窒素置換した300cm3のガラス製フラスコに、
2,7-ビス(トリメチルシリル)フルオレニルリチウムと
ジフェニルフルベンとを反応させることによって得たジ
フェニル(シクロペンタジエニル)〔2,7-ビス(トリメ
チルシリル)フルオレニル〕メタン3.0gを100c
3のTHFに溶解し、この溶液にブチルリリウムのヘ
キサン溶液11.1mmolを−60℃で滴下し、室温
で15時間反応させた。この反応液を減圧下にて溶媒を
除去することにより得られた赤色固体をペンタンで洗浄
することによりジフェニル(シクロペンタジエニル)
〔2,7-ビス(トリメチルシリル)フルオレニル〕メタン
のジリチウム塩を得た。このジリチウム塩と1.3gの
四塩化ジルコニウムとをペンタン100cm3 中で15
時間反応させることによって得られた固体をろ過により
分離し、さらにジクロロメタン/ペンタン混合溶媒より
再結晶することにより赤色結晶のジフェニルメチレン
(シクロペンタジエニル)〔2,7-ビス(トリメチルシリ
ル)フルオレニル〕ジルコニウムジクロリド0.6gを
得た。この化合物の物性値を下に示す。1 H−NMRスペクトル(270MHz,CDCl3
液)(ppm) 8.20〜7.2(m,14H),6.52(s,2
H),6.33,5.65(t,4H),0.0(s,
18H)
【0031】実施例2 〔重合検定〕充分窒素置換した1.5lのオートクレー
ブにトルエン0.75lを装入し、次いで上記合成した
ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)〔2,7-ビ
ス(トリメチルシリル)フルオレニル〕ジルコニウムジ
クロリド2.0mgおよび東ソー・アクゾ(株)製メチ
ルアルミノキサン(重合度17.7)0.32gを加え
た後プロピレンガスをゲージ圧が3kg/cm2になる
ように加え、20℃で1時間重合した。少量のメタノー
ルを系内に導入することにより重合を停止し、未反応の
プロピレンをパージし、ろ過、乾燥することにより39
gのシンジオタクチックポリプロピレンを得た。このポ
リマーの135℃のテトラリン溶液で測定した極限粘度
〔η〕は2.71であった。また、13C−NMRで測定
したシンジオクチック(rrrr)は0.935であっ
た。
【0032】参考例1 遷移金属化合物成分として特開平2−274703号公
報記載の方法により合成したジフェニルメチレン(シク
ロペンタジエニル)フルオレニルジルコニウムジクロリ
ドを使用したこと以外は実施例2と同様にしてプロピレ
ン重合をおこなった。その結果、8.7gのシンジオタ
クチックポリプロピレンを得た。このポリマーの135
℃のテトラリン溶液で測定した極限粘度〔η〕は4.5
3であった。また、13C−NMRで測定したシンジオク
チック(rrrr)は0.908であった。このよう
に、本発明の遷移金属化合物を使用しオレフィンの重合
を行うことにより物性の異なるポリオレフィンを製造す
ることができる。
【0033】
【発明の効果】本発明の遷移金属化合物を使用し、本発
明の方法を実施することにより効率良くオレフィンを重
合することができ、工業的に極めて価値がある。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−17519(JP,A) 特開 平5−9213(JP,A) 特開 平5−140221(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08F 4/64 - 4/658 CA(STN)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式〔I〕[化1] 【化1】 (ここで、A1は置換されていてもよいシクロペンタジ
    エニル基、置換されていてもよいインデニル基、置換さ
    れていてもよい飽和もしくは部分飽和インデニル基、置
    換されていてもよいフルオレニル基または置換されてい
    てもよい飽和もしくは部分飽和フルオレニル基を示し、
    2はアルキルシリル基で置換された1置換または2置
    換フルオレニル基を示す。A3、A4は炭素数1〜10の
    アルキル基、炭素数6〜20のアリール基、アルキルア
    リール基、アラルキル基、ハロゲン化アリール基、アル
    コキシアリール基、または酸素、窒素、硫黄、珪素など
    のヘテロ原子を含む炭化水素基または水素原子である。
    QはA1、A2を連結する炭素原子、炭素数2〜10の炭
    化水素基または珪素、ゲルマニウム、錫を含む炭化水素
    基である。また、A3、A4は互いに連結していてA3
    4、Qの間で環構造を形成していてもよい。R1、R2
    はハロゲン原子、水素原子、炭素数1〜10のアルキル
    基、炭素数6〜20までのアリール基、アルキルアリー
    ル基、アリールアルキル基を示す。Mはチタン、ジルコ
    ニウム、ハフニウムである。)で表される新規遷移金属
    化合物。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の新規遷移金属化合物およ
    び助触媒からなる触媒を用いてオレフィンを重合するこ
    とを特徴とするオレフィンの重合方法。
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