JP3387735B2 - 液体吐出ヘッド、ヘッドカートリッジ及び液体吐出装置 - Google Patents
液体吐出ヘッド、ヘッドカートリッジ及び液体吐出装置Info
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- Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)
Description
体に作用させることで起こる気泡の発生によって、所望
の液体を吐出する液体吐出ヘッドに関し、特に、気泡の
発生を利用して変位する可動部材を有する液体吐出ヘッ
ド液体吐出ヘッドを用いたヘッドカートリッジ及び液体
吐出装置に関する。
金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス等の
被記録媒体に対し記録を行うプリンター、複写機、通信
システムを有するファクシミリ、プリンタ部を有するワ
ードプロセッサ等の装置、さらには各種処理装置と複合
的に組み合わせた産業用記録装置に適用できる発明であ
る。
字や図形等の意味を持つ画像を被記録媒体に対して付与
することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像
を付与することをも意味するものである。
で、インクに急峻な体積変化(気泡の発生)を伴う状態
変化を生じさせ、この状態変化に基づく作用力によって
吐出口からインクを吐出し、これを被記録媒体上に付着
させて画像形成を行なうインクジェット記録方法、いわ
ゆるバブルジェット記録方法が従来知られている。この
バブルジェット記録方法を用いる記録装置には、USP
4,723,129等の公報に開示されているように、
インクを吐出するための吐出口と、この吐出口に連通す
るインク流路と、インク流路内に配されたインクを吐出
するためのエネルギー発生手段としての電気熱変換体が
一般的に配されている。
像を高速、低騒音で記録することができると共に、この
記録方法を行うヘッドではインクを吐出するための吐出
口を高密度に配置することができるため、小型の装置で
高解像度の記録画像、さらにカラー画像をも容易に得る
ことができるという多くの優れた点を有している。この
ため、このバブルジェット記録方法は近年、プリンタ
ー、複写機、ファクシミリ等の多くのオフィス機器に利
用されており、さらに、捺染装置等の産業用システムに
まで利用されるようになってきている。
製品に利用されるに従って、次のような様々な要求が近
年さらにたかまっている。
する検討としては、保護膜の厚さを調整するといった発
熱体の最適化が挙げられている。この手法は、発生した
熱の液体への伝搬効率を向上させる点で効果がある。
の吐出スピードが速く、安定した気泡発生に基づく良好
なインク吐出を行える液体吐出方法等を与えるための駆
動条件が提案されたり、また、高速記録の観点から、吐
出された液体の液流路内への充填(リフィル)速度の速
い液体吐出ヘッドを得るために流路形状を改良したもの
も提案されている。
(a),(b)に示すものが、特開昭63−19997
2号公報等に記載されている。この公報に記載されてい
る流路構造やヘッド製造方法は、気泡の発生に伴って発
生するバック波(吐出口へ向かう方向とは逆の方向へ向
かう圧力、即ち、液室12へ向かう圧力)に着目した発
明である。このバック波は、吐出方向へ向かうエネルギ
ーでないため損失エネルギーとして知られている。
熱素子2が形成する気泡の発生領域よりも離れ且つ、発
熱素子2に関して吐出口11とは反対側に位置する弁1
0を開示する。
板材等を利用する製造方法によって、流路3の天井に貼
り付いたように初期位置を持ち、気泡の発生に伴って流
路3内へ垂れ下がるものとして開示されている。この発
明は、上述したバック波の一部を弁10によって制御す
ることでエネルギー損失を抑制するものとして開示され
ている。
べき液体を保持する流路3内部に、気泡が発生した際を
検討するとわかるように、弁10によるバック波の一部
を抑制することは、液体吐出にとっては実用的なもので
ないことがわかる。
吐出に直接関係しないものである。このバック波が流路
3内に発生した時点では、図44(a)に示すように、
気泡のうち吐出に直接関係する圧力はすでに流路3から
液体を吐出可能状態にしている。従って、バック波のう
ち、しかもその一部を抑制したからといっても、吐出に
大きな影響を与えないことは明らかである。
は、発熱体がインクに接した状態で加熱を繰り返すた
め、発熱体の表面にインクの焦げによる堆積物が発生す
るが、インクの種類によってはこの堆積物が多く発生す
ることで、気泡の発生を不安定にしてしまい、良好なイ
ンクの吐出を行うことが困難な場合があった。また、吐
出すべき液体が熱によって劣化しやすい液体の場合や十
分に発泡が得られにくい液体の場合においても、吐出す
べき液体を変質させず、良好に吐出するための方法が望
まれていた。
させる液体(発泡液)と吐出する液体(吐出液)とを別
液体とし、発泡による圧力を吐出液に伝達することで吐
出液を吐出する方法が、特開昭61−69467号公
報、特開昭55−81172号公報、USP4,48
0,259号等の公報に開示されている。これらの公報
では、吐出液であるインクと発泡液とをシリコーンゴム
などの可撓性膜で完全分離し、発熱体に吐出液が直接接
しないようにすると共に、発泡液の発泡による圧力を可
撓性膜の変形によって吐出液に伝える構成をとってい
る。このような構成によって、発熱体表面の堆積物の防
止や、吐出液体の選択自由度の向上等を達成している。
液とを完全分離する構成のヘッドにおいては、発泡時の
圧力を可撓性膜の伸縮変形によって吐出液に伝える構成
であるため、発泡による圧力を可撓性膜がかなり吸収し
てしまう。また、可撓性膜の変形量もあまり大きくない
ため、吐出液と発泡液とを分離することによる効果を得
ることはできるものの、エネルギー効率や吐出力が低下
してしまう虞があった。
来の気泡(特に膜沸騰に伴う気泡)を液流路中に形成し
て液体を吐出する方式の、根本的な吐出特性を、従来で
は考えられなかった観点から、従来では予想できない水
準に高めることを前提とする。
従来では得られなかった気泡を利用した新規な液滴吐出
方法及びそれに用いられるヘッド等を提供すべく、流路
中の可動部材の機構の原理を解析すると言った液流路中
の可動部材の動作を起点とする第1技術解析、及び気泡
による液滴吐出原理を起点とする第2技術解析、さらに
は、気泡形成用の発熱体の気泡形成領域を起点とする第
3解析を行うことにより得られたものである。
自由端の配置関係を吐出口側つまり下流側に自由端が位
置する関係にすること、また可動部材を発熱体もしく
は、気泡発生領域に面して配することで積極的に気泡を
制御する全く新規な技術を確立し、本出願人は出願して
いる。
エネルギーを考慮すると気泡の下流側の成長成分を考慮
することが吐出特性を格段に向上できる要因として最大
であること、つまり、気泡の下流側の成長成分を吐出方
向へ効率よく変換させることこそ吐出効率、吐出速度の
向上をもたらすことも開示している。本発明者達の一部
は気泡の下流側の成長成分を積極的に可動部材の自由端
側に移動させるという従来の技術水準に比べ極めて高い
技術水準を提案した。上記発明では、気泡を形成するた
めの発熱領域、例えば電気熱変換体の液体の流れ方向の
面積中心を通る中心線から下流側、あるいは、発泡を司
る面における面積中心等の気泡下流側の成長にかかわる
可動部材や液流路等の構造的要素を勘案することも好ま
しいということ、また、一方、可動部材の配置と液供給
路の構造を考慮することで、リフィル速度を大幅に向上
することができることも開示している。
有効に活用することを狙い、可動部材の構成に着目、改
善することによって、より安定した吐出特性を得るとい
う画期的な技術を導き出すに至った。
1の目的は、気泡発生による可動部材の変位に伴う発泡
圧の側方ロスを抑制し、吐出効率や吐出力をより向上さ
せた液体吐出ヘッドを提供することにある。
め、吐出効率や吐出力をより向上させた液体吐出ヘッド
を提供することにある。
止をより確実なものとし、良好な液体の吐出を行い得る
液体吐出ヘッドを提供することにある。
本的に制御することで極めて新規な液体吐出原理を提供
することにある。
の向上を図りつつ、発熱体上の液体への蓄熱を大幅に軽
減できると共に、発熱体上の残留気泡の低減を図ること
で、良好な液体の吐出を行いうる液体吐出ヘッド等を提
供することにある。
体供給方向とは逆方向への慣性力が働くのを抑えると同
時に、可動部材の弁機能によって、メニスカス後退量を
低減させることで、リフィル周波数を高め、印字スピー
ド等を向上させた液体吐出ヘッド等を提供することにあ
る。
物を低減すると共に、吐出用液の用途範囲を広げること
ができ、しかも吐出効率や吐出力が十分に高い液体吐出
ヘッドを等提供することにある。
択自由度を高くできる液体吐出ヘッド等を提供すること
にある。
るための液体導入路を少ない部品点数で構成することで
製造が容易で安価な液体吐出ヘッド等を提供すること、
また小型化が図れた液体吐出ヘッド等を提供することで
ある。
するための本発明の代表的な要件は、次のようなもので
ある。
生させる気泡発生領域と、前記気泡発生領域に面して配
され、第1の位置と該第1の位置よりも前記気泡発生領
域から遠い第2の位置との間を変位可能な可動部材と、
前記可動部材の両側部の少なくとも一部位に一体的に設
けられ、前記可動部材と一体となって変位すると共に、
発生した気泡の側方を覆う側方部材とを有し、前記可動
部材は、前記気泡発生部での気泡の発生に基づく圧力に
よって、前記第1の位置から前記第2の位置へ変位する
と共に、前記可動部材の変位によって前記気泡を吐出口
に向かう上流よりも下流に大きく膨張させることで液体
を吐出する液体吐出ヘッドである。
に熱を加えることで該液体に気泡を発生させる発熱体と
該発熱体に沿った該発熱体より上流側から前記発熱体上
に液体を供給するための供給路とを有する液流路と、前
記発熱体に面して設けられ吐出口側に自由端を有し前記
気泡の発生による圧力に基づいて前記自由端を変位させ
て前記圧力を吐出口側に導く可動部材と、前記可動部材
の両側部の少なくとも一部位に一体的に設けられ、前記
可動部材と一体となって変位すると共に、発生した気泡
の側方を覆う側方部材とを有する液体吐出ヘッドであ
る。
に熱を加えることで該液体に気泡を発生させる発熱体
と、前記発熱体に面して設けられ吐出口側に自由端を有
し前記気泡の発生による圧力に基づいて前記自由端を変
位させて前記圧力を吐出口側に導く可動部材と、前記可
動部材の両側部の少なくとも一部位に一体的に設けら
れ、前記可動部材と一体となって変位すると共に、発生
した気泡の側方を覆う側方部材と、前記可動部材の前記
発熱体に近い面に沿った上流側から前記発熱体上に液体
を供給する液流路とを有する液体吐出ヘッドである。
と、液体に熱を加えることで該液体に気泡を発生させる
気泡発生領域を有する第2の液流路と、前記第1の液流
路と前記気泡発生領域との間に配され、吐出口側に自由
端を有し、前記気泡発生領域内での気泡の発生による圧
力に基づいて該自由端を前記第1の液流路側に変位させ
て前記圧力を前記第1の液流路の吐出口側に導く可動部
材と、前記可動部材の両側部の少なくとも一部位に一体
的に設けられ、前記可動部材と一体となって変位すると
共に、発生した気泡の側方を覆う側方部材とを有する液
体吐出ヘッドである。
出口と、それぞれの吐出口に対応して直接連通する複数
の第1の液流路を構成するための複数の溝と、前記複数
の第1の液流路に液体を供給するための第1の共通液室
を構成する凹部とを一体的に有する溝付き部材と、液体
に熱を与えることで液体に気泡を発生させるための複数
の発熱体が配された素子基板と、前記溝付き部材と該素
子基板との間に配され、前記発熱体に対応した第2の液
流路の壁の一部を構成すると共に、前記発熱体に面した
位置に前記気泡の発生に基づく圧力によって前記第1の
液流路側に変位する可動部材とを具備した分離壁とを有
し、前記可動部材にはその両側部の少なくとも一部位
に、前記可動部材と一体となって変位すると共に、発生
した気泡の側方を覆う側方部材が一体的に設けられてい
る液体吐出ヘッドである。
基づく本発明の液体吐出ヘッドによると、発生した気泡
の側方は側方部材によって覆われるため、液体の流れの
方向に対する側方への圧力も吐出口の方向に向けられ
る。そして、気泡の成長方向自体も下流側に導かれて上
流より下流で大きく成長する。その結果、吐出口近傍の
液体を効率よく吐出口に向けて吐出できるため、従来の
バブルジェット方式の吐出ヘッドに比べて、吐出効率を
向上できる。例えば本発明の最も好ましい形態において
は2倍以上という飛躍的な吐出効率の向上を達成でき
た。
に伸縮部が設けられた可撓性の薄膜を有し、この伸縮部
を側方部材とした場合には、可動部材の変位量は伸縮部
で規制される。その結果、可動部材の変位によって生じ
る吐出口側の開口の大きさが一定になり、吐出口側に作
用する発泡圧も常に一定となるため、安定した吐出が達
成される。
低湿で長期放置を行った場合であっても不吐出になるこ
とを防止でき、仮に不吐出になっても、予備吐出や吸引
回復といった回復処理をわずかに行うだけで正常状態に
即座に復帰できる利点もある。
ブルジェット方式のヘッドの大半が不吐出になるような
長期放置条件においても、本発明のヘッドでは約半分以
下の吐出口が吐出不良になるだけである。また、これら
のヘッドを予備吐出で回復した場合、各吐出口に対して
従来ヘッドで数千発の予備吐出を行う必要があったが、
本発明では100発程度の予備吐出で回復を行うだけで
十分であった。これは、回復時間の短縮や回復による液
体の損失を低減でき、ランニングコストも大幅に下げる
ことが可能であることを意味する。
た構成によれば、連続吐出時の応答性、気泡の安定成
長、液滴の安定化を達成して、高速液体吐出による高速
記録また高画質記録を可能にすることができた。
例の記載から理解される。
流」とは、液体の供給源から気泡発生領域(又は可動部
材)を経て、吐出口へ向かう液体の流れ方向に関して、
又はこの構成上の方向に関しての表現として表されてい
る。
主として液滴の吐出に直接作用するとされる気泡の吐出
口側部分を代表する。より具体的には気泡の中心に対し
て、上記流れ方向や上記構成上の方向に関する下流側、
又は、発熱体の面積中心より下流側の領域で発生する気
泡を意味する。
閉」とは、気泡が成長するとき、可動部材が変位する前
に可動部材の下流側の隙間(スリット)から気泡がすり
抜けない程度の状態を意味する。
義では気泡発生領域と吐出口に直接連通する領域とを区
分するように介在する壁(可動部材を含んでもよい)を
意味し、狭義では気泡発生領域を含む流路を吐出口に直
接連通する液流路とを区分し、それぞれの領域にある液
体の混合を防止するものを意味する。
例を詳細に説明する。
気泡に基づく圧力の伝搬方向や気泡の成長方向を制御す
ることで吐出力や吐出効率の向上を図る場合の例を説明
する。
ドを液流路方向で切断した断面模式図を示しており、図
2はこの液体吐出ヘッドの部分破断斜視図を示してい
る。また図3は本実施例の液体吐出ヘッドを吐出口方向
から見た断面模式図を示している。
するための吐出エネルギー発生素子として、液体に熱エ
ネルギーを作用させる発熱体2(本実施例においては4
0μm×105μmの形状の発熱抵抗体)が素子基板1
に設けられており、この素子基板1上に発熱体2に対応
して液流路10が配されている。液流路10は吐出口1
8に連通していると共に、複数の液流路10に液体を供
給するための共通液室13に連通しており、吐出口18
から吐出された液体に見合う量の液体をこの共通液室1
3から受け取る。
の発熱体2に対向するように面して、樹脂等で形成され
た可撓性の薄膜からなり、両側部に伸縮部60を有し上
面が平面状の可動部材31が設けられている。この可動
部材31の一端および伸縮部60は、液流路10の壁や
素子基板1上に感光性樹脂などをパターニングして形成
した土台(支持部材)34等に固定されている。これに
よって可動部材31は、一端を支点(支点部分)33と
し、伸縮部60の伸縮を伴って上面が変位可能に保持さ
れる。
って共通液室13から可動部材31を経て吐出口18側
へ流れる大きな流れの上流側に前述の支点33を持ち、
この支点33に対して下流側が開口し、その両側部を伸
縮部60とし、さらにその先端が自由端(自由端部分)
32となるように、発熱体2に面した位置に発熱体2を
覆うような状態で発熱体から15μm程度の距離を隔て
て配されている。この発熱体2と可動部材31との間が
気泡発生領域11となる。
を図4を参照して説明する。ここでは、電鋳法により作
製する場合について説明する。まず、図4(a)に示す
ような、伸縮部となる部分に凸部62aが形成された母
型62を用意する。凸部62aの高さ、形状および数に
関しては、薄膜を形成する樹脂等の材料および厚さなど
によって、必要な変位量が得られるように決定する。次
いで、図4(b)に示すように、母型62の凸部62a
が形成された面に薄膜材料63としてポリイミドなどの
樹脂をコーティングする。そして、この薄膜材料63を
母型62から剥離し、図4(c)に示すように伸縮部6
0が形成された薄膜が得られる。
状および配置は上述したものに限られることなく、後述
するように気泡の成長や圧力の伝搬を制御しうる形状お
よび配置であればよい。なお、上述した液流路10は、
後に取り上げる液体の流れの説明のため、可動部材31
を境にして直接吐出口18に連通している部分である第
1液流路14と、気泡発生領域11や液体供給路12を
有する部分である第2液流路16との2つの領域に分け
て説明する。
と発熱体2との間の気泡発生領域11の液体に熱が作用
し、液体にUSP4,723,129に記載されているような膜沸騰
現象に基づく気泡を発生させる。気泡の発生に基づく圧
力と気泡は可動部材31に優先的に作用して伸縮部60
が伸び、可動部材31は図1(b)、(c)もしくは図
2で示されるように支点33を中心に吐出口18側に大
きく開くように変位する。可動部材31の変位若しくは
変位した状態によって気泡の発生に基づく圧力の伝搬や
気泡自身の成長が吐出口18側に導かれる。
を説明する。本発明において最も重要な原理の1つは、
気泡に対面するように配された可動部材31が気泡の圧
力あるいは気泡自体に基づいて、定常状態の第1の位置
から変位後の位置である第2の位置へ変位し、この変位
する可動部材31によって気泡の発生に伴う圧力や気泡
自身を吐出口18が配された下流側へ導くことである。
液流路構造を模式的に示した図5と本発明の図6とを比
較してさらに詳しく説明する。なおここでは吐出口方向
への圧力の伝搬方向をVA、上流側への圧力の伝搬方向
をVBとして示した。
ては、発生した気泡40による圧力の伝搬方向を規制す
る構成はない。このため気泡40の圧力伝搬方向はV1〜
V8のように気泡表面の垂線方向となり様々な方向を向い
ていた。このうち、特に液吐出に最も影響を及ぼすVA
方向に圧力伝搬方向の成分を持つものは、V1〜V4即ち気
泡のほぼ半分の位置より吐出口に近い部分の圧力伝搬の
方向成分であり、液吐出効率、液吐出力、吐出速度等に
直接寄与する重要な部分である。さらにV1は吐出方向V
Aの方向に最も近いため効率よく働き、逆にV4はVAに向
かう方向成分が比較的少ない。
合には、可動部材31が図5の場合のように様々な方向
を向いていた気泡の圧力伝搬方向V1〜V4を下流側(吐出
口側)へ導き、VAの圧力伝搬方向に変換するものであ
り、これにより気泡40の圧力が直接的に効率よく吐出
に寄与することになる。さらに、図3(b)に示される
ように、気泡40の側方は伸縮部60によって覆われる
ため、液流路10に対する側方への圧力も可動部材31
の伸縮部60により吐出口18の方向に向けることがで
きる。そして、気泡40の成長方向自体も圧力伝搬方向
V1〜V4と同様に下流方向に導かれ、上流より下流で大き
く成長する。このように、気泡40の成長方向自体を可
動部材31によって制御し、気泡40の圧力伝搬方向を
制御することで、吐出効率や吐出力また吐出速度等の根
本的な向上を達成することができる。
ッドの吐出動作について詳しく説明する。
等のエネルギーが印加される前の状態であり、発熱体2
が熱を発生する前の状態である。ここで重要なことは、
可動部材31が、発熱体2の発熱によって発生した気泡
40に対し、この気泡40の少なくとも下流側部分に対
面する位置に設けられていることである。つまり、気泡
40の下流側が可動部材31に作用するように、液流路
構造上では少なくとも発熱体の面積中心3より下流(発
熱体の面積中心3を通って流路の長さ方向に直交する線
より下流)の位置まで可動部材31が配されている。
等が印加されて発熱体2が発熱し、発生した熱によって
気泡発生領域11内を満たす液体の一部を加熱し、膜沸
騰に伴う気泡40を発生させた状態である。
基づく圧力により、気泡40の圧力の伝搬方向を吐出口
方向に導くように第1位置から第2位置へ変位する。ま
た、これに伴って伸縮部60が伸び、可動部材31は上
流側(共通液室13側)から下流側(吐出口18側)へ
向かう流路を形成する。ここで重要なことは前述したよ
うに、可動部材31の自由端32を下流側に配置して側
方は伸縮部60で覆いこれによって吐出口18側のみを
開口させ、支点33を上流側に位置するように配置し
て、可動部材31の少なくとも一部を発熱体2の下流部
分すなわち気泡40の下流部分に対面させることであ
る。
態であるが、気泡40発生に伴う圧力に応じて可動部材
31はさらに変位している。発生した気泡40は上流よ
り下流に大きく成長すると共に可動部材31の第1の位
置(一点鎖線位置)を越えて大きく成長している。
ように、可動部材31は伸縮部60を有する薄膜で形成
されており、支点33側と両側方の三方向が素子基板1
に対して一体となり吐出口18側の一方向のみが開口し
ているため、気泡40の成長に応じて可動部材31が徐
々に変位して行くことで気泡40の圧力伝搬方向や体積
移動のしやすい方向、すなわち可動部材31の開口され
た側への一方向へと抑制され、気泡40の成長方向を吐
出口18に均一的に向かわせることができることも吐出
効率を高めると考えられる。可動部材31は気泡40や
発泡圧を吐出口方向へ導く際もこの伝達の妨げになるこ
とはほとんどなく、伝搬する圧力の大きさに応じて効率
よく圧力の伝搬方向や気泡40の成長方向を制御するこ
とができる。しかも、可動部材31の変位量は伸縮部6
0によって規制され、可動部材31が変位した際の自由
端32における開口の大きさが常に一定となるため、第
1液流路14に作用する発泡圧も常に一定となり安定し
た吐出が達成される。
の後気泡内部圧力の減少によって収縮し、消滅する状態
を示している。
は、気泡40の収縮による負圧と可動部材31自身のば
ね性および伸縮部60の復元力によって図1(a)の初
期位置(第1の位置)に復帰する。また、消泡時には、
気泡発生領域11での気泡40の収縮体積を補うため、
また、吐出された液体の体積分を補うために上流側
(B)、すなわち共通液室13側からの流れVD1、VD2
のように、また、吐出口18側からの流れVC のように
液体が流れ込んでくる。
の動作と液体の吐出動作について説明したが、以下に本
発明の液体吐出ヘッドにおける液体のリフィルについて
詳しく説明する。
ズムをさらに詳しく説明する。
態を経て消泡過程に入ったときには、消泡した体積を補
う体積の液体が気泡発生領域11に、第1液流路14の
吐出口18側と第2液流路16の共通液室側13から流
れ込む。可動部材31を持たない従来の液流路構造にお
いては、消泡位置に吐出口側から流れ込む液体の量と共
通液室から流れ込む液体の量は、気泡発生領域より吐出
口に近い部分と共通液室に近い部分との流抵抗の大きさ
に起因する(流路抵抗と液体の慣性に基づくものであ
る。)。
い場合には、多くの液体が吐出口側から消泡位置に流れ
込みメニスカスMの後退量が大きくなることになる。特
に、吐出効率を高めるために吐出口に近い側の流抵抗を
小さくして吐出効率を高めようとするほど、消泡時のメ
ニスカスMの後退が大きくなり、リフィル時間が長くな
って高速印字を妨げることとなっていた。
けたため、気泡の体積Wを可動部材31の第1位置を境
に上側をW1、気泡発生領域11側をW2とした場合、
消泡時に可動部材31が元の位置に戻った時点でメニス
カスMの後退は止まり、その後残ったW2の体積分の液
体供給は主に第2流路16の流れVD2からの液供給によ
って成される。これにより、従来、気泡Wの体積の半分
程度に対応した量がメニスカスMの後退量になっていた
のに対して、それより少ないW1の半分程度のメニスカ
ス後退量に抑えることが可能になった。
の圧力を利用して可動部材31の発熱体2側の面に沿っ
て、主に第2液流路16の上流側(VD2)から強制的に
行うことができるためより速いリフィルを実現できた。
泡時の圧力を用いたリフィルを行った場合、メニスカス
の振動が大きくなってしまい画像品位の劣化につながっ
ていたが、本実施例の高速リフィルにおいては可動部材
31によって吐出口18側の第1液流路14の領域と、
気泡発生領域11との吐出口18側での液体の流通が抑
制されるためメニスカスMの振動を極めて少なくするこ
とができることである。
体供給路12を介しての気泡発生領域11への強制リフ
ィルと、上述したメニスカス後退や振動の抑制によって
高速リフィルを達成することで、吐出の安定や高速繰り
返し吐出、また記録の分野に用いた場合、画質の向上や
高速記録を実現することができる。
有効な機能を兼ね備えている。それは、気泡40の発生
による圧力の上流側への伝搬(バック波)を抑制するこ
とである。発熱体2上で発生した気泡40の内、共通液
室13側(上流側)の気泡40による圧力は、その多く
が、上流側に向かって液体を押し戻す力(バック波)に
なっていた。このバック波は、上流側の圧力と、それに
よる液移動量、そして液移動に伴う慣性力を引き起こ
し、これらは液体の液流路10内へのリフィルを低下さ
せ高速駆動の妨げにもなっていた。本発明においては、
まず可動部材31によって上流側へのこれらの作用を抑
えることでもリフィル供給性の向上をさらに図ってい
る。
果について、以下に説明する。
上流に発熱体2と実質的に平坦につながる(発熱体表面
が大きく落ち込んでいない)内壁を持つ液体供給路12
を有している。このような場合、気泡発生領域11およ
び発熱体2の表面への液体の供給は、可動部材31の気
泡発生領域11に近い側の面に沿って、VD2のように行
われる。このため、発熱体2の表面上に液体が淀むこと
が抑制され、液体中に溶存していた気体の析出や、消泡
できずに残ったいわゆる残留気泡が除去され易く、ま
た、液体への蓄熱が高くなりすぎることもない。従っ
て、より安定した気泡の発生を高速に繰り返し行うこと
ができる。なお、本実施例では実質的に平坦な内壁を持
つ液体供給路12を持つもので説明したが、これに限ら
ず、発熱体表面となだらかに繋がり、なだらかな内壁を
有する液供給路であればよく、発熱体上に液体の淀み
や、液体の供給に大きな乱流を生じない形状であればよ
い。
点33の位置は、例えば図7で示されるように、自由端
32が相対的に支点33より下流側にある。このような
構成のため、前述した発泡の際に気泡40の圧力伝搬方
向や成長方向を吐出口18側に導く等の機能や効果を効
率よく実現できるのである。さらに、この位置関係は吐
出に対する機能や効果のみならず、液体の供給の際にも
液流路10を流れる液体に対する流抵抗を小さくでき高
速にリフィルできるという効果を達成している。これは
図7に示すように、吐出によって後退したメニスカスM
が毛管力により吐出口18へ復帰する際や、消泡に対し
ての液供給が行われる場合に、液流路10(第1液流路
14、第2液流路16を含む)内を流れる流れS1、S
2、S3に対し、逆らわないように自由端32と支点33
とを配置しているためである。
述のように可動部材31の自由端32が、発熱体2を上
流側領域と下流側領域とに2分する面積中心3(発熱体
2の面積中心(中央)を通り液流路10の長さ方向に直
交する線)より下流側の位置に対向するように発熱体2
に対して延在している。これによって発熱体の面積中心
3の位置より下流側で発生する液体の吐出に大きく寄与
する圧力、又は気泡40を可動部材31が受け、この圧
力及び気泡40を吐出口18側に導くことができ、吐出
効率や吐出力を根本的に向上させることができる。
利用して多くの効果を得ている。
31の自由端32が瞬間的な機械的変位を行っているこ
とも、液体の吐出に対して有効に寄与していると考えら
れる。
ッドの第2の実施例の部分破断斜視図を示す。また、図
9には図1に示した液体吐出ヘッドを吐出口側から見た
模式断面図を示す。
と同様に両側部に伸縮部60を有し吐出口18側のみ開
口部をもつ薄膜と、この薄膜の上面すなわち伸縮部60
の間の領域に固着され、流れの上流側が支点33となり
下流側が自由端32となるように支持された片持梁65
とで構成される。片持梁65は、金属等の弾性を有する
材料からなる板状の部材である。そして、この薄膜と片
持梁65とで構成される可動部材31は、発熱体2に面
した位置に発熱体2を覆うような状態で発熱体2から1
5μm程度の距離を隔てて配されている。
じて片持梁65の自由端32が徐々に変位し、それに伴
って薄膜の伸縮部60が伸びていく。このとき、図9
(b)に示すように、片持梁65の側方は伸縮部60を
有する薄膜で覆われているので、気泡40の圧力伝搬方
向や体積移動のし易い方向は、片持梁65の自由端32
および伸縮部60を有する薄膜の開口方向の一方向に抑
制される。また、片持梁65を用いることにより、さら
なる方向制御および形状復帰を効率良く行うことが可能
となる。
例を示す。この図10において、Aは可動部材31が変
位している状態を示し(気泡は図示せず)、Bは可動部
材31が初期位置(第1位置)の状態を示し、このBの
状態をもって、気泡発生領域11を吐出口18に対して
実質的に密閉しているとする。(ここでは、図示してい
ないがA、B間には流路壁があり流路と流路を分離して
いる。) 図10における可動部材31は土台34を側部に2点設
け、その間に液体供給路12を設けている。これによ
り、可動部材31の発熱体2側の面に沿って、また、発
熱体2の面と実質的に平坦もしくは、なだらかにつなが
る面を持つ液体供給路12から液体の供給を成すことが
できる。
置)では、可動部材31は発熱体2の下流側に配された
発熱体下流壁36に近接または密着しており、この発熱
体下流壁36および可動部材31の伸縮部60により気
泡発生領域11の吐出口18側に実質的に密閉されてい
る。このため、発泡時の気泡の圧力、特に気泡の下流側
の圧力を逃がさず可動部材31の自由端32側に集中的
に作用させることができる。
置に戻り、発熱体2上への消泡時の液供給は気泡発生領
域11の吐出口18側が実質的に密閉状態になるため、
メニスカスの後退抑制等、先の実施例で説明した種々の
効果を得ることができる。また、リフィルに関する効果
においても先の実施例と同様の機能、効果を得ることが
できる。
のように、可動部材31を支持固定する土台34を発熱
体2より離れた上流に設けると共に、液流路10より小
さな幅の土台34とすることで前述のような液体供給路
12への液体の供給を行っている。また、土台34の形
状もこれに限らず、リフィルをスムースに行えるもので
あればよい。
発熱体2の間隔を15μm程度としたが、気泡の発生に
基づく圧力が十分に可動部材31に伝わる範囲であれば
よい。
概念の一つを示すもので、本発明の第4実施例となる。
図11は、一つの液流路中に気泡発生領域、そこで発生
する気泡および可動部材との位置関係を示していると共
に、本発明の液体吐出ヘッドによる液体吐出方法やリフ
ィル方法をより分かり易くした実施例である。
に対して、発生する気泡の圧力を集中して、急峻な可動
部材の移動と同時に気泡の移動を吐出口側に集中させる
ことを達成している。これに対して、本実施例は、発生
する気泡の自由度を与えながら、滴吐出に直接作用する
気泡の吐出口側である気泡の下流側部分を可動部材の自
由端側で規制するものである。
図2(第1実施例)と比較すると、図2の素子基板1上
に設けられた気泡発生領域の下流端に位置するバリヤー
としての凸部(図1の斜線部分)が本実施例では設けら
れていない。つまり、可動部材31の自由端領域は、吐
出口領域に対して気泡発生領域を実質的に密閉せずに開
放しており、この構成が本実施例である。
する下流側部分のうち、下流側先端部の気泡成長が許容
されているので、その圧力成分を吐出に有効に利用して
いる。加えて少なくともこの下流側部分の上方へ向かう
圧力(図3のV2 、V3 、V 4 の分力)を可動部材31
の自由端32側の部分が、この下流側先端部の気泡成長
に加えられるように作用するため吐出効率を上述した実
施例と同様に向上する。前記実施例に比較して本実施例
は、発熱体の駆動に対する応答性が優れている。
製造上の利点がある。
は、可動部材31の面部に対して小さい幅の1つの土台
34に固定されている。従って、消泡時の気泡発生領域
11への液体供給は、この土台34の両側を通って供給
される(図の矢印参照)。この土台34は供給性を確保
するものであればどのような構造でもよい。
例の場合には、可動部材31の存在によって気泡の消泡
にともなって上方から気泡発生領域11へ流れ込む流れ
が制御されるので、従来の発熱体のみの気泡発生構造に
対して優れたものとなる。無論、これによって、メニス
カスの後退量を減じることもできる。さらに、可動部材
31の自由端32に対する量側端は伸縮部60により気
泡発生領域11に対して実質的に密閉状態となっている
ので、可動部材31の側方へ向かう圧力をも先に説明し
た気泡の吐出口側端部の成長に変更して利用することが
でき、一層吐出効率が向上する。
体の吐出力をさらに向上させた例を本実施例で説明す
る。図12はこのようなヘッド構造の横断面図である。
図12においては、可動部材31の自由端32の位置が
発熱体2のさらに下流側に位置するように、可動部材3
1が延在している実施例を示している。これによって自
由端32での可動部材31の変位速度を高くすることが
でき、可動部材31の変位による吐出力の発生をさらに
向上させることができる。
吐出口18側に近づくことになるので気泡40の成長を
より安定した方向成分に集中できるので、より優れた吐
出を行うことができる。
度に応じて、可動部材31は変位速度R1で変位する
が、この位置より支点33に対して、遠い位置の自由端
32はさらに速い速度R2で変位する。これにより、自
由端32を高い速度で機械的に液体に作用せしめ液移動
を起こさせることで吐出効率を高めている。
ように液流れに対して垂直な形状をすることにより、気
泡40の圧力や可動部材31の機械的な作用をより効率
的に吐出に寄与させることができる。
(c)は本発明の第6実施例を示す。
出口18と直接連通する領域は共通液室側13と連通し
た流路形状となっておらず、構造の簡略化が図れるもの
である。
域11側の面に沿った液体供給路12からのみ行われる
もので、可動部材31の自由端32や支点33の吐出口
18に対する位置関係や発熱体2に面する構成は前述の
実施例と同様である。
した効果を実現するものであるが、特にメニスカスの後
退を抑制し消泡時の圧力を利用して、ほとんど全ての液
供給を消泡時の圧力を利用して、強制リフィルを行うも
のである。
させた状態を示しており、図13(b)は、前記発泡が
収縮しつつある状態で、このとき可動部材31の初期位
置への復帰とS3による液供給が行われる。
置に復帰する際のわずかなメニスカス後退を、消泡後に
吐出口18付近の毛細管力によって、リフィルしている
状態である。
複流路構成にすることで、さらに熱を加えることで発泡
させる液体(発泡液)と、主として吐出される液体(吐
出液)とを分けることができるものである。
流路方向の断面模式図を示している。
を発生させるための熱エネルギーを与える発熱体2が設
けられた素子基板1上に、発泡用の第2液流路16があ
り、その上に吐出口18に直接連通した吐出液用の第1
液流路14が配されている。
流路14に吐出液を供給するための第1共通液室15に
連通しており、第2液流路16の上流側は、複数の第2
液流路16に発泡液を供給するための第2共通液室17
に連通している。但し、発泡液と吐出液を同じ液体とす
る場合には、共通液室を一つにして共通化させてもよ
い。
は、分離壁30が配されており、第1液流路14と第2
液流路16とを区分している。なお、発泡液と吐出液と
ができる限り混ざり合わない方がよい液体の場合には、
この分離壁30によってできる限り完全に第1液流路1
4と第2液流路16の液体の流通を分離した方がよい
が、発泡液と吐出液とがある程度混ざり合っても問題が
ない場合には、分離壁30に完全分離の機能を持たせな
くてもよい。
吐出圧発生領域という。;図14中のAの領域とBの気
泡発生領域11)に位置する部分の分離壁30は、スリ
ット35によって吐出口18側(液体の流れの下流側)
のみが開口した自由端32で、両側方に伸縮部60を有
し、共通液室(15、17)側に支点33が位置する可
動部材31となっている。この可動部材31は、気泡発
生領域11(B)に面して配されているため、発泡液の
発泡によって第1液流路14側の吐出口18側に向けて
開口するように動作する(図中矢印方向)。
置と、発熱体2との配置の関係については、先の実施例
と同様にしている。
体2との構造の関係について説明したが、本実施例にお
いても第2液流路16と発熱体2との構造の関係を同じ
くしている。
ッドの動作を説明する。
流路14に供給される吐出液と第2液流路16に供給さ
れる発泡液として同じ水系のインクを用いて動作させ
た。
の気泡発生領域11内の発泡液に作用することで、先の
実施例で説明したのと同様に発泡液にUSP4,723,129に記
載されているような膜沸騰現象に基づく気泡40を発生
させる。
上流側を除く、三方からの発泡圧の逃げがないため、こ
の気泡発生にともなう圧力が吐出圧発生部に配された可
動部材31側に集中して伝搬し、気泡40の成長をとも
なって可動部材31が図15(a)の状態から図15
(b)のように第1液流路14側に変位する。この可動
部材31の動作によって第1液流路14と第2液流路1
6とが大きく連通し、気泡40の発生に基づく圧力が第
1液流路14の吐出口18側の方向(A方向)に主に伝
わる。この圧力の伝搬と、前述のような可動部材31の
機械的変位によって液体が吐出口18から吐出される。
材31が図12(a)の位置まで戻ると共に、第1液流
路14では吐出された吐出液体の量に見合う量の吐出液
体が上流側から供給される。本実施例においても、この
吐出液体の供給は前述の実施例と同様に可動部材31が
閉じる方向であるため、吐出液体のリフィルを可動部材
31で妨げることがない。
泡圧力の伝搬、気泡40の成長方向、バック波の防止等
に関する主要部分の作用や効果については先の第1実施
例等と同じであるが、本実施例のような2流路構成をと
ることによって、さらに次のような長所がある。
吐出液と発泡液とを別液体とし、発泡液の発泡で生じた
圧力によって吐出液を吐出することができる。このため
従来、熱を加えても発泡が十分に行われにくく吐出力が
不十分であった高粘度の液体であっても、この液体を第
1液流路14に供給し、発泡液に発泡が良好に行われる
液体を第2液流路16に供給することで良好に吐出させ
ることができる。
2の表面にコゲ等の堆積物を生じない液体を選択するこ
とで、発泡を安定化し、良好な吐出を行うことができ
る。
先の実施例で説明したような効果をも生じるため、さら
に高吐出効率、高吐出力で高粘性液体等の液体を吐出す
ることができる。
の液体を第1液流路14に吐出液として供給し、第2液
流路16で熱的に変質しにくく良好に発泡を生じる液体
を供給すれば、加熱に弱い液体に熱的な害を与えること
なく、しかも上述のように高吐出効率、高吐出力で吐出
することができる。
の薄膜からなる伸縮部で可動部材の側方部材を構成した
例を示したが、側方部材は蛇腹状に伸縮する薄膜に限ら
れるものではなく、板状の壁とすることもできる。以下
に、板状の側方部材を有する可動部材を用いた例につい
て図16〜図18を参照して説明する。
体吐出ヘッドの部分破断斜視図である。また、図17
に、図16に示した液体吐出ヘッドの液流路に沿った断
面模式図を示し、図18に、図16に示した液体吐出ヘ
ッドを吐出口方向から見た断面模式図を示す。
に対向するように面して、金属等の弾性を有する材料で
構成された可動部材31が片持梁状に設けられている。
可動部材31は平板状の上面を有し、その両側部からは
板状の横壁66が素子基板1に向かって突設されてい
る。可動部材31の一端は液流路の壁や素子基板1上に
感光性樹脂などをパターニングして形成した土台34等
に固定されている。これによって、可動部材31は保持
されるとともに支点33を構成している。可動部材31
は、液体の吐出動作によって共通液室13から可動部材
31を経て吐出口18側へ流れる大きな流れの上流側に
支点33が位置し、支点33に対して下流側に自由端3
2が位置するように、。発熱体2に面した位置に発熱体
2を覆うような状態で発熱体2から所定の距離を隔てて
配されている。また、横壁66の高さは第2液流路16
の高さよりも低く、可動部材31が変位していない状態
では、可動部材31の上面を含む第1液流路14の底壁
はなだらかである。
作製方法の一例を図19を参照して説明する。ここで
は、電鋳法により作製する場合について説明する。ま
ず、図19(a)に示すような、可動部材31の上面の
間となる部分に、可動部材31の厚みと等しい高さの凸
部67aが形成された母型67を用意する。次いで、図
19(b)に示すように、母型62に対して電気メッキ
を行って母型67上にニッケル層68を成長させる。成
長させるニッケル層68の厚さは、母型67の凸部67
aの高さと等しい。次いで、図19(c)に示すよう
に、ニッケル層68が形成された母型67に、横壁66
となる部分を除いてレジスト69をパターニングする。
レジスト69の厚さは、可動部材31の横壁66の高さ
と等しい。そして再び電気メッキを行って図19(d)
に示すようにニッケル層68を成長させる。その後、レ
ジスト69を除去するとともに、ニッケル層68を母型
67から剥離し、これによって、横壁66を有する可動
部材31が得られる。
長に応じて可動部材31の自由端32が徐々に変位す
る。このとき、図17(b)および図18(b)に示す
ように、気泡40の側方は横壁66で覆われているの
で、気泡40の圧力伝搬方向や体積移動のし易い方向
は、自由端32の方向すなわち吐出口18の方向に抑制
される。特に、横壁66を気泡40の圧力に対して剛性
を有するような構造とすることで、可動部材31の変位
に伴う吐出口方向以外への放圧を抑制し、より効果的に
発泡圧を吐出口方向に向けることができるため、気泡4
0の圧力をより効率的に吐出に寄与させることができ
る。また、側方への圧力伝搬が横壁66により抑制され
るので、隣り合う第1液流路14間を分離する流路壁の
役割をこの横壁66で兼用し、分離壁を不要とすること
もできる。これにより、液体吐出ヘッドの構造および製
造を簡単なものとすることもできる。
例における液体吐出ヘッドの部分破断斜視図である。ま
た、図21に、図20に示した液体吐出ヘッドの液流路
に沿った断面模式図を示す。
板状の横壁66で構成した例であるが、本実施例では、
横壁66は可動部材31の自由端32側領域を除いた支
点33側領域近傍の両側部に設けられている。その他は
実施例8と同様であるので、その説明は省略する。この
ような構成によれば、可動部材31の重心位置がより支
点33側に近くなるため、可動部材31は変位し易くな
る。また、発熱体2の下流側における発泡圧のロスを抑
えることができる。
実施例における液体吐出ヘッドの部分破断斜視図であ
る。また、図23に、図22に示した液体吐出ヘッドの
液流路に沿った断面模式図を示す。
板状の横壁66で構成した例であるが、本実施例では、
横壁66は可動部材31の支点33側領域を除いた自由
端32側領域近傍の両側部に設けられている。その他は
実施例8と同様であるので、その説明は省略する。この
ような構成によれば、発泡圧の伝搬方向及び気泡の成長
方向を吐出口18側に制御しつつも、可動部材31の側
方からの液体のリフィル性能を向上させることができ
る。
出ヘッドや液体吐出方法の要部の実施例について説明を
行ったが、以下にこれらの実施例に好ましく適用できる
実施態様例について図面を用いて説明する。但し、以下
の説明においては前述の1流路形態の実施例と2流路形
態の実施例のいずれかを取り上げて説明する場合がある
が特に記載しない限り、両実施例に適用しうるものであ
る。
体吐出ヘッドの流路方向断面図であるが、第1液流路1
4(若しくは図1における液流路10)を構成するため
の溝が設けられた溝付き部材50が分離壁30上に設け
られている。本実施例においては可動部材31の自由端
32位置近傍の流路天井の高さが高くなっており、可動
部材31の動作角度θをより大きく取れるようにしてい
る。この可動部材31の動作範囲は、液流路の構造、可
動部材31の耐久性や発泡力等を考慮して決定すればよ
いが、吐出口18の軸方向の角度を含む角度まで動作す
ることが望ましいと考えられる。
の直径より可動部材31の自由端32の変位高さを高く
することで、より十分な吐出力の伝達が成される。ま
た、この図で示されるように、可動部材31の自由端3
2位置の液流路天井の高さより可動部材31の支点33
位置の液流路天井の高さの方が低くなっているため、可
動部材31の変位よる上流側への圧力波の逃げがさらに
有効に防止できる。
する薄膜を含むもの、および横壁を有するもののいずれ
も適用可能であるが、上記のように可動部材31の動作
角度θをより大きく取れるようにしたことに伴い、横壁
を有する構造とした場合には成長した気泡40の側方を
より確実に覆うためには可動部材31の動作角度θに応
じて横壁の高さを高くする必要がある。従って、第2液
流路16の高さも横壁の高さに応じて高くなり、その分
だけ液体吐出ヘッド全体の厚みも増すことになるので、
液体吐出ヘッドの小型化を達成するためには、可動部材
31は伸縮部を有する薄膜を含む構成することが好まし
い。
25は、可動部材31と第2液流路16との配置関係を
説明するための図であり、可動部材31は、伸縮部60
を有する薄膜を含むものとして示している。同図(a)
は分離壁30、可動部材31近傍を上方から見た図であ
り、同図(b)は、分離壁30を外した第2液流路16
を上方から見た図である。そして、同図(c)は、可動
部材31と第2液流路16との配置関係を、これらの各
要素を重ねることで模式的に示した図である。なお、い
ずれの図も図面下方が吐出口が配されている前面側であ
る。
流側(ここでの上流側とは第2共通液室側から発熱体位
置、可動部材、第1液流路を経て吐出口に向う大きな流
れの中の上流側のことである。)に狭窄部19を持って
おり、発泡時の圧力が第2液流路16の上流側に容易に
逃げることを抑制するような室(発泡室)構造となって
いる。
体を吐出するための流路とが同じで、発熱体より液室側
に発生した圧力が共通液室側に逃げないように狭窄部を
設けるヘッドの場合には、液体のリフィルを充分考慮し
て、狭窄部における流路断面積があまり小さくならない
構成を採る必要があった。
の多くを第1液流路内の吐出液とすることができ、発熱
体2が設けられた第2液流路16内の発泡液はあまり消
費されないようにできるため、第2液流路16の気泡発
生領域への発泡液の充填量は少なくて良い。従って、上
述の狭窄部19における間隔を数μm〜十数μmと非常
に狭くできるため、第2液流路16で発生した発泡時の
圧力をあまり周囲に逃がすことをさらに抑制でき、集中
して可動部材31側に向けることができる。そしてこの
圧力を可動部材31を介して吐出力として利用すること
ができるため、より高い吐出効率、吐出力を達成するこ
とができる。ただ、第2液流路16の形状は上述の構造
に限られるものではなく、気泡発生に伴う圧力が効果的
に可動部材側31に伝えられる形状であれば良い。
部材31の側方は、第2液流路16を構成する壁の一部
を覆っており、このことで、可動部材31の第2液流路
16への落ち込みが防止できる。
可動部材31の第1液流路14側への変位に伴って第2
液流路16の気泡発生領域11で発生した気泡40の一
部が第1液流路14側に延在しているが、この様に気泡
40が延在するような第2流路16の高さにすること
で、気泡40が延在しない場合に比べ更に吐出力を向上
させることができる。この様に気泡40が第1液流路1
4に延在するようにするためには、第2液流路16の高
さを最大気泡の高さより低くすることが望ましく、この
高さを数μm〜30μmとすることが望ましい。なお、
本実施例においてはこの高さを15μmとした。
可動部材31について説明したが、図16〜図18に示
したような、横壁66を有する可動部材31とすること
もできる。この場合には、図25に示した符号60の部
分もスリット35となり、このスリット35によって可
動部材31が形成される。さらに、可動部材31の横壁
66は第2液流路16の内側に位置される。
としては発泡液と吐出液に対して耐溶剤性があり、可動
部材31として良好に動作するための弾性を有するもの
であればよい。
い、銀、ニッケル、金、鉄、チタン、アルミニュウム、
白金、タンタル、ステンレス、りん青銅等の金属、およ
びその合金、または、アクリロニトリル、ブタジエン、
スチレン等のニトリル基を有する樹脂、ポリアミド等の
アミド基を有する樹脂、ポリカーボネイト等のカルボキ
シル基を有する樹脂、ポリアセタール等のアルデヒド基
を持つ樹脂、ポリサルフォン等のスルホン基を持つ樹
脂、そのほか液晶ポリマー等の樹脂およびその化合物、
耐インク性の高い、金、タングステン、タンタル、ニッ
ケル、ステンレス、チタン等の金属、これらの合金およ
び耐インク性に関してはこれらを表面にコーティングし
たもの若しくは、ポリアミド等のアミド基を有する樹
脂、ポリアセタール等のアルデヒド基を持つ樹脂、ポリ
エーテルエーテルケトン等のケトン基を有する樹脂、ポ
リイミド等のイミド基を有する樹脂、フェノール樹脂等
の水酸基を有する樹脂、ポリエチレン等のエチル基を有
する樹脂、ポリプロピレン等のアルキル基を持つ樹脂、
エポキシ樹脂等のエポキシ基を持つ樹脂、メラミン樹脂
等のアミノ基を持つ樹脂、キシレン樹脂等のメチロール
基を持つ樹脂およびその化合物、さらに二酸化珪素等の
セラミックおよびその化合物が望ましい。
ン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエチレンテレフ
タレート、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹
脂、ポリブタジエン、ポリウレタン、ポリエーテルエー
テルケトン、ポリエーテルサルフォン、ポリアリレー
ト、ポリイミド、ポリサルフォン、液晶ポリマー(LC
P)等の近年のエンジニアリングプラスチックに代表さ
れる耐熱性、耐溶剤性、成型性の良好な樹脂、およびそ
の化合物、もしくは、二酸化珪素、チッ化珪素、ニッケ
ル、金、ステンレス等の金属、合金およびその化合物、
もしくは表面にチタンや金をコーティングしたものが望
ましい。
μmとしたが、発泡液と吐出液とが異なる液体であり、
両液体の混液を防止したい場合は、スリット幅を両者の
液体間でメニスカスを形成する程度の間隔とし、夫々の
液体同士の流通を抑制すればよい。例えば、発泡液とし
て2cP(センチポアズ)程度の液体を用い、吐出液と
して100cP以上の液体を用いた場合には、5μm程
度のスリット35でも混液を防止することができるが、
3μm以下にすることが望ましい。
しての強度を達成でき、可動部材31として良好に動作
するという観点からその材質と形状等を考慮して決定す
ればよいが、0.5μm〜10μm程度が望ましい。
ダーの厚さ(tμm)を対象としており、cmオーダー
の厚さの可動部材は意図していない。μmオーダーの厚
さの可動部材にとって、μmオーダーのスリット幅(W
μm)を対象とする場合、製造のバラツキをある程度考
慮することが望ましい。
いは/且つ側端に対向する部材の厚みが可動部材の厚み
と同等の場合(図15、図24等)、スリット幅と厚み
の関係を製造のバラツキを考慮して以下のような範囲に
することで発泡液と吐出液の混液を安定的に抑制するこ
とができる。このことは限られた条件ではあるが設計上
の観点として、3cp以下の粘度の発泡液に対して高粘
度インク(5cp、10cp等)を用いる場合、W/t
≦1を満足するようにすることで、2液の混合を長期に
わたって抑制することが可能な構成となった。
リットとしては、このような数μmオーダであればより
確実である。
離させた場合、可動部材がこれらの実質的な仕切部材と
なる。この可動部材が気泡の生成に伴って移動する際に
吐出液に対して発泡液がわずかに混入することが見られ
る。画像を形成する吐出液は、インクジェット記録の場
合、色材濃度を3%乃至5%程度有するものが一般的で
あることを考慮すると、この発泡液が吐出液滴に対して
20%以下の範囲で含まれても大きな濃度変化をもたら
さない。従って、このような混液としては、吐出液滴に
対して20%以下となるような発泡液と吐出液との混合
を本発明に含むものとする。
せても上限で15%の発泡液の混合であり、5cps以
下の発泡液では、この混合比率は、駆動周波数にもよる
が、10%程度を上限とするものであった。
ればする程、この混液は低減(例えば5%以下)でき
る。
材31の他の形状を示す。同図(a)は長方形の形状で
あり、(b)は支点側が細くなっている形状で可動部材
31の動作が容易な形状であり、同図(c)は支点側が
広くなっており、可動部材31の耐久性が向上する形状
である。動作の容易性と耐久性が良好な形状として、図
25(a)で示したように、支点側の幅が円弧状に狭く
なっている形態が望ましいが、可動部材31の形状は第
2液流路16側に入り込むことがなく、容易に動作可能
な形状で、耐久性に優れた形状であればよい。
材の配置関係について、図を用いて説明する。ただし、
可動部材と発熱体の形状および寸法,数は、以下に限定
されるものではない。発熱体と可動部材の最適な配置に
よって、発熱体による発泡時の圧力を吐出圧として有効
に利用することが可能となる。
で、インクに急峻な体積変化(気泡の発生)を伴う状態
変化を生じさせ、この状態変化に基づく作用力によって
吐出口からインクを吐出し、これを被記録媒体上に付着
させて画像形成を行うインクジェット記録方法、いわゆ
るバブルジェット記録方法の従来技術においては、図2
7に示すように、発熱体面積とインク吐出量は比例関係
にあるが、インク吐出に寄与しない非発泡有効領域Sが
存在していることがわかる。また、発熱体上のコゲの様
子から、この非発泡有効領域Sが発熱体の周囲に存在し
ていることがわかる。これらの結果から、発熱体周囲の
約4μm幅は、発泡に関与されていないとされている。
は、発熱体の周囲から約4μm以上内側の発泡有効領域
の直上が可動部材の可動領域で覆われるように、可動部
材を配置するのが効果的であると、言える。本実施例に
おいては、発泡有効領域を発熱体周囲から約4μm以上
内側としたが、発熱体の種類や形成方法によっては、こ
れに限定されるものではない。
可動領域の総面積が異なる可動部材31a((a)
図)、可動部材31b((b)図)を配置したときの上
部から見た模式図を示す。
mで、発熱体2の面積よりも小さいが、発熱体2の発泡
有効領域と同じ程度の寸法であり、該発泡有効領域を覆
うように、配置されている。一方、可動部材31bの寸
法は、53×220μmで発熱体2の面積よりも大きく
(幅寸法を同じにした場合、支点33〜可動先端間の寸
法が発熱体2の長さよりも長い)、可動部材31aと同
じように発泡有効領域を覆うように配置されている。上
記2種の可動部材31a,31bに対し、それらの耐久
性と吐出効率について測定を行った。測定条件は以下の
通りである。
関しては、(a)可動部材31aの方は、1×107パ
ルス印加したところで可動部材31aの支点33部分に
損傷が見られた。(b)可動部材31bの方は、3×1
08パルス印加しても、損傷は見られなかった。また、
投入エネルギーに対する吐出量と吐出速度からもとまる
運動エネルギーも約1.5〜2.5倍程度向上すること
が確認された。
からみても、発泡有効領域の真上を覆うように可動部材
を設け、該可動部材の面積が発熱体の面積よりも大きい
方が、優れていることがわかる。
点までの距離と、可動部材の変位量の関係を示す。ま
た、図30に、発熱体2と可動部材31との位置関係を
側面方向から見た断面構成図を示す。発熱体2は40×
105μmのものを用いた。発熱体2のエッジから可動
部材31の支点33までの距離lが大きい程、変位量が
大きいことがわかる。したがって、要求されるインクの
吐出量や吐出液の流路構造および発熱体形状などによっ
て、最適変位量を求め、可動部材31の支点33の位置
を決めることが望ましい。
領域直上に位置する場合は、可動部材の変位による応力
に加え、発泡圧力が直接支点に加わるため可動部材の耐
久性が低下してしまう。本発明者の実験によると、発泡
有効領域の真上に支点を設けたものでは、1×106パ
ルス程度で、可動壁に損傷が生じており、耐久性が低下
してしまうことが分かっている。したがって、可動部材
の支点は、発熱体の発泡有効領域直上外に配置すること
で耐久性がそれ程高くない形状や材質の可動部材であっ
ても実用可能性が高くなる。ただし、前記発泡有効領域
直上に支点がある場合でも形状や材質を選択すれば、良
好に用いることができる。かかる構成において、高吐出
効率および耐久性に優れた液体吐出ヘッドが得られる。
の発熱体が設けられた素子基板の構成について説明す
る。
図を示したもので、図31(a)は後述する保護膜(耐
キャビテーション層)があるヘッド、同図(b)は保護
膜がないものである。
0、第1液流路14、第1液流路14を構成する溝を設
けた溝付き部材50が配されている。
に絶縁および蓄熱を目的としたシリコン酸化膜またはチ
ッ化シリコン膜106を成膜し、その上に発熱体2を構
成するハフニュウムボライド(HfB2)、チッ化タン
タル(TaN)、タンタルアルミ(TaAl)等の電気
抵抗層105(0.01〜0.2μm厚)とアルミニュ
ウム等の配線電極104(0.2〜1.0μm厚)がパ
ターニングされている。この2つの配線電極104から
電気抵抗層105に電圧を印加し、電気抵抗層105に
電流を流し発熱させる。配線電極104間の電気抵抗層
105上には、酸化シリコンやチッ化シリコン等の保護
層103を0.1〜2.0μm厚で形成し、さらにその
うえにタンタル等の耐キャビテーション層102(0.
1〜0.6μm厚)が成膜されており、インク等の各種
の液体から電気抵抗層105を保護している。
力や衝撃波は非常に強く、堅くてもろい酸化膜の耐久性
を著しく低下させるため、金属材料のタンタル(Ta)
等が耐キャビテーション層102として用いられる。
合わせにより上述の耐キャビテーション層102を必要
としない構成でもよくその例を図31(b)に示す。こ
のような耐キャビテーション層を必要としない電気抵抗
層105の材料としてはイリジュウム−タンタル−アル
ミ合金等が挙げられる。
体2の構成としては、前述の配線電極104間の電気抵
抗層(発熱部)105だけででもよく、また電気抵抗層
105を保護する保護層103を含むものでもよい。
信号に応じて発熱する電気抵抗層105で構成された発
熱部を有するものを用いたが、これに限られることな
く、吐出液を吐出させるのに十分な気泡を発泡液に生じ
させるものであればよい。例えば、発熱部としてレーザ
等の光を受けることで発熱するような光熱変換体や高周
波を受けることで発熱するような発熱部を有する発熱体
でもよい。
部を構成する電気抵抗層105とこの電気抵抗層105
に電気信号を供給するための配線電極104で構成され
る電気熱変換体の他に、この電気熱変換素子を選択的に
駆動するためのトランジスタ、ダイオード、ラッチ、シ
フトレジスタ等の機能素子が一体的に半導体製造工程に
よって作り込まれていてもよい。
ている電気熱変換体の発熱部を駆動し、液体を吐出する
ためには、前述の電気抵抗層105に配線電極104を
介して図32で示されるような矩形パルスを印加し、配
線電極104間の電気抵抗層105を急峻に発熱させ
る。前述の各実施例のヘッドにおいては、それぞれ電圧
24V、パルス幅7μsec、電流150mA、電気信
号を6kHzで加えることで発熱体2を駆動させ、前述
のような動作によって、吐出口18から液体であるイン
クを吐出させた。しかしながら、駆動信号の条件はこれ
に限られることなく、発泡液を適正に発泡させることが
できる駆動信号であればよい。
1、第2の共通液室に異なる液体を良好に分離して導入
でき部品点数の削減を図れ、コストダウンを可能とする
液体吐出ヘッドの構造例について説明する。
造を示す模式図であり、先の実施例と同じ構成要素につ
いては同じ符号を用いており、詳しい説明はここでは省
略する。
吐出口18を有するオリフィスプレート51と、複数の
第1液流路14を構成する複数の溝と、複数の第1液流
路14に共通して連通し、各第1液流路14に液体(吐
出液)を供給するための第1共通液室15を構成する凹
部とから概略構成されている。
0を接合することにより複数の第1液流路14を形成す
ることができる。このような溝付き部材50は、その上
部から第1共通液室15内に到達する第1液体供給路2
0を有している。また、溝付き部材50は、その上部か
ら分離壁30を突き抜けて第2共通液室17内に到達す
る第2液体供給路21を有している。
で示すように、第1液体供給路20を経て、第1の共通
液室15、次いで第1液流路14に供給され、第2の液
体(発泡液)は、図33の矢印Dで示すように、第2液
体供給路21を経て、第2共通液室17、次いで第2液
流路16に供給されるようになっている。
は、第1液体供給路20と平行して配されているが、こ
れに限ることはなく、第1共通液室15の外側に配され
た分離壁30を貫通して、第2共通液室17に連通する
ように形成されればどのように配されてもよい。
に関しては、第2液体の供給量を考慮して決められる。
第2液体供給路21の形状は丸形状である必要はなく、
矩形状等でもよい。
0を分離壁30で仕切ることによって形成することがで
きる。形成の方法としては、図34で示す本実施例の分
解斜視図のように、素子基板1上にドライフィルムで共
通液室枠71と第2液路壁72を形成し、分離壁30を
固定した溝付き部材50と分離壁30との結合体と素子
基板1とを貼り合わせることにより第2共通液室17や
第2液流路16を形成してもよい。
属で形成された支持体70上に、前述のように、発泡液
に対して膜沸騰による気泡を発生させるための熱を発生
する発熱体2としての電気熱変換素子が複数設けられた
素子基板1が配されている。
より形成された第2液流路16を構成する複数の溝と、
複数の発泡液流路に連通し、それぞれの発泡液路に発泡
液を供給するための第2共通液室(共通発泡液室)17
を構成する凹部と、前述した可動部材31が設けられた
分離壁30とが配されている。
ることで吐出液流路(第1液流路)14を構成する溝
と、吐出液流路に連通し、それぞれの吐出液流路に吐出
液を供給するための第1共通液室(共通吐出液室)15
を構成するための凹部と、第1共通液室15に吐出液を
供給するための第1液体供給路(吐出液供給路)20
と、第2共通液室17に発泡液を供給するための第2液
体供給路(発泡液供給路)21とを有している。第2液
体供給路21は、第1共通液室15の外側に配された分
離壁30を貫通して第2の共通液室17に連通する連通
路に繋がっており、この連通路によって吐出液と混合す
ることなく発泡液を第2共通液室17に供給することが
できる。
の配置関係は、素子基板1の発熱体2に対応して可動部
材31が配置されており、この可動部材31に対応して
吐出液流路14が配されている。また、本実施形態例で
は、1つの第2液体供給路21を溝付き部材50に配し
た例を示したが、供給量に応じて複数設けてもよい。さ
らに第1液体供給路20と第2液体供給路21の流路断
面積は供給量に比例して決めればよい。また、可動部材
31が、図16〜図18に示したように横壁66を有す
る構造の場合には、溝付き部材50には、第1液流路1
4を構成する溝は必ずしも設ける必要はない。このよう
な流路断面積の最適化により溝付き部材50等を構成す
る部品をより小型化することも可能である。
2液流路16に第2液体を供給する第2液体供給路21
と、第1液流路14に第1液体を供給する第1液体供給
路20とが同一の溝付き部材50からなることにより部
品点数が削減でき、工程の短縮化とコストダウンが可能
となる。
室17への、第2液体の供給は、第1液体と第2液体を
分離する分離壁30を突き抜ける方向で第2液流路16
によって行なわれる構造であるため、前記分離壁30と
溝付き部材50と素子基板1との貼り合わせ工程が1度
で済み、作りやすさが向上すると共に、貼り合わせ精度
が向上し、良好に吐出することができる。
て第2共通液室17へ供給されるため、第2液流路16
に第2液体の供給が確実となり、供給量が十分確保でき
るため、安定した吐出が可能となる。
したように本発明においては、前述のような可動部材を
有する構成によって、従来の液体吐出ヘッドよりも高い
吐出力や吐出効率でしかも高速に液体を吐出することが
できる。本実施例の内、発泡液と吐出液とに同じ液体を
用いる場合には、発熱体から加えられる熱によって劣化
せずに、また加熱によって発熱体上に堆積物を生じにく
く、熱によって気化、凝縮の可逆的状態変化を行うこと
が可能であり、さらに液流路や可動部材や分離壁等を劣
化させない液体であれば種々の液体を用いることができ
る。
る液体(記録液体)としては従来のバブルジェット装置
で用いられていた組成のインクを用いることができる。
い、吐出液と発泡液を別液体とした場合には、発泡液と
して前述のような性質の液体を用いればよく、具体的に
は、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソ
プロパノール、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オク
タン、トルエン、キシレン、二塩化メチレン、トリクレ
ン、フレオンTF、フレオンBF、エチルエーテル、ジ
オキサン、シクロヘキサン、酢酸メチル、酢酸エチル、
アセトン、メチルエチルケトン、水等およびこれらの混
合物が挙げられる。
に関係なく様々な液体を用いることができる。また、従
来吐出が困難であった発泡性が低い液体、熱によって変
質、劣化しやすい液体や高粘度液体等であっても利用で
きる。
又は発泡液との反応によって、吐出や発泡また可動部材
の動作等を妨げるような液体でないことが望まれる。
等をも利用することができる。その他の吐出液体として
は、熱に弱い医薬品や香水等の液体を利用することもで
きる。
に用いることができる記録液体として以下のような組成
のインクを用いて記録を行ったが、吐出力の向上によっ
てインクの吐出速度が高くなったため、液滴の着弾精度
が向上し非常に良好な記録画像を得ることができた。
組み合わせて吐出させて記録を行った。その結果、従来
のヘッドでは吐出が困難であった十数cps粘度の液体
はもちろん150cPという非常に高い粘度の液体でさ
えも良好に吐出でき、高画質な記録物を得ることができ
た。
いた液体の場合には、吐出速度が低いために、吐出方向
性のバラツキが助長され記録紙上のドットの着弾精度が
悪く、また吐出不安定による吐出量のバラツキが生じこ
れらのことで、高品位画像が得にくかった。しかし、上
述の実施例の構成においては、気泡の発生を発泡液を用
いることで充分に、しかも安定して行うことができる。
このことで、液滴の着弾精度向上とインク吐出量の安定
化を図ることができ記録画像品位を著しく向上すること
ができた。
液体吐出ヘッドの製造工程について説明する。
には、素子基板1上に可動部材31を設けるための土台
34をドライフィルム等をパターニングすることで形成
し、この土台34に可動部材31を接着、もしくは溶着
固定した。なお、可動部材31は薄膜で構成されるもの
であるが、この薄膜の製造工程については図4を用いて
説明したとおりである。その後、各液流路10を構成す
る複数の溝と吐出口18と共通液室13を構成する凹部
を有する溝付き部材を、溝と可動部材31が対応するよ
うな状態で素子基板1に接合することで形成した。
流路構成の液体吐出ヘッドの製造工程について説明す
る。
6の壁を形成し、その上に分離壁30を取り付け、さら
にその上に第1液流路14を構成する溝等が設けられた
溝付き部材50を取り付ける。もしくは、第2液流路1
6の壁を形成した後、この壁の上に分離壁30を取り付
けた溝付き部材50を接合することでヘッドの製造を行
った。
詳しく説明する。
出ヘッドの製造方法の第1の実施例を説明するための概
略断面図である。
に、素子基板(シリコンウエハ)1上に半導体製造工程
で用いるのと同様の製造装置を用いてハフニュウムボラ
イドやチッ化タンタル等からなる発熱体2を有する電気
熱変換用素子を形成した後、次工程における感光性樹脂
との密着性の向上を目的として素子基板1の表面に洗浄
を施した。さらに、密着性を向上させるには、素子基板
1の表面に紫外線−オゾン等による表面改質を行った
後、例えばシランカップリング剤(日本ユニカ製:A1
89)をエチルアルコールで1重量%に希釈した液を上
記改質表面上にスピンコートすることで達成される。
素子基板1上に、(b)に示すように、紫外線感光性樹
脂フィルム(東京応化製:ドライフィルム オーディル
SY−318)DFをラミネートした。
ムDF上にフォトマスクPMを配し、このフォトマスク
PMを介してドライフィルムDFのうち、第2流路壁と
して残す部分に紫外線を照射した。この露光工程は、キ
ヤノン(株)製:MPA−600を用いて行い、約60
0mJ/cm2の露光量で行った。
ムDFを、キシレンとブチルセルソルブアセテートとの
混合液からなる現像液(東京応化製:BMRC−3)で
現像し、未露光部分を溶解させ、露光して硬化した部分
を第2液流路16の壁部分として形成した。さらに、素
子基板1表面に残った残渣を酸素プラズマアッシング装
置(アルカンテック社製:MAS−800)で約90秒
間処理して取り除き、引き続き、150℃で2時間、さ
らに紫外線照射100mJ/cm2を行って露光部分を
完全に硬化させた。
分割、作製される複数のヒータボード(素子基板)に対
し、一様に第2液流路16を精度よく形成することがで
きる。シリコン基板を、厚さ0.05mmのダイヤモン
ドブレードを取り付けたダイシングマシン(東京精密
製:AWD−4000)で各々のヒータボード1に切
断、分離した。分離されたヒータボード1を接着剤(東
レ製:SE4400)でアルミベースプレート(支持
体)70上に固定した(図38)。次いで、予めアルミ
ベースプレート70上に接合しておいたプリント配線基
板73(図39)と、ヒータボード1とを直径0.05
mmのアルミワイヤ(図示略)で接続した。
ド1に、図35(e)に示すように、上述の方法で溝付
き部材50と分離壁30との接合体を位置決め接合し
た。すなわち、分離壁30を有する溝付き部材50とヒ
ータボード1とを位置決めし、押さえバネ78(図3
8)により係合、固定した後、インク・発泡液用供給部
材80(図38)をアルミベースプレート70上に接合
固定し、アルミワイヤ間、溝付き部材50とヒータボー
ド1とインク・発泡液用供給部材80との隙間をシリコ
ーンシーラント(東芝シリコーン製:TSE399)で
封止して完成させた。
ことにより、ヒータボード1の各発熱体2に対して位置
ズレのない精度の良い流路を得ることができる。特に、
溝付き部材50と分離壁30とをあらかじめ先の工程で
接合しておくことで、第1液流路14と可動部材31の
位置精度を高めることができる。
て、吐出安定化が図られ印字品位が向上する。また、ウ
エハ上に一括で形成することが可能なため、多量に低コ
ストで製造することが可能である。
成するために紫外線硬化型のドライフィルムを用いた
が、紫外域、特に248nm付近に吸収帯域をもつ樹脂
を用い、ラミネート後、硬化させ、エキシマレーザで第
2液流路16となる部分の樹脂を直接除去することによ
っても得ることが可能である。
出ヘッドの製造方法の第2の実施例を説明するための概
略断面図である。
に、SUS基板1100上に厚さ15μmのレジスト1
101を第2液流路の形状でパターニングした。
100に対して電気メッキを行ってSUS基板1100
上にニッケル層1102を同じく15μm成長させた。
メッキ液としては、スルフォミン酸ニッケルに応力減少
剤(ワールドメタル社製:ゼロオール)とほう酸、ピッ
ト防止剤(ワールドメタル社製:NP−APS)、塩化
ニッケルを使用した。電着時の電界のかけ方としては、
アノード側に電極を付け、カソード側に既にパターニン
グしたSUS基板1100を取り付け、メッキ液の温度
を50℃とし、電流密度を5A/cm2とした。
メッキを終了したSUS基板1100に超音波振動を与
え、ニッケル層1102の部分をSUS基板1100か
ら剥離し、所望の第2液流路を得た。
ボードを、半導体と同様の製造装置を用いてシリコンウ
エハに形成した。このウエハを先の実施例と同様に、ダ
イシングマシンで各々のヒータボードに分離した。この
ヒータボード1を、予めプリント配線基板73が接合さ
れたアルミベースプレート70に接合し、プリント配線
基板73とアルミワイヤ(図示略)とを接続することで
電気的配線を形成した。このような状態のヒータボード
1上に、図36(d)に示すように、先の工程で得た第
2液流路16を位置決め固定した。この固定に際して
は、後工程で第1の実施例と同様に分離壁を固定した天
板と押さえバネによって係合・密着されるため、天板接
合時に位置ズレが発生しない程度に固定されていれば十
分である。
硬化型接着剤(グレースジャパン製:アミコンUV−3
00)を塗布し、紫外線照射装置を用い、露光量を10
0mJ/cm2として約3秒間で固定を完了した。
て位置ズレのない精度の高い第2液流路16を得ること
ができることに加え、ニッケルで流路壁を形成している
ため、アルカリ性の液体に強く、信頼性の高いヘッドを
提供することが可能となる。
出ヘッドの製造方法の第3の実施例を説明するための概
略断面図である。
に、アライメント穴1100aあるいはマークを有する
厚さ15μmのSUS基板1100の両面にレジスト1
103を塗布した。ここで、レジスト1103として
は、東京応化製のPMERP−AR900を使用した。
1100のアライメント穴1100aに合わせて、露光
装置(キヤノン(株)製:MPA−600)を用いて露
光し、第2液流路を形成すべき部分のレジスト1103
を除去した。露光は800mJ/cm2の露光量で行っ
た。
ト1103がパターニングされたSUS基板1100
を、エッチング液(塩化第2鉄または塩化第2銅の水溶
液)に浸漬し、レジスト1103から露出している部分
をエッチングした後、レジスト1103を剥離した。
の実施例と同様に、ヒータボード1上に、エッチングさ
れたSUS基板1100を位置決め固定して第2液流路
16を有する液体吐出ヘッドを組み立てた。
位置ズレのない精度の高い第2液流路16を得ることが
できることに加え、SUSで流路を形成しているため、
酸やアルカリ性の液体に強く信頼性の高い液体吐出ヘッ
ドを提供することができる。
によれば、素子基板上に予め第2液流路の壁を配設する
ことによって、発熱体と第2液流路とが高精度に位置決
めすることが可能となる。また、切断、分離前の基板上
の多数の素子基板に対して第2液流路を同時に形成する
ことができるので、多量に、かつ、低コストの液体吐出
ヘッドを提供することができる。
ドの製造方法を実施することによって得られた液体吐出
ヘッドは、発熱体と第2液流路とが高精度に位置決めさ
れているので、発熱体の発熱による発泡の圧力を効率よ
く受けることができ、吐出効率に優れたものとなる。
記実施形態例に係る液体吐出ヘッドを搭載した液体吐出
ヘッドカートリッジを概略説明する。
液体吐出ヘッドカートリッジの模式的分解斜視図であ
り、液体吐出ヘッドカートリッジは、主に液体吐出ヘッ
ド部200と液体容器90とから概略構成されている。
分離壁30、溝付き部材50、押さえバネ78、液体供
給部材80、アルミベースプレート(支持体)70等か
ら成っている。素子基板1には、前述のように発泡液に
熱を与えるための発熱抵抗体が、複数個、列状に設けら
れており、また、この発熱抵抗体を選択的に駆動するた
めの機能素子が複数設けられている。この素子基板1と
可動壁を持つ前述の分離壁30との間に発泡液路が形成
され発泡液が流通する。この分離壁30と溝付天板50
との接合によって、吐出される吐出液体が流通する吐出
流路(不図示)が形成される。
基板1方向への付勢力を作用させる部材であり、この付
勢力により素子基板1、分離壁30、溝付き部材50
と、後述する支持体70とを良好に一体化させている。
めのものであり、この支持体70上にはさらに素子基板
1に接続し電気信号を供給するためのプリント配線基板
73や、装置側と接続することで装置側と電気信号のや
りとりを行うためのコンタクトパッド74が配置されて
いる。
に供給される、インク等の吐出液体と気泡を発生させる
ための発泡液とを内部に区分収容している。液体容器9
0の外側には、液体吐出ヘッド部200と液体容器90
との接続を行う接続部材を配置するための位置決め部9
4と、接続部材を固定するための固定軸95が設けられ
ている。吐出液体の供給は、液体容器90の吐出液体供
給路92から接続部材の供給路84を介して供給部材8
0の吐出液体供給路81に供給され、各部材の液供給路
83,79,20を介して第1共通液室に供給される。
発泡液も同様に、液体容器90の発泡液体供給路93か
ら接続部材の供給路を介して供給部材80の発泡液供給
路82に供給され、各部材の液供給路84,79,21
を介して第2液室に供給される。
ては、発泡液と吐出液が異なる液体である場合も、供給
を行いうる供給形態および液体容器90で説明したが、
吐出液体と発泡液体とが同じである場合には、発泡液と
吐出液の供給経路および容器を分けなくてもよい。
費後に液体を再充填して使用してもよい。このためには
液体容器90に液体注入口を設けておくことが望まし
い。又、液体吐出ヘッド部200と液体容器90とは一
体であってもよく、分離可能としてもよい。
出ヘッドを搭載した液体吐出装置の概略構成を示してい
る。本実施例では特に吐出液体としてインクを用いたイ
ンク吐出記録装置IJRAを用いて説明する液体吐出装
置のキャリッジHCは、インクを収容する液体容器90
と液体吐出ヘッド部200とが着脱可能なヘッドカート
リッジを搭載しており、被記録媒体搬送手段で搬送され
る記録紙等の被記録媒体150の幅方向(矢印a,b方
向)に往復移動する。
HC上の液体吐出手段に駆動信号が供給されると、この
信号に応じて液体吐出ヘッド部200から被記録媒体1
50に対して記録液体が吐出される。
は、被記録媒体搬送手段とキャリッジHCを駆動するた
めの駆動源としてのモータ111、駆動源からの動力を
キャリッジHCに伝えるためのギア112、113およ
びキャリッジ軸85等を有している。この記録装置及び
この記録装置で行う液体吐出方法によって、各種の被記
録媒体に対して液体を吐出することで良好な画像の記録
物を得ることができた。
したインク吐出記録を動作させるための装置全体のブロ
ック図である。
り印字情報を制御信号として受ける。印字情報は印字装
置内部の入出力インタフェイス301に一時保存される
と同時に、記録装置内で処理可能なデータに変換され、
ヘッド駆動信号供給手段を兼ねるCPU302に入力さ
れる。CPU302はROM303に保存されている制
御プログラムに基づき、前記CPU302に入力された
データをRAM304等の周辺ユニットを用いて処理
し、印字するデータ(画像データ)に変換する。
用紙上の適当な位置に記録するために、画像データに同
期して記録用紙およびヘッド200を移動する駆動用モ
ータ306を駆動するための駆動データを作る。画像デ
ータおよびモータ駆動データは、各々ヘッドドライバ3
07と、モータドライバ305を介し、ヘッド200お
よび駆動モータ306に伝達され、それぞれ制御された
タイミングで駆動され画像を形成する。
等の液体の付与が行われる被記録媒体としては、各種の
紙やOHPシート、コンパクトディスクや装飾板等に用
いられるプラスチック材、布帛、アルミニュウムや銅等
の金属材、牛皮、豚皮、人工皮革等の皮革材、木、合板
等の木材、竹材、タイル等のセラミックス材、スポンジ
等の三次元構造体等を対象とすることができる。
HPシート等に対して記録を行うプリンタ装置、コンパ
クトディスク等のプラスチック材に記録を行うプラスチ
ック用記録装置、金属板に記録を行う金属用記録装置、
皮革に記録を行う皮革用記録装置、木材に記録を行う木
材用記録装置、セラミックス材に記録を行うセラミック
ス用記録装置、スポンジ等の三次元網状構造体に対して
記録を行う記録装置、又布帛に記録を行う捺染装置等を
も含むものである。
としては、夫々の被記録媒体や記録条件に合わせた液体
を用いればよい。
方向に設けられた流路の一端に吐出口を有する、いわゆ
るエッジシュータタイプのヘッドに限定されることな
く、例えば図41に示すようなヒータ面に対向する位置
に吐出口18を有する、いわゆるサイドシュータタイプ
のヘッドにも適用可能である。
体吐出ヘッドは、各吐出口18ごとに、液体に気泡を発
生させるための熱エネルギを与える発熱体2が設けられ
た素子基板1上に、発泡液用の第2液流路16が形成さ
れ、その上に溝付き部材50に設けられた吐出口18に
直接連通した吐出液用の第1液流路14が形成され、第
1液流路14と第2液流路16とは、金属等の弾性を有
する材料で構成された分離壁30により区分されている
点で、上述のエッジシュータタイプの液体吐出ヘッドと
同様である。
は、上記第1液流路14上に配された溝付き部材50の
うち、発熱体2の直上の部分に吐出口18が設けられて
いる点に特徴がある。この吐出口18と発熱体2との間
の分離壁30には、観音開きに開口する一対の可動部材
31が設けられている。両可動部材30はぞれぞれ、支
点33で支持され、自由端32の両側部に、可動部材3
1と一体となって変位するとともに、発生した気泡の側
方を覆う側方部材が一体的に設けられたものである。両
方の自由端32同士は、非吐出時においては、吐出口1
8の中央部分の直下に位置するスリット35によりわず
かに離間して対向している。吐出時においては、両可動
部材31は、図41中の矢印で示すように、気泡発生領
域11における発泡液の発泡によって、吐出口18側の
みが第1液流路14側に開口し、発泡液の収縮によって
閉口する。この領域Cには、後述の吐出液タンクから吐
出液がリフィルされて吐出可能状態となり、次の発泡液
の発泡に備えることができる。
液流路とともに、第1共通液室15を介して吐出液を貯
留するタンク(不図示)に連絡しており、第2液流路1
6も、他の吐出口18の第2液流路とともに、第2共通
液室17を介して発泡液を貯留するタンク(不図示)に
連絡している。
イプの液体吐出ヘッドにおいても、エッジシュータタイ
プの液体吐出ヘッドとほぼ同様に、吐出液のリフィルを
向上させつつ、気泡の成長方向をより吐出口18側に向
かわせ、高エネルギー効率、高吐出圧で液体を吐出する
ことができるという優れた効果を得ることができる。
0に設けられる吐出口18の位置が異なることと、共通
液室15,17の位置及び構造が異なること以外は、エ
ッジシュータタイプのヘッドと実質的に同じである。す
なわち、可動部材31を有する分離壁30と第2液流路
16を構成する流路壁との関係は両者とも同じである。
ヘッドを記録ヘッドとして用い被記録媒体に対して記録
を行う、インクジェット記録システムの一例を説明す
る。
ドを用いたインクジェット記録システムの構成を説明す
るための模式図である。本実施例における液体吐出ヘッ
ドは、被記録媒体150の記録可能幅に対応した長さに
360dpiの間隔で吐出口を複数配したフルライン型
のヘッドであり、イエロー(Y),マゼンタ(M),シ
アン(C),ブラック(Bk)の4色に対応した4つの
ヘッド201a〜201dをホルダ202によりX方向
に所定の間隔を持って互いに平行に固定支持されてい
る。
てそれぞれ駆動信号供給手段を構成するヘッドドライバ
307から信号が供給され、この信号に基づいて各ヘッ
ド201a〜201dの駆動が成される。
としてY,M,C,Bkの4色のインクがそれぞれ20
4a〜204dのインク容器から供給されている。な
お、符号204eは発泡液が蓄えられた発泡液容器であ
り、この発泡液容器204eから各ヘッド201a〜2
01dに発泡液が供給される構成になっている。
には、内部にスポンジ等のインク吸収部材が配されたヘ
ッドキャップ203a〜203dが設けられており、非
記録時に各ヘッド201a〜201dの吐出口を覆うこ
とでヘッド201a〜201dの保守を成すことができ
る。
うな各種、非記録媒体を搬送するための搬送手段を構成
する搬送ベルトである。搬送ベルト206は、各種ロー
ラにより所定の経路に引き回されており、モータドライ
バ305に接続された駆動用ローラにより駆動される。
おいては、記録を行う前後に被記録媒体に対して各種の
処理を行う前処理装置251および後処理装置252を
それぞれ被記録媒体搬送経路の上流と下流に設けてい
る。
の種類やインクの種類に応じて、その処理内容が異なる
が、例えば、金属、プラスチック、セラミックス等の被
記録媒体に対しては、前処理として、紫外線とオゾンの
照射を行い、その表面を活性化することでインクの付着
性の向上を図ることができる。また、プラスチック等の
静電気を生じやすい被記録媒体においては、静電気によ
ってその表面にゴミが付着しやすく、このゴミによって
良好な記録が妨げられる場合がある。このため、前処理
としてイオナイザ装置を用い被記録媒体の静電気を除去
することで、被記録媒体からごみの除去を行うとよい。
また、被記録媒体として布帛を用いる場合には、滲み防
止、染着率の向上等の観点から布帛にアルカリ性物質、
水溶性物質、合成高分子、水溶性金属塩、尿素およびチ
オ尿素から選択される物質を付与する処理を前処理とし
て行えばよい。前処理としては、これらに限らず、被記
録媒体の温度を記録に適切な温度にする処理等であって
もよい。
録媒体に対して熱処理、紫外線照射等によるインクの定
着を促進する定着処理や、前処理で付与し未反応で残っ
た処理剤を洗浄する処理等を行うものである。
01dとしてフルラインヘッドを用いて説明したが、こ
れに限らず、前述したような小型のヘッドを被記録媒体
の幅方向に搬送して記録を行う形態のものであってもよ
い。
出ヘッドを有するヘッドキットを説明する。図43は、
このようなヘッドキットを示した模式図であり、このヘ
ッドキット500は、インクを吐出するインク吐出部5
11を有する本発明のヘッド510と、このヘッド51
0と不可分もしくは分離可能な液体容器であるインク容
器520と、このインク容器520にインクを充填する
ためのインクを保持したインク充填手段530とを、キ
ット容器501内に納めたものである。
容器520の大気連通口521やヘッド510との接続
部や、もしくはインク容器520の壁に開けた穴など
に、インク充填手段530の挿入部(注射針等)531
の一部を挿入し、この挿入部531を介してインク充填
手段530内のインクをインク容器520内に充填すれ
ばよい。
ンク容器520やインク充填手段530等を一つのヘッ
ドキット容器501内に納めてキットにすることで、イ
ンクが消費されてしまっても前述のようにすぐに、また
容易にインクをインク容器520内に充填することがで
き、記録の開始を迅速に行うことができる。
は、インク充填手段530が含まれるもので説明を行っ
たが、ヘッドキットとしては、インク充填手段を持た
ず、インクが充填された分離可能タイプのインク容器と
ヘッドとがキット容器510内に納められている形態の
ものであってもよい。
に対してインクを充填するインク充填手段530のみを
示しているが、インク容器520の他に発泡液を発泡液
容器に充填するための発泡液充填手段をキット容器内に
納めた形態のものであってもよい。
けられた可動部材を用いる新規な吐出原理に基づく本発
明の液体吐出ヘッドによると、発生した気泡の側方は側
方部材によって覆われるため、液体の流れに対する側方
への圧力も吐出口の方向に向けることができ、気泡の成
長自体も下流側に導かれて上流より下流で大きく成長さ
せることができる。その結果、吐出口近傍の液体を効率
よく吐出口に向けて吐出できるため、従来のバブルジェ
ット方式の吐出ヘッド等に比べて吐出効率を向上でき
る。さらに、2液流路構成の場合には、一方の液流路と
他方の液流路とが側方部材よってより確実に分離するこ
とができ、発泡液と吐出液との混液を防止して良好な液
体の吐出を行うことができる。
に伸縮部が設けられた可撓性の薄膜を有し、この伸縮部
を側方部材とすることによって、可動部材の変位によっ
て生じる吐出口側の開口の大きさを一定とし、吐出口側
に作用する発泡圧も常に一定とすることができるため、
安定した吐出を行うことができるようになる。
温や低湿で長期放置を行った場合であっても不吐出にな
ることを防止でき、仮に不吐出になっても予備吐出や吸
引回復といった回復処理をわずかに行うだけで正常状態
に即座に復帰できる利点もある。これに伴い、回復時間
の短縮や回復による液体の損失を低減でき、ランニング
コストも大幅に下げることが可能である。
た構成によれば、連続吐出時の応答性、気泡の安定成
長、液滴の安定化を達成して、高速液体吐出による高速
記録また高画質記録を可能にすることができた。
として、発泡しやすい液体や、発熱体上への堆積物(こ
げ等)が生じにくい液体を用いることで、吐出液の選択
の自由度が高くなり、発泡が生じにくい高粘性液体、発
熱体上に体積物を生じやすい液体等、従来のバブルジェ
ット吐出方法で吐出することが困難であった液体につい
ても良好に吐出することができた。
よる悪影響を与えず吐出することができた。
液体吐出記録ヘッドとして用いることで、さらに高画質
な記録を達成することができた。また、本発明の液体吐
出ヘッドを用い、液体の吐出効率等がさらに向上した液
体吐出装置や記録システム等を提供することができた。
図である。
る。
断面模式図である。
一例を説明するための工程図である。
す模式図である。
示す模式図である。
ある。
の部分破断斜視図である。
見た断面模式図である。
ドの部分破断斜視図である。
ドの部分破断斜視図である。
ドの断面図である。
ドの模式断面図である。
ド(2流路)の断面図である。
作を説明するための図である。
ドの部分破断斜視図である。
った断面模式図である。
から見た断面模式図である。
製造方法の一例を説明するための工程図である。
ドの部分破断斜視図である。
った断面模式図である。
ッドの部分破断斜視図である。
った断面模式図である。
の図である。
である。
る。
ある。
る。
の変位量の関係を示す図である。
めの図である。
ための断面図である。
るための工程図である。
るための工程図である。
るための工程図である。
ある。
体吐出ヘッドの一例の断面図である。
るための図である。
Claims (56)
- 【請求項1】 液体を吐出する吐出口と、 液体に気泡を発生させる気泡発生領域と、前記気泡発生
領域に面して配され、第1の位置と該第1の位置よりも
前記気泡発生領域から遠い第2の位置との間を変位可能
な可動部材と、 前記可動部材の両側部の少なくとも一部位に一体的に設
けられ、前記可動部材と一体となって変位すると共に、
発生した気泡の側方を覆う側方部材とを有し、前記可動
部材は、前記気泡発生領域での気泡の発生に基づく圧力
によって、前記第1の位置から前記第2の位置へ変位す
ると共に、前記可動部材の変位によって前記気泡を吐出
口に向かう方向の上流よりも下流に大きく膨張させるこ
とで液体を吐出する液体吐出ヘッド。 - 【請求項2】 前記可動部材の変位によって、前記気泡
の下流部分が前記可動部材よりも下流に成長する請求項
1に記載の液体吐出ヘッド。 - 【請求項3】 前記可動部材は、支点と、該支点より下
流側に位置する自由端とを有する請求項1に記載の液体
吐出ヘッド。 - 【請求項4】 前記可動部材の変位によって、前記吐出
口に向けて開口部が形成される請求項1に記載の液体吐
出ヘッド。 - 【請求項5】 液体を吐出する吐出口と、 液体に熱を加えることで該液体に気泡を発生させる発熱
体と、 該発熱体に沿った該発熱体より上流側から前記発熱体上
に液体を供給するための供給路とを有する液流路と、 前記発熱体に面して設けられ吐出口側に自由端を有し前
記気泡の発生による圧力に基づいて前記自由端を変位さ
せて前記圧力を吐出口側に導く可動部材と、 前記可動部材の両側部の少なくとも一部位に一体的に設
けられ、前記可動部材と一体となって変位すると共に、
発生した気泡の側方を覆う側方部材とを有する液体吐出
ヘッド。 - 【請求項6】 前記可動部材の変位によって、前記気泡
が前記可動部材よりも下流に延在する請求項5に記載の
液体吐出ヘッド。 - 【請求項7】 前記可動部材の変位によって、前記吐出
口に向けて開口部が形成される請求項5に記載の液体吐
出ヘッド。 - 【請求項8】 液体を吐出する吐出口と、 液体に熱を加えることで該液体に気泡を発生させる発熱
体と、 前記発熱体に面して設けられ吐出口側に自由端を有し前
記気泡の発生による圧力に基づいて前記自由端を変位さ
せて前記圧力を吐出口側に導く可動部材と、 前記可動部材の両側部の少なくとも一部位に一体的に設
けられ、前記可動部材と一体となって変位すると共に、
発生した気泡の側方を覆う側方部材と、 前記可動部材の前記発熱体に近い面に沿った上流側から
前記発熱体上に液体を供給する供給路とを有する液体吐
出ヘッド。 - 【請求項9】 前記可動部材の変位によって、前記気泡
が前記可動部材よりも下流に延在する請求項8に記載の
液体吐出ヘッド。 - 【請求項10】 前記可動部材の変位によって、前記吐
出口に向けて開口部が形成される請求項8に記載の液体
吐出ヘッド。 - 【請求項11】 吐出口に連通した第1の液流路と、 液体に熱を加えることで該液体に気泡を発生させる気泡
発生領域を有する第2の液流路と、 前記第1の液流路と前記気泡発生領域との間に配され、
吐出口側に自由端を有し、前記気泡発生領域内での気泡
の発生による圧力に基づいて該自由端を前記第1の液流
路側に変位させて前記圧力を前記第1の液流路の吐出口
側に導く可動部材と、 前記可動部材の両側部の少なくとも一部位に一体的に設
けられ、前記可動部材と一体となって変位すると共に、
発生した気泡の側方を覆う側方部材とを有する液体吐出
ヘッド。 - 【請求項12】 前記可動部材の変位によって、前記気
泡が前記第1の液流路まで延在する請求項11に記載の
液体吐出ヘッド。 - 【請求項13】 前記可動部材の変位によって、前記吐
出口に向けて開口部が形成される請求項11に記載の液
体吐出ヘッド。 - 【請求項14】 前記可動部材に面した位置に発熱体が
設けられており、該可動部材と該発熱体との間が前記気
泡発生領域である請求項1または11に記載の液体吐出
ヘッド。 - 【請求項15】 前記可動部材は、前記可動部材の両側
部となる部位に伸縮部が設けられた可撓性の薄膜を有
し、前記伸縮部が前記側方部材となる請求項5、8また
は14に記載の液体吐出ヘッド。 - 【請求項16】 前記薄膜は、前記伸縮部の間の領域
が、前記吐出口側に自由端を有する片持梁に固着されて
いる請求項15に記載の液体吐出ヘッド。 - 【請求項17】 前記側方部材は板状の壁で構成されて
いる請求項5、8または14に記載の液体吐出ヘッド。 - 【請求項18】 前記板状の壁は前記気泡の圧力に対し
て剛性を有する請求項17に記載の液体吐出ヘッド。 - 【請求項19】 前記側方部材は、前記可動部材の自由
端側領域を除いた支点側領域近傍の前記可動部材の両側
部となる部位に設けられた請求項5、8または14に記
載の液体吐出ヘッド。 - 【請求項20】 前記側方部材は、前記可動部材の支点
側領域を除いた自由端側領域近傍の前記可動部材の両側
部となる部位に設けられた請求項5、8または14に記
載の液体吐出ヘッド。 - 【請求項21】 前記可動部材の自由端は、前記発熱体
の面積中心より下流に位置する請求項5、8または14
に記載の液体吐出ヘッド。 - 【請求項22】 前記発熱体に沿った前記発熱体より上
流から前記発熱体上に液体を供給するための供給路を有
する請求項14に記載のの液体吐出ヘッド。 - 【請求項23】 前記供給路は、前記発熱体より上流側
に実質的に平坦、もしくはなだらかな内壁を有し、該内
壁に沿って液体を前記発熱体上に供給する供給路である
請求項5、8または22に記載の液体吐出ヘッド。 - 【請求項24】 前記気泡は前記発熱体が発生する熱に
よって液体に膜沸騰を生じることで発生する気泡である
請求項5、8または14に記載の液体吐出ヘッド。 - 【請求項25】 前記発熱体の有効発泡領域の総てが前
記可動部材に面している請求項5、8または14に記載
の液体吐出ヘッド。 - 【請求項26】 前記発熱体の全面が前記可動部材に面
している請求項5、8または14に記載の液体吐出ヘッ
ド。 - 【請求項27】 前記可動部材の総面積が前記発熱体の
総面積より大である請求項5、8または14に記載の液
体吐出ヘッド。 - 【請求項28】 前記可動部材の支点が前記発熱体の直
上から外れた位置に配されている請求項5、8または1
4に記載の液体吐出ヘッド。 - 【請求項29】 前記可動部材の自由端は前記発熱体が
配された液流路を実質的に直交する形状を有する請求項
5、8または14に記載の液体吐出ヘッド。 - 【請求項30】 前記可動部材の前記自由端は前記発熱
体より吐出口側に配されている請求項5、8または14
に記載の液体吐出ヘッド。 - 【請求項31】 前記可動部材は前記第1流路と第2流
路との間に配された分離壁の一部として構成されている
請求項11に記載の液体吐出ヘッド。 - 【請求項32】 前記分離壁は、金属材料で構成されて
いる請求項31に記載の液体吐出ヘッド。 - 【請求項33】 前記金属材料は、ニッケル若しくは金
である請求項32に記載の液体吐出ヘッド。 - 【請求項34】 前記分離壁は、樹脂で構成されている
請求項31に記載の液体吐出ヘッド。 - 【請求項35】 前記分離壁は、セラミックスで構成さ
れている請求項31に記載の液体吐出ヘッド。 - 【請求項36】 前記第1の液流路の複数に第1の液体
を供給するための第1の共通液室と、前記第2の液流路
の複数に第2の液体を供給するための第2の共通液室と
が配されている請求項11に記載の液体吐出ヘッド。 - 【請求項37】 液体を吐出するための複数の吐出口
と、それぞれの吐出口に対応して直接連通する複数の第
1の液流路を構成するための複数の溝と、前記複数の第
1の液流路に液体を供給するための第1の共通液室を構
成する凹部とを一体的に有する溝付き部材と、 液体に熱を与えることで液体に気泡を発生させるための
複数の発熱体が配された素子基板と、 前記溝付き部材と該素子基板との間に配され、前記発熱
体に対応した第2の液流路の壁の一部を構成すると共
に、前記発熱体に面した位置に前記気泡の発生に基づく
圧力によって前記第1の液流路側に変位する可動部材と
を具備した分離壁とを有し、 前記可動部材には、少なくともその両側部の一部位に、
前記可動部材と一体となって変位すると共に、発生した
気泡の側方を覆う側方部材が一体的に設けられている液
体吐出ヘッド。 - 【請求項38】 前記可動部材の変位によって、前記気
泡が前記第1の液流路まで延在する請求項37に記載の
液体吐出ヘッド。 - 【請求項39】 前記可動部材の変位によって、前記吐
出口に向けて開口部が形成される請求項37に記載の液
体吐出ヘッド。 - 【請求項40】 前記可動部材の自由端は前記発熱体の
面積中心より下流側に位置する請求項37に記載の液体
吐出ヘッド。 - 【請求項41】 前記溝付き部材には、前記第1の共通
液室に液体を導入するための第1導入路と、前記第2の
共通液室に液体を導入するための第2導入路とを有する
請求項37に記載の液体吐出ヘッド。 - 【請求項42】 前記溝付き部材には、前記第2導入路
が複数設けられている請求項41の液体吐出ヘッド。 - 【請求項43】 前記第1導入路の断面積と前記第2導
入路の断面積の比は、各液体の供給量に比例している請
求項41に記載の液体吐出ヘッド。 - 【請求項44】 前記第2導入路は、前記分離壁を貫通
して前記第2の共通液室に液体を供給する導入路である
請求項41に記載の液体吐出ヘッド。 - 【請求項45】 前記第1の液流路に供給される液体と
前記第2の液流路に供給される液体とが同じ液体である
請求項11または37に記載の液体吐出ヘッド。 - 【請求項46】 前記第1の液流路に供給される液体と
前記第2の液流路に供給される液体とが異なる液体であ
る請求項11または37に記載の液体吐出ヘッド。 - 【請求項47】 前記第2の液流路に供給される液体
は、前記第1の液流路に供給される液体に比べ、低粘度
性、発泡性、熱安定性の少なくとも1つの性質で優れて
いる液体である請求項46に記載の液体吐出ヘッド。 - 【請求項48】 前記発熱体は電気信号を受けることで
熱を発生する発熱抵抗体を有する電気熱変換体である請
求項5、8、14または37に記載の液体吐出ヘッド。 - 【請求項49】 前記電気熱変換体は前記発熱抵抗体上
に、保護膜を配したものである請求項48に記載の液体
吐出ヘッド。 - 【請求項50】 前記素子基板上には前記電気熱変換体
に電気信号を伝えるための配線と、前記電気熱変換体に
選択的に電気信号を与えるための機能素子が配されてい
る請求項48に記載の液体吐出ヘッド。 - 【請求項51】 前記気泡発生領域もしくは発熱体が配
された部分の前記第2液流路の形状は室形状である請求
項11または37に記載の液体吐出ヘッド。 - 【請求項52】 前記第2流路の形状は、気泡発生領域
もしくは発熱体の上流で狭窄部を有する形状である請求
項11または37に記載の液体吐出ヘッド。 - 【請求項53】 前記発熱体の表面から前記可動部材ま
での距離が30μm以下である請求項5、8、14また
は37に記載の液体吐出ヘッド。 - 【請求項54】 前記吐出口から吐出される液体はイン
クである請求項5、8、14または37に記載の液体吐
出ヘッド。 - 【請求項55】 請求項1、5、8、11または37の
いずれか1項に記載の液体吐出ヘッドと、該液体吐出ヘ
ッドに供給される液体を保持する液体容器とを有するこ
とを特徴とするヘッドカートリッジ。 - 【請求項56】 請求項1、5、8、11または37の
いずれか1項に記載の液体吐出ヘッドと、該液体吐出ヘ
ッドから液体を吐出させるための駆動信号を供給する駆
動信号供給手段とを有し、気泡の発生によって記録液体
を吐出することを特徴とする液体吐出装置。
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---|---|
JPH09323422A JPH09323422A (ja) | 1997-12-16 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012002337A (ja) * | 2010-06-21 | 2012-01-05 | Santoku Shoji Kk | パイプ端面固定体 |
-
1996
- 1996-06-07 JP JP14568796A patent/JP3387735B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JP2012002337A (ja) * | 2010-06-21 | 2012-01-05 | Santoku Shoji Kk | パイプ端面固定体 |
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