JP3279109B2 - 耐摩耗性に優れた銅合金製シンクロナイザリング - Google Patents

耐摩耗性に優れた銅合金製シンクロナイザリング

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JP3279109B2 JP34065994A JP34065994A JP3279109B2 JP 3279109 B2 JP3279109 B2 JP 3279109B2 JP 34065994 A JP34065994 A JP 34065994A JP 34065994 A JP34065994 A JP 34065994A JP 3279109 B2 JP3279109 B2 JP 3279109B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【産業上の利用分野】この発明は、従来よりも耐摩耗性
に優れた自動変速機の銅合金製シンクロナイザリングに
関するものである。
【０００２】
【従来の技術】従来、自動変速機のシンクロナイザリン
グとしては、Ｚｎ１７〜４０重量％、Ａｌ：２〜１１重
量％、Ｆｅ、Ｎｉ、Ｃｏのうち１種以上：０．０２〜３
重量％、Ｔｉ、ＺｒおよびＶのうち１種または２種以
上：０．１〜３．５重量％、Ｐ、ＭｇおよびＣａのうち
１種または２種以上：：０．００３〜０．３重量％、Ｍ
ｎ：０．１〜４重量％を含有し、残りがＣｕおよび不可
避不純物からなる組成の銅合金からなる銅合金製シンク
ロナイザリングが知られている（特開昭６４−５５３４
７号公報参照）。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】しかし、最近の内燃機
関はますます高出力化し、それに伴い、自動変速機のシ
ンクロナイザリングも一層高荷重および高速回転を強い
られており、かかる過酷な条件下においては前記従来の
銅合金製シンクロナイザリングでは耐摩耗性が十分とは
言えず、使用寿命があまり長くはなかった。
【０００４】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らは、
従来よりも一層耐摩耗性に優れた銅合金製シンクロナイ
ザリングを得るべく研究を行った結果、Ｓ：０．０００
５〜０．０１重量％を含有させ、さらにＭｎを含有させ
る場合はＭｎ含有量を従来よりも少なく含有させる方が
シンクロナイザリングの耐摩耗性は向上するところか
ら、Ｚｎ２０〜４０重量％、Ａｌ：２〜１１重量％、Ｆ
ｅ、Ｎｉ、Ｃｏのうち１種以上：１〜５重量％、Ｔｉ：
０．１〜４重量％を含有し、残りがＣｕおよび不可避不
純物からなる組成の銅合金に、Ｓ：０．０００５〜０．
０１重量％を含有させ、さらに必要に応じてＭｎ：０．
０１〜０．１重量％未満を含有させた組成の銅合金から
なる銅合金製シンクロナイザリングは、従来の銅合金製
シンクロナイザリングよりも一層耐摩耗性に優れ、長期
に亘って使用することができるという知見を得たのであ
る。
【０００５】この発明は、かかる知見にもとづいてなさ
れたものであって、Ｚｎ：２０〜４０重量％、Ａｌ：２
〜１１重量％、Ｆｅ、Ｎｉ、Ｃｏのうち１種以上：１〜
５重量％、Ｔｉ：０．１〜４重量％、Ｓ：０．０００５
〜０．０１重量％を含有し、さらに必要に応じてＭｎ：
０．０１〜０．１重量％未満を含有し、残りがＣｕおよ
び不可避不純物からなる組成の銅合金からなる耐摩耗性
に優れた銅合金製シンクロナイザリングに特徴を有する
ものである。
【０００６】この発明の耐摩耗性に優れた銅合金製シン
クロナイザリングは、Ｚｎ：２０〜４０重量％、Ａｌ：
２〜１１重量％、Ｆｅ、Ｎｉ、Ｃｏのうち１種以上：１
〜５重量％、Ｔｉ：０．１〜４重量％、Ｓ：０．０００
５〜０．０１重量％を含有し、さらに必要に応じてＭ
ｎ：０．０１〜０．１重量％未満を含有し、残りがＣｕ
および不可避不純物からなる組成の銅合金に、さらにＭ
ｇ：０．０１〜０．５重量％含有した銅合金で構成され
ても良い。
【０００７】したがって、この発明の耐摩耗性に優れた
銅合金製シンクロナイザリングは、Ｚｎ：２０〜４０重
量％、Ａｌ：２〜１１重量％、Ｆｅ、Ｎｉ、Ｃｏのうち
１種以上：１〜５重量％、Ｔｉ：０．１〜４重量％、
Ｓ：０．０００５〜０．０１重量％を含有し、さらに必
要に応じてＭｎ：０．０１〜０．１重量％未満を含有
し、さらに必要に応じてＭｇ：０．０１〜０．５重量％
含有し、残りがＣｕおよび不可避不純物からなる組成の
銅合金からなる耐摩耗性に優れた銅合金製シンクロナイ
ザリングにも特徴を有するものである。
【０００８】つぎに、この発明の耐摩耗性に優れた銅合
金製シンクロナイザリングの成分組成を上記のごとく限
定した理由について説明する。
【０００９】（１） ＺｎおよびＡｌ これら両成分には、共存した状態で強度および靭性を向
上させる作用があるが、ＺｎおよびＡｌのうちいずれか
でもＺｎ：２０重量％未満、Ａｌ：２重量％未満になる
と、所望の強度および靭性を確保することができず、一
方、ＺｎおよびＡｌのうちいずれかでもＺｎ：４０重量
％を越え、Ａｌ：１１重量％を越えて含有すると、靭性
が低下するようになるので好ましくない。したがって、
Ｚｎ：２０〜４０重量％、Ａｌ：２〜１１重量％に定め
た。ＺｎおよびＡｌの一層好ましい範囲は、それぞれＺ
ｎ：２５〜４０重量％、Ａｌ：２〜７重量％である。
【００１０】 （２） Ｆｅ、ＮｉおよびＣｏ、並びにＴｉ Ｆｅ、ＮｉおよびＣｏ（以下、これらを鉄族金属とい
う）とＴｉには、共存した状態で金属間化合物を形成
し、これが素地に分散して耐摩耗性を向上させる作用を
有するが、鉄族金属：１重量％未満およびＴｉ：０．１
重量％未満では所望の効果が得られず、一方、鉄族金
属：５重量％を越えおよびＴｉ：４重量％を越えると、
靭性が低下するので好ましくない。したがって、鉄族金
属：１〜５重量％、Ｔｉ：０．１〜４重量に定めた。鉄
族金属およびＴｉの一層好ましい範囲は、それぞれ鉄族
金属：２〜４重量％、Ｔｉ：０．５〜３重量％である。
【００１１】（３）Ｓ Ｓ成分は、耐摩耗性をさらに改善する作用を有するが、
Ｓ：０．０００５重量％未満ではその効果が十分でな
く、一方、Ｓ：０．０１重量％を越えて含有すると熱間
加工性が阻害されるので好ましくない。したがって、Ｓ
含有量は０．０００５〜０．０１重量％に定めた。Ｓの
一層好ましい範囲は０．００１〜０．００５重量％であ
る。
【００１２】（４）Ｍｎ Ｍｎは、従来よりも少なく含有するほうが耐摩耗性は改
善される成分であり、必要に応じて含有させるが、Ｍ
ｎ：０．０１重量％未満ではその効果が十分でなく、一
方、Ｍｎ：０．１重量％以上含有すると耐摩耗性が低下
し、さらに熱間加工性が阻害されるので好ましくない。
したがって、Ｍｎ：０．０１〜０．１重量％未満に定め
た。Ｍｎの一層好ましい範囲は０．０３〜０．０７重量
％である。
【００１３】（５）Ｍｇ Ｍｇは、硬さ、特に高温硬さを向上させ、もって高荷重
および高速回転の運転条件かで優れた耐摩耗性を発揮さ
せる作用があるので必要に応じて添加するが、その含有
量が０．０１重量％未満では所望の効果が得られず、一
方、その含有量が０．５重量％を越えると、靭性が低下
するで好ましくない。したがって、Ｍｇの含有量は、
０．０１〜０．５重量％に定めた。Ｍｇの一層好ましい
範囲は、０．０５〜０．３５重量％である。
【００１４】
【実施例】先ず、高周波溶解炉により表１〜表２に示さ
れる成分組成のＣｕ合金を溶製し、金型鋳造にて直径：
６５ｍｍ、長さ：２２０ｍｍのインゴットを製造し、こ
のインゴットを７５０℃で熱間鍛造し、厚さ：１５ｍ
ｍ、幅：１００ｍｍ、長さ：３００ｍｍのシンクロナイ
ザリング素材を作製し、このシンクロナイザリング素材
を切断して本発明シンクロナイザリング試験片（以下、
本発明試験片という）１〜１１および従来シンクロナイ
ザリング試験片（以下、従来試験片という）１〜３を作
製した。さらに相手材として環状浸炭焼入れ鋼（表面粗
さ：２．０〜２．５Ｒｚ）を用意した。
【００１５】試験片および相手材を図１に示されるよう
にセットし、試験片に対して相手材を図１に示されるよ
うに荷重：５０ｋｇで押し付けながら、相手材を、 滑り速度：５ｍ／ｓ、 滑り距離：１０ｋｍ、 油 ：ミッションオイル、 油温度 ：８０℃、 の条件で回転させた後の摩耗深さを測定し、その結果を
表１〜表２に示し耐摩耗性を評価した。
【００１６】
【表１】
【００１７】
【表２】
【００１８】
【発明の効果】表１〜表２に示される結果から、本発明
試験片１〜１１は従来試験片１〜３に比べていずれも摩
耗量が少ないことから耐摩耗性に優れており、本発明試
験片１〜１１と同じＣｕ合金で作製された銅合金製シン
クロナイザリングは、従来試験片１〜３と同じＣｕ合金
で作製された銅合金製シンクロナイザリングと比較して
摩耗性に優れていることが分かる。
【００１９】上述のように、この発明の銅合金製シンク
ロナイザリングは、従来の銅合金製シンクロナイザリン
グに比べて耐摩耗性に優れており、過酷な条件下で使用
されても優れた性能を長期にわたって発揮することがで
き、工業上優れた効果をもたらすものである。
【図面の簡単な説明】
【図１】耐摩耗性試験の試験方法を示す説明図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−238248（ＪＰ，Ａ) 特開 平１−252743（ＪＰ，Ａ) 特開 昭64−55347（ＪＰ，Ａ) 特開 平６−192772（ＪＰ，Ａ) 特開 平３−291341（ＪＰ，Ａ) 特開 平３−291342（ＪＰ，Ａ) 特開 平３−291343（ＪＰ，Ａ) 特公 昭33−9956（ＪＰ，Ｂ１) (58)調査した分野(Int.Cl.7，ＤＢ名) C22C 9/04

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】 Ｚｎ：２０〜４０重量％、Ａｌ：２〜１
    １重量％、Ｆｅ、Ｎｉ、Ｃｏのうち１種以上：１〜５重
    量％、Ｔｉ：０．１〜４重量％、Ｓ：０．０００５〜
    ０．０１重量％を含有し、残りがＣｕおよび不可避不純
    物からなる組成の銅合金からなることを特徴とする耐摩
    耗性に優れた銅合金製シンクロナイザリング。
  2. 【請求項２】 Ｚｎ：２０〜４０重量％、Ａｌ：２〜１
    １重量％、Ｆｅ、Ｎｉ、Ｃｏのうち１種以上：１〜５重
    量％、Ｔｉ：０．１〜４重量％、Ｍｎ：０．０１〜０．
    １重量％未満、Ｓ：０．０００５〜０．０１重量％を含
    有し、残りがＣｕおよび不可避不純物からなる組成の銅
    合金からなることを特徴とする耐摩耗性に優れた銅合金
    製シンクロナイザリング。
  3. 【請求項３】 請求項１または２記載の銅合金に、さら
    にＭｇ：０．０１〜０．５重量％を含有した組成の銅合
    金からなることを特徴とする耐摩耗性に優れた銅合金製
    シンクロナイザリング。
JP34065994A 1994-10-27 1994-10-27 耐摩耗性に優れた銅合金製シンクロナイザリング Expired - Lifetime JP3279109B2 (ja)

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