JP3198075B2 - 多層構造アクリル重合体、およびそれを用いたメタクリル樹脂組成物 - Google Patents

多層構造アクリル重合体、およびそれを用いたメタクリル樹脂組成物

Info

Publication number
JP3198075B2
JP3198075B2 JP15078697A JP15078697A JP3198075B2 JP 3198075 B2 JP3198075 B2 JP 3198075B2 JP 15078697 A JP15078697 A JP 15078697A JP 15078697 A JP15078697 A JP 15078697A JP 3198075 B2 JP3198075 B2 JP 3198075B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
weight
monomer
polymer
parts
mixture
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP15078697A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH10338723A (ja
Inventor
純 中内
博文 宇野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Mitsubishi Rayon Co Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Mitsubishi Rayon Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Family has litigation
First worldwide family litigation filed litigation Critical https://patents.darts-ip.com/?family=15504409&utm_source=google_patent&utm_medium=platform_link&utm_campaign=public_patent_search&patent=JP3198075(B2) "Global patent litigation dataset” by Darts-ip is licensed under a Creative Commons Attribution 4.0 International License.
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp, Mitsubishi Rayon Co Ltd filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
Priority to JP15078697A priority Critical patent/JP3198075B2/ja
Priority to CN98806000A priority patent/CN1119363C/zh
Priority to DE69819895T priority patent/DE69819895T2/de
Priority to EP98923121A priority patent/EP0989144B1/en
Priority to KR1019997011551A priority patent/KR100330683B1/ko
Priority to PCT/JP1998/002473 priority patent/WO1998056840A1/ja
Priority to CA002292640A priority patent/CA2292640C/en
Priority to US09/424,851 priority patent/US6310137B1/en
Priority to TW087109151A priority patent/TW499458B/zh
Publication of JPH10338723A publication Critical patent/JPH10338723A/ja
Publication of JP3198075B2 publication Critical patent/JP3198075B2/ja
Application granted granted Critical
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08FMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED BY REACTIONS ONLY INVOLVING CARBON-TO-CARBON UNSATURATED BONDS
    • C08F285/00Macromolecular compounds obtained by polymerising monomers on to preformed graft polymers

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Polymers & Plastics (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Graft Or Block Polymers (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、落球・落錘衝撃強
度、耐衝撃白化性、透明性に優れた多層構造アクリル系
重合体、およびそれを用いたメタクリル樹脂組成物に関
する。
【0002】
【従来の技術】メタクリル樹脂は、透明性、耐候性、成
形加工性等に優れており、自動車用部品、照明用品、各
種パネル等に用いられている。しかし、一般にメタクリ
ル樹脂は耐衝撃性が十分でないので、従来より耐衝撃性
を改良するための多くの提案が為されている。
【0003】例えば特公昭55−27576号公報で
は、特定の硬質−軟質−硬質の三段階を基本構造とする
多段階重合体を添加することにより、メタクリル樹脂等
の硬質樹脂の耐衝撃性を向上させることが提案されてい
る。また、特公平5−88903号公報では、耐衝撃
性、透明性、ヘイズの温度依存性の改良を目的に、特定
の構造、特性を持つ硬質−軟質−硬質の重合体を含む熱
可塑性アクリル樹脂組成物が提案されている。また、特
開昭62−230841号公報では、半軟質−軟質−硬
質の三段階の構造の多層構造グラフト共重合体で、透明
性、光沢、剛性と耐衝撃性のバランスを改良することが
提案されている。さらに、特開平6−93056号公報
では、硬質−軟質−硬質の乳化重合体においてエラスト
マー層の構成成分としてアリールアルキル(メタ)アク
リレートをスチロール(スチレン)の代わりに用いるこ
とで硬質核とエラストマー層の分離を鮮鋭化し、アイゾ
ット衝撃強度、耐衝撃白化性を改良する方法が提案され
ている。
【0004】しかし、これらの提案でいう耐衝撃性は、
もっぱらノッチ(切り欠き)を有する試験片の衝撃強度
(アイゾット衝撃強度)である。すなわち、コーナー等
がある複雑な形状の成形品の耐衝撃性の評価方法として
は一般的ではあるが、例えば、看板や各種カバー等の主
に平板で用いられる場合の耐衝撃性の指標である落球・
落錘衝撃強度に関しては特に検討しておらず、改良の余
地があった。
【0005】また特公昭60−11970号公報では、
特定の硬質−軟質−硬質の三層構造の各層間に特定の中
間層を設け、かつ特定の粒径とすることで、また特公昭
60−17406号公報では、特定の硬質−軟質−硬質
の三層構造の第3層の分子量をコントロールすること
で、落錘衝撃強度、耐溶剤性等を向上させる方法が提案
されているが、それらの改良の程度は大きくなく、依然
改良の余地があった。
【0006】さらに、特開平5−17654号公報で
は、半軟質−軟質−硬質の三段階の構造の多層構造グラ
フト共重合体を製造するにあたり、第2層が特定の重合
転化率の時点で第3層の添加・重合を開始することで、
光沢、透明性、落錘衝撃強度、加工性を改良する方法が
提案されている。しかし、この提案においても、透明
性、落錘衝撃強度は十分でなく、耐衝撃白化性も改良の
余地が残されていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、熱可
塑性樹脂組成物の落球・落錘強度、耐衝撃白化性、透明
性等を向上させる多層構造アクリル系重合体、および、
この多層構造アクリル系重合体を含むメタクリル樹脂組
成物を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる課
題を解決するために鋭意検討を行った結果、特定の組成
から成り、かつ特定の形態的特徴を有する多層構造アク
リル系重合体によって上記課題が解決することを見い出
し、本発明を完成するに至った。
【0009】すなわち本発明の要旨は、アルキル基の炭
素数が1〜4のアルキルメタクリレート40〜100重
量%、アルキル基の炭素数が1〜8のアルキルアクリレ
ート0〜60重量%、およびその他の共重合可能な単量
体0〜20重量%から成る単量体または単量体混合物1
00重量部と、多官能単量体0.1〜10重量部との混
合物を重合して得られる最内層重合体(A)、最内層重
合体(A)の存在下に、アルキル基の炭素数が1〜8の
アルキルアクリレート70〜90重量%、芳香族ビニル
単量体10〜30重量%、およびその他の共重合可能な
単量体0〜20重量%から成る単量体混合物100重量
部と、多官能単量体0.1〜5重量部との混合物を重合
して得られる中間層重合体(B)、並びに、最内層重合
体(A)および中間層重合体(B)を含んで成る重合体
の存在下に、アルキル基の炭素数が1〜4のアルキルメ
タクリレート50〜100重量%、アルキル基の炭素数
が1〜8のアルキルアクリレート0〜50重量%、およ
びその他の共重合可能な単量体0〜20重量%から成る
単量体または単量体混合物を重合して得られる最外層重
合体(C)を含んで成り、下式 完全被覆率=[中間層の最小厚み÷中間層の最大厚み]
×100(%) で示す完全被覆率の平均値が30%以上であることを特
徴とする多層構造アクリル系重合体にある。
【0010】更に本発明の要旨は、上記多層構造アクリ
ル系重合体5〜95重量%と、メタクリル酸メチルを主
成分とするメタクリル樹脂95〜5重量%とを含んで成
るメタクリル樹脂組成物にある。
【0011】本発明の多層構造アクリル系重合体は、上
述の通り、構造が厳密に制御されたものであり、特にこ
の構造は、最内層を被覆する中間層の被覆の均一性と、
耐衝撃性、耐衝撃白化性および透明性との関係に着目し
て制御されたものである。特に本発明は、この中間層の
被覆の均一性の基準として完全被覆率を規定し、この値
が30%以上の場合、耐衝撃性(特に落球・落錘衝撃強
度)が飛躍的に向上し、かつ耐衝撃白化性、透明性も改
善されるという作用効果に基づいている。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施形態に
ついて説明する。
【0013】最内層重合体(A)は、アルキル基の炭素
数が1〜4のアルキルメタクリレート40〜100重量
%、好ましくは40〜95重量%、より好ましくは50
〜70重量%、アルキル基の炭素数が1〜8のアルキル
アクリレート0〜60重量%、好ましくは4〜59重量
%、より好ましくは20〜50重量%、およびその他の
共重合可能な単量体0〜20重量%から成る単量体また
は単量体混合物100重量部と、多官能単量体0.1〜
10重量部、好ましくは1〜5重量部との混合物を重合
して得たものである。組成を上述の各範囲内にすること
により、優れた落球・落錘衝撃強度、耐衝撃白化性、透
明性が得られる。
【0014】ここで用いられるアルキル基の炭素数が1
〜4のアルキルメタクリレートとしては、メチルメタク
リレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレ
ート、n−ブチルメタクリレート等が挙げられる。アル
キル基の炭素数が1〜8のアルキルアクリレートとして
は、メチルアクリレート、エチルアクリレート、i−プ
ロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−エ
チルヘキシルアクリレート等が挙げられる。その他の共
重合可能な単量体としては、スチレン、α−メチルスチ
レン、ビニルトルエン等の芳香族ビニル単量体、フェニ
ルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ベ
ンジルメタクリレート等の非アルキルメタクリレート、
およびそれらに対応した非アルキルアクリレート等が挙
げられる。特に、芳香族ビニル単量体は完全被覆率を向
上させる効果があるので、好ましくは1〜10重量%、
より好ましくは3〜7重量%用いることが有利である。
【0015】また、多官能単量体は、それが有する複数
の官能基の反応性が実質的に全て等しく、主に層内の架
橋を形成せしめる架橋性多官能単量体と、それが有する
複数の官能基の内少なくとも一つが他と反応性が異な
り、その反応性の差のため層間の化学結合を有効に形成
せしめるグラフト結合性多官能単量体とに大別される。
多官能単量体全体としての使用量は前述の通りである
が、両者の重量比[架橋性多官能単量体/グラフト結合
性多官能単量体]は、1/10〜20/1が好ましく、
1/1〜10/1がより好ましい。架橋性多官能単量体
としては、エチレングリコール、1,3−ブチレングリ
コール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコ
ール等のアクリル酸またはメタクリル酸のジエステル、
トリメチロールプロパントリアクリレート、トリアリル
イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラアクリ
レート等が挙げられる。グラフト結合性多官能単量体と
しては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマ
ル酸、イタコン酸等のアリル、メタクリルまたはクロチ
ルエステル等が挙げられる。
【0016】中間層重合体(B)は、上述した最内層重
合体(A)の存在下に、アルキル基の炭素数が1〜8の
アルキルアクリレート70〜90重量%、好ましくは7
5〜85重量%、より好ましくは80〜85重量%、芳
香族ビニル単量体10〜30重量%、好ましくは15〜
25重量%、より好ましくは15〜20重量%、および
その他の共重合可能な単量体0〜20重量%から成る単
量体混合物100重量部と、多官能単量体0.1〜5重
量部、好ましくは0.5〜4重量部、より好ましくは1
〜3重量部との混合物を重合して得たものである。この
中間層重合体(B)に用いられる単量体や多官能単量体
として、先に挙げた最内層重合体(A)に用いうる単量
体や多官能単量体の例と同様のものを使用できる。重量
比[架橋性多官能単量体/グラフト結合性多官能単量
体]は1/30〜10/1が好ましく、1/20〜2/
1がより好ましい。
【0017】最外層重合体(C)は、上述した最内層重
合体(A)および中間層重合体(B)を含んで成る重合
体の存在下に、アルキル基の炭素数が1〜4のアルキル
メタクリレート50〜100重量%、好ましくは80〜
99重量%、より好ましくは90〜97重量%、アルキ
ル基の炭素数が1〜8のアルキルアクリレート0〜50
重量%、好ましくは1〜20重量%、より好ましくは3
〜10重量%、およびその他の共重合可能な単量体0〜
20重量%から成る単量体または単量体混合物を重合し
て得たものである。この最外層重合体(C)に用いられ
る単量体として、先に挙げた最内層重合体(A)に用い
うる単量体の例と同様のものを使用できる。また、マト
リックス樹脂との相容性、流動性、耐衝撃性等を良好に
するためにアルキルメルカプタン等の連鎖移動剤を用い
ることが望ましい。アルキルメルカプタンとしては、n
−ブチルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n
−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン等
が挙げられ、最外層重合体(C)に用いられる単量体混
合物100重量部に対して、好ましくは0.1〜2重量
部、より好ましくは0.2〜0.8重量部用いる。
【0018】本発明の多層構造アクリル系重合体は、最
内層重合体(A)、中間層重合体(B)、最外層重合体
(C)の三層を含んで成り、最内層重合体(A)と中間
層重合体(B)の重量比[(A)/(B)]は30/7
0〜60/40であることが好ましく、30/70〜5
0/50であることがより好ましい。中間層重合体
(B)に対する最内層重合体(A)の比率が小さ過ぎる
と、完全被覆率の平均値を30%以上に制御することが
難しくなることも相まって、透明性、耐衝撃白化性に劣
るとともに、落球・落錘衝撃強度も低下する。また、こ
の比率が大き過ぎると、軟質中間層の割合が低下し、や
はり落球・落錘衝撃強度が低下する。
【0019】最外層重合体(C)は、中間層段階までの
重合体に化学結合する重合体成分と化学結合していない
重合体成分(フリーポリマー)とからなる。最外層に用
いる連鎖移動剤、中間層に用いるグラフト結合性多官能
単量体、重合条件等により、中間層段階までの重合体に
化学結合する最外層重合体の比率をコントロールでき
る。相容性、流動性、耐衝撃性の観点から、下式 グラフト率=[中間層段階までの重合体に化学結合して
いる最外層重合体の重量÷中間層段階までの重合体の重
量]×100(%) で示されるグラフト率を、20〜60%に調節すること
が好ましく、25〜45%に調節することがより好まし
い。グラフト率が小さ過ぎると落球・落錘衝撃強度、耐
衝撃白化性に劣り、またグラフト率が大き過ぎると落球
・落錘衝撃強度に劣るので好ましくない。なお、この式
中、[中間層段階までの重合体に化学結合している最外
層重合体の重量]は、多層構造アクリル系重合体中の全
最外層重合体(C)の重量から、アセトン等の溶剤によ
って抽出できる最外層重合体の重量を差し引くことによ
り求めることができる。
【0020】本発明の最も重要な特徴の一つは、下式 完全被覆率=[中間層の最小厚み÷中間層の最大厚み]
×100(%) で示す完全被覆率の平均値が30%以上、好ましくは4
0%以上である点である。この様な基準を採用し、この
値を上記範囲とすれば、耐衝撃性(特に落球・落錘衝撃
強度)が飛躍的に向上し、かつ耐衝撃白化性、透明性が
改善されるのであり、このことは、本発明者らが初めて
見出したものである。
【0021】最内層を取り巻く中間層の被覆状態は、多
層構造アクリル系重合体を四酸化ルテニウムで染色され
ない硬質メタクリル樹脂等と溶融混練、成形して得た成
形品の切片を四酸化ルテニウムで染色するすることによ
り、透過型電子顕微鏡(TEM)で観察、評価できる。
すなわち完全被覆率を求める場合は、この成形品の切片
を0.5重量%四酸化ルテニウム水溶液に12時間浸漬
することにより染色を行い、ミクロトームを用いて約7
0nmの厚みの薄片にし、TEMで適当な倍率で写真撮
影し、この写真から中間層の最小厚みと最大厚みを実測
し、完全被覆率を算出すればよい。この場合、写真の鮮
明度と厚み測定の誤差を考慮して、写真の倍率は7万倍
を標準倍率とし、3.5万倍〜10万倍、好ましくは5
万倍〜8万倍とするのが良い。また、厚みを測定する多
層構造アクリル系重合体粒子の個数は200個以上を無
作為に選び、それぞれの完全被覆率の平均値を求める。
ただし、最内層が認められない粒子、最内層と中間層の
境界、および中間層と最外層の境界が不鮮明な粒子につ
いては除外すべきである。
【0022】完全被覆率の平均値を30%以上にする為
には、単量体や乳化剤の添加方法、重合開始剤の種類や
量などを適切に選択すればよい。例えば、最内層重合体
(A)を構成するための単量体(多官能単量体も含む。
以下同様)については、全単量体の重量の好ましくは1
/20〜1/3、より好ましくは1/10〜1/4を乳
化剤とともにあらかじめ反応系中に添加して重合を行
い、その後残りの単量体と乳化剤の混合物を、水に対す
る添加単量体濃度の増加率で好ましくは15重量%/時
間以下、より好ましくは10重量%/時間以下の速度で
連続的に添加して重合を行い、中間層重合体(B)を構
成するための単量体(多官能単量体も含む。以下同様)
については、全単量体を、水に対する添加単量体濃度の
増加率で好ましくは10重量%/時間以下、より好まし
くは7重量%/時間以下、特に好ましくは5重量%/時
間以下の速度で連続的に添加するとよい。
【0023】また完全被覆率の平均値を30%以上にす
る為には、例えば、中間層の重合に用いる重合開始剤と
して、下記方法で求められるW/O分配係数が好ましく
は0.01以上、より好ましくは0.05以上である有
機過酸化物、過硫酸塩、過硼酸塩を使用するとよい。こ
の重合開始剤の使用量は、中間層重合体(B)を構成す
るための全単量体100重量部に対して、0.1〜0.
5重量部が好ましく、0.2〜0.4重量部がより好ま
しい。
【0024】このW/O分配係数は、重合開始剤を5重
量%の濃度になるようスチレンに溶解あるいは分散さ
せ、このスチレン溶液(または分散液)2ccと水20
ccを混合し、室温下で4時間振とうし、40分遠心分
離し、両層中の重合開始剤の濃度をヨード滴定法、ガス
クロマトグラフィー等の公知の方法で求め、下式 W/O分配係数=水層中の重合開始剤濃度÷スチレン層
中の重合開始剤濃度 により算出する。
【0025】本発明の多層構造アクリル系重合体は、例
えば、公知の乳化重合法等により製造できる。この製造
方法の好適な例を以下に示す。
【0026】反応容器に脱イオン水、必要があれば乳化
剤を加えた後、最内層重合体(A)を構成するための各
成分を添加し重合することにより、最内層重合体(A)
から成る分散粒子を含むラテックスを得る。次に、この
ラテックスの存在下に、中間層重合体(B)を構成する
ための各成分を添加して重合を行うことにより、最内層
重合体(A)から成る分散粒子の周りに中間層重合体
(B)から成る殻を形成する。続いて、このラテックス
の存在下に、最外層重合体(C)を構成するための各成
分を添加して重合を行うことにより、分散粒子の周りに
さらに最外層重合体(C)から成る最外殻を形成し、所
望の多層構造アクリル系重合体が得られる。
【0027】重合温度は、用いる重合開始剤の種類や量
によって異なるが、40〜120℃が好ましく、60〜
95℃がより好ましい。重合開始剤の添加方法は、水
相、単量体相の何れか片方または双方に添加する方法を
用いることができる。
【0028】乳化剤は、アニオン系、カチオン系、ノニ
オン系の界面活性剤等が使用できるが、特にアニオン系
界面活性剤が好ましい。アニオン系界面活性剤として
は、オレイン酸カリウム、ステアリン酸ナトリウム、ミ
リスチン酸ナトリウム、N−ラウロイルザルコシン酸ナ
トリウム、アルケニルコハク酸ジカリウム系等のカルボ
ン酸塩;ラウリル硫酸ナトリウム等の硫酸エステル塩;
ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ドデシルベンゼ
ンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテル
ジスルホン酸ナトリウム系等のスルホン酸塩;ポリオキ
シエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸ナトリウム
系等のリン酸エステル塩;等が挙げられる。
【0029】多層構造アクリル系重合体の平均粒子径は
特に限定されないが、中間層まで重合した段階で0.0
5〜0.5μmが好ましく、0.2〜0.35μmがよ
り好ましい。
【0030】乳化重合法によって得られたポリマーラテ
ックスには、酸凝固法、塩凝固法、凍結凝固法、噴霧乾
燥法等の公知の凝固法を用いることができる。酸凝固法
には、硫酸、塩酸、リン酸等の無機酸;酢酸等の有機
酸;等を使用できる。塩凝固法には、硫酸ナトリウム、
硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、塩化カルシウム
等の無機塩;酢酸カルシウム、酢酸マグネシウム等の有
機塩;等を使用できる。凝固した重合体は、さらに洗
浄、脱水、乾燥すればよい。
【0031】以上説明した本発明の多層構造アクリル系
重合体は、特に、メタクリル樹脂組成物等の熱可塑性樹
脂組成物に混合して用いる用途に有用である。
【0032】特に、本発明のメタクリル樹脂組成物は、
本発明の多層構造アクリル系重合体5〜95重量%と、
メタクリル酸メチルを主成分とするメタクリル樹脂95
〜5重量%とを含んで成るものである。かかるメタクリ
ル樹脂組成物は、耐衝撃性(特に落球・落錘衝撃強
度)、耐衝撃白化性、透明性に優れたものとなる。ま
た、多層構造アクリル系重合体と硬質メタクリル樹脂の
比率が上記範囲を逸脱すると、耐衝撃性、耐衝撃白化
性、透明性が劣ったものとなる。
【0033】このメタクリル樹脂組成物に用いる硬質メ
タクリル樹脂としては、メタクリル酸メチル単位を主た
る繰返し単位として含むものが好ましい。具体的には、
メタクリル酸メチル単位の比率が50重量%以上である
ことが好ましく、この場合は透明性や耐候性の点で優れ
たものとなる。
【0034】多層構造アクリル系重合体と硬質メタクリ
ル樹脂を混合する方法は特に限定されないが、溶融混合
する方法が好ましい。必要があれば、溶融混合に先立っ
て、ヒンダードフェノール系、フォスファイト系、チオ
エーテル系等の酸化防止剤;ヒンダードアミン系、ベン
ゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ベンゾエート
系、有機ニッケル系等の光安定剤;あるいは、滑剤、可
塑剤、染顔料、充填剤等を適宜加え、V型ブレンダー、
ヘンシェルミキサー等で混合した後、ミキシングロー
ル、スクリュー型押出機等を用いて150〜300℃で
溶融混練するとよい。
【0035】かくして得られた本発明のメタクリル樹脂
組成物を、押出成形機、射出成形機等により成形するこ
とにより、耐衝撃性、耐衝撃白化性、透明性に優れ、ヘ
イズの温度依存性の小さい成形品が得られる。
【0036】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明はこれらにより何ら制限を受けるもの
ではない。実施例において、特記の無い限り「部」は重
量部、「%」は重量%を示す。
【0037】また、実施例において、各略号は以下の化
合物を示す。 MMA:メチルメタクリレート MA:メチルアクリレート BA:n−ブチルアクリレート AMA:アリルメタクリレート DAM:ジアリルマレート St:スチレン EDMA:エチレングリコールジメタクリレート BDMA:1,3−ブチレングリコールジメタクリレー
ト n−OM:n−オクチルメルカプタン t−DM:t−ドデシルメルカプタン KPS:過硫酸カリウム CHP:クメンハイドロパーオキサイド t−HH:t−ヘキシルハイドロパーオキサイド DBP:ジ−t−ブチルパーオキサイド EDTA・2Na:エチレンジアミン4酢酸2ナトリウ
ム2水和物 SFS:ソディウムフォルムアルデヒドスルホキシレー
ト 乳化剤(1):モノ(ポリオキシエチレンノニルフェニ
ルエーテル)リン酸40 %とジ(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)
リン酸60%混合物の水酸化ナトリウム部分中和物。
【0038】また、実施例に示した諸特性の測定は下記
方法に従って実施した。
【0039】<落錘衝撃試験>日精樹脂製PS60E9
ASE射出成形機を用い、シリンダー温度260℃で寸
法110×110×3.5mmの試験片を作製し、島津
製作所製高速衝撃試験機HTM−1(タップ直径:1/
2インチ、撃座内径:40mm、タップ移動速度:4.
4m/秒)で試験を行い、5枚の試験の最大荷重点まで
のエネルギーの平均値を落錘衝撃強度とした。
【0040】<衝撃白化試験>日立造船産業製SHT4
5−B押出機を用い、シリンダー温度250℃で作製し
た厚み3mmの押出板を150×150mmの寸法に切
断して試験片とし、535gの鉄球を2mの高さから試
験片の上に落とした後の白化の程度を目視で比較した
[耐衝撃白化性:良◎>○>×>××悪]。
【0041】<ヘイズの測定>日精樹脂製PS60E9
ASE射出成形機を用い、シリンダー温度260℃で1
00×50×2mmの試験片を作製し、ASTM−D1
003に基づいて測定した。
【0042】<完全被覆率の測定>日精樹脂製PS60
E9ASE射出成形機を用い、シリンダー温度260℃
で100×50×2mmの試験片を作製し、適当な大き
さに切り出した後、切片を0.5重量%四酸化ルテニウ
ム水溶液に室温下、12時間浸漬することにより染色を
行い、ミクロトームを用いて約70nmの厚みの薄片に
し、透過型電子顕微鏡(TEM)で7万倍で写真撮影
し、この写真から最内層と中間層、中間層と最外層の境
界が明瞭な粒子200個を無作為に選び、中間層の最小
厚みと最大厚みを実測して各完全被覆率を算出し、その
平均値を求めた。
【0043】<グラフト率の測定>凝固、乾燥して得た
多層構造アクリル重合体の粉末を約1g精秤し、アセト
ン50ml中で6時間還流し、日立工機製高速冷却遠心
機CR22を用いて14000rpmで30分遠心分離
/30分振とうを2回繰り返し、再度30分遠心分離
し、その後アセトン不溶部を分離乾燥し、下式 グラフト率=[(W1−W0×R)÷(W0×R)]×
100(%) [W0は試料の重量(g)、W1はアセトン不溶部の重
量(g)、Rは多層構造アクリル重合体全体に占める
(最内層+中間層)の重量比]によりグラフト率を求め
た。
【0044】<参考例1:CHP、t-HHのW/O分配
係数の測定>重合開始剤CHP、t-HHを5重量%の濃
度になるようスチレンに溶解させ、このスチレン溶液2
ccと水20ccを混合し、室温下、4時間振とうし、
40分遠心分離し、両層中の重合開始剤の濃度をヨード
滴定法により測定した。具体的には、300mlの冷却
管付きフラスコにイソプロピルアルコール30ml、氷
酢酸飽和水溶液2ml、ヨウ化カリウム飽和水溶液2m
lをとり、さらに試料約0.1gを精秤して加え、冷却
管をつけ、熱板上で緩やかに3分沸騰させ、直ちにN/
10チオ硫酸ナトリウム溶液でヨードの色が消失するま
で滴定し、濃度を求めた。
【0045】この両層中の重合開始剤の濃度から、次式 W/O分配係数=水層中の重合開始剤濃度÷スチレン層
中の重合開始剤濃度 に従いW/O分配係数を算出した。結果を下記表1に示
す。
【0046】
【表1】 <参考例2:DBPのW/O分配係数の測定>島津製作
所製ガスクロマトグラフGC−8APFを用いてガスク
ロマトグラフィー法により濃度測定を行ったこと以外
は、参考例1と同じ操作でDBPのW/O分配係数を求
めた。このW/O分配係数は0.00であった。
【0047】<参考例3:KPSのW/O分配係数の測
定>KPSはスチレンには実質的に不溶であり(溶解度
0.1%以下)、水への溶解度が室温で30%以上であ
るので、KPSのW/O分配係数は20以上であるとし
た。
【0048】<実施例1>還流冷却器付き反応容器に、
イオン交換水300部、炭酸ナトリウム0.09部、ほ
う酸0.9部を加え、80℃に昇温した後、下記表2に
記載の単量体混合物(a−1)[以下、参照番号を付し
た単量体混合物は、同様に下記表2に記載のものであ
る]45部と乳化剤(1)0.3部の混合物の1/15
を加え、重合開始剤KPS0.05部を添加して15分
保持し、その後残りの単量体・乳化剤混合物を水に対す
る単量体混合物の増加率で13%/時間の速度で連続的
に添加し、その後1時間保持して最内層の重合を行い、
ラテックスを得た。
【0049】次いで、このラテックスの存在下、重合開
始剤KPS0.1部を加えた後、単量体混合物(b−
1)55部と乳化剤(1)0.5部の混合物を、水に対
する単量体混合物の増加率で8%/時間の速度で連続的
に添加し、その後2.5時間保持して中間層の重合を行
った。
【0050】次いで、このラテックスの存在下、重合開
始剤KPS0.05部を加え15分保持し、単量体混合
物(c−1)80部を水に対する単量体混合物の増加率
で10%/時間の速度で連続的に添加し、その後1時間
保持して最外層の重合を行い、多層構造アクリル重合体
ラテックスを得た。
【0051】次いで、このラテックスを酢酸カルシウム
水溶液で凝固し、洗浄、脱水、乾燥を行い、多層構造ア
クリル重合体の粉末を得た。
【0052】得られた粉末45部と、MMA/MA(重
量比97/3)から成る硬質メタクリル樹脂55部をヘ
ンシェルミキサーで混合し、直径40mmの単軸押出機
を用いて、シリンダー温度230〜270℃、ダイ温度
260℃で溶融混練し、得られたペレット状のメタクリ
ル樹脂組成物を射出成形あるいは押出成形して、試験片
を得た。
【0053】<実施例2>還流冷却器付き反応容器に、
イオン交換水300部を加え、80℃に昇温し、硫酸鉄
(II)7水和物6×10-5部、EDTA・2Na1.5
×10-4部、SFS0.3部を添加し、その後単量体混
合物(a−2)40部、重合開始剤t−HH0.1部と
乳化剤(1)1.2部の混合物の1/10を加えて15
分保持し、その後残りの単量体・乳化剤混合物を水に対
する単量体混合物の増加率で8%/時間の速度で連続的
に添加し、その後1時間保持して最内層の重合を行っ
た。
【0054】次いで、このラテックスの存在下、SFS
0.3部を加え、単量体混合物(b−2)60部、重合
開始剤t−HH0.2部と乳化剤(1)1部の混合物
を、水に対する単量体混合物の増加率で4%/時間の速
度で連続的に添加し、その後2時間保持して中間層の重
合を行った。
【0055】次いで、このラテックスの存在下、SFS
0.2部を加えて15分保持し、その後単量体混合物
(c−2)60部と開始剤t−HH0.1部を、水に対
する単量体混合物の増加率で10%/時間の速度で連続
的に添加し、1時間保持して最外層の重合を行い、多層
構造アクリル重合体ラテックスを得た。この後は、実施
例1と同様に操作して試験片を得た。
【0056】<実施例3>還流冷却器付き反応容器に、
イオン交換水300部、炭酸ナトリウム0.09部、ほ
う酸0.9部を加え、80℃に昇温し、単量体混合物
(a−3)40部と乳化剤(1)0.4部の混合物の1
/10を加え、重合開始剤KPS0.05部を添加し1
5分保持し、その後残りの単量体・乳化剤混合物を水に
対する単量体混合物の増加率で8%/時間の速度で連続
的に添加し、その後1時間保持して最内層の重合を行っ
た。
【0057】次いで、このラテックスの存在下、重合開
始剤KPS0.1部を加え、単量体混合物(b−3)6
0部と乳化剤(1)0.6部の混合物を、水に対する単
量体混合物の増加率で4%/時間の速度で連続的に添加
し、2.5時間保持して中間層の重合を行った。
【0058】次いで、このラテックスの存在下、KPS
0.05部を加えて15分保持し、そ後単量体混合物
(c−3)60部を水に対する単量体混合物の増加率で
10%/時間の速度で連続的に添加し、1時間保持して
最外層の重合を行い、多層構造アクリル重合体ラテック
スを得た。この後は、実施例1と同様に操作して試験片
を得た。
【0059】<比較例1>多層構造アクリル重合体の最
内層に用いる単量体混合物を(a−4)に変更したこと
以外は、実施例3と同様に操作して試験片を得た。
【0060】<実施例4>還流冷却器付き反応容器に、
イオン交換水300部、炭酸ナトリウム0.09部、ほ
う酸0.9部を加え、80℃に昇温し、単量体混合物
(a−5)35部と乳化剤(1)0.1部の混合物の1
/8を加え、重合開始剤KPS0.05部を添加して1
5分保持し、その後残りの単量体・乳化剤混合物を水に
対する単量体混合物の増加率で8%/時間の速度で連続
的に添加し、1時間保持して最内層の重合を行った。
【0061】次いで、このラテックスの存在下、重合開
始剤KPS0.15部を加え、その後単量体混合物(b
−5)65部と乳化剤(1)0.5部の混合物を、水に
対する単量体混合物の増加率で6%/時間の速度で連続
的に添加し、3時間保持して中間層の重合を行った。
【0062】次いで、このラテックスの存在下、KPS
0.05部を加えて15分保持し、その後単量体混合物
(c−5)60部を、水に対する単量体混合物の増加率
で10%/時間の速度で連続的に添加し、1時間保持し
て最外層の重合を行い、多層構造アクリル重合体ラテッ
クスを得た。この後は、実施例1と同様に操作して試験
片を得た。
【0063】
【表2】 <実施例5、比較例2、3>最内層を形成する単量体・
乳化剤混合物の内、重合開始剤添加前に予め添加する比
率を下記表3のように変更したこと以外は、実施例4と
同様に操作して試験片を得た。
【0064】
【表3】 <実施例6、比較例4>重合開始剤添加後に最内層を形
成する単量体・乳化剤混合物を添加する際の水に対する
単量体混合物の増加率(添加速度)を下記表4のように
変更したこと以外は、実施例4と同様に操作して試験片
を得た。
【0065】
【表4】 <実施例7>最内層の重合までは実施例4と同様に実施
し、このラテックスの存在下、硫酸鉄(II)7水和物
2.5×10-5部、EDTA・2Na7.5×10
-5部、SFS0.4部を加えて15分間保持し、その後
単量体混合物(b−5)65部、重合開始剤CHP0.
15部と乳化剤(1)0.5部の混合物を、水に対する
単量体混合物の増加率で6%/時間の速度で連続的に添
加し、3時間保持して中間層の重合を行った。
【0066】次いで、このラテックスの存在下、SFS
0.2部を加えて15分保持し、その後単量体混合物
(c−5)60部と重合開始剤t−HH0.1部の混合
物を、水に対する単量体混合物の増加率で10%/時間
の速度で連続的に添加し、1時間保持して最外層の重合
を行い、多層構造アクリル重合体ラテックスを得た。こ
の後は、実施例4と同様に操作して試験片を得た。
【0067】<比較例5>中間層の重合の際に添加する
重合開始剤をDBPに変更したこと以外は、実施例7と
同様に操作して試験片を得た。
【0068】<比較例6>中間層の重合の際に添加する
重合開始剤KPSの量を0.05部に変更したこと以外
は、実施例4と同様に操作して試験片を得た。
【0069】<比較例7>還流冷却器付き反応容器に、
イオン交換水300部、炭酸ナトリウム0.09部、ほ
う酸0.9部を加え、80℃に昇温した後、単量体混合
物(a−5)20部と乳化剤(1)0.57部の混合物
の1/8を加え、重合開始剤KPS0.03部を添加
し、15分保持し、その後残りの単量体・乳化剤混合物
を水に対する単量体混合物の増加率で8%/時間で連続
的に添加し、その後1時間保持して最内層の重合を行っ
た。
【0070】次いで、このラテックスの存在下、重合開
始剤KPS0.18部を加え、その後単量体混合物(b
−5)80部と乳化剤(1)0.62部の混合物を、水
に対する単量体混合物の増加率で6%/時間の速度で連
続的に添加し、その後3時間保持して中間層の重合を行
った。この後は、実施例1と同様に操作して試験片を得
た。
【0071】<実施例8>還流冷却器付き反応容器に、
イオン交換水300部、炭酸ナトリウム0.09部、ほ
う酸0.9部を加え、80℃に昇温し、その後単量体混
合物(a−5)55部と乳化剤(1)0.19部の混合
物の1/8を加え、重合開始剤KPS0.08部を添加
して30分保持し、その後残りの単量体・乳化剤混合物
を水に対する単量体混合物の増加率で8%/時間の速度
で連続的に添加し、2時間保持して最内層の重合を行っ
た。
【0072】次いで、このラテックスの存在下、重合開
始剤KPS0.10部を加え、その後単量体混合物(b
−5)45部と乳化剤(1)0.27部の混合物を、水
に対する単量体混合物の増加率で6%/時間の速度で連
続的に添加し、その後2時間保持して中間層の重合を行
った。この後は、実施例1と同様に操作して試験片を得
た。
【0073】<実施例9、10、比較例8>中間層を形
成する単量体・乳化剤混合物を添加する際の水に対する
単量体混合物の増加率(添加速度)を下記表5のように
変更したこと以外は、実施例4と同様に操作して試験片
を得た。
【0074】
【表5】 <実施例11〜13>最外層を形成する単量体混合物と
その部数を下記表6のように変更したこと以外は実施例
4と同様に操作して試験片を得た。
【0075】
【表6】 以上の各例で得た試験片の評価結果および完全被覆率、
グラフト率を一括して表7に示す。
【0076】
【表7】
【0077】
【発明の効果】以上説明した様に、本発明の多層構造ア
クリル系重合体は、メタクリル樹脂組成物等の熱可塑性
樹脂組成物に配合することにより、その落球・落錘強
度、耐衝撃白化性、透明性等を著しく向上することがで
きる。また、この多層構造アクリル系重合体を含む本発
明のメタクリル樹脂組成物は、上記諸物性が非常に優れ
た樹脂材料である。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−52910(JP,A) 特開 平3−199213(JP,A) 特開 昭53−58554(JP,A) 特開 昭59−98156(JP,A) 特開 昭60−155215(JP,A) 特開 平3−52909(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08F 285/00 C08L 33/10 C08L 51/00

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルキル基の炭素数が1〜4のアルキル
    メタクリレート40〜100重量%、アルキル基の炭素
    数が1〜8のアルキルアクリレート0〜60重量%、お
    よびその他の共重合可能な単量体0〜20重量%から成
    る単量体または単量体混合物100重量部と、多官能単
    量体0.1〜10重量部との混合物を重合して得られる
    最内層重合体(A)、 最内層重合体(A)の存在下に、アルキル基の炭素数が
    1〜8のアルキルアクリレート70〜90重量%、芳香
    族ビニル単量体10〜30重量%、およびその他の共重
    合可能な単量体0〜20重量%から成る単量体混合物1
    00重量部と、多官能単量体0.1〜5重量部との混合
    物を重合して得られる中間層重合体(B)、並びに、 最内層重合体(A)および中間層重合体(B)を含んで
    成る重合体の存在下に、アルキル基の炭素数が1〜4の
    アルキルメタクリレート50〜100重量%、アルキル
    基の炭素数が1〜8のアルキルアクリレート0〜50重
    量%、およびその他の共重合可能な単量体0〜20重量
    %から成る単量体または単量体混合物を重合して得られ
    る最外層重合体(C)を含んで成り、下式 完全被覆率=[中間層の最小厚み÷中間層の最大厚み]
    ×100(%) で示す完全被覆率の平均値が30%以上であることを特
    徴とする多層構造アクリル系重合体。
  2. 【請求項2】 最内層重合体(A)と中間層重合体
    (B)の重量比[(A)/(B)]が30/70〜50
    /50である請求項1記載の多層構造アクリル系重合
    体。
  3. 【請求項3】 下式 グラフト率=[中間層段階までの重合体に化学結合して
    いる最外層重合体の重量÷中間層段階までの重合体の重
    量]×100(%) で示すグラフト率が20〜60%である請求項1または
    2記載の多層構造アクリル系重合体。
  4. 【請求項4】 請求項1、2または3記載の多層構造ア
    クリル系重合体5〜95重量%と、メタクリル酸メチル
    を主成分とするメタクリル樹脂95〜5重量%とを含ん
    で成るメタクリル樹脂組成物。
JP15078697A 1997-06-09 1997-06-09 多層構造アクリル重合体、およびそれを用いたメタクリル樹脂組成物 Expired - Fee Related JP3198075B2 (ja)

Priority Applications (9)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP15078697A JP3198075B2 (ja) 1997-06-09 1997-06-09 多層構造アクリル重合体、およびそれを用いたメタクリル樹脂組成物
CA002292640A CA2292640C (en) 1997-06-09 1998-06-04 Multilayered acrylic polymer and methacrylic resin composition using same
DE69819895T DE69819895T2 (de) 1997-06-09 1998-06-04 Acrylhaltiges polymer mit vielschichtstruktur, methacrylharzzusammensetzung die dieses enthält und verfahren zu seiner herstellung
EP98923121A EP0989144B1 (en) 1997-06-09 1998-06-04 Acrylic polymer having multilayer structure, methacrylic resin composition containing the same and process for its production
KR1019997011551A KR100330683B1 (ko) 1997-06-09 1998-06-04 다층 구조 아크릴계 중합체 및 이를 함유하는 메타크릴수지 조성물
PCT/JP1998/002473 WO1998056840A1 (fr) 1997-06-09 1998-06-04 Polymere acrylique a structure multicouche et composition de resine methacrylique renfermant ledit polymere
CN98806000A CN1119363C (zh) 1997-06-09 1998-06-04 多层丙烯酸系聚合物和使用它的甲基丙烯酸系树脂组合物
US09/424,851 US6310137B1 (en) 1997-06-09 1998-06-04 Acrylic polymer having multilayer structure and methacrylic resin composition containing the same
TW087109151A TW499458B (en) 1997-06-09 1998-06-09 Multi-layer structured acrylic polymer

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP15078697A JP3198075B2 (ja) 1997-06-09 1997-06-09 多層構造アクリル重合体、およびそれを用いたメタクリル樹脂組成物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH10338723A JPH10338723A (ja) 1998-12-22
JP3198075B2 true JP3198075B2 (ja) 2001-08-13

Family

ID=15504409

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP15078697A Expired - Fee Related JP3198075B2 (ja) 1997-06-09 1997-06-09 多層構造アクリル重合体、およびそれを用いたメタクリル樹脂組成物

Country Status (9)

Country Link
US (1) US6310137B1 (ja)
EP (1) EP0989144B1 (ja)
JP (1) JP3198075B2 (ja)
KR (1) KR100330683B1 (ja)
CN (1) CN1119363C (ja)
CA (1) CA2292640C (ja)
DE (1) DE69819895T2 (ja)
TW (1) TW499458B (ja)
WO (1) WO1998056840A1 (ja)

Families Citing this family (16)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN1149260C (zh) 1998-04-27 2004-05-12 钟渊化学工业株式会社 含有多层结构接枝聚合物的树脂组合物
JP3722268B2 (ja) 1998-09-03 2005-11-30 栗田工業株式会社 抗菌性組成物
DE10043868A1 (de) * 2000-09-04 2002-04-04 Roehm Gmbh PMMA Formmassen mit verbesserter Schlagzähigkeit
DE10260089A1 (de) * 2002-12-19 2004-07-01 Röhm GmbH & Co. KG Verfahren zur Herstellung von wässrigen Dispersionen
JPWO2005095480A1 (ja) 2004-03-30 2008-02-21 三菱レイヨン株式会社 耐衝撃性改質剤及び樹脂組成物
JP2006131803A (ja) * 2004-11-08 2006-05-25 Mitsubishi Rayon Co Ltd 耐衝撃性改質剤及び耐衝撃性樹脂組成物
JP2006249307A (ja) * 2005-03-11 2006-09-21 Mitsubishi Rayon Co Ltd グラフト共重合体、樹脂組成物および成形品
JP4818635B2 (ja) * 2005-04-28 2011-11-16 三菱レイヨン株式会社 衝撃強度改質剤および耐衝撃性樹脂組成物
JP5249862B2 (ja) * 2009-06-10 2013-07-31 三菱レイヨン株式会社 (メタ)アクリル系樹脂の製造方法および(メタ)アクリル系樹脂
JP5630195B2 (ja) * 2010-10-14 2014-11-26 三菱レイヨン株式会社 熱可塑性樹脂組成物およびこれを成形して得られる成形体
BR112015003955B1 (pt) * 2012-08-29 2021-03-09 Rohm And Haas Company composição de polímero de múltiplos estágios
KR20140086729A (ko) 2012-12-28 2014-07-08 제일모직주식회사 투명 열가소성 수지 조성물 및 이를 이용한 성형품
WO2018155677A1 (ja) * 2017-02-27 2018-08-30 株式会社クラレ 重合体粒子を含有する樹脂組成物
WO2019183012A1 (en) 2018-03-19 2019-09-26 Galata Chemicals Llc Polyacrylate materials
CN109265614B (zh) * 2018-06-23 2021-08-24 深圳市宝聚合新材料技术应用有限公司 超韧pmma树脂及其制备方法、应用
KR102246283B1 (ko) * 2018-12-20 2021-04-29 엘지엠엠에이 주식회사 아크릴계 라미네이트 필름, 이의 제조방법 및 이로부터 제조된 데코 시트

Family Cites Families (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US3562235A (en) * 1968-06-07 1971-02-09 Rohm & Haas Multistage emulsion polymerization of alkyl acrylates and alkyl methacrylates
JPS581694B2 (ja) 1976-11-05 1983-01-12 三菱レイヨン株式会社 熱可塑性樹脂組成物
CA1188022A (en) * 1981-02-25 1985-05-28 Kazuo Kishida Multi-layer structure polymer composition having an inner two-layer elastic polymer structure
JPS58208345A (ja) * 1982-05-31 1983-12-05 Mitsubishi Rayon Co Ltd 耐衝撃性メタクリル樹脂組成物
JPS6099114A (ja) 1983-11-02 1985-06-03 Mitsubishi Rayon Co Ltd 耐衝撃性メタクリル樹脂組成物
JPS62230841A (ja) 1985-11-29 1987-10-09 Mitsubishi Rayon Co Ltd 耐衝撃性メタクリル樹脂組成物
IT1199836B (it) * 1986-11-11 1989-01-05 Vedril Spa Composizioni trasparenti a ridotta opacita'e procedimento per la loro preparazione
JPS63254114A (ja) 1988-03-11 1988-10-20 Mitsubishi Rayon Co Ltd 耐衝撃性に優れたメタクリル樹脂の製造方法
JP2593557B2 (ja) 1989-07-20 1997-03-26 旭化成工業株式会社 多層構造アクリル系重合体
JPH0768318B2 (ja) 1989-12-27 1995-07-26 旭化成工業株式会社 多層構造アクリル系重合体
JPH0517654A (ja) 1991-07-10 1993-01-26 Kanegafuchi Chem Ind Co Ltd 耐衝撃性メタクリル樹脂組成物
US5521252A (en) 1995-01-13 1996-05-28 Mitsubishi Rayon Company Ltd. Acrylic multilayer polymer powder
JP3199213B2 (ja) 1995-02-10 2001-08-13 積水ハウス株式会社 コンクリート型枠用模様板及びコンクリート構造物の施工方法

Also Published As

Publication number Publication date
CN1259966A (zh) 2000-07-12
EP0989144B1 (en) 2003-11-19
DE69819895T2 (de) 2004-08-26
WO1998056840A1 (fr) 1998-12-17
CN1119363C (zh) 2003-08-27
JPH10338723A (ja) 1998-12-22
DE69819895D1 (de) 2003-12-24
EP0989144A4 (en) 2001-07-18
US6310137B1 (en) 2001-10-30
CA2292640A1 (en) 1998-12-17
TW499458B (en) 2002-08-21
EP0989144A1 (en) 2000-03-29
CA2292640C (en) 2003-05-13
KR100330683B1 (ko) 2002-04-03
KR20010013544A (ko) 2001-02-26

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3198075B2 (ja) 多層構造アクリル重合体、およびそれを用いたメタクリル樹脂組成物
US4452941A (en) Thermoplastic acrylic resin composition
JP2011140668A (ja) Pvc樹脂用の衝撃補強剤及びその製造方法
EP0110123B1 (en) Delustering thermoplastic resin compostion
JPH03199213A (ja) 多層構造アクリル系重合体
JPS6221804B2 (ja)
JPH05202264A (ja) グラフトゴム混合物
JP2005200502A (ja) 耐衝撃性改質剤及び樹脂組成物
JP2722732B2 (ja) 耐衝撃強化剤,これを用いた熱可塑性樹脂組成物及び成形品
JPS61133257A (ja) 塩化ビニル系樹脂組成物
JP2796595B2 (ja) 多層構造重合体および樹脂組成物
JP4197205B2 (ja) アクリル系多層構造重合体を用いたメタクリル系樹脂組成物
JP4410390B2 (ja) アクリル樹脂フィルム状物及び積層体
JPH11217412A (ja) アクリル系多層構造共重合体およびそれを用いたメタクリル樹脂組成物ならびにランプレンズ
JP4685426B2 (ja) 耐衝撃性樹脂組成物
JP2002060439A (ja) 多層構造共重合体及びメタクリル系樹脂組成物
JP3602262B2 (ja) 多層構造アクリル系重合体及びその製造方法並びに該重合体を用いたメタクリル樹脂組成物の製造方法及びその樹脂組成物。
JP2957645B2 (ja) 耐候性に優れた耐衝撃性樹脂組成物の製造方法
JPH05140410A (ja) メタクリル系耐衝撃性樹脂組成物
JP2000248142A (ja) 樹脂組成物
JP2001316424A (ja) 共重合体および共重合体含有メタクリル樹脂組成物
JPH0673199A (ja) ラミネート用艶消フィルム
JPH0339095B2 (ja)
JPH02153962A (ja) 熱可塑性アクリル樹脂組成物
JPH06192535A (ja) 熱可塑性樹脂組成物

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080608

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090608

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100608

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110608

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120608

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120608

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120608

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130608

Year of fee payment: 12

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130608

Year of fee payment: 12

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130608

Year of fee payment: 12

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees