JP3045355B2 - チオキサンテノン類およびその抗腫瘍剤 - Google Patents

チオキサンテノン類およびその抗腫瘍剤

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    • C07D335/10Dibenzothiopyrans; Hydrogenated dibenzothiopyrans
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規1−〔{(ジアル
キルアミノ)アルキル}アミノ〕−4−置換−チオキサ
ンテン−9−オン類に関し、それらのチオキサンテノン
類を含有する医薬組成物に関し、それらのチオキサンテ
ノン類による腫瘍の処置方法に関し、そしてそれらのチ
オキサンテノン類を含有する組成物で哺乳動物の癌を処
置する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ロッシ(Rosi)の米国特許第3,5
77,558号(1971)明細書は、下記式で示され
る1−〔{2−(ジエチルアミノ)エチル}アミノ〕−
4−(アルコキシメチル)チオキサンテン−9−オンエ
ーテル類を公表する。
【0003】
【化2】
【0004】上式中、Rはメチル、エチル、n−プロピ
ル、イソプロピルまたはn−ヘキシル基であり、Etは
エチル基を表す。これらの化合物は、殺住血吸虫剤であ
ると称されている。
【0005】ブランツ(Blanz)とフレンチ(Fr
ench)は、MedChem,185〜1
91(1963)でルカントンに関連する一連のチオキ
サンテノン類の合成とそれらの化合物の白血病および2
種の固形腫瘍に対する試験結果を公表する。公表された
化合物には次の式で示されるものがある。
【0006】
【化3】
【0007】上式中、Rはメチル、メトキシおよびエト
キシ基であり、Etはエチル基である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、腫瘍サイズ
低減に有効であり、そのため哺乳動物の腫瘍および癌の
処置に有用な化合物の提供を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、次式(I)
【0010】
【化4】
【0011】(上式中、nは2または3であって、好ま
しくは2であり、R1 およびR2 は独立して低級アルキ
ル基であって、好ましくは両者ともエチル基であり、R
3 は低級アルキル基であり、そしてR4 は水素原子、低
級アルキル基、低級アルコキシ基またはハロゲン原子で
ある)で示される化合物、あるいはそれらの酸付加塩ま
たは溶媒化合物を提供する。
【0012】本明細書で使用する低級アルキル基は、炭
素原子4個以下を含む直鎖、分岐鎖または環状炭化水素
をいい、ハロゲンは臭素、塩素またはフッ素をいう。本
発明はまた、哺乳動物の腫瘍または癌を処置するための
式(I)の化合物を製薬上許容されるキャリアまたは希
釈剤と共に含んでなる組成物も提供する。
【0013】本発明はまた、式(I)の化合物を製薬上
許容されるキャリアまたは希釈剤と共に含んでなる組成
物を哺乳動物に投与することからなる哺乳動物の癌を処
置するための方法にも関する。
【0014】本発明の化合物の合成は、スキームAに示
すように概述できる。
【0015】
【化5】
【0016】(上記式中、R1 ,R2 ,R3 ,R4 およ
びnは上記に定義した意味を有する。)
【0017】式(I)の化合物は、ピリジン中対応する
アルコール(II) を当量のp−トルエンスルホニルクロ
ライドと0°〜80℃、好ましくは約25℃で反応させ
てスルホン酸エステル(III)を生成し、これを単離する
ことなくすぐさま、過剰の、好ましくは5〜7倍過剰の
対応するチオールの塩と反応させることにより合成でき
る。好ましい塩はナトリウム塩であり、そして反応は適
当な溶剤、好ましくはDMSO中で実施される。
【0018】対応するアルコール類は、当該技術分野で
周知の方法、具体的には米国特許第3,711,512
号および同3,294,803号明細書に記載の方法に
よって得ることができる。これらの特許明細書の内容は
引用することにより本明細書の内容となる。
【0019】式(I)の化合物類は、遊離塩基の形態と
酸付加塩の形態のどちらも有用であり、これらの両形態
が本発明の範囲内に入る。幾つかのケースでは、酸付加
塩が使用により好都合であり、特に、塩基形態に固有の
使用量に相当する塩形態での使用が好ましい。酸付加塩
の調製に使用できる酸としては、遊離塩基と組み合わせ
た場合に、医薬上許容される塩、すなわち塩のアニオン
がそれに起因する副作用により本来遊離塩基が有する有
益な特性を損わないように塩の医薬用量によって動物の
器官に相対的に無害である塩を生成するものが好まし
い。本発明を実施する際には、塩酸塩、フマール酸塩、
トルエンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩またはマレ
イン酸塩を形成するものが好都合である。しかしなが
ら、本発明の範囲内に入る他の適する医薬上許容される
塩類は、他の鉱酸および有機酸に由来するものである。
【0020】塩基性化合物の酸付加塩は、適当な酸を含
有する水性アルコール溶液に遊離塩基を溶解し、次いで
溶媒を留去して塩を単離するか、あるいは有機溶媒中で
遊離塩基と酸を反応させ、この場合、塩が直接分離する
か、第二の有機溶媒で塩を沈澱するか、または溶液を濃
縮することによって調製することができる。このような
塩基性化合物の医薬上許容される塩が好ましいが、すべ
ての酸付加塩が本発明の範囲内に入る。例えば、精製も
しくは同定の目的で塩が形成されるにすぎない場合や、
イオン交換操作で医薬上許容される塩を調製する際の中
間体として塩が使用される場合のように、中間生成物と
してのみ特定の塩が好ましいとしても、すべての酸付加
塩が遊離塩基形態の原料として有用である。
【0021】本発明の化合物の構造は、合成様式、元素
分析、ならびに赤外吸収スペクトル、紫外吸収スペクト
ルおよび核磁気共鳴スペクトルによって確定された。反
応の経過、ならびに生成物の同定および均一性は薄層ク
ロマトグラフィー(TLC)またはガスクロマトグラフ
ィーで評価した。融点は℃で示し、そして未補正であ
る。出発原料は市販されているか、または当該技術分野
で周知の方法によって製造できる。
【0022】
【実施例】例1 1−〔{2−(ジエチルアミノ)エチル}アミノ〕−4
−(メチルチオメチル)チオキサンテン−9−オン(式
(I)中、R1 およびR2 がエチル基、R3 がメチル
基、R4 が水素原子、nが2の化合物)
【0023】ピリジン125ml中1−〔{2−(ジエチ
ルアミノ)エチル}アミノ〕チオキサンテン−4−メタ
ノール17.9g(50mmol) とp−トルエンスルホニ
ルクロライド9.6g(50mmol)混合物を室温で2時
間攪伴した。反応混合物をDMSO100mlで希釈し、
ロータリーエバポレーターでピリジンを留去した。鉱物
中でメタンチオール16.8gと60%NaH12.0
gから予め調製したDMSO100ml中メタンチオール
ナトリウム塩300mmolのスラリーを添加した。この反
応混合物を2時間攪伴し、次いで水1.5L中に注ぎ込
んだ。得られたガムを取り出し、クロロホルムに溶解
し、5%水性NaOHで洗浄し、Na2 SO4 で乾燥
し、濾過し、次いで溶媒を留去した。残渣を酢酸エチル
で蒸解し、濾過して未反応出発物質を除去した。溶液
を、ペンタン/塩化メチレン(95/5)中イソプロピ
ルアミン0%から1%までのグレージエントで、次いで
ペンタン/塩化メチレン(90/10)中イソプロピル
アミン2%で溶離するアルミナのクロマト処理にて生成
物7gを得た。この生成物を酢酸エチルから再結晶して
融点125〜127°の生成物6.6gを得た。
【0024】式(I)の他の化合物は、1−〔{2−ジ
エチルアミノ)エチル}アミノ〕チオキサンテン−4−
メタノールに代え適当な1−〔{2−(ジアルキルアミ
ノ)エチル}アミノ〕チオキサンテン−4−メタノール
または1−〔{3−(ジエチルアミノ)プロピル}アミ
ノ〕チオキサンテン−4−メタノールを使用し、そして
メタンチオールに代え適当なアルキルチオールを使用し
て例1と類似の方法で製造することができる。
【0025】
【作用】以下の操作に従いマウスの抗腫瘍活性について
本発明の代表例を試験した。動物をプールして12−ゲ
ージトロカールにより腫瘍断片30〜60mgを皮下移植
し、各種処置群と対象群を非選択的に区分する前に再度
プールした。初期段階の処置では、化学療法を腫瘍移植
後1〜5日で開始したが、細胞数は相対的に少なかった
(107 〜108 細胞)。進行した段階の処置では、腫
瘍が相対的に大きく(200〜300mgサイズ)なるま
で化学療法を遅らせた。300mgの腫瘍は総細胞約3×
108 個を含む。示した進行段階の試行内の腫瘍は動物
の90%について2.5倍のサイズ範囲内にあった。腫
瘍はカリパスで毎週(より増殖の早い腫瘍については週
2回)測定した。それらの腫瘍が1500mg(すなわ
ち、腫瘍が動物を苦しめるようになる前)に達したとき
マウスを殺した。
【0026】腫瘍の大きさを2次元測定値から評価し
た。対象群の腫瘍が約700〜1200mgの大きさ(群
の中央値)に達したとき処置群と対象群を測定した。各
群の中央(ゼロを含む)腫瘍重量を測定した。パーセン
トで表示するT/C値が抗腫瘍有効性の指標であり、米
国NCIの癌療法部の薬剤評価部門(Drug EvaluationB
ranch of the Division of Cancer Treatment (NC
I))では42%以下を有意な抗腫瘍活性とみなしてい
る。10%未満のT/C値は非常に高い有意な抗腫瘍活
性とみなしている。群の平均で20%を越える体重の低
下があるか、または薬物死が20%を越えると過剰毒性
投与量とみなしている。
【0027】膵臓管腺癌についての結果を表Iに示す。 表I 例(番号T/C(%) 体重減(g) * 薬物死 総用量(i.v.,mg/kg) 1 0 2.0 0 1830 *平均体重は25gであった。
【0028】本発明の医薬組成物は、非経口注射用、固
体もしくは液体状の経口投与用、または直腸もしくは局
所投与用等の1種以上の無毒性の生理学上許容されるキ
ャリア、賦形剤またはビヒクル(本明細書ではこれらを
総括してキャリアと称する)と共に組成物として製剤さ
れる。
【0029】本発明の組成物は、ヒトまたはいずれかの
動物に対し、経口的に、直腸内に、非経口的(静脈内、
筋肉内または皮下)に、槽内に、膣内に、腹腔内にまた
は局所的に投与するか、あるいはほほスプレーまたは鼻
腔スプレーとして投与できる。非経口的注射に適する組
成物としては、生理学的に許容される滅菌水もしくは非
水溶液、分散液、懸濁液もしくは乳化液および無菌の注
射可能な溶液もしくは分散液に再構成するための無菌粉
末が挙げられる。適切な水性液および非水性キャリア、
希釈剤、溶剤またはビヒクルとしては、水、エタノー
ル、ポリオール類(プロピレングリコール、ポリエチレ
ングリコール、グリセロールなど)、それらの適当な混
合物、野菜油(例えばオリーブ油)およびオレイン酸エ
チルのような注射可能な有機エステル類が挙げられる。
適当な流動性は、例えばレシチンのような被膜形成性物
の使用により、分散液にあっては目的とする粒子サイズ
の維持により、そして界面活性剤の使用により保持でき
る。
【0030】これらの組成物は、また、保存剤、湿潤
剤、乳化剤および調製剤のような賦形剤を含むこともで
きる。微生物の作用の抑制は、各種抗菌剤および抗カビ
剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール
およびソルビン酸などによって達成できる。また、等張
剤、例えば、糖および塩化ナトリウムなどを含めること
も好ましい。注射可能な製剤の吸収の遅延は、吸収を遅
延させる剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウムお
よびゼラチンの使用によって達成できる。
【0031】場合によって、より有効な分布のために
は、化合物をポリマーマトリックス、リポソームおよび
マイクロカプセルなどの徐放性または標的デリバリー系
に組み入れてもよい。これらは、例えば細菌除去フィル
ターを介する濾過により、あるいは滅菌水または他の滅
菌注射可能な媒体へ使用直前に溶解できる無菌固体組成
物の状態で滅菌剤を組み入れることにより滅菌できる。
【0032】経口投与用の固体投与製剤としては、カプ
セル、錠剤、ピル、散剤および顆粒剤が挙げられる。こ
のような固体投与製剤では、活性化合物は少なくとも1
種の不活性な通常の賦形剤(またはキャリア)、例えば
クエン酸ナトリウムもしくはリン酸二カルシウム、また
は(a)フィラーもしくは増量剤、例えば澱粉、ラクト
ース、シュークロース、グルコース、マンニトール、お
よびケイ酸など、(b)バインダー、例えばカルボキシ
メチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニ
ルピロリドン、シュークロースおよびアラビアガムな
ど、(c)保湿剤、例えばグリセロールなど、(d)崩
壊剤、例えば寒天、炭酸カルシウム、ポテト澱粉もしく
はタピオカ澱粉、アルギン酸、特定の複合シリケートお
よび炭酸ナトリウムなど(e)溶解遅延剤、例えばパラ
フィンなど、(f)吸収促進剤、例えば第四級アンモニ
ウム化合物など、(g)湿潤剤、例えばセチルアルコー
ルおよびグリセロールモノステアレートなど、(h)吸
着剤、例えばカオリンおよびベントナイトなど、ならび
に(i)滑剤、例えばタルク、ステアリン酸カルシウ
ム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリ
コール、ラウリン硫酸ナトリウムまたはそれらの混合物
と配合できる。カプセル、錠剤およびピルの場合の投与
剤形は、緩衝剤を含むこともできる。
【0033】組成物における活性成分の含有量および腫
瘍もしくは癌の処置方法は、適当な用量が得られるよう
に変えることができる。特定の患者に投与される用量
は、投与経路、処置期間、患者のサイズおよび状態、活
性成分の効能ならびに患者の応答を基準として医師の判
断により変えられる。従って、活性成分の有効用量は、
患者の側に立ったすべての基準を考慮しそして最善の判
断を用いて医師により決定されうる。
【0034】
【発明の効果】本発明によれば、腫瘍サイズの低減に有
効であることから、哺乳動物の腫瘍および癌の処置に有
効な化合物、ならびにその化合物を含有する医薬組成物
が提供される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭60−202879(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07D 335/16 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次式 【化1】 (上式中、nは2または3であり、R1 およびR2 は独
    立して低級アルキル基であり、R3 は低級アルキル基で
    あり、そしてR4 は水素原子、低級アルキル基、低級ア
    ルコキシ基またはハロゲン原子である)で示される化合
    物。
  2. 【請求項2】 前記nが2であり、R1 およびR2 の両
    方がエチル基であり、そしてR4 が水素原子である請求
    項1記載の化合物。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の1−〔{2−(ジエチル
    アミノ)エチル}アミノ〕−4−{(メチルチオ)メチ
    ル}チオキサンテン−9−オン。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の化合物および製薬上許容
    されるキャリアまたは希釈剤を含んでなる哺乳動物の腫
    瘍または癌を処置するための医薬組成物。
  5. 【請求項5】 請求項3記載の化合物および製薬上許容
    されるキャリアまたは希釈剤を含んでなる哺乳動物の腫
    瘍または癌を処置するための医薬組成物。
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