JP3037987B2 - グリコサミノグリカンの分析方法 - Google Patents

グリコサミノグリカンの分析方法

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JP3037987B2
JP3037987B2 JP2257413A JP25741390A JP3037987B2 JP 3037987 B2 JP3037987 B2 JP 3037987B2 JP 2257413 A JP2257413 A JP 2257413A JP 25741390 A JP25741390 A JP 25741390A JP 3037987 B2 JP3037987 B2 JP 3037987B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、高速液体クロマトグラフィー(以下、HPLC
という)によるグリコサミノグリカン(以下、GAGとい
う)の分析に関するものである。
(従来の技術) 体液や組織中の各種GAGの分析は、GAGの生理機能や、
変形性関節症や慢性関節リウマチなどの結合組織疾患の
病態を知る上で有用である。実際に、軟骨が破壊される
と、血清中のケラタン硫酸濃度が増加することや(Will
iams,J.M.,et al.:Arthritis Rheum.,31557(198
8))、肝炎では、血清中のヒアルロン酸濃度が増加す
ることが報告されている(Laurent,E.A.,et al.:Hepato
logy,5,638(1985))。これらの研究では、ケラタン硫
酸の抗体やヒアルロン酸に対する特異的結合タンパクを
用いて、目的のGAGを定量している。抗体や特異的結合
タンパクを用いる方法は簡便で、高感度であるが、GAG
の硫酸含有量に関する知見は得られず、使用する抗体お
よび検量線作製用の標準GAGの種類によって定量結果が
変動する欠点がある。一方、HPLCによるGAGの分析方法
は前処理が繁雑である反面、GAGの量及び硫酸含有量を
一度に分析できる利点を有している。
HPLCによるGAGの分析は、通常、目的とするGAGを特異
的分解酵素で分解し、得られた二糖をHPLCで分離及び定
量する方法が用いられる。HPLCで定量する場合、特異性
と感度を高めるために、2−シアノアセトアミド等によ
り、GAGの二糖を螢光体に変えるポストカラム螢光検出
や、ダンシルヒドラジン等を用いるプレラベル螢光検出
が一般に用いられる。
体液や組織中のGAGをHPLCで分析する際には、通常、
以下のような手順を経ることになる。
1)組織の溶解と、プロテオグリカンとしてタンパクと
結合しているGAGの遊離を目的として、プロテアーゼを
用いて試料を消化する。
2)陰イオン交換体、または、GAGに対するアフィニテ
ィーゲルを充填したカラムを使用して、プロテアーゼ消
化液中のGAGを単離する。
3)単離されたGAGを対応する特異的分解酵素で消化す
る。
4)消化液中のGAGの二糖を、他の未消化のGAGや不純物
から分離するために、分画分子量1万程度の限外過膜
で過する。
5)得られた液をHPLCに注入し、GAGの二糖に対して
高感度かつ高特異性の検出法を用いて分析する。
血清や尿中のヒアルロン酸やコンドロイチン硫酸に関
しては、概ねこの手順にしたがった分析例が報告されて
いる(Toyoda,H.,et al.:Anal.Sci.,4,381(1988),Shi
nomiya,K.,et al.:Chem.Pharm.Bull.,34,4887(198
6))。
上述の手順に従ってGAGを分析する場合、分析者は必
要な酵素、前処理用カラム、限外過膜等を個別に用意
しなければならず、繁雑である。さらに、GAG分析の前
処理における諸条件を決定する際には、GAGの専門知識
が必要である。
(本発明が解決しようとする課題) 本発明は、GAGの専門知識を必要とせずに、HPLCを用
いてGAGの分析を簡単に行うための分析方法及びこれを
使用する関節炎の検出方法を提供するものである。
(課題を解決するための手段) 本発明は、 (a)関節液、髄核、又は線維輪軟骨をグリコサミノグ
リカン特異的分解酵素により処理してグリコサミノグリ
カンを二糖に分解し、各グリコサミノグリカンによって
異なる当該二糖の組成を分析し、グリコサミノグリカン
の構成糖への硫酸基の結合位置と結合数を解析すること
を特徴とする、関節液、髄核、又は線維輪軟骨中の前記
グリコサミノグリカンの分析法、 (b)グリコサミノグリカン特異的分解酵素により処理
した関節液、髄核、又は線維輪軟骨を限外濾過に付する
ことを特徴とする上記(a)記載のグリコサミノグリカ
ンの分析法、 (c)グリコサミノグリカンがヒアルロン酸、コンドロ
イチン硫酸、又はケラタン硫酸である上記(a)記載の
分析法、 (d)髄核又は線維輪軟骨をヒアルロニダーゼ、コンド
ロイチナーゼABC、コンドロイチナーゼAC−II、及びケ
ラタナーゼIIから選択した1以上のグリコサミノグリカ
ン特異的分解酵素で処理してグリコサミノグリカンをΔ
Di−HA、ΔDi−4S、ΔDi−6S、ΔDi−0S、DiKS−Gal・G
N(6S)、及びDiKS−Gal(6S)・GN(6S)からなる群か
ら選択される1以上の二糖に分解し、該二糖の組成を分
析することを特徴とする、髄核又は線維輪軟骨中のグリ
コサミノグリカンの分析法、 (e)関節液をグリコサミノグリカン特異的分解酵素に
より処理してグリコサミノグリカンを不飽和二糖に分解
し、当該不飽和二糖の組成を分析することを特徴とする
関節液中のグリコサミノグリカンの分析法であって、前
記不飽和二糖がΔDi−HA、ΔDi−4S、ΔDi−6S、及びΔ
Di−0Sからなる群から選択される1以上の二糖である、
関節液中のグリコサミノグリカンの分析法、 (f)関節液を採取し、これをグリコサミノグリカン特
異的分解酵素により処理して関節液中のグリコサミノグ
リカンを不飽和二糖に分解し、前記不飽和二糖を分析し
て得られる当該不飽和二糖の組成を関節炎と関連づける
ことを特徴とする、関節炎の検出法、 (g)前記不飽和二糖がΔDi−HA、ΔDi−4S、ΔDi−6
S、及びΔDi−0Sからなる群から選択される少なくとも
一以上の不飽和二糖である上記(f)記載の検出法、 (h)更に、関節炎が変形性膝関節症、慢性関節リウマ
チ、及び外傷性膝関節症のいずれであるかを特定するこ
とを特徴とする上記(f)又は(g)記載の関節炎の検
出法、 (i)ΔDi−4S及びΔDi−6Sの濃度の関係が、 ΔDi−4S/ΔDi−6S≧1.0を示す関節液を慢性関節リウマ
チの患者の関節液であると判定する上記(h)記載の検
出法、 (j)ΔDi−HA濃度が低値を示し、ΔDi−6S濃度が高値
を示す関節液を外傷性膝関節症患者の関節液であると判
定する上記(h)記載の検出法、 (k)ΔDi−6S濃度が100nmol/mlより大きい値である上
記(j)記載の検出法、 (l)ΔDi−6S濃度がΔDi−4S濃度よりも高値を示し、
ΔDi−HA濃度が高値を示す関節液を変形性膝関節症の患
者の関節液であると判定する上記(h)記載の検出法、 (m)ΔDi−4S濃度が20nmol/mlよりも小さい値である
上記(l)記載の検出法、 に関し1)組織消化用プロテアーゼ、2)GAG単離用カ
ラム、3)脱塩用カラム、4)GAG特異的分解酵素、
5)限外過膜、及び6)GAGの標準二糖を使用しHPLC
により実施することができる。
本発明では、分析対象となる組織または体液とGAGに
応じて、その構成数を変えることができる。一例を第1
表に示す。また、本発明のキットには必要に応じて各種
緩衝液を添付してもよい。これらは本発明の構成物を溶
解または操作するために使用する。
本発明キットで処理する分析対象である組織又は体液
は、第1表に示す関節液、硝子体、尿、涙液、血清、血
漿、髄核及び骨髄等が挙げられるが、必ずしもこれらに
限定されるわけではない。
また、関節液や軟骨或いは髄核のような組織中のグル
コサミノグリカンを本発明キットによる方法で処理して
分析することで、病態の検出を行うことが可能であり、
特に関節液を使用することにより変形性膝関節症、慢性
関節リュウマチ及び外傷性関節症の検出を行うことが可
能である。
組織消化用プロテアーゼとしては、あらゆる組織に対
応するために、基質特異性が低く、軟骨等も消化できる
高い分解活性を特徴とするものを使用する。たとえば、
パパイン(EC3.4.22.2)、キモパパイン(EC3.4.22.
6)、トリプシン(EC3.4.21.4)及びアクチナーゼE
(科研製薬販売、商品名)等を挙げることができる。
GAG単離用カラムとしては、陰イオン交換体またはア
フィニティーゲルを充填したカラムを使用する。陰イオ
ン交換体としては、イオン交換基として第4級アンモニ
ウム基やジエチルアミノエチル基等の陽荷電を有する官
能基をポリスチレン等の樹脂(陰イオン交換樹脂)、ま
たは、セルロースやデキストラン等のゲル(陰イオン交
換ゲル)等の支持体に導入したものを使用し、交換容量
が大きく、高流速が得られるものが望ましい。陰イオン
交換樹脂の一例を第2表に、陰イオン交換ゲルの一例を
第3表に示す。また、アフィニティーゲルとしては、GA
Gの抗体または特異的結合タンパクを結合させたゲルを
使用する。
脱塩用カラムとしては、分画分子量数万〜数百のゲル
過剤を充填したカラムを使用する。脱塩用カラムの充
填剤として使用できるゲル過剤の一例を第4表に示
す。また、適当なゲル過剤を充填してあるカラムも使
用できる。例えば、PD−10カラム(ファルマシア社販
売、商品名)等を挙げることができる。
GAG特異的分解酵素としては、第5表に示す酵素であ
って、対象とするGAGに応じて第5表に示すような組み
合わせを必要とする。
GAGの二糖分離用の限外過膜としては、分画分子量
数千〜数万のものを使用し、GAG二糖の吸着がなく、小
液量の試料の処理に適したものが望ましい。たとえば、
ウルトラフリーC3GC(ミリポア社販売、商品名、分画分
子量1万)、ウリトラフリーC3TK(ミリポア社販売、商
品名、分画分子量3万)、ミニセント−10(トーソー販
売、商品名、分画分子量1万)、ミニセント−30(トー
ソー販売、商品名、分画分子量3万)、ウルトラセント
−10(トーソー販売、商品名、分画分子量1万)、ウル
トラセント−30(トーソー販売、商品名、分画分子量3
万)、セントリカット−10(クラボウ販売、商品名、分
画分子量1万)、セントリカット−20(クラボウ販売、
商品名、分画分子量2万)セントリフローCF25(グレー
スジャパン販売、商品名、分画分子量2万5千)、セン
トリープレップ−10(同、分画分子量1万)、セントリ
ープレップ−30(同、分画分子量3万)、MPS−1、YMT
メンブレン(同、分画分子量1万)、MPS−3、(同、
分画分子量1万)等を挙げることができる。
GAGの標準二糖は、ヒアルロン酸由来の不飽和二糖
(ΔDi−HA)、コンドロイチン硫酸由来の不飽和二糖
(ΔDi−0S、ΔDi−4S、ΔDi−6S等)、ケラタン硫酸由
来の二糖(DiKS−Gal・GN(6S)、DiKS−Gal(6S)・GN
(6S))、ヘパラン硫酸由来の不飽和二糖(ΔDiHS−0
S、ΔDiHS−6S、ΔDiHS−NS等)から構成される。これ
らの標準二糖は、分析対象となるGAGの種類に応じて、
その種類を変えることができる。
必要に応じて添付される緩衝液としては、50mMトリス
塩酸緩衝液(pH8.6)、4MLiClを含む50mMトリス塩酸緩
衝液(pH8.6)、10mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)、
10mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH8.0)等を挙げることが
できる。
[実施例] 次に説明する注1)〜注3)は、実施例に使用する単
位または略号を示す。
注1)TRUは濁度減少単位(Turbidity Reducing Unit)
の略で、pH6.0、60℃、30分間に、A660を50%減少する
酵素量: 注2)1Uは各基質から1分間に1μmolの二糖またはそ
れに相当する還元未満を遊離する酵素量 注3)GAG及びそれらの二糖の略記法は以下の通り HA:ヒアルロン酸 CS:コンドロイチン硫酸 DS:デルマタン硫酸 KS:ケラタン硫酸 ΔDi−HA:β−Δ4−グルクロノシル−(1→3)−N−
アセチルグルコサミン ΔDi−0S:β−Δ4−グルクロノシル−(1→3)−N−
アセチルガラクトサミン ΔDi−4S、ΔDi−6S:ΔDi−0Sのガラクトサミンの4
−、または6−硫酸エステル DiKS−Gal・GN(6S):β−ガラクトシル−(1→4)
−6−0−スルホ−N−アセチルグルコサミン DiKS−Gal(6S)・GN(6S):6−0−スルホ−β−ガラ
クトシル−(1→4)−6−0−スルホ−N−アセチル
グルコサミン 実施例1 本発明のキットを用いたヒト髄核および線維輪軟骨の
ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸及びケラタン硫酸の
HPLCによる分析例 [試料の前処理法とGAGの分析法] 1)組織の消化 凍結乾燥したヒト髄核4点(12〜46才)及び線維輪軟
骨3点(32〜55才)の5〜10mgを精秤したのち、2.5%
(W/V)のアクチナーゼE(科研製薬販売、商品名)を
含む50mMトリス−塩酸緩衝液(pH8.6)を2ml加え、55℃
で15時間消化した。
2)GAGの単離 アクチナーゼ消化液を50mMのトリス−塩酸緩衝液(pH
8.6)で平衡化してあるQ−セファロースカラム(ファ
ルマシア社販売、商品名)に負荷し、同一緩衝液で洗浄
した。次に、4MのLiClを加えた同一緩衝液でQ−セファ
ロースに吸着したGAGを溶出した。
3)脱塩 溶出液中の塩を除くために、溶出液を蒸留水で洗浄し
てあるPD−10カラム(セファデックスG−25を充填した
脱塩用カラム;ファルマシア社販売、商品名)に負荷
し、GAG部分を回収した。この回収液(3.5ml)にはGAG
としてHA、CS、KS、DS等が含まれている。この回収液を
GAG特異的分解酵素消化用の試料とした。
4)HAの消化と不飽和二糖の分離 試料200μlにストレプトミセス由来のヒアルロニダ
ーゼ(生化学工業販売)2TUR1)/20μl、10mM酢酸ナト
リウム緩衝液(pH6.0)80μl及び蒸留水100μlを加え
て、55℃で2時間消化した。次に、消化液を分画分子量
10,000の遠心限外過チューブ(ウルトラフリーC3GC:
ミリポア社販売、商品名)で遠心限外過した。液中
には、HAの不飽和六糖及び不飽和四糖が回収される。こ
の不飽和六糖及び不飽和四糖を不飽和二糖にするため
に、液300μlにストレプトコッカス由来のヒアルロ
ニダーゼSD(生化学工業販売)15mU2)/30μlを加え、3
7℃で2時間消化し、前述の遠心限外過チューブで限
外過した。得られた液をHPLC用の試料とした。
5)CSの消化と不飽和二糖の分離 試料20μlにコンドロイチナーゼABC(生化学工業販
売)100mU2)/20μl、10mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH8.
0)80μl及び蒸留水280μlを加え、37℃で2時間消化
した。デルマタン硫酸(DS)構造に関する知見を得るた
めに、コンドロイチナーゼABCの代わりにコンドロイチ
ナーゼAC−II(生化学工業販売)100mU2)/20μl、pH8.
0の酢酸ナトリウム緩衝液の代わりにpH6.0の酢酸ナトリ
ウム緩衝液を使用して、試料20μlを同様に消化した。
消化液を分画分子量10,000の遠心限外過チューブで
過し、得られた液をHPLC用の試料とした。
6)KSの消化と二糖の分離 試料200μlにケラタナーゼII(生化学工業販売)5mU
2)/50μl、10mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)80μl
及び蒸留水70μlを加え、37℃で4時間消化した。消化
液をHAやCSの場合と同様に遠心限外過し、得られた
液をHPLC用の試料とした。
7)HPLCによる分析 アミノプロピル基を結合させたシリカゲル(YMC ゲル
PA 120A A−5;山村化学販売、商品名)を充填した内径4
mm、長さ25cmのステンレススチールカラムを使用し、試
料および標準二糖として既知濃度のΔDi−HA,ΔDi−0S,
ΔDi−4S、ΔDi−6S、DiKS−Gal・GN(6S)、さらにDiK
S−Gal(6S)・GN(6S)を、それぞれ60分間の0〜100m
M Na2SO4の直線的濃度勾配(流速:0.5ml/min)により溶
出した。溶出液に1%(W/V)の2−シアノアセトアミ
ドを含む100mM四ホウ酸ナトリウム緩衝液(pH9.0)を0.
5ml/minの流速で混合した後、130℃に加熱した容量5m
l、長さ10mの反応チューブを通過させ、励起波長331n
m、螢光波長383nmで検出した。
標準二糖の検出結果より検量線を作製し、該検量線か
ら試料中のそれぞれの二糖量を求めた。
髄核中のCSとKSのクロマトグラムを第1図及び第2図
に、髄核4点、線維輪軟骨3点の分析結果を第6表及び
第7表に示す。コンドロイチン由来の不飽和二糖(ΔDi
−0S)3)はHA由来の不飽和二糖(ΔDi−HA)3)と同位置
に溶出されるため、ΔDi−0S量はコンドロイチナーゼAB
C消化で得られたΔDi−0SとΔDi−HAの合計量からΔDi
−HAの量を差し引いて算出した。また、DS構造由来の不
飽和二糖(ΔDi−4S)3)量は、コンドロイチナーゼABC
消化で得られたΔDi−4Sの量からコンドロイチナーゼAC
−II消化で得られたΔDi−4Sの量を差し引いて算出し
た。
実施例2 本発明のキットを用いたヒト病態関節液中のヒアルロ
ン酸及びコンドロイチン硫酸のHPLCによる分析例 [試料の前処理とGAGの分析法] 関節液の場合、HPLCの分析を妨害する成分の量が少な
いため、プロテアーゼによる消化、カラムによるGAGの
単離及び脱塩の操作は必要ない(第1表参照)。HA及び
CSの消化と不飽和二糖の分離から行う。
1)関節液 分析した関節液の概略は以下の通り。変形性膝関節症
(以下、OAという)の関節液は22名分で、女性が16名、
男性が6名である。年齢は45才〜79才(平均59.5才)で
ある。慢性関節リウマチ(以下、RAという)の関節液
は、17名分で、女性が14名、男性が3名である。年齢は
36才〜80才(平均58.1才)である。外傷性膝関節症(以
下、TAという)の関節液は、14名分で、女性が10名、男
性が4名である。年齢は16才〜71才(平均37.8才)であ
る。
2)HA及びCSの消化と不飽和二糖の分離 関節液を蒸留水で10倍に希釈した後、その200μlに1
U/mlのCHase ABC液を50μl加え、37℃で2時間消化し
た。消化液を分画分子量10,000の遠心限外過チューブ
(ウルトラフリーC3GC:ミリポア社販売、商品名)で遠
心限外過した。得られた液の10μlをHPLCに注入し
た。
3)HPLCによる分析 アミノプロピル基を結合させたシリカゲル(YMCゲルP
A 120A S−5;山村化学販売、商品名)を充填した内径4m
m、長さ25cmのステンレススチールカラムを使用し、試
料および標準二糖として既知濃度のΔDi−HA、ΔDi−4
S、さらにΔDi−6Sをそれぞれ60分間の0〜100mM Na2SO
4の直線的濃度勾配(流速度:0.5ml/min)により溶出し
た。溶出液に1%の2−シアノアセトアミドを含む100m
M四ホウ酸ナトリウム緩衝液(pH9.0)を0.5ml/minの流
速で混合した後、130℃に加熱した容量5ml、長さ10mの
反応チューブを通過させ、励起波長331nm、螢光波長383
nmで不飽和二糖を検出した。
標準二糖の検出結果より検量線を作製し、該検量線か
ら試料中のそれぞれの二糖量を求めた。
ヒトOS関節液とヒトRA関節液のクロマトグラムをそれ
ぞれ第3図と第4図に示す。ヒトOA関節液では、ΔDi−
4Sに比べてΔDi−6Sが多いのに対し、RA関節液ではΔDi
−4Sの方が多いことがクロマトグラムから判断できる。
関節液中のΔDi−HA濃度の分析結果を第5図に示す。Δ
Di−HA濃度はRA及びTAで、OAに比べて有意に低かった。
CSのΔDi−6S濃度の分析結果を第6図に示す。ΔDi−6S
濃度はRAでOAに比べて有意に低く、TAで有意に高かっ
た。一方、CSのΔDi−4S濃度については、RA及びTAでOA
に比べて有意に高い濃度を示した。結果を第7図に示
す。ΔDi−6SとΔDi−4Sの総量の濃度については、RAで
OAに比べて有意に低く、逆にTAでOAに比べて有意に高か
った。結果を第8図に示す。ΔDi−4SとΔDi−6Sの比の
結果を第9図に示す。OA及びTAでは、比は約0.3前後で
あったのに対し、RAでは1.0を越えていた。
(発明の効果) 本発明ではHPLCを用いることにより、実施例1の記載
のように体液または組織中のGAGの分析を簡単に行うこ
とができる。
また実施例2のように、本発明は関節液を前処理する
ことにより、関節液中のHA及びCSの量とCSの異性体組成
をHPLCを用いて簡単に分析することが可能であり、これ
らの結果が、OA、RA及びTAの病態鑑別の指標の一つに成
り得ることが示された。
【図面の簡単な説明】
第1図及び第2図はそれぞれ髄核中のCSとKSのクロマト
グラムを示す。第3図及び第4図はそれぞれヒトOA関節
液とヒトRA関節液のクロマトグラムを示す。第5図はΔ
Di−HAの、第6図はΔDi−6Sの、第7図はΔDi−4Sの、
第8図はΔDi−6S+Di−4Sの濃度の分析結果を示す。第
9図はΔDi−4SとΔDi−6Sの濃度の比を示す。
フロントページの続き (56)参考文献 Anal.Sci.(1988)Vol. 4,No.4,p.381−384 Chem.Pharm.Bull. (1986)Vol.34,No.11,p. 4887−4888 Arthritis.Rheum. (1983)Vol.26,No.1,p.69 −76 Biochim.Biophys,A cta.(1981)Vol.673,No. 4,p.408−415 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12Q 1/25 - 1/66 BIOSIS(DIALOG) MEDLINE(STN) WPI(DIALOG)

Claims (13)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】関節液、髄核、又は線維輪軟骨をグリコサ
    ミノグリカン特異的分解酵素により処理してグリコサミ
    ノグリカンを二糖に分解し、各グリコサミノグリカンに
    よって異なる当該二糖の組成を分析し、グリコサミノグ
    リカンの構成糖への硫酸基の結合位置と結合数を解析す
    ることを特徴とする、関節液、髄核、又は線維輪軟骨中
    の前記グリコサミノグリカンの分析法。
  2. 【請求項2】グリコサミノグリカン特異的分解酵素によ
    り処理した関節液、髄核、又は線維輪軟骨を限外濾過に
    付することを特徴とする請求項1記載のグリコサミノグ
    リカンの分析法。
  3. 【請求項3】グリコサミノグリカンがヒアルロン酸、コ
    ンドロイチン硫酸、又はケラタン硫酸である請求項1記
    載の分析法。
  4. 【請求項4】髄核又は線維輪軟骨をヒアルロニダーゼ、
    コンドロイチナーゼABC、コンドロイチナーゼAC−II、
    及びケラタナーゼIIから選択した1以上のグリコサミノ
    グリカン特異的分解酵素で処理してグリコサミノグリカ
    ンをΔDi−HA、ΔDi−4S、ΔDi−6S、ΔDi−0S、DiKS−
    Gal・GN(6S)、及びDiKS−Gal(6S)・GN(6S)からな
    る群から選択される1以上の二糖に分解し、該二糖の組
    成を分析することを特徴とする、髄核又は線維輪軟骨中
    のグリコサミノグリカンの分析法。
  5. 【請求項5】関節液をグリコサミノグリカン特異的分解
    酵素により処理してグリコサミノグリカンを不飽和二糖
    に分解し、当該不飽和二糖の組成を分析することを特徴
    とする関節液中のグリコサミノグリカンの分析法であっ
    て、前記不飽和二糖がΔDi−HA、ΔDi−4S、ΔDi−6S、
    及びΔDi−0Sからなる群から選択される1以上の二糖で
    ある、関節液中のグリコサミノグリカンの分析法。
  6. 【請求項6】関節液を採取し、これをグリコサミノグリ
    カン特異的分解酵素により処理して関節液中のグリコサ
    ミノグリカンを不飽和二糖に分解し、前記不飽和二糖を
    分析して得られる当該不飽和二糖の組成を関節炎と関連
    づけることを特徴とする、関節炎の検出法。
  7. 【請求項7】前記不飽和二糖がΔDi−HA、ΔDi−4S、Δ
    Di−6S、及びΔDi−0Sからなる群から選択される少なく
    とも一以上の不飽和二糖である請求項6記載の検出法。
  8. 【請求項8】更に、関節炎が変形性膝関節症、慢性関節
    リウマチ、及び外傷性膝関節症のいずれであるかを特定
    することを特徴とする請求項6又は7記載の関節炎の検
    出法。
  9. 【請求項9】ΔDi−4S及びΔDi−6Sの濃度の関係が、 ΔDi−4S/ΔDi−6S≧1.0を示す関節液を慢性関節リウマ
    チの患者の関節液であると判定する請求項8記載の検出
    法。
  10. 【請求項10】ΔDi−HA濃度が低値を示し、ΔDi−6S濃
    度が高値を示す関節液を外傷性膝関節症患者の関節液で
    あると判定する請求項8記載の検出法。
  11. 【請求項11】ΔDi−6S濃度が100nmol/mlより大きい値
    である請求項10記載の検出法。
  12. 【請求項12】ΔDi−6S濃度がΔDi−4S濃度よりも高値
    を示し、ΔDi−HA濃度が高値を示す関節液を変形性膝関
    節症の患者の関節液であると判定する請求項8記載の検
    出法。
  13. 【請求項13】ΔDi−4S濃度が20nmol/mlよりも小さい
    値である請求項12記載の検出法。
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