JP3016311U - 低圧密閉形スクロール圧縮機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 低圧密閉形スクロール圧縮機において、吸込
みガスによる潤滑材のエントレイメントを最小にすると
ともに、油の循環を減少させる。 【構成】 流出する潤滑材が回転するシャフト（22）の
半径方向面（44-2）から油切りされて、吸込みガスによ
るエントレイメントを防ぐために、油切りされた油を集
めて吸込みガスの通路の下方に向けるオイルシールド
（46）が設けられている。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、低圧密閉形スクロール圧縮機に関する。

【０００２】

【従来の技術】

冷凍用圧縮機に使用する冷媒と潤滑材との間には親和性があるため、冷凍シス テム内を循環する冷媒は潤滑材を含み易い。潤滑材が存在すると、冷凍システム 内の熱伝達が妨げられ、潤滑材のキャリオーバによって、圧縮機の潤滑に使用で きる潤滑材の量が不十分な量になり得る。冷凍システムへの潤滑材のキャリオー バを最小にするために、ポンプ構造に供給される吸込みガスから潤滑材を除去す るか、あるいは熱交換構造に入る前の吐出しガスから潤滑材を除去することがで きる。

【０００３】 低圧密閉形圧縮機では、吸込みガスがシェルの内部に供給され、そこから圧縮 機のポンプ構造に流入して圧縮される。典型的には、シェルの底部には油だめが 配置している。この油だめから潤滑材が抜き取られ、軸受け及び潤滑を必要とす る他の部品に供給される。潤滑材はシェル内に流出し、油だめ内に集まる。シェ ル内には潤滑材と同様の吸込みガスが流れているので、潤滑材のエントレイメン ト（巻込み又は飛沫同伴）が起こる可能性がある。本考案では、吸込みガスの通 路から離間した回転部品から潤滑材が油切り（スリング）されるようにしている 。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

本考案は、吸込みガスによる潤滑材のエントレイメントを最小にすることを目 的とする。また、本考案は、油の循環を減少させることを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

本考案によれば、回転部材から油切りされる潤滑材を集めて方向づけ、吸込み ガスによる潤滑材のエントレイメントが起こるのを防止するために、オイルシー ルドが設けられている。

【０００６】

【実施例】

以下、添付図面を参照して本考案の実施例を説明する。

【０００７】 図１において、参照符号１０は、低圧密閉形スクロール圧縮機を示している。 圧縮機１０は、クランク室２０を備えたシェル１２を含んでいる。クランク室２ ０は、溶接あるいは他の適当な手段によってシェル１２に固定されている。シェ ル１２内には、焼きばめによってステータ１６が固定され、シャフト２２には、 焼きばめによってロータ１８が固定されている。ステータ１６およびロータ１８ は、シャフト２２を駆動し、旋回スクロール２４を駆動するためのモータ（モー タ手段）、好ましくは変速モータを構成する。旋回スクロール２４は、オルダム 継手２６によって旋回運動するように維持される。旋回スクロール２４は、固定 スクロール２８と共動して圧縮機１０内にガスを引き込み、そのガスを圧縮し、 図示しない冷凍システムに吐き出す。ガスは冷凍システムから戻り、吸込み口３ ４を介して圧縮機１０に供給される。ガスが吸込み口３４から旋回スクロール２ ４および固定スクロール２８の入口まで流れるときに、そのガスの少なくとも一 部は、ステータ１６の上に向けられ、モータを冷却する。

【０００８】 シャフト２２が回転すると、図示しない油だめから偏心且つ傾斜した穴部（あ るいは偏心又は傾斜した穴部）２２−１に油を引き込む遠心油ポンプのように作 用する。油は、穴部２２−１を介して、潤滑を必要とする様々な位置にくみ出さ れる。図示したように、穴部２２−１は、穴部２２−２に連通して、この穴部２ ２−２に油を供給し、上部軸受け３６を潤滑する（これらの穴部２２−１および ２２−２によって油分配手段を構成する）。また、穴部２２−１は、スライダブ ロック３８および軸受け４０に油が供給されて潤滑されるように、旋回スクロー ル２４まで延びている。圧縮工程中に旋回スクロール２４によってシャフト２２ に加えられる偏心力のつり合いを取り易くするために、つり合い重り４４が設け られている。つり合い重り４４はシャフト２２の一部とすることができるが、焼 きばめによってシャフト２２に固定するか、あるいはロータ１８に固定すること もできる。また、つり合い重り４４は、力の軸方向の分離およびそれらの力の傾 斜作用を最小にするために、できるだけスクロールに接近して配置するのが好ま しい。従って、力をつり合わせる作用をするつり合い重り４４の部分４４−１は 、軸受け３６を支持するクランク室２０のハブ部２０−１の半径方向外側に配置 し且つそのハブ部２０−１と部分的に同軸に延びている。

【０００９】 穴部２２−１を介して穴部２２−２および軸受け３６に供給される潤滑材は、 ハブ部２０−１とシャフト２２との間に流出し易い。また、円筒形のシャフトの 回転によって、油が螺旋状の通路内でシャフト２２の回転方向と反対方向に流れ る傾向があるが、そこからは油切りされにくい。流出する油の軸方向の通路は、 つり合い重り４４の半径方向に延びるアーチ形の半径方向面４４−２によって閉 鎖される。アーチ形の半径方向面４４−２に到達する油は、遠心力によって半径 方向外側に向けられ、噴霧状態でシェル１２の内部に油切りされ易く、シェル１ ２の内部を通り抜ける吸込みガスによってエントレイメントが起こり易い。

【００１０】 本考案によれば、つり合い重り４４には、ボルト４８のような適当な手段によ って、オイルシールド４６が固定されている。オイルシールド４６は、つり合い 重り４４によってつり合わせなければならないので、プラスチック、シートメタ ル又は他の適当な軽量材料からなるのが好ましい。しかし、製造および組立を容 易にするために、オイルシールドをつり合い重りと一体に形成することもできる 。オイルシールド４６は、半径方向面４４−２から容易に分離され、半径方向面 ４４−２に対して軸方向の両方向に延びている。オイルシールド４６に集まる油 が下方に流れるように傾かせるために、オイルシールド４６を下方への流れに都 合の良い形状にすることができる。例えば、オイルシールド４６は、半径方向面 ４４−２の下方に延びる量以上の量だけ、半径方向面４４−２の上方に軸方向に 延びるようにすることができる。また、オイルシールド４６は、中空の円錐形の 台の一部を形成するように、上部から底部に向かって半径方向外側に延びるよう にすることができる。オイルシールド４６の存在により、半径方向面から油切り された油は、対向するオイルシールド４６の内面に衝突し、そこに集まる。オイ ルシールド４６は、つり合い重り４４と一体になっているので、つり合い重り４ ４と共に回転し、オイルシールド４６に集まる油は、下方且つシャフト２２の回 転方向と反対の方向に螺旋状に流れ易くなる。オイルシールド４６は、吸込み口 ３４の下方に延び、ステータ１６のコイル１６−１内に下端部を有する。そのた め、オイルシールド４６の底部に到達する油は、オイルシールド４６の下方周縁 部によって形成される有効な半径方向面がないので、油滴として集まり易く、ス テータ１６のコイル１６−１上で油滴として油切りされ、そこから油だめに流出 する。その結果、油は、流れている吸込みガスの通路に噴霧又は分散されない。

【００１１】

【考案の効果】

上述したように、本考案によれば、低圧密閉形スクロール圧縮機において、吸 込みガスによる潤滑材のエントレイメント（巻込み又は飛沫同伴）を最小にする ことができ、また、油の循環を減少させることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の低圧密閉形スクロール圧縮機の一部を
示す断面図。

【図２】図１の低圧密閉形スクロール圧縮機の２−２線
断面図。

【符号の説明】

１０…低圧密閉形スクロール圧縮機 １２…シェル １６…ステータ １６−１…コイル １８…ロータ ２０…クランク室 ２０−１…ハブ部 ２２…シャフト ２２−１、２２−２…穴部（油分配手段） ２４…旋回スクロール ２６…オルダム継手 ２８…固定スクロール ３４…吸込み口 ３６…軸受け ３８…スライダブロック ４０…軸受け ４４…つり合い重り ４４−２…半径方向面 ４６…オイルシールド ４８…ボルト

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 ジェイムズ シー．ウィルソン アメリカ合衆国，ニューヨーク，キャゼノ ヴィア，ストウン クォーリー ロード 3918

Claims (4)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 クランク室（20）を含むケーシング（1
   2）と、旋回スクロール（24）と、シャフト（22）と、
   ロータ（18）およびステータ（16）を含み且つ前記シャ
   フトを駆動するモータ手段と、前記クランク室内で前記
   シャフトを支持する軸受け（36）と、該軸受けを潤滑す
   るための油分配手段（22-1，22-2）と、 前記クランク室の一部を取り囲み且つその一部と同軸に
   延在する第１の部分（44-1）と、前記クランク室から軸
   方向に離間した半径方向面（44-2）を含む第２の部分と
   を有し、前記シャフト上に配置されたつり合い重り（4
   4）と、 前記モータ手段が前記シャフトおよび前記旋回スクロー
   ルを駆動するときに油が前記軸受けに供給され、前記シ
   ャフトと共に回転する前記半径方向面上に流れ込んで油
   切りされるように、吸込みガスを供給する吸込み口（3
   4）とを有する低圧密閉形スクロール圧縮機において、 前記つり合い重りと一体になるようにオイルシールド
   （46）が設けられ、このオイルシールドが前記半径方向
   面の半径方向外側に且つ該半径方向面の上下で軸方向に
   延在するように配置され、前記半径方向面から油切りさ
   れた油を前記オイルシールドに集めて下方に流すことを
   特徴とする低圧密閉形スクロール圧縮機。
2. 【請求項２】 前記オイルシールドが前記吸込み口の下
   方で軸方向に延びることを特徴とする、請求項１に記載
   の低圧密閉形スクロール圧縮機。
3. 【請求項３】 前記オイルシールドが前記ステータの一
   部内に延びることを特徴とする、請求項２に記載の低圧
   密閉形スクロール圧縮機。
4. 【請求項４】 前記オイルシールドがシート材からな
   り、その半径方向の広がりを最小にすることを特徴とす
   る、請求項１に記載の低圧密閉形スクロール圧縮機。