JP2883441B2 - 着色真珠光沢雲母顔料の製造方法 - Google Patents

着色真珠光沢雲母顔料の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、雲母粒子表面が膜厚方向にチタンと酸素の
成分比が変化する特殊な酸化チタン皮膜で被覆された、
干渉色を有する有色の着色真珠光沢雲母顔料の製造方法
に関する。
〔従来の技術〕
既知の真珠光沢顔料の一つは、微細な薄片状雲母の表
面に二酸化チタン層を形成させたもので、真珠光沢を有
し、種々の干渉色を呈する。その製法としては特公昭43
−25644に見られるようなチタンの無機酸塩(たとえば
硫酸チタニル)の水溶液を雲母の存在下で加水分解し、
雲母表面に含水二酸化チタンを析出させたのち加熱する
方法が一般的である。使用する雲母はあらかじめ水粉砕
し、フルイを用いて粒子径を5μm〜200μmの範囲に
そろえた透明な白雲母系雲母を用いることが多い。生成
した真珠光沢顔料は雲母粒子表面の二酸化チタン被覆層
の厚さによって様々な干渉色を呈する。干渉色は二酸化
チタンの量が生成物の26〜40%では金色、40〜50%の範
囲では二酸化チタン層の増加の方向に、赤色、青色、緑
色へと変化し、さらに50〜60%では高いオーダーの干渉
色が得られる。こうした真珠光沢雲母顔料は真珠光沢と
種々の干渉色を有するものの、外観は常に白色に近く、
鮮やかな外観色を呈するものは得られていなかった。そ
こで従来は、様々な外観色を出すために真珠光沢雲母顔
料に酸化鉄、紺青、酸化クロム、カーボンブラック、カ
ーボンなどの有色顔料を添加していた。しかし、このよ
うな複数の顔料を混合して使用すると、真珠光沢雲母顔
料が本来有している光沢性や干渉色がそこなわれるため
に、意匠性に劣るとされていた。
そこで、さらに意匠性の優れた真珠光沢雲母顔料の改
良研究がなされ、以下に示す3つの代表的な方法が報告
されている。
1) 二酸化チタン被覆雲母を水中に分散させ、この分
散液に塩基を加えてpHを調整し、これと同時に酸化剤と
鉄(II)塩とを有する水溶液を徐々に加え、二酸化チタ
ン被覆雲母粒子の表面にさらに四三酸化鉄(Fe3O4)の
沈澱を生じさせて被覆する黒色系の着色真珠光沢雲母顔
料の製造法およびこの黒色系の顔料をさらに大気中で50
0〜1000℃の範囲で熱処理した赤色系の着色真珠光沢雲
母顔料の製造法(特開昭61−19666)。
2) 二酸化チタン(水和物も含む)もしくは二酸化チ
タンと金属酸化物の複合体(水和物も含む)で被覆され
た薄片状雲母をアンモニアNH3気流中600〜950℃の温度
で加熱処理を行って、二酸化チタンを一酸化チタンへ還
元することを特徴とする暗色真珠光沢雲母顔料の製造法
(特開昭58−164653)。
3) 雲母粒子表面が二酸化チタンと低次酸化チタン、
または低次酸化チタンで被覆されている有色顔料を造る
方法としては、例えば市販の真珠光沢雲母顔料を500〜1
000℃、好ましくは700〜900℃の温度で水素ガスおよび
アンモニアガスなどの還元力を有するガスとヘリウムガ
ス、アルゴンガス、窒素ガスなどの不活性ガスとの混合
ガスによって加熱還元する方法、市販の真珠光沢雲母顔
料に二酸化チタンを混合し、該混合物を上記の方法によ
って加熱還元する方法、または市販の真珠光沢雲母顔料
に金属チタンを混合し、該混合物を真珠下で500〜1000
℃、好ましくは700〜900℃の加熱還元するなどの方法を
挙げることができる。さらには特公昭43−25644に見ら
れるようなチタンの無機塩(たとえば硫酸チタニル)の
水溶液を前述した雲母の存在下で加水分解し、雲母粒子
表面に含水二酸化チタンを析出させ、これを500〜1000
℃、好ましくは700〜900℃の温度で水素ガスおよびアン
モニアガスなどの還元力を有するガスとヘリウムガス、
アルゴンガス、窒素ガスなどの不活性ガスとの混合ガス
によって加熱還元するか、あるいは雲母粒子表面に含水
二酸化チタンを析出させたのち加熱して酸化チタン被覆
雲母を生成させ、これを上記市販の真珠光沢雲母顔料の
製造と同様な方法で還元してもよい。また、還元の方法
は上述の水素ガスやアンモニアガスのような還元ガスを
用いる方法に限定されるものではなく、酸化チタン被覆
雲母を水素などの還元炎を用いて還元する方法や、雲母
粒子をハロゲン化チタン、例えば四塩化チタンの溶液に
懸濁させ、この懸濁液を空気と水素の混合ガスの炎中で
酸化分解させる方法をとることもできる(特開昭59−21
2422)。
上記の1)の方法では赤色および黒色系のものしか得
られず、2)の方法では青色、青黒色、黒色および茶黒
色系のものしか製造できないという欠点が各々にあっ
た。一方、3)の方法では青色、緑色、金色および赤紫
色などの着色が可能であるが、二酸化チタンで被覆した
真珠光沢雲母顔料を水素ガス雰囲気下で500〜1000℃の
高温度で加熱還元する必要があり、二酸化チタンの膜厚
が非常に小さいので500〜1000℃の高温で還元を行うと
二酸化チタン皮膜全体が還元されるおそれがあり、粒径
方向のチタンと酸素の成分比の変化の制御がむつかし
い。さらに、この温度では二酸化チタン被覆雲母粒子ど
うしが焼結し凝集固化して単分散の微細な粉末顔料が得
られず、粉末状態を保つには特別の装置が必要となる。
雲母粒子自体に、酸素ガス気流中で(減圧下に)チタ
ンをスパッタしてチタン酸化物の皮膜を形成する方法も
考えられるが、チタンターゲットと酸素が反応してター
ゲットが酸化し、さらに酸素ガスによるスパッタ率はア
ルゴンガスやヘリウムガスによるそれに比べて、著しく
小さいので実用的でない。また粒径方向のチタンと酸素
の成分比の変化の制御も極めてむづかしい。
〔発明が解決しようとしている問題点〕
本発明者らは前記従来の着色真珠光沢雲母顔料および
その製造法が抱える問題点を解決すべく鋭意研究したと
ころ、真空条件下で二酸化チタン被覆雲母の表面をスパ
ッタリング法によって金属チタンで被覆すると、二酸化
チタン皮膜が低次酸化物に還元される現象を発見した。
この方法によると水素ガス中で500〜1000℃に加熱還元
する必要がない。その上、金色、銀色、赤色、青色およ
び緑色などの多種類の着色が可能になるうえ、干渉色も
兼備することから、従来見られなかった新しい意匠性を
有する着色真珠光沢雲母顔料を製造できることを見出し
た。
二酸化チタン被覆雲母の表面にさらに金属チタンを被
覆する方法としては、前記のスパッタリング法以外にも
真空蒸着法、イオンプレーティング法、CVD法などの公
知の方法を適用することが考えられるが、コーティング
の対象が粉末であるために、装置の構造や操作に関して
なお問題がある。
〔問題点を解決するための手段・発明の構成〕
本発明は、二酸化チタンで被覆した雲母からなる真珠
光沢雲母顔料の表面を、さらにスパッタリング法によっ
て金属チタンで被覆処理し、それにより該二酸化チタン
皮膜を低次酸化物に還元することからなる着色真珠光沢
雲母顔料の製造法を提供する。
本発明はまた、粉体減圧熱処理帯域と、流動床スパッ
タリング帯域と、流体ミル粉体分散処理帯域とを設け、
二酸化チタン被覆雲母からなる真珠光沢雲母顔料をこの
三帯域の間を循環させて、スパッタリングによる金属チ
タン被覆処理を反復して行う着色真珠光沢雲母顔料の製
造法を提供する。
スパッタリングは、200℃以下の温度で行う。200℃を
超えると、真珠光沢雲母顔料の凝集が激しくなり、塊化
が起こり、均一なチタン被覆が困難となるからである。
その製品は原料の二酸化チタン被覆雲母からなる真珠
光沢雲母顔料の干渉色の色調と本発明による着色真珠光
沢運目顔料の色調とが同一系統であることおよび低次酸
化物皮膜中のチタンと酸素の成分比が膜厚方向で変化し
ていることを特徴とする。
二酸化チタン被覆雲母の真珠光沢雲母顔料としては、
粒径が5μm〜200μmの範囲の雲母の表面に例えば、
特公昭43−25644に見られるようなチタンの無機酸塩
(たとえば硫酸チタニル)の水溶液を雲母の存在下で加
水分解し、雲母の表面に含水二酸化チタンを析出させた
のち加熱する方法によって製造したものを使用すること
ができる。二酸化チタンの含有率は10wt%〜60wt%の範
囲で、膜厚によって銀色、青色、緑色、赤色、赤紫色お
よび金色などの干渉色が付与される。
二酸化チタン被覆雲母の真珠光沢雲母顔料への金属チ
タンのスパッタリング法による被覆は実開平2−14360
または特願平1−74770に開示された技術によって実施
できる。これらの技術は、金属、セラミックスまたはプ
ラスチックの微粉末を、 (イ)不活性雰囲気中で気流ジェットミル処理して一次
粒子に分散し、 (ロ)該分散処理して得た微粉末を不活性雰囲気中で減
圧加熱処理し、 (ハ)該加熱処理した微粉末をスパッタリング源を納め
た回転容器に仕込み、該容器を回転させて微粉末の流動
層を形成し、容器を回転した状態で流動微粉末にスパッ
タリングすることにより被覆することからなる微粉末を
被覆する方法であり、 (1)連続しない別々の回転軸に支持される回転可能で
真空排気可能のバレルであって、その内部に第1の回転
軸に支持されるスパッタ源が設けられ、第2の回転軸が
被覆されるべき微粉末導入路および排気路としての機能
を有し、かつその内部に真空排気および不活性ガス導入
の管路を備えているものからなるスパッタリング室と; (2)該スパッタリング室の第2の回転軸の微粉末排出
路に弁を有する連通路によって連通するジェットミル手
段と; (3)該ジェットミルに弁を有する連通路(導管)によ
って連通する真空排気可能の加熱撹拌容器と; (4)該撹拌容器と前記第1の回転軸に連通する、弁を
有する微粉末導管と; とからなる連続微粉末被覆装置である。
上記の発明において、雲母に種々の金属、例えば鉄、
銅、銀、金、錫、白金、ニッケル、チタン、コバルト、
クロム、アルミニウム、亜鉛、タングステンおよびこれ
らの合金を被覆することが可能であることはすでに開示
されているが、本発明は原材料として二酸化チタン被覆
雲母である真珠光沢雲母顔料を使用し、これをさらにス
パッタリング法によって金属チタンで被覆する際に二酸
化チタンが還元されて低次酸化物の皮膜になる新しく発
見された現象に基づいている。
〔発明の具体的記載〕
本発明の方法は種々の装置で実施することができる
が、前述の装置を使用して連続的に実施するのが好都合
である。
第1図は本発明方法に使用する装置の一例の構造を示
す1側面から眺めて適宜断面で示す概念図であり、第2
図は第1図に示す装置を第1図と直角の方向から眺めた
大体において第1図のII−II線にそった断面を示す同様
の図面である。
装置の主要部は、減圧加熱処理室1、回転バレル型ス
パッタリング室2、流体ジェットミル3および粉末フィ
ルター4からなる。
減圧加熱処理室1は、電気抵抗加熱される容器であっ
てフィルター5を介して主排気系6および高度排気系7
に連通する。主排気系は機械的真空ポンプであり、高度
排気系はクライオソープションポンプ、ターボ分子ポン
プまたはメカニカルブースターポンプ等と冷却トラップ
の組合せである。減圧加熱処理室1は減圧加熱処理した
微粉末8を回転バレル型スパッタリング室2に送入する
導管10へ落下させるためのスクリューフィーダー9とこ
れを回転するモーター40を備えている。
バレル型スパッタリング室(以下単にバレルと称する
ことがある)2は第2図に示されるようにボールミルの
ような構造の回転円筒体であって、減圧加熱処理室1
と、同じ導管10に連通する排気系6、7に連通する。そ
してその一方の側壁は、前記の導管10が下方に延び、そ
の後に緩やかに直角方向に湾曲する水平部分を回転軸と
して支持される。この軸とバレル2の側壁の間には気密
を保つために軸受として磁気シール30が使用される。
このバレルの反対側の側壁からは同様の軸受機構30′
を介してバレル2の回転軸として機能するシャフトが挿
入され、その先端にスパッタリング装置50が対峙して保
持される。その姿勢は垂直ではなく後に説明するバレル
2の回転によって生ずる粉末床の位置によって決定され
る傾きを有する。
このスパッタ源は、バレルの回転中心軸を経て供給さ
れる図示されていない電源よりの高周波電流によって作
動される。
スパッタリング室2は減圧加熱処理室1と流体ジェッ
トミル3を介して連結するが、その導管10と11には弁12
1および122を備えている。導管10は前記のように水平に
湾曲してバレル2の中に進入してから再び下方に湾曲し
てバレルの底部近くに到達する。この場合その湾曲は垂
直に下方に向かうのではなく、バレルの回転によって生
ずる微粉末の流動床の生成する位置に向けられている。
スパッタリング室の他方の側壁は別の軸12によってお
なじく磁気シール30によって回転可能に支持される。ス
パッタリング室は、支持ロール13と回転モーター14とプ
ーリー15によって回転させられたまま制御される。な
お、スパッタリング室2の内部の微粉末搬送導管10およ
び搬出導管11および真空排気系に連通する細径のパイプ
19はいずれもスパッタリングによって被覆されにくい黒
鉛製のものを用いた。
スパッタ源50、例えば二極マグネトロンは、前記の軸
12の延長上に支持され、図示されていないが、高さ調整
ネジによって微粉末の流動層18との距離が調節できる構
造となっている。勿論この操作は作業の休止中に、バレ
ルの側壁を除去した状態で実施される。
スパッタリングによって被覆された微粉末は減圧熱処
理室1を減圧しておき、弁121を閉じ、弁122を解放し
て、減圧加熱処理室1とスパッタリング室2との連絡を
遮断し、不活性ガス送入パイプ19より不活性ガスを少し
ずつ送入することによって流体ジェットミル3に搬送で
きる。流体ジェットミル3はモーター20によって高速回
転するプロペラ21に不活性ガス流を乗せた微粉末を衝突
させる構造のものである。言うまでもなく、軸12の内部
にはスパッタ源に電気を供給する導線が納められてい
る。
ジェットミル3の排出側は弁22を備えた微粉末循環パ
イプ23に連通し、さらに減圧熱処理室1に連通する。こ
の微粉末循環パイプ23の弁22の下部から弁24を備えた分
岐管により粉末フィルター4に連通する。この粉末フィ
ルター4は円筒形フィルター25を介して排気系26に連な
るトラップである。
この装置は、本発明者らの一部の者の設計に基づき
(株)三栄理研によって製作され、概略次の寸法を有す
る。減圧加熱処理室の直径300mm、高さ150mm、回転式バ
レル式スパッタリング室の直径500mm、厚さ300mm。なお
使用されたスパッタリング源は東京ハイパワー社製の
「1500D」であり、使用されたジェットミルは三協電業
(株)製の「DA−3」であった。
着色真珠光沢雲母顔料の色は原料の二酸化チタン被覆
雲母からなる真珠光沢雲母顔料の色調と同一系統であ
り、金属チタンのスパッタリングの量が少いほど明色に
なり、多いほど暗色となる傾向がある。なお、金属チタ
ンのスパッタリングの量は二酸化チタン被覆雲母からな
る真珠光沢雲母顔料に対して、1wt%〜30wt%が好まし
い。1wt%未満ではほとんど着色効果は認められず、30w
t%を超えると有彩色ではない灰色のメタリック調とな
るので好ましくない。
次ぎに本発明を実施例によって例示する。
実施例1 雲母フレーム(径10〜20μ、厚さ0.5μ程度)50gをイ
オン交換水500mlに添加して十分に撹拌し均一に分散さ
せた。得られた分散液に濃度40重量%の硫酸チタニル水
溶液158.2mlを加えて、撹拌しながら加熱し6時間沸騰
させた。放冷後、ろ過水洗し900℃で焼成して、表面が
二酸化チタンで被覆された赤色の干渉色を有する真珠光
沢雲母顔料90gを得た。次に、第1図および第2図に示
す粉末スパッタリング装置を用いて10wt%量の金属チタ
ンのスパッタリングを行なった。すなわち、前述の90g
の二酸化チタン被覆雲母顔料を回転式バレル型スパッタ
リング室に側壁を外して装入し、次いで減圧加熱処理室
を2×10-5Torrに減圧した後、アルゴンガスを不活性ガ
ス送入パイプより徐々に送り込むと同時に流体ジェット
ミルを使用して一次粒子に分散した後、減圧加熱処理室
に捕集した。捕集した二酸化チタン被覆雲母顔料を2×
10-2Torrに減圧しつつ、ヒーターで100℃に加熱して、
乾燥および脱ガスを30分間行なった。次に、あらかじめ
アルゴンガスで置換されたスパッタリング室に二酸化チ
タン被覆雲母顔料を移送した。移送後、スパッタリング
室を回転数5rpmで回転しつつ、2×10-2Torrの減圧下で
二極方式マグネトロンによるスパッタリング(電力0.2k
W×2個、周波数13.56MHz)を開始した。二酸化チタン
被覆雲母顔料の温度は200℃以下であった。1時間で約
0.2wt%量の金属チタン被覆が形成された。この工程を
5回繰り返して、合計1.0wt%量の金属チタン被覆が生
じた。
スパッタリングによる被覆作業終了後は不活性ガス送
入パイプを通してスパッタリング室にアルゴンガスを導
入しつつ、雲母顔料を含むアルゴンガス流を粉末フィル
ターに送り込んで赤色真珠光沢雲母顔料を得た。
本実施例によって得られた赤色真珠光沢雲母顔料は観
察の結果、雲母表面が第3図のオージェ分析結果で示す
ような、膜厚方向でチタンと酸素の成分比が変化してい
る約2,900Å厚のチタン低次酸化物の皮膜によっておお
われていることが判明した。
実施例2 実施例1で用いたものと同じ雲母フレーク50gをイオ
ン交換水500mlに添加して十分に撹拌し均一に分散させ
た。得られた分散液に濃度40重量%の硫酸チタニル水溶
液3125.5mlを加えて、撹拌しながら加熱し6時間沸騰さ
せた。放冷後、ろ過水洗し900℃で焼成して、表面が二
酸化チタンで被覆された緑色の干渉色を有する真珠光沢
雲母顔料100gを得た。次に、前述の第1図および第2図
に示す粉末スパッタリング装置を用いて30wt%量の金属
チタンのスパッタリングを行なった。すなわち、前述の
100gの真珠光沢雲母顔料を回転式バレル型スパッタリン
グ室に投入し、次いで減圧加熱処理室を2×10-2Torr減
圧した後、アルゴンガスを不活性ガス送入パイプより徐
々に送り込むと同時に流体ジェットミルを使用して一次
粒子に分散した後、減圧加熱処理室に捕集した。捕集し
た雲母顔料を2×10-2Torrに減圧しつつ、ヒーターで10
0℃に加熱して、乾燥および脱ガス30分間行なった。次
に、あらかじめアルゴンガスで置換されたスパッタリン
グ室に雲母顔料を移送した。移送後、スパッタリング室
を回転数5rpmで回転しつつ、2×10-2Torrの減圧下で二
極方式マグネトロン方式によるスパッタリング(電力3.
0kW×2個、周波数13.56MHz)を開始した。雲母顔料の
温度は200℃以下であった。1時間で約3wt%量の金属チ
タンが付着した。この工程を10回繰り返して合計30wt%
量の金属チタン被覆を施した。
スパッタリングによる被覆作業終了後は不活性ガス送
入パイプを通してスパッタリング室にアルゴンガスを導
入しつつ、雲母顔料を含むアルゴンガス流を粉末フィル
ターに送り込んで緑色真珠光沢雲母顔料を得た。
本実施例によって得られた緑色真珠光沢雲母顔料は観
察の結果、雲母粒子の表面が第4図のオージェ分析結果
で示すような、膜厚方向でチタンと酸素の成分比が変化
している約6,600Å厚のチタンの低次酸化物の皮膜によ
っておおわれていることが判明した。
〔発明の作用・効果〕
これらの着色真珠光沢雲母顔料は、塗料やプラスチッ
クの新しい着色顔料として外装建材、内装建材、家電製
品、自動車、船舶などの用途に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の方法を実施するための装置の概念を示
す一側面の断面図、第2図は第1図のII−II線にそった
断面図で示す第1図と直角方向の概念的断面図である。
第3図および第4図は各々本発明の製品である赤色およ
び緑色の真珠光沢顔料の直径方向のオージェ分析結果を
示すグラフである。第1、2図において、 1……減圧加熱処理室 2……回転バレル型スパッタリング室 3……流体ジェットミル 4……粉末フィルター 5……フィルター 6……主排気系 7……高度排気系 8……減圧加熱した粉末 9……スクリューフィーダー 10,11……導管 121,122……弁 13……支持ロール 14,20……モーター 15……プーリー 18……微粉末の流動層 19……不活性ガス送入パイプ 21……プロペラ 22,24……弁 23……微粉末循環パイプ 25……円筒形フィルター 26……排気系 27……モーター 28……スパッタリング源
フロントページの続き (72)発明者 伊藤 博志 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自 動車株式会社内 (72)発明者 黒柳 考司 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自 動車株式会社内 (72)発明者 田中 裕二 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自 動車株式会社内 (56)参考文献 特開 昭59−212422(JP,A) 特開 平2−153068(JP,A) 実開 平2−14360(JP,U) 特公 昭61−57336(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C23C 14/00 - 14/58 C09C 1/36

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】二酸化チタンで被覆した雲母からなる真珠
    光沢雲母顔料の表面を、200℃以下の温度でスパッタリ
    ング法によって金属チタン被覆処理し、それにより二酸
    化チタンを低次酸化チタンに還元することからなる着色
    真珠光沢雲母顔料の製造方法。
  2. 【請求項2】粉体減圧熱処理帯域と、流動床スパッタリ
    ング帯域と、流体ミル粉体分散処理帯域とを設け、二酸
    化チタン被覆雲母からなる真珠光沢雲母顔料をこの三帯
    域の間を循環させて、スパッタリングによる金属チタン
    被覆処理を反復して行う請求項1に記載の方法。
JP29552490A 1990-11-02 1990-11-02 着色真珠光沢雲母顔料の製造方法 Expired - Lifetime JP2883441B2 (ja)

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