JP2763719B2 - 湯面レベル検出装置における流速・流れ方向検出装置 - Google Patents

湯面レベル検出装置における流速・流れ方向検出装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は容器内に注入あるいは充
填される溶融金属の湯面レベルおよび流速を測定する装
置に関し、さらに詳しくは溶融金属から浮子が受ける浮
力を検出し、これに基づいて湯面レベルおよび流れベク
トルを算出する流速・流れ方向検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】容器内に注入あるいは充填される溶融金
属の浮子の浮力を利用する湯面検出装置は、例えば特開
昭49−106436号公報,実開昭49−52563
号公報や「圧力・真空・レベル測定」(日刊工業新聞社
出版、昭和40年5月31日発行、工業計測技術大系
4、第359頁)等ですでに公知の技術である。上記公
報等に記載の検出方法においては、被検出物上に浮かべ
た浮子の移動量から、あるいは浮子重量と浮力との差に
よる移動量を電気的信号に変換することによって、湯面
を検出する。これらは水位計測等、特に整流液体の液面
計測に適用され、その実用例は多い。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前記浮子式溶融金属の
湯面検出装置においては、特に容器内に連続して注入
し、容器下部から凝固した鋳片を引き抜く連続鋳造での
モールド内溶融金属湯面を計測する際に、浮子にスラグ
あるいは溶融金属が付着凝固し、時間とともに成長する
ことは不可避である。即ち、浮子重量変動による計測誤
差の発生に加え、浮子が湯面に追従し自在に上下移動す
る構造ゆえに、浮子の付着地金の成長にともなって、浮
子が溶鋼流に巻き込まれ計測不能となる。さらに、浮子
に掛かる横方向の力(動圧)に対し補償する装置が無く
湯面を確実に精度よく検出することは困難である。特開
昭49−106436号公報記載の装置ではフロ−ト材
質を単に耐火性材質としているが、付着地金成長の防
止、また高温下での耐久性に加え乱流する液面計測にお
いては浮力外の力を受け易く、良好な検出性能が得られ
ず、検出精度の向上が従来から大きな課題であった。
【0004】本発明は、以上の欠点を解消するとともに
溶融金属の湯面計測はもとより流速および流れ方向を精
度良く計測できる浮力式の改良された計測装置を提供す
ることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、耐熱セラミッ
ク質の中空円柱棒の一端を閉塞し、他の一端に圧力セン
サを設け、圧力センサ面に対し中空円柱棒から伝達され
る浮力、すなわち外部押圧を検出する押圧検出部と、押
圧検出部からの検出信号の増幅と被検出材の密度による
レベル補正、流速および流れ方向(流れベクトル)を算
出する演算処理器とから構成される計測装置である。中
空円柱棒は地金等の付着を解消する窒化ほう素を主成分
とすること、また初期応力開放の解消と圧力伝達棒の横
方向に掛かる力の抗力を増すため、最大許容圧付近に圧
力センサの初期圧を設定可能な構造とする。外部押圧の
検出面に複数個の圧力センサを設け、該センサ出力の加
算処理により偏押圧を補償する湯面レベル信号を得ると
ともに各センサ出力のベクトル和演算を行いその演算値
を湯面レベルで補償することによって被検出体の流速・
方位の検出を可能とする。
【0006】
【実施例】以下、本発明を図示の実施例にもとづき作用
とともに詳細に説明する。図1は本発明の一実施例の溶
融金属流速・流れ方向検出装置の構成を示す図、図2の
(a)は押圧検出部の詳細断面図、図2の(b)は、
(a)図のD−D断面図である。Eは、圧力センサS
i ,初期応力調整部F,中空円柱棒K等から構成される
押圧検出部、Aは押圧検出部Eを支持固定するための支
持アーム、Kは浮力(押圧)を伝達する中空円柱棒、B
は圧力センサからの信号を増幅し溶鋼レベルL,、流速
υ、方位θを出力する演算処理装置、CはモールドMに
充填された溶鋼である。モールドM上部の支持アームA
に押圧検出部Eを固定設置し、事前に中空円柱棒Kが溶
鋼Cに侵積しない状態で圧力センサS1 ,S2 ,S3
出力調整を行う。該圧力センサには、半導体センサある
いはワイヤストレーンゲージ等を用い、ホイートストン
ブリッジ回路で出力バランス調整を行うことは公知の技
術である。溶鋼Cに浸漬、あるいは湯面が上昇した場合
に、中空円柱棒Kの受ける浮力Fは(1)式で表記でき
る。
【0007】F=ρSL ・・・(1) ρ:液体の密度[g/cm3] S:浮子の断面積[cm2] L:液体中にある浮子の長さ[cm] ここで、スプリング等で浮子を懸架している場合、浮子
重量Wと浮力Fとの差、すなわち見掛け上浮子重量(W
−F)が減少し、浮子は浮上するのでその移動量から湯
面を計測できる。しかし本発明では、予め固定側に設け
た圧力センサとブッシング付きスプリングで中空円柱棒
の端部に設けた圧力支持板を該圧力センサの許容最大域
まで締め付けておく。これにより中空円柱棒Kにかかる
横方向の抗力を大きくでき偏押圧を解消できるととも
に、浮子の上下の移動は見掛け上生じない構造となるた
め、溶鋼による巻き込み,ふらつきを防止でき、安定し
た浮力検出が可能となる。図2の(a)に示すように、
中空円柱棒Kの他端に固着した圧力支持板10は、固定
側の下面に圧力センサS1 ,S2 ,S3 が円周方向12
0°間隔で配列されて支持されるとともに、センサに対
応する3個の初期応力調整部Fで強固に装着されてい
る。
【0008】図3に応力調整部Fの構造図を示す。図3
においてF1 は調整ネジ、F2 はスプリング、F3 はブ
ッシングである、スプリングF2 のみでは圧縮による曲
がりを生じ壁面での摩擦係数が変化し問題となる。この
ためブッシングF3を付加することによってスプリング
2 の伸縮に対し側壁面の摩擦を軽減でき、安定した性
能が得られ極めて有効な手段である。圧力支持板10を
介し圧力センサS1 ,S2 ,S3 に等圧力がかかるよう
に圧力調整ネジF1 で調整する。押圧検出部EはD−D
断面で分割できる構造となっており、ボルト11で嵌合
固定する。また冷却のため給水口G11 ,G12 、排水口
21 ,G22 を設け、検出部Eを一定温度に維持する構
造としている。12は、応力調整部Fを支持ア−ムAに
固定するためのネジ穴である。図2の(b)は圧力セン
サ設置状況を示す平面図であり圧力センサS1 ,S2
3 は120°毎に3個設置しており、13は圧力セン
サのリ−ド線取り出し用溝であり、この溝からリ−ド線
を外部に取り出している。11−1はボルト11用のネ
ジ穴で、押圧検出部Eの上部,下部部分を嵌合固定する
ためのものである、中空円柱棒Kはアルミナグラファイ
ト,窒化珪素,シリカ等の耐熱セラミックがよく使われ
ているが、発明者等によれば、濡性,耐久性の点から、
特に窒化ほう素を主成分とし常圧成形後焼結したものが
最良との結果を得た。
【0009】図4は、演算処理装置Bの機能を示す。圧
力センサは複数個、本実施例では3個設けており、図2
の(b)に示すように120度毎に設置されている各圧
力センサの信号は、ホイートストンブリッジ回路1a,
1b,1cに入力され、押圧力に相当する直流信号を出
力する。2は加算器で各センサ出力の加算値を出力す
る。6は流体の密度補正のための利得調整器、3はベク
トル和演算器、4は液体レベル変換器、5は流速演算器
である。図4において、中空円柱棒Kが液体に侵漬して
いない状態で初期応力調整ネジF1 で各センサに等分に
圧力が掛かるように設定しておいて、ホイートストンブ
リッジ回路1a,1b,1cの零調整を行う。次いで中
空円柱棒Kを液体に浸漬し各圧力センサから浮力に対応
する出力信号が得られ加算器2で加算され、さらにレベ
ル変換器4で浸漬深さに変換されレベル信号が出力され
る。予め利得調整6により液体密度に対応する利得に設
定しておくことはいうまでもない。圧力センサからの信
号は各120度点における電圧出力とするベクトル量と
して表すことができる。従って3個の圧力センサのベク
トル和をとることで液体の流れ方向・速度を知ることが
できる。各圧力センサからの信号がベクトル和演算器3
に入力されると演算され、その結果として図5に示すベ
クトルが得られる。図5において各圧力センサS1 ,S
2 ,S3 の出力電圧をそれぞれVS1 ,VS2 ,VS3
とすると、それらのベクトル和としてVS0 が得られ、
ここでVS1 を基準にとると−θ[度]方向に力VS0
中空円柱棒Kにかかったことになりこの結果+θ[度]方
向からの流れを確認できる。
【0010】一方VS0 は中空円柱棒Kの浸漬深さと動
圧によって変化する。その変化量は流速υで流れる密度
ρの液体の中におかれた物体に働く力f(VS0 に相
当)を基に式(2)から流速υ[cm/sec]を演算すること
ができる。
【0011】 υ=√(2fg/sρC d ) ・・・・(2) s:液体中にある中空円柱棒の断面積[cm 2 d :実験係数[cm/sec 2 ρ:液体の密度[g/cm 3 ] g:重力加速度[cm/sec 2 ここで実験係数C d (無名数)を求めるため液槽上部の
検出器を取り付けた走行台車を走行し、等価的に液体の
流速および浸漬深さを得ることによって未知数C d
(2)式から導出した。オンライン計測においては予め
導出した前記C d 値を用い(2)式を実行する流速演算
器5にVS o (流力)と液面レベル信号を入力し流速値
を得る。本実施例では、液面レベルを逐次検出しこのレ
ベル信号により塵速補正を行う、 これらの演算処理はマ
イクロコンピ−タを用いれば容易に実現できる。尚実施
例では3個の圧力センサを使用したが、さらに増やせば
検出精度の向上を期待できる。
【0012】図6は中空円柱棒Kを液体に一定深さ浸漬
しておいて液体を揺動させそれぞれの圧力センサ出力と
加算出力(液体レベル)のチャート図を示す。図から明
らかなように揺動による動圧変化を受けても加算出力は
常に一定レベルを示している。例えば図中Z軸との交点
イ,ロ,ハの挙動を見ると振幅値と位相が異なるが加算
出力いわゆる液面レベルは一定である。液体の流れによ
る力即ち流力(動圧変化)は浸漬棒を介し各圧力センサ
ーへ伝達され浮力値に重畳されて出力されるが加算演算
によりレベル情報のみを得ることができる。各センサは
レベルに対するキャリブレーションしているので逐次得
られる各センサ出力から浮力値分を減算することにより
流力成分を抽出することができる。この結果流力情報の
みによる流速演算に加え浸漬棒の深さ情報による流速補
正を実現しているので精度良い流速計測を可能とするも
のである。図7は本実施例における湯面計測結果を示す
図である。X軸は溶鋼湯面、Y軸にセンサ出力の相対値
を示すが、良好な線形入出力特性が得られ同時に流速・
流れ方向計測を簡便な装置構成で実現した。
【0013】
【発明の効果】以上述べたように、本発明は簡便な装置
構成で単に被検出物体中に必要に応じて中空円柱棒を挿
入浸漬することにより偏押圧を解消した湯面計測を実現
すると共に簡単な信号処理装置を付加することにより流
速・流れ方向計測を可能にした。実際のプロセスライン
では通常動圧が発生するので、従来の浮力方式の適用で
きる範囲は限定されそれらの環境下では課題が多く実用
化例は見あたらない。近年モールドの小断面化が進み、
従来の他の方式の電磁式,放射線式等の湯面計では寸法
・構造上設置することが困難であり断念しているのが現
状である。本発明によればそれらの欠点を解消し、手軽
に適用できると共に新たに流速・流れ方向情報が得られ
るので例えば連続鋳造プロセスの鋳片品質の管理指標と
して、あるいは操業の安定化に大きく寄与し、その効果
は大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例の溶鋼流速・流れ方向検出
装置の構成を示すブロック図である。
【図2】 (a)は図1に示す押圧検出部Eの詳細断面
図、(b)は(a)図のD−D線断面図である。
【図3】 図2の(a)に示す初期応力調整部Fの構造
を示す断面図である。
【図4】 図1に示す演算処理装置Bの構成を示すブロ
ック図である。
【図5】 図2の(b)に示す圧力センサS1,S2,S
3の出力の和演算結果を示すベクトル図である。
【図6】 図1に示す実施例における各圧力センサの出
力挙動と加算出力を示すグラフである。
【図7】 図1に示す実施例による湯面測定結果を示す
グラフである。
【符号の説明】
1 ,S2 ,S3 :圧力センサ 1a,1b,1c:ホイートストンブリッジ 2:加算器 3:ベク
トル和演算器 4:流体レベル変換器 5:流速
演算器 6:利得調整器 10:圧力
支持板 11:ボルト 13:リ
ード線溝 A:支持アーム B:演
算処理装置 C:溶鋼 E:押
圧検出部 F:圧力調整部 G11,G12:給
水口 G21,G22:排水口 K:中
空円柱棒 M:モールド
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G01F 23/60,1/30 G01P 5/02,13/02 B22D 46/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶融金属に浸漬した耐熱セラミック質の
    中空円柱棒により伝達する浮力による押圧力を検出する
    センサを複数個設け、それぞれのセンサの出力和から湯
    面レベルを検出する装置において、等間隔に配列したそ
    れぞれのセンサ出力のベクトル和演算を行う演算器と該
    演算器出力を湯面レベル信号で補正を行う演算器とから
    構成されることを特徴とする湯面レベル検出装置におけ
    る流速・流れ方向検出装置
  2. 【請求項2】 圧力センサの感圧面側にコイルスプリン
    グと初期応力調整ネジを設け、浮力による押圧力により
    圧力センサ出力を減少するように構成した事を特徴とす
    る請求項1記載の湯面レベル検出装置における流速・流
    れ方向検出装置
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