JP2731114B2 - 電子素子及びその製造方法 - Google Patents

電子素子及びその製造方法

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JP2731114B2 JP6151376A JP15137694A JP2731114B2 JP 2731114 B2 JP2731114 B2 JP 2731114B2 JP 6151376 A JP6151376 A JP 6151376A JP 15137694 A JP15137694 A JP 15137694A JP 2731114 B2 JP2731114 B2 JP 2731114B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子素子及びその製造
方法に係わり、特に導電体層及びオーミックコンタクト
層の開口部形状を制御し、特性及び信頼性の高い電子素
子及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】電子素子の従来例として、図5に示す逆
スタガー型の薄膜トランジスタ(TFT)を説明する。
【0003】従来のTFTは、ガラス基板500上にC
r膜等をスパッタにより成膜し、パターニングしてゲー
ト電極501、ゲート配線502を形成した後、プラズ
マCVD法等により、ゲート絶縁膜(例えばSiNx)
503,i型a−Si504,n+型a−Si505を
堆積する。
【0004】続いて、HF・HNO3混合液を用いて、
+型a−Si層及びi型a−Si層を素子ごとにエッ
チングし、導電体層Al(1〜2%Si含有)をスパッ
タにより形成する。
【0005】次に、ソース・ドレイン電極及び配線50
6並びにチャネル部507を形成するため、Alをリン
酸系エッチング液でエッチングし、続いてHF・HNO
3混合液を用いてn+型a−Siのエッチングを行う。
【0006】最後に、プラズマCVD法により、パッシ
ベーション膜を堆積し、ゲート配線、ソース・ドレイン
配線上の窓開けを行って、薄膜トランジスタの作製を完
了する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】このような方法による
と、オーミックコンタクト層のサイドエッチングによ
り、図6(a)に示すように、導電体層端部下のオーミ
ックコンタクト層がエッチングされ隙間601ができる
ことになる。
【0008】また、TFTにおいては、導電層をAlの
拡散を防止するためのバリアー層(例えば、W)を設け
た2層構造とする場合が多く、この場合は、図6(b)
に示すような構造となって、W層とオーミックコンタク
ト層間に隙間602が発生する。
【0009】かかる隙間は多層膜をエッチングする際に
生じるものであるが、従来は、特性との関係において殆
ど注意が払われていなかった。しかし、本発明者らが目
的とする高密度、高特性電子素子の開発を進める上で、
従来の製造方法では、さらなる高特性化には限界があ
り、そしてその原因として上記隙間が関係していること
を見い出した。即ち、この隙間とTFT素子特性及び素
子間バラツキ、並びに信頼性の間には明確な関係があ
り、微小な隙間が形成されると特性の低い素子が現れて
特性のバラツキが大きくなり、また素子の信頼性が低下
するのである。
【0010】本発明は以上の知見を基に完成したもので
あり、本発明の目的は、高特性でバラツキが小さく、且
つ経時的安定性の優れた電子素子を提供することであ
る。併せて、かかる電子素子を高い歩留まりで製造でき
る電子素子の製造方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の電子素子は、半
導体層、オーミックコンタクト層及び導電体層からなる
多層膜の前記オーミックコンタクト層及び前記導電体層
の一部に開口部が形成され、該開口部を含む所定の領域
にパッシベーション膜が形成された電子素子において、
前記導電体層の開口部は、前記オーミックコンタクト層
の開口部の幅以上の幅を有することを特徴とする。
【0012】また、本発明の電子素子の製造方法は、半
導体層、オーミックコンタクト層及び導電体層からなる
多層膜を順に積層し、前記導電体層及び前記オーミック
コンタクト層の一部を同一のエッチング液により連続除
去して開口部を形成し、その後該開口部を含む所定の領
域にパッシベーション膜を形成する電子素子の製造方法
であって、前記エッチング液として、前記導電体層のエ
ッチング速度が前記オーミックコンタクト層のエッチン
グ速度以上となるエッチング液を用いることを特徴とす
る。
【0013】
【作用】本発明は、前述したように、エッチング工程に
おいて導電体層とオーミックコンタクト層との間に形成
される隙間が素子特性及びそのバラツキ、信頼性に大き
く影響するという本発明者が発見した知見に基づいて完
成したものである。
【0014】隙間部が素子特性、信頼性を低下させる原
因としては、次のように考えられる。即ち、隙間部が形
成されると、隙間部にはパッシベーション膜が形成され
難くなり、あるいは形成されても緻密性の低い粗い膜し
か形成されないため、素子が劣化するものと考えられ
る。
【0015】また、エネルギー分散型X線分析計による
測定から、この隙間部に形成されるパッシベーション膜
には、酸素等の不純物が多量に含まれているものがある
ことが分かった。この理由は、隙間部は極めて微細であ
るためエッチング液が洗浄液で完全に置換されず、また
その後の乾燥処理でも洗浄液またはエッチング液が隙間
部から完全には抜け出ずに残留するためと考えられる。
【0016】これら不純物は、パッシベーション膜堆積
時あるいはその後にチャネル部等を汚染して、キャリア
移動度等の素子特性を低下させたり、また、経時的に拡
散して特性を低下させるものと考えられる。
【0017】一方、本発明においては、オーミックコン
タクト層と導電層とを一括して連続してエッチングし、
しかもオーミックコンタクト層のエッチング速度より導
電層のエッチング速度の大きなエッチング液を用いるこ
とにより、導電体層の開口幅をオーミックコンタクト層
開口部よりも大きくすることが可能となり、両層間に隙
間が発生するのを防ぐことができる。この結果、開口部
内全体を緻密なパッシベーション膜で覆うことができ、
信頼性の高い電子素子が得られる。また、エッチング液
や洗浄液等が隙間に残留するのを防ぐことができ、残留
液による汚染を抑えることができる。従って、得られる
電子素子の移動度その他の特性は、高い特性でバラツキ
がないものとなり、電子素子の歩留まりが大きく向上す
る。
【0018】本発明のエッチングにおいて、フッ化水素
酸を0.05〜0.2mol/lと、ハロオキソ酸イオ
ンを0.01mol/l以上とを少なくとも含むエッチ
ング液を用いることが好ましく、この組成範囲ではオー
ミックコンタクト層よりも導電体層のエッチング速度が
高くなり、またエッチングの制御性が向上して再現性が
向上する。即ち、より微細なエッチングを安定して行う
ことができる。
【0019】このエッチングのメカニズムは、ハロオキ
ソ酸イオンが強力な酸化剤として働き、半導体及び金属
等の固体表面を酸化し、次いで生成した酸化物をフッ化
水素酸が溶解するものと考えられる。従って、Al等の
ようにフッ化水素酸と反応する金属であっても、上記の
ごとく適正な組成を選ぶことによりハロオキソ酸イオン
による酸化が優先して起こり、金属とフッ化水素酸との
直接反応による気体の発生も抑えられるため、安定した
エッチングが可能となる。
【0020】また、上記の組成のエッチング液は、半導
体、金属及び金属化合物との反応において、発熱、気体
の発生がないことから、半導体及び金属等の微細パター
ンを形成することが可能となる。また、レジストがエッ
チング液に対して極めて安定であるため、レジストの密
着性の低下・剥離等によるサイドエッチが抑制され微細
パターンが可能となる。さらに、エッチング液は化学的
に安定であるため、他のエッチング液に比べて長期間安
定したエッチングができるとともにコスト的にも有利で
ある。
【0021】従って、金属層、金属化合物層、半導体層
を多層に積層した構造のものに対しても、同じエッチン
グ液を用いて安定した微細パターンを形成することが可
能となる。即ち、金属層及び半導体層は、2層以上の多
層構造であっても良い。
【0022】エッチング液において、フッ化水素酸濃度
が0.33mol/lを越えると、金属とフッ化水素酸
との直接反応によるエッチングのばらつきを生じやすく
なる。このばらつきは、下地層の半導体層にまで影響
し、デバイス特性に悪影響を及ぼすことから、フッ化水
素酸濃度は0.33mol/l以下にするのが好まし
い。また、アモルファス薄膜トランジスタのように、i
型Si層上に形成された数10nm程度のオーミックコ
ンタクト層及び数100nm程度の金属層をエッチング
する場合には、フッ化水素酸濃度が0.33mol/l
を越える濃度では、厚さに対してエッチング速度が大き
くなりすぎるため、安定して終点を得ることができ難く
なるからである。
【0023】フッ化水素酸濃度のより好ましい濃度は、
オキソ酸イオン濃度により変化するものの、0.2mo
l/l以下が好ましく、この範囲でフッ化水素酸と金属
との直接反応による気泡の発生は一層抑えられより均一
なエッチングが可能となる。一方、0.05mol/l
よりも低濃度では、半導体層及び導電層のエッチング速
度が著しく低下するため実用上好ましくない。また、ハ
ロオキソ酸イオンの濃度は、0.01mol/l以上が
必要であり,0.02mol/l以上が好ましく0.0
4mol/l以上がより好ましい。0.01mol/l
より低濃度になると、理由は不明であるが、半導体層に
おいてエッチング部の周辺部が極端にエッチングされて
しまうという異常エッチが発生し易くなるためである。
また、ハロオキソ酸イオンが低濃度の領域では、前述し
たようにAl等の金属ではハロオキソ酸イオンによる酸
化と酸化物のフッ化水素酸による溶解という反応に対
し、Alとフッ化水素酸の直接反応が起こる割合が増加
するため、より均一なエッチングを行うためには、ハロ
オキソ酸イオンを0.02mol/l以上とするのが好
ましく、0.04mol/l以上がより好ましい。
【0024】なお、ハロオキソ酸イオンが高濃度になる
と、エッチング速度が低下したり、またエッチング反応
によりI2等のハロゲンが析出するため、ハロオキソイ
オン濃度の上限は、デバイスの設計(半導体層、導電体
層の膜厚等)により、またはハロゲンの析出を抑制する
有機溶剤の濃度との兼ね合いで適宜決定される。
【0025】本発明のハロオキソ酸イオンは、ハロオキ
ソ酸またはハロオキソ酸塩を水に溶解して得られる。ハ
ロオキソ酸またはハロオキソ酸塩化合物の具体例として
は、例えば臭素酸(HBrO3)、臭素酸カリウム(K
BrO3)、臭素酸ナトリウム(NaBrO3)、臭素酸
アンモニウム(NH4BrO3)、臭素酸カルシウム(C
a(BrO32)、臭素酸マグネシウム(Mg(BrO
32)、臭素酸アルミニウム(Al(BrO33)、過
臭素酸(HBrO4)、過臭素酸リチウム(LiBr
4)、過臭素酸カリウム(KBrO4)、ヨウ素酸(H
IO3)、ヨウ素酸カリウム(KIO3)、ヨウ素酸ナト
リウム(NaIO3)、ヨウ素酸アンモニウム(NH4
3)、ヨウ素酸カルシウム(Ca(IO32)、ヨウ
素酸マグネシウム(Mg(IO32)、ヨウ素酸アルミ
ニウム(Al(IO33)、過ヨウ素酸(HIO4)、
過ヨウ素酸リチウム(LiIO4)、過ヨウ素酸カリウ
ム(KIO4)等が挙げられる。中でもヨウ素酸(HI
3)、ヨウ素酸カリウム(KIO3)、臭素酸カリウム
(KBrO3)は試薬も取扱いやすく好適である。特
に、ヨウ素酸(HIO3)は、半導体材料の汚染源とな
る可能性のある金属元素を含まないため、代表的な電子
装置である半導体装置のエッチング液として最適であ
る。
【0026】また、本発明のエッチング液には、アルコ
ール、カルボン酸等の水溶性有機溶剤が好適に添加され
る。アルコールの具体例としては、メタノール、エタノ
ール、イソプロピルアルコール、プロパノール、ブタノ
ール、エチレングリコール、プロパンジオール、ブタン
ジオール、グリセリン等が挙げられ、また有機酸として
は酢酸、プロピオン酸等が挙げられる。有機溶剤を添加
することにより、発生するヨウ素等のハロゲンを溶解
し、エッチングをより均一且つ安定して行うことがで
き、また、基板内でのエッチング量分布を抑えることが
できる。本発明においては、特に酢酸またはエタノール
が好ましい。但し、濃度が70容量%を越えると、レジ
ストが有機溶剤に侵食されるため、70容量%以下とす
るのが好ましい。
【0027】本発明のエッチング液においては、上記組
成(フッ化水素酸0.05〜0.2mol/l、ハロオ
キソ酸イオン0.01mol/l以上)の範囲外であっ
ても、水溶性有機溶剤を添加することにより、ハロゲン
析出による析出部のエッチング不良が防止され、エッチ
ングの均一性は向上する。
【0028】水溶性有機溶剤としては、メタノール、エ
タノール、イソプロピルアルコール、プロパノール、ブ
タノール、エチレングリコール、プロパンジオール、ブ
タンジオール、グリセリン等のアルコール、及び酢酸、
プロピオン酸等のカルボン酸が好適に用いられる。これ
らの有機溶剤の内、特に酢酸、エタノールが好ましい。
【0029】本発明に好適に適用できる導電体として
は、例えばAl,Mo,Ni,Ta,Pt,Ti,P
d,W,CoまたはCr等の金属、もしくはこれらの合
金、またはこれら金属と半導体との金属化合物(シリサ
イド等)が挙げられる。さらには、これら金属もしくは
合金もしくは金属化合物を2層以上の多層構造としたも
のに適用される。
【0030】また、本発明の半導体としては、Si,G
e,GaAs,GaSb,InAs,InSb等があげ
られ、その形態も非晶質、多結晶、単結晶のいずれでも
適用可能である。
【0031】なお、本発明の電子素子において、導電体
層の開口部がオーミックコンタクト層の開口部の幅以上
の幅を有するとは、導電体層の層厚方向に変化する開口
幅の最小値が、同じく層厚方向に変化するオーミックコ
ンタクト層の開口幅の最大値以上であることを意味す
る。
【0032】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をより詳細に説
明するが、本発明がこれら実施例に限定されることはな
い。
【0033】(実施例1)本発明の電子素子の製造方法
を用いて、図1に示す手順に従い、100×100個の
TFTアレイを作製した。
【0034】まず、100×100mmのガラス基板
(コーニング7059)100を精密洗浄した後、Cr
膜をスパッタにより100nm形成し、エッチング液
(硝酸第2セリウムアンモニウム:71%HNO3:H2
O=500g:1900cc:1870cc)を用いて
パターニングして、ゲート電極(電極幅7μm)101
及びゲート配線(配線幅5μm)102を形成した(図
1(a))。
【0035】次に、プラズマCVD法により、SiNx
103,i型a−Si104,n+型a−Si105を
それぞれ300nm,100nm,20nm堆積した
(図1(b))。それぞれの成膜条件を表1に示す。
【0036】
【表1】 続いて、エッチング液(HF:0.54mol/l、H
IO3:0.04mol/l)を用いて、n+型a−Si
層及びi型a−Si層をTFT素子毎に分離した(図1
(c))。
【0037】ゲート配線のコンタクトホールを形成した
後、Al(1%Si含有)106を250nm、スパッ
タにより形成した(図1(d))。
【0038】次に、ソース・ドレイン電極及び配線並び
にチャネル部(チャネル長4μm、チャネル幅6μm)
107を形成するため、HF0.1mol/lとHIO
30.04mol/lを含むエッチング液(25℃)に
3分間浸漬して、Al,n+型a−Siを連続してエッ
チングした(図1(e))。
【0039】このエッチング後のチャネル部を拡大した
断面SEM像を図2に模式的に示す。図2に示すよう
に、Al層とn+a−Si層間に隙間は観られず、滑ら
かな開口部が形成されていることが分かる。
【0040】最後に、プラズマCVD法により、パッシ
ベーション用のSiNxを400nm堆積し、ゲート配
線、ソース・ドレイン配線上の窓開けを行って、薄膜ト
ランジスタの作製を完了した。
【0041】作製した104個のTFTについて、キャ
リア移動度、閾値、ON電流、OFF電流を測定し、そ
のバラツキを評価した。さらに、信頼性試験を行い、試
験後の特性を比較した。結果を表2に示す。なお、信頼
性試験では、TFT基板を温度85℃、相対湿度85%
の環境試験器の中に設置して、1000時間放置した。
【0042】(比較例1)比較のため、Al及びn+
a−Siのエッチング工程において、以下のエッチング
液を用いて個別にエッチングした以外は、実施例1と同
様にして薄膜トランジスタを作製した。なお、チャネル
部は、図6(a)に示したように、Al層とn+型a−
Si層間に隙間が観測された。
【0043】 Al; 85%リン酸:71%硝酸:氷酢酸:水 =16:1:2:1(40℃) n+型a−Si; 49%フッ酸:71%硝酸:氷酢酸 =1:60:120(15.2℃) 以上の試料について、実施例1と同様な評価を行った結
果を表2に示す。
【0044】
【表2】 表2が示すように、本実施例のTFTは、移動度並びに
TFT特性が高く、且つバラツキが小さく、従来の方法
に比べ、高特性の素子が安定して得られた。また、過酷
な環境下でも特性は殆ど劣化せず、極めて信頼性の高い
素子であることが分かった。
【0045】(実施例2)本発明の電子素子の製造方法
を用いて、720x480画素を有する液晶ディスプレ
イ駆動用の薄膜トランジスタ基板を図3に示すようにし
て作製した。
【0046】まず、100×100mmのガラス基板
(コーニング7059)300を精密洗浄した後、透明
電極(ITO)301のパターンを形成した。続いて、
実施例1と同様にして、ゲート電極(電極幅7μm)3
01及びゲート配線302を形成した(図3(a))。
【0047】次に、プラズマCVD法により、表1に示
す条件でSiNx303,i型a−Si304,n+型a
−Si305をそれぞれ300nm,100nm,20
nm堆積した(図3(b))。
【0048】続いて、エッチング液(HF:0.54m
ol/l、HIO3:0.04mol/l)を用いて、
+型a−Si層及びi型a−Si層を画素毎に分離し
た(図3(c))。
【0049】画素電極、ゲート配線のコンタクトホール
を形成した後、W309及びAl306をそれぞれ50
nm,250nm、スパッタにより形成した(図3
(d))。
【0050】次に、ソース・ドレイン電極及び配線並び
にチャネル部(チャネル長4μm、チャネル幅6μm)
を形成するため、HF0.1mol/lとHIO30.
04mol/lを含むエッチング液に7分間浸漬して、
Al,W,n+型a−Siを連続してエッチングした
(図3(e))。n+型a−Siエッチング後のチャネ
ル部を拡大した断面SEM像を模式的に図4に示す。
【0051】従来例では、図6(b)に示すように、W
層が突き出た形状となり導電体層とn+型a−Si層間
に隙間が形成されたのに対し、本実施例では滑らかに変
化する開口が得られた。
【0052】最後に、プラズマCVD法により、パッシ
ベーション用のSiNxを400nm堆積し、ゲート配
線、ソース・ドレイン配線上の窓開けを行って、薄膜ト
ランジスタ基板の作製を完了した。
【0053】実施例2の薄膜トランジスタについて、実
施例1と同様な評価を行ったところ、実施例1と同様
に、高い特性がバラツキなく得られた。また、信頼性も
実施例1と同様優れたものであった。
【0054】さらに、別に作製したTFT基板を用い
て、液晶ディスプレイを組立て、ビデオ信号を入力し
て、映像の評価を行ったところ、コントラストの優れた
映像が安定して映し出された。
【0055】(実施例3)本実施例では、図7及び8に
示すTFT基板を作製した。
【0056】本実施例では、プロセス中に発生する静電
気等により、トランジスタが破壊するのを防止するため
に、図11に示すようにソース端子719とゲート端子
718を電気的に接続したガードリング728を設けて
いる。なお、このガードリングは最終工程で除去する。
【0057】まず、TFT基板の構造を説明する。
【0058】図7は、本実施例のTFT基板の一部を示
す概略図であり、(a)は平面図、(b)、(c)及び
(d)はそれぞれ図7(a)のA−A線、B−B線、及
びC−C線による断面図である。
【0059】TFTは逆スタガ構造であり、ガラス基板
(コーニング社製7059)711上に幅10μm、膜
厚100nmのCrゲート電極712とゲート電極71
2に走査信号を供給するためのCrゲート配線721と
が形成されており、このゲート電極712およびゲート
配線721上には膜厚200nmの窒化珪素薄膜からな
るゲート絶縁膜713が形成されており、ゲート絶縁膜
713上に膜厚50nmのi型a−Siからなる半導体
能動膜714、さらに膜厚100nm、幅10μmのA
lソース電極716およびドレイン電極717が形成さ
れている。半導体能動膜714と、ソース電極716お
よびドレイン電極717との膜間には、膜厚が20nm
でリンが添加されたn+型a−Siオーミックコンタク
ト層715が形成されている。
【0060】このようなTFTが、図8に示したように
基板の上に100μmのピッチで縦横に多数形成されて
いる。このTFT701が形成された基板711の周縁
部には、外付けの映像回路から映像信号をソース配線7
22を介してソース電極716に供給するためのソース
端子719、および外付け走査回路からの走査信号をゲ
ート配線721を介してゲート電極712に供給するた
めめゲート端子718が形成されている。ソース端子7
19には、ソース電極716およびソース配線722と
同じ導電体であるAlを用いた。またゲート端子718
は、ゲート配線721上のゲート絶縁膜713に形成し
たコンタクトホール723を介して、ゲート絶縁膜71
3上側にソース配線722と同じ導電体であるAlで形
成されている。
【0061】これらのTFT701、ゲート配線72
1、ソース配線722、ソース端子719及びゲート端
子718の上には厚さ300nmの窒化珪素薄膜からな
る保護膜727が形成されているが、ソース端子719
およびゲート端子718表面は、映像回路および走査回
路と電気的に接続できるように一部露出されている。こ
こでソース端子およびゲート端子718を構成する導電
体の幅であるSlおよびGlは、共に50μmであり、
ソース端子およびゲート端子718上の保護膜727が
除去されている有効接続幅(S0およびG0)はともに
42μmである。つまり加工精度は4μmである。
【0062】次に本実施例のTFT基板の製造方法を説
明する。
【0063】まず、透明導電膜より成る画素電極720
が形成されているガラス基板711表面に厚さ100n
mのCr薄膜をスパッタ法により形成した。この表面に
レジスト形成、マスク露光、現像、エッチングおよびレ
ジスト剥離処理を施し、所望の形状のゲート電極712
およびゲート配線721を形成した。この様子を図9に
示した。図9(a)は概略平面図、図9(b)は図9
(a)のA−A断面図である。
【0064】次に、このゲート電極712およびゲート
配線721が形成された基板711の表面に、プラズマ
CVD法を用いて、膜厚200nmのSiNx薄膜より
成るゲート絶縁膜713、膜厚50nmのi型a−Si
714、および膜厚が20nmでリンが添加されたn+
型a−Siオーミックコンタクト層715を形成した。
【0065】この半導体能動膜714とオーミックコン
タクト層715とにフォトリソ工程を施すことにより、
所定の形状の半導体アイランドを形成した。また画素電
極720上とゲート配線721上のゲート絶縁膜713
にはコンタクトホール723を形成した。この様子を図
10に示した。図10(a)は概略平面図、図10
(b)は図10(a)のA−A断面図である。
【0066】続いて、オーミックコンタクト層715を
含む基板711上に膜厚が100nmのAl薄膜を1%
Si含有Alターゲットを用いてスパッタ法により形成
した。このAl薄膜の表面に、レジスト膜724を形成
し所定のマスクを用いて露光、現像し、実施例1と同様
にして、Al、オーミックコンタクト層のエッチングを
行った。図11に示すようにソース電極716、ソース
配線722、ソース端子719、ドレイン電極717お
よびソース端子719とゲート端子718とを電気的に
接続するガードリング728、さらにはゲート端子71
8、並びにチャネル726を形成した。この際、コンタ
クトホール723下のゲート配線721が完全にAl配
線により被われるように、導電体を加工してゲート端子
718を形成した。図11(a)はこの概略平面図、図
11(b)は図11(a)のA−A断面図である。
【0067】本実施例では、図11に示したように、オ
ーミックコンタクト層715は直上のソース電極716
からソース配線722、ソース端子、ガードリング72
8、ゲート端子718、ゲート配線721およびゲート
電極712と電気的に連結しているが、ゲート端子71
8、ゲート配線721およびゲート電極712の表面は
絶縁体であるゲート絶縁膜713またはソース配線72
2を構成する導電体で全て被われており、さらにこのソ
ース配線722、ソース端子、ガードリング728を構
成する導電体は絶縁体であるレジスト膜724により全
て被われている。即ち、オーミックコンタクト層715
と電気的に連結している導電性の部材は全て、絶縁体で
被われている。従って、オーミックコンタクト層715
に電解質であるエッチング液を作用させる際に、オーミ
ックコンタクト層715が他の導電体と電池を形成する
ことが無くなり、オーミックコンタクト層715が電池
効果により異常にサイドエッチングされることが無い。
このように、オーミックコンタクト層のエッチングの
際、オーミックコンタクト層と電気的に連結している層
を絶縁物で覆うことにより、電池効果によるサイドエッ
チングも防止することが可能となる。
【0068】次いで窒化珪素薄膜より成る保護膜727
を成膜し、この表面にレジスト膜形成、マスク露光、現
像、エッチングおよびレジスト剥離処理を施し、ソース
端子およびゲート端子718を露出した。ここでゲート
端子718はゲート絶縁膜713の上方に形成されてい
るため、ソース端子と同様に保護膜727を除去するだ
けで形成できる。さらにゲート配線721とソース配線
722とを接続しているガードリング728を除去して
図7に示すTFT基板を形成した。
【0069】このようにTFTが、基板711の上に1
00μmのピッチで縦横に多数形成されており、基板7
11の周縁部には、外付けの映像回路から映像信号をソ
ース配線722を介してソース電極716に供給するた
めのソース端子、および外付け走査回路からの走査信号
をゲート配線721を介してゲート電極712に供給す
るためのゲート端子718が形成されているTFT基板
が形成される。
【0070】
【発明の効果】本発明により、特性が高く且つバラツキ
が小さい、さらには高い信頼性を有する電子素子を提供
することが可能となる。本発明は、特に、高速動作が要
求されるTFT等の素子を多数有し、その特性の均一性
が要求される電子素子に好適に適用される。
【0071】また、本発明の電子素子の製造方法によ
り、従来に比べて製造プロセスが簡略化し、歩留まりが
高いため、種々の電子素子の製造コストを低減すること
が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1のTFT基板の作製工程を示す模式図
である。
【図2】チャネル部のSEM像を模式的に示した図であ
る。
【図3】実施例2の液晶ディスプレイ用TFT基板の作
製工程を示す模式図である。
【図4】チャネル部のSEM像を模式的に示した断面図
である。
【図5】従来のTFTを示す模式的断面図である。
【図6】従来のTFTのチャネル部のSEMを模式的に
示した図である。
【図7】実施例3のTFT基板の一部を拡大して示した
模式図である。
【図8】実施例3のTFT基板を示す概念図である。
【図9】実施例3のTFT基板を作製工程を示す模式図
である。
【図10】実施例3のTFT基板を作製工程を示す模式
図である。
【図11】実施例3のTFT基板を作製工程を示す模式
図である。
【符号の説明】
100、300、500 ガラス基板、 101、301、501 ゲート電極、 102、302、502 ゲート配線、 103、303、503 SiNx、 104、304、504 i型a−Si、 105、305、505 n+型a−Si、 106、306、506 Al、 107、307、507 チャネル部、 308 ITO、 309 W、 310 コンタクトホール、 601、602 隙間、 701 TFT、 711 ガラス基板、 712 ゲート電極、 713 ゲート絶縁膜、 714 i型a−Siからなる半導体能動膜、 716 ソース電極、 717 ドレイン電極、 718 ゲート端子、 719 ソース端子、 721 ゲート配線、 722 ソース配線、 715 n+型a−Siオーミックコンタクト層、 720 画素電極、 723 コンタクトホール、 724 レジスト膜、 726 チャネル、 727 保護膜、 728 ガードリング。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 宮澤 聡 東京都大田区雪谷大塚町1番7号アルプ ス電気株式会社内 (72)発明者 笠間 泰彦 東京都大田区雪谷大塚町1番7号アルプ ス電気株式会社内 (72)発明者 大見 忠弘 宮城県仙台市青葉区米ケ袋2の1の17の 301 (72)発明者 前野 又五郎 大阪府堺市海山町7丁227番地橋本化成 株式会社内 (72)発明者 菊山 裕久 大阪府堺市海山町7丁227番地橋本化成 株式会社内 (72)発明者 高野 順 大阪府堺市海山町7丁227番地橋本化成 株式会社内 (72)発明者 宮下 雅之 大阪府堺市海山町7丁227番地橋本化成 株式会社内 (72)発明者 薮根 辰弘 大阪府堺市海山町7丁227番地橋本化成 株式会社内 (56)参考文献 特開 平1−245226(JP,A)

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 半導体層、オーミックコンタクト層及び
    導電体層からなる多層膜を順に積層し、前記導電体層及
    び前記オーミックコンタクト層の一部を同一のエッチン
    グ液により連続除去して開口部を形成し、その後該開口
    部を含む所定の領域にパッシベーション膜を形成する電
    子素子の製造方法であって、前記エッチング液として、
    前記導電体層のエッチング速度が前記オーミックコンタ
    クト層のエッチング速度以上となるエッチング液を用い
    ることを特徴とする電子素子の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記半導体層は、アモルファスシリコン
    であることを特徴とする請求項1に記載の電子素子の製
    造方法。
  3. 【請求項3】 前記開口部は、逆スタガー型薄膜トラン
    ジスタのチャネル部であることを特徴とする請求項1ま
    たは2に記載の電子素子の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記エッチング液は、溶液中に、フッ化
    水素酸及び一般式(XOnp-(但し、Xはハロゲン元
    素、nは3、4または6、pは1、2また は3)で示
    されるハロオキソ酸イオンをそれぞれ0.05〜0.3
    3mol/l及び0.01mol/l以上、含むことを
    特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子素
    子の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記ハロオキソ酸イオンは、ヨウ素酸イ
    オン(IO3 1-)であることを特徴とする請求項4に記
    載の電子素子の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記エッチング液は水溶性有機溶剤を含
    むことを特徴とする請求項4または5に記載の電子素子
    の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記水溶性有機溶剤は酢酸またはエタノ
    ールであり、その濃度は70容量%以下であることを特
    徴とする請求項6に記載の電子素子の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記オーミックコンタクト層は、半導体
    層に不純物が添加されたものであることを特徴とする請
    求項1〜7のいずれか1項に記載の電子素子の製造方
    法。
  9. 【請求項9】 前記不純物は、リンまたはホウ素である
    ことを特徴とする請求項8に記載の電子素子の製造方
    法。
  10. 【請求項10】 前記導電体層は、Al,Mo,Ni,
    Ta,Pt,Ti,Pd,W,CoもしくはCrの金属
    または該金属の合金もしくは金属化合物からなることを
    特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の電子素
    子の製造方法。
  11. 【請求項11】 前記導電体層は、前記金属及び/また
    は前記合金及び/または前記金属化合物からなる2層以
    上の多層構造であることを特徴とする請求項10に記載
    の電子素子の製造方法。
  12. 【請求項12】 請求項1〜11のいずれか1項に記載
    の電子素子の製造方法により製造されたことを特徴とす
    る電子素子。
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