JP2723170B2 - 超塑性窒化ケイ素焼結体 - Google Patents
超塑性窒化ケイ素焼結体Info
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- C04B—LIME, MAGNESIA; SLAG; CEMENTS; COMPOSITIONS THEREOF, e.g. MORTARS, CONCRETE OR LIKE BUILDING MATERIALS; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES; TREATMENT OF NATURAL STONE
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- C04B35/515—Shaped ceramic products characterised by their composition; Ceramics compositions; Processing powders of inorganic compounds preparatory to the manufacturing of ceramic products based on non-oxide ceramics
- C04B35/58—Shaped ceramic products characterised by their composition; Ceramics compositions; Processing powders of inorganic compounds preparatory to the manufacturing of ceramic products based on non-oxide ceramics based on borides, nitrides, i.e. nitrides, oxynitrides, carbonitrides or oxycarbonitrides or silicides
- C04B35/584—Shaped ceramic products characterised by their composition; Ceramics compositions; Processing powders of inorganic compounds preparatory to the manufacturing of ceramic products based on non-oxide ceramics based on borides, nitrides, i.e. nitrides, oxynitrides, carbonitrides or oxycarbonitrides or silicides based on silicon nitride
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、超塑性窒化ケイ素焼
結体に関するものである。さらに詳しくは、この発明
は、半導体製造機械、化学プラント、非鉄金属製造機
械、溶接ロボット等の分野において利用されるセラミッ
ク製機械部品を、塑性加工によって製造することを可能
とする、超塑性を有する窒化ケイ素焼結体に関するもの
である。
結体に関するものである。さらに詳しくは、この発明
は、半導体製造機械、化学プラント、非鉄金属製造機
械、溶接ロボット等の分野において利用されるセラミッ
ク製機械部品を、塑性加工によって製造することを可能
とする、超塑性を有する窒化ケイ素焼結体に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術およびその課題】セラミックスは、低温お
よび高温の両方において高強度、高硬度等の優れた特性
を有するものとして知られている一方で、このようなセ
ラミックスを機械等の部品として製造する場合には、加
工が困難であるという問題が伴う。大部分の金属材料は
切削が容易であり、最終的には研削も行うことができ
る。このため、金属材料の場合には、加工コストは余り
高くはならない。これに対し、セラミックスは、切削が
不可能であり、研削および研磨にはダイヤモンドを必要
とし、その消耗も激しいために、加工コストが部品の価
格の半分以上にもなる場合がある。
よび高温の両方において高強度、高硬度等の優れた特性
を有するものとして知られている一方で、このようなセ
ラミックスを機械等の部品として製造する場合には、加
工が困難であるという問題が伴う。大部分の金属材料は
切削が容易であり、最終的には研削も行うことができ
る。このため、金属材料の場合には、加工コストは余り
高くはならない。これに対し、セラミックスは、切削が
不可能であり、研削および研磨にはダイヤモンドを必要
とし、その消耗も激しいために、加工コストが部品の価
格の半分以上にもなる場合がある。
【0003】このようなセラミックスの加工コストを下
げるためには、製造時にできるだけ部品の形状および寸
法に近づけることが望ましく、ニア・ネットシエイプ成
形が提案されてもいる。しかしながら、機械部品に利用
可能な高強度部品を焼結によって製造しようとすると、
15−20%の収縮が起こるため、焼結によって精密部
品を製造するのは極めて困難である。
げるためには、製造時にできるだけ部品の形状および寸
法に近づけることが望ましく、ニア・ネットシエイプ成
形が提案されてもいる。しかしながら、機械部品に利用
可能な高強度部品を焼結によって製造しようとすると、
15−20%の収縮が起こるため、焼結によって精密部
品を製造するのは極めて困難である。
【0004】そこで、超塑性を利用し、後加工によって
部品を製造する研究が現在盛んに行われている。これ
は、超微細な粒子からなる焼結体であれば、外部応力下
で容易に変形するという現象を利用するものであり、こ
れまでに、アルミナ、ムライト、ジルコニアのような酸
化物セラミックスについては実用に近いレベルの材料が
開発されている。
部品を製造する研究が現在盛んに行われている。これ
は、超微細な粒子からなる焼結体であれば、外部応力下
で容易に変形するという現象を利用するものであり、こ
れまでに、アルミナ、ムライト、ジルコニアのような酸
化物セラミックスについては実用に近いレベルの材料が
開発されている。
【0005】一方、高温で使用される機械部品として数
多くの分野に実用化が望まれている窒化ケイ素について
は、超塑性を有する焼結体を実現することはできないの
が実情であった。たとえば、炭化ケイ素微粉末を分散さ
せて窒化ケイ素の粒成長を抑制し、微細粒子からなる焼
結体が提案されているが(特願平1−335063
号)、この焼結体の場合には、1650℃においても2
00−500kg/cm2 の応力下で歪速度は高々10
-5/secのオーダーでしかなく、これでは変形速度が
小さ過ぎ、加工に長時間かかるため実用的ではない。ま
た、十分な加工を行うためにはより高温とする必要があ
り、しかもこの高温加工により表面が熱分解するという
問題もある。
多くの分野に実用化が望まれている窒化ケイ素について
は、超塑性を有する焼結体を実現することはできないの
が実情であった。たとえば、炭化ケイ素微粉末を分散さ
せて窒化ケイ素の粒成長を抑制し、微細粒子からなる焼
結体が提案されているが(特願平1−335063
号)、この焼結体の場合には、1650℃においても2
00−500kg/cm2 の応力下で歪速度は高々10
-5/secのオーダーでしかなく、これでは変形速度が
小さ過ぎ、加工に長時間かかるため実用的ではない。ま
た、十分な加工を行うためにはより高温とする必要があ
り、しかもこの高温加工により表面が熱分解するという
問題もある。
【0006】一方、窒化ケイ素の固溶体であるα−サイ
アロンおよびβ−サイアロン粒子の2相からなる複合サ
イアロンが、J.Am.Ceram.Soc.75巻、
1073ページ(1992)に報告されてもいる。これ
らのα−サイアロンおよびβ−サイアロンは、α型およ
びβ型窒化ケイ素に異なる金属が固溶安定化したもので
あり、α粉末を原料とし、粒成長を抑えるためできるだ
け低温で焼結させている。これら2相からなる複合サイ
アロンは、1550℃,600kg/cm2 の圧縮応力
下で、歪速度が7×10-4/sec程度を示す。
アロンおよびβ−サイアロン粒子の2相からなる複合サ
イアロンが、J.Am.Ceram.Soc.75巻、
1073ページ(1992)に報告されてもいる。これ
らのα−サイアロンおよびβ−サイアロンは、α型およ
びβ型窒化ケイ素に異なる金属が固溶安定化したもので
あり、α粉末を原料とし、粒成長を抑えるためできるだ
け低温で焼結させている。これら2相からなる複合サイ
アロンは、1550℃,600kg/cm2 の圧縮応力
下で、歪速度が7×10-4/sec程度を示す。
【0007】しかしながら、この複合サイアロンの場合
には、上記した窒化ケイ素焼結体にも共通する問題とし
て、異種粒子間の界面が多数存在すること、そして焼結
途中の組織であることの2つの理由により加工硬化を起
こす。加工硬化とは、変形中に粒子が成長し、変形速度
を一定に保つには加える応力を高くする必要があるとい
う現象を意味する。このような加工硬化が発生するが故
に、複合サイアロンの場合にも加工が途中で止まった
り、粒界が壊れて材料が破断してしまうという問題が避
けられなかった。
には、上記した窒化ケイ素焼結体にも共通する問題とし
て、異種粒子間の界面が多数存在すること、そして焼結
途中の組織であることの2つの理由により加工硬化を起
こす。加工硬化とは、変形中に粒子が成長し、変形速度
を一定に保つには加える応力を高くする必要があるとい
う現象を意味する。このような加工硬化が発生するが故
に、複合サイアロンの場合にも加工が途中で止まった
り、粒界が壊れて材料が破断してしまうという問題が避
けられなかった。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記のように、従来の窒
化ケイ素系焼結体については、塑性加工に要する温度が
高すぎたり、加工硬化のため、超塑性を利用した加工は
実質的に不可能であった。このような状況において、こ
の発明の発明者等は、現状を打開するべく鋭意検討した
結果、窒化ケイ素系焼結体に関し、超塑性が十分に発現
されないのは、従来の焼結体が焼結の途中にあり、その
ため、組織が不均一となり、その後の加工工程で粒成長
を起こすことが原因であることを解明した。
化ケイ素系焼結体については、塑性加工に要する温度が
高すぎたり、加工硬化のため、超塑性を利用した加工は
実質的に不可能であった。このような状況において、こ
の発明の発明者等は、現状を打開するべく鋭意検討した
結果、窒化ケイ素系焼結体に関し、超塑性が十分に発現
されないのは、従来の焼結体が焼結の途中にあり、その
ため、組織が不均一となり、その後の加工工程で粒成長
を起こすことが原因であることを解明した。
【0009】また、従来の窒化ケイ素系焼結体は、粒成
長を抑制する目的で、固相を2相以上で構成している
が、その粒界特性が不均一のために、加工中で粒界が分
離し、材料が破断するということも見出した。すなわ
ち、従来市販されている高純度で微細な窒化ケイ素粉末
は、低温安定のα型を主成分とするものであり、このた
めに、これまでに検討されてきた窒化ケイ素系焼結体の
原料はα型粉末であった。このα型粉末は、液相焼結中
にβ型に相転移し、この過程で粒成長するものの、相転
移は狭い温度範囲で短時間に進行するため、粒径は均一
とはならない。また、焼結をその途中で止めるために、
α型が一部残留する場合もあった。これらが加工硬化の
最も重大な原因となっているのである。
長を抑制する目的で、固相を2相以上で構成している
が、その粒界特性が不均一のために、加工中で粒界が分
離し、材料が破断するということも見出した。すなわ
ち、従来市販されている高純度で微細な窒化ケイ素粉末
は、低温安定のα型を主成分とするものであり、このた
めに、これまでに検討されてきた窒化ケイ素系焼結体の
原料はα型粉末であった。このα型粉末は、液相焼結中
にβ型に相転移し、この過程で粒成長するものの、相転
移は狭い温度範囲で短時間に進行するため、粒径は均一
とはならない。また、焼結をその途中で止めるために、
α型が一部残留する場合もあった。これらが加工硬化の
最も重大な原因となっているのである。
【0010】さらに、低温安定型のα型を主成分とする
粉末を原料として使用すると、少量の異常成長した粒子
が避けられないため、上記したような2相以上からなる
焼結体が開発されたが、この場合には焼結性が低下する
ため、少し高温で焼結する必要があり、その結果、平均
粒径が増大し、超塑性加工の温度および応力の低下が困
難ともなるのであった。
粉末を原料として使用すると、少量の異常成長した粒子
が避けられないため、上記したような2相以上からなる
焼結体が開発されたが、この場合には焼結性が低下する
ため、少し高温で焼結する必要があり、その結果、平均
粒径が増大し、超塑性加工の温度および応力の低下が困
難ともなるのであった。
【0011】従って、超塑性加工を可能とするには、窒
化ケイ素焼結体は、細かく、しかも均一な組織とする必
要がある。焼結体中の窒化ケイ素粒子のほとんどはβ型
であるため、その平均粒径が微細で、しかも粒径分布が
狭く、組織が均一であれば、粒成長の駆動力は小さくな
る。つまり、そのような焼結体に高温で圧縮または引っ
張り応力を加えて超塑性加工しても、粒成長はほとんど
起こらず、加工硬化の程度を小さくすることができる。
この発明は、以上の知見に基づいて完成されたものであ
る。
化ケイ素焼結体は、細かく、しかも均一な組織とする必
要がある。焼結体中の窒化ケイ素粒子のほとんどはβ型
であるため、その平均粒径が微細で、しかも粒径分布が
狭く、組織が均一であれば、粒成長の駆動力は小さくな
る。つまり、そのような焼結体に高温で圧縮または引っ
張り応力を加えて超塑性加工しても、粒成長はほとんど
起こらず、加工硬化の程度を小さくすることができる。
この発明は、以上の知見に基づいて完成されたものであ
る。
【0012】すなわち、この発明は、窒化ケイ素の焼結
体であって、相対密度が98%以上であり、窒化ケイ素
粒子の平均粒径が0.3ミクロン以下であり、平均粒径
が±0.2ミクロン以下の範囲内の粒子の量が85体積
%以上の量を占め、かつ粒径0.5ミクロンを超える粒
子の量が3体積%以下であり、粒界相の量が2体積%以
上20%以下で、全窒化ケイ素粒子の内、アスベスト比
が3未満である粒子数が90%以上を占め、かつβ粒子
が90体積%以上である30〜2000kg/cm2の
圧縮または引っ張り応力を1350〜1650度の温度
範囲内で作用させた際、10−4/sec以上10−1
/sec以下の歪速度で変形する超塑性を有しているこ
とを特徴とする超塑性窒化ケイ素焼結体をその要旨とす
るものである。
体であって、相対密度が98%以上であり、窒化ケイ素
粒子の平均粒径が0.3ミクロン以下であり、平均粒径
が±0.2ミクロン以下の範囲内の粒子の量が85体積
%以上の量を占め、かつ粒径0.5ミクロンを超える粒
子の量が3体積%以下であり、粒界相の量が2体積%以
上20%以下で、全窒化ケイ素粒子の内、アスベスト比
が3未満である粒子数が90%以上を占め、かつβ粒子
が90体積%以上である30〜2000kg/cm2の
圧縮または引っ張り応力を1350〜1650度の温度
範囲内で作用させた際、10−4/sec以上10−1
/sec以下の歪速度で変形する超塑性を有しているこ
とを特徴とする超塑性窒化ケイ素焼結体をその要旨とす
るものである。
【0013】加える応力の範囲は、加工温度と変形速度
(歪速度)とによって決まり、高温および低変形速度の
場合には応力は小さくてすむ。一方、低温および高変形
速度の場合には大きな応力が必要となるが、上記の30
−2000kg/cm2 の範囲内にあれば通常の加工装
置を用いて加工することができ、この発明の超塑性窒化
ケイ素焼結体は実用的であるといえる。良好な加工性と
いう観点からは、圧縮または引っ張り応力は100〜1
000kg/cm2 の範囲内が好ましい。
(歪速度)とによって決まり、高温および低変形速度の
場合には応力は小さくてすむ。一方、低温および高変形
速度の場合には大きな応力が必要となるが、上記の30
−2000kg/cm2 の範囲内にあれば通常の加工装
置を用いて加工することができ、この発明の超塑性窒化
ケイ素焼結体は実用的であるといえる。良好な加工性と
いう観点からは、圧縮または引っ張り応力は100〜1
000kg/cm2 の範囲内が好ましい。
【0014】加工温度の上限は、材料の熱安定性によっ
て決まり、この発明の超塑性窒化ケイ素焼結体の場合、
1650℃を超えると熱分解が発生してその表面が割れ
るため好ましくない。また、加工温度の下限について
は、塑性変形という粒界ガラス相を会して粒子が滑る現
象から考えれば、1350℃より低い温度では超塑性変
形は実現されない。
て決まり、この発明の超塑性窒化ケイ素焼結体の場合、
1650℃を超えると熱分解が発生してその表面が割れ
るため好ましくない。また、加工温度の下限について
は、塑性変形という粒界ガラス相を会して粒子が滑る現
象から考えれば、1350℃より低い温度では超塑性変
形は実現されない。
【0015】変形速度(歪速度)の下限は、超塑性が加
工に適する限界であり、10-4/secより遅いと加工
時間が長くなり、実用的でなくなる。一方、上限の10
-1/secを超えると変形が速くなり過ぎ、精密な加工
を行いにくくなり、これと同時に加工温度をその上限の
1650℃よりもはるかに高温とする必要があるため、
熱的安定性に欠けるものとなってしまう。また、加工温
度を1650℃とした場合には、応力が上記範囲を超
え、加工コストが高いものとなってしまう。
工に適する限界であり、10-4/secより遅いと加工
時間が長くなり、実用的でなくなる。一方、上限の10
-1/secを超えると変形が速くなり過ぎ、精密な加工
を行いにくくなり、これと同時に加工温度をその上限の
1650℃よりもはるかに高温とする必要があるため、
熱的安定性に欠けるものとなってしまう。また、加工温
度を1650℃とした場合には、応力が上記範囲を超
え、加工コストが高いものとなってしまう。
【0016】この発明は、より詳細には、上記の超塑性
を実現するために、相対密度が98%以上であり、窒化
ケイ素粒子の平均粒径が0.3ミクロン以下で、平均粒
径±0.2ミクロンの範囲内の粒子の量が85体積%以
上を占め、かつ粒径0.5ミクロンを超える粒子の量が
3体積%以下であり、粒界相の量が2体積%以上20体
積%以下である窒化ケイ素焼結体を提供するものでもあ
る。
を実現するために、相対密度が98%以上であり、窒化
ケイ素粒子の平均粒径が0.3ミクロン以下で、平均粒
径±0.2ミクロンの範囲内の粒子の量が85体積%以
上を占め、かつ粒径0.5ミクロンを超える粒子の量が
3体積%以下であり、粒界相の量が2体積%以上20体
積%以下である窒化ケイ素焼結体を提供するものでもあ
る。
【0017】この発明の超塑性窒化ケイ素焼結体におい
ては、相対密度が98%以上であり、窒化ケイ素粒子の
平均粒径が0.3ミクロン以下で、平均粒径±0.2ミ
クロンの範囲内の粒子の量が85体積%以上を占め、か
つ粒径0.5ミクロンを超える粒子の量が3体積%以下
とする。この範囲内にあれば、粒子は細かく、均一な組
織を有する焼結体となる。また、焼結温度より高温に加
熱したり、クリープのような高温で応力を受ける条件下
でもほとんど粒成長することはない。上記範囲外では、
粒成長の駆動力が大きくなり、焼結体中に一部の粒子が
異常成長し、均一組織は得られなくなる。
ては、相対密度が98%以上であり、窒化ケイ素粒子の
平均粒径が0.3ミクロン以下で、平均粒径±0.2ミ
クロンの範囲内の粒子の量が85体積%以上を占め、か
つ粒径0.5ミクロンを超える粒子の量が3体積%以下
とする。この範囲内にあれば、粒子は細かく、均一な組
織を有する焼結体となる。また、焼結温度より高温に加
熱したり、クリープのような高温で応力を受ける条件下
でもほとんど粒成長することはない。上記範囲外では、
粒成長の駆動力が大きくなり、焼結体中に一部の粒子が
異常成長し、均一組織は得られなくなる。
【0018】粒径の測定は、たとえば焼結体を切断し、
研磨した後に、CF4 ガスを用いてプラズマ・エッチン
グして観察することにより行うことができる。この処理
によって窒化ケイ素粒子が薄く除去され、粒界の酸化物
ガラス相が残留することとなる。これを走査型電子顕微
鏡(SEM)で観察すると、粒子と粒界とのコントラス
トが明瞭となり、粒子の形状を観察することができる。
この後に、SEM写真から500個以上の粒子を画像解
析で統計的に処理する。この画像解析ではその切断面の
2次元的な情報を解析する。
研磨した後に、CF4 ガスを用いてプラズマ・エッチン
グして観察することにより行うことができる。この処理
によって窒化ケイ素粒子が薄く除去され、粒界の酸化物
ガラス相が残留することとなる。これを走査型電子顕微
鏡(SEM)で観察すると、粒子と粒界とのコントラス
トが明瞭となり、粒子の形状を観察することができる。
この後に、SEM写真から500個以上の粒子を画像解
析で統計的に処理する。この画像解析ではその切断面の
2次元的な情報を解析する。
【0019】そして、各粒子毎にその直径、長さおよび
面積を測定する。粒径は、研磨面の粒子の最も短い直径
と一致し、平均粒径(D50)は、測定した多数の実測値
の個数平均で求める。一定の粒度範囲に属する粒子の全
体に占める量的割合、すなわち体積%は、測定した粒径
と累積面積との関係から算出することができる。なぜな
らば、研磨面における表面積の比率は、焼結体内の体積
の比率と一致するからである。こうして、D50±0.2
ミクロンの範囲内の粒子量(体積%)および粒径0.5
ミクロン以上の粒子量(体積%)を算出することができ
る。
面積を測定する。粒径は、研磨面の粒子の最も短い直径
と一致し、平均粒径(D50)は、測定した多数の実測値
の個数平均で求める。一定の粒度範囲に属する粒子の全
体に占める量的割合、すなわち体積%は、測定した粒径
と累積面積との関係から算出することができる。なぜな
らば、研磨面における表面積の比率は、焼結体内の体積
の比率と一致するからである。こうして、D50±0.2
ミクロンの範囲内の粒子量(体積%)および粒径0.5
ミクロン以上の粒子量(体積%)を算出することができ
る。
【0020】なお、粒子は3次元的に無秩序に配向して
いるので、研磨面で観察される長さは、実際の値より一
般的に小さくなる傾向があり、研磨面と平行に配向する
粒子のみ真の値と一致する。そこで、この発明の超塑性
窒化ケイ素焼結体の場合には、粒子毎に(長さ/直径)
を測定し、粒子の形状因子とすることができる。上記し
たように、この(長さ/直径)の値は、真の粒子形状と
は異なるが、均一で球状に近い粒子からなる組織では真
の値との差は小さくなる。(長さ/直径)をここで粒子
のアスペクト比と定義し、このアスペクト比を所定のも
のとすることで、より微細でしかも均一な組織を定める
ことができる。
いるので、研磨面で観察される長さは、実際の値より一
般的に小さくなる傾向があり、研磨面と平行に配向する
粒子のみ真の値と一致する。そこで、この発明の超塑性
窒化ケイ素焼結体の場合には、粒子毎に(長さ/直径)
を測定し、粒子の形状因子とすることができる。上記し
たように、この(長さ/直径)の値は、真の粒子形状と
は異なるが、均一で球状に近い粒子からなる組織では真
の値との差は小さくなる。(長さ/直径)をここで粒子
のアスペクト比と定義し、このアスペクト比を所定のも
のとすることで、より微細でしかも均一な組織を定める
ことができる。
【0021】この発明の超塑性窒化ケイ素焼結体におい
ては、アスペクト比が3未満である粒子数が全粒子の9
0%以上であることがより好ましい。アスペクト比が3
以上の粒子は、異方性が大きく、しかも粒成長の駆動力
も大きいため、核の作用を果たす可能性が高くなる。そ
して、β粒子が全窒化ケイ素粒子の90体積%以上であ
れば、組織をより均一に保つことができる。
ては、アスペクト比が3未満である粒子数が全粒子の9
0%以上であることがより好ましい。アスペクト比が3
以上の粒子は、異方性が大きく、しかも粒成長の駆動力
も大きいため、核の作用を果たす可能性が高くなる。そ
して、β粒子が全窒化ケイ素粒子の90体積%以上であ
れば、組織をより均一に保つことができる。
【0022】またこの発明の超塑性窒化ケイ素焼結体で
は、粒界相の量を2体積%以上20体積%以下とする。
この粒界相は、窒化ケイ素焼結体作製に当たって使用す
る焼結助剤およびSiO2 、Si3 N4 等の不可避成分
が含まれる酸化物リッチの相である。焼結助剤は、多か
れ少なかれ焼結後に粒界に残留する。このような粒界相
が2体積%より少ないと、相対密度98%以上の高密度
焼結体の製造が困難となる上に、塑性変形しにくくな
る。一方、20体積%を超えると、焼結体の機械的特性
が低下する。望ましくは、4−10体積%の範囲とする
ことができる。
は、粒界相の量を2体積%以上20体積%以下とする。
この粒界相は、窒化ケイ素焼結体作製に当たって使用す
る焼結助剤およびSiO2 、Si3 N4 等の不可避成分
が含まれる酸化物リッチの相である。焼結助剤は、多か
れ少なかれ焼結後に粒界に残留する。このような粒界相
が2体積%より少ないと、相対密度98%以上の高密度
焼結体の製造が困難となる上に、塑性変形しにくくな
る。一方、20体積%を超えると、焼結体の機械的特性
が低下する。望ましくは、4−10体積%の範囲とする
ことができる。
【0023】焼結助剤としては、窒化ケイ素やその表面
酸化相であるシリカ(SiO2 )と反応して液相生成す
る液相生成助剤と、その液相が生成する温度を低下させ
る融点低下助剤とに分けられ、この発明の超塑性窒化ケ
イ素焼結体にはこれらの両方を使用することができる。
液相生成成分については、Al2 O3 、MgO、Sc2
O3 、および、イットリウムおよびランタニド金属の酸
化物からなる群から選択される1種以上の組成物を例示
することができる。また、融点低下成分としては、Ca
O、SrO、MgO、BaOおよびAl2 O3 からなる
群から選択される1種以上の組成物を例示することがで
きる。焼結体の作製に当たっては、これらの成分の少な
くとも1種以上を窒化ケイ素とともに混合して使用する
ことができる。なお、上記の液相生成成分および融点低
下成分に同じものが含まれるのは、共存する酸化物によ
りその作用が異なるためである。
酸化相であるシリカ(SiO2 )と反応して液相生成す
る液相生成助剤と、その液相が生成する温度を低下させ
る融点低下助剤とに分けられ、この発明の超塑性窒化ケ
イ素焼結体にはこれらの両方を使用することができる。
液相生成成分については、Al2 O3 、MgO、Sc2
O3 、および、イットリウムおよびランタニド金属の酸
化物からなる群から選択される1種以上の組成物を例示
することができる。また、融点低下成分としては、Ca
O、SrO、MgO、BaOおよびAl2 O3 からなる
群から選択される1種以上の組成物を例示することがで
きる。焼結体の作製に当たっては、これらの成分の少な
くとも1種以上を窒化ケイ素とともに混合して使用する
ことができる。なお、上記の液相生成成分および融点低
下成分に同じものが含まれるのは、共存する酸化物によ
りその作用が異なるためである。
【0024】以上の相対密度、平均粒径および量的割合
を満たす場合に、窒化ケイ素焼結体は、30−2000
kg/cm2 の圧縮または引っ張り応力を1350−1
650℃の温度範囲で作用させた際に、10-4/sec
以上10-1/sec以下の歪速度で変形する超塑性を示
す。さらにこの発明の超塑性窒化ケイ素焼結体には、上
記範囲内において、平均粒径が窒化ケイ素と同等かそれ
より小さい0.3ミクロン以下の微細な炭化ケイ素粉末
が1−10重量%の少量含有しても、焼結性や超塑性に
大きな障害とはならない。その量が10重量%を超える
と焼結を阻害し、塑性変形の速度も低下する。1重量%
以下であると特性に対する影響はなくなるが、共存して
いるかどうか決定することが困難となる。
を満たす場合に、窒化ケイ素焼結体は、30−2000
kg/cm2 の圧縮または引っ張り応力を1350−1
650℃の温度範囲で作用させた際に、10-4/sec
以上10-1/sec以下の歪速度で変形する超塑性を示
す。さらにこの発明の超塑性窒化ケイ素焼結体には、上
記範囲内において、平均粒径が窒化ケイ素と同等かそれ
より小さい0.3ミクロン以下の微細な炭化ケイ素粉末
が1−10重量%の少量含有しても、焼結性や超塑性に
大きな障害とはならない。その量が10重量%を超える
と焼結を阻害し、塑性変形の速度も低下する。1重量%
以下であると特性に対する影響はなくなるが、共存して
いるかどうか決定することが困難となる。
【0025】この発明の超塑性窒化ケイ素焼結体を製造
する場合には、平均粒径が0.05ミクロン以上0.4
0ミクロン以下で、かつ比表面積が15m2 /g以上6
0m2 /g以下のβ型を主成分とする粉末に、上記した
ような焼結助剤を加え、窒素雰囲気で1400−175
0℃に加熱し、焼結する。これによって、相対密度98
%以上の焼結体が得られる。
する場合には、平均粒径が0.05ミクロン以上0.4
0ミクロン以下で、かつ比表面積が15m2 /g以上6
0m2 /g以下のβ型を主成分とする粉末に、上記した
ような焼結助剤を加え、窒素雰囲気で1400−175
0℃に加熱し、焼結する。これによって、相対密度98
%以上の焼結体が得られる。
【0026】平均粒径が0.05ミクロンより小さい
か、または比表面積が60m2 /gを超えると、成形体
の密度が低くなり、焼結中に粒成長が起こり、均一な組
織が得られない。また、平均粒径が0.40ミクロンよ
り大きいか、または比表面積が15m2 /gより小さく
なると、粒成長の核となる大きな粒子が残留することと
なる。望ましくは、平均粒径は、0.15ミクロン以上
0.30ミクロン以下の範囲内であり、かつ比表面積が
20m2 /g以上35m2 /g以下の範囲内である。な
お、平均粒径とは、累積体積が50%である粒子径を意
味するものであり、粒度分布計によって粒径と累積体積
(%)との関係が測定される。
か、または比表面積が60m2 /gを超えると、成形体
の密度が低くなり、焼結中に粒成長が起こり、均一な組
織が得られない。また、平均粒径が0.40ミクロンよ
り大きいか、または比表面積が15m2 /gより小さく
なると、粒成長の核となる大きな粒子が残留することと
なる。望ましくは、平均粒径は、0.15ミクロン以上
0.30ミクロン以下の範囲内であり、かつ比表面積が
20m2 /g以上35m2 /g以下の範囲内である。な
お、平均粒径とは、累積体積が50%である粒子径を意
味するものであり、粒度分布計によって粒径と累積体積
(%)との関係が測定される。
【0027】焼結温度は、上記したように、1400℃
以上1750℃以下の範囲とすることができる。粒成長
を抑制するためには、高密度化が達成されれば可能な限
り低温で焼結するのが好ましい。望ましくは1450℃
以上1650℃以下の範囲内とすることができる。ま
た、この低温での焼結を可能とするためにも上記した焼
結助剤の添加は好ましいものとなる。焼結助剤の添加に
より低温でも液相が生成し、粒界相の融点を低下させる
ことができる。粒界相が低融点である焼結体は、超塑性
変形により有効となる。
以上1750℃以下の範囲とすることができる。粒成長
を抑制するためには、高密度化が達成されれば可能な限
り低温で焼結するのが好ましい。望ましくは1450℃
以上1650℃以下の範囲内とすることができる。ま
た、この低温での焼結を可能とするためにも上記した焼
結助剤の添加は好ましいものとなる。焼結助剤の添加に
より低温でも液相が生成し、粒界相の融点を低下させる
ことができる。粒界相が低融点である焼結体は、超塑性
変形により有効となる。
【0028】さらに、温度とともに圧力を加えると、焼
結が促進され、低温で高密度化させることができる。こ
のため、この発明の超塑性窒化ケイ素焼結体の製造に際
しては、ホットプレス(HP)法や熱間静水圧焼結(H
IP)法などを採用することができる。なお、焼結時間
が短ければ、粒成長はさほど顕著ではないので、165
0℃を超える温度では短時間で焼結させることも可能で
ある。
結が促進され、低温で高密度化させることができる。こ
のため、この発明の超塑性窒化ケイ素焼結体の製造に際
しては、ホットプレス(HP)法や熱間静水圧焼結(H
IP)法などを採用することができる。なお、焼結時間
が短ければ、粒成長はさほど顕著ではないので、165
0℃を超える温度では短時間で焼結させることも可能で
ある。
【0029】このようにして製造した窒化ケイ素焼結体
は、細かく均一な粒子からなり、粒成長の駆動力の小さ
い組織を持ち、容易に超塑性変形する。
は、細かく均一な粒子からなり、粒成長の駆動力の小さ
い組織を持ち、容易に超塑性変形する。
【0030】
【実施例】以下、実施例を示し、この発明の超塑性窒化
ケイ素焼結体についてさらに具体的に説明する。実施例1−3 焼結用原料として市販されている高β率の窒化ケイ素粉
末(電気化学工業社製SN−P21FC)に対し、スラ
リー濃度が10重量%となるように濃度0.3重量%の
ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液を添加し、窒化ケイ
素製のボールミルにて3時間湿式分散および粉砕を行っ
た。次いで、このスラリーを遠心力1400Gの条件で
5分間遠心分離し、窒化ケイ素微粉末を含む上澄みとし
てのスラリーを分離した。このスラリーを洗浄および乾
燥し、原料粉末とした。粉末X線回析で決定したβ率は
95%であった。レーザー散乱法で測定した粉末の平均
粒径は0.28ミクロンであった。窒素吸着法で測定し
た比表面積は22.6m2/gであった。
ケイ素焼結体についてさらに具体的に説明する。実施例1−3 焼結用原料として市販されている高β率の窒化ケイ素粉
末(電気化学工業社製SN−P21FC)に対し、スラ
リー濃度が10重量%となるように濃度0.3重量%の
ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液を添加し、窒化ケイ
素製のボールミルにて3時間湿式分散および粉砕を行っ
た。次いで、このスラリーを遠心力1400Gの条件で
5分間遠心分離し、窒化ケイ素微粉末を含む上澄みとし
てのスラリーを分離した。このスラリーを洗浄および乾
燥し、原料粉末とした。粉末X線回析で決定したβ率は
95%であった。レーザー散乱法で測定した粉末の平均
粒径は0.28ミクロンであった。窒素吸着法で測定し
た比表面積は22.6m2/gであった。
【0031】上記の窒化ケイ素粉末93重量%に、Mg
O(特級試薬)3重量%、Al2 O3 (純度99.99
%)2重量%およびCaCO3 (特級試薬)3.6重量
%を添加し、ヘキサン中で3時間湿式混合し、乾燥させ
た後に粉砕した。ここでCaCO3 を添加したのは、こ
の後の焼結過程において高温によりCaCO3 は熱分解
し、CaOとなり、液相の融点を下げるのに効果的な成
分となるからである。
O(特級試薬)3重量%、Al2 O3 (純度99.99
%)2重量%およびCaCO3 (特級試薬)3.6重量
%を添加し、ヘキサン中で3時間湿式混合し、乾燥させ
た後に粉砕した。ここでCaCO3 を添加したのは、こ
の後の焼結過程において高温によりCaCO3 は熱分解
し、CaOとなり、液相の融点を下げるのに効果的な成
分となるからである。
【0032】次いで、この粉末約2.5gを10mmφ
のカーボンダイスに充填し、窒素雰囲気中においてプレ
ス圧200kg/cm2 でホットプレス焼結を行った。
焼結は、1650℃まで30℃/minで昇温し、保持
せずにそのまま電源を絶って冷却した。得られた焼結体
について、アルキメデス法による焼結体密度の測定を行
ったところ、相対密度は98.7%であった。また、粉
末X線回析により、焼結体中の窒化ケイ素はすべてβ型
であることが確認された。
のカーボンダイスに充填し、窒素雰囲気中においてプレ
ス圧200kg/cm2 でホットプレス焼結を行った。
焼結は、1650℃まで30℃/minで昇温し、保持
せずにそのまま電源を絶って冷却した。得られた焼結体
について、アルキメデス法による焼結体密度の測定を行
ったところ、相対密度は98.7%であった。また、粉
末X線回析により、焼結体中の窒化ケイ素はすべてβ型
であることが確認された。
【0033】さらに、得られた焼結体を切断し、鏡面研
磨を行い、研磨面をプラズマエッチングして走査型電子
顕微鏡(SEM)により焼結体組織の観察を行った。ま
た、画像解析装置(ニレコ社製ルーゼックスIII )によ
って粒子の評価を行った。500個以上の粒子につい
て、粒子の直径、粒子長さおよび面積を測定し、粒子毎
にアスペクト(長さ/直径)比を算出した。平均粒径、
平均粒径±0.2ミクロンの範囲内の粒子の量的割合
(体積%)および粒径が0.5ミクロン以上である粒子
の量的割合(体積%)は、それぞれ0.12ミクロン、
93.5%、0%であった。各粒子のアスペクト比を集
計し、その比が3以上である粒子数は0.5%であっ
た。微細で、しかも均一な組織と判断される。
磨を行い、研磨面をプラズマエッチングして走査型電子
顕微鏡(SEM)により焼結体組織の観察を行った。ま
た、画像解析装置(ニレコ社製ルーゼックスIII )によ
って粒子の評価を行った。500個以上の粒子につい
て、粒子の直径、粒子長さおよび面積を測定し、粒子毎
にアスペクト(長さ/直径)比を算出した。平均粒径、
平均粒径±0.2ミクロンの範囲内の粒子の量的割合
(体積%)および粒径が0.5ミクロン以上である粒子
の量的割合(体積%)は、それぞれ0.12ミクロン、
93.5%、0%であった。各粒子のアスペクト比を集
計し、その比が3以上である粒子数は0.5%であっ
た。微細で、しかも均一な組織と判断される。
【0034】得られた直径10mm、長さ10mmの焼
結体を、表1に示した条件で圧縮応力を加え、歪(変
形)速度を測定した。表1に示した通りに、容易に超塑
性変形し、この焼結体が塑性加工可能であることが確認
された。変形後、密度や組織に変化はなく、機械的性質
に劣化はなかった。
結体を、表1に示した条件で圧縮応力を加え、歪(変
形)速度を測定した。表1に示した通りに、容易に超塑
性変形し、この焼結体が塑性加工可能であることが確認
された。変形後、密度や組織に変化はなく、機械的性質
に劣化はなかった。
【0035】
【表1】 実施例4−6 実施例1−3に示した手順で粉砕および分級して作製し
たβ型窒化ケイ素微粉末に、表2に示した焼結助剤を加
え、これを実施例1−3と同様の手順で混合および乾燥
を行い、窒素雰囲気中においてプレス圧200kg/c
m2 でホットプレス焼結を行った。この焼結では、表2
に示した温度まで30℃/minで昇温し、保持せずに
そのまま電源を絶って冷却した。焼結体の相対密度はす
べて99%以上であり、完全にβ化していた。また、
0.5ミクロンを超える粒子は、すべての実施例におい
て3体積%以下であった。
たβ型窒化ケイ素微粉末に、表2に示した焼結助剤を加
え、これを実施例1−3と同様の手順で混合および乾燥
を行い、窒素雰囲気中においてプレス圧200kg/c
m2 でホットプレス焼結を行った。この焼結では、表2
に示した温度まで30℃/minで昇温し、保持せずに
そのまま電源を絶って冷却した。焼結体の相対密度はす
べて99%以上であり、完全にβ化していた。また、
0.5ミクロンを超える粒子は、すべての実施例におい
て3体積%以下であった。
【0036】実施例4および6では圧縮応力で、実施例
5では引っ張り応力で歪(変形)速度を測定した。その
結果、表2に示した通り、歪(変形)速度が大きく、超
塑性を示すことが確認された。
5では引っ張り応力で歪(変形)速度を測定した。その
結果、表2に示した通り、歪(変形)速度が大きく、超
塑性を示すことが確認された。
【0037】
【表2】 実施例7 実施例1−3で作製した窒化ケイ素微粉末と焼結助剤と
の混合物に、窒化ケイ素の5重量%に相当する炭化ケイ
素粉末を混合した。この炭化ケイ素粉末には、住友セメ
ント社製の高純度なβ型超微粉(T−1)を用いた。平
均粒子径は0.03ミクロン、比表面積は48m2 /g
であった。その混合粉末を実施例1−3と同様の条件下
でホットプレス焼結して、相対密度98.2%の焼結体
が得られた。この焼結体の平均粒径は0.09ミクロン
で、平均粒径±0.2ミクロンの粒子は99.9体積%
であった。この焼結体に1550℃で500kg/cm
2の圧縮応力を加え、歪(変形)速度を測定したとこ
ろ、8×10-4/secの歪速度を示した。超塑性加工
が可能であることが確認された。
の混合物に、窒化ケイ素の5重量%に相当する炭化ケイ
素粉末を混合した。この炭化ケイ素粉末には、住友セメ
ント社製の高純度なβ型超微粉(T−1)を用いた。平
均粒子径は0.03ミクロン、比表面積は48m2 /g
であった。その混合粉末を実施例1−3と同様の条件下
でホットプレス焼結して、相対密度98.2%の焼結体
が得られた。この焼結体の平均粒径は0.09ミクロン
で、平均粒径±0.2ミクロンの粒子は99.9体積%
であった。この焼結体に1550℃で500kg/cm
2の圧縮応力を加え、歪(変形)速度を測定したとこ
ろ、8×10-4/secの歪速度を示した。超塑性加工
が可能であることが確認された。
【0038】比較例1 市販の焼結用高α率窒化ケイ素粉末(宇部興産製、SN
−E10)に、実施例4で用いたのと同じ焼結助剤を混
合し、実施例1と同様にして焼結体を作製した。焼結温
度は1750℃とし、保持時間は1時間とした。焼結体
は、完全にβ化しており、相対密度は99.5%であっ
た。この焼結体の平均粒径は0.24ミクロンで、平均
粒径±0.2ミクロンの粒子は78.5体積%であっ
た。また、0.5ミクロンを超える粒子は7.2体積%
と不均一な組織であり、大きく成長した粒子が存在し
た。実施例1−7に示した焼結体に比べ、組織の均一さ
に欠けていた。
−E10)に、実施例4で用いたのと同じ焼結助剤を混
合し、実施例1と同様にして焼結体を作製した。焼結温
度は1750℃とし、保持時間は1時間とした。焼結体
は、完全にβ化しており、相対密度は99.5%であっ
た。この焼結体の平均粒径は0.24ミクロンで、平均
粒径±0.2ミクロンの粒子は78.5体積%であっ
た。また、0.5ミクロンを超える粒子は7.2体積%
と不均一な組織であり、大きく成長した粒子が存在し
た。実施例1−7に示した焼結体に比べ、組織の均一さ
に欠けていた。
【0039】この焼結体に1500℃で500kg/c
m2 の圧縮応力を加え、歪速度を測定したところ、1.
2×10-6/secと小さく、塑性加工は不適当であっ
た。
m2 の圧縮応力を加え、歪速度を測定したところ、1.
2×10-6/secと小さく、塑性加工は不適当であっ
た。
【0040】
【発明の効果】以上詳しく説明した通り、この発明によ
って、圧縮または引っ張り応力を加えると大きな変形を
起こし、超塑性加工が可能な窒化ケイ素焼結体が実現さ
れる。高温で使用される機械部品としての利用が可能と
なる。
って、圧縮または引っ張り応力を加えると大きな変形を
起こし、超塑性加工が可能な窒化ケイ素焼結体が実現さ
れる。高温で使用される機械部品としての利用が可能と
なる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−197003(JP,A) 特公 平3−5282(JP,B2) 特公 平5−68427(JP,B2) 米国特許4732719(US,A)
Claims (5)
- 【請求項1】 窒化ケイ素の焼結体であって、相対密度
が98%以上であり、窒化ケイ素粒子の平均粒径が0.
3ミクロン以下であり、平均粒径±0.2ミクロンの範
囲内の粒子の量が85体積%以上の量を占め、かつ粒径
0.5ミクロンを超える粒子の量が3体積%以下であ
り、粒界相の量が2体積%以上20%以下で、全窒化ケ
イ素粒子の内、アスベスト比が3未満である粒子数が9
0%以上を占め、かつβ粒子が90体積%以上であり、
30〜2000kg/cm2の圧縮または引っ張り応力
を1350〜1650度の温度範囲内で作用させた際、
10−4/sec以上10−1/sec以下の歪速度で
変形する超塑性を有していることを特徴とする超塑性窒
化ケイ素焼結体。 - 【請求項2】 粒界相が液相生成成分、融点低下成分お
よび不可避成分からなる請求項1記載の超塑性窒化ケイ
素焼結体。 - 【請求項3】 液相生成成分がAl2O3、MgO、S
c2O3、およびイットリウム、およびランタニド金属
酸化物からなる群から選択される1種以上の組成物であ
る請求項2記載の超塑性窒化ケイ素焼結体。 - 【請求項4】 融点低下成分が、CaO、SrO、Mg
O、BaOおよびAl2O3からなる群から選択された
一種以上の組成物である請求項2記載の超塑性窒化ケイ
素焼結体。 - 【請求項5】 不可避成分が、SiO2またはSi3N
4あるいはその両方である請求項2記載の超塑性窒化ケ
イ素焼結体。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6173189A JP2723170B2 (ja) | 1994-06-30 | 1994-06-30 | 超塑性窒化ケイ素焼結体 |
US08/699,690 US5672553A (en) | 1994-06-30 | 1996-08-15 | Superplastic silicon nitride sintered body |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6173189A JP2723170B2 (ja) | 1994-06-30 | 1994-06-30 | 超塑性窒化ケイ素焼結体 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0812443A JPH0812443A (ja) | 1996-01-16 |
JP2723170B2 true JP2723170B2 (ja) | 1998-03-09 |
Family
ID=15955751
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP6173189A Expired - Lifetime JP2723170B2 (ja) | 1994-06-30 | 1994-06-30 | 超塑性窒化ケイ素焼結体 |
Country Status (2)
Country | Link |
---|---|
US (1) | US5672553A (ja) |
JP (1) | JP2723170B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6143677A (en) * | 1997-09-03 | 2000-11-07 | Sumitomo Electric Industries, Ltd. | Silicon nitride sinter having high thermal conductivity and process for preparing the same |
JP3149827B2 (ja) * | 1997-09-09 | 2001-03-26 | 住友電気工業株式会社 | 窒化珪素系焼結体およびその製造方法 |
DE10165080B4 (de) * | 2000-09-20 | 2015-05-13 | Hitachi Metals, Ltd. | Siliciumnitrid-Pulver und -Sinterkörper sowie Verfahren zu deren Herstellung und Leiterplatte damit |
Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US4732719A (en) | 1986-01-03 | 1988-03-22 | Jupiter Technologies, Inc. | Superplastic forging nitride ceramics |
Family Cites Families (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH035282A (ja) * | 1989-05-30 | 1991-01-11 | Shikoku Seisakusho:Kk | 農用作業車における操縦装置 |
JP2972836B2 (ja) * | 1989-12-26 | 1999-11-08 | 工業技術院長 | 複合セラミックスの成形法 |
JP2730245B2 (ja) * | 1990-01-29 | 1998-03-25 | 日産自動車株式会社 | 炭化珪素・窒化珪素質複合焼結体の製造方法 |
US5204297A (en) * | 1991-05-22 | 1993-04-20 | Sumitomo Electric Industries, Ltd. | Silicon nitride sintered body and process for producing the same |
WO1993004012A1 (en) * | 1991-08-13 | 1993-03-04 | Sumitomo Electric Industries Ltd. | Composite silicon nitride sinter and production thereof |
JP2880336B2 (ja) * | 1991-09-10 | 1999-04-05 | 三菱農機株式会社 | コンバインの選別制御装置 |
ES2116395T3 (es) * | 1992-12-23 | 1998-07-16 | Hoechst Ag | Material ceramico de nitruro de silicio resistente a altas temperaturas y procedimiento para su fabricacion. |
-
1994
- 1994-06-30 JP JP6173189A patent/JP2723170B2/ja not_active Expired - Lifetime
-
1996
- 1996-08-15 US US08/699,690 patent/US5672553A/en not_active Expired - Lifetime
Patent Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US4732719A (en) | 1986-01-03 | 1988-03-22 | Jupiter Technologies, Inc. | Superplastic forging nitride ceramics |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
US5672553A (en) | 1997-09-30 |
JPH0812443A (ja) | 1996-01-16 |
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