JP2024529485A - イミダゾ[1,2-b]ピリダジニル化合物及びその使用 - Google Patents

イミダゾ[1,2-b]ピリダジニル化合物及びその使用 Download PDF

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エル メルセンヌ,ガエル
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スミトモ ファーマ オンコロジー, インコーポレイテッド
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Abstract

以下の構造式の化合物:TIFF2024529485000029.tif27160又はその薬学的に許容できる塩が本明細書に提供され、ここで、可変要素(例えば、R1、R2、n)の値は本明細書に記載される通りである。構造式Iの化合物及びその薬学的に許容できる塩、上記のもののいずれかの医薬組成物、並びに上記のもののいずれかの医薬組合せを使用して、例えば、癌、線維症又は炎症などの、本明細書に記載の疾患、障害又は病態を治療することができる。

Description

関連出願
本出願は、2021年7月30日に出願された米国仮特許出願第63/227,579号の利益を主張する。この出願の教示全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
XMLファイルへの資料の参照による組み込み
本出願は、米国特許商標庁特許電子出願システムによって提出された以下のXMLファイルフォーマットに含まれる配列表を参照により組み込む:ファイル名:58513014001_SequenceListing.xml、2022年7月28日に作成、サイズ4,000バイト。
モロニーマウス白血病ウイルス(PIM)キナーゼ(例えば、PIM1キナーゼ、PIM2キナーゼ、PIM3キナーゼ)のプロウイルス組み込み部位は、セリン/スレオニンキナーゼのファミリーである。PIM1キナーゼは、下流エフェクターとして多くのサイトカインシグナル伝達経路に関与していることが知られている。PIM1キナーゼは活性化されると、細胞周期の進行、アポトーシスの阻害、及びそれ自体を含む他のシグナル伝達経路の調節を引き起こす。PIM1キナーゼは、NFAT、p100、c-Myb及びPap-1などの特定の転写因子を活性化し、HP1などの他の転写因子を阻害することも知られている。PIM1キナーゼの正常な発現は、胎児肝臓、胸腺、脾臓及び骨髄などの造血起源の細胞、並びに前立腺及び口腔上皮細胞で見られる。
PIMキナーゼは免疫調節にも役割を果たす。例えば、PIM発現の増大は様々な炎症状態で観察されている。PIM2は、サイトカイン誘導性のT細胞の増殖及び生存にも関与している。ある刊行物(Jackson et al.,Cell Immunology,2012,272,200-213)では、マウス炎症性腸疾患モデルにおけるPIM1及びPIM3の二重阻害剤のインビボ有効性が実証された。したがって、PIMキナーゼは、様々な自己免疫疾患及び/又は炎症性疾患の魅力的な標的である。
多くのヒトの病理におけるPIMキナーゼの関与を考慮すると、1つ以上のPIMキナーゼの特異的且つ選択的な阻害剤が必要とされている。
Jackson et al.,Cell Immunology,2012,272,200-213
PIMキナーゼのレベルを減少させる化合物、その薬学的に許容できる塩、上記のもののいずれかの医薬組成物、及び上記のもののいずれかの薬学的組合せが本明細書に提供される。本明細書に記載される化合物は、例えば、それを必要とする対象に、治療上有効な量の化合物若しくはその薬学的に許容できる塩、又は化合物若しくはその薬学的に許容できる塩を含む医薬組成物若しくは組合せを投与することにより、治療の様々な方法に使用できる。
一態様は、構造式Iの化合物:
Figure 2024529485000002
又はその薬学的に許容できる塩であり、式中、可変要素(例えば、R、R、n)の値は本明細書に記載される通りである。
別の態様は、本開示の化合物(例えば、構造式I若しくはその下位式の化合物又は上記のものの薬学的に許容できる塩)及び1種以上の薬学的に許容できる担体を含む医薬組成物である。
さらに別の態様は、本開示の化合物(例えば、構造式I若しくはその下位式の化合物又は上記のものの薬学的に許容できる塩)及び1種以上の追加の治療剤を含む医薬組合せである。
別の態様は、細胞内のモロニーマウス白血病ウイルス(PIM)キナーゼのプロウイルス組み込み部位を阻害する方法であって、細胞を、本開示の化合物(例えば、構造式I若しくはその下位式の化合物又は上記のものの薬学的に許容できる塩)、例えば、治療上有効な量の本開示の化合物と接触させることを含む方法である。
別の態様は、対象におけるPIMキナーゼを阻害する方法であって、対象に、本開示の化合物(例えば、構造式I若しくはその下位式の化合物又は上記のものの薬学的に許容できる塩)を、対象におけるPIMキナーゼを阻害するのに有効な量、例えば、治療上有効な量で投与することを含む方法である。
別の態様は、それを必要とする対象におけるPIMキナーゼと関連する疾患、障害又は病態を治療する方法であって、対象に、本開示の化合物(例えば、構造式I若しくはその下位式の化合物又は上記のものの薬学的に許容できる塩)、例えば、治療上有効な量の本開示の化合物を投与することを含む方法である。
別の態様は、それを必要とする対象における線維性疾患、障害又は病態を治療する方法であって、対象に、本開示の化合物(例えば、構造式I若しくはその下位式の化合物又は上記のものの薬学的に許容できる塩)、例えば、治療上有効な量の本開示の化合物を投与することを含む方法であり、ここで、線維性疾患、障害又は病態は、線維性癌の非存在下で存在する。
別の態様は、それを必要とする対象における炎症を治療する方法であって、対象に、本開示の化合物(例えば、構造式I若しくはその下位式の化合物又は上記のものの薬学的に許容できる塩)、例えば、治療上有効な量の本開示の化合物を投与することを含む方法である。
別の態様は、それを必要とする対象における炎症性疾患、障害又は病態を治療する方法であって、対象に、本開示の化合物(例えば、構造式I若しくはその下位式の化合物又は上記のものの薬学的に許容できる塩)、例えば、治療上有効な量の本開示の化合物を投与することを含む方法である。
別の態様は、対象における本明細書に記載される障害、疾患、又は病態を治療することに使用するための本開示の化合物(例えば、構造式I若しくはその下位式の化合物又は上記のものの薬学的に許容できる塩)、又は本明細書に記載される組成物である。別の態様は、本明細書に記載される障害、疾患、又は病態を治療するための医薬品の製造のための、本開示の化合物(例えば、構造式I若しくはその下位式の化合物又は上記のものの薬学的に許容できる塩)の使用である。
特許又は出願ファイルは、カラーで仕上げられた少なくとも1つの図面を含む。カラー図面を有する本特許又は特許出願公報のコピーは、要求及び必要な料金の支払いにより当局により提供されるだろう。
上記のことは、例の実施形態の以下のより詳細な説明から明らかだろう。
In-Cell Westernブロットの代表的な画像である。上のパネルは800nmで検出された総S6タンパク質の発現を赤色で示し、中央のパネルは700nmで測定されたホスホS6(Ser235/236)の発現を緑色で示し、下のパネルは2つのシグナルのオーバーレイを示す。 In-Cell Western実験から抽出されたホスホS6(Ser235/236)と総S6の比率を示す。用量反応及びIC50は、GraphPad Prismを使用して計算された。化合物2及び化合物4については、n=3、それぞれ2回の技術的反復。 化合物2又は化合物4の存在下でのA549細胞におけるBad発現を示す。上のパネルは総Badを示し、中央のパネルは残基112のリン酸化Badを示し、下のパネルはリン酸化Bad(Ser112)と総Badの比率を示す。各タンパク質の発現はチューブリンに対して正規化された。用量反応及びIC50は、GraphPad Prismを使用して計算された。化合物2及び化合物4については、n=3、それぞれ2回の技術的反復。 A549細胞における化合物2又は化合物4の存在下でカスパーゼ3/7活性を定量化することによって測定されたアポトーシスを示す。用量反応及びEC50は、GraphPad Prismを使用して計算された。化合物2及び化合物4については、n=3、それぞれ2回の技術的反復。 96ウェルImageLockプレートにおける傷ついた細胞の創傷閉鎖の代表的な画像を示す。 IncuCyteソフトウェアによって定量的に計算された相対的創傷密度の時間経過及びパーセンテージを示す。 ブレオマイシン誘導性肺線維症モデルに使用されるプロトコルを示す。 ブレオマイシン誘導性肺線維症試験の21日目に残存する各マウスから採取した肺組織の一部から測定したヒドロキシプロリンの量(肺組織1ミリグラムあたりのヒドロキシプロリンのマイクログラム)を示す。データは平均±SEMであり、適用できる場合は一元配置分散分析検定によって分析される:*p<0.05、**p<0.01、***p<0.005。 ブレオマイシン及び化合物2又は化合物4をBIDで21日間投与した後に得られた、マウスからのマッソントリクローム並びにヘマトキシリン及びエオシンで染色された肺切片の代表的な画像を示す。各条件の5匹のマウスを検査した。 病的肺損傷のAshcroftスコアを示し、これは図9Aのマッソントリクローム並びにヘマトキシリン及びエオシン(H&E)染色によって示される。データは平均±SEMであり、適用できる場合は一元配置分散分析検定によって分析される:*p<0.05、**p<0.01、***p<0.005。 偽/ビヒクル(組換えマウス(rm-)IL-23なし)とrmIL-23で処置した他の群との間の耳の厚さの差異を示す。0日目(rmIL-23注射前)、3日目、及び4日目(最後の過形成誘導注射のおよそ24時間後)に、ノギスを使用して耳の厚さを測定した。 rmIL-23又はPBSのいずれかの毎日の注射4回、及び化合物2又は化合物4のBID投与後に得られた、マウスの耳の代表的なヘマトキシリン及びエオシン染色皮膚切片を示す。各条件の10匹のマウスを検査した。 免疫組織画像から測定された上皮厚さの定量化を示す。データは平均値±SEMであり、適用できる場合はT検定によって分析される:*p<0.05、**p<0.01、***p<0.005。 各耳試料で測定した、4日目、最後の過形成誘導注射からおよそ24時間後に安楽死させたマウスからの凍結耳組織におけるIL17Aサイトカイン濃度を示す。データは平均値±SEMであり、適用できる場合はT検定によって分析される:*p<0.05、**p<0.01、***p<0.005。 各耳試料で測定した、4日目、最後の過形成誘導注射からおよそ24時間後に安楽死させたマウスからの凍結耳組織におけるIL-22サイトカイン濃度を示す。データは平均値±SEMであり、適用できる場合はT検定によって分析される:*p<0.05、**p<0.01、***p<0.005。
例の実施形態の説明が続く。
化合物
第1の実施形態は、以下の構造式を有する化合物:
Figure 2024529485000003
又はその薬学的に許容できる塩(式中、
は、-H、-OH、(C~C)アルキル又は(C~C)ヒドロキシアルキルであり;
は、1つ以上のR20により任意選択で置換された(C~C)ヘテロアリールであり;
各R20は、独立に、-OH、ハロ、-CN、(C~C)アルキル、(C~C)ハロアルキル、(C)カルボシクリル、-NH、-N(H)S(O)(C~C)アルキル又は-N(CHであり;
nは、1又は2である)である。
第1の実施形態の第1の態様において、Rは、-OH又は(C~C)ヒドロキシアルキルである。残りの可変要素の値は第1の実施形態に記載された通りである。
第1の実施形態の第2の態様において、Rは、-OH又は-C(CHOHである。残りの可変要素の値は、第1の実施形態又はその第1の態様に記載された通りである。
第1の実施形態の第3の態様において、Rは、1つ以上のR20により任意選択で置換された(C)ヘテロアリールである。残りの可変要素の値は、第1の実施形態又はその第1若しくは第2の態様に記載された通りである。
第1の実施形態の第4の態様において、Rは、1つ以上のR20により任意選択で置換されたピラゾリル(及び、いくつかのさらなる態様において、1H-ピラゾール-3-イル)又はピロリル(及び、いくつかのさらなる態様において、1H-ピロール-3-イル)である。残りの可変要素の値は、第1の実施形態の第1から第3の態様に記載された通りである。
第1の実施形態の第5の態様において、Rは、1つ以上のR20により任意選択で置換された1H-ピラゾール-3-イル又は1H-ピロール-3-イルである。残りの可変要素の値は、第1の実施形態の第1から第4の態様に記載された通りである。
第1の実施形態の第6の態様において、各R20は、独立に、ハロ、-CN、(C~C)アルキル、(C~C)ハロアルキル又はシクロプロピルである。残りの可変要素の値は、第1の実施形態又はその第1から第5の態様に記載された通りである。
第1の実施形態の第7の態様において、各R20は、独立に、(C~C)アルキル又はシクロプロピルである。残りの可変要素の値は、第1の実施形態又はその第1から第6の態様に記載された通りである。
第1の実施形態の第8の態様において、各R20は、独立に、メチル、エチル又はシクロプロピルである。残りの可変要素の値は、第1の実施形態又はその第1から第7の態様に記載された通りである。
第1の実施形態の第9の態様において、nは1である。残りの可変要素の値は、第1の実施形態又はその第1から第8の態様に記載された通りである。
第1の実施形態の第10の態様において、nは2である。残りの可変要素の値は、第1の実施形態又はその第1から第9の態様に記載された通りである。
第1の実施形態の第11の態様において、Rは、1つのR20により置換されている。可変要素の値は、第1の実施形態又はその第1から第10の態様に記載された通りである。
第2の実施形態は、以下の構造式の化合物:
Figure 2024529485000004
又はその薬学的に許容できる塩(式中、
XはN又はC(H)であり;且つ
は、-H、-OH、ハロ、-CN、(C~C)アルキル、(C~C)ハロアルキル、(C)カルボシクリル、-NH、-N(H)S(O)CH又はN(CHである)である。
残りの可変要素(例えば、R、n)の値は、第1の実施形態又はそのいずれかの態様に記載された通りである。
第2の実施形態の第1の態様において、XはNである。残りの可変要素の値は、第1の実施形態若しくはそのいずれかの態様又は第2の実施形態に記載された通りである。
第2の実施形態の第2の態様において、XはC(H)である。残りの可変要素の値は、第1の実施形態若しくはそのいずれかの態様又は第2の実施形態に記載された通りである。
第2の実施形態の第3の態様において、Rは、-H、ハロ、-CN、(C~C)アルキル、(C~C)ハロアルキル又はシクロプロピルである。残りの可変要素の値は、第1の実施形態若しくはそのいずれかの態様又は第2の実施形態若しくはその第1若しくは第2の態様に記載された通りである。
第2の実施形態の第4の態様において、Rは、(C~C)アルキル又はシクロプロピルである。残りの可変要素の値は、第1の実施形態若しくはそのいずれかの態様又は第2の実施形態若しくはその第1から第3の態様に記載された通りである。
第2の実施形態の第5の態様において、Rは、メチル、エチル又はシクロプロピルである。残りの可変要素の値は、第1の実施形態若しくはそのいずれかの態様又は第2の実施形態若しくはその第1から第4の態様に記載された通りである。
構造式(I)及び(II)の化合物の代表例を表1に示す。
いくつかの実施形態において、化合物は:
Figure 2024529485000005
又はその薬学的に許容できる塩である。
いくつかの実施形態において、化合物は:
Figure 2024529485000006
又はその薬学的に許容できる塩である。
いくつかの実施形態において、化合物は:
Figure 2024529485000007
又はその薬学的に許容できる塩である。
いくつかの実施形態において、化合物は:
Figure 2024529485000008
又はその薬学的に許容できる塩である。
いくつかの実施形態において、化合物は:
Figure 2024529485000009
又はその薬学的に許容できる塩である。
いくつかの実施形態において、化合物は:
Figure 2024529485000010
又はその薬学的に許容できる塩である。
いくつかの実施形態において、化合物は:
Figure 2024529485000011
又はその薬学的に許容できる塩である。
定義
本明細書を解釈する目的で、以下の定義が当てはまり、適切な場合は常に、単数で使用される用語は複数も含む。本明細書に使用される用語は、文脈により別途明確に示されない限り、以下の意味を有する。
本明細書に記載される全方法は、本明細書に特記されない限り、又は文脈により明らかに矛盾しない限り、あらゆる好適な順序で実施できる。本明細書に提供されるありとあらゆる例又は例示的な言葉(例えば、「など」)の使用は、本開示をより明らかにすることが意図されるに過ぎず、別途特許請求された本開示の範囲に限定を課さない。
用語「1つの(a)」、「1つの(an)」、「前記(the)」、及び本開示の文脈で(特に請求項の文脈で)使用される類似の用語は、本明細書に特記されない限り、又は文脈により明らかに矛盾しない限り、単数と複数の両方を含むと解釈されるものとする。
本明細書で使用される通り、用語「ヘテロ原子」は、窒素(N)、酸素(O)又は硫黄(S)原子、特に、窒素又は酸素を指す。1つのヘテロ原子がSである場合、それは、任意選択で一又は二酸化されていてよい(すなわち-S(O)-又は-S(O))。特記されない限り、原子価が満たされていないあらゆるヘテロ原子は、原子価を満たすのに充分な水素原子を有すると見なされる。
本明細書で使用される通り、用語「アルキル」は、明示された数の炭素原子及び一般式C2n+1を有する分岐鎖又は直鎖の一価炭化水素ラジカルを指す。そのため、用語「(C~C)アルキル」は、nが、1、2、3、4、5又は6である一般式C2n+1の分岐鎖又は直鎖の一価炭化水素ラジカルを指す。アルキルの例としては、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、s-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、1-メチルブチル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、ネオペンチル、3,3-ジメチルプロピル、ヘキシル、2-メチルペンチルなどがあるが、これらに限定されない。
本明細書で使用される「ハロゲン」及び「ハロ」は、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素を指す。いくつかの実施形態において、ハロゲンは、フルオロ、クロロ又はブロモである。いくつかの実施形態において、ハロゲンは、フルオロ又はクロロである。いくつかの実施形態において、ハロゲンは、クロロ、ブロモ又はヨードである。いくつかの実施形態において、ハロゲンは、クロロ又はブロモである。
本明細書で使用される「ハロアルキル」は、アルキル及びハロゲンが本明細書に記載される通りである、1つ以上の水素原子が、それぞれ独立に、ハロゲンに置き換えられているアルキルラジカルを指す。「ハロアルキル」には、モノ-、ポリ-及びペルハロアルキル基がある。「(C~C)ハロアルキル」は、1つ以上の水素原子が、それぞれ独立に、ハロゲンに置き換えられた(C~C)アルキルを指す。ハロアルキルの例としては、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、トリクロロメチル、ペンタフルオロエチル、ペンタクロロエチル、2,2,2-トリフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピル、及びヘプタクロロプロピルがあるが、これらに限定されない。
本明細書で使用される「ヒドロキシアルキル」は、アルキル及びヒドロキシが本明細書に記載される通りである、1つ以上の(例えば、1つの)水素原子がヒドロキシに置き換えられているアルキルラジカルを指す。「ヒドロキシ(C~C)アルキル」を、1つ以上の水素原子がヒドロキシに置き換えられている(C~C)アルキルを指す。ヒドロキシアルキルの例としては、2-ヒドロキシエチル及び2-ヒドロキシプロピルがあるが、これに限定されない。
本明細書で使用される用語「カルボシクリル」は、明示された数の環炭素原子を有する、飽和又は不飽和の非芳香族、単環式又は多環式(例えば、二環式、三環式)炭化水素環系を指す。そのため、「(C~C)カルボシクリル」は、5~8つの環炭素を有するカルボシクリル環系を意味する。カルボシクリルは飽和(すなわちシクロアルキル)であり得る。或いは、カルボシクリルは不飽和であり得る(すなわち、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合又は三重結合におけるなど、少なくとも1つの不飽和度を含む)。カルボシクリル環系は、単環式環、縮合環、架橋環、及びスピロ環式環からなり得る。カルボシクリルの例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、ビシクロ[2.2.1]ヘプタニル、ビシクロ[2.2.2]オクタニル、及びノルボルニルがあるが、これらに限定されない。
本明細書で使用される用語「シクロアルキル」は、明示された数の炭素原子を有する、飽和の単環式又は多環式(例えば、二環式、三環式)、脂肪族、炭化水素環系を指す。そのため、「(C~C)シクロアルキル」は、5~8つの環炭素を有するシクロアルキル環系を意味する。シクロアルキルの例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ビシクロ[2.2.1]ヘプタニル、ビシクロ[2.2.2]オクタニル、及びノルボルニルがあるが、これらに限定されない。
本明細書で使用される用語「ヘテロアリール」は、明示された数の環原子を有し、環中の少なくとも1つの炭素原子がヘテロ原子に置き換えられた単環式又は多環式、芳香族、炭化水素環系を指す。そのため、「(C~C)ヘテロアリール」は、5又は6つの環原子を有するヘテロアリール環系を指す。典型的には、ヘテロアリールは、5~15、5~10、5~9、又は5~6つの環原子を有する。ヘテロアリール環系は、単環又は縮合環系からなり得る。典型的な単環式ヘテロアリールは、酸素、硫黄、及び窒素から独立に選択される1~3つ(例えば、1、2、又は3つ)のヘテロ原子を含む5~6員環であり、典型的な縮合ヘテロアリール環系は、酸素、硫黄、及び窒素から独立に選択される1~4つのヘテロ原子を含む9~10員環系である。縮合ヘテロアリール環系は、共に縮合した2つのヘテロアリール環又はアリール環(例えばフェニル)に縮合したヘテロアリール環からなり得る。ヘテロアリールの例としては、ピロリル、ピリジル、ピラゾリル、インドリル、インドリニル、イソインドリニル、インダゾリル、チエニル、フラニル、ベンゾフラニル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロイソベンゾフラニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、トリアジニル、ピリミジニル、ピラジニル、チアゾリル、プリニル、ベンゾイミダゾリル、キノリニル、イソキノリニル、キノキサリニル、テトラヒドロキノリニル、ベンゾフラニル、ベンゾピラニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、1H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾリルなどがあるが、これらに限定されない。
本明細書で使用される用語「置換された」は、通常の原子価が維持され、置換により安定な化合物がもたらされるという条件で、少なくとも1つの(例えば、1、2、3、4、5、6つなど、1~5つの、1~3つの、1又は2つの)水素原子が、非水素置換基に置き換えられていることを意味する。特記されない限り、「任意選択で置換された」基は、基の置換可能な各位置で置換基を有し得る。所与の構造中の2つ以上の位置が、明示された基から選択された2つ以上の置換基により置換され得る場合、置換基は、全ての位置で同じでも、又は異なっていてもよい。或いは、「任意選択で置換された基」は非置換であり得る。
置換基がオキソである場合、単一原子上の2つの水素がその置換基に置き換えられている。オキソ置換基は、芳香族部分には存在しない。
本開示の化合物上に窒素原子が存在する場合、窒素原子は、独立に、酸化剤(例えば、mCPBA及び/又は過酸化水素)による処理によりN-オキシドに転化されて、本開示の他の化合物を提供し得る。そのため、示されて特許請求される窒素原子は、示される窒素とそのN-オキシド(N→O)誘導体の両方を含むと考えられる。
任意の可変要素が化合物のあらゆる構成要素又は式に2回以上出現する場合、各出現でのその定義は、全ての他の出現での定義とは独立している。そのため、例えば、基が0~3つの置換基により置換されると示されている場合、前記基は、非置換でも、又は3つまでの置換基により置換されていてもよく、各置換基は、他の置換基とは独立に選択される。
置換基への結合が、環中の2つの原子を連結する結合に交差するか(構造式I中のRへの結合のような)、又は環を示す円に交差する(構造式I中のRへの結合のような)ことが示される場合、そのような置換基は、環中のあらゆる置換可能な原子に結合し得る。さらに、置換基への結合が交差する環が多環式(例えば、二環式、X及びYを含む構造式I中の環系のような)である場合、置換基は、置換基への結合が交差する環又は環系のあらゆる置換可能な原子に結合し得る。置換基が、そのような置換基が所与の式の化合物の残りに結合する原子を示さずに列記される場合、そのような置換基は、そのような置換基中のあらゆる原子により結合され得る。
置換基及び/又は可変要素の組合せは、そのような組合せが安定な化合物をもたらす場合のみ許容できる。
当業者であれば理解する通り、例えば、分子中のケトン(-C(H)C(O))基は、そのエノール形態(-C=C(OH))に互変異性化し得る。本開示は、構造が互変異性体のうち1つしか示さない場合でも、可能性のある全互変異性体を含むものとする。
句「薬学的に許容できる」は、句が修飾する物質又は組成物が、健全な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応など無しに、ヒト及び下等動物の組織と接触して使用するのに好適でなくてはならず、妥当なベネフィット/リスク比に釣り合っていることを意味する。物質が組成物又は製剤の一部である場合、物質は、また、組成物又は製剤中の他の成分と、化学的且つ/又は毒物学的に適合性がなくてはならない。
特記されない限り、用語「本開示の化合物」は、本明細書に描写されるあらゆる構造式の化合物(例えば、式I、式Iの化合物の下位式の化合物)、並びに異性体、例えば、立体異性体(ジアステレオ異性体、エナンチオマー、及びラセミ体を含む)、幾何異性体、配座異性体(回転異性体及びアストロプ異性体(astropisomers)を含む)及び互変異性体、同位体標識化合物(重水素置換を含む)、及びその本質的に形成される部分(inherently formed moieties)(例えば、多形体及び/又は水和物などの溶媒和物)を指す。塩を形成することが可能な部分が存在する場合、塩、特に、薬学的に許容できる塩も同様に含まれる。
本開示の化合物は、不斉中心、キラル軸、及びキラル面を有し得て(例えば、E.L.Eliel and S.H.Wilen,Stereo-chemistry of Carbon Compounds,John Wiley & Sons,New York,1994,pages 1119-1190に記載される通り)、ラセミ混合物、個別の異性体(例えば、ジアステレオマー、エナンチオマー、幾何異性体、配座異性体(回転異性体及びアトロプ異性体を含む)、互変異性体)、及び中間体混合物として存在し、その全ての可能な異性体及び混合物が本発明に含まれる。
本明細書で使用される通り、用語「異性体」は、同じ分子式を有するが、原子の配列及び配置が異なる、異なる化合物を指す。
「エナンチオマー」は、互いの重ね合わせることができない鏡像である1対の立体異性体である。1対のエナンチオマーの1:1混合物は「ラセミ」混合物である。「ラセミ体」又は「ラセミ」は、適切な場合ラセミ混合物を示すように使用される。本開示の化合物の立体化学を示す場合、2つのキラル中心の既知の相対及び絶対配置を有する単一の立体異性体は、従来のRSシステム(例えば、(1S,2S))を使用して示される;相対的配置が既知であるが絶対配置が未知の単一の立体異性体は、スターにより(例えば、(1R,2R));及びラセミ体は2文字により示される(例えば、(1RS,2RS)を(1R,2R)と(1S,2S)のラセミ混合物として;(1RS,2SR)を、(1R,2S)と(1S,2R))のラセミ混合物として)。
「ジアステレオ異性体」は、少なくとも2つの不斉原子を有するが、互いの鏡像ではない立体異性体である。絶対立体化学は、カーン・インゴルド・プレローグR-Sシステムに従って明示される。化合物が純粋なエナンチオマーである場合、各キラル炭素の立体化学は、RかSのいずれかで明示され得る。絶対配置が未知である分割された化合物は、それらがナトリウムD線の波長で平面偏光を回転させる方向(右旋性又は左旋性)に応じて(+)又は(-)により示すことができる。或いは、分割された化合物は、キラルHPLCにより、対応するエナンチオマー/ジアステレオマーの相対的な保持時間により定義できる。
化合物が二重結合又は分子に特定の量の構造的硬直性を与えるいくらかの他の特徴を有する場合、幾何異性体が存在し得る。化合物が二重結合を含む場合、二重結合は、E又はZ配置であり得る。化合物が二置換シクロアルキルを含む場合、シクロアルキル置換基は、シス又はトランス配置を有し得る。
配座異性体(又はコンフォーマー)は、1つ以上の結合の周りの回転により異なり得る異性体である。回転異性体は、1つの単結合のみの周りの回転により異なる配座異性体である。
本明細書で使用される用語「アトロプ異性体」は、分子中の束縛回転から生じるアキシャル又は平面キラリティに基づく構造異性体を指す。
光学活性な(R)-及び(S)-異性体は、キラルシントン若しくはキラル試薬を使用して調製され得るか、又は従来の技法を使用して分割され得る(例えば、適切な溶媒又は溶媒の混合物を使用して、株式会社ダイセルから利用可能なCHIRALPAK(登録商標)及びCHIRALCEL(登録商標)カラム又は他の同等なカラムなどのキラルSFC又はHPLCクロマトグラフィーカラムで分離して好適な分離を達成する)。
本開示の化合物は、光学活性形態でも、又はラセミ形態でも単離できる。光学活性な形態は、ラセミ形態の分割によっても、光学活性な出発物質からの合成によっても調製され得る。プロセス内で製造される本開示の化合物及び中間体を調製するのに使用される全プロセスは、本開示の一部であると考えられる。エナンチオマー的又はジアステレオマー的生成物が調製される場合、それらは、従来の方法により、例えばクロマトグラフィー又は分別晶析により分離され得る。
プロセス条件によって、本開示の最終生成物は、遊離(中性)又は塩形態のいずれかで得られる。これらの最終生成物の遊離形態と塩の両方が本開示の範囲内にある。所望される場合、化合物の一形態が別の形態に転化され得る。遊離の塩基又は酸は、塩に転化され得る;塩は、遊離の化合物又は別の塩に転化され得る;本開示の異性体化合物の混合物は、個別の異性体に分離され得る。
薬学的に許容できる塩が好ましい。しかし、他の塩も、例えば、調製の間に利用され得る単離又は精製工程において有用であり得て、そのため、本開示の範囲内であることが企図される。
本明細書で使用される通り、「薬学的に許容できる塩」は、健全な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応など無しにヒト及び下等動物の組織と接触して使用するのに好適であり、妥当なベネフィット/リスク比に釣り合う、好適な無機及び有機酸並びに無機及び有機塩基から誘導された塩を指す。
薬学的に許容できる酸付加塩は無機酸及び有機酸から形成できる。塩を誘導できる無機酸としては、例えば、塩化水素酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などがある。塩を誘導できる有機酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、スルホサリチル酸などがある。薬学的に許容できる酸付加塩としては、酢酸塩、アスコルビン酸塩、アジピン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベシル酸塩、ブロミド/臭化水素酸塩、炭酸水素塩/炭酸塩、硫酸水素塩/硫酸塩、カンファースルホン酸塩、カプリン酸塩、クロリド/塩酸塩、クロルテフオフィロネート(chlortheophyllonate)、クエン酸塩、エタンジスルホン酸塩、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、グルタミン酸塩、グルタル酸塩、グリコール酸塩、馬尿酸塩、ヨウ化水素酸塩/ヨージド、イセチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩/ヒドロキシマロン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、メチル硫酸塩、ムチン酸塩、ナフトエ酸塩、ナプシル酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オクタデカン酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、フェニル酢酸塩、リン酸塩/リン酸水素塩/リン酸二水素塩、ポリガラクツロン酸塩、プロピオン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、スルファミン酸塩、スルホサリチル酸塩、酒石酸塩、トシル酸塩、トリフルオロ酢酸塩、及びキシナホ酸塩があるが、これらに限定されない。
薬学的に許容できる塩基付加塩は無機及び有機塩基から形成できる。塩を誘導できる無機塩基としては、例えば、アンモニウム塩及び周期表のI~XII列の金属がある。特定の実施形態において、塩基付加塩は、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、銀、亜鉛、又は銅から誘導される。特に好適な塩基付加塩としては、アンモニウム、カリウム、ナトリウム、カルシウム及びマグネシウム塩がある。塩を誘導できる有機塩基としては、例えば、一級、二級、及び三級アミン、天然に存在する置換アミンを含む置換アミン、環状アミン、塩基性イオン交換樹脂などがある。有機アミンの例としては、イソプロピルアミン、ベンザチン、コリネート(cholinate)、ジエタノールアミン、ジエチルアミン、リジン、メグルミン、ピペラジン及びトロメタミンがあるが、これらに限定されない。
本開示の化合物の塩(例えば、薬学的に許容できる塩)は、塩基性又は酸性部分を含む親化合物から、従来の化学的方法により合成できる。一般的に、そのような塩は、これらの化合物の遊離酸又は塩基形態を、化学量論量の適切な塩基又は酸と、水中若しくは有機溶媒中、それら2種の混合物中で反応させることにより調製できる。一般的に、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール、又はアセトニトリルのような非水性媒体が好ましい。
本開示の化合物が、2つ以上の塩基性部分又は2つ以上の酸性部分を含む場合、そのような各部分が、独立に、酸付加塩形態又は塩基付加塩形態の形成に関与することができ、可能性のある全塩形態が本開示に含まれることが理解されるだろう。さらに、本開示の化合物の2つ以上の部分が塩形態である場合、2つ以上の塩形態を形成するアニオン又はカチオンは同じであることも異なることもある。典型的には、2つ以上の塩形態を形成するアニオン又はカチオンは同じである。本開示の化合物の塩中のアニオン又はカチオンと本開示の化合物との典型的なモル比は、3:1、2:1、1:1、2:1、3:1、4:1及び5:1である。いくつかの実施形態において、本開示の化合物の塩中のアニオン又はカチオン(例えば、アニオン)と本開示の化合物のモル比は1:1である(例えば、化合物6の一塩酸塩中のように)。いくつかの実施形態において、本開示の化合物の塩中のアニオン又はカチオン(例えば、アニオン)と本開示の化合物のモル比は2:1である(例えば、化合物4の二塩酸塩中のように)。
好適な塩のリストは、関連する開示が参照により本明細書に全体として組み込まれるAllen,L.V.,Jr.,ed.,Remington:The Science and Practice of Pharmacy,22nd Edition,Pharmaceutical Press,London,UK(2012)に見出される。
本明細書に与えられるあらゆる式は、化合物の未標識形態並びに同位体標識形態を表すようにも意図される。同位体標識化合物は、1つ以上の原子が選択された原子質量又は質量数を有する原子に置き換えられている以外、本明細書に与えられる式により描写される構造を有する。本開示の化合物に組み込むことができる同位元素の例としては、水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素、塩素、及びヨウ素の同位元素、例えば、それぞれH、H、11C、13C、14C、15N、18F、31P、32P、35S、36Cl、123I、124I、及び125Iがある。本開示は、本明細書に定義される種々の同位体標識化合物、例えばH及び14Cなどの放射性同位元素又はH及び13Cなどの非放射性同位元素が存在するものを含む。そのような同位体標識化合物は、代謝研究(14Cによる)、反応速度研究(例えばH又はHによる)、薬物若しくは基質組織分布アッセイを含む陽電子放出断層撮影(PET)若しくは単一光子放出型コンピュータ断層撮影(SPECT)などの検出若しくは画像化技法、又は患者の放射線治療に有用である。特に、18F又は標識化合物は、PET又はSPECT試験に特に望ましいことがある。
さらに、より重い同位元素、特に重水素(すなわちH又はD)による置換は、より高い代謝安定性から生じる特定の治療上の利点、例えば、インビボ半減期の増加又は用量要件の減少又は治療指数の改善を与え得る。この文脈での重水素が、本開示の化合物の置換基とみなされることが理解される。そのようなより重い同位元素、具体的には重水素の濃度は、同位体濃縮係数により定義され得る。本明細書で使用される用語「同位体濃縮係数」は、明示された同位元素の同位体存在度と天然存在度の比を意味する。本開示の化合物中の置換基が重水素であると示される場合、そのような化合物は、指示された各重水素原子の少なくとも3500(指示された各重水素原子での52.5%重水素組込み)、少なくとも4000(60%重水素組込み)、少なくとも4500(67.5%重水素組込み)、少なくとも5000(75%重水素組込み)、少なくとも5500(82.5%重水素組込み)、少なくとも6000(90%重水素組込み)、少なくとも6333.3(95%重水素組込み)、少なくとも6466.7(97%重水素組込み)、少なくとも6600(99%重水素組込み)、又は少なくとも6633.3(99.5%重水素組込み)の同位体濃縮係数を有する。
同位体標識された本開示の化合物は、一般的に、従来の当業者に公知である従来の技法により、又はスキームに、若しくは以下に記載される実施例及び調製において開示されるプロセス(又は本明細書で以下に記載されるものに類似のプロセス)により、そうでない場合利用される同位体標識されていない試薬を、適切又は容易に利用可能である同位体標識された試薬に替えることにより調製できる。そのような化合物は、例えば、潜在的な医薬化合物が標的タンパク質若しくは受容体に結合する能力の決定における標準及び試薬として、又はインビボ若しくはインビトロで生物学的受容体に結合した本開示の化合物を画像化するための種々の潜在的な用途を有する。
用語「溶媒和物」は、本開示の化合物と、有機であれ無機であれ1つ以上の溶媒分子との物理的会合を意味する。この物理的会合は水素結合を含む。特定の場合において、例えば、1つ以上の溶媒分子が結晶性固体の結晶格子に組み込まれている場合、溶媒和物は単離が可能だろう。溶媒和物中の溶媒分子は、規則的な配列及び/又は秩序のない配列で存在し得る。溶媒和物は、化学量論量か非化学量論量のいずれかの溶媒分子を含み得る。「溶媒和物」は、液相及び固相溶媒和物の両方を包含する。溶媒和物の例としては、水和物、エタノレート、メタノレート、及びイソプロパノレートがあるが、これらに限定されない。溶媒和の方法は、一般的に当技術分野に公知である。
本開示の化合物は、非晶質固体又は結晶性固体として提供できる。凍結乾燥を利用して、本開示の化合物を固体として提供できる。
用語「悪性腫瘍」及び「癌」は本明細書において互換的に使用され、異常な細胞が制御されずに分裂し、近くの組織を侵す疾患を指す。悪性細胞は、血液及びリンパ系により体の他の部分にも広がることもできる。いくつかの主要なタイプの悪性腫瘍がある。癌腫は、皮膚中、又は内臓を裏打ち若しくは覆う組織中で始まる悪性腫瘍である。肉腫は、骨、軟骨、脂肪、筋、血管、又は他の結合若しくは支持組織中で始まる悪性腫瘍である。白血病は、骨髄などの血液形成組織中で始まり、多数の異常な血液細胞を産生して血液に入るようにする悪性腫瘍である。リンパ腫及び多発性骨髄腫は、免疫系の細胞中で始まる悪性腫瘍である。中枢神経系癌は、脳及び脊髄の組織中で始まる悪性腫瘍である。
本明細書で使用される用語「固形腫瘍」は、嚢胞又は液体部分を通常含まない組織の異常な塊から形成される悪性腫瘍/癌を指す。固形腫瘍は、発端の組織/細胞に応じて命名/分類される。例としては、肉腫及び癌腫があるが、これらに限定されない。
本明細書で使用される用語「白血病」は、骨髄などの血液形成組織中で始まる血液系又は血液細胞悪性腫瘍/癌を指す。例としては、慢性白血病、急性白血病、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、急性リンパ球性白血病(ALL)、急性リンパ芽球性白血病(例えば、B細胞、T細胞)、及び慢性リンパ球性白血病(CLL)があるが、これらに限定されない。
本明細書で使用される用語「リンパ腫」は、免疫系の細胞中で始まるリンパ性細胞悪性腫瘍/癌を指す。例としては、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、及び多発性骨髄腫があるが、これらに限定されない。
本明細書で使用される場合、用語「対象」は、動物を指す。典型的には、動物は哺乳動物である。対象は、例えば、霊長類(例えば、ヒト)、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、ラット、マウス、魚、鳥なども指す。特定の実施形態において、対象は霊長類である。さらに他の実施形態において、対象はヒトである。さらに他の実施形態において、対象(例えば、ヒト)は、癌(例えば、線維性癌)を有しない。
本明細書で使用される通り、対象(例えば、ヒト)は、そのような対象が、生物学的に、医学的に、又は生活の質の点でそのような治療から利益を得る場合、治療「を必要としている」。
本明細書で使用される「治療する」、「治療すること」及び「治療」は、医薬品又は医療の、着目する疾患又は病態、例えば癌を有するヒトなどの対象への投与を指し、(i)特に、対象が病態になる素因を有するが、まだそれを有すると診断されていない場合、疾患若しくは病態がそのような対象に起こることを防ぐこと;(ii)疾患若しくは病態を阻害すること、例えば、その発生を停止させること;(iii)疾患若しくは病態を軽減すること、例えば、疾患若しくは病態の退縮を起こすこと;及び/又は(iv)疾患若しくは病態から生じる症状(例えば、疼痛、体重減少、咳、疲労、衰弱など)を軽減することを含む。
本明細書で使用される通り、「第一選択療法」は、疾患又は病態のために与えられる第一療法を指す。
本明細書で使用される通り、「後続療法」は、疾患又は病態のための第一選択療法の後に与えられるあらゆる療法を指す。第一選択療法が治療剤を含む場合、後続療法は、第一選択療法の治療剤とは異なる1種以上の治療剤を含む。いくつかの実施形態において、後続療法は第二選択療法である(すなわち、疾患又は病態のために与えられる第2の療法)。いくつかの実施形態において、後続療法は第三選択療法である(すなわち、疾患又は病態のために与えられる第3の療法)。いくつかの実施形態において、後続療法は最終選択療法(last-line therapy)である。
いくつかの実施形態において、癌は抵抗性である。本明細書で使用される通り、「抵抗性癌」、「癌は抵抗性である」及び「不応性癌」は、治療に反応しない癌を指す。例えば、癌は治療の始めに抵抗性であり得るか、又は癌は治療の間に抵抗性になり得る。治療抵抗性は異なる機構により起こり得て、例としては、個人の遺伝的差異、多剤耐性、細胞死阻害(アポトーシス抑制)、薬物代謝、エピジェネティック及び薬物標的の変化、DNA修復及び遺伝子増幅の増大がある。
本明細書で使用される用語「治療上有効な量」は、ヒトなどの対象に投与される場合に治療を達成するのに充分である、本開示の化合物などの治療剤の量を指す。「有効量」を構成する治療剤の量は、治療剤、治療されている病態及びその重症度、投与の方法、治療の継続期間、又は治療される対象(例えば、対象の年齢、体重、健康)によって変わるだろうが、当業者により、彼自身の知識及び本開示に基づいて規定通りに決定され得る。実施形態において、「有効量」は、1つ以上のしるし、症状、徴候、診断用試験、バイタルサインなどの統計的に有意な変化により測定されて治療をもたらす。他の実施形態において、「有効量」は、1つ以上のしるし、症状、徴候、診断試験、バイタルサインなどの統計的に有意な変化がないことにより測定されて病態を管理又は予防する。
投与のレジメンは、何が治療上有効な量を構成するかに影響を与え得る。本開示の化合物は、癌の発症の前でも、その後でも対象に投与できる。さらに、いくつかの分割された用量並びに交互の用量は、毎日又は連続して投与でき、又は投与量は連続的に注入でき、ボーラス注入でもあり得る。さらに、本開示の化合物の用量は、治療的又は予防的状態の要件に示される通り比例的に増加させることも減少させることもできる。
医薬組成物及び組合せ
本開示の化合物は、典型的には、医薬組成物(例えば、本開示の化合物又はその薬学的に許容できる塩、及び1種以上の薬学的に許容できる担体を含む医薬組成物)中で使用される。「薬学的に許容できる担体」は、動物、特に哺乳動物への、生物活性薬剤の送達のために当分野において一般的に認められている媒体を指し、当業者に知られている通り、一般に安全と認められる(GRAS)溶媒、分散媒、コーティング、界面活性剤、酸化防止剤、保存剤(例えば、抗菌剤、抗真菌剤)、等張剤、吸収遅延剤、塩、保存剤、薬物安定剤、結合剤、緩衝剤(例えば、マレイン酸、酒石酸、乳酸、クエン酸、酢酸、炭酸水素ナトリウム、リン酸ナトリウムなど)、崩壊剤、滑沢剤、甘味剤、着香剤、染料など、及びこれらの組合せがある(例えば、Allen,L.V.,Jr.et al.,Remington:The Science and Practice of Pharmacy(2 Volumes),22nd Edition,Pharmaceutical Press(2012)参照)。
一態様において、本開示の化合物(例えば、式I若しくはその下位式の化合物又は上記のものの薬学的に許容できる塩)及び薬学的に許容できる担体(例えば、本明細書に記載されるものなど少なくとも2種の薬学的に許容できる担体)を含む医薬組成物が本明細書に提供される。さらなる態様において、治療上有効な量の本開示の化合物(例えば、式I若しくはその下位式の化合物又は上記のものの薬学的に許容できる塩)及び薬学的に許容できる担体(例えば、本明細書に記載されるものなど少なくとも2種の薬学的に許容できる担体)を含む医薬組成物が本明細書に提供される。本開示の目的には、別途指定されない限り、溶媒和物は、一般的に組成物であると考えられる。好ましくは、薬学的に許容できる担体は滅菌されている。
医薬組成物は、化合物及び治療すべき特定の疾患に応じて、例えば、経口、食事、外用、経皮、直腸、非経口(例えば、動脈内、静脈内、筋肉内、皮下注射、皮内注射)、静脈内注入及び吸入(例えば、気管支内、鼻腔内又は経口吸入、点鼻剤)投与経路を含む、特定の投与経路のために製剤できる。投与は、適応に応じて、局所でも、又は全身性でもあり得る。好ましい投与経路は、選択される特定の化合物により変わり得る。いくつかの実施形態において、医薬組成物は経口投与用に製剤される。いくつかの実施形態において、医薬組成物は静脈内投与用に製剤される。
本開示の医薬組成物は、固体形態で(非限定的に、カプセル剤、錠剤、丸剤、顆粒剤、散剤、又は坐剤を含む)、又は液体形態で(非限定的に、液剤、懸濁剤、又は乳剤を含む)調合できる。医薬組成物は、滅菌などの従来の製剤操作に付すことができ、且つ/又は従来の不活性な希釈剤、滑沢剤、又は緩衝剤、並びに補助剤、例えば、保存剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、及び緩衝剤などを含み得る。典型的には、医薬組成物は、有効成分を、下記の1種以上と共に含む錠剤又はゼラチンカプセル剤である:
a)希釈剤、例えば、ラクトース、デキストロース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、セルロース、及び/又はグリシン;
b)滑沢剤、例えば、シリカ、滑石、ステアリン酸、そのマグネシウム若しくはカルシウム塩、及び/又はポリエチレングリコール;
c)結合剤、例えば、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、デンプン糊、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、及び/又はポリビニルピロリドン;
d)崩壊剤、例えば、デンプン、寒天、アルギン酸若しくはそのナトリウム塩、又は発泡性混合物;並びに
e)吸収剤、着色剤、香料、及び甘味剤。
錠剤は、当技術分野に公知である方法に従って、フィルムコートされていても、腸溶性コートされていてもよい。
経口投与用の好適な組成物は、本開示の化合物(例えば、式I若しくはその下位式の化合物又は上記のものの薬学的に許容できる塩)を、錠剤、ロゼンジ剤、水性又は油性懸濁剤、分散性散剤又は顆粒剤、乳剤、ハード又はソフトカプセル剤、又はシロップ剤、又はエリキシル剤の形態で含む。経口使用向けの組成物は、当技術分野に公知である医薬組成物の製造のための任意の方法に従って調製され、そのような組成物は、薬学的に洗練された(pharmaceutically elegant)味のよい調合物を提供するために、甘味剤、着香剤、着色剤、及び保存剤からなる群から選択される1種以上の作用物質を含み得る。錠剤は、有効成分を、錠剤の製造に好適である非毒性の薬学的に許容できる賦形剤と混合して含み得る。これらの賦形剤は、例えば、不活性な希釈剤、例えば炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウム、又はリン酸ナトリウム;造粒及び崩壊剤、例えば、トウモロコシデンプン又はアルギン酸;結合剤、例えば、デンプン、ゼラチン、又はアラビアゴム;及び滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、又はタルクである。錠剤は、被覆されていないか、又は消化管内の崩壊及び吸収を遅延させ、それにより長期間にわたる持続作用を提供するために公知の技法により被覆される。例えば、ステアリン酸グリセリル又はジステアリン酸グリセリルなどの時間遅延物質(time delay material)を利用できる。経口使用のための製剤は、有効成分が不活性な固体希釈剤、例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、若しくはカオリンと混合されているハードゼラチンカプセルとして、又は有効成分が水若しくは油媒体、例えば、落花生油、流動パラフィン、若しくはオリーブ油と混合されているソフトゼラチンカプセルとして呈され得る。
特定の注射用組成物は、本開示の化合物(例えば、式I若しくはその下位式の化合物又は上記のものの薬学的に許容できる塩)を、等張性水溶液又は懸濁液の形態で含み、本開示の化合物(例えば、式I若しくはその下位式の化合物又は上記のものの薬学的に許容できる塩)を含む特定の坐剤は、好都合には、脂肪質乳剤又は懸濁液から調製される。前記組成物は、滅菌され得て、且つ/又は保存剤、安定剤、湿潤剤、若しくは乳化剤、溶解促進剤(solution promoters)、浸透圧を制御する塩、及び/若しくは緩衝剤などの補助剤を含み得る。さらに、それらは、他の治療上有用な物質も含み得る。前記組成物は、それぞれ、従来の混合、造粒、又は被覆方法に従って調製され、約0.1~75%の有効成分を含むか、又は約1~50%の有効成分を含む。
経皮塗布のための好適な組成物は、本開示の化合物(例えば、式I若しくはその下位式の化合物又は上記のものの薬学的に許容できる塩)を好適な担体と共に含む。経皮送達に好適な担体としては、宿主の皮膚を通る移動を補助するための吸収性の薬理学的に許容できる溶媒がある。例えば、経皮装置は、裏打ち材、化合物を任意選択で担体と共に収容するリザーバー、任意選択で、化合物を、宿主の皮膚に制御された所定の速度で長期間にわたり送達する速度制御バリア、及び装置を皮膚に固定する手段を含む包帯の形態である。
例えば皮膚及び眼への外用適用のための、本開示の化合物(例えば、式I若しくはその下位式の化合物又は上記のものの薬学的に許容できる塩)を含む好適な組成物としては、水溶液、懸濁液、軟膏、クリーム剤、ゲル剤、又は例えばエアゾールなどによる送達のための噴霧可能製剤がある。そのような外用送達系は、特に、皮膚塗布のために、例えば、皮膚癌の治療のために、例えば、日焼け止めクリーム、ローション、スプレーにおける予防的使用のために適切だろう。そのため、それらは、当技術分野に周知である化粧用を含む外用製剤における使用に特に適している。そのようなものは、可溶化剤、安定剤、張性増強剤(tonicity enhancing agents)、緩衝剤、及び保存剤を含み得る。
本明細書で使用される通り、外用適用は、吸入又は鼻腔内適用にも関連し得る。吸入又は鼻腔内投与に好適な組成物は、簡便には、乾燥粉末吸入器からのドライパウダー(単独、混合物として、例えばラクトースとのドライブレンド、又は例えばリン脂質との混合成分粒子)、又は好適な噴射剤の使用の有無を問わず、加圧容器、ポンプ、スプレー、アトマイザー、若しくはネブライザーからのエアゾールスプレー提示(aerosol spray presentation)の形態で送達され得る。
水は特定の化合物の分解を促進し得るので、本開示は、本明細書で提供される(例えば、式I若しくはその下位式の化合物又は上記のものの薬学的に許容できる塩)を含む無水医薬組成物及び剤形をさらに提供する。本開示の無水医薬組成物及び剤形は、無水又は低水分含有成分及び低水分又は低湿度条件を使用して調製できる。無水医薬組成物は、その無水の性質が維持されるように調製及び保存され得る。したがって、無水組成物は、それらが好適な処方キット(formulary kits)に収納され得るように水への曝露を防ぐことが知られている材料を使用して包装される。好適な包装の例としては、密封されたフォイル、プラスチック、単位投与量容器(例えば、バイアル)、ブリスターパック、及びストリップパックがあるが、これらに限定されない。
本開示は、有効成分としての本開示の化合物(例えば、式I若しくはその下位式の化合物又は上記のものの薬学的に許容できる塩)が分解する速度を減少させる1種以上の作用物質を含む医薬組成物及び剤形をさらに提供する。そのような作用物質は、本明細書で「安定剤」と称され、アスコルビン酸などの酸化防止剤、pH緩衝剤、又は塩緩衝剤などがあるが、これらに限定されない。
本開示の化合物(例えば、式I若しくはその下位式の化合物又は上記のものの薬学的に許容できる塩)は、典型的には医薬剤形に製剤されて、薬物の容易に制御可能な用量を提供し、患者に、洗練された容易に取り扱いできる製品を与える。本開示の化合物の投与計画は、当然ながら、特定の薬剤の薬力学特性並びにその投与の様式及び経路;受容者の人種、年齢、性別、健康、病状、及び体重;症状の性質及び程度;併用療法の種類;治療の頻度;投与経路;患者の腎機能及び肝機能;並びに望まれる効果などの公知の因子により変わるだろう。本明細書に記載される化合物(例えば、式I又はその下位式の化合物)又はその薬学的に許容できる塩は、単一の1日量で投与され得るか、又は総1日用量が、分割された投与量で、例えば、1日2回、3回、又は4回投与され得る。
特定の場合では、本開示の化合物(例えば、式I若しくはその下位式の化合物又は上記のものの薬学的に許容できる塩)を、1種以上の追加の治療剤と組み合わせて投与することが好都合であり得る。例えば、本開示の化合物(例えば、式I若しくはその下位式の化合物又は上記のものの薬学的に許容できる塩)を、例えば、抗癌剤(例えば、化学療法剤)、抗アレルギー剤、鎮吐剤、鎮痛剤、免疫調節物質、及び細胞保護剤から独立に選択される1種以上の追加の治療剤と組み合わせて投与して、癌を治療することが好都合であり得る。
用語「併用療法」は、本明細書に記載される疾患、障害、又は病態を治療するための2種以上の治療剤の投与を指す。そのような投与は、一定比の有効成分を有する単一のカプセル中など、治療剤の実質的に同時の方法での共投与を包含する。或いは、そのような投与は、各有効成分の多数又は別な容器(例えば、カプセル、粉末、及び液体)中の共投与を包含する。そのような投与は、およそ同時か異なる時間のいずれかで、連続的な方法での各種類の治療剤の使用も包含する。併用療法で使用される治療剤は、同じ投与経路によっても、異なる投与経路によっても投与できる。粉末及び/又は液体は、投与前に、所望の投与量に再構成又は希釈され得る。典型的には、治療レジメンは、本明細書に記載される疾患、病態、又は障害を治療する際に薬物組合せの有益な効果を提供するだろう。
併用療法に使用するための組成物は、医薬組合せとして共に製剤されるか、又は別々な投与(例えば、キット中で関連づける)用に提供されるだろう。したがって、本明細書で提供されるのは、本開示の化合物(例えば、式I若しくはその下位式の化合物又は上記のものの薬学的に許容できる塩)(例えば、治療上有効な量の本開示の化合物)及び1種以上の他の治療剤(例えば、治療上有効な量の1種以上の他の治療剤)を含む医薬組合せである。医薬組合せは、本明細書に記載される薬学的に許容できる担体の1種以上など、1種以上の薬学的に許容できる担体をさらに含み得る。
本開示の化合物と組合せた使用のための治療剤は、本開示の化合物によって調節される経路以外の経路を調節することが知られている薬剤、本開示の化合物によって調節される経路と同じ経路の他の成分(例えば、酵素)又は本開示の化合物によって調節される経路と同じ標的(例えば、標的酵素)の1つ以上をも含み得る。一態様において、併用療法は、例えば相乗的又は相加的な治療効果を提供するために、本開示の化合物と化学療法剤、免疫調節剤及び/又は放射線療法とを含む。
本開示の化合物と組み合わせて使用するための療法の例(例えば、併用療法において、医薬組合せにおいて)としては、第一選択標準治療法(例えば、化学療法)、中間ラインの標準治療法(例えば、化学療法)又は最終選択標準治療法(例えば、化学療法)などの標準治療法及び/又はレジメン(例えば、標準治療剤)がある。標準治療法は、臨床医が、特定の種類の患者、病気、及び/又は臨床状況のために使用すべき療法である。多くの場合、National Comprehensive Cancer Network(NCCN)などの組織が、特定の患者、病気、及び/又は臨床状況の治療の最善の方法を説明するガイドライン及び/又は治療アルゴリズムを発表している。nccn.orgを参照されたい。これらのガイドラインは、多くの場合、標準治療療法を確立し、説明し、且つ/又は要約している。
いくつかの実施形態において、本開示の化合物は、線維症及び/又は線維症の症状の標準治療法と組合せて投与される。線維症の標準治療法の非限定的な例としては、ニンテダニブ、ピルフェニドン及び酸素療法がある。いくつかの実施形態において、本開示の化合物は、ニンテダニブ若しくはピルフェニドン、又はその薬学的に許容できる塩と組合せて投与される。いくつかの実施形態において、本開示の化合物は、酸素療法と組合せて投与される。
いくつかの実施形態において、本開示の化合物は、卵巣癌の標準治療法と組合せて投与される。卵巣癌の標準治療法の非限定的な例としては、白金アナログ(例えば、シスプラチン、パクリタキセル、カルボプラチン)を含む単剤療法及び白金アナログを含む併用療法(例えば、ドセタキセル及びカルボプラチン;パクリタキセル及びカルボプラチン;カルボプラチン及びリポソーマルドキソルビシン(dox);パクリタキセル、カルボプラチン及びベバシズマブ(bev);カルボプラチン及びゲムシタビン(gem)/(bev);カルボプラチン、リポソーマルdox及びbev;カルボプラチン、パクリタキセル及びbev;シスプラチン及びゲムシタビン;オキサリプラチン);抗体療法(例えば、ベバシズマブ)などの標的療法;PARP阻害剤(例えば、オラパリブ、ルカパリブ、ニラパリブ、ベリパリブ、タラゾパリブ)を含む療法;チロシンキナーゼ阻害剤(TKI)(例えば、パゾパニブ)を含む療法;免疫療法;免疫チェックポイント阻害剤(例えば、PD-1又はPD-L1阻害剤)を含む療法;ホルモン療法(例えば、タモキシフェン、アナストロゾール、エキセメスタン、レトロゾール、LHRHアゴニスト、例えば、ロイプロリド酢酸塩、酢酸メゲストロールなど);並びにアルトレタミン、カペシタビン、シクロホスファミド、エトポシド、イホスファミド、イリノテカン、メルファラン、パクリタキセル(例えば、アルブミン結合パクリタキセル)、ペムブロリズマブ、ペメトレキセド、ソラフェニブ及びビノレルビンのうちの1つ以上を含む療法がある。
いくつかの実施形態において、本開示の化合物は、膵臓癌(例えば、進行性膵臓癌、膵管腺癌)の標準治療法と組合せて投与される。膵臓癌の標準治療法の非限定的な例としては、フォルフィリノックス(フォリン酸、ボーラスのフロオロウラシル、イリノテカン及びオキサリプラチンで構成される化学療法レジメン);改変されたフォルフィリノックスレジメン(フォリン酸、連続注入のフロオロウラシル、イリノテカン及びオキサリプラチンで構成される化学療法レジメン);ゲムシタビン及びアブラキサン;ゲムシタビン及びカペシタビン;オラパリブ;エムシタビン(emcitabine)及びエルロチニブ;ゲムシタビン、ドセタキセル及びカペシタビン;ラロトレクチニブ;ペムブロリズマブ;ゲムシタビン;並びにナブパクリタキセル、ゲムシタビン及びシスプラチンの三剤併用療法がある。
いくつかの実施形態において、本開示の化合物は、去勢抵抗性前立腺(prostrate)癌などの前立腺癌の標準治療法と組み合わせて投与される。前立腺癌の標準治療法の非限定的な例としては、PARP阻害剤(例えば、オラパリブ、ルカパリブ、ニラパリブ、ベリパリブ、タラゾパリブ);LHRHアゴニスト(例えば、ゴセレリン酢酸塩、ヒストレリン酢酸塩、ロイプロリド酢酸塩、及びトリプトレリンパモ酸塩);LHRHアンタゴニスト(例えば、デガレリクス);抗アンドロゲン(例えば、ビカルタミド、フルタミド、ニルタミド、エンザルタミド、アパルタミド、ダロルタミド);コルチコステロイド(例えば、プレドニゾン、メチルプレドニゾロン、ヒドロコルチゾン、デキサメタゾン);エストロゲン(例えば、ジエチルスチルベストロール);及び/又はアンドロゲン合成阻害剤(例えば、ケトコナゾール、アビラテロン酢酸エステル);及びアンドロゲン遮断療法を含む治療がある。
いくつかの実施形態において、本開示の化合物は、多発性骨髄腫の標準治療法と組み合わせて投与される。多発性骨髄腫の標準治療法の非限定的な例としては、プロテアソーム阻害剤(例えば、ボルテゾミブ、カーフィルゾミブ、マリゾミブ)を含む治療がある。
いくつかの実施形態において、本開示の化合物は、放射線療法と組合せて投与される。
非限定的な放射線療法としては、外照射療法、内部放射線療法、組織内照射、定位手術的照射、全身放射線療法、放射線療法、及び永久的又は一次的組織内小線源療法がある。本明細書で使用される用語「小線源療法」は、腫瘍又は他の増殖性組織疾患部位に、又はその近くで体内に挿入された空間的に閉じ込められた放射性物質により送達される放射線療法を指す。その用語は、非限定的に、放射性同位元素(例えば、At211、I131、I125、Y90、Re186、Re188、Sm153、Bi212、P32、及びLuの放射性同位元素)への曝露を含むものとする。細胞調整剤(cell conditioner)として使用するための好適な放射線源としては、固体と液体の両方がある。非限定的な例として、放射線源は、I125、I131、Yb169、固体源としてのIr192、固体源としてのI125などの放射性核種、又は光子、ベータ粒子、ガンマ線、若しくは他の治療用の線を発する他の放射性核種がある。放射性物質は、放射性核種の任意の溶液、例えば、I125若しくはI131の溶液から製造された流体でもあり得て、又は放射性流体は、Au198、Y90などの固体放射性核種の小粒子を含む好適な流体のスラリーを使用して製造され得る。さらに、放射性核種は、ゲル又は放射性のマイクロスフィアにまとめられ得る。
本開示の化合物は、異常細胞を放射線療法に対して感作させるのに有効であり得る。したがって、放射線による治療に対して異常細胞を感作するのに有効な量の本開示の化合物を対象に投与することを含む、対象(例えば、それを必要とする対象)における異常細胞を放射線による治療に対して感作する方法も本明細書に提供される。放射線による治療に対して異常細胞を感作するのに有効な本開示の化合物の量は、例えば本明細書に記載の有効量を確認するための手段に従って、当業者によって決定され得る。
いくつかの実施形態において、標準治療療法は放射線療法を含む。
DNA損傷剤も、本開示の化合物と組合せて使用できる。本明細書で使用される通り、用語「DNA損傷剤」は、相同組換えが損傷を修復できるように、直接的又は間接的にDNAを損傷させるあらゆる薬剤を指す。DNA損傷剤の非限定的な例は、DNA損傷性化学物質、化学療法剤、放射線化学療法及び電離放射線又は紫外線である。DNA損傷性化学療法剤の非限定的な例としては、アルキル化剤、ニトロソウレア、代謝拮抗物質、植物アルカロイド、植物抽出物及び放射性同位元素がある。DNA損傷性化学療法剤の非限定的な例としては、DNA損傷性薬物、例えば、5-フロオロウラシル(5-FU)、カペシタビン、ゲムシタビン、テモゾロミド、S-1(テガフール、5-クロロ-2,4-ジヒドロキシピリジン及びオキソン酸)、5-エチニルウラシル、アラビノシルシトシン(ara-C)、5-アザシチジン(5-AC)、2’,2’-ジフルオロ-2’-デオキシシチジン(dFdC)、プリン代謝拮抗剤(例えば、メルカプトプリン、アザチオプリン、チオグアニン)、ゲムシタビン塩酸塩(Gemzar)、ペントスタチン、アロプリノール、2-フルオロ-アラビノシル-アデニン(2F-ara-A)、ヒドロキシウレア、サルファマスタード(ビスクロロエチヒルスルフィド(bischloroetyhylsulfide))、メクロレタミン、メルファラン、クロラムブシル、シクロホスファミド、イホスファミド、チオテパ、AZQ、マイトマイシンC、ジアンヒドロガラクチトール、ジブロモズシトール(dibromoducitol)、スルホン酸アルキル(ブスルファン)、ニトロソウレア(BCNU、CCNU、4-メチルCCNU又はACNU)、プロカルバジン、ダカルバジン、レベッカマイシン、アントラサイクリン、例えば、ドキソルビシン(アドリアマイシン;ADR)、ダウノルビシン(Cerubicine)、イダルビシン(Idamycin)及びエピルビシン(Ellence)など、アントラサイクリンアナログ、例えば、ミトキサントロン、アクチノマイシンD、トポイソメラーゼ阻害剤(例えば、非挿入性トポイソメラーゼ阻害剤、例えば、エピポドフィロトキシン(エトポシド又はVP16、テニポシド又はVM-26))、PARP阻害剤、ポドフィロトキシン(podophylotoxin)、ブレオマイシン(Blea)、ペプレオマイシン(pepleomycin)など、白金誘導体を含む核酸との付加物を形成する化合物、例えば、シスプラチン(CDDP)、シスプラチンのトランスアナログ、カルボプラチン、イプロプラチン、テトラプラチン及びオキサリプラチン、並びにカンプトテシン、トポテカン、イリノテカン(CPT-11)、及びSN-38もある。放射線、例えば、紫外(UV)、赤外(IR)、又はα-、β-、若しくはγ-線もDNA損傷剤である。
いくつかの実施形態において、標準治療法は、DNA架橋剤などのDNA損傷剤を含む。
小胞体(ER)ストレスを誘導する薬剤も、本開示の化合物と組み合わせて使用できる。ERストレスを誘導する薬剤の非限定的な例としては、活性酸素種(ROS)のレベルを増加させる薬剤(例えば、ナパブカシン)、シャペロン阻害剤、HSP90阻害剤、HSP70阻害剤、PDI阻害剤及びプロテアソーム阻害剤がある。ERストレスを誘導する薬剤のさらなる非限定的な例としては、GSK2606414、GSK2656157、STF-083010、TKI(例えば、ソラフェニブ)、phosphor-eif2αホスファターゼ(例えば、Sal003)、ジインドリルメタン誘導体、プロテアソーム阻害剤(例えば、ボルテゾミブ)、レビストリドA、アンドログラホリド、トルフェナム酸、カンタリジン、カルノシン酸、カスチシン、クリプトタンシノン、クルクミン、フラボカワインB、フコイダン、2-3,4-ジヒドロキシフェニルエタノール、7-ジメトキシフラボン、SMIP004(N-(4-ブチル-2-メチル-フェニルアセトアミド)、リコカルコンA、ネフェリン、ペオノール、パラダキシン、パルテノリド、ピペリン、ポリフェノンE、ポリフィリンD、レスベラトロール、デヒドロコスツスラクトン、γ-トコトリエノール、Ω-ヒドロキシウンデカ-9-エン酸、アンペロプシン、アルジシアノン、ゲニステイン、グッチフェロンH、ググルステロン、マルカンチンM、サルササポゲニン、サキシフラギフォリン、プロジギオシン、クェルセチン、ホノキオール、ブレフェルジンA、A-トコフェリルスクシナート、ベルカリンA、ビタミンEスクシナート、超微細及びゼルンボンがある。例えば、内容全体が参照により本明細書に組み込まれるWalczak,A.,et al.Oxidative Medicine and Cellular Longevity Volume 2019,Article ID 5729710を参照されたい。
本開示の化合物と組み合わせて使用するための特に興味深い抗癌剤としては下記がある:
イリノテカン、トポテカン、及びカンプトテシンなどのI型トポイソメラーゼ阻害剤並びにエトポシド、ドキソルビシン、及びエピルビシンなどの2型トポイソメラーゼ阻害剤を含むトポイソメラーゼ阻害剤。
オラパリブ、ルカパリブ、ニラパリブ、タラゾパリブ、ベリパリブ、パミパリブ及びイニパリブなどのポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(PARP)阻害剤。
シスプラチン、カルボプラチン及びオキサリプラチンなどのDNA架橋剤。
ナパブカシンなど、活性酸素種(ROS)のレベルを増加させる薬剤。
オラパリブ、ルカパリブ、ニラパリブ、ベリパリブ及びタラゾパリブなどのPARP阻害剤。
ペメトレキセド(Alimta(登録商標))、ゲムシタビン(Gemzar(登録商標))、5-フルオロウラシル(Adrucil(登録商標)、Carac(登録商標)、及びEfudex(登録商標))、メトトレキサート(Trexall(登録商標))、カペシタビン(Xeloda(登録商標))、フロクスウリジン(FUDR(登録商標))、デシタビン(Dacogen(登録商標))、アザシチジン(Vidaza(登録商標)及びAzadine(登録商標))、6-メルカプトプリン(Purinethol(登録商標))、クラドリビン(Leustatin(登録商標)、Litak(登録商標)、及びMovectro(登録商標))、フルダラビン(Fludara(登録商標))、ペントスタチン(Nipent(登録商標))、ネララビン(Arranon(登録商標))、クロファラビン(Clolar(登録商標)及びEvoltra(登録商標))、及びシタラビン(Cytosar(登録商標))などのデノボプリン合成のプリン代謝拮抗剤及び/又は阻害剤。
マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)阻害剤(例えば、MMP-2阻害剤、MMP-9阻害剤)、ラパマイシン、テムシロリムス(CCI-779)、エベロリムス(RAD001)、ソラフェニブ、スニチニブ及びベバシズマブなどの抗血管新生剤、並びにCELEBREX(商標)(アレコキシブ)、バルデコキシブ、ロフェコキシブなどのCOX-II阻害剤。有用なマトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤の例は、国際公開第96/33172号パンフレット(1996年10月24日に公開)、国際公開第96/27583号パンフレット(1996年3月7日に公開)、欧州特許出願第97304971.1号明細書(1997年7月8日に出願)、欧州特許出願第99308617.2号明細書(1999年10月29日に出願)、国際公開第98/07697号パンフレット(1998年2月26日に公開)、国際公開第98/03516号パンフレット(1998年1月29日に公開)、国際公開第98/34918号パンフレット(1998年8月13日に公開)、国際公開第98/34915号パンフレット(1998年8月13日に公開)、国際公開第98/33768号パンフレット(1998年8月6日に公開)、国際公開第98/30566号パンフレット(1998年7月16日に公開)、欧州特許公報606,046号明細書(1994年7月13日に公開)、欧州特許公報931,788号明細書(1999年7月28日に公開)、国際公開第90/05719号パンフレット(1990年5月31日に公開)、国際公開第99/52910号パンフレット(1999年10月21日に公開)、国際公開第99/52889号パンフレット(1999年10月21日に公開)、国際公開第99/29667号パンフレット(1999年6月17日に公開)、PCT国際出願第PCT/IB98/01113号パンフレット(1998年7月21日に出願)、欧州特許出願第99302232.1号明細書(1999年3月25日に出願)、英国特許出願第9912961.1号明細書(1999年6月3日に出願)、米国仮特許出願第60/148,464号明細書(1999年8月12日に出願)、米国特許第5,863,949号明細書(1999年1月26日に発行)、米国特許第5,861,510号明細書(1999年1月19日に発行)、及び欧州特許公報第780,386号明細書(1997年6月25日に公開)に記載されており、その全ては参照により全体として本明細書に組み込まれている。MMP-2及び/又はMMP-9阻害剤の実施形態としては、MMP-1を阻害する活性がほとんど又は全くないものがある。他の実施形態としては、他のマトリックスメタロプロテイナーゼ(すなわち、MMP-1、MMP-3、MMP-4、MMP-5、MMP-6、MMP-7、MMP-8、MMP-10、MMP-11、MMP-12、及び/又はMMP-13)に対してMMP-2及び/又はMMP-9を選択的に阻害するMMP阻害剤がある。いくつかの実施形態において有用なMMP阻害剤の具体例は、AG-3340、RO 323555、及びRS 13-0830を含む。
オートファジー阻害剤としては、例えば、クロロキン、3-メチルアデニン、ヒドロキシクロロキン(Plaquenil(商標))、バフィロマイシンA1、5-アミノ-4-イミダゾールカルボキサミドリボシド(AICAR)、オカダ酸、2A型又は1型のタンパク質ホスファターゼを阻害するオートファジー抑制性藻類毒素、cAMPのアナログ、並びにアデノシン、LY204002、N6-メルカプトプリンリボシド及びビンブラスチンなど、cAMPレベルを上昇させる薬物、同様に、ATG5(オートファジーに関与している)を含むがこれに限定されないタンパク質の発現を阻害するアンチセンス又はsiRNA。
ベネトクラクスなどの、B細胞リンパ腫2(BCL-2)阻害剤。
B細胞受容体シグナル伝達アンタゴニスト、例えば、ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害剤(例えば、イブルチニブ)。
ブロモドメイン阻害剤。ブロモドメイン阻害剤は、Brd2、Brd3、Brd4、及び/又はBrdTなどの少なくとも1種のブロモドメインタンパク質、例えばBrd4を阻害する。非限定的な例において、ブロモドメイン阻害剤は、JQ-1(Nature 2010 Dec 23;468(7327):1067-73)、BI2536(ACS Chem.Biol.2014 May 16;9(5):1160-71;Boehringer Ingelheim)、TG101209(ACS Chem.Biol.2014 May 16;9(5):1160-71)、OTX015(Mol.Cancer Ther.November 201312;C244;Oncoethix)、IBET762(J Med Chem.2013 Oct 10;56(19):7498-500;GlaxoSmithKline)、IBET151(Bioorg.Med.Chem.Lett.2012 Apr 15;22(8):2968-72;GlaxoSmithKline)、PFI-1(J.Med.Chem.2012 Nov 26;55(22):9831-7;Cancer Res.2013 Jun 1;73(11):3336-46;Structural Genomics Consortium)、CPI-0610(Constellation Pharmaceuticals)を含む。いくつかの実施形態において、ブロモドメイン阻害剤は、TG101209、BI2536、OTX015、C244、IBET762、IBET151、又はPFI-1である。
ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤。HDACタンパク質は、酵母のHDACタンパク質への相同性に基づいて数クラスに分類され得て、クラスIは、HDAC1、HDAC2、HDAC3、及びHDAC8で構成され;クラスIIaは、HDAC4、HDAC5、HDAC7、及びHDAC9で構成され;クラスIIbは、HDAC6及びHDAC10で構成され;クラスIVはHDAC11で構成される。HDAC阻害剤は、トリコスタチンA、ボリノスタット(Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.1998 Mar 17;95(6):3003-7)、ジビノスタット、アベキシノスタット(Mol.Cancer Ther.2006 May;5(5):1309-17)、ベリノスタット(Mol.Cancer Ther.2003 Aug;2(8):721-8)、パノビノスタット(Clin.Cancer Res.2006 Aug 1;12(15):4628-35)、レスミノスタット(Clin.Cancer Res.2013 Oct 1;19(19):5494-504)、キジノスタット(Clin.Cancer Res.2013 Aug 1;19(15):4262-72)、デプシペプチド(Blood.2001 Nov 1;98(9):2865-8)、エンチノスタット(Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.1999 Apr 13;96(8):4592-7)、モセチノスタット(Bioorg.Med.Chem.Lett.2008 Feb 1;18(3):106771)、及びバルプロ酸(EMBO J.2001 Dec 17;20(24):6969-78)を含む。いくつかの実施形態において、HDAC阻害剤は、パノビノスタット、ボリノスタット、MS275、ベリノスタット、又はSAHA又はLBH589である。
エルロチニブ、オシメルチニブ、セツキシマブ、ゲフィチニブ、ネシツムマブ、ラパチニブ、ネラチニブ、パニツムマブ、バンデタニブ、及びネシツムマブなどの、上皮成長因子受容体チロシンキナーゼ(EGFR)阻害剤。本明細書に記載される化合物とEGFR阻害剤の組合せは、例えば、非小細胞肺癌(NSCLC)、膵臓癌、乳癌、及び結腸癌など、EGFR調節不全に関連する癌の治療において有用であり得る。EGFRは、例えば、エクソン18、19、20、又は21における活性化突然変異により調節不全であり得る。特定の実施形態において、EGFR阻害剤は、エルロチニブ又はオシメルチニブである。特定の実施形態において、本開示の化合物とEGFR阻害剤の組合せは、EGFR変異NSCLCを治療するために使用される。特定の実施形態において、本開示の化合物とEGFR阻害剤の組合せは、EGFR阻害剤耐性癌を治療するために使用され、例えば、本開示の化合物は、EGFR阻害剤に対する癌の感受性を高めた。
EGFR抗体、例えばセツキシマブ(Erbitux(登録商標))。
メチルチオアデノシンホスホリラーゼ(MTAP)阻害剤、例えば(3R,4S)-1-((4-アミノ-5H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-7-イル)メチル)-4-((メチルチオ)メチル)ピロリジン-3-オール(MT-DADMe-イムシリン-A、CAS 653592-04-2)。
メチルチオアデノシン((2R,3R,4S,5S)-2-(6-アミノ-9H-プリン-9-イル)-5-((メチルチオ)メチル)テトラヒドロフラン-3,4-ジオール、CAS 2457-80-9)。
上皮成長因子受容体(EGFR)阻害剤、例えばエルロチニブ塩酸塩(Tarceva(登録商標))及びゲフィトニブ(gefitnib)(Iressa(登録商標))。
カプマチニブ(INC280、CAS1029712-80-8)などの間葉上皮移行(MET)阻害剤。
血小板由来成長因子(PDGF)受容体阻害剤、例えばイマチニブ(Gleevec(登録商標));リニファニブ(N-[4-(3-アミノ-1H-インダゾール-4-イル)フェニル]-N’-(2-フルオロ-5-メチルフェニル)尿素、別名ABT 869、Genentechから利用可能);スニチニブリンゴ酸塩(Sutent(登録商標));キザルチニブ(AC220、CAS 950769-58-1);パゾパニブ(Votrient(登録商標));アキシチニブ(Inlyta(登録商標));ソラフェニブ(Nexavar(登録商標));vargatef(BIBF1120、CAS 928326-83-4);テラチニブ(BAY57-9352、CAS 332012-40-5);バタラニブ二塩酸塩(PTK787、CAS 212141-51-0);及びモテサニブ二リン酸塩(AMG706、CAS 857876-30-3、N-(2,3-ジヒドロ-3,3-ジメチル-1H-インドール-6-イル)-2-[(4-ピリジニルメチル)アミノ]-3-ピリジンカルボキサミド、PCT公報国際公開第02/066470号パンフレットに記載)。
ホスホイノシチド3-キナーゼ(PI3K)阻害剤、例えば4-[2-(1H-インダゾール-4-イル)-6-[[4-(メチルスルホニル)ピペラジン-1-イル]メチル]チエノ[3,2-d]ピリミジン-4-イル]モルホリン(GDC 0941としても知られ、PCT公報国際公開第09/036082号パンフレット及び国際公開第09/055730号パンフレットに記載);4-(トリフルオロメチル)-5-(2,6-ジモルホリノピリミジン-4-イル)ピリジン-2-アミン(BKM120又はNVP-BKM120としても知られ、PCT公報国際公開第2007/084786号パンフレットに記載);アルペリシブ(BYL719):(5Z)-5-[[4-(4-ピリジニル)-6-キノリニル]メチレン]-2,4-チアゾリジンジオン(GSK1059615、CAS 958852-01-2);5-[8-メチル-9-(1-メチルエチル)-2-(4-モルホリニル)-9H-プリン-6-イル]-2-ピリミジンアミン(VS-5584、CAS 1246560-33-7);及びエベロリムス(AFINITOR(登録商標))。
サイクリン依存性キナーゼ(CDK)阻害剤、例えばリボシクリブ(LEE011、CAS 1211441-98-3);アロイシンA;アルボシジブ(フラボピリドール又はHMR-1275、2-(2-クロロフェニル)-5,7-ジヒドロキシ-8-[(3S,4R)-3-ヒドロキシ-1-メチル-4-ピペリジニル]-4-クロメノンとしても知られ、米国特許第5,621,002号明細書に記載);クリゾチニブ(PF-02341066、CAS 877399-52-5);2-(2-クロロフェニル)-5,7-ジヒドロキシ-8-[(2R,3S)-2-(ヒドロキシメチル)-1-メチル-3-ピロリジニル]-4H-1-ベンゾピラン-4-オン、塩酸塩(P276-00、CAS 920113-03-7);1-メチル-5-[[2-[5-(トリフルオロメチル)-1H-イミダゾール-2-イル]-4-ピリジニル]オキシ]-N-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-1H-ベンゾイミダゾール-2-アミン(RAF265、CAS 927880-90-8);インジスラム(E7070);ロスコビチン(CYC202);6-アセチル-8-シクロペンチル-5-メチル-2-(5-ピペラジン-1-イル-ピリジン-2-イルアミノ)-8H-ピリド[2,3-d]ピリミジン-7-オン、塩酸塩(PD0332991);ディナシクリブ(SCH727965);N-[5-[[(5-tert-ブチルオキサゾール-2-イル)メチル]チオ]チアゾール-2-イル]ピペリジン-4-カルボキサミド(BMS 387032、CAS 345627-80-7);4-[[9-クロロ-7-(2,6-ジフルオロフェニル)-5H-ピリミド[5,4-d]ベンザゼピン-2-イル]アミノ]-安息香酸(MLN8054、CAS 869363-13-3);5-[3-(4,6-ジフルオロ-1H-ベンゾイミダゾール-2-イル)-1H-インダゾール-5-イル]-N-エチル-4-メチル-3-ピリジンメタンアミン(AG-024322、CAS 837364-57-5);4-(2,6-ジクロロベンゾイルアミノ)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸N-(ピペリジン-4-イル)アミド(AT7519、CAS 844442-38-2);4-[2-メチル-1-(1-メチルエチル)-1H-イミダゾール-5-イル]-N-[4-(メチルスルホニル)フェニル]-2-ピリミジンアミン(AZD5438、CAS 602306-29-6);パルボシクリブ(PD-0332991);及び(2R,3R)-3-[[2-[[3-[[S(R)]-S-シクロプロピルスルホンイミドイル]-フェニル]アミノ]-5-(トリフルオロメチル)-4-ピリミジニル]オキシ]-2-ブタノール(BAY 10000394)。
p53-MDM2阻害剤、例えば(S)-1-(4-クロロ-フェニル)-7-イソプロポキシ-6-メトキシ-2-(4-{メチル-[4-(4-メチル-3-オキソ-ピペラジン-1-イル)-trans-シクロヘキシルメチル]-アミノ}-フェニル)-1,4-ジヒドロ-2H-イソキノリン-3-オン、(S)-5-(5-クロロ-1-メチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-ピリジン-3-イル)-6-(4-クロロ-フェニル)-2-(2,4-ジメトキシ-ピリミジン-5-イル)-1-イソプロピル-5,6-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-d]イミダゾール-4-オン、[(4S,5R)-2-(4-tert-ブチル-2-エトキシフェニル)-4,5-ビス(4-クロロフェニル)-4,5-ジメチルイミダゾール-1-イル]-[4-(3-メチルスルホニルプロピル)ピペラジン-1-イル]メタノン(RG7112)、4-[[(2R,3S,4R,5S)-3-(3-クロロ-2-フルオロフェニル)-4-(4-クロロ-2-フルオロフェニル)-4-シアノ-5-(2,2-ジメチルプロピル)ピロリジン-2-カルボニル]アミノ]-3-メトキシ安息香酸(RG7388)、SAR299155、2-((3R,5R,6S)-5-(3-クロロフェニル)-6-(4-クロロフェニル)-1-((S)-1-(イソプロピルスルホニル)-3-メチルブタン-2-イル)-3-メチル-2-オキソピペリジン-3-イル)酢酸(AMG232)、{(3R,5R,6S)-5-(3-クロロフェニル)-6-(4-クロロフェニル)-1-[(2S,3S)-2-ヒドロキシ-3-ペンタニル]-3-メチル-2-オキソ-3-ピペリジニル}酢酸(AM-8553)、(±)-4-[4,5-ビス(4-クロロフェニル)-2-(2-イソプロポキシ-4-メトキシ-フェニル)-4,5-ジヒドロ-イミダゾール-1-カルボニル]-ピペラジン-2-オン(ヌトリン-3)、2-メチル-7-[フェニル(フェニルアミノ)メチル]-8-キノリノール(NSC 66811)、1-N-[2-(1H-インドール-3-イル)エチル]-4-N-ピリジン-4-イルベンゼン-1,4-ジアミン(JNJ-26854165)、4-[4,5-ビス(3,4-クロロフェニル)-2-(2-イソプロポキシ-4-メトキシ-フェニル)-4,5-ジヒドロ-イミダゾール-1-カルボキシル]-ピペラジン-2-オン(Caylin-1)、4-[4,5-ビス(4-トリフルオロメチル-フェニル)-2-(2-イソプロポキシ-4-メトキシ-フェニル)-4,5-ジヒドロ-イミダゾール-1-カルボキシル]-ピペラジン-2-オン(Caylin-2)、5-[[3-ジメチルアミノ)プロピル]アミノ]-3,10-ジメチルピリミド[4,5-b]キノリン-2,4(3H,10H)-ジオン二塩酸塩(HLI373)、及びtrans-4-ヨード-4’-ボラニル-カルコン(SC204072)。
マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MEK)阻害剤、例えばXL-518(GDC-0973としても知られ、CAS番号1029872-29-4、ACC Corp.から利用可能);セルメチニブ(5-[(4-ブロモ-2-クロロフェニル)アミノ]-4-フルオロ-N-(2-ヒドロキシエトキシ)-1-メチル-1H-ベンゾイミダゾール-6-カルボキサミド、AZD6244又はARRY 142886としても知られ、PCT公報国際公開第2003/077914号パンフレットに記載);2-[(2-クロロ-4-ヨードフェニル)アミノ]-N-(シクロプロピルメトキシ)-3,4-ジフルオロ-ベンズアミド(CI-1040又はPD184352としても知られ、PCT公報国際公開第2000/035436号パンフレットに記載);N-[(2R)-2,3-ジヒドロキシプロポキシ]-3,4-ジフルオロ-2-[(2-フルオロ-4-ヨードフェニル)アミノ]-ベンズアミド(PD0325901としても知られ、PCT公報国際公開第2002/006213号パンフレットに記載);2,3-ビス[アミノ[(2-アミノフェニル)チオ]メチレン]-ブタンジニトリル(U0126としても知られ、米国特許第2,779,780号明細書に記載);N-[3,4-ジフルオロ-2-[(2-フルオロ-4-ヨードフェニル)アミノ]-6-メトキシフェニル]-1-[(2R)-2,3-ジヒドロキシプロピル]-シクロプロパンスルホンアミド(RDEA119又はBAY869766としても知られ、PCT公報国際公開第2007/014011号パンフレットに記載);(3S,4R,5Z,8S,9S,11E)-14-(エチルアミノ)-8,9,16-トリヒドロキシ-3,4-ジメチル-3,4,9;19-テトラヒドロ-1H-2-ベンゾキサシクロテトラデシン-1,7(8H)-ジオン](E6201としても知られ、PCT公報国際公開第2003/076424号パンフレットに記載);2’-アミノ-3’-メトキシフラボン(PD98059としても知られ、Biaffin GmbH & Co.,KG,Germanyから利用可能);(R)-3-(2,3-ジヒドロキシプロピル)-6-フルオロ-5-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)-8-メチルピリド[2,3-d]ピリミジン-4,7(3H,8H)-ジオン(TAK-733、CAS 1035555-63-5);ピマセルチブ(AS-703026、CAS 1204531-26-9);トラメチニブジメチルスルホキシド(GSK-1120212、CAS 1204531-25-80);2-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)-N-(2-ヒドロキシエトキシ)-1,5-ジメチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリジン-3-カルボキサミド(AZD 8330);3,4-ジフルオロ-2-[(2-フルオロ-4-ヨードフェニル)アミノ]-N-(2-ヒドロキシエトキシ)-5-[(3-オキソ-[1,2]オキサジナン-2-イル)メチル]ベンズアミド(CH 4987655又はRo 4987655);及び5-[(4-ブロモ-2-フルオロフェニル)アミノ]-4-フルオロ-N-(2-ヒドロキシエトキシ)-1-メチル-1H-ベンゾイミダゾール-6-カルボキサミド(MEK162)。
B-RAF阻害剤、例えばレゴラフェニブ(BAY73-4506、CAS 755037-03-7);ツビザニブ(tuvizanib)(AV951、CAS 475108-18-0);ベムラフェニブ(ZELBORAF(登録商標)、PLX-4032、CAS 918504-65-1);エンコラフェニブ(別名LGX818);1-メチル-5-[[2-[5-(トリフルオロメチル)-1H-イミダゾール-2-イル]-4-ピリジニル]オキシ]-N-[4-(トリフルオロメチル)フェニル-1H-ベンゾイミダゾール-2-アミン(RAF265、CAS 927880-90-8);5-[1-(2-ヒドロキシエチル)-3-(ピリジン-4-イル)-1H-ピラゾール-4-イル]-2,3-ジヒドロインデン-1-オンオキシム(GDC-0879、CAS 905281-76-7);5-[2-[4-[2-(ジメチルアミノ)エトキシ]フェニル]-5-(4-ピリジニル)-1H-イミダゾール-4-イル]-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オンオキシム(GSK2118436又はSB590885);(±)-メチル(5-(2-(5-クロロ-2-メチルフェニル)-1-ヒドロキシ-3-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-1-イル)-1H-ベンゾイミダゾール-2-イル)カルバメート(別名XL-281及びBMS908662);ダブラフェニブ(TAFINLAR(登録商標))、及びN-(3-(5-クロロ-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-3-カルボニル)-2,4-ジフルオロフェニル)プロパン-1-スルホンアミド(別名PLX4720)。
ALK阻害剤、例えばクリゾチニブ(XALKORI(登録商標))。
PIMキナーゼ阻害剤、例えば:
Figure 2024529485000012
又はその薬学的に許容できる塩。
例えば多発性骨髄腫の治療のための、ボルテゾミブ(VELCADE(登録商標))、N-5-ベンジルオキシカルボニル-Ile-Glu(O-tert-ブチル)-Ala-ロイシナール(PSI)、カーフィルゾミブ及びイキサゾミブ、マリゾミブ(NPI-0052)、デランゾミブ(CEP-18770)、及びO-メチル-N-[(2-メチル-5-チアゾリル)カルボニル]-L-セリル-O-メチル-N-[(1S)-2-[(2R)-2-メチル-2-オキシラニル]-2-オキソ-1-(フェニルメチル)エチル]-L-セリンアミド(オプロゾミブ、ONX-0912、PR-047)(例えば、ボルテゾミブ)などの、プロテアソーム阻害剤。
多くの化学療法剤を本開示の化合物と組合せて使用することができる。いくつかの実施形態において、化学療法剤は、有糸分裂阻害剤(例えば、パクリタキセル、ナブパクリタキセル)、アルキル化剤、代謝拮抗物質、挿入性抗生物質(intercalating antibiotics)、成長因子阻害剤、細胞周期阻害剤、酵素、トポイソメラーゼ阻害剤、生体応答修飾物質、抗ホルモン剤、血管新生阻害剤、及び抗アンドロゲン剤からなる群から選択される。
本開示の化合物と組合せて(例えば、併用療法において、医薬組合せにおいて)使用するための化学療法剤の非限定的な例としては、アルキル化剤、例えば、チオテパ及びシクロスホスファミド(cyclosphosphamide(CYTOXAN(登録商標));スルホン酸アルキル、例えば、ブスルファン、インプロスルファン、及びピポスルファン;アジリジン、例えば、ベンゾドパ(benzodopa)、カルボクオン、メツレドパ(meturedopa)、及びウレドパ(uredopa);エチレンイミン及びメチラメラミン(methylamelamines)、例えば、アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホラミド、トリエチレンチオホスファオラミド(triethylenethiophosphaoramide)及びトリメチローロメラミン(trimethylolomelamine);ナイトロジェンマスタード、例えば、クロラムブシル、クロルナファジン、コロホスファミド(cholophosphamide)、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシド塩酸塩、メルファラン、ノベンビシン(novembichin)、フェネステリン、プレドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタード;ニトロスウレア(nitrosureas)、例えば、カルムスチン、クロロゾトシン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、ラニムスチン;抗生物質、例えば、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、アウスラマイシン(authramycin)、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カリケアミシン、カラビシン(carabicin)、カルミノマイシン、カルジノフィリン、Casodex(登録商標)、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルチェロマイシン、マイトマイシン、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン(potfiromycin)、ピューロマイシン、ケラマイシン(quelamycin)、ロドルビシン(rodorubicin)、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシン;代謝拮抗物質、例えばメトトレキサート及び5-フロオロウラシル(5-FU);葉酸アナログ、例えば、デノプテリン、メトトレキサート、プテロプテリン、トリメトレキサート;プリンアナログ、例えば、フルダラビン、6メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニン;ピリミジンアナログ、例えば、アンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジン、アンドロゲン、例えば、カルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトン;抗副腎剤、例えば、アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタン;フロリン酸(frolinic acid)などの葉酸補給剤;アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトレキサート(edatraxate);デフォファミン(defofamine);デメコルシン;ジアジクオン;エルフォミチン(elfomithine);エリプチニウム酢酸塩;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシウレア;レンチナン;ロニダミン;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダモール;ニトラクリン;ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ポドフィリン酸;2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK.RTM.;ラゾキサン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジクオン;2,2’,2”-トリクロロトリエチルアミン;ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン(gacytosine);アラビノシド(「Ara-C」);シクロホスファミド;チオテパ;タキサン、例えば、パクリタキセル(TAXOL(商標)、Bristol-Myers Squibb Oncology,Princeton,N.J.)、ドセタキセル(TAXOTERE(商標)、Rhone-Poulenc Rorer,Antony,France)及びカバジタキセル(JEVTANA,Sanofi Genzyme);レチノイン酸;エスペラミシン;カペシタビン;及び上記のもののいずれかの薬学的に許容できる塩、酸、又は誘導体がある。本開示の化合物と組合せて(例えば、併用療法において、医薬組合せにおいて)使用するための化学療法剤のさらなる非限定的な例としては、ボルテゾミブ、カペシタビン(Xeloda(登録商標))、N4-ペントキシカルボニル-5-デオキシ-5-フルオロシチジン、カルボプラチン(Paraplatin(登録商標))、シスプラチン(Platinol(登録商標))、クラドリビン(Leustatin(登録商標))、シクロホスファミド(Cytoxan(登録商標)又はNeosar(登録商標))、シタラビン、シトシンアラビノシド(Cytosar-U(登録商標))、シタラビンリポソーム注射液(DepoCyt(登録商標))、ダカルバジン(DTIC-Dome(登録商標))、ドキソルビシン塩酸塩(Adriamycin(登録商標)、Rubex(登録商標))、エルロチニブ、フルダラビンリン酸エステル(Fludara(登録商標))、5-フロオロウラシル(Adrucil(登録商標)、Efudex(登録商標))、FOLFIRINOX、ゲムシタビン(ジフルオロデオキシシチジン)、イリノテカン(Camptosar(登録商標))、L-アスパラギナーゼ(ELSPAR(登録商標))、6-メルカプトプリン(Purinethol(登録商標))、メトトレキサート(Folex(登録商標))、ナブパクリタキセル、ペントスタチン、6-チオグアニン、チオテパ、及び注射用トポテカン塩酸塩(Hycamptin(登録商標))がある。本開示の化合物と組合せて(例えば、併用療法において、医薬組合せにおいて)使用するための化学療法剤のなおさらなる非限定的な例としては、エルロチニブ、アファチニブ、ゲフィチニブ、GDC0941、MLN1117、BYL719(アルペリシブ)、BKM120(ブパルリシブ)、CYT387、GLPG0634、バリシチニブ、レスタウルチニブ、モメロチニブ、パクリチニブ、ルキソリチニブ、TG101348、クリゾチニブ、チバンチニブ、AMG337、カボザンチニブ、フォレチニブ、オナルツズマブ、NVP-AEW541、ダサチニブ、ポナチニブ、サラカチニブ、ボスチニブ、トラメチニブ、セルメチニブ、コビメチニブ、PD0325901、RO5126766、アキシチニブ、ベバシズマブ、セツキシマブ、フォスタマチニブ、イマチニブ、ラパチニブ、レンバチニブ、イブルチニブ、ニロチニブ、パニツムマブ、パゾパニブ、ペガプタニブ、ラニビズマブ、ソラフェニブ、スニチニブ、SU6656、トラスツズマブ、トファシチニブ、バンデタニブ、ベムラフェニブ、イリノテカン、タキソール、ドセタキセル、ラパマイシン又はMLN0128がある。本開示の化合物と組み合わせて(例えば、併用療法において、医薬組合せにおいて)使用するための化学療法剤のさらなる非限定的な例としては、カペシタビン(Xeloda(登録商標))、N4-ペントキシカルボニル-5-デオキシ-5-フルオロシチジン、カルボプラチン(Paraplatin(登録商標))、シスプラチン(Platinol(登録商標))、クラドリビン(Leustatin(登録商標))、シクロホスファミド(Cytoxan(登録商標)又はNeosar(登録商標))、シタラビン、シトシンアラビノシド(Cytosar-U(登録商標))、シタラビンリポソーム注射液(DepoCyt(登録商標))、ダカルバジン(DTIC-Dome(登録商標))、ドキソルビシン塩酸塩(Adriamycin(登録商標)、Rubex(登録商標))、フルダラビンリン酸エステル(Fludara(登録商標))、5-フロオロウラシル(Adrucil(登録商標)、Efudex(登録商標))、ゲムシタビン(ジフルオロデオキシシチジン)、イリノテカン(Camptosar(登録商標))、L-アスパラギナーゼ(ELSPAR(登録商標))、6-メルカプトプリン(Purinethol(登録商標))、メトトレキサート(Folex(登録商標))、ペントスタチン、6-チオグアニン、チオテパ、及び注射用トポテカン塩酸塩(Hycamptin(登録商標))がある。
一般に処方される抗癌剤も、本開示の化合物と組合せて使用することができる。通常処方される抗癌薬の非限定的な例としては、Herceptin(登録商標)、Avastin(登録商標)、Erbitux(登録商標)、Rituxan(登録商標)、Taxol(登録商標)、Arimidex(登録商標)、Taxotere(登録商標)、ABVD、AVICINE、アバゴボマブ、アクリジンカルボキサミド、アデカツムマブ、17-N-アリルアミノ-17-デメトキシゲルダナマイシン、アルファラディン、アルボシジブ、3-アミノピリジン-2-カルボキシアルデヒドチオセミカルバゾン、アモナフィド、アントラセンジオン、抗CD22免疫毒素、抗新生物薬、抗腫瘍性ハーブ、アパジコン、アチプリモド、アザチオプリン、ベロテカン、ベンダムスチン、BIBW 2992、ビリコダル、ブロスタリシン、ブリオスタチン、ブチオニンスルホキシミン、CBV(化学療法)、カリクリン、細胞周期非特異的抗新生物剤、ジクロロ酢酸、ディスコデルモライド、エルサミトルシン、エノシタビン、エポチロン、エリブリン、エベロリムス、エキサテカン、エクシスリンド、フェルギノール、フォロデシン、ホスフェストロール、ICE化学療法レジメン、IT-101、イメキソン、イミキモド、インドロカルバゾール、イロフルベン、ラニキダル、ラロタキセル、レナリドミド、ルカントン、ルルトテカン、マホスファミド、ミトゾロミド、ナフォキシジン、ネダプラチン、オラパリブ、オルタタキセル、PAC-1、ポポー、ピキサントロン、プロテアソーム阻害剤、レベッカマイシン、レシキモド、ルビテカン、SN-38、サリノスポラミドA、サパシタビン、スタンフォードV、スワインソニン、タラポルフィン、タリキダル、テガフール-ウラシル、テモダール、テセタキセル、四硝酸トリプラチン、トリス(2-クロロエチル)アミン、トロキサシタビン、ウラムスチン、バディメザン、ビンフルニン、ZD6126、又はゾスキダルがある。
化学療法用細胞調整剤も、本開示の化合物と組合せて使用することができる。化学療法細胞調整剤の非限定的な例は、例えばタモキシフェン、(Nolvadex(商標))、ラロキシフェン、4(5)-イミダゾールを阻害するアロマターゼ、4-ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、LY 117018、オナプリストン、及びトレミフェン(Fareston)を含む抗エストロゲン剤;並びに、フルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、ロイプロリド、及びゴセレリンなどの抗アンドロゲン剤など、腫瘍に対するホルモン作用を調節又は阻害するように作用する抗ホルモン剤;クロラムブシル;ゲムシタビン;6-チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキサート;シスプラチン及びカルボプラチンなどの白金アナログ;ビンブラスチン;白金;エトポシド(VP-16);イホスファミド;マイトマイシンC;ミトキサントロン;ビンクリスチン;ビノレルビン;ナベルビン;ノバントロン;テニポシド;ダウノマイシン;アミノプテリン;xeloda;イバンドロネート;カンプトテシン-11(CPT-11);トポイソメラーゼ阻害剤RFS 2000;及びジフルオロメチルオルニチン(DMFO)を含む。
mTOR阻害剤も、本開示の化合物と組合せて使用できる。mTOR阻害剤の非限定的な例としては、例えば、テムシロリムス;リダホロリムス(以前はデフェロリムス(deferolimus)として知られていた、(1R,2R,4S)-4-[(2R)-2[(1R,9S,12S,15R,16E,18R,19R,21R,23S,24E,26E,28Z,30S,32S,35R)-1,18-ジヒドロキシ-19,30-ジメトキシ-15,17,21,23,29,35-ヘキサメチル-2,3,10,14,20-ペンタオキソ-11,36-ジオキサ-4-アザトリシクロ[30.3.1.04,9]ヘキサトリアコンタ-16,24,26,28-テトラエン-12-イル]プロピル]-2-メトキシシクロヘキシルジメチルホスフィネート、AP23573及びMK8669としても知られ、PCT公報国際公開第03/064383号パンフレットに記載);エベロリムス(Afinitor(登録商標)又はRAD001);ラパマイシン(AY22989、Sirolimus(登録商標));シマピモド(simapimod)(CAS 164301-51-3);エムシロリムス(emsirolimus)、(5-{2,4-ビス[(3S)-3-メチルモルホリン-4-イル]ピリド[2,3-d]ピリミジン-7-イル}-2-メトキシフェニル)メタノール(AZD8055);2-アミノ-8-[trans-4-(2-ヒドロキシエトキシ)シクロヘキシル]-6-(6-メトキシ-3-ピリジニル)-4-メチル-ピリド[2,3-d]ピリミジン-7(8H)-オン(PF04691502、CAS 1013101-36-4);及びN-[1,4-ジオキソ-4-[[4-(4-オキソ-8-フェニル-4H-1-ベンゾピラン-2-イル)モルホリニウム-4-イル]メトキシ]ブチル]-L-アルギニルグリシル-L-α-アスパルチル-L-セリン-分子内塩(SF1126、CAS 936487-67-1)、及びXL765がある。
患者の一部は、投与の間又は後に、本開示の化合物及び/又は他の治療剤(例えば、抗癌剤)に対するアレルギー反応を経験し得る。したがって、抗アレルギー剤を、本開示の化合物及び/又は他の治療剤(例えば、抗癌剤)と組み合わせて投与して、アレルギー反応のリスクを最小限にすることができる。好適な抗アレルギー剤としては、コルチコステロイド(Knutson,S.,et al.,PLoS One,DOI:10.1371/journal.pone.0111840(2014))、例えば、デキサメタゾン(例えば、DECADRON(登録商標))、ベクロメタゾン(例えば、BECLOVENT(登録商標))、ヒドロコルチゾン(コルチゾン、ヒドロコルチゾンコハク酸エステルナトリウム、商標ALA-CORT(登録商標)で販売されているヒドロコルチゾンリン酸エステルナトリウム、ヒドロコルチゾンリン酸エステル、SOLU-CORTEF(登録商標)、HYDROCORT ACETATE(登録商標)及びLANACORT(登録商標))、プレドニゾロン(商標DELTA-CORTEL(登録商標)、ORAPRED(登録商標)、PEDIAPRED(登録商標)、及びPRELONE(登録商標)で販売)、プレドニゾン(商標DELTASONE(登録商標)、LIQUID RED(登録商標)、METICORTEN(登録商標)及びORASONE(登録商標)で販売)、メチルプレドニゾロン(別名6-メチルプレドニゾロン、メチルプレドニゾロン酢酸エステル、メチルプレドニゾロンコハク酸エステルナトリウム、商標DURALONE(登録商標)、MEDRALONE(登録商標)、MEDROL(登録商標)、M-PREDNISOL(登録商標)、及びSOLU-MEDROL(登録商標)で販売);抗ヒスタミン剤、例えば、ジフェンヒドラミン(例えば、BENADRYL(登録商標))、ヒドロキシジン、及びシプロヘプタジン;並びに気管支拡張剤、例えば、β-アドレナリン受容体アゴニスト、アルブテロール(例えば、PROVENTIL(登録商標))、及びテルブタリン(BRETHINE(登録商標))がある。
患者の一部は、本明細書に記載される化合物及び/又は他の治療剤(例えば、抗癌剤)の投与の間又は後に、悪心を経験し得る。したがって、鎮吐剤を、本開示の化合物及び/又は他の治療剤(例えば、抗癌剤)と組み合わせて使用して、悪心(上腹部)及び嘔吐を予防できる。好適な鎮吐剤としては、アプレピタント(EMEND(登録商標))、オンダンセトロン(ZOFRAN(登録商標))、グラニセトロンHCl(KYTRIL(登録商標))、ロラゼパム(ATIVAN(登録商標)、デキサメタゾン(DECADRON(登録商標))、プロクロルペラジン(COMPAZINE(登録商標))、カソピタント(REZONIC(登録商標)及びZUNRISA(登録商標))、及びこれらの組合せがある。
治療期間の間に経験される疼痛を緩和する医薬品が、多くの場合、患者をより快適にするために処方される。TYLENOL(登録商標)などの一般的な処方箋不要の鎮痛剤も、本開示の化合物及び/又は他の治療剤(例えば、抗癌剤)と組み合わせて使用できる。オピオイド鎮痛剤、例えば、ヒドロコドン/パラセタモール又はヒドロコドン/アセトアミノフェン(例えば、VICODIN(登録商標))、モルヒネ(例えば、ASTRAMORPH(登録商標)又はAVINZA(登録商標))、オキシコドン(例えば、OXYCONTIN(登録商標)又はPERCOCET(登録商標))、オキシモルホン塩酸塩(OPANA(登録商標))、及びフェンタニル(例えば、DURAGESIC(登録商標))は、中程度又は重度疼痛に有用であり得て、本開示の化合物及び/又は他の治療剤(例えば、抗癌剤)と組み合わせて使用できる。
免疫調節剤も、本開示の化合物と組合せて使用できる。免疫調節剤(例えば、癌免疫剤)の非限定的な例としては、アフツズマブ(ROCHE(登録商標)から利用可能);ペグフィルグラスチム(NEULASTA(登録商標));レナリドミド(CC-5013、REVLIMID(登録商標));サリドマイド(THALOMID(登録商標));アクチミド(CC4047);及びIRX-2(インターロイキン1、インターロイキン2、及びインターフェロンγを含むヒトサイトカインの混合物、CAS 951209-71-5、IRX Therapeuticsから利用可能)がある。
本開示の化合物と組合せて使用するための特に興味深い免疫調節剤としては下記がある。
チサゲンレクルユーセル(Novartis)、アキシカブタゲンシロルユーセル(Kite)、及びトシリズマブ(アトリズマブ;Roche)などの、キメラ抗原受容体T細胞(CAR-T)療法。
PD-1阻害剤、PD-L1阻害剤、細胞傷害性Tリンパ球関連モジュレーター(例えば、CTLA-4阻害剤)、LAG-3阻害剤、TIM-3阻害剤などの、免疫チェックポイント阻害剤。
PD-1阻害剤、例えば、ペムブロリズマブ(別名ランブロリズマブ、MK-3475、MK03475、SCH-900475、又はKEYTRUDA(登録商標))及び他の抗PD-1抗体(参照により全体として組み込まれるHamid,O.et al.(2013)New England Journal of Medicine 369(2):134-44、米国特許第8,354,509号明細書、及び国際公開第2009/114335号パンフレットに開示される通り)、ニボルマブ(別名MDX-1106、MDX-1106-04、ONO-4538、BMS-936558、又はOPDIVO(登録商標))及び他の抗PD-1抗体(参照により全体として組み込まれる米国特許第8,008,449号明細書及び国際公開第2006/121168号パンフレットに開示される通り)、セミプリマブ(LIBTAYO(登録商標))、スパルタリズマブ(PDR001)、ピジリズマブ(CureTech)、MEDI0680(Medimmune)、ドスタルリマブ(TSR-042)、PF-06801591(Pfizer)、シンチリマブ、トリパリマブ、チスレリズマブ(BGB-A317)、カムレリズマブ(INCSHR1210、SHR-1210)、AMP-224(Amplimmune)、CBT-501(CBT Pharmaceuticals)、CBT-502(CBT Pharmaceuticals)、JS001(Junshi Biosciences)、IBI308(Innovent Biologics)、INCSHR1210(Incyte)、別名SHR-1210(Hengrui Medicine)、BGBA317(Beigene)、BGB-108(Beigene)、BAT-I306(Bio-Thera Solutions)、GLS-010(Gloria Pharmaceuticals;WuXi Biologics)、AK103、AK104、AK105(Akesio Biopharma;Hangzhou Hansi Biologics;Hanzhong Biologics)、LZM009(Livzon)、HLX-10(Henlius Biotech)、MEDI0680(Medimmune)、PDF001(Novartis)、PF-06801591(Pfizer)、ピジリズマブ(CureTech)別名CT-011及び他の抗PD-1抗体(参照により全体として組み込まれるRosenblatt,J.et al.(2011)J Immunotherapy 34(5):409-18、米国特許第7,695,715号明細書、米国特許第7,332,582号明細書、及び米国特許第8,686,119号明細書に開示される通り)、REGN2810(Regeneron)及びTSR-042(Tesaro)別名ANB011、又はCS1003(CStone Pharmaceuticals)を含む。MEDI0680(Medimmune)は、AMP-514としても知られている。MEDI0680及び他の抗PD-1抗体は、参照により全体として組み込まれる米国特許第9,205,148号明細書及び国際公開第2012/145493号パンフレットに開示されている。さらなる公知の抗PD-1抗体分子としては、例えば、参照により全体として組み込まれる国際公開第2015/112800号パンフレット、国際公開第2016/092419号パンフレット、国際公開第2015/085847号パンフレット、国際公開第2014/179664号パンフレット、国際公開第2014/194302号パンフレット、国際公開第2014/209804号パンフレット、国際公開第2015/200119号パンフレット、米国特許第8,735,553号明細書、米国特許第7,488,802号明細書、米国特許第8,927,697号明細書、米国特許第8,993,731号明細書、及び米国特許第9,102,727号明細書に記載されるものがある。一実施形態において、PD-1阻害剤は、参照により全体として組み込まれる2015年7月30日に公開された「Antibody Molecules to PD-1 and Uses Thereof」という名称の米国特許出願公開第2015/0210769号明細書に記載される抗PD-1抗体分子である。一実施形態において、抗PD-1抗体分子は、米国特許出願公開第2015/0210769号明細書に開示されるBAP049-Clone-E又はBAP049-Clone-BのCDR、可変領域、重鎖、及び/又は軽鎖を含む。本明細書に記載される抗体分子は、参照により全体として組み込まれる米国特許出願公開第2015/0210769号明細書に記載されるベクター、宿主細胞、及び方法により製造できる。一実施形態において、PD-1阻害剤は、例えば、参照により全体として組み込まれる米国特許第8,907,053号明細書に記載されるPD-1シグナル伝達経路を阻害するペプチドである。一実施形態において、PD-1阻害剤は、イムノアドヘシン(例えば、定常領域(例えば、免疫グロブリン配列のFc領域)に融合したPD-L1又はPD-L2の細胞外又はPD-1結合部分を含むイムノアドヘシン)である。一実施形態において、PD-1阻害剤は、AMP-224(例えば、参照により全体として組み込まれる国際公開第2010/027827号パンフレット及び国際公開第2011/066342号パンフレットに開示されるB7-DCIg(Amplimmune))である。
PD-L1阻害剤、例えば、アテゾリズマブ(別名MPDL3280A、RG7446、RO5541267、YW243.55.S70、又はTECENTRIQ(登録商標))及び参照により全体として組み込まれる米国特許第8,217,149号明細書に開示される他の抗PD-L1抗体、アベルマブ(BAVENCIO(登録商標)別名MSB0010718C)、及び参照により全体として組み込まれる国際公開第2013/079174号パンフレットに開示される他の抗PD-L1抗体、デュルバルマブ(IMFINZI(登録商標)又はMEDI4736)、及び参照により全体として組み込まれる米国特許第8,779,108号明細書に開示される他の抗PD-L1抗体)、FAZ053(Novartis)、及びBMS-936559(Bristol-Myers Squibb)。特定の実施形態において、PD-L1阻害剤は、KN035(Alphamab;3DMed;Ascletis Pharma)、エンバフォリマブ(TRACON Pharmaceuticals)、BMS 936559(Bristol-Myers Squibb)、CS1001(CStone Pharmaceuticals、Ligand Pharmaceuticals)、CX-072(CytomX Therapeutics)、FAZ053(Novartis)、SHR-1316(Hengrui Medicine)、TQB2450(Chiatai Tianqing)、STI-A1014(Zhaoke Pharm;Lee’s Pharm、Lonza、Sorrento Therapeutics、NantWorks)、LYN00102(Lynkcell)、A167(Harbour BioMed、Kelun Group)、BGB-A333(Beigene)、MSB2311(Mabspace Biosciences)、又はHLX-20(Henlius Biotech)である。一実施形態において、抗PD-L1抗体分子は、BMS-936559(Bristol-Myers Squibb)、別名MDX-1105又は12A4である。BMS-936559及び他の抗PD-L1抗体は、参照により全体として組み込まれている米国特許第7,943,743号明細書及び国際公開第2015/081158号パンフレットに開示されている。特定の実施形態において、PD-L1阻害剤は、コシベリマブ(Fortress Biotech)、LY3300054又はIodapolimab(Eli Lilly)、GS-4224(Gilead Sciences)、STI-A1015(Yuhan、Sorrento Therapeutics)、BCD-135(BIOCAD)、コシベリマブ(Dana-Farber Cancer Institute、TG Therapeutics)、APL-502(Apollomics)、AK106(Akeso Biopharma)、MSB2311(Transcenta Holding)、TG-1501(TG Therapeutics)、又はFAZ053(Novartis)である。特定の実施形態において、PD-L1阻害剤は、MT-6035(Molecular Templates)、イカリチン又はZKAB001(Lonza、Lee’s Pharmaceutical Holdings、Sorrento Therapeutics、Shenogen Pharma Group)、TRIDENT抗体(MacroGenics、Zai Lab)、YBL-007(Anh-Gook Pharmaceutical、Y-Biologics)、HTI-1316(Hengrui Therapeutics)、PD-L1 Oncology Project(Weizmann Institute of Sciences)、JS003(Shanghai Junshi Biosciences)、ND021(Numab Therapeutics、CStone Pharmaceuticals)、Toca 521(Tocagen)、又はSTT01(STCube)である。特定の実施形態において、PD-L1阻害剤は、DB004(DotBio)、MT-5050(Molecular Templates)、KD036(Kadmon)である。一実施形態において、PD-L1阻害剤は抗PD-L1抗体分子である。一実施形態において、PD-L1阻害剤は、参照により全体として組み込まれる「Antibody Molecules to PD-L1 and Uses Thereof」という名称の2016年4月21日に公開された米国特許出願公開第2016/0108123号明細書に開示された抗PD-L1抗体分子である。一実施形態において、抗PD-L1抗体分子は、参照により全体として組み込まれる米国特許出願公開第2016/0108123号明細書に開示されているBAP058-Clone O又はBAP058-Clone NのCDR、可変領域、重鎖及び/又は軽鎖を含む。さらなる公知の抗PD-L1抗体としては、例えば、参照により全体として組み込まれる国際公開第2015/181342号パンフレット、国際公開第2014/100079号パンフレット、国際公開第2016/000619号パンフレット、国際公開第2014/022758号パンフレット、国際公開第2014/055897号パンフレット、国際公開第2015/061668号パンフレット、国際公開第2013/079174号パンフレット、国際公開第2012/145493号パンフレット、国際公開第2015/112805号パンフレット、国際公開第2015/109124号パンフレット、国際公開第2015/195163号パンフレット、米国特許第8,168,179号明細書、米国特許第8,552,154号明細書、米国特許第8,460,927号明細書、及び米国特許第9,175,082号明細書に記載されているものがある。
CTLA-4、例えば、イピリムマブ(YERVOY(登録商標))、トレメリムマブ、ALPN-202(Alpine Immune Sciences)、RP2(Replimune)、BMS-986249(Bristol-Myers Squibb)、BMS-986218(Bristol-Myers Squibb)、ザリフレリマブ(Agenus、Ludwig Institute for Cancer Research、UroGen Pharma、Recepta Biopharma)、BCD-217(BIOCAD)、Onc-392(Pfizer、OncoImmune)、IBI310(Innovent Biologics)、KN046(Alphamab)、MK-1308(Merck & Co)、REGN4659(Regeneron Pharmaceuticals)、XmAb20717(Xencor)、XmAb22841(Xencor)、Anti-CTLA-4 NF(Bristol-Myers Squibb)、MEDI5752(AstraZeneca)、AGEN1181(Agenus)、MGD019(MacroGenics)、ATOR-1015(Alligator Bioscience)、BCD-145(BIOCAD)、PSB205(Sound Biologics)、CS1002(CStone Pharmaceuticals)、ADU-1604(Aduro Biotech)、PF-06753512(Pfizer)、BioInvent-Transgene Research Program(Transgene)、AGEN2041(Agenus、Recepta Biopharam)、ATOR-1144(Alligator Bioscience)、CTLA-4 Research Project(Sorrento Therapeutics)、PD-L1/CTLA-4 Research Project(Sorrento Therapeutics)、HLX13(Shanghai Henlius Biotech)、ISA203(ISA Pharmaceuticals)、PRS-300 Series A(Pieris Pharmaceuticals)、BA3071(BioAtla)、CTLA4 Cancer Research Program(Biosortia Pharmaceuticals)、RP3(Replimune)、CG0161(Cold Genesys)、APL-509(Apollomics、JSR)、AGEN2041(Ludwig Institute for Cancer Research)、APC 101(Advanced Proteome)、CTLA-4阻害剤(Advanced Proteome)、BA3071(BeiGene)、BPI-002(BeyondSpring Pharmaceuticals)、CTLA-4抗体(Tikcro Technologies)、Immuno-Oncology Research Program II(OliPass)、PBP1701(Prestige BioPharma)、DB002(DotBio)、DB003(DotBio)、OR-2299(OncoResponse)、及びNK044(Alphamab)。
LAG-3阻害剤、例えばLAG525(Novartis)、BMS-986016(Bristol-Myers Squibb)、及びTSR-033(Tesaro)。一実施形態において、LAG-3阻害剤は抗LAG-3抗体分子である。一実施形態において、LAG-3阻害剤は、参照により全体として組み込まれる2015年9月17日に公開された「Antibody Molecules to LAG-3 and Uses Thereof」という名称の米国特許出願公開第2015/0259420号明細書に開示された抗LAG-3抗体分子である。一実施形態において、抗LAG-3抗体分子は、米国特許出願公開第2015/0259420号明細書に開示されたBAP050-Clone I又はBAP050-Clone JのCDR、可変領域、重鎖、及び/又は軽鎖を含む。一実施形態において、抗LAG-3抗体分子は、BMS-986016(Bristol-Myers Squibb)、別名BMS986016である。BMS-986016及び他の抗LAG-3抗体は、参照により全体として組み込まれる国際公開第2015/116539号パンフレット及び米国特許第9,505,839号明細書に開示されている。一実施形態において、抗LAG-3抗体分子はTSR-033(Tesaro)である。一実施形態において、抗LAG-3抗体分子は、IMP731又はGSK2831781(GSK及びPrima BioMed)である。IMP731及び他の抗LAG-3抗体は、参照により全体として組み込まれる国際公開第2008/132601号パンフレット及び米国特許第9,244,059号明細書に開示されている。一実施形態において、抗LAG-3抗体分子はIMP761(Prima BioMed)である。さらなる公知の抗LAG-3抗体としては、例えば、参照により全体として組み込まれる国際公開第2008/132601号パンフレット、国際公開第2010/019570号パンフレット、国際公開第2014/140180号パンフレット、国際公開第2015/116539号パンフレット、国際公開第2015/200119号パンフレット、国際公開第2016/028672号パンフレット、米国特許第9,244,059号明細書、米国特許第9,505,839号明細書に記載されているものがある。一実施形態において、抗LAG-3阻害剤は、可溶性LAG-3タンパク質、例えば参照により全体として組み込まれる国際公開第2009/044273号パンフレットに開示されている例えばIMP321(Prima BioMed)である。
TIM-3阻害剤、例えばMGB453(Novartis)及びTSR-022(Tesaro)である。一実施形態において、TIM-3阻害剤は抗TIM-3抗体分子である。一実施形態において、TIM-3阻害剤は、参照により全体として組み込まれる2015年8月6日に公開された「Antibody Molecules to TIM-3 and Uses Thereof」という名称の米国特許出願公開第2015/0218274号明細書に開示される抗TIM-3抗体分子である。一実施形態において、抗TIM-3抗体分子は、参照により全体として組み込まれる米国特許出願公開第2015/0218274号明細書に開示されるABTIM3-hum11又はABTIM3-hum03のCDR、可変領域、重鎖、及び/又は軽鎖を含む。一実施形態において、抗TIM-3抗体分子はTSR-022(AnaptysBio/Tesaro)である。一実施形態において、抗TIM-3抗体分子は、APE5137又はAPE5121のCDR配列の1つ以上(又は集合的にCDR配列の全て)、重鎖若しくは軽鎖可変領域配列、又は重鎖若しくは軽鎖配列を含む。APE5137、APE5121、及び他の抗TIM-3抗体は、参照により全体として組み込まれる国際公開第2016/161270号パンフレットに開示されている。一実施形態において、抗TIM-3抗体分子は、抗体クローンF38-2E2である。さらなる公知の抗TIM-3抗体としては、例えば、参照により全体として組み込まれる国際公開第2016/111947号パンフレット、国際公開第2016/071448号パンフレット、国際公開第2016/144803号パンフレット、米国特許第8,552,156号明細書、米国特許第8,841,418号明細書、及び米国特許第9,163,087号明細書に記載されるものがある。
正常細胞を治療毒性から保護し、臓器毒性を制限しようとする努力の中で、細胞保護剤(神経保護剤、フリーラジカルスカベンジャー、心臓保護剤、アントラサイクリン漏出中和剤(extravasation neutralizers)、栄養素など)が、本開示の化合物と組合せた補助療法として使用され得る。好適な細胞保護剤としては、アミフォスチン(ETHYOL(登録商標))、グルタミン、ジメスナ(TAVOCEPT(登録商標))、メスナ(MESNEX(登録商標))、デクスラゾキサン(ZINECARD(登録商標)又はTOTECT(登録商標))、キサリプロデン(XAPRILA(登録商標))、及びロイコボリン(別名ロイコボリンカルシウム、シトロボルム因子、及びフォリン酸)がある。
正常細胞を治療毒性から保護し、臓器毒性を制限しようとする努力の中で、細胞保護剤(神経保護剤、フリーラジカルスカベンジャー、心臓保護剤、アントラサイクリン漏出中和剤(extravasation neutralizers)、栄養素など)が、本開示の化合物と組み合わせた補助療法として使用され得る。好適な細胞保護剤としては、アミフォスチン(ETHYOL(登録商標))、グルタミン、ジメスナ(TAVOCEPT(登録商標))、メスナ(MESNEX(登録商標))、デクスラゾキサン(ZINECARD(登録商標)又はTOTECT(登録商標))、キサリプロデン(XAPRILA(登録商標))、及びロイコボリン(別名ロイコボリンカルシウム、シトロボルム因子、及びフォリン酸)がある。
コード番号、一般名、又は商品名により特定される活性化合物の構造は、現行版の標準的な一覧表“The Merck Index”から、又はデータベース、例えば、Patents International(例えば、IMS World Publications)から得ることができる。
本開示の別の態様において、2種以上の別々な医薬組成物であって、その少なくとも一方が本開示の化合物を含む2種以上の医薬組成物を含むキットが提供される。一実施形態において、キットは、容器、分割されたボトル、又は分割されたフォイルパケットなど、前記組成物を別々に保持するための手段を含む。そのようなキットの例は、錠剤、カプセル剤などを包装するために典型的に使用されるブリスターパックである。
本開示のキットは、異なる剤形、例えば、経口及び非経口を投与するために、別々な組成物を異なる投与間隔で投与するために、又は別々な組成物を互いに対して用量調整するために使用され得る。コンプライアンスを支援するために、本開示のキットは、典型的には、例えば、本明細書に記載される疾病、障害又は状態を治療するための、投与の指示書を含む。
本開示の併用療法において、本開示の化合物及び他の治療剤は、同じ製造業者によっても、異なる製造業者によっても、製造及び/又は製剤され得る。さらに、本開示の化合物及び他の治療剤は、(i)医師への配合剤の発売前に(例えば、本開示の化合物及び他の治療剤を含むキットの場合);(ii)投与の直前に医師により(又は医師の指導の下に);(iii)患者自身の中で、例えば、本開示の化合物及び他の治療剤の連続的な投与の間に、共に併用療法にされ得る。
適用のための医薬組成物(又は製剤)は、薬物の投与に使用される方法に応じて種々の方法で包装され得る。一般的に、流通用の物品は、内部に適切な形態の医薬製剤が配置された容器を含む。好適な容器は当業者に周知であり、ボトル(プラスチック及びガラス)、小袋、アンプル、プラスチック袋、金属円筒などの材料を含む。容器は、包装の内容物への無分別なアクセスを防ぐための不正開封防止組合せ品(assemblage)も含み得る。さらに、容器は、容器の内容物を説明するラベルがその表面に配置されている。ラベルは、適切な警告も含み得る。
本開示の医薬組成物又は組合せは、約50~約70kgの対象のために約1~約1000mgの有効成分を含む、又は約50~約70kgの対象のために約1~約500mg、約1~約250mg、約1~約150mg、約0.5~約100mg、若しくは約1~約50mgの有効成分を含む単位であり得る。化合物、医薬組成物、又は医薬組合せの治療上有効な用量は、対象の人種、対象の体重、年齢、及び個人の状態、並びに治療されている疾患、障害、若しくは病態又はその重症度に依存する。通常の技量の医師、臨床医、又は獣医は、疾患、障害、又は病態の進行を予防又は治療するのに必要な有効成分のそれぞれの治療上有効な量を容易に決定できる。
上記で引用された投与性(dosage properties)は、好都合には哺乳動物、例えば、マウス、ラット、イヌ、サル、又は単離されたその器官、組織、及び標本を使用して、インビトロ及びインビボ試験において実証可能であり得る。本開示の化合物は、インビトロで、溶液、例えば、水溶液の形態で、及びインビボで経腸的、非経口的、好都合には静脈内、例えば、懸濁剤として、又は水溶液中で適用され得る。インビトロの用量は、約10-3モル~10-9モル濃度の範囲であり得る。インビボの治療上有効な量は、とりわけ投与経路に応じて、約0.1mg/kg~約500mg/kg、又は約1mg/kg~約100mg/kgの範囲であり得る。
いくつかの実施形態において、医薬組成物中に提供される1種以上の治療剤の濃度は、100%、90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.4%、0.3%、0.2%、0.1%、0.09%、0.08%、0.07%、0.06%、0.05%、0.04%、0.03%、0.02%、0.01%、0.009%、0.008%、0.007%、0.006%、0.005%、0.004%、0.003%、0.002%、0.001%、0.0009%、0.0008%、0.0007%、0.0006%、0.0005%、0.0004%、0.0003%、0.0002%、又は0.0001%w/w、w/v、又はv/v未満である。
いくつかの実施形態において、医薬組成物中に提供される1種以上の治療剤の濃度は、90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、19.75%、19.50%、19.25% 19%、18.75%、18.50%、18.25% 18%、17.75%、17.50%、17.25% 17%、16.75%、16.50%、16.25% 16%、15.75%、15.50%、15.25% 15%、14.75%、14.50%、14.25% 14%、13.75%、13.50%、13.25% 13%、12.75%、12.50%、12.25% 12%、11.75%、11.50%、11.25% 11%、10.75%、10.50%、10.25% 10%、9.75%、9.50%、9.25% 9%、8.75%、8.50%、8.25% 8%、7.75%、7.50%、7.25% 7%、6.75%、6.50%、6.25% 6%、5.75%、5.50%、5.25% 5%、4.75%、4.50%、4.25%、4%、3.75%、3.50%、3.25%、3%、2.75%、2.50%、2.25%、2%、1.75%、1.50%、125%、1%、0.5%、0.4%、0.3%、0.2%、0.1%、0.09%、0.08%、0.07%、0.06%、0.05%、0.04%、0.03%、0.02%、0.01%、0.009%、0.008%、0.007%、0.006%、0.005%、0.004%、0.003%、0.002%、0.001%、0.0009%、0.0008%、0.0007%、0.0006%、0.0005%、0.0004%、0.0003%、0.0002%、又は0.0001%w/w、w/v、又はv/v超である。
いくつかの実施形態において、医薬組成物中に提供される1種以上の治療剤の濃度は、約0.0001%~約50%、約0.001%~約40%、約0.01%~約30%、約0.02%~約29%、約0.03%~約28%、約0.04%~約27%、約0.05%~約26%、約0.06%~約25%、約0.07%~約24%、約0.08%~約23%、約0.09%~約22%、約0.1%~約21%、約0.2%~約20%、約0.3%~約19%、約0.4%~約18%、約0.5%~約17%、約0.6%~約16%、約0.7%~約15%、約0.8%~約14%、約0.9%~約12%、約1%~約10%w/w、w/v、又はv/vの範囲である。
いくつかの実施形態において、医薬組成物中に提供される1種以上の治療剤の濃度は、約0.001%~約10%、約0.01%~約5%、約0.02%~約4.5%、約0.03%~約4%、約0.04%~約3.5%、約0.05%~約3%、約0.06%~約2.5%、約0.07%~約2%、約0.08%~約1.5%、約0.09%~約1%、約0.1%~約0.9%w/w、w/v、又はv/vの範囲である。
使用方法
ここで、本開示の化合物は、PIM1、PIM2及び/又はPIM3キナーゼなどの1種以上のPIMキナーゼを調節(例えば、阻害)し、したがって、インビトロ又はインビボでPIM1、PIM2及び/又はPIM3キナーゼなどの1種以上のPIMキナーゼを調節(例えば、阻害)するのに有用であることが見出された。したがって、細胞(例えば、PIMキナーゼを発現している細胞)中のPIM1、PIM2及び/又はPIM3キナーゼなどの1種以上のPIMキナーゼを調節する(例えば、阻害する)方法であって、細胞を、本開示の化合物(例えば、治療上有効な量の式I若しくはその下位式の化合物又はその薬学的に許容できる塩などの、式I若しくはその下位式の化合物又はその薬学的に許容できる塩)と接触させることを含む方法が本明細書に提供される。いくつかの実施形態において、細胞は、ヒトなどの対象(例えば、本明細書に記載される疾患、障害又は病態を有する対象)中にある。
対象におけるPIM1、PIM2及び/又はPIM3キナーゼなどの1種以上のPIMキナーゼを調節する(例えば、阻害する)方法であって、対象に、本開示の化合物(例えば、式I若しくはその下位式の化合物又はその薬学的に許容できる塩)を、対象における1種以上のPIMキナーゼを阻害するのに有効な量で投与することを含む方法も本明細書に提供される。
それを必要とする対象(例えば、本明細書に記載される疾患、障害又は病態を有する対象)におけるPIM1、PIM2及び/又はPIM3キナーゼなどの1種以上のPIMキナーゼを調節する(例えば、阻害する)方法であって、対象に、治療上有効な量の本開示の化合物(例えば、式I若しくはその下位式の化合物又はその薬学的に許容できる塩)を投与することを含む方法も本明細書に提供される。
本開示の化合物は、3つのPIMキナーゼ全てを調節(例えば、阻害)することができ、又は1つ若しくは2つのPIMキナーゼ(例えば、PIM1及びPIM3キナーゼ;PIM1キナーゼ)に対して選択的であり得る。化合物は、あるキナーゼに対する化合物のEC50及び/又はIC50が、それぞれ別のキナーゼのEC50及び/又はIC50よりも、2倍、好ましくは5倍、より好ましくは10倍、さらにより好ましくは20倍、さらにより好ましくは50倍、さらにより好ましくは100倍低い場合、あるPIMキナーゼ(例えば、PIM1キナーゼ;PIM3キナーゼ)について、別のPIMキナーゼ(例えば、PIM2キナーゼ)よりも選択的であると考えられる。PIMキナーゼに対する本開示の化合物のEC50及び/又はIC50を測定する方法は、本明細書の例示に記載されている。化合物の選択性を評価するための他の方法は当技術分野で公知である。
また、本明細書では、対象(例えば、それを必要とする対象)において本明細書に記載の疾患、障害又は病態(例えば、癌などの増殖性の疾患、障害又は病態;それ自体で存在するか、又は感染性、炎症性若しくは増殖性の疾患、障害若しくは病態と併存する、線維性の疾患、障害又は病態;炎症性の疾患、障害又は病態)の治療及び/又は予防する方法も提供される。この方法は、対象に本開示の化合物(例えば、それぞれ治療上有効な量又は予防上有効な量などの有効量)を投与することを含む。特定の態様において、疾患、障害又は病態は、1種以上のPIMキナーゼ(例えば、PIM1及びPIM2キナーゼ;PIM1キナーゼ)の異常発現(例えば、過剰発現)に関連する。
特定の実施形態において、疾患、障害又は病態は、増殖性疾患である。したがって、治療上有効な量の本開示の化合物を対象に投与することを含む、対象(例えば、それを必要とする対象)における増殖性疾患を治療する方法が本明細書に提供される。
「増殖性疾患」とは、細胞の増殖による異常な成長又は伸長によって発生する疾患を指す(Walker、Cambridge Dictionary of Biology;Cambridge University Press:Cambridge,UK,1990)。増殖性疾患は、(1)通常は静止している細胞の病的増殖;(2)正常な位置からの細胞の病的遊走(例えば、新生物性細胞の転移);(3)マトリックスメタロプロテイナーゼ(例えば、コラゲナーゼ、ゼラチナーゼ、エラスターゼ)などのタンパク質分解酵素の病的発現;及び/又は(4)増殖性網膜症及び腫瘍転移などの病的血管新生と関連付けられ得る。増殖性疾患の非限定的な例としては、癌(すなわち、「悪性新生物」)、良性新生物、血管新生、炎症性疾患及び自己免疫疾患がある。
用語「新生物」及び「腫瘍」は、本明細書において互換的に使用され、塊の増殖が正常組織の増殖を上回り、それと協調していない、異常な組織塊を指す。新生物又は腫瘍は、例えば、以下の特性:細胞分化の程度(形態及び機能を含む)、増殖速度、局所侵入、及び転移に応じて、「良性」又は「悪性」であり得る。
「良性新生物」は一般によく分化し、悪性新生物よりも特徴的に成長が遅く、発生部位に局在したままである。さらに、良性新生物は、離れた部位に浸潤、侵入、又は転移する能力を有しない。良性新生物の非限定的な例としては、脂肪腫、軟骨腫、腺腫、アクロコルドン、老人性血管腫、脂漏性角化症、黒子、及び脂腺過形成があるが、これらに限定されない。
いくつかの場合において、良性腫瘍が後に悪性新生物を引き起こし得、これは、腫瘍の新生物性細胞の部分集団における追加の遺伝子変化に起因し得る。このような腫瘍は「前癌性新生物」と呼ばれる。例示的な前癌性新生物は奇形腫である。
「悪性新生物」は、一般に分化不良(退形成)であり、進行性の浸潤、侵入、及び周囲組織の破壊を伴う、特徴的に急速な増殖を有する。さらに、悪性新生物は一般に、離れた部位に転移する能力を有する。用語「転移」、「転移性」、又は「転移する」は、原発腫瘍又は元の腫瘍から別の器官又は組織への癌性細胞の拡散又は遊走を指し、典型的には、二次(転移性)腫瘍が位置する器官又は組織のものではなく、原発又は元の腫瘍の組織の種類の「二次腫瘍」又は「二次細胞塊」の存在によって識別可能である。
特定の実施形態において、増殖性疾患は癌である。したがって、治療上有効な量の本開示の化合物を対象に投与することを含む、対象(例えば、それを必要とする対象)における癌を治療する方法が本明細書に提供される。
用語「癌」は、制御不能に増殖し、正常な身体組織に浸潤し破壊する能力を有する異常細胞の発生を特徴とする疾患の一種を指す。
固形腫瘍、白血病、リンパ腫、及び骨髄腫を含む多種多様な癌には、本明細書に開示される方法が適している。いくつかの実施形態において、癌は固形腫瘍癌である。いくつかの実施形態において、癌は、固形腫瘍(例えば、結腸直腸、乳房、前立腺、肺、膵臓、腎臓、又は卵巣腫瘍)を含む。したがって、いくつかの実施形態において、癌は固形腫瘍癌である。いくつかの実施形態において、癌は、肺系統の癌、脳癌(例えば、神経芽細胞腫、グリア芽腫、未分化星状細胞腫)、消化管の癌、皮膚癌、尿生殖器癌、頭頸部癌、肉腫、癌腫、及び神経内分泌癌の1種以上から選択される。種々の実施形態において、固形腫瘍癌は、乳癌、膀胱癌、子宮内膜癌、食道癌、肝臓癌、膵臓癌、肺癌、子宮頸癌、結腸癌、結腸直腸癌、胃癌、腎臓癌、卵巣癌、前立腺癌、精巣癌、子宮癌、ウイルスにより誘導された癌、メラノーマ、又は肉腫である。いくつかの実施形態において、癌は膀胱癌である。いくつかの実施形態において、癌は肺癌(例えば、非小細胞肺癌)である。他の実施形態において、癌は肝臓癌である。いくつかの実施形態において、癌は、肉腫、膀胱癌、又は腎臓癌である。いくつかの実施形態において、癌は、前立腺癌(例えば、去勢抵抗性前立腺癌、去勢感受性前立腺癌)である。他の実施形態において、癌は、膀胱癌、膵臓癌、結腸直腸癌、膠芽腫、腎臓癌、非小細胞肺癌、前立腺癌、肉腫、皮膚癌、甲状腺癌(例えば、未分化甲状腺癌)、精巣癌、又は外陰癌である。いくつかの実施形態において、癌は、子宮内膜癌、膵臓癌、精巣癌、腎臓癌、メラノーマ、結腸直腸癌、甲状腺癌、膀胱癌、膵臓癌、外陰癌、肉腫、前立腺癌、肺癌、又は肛門癌である。いくつかの実施形態において、癌は肉腫である。いくつかの実施形態において、癌は腎細胞癌である。
いくつかの実施形態において、癌は非固形腫瘍癌である。いくつかの実施形態において、癌は血液系癌である。本明細書に記載される方法に従って治療できる血液系癌としては、白血病(例えば、急性白血病、慢性白血病)、リンパ腫(例えば、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫)及び多発性骨髄腫がある。血液系癌の非限定的な例としては、白血病(例えば、急性リンパ性白血病(ALL)(例えば、B細胞ALL、T細胞ALL)、急性骨髄性白血病(AML)(例えば、B細胞AML、T細胞AML)、初期T細胞前駆体(ETP)-急性リンパ芽球性白血病、慢性骨髄性白血病(CML)(例えば、B細胞CML、T細胞CML)、慢性リンパ性白血病(CLL)(例えば、B細胞CLL、T細胞CLL));リンパ腫(例えば、ホジキンリンパ腫(HL)(例えば、B細胞HL、T細胞HL))、非ホジキンリンパ腫(NHL)(例えば、びまん性大細胞リンパ腫(DLCL)などのB細胞NHL(例えば、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫))、濾胞性リンパ腫、慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫(CLL/SLL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、辺縁帯B細胞リンパ腫(例えば、粘膜関連リンパ組織(MALT)リンパ腫)、結節辺縁帯B細胞リンパ腫、脾臓辺縁帯B細胞リンパ腫)、原発性縦隔B細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫(すなわち、ワルデンストレームマクログロブリン血症)、有毛細胞白血病(HCL)、免疫芽球性大細胞リンパ腫、前駆体Bリンパ芽球性リンパ腫及び原発性中枢神経系(CNS)リンパ腫、前駆体Tリンパ芽球性リンパ腫/白血病などのT細胞NHL、末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)(例えば、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)(例えば、菌状息肉症、セザリー症候群))、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫、節外性ナチュラルキラーT細胞リンパ腫、腸疾患型T細胞リンパ腫、皮下脂肪織炎様T細胞リンパ腫、未分化大細胞リンパ腫);重鎖疾患(例えば、アルファ鎖疾患、ガンマ鎖疾患、ミュー鎖疾患);骨髄増殖性疾患(MPD)(例えば、真性赤血球増加症(PV)、本態性血小板増加症(ET)、特発性骨髄化生(AMM)、別名骨髄線維症(MF)、慢性特発性骨髄線維症、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性好中球性白血病(CNL)、好酸球増加症候群(HES));多発性骨髄腫(MM);形質細胞腫瘍;家族性好酸球増加症;炎症性筋線維芽細胞性腫瘍;及び免疫細胞性アミロイドーシスがある。いくつかの実施形態において、血液系癌は、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群(MDS)、急性骨髄性白血病(AML)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性リンパ球性白血病、リンパ球性リンパ腫、菌状息肉症、慢性リンパ性白血病、慢性リンパ球性白血病(CLL)、マントル細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、又は骨髄線維症から選択される。
本明細書に記載される方法に従って治療可能な癌の例としては、乳房、前立腺、及び結腸の腺癌;全形態の肺の気管支原性癌;骨髄性;メラノーマ(例えば、転移性メラノーマ);星状細胞腫(例えば、未分化星状細胞腫);肝癌;神経芽細胞腫;乳頭腫;アプドーマ;分離腫;鰓腫;悪性カルチノイド症候群;カルチノイド心疾患;及び癌腫(例えば、ウォーカー、基底細胞、基底扁平細胞、ブラウン・ピアース、乳管、エールリッヒ腫瘍、Krebs 2、メルケル細胞、粘液性、肺癌(例えば、扁平上皮癌、非小細胞肺癌(NSCLC)などの大細胞肺癌)、燕麦細胞、乳頭状、スキルス、細気管支、気管支原性、扁平上皮細胞、及び移行上皮)があるが、これらに限定されない。本明細書に記載される方法に従って治療可能な癌の追加の例としては、組織球性障害;白血病;悪性組織球症;ホジキン疾患;過好酸球増多症、免疫増殖性小(immunoproliferative small);非ホジキンリンパ腫;形質細胞腫;細網内皮症;メラノーマ例えば、転移性メラノーマ);軟骨芽細胞腫;軟骨腫;軟骨肉腫;線維性癌(例えば、骨髄線維症、膵臓癌(例えば、膵管腺癌)、腎臓癌、肝臓癌、肺癌(例えば、扁平上皮癌などの大細胞肺癌)、乳癌(例えば、炎症性乳癌)、卵巣癌(例えば、高異型度重篤卵巣癌(serious ovarian carcinoma))、子宮内膜癌、子宮癌、子宮肉腫(例えば、子宮平滑筋肉腫)、腎細胞癌、肉腫(例えば、軟部組織肉腫)、悪性線維性組織球腫、線維肉腫(例えば、隆起性皮膚線維肉腫);肝細胞癌;線維腫;線維肉腫;巨細胞腫;組織球腫;脂肪腫;脂肪肉腫;中皮腫;粘液腫;粘液肉腫;骨腫;骨肉腫;小児の悪性腫瘍、脊索腫;頭蓋咽頭腫;未分化胚細胞腫;過誤腫;間葉細胞腫;中腎腫;筋肉腫;エナメル上皮腫;セメント質腫;歯牙腫;奇形腫;胸腺腫;絨毛性腫瘍があるが、これらに限定されない。さらに、以下の種類の癌も、治療に適していることが企図される:腺腫;胆管癌;真珠腫性中耳炎;円柱腫);嚢胞腺癌;嚢胞腺腫;顆粒膜細胞腫;ギナンドロブラストーマ;肝細胞癌、肝癌;汗腺腫;膵島細胞腫瘍;ライディッヒ細胞腫;乳頭腫;セルトリ細胞腫瘍;莢膜細胞腫;平滑筋腫;平滑筋肉腫;筋芽細胞腫;筋腫;筋肉腫;横紋筋腫;横紋筋肉腫;上衣腫;神経節細胞腫;グリオーマ;髄芽細胞腫;髄膜腫;神経鞘腫;神経芽細胞腫;神経上皮腫;神経線維腫;神経腫;傍神経節腫;非クロム親和性傍神経節腫。本明細書に記載される方法に従って治療可能な癌のさらなる例としては、被角血管腫;好酸球性血管リンパ球増殖症;硬化性血管腫;血管腫症;グロムス血管腫;血管内皮腫;血管腫;血管外皮細胞腫;血管肉腫;リンパ管腫;リンパ管筋腫;リンパ管肉腫;松果体腫;癌肉腫;軟骨肉腫;葉状嚢胞肉腫;線維肉腫;血管肉腫;平滑筋肉腫;白血肉腫;脂肪肉腫;リンパ管肉腫;筋肉腫;粘液肉腫;卵巣癌;横紋筋肉腫;肉腫;新生物;神経線維腫症;及び子宮頚部異形成があるが、これらに限定されない。
HPV関連癌も本明細書に記載の方法に従って治療可能である。HPV関連癌の非限定的な例としては、子宮頸癌、中咽頭癌、肛門癌、外陰部/膣癌、及び陰茎癌がある。
肝細胞癌(HCC)(例えば、肝細胞癌腫、肝芽腫、肝細胞腺腫)、悪性肝癌、血管腫及び胆道癌(例えば、胆管癌)などの肝臓癌も、本明細書に記載の方法に従って治療可能である。
筋骨格系癌も本明細書に記載の方法に従って治療可能である。筋骨格系癌の非限定的な例としては、骨癌(例えば、骨肉腫、類骨腫、悪性線維性組織球腫、ユーイング肉腫、脊索腫、悪性巨細胞腫脊索腫、軟骨肉腫 骨軟骨腫、良性軟骨腫、軟骨芽細胞腫 軟骨粘液線維腫、骨髄異形成症候群(MDS))、筋肉癌(例えば、横紋筋肉腫、横紋筋腫)、結合組織癌及び滑膜腫がある。
神経系癌も本明細書に記載の方法に従って治療可能である。神経系癌の非限定的な例としては、脳癌(例えば、星状細胞腫、髄芽腫、グリオーマ(例えば、星状細胞腫、乏突起膠腫)、膠芽腫、多形膠芽腫、髄芽腫、上衣腫、胚細胞腫(すなわち松果体腫)、乏突起膠腫、神経鞘腫、網膜芽細胞腫、先天性腫瘍、頭蓋咽頭腫)、脊髄癌、神経線維腫(例えば、神経線維腫症(NF)1型又は2型、神経鞘腫症)、神経芽細胞腫、原始神経外胚葉性腫瘍(PNT)、髄膜癌(例えば、髄膜腫、髄膜肉腫、神経膠腫症)、頭蓋骨癌、聴神経腫瘍、上衣腫、血管芽腫、眼癌(例えば、眼内黒色腫、網膜芽細胞腫)、多形性異種アンスロサイトーマ(anthrocytoma)(PXA)及び小児PXAがある。
内分泌/外分泌癌も本明細書に記載の方法に従って治療可能である。内分泌/外分泌癌の非限定的な例としては、甲状腺癌(例えば、甲状腺乳頭癌、濾胞性甲状腺癌、甲状腺髄様癌、多発性内分泌腫瘍2A型、多発性内分泌腫瘍2B型、家族性甲状腺髄様癌、褐色細胞腫、傍神経節腫)、膵臓癌(例えば、膵臓腺癌、膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)、島細胞腫瘍、管腺癌、インスリノーマ、グルカゴノーマ、ビポーマ)、副腎癌、神経内分泌癌(例えば、胃腸膵神経内分泌腫瘍(GEP-NET)、カルチノイド腫瘍)、皮脂腺癌及び汗腺癌(例えば、汗腺癌腫)がある。
頭頸部扁平上皮癌(SCCHN)及び腺様嚢胞癌などの頭頸部癌も、本明細書に記載の方法に従って治療可能である。
口腔癌、口唇癌、舌癌、口腔癌、咽頭癌、下咽頭癌(例えば、下咽頭癌腫など)、咽喉癌(例えば、喉頭癌、咽頭癌、上咽頭癌、中咽頭癌など)及び唾液腺癌などの口腔癌も、本明細書に記載の方法に従って治療可能である。
食道扁平上皮癌、食道腺癌、Barrett腺癌、及び食道平滑筋肉腫などの食道癌も、本明細書に記載の方法に従って治療可能である。
胃腸癌も本明細書に記載の方法に従って治療可能である。胃腸癌の非限定的な例としては、肛門癌、結腸直腸癌(例えば、結腸癌、直腸癌、結腸直腸腺癌)、胆嚢癌、胃癌(gastric cancer)(例えば、胃癌(stomach cancer)(例えば、胃腺癌))、消化管間質腫瘍(GIST)、小腸(small bowel)癌(例えば、虫垂癌、小腸癌、例えば、小腸腺癌)、小腸(small intestine)癌、大腸(large bowel)癌、及び大腸(large intestine)癌がある。
心血管癌も本明細書に記載の方法に従って治療可能である。心血管癌の非限定的な例としては、原発性心臓腫瘍、血管肉腫(例えば、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫、血管肉腫)、内皮肉腫(例えば、カポジ肉腫、多発性特発性出血性肉腫)、心臓粘液腫、及び心臓横紋筋腫がある。
肺癌も本明細書に記載の方法に従って治療可能である。肺癌の非限定的な例としては、気管支癌(例えば、気管支原性癌、気管支腺腫)、肺胞癌、中皮腫、小細胞肺癌(SCLC)、非小細胞肺癌(NSCLC)、肺腺癌、軟骨腫性過誤腫及び乳頭状腺癌がある。
泌尿生殖器癌も本明細書に記載の方法に従って治療可能である。泌尿生殖器癌の非限定的な例としては、膀胱癌(例えば、尿路上皮癌)、尿道癌、腎臓癌(例えば、腎芽腫、別名ウィルムス腫瘍、腎細胞癌)、精巣癌(例えば、精上皮癌、精巣胎児性癌)、生殖細胞癌、前立腺癌(例えば、前立腺腺癌)、陰茎癌(例えば、陰茎及び陰嚢のパジェット病)がある。
婦人科癌も本明細書に記載の方法に従って治療可能である。婦人科癌の非限定的な例としては、乳癌(breast cancer)(例えば、乳房の腺癌、乳房の乳頭癌、乳癌(mammary cancer)、乳房の髄様癌、トリプルネガティブ乳癌、HER-2陽性乳癌、HER2陰性乳癌)、子宮内膜癌(例えば、子宮癌(例えば、子宮肉腫、絨毛癌)、子宮内膜癌)、子宮頸癌(例えば、子宮頸部腺癌)、卵巣癌(例えば、嚢胞腺癌、卵巣胎児性癌、卵巣腺癌)、胚細胞癌及び外陰癌(外陰部のパジェット病など)、膣癌及並びに卵管癌がある。
皮膚癌も本明細書に記載の方法に従って治療可能である。皮膚癌の非限定的な例としては、扁平上皮癌(SCC)、角化棘細胞腫(KA)、黒色腫、基底細胞癌(BCC)及び皮膚線維腫がある。
上皮内新生物、上皮癌、上皮肉腫、腺癌、腺腫、線維肉腫、線維腫、脂肪肉腫、脂肪腫、粘液腫及び奇形腫などの軟部組織癌も、本明細書に記載の方法に従って治療可能である。
骨髄増殖性新生物も本明細書に記載の方法に従って治療可能である。骨髄増殖性新生物の非限定的な例としては、骨髄線維症、真性赤血球増加症及び本態性血小板血症がある。
線維性癌も本明細書に記載の方法に従って治療可能である。本明細書で使用される場合、「線維性癌」は、線維症に関連する癌である。線維症は、線維性癌における癌又は癌の治療に先行する(例えば、癌の原因である)場合もあれば、その後に起こる(例えば、それによって引き起こされる)場合もある。線維症は、線維性癌の癌とともに、又はその代わりに存在し得る。線維性癌の非限定的な例としては、骨髄線維症、膵臓癌(例えば、膵管腺癌)、腎臓癌、肝臓癌、肺癌(例えば、扁平上皮癌などの大細胞肺癌)、乳癌(例えば、炎症性乳癌)、卵巣癌(例えば、高異型度重篤卵巣癌(serious ovarian carcinoma))、子宮内膜癌、子宮癌、子宮肉腫(例えば、子宮平滑筋肉腫)、腎細胞癌、肉腫(例えば、軟部組織肉腫)、悪性線維性組織球腫、線維肉腫(例えば、隆起性皮膚線維肉腫)、胃癌、食道癌、頭頸部癌、子宮頸癌、外陰癌及び肝細胞癌(例えば、肝細胞癌腫)がある。いくつかの実施形態において、線維性癌は、固形腫瘍癌(例えば、腎臓癌、肝臓癌、肺癌、乳癌、卵巣癌、子宮内膜癌、子宮癌、及び/又は膵臓癌)である。いくつかの実施形態において、線維性癌は、内臓(例えば、膵臓、肺、腎臓、肝臓)の癌である。
本明細書に記載される方法に従って治療可能な癌のさらなる例としては、急性リンパ芽球性白血病(ALL);急性骨髄性白血病(AML);副腎皮質癌;小児副腎皮質癌;AIDS関連癌(例えば、カポジ肉腫、AIDS関連リンパ腫、原発CNSリンパ腫);肛門領域の癌;肛門癌;虫垂癌;小児星状細胞腫;非定型奇形腫/ラブドイド腫瘍、小児、中枢神経系(CNS);CNSの新生物(例えば、原発CNSリンパ腫、脊髄軸腫瘍(spinal axis tumors)、髄芽細胞腫、脳幹グリオーマ又は下垂体腺腫)、バレット食道(例えば、前悪性症候群(pre-malignant syndrome)、及び菌状息肉症(mycoses fungoides)、皮膚の基底細胞癌;胆管癌;膀胱癌;小児膀胱癌;骨癌(ユーイング肉腫、骨肉腫、及び悪性線維性組織球腫を含む);脳腫瘍/癌;乳癌;バーキットリンパ腫;カルチノイド腫瘍(胃腸の);小児カルチノイド腫瘍;小児心臓(cardiac)(心臓(heart))腫瘍;小児胎児性腫瘍;小児胚細胞腫瘍;原発CNSリンパ腫;子宮頸癌;小児子宮頸癌;胆管癌;小児脊索腫;慢性リンパ球性白血病(CLL);慢性骨髄性白血病(CML);慢性骨髄増殖性腫瘍;結腸直腸癌;小児結腸直腸癌;小児頭蓋咽頭腫;皮膚T細胞リンパ腫(例えば、菌状息肉症及びセザリー症候群);非浸潤性乳管癌(DCIS);胎児性腫瘍、中枢神経系、小児;内分泌系の癌(例えば、甲状腺、膵臓、副甲状腺、又は副腎の癌)、子宮内膜癌(子宮癌);小児上衣腫;食道癌;小児食道癌;嗅神経芽腫;ユーイング肉腫;小児頭蓋外胚細胞腫瘍;性腺外胚細胞腫瘍;眼癌;小児眼内メラノーマ;眼内メラノーマ;網膜芽細胞腫;卵管癌;骨原発悪性線維性組織球腫及び骨肉腫;胆嚢癌;胃(gastric)(胃(stomach))癌;小児胃(gastric)(胃(stomach))癌;消化管カルチノイド腫瘍;消化管間質腫瘍(GIST);小児消化管間質腫瘍;胚細胞腫瘍;小児中枢神経系胚細胞腫瘍(例えば、小児頭蓋外胚細胞腫瘍、性腺外胚細胞腫瘍、卵巣胚細胞腫瘍、精巣癌);妊娠性絨毛性疾患;婦人科の腫瘍((例えば、子宮肉腫、卵管の癌腫、子宮内膜の癌腫、子宮頸部の癌腫、膣の癌腫、又は外陰部の癌腫)、有毛細胞白血病;頭頸部癌;小児心臓腫瘍;肝細胞(肝臓)癌;ランゲルハンス細胞組織球症;ホジキンリンパ腫;下咽頭癌;皮膚又は眼内メラノーマ;小児眼内メラノーマ;膵島細胞腫瘍、膵神経内分泌腫瘍;カポジ肉腫;腎臓(腎細胞)癌;ランゲルハンス細胞組織球症;喉頭癌;白血病;口唇口腔癌;肝臓癌;肺癌(非小細胞及び小細胞);小児肺癌;リンパ腫;男性の乳癌;骨の悪性線維性組織球腫及び骨肉腫;メラノーマ;小児メラノーマ;眼内メラノーマ(眼);小児眼内メラノーマ;メルケル細胞癌;悪性中皮腫;小児中皮腫;転移性癌;原発不明転移性扁平上皮性頸部癌;NUT遺伝子変化を伴う正中線管癌(midline tract carcinoma);口腔癌;多発性内分泌腫瘍症候群;多発性骨髄腫/形質細胞腫瘍;菌状息肉症;骨髄異形成症候群、骨髄異形成/骨髄増殖性腫瘍;骨髄性白血病、慢性(CML);骨髄性白血病、急性(AML);骨髄増殖性腫瘍、慢性;鼻腔癌及び副鼻腔癌;鼻咽頭癌;神経芽細胞腫;非ホジキンリンパ腫;非小細胞肺癌;口腔癌、口唇口腔癌及び中咽頭癌;骨肉腫及び骨の悪性線維性組織球腫;卵巣癌;小児卵巣癌;膵臓癌;小児膵臓癌;膵神経内分泌腫瘍;乳頭腫症(小児喉頭);傍神経節腫;小児傍神経節腫;副鼻腔癌及び鼻腔癌;副甲状腺癌;陰茎癌;咽頭癌;褐色細胞腫;小児褐色細胞腫;下垂体腫瘍;形質細胞腫瘍/多発性骨髄腫;胸膜肺芽腫;妊娠及び乳癌;中枢神経系(CNS)原発リンパ腫;原発性腹膜癌;前立腺癌;直腸癌;再発性癌;腎細胞(腎臓)癌;網膜芽細胞腫;小児横紋筋肉腫;唾液腺癌;肉腫(例えば、小児横紋筋肉腫、小児血管腫瘍、ユーイング肉腫、カポジ肉腫、骨肉腫(骨癌)、軟部組織肉腫、子宮肉腫);セザリー症候群;皮膚癌;小児皮膚癌;小細胞肺癌;小腸癌;軟部組織肉腫;皮膚の扁平上皮癌;転移性原発不明扁平上皮性頸部癌;胃(stomach)(胃(gastric))癌;小児胃(stomach)(胃(gastric))癌;T細胞リンパ腫、皮膚(例えば、菌状息肉症及びセザリー症候群);精巣癌;小児精巣癌;咽頭癌(例えば、鼻咽頭癌、中咽頭癌、下咽頭癌);胸腺腫及び胸腺癌;甲状腺癌;腎盂と尿管の移行上皮癌;尿管及び腎盂(例えば、腎細胞癌、腎盂の癌腫)、良性前立腺肥大、副甲状腺癌、移行上皮癌;尿道癌;子宮内膜の子宮癌;子宮肉腫;膣癌;小児膣癌;血管の腫瘍;外陰癌;及びウィルムス腫瘍、並びに他の小児腎臓腫瘍があるが、これらに限定されない。
上述の癌の転移も、本明細書に記載される方法に従って治療できる。したがって、いくつかの実施形態において、癌は転移性癌である。他の実施形態において、癌は転移前癌(pre-metastatic cancer)である。
特定の実施形態において、癌は希少癌である。用語「希少癌」は、比較的少数の患者に発生する癌を指す。
いくつかの実施形態において、癌(例えば、線維性癌)などの増殖性疾患は、癌関連線維芽細胞(CAF)、星状細胞又は筋線維芽細胞などの腫瘍間質細胞(例えば、腫瘍微小環境内)、及び/又は腫瘍関連免疫細胞(例えば、腫瘍免疫微小環境中)などの免疫細胞を標的とすることによって治療して、例えば、それにより腫瘍間質微小環境及び/又は腫瘍免疫微小環境を調節する。
悪液質は慢性疾患に関連しており、骨格筋及び脂肪組織の萎縮に起因する不随意の体重減少(例えば、病気前の体重の5%を超える)として現れる。この状態は、脂肪の貯蔵が枯渇しているが筋肉量がほとんど損なわれていない拒食症などの他の状態とは異なる。悪液質は癌患者の半数以上に影響を及ぼし、生活の質の低下(疲労感及び衰弱)をもたらし、一部の個人においては治療戦略を損ない得る。トランスフォーミング増殖因子ベータ(TGFベータ)スーパーファミリーのメンバーであるミオスタチンは、筋肉の成長及び発達の負の制御因子としてよく特徴付けられている。いかなる特定の理論にも拘束されることを望まないが、この経路を遮断することは、癌患者、特に悪液質が顕著な末期疾患及び転移を有する患者に潜在的に利益をもたらすと考えられる。したがって、いくつかの実施形態において、疾患又は病態は、悪液質(例えば、癌悪液質)である。
いくつかの実施形態において、疾患、障害又は病態は、線維性疾患、障害又は病態である。本明細書で使用される場合、用語「線維症」及び「線維性疾患、障害又は病態」は互換的に使用され、器官又は組織における過剰な線維性結合組織の形成を伴う対象における疾患、障害又は病態を指す。線維症を引き起こす過剰な線維性結合組織の形成は、修復又は反応プロセスにおいて、器官又は組織で発生すると考えられている。これは、反応性、良性、又は病的な状態であり得る。生理学的には、線維症は結合組織を沈着させるように作用し、その下にある臓器又は組織の正常な構造及び機能に干渉し、又は完全に阻害し得る。例えば、肺線維症は、肺組織に瘢痕が形成され、重篤な呼吸障害を引き起こす呼吸器疾患である。瘢痕形成には通常、過剰な線維性結合組織の蓄積が伴い、多くの場合、壁の肥厚につながり、血液中の酸素供給の低下を引き起こす。血液中の酸素供給が減少すると、心不全、さらには死に至る可能性がある。正常な肺が瘢痕組織に置き換わると、酸素拡散能力が低下する。一部のタイプの肺線維症は、慢性炎症ではなく、異常な創傷治癒によって持続すると考えられている。瘢痕化が進行すると、現在の治療法で治療した後でも、それが残ることが多い。特発性肺線維症(IPF)は肺線維症の一種であり、炎症、癌、及び/又はウイルス感染症とともに存在し得る、原因不明の致死的な肺疾患である。
肺線維症では、線維化過程は一般に、肺胞上皮の再発性損傷とそれに続く線維芽細胞の制御されない増殖の結果であると考えられている。一般に、線維症は3段階で進行する(肺線維症について説明しているが、多くの線維性疾患に共通である):損傷段階(「ステージ1」)、上皮-線維芽細胞の相互作用段階(「ステージ2」)、及び異常な修復及び線維症ステージ(「ステージ3」)。ステージ1では、一般に、上皮が損傷し、次の事象のうち1つ以上が発生し得る:上皮損傷、例えば肺線維症における、内皮損傷、肺胞毛細血管基底膜の破壊、血管漏出、血小板活性化、及びフィブリン凝固の活性化。ステージ2では、一般に、線維芽細胞が損傷した上皮と相互作用し始め、次の事象のうち1つ以上が発生し得る:線維化促進性サイトカインの放出、(筋)線維芽細胞の動員、増殖、分化、一時的なマトリックスの形成、血管新生、及び不完全な再上皮化。ステージ3では、一般に、上皮損傷が異常に修復されて線維症が生じ、次の事象のうち1つ以上が発生し得る:過剰な細胞外マトリックス(ECM)の蓄積、マトリックス分解の欠如(例えば、肺線維症において)、進行性の肺リモデリング及び蜂巣変化(肺線維症では、肺組織が蜂巣のようになる)。
線維性疾患、障害及び病態の非限定的な例としては、癌関連線維症;一般に「肺の瘢痕化」として知られる肺線維症(lung fibrosis)(例えば、肺線維症(pulmonary fibrosis)、例えば、特発性肺線維症、特発性肺線維症の急性増悪又は家族性肺線維症);肝臓線維症(肝線維症、例えば、ケロイド、強皮症、腎性全身性線維症、胆管線維症(胆道線維症)、肝硬変、例えば、原発性胆汁性胆管炎(胆汁性肝硬変)、原発性硬化性胆管炎);心臓疾患;心臓線維症又は再狭窄(例えば、ステント内再狭窄、血管形成術後の再狭窄);血管線維症;腎臓線維症(腎線維症);皮膚線維症(skin fibrosis)(皮膚線維症(cutaneous fibrosis)又は子宮内膜線維症、例えば、ケロイド、強皮症、又は腎性全身性線維症);胃腸線維症(例えば、クローン病);骨髄線維症(bone marrow fibrosis)(骨髄線維症(myelofibrosis));関節線維症(例えば、膝、肩又は他の関節);デュピュイトラン拘縮;縦隔線維症;ペイロニー病;後腹膜線維症;全身性硬化症;自己免疫性肝炎;非アルコール性脂肪性肝炎;嚢胞性線維症;ベータサラセミア;光線性角化症;高血圧;慢性腎臓疾患;シャーガスの心臓疾患;ドライアイ;潰瘍;角膜線維症;滲出性加齢性黄斑変性症;慢性創傷(治癒、閉鎖の失敗);乾癬がある。いくつかの実施形態において、線維性疾患、障害又は病態は、肺線維症、例えば、特発性肺線維症などの肺線維症、特発性肺線維症の急性増悪、又は家族性肺線維症である。いくつかの実施形態において、線維性疾患、障害又は病態は、肝線維症である。いくつかの実施形態において、線維性疾患、障害又は病態は、心臓疾患、又は心臓線維症若しくは再狭窄、例えば、ステント内再狭窄、血管形成術後の再狭窄である。いくつかの実施形態において、線維性疾患、障害又は病態は、心臓線維症又は再狭窄である。
線維症は、別の疾患、障害又は病態(例えば、炎症、炎症性疾患、障害又は病態、癌などの増殖性疾患、ウイルス又は細菌感染など)と関連している場合もあり、又は独立に発生する場合もある。例えば、線維症は、別の疾患、障害又は病態に先行する(例えば、その原因となる)場合もあれば、その後に起こる(例えば、それによって引き起こされる)場合もある。線維症は、関連するか否かにかかわらず、別の疾患、障害若しくは病態(例えば、炎症、炎症性疾患、障害又は病態、癌などの増殖性疾患、ウイルス又は細菌感染など)とともに、若しくはその代わりに存在する場合もあり、又は併存する疾患、障害又は病態(例えば、関連する疾患、障害又は病態)なしで存在する場合もある。いくつかの実施形態において、線維症は、関連する疾患、障害又は病態を伴わずに存在する。いくつかの実施形態において、線維症は、関連する疾患、障害又は病態を伴って存在する。
別の疾患、障害又は病態に関連した線維症の発生、例えば、癌関連線維症の存在は珍しいことではないが、線維症の病因は十分に理解されておらず、線維症は、他の疾患、障害又は病態とは独立に、且つ/又は他の疾患、障害又は病態の非存在下でも発生する。しかし、同様の機構及びシグナル伝達経路が、線維症及び多くの関連疾患、障害又は病態の両方に存在し、これは、線維症も存在する器官又は組織、例えば、肺癌に伴うIPFの存在に影響を及ぼすと考えられている。例えば、線維症は、それがしばしば存在する多くの疾患とともに、TGFβタンパク質及びその過剰発現に関与するシグナル伝達カスケードを介して進行すると考えられている。例えば、Ballester,B;et al.,Idiopathic Pulmonary Fibrosis and lung Cancer:Mechanisms and Molecular targets,Int.J.Mol.Sci.2019,20,593;doi:10.3390/ijms20030593参照。
線維症は、関連する疾患、障害又は病態(例えば、ウイルス若しくは細菌感染症などの、本明細書に記載の感染症などの、感染症;本明細書に記載の炎症性疾患、障害若しくは病態などの、炎症性疾患、障害又は病態;又は癌、特に線維性癌などの、本明細書に記載の増殖性疾患などの、増殖性疾患)と併存し得るか、それが原因となり得るか、且つ/又はそれによって悪化し得る。したがって、いくつかの実施形態において、線維症に関連する疾患、障害又は病態は、併存する、原因となる、且つ/又は悪化させる疾患、障害又は病態である。いくつかの実施形態において、線維症は、関連する疾患、障害又は病態と併存する。例えば、線維症は、感染症、例えば、ウイルス若しくは細菌感染症;本明細書に記載の炎症性疾患、障害若しくは病態などの、炎症性疾患、障害又は病態;又は癌、特に線維性癌などの、本明細書に記載の増殖性疾患などの、増殖性疾患と併存し得る。いくつかの実施形態において、線維症は、関連する疾患、障害又は病態を原因とする(例えば、線維症は、感染症、例えば、ウイルス若しくは細菌感染症;本明細書に記載の炎症性疾患、障害若しくは病態などの、炎症性疾患、障害又は病態;又は癌などの、本明細書に記載の増殖性疾患などの、増殖性疾患を原因とする)。いくつかの実施形態において、線維症は、関連する疾患、障害又は病態(例えば、感染症、例えば、ウイルス若しくは細菌感染症;本明細書に記載の炎症性疾患、障害若しくは病態などの、炎症性疾患、障害又は病態;又は癌、特に線維性癌などの、本明細書に記載の増殖性疾患などの、増殖性疾患)と併存するか、且つ/又はそれを原因とする。いくつかの実施形態において、線維症は、関連する疾患、障害又は病態によって悪化する。例えば、線維症は、感染症、例えば、ウイルス若しくは細菌感染症;本明細書に記載の炎症性疾患、障害若しくは病態などの、炎症性疾患、障害又は病態;又は癌、特に線維性癌などの、本明細書に記載の増殖性疾患などの、増殖性疾患によって悪化し得る。
いくつかの実施形態において、線維症に関連する疾患、障害又は病態は、感染症(例えば、ウイルス感染症、細菌感染症)である。さらなる実施形態において、感染症はウイルス感染症である(ウイルス感染症に伴う)。ウイルス感染症の非限定的な例としては、オルソミクソウイルス科(Orthomyxoviridae)ウイルス感染症(例えば、インフルエンザA型ウイルス感染症又はインフルエンザB型ウイルス感染症)、ニューモウイルス科(Pneumoviridae)ウイルス感染症(例えば、メタニューモウイルス(metapneumovirus)ウイルス感染症、例えば、ヒトメタニューモウイルス(metapneumovirus)(HMPV)感染症、又は呼吸器合胞体ウイルス(RSV)(例えば、ヒト呼吸器合胞体ウイルス(HRSV)感染症、例えば、ヒト呼吸器合胞体ウイルスA2(HRSV-A2)感染症又はヒト呼吸器合胞体ウイルスB1(HRSV-B1)感染症)などのオルソニューモウイルス(orthopneumovirus)感染症)、オルトヘパドナウイルス(Orthohepadnavirus)感染症(例えば、B型肝炎ウイルス感染症)、ヘパシウイルス(Hepacivirus)感染症(例えば、C型肝炎ウイルス感染症)、パラミクソウイルス科(Paramyxoviridae)ウイルス感染症(レスピロウイルス(Respirovirus)感染症、例えば、ヒトパラインフルエンザウイルス1型(HPIV-1)感染症若しくはヒトパラインフルエンザ3型(HPIV-3)感染症、又はルブラウイルス(Rubulavirus)ウイルス感染症、例えば、ヒトパラインフルエンザウイルス2型(HPIV-2)感染症若しくはヒトパラインフルエンザ4型(HPIV-4)感染症)、アデノウイルス科(Adenoviridae)ウイルス感染症(例えば、マストアデノウイルス(Mastadenovirus)感染症、例えば、ヒトアデノウイルスB(HAdV-B)感染症又はヒトアデノウイルスC(HAdV-C)感染症)及びエンテロウイルス(Enterovirus)ウイルス感染症(例えば、ライノウイルス(Rhinovirus)A感染症、ライノウイルス(Rhinovirus)B感染症又はライノウイルス(Rhinovirus)C感染症)がある。線維症に関連する感染は、併存する、原因となる、且つ/又は悪化する感染症であり得る。
いくつかの実施形態において、線維症に関連する疾患、障害又は病態は、炎症性の疾患、障害又は病態である。
本明細書で使用される場合、「炎症性疾患、障害又は病態」は、身体によって有害であると認識される刺激に対する対象の身体組織の1つ以上の反応に関与する疾患、障害又は病態を指す。炎症性疾患、障害又は病態の非限定的な例には、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、アルコール性脂肪性肝炎(ASH)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、原発性胆汁性胆管炎(PBC)、原発性硬化性胆管炎、自己免疫性肝炎、皮膚の炎症及び乾癬がある。いくつかの実施形態において、炎症性疾患、障害又は病態は、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、アルコール性脂肪性肝炎(ASH)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、原発性胆汁性胆管炎(PBC)、原発性硬化性胆管炎、自己免疫性肝炎、皮膚の炎症又は乾癬である。
線維症に関連する炎症性の疾患、障害又は病態は、併存する、原因となる、且つ/又は悪化する疾患、障害又は病態であり得る。
いくつかの実施形態において、炎症性疾患、障害又は病態は、変形性関節症、関節リウマチ、疼痛、炎症性腸疾患、呼吸器障害又は皮膚障害などの、自己免疫疾患、障害又は病態である。いくつかの実施形態において、炎症性疾患、障害又は病態は、炎症性腸疾患、例えば、クローン病、潰瘍性大腸炎、又は過敏性腸症候群である。いくつかの実施形態において、炎症性疾患、障害又は病態は、呼吸器障害、例えば、喘息、鼻炎、慢性閉塞性肺疾患、気管支炎、鼻ポリープ症、鼻詰まり、農負肺線維症肺又は咳である。いくつかの実施形態において、炎症性疾患、障害又は病態は、皮膚障害、例えば、皮膚炎、皮膚好酸球増加症、扁平苔癬、蕁麻疹、乾癬、掻痒症、血管皮膚炎(angiodermas)、角膜潰瘍、慢性皮膚潰瘍、結膜炎、血管炎、ぶどう膜炎又は紅斑である。
いくつかの実施形態において、線維症に関連する疾患、障害又は病態は、本明細書に記載される任意の癌などの癌、特に線維性癌である。換言すれば、いくつかの実施形態において、線維症は癌関連線維症である。癌は、併存する、原因となる、且つ/又は悪化させる癌であり得る。或いは、いくつかの実施形態において、線維症は癌に関連しない。
一部の線維症は癌(例えば、線維性癌)に関連している可能性があるが、関連する癌とは独立して、且つ/又は関連する癌の非存在下で発生することもあることが理解されよう。例えば、IPFは肺癌に関連している可能性があるが、肺癌とは独立して、且つ/又は肺癌の非存在下で発生することもある。したがって、いくつかの実施形態において、線維症は癌(例えば、線維性癌)の非存在下で存在し、例えば、IPFは肺癌の非存在下で存在する。
いくつかの実施形態は、線維症を有するか、又は線維症を発症するリスクのある対象(例えば、併存する、原因となる、又は悪化させる疾患、障害又は病態などの、関連する疾患、障害又は病態に起因する)を特定すること、及び対象に本開示の化合物の有効量(例えば、治療上有効な量、予防上有効な量)を投与することを含む。
本開示の化合物の投与は、単独で、又は本明細書に記載の治療剤のいずれかを含む1つ以上の追加の治療剤と組合せて、線維症の単一段階(例えば、ステージ1、ステージ2、ステージ3)中に起こり得るか、又は線維症の複数の段階(例えば、2段階、3段階)に分けることができる。例えば、本開示の化合物は、線維症のステージ1、ステージ2又はステージ3中に投与することができ、一方、1種以上の追加の治療剤は、線維症の異なる段階中に投与することができる。或いは、本開示の化合物及び1種以上の追加の治療剤は、線維症の全ての段階中に投与することができる。
様々な実施形態において、線維性疾患、障害又は病態を治療するのに有効な量は、線維性疾患、障害又は病態の進行を遅らせるか又は停止させ、線維性疾患、障害又は病態を患っている対象の生存期間を(治療を受けなかった対象と比較した場合、例えば、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、又は100%)延長し、対象集団の生存率を上昇させ(治療を受けなかった対象集団と比較した場合、例えば、集中治療室に入院後の生存率が少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、又は100%上昇する)、治療を受けなかった対象と比較した場合、対象が線維性疾患、障害又は病態を発症するリスクを低減し、治療を受けなかった対象と比較した場合、臓器機能(例えば、肺機能、肝機能)を保存し、且つ/又は治療を受けなかった対象と比較した場合、線維性疾患、障害又は病態の急性増悪のリスクを予防又は低減するのに有効な量である。
また、本明細書では、組織を本開示の化合物(例えば、有効量の本開示の化合物)と接触させること(例えば、インビトロ、エクスビボ、インビボ)を含む、組織における線維症を阻害する方法も提供される。様々な実施形態において、有効量は、組織線維症の形成又は沈着を阻害し、且つ/又は線維性病変のサイズ、細胞性、組成、細胞又はコラーゲン含有量を減少させるのに有効な量である。いくつかの実施形態において、組織は、対象(例えば、ヒト)中にある。
また、本明細書では、腫瘍間質細胞又は免疫細胞(例えば、腫瘍関連免疫細胞)を標的とする方法、及び/又は(例えば、それにより)インビボ又はインビトロで腫瘍微小環境(例えば、腫瘍間質微小環境及び/又は腫瘍免疫微小環境)を調節する(例えば、正規化する)方法を提供し、この方法は、腫瘍間質細胞又は免疫細胞(例えば、腫瘍関連免疫細胞)を本開示の化合物と接触させることを含む。特定の実施形態において、阻害は対象においてインビボで起こる。特定の実施形態において、阻害はインビトロで(例えば、細胞株、組織又は生物学的試料において)起こる。特定の実施形態において、腫瘍間質細胞は、癌関連線維芽細胞(CAF)、星細胞、又は筋線維芽細胞である。
いかなる特定の理論にも拘束されることを望まないが、特定の化合物が腫瘍微小環境を正常化し、それにより血管灌流及び薬物送達を改善できると考えられている。薬物送達の強化は、ひいては、本明細書に記載の任意の免疫調節剤を含む免疫調節剤(例えば、癌免疫剤)などの薬物の有効性を強化することが予想される。したがって、本明細書では、インビボ又はインビトロで腫瘍微小環境(例えば、腫瘍間質微小環境及び/又は腫瘍免疫微小環境)を調節する(例えば、正規化する)方法を提供し、この方法は、腫瘍を本開示の化合物と接触させることを含む。
また、本明細書では、有効量(例えば、治療上有効な量、予防上有効な量)の本開示の化合物を対象に投与することを含む、それを必要とする対象におけるウイルス感染及び/又はウイルス複製を阻害する方法も提供される。
また、本明細書では、それを必要とする対象における炎症性疾患、障害又は病態(例えば、本明細書に記載の炎症性疾患、障害又は病態のいずれか)を治療及び/又は予防するための方法であって、対象に本開示の化合物の有効量(例えば、それぞれ治療上有効な量、予防上有効な量)を投与することを含む方法も提供される。
本開示の化合物は、単剤療法として投与することができ、又は本明細書に記載されるような、他の治療剤及び/又は治療法との併用療法の一部として投与することができる。したがって、いくつかの実施形態において、本明細書に記載の方法は、対象に1つ以上の追加の治療剤(例えば、1つ以上の追加の治療剤)を投与することをさらに含む。本開示の化合物及び追加の治療剤は、例えば、同時又は実質的に同時に共投与することができる。本開示の化合物及び追加の治療剤は、また、又は代わりに、ほぼ同時に又は異なる時間のいずれかで連続的に投与することもできる。例えば、本開示の化合物は、追加の治療剤の前に投与することができる。或いは、本開示の化合物は、追加の治療剤の後に投与することができる。本明細書に開示される方法における使用に適した追加の治療剤には、組合せに関して本明細書で論じられるものが含まれる。
治療剤(例えば、本開示の化合物)及びその医薬組成物は、化合物及び治療すべき特定の疾患に応じて、例えば、経口、食事、外用、経皮、直腸、非経口(例えば、動脈内、静脈内、筋肉内、皮下注射、皮内注射)、静脈内注入及び吸入(例えば、気管支内、鼻腔内又は経口吸入、点鼻剤)投与経路を含む種々の投与経路により投与できる。投与は、適応に応じて、局所でも、又は全身性でもあり得る。好ましい投与様式は、選択される特定の化合物により変わり得る。いくつかの実施形態において、治療剤(例えば、本開示の化合物)は経口投与される。いくつかの実施形態において、治療剤(例えば、本開示の化合物)は静脈内投与される。
例示
本開示の化合物は、本明細書に提供される方法、反応スキーム及び例に照らして、有機合成の当業者に公知であるいくつかの方法で調製できる。本開示の化合物は、当業者により認識される通り、合成の有機化学の分野に公知である合成方法と共に以下に記載される方法を使用して、又はそれに対する変形体により、合成できる。好ましい方法としては、以下に記載されるものがあるが、これに限定されない。反応は、利用される試薬及び材料に適切で、影響される(affected)変換に好適な溶媒又は溶媒混合物中で実施される。分子上に存在する官能基が、提案される変換と調和すべきであることが有機合成の当業者により理解されるだろう。これは、時により、所望の本開示の化合物を得るために、合成工程の順序を変える判断又は別のプロセススキームよりも特定のプロセススキームを選択する判断を必要とするだろう。
出発物質は、Sigma Aldrich若しくは他の商業的供給業者などの商業的供給源から一般的に利用可能であるか、又は本開示に記載の通り調製されるか、又は当業者に周知の方法を使用して容易に調製される(例えば、Louis F.Fieser and Mary Fieser,Reagents for Organic Synthesis,v.1-19,Wiley,New York(1967-1999 ed.)、Larock,R.C.,Comprehensive Organic Transformations,2nd ed.,Wiley-VCH Weinheim,Germany(1999)、又は補遺を含むBeilsteins Handbuch der organischen Chemie,4,Aufl.ed.Springer-Verlag,Berlin(Beilstein online databaseによっても利用可能)に一般的に記載される方法により調製される)。
説明のために、以下に描写される反応スキームは、本開示の化合物並びに主要な中間体を合成する潜在的経路を与える。当業者は、本開示の化合物を合成するために他の合成経路が使用され得ることを認識するだろう。具体的な出発物質及び試薬が以下のスキーム及び議論に描写されているが、他の出発物質及び試薬を容易に代用して、種々の誘導体及び/又は反応条件を提供できる。さらに、以下に記載される方法により調製される化合物の多くは、本開示に鑑み、当業者に周知の従来の化学作用を使用してさらに修飾できる。
本開示の化合物の調製において、中間体の遠くの官能基の保護が必要であり得る。そのような保護の必要性は、遠くの官能基の性質及び調製方法の条件により変わるだろう。そのような保護の必要性は、当業者により容易に確認される。保護基及びそれらの使用の一般的な説明には、Greene,T.W.et al.,Protecting Groups in Organic Synthesis,4th Ed.,Wiley(2007)を参照されたい。トリチル保護基など、本開示の化合物の製造に組み込まれる保護基は、1種の位置異性体として示され得るが、位置異性体の混合物としても存在し得る。
実施例1.合成実験
3-ブロモ-6-クロロイミダゾ[1,2-b]ピリダジン
Figure 2024529485000013
アセトニトリル(750ml)中の6-クロロイミダゾ[1,2-b]ピリダジン(100g、651mmol)の氷冷溶液に、撹拌下、N-ブロモスクシンイミド(NBS、116g、651mmol)を慎重に少しずつ加えた。得られた混合物を室温で3時間撹拌した。反応の完了を薄層クロマトグラフィー(TLC)で確認した後、氷冷水をゆっくり加えて反応を停止した。次いで、反応混合物を酢酸エチル(EtOAc、3×5000mL)で抽出した。合わせた有機層を飽和重炭酸塩溶液(3×5000mL)及びブライン溶液(3000mL)で洗浄し、次いで硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させて表題化合物を得、これをさらに精製せずに次の工程で使用した。LCMS(ESI陽イオン)m/z:234.1(M+2)。
化合物1:4-((3-(5-エチル-1H-ピロール-3-イル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-イル)アミノ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-オール
Figure 2024529485000014
工程1:5-メチル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-ピラゾール。丸底フラスコに、3,4-ジヒドロ-2H-ピラン(12.29g、146mmol)中の5-メチル-1H-ピラゾール(4g、48.7mmol)を入れた。この懸濁液にトリフルオロ酢酸(0.263ml、3.41mmol)を加えた。透明な溶液を75℃で18時間加熱した。反応混合物をEtOAc(100mL)で希釈し、有機相を飽和NaHCO水溶液(2×30mL)、水(20mL)及びブライン(20mL)で洗浄し、次いでNaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。このようにして得られた残留物をフラッシュクロマトグラフィー(石油エーテル中18%EtOAc)により精製して、表題化合物を得た。LCMS(ESI陽イオン)m/z:167.1(M+1)。H-NMR(400MHz,CDCl):δ 7.50(d,J=2.40Hz,1H),6.05-6.09(m,1H),5.26-5.41(m,1H),4.07-4.11(m,1H),3.67-3.72(m,1H),2.36(s,3H),2.01-2.13(m,3H),1.58-1.73(m,3H).
工程2:5-メチル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾール。丸底フラスコに、テトラヒドロフラン(THF、15mL)中の5-メチル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-ピラゾール(1.0g、6.02mmol)を入れ、フラスコを-78℃に維持した。この溶液に、n-ブチルリチウム(n-BuLi、3.95mL、6.32mmol)を10分間かけてゆっくり加えた。得られた反応混合物を15分間撹拌した。反応混合物にホウ酸トリイソプロピル(1.537mL、6.62mmol)を-78℃で滴下した。反応混合物を15分間撹拌し、その時点で反応混合物を室温に戻し、ピナコール(0.782g、6.62mmol)を加え、続いて酢酸(0.689mL、12.03mmol)を加えた。反応混合物を室温で一晩撹拌した。反応混合物をヘプタンで希釈し、有機相をNHCl(水溶液(aq))、NaHCO(aq)及びブラインで洗浄し、次いでNaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して表題化合物を得、これを精製せずに次の工程で使用した。LCMS(ESI陽イオン)m/z:211.1(M+1)。
工程3:6-クロロ-3-(5-メチル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-ピラゾール-3-イル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジン。密封管に、1,4-ジオキサン(4mL)及び水(1mL)中の3-ブロモ-6-クロロイミダゾ[1,2-b]ピリダジン(250mg、1.075mmol)、5-メチル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾール(377mg、1.291mmol)及びKCO(372mg、2.69mmol)を入れた。溶液を通して窒素を5分間パージし、次いでPdCl(dppf)・DCM(88mg、0.108mmol)を加え、反応混合物を再び窒素で5分間パージした。反応混合物を油浴中に保持し、100℃で16時間撹拌した。反応の進行は、TLC及び液体クロマトグラフィー質量分析法(LCMS)によってモニタリングした。反応物を水(15mL)で希釈し、酢酸エチル(25mL×3)で抽出した。合わせた有機層をブライン(20mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して粗生成物を得、これを、溶離剤として石油エーテル中の60%酢酸エチルを使用するフラッシュシリカクロマトグラフィーで精製して、表題化合物を得た。LCMS(ESI陽イオン)m/z:318.1(M+1)。H-NMR(400MHz,DMSO-d6):δ 8.35(d,J=12.8Hz,1H),8.00(s,1H),7.47-7.69(m,1H),6.66(s,1H),5.27(d,J=10.8Hz,1H),3.90-3.94(m,2H),3.55-3.62(m,2H),2.38(s,3H),1.78-1.94(m,2H),1.45-1.62(m,2H).
工程4:4-((3-(5-メチル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-ピラゾール-3-イル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-イル)アミノ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-オール。密封管に、ジメチルスルホキシド(DMSO、1.5ml)中の6-クロロ-3-(5-メチル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-ピラゾール-3-イル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジン(150mg、0.472mmol)、4-アミノビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-オール・HCl(60.0mg、0.472mmol)及びフッ化カリウム(82mg、1.416mmol)を入れた。反応混合物を油浴中120℃で16時間撹拌し、反応の完了をTLC及びLCMSでモニタリングした。反応物を水(10mL)で希釈し、生成物をEtOAc(3×20mL)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。このようにして得られた残留物を、溶離剤としてジクロロメタン(DCM)中の5%メタノール(MeOH)を使用するフラッシュシリカクロマトグラフィーにより精製して、表題化合物を得た。LCMS(ESI陽イオン)m/z:409.2(M+1)。
工程5:4-((3-(5-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-イル)アミノ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-オール。DCM(2mL)中の4-((3-(5-メチル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-ピラゾール-3-イル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-イル)アミノ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-オール(123mg、0.301mmol)の氷冷溶液に、ジオキサン中の4M HCl(3ml、12.00mmol)を加えた。反応混合物を25℃で16時間撹拌し、反応の完了をTLCでモニタリングした。反応物を濃縮し、メタノール性アンモニアで塩基性化し、再度濃縮して粗生成物を得た。このようにして得られた残留物を、溶離剤としてDCM中の8%メタノールを使用するフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、表題化合物を得た。LCMS(ESI陽イオン)m/z:325.2(M+1);HPLC:96.05%。H-NMR(400MHz,MeOD):δ 7.78(s,1H),7.59-7.61(m,1H),6.98(s,1H),6.60-6.70(m,1H),2.10-2.44(m,5H),2.10(s,2H),1.81-1.92(m,6H).
化合物2:2-(4-((3-(5-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-イル)アミノ)ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-イル)プロパン-2-オール
Figure 2024529485000015
工程1:メチル4-((3-(5-メチル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-ピラゾール-3-イル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-イル)アミノ)ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-カルボキシラート。密封管に、DMSO(3mL)中の6-クロロ-3-(5-メチル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-ピラゾール-3-イル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジン(300mg、0.944mmol)、メチル4-アミノビシクロ[2.2.2]オクタン-1-カルボキシラート(173mg、0.944mmol)及びフッ化カリウム(82mg、1.416mmol)を入れた。反応混合物を油浴中120℃で30時間撹拌し、反応の完了をTLC及びLCMSでモニタリングした。反応物を水(25mL)で希釈し、生成物をEtOAc(3×20mL)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。このようにして得られた残留物を、溶離剤としてDCM中の4%MeOHを使用するフラッシュシリカクロマトグラフィーにより精製して、表題化合物を得た。LCMS(ESI陽イオン)m/z:465.3(M+1)。6-クロロ-3-(5-メチル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-ピラゾール-3-イル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジンを、化合物1の合成工程1-3に従って調製した。
工程2:メチル4-((3-(5-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-イル)アミノ)ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-カルボキシラート。DCM(2mL)中の4-((3-(5-メチル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-ピラゾール-3-イル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-イル)アミノ)ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-カルボキシラート(145mg、0.312mmol)の氷冷溶液に、ジオキサン(3mL)中の4M HClを加えた。反応混合物を25℃で16時間撹拌し、反応の完了をTLCでモニタリングした。反応をNaHCO(25mL)でクエンチし、生成物を酢酸エチル(3×20mL)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して粗生成物(100mg)を得、これをさらに精製せずに次の工程で使用した。LCMS(ESI陽イオン)m/z:381.2(M+1)。
工程3:2-(4-((3-(5-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-イル)アミノ)ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-イル)プロパン-2-オール。丸底フラスコに、窒素雰囲気下に維持したTHF(8mL)中のメチル4-((3-(5-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-イル)アミノ)ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-カルボキシラート(100mg、0.263mmol)を入れた。MeMgBr溶液(1.4M THF:トルエン)(3.75mL、5.26mmol)を上記の反応混合物に25℃でゆっくり加えた。反応混合物を65℃で6時間撹拌し、反応の完了をTLCでモニタリングした。反応混合物をNHCl(25mL)でクエンチし、生成物を酢酸エチル(3×20mL)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。このようにして得られた残留物を分取高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により精製して、表題化合物を得た。LCMS(ESI陽イオン)m/z:381.2(M+1),HPLC:99.47%。H-NMR(400MHz,DMSO-d6):δ 7.65-7.72(m,2H),6.92(s,1H),6.63-6.66(m,1H),3.93(s,2H),2.29(s,2H),1.90-2.03(m,8H),1.61-1.65(m,6H),1.04(s,6H).
化合物3:4-((3-(5-エチル-1H-ピロール-3-イル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-イル)アミノ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-オール
Figure 2024529485000016
工程1:(E)-6-クロロ-3-(2-ニトロビニル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジン。丸底フラスコに、酢酸(30mL)中の6-クロロイミダゾ[1,2-b]ピリダジン-3-カルバルデヒド(10g、55.1mmol)、酢酸アンモニウム(12.74g、165mmol)及びニトロメタン(16.81g、275mmol)を加えた。反応混合物を80℃で2時間撹拌し、反応の完了をTLCでモニタリングした。反応混合物を水(150mL)で希釈し、生成物をEtOAc(3×70mL)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して粗生成物を得、これを精製せずに次の工程で使用した。LCMS(ESI陽イオン)m/z:計算値:225.0(M+1)。
工程2:メチル4-(6-クロロイミダゾ[1,2-b]ピリダジン-3-イル)-2-エチル-1H-ピロール-3-カルボキシラート。MeOH(150mL)中の(E)-6-クロロ-3-(2-ニトロビニル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジン(6g、26.7mmol)及びメチル3-オキソペンタノアート(5.21g、40.1mmol)の溶液に、ナトリウムメトキシド(0.722g、13.36mmol)を加えた。反応混合物を室温で30分間撹拌し、次いでメタノール性アンモニア(7M)(19.08mL、134mmol)を加え、反応混合物を室温で16時間撹拌した。反応の完了をTLCでモニタリングした。有機溶媒を減圧下で除去し、残留物を水(100mL)で希釈した。水層をEtOAc(3×100mL)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。このようにして得られた残留物を、溶離剤として石油エーテル中の70%EtOAcを使用するフラッシュシリカクロマトグラフィーにより精製して、表題化合物を得た。LCMS(ESI陽イオン)m/z:305.0(M+1)。H-NMR(400MHz,DMSO-d6):δ 11.62(brs,1H),8.18-8.22(m,1H),7.84-7.88(d,1H),7.28-7.32(m,1H),7.09(d,1H),3.38-3.58(m,3H),2.88-2.94(m,4H),1.2(t,3H).
工程3:6-クロロ-3-(5-エチル-1H-ピロール-3-イル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジン。10N HCl(1mL、10.00mmol)中のメチル4-(6-クロロイミダゾ[1,2-b]ピリダジン-3-イル)-2-エチル-1H-ピロール-3-カルボキシラート(600mg、1.969mmol)の混合物を、マイクロ波照射下、100℃で2時間撹拌した。反応の完了をTLCでモニタリングした。反応物を水(10mL)で希釈し、得られた沈殿物を濾過し、水で洗浄した。固体ケーキを真空下で乾燥させて、表題化合物を得た。LCMS(ESI陽イオン)m/z:計算値:247.1(M+1)。
工程4:4-((3-(5-エチル-1H-ピロール-3-イル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-イル)アミノ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-オール。1,4-ジオキサン(3mL)中の6-クロロ-3-(5-エチル-1H-ピロール-3-イル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジン(100mg、0.405mmol)、4-アミノビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-オール(103mg、0.811mmol)及びナトリウムtert-ブトキシド(78mg、0.811mmol)の混合物を、窒素で10分間パージした。この溶液に、Pd(dba)(18.56mg、0.020mmol)及び2-(ジシクロヘキシルホスフィノ)-3,6-ジメトキシ-2’,4’,6’-トリイソプロピル-1,1’-ビフェニル(21.76mg、0.041mmol)を加えた。得られた反応混合物を再び窒素で5分間パージした。反応混合物をマイクロ波照射下、100℃で2時間撹拌した。反応の完了をTLCでモニタリングした。反応混合物を、セライトを通して濾過し、DCM中の10%MeOHで洗浄した。有機層を減圧下で濃縮した。このようにして得られた残留物を、溶離剤としてDCM中の6%MeOHを使用するフラッシュシリカクロマトグラフィーにより精製して、表題化合物を得た。LCMS(ESI陽イオン)m/z:計算値:338.2(M+1)。HPLC:96.2%。H-NMR(400MHz,DMSO-d6):δ 10.81(s,1H),7.60(t,J=9.60Hz,1H),7.48(d,J=24.40Hz,1H),6.94(s,1H),6.66(d,J=9.60Hz,1H),6.54(s,1H),6.34(d,J=Hz,1H),4.98(s,1H),3.50(s,1H),3.17-3.18(m,1H),2.59(d,J=7.60Hz,2H),2.25-2.31(m,2H),1.74-1.84(m,3H),1.62-1.66(m,3H),1.19-1.30(m,3H).
化合物4:2-(4-((3-(5-シクロプロピル-1H-ピラゾール-3-イル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-イル)アミノ)ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-イル)プロパン-2-オール
Figure 2024529485000017
工程1:5-シクロプロピル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-ピラゾールの調製。EtOAc(100mL)中の5-シクロプロピル-1H-ピラゾール(50g、462mmol)、パラ-トルエンスルホン酸(PTSOH、4.40g、23.12mmol)、3,4-ジヒドロ-2H-ピラン(DHP、63.4ml、694mmol)の混合物を、80℃で2時間撹拌した。反応の完了をTLCでモニタリングした。反応混合物をEtOAcで希釈し、有機相を10%NaHCO水溶液(3×500mL)及びブラインで洗浄した。合わせた有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。このようにして得られた残留物を、溶離剤として石油エーテル中の10%EtOAcを使用するフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、230~400メッシュサイズ)により精製して、表題化合物を得た。LCMS(ESI陽イオン)m/z:193.2(M+1)。
工程2:5-シクロプロピル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾールの調製。丸底フラスコ内で、THF(200ml)中の5-シクロプロピル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-ピラゾール(26g、135mmol)の溶液を-78℃に維持した。この溶液に、n-BuLi(ヘキサン中2.5M、81mL、203mmol)を10分間かけて加えた。20分後、2-イソプロポキシ-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン(33.1mL、162mmol)を-78℃で滴下し、反応混合物をさらに15分間撹拌した。反応混合物を室温に到達させ、8時間撹拌した。反応混合物をNHCl水溶液(100mL)でクエンチし、酢酸エチル(3×100mL)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、濾過し、NaSOで乾燥させ、濃縮して、表題化合物を得た。粗製物をさらに精製せずに次の工程に使用した。LCMS(ESI陽イオン)m/z:319.2(M+1)。
工程3:6-クロロ-3-(5-シクロプロピル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-ピラゾール-3-イル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジンの調製。1,4-ジオキサン:水(5:1、120mL)中の3-ブロモ-6-クロロイミダゾ[1,2-b]ピリダジン(14g、60.2mmol)及び5-シクロプロピル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾール(42.2g、66.2mmol)の撹拌溶液に、KCO(16.65g、120mmol)を加えた。溶液を窒素雰囲気下で15分間脱気し、次いでPdCl(dppf)-DCM付加物(4.92g、6.02mmol)を反応混合物に加えた。得られた混合物を100℃で16時間撹拌し、反応の完了をTLCでモニタリングした。混合物をセライトのパッドを通して濾過し、酢酸エチルで洗浄し、濾液を減圧下で濃縮した。このようにして得られた残留物を、溶離剤として石油エーテル中の80%EtOAcを使用するフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、230~400メッシュサイズ)により精製して、表題化合物を得た。LCMS(ESI陽イオン)m/z:計算値:344.1(M+1)。
工程4:メチル4-((3-(5-シクロプロピル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-ピラゾール-3-イル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-イル)アミノ)ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-カルボキシラートの調製。DMSO(100mL)中の6-クロロ-3-(5-シクロプロピル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-ピラゾール-3-イル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジン(11g、26.6mmol)及びメチル4-アミノビシクロ[2.2.2]オクタン-1-カルボキシラート(5.60g、30.5mmol)の撹拌溶液に、フッ化カリウム(9.26g、159mmol)を加えた。得られた混合物を120℃で18時間撹拌した。反応の完了をLCMSで確認した後、氷冷水で反応をクエンチした。クエンチした反応混合物を酢酸エチル(3×250mL)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。粗生成物を、石油エーテル中の80%EtOAcを溶離剤として使用するフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、230~400メッシュサイズ)により精製して、表題化合物を得た。LCMS(ESI陽イオン)m/z:491.3(M+1)。H-NMR(400MHz,DMSO-d6):δ 7.74(d,J=9.60Hz,1H),7.57(s,1H),6.73(t,J=8.00Hz,2H),6.57(s,1H),5.30-5.33(m,1H),3.60(s,3H),2.42-2.46(m,2H),1.94-2.01(m,8H),1.84-1.88(m,8H),1.56-1.65(m,3H),0.93-0.97(m,2H)及び0.66-0.69(m,2H).
工程5:メチル4-((3-(5-シクロプロピル-1H-ピラゾール-3-イル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-イル)アミノ)ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-カルボキシラートの調製。DCM(30mL)中のメチル4-((3-(5-シクロプロピル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-ピラゾール-3-イル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-イル)アミノ)ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-カルボキシラート(6.9g、14.06mmol)の撹拌溶液に、ジオキサン(30mL、120mmol)中の4M HCl溶液を室温で加えた。得られた混合物を室温で18時間撹拌した。反応の完了をLCMSで確認した後、溶媒を減圧下で蒸発させて、粗残留物を得た。粗残留物を水に溶解し、NaHCO溶液で塩基性化し、酢酸エチル(3×100mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(200mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させて、粗生成物を得た。粗生成物をさらに精製せずに次の工程に使用した。LCMS(ESI陽イオン)m/z:407.2(M+1)。
工程6:2-(4-((3-(5-シクロプロピル-1H-ピラゾール-3-イル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-イル)アミノ)ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-イル)プロパン-2-オールの調製。乾燥THF(100mL)中のメチル4-((3-(5-シクロプロピル-1H-ピラゾール-3-イル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-イル)アミノ)ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-カルボキシラート(5g、10.95mmol)の撹拌溶液に、臭化メチルマグネシウム(73.0ml、219mmol)を-10℃で滴下した。得られた混合物を室温で3時間撹拌した。反応の完了をLCMSで確認した後、反応を飽和NHCl溶液(20mL)でクエンチし、生成物をEtOAc(3×50mL)で抽出した。合わせた有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して粗生成物を得た。粗生成物を、溶離剤としてジクロロメタン中の5%メタノールを使用するフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、230~400メッシュサイズ)により精製して、表題化合物を得た。LCMS(ESI陽イオン)m/z:407.2(M+1)。HPLC純度;97.64%。H-NMR(400MHz,DMSO-d6):δ 12.85(s,1H),7.63-7.69(m,2H),6.55-6.70(m,3H),3.93(s,1H),1.97-2.00(m,7H),1.64(brs,6H),0.93-1.06(m,8H),0.65-0.71(m,2H).
化合物5:4-((3-(5-シクロプロピル-1H-ピラゾール-3-イル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-イル)アミノ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-オール
Figure 2024529485000018

工程1:4-((3-ブロモイミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-イル)アミノ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-オールの調製。DMSO(5mL)中の3-ブロモ-6-クロロイミダゾ[1,2-b]ピリダジン(200mg、0.860mmol)及び4-アミノビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-オール塩酸塩(141mg、0.860mmol)の撹拌溶液に、フッ化カリウム(150mg、2.58mmol)を加えた。得られた混合物を120℃で18時間撹拌した。反応の完了をLCMSで確認した後、氷冷水をゆっくり加えて反応をクエンチした。クエンチした反応混合物をEtOAc(3×50mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(10mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させて表題化合物を得、これをさらに精製せずに次の工程で使用した。LCMS(ESI陽イオン)m/z:325(M+2)。
工程2:3-ブロモ-5-シクロプロピル-1H-ピラゾールの調製。アセトニトリル(150mL)中の5-シクロプロピル-1H-ピラゾール-3-アミン(10g、81mmol)、臭化銅(II)(8.16g、36.5mmol)、及び臭化銅(I)(0.582g、4.06mmol)の氷冷撹拌溶液に、亜硝酸tert-ブチル(14.47ml、122mmol)を慎重に少しずつ加えた。得られた混合物を0℃で3時間撹拌した。反応の完了をLCMSで確認した後、重炭酸ナトリウム溶液で反応をクエンチした。クエンチした反応混合物を酢酸エチル(3×500mL)で抽出した。合わせた有機層をセライト床で濾過し、酢酸エチルで洗浄した。有機層をブライン(300mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させて表題化合物を得、これをさらに精製せずに次の工程で使用した。LCMS(ESI陽イオン)m/z:計算値:189(M+2)。
工程3:3-ブロモ-5-シクロプロピル-1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-ピラゾールの調製。THF(50ml)中のNaH(2.57g、64.2mmol)の氷冷懸濁液に、3-ブロモ-5-シクロプロピル-1H-ピラゾール(8g、42.8mmol)を0℃で加えた。反応混合物を同じ温度で1.5時間撹拌し、続いて、2-(トリメチルシリル)エトキシメチルクロリド(8.34ml、47.0mmol)を加えた。得られた混合物を0℃でさらに1.5時間撹拌した。反応の完了をTLCで確認した後、反応混合物を氷水(100mL)でクエンチし、酢酸エチル(3×100mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(200mL)で洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、粗生成物を得た。粗生成物を、溶離剤として石油エーテル中の2%EtOAcを使用するカラムクロマトグラフィーにより精製して、表題化合物を得た。LCMS(ESI陽イオン)m/z:計算値:319(M+2)。
工程4:5-シクロプロピル-3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-ピラゾールの調製。-78℃に維持したTHF(50ml)中の3-ブロモ-5-シクロプロピル-1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-ピラゾール(4g、12.61mmol)及び2-イソプロポキシ-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン(5.14ml、25.2mmol)の溶液に、nBuLi(12.10mL、30.3mmol)を10分間かけてゆっくり加えた。得られた反応混合物を室温にし、6時間撹拌した。反応の完了をTLCで確認した後、反応混合物を飽和塩化アンモニウム溶液でクエンチし、酢酸エチル(3×60mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(100mL)で洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して表題化合物を得、これをさらに精製せずに次の工程で使用した。LCMS(ESI陽イオン)m/z:計算値:365.1(M+1)。注:生成物はボロン酸とボロン酸エステルの混合物であった。
工程5:4-((3-(5-シクロプロピル-1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-ピラゾール-3-イル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-イル)アミノ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-オールの調製。ジオキサン:水(3:1、4mL)中の4-((3-ブロモイミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-イル)アミノ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-オール(200mg、0.495mmol;第1の工程で合成)、5-シクロプロピル-3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-ピラゾール(313mg、0.644mmol)、NaCO(79mg、0.743mmol)、及びCsCO(113mg、0.347mmol)の撹拌溶液を窒素で10分間パージした。この溶液に、PdCl(dppf)-DCM付加物(40.4mg、0.050mmol)を加え、反応混合物を再び窒素で10分間パージした。得られた混合物をマイクロ波照射下、120℃で2時間撹拌した。反応の完了をTLCで確認した後、反応混合物を、セライトパッドを通して濾過し、EtOAcで洗浄し、減圧下で濃縮して粗生成物を得た。粗生成物を、溶離剤としてDCM中の10%MeOHを使用するフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、230~400メッシュサイズ)により精製して、表題化合物を得た。LCMS(ESI陽イオン)m/z:計算値:481.3(M+1)。
工程6:4-((3-(5-シクロプロピル-1H-ピラゾール-3-イル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-イル)アミノ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-オールの調製。DCM(3mL)中の4-((3-(5-シクロプロピル-1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-ピラゾール-3-イル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-イル)アミノ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-オール(400mg、0.416mmol)の撹拌溶液に、トリフルオロ酢酸(TFA、0.032ml、0.416mmol)を室温で反応混合物に加えた。得られた混合物を室温で18時間撹拌した。反応の完了をLCMSで確認した後、反応混合物を減圧下で濃縮した。このようにして得られた粗残留物を逆相分取HPLC(0.1%TFA-アセトニトリル水溶液で溶出)により精製して、表題化合物のTFA塩を得た。LCMS(ESI陽イオン)m/z:351(M+1)。HPLC純度:99.11%。H-NMR(400MHz,DMSO-d6):δ 8.18(s,1H),7.96(d,J=9.60Hz,1H),7.76(s,1H),7.08(d,J=9.20Hz,1H),6.72(s,1H),2.15-2.21(m,2H),2.03-2.09(m,1H),1.90(brs,4H),1.81-1.86(m,2H),1.63-1.78(m,2H),1.00-1.05(m,2H)及び0.74-0.78(m,2H).
化合物6:2-(4-((3-(5-エチル-1H-ピラゾール-3-イル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-イル)アミノ)ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-イル)プロパン-2-オール
Figure 2024529485000019
工程1:メチル4-((3-ブロモイミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-イル)アミノ)ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-カルボキシラートの調製。DMSO(10mL)中の3-ブロモ-6-クロロイミダゾ[1,2-b]ピリダジン(1g、4.30mmol)及びメチル4-アミノビシクロ[2.2.2]オクタン-1-カルボキシラート(0.788g、4.30mmol)の撹拌溶液に、フッ化カリウム(1.250g、21.51mmol)を加えた。得られた混合物を120℃で18時間撹拌した。反応の完了をLCMSで確認した後、氷冷水で反応をクエンチした。水層をEtOAc(3×50mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(100mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させた。このようにして得られた粗残留物を、溶離剤として石油エーテル中の80%EtOAcを使用するフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、230~400メッシュサイズ)により精製して、表題化合物を得た。LCMS(ESI陽イオン)m/z:381(M+2)。
工程2:4-((3-(5-シクロプロピル-1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-ピラゾール-3-イル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-イル)アミノ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-オールの調製。アセトニトリル(100mL)中の5-エチル-1H-ピラゾール-3-アミン(10g、90mmol)、臭化銅(II)(9.04g、40.5mmol)及び臭化銅(I)(0.645g、4.50mmol)の氷冷撹拌溶液に、亜硝酸tert-ブチル(16.16ml、135mmol)を慎重に少しずつ加えた。得られた混合物を0℃で2時間撹拌した。反応の完了をLCMSで確認した後、重炭酸ナトリウム溶液で反応をクエンチした。クエンチした反応混合物をEtOAc(3×500mL)で抽出した。合わせた有機層をセライト床で濾過し、過剰のEtOAcで洗浄した。有機層をブライン(300mL)で洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して表題化合物を得、これをさらに精製せずに次の工程で使用した。LCMS(ESI陽イオン)m/z:177.1(M+2)。
工程3:3-ブロモ-5-エチル-1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-ピラゾールの調製。THF(100mL)中の水素化ナトリウム(4.11g、103mmol)の氷冷懸濁液に、3-ブロモ-5-エチル-1H-ピラゾール(12g、68.6mmol)を0℃で加えた。混合物を同じ温度で1.5時間撹拌した。混合物にSEM-Cl(12.57g、75mmol)を0℃でゆっくり加えた。得られた反応混合物を0℃でさらに1.5時間撹拌した。反応の完了をTLCで確認した後、反応混合物を氷水(100mL)でクエンチし、酢酸エチル(3×100mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(200mL)で洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。このようにして得られた粗残留物を、溶離剤として石油エーテル中の2%EtOAcを使用するカラムクロマトグラフィーにより精製して、表題化合物を得た。LCMS(ESI陽イオン)m/z:計算値:306.9(M+2)。
工程4:5-エチル-3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-ピラゾールの調製。-78℃に維持したTHF(50mL)中の3-ブロモ-5-エチル-1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-ピラゾール(3.7g、12.12mmol)及び2-イソプロポキシ-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン(4.51g、24.24mmol)の氷冷撹拌溶液に、nBuLi(11.63ml、29.1mmol)を15分間かけてゆっくり加えた。得られた混合物を-78℃で2時間撹拌した。反応の完了をTLCで確認した後、反応混合物を飽和塩化アンモニウム溶液でクエンチし、酢酸エチル(3×50mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(200mL)で洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して表題化合物を得、これをさらに精製せずに次の工程で使用した。LCMS(ESI陽イオン)m/z:353.2(M+1)。注:粗生成物はボロン酸とボロン酸エステルの混合物であった。
工程5:メチル4-((3-(5-エチル-1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-ピラゾール-3-イル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-イル)アミノ)ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-カルボキシラートの調製。ジオキサン:水(3:1、4mL)中のメチル4-((3-ブロモイミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-イル)アミノ)ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-カルボキシラート(700mg、1.513mmol)、5-エチル-3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-ピラゾール(990mg、1.968mmol)、NaCO(241mg、2.270mmol)及びCsCO(345mg、1.059mmol)の撹拌溶液を、窒素で15分間パージした。この混合物に、PdCl(dppf)-CHCl付加物(124mg、0.151mmol)を加え、得られた混合物を再び窒素で15分間パージした。得られた混合物をマイクロ波照射下、120℃で2時間撹拌した。反応の完了をLCMSで確認した後、反応混合物を、セライトパッドを通して濾過し、過剰のEtOAcで洗浄した。有機層を減圧下で濃縮して粗製物を得た。粗生成物を、溶離剤としてDCM中の5%MeOHを使用するフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、230~400メッシュサイズ)により精製して、表題化合物を得た。LCMS(ESI陽イオン)m/z:525.3(M+1)。
工程6:メチル4-((3-(5-エチル-1H-ピラゾール-3-イル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-イル)アミノ)ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-カルボキシラートの調製。DCM(10mL)中のメチル4-((3-(5-エチル-1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-ピラゾール-3-イル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-イル)アミノ)ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-カルボキシラート(380mg、0.724mmol)の撹拌溶液に、TFA(0.558mL、7.24mmol)を室温で加えた。得られた混合物を室温で18時間撹拌した。反応の完了をTLCで確認した後、反応混合物を減圧下で濃縮した。残留物を水に溶解し、重炭酸ナトリウム溶液で塩基性化し、EtOAcで抽出した。粗生成物を、溶離剤としてDCM中の5%MeOHを使用するフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、230~400メッシュサイズ)により精製して、表題化合物を得た。LCMS(ESI陽イオン)m/z:395.3(M+1)。H-NMR(400MHz,DMSO-d6):δ 12.76(s,1H),7.69(br s,1H),7.69(s,1H),6.65(brs,2H),3.60(s,3H),2.57-2.79(m,2H),2.07-2.09(m,6H),1.89-1.96(m,6H)及び1.28(t,J=9.60Hz,3H).
工程7:2-(4-((3-(5-エチル-1H-ピラゾール-3-イル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-イル)アミノ)ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-イル)プロパン-2-オールの調製。臭化メチルマグネシウム(4.22ml、12.67mmol)を、THF(10ml)中のメチル4-((3-(5-エチル-1H-ピラゾール-3-イル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-イル)アミノ)ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-カルボキシラート(250mg、0.634mmol)の撹拌溶液に0℃で加えた。反応混合物を65℃に加熱し、65℃で2時間撹拌した。反応の完了をTLC及びLCMSで確認した後、反応を飽和NHCl(20mL)でクエンチし、EtOAc(3×25mL)で抽出した。合わせた有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。このようにして得られた粗残留物を、溶離剤としてDCM中の5%MeOHを使用するフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、230~400メッシュサイズ)により精製して、表題化合物を得た。LCMS(ESI陽イオン)m/z:395.3(M+1)。HPLC純度:96.34%。H-NMR(400MHz,DMSO-d6):δ 7.65(t,J=10.40Hz,2H),6.94(s,1H),6.55-6.70(m,2H),3.91(s,1H),2.67-2.72(m,2H),2.01(br s,6H),1.63(br s,6H),1.29(t,J=7.60Hz,3H),1.03(s,6H).
化合物7:4-((3-(5-エチル-1H-ピラゾール-3-イル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-イル)アミノ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-オール
Figure 2024529485000020
工程1:4-((3-ブロモイミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-イル)アミノ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-オールを、化合物5の合成の工程1に記載の手順に従って合成した。LCMS(ESI陽イオン)m/z:計算値:325(M+2)。
工程2:4-((3-(5-エチル-1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-ピラゾール-3-イル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-イル)アミノ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-オールの調製。1,4-ジオキサン:水(5:1、12mL)中の4-((3-ブロモイミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-イル)アミノ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-オール(278mg、0.860mmol)及び5-エチル-3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-ピラゾール(化合物6の合成の工程4に記載の手順に従って合成、657mg、1.118mmol)の撹拌溶液に、CsCO(196mg、0.602mmol)及びNaCO(137mg、1.290mmol)を加えた。得られた反応混合物を窒素で15分間パージした。この溶液に、PdCl(dppf)-CHCl付加物(70.2mg、0.086mmol)を加え、反応混合物を再び窒素で15分間パージした。得られた混合物をマイクロ波照射下、120℃で2時間撹拌した。反応の完了をLCMSで確認した後、反応混合物をセライトのパッドを通して濾過し、過剰のEtOAcで洗浄し、減圧下で濃縮した。このようにして得られた粗残留物を、溶離剤としてDCM中の5%MeOHを使用するフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、230~400メッシュサイズ)により精製して、表題化合物を得た。LCMS(ESI陽イオン)m/z:469.2(M+1)。
工程3:4-((3-(5-エチル-1H-ピラゾール-3-イル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-イル)アミノ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-オールの調製。DCM(5ml)中の4-((3-(5-エチル-1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-ピラゾール-3-イル)イミダゾ[1,2-b]ピリダジン-6-イル)アミノ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-オール(300mg、0.416mmol)の撹拌溶液に、TFA(0.032ml、0.416mmol)を室温で反応混合物に加えた。得られた混合物を室温で18時間撹拌した。反応の完了をLCMSで確認した後、反応混合物を減圧下で濃縮した。粗残留物を逆相分取HPLC(0.1%TFA-アセトニトリル水溶液で溶出)により精製して、表題化合物のTFA塩を得た。LCMS(ESI陽イオン)m/z:計算値:339.2(M+1)。HPLC純度:98.35%。H-NMR(400MHz,DMSO-d6):δ 8.19(s,1H),7.97(d,J=10.00Hz,1H),7.78(s,1H),7.10(d,J=9.60Hz,1H),6.90(s,1H),2.73(q,J=7.60Hz,2H),2.18-2.21(m,2H),1.83-1.92(m,4H),1.72-1.82(m,2H),1.60-1.70(m,2H),1.29(t,J=7.60Hz,3H).
実施例2.RBC HotSpot(商標)キナーゼ阻害アッセイ
RBC HotSpot(商標)キナーゼ阻害アッセイは、公開されたプロトコル(Anastassiadis T,et al.,“Comprehensive assay of kinase catalytic activity reveals features of kinase inhibitor selectivity”,Nat Biotechnol.2011 Oct 30;29(11):1039-45.doi:10.1038/nbt.2017.PMID:22037377;PMCID:PMC3230241参照)に従って実施され、方法のさらなる詳細はそこに要約されている。
試薬。塩基反応バッファ:20mM Hepes(pH7.5)、10mM MgCl2、1mM EGTA、0.01%Brij35、0.02mg/ml BSA、0.1mM Na3VO4、2mM DTT、1%DMSO。以下のキナーゼを、示される濃度でアッセイに使用した。
Figure 2024529485000021
以下の基質を、示される濃度でアッセイにおいて示されるキナーゼと組合せて使用した。
Figure 2024529485000022
どの反応にも補因子は加えられなかった。
反応手順:
1.新たに調製した反応バッファで基質を調製した。
2.キナーゼを基質溶液に送達し、穏やかに混合した。
3.超音波技術(Echo550;ナノリットル範囲)により100%DMSO中の試験化合物をキナーゼ反応混合物に送達し、室温で20分間インキュベートした。
4.33P-ATPを反応混合物に送達して反応を開始した。
5.室温で2時間インキュベートした。
6.P81フィルター結合法によりキナーゼ活性を検出した。
RBC HotSpot(商標)キナーゼアッセイの結果を表1に示す。ここで、「A」はIC50<10nMを示し、「B」はIC50(10nM≦IC50≦100nM)を示し、「C」はIC50>100nMを示す。
Figure 2024529485000023
Figure 2024529485000024
実施例3.In-Cell Western
PIM1はキナーゼであり、翻訳及び細胞増殖を制御するリボソームタンパク質S6を含む、多くの下流標的を有する。PIM阻害は、総S6に影響を与えずに、S6リン酸化の減少をもたらすはずである。化合物2及び4がPIM活性を低下させる能力を試験するために、化合物2又は化合物4と24時間インキュベートした後、A549細胞においてS6リン酸化を行った。
手順。ウェルあたり3,500個のA549細胞(ATCC、CCL-185)を384ウェルプレートに合計25マイクロリットルで加え、RPMI培地(フェノールレッドなし)+10パーセントのウシ胎児血清中で培養した。翌日、DMSO又は試験化合物を、10マイクロモル濃度(3.3倍希釈)から開始して7つの異なる濃度で加えた(ウェルあたり90ナノリットルの試験化合物/DMSO)。5%CO、37℃で24時間放置した後、細胞をin-cell Western(Li-Cor)用に処理した。
簡単に説明すると、培地を除去し、細胞を直ちに、振盪せずに室温で20分間、1X PBS中の4%ホルムアルデヒド(ウェルあたり50マイクロリットル)で固定した。次いで、固定液を捨て、ウェルを0.1%Triton(登録商標)X-100を含有する1X PBSで3回洗浄した。50マイクロリットルのOdyssey(登録商標)Blocking Buffer(Li-Cor)を各ウェルに加え、適度に振盪しながら室温(RT)でインキュベートすることによって細胞をブロッキングした。次いで、25マイクロリットルのOdyssey(登録商標)Blocking Buffer(Li-Cor)中の一次抗体(ホスホS6(Ser235/236):Rabbit CST 2211S(1/100希釈)及び総S6リボソームタンパク質(54D2)マウスmAb #2317(1/100希釈))を各ウェルに加えた。翌日、一次抗体を除去し、ウェルを、0.1%Tween-20を含有する1X PBSで3回洗浄した。Odyssey(登録商標)Blocking Buffer(Li-Cor)+0.2%Tween-20中で調製した二次抗体(IRDye(登録商標)800CWヤギ抗マウス(1:800希釈)及びIRDye 680RDヤギ抗ウサギ(1:800希釈))を各ウェルに加え、ウェルを穏やかに振盪しながら室温で1時間、暗所でインキュベートした。細胞を1X PBS+0.1%Tween20で穏やかに振盪しながら3回洗浄し、Odyssey Imagingシステム(Li-Cor)を使用して画像化した。各チャネルのシグナルを測定し、総S6(700nm)又はホスホS6(Ser235/236)(800nm)の存在と相関させた。ホスホS6と総S6の比率(800nm/700nm)を各濃度について計算した。
結果。図1は、in-cell Westernブロットの代表的な画像であり、総S6(赤色チャネル、700nm)、ホスホS6(Ser235/236)(緑色チャネル、800nm)の発現及び2つのチャネル間のオーバーレイを示す。図2は、化合物2及び4の用量反応を示す。化合物2及び4はいずれも、このアッセイにおいてS6リン酸化を強力に減少させ、IC50値は100~1,500nMであった。
実施例4.MilliPLEXアッセイ
概要。PIM1はキナーゼであり、BCL-2ファミリーのメンバーであるBad(細胞死のBCL2関連アゴニスト)を含む多くの下流標的を有する。BCL-2ファミリーのメンバーは、プログラム細胞死経路の制御因子である。Badのアポトーシス促進活性は、そのリン酸化によって制御される。脱リン酸化されたBadは、Bcl-2及びBcl-xLとヘテロ二量体を形成し、それらを不活性化してBax/Bak誘発性アポトーシスを可能にする。したがって、Badのリン酸化は抗アポトーシス性であり、Badの脱リン酸化はアポトーシス促進性である。PIM阻害は、総Badに影響を与えることなく、セリン112上のリン酸化Badを減少させると予想される。
手順。ウェルあたり12,000個のA549細胞(ATCC、CCL-185)を96ウェルプレート(Nunc Edge、ThermoScientific、カタログ番号167425)に合計50マイクロリットルで加え、RPMI培地(フェノールレッドなし)+10パーセントのウシ胎児血清中で培養した。翌日、DMSO又は試験化合物を、10マイクロモル濃度(3.3倍希釈)から開始して7つの異なる濃度で加えた(ウェルあたり90ナノリットルの薬物/DMSO)。5%CO、37℃で24時間放置した後、6-plex Bcl-2 Family Apoptosis Panel 1 Magnetic Bead Kit(Millipore、カタログ番号48-682MAG)及びLuminex技術(MAGPIX)を使用して、細胞をタンパク質発現のために処理した。
簡単に説明すると、培地を除去し、細胞を100μlの冷1X PBSで洗浄した。洗浄バッファを除去し、細胞を25μlの1×溶解バッファ(+ホスファターゼ/プロテアーゼ阻害剤)中で溶解した。溶解は、4℃で15分間、撹拌プレート上で実施した。15分後、等量のアッセイバッファ(25μl)を細胞溶解物に加え、600rpmで10秒間混合し、4℃、1000×gで5分間遠心分離して不溶性画分を除去した。ビーズは製造業者の推奨に従って調製された(20秒間の超音波処理及び30秒間のボルテックス)。アッセイバッファを廃棄し、25μlのビーズを含む各ウェルに25μlの希釈細胞溶解物を加えた。インキュベーションは、4℃、700rpmで振盪しながら一晩実施した。
翌日、上清を捨て、プレートを100μlのアッセイバッファで2回洗浄した。25マイクロリットルの抗体溶液(0.150mlの検出抗体+2.85mlのアッセイバッファ)をウェルごとに加え、プレートを400rpmで振盪しながら室温で1時間インキュベートした。次いで、抗体溶液を捨て、ウェルあたり25μlのSAPE溶液(0.120mlのSAPE+2.8mlのアッセイバッファ)を加えた。プレートを400rpmで振盪しながら室温で15分間インキュベートした。25マイクロリットルの増幅バッファをSAPE溶液に加え、プレートを400rpmで振盪しながら室温で15分間インキュベートした。次いで、SAPE溶液及び増幅バッファを捨て、ウェルあたり150μlのアッセイバッファを加え、プレートを振盪しながら室温で5分間インキュベートした後、Luminex装置(MAGPIX)を使用して読み取った。ホスホBad(S112)と総Badの比率を計算し、IC50を決定した。
結果。図3は、Luminex装置で測定された細胞におけるBad発現、及び化合物2及び4の用量反応を示す。Badのリン酸化は化合物2及び4の存在下で大幅に減少し、IC50値は100nM~1μMであった。
実施例5.アポトーシスアッセイ
概要。PIM1はキナーゼであり、BCL-2ファミリーのメンバーであるBad(細胞死のBCL2関連アゴニスト)を含む多くの下流標的を有する。BCL-2ファミリーのメンバーは、プログラム細胞死経路の制御因子である。Badのアポトーシス促進活性は、そのリン酸化によって制御される。脱リン酸化されたBadは、Bcl-2及びBcl-xLとヘテロ二量体を形成し、それらを不活性化してBax/Bak誘発性アポトーシスを可能にする。したがって、Badのリン酸化は抗アポトーシス性であり、Badの脱リン酸化はアポトーシス促進性である。PIM阻害により、リン酸化Badが減少し、アポトーシスが増加すると予想される。
手順。ウェルあたり3,500個のA549細胞(ATCC、CCL-185)を384ウェルプレートに合計25マイクロリットルで加え、RPMI培地(フェノールレッドなし)+10パーセントのウシ胎児血清中で培養した。翌日、DMSO又は試験化合物を、10マイクロモル濃度(3.3倍希釈)から開始して7つの異なる濃度で加えた(ウェルあたり90ナノリットルの試験化合物/DMSO)。5%CO、37℃で24時間後、カスパーゼ3/7アッセイシステム(Promega、G8090)を使用してアポトーシスを測定した。簡単に説明すると、等量のCaspase-Glo 3/7試薬(25マイクロリットル)をウェルごとに添加し、ウェルの内容物を300rpmで30秒間穏やかに混合した。次いで、細胞を室温で30分間インキュベートし、プレート読み取りルミノメーター(Envision、PerkinElmer)を使用して各試料の発光を測定した。
結果。図4は、化合物2及び4が1~20μMのEC50値でカスパーゼ3/7を活性化したことを示す。これは、このアッセイにおいて化合物2及び4の存在下で、Badのリン酸化の阻害、ひいてはPIM活性が増大することを示唆している。
実施例6.創傷治癒
概要。上皮間葉転換(EMT)は、上皮細胞が細胞間の接着及び極性を失い、遊走性及び浸潤性の特性を獲得することを説明するために使用される。EMTのプロセスは、正常な胎児の発育及び創傷治癒に必要であるが、線維症にも関与している。ヒトでは、TGF-βシグナル伝達がEMTの主な推進力であり、この経路を阻害することは線維症などの様々な疾患に有益であり得る。創傷治癒アッセイを使用して細胞遊走及び細胞間相互作用を試験し、化合物2又は化合物4の存在下で肺上皮細胞(A549)のEMT特性を調べた。
手順。A549細胞(ATCC、CCL-185)を、100μLの完全増殖培地中2×10細胞/ウェルでImageLockプレート(Essen Bioscience)に播種した。細胞を37°C、5%COで一晩インキュベートした。翌日、細胞を1X PBSで洗浄し、化合物2、化合物4、DMSO対照(±TGF-β)又はガルニセルチブ(galunisertib)(陽性対照として使用されるTGF-β阻害剤)を、5ng/ml TGF-βの存在下、無血清F12K培地中の細胞に加えた(最終0.2%DMSO、開始濃度10μM、3倍希釈、8用量)。細胞を37℃、5%COで48時間(コンフルエントに達するまで)インキュベートした。創傷は、WoundMaker(商標)(Essen Bioscience)を使用して同時に作られた。F12Kで1回穏やかに洗浄することにより、破片及び接着していない細胞を除去した。
試験化合物又は対照化合物及びTGF-βを、前述のようにF12K+10%FBS中の細胞に加えた。ImageLockプレートを、5%COインキュベーター内に設置したIncuCyteS3装置内に置いた。最初のスキャン及びデータ記録を予定する前に、プレートをIncuCyteS3装置内で15分間平衡化させた。プレートを37℃で72時間インキュベートし、IncuCyte S3イメージングシステムにより創傷閉鎖をリアルタイムで記録した。相対的な創傷密度のパーセンテージは、IncuCyteソフトウェアによって定量的に計算した。
結果。図5は、化合物2、化合物4又はDMSOの存在下(TGF-βの存在下又は非存在下)で24、48及び72時間にわたる96ウェルImageLockプレートにおける傷ついた細胞の創傷閉鎖の代表的な画像を示す。図6は、上記の各条件から測定された相対創傷密度に対応する。表2は、24、48及び72時間での創傷治癒アッセイにおける化合物2、化合物4及びガルニセルチブのIC50値の範囲を示す。
Figure 2024529485000025
図5、6及び表2のデータは、TGF-βを含むビヒクル対照の存在下で72時間後に創傷閉鎖が完了することを示す。対照的に、化合物2又は4の存在下では遊走が強く阻害される。これらの結果は、化合物2及び4が線維症にうまく使用できることを示唆している。
実施例7.ブレオマイシン誘導性肺線維症試験
概要。肺線維症の最も一般的な動物モデルは、げっ歯類におけるブレオマイシン誘導性肺線維症モデルである。このモデルは、特発性肺線維症(IPF)などの肺に影響を与える線維性疾患の生物学及び潜在的な治療法を調査するために一般的に使用される。細胞毒性薬剤であるブレオマイシンは、マウス又はラットに投与され、DNA鎖切断によって誘発される直接的な細胞傷害を引き起こし、これは活性酸素種の過剰産生につながり、炎症、肺毒性、線維芽細胞の活性化及びその後の線維化が引き起こされる。線維症は、肺上皮細胞の異常な活性化、並びにコラーゲンなどの細胞外マトリックスの過剰な産生を伴う線維芽細胞及び筋線維芽細胞の蓄積によって特徴付けられる。
ヒドロキシプロリンはタンパク質コラーゲンの主成分であり、コラーゲン三重らせんの安定性に重要な役割を果たす。ヒドロキシプロリンレベルは、コラーゲン量の指標として使用される。
PIM1サイレンシングは、ブレオマイシン投与によって誘導されるEMTの進行を逆転させることにより、肺線維症の消散を促進する上で重要な役割を果たすことが示されている。化合物2及び4がインビボで線維症を軽減する能力を試験するために、マウスにおけるブレオマイシン誘導性肺線維症モデルを利用し、肺ヒドロキシプロリンレベル、コラーゲン及び線維症の代用マーカー、並びに線維症の組織学的スコアなどのエンドポイントを実施した。
手順。図7は、全体的な研究デザインを示す。この試験では、生後6~7週齢の雄C57BL/6Jマウス(Charles Riverから購入)の体重を試験開始の前日に測定して、ベースラインを確立した。全ての治療群には、10匹の動物を含む偽/ビヒクル群を除き、合計16匹の動物が含まれていた。偽/ビヒクル群を除く全ての動物に、試験1日目の朝に1kgあたり4国際単位のブレオマイシンを鼻腔内投与した。ブレオマイシンは、0.9パーセントの塩化ナトリウム溶液中で調製された。全ての試験化合物は、10パーセントのTween20中で調製された。試験1日目の夜から開始して、薬物の1用量(1キログラムあたり10若しくは15ミリグラムの化合物2、又は1キログラムあたり15若しくは20ミリグラムの化合物4)を投与し、続いて21日の試験の残りの間、1日2回投与した。21日目に肺を採取し、急速冷凍するか又はパラホルムアルデヒドで固定した。肺組織の急速凍結部分は、線維症の一般的なバイオマーカーとして使用されるヒドロキシプロリンの定量化に供された。さらに、ヘマトキシリン及びエオシン(H&E)並びにマッソントリクローム染色後の組織学的検査のために肺組織をパラホルムアルデヒドで固定した。組織切片は、改変されたAshcroftスケール、単核細胞凝集体及び肺胞混合浸潤の数、並びにコラーゲンのレベルを使用してスコア付けされた。体重変化をモニタリングするために、マウスの体重を7日目、14日目、及び21日目に測定し、死亡率及び臨床観察を毎日記録した。以下の改変されたAshcroftスケールが使用された。
グレード0=正常な肺
グレード1=最小限に検出できる肺胞壁の肥厚
グレード2=肺胞壁の軽度の肥厚
グレード3=線維性結節を伴う中程度の連続的な壁の肥厚
グレード4=顕微鏡視野の合計10%未満の、肥厚した隔壁及び線維性融合塊
グレード5=肺構造への明らかな損傷を伴う線維症の増加、及び顕微鏡視野の10~50%の線維帯又は小さい線維塊の形成
グレード6=顕微鏡視野の50%超を統合する大きな連続的線維性塊
グレード7=重度の構造の歪み及び大きな繊維領域
グレード8=顕微鏡視野内での肺の完全な線維性閉塞
結果。図8は、試験21日目に残存する各マウスから採取した肺組織の一部から測定したヒドロキシプロリンの量(肺組織1ミリグラムあたりのヒドロキシプロリンのマイクログラム)を示す。ヒドロキシプロリンレベルは、全ての治療群で、偽/ビヒクル群と同様のレベルに低下した。実際、ダネットの多重比較検定を使用すると、全ての群でブレオマイシン/ビヒクル群と比較してヒドロキシプロリンの量に統計的に有意な差が示された。ヒドロキシプロリンの最大且つ最も統計的に有意な減少は、1キログラムあたり15ミリグラムの化合物4を1日2回投与された動物群で見出された。
図9Aは、マッソントリクローム及びH&Eで染色された各群からの肺組織の代表的な組織学的画像を示す。図9Bは、各治療群から無作為に選択された5匹の動物のAshcroftスコア及び他の細胞スコアを使用した分析に対応する。全てのスコアは、上記の改変されたAshcroftスケールを使用して病理学者によって決定された。Ashcroftスコアは、線維症の重症度及び線維症による肺組織構造の変化を示すために使用される。各治療群の合計5匹の動物のうち少なくとも2匹は、ビヒクル群の平均Ashcroftスコアと比較してAshcroftスコアの低下を示した。Ashcroftスコアは、1キログラムあたり20ミリグラムの化合物2を1日2回投与した動物群で有意に低下した。
要約すると、化合物2によるPIM1阻害は、進行性肺線維性障害に対する有用な治療戦略となり得る。
実施例8.乾癬試験
概要。T細胞によって産生されたサイトカインは、慢性炎症性皮膚疾患である乾癬における皮膚病理の主なメディエーターである。蓄積されているエビデンスによると、インターロイキン(IL)-23と、それが促進するその後のTヘルパー17(Th17)細胞応答が、この疾患の発症における中心因子であることが示唆される。
乾癬を有する患者では、健常者に比べてPIM1が過剰発現していることが示されている。さらに、PIM1ノックアウトマウス及びSuperGenの第一世代PIM阻害剤(SGI-1776)を含む試験では、マウス乾癬モデルにおける血管新生及び表皮肥厚の部分的な減少が実証された。
IL-23誘導性過形成モデルには、マウスの耳へのIL-23の注射が含まれており、皮膚炎症及び表皮肥厚の発症は、IL-22に依存している。このモデルは、乾癬に関与する経路及び潜在的な治療法を調査するために一般的に使用される。
IL-17A及びIL-22は、乾癬にかかった皮膚において過剰に見られる。IL-17Aは、乾癬の病因における主要なエフェクターサイトカインである。IL-22はケラチノサイトの増殖及び表皮過形成を媒介し、ケラチノサイトの最終分化を阻害し、抗菌タンパク質の産生を誘導する。
化合物2及び4がインビボで乾癬を軽減する能力を試験するために、IL-23誘導性過形成マウスモデルを利用し、IL-17A及びIL-22レベルなどのエンドポイントの分析、及び耳組織の表皮厚さの組織学的測定を実施した。
手順。9~13週齢の雌C57BL/6Jマウス(Taconic Biosciencesから購入)の体重を試験開始の前日に測定して、ベースラインを確立した。全ての治療群には10匹の動物が含まれていた。偽/ビヒクル群を除く全ての動物に、0.4μgの組換えマウスIL-23(rmIL-23)を20μLの量で片耳に皮内投与した。群1(偽/ビヒクル)のマウスには20μLのPBSを投与した。片耳に合計4回の注射を実施した一方、もう片方の耳には注射も分析も行わなかった。全ての薬物は、0.5パーセントのメチルセルロース及び2パーセントのTween80中で調製された。試験の0日目(rmIL-23注射の0.5~4時間前)から開始して、試験化合物を2回投与した(1キログラムあたり100若しくは150ミリグラムの化合物4、又は1キログラムあたり50若しくは75ミリグラムの化合物2)。全ての投与は毎日同じ時間(±1時間)に行われ、投与間隔は10時間以上14時間以下であった。
0日目(rmIL-23注射前)、3日目、及び4日目(最後の過形成誘導注射のおよそ24時間後)に、ノギスを使用して耳の厚さを測定した。測定は、群又は以前の測定値を知らない人によって盲検で実施された。
4日目、最後の過形成誘導注射からおよそ24時間後、全てのマウスを安楽死させ、処置した耳を収集し、重量を測定した。各耳の半分の重量を測定し、サイトカイン分析のために凍結した(IL-17A及びIL-22濃度は、ELISAによるLuminex技術を使用して測定した)。各耳の残りの半分は、組織学的分析のためにH&E染色後、10%緩衝ホルマリンで固定した。
結果。生存マウスにおいてノギスで測定した耳の総厚は、生理食塩水注射マウスと比較した場合、rmIL-23注射マウスの方が大きい(図10)。化合物2又は化合物4による処置は、rmIL-23/ビヒクル対照群と比較して、耳の総厚を有意に減少させた。より大きな効果は、化合物4を150ミリグラム/キログラムで1日2回投与したグループにおいて観察された。
耳切片のH&E染色は、rmIL-23注射マウスが生理食塩水注射マウスと比較してより厚い表皮層を有していたことを示す(図11)。組織学的分析の定量化により、化合物4(1日2回、1キログラムあたり100又は150ミリグラム)又は化合物2(1日2回、1キログラムあたり75ミリグラム)の投与によってrmIL-23/ビヒクルで処置した群と比較して耳の表皮組織の厚さが有意に減少することが明らかになった。
試験の最終日に決定された凍結耳組織からのIL-17A及びIL-22濃度は、生理食塩水注射マウスと比較した場合、rmIL-23注射マウスの方が高かった(図12)。化合物2(1日2回、1キログラムあたり75ミリグラム)又は化合物4(1日2回、1キログラムあたり100又は150ミリグラム)による処置は、rmIL-23/ビヒクル対照群と比較して、IL-17A産生を強く阻害し、IL-22合成を減少させた。このことは、化合物2又は4によるPIM1阻害が乾癬の有用な治療戦略であり得ることを示唆している。
本明細書に引用される全ての特許、公開された出願、及び参考文献の教示は、参照により全体として組み込まれる。
例の実施形態が、詳細に示され記載されてきたが、添付される特許請求の範囲により包含される実施形態の範囲から逸脱せずに、形態及び詳細の種々の変更がその中になされ得ることが、当業者により理解されるだろう。

Claims (21)

  1. 以下の構造式の化合物:
    Figure 2024529485000026
    又はその薬学的に許容できる塩(式中、
    は、-H、-OH、(C~C)アルキル又は(C~C)ヒドロキシアルキルであり;
    は、1つ以上のR20により任意選択で置換された(C~C)ヘテロアリールであり;
    各R20は、独立に、-OH、ハロ、-CN、(C~C)アルキル、(C~C)ハロアルキル、(C)カルボシクリル、-NH、-N(H)S(O)(C~C)アルキル又は-N(CHであり;
    nは、1又は2である)。
  2. が、-OH又は(C~C)ヒドロキシアルキルであり;
    任意選択により、Rが、-OH又は-C(CHOHである、請求項1に記載の化合物。
  3. が、1つ以上のR20により任意選択で置換された(C)ヘテロアリールであり;
    任意選択により、Rが、1つ以上のR20により任意選択で置換されたピラゾリル又はピロリルである、請求項1又は請求項2に記載の化合物。
  4. が、1つのR20により置換されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物。
  5. 各R20が、独立に、ハロ、-CN、(C~C)アルキル、(C~C)ハロアルキル又はシクロプロピルであり;
    任意選択により、
    各R20が、独立に、(C~C)アルキル又はシクロプロピルであるか;又は
    各R20が、独立に、メチル、エチル又はシクロプロピルである、請求項1~4のいずれか一項に記載の化合物。
  6. nが1である、請求項1~5のいずれか一項に記載の化合物。
  7. nが2である、請求項1~5のいずれか一項に記載の化合物。
  8. 以下の構造式を有する、請求項1、2、6、又は7のいずれか一項に記載の化合物:
    Figure 2024529485000027
    又はその薬学的に許容できる塩(式中、
    XはN又はC(H)であり;且つ
    は、-H、-OH、ハロ、-CN、(C~C)アルキル、(C~C)ハロアルキル、(C)カルボシクリル、-NH、-N(H)S(O)CH又はN(CHである)。
  9. XがNである、請求項8に記載の化合物。
  10. XがC(H)である、請求項8に記載の化合物。
  11. が、-H、ハロ、-CN、(C~C)アルキル、(C~C)ハロアルキル又はシクロプロピルであり;
    任意選択により、
    が、(C~C)アルキル又はシクロプロピルであるか;又は
    が、メチル、エチル又はシクロプロピルである、請求項8~10のいずれか一項に記載の化合物。
  12. 式:
    Figure 2024529485000028
    を有する、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容できる塩。
  13. 請求項1~12のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容できる塩及び薬学的に許容できる担体を含む医薬組成物。
  14. 請求項1~12のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容できる塩、又は請求項13に記載の医薬組成物、及び1種以上の追加の治療剤を含む、医薬組合せ。
  15. 細胞内のモロニーマウス白血病ウイルス(PIM)キナーゼのプロウイルス組み込み部位を阻害する方法であって、前記細胞を、請求項1~12のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容できる塩、請求項13に記載の医薬組成物、又は請求項14に記載の医薬組合せと接触させることを含む方法。
  16. 対象におけるPIMキナーゼを阻害する方法であって、請求項1~12のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容できる塩、請求項13に記載の医薬組成物、又は請求項14に記載の医薬組合せを、前記対象における前記PIMキナーゼを阻害するのに有効な量で、前記対象に投与することを含む方法。
  17. 治療を必要とする対象において、PIMキナーゼに関連する疾患、障害又は病態を治療する方法であって、前記対象に、治療上有効な量の請求項1~12のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容できる塩、請求項13に記載の医薬組成物、又は請求項14に記載の医薬組合せを投与することを含む方法。
  18. 治療を必要とする対象において、線維性疾患、障害又は病態を治療する方法であって、前記対象に、治療上有効な量の請求項1~12のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容できる塩、請求項13に記載の医薬組成物、又は請求項14に記載の医薬組合せを投与することを含み、前記線維性疾患、障害又は病態が、線維性癌の非存在下で存在し、
    任意選択により、
    前記線維性疾患、障害又は病態が、肺線維症、肝臓線維症、心臓疾患、心臓線維症又は再狭窄、血管線維症、腎臓線維症、皮膚線維症、胃腸線維症、骨髄線維症、関節線維症、デュピュイトラン拘縮、縦隔線維症、ペイロニー病、後腹膜線維症、全身性硬化症、自己免疫性肝炎、非アルコール性脂肪性肝炎、嚢胞性線維症、ベータサラセミア、光線性角化症、高血圧、慢性腎臓疾患、シャーガスの心臓疾患、ドライアイ、潰瘍、角膜線維症、滲出性加齢性黄斑変性症、慢性創傷、若しくは乾癬であるか;又は
    前記線維性疾患、障害又は病態が肺線維症であり、任意選択で前記肺線維症が特発性肺線維症であるか;又は
    前記線維性疾患、障害又は病態が、肝線維症であるか;又は
    前記線維性疾患、障害又は病態が、心臓線維症又は再狭窄である方法。
  19. 治療を必要とする対象において、炎症を治療する方法であって、前記対象に、治療上有効な量の請求項1~12のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容できる塩、請求項13に記載の医薬組成物、又は請求項14に記載の医薬組合せを投与することを含む方法。
  20. 治療を必要とする対象において、炎症性疾患、障害又は病態を治療する方法であって、前記対象に、治療上有効な量の請求項1~12のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容できる塩、請求項13に記載の医薬組成物、又は請求項14に記載の医薬組合せを投与することを含み、
    任意選択により、
    前記炎症性疾患、障害又は病態が、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、アルコール性脂肪性肝炎(ASH)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、原発性胆汁性胆管炎(PBC)、原発性硬化性胆管炎、自己免疫性肝炎、皮膚の炎症又は乾癬であるか;又は
    前記炎症性疾患、障害又は病態が、自己免疫疾患、障害又は病態であり、任意選択で、前記自己免疫疾患、障害又は病態が、変形性関節症、関節リウマチ、疼痛、炎症性腸疾患、呼吸器障害又は皮膚障害である方法。
  21. 前記対象に、1種以上の追加の治療剤を投与することをさらに含む、請求項16~20のいずれか一項に記載の方法。
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