JP2024091054A - グリース組成物 - Google Patents

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和也 渡邊
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Abstract

【課題】低温環境下において優れた性能を有するグリース組成物を提供する。【解決手段】本発明のグリース組成物のある形態は、増ちょう剤と基油から構成されるグリースにおいて、温度-20℃、周波数1Hzの条件でレオメーターを用いて測定したときの損失正接が1を示すひずみ量が1.0~3.5%の範囲にある。また、グリース組成物は、温度-20℃、せん断速度10s-1の条件でレオメーターを用いて測定したときの起動トルクが10.0~45.0mN・mの範囲で、なおかつ、前記基油が鉱油及び合成油から選択される1種類以上からなり、40℃動粘度が90mm2/s以上である。【選択図】なし

Description

本発明は、グリース組成物に関して、特に各種産業機械・自動車部品等の転がり軸受、すべり軸受、歯車等の幅広い機械部品に対して、低温環境下における性能に優れたグリース組成物に関する。
自動車をはじめとした各産業用機械に使用される部品においては、低温から高温まで広い範囲での性能の維持と品質安定性への要求が年々加速されている。これまで高温での対策については、熱安定性に優れた様々な増ちょう剤に関する技術や、合成油や高機能酸化防止剤などを組み合わせた技術が公開されてきたが、低温性については、まだ課題が多い。具体的には、低温ではトルク増大やスティックスリップによる異音発生、さらにフレッチング摩耗の増大などの潤滑性不良に至る場合も少なくない。
例えば風力発電の用途においては、極寒地に設置される場合、軸受等に封入されるグリースが十分な性能を発揮できず、フレッチング摩耗が生じたり、トルク増大による発電効率低下に繋がる等の課題がある。また、自動車用途では、近年特に電動化が加速する中で、駆動部をはじめとして、あらゆる部品が電動機で作動や制御されるようになってきており、各部品の摩擦損失や異音を出来るだけ排除し、低燃費(低電費)や静粛性が図られている。特に低温においては、エンジン搭載車では、エンジンを作動する際に発生する熱源によって暖気された軸受等の周辺部品は、グリースに低温性が求められなかったが、電動車では熱源がなく即時作動と言ったケースが多々あり、過大な作動トルクや摩擦にかかるエネルギーロスが大きくなる。さらにエンジン音が無くなったことにより、部品の駆動音や作動音は運転者や同乗者に伝わり易くなっている。特に低温においては、封入グリースが十分な性能を発揮できず、起動時の一時的なスタベーションによる金属間接触、またはシール材やブーツ材との摩擦(スティックスリップ)により生じる異音が明瞭に観測されることがある。このように、低温での性能に優れたグリース組成物が求められる。
特許文献1は、40℃における動粘度が25mm/s以下であるポリアルファオレフィン油を基油として用いたグリース組成物が良好な性能を有することを開示している。
特許文献2は、温度25℃、周波数10Hz、ひずみ量100%の条件でレオメーターを用いて測定した時の貯蔵弾性率が500~100000Paとなるようグリースに用いた基油及び増ちょう剤の種類と混合割合を調整することで、ディスクブレーキのブレーキ鳴きの音の発生を抑制できることを開示している。
特表2007-511638号公報 特開2012-241167号公報
しかしながら、特許文献1記載のグリース組成物では、高荷重下における十分な耐久性を発揮することが期待できない。従って、特許文献1記載のグリース組成物は高荷重な使用条件下での耐久性と低温時の性能を両立できない。
また、特許文献2記載のグリース組成物は、ブレーキ鳴きの発生を効果的に抑制することを目的としたものであり、低温時の性能が十分ではない場合がある。
本発明はこのような課題を鑑みて成されたものであり、特に各種産業機械・自動車部品等の転がり軸受、すべり軸受、歯車等の幅広い機械部品に対して、低温環境下における性能に優れたグリース組成物を得ることを目的とする。
前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、基油と増ちょう剤からなるグリース組成物において、レオメーターによる低温時の挙動を定量化する手法を用い、軸受等に封入した際に優れた性能を発揮するグリース組成物を見出し、本発明を完成させた。
本発明のある形態は、グリース組成物である。当該グリース組成物は、増ちょう剤と基油から構成されるグリースにおいて、温度-20℃、周波数1Hzの条件でレオメーターを用いて測定した時の損失正接が1を示すひずみ量が1.0~3.5%の範囲にある。
当該グリース組成物は、温度-20℃、せん断速度10s―1の条件でレオメーターを用いて測定した時の起動トルクが10.0~45.0mN・mの範囲であることが好ましい。
当該グリース組成物は、鉱油及び合成油から選択される1種以上であることが好ましい。
基油は、40℃動粘度が90mm/s以上であることが好ましい。
本発明によれば、基油と増ちょう剤からなるグリース組成物において、レオメーターによる低温時の挙動を定量化する手法を用い、軸受等に封入した際に優れた性能を発揮するグリース組成物を提供することができる。
以下において、上限値と下限値とが別々に記載されている場合、任意の上限値と任意の下限値とを組み合わせた数値範囲が実質的に開示されているものとする。
以下、本開示に係るグリース組成物の、物性/性質、成分、製造方法、用途等について説明する。
<<グリース組成物の物性/性質>>
<低温時ひずみ量/低温流動性>
本開示のグリース組成物は、温度-20℃、周波数1Hzの条件でレオメーターを用いて測定した時の損失正接が1を示すひずみ量が1.0~3.5%の範囲にある。
動的粘弾性測定における損失正接(tanδ)は損失弾性率(G’’,粘性)と貯蔵弾性率(G’,弾性)の比で表される(式1)。また、一般的には、貯蔵弾性率(G’)は弾性成分に対応するパラメーターであり、粘弾性体が外力を受けて吸収したエネルギーの内、粘弾性体に蓄えられるエネルギーに相当する。損失弾性率(G’’)は粘性成分に対応するパラメーターであり、粘弾性体が外力を受けて吸収したエネルギーの内、熱として外部に放出されるエネルギーに相当する。従って、損失正接が大きいグリースを用いると外力の運動エネルギー(振動や音等)を吸収して、熱エネルギーとして放出されやすいと考えられる。
(式1) 損失正接:tanδ=G’’/G’
G’’・・・損失弾性率
G’・・・貯蔵弾性率
ここで、損失正接は、以下の条件にて実施した動的粘弾性測定より求める。より詳しくは、動的粘弾性測定装置の上部プレートと下部プレートとの間に評価するグリースを挟んだ状態で、上部プレートを以下の条件にて動かした際の、貯蔵せん断弾性率G’と損失せん断弾性率G’’とを測定し、式(1)にて損失正接tanδを算出する。
動的粘弾性測定装置 :レオメーターDHR-2(TA-Instruments社製)
プレート :φ25mmパラレルプレート
プレート間のギャップ:0.1mm
温度 :-20℃
測定周波数 :1Hz
ひずみ量 :0.01~100.0%
動的粘弾性の観点において、グリースが流動を開始するのは、ゲル(ゴム弾性)構造の硬さの度合を示すG’が液体的な度合を示すG’’と同じ値となった時とされている。また、グリースは低ひずみ領域において損失弾性率を上回る貯蔵弾性率を有している。外部からの応力が弱い時、グリースは内部の増ちょう剤ネットワークにより形成されたゲル状であることを示している。
また、グリースは低ひずみ時でのG’>G’’の領域では、ゲル(ゴム弾性)状態での挙動を示すが、更に強いひずみ時においてはグリースの内部の増ちょう剤ネットワークがひずみ方向に可逆的に配向し、液体的な挙動を示す。この時点においてはG’’>G’(tanδ>1)となっている。
本開示において、低ひずみ量で損失正接が1を上回るグリース組成物が、低温環境下での起動時において低トルクとなり、かつスティックスリップに起因した異音発生を防止できる効果として、例えば、以下のような理由が推測される。
本開示のグリース組成物を構成する基油が合成油の場合、低温まで降温した際の増粘影響が鉱油のみで構成されたグリースに比べて小さいため、低温まで降温してもグリースの硬さに関与する貯蔵弾性率がそれほど上昇せず、その結果、低温時におけるグリースの流動の開始(損失正接tanδ=1の時)に要するひずみ量が小さくなると考えられる。
本開示のグリース組成物が、鉱油及び増粘剤を含む場合、増ちょう剤と増粘剤が以下の(1)~(3)の少なくとも1つ以上の機構によって、物理的な架橋による3次元ネットワークを形成しており、その結果、グリースが低温条件下で流動の開始(損失正接tanδ=1の時)に要するひずみ量が小さくなっていると考えられる。
(1)増ちょう剤と添加ポリマーの結晶層を介したネットワーク
(2)増ちょう剤と添加ポリマーの水素結合や化学結合形成によるネットワーク
(3)増ちょう剤と添加ポリマーのポリマー鎖の絡み合いによるネットワーク
本開示のグリース組成物は、損失正接tanδ=1の時に適切な低ひずみ量となる特性を有するため、グリース中の増ちょう剤ネットワークがひずみ方向へ可逆的に配向し、流動を開始しやすい。つまり、グリースが低温流動時においては抵抗が小さいため、起動時のトルクが小さくなり、また、潤滑界面への介入性が良好になることにより、スティックスリップに起因した異音の発生やフレッチング摩耗の抑制などの優れた潤滑性が発現できると考えられる。
以上より、本開示におけるグリース組成物は低温環境下におけるグリースの流動性と潤滑界面への介入性が優れ、幅広い摺動部品に適応可能であると考える。
低温流動性は、例えば、後述する増粘剤の配合有無及びその種類や配合量を変更することや後述する合成油の配合及びその配合量を変更すること、等により調整することができる。例えば、基油として鉱油を用いたグリースに増粘剤を配合することで低温流動性が良好になる。それに加え、合成油を配合することでも所望の性能を達成できる。
<低温始動性>
本開示のグリース組成物は、温度-20℃、せん断速度10s―1の条件でレオメーターを用いて測定した時の起動トルク(低温始動性)が10.0~45.0mN・mの範囲であることが好ましい。
起動トルク(低温始動性)は以下の条件にて実施した測定より求める。より詳しくは上部回転するプレートと下部固定のプレート間にあるギャップ(0.1mm)を設定し、そのギャップ間に各グリース組成物を挟みこみ、-20℃の環境に保持後、せん断速度が10s-1となる条件下で、起動時のトルクを測定する。
起動時のトルク測定装置:レオメーターDHR-2(TA-Instruments社製)
プレート:φ25mmパラレルプレート
プレート間のギャップ:0.1mm
温度 :-20℃
測定時のせん断速度:10s-
起動トルクの読み値:測定開始から1秒後を読み値とする。
<極圧性>
本開示のグリース組成物は、高速四球極圧試験により得られた融着荷重(極圧性)が、2452N以上であることが好ましい。なお、極圧性はASTM D2596によって測定された値を用いる。
<混和ちょう度>
本開示のグリース組成物のちょう度は、000号~4号(175~475)が好ましく、00号~3号(220~430)がより好ましく、0号~2号がさらに好ましい。ちょう度が475以下であることにより、グリース組成物の硬さを十分に確保することができ、グリース組成物が機械部品から漏洩することを抑制することができる。一方、ちょう度が175以上であることにより、グリース組成物が硬くなりすぎることを抑制することにより、低温での流動性を向上させることができる。なお、ちょう度は物理的硬さを表し、ちょう度として、JIS K2220 7に従って測定された混和ちょう度の値を用いる。
<<グリース組成物の成分>>
本開示のグリース組成物は、増ちょう剤と基油から構成される。
また、本開示のグリース組成物は、添加剤を含んでいてもよい。
本開示のグリース組成物に用いられる基油、増ちょう剤、添加剤について、特に限定されるものではないが、以下にそれぞれ説明する。
<基油>
基油は、特に限定されるものではないが、鉱油及び合成油から選択される1種以上であることが好ましい。
鉱油は、原油(パラフィン系原油、ナフテン系原油、中間基系原油等)を精製することで得られる基油である。鉱油としては、例えば、原油を常圧蒸留及び減圧蒸留して得られた潤滑油留分に対して、溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、接触脱ろう、水素化精製、硫酸洗浄、白土処理等の一種若しくは二種以上の精製手段を適宜組み合わせて適用して得られる、パラフィン系又はナフテン系の鉱油等を挙げることができる。鉱油は1種を単独で用いるだけでなく、2種類以上を混合して用いることもできる。
合成油としては、例えば、ポリα-オレフィン(PAO)、α-オレフィンコポリマー、ポリブテン、アルキルベンゼン、ポリオールエステル、二塩基酸エステル、ポリオキシアルキレングリコール、ポリオキシアルキレングリコールエステル、ポリオキシアルキレングリコールエーテル、ヒンダードエステル、シリコーンオイル等を挙げることができる。合成油は1種を単独で用いるだけでなく、2種類以上を混合して用いることもできる。
鉱油と合成油とを組み合わせて基油としてもよい。この場合、鉱油に対する合成油の比率(グリース組成物中の鉱油の含有量/グリース組成物中の合成油の含有量)は、例えば、0.1~10.0、0.1~5.0、0.2~1.5、又は、0.3~1.2等とすることができる。
基油の40℃動粘度の範囲は、特に限定されるものではないが、好ましくは90mm/s以上であり、より好ましくは100mm/s以上であり、更に好ましくは120mm/s以上であり、特に好ましくは150mm/s以上である。基油の40℃動粘度の上限値は、特に限定されないが、例えば、300mm/s、又は、250mm/sである。ここで、これらの基油の40℃動粘度は、JIS K 2283に従って、40℃にて測定された値を用いる。基油の40℃動粘度とは、基油が混合油である場合には、混合油の40℃動粘度を示す。
<増ちょう剤>
増ちょう剤としては、特に限定されるものではないが、第三リン酸カルシウム、アルカリ金属石けん、アルカリ金属複合石けん、アルカリ土類金属石けん、アルカリ土類金属複合石けん等の金属石けん系の増ちょう剤、トリウレアモノウレタン、ジウレア、テトラウレア等のウレア系増ちょう剤であることが好ましい。増ちょう剤は、その他にも、クレイ、シリカエアロゲル等のシリカ(酸化ケイ素)、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂等を挙げることができる。増ちょう剤としては、1種又は2種以上を併せて使用することができる。
グリース組成物中の増ちょう剤の含有量は、グリース組成物全体の量を100.00質量%とした場合、1.00質量%以上、3.00質量%以上、又は、5.00質量%以上であることが好ましく、また、25.00質量%以下、20.00質量%以下、又は、15.00質量%以下であることが好ましい。
<添加剤>
添加剤としては、防錆剤、摩擦調整剤、耐摩耗剤、酸化防止剤、油性剤、極圧剤、固体潤滑剤、金属不活性剤、金属系清浄剤、非金属系清浄剤、腐食防止剤、着色剤等の従来公知の添加剤が挙げられる。
また、本開示のグリース組成物は、添加剤として増粘剤を含んでいてもよく、また、増粘剤としてポリマーを含んでいてもよい。
本開示において、ポリマーは増粘剤の1種であり、グリース組成物の付着性や粘度を増加させるために配合する添加剤である。ポリマーの構造(主骨格、側鎖、置換基等の構造)や物性(数平均分子量、結晶化開始温度等)は、グリース組成物が所望の性能を充足するように適宜変更可能である。グリース組成物において増粘剤として用いられるポリマーとしては、例えばポリブテン系、ポリイソブチレン系、ポリ(メタ)アクリレート系、オレフィン共重合体系等の増粘剤が含まれる。ポリ(メタ)アクリレート系ポリマーは、分散型ポリ(メタ)アクリレートであっても、非分散型ポリ(メタ)アクリレートであっても、これらの混合物であってもよい。非分散型ポリ(メタ)アクリレートや分散型ポリ(メタ)アクリレートについては、例えば、特開2022-044925号公報に開示されたものを使用することができる。特に、基油が鉱油である場合、グリース組成物はポリマーを含むことが好ましい。ポリマーは、これらを単独で用いるだけでなく、2種類以上を混合して用いることもできる。
グリース組成物を構成する成分中基油とポリマーを混合した際の動粘度が、90mm/s以上、100mm/s以上、120mm/s以上、又は、150mm/s以上となることが好ましく、また、310mm/s以下、又は、260mm/s以下となることが好ましい。
ポリマーの具体的な含有量は、基油の種類等に応じて適宜調整すればよいが、例えば、グリース組成物全体の量を100.00質量%とした場合、5.00質量%以下、3.00質量%以下、又は、1.50質量%以下であることが好ましい。また、ポリマーの含有量の下限値は、例えば、0.10質量%、0.20質量%、又は、0.30質量%等とすることができる。なお、本開示のグリース組成物中のポリマーの含有量は、0.10質量%未満、0.05質量%以下、0.01質量%以下、又は、0.00質量%であってもよい。
<<グリース組成物の製造方法>>
グリース組成物の製造方法は、公知の方法に従って製造することができる。例えば、グリース組成物は、各成分(基油、増ちょう剤、及び必要に応じて添加する添加剤等)を適宜混合すればよく、その混合順序は特に限定されるものではない。
また、増ちょう剤等の成分については、従来公知の方法に従って、グリース組成物を構成する基油中に当該成分の原料成分を配合し、当該原料成分を反応させて得られたものであってもよい。例えば、基油、イソシアネート成分、アミン成分を釜内に投入し、基油中でイソシアネート成分及びアミン成分を反応させることでウレア系の増ちょう剤を形成させる方法や、基油、カルボン酸成分、塩基性金属成分を釜内に投入し、基油中でカルボン酸成分及び塩基性金属成分を反応させることで金属石けん系の増ちょう剤を形成させる方法等が実施されてもよい。
<<グリース組成物の用途>>
本開示に係るグリース組成物は、低温時の性能や高荷重な使用条件下での耐久性等に優れることから、種々の用途に適用することができ、低温環境での使用が想定される用途として特に好ましくに適用することができる。より具体的には、本開示に係るグリース組成物は、自動車用や風力発電用、その他、各種産業機械等の転がり軸受、すべり軸受、歯車等の幅広い機械部品等に好ましく適用することができる。
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
<<原料>>
表1及び表2に記載した本実施例1~11及び比較例1~4で用いた原料は以下の通りである。表1及び表2において、各成分の配合量を質量部で示している。
<増ちょう剤>
(ジウレア)
グリース組成物を構成するジウレア化合物は4,4′―ジフェニルメタンジイソシアネートと直鎖状一級アミンを基油中で反応させることで得られる。
(リチウム石けん)
グリース組成物を構成するリチウム石けんは12―ヒドロキシステアリン酸と水酸化リチウム一水和物を基油中で反応させることで得られる。
<基油>
(基油A)
米国石油協会(API:American Petroleum Institute)にて分類されるグループ1に属する脱ろう溶剤精製により得られたパラフィン系鉱油(40℃での動粘度が99.82mm/s、粘度指数が98のもの)と、グループ1に属するパラフィン系鉱油(40℃での動粘度が494.6mm/s、粘度指数が96のもの)と、グループ5に属するナフテン系鉱油(40℃での動粘度が521.3mm/s、粘度指数が5のもの)を、54%対17%対29%の質量割合で混合したものである。
(基油B)
グループ1に属するパラフィン系鉱油(40℃での動粘度が99.82mm/s、粘度指数が98のもの)と、グループ1に属するパラフィン系鉱油(40℃での動粘度が494.6mm/s、粘度指数が96のもの)と、グループ5に属するナフテン系鉱油(40℃での動粘度が521.3mm/s、粘度指数が5のもの)を、41%対30%対29%の質量割合で混合したものである。
(基油C)
グループ1に属するパラフィン系鉱油40℃での動粘度が494.6mm/s、粘度指数が96のもの)と、グループ5に属するナフテン系鉱油(40℃での動粘度が521.3mm/s、粘度指数が5のもの)を、60%対40%の質量割合で混合したものである。
(基油D)
グループ1に属するパラフィン系鉱油40℃での動粘度が494.6mm/s、粘度指数が96のもの)と、グループ5に属するナフテン系鉱油(40℃での動粘度が521.3mm/s、粘度指数が5のもの)を、41%対59%の質量割合で混合したものである。
(合成油A)
フィッシャートロプシュ法により合成されたGTL(ガストゥリキッド)で、グループ3に属するものであり、40℃の動粘度が44.16mm/s、粘度指数が141のものである。
<増粘剤(ポリマー)>
原料として用いたポリマーを以下に列挙する。
(ポリマーA)
数平均分子量が14,000である非分散型ポリメタクリレート
(ポリマーB)
数平均分子量が12,000と552,000である非分散型ポリメタクリレート
の混合物であり、ポリマー全体での数平均分子量が14,000である。
(ポリマーC)
数平均分子量が30,000と4,200,000である非分散型ポリメタクリレートの混合物であり、ポリマー全体の数平均分子量が32,000である。
(ポリマーD)
数平均分子量が26,000であり、DSC測定時に結晶化開始温度が-19.2℃であるポリメタクリレート
(ポリマーE)
数平均分子量が35,000であり、DSC測定時に結晶化開始温度が-14.4℃であるポリメタクリレート
(ポリマーF)
数平均分子量が43,000であり、DSC測定時に結晶化開始温度が-13.5℃であるポリメタクリレート
(ポリマーG)
数平均分子量が800であるポリイソブテン
(ポリマーH)
数平均分子量が2,900であるポリイソブテン
<その他の添加剤>
その他の添加剤として、防錆剤、摩擦調整剤、耐摩耗剤を用いた。具体的には、カルシウムスルホネートとジチオカルバミン酸モリブデンとジアルキルジチオリン酸亜鉛とを、元素比でCa対Mo対Zn対S対Pが1.5対39.0対5.0対50.0対4.5となるように、グリース組成物全体を100質量部として3.0質量部、配合した。
<<グリース組成物の調製>>
<実施例1~6>
基油A中で上記ジウレア化合物を合成させ、更に攪拌しながら170℃まで加熱し反応を完結させた。その後、速やかに90℃まで冷却し、表1に示す配合割合でポリマー、及び添加剤を加え、攪拌混合し、ホモジナイザーにて処理してグリースを得た。
<実施例7>
基油B中で上記ウレア化合物を合成させ、更に攪拌しながら170℃まで加熱し反応を完結させた。その後、速やかに90℃まで冷却し、表1に示す配合割合でポリマー、及び添加剤を加え、攪拌混合し、ホモジナイザーにて処理してグリースを得た。
<実施例8>
基油Cと合成油Aの混合油中で上記ウレア化合物を合成させ、更に攪拌しながら170℃まで加熱し反応を完結させた。その後、速やかに90℃まで冷却し、表1に示す配合割合で添加剤を加え、攪拌混合し、ホモジナイザーにて処理してグリースを得た。
<実施例9>
基油Cと合成油Aの混合油中で上記ウレア化合物を合成させ、更に攪拌しながら170℃まで加熱し反応を完結させた。その後、速やかに90℃まで冷却し、表1に示す配合割合でポリマー、及び添加剤を加え、攪拌混合し、ホモジナイザーにて処理してグリースを得た。
<実施例10>
基油Dと合成油Aの混合油中で上記ウレア化合物を合成させ、更に攪拌しながら170℃まで加熱し反応を完結させた。その後、速やかに90℃まで冷却し、表1に示す配合割合で添加剤を加え、攪拌混合し、ホモジナイザーにて処理してグリースを得た。
<実施例11>
基油A中で上記リチウム石鹸を合成させ、脱水後220℃まで加熱した。その後、徐々に90℃まで冷却し、表1に示す配合割合でポリマー、及び添加剤を加え、攪拌混合し、ホモジナイザーにて処理してグリースを得た。
<比較例1>
基油A中で上記ジウレア化合物を合成させ、更に攪拌しながら170℃まで加熱し反応を完結させた。その後、速やかに90℃まで冷却し、表1に示す配合割合で添加剤を加え、攪拌混合し、ホモジナイザーにて処理してグリースを得た。
<比較例2、3>
基油A中で上記ジウレア化合物を合成させ、更に攪拌しながら170℃まで加熱し反応を完結させた。その後、速やかに90℃まで冷却し、表1に示す配合割合でポリマー、及び添加剤を加え、攪拌混合し、ホモジナイザーにて処理してグリースを得た。
<比較例4>
合成油A中で上記ジウレア化合物を合成させ、更に攪拌しながら170℃まで加熱し反応を完結させた。その後、速やかに90℃まで冷却し、表1に示す配合割合で添加剤を加え、攪拌混合し、ホモジナイザーにて処理してグリースを得た。
<<測定/評価>>
前述した方法に従って、グリース組成物の、低温流動性、低温始動性、混和ちょう度、極圧性を測定した。測定結果を表1に示す。
表1記載の実施例1~11は、良好な低温流動性と低温始動性を示し、なおかつ、極圧性にも優れる。以上から、各実施例のグリース組成物は低温時の低トルク性と高荷重な使用条件下での耐久性の両立が可能であり、スティックスリップによる異音発生、さらにフレッチング摩耗の増大などの潤滑性不良を抑制することが期待できる。

Claims (4)

  1. 基油と増ちょう剤とを含み、温度-20℃、周波数1Hzの条件下で、レオメーターを用いて実施された粘弾性試験における損失正接が1を示すときのひずみが、1.0~3.5%である、グリース組成物。
  2. 温度-20℃、せん断速度10s―1の条件下で、レオメーターを用いて実施された粘弾性試験における起動トルクが、10.0~45.0mN・mである、請求項1記載のグリース組成物。
  3. 前記基油が、鉱油及び合成油から選択される1種以上である、請求項1又は2記載のグリース組成物。
  4. 前記基油の40℃動粘度が90mm/s以上である、請求項1又は2記載のグリース組成物。

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