JP2024035266A - 金属張積層板の製造方法 - Google Patents

金属張積層板の製造方法 Download PDF

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陸斗 黒田
Rikuto Kuroda
桜子 重松
Sakurako Shigematsu
和樹 田川
Kazuki Tagawa
圭一 木村
Keiichi Kimura
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Abstract

【課題】金属張積層板の金属箔層を配線加工しエッチング処理によって生じるアンダーカット欠陥を低減すること。【解決手段】金属箔と、ポリイミドフィルム又は金属層付ポリイミド積層体とを加熱圧着させて金属張積層板を得た後、前記加熱圧着側の金属箔層を配線加工しエッチング処理によって前記配線を薄膜化する回路基板に用いられる金属張積層板の製造方法であって、前記ポリイミドフィルム又は金属層付ポリイミド積層体が、前記金属箔との接着層として、ガラス転移温度(Tg)が300℃以上の熱可塑性ポリイミド層を有し、前記加熱圧着温度(T1)が、前記熱可塑性ポリイミドのガラス転移温度(Tg)以上であり、前記加熱圧着後、更に再加熱処理する工程を有し、再加熱処理温度(T2)を300℃以上、前記熱可塑性ポリイミドのガラス転移温度(Tg)+50℃以下の範囲内とし、再加熱処理時間を10分超とすることを特徴とする金属張積層板の製造方法である。【選択図】図1

Description

本発明は、金属張積層板の製造方法に関し、特にFPCのCOF用途として有用な金属張積層板の製造方法に関する。
電子機器の電子回路にはプリント基板が多く用いられているが、その中でも特にフレキシブルプリント回路基板(Flexible printed circuits:FPC)は、屈曲性を持つことと基板自体が薄いことから、テープキャリアにドライバICを実装するTAB(Tape Automated Bonding)方式に適用されてきた。特に、より小さいスペースで、より高密度の実装を行う実装方法として、ICチップをフィルムキャリアテープ上に直接搭載するCOF(Chip on Film)方式が採用され、配線の狭ピッチ化が進み、微細加工が可能であるフレキシブルプリント基板が必要とされている。
従来、微細加工が可能な金属張積層板(特にFlexible Cupper Clad Laminate:FCCL)を提供するための製造方法として主に、メタライジング法、ラミネート法、キャスト法がある。メタライジング法は、ポリイミドフィルムの表面にスパッタリングにより金属を薄く蒸着し、その上に所定の厚さに金属を無電解及び/又は電解メッキ法により形成する方法であるが、この製法ではピンホールと呼ばれる金属層に微小な穴が点在し、回路の耐エレクトロマイグレーション性に劣るといった微細回路形成において致命的な欠陥を有している。
ラミネート法は、銅箔をポリイミドフィルムに直接積層する方法であり、キャスト法は、ポリイミド前駆体樹脂溶液を金属箔(通常銅箔)上に塗布した後、乾燥・硬化することによりポリイミドフィルム層を形成する方法である。これらの方法において、良好な品質の積層板を安定的に製造するためには金属箔はある程度の厚さが必要であり、薄い金属箔層であることが要求される場合、一旦中間積層体を作り、その中間積層体の金属箔層の全面をエッチング(ハーフエッチング)して所望の金属張積層板を得ることが行われている。(例えば、特許文献1)
特許第4804806号公報 特許第5976588号公報 特許第6948418号公報
従来の技術では、金属張積層板の金属箔層を薄膜化するためハーフエッチング処理することが知られているが、金属箔層を配線加工した後に当該配線を薄肉化するためエッチング(ソフトエッチング)する場合、配線層とポリイミド層との界面端部において、配線層が余分にエッチングされ、アンダーカット欠陥を発生する場合がある(図1参照)。アンダーカット欠陥は、配線層とポリイミド層との接着面積を低下させ、剥離原因ともなる。
よって、本発明は、FPCの配線層を薄膜化するためソフトエッチング処理する場合に、アンダーカット欠陥を低減する手法を提案するものである。
なお、特許文献2、3には、金属張積層板の製造方法において、所定の条件にて再加熱処理することを開示するものの、屈曲性や寸法安定性の観点であり、アンダーカット欠陥に着目したものではない。
本発明者等は、上述した課題を解決するために、種々検討した結果、本発明に到達したものである。
すなわち、本発明は、金属箔と、ポリイミドフィルム又は金属層付ポリイミド積層体とを加熱圧着させて金属張積層板を得た後、前記加熱圧着側の金属箔層を配線加工しエッチング処理によって前記配線を薄膜化する回路基板に用いられる金属張積層板の製造方法であって、前記ポリイミドフィルム又は金属層付ポリイミド積層体が、前記金属箔との接着層として、ガラス転移温度(Tg)が300℃以上の熱可塑性ポリイミド層を有し、前記加熱圧着温度(T1)が、前記熱可塑性ポリイミドのガラス転移温度(Tg)以上であり、前記加熱圧着後、更に再加熱処理する工程を有し、再加熱処理温度(T2)を300℃以上、前記熱可塑性ポリイミドのガラス転移温度(Tg)+50℃以下の範囲内とし、再加熱処理時間を10分超とすることを特徴とする金属張積層板の製造方法である。
本発明の製造方法において、前記熱可塑性ポリイミド層のガラス転移温度Tgが、320℃以上であることが好適である。
前記再加熱処理温度T2が、前記熱可塑性ポリイミド層のガラス転移温度Tg以上、Tg+40℃以下の範囲内であることが好適である。
前記加熱圧着が、一対の加圧ロール間を連続的に通過させてなされることが好適である。
前記金属箔が、電解銅箔であること好適である。
本発明の金属張積層板の製造方法は、FPCの配線層を薄膜化するためソフトエッチング処理する場合であっても、ソフトエッチング後のアンダーカット欠陥を大幅に低減できる。配線層とポリイミド層との接着強度を維持でき、フレキシブルプリント回路基板(FPC)用途、特にCOF用途に有効に利用できる。
本発明の課題であるFPCにおけるソフトエッチング後のアンダーカット欠陥を示す模式図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の金属張積層板(特にFCCL)の製造方法は、金属箔と、ポリイミドフィルム又は金属層付ポリイミド積層体(絶縁層)とを加熱圧着させて金属張積層板を得た後、更に再加熱処理を行う。
金属箔(金属層)としては、銅箔やステンレス箔などが挙げられるが、一般には、銅箔であり、好ましくは電解銅箔を使用する。銅箔の厚さは、好ましくは5~35μmである。銅箔の結晶粒径は、熱処理前で好ましくは2μm以下である。銅箔のポリイミド層(絶縁層)と接していない面の表面粗度Rzは、好ましくは2.5μm以下である。銅箔の絶縁層と加熱圧着(ラミネート)される側の表面粗度Rzは好ましくは3μm以下である。かかる特性を有する銅箔は、市販品から選定できる。
ポリイミドフィルムとしては、市販品から適宜選定できる。金属層付ポリイミド積層体は、好ましくはキャスト法によって得ることができる。すなわち、銅箔にポリイミド前駆体樹脂溶液を塗布した後、乾燥・硬化することにより形成する。
ポリイミド層を構成する低熱膨張性(非熱可塑性)ポリイミドや熱可塑性ポリイミドは、それらの特性を与えるその前駆体であるポリアミド酸をイミド化して得られるが、それらのポリアミド酸は、一般に公知のジアミンと酸二無水物とを適宜選択し、これらを有機溶媒中で合成することで得ることができる。
ジアミンとしては、公知のものを広く使用でき、限定するものではないが、例示すれば、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、2'-メトキシ-4,4'-ジアミノベンズアニリド、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2'-ジメチル-4,4'-ジアミノビフェニル、3,3'-ジヒドロキシ-4,4'-ジアミノビフェニル、4,4'-ジアミノベンズアニリド等が挙げられる。酸二無水物についても、公知のものを広く使用でき、限定するものではないが、例示すれば、ピロメリット酸二無水物、3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'-ジフェニルスルフォンテトラカルボン酸二無水物、4,4'-オキシジフタル酸無水物等が挙げられる。ジアミン、酸二無水物はそれぞれ、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
重合に使用される溶媒は、ジメチルアセトアミド、n-メチルピロリジノン、2-ブタノン、ジグライム、キシレン等が挙げられ、1種又は2種以上を併用できる。
ポリイミド前駆体樹脂溶液については、前駆体状態で金属箔(銅箔)上に直接塗布して形成することが好ましく、重合された樹脂粘度は好ましくは500cps~35,000cpsの範囲である。
ポリイミド樹脂層として、金属箔との接着層として、ガラス転移温度Tgが300℃以上の熱可塑性ポリイミド層を有する必要がある。ただし、熱可塑性ポリイミド層単独では、熱膨張しやすいので、低熱膨張性の非熱可塑性ポリイミド層との複数層とすることが望ましい。ポリイミド樹脂層を複数層とする場合、異なる構成成分からなるポリイミド前駆体樹脂層の上に他のポリイミド前駆体樹脂溶液を順次塗布、乾燥して形成することができるし、多層を同時に塗布することもできる。ポリイミド樹脂層が3層以上からなる場合、同一の構成のポリイミド前駆体樹脂を2層以上使用してもよい。
ポリイミド前駆体樹脂液を金属箔(銅箔)層上に塗布した後、加熱処理する。この熱処理は、例えば、100~150℃にて大気中で乾燥し、その後、150~400℃にて真空加熱するとよい。これにより、ポリイミド前駆体はポリイミド樹脂となり、中間体としての金属層付ポリイミド積層体が得られる。
その後、金属箔と、ポリイミドフィルム又は金属層付ポリイミド積層体とを加熱圧着(ラミネート)させる。
この加熱圧着温度(T1)は、熱可塑性ポリイミドのガラス転移温度(Tg)以上とする。好ましくは、一対の加圧ロール間を連続的に通過させることにより加熱圧着され、ロール表面温度を、例えば310~400℃に設定するとよい。加圧ロールの圧力(線圧)は、例えば20~200kgf/cmである。
本発明の製造方法においては、加熱圧着後、更に再加熱処理する工程を有することを必須とする。後工程である金属層を配線加工してエッチング(ソフトエッチング)処理によって薄膜化(例えば配線厚さを10~90%薄膜化)する場合、アンダーカット欠陥を低減することが可能となる。
この再加熱処理工程において、再加熱処理温度(T2)を300℃以上、前記熱可塑性ポリイミドのガラス転移温度(Tg)+50℃以下の範囲内とする。好ましくは320~400℃である。
再加熱処理時間は10分超とする。好ましくは15~60分である。
以下、実施例に基づき本発明をより詳細に説明する。各特性評価は、下記のとおり。
[アンダーカット幅の測定]
1)サンプリング及び測定用サンプルの作製
アンダーカット幅の測定にあたり、シート状に切り出したFCCLをライン&スペースが100μm/100μmとなるように配線加工を行い、中央部からサンプリング(50mm×50mm)し、ソフトエッチング液(三菱ガス化学社製、商品名;CPE-750)へ所定の時間浸漬した。このとき浸漬時間は、50mm×50mmに切り出したFCCLをソフトエッチング液に対して10秒、30秒、60秒、120秒浸漬した際の重量減少量をもとに浸漬時間に対する銅箔厚み方向のエッチング量(エッチングレート)を算出し、厚みが2μmエッチングされる時間とした。ソフトエッチング液へ浸漬後、イオン交換水にて洗浄、乾燥させたサンプルの中央部からサンプリング(5mm×5mm)し、エポキシ系樹脂で包埋後、クロスセクションポリッシャー(日本電子社製、商品名;IB-19520CCP)にて断面加工し、測定用サンプルを作製した。
2)測定用サンプルの観察及びアンダーカット幅の測長
測定サンプルの観察面を走査型電子顕微鏡(SEM:日本電子社製、商品名;IT-500HR)を用いて、配線の端部を5,000倍の倍率で観察した。次に、パーソナルコンピュータ用ソフトウェア(三谷商事社製、商品名;Win-roof ver.4.13.0)を用いて、図1に示す様にアンダーカット幅(側端面から浸入した深さ)を測長した。
アンダーカット幅は11.5μm以上を不可、9μmを超えて11.5μm未満を可、6μmを超えて9μm以下を良、6μm以下を優と判断した。
[ガラス転移温度(Tg)及び貯蔵弾性率の測定]
5mm×70mmのサイズのポリイミドフィルムを、動的粘弾性測定装置(DMA:TAインスツルメント社製、商品名;RSA G2)を用いて、30℃から400℃まで昇温速度4℃/分、周波数11Hzで測定を行い、弾性率変化(tanδ)が最大となる温度をガラス転移温度とした。なお、DMAを用いて測定された30℃における貯蔵弾性率が1.0×10Pa以上であり、ガラス転移温度+30℃以内の温度域での貯蔵弾性率が1.0×10Pa未満を示すものを「熱可塑性」とし、30℃における貯蔵弾性率が1.0×10Pa以上であり、ガラス転移温度+30℃以内の温度域での貯蔵弾性率が1.0×10Pa以上を示すものを「非熱可塑性」とした。
[表面粗度の測定]
JIS B 0601に準じて、触針式表面粗さ測定器(TENCOR社製、TENCOR P-10)を使用して、測定幅80μmの条件でRzを測定した。
実施例及び比較例に用いた金属箔(銅箔)の略号は、以下のとおりである。
銅箔1:電解銅箔(防錆金属層の厚み;1μm未満)、福田金属箔粉工業社製、商品名;CF-T49A-DS-HD2、厚み;12μm、長尺状、幅方向の長さ;540mm、絶縁層側Rz0.8μ m、レジスト面側Rz1.2μ m
銅箔2:電解銅箔(防錆金属層の厚み;1μm未満)、日本電解社製、商品名;HLB、厚み;12μm、長尺状、幅方向の長さ;540mm、絶縁層側Rz1.4μ m、レジスト面側Rz0.9μ m
実施例及び比較例に用いた化合物の略号は、以下のとおりである。
m‐TB:2,2’ ‐ジメチル-4,4’ ‐ジアミノビフェニル
TPE-R:1,3‐ビス(4‐アミノフェノキシ)ベンゼン
BAPP:2,2‐ビス[4-(4‐アミノフェノキシ)フェニル]プロパン
PMDA:ピロメリット酸二無水物
BPDA:3,3’,4,4’‐ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
DMAc:N,N‐ジメチルアセトアミド
(合成例1)
反応容器に、重合後の固形分濃度が12wt%となる量のDMAcを加え撹拌し、BAPPを投入した。投入したジアミンが完全に溶解するまで充分に撹拌を行った後、酸無水物:ジアミンのモル比率が0.990:1.000となるようPMDAおよびBPDAを加えた。PMDAとBPDAはモル比率(PMDA:BPDA)が95:5となるよう加えた。その後、室温で3時間撹拌を続け、粘度2,000cPのポリアミド酸溶液Aを得た。ポリアミド酸溶液Aから形成された厚み12μmのポリイミドフィルムのガラス転移温度は340℃であり、熱可塑性であった。
(合成例2)
反応容器に、重合後の固形分濃度が15wt%となる量のDMAcを加え撹拌し、m-TB及びTPE-Rをモル比率(m-TB:TPE-R)が80:20となるように投入した。投入したジアミンが完全に溶解するまで充分に撹拌を行った後、酸無水物:ジアミンのモル比率が0.985:1.000となるようPMDAを加えた。その後、室温で3時間撹拌を続け、粘度25,000cPのポリアミド酸溶液Bを得た。ポリアミド酸溶液Bから形成された厚み12μmのポリイミドフィルムは非熱可塑性であった。
実施例及び比較例に用いた熱処理の条件の略号は、以下のとおりである。
条件1a:減圧下、380℃、15分間
条件1b:減圧下、380℃、30分間
条件1c:減圧下、380℃、60分間
条件1d:減圧下、380℃、120分間
条件2:減圧下、360℃、60分間
条件3:減圧下、340℃、60分間
条件4:減圧下、330℃、60分間
条件5:減圧下、320℃、60分間
[実施例1]
銅箔1(電解銅箔、長尺状、厚み;12μm、幅方向の長さ;540mm)の上に、合成例1で調製したポリアミド酸溶液Aを硬化後の厚みが2μmとなるように均一に塗布した後、120℃で加熱乾燥し溶媒を除去した。その上に合成例2で調製したポリアミド酸溶液Bを硬化後の厚みが21μmとなるように均一に塗布した後、120℃で加熱乾燥し溶媒を除去した。更に、その上に合成例1で調製したポリアミド酸溶液Aを硬化後の厚みが2μmとなるように均一に塗布した後、120℃で加熱乾燥し溶媒を除去した。その後、130℃から350℃まで段階的な熱処理を行い、イミド化を完結して、片面銅張積層板1を調製した。片面銅張積層板1におけるポリイミド層の面に銅箔1を配置し、ガイドロールを経由しながら、ロール表面温度;340~400℃、プレスロールの線圧;38.6~115.8kgf/cmの範囲内、通過時間;2~5秒で連続的に熱圧着させて、両面銅張積層板1を調製した。
両面銅張積層板1を条件1aで再加熱処理し、両面銅張積層板1(1a)を調製した。
上述した測定方法によって、配線をソフトエッチング処理した後のアンダーカット幅を測定したところ、両面銅張積層板1(1a)におけるアンダーカット幅は7.2μmであった。
[実施例2]
両面銅張積層板1を条件1bで再加熱処理し、両面銅張積層板1(1b)を調製した。
配線をソフトエッチング処理した後のアンダーカット幅を測定したところ、両面銅張積層板1(1b)におけるアンダーカット幅は6.2μmであった。
[実施例3]
両面銅張積層板1を条件1cで再加熱処理し、両面銅張積層板1(1c)を調製した。
配線をソフトエッチング処理した後のアンダーカット幅を測定したところ、両面銅張積層板1(1c)におけるアンダーカット幅は5.6μmであった。
比較例1
両面銅張積層板1を条件1dで再加熱処理し、両面銅張積層板1(1d)を調製した。
配線をソフトエッチング処理した後のアンダーカット幅の測定を試みたが、両面銅張積層板1(1d)では銅箔とポリイミド層の間での発泡による剥離 (フクレ) が生じたため、評価不可であった。
[実施例4]
両面銅張積層板1を条件2で再加熱処理し、両面銅張積層板1(2)を調製した。
配線をソフトエッチング処理した後のアンダーカット幅を測定したところ、両面銅張積層板1(2)におけるアンダーカット幅は5.7μmであった。
[実施例5]
両面銅張積層板1を条件3で再加熱処理し、両面銅張積層板1(3)を調製した。
配線をソフトエッチング処理した後のアンダーカット幅を測定したところ、両面銅張積層板1(3)におけるアンダーカット幅は5.7μmであった。
[実施例6]
両面銅張積層板1を条件4で再加熱処理し、両面銅張積層板1(4)を調製した。
配線をソフトエッチング処理した後のアンダーカット幅を測定したところ、両面銅張積層板1(4)におけるアンダーカット幅は7.2μmであった。
[実施例7]
両面銅張積層板1を条件5で再加熱処理し、両面銅張積層板1(5)を調製した。
配線をソフトエッチング処理した後のアンダーカット幅を測定したところ、両面銅張積層板1(5)におけるアンダーカット幅は9.1μmであった。
比較例2
両面銅張積層板1を再加熱処理しない例である。
配線をソフトエッチング処理した後のアンダーカット幅を測定したところ、両面銅張積層板1のアンダーカット幅は11.8μmであった。
[実施例8]
銅箔1の代わりに、銅箔2を使用したこと以外、実施例1と同様にして、銅張積層板2を調製した。両面銅張積層板2を条件1aで再加熱処理し、両面銅張積層板2(1a)を調製した。
配線をソフトエッチング処理した後のアンダーカット幅を測定したところ、両面銅張積層板2(1a)におけるアンダーカット幅は9.9μmであった。
[実施例9]
両面銅張積層板2を条件1bで再加熱処理し、両面銅張積層板2(1b)を調製した。
配線をソフトエッチング処理した後のアンダーカット幅を測定したところ、両面銅張積層板2(1b)におけるアンダーカット幅は10.5μmであった。
[実施例10]
両面銅張積層板2を条件1cで再加熱処理し、両面銅張積層板2(1c)を調製した。
配線をソフトエッチング処理した後のアンダーカット幅を測定したところ、両面銅張積層板2(1c)におけるアンダーカット幅は9.8μmであった。
[比較例3]
両面銅張積層板2を条件1dで再加熱処理し、両面銅張積層板2(1d)を調製した。
配線をソフトエッチング処理した後のアンダーカット幅の測定を試みたが、両面銅張積層板2(1d)では銅箔とポリイミド層の間での発泡による剥離が生じたため、評価不可であった。
[実施例11]
両面銅張積層板2を条件2で再加熱処理し、両面銅張積層板2(2)を調製した。
配線をソフトエッチング処理した後のアンダーカット幅を測定したところ、両面銅張積層板2(2)におけるアンダーカット幅10.7μmであった。
[実施例12]
両面銅張積層板2を条件3で再加熱処理し、両面銅張積層板2(3)を調製した。
配線をソフトエッチング処理した後のアンダーカット幅を測定したところ、両面銅張積層板2(3)におけるアンダーカット幅は11.3μmであった。
比較例4
両面銅張積層板2を再加熱処理しない例である。
配線をソフトエッチング処理した後のアンダーカット幅を測定したところ、両面銅張積層板2のアンダーカット幅は13.1μmであった。
実施例及び比較例の結果を、まとめて表1に示す。
Figure 2024035266000002
本発明の金属張積層板の製造方法は、配線をソフトエッチング処理した後のアンダーカットを抑制できるので、フレキシブルプリント回路基板(FPC)用途、特にCOF用途に有効に利用できる。
1 配線
1a エッチング面
2 ポリイミド層
2a 熱可塑性ポリイミド層
3 アンダーカット(空隙)

Claims (5)

  1. 金属箔と、ポリイミドフィルム又は金属層付ポリイミド積層体とを加熱圧着させて金属張積層板を得た後、前記加熱圧着側の金属箔層を配線加工しエッチング処理によって前記配線を薄膜化する回路基板に用いられる金属張積層板の製造方法であって、
    前記ポリイミドフィルム又は金属層付ポリイミド積層体が、前記金属箔との接着層として、ガラス転移温度Tgが300℃以上の熱可塑性ポリイミド層を有し、
    前記加熱圧着温度T1が、前記熱可塑性ポリイミドのガラス転移温度Tg以上であり、
    前記加熱圧着後、更に再加熱処理する工程を有し、再加熱処理温度T2を300℃以上、前記熱可塑性ポリイミドのガラス転移温度Tg+50℃以下の範囲内とし、再加熱処理時間を10分超とすることを特徴とする金属張積層板の製造方法。
  2. 前記熱可塑性ポリイミドのガラス転移温度Tgが、320℃以上であることを特徴とする請求項1に記載の金属張積層板の製造方法。
  3. 前記再加熱処理温度T2が、前記熱可塑性ポリイミドのガラス転移温度Tg以上、Tg+40℃以下の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の金属張積層板の製造方法。
  4. 前記加熱圧着が、一対の加圧ロール間を連続的に通過させてなされることを特徴とする請求項1に記載の金属張積層板の製造方法。
  5. 前記金属箔が、電解銅箔であることを特徴とする請求項1に記載の金属張積層板の製造方法。
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