JP2023535742A - 規模改変可能なシロシン及びシロシビンの合成経路 - Google Patents

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Abstract

本出願は、シロシビン(式Iの化合物)及びその主要な代謝産物であるシロシン(式IIの化合物)並びにそれらの医薬的に許容される塩を合成するための、新規で、費用効果が高く、実用的で、規模改変可能な合成経路に関する。これらの化合物は、とりわけCNS障害の中でも、大うつ病性障害、不安及び嗜癖障害などの精神衛生障害の治療または予防に使用される。JPEG2023535742000100.jpg43132

Description

関連出願への相互参照
本出願は2020年7月24日に出願された米国仮特許出願第63/056,058号の優先権の利益を主張し、その内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
開示の分野
本発明は、シロシビン(4-ホスホリルオキシ-N,N-ジメチルトリプタミン)及びその主要代謝物であるシロシン(4-ヒドロキシ-N,N-ジメチルトリプタミン)を調製するための規模改変可能な(scalable)方法、並びにそれらの医薬的に許容される塩に関する。
シロシビン(4-ホスホリルオキシ-N,N-ジメチルトリプタミン、別名シロシンリン酸エステル)は化学式C1217Pを有し、厳密な分子量が284.092594g/molであり、3個の水素結合供与体、5個の水素結合受容体数、極性表面積(PSA)またはトポロジー極性表面積(TPSA)が85.8Å(式I)であるプロドラッグである。経口経路を介して消費されると、シロシビンは、腸内のアルカリホスファターゼによって急速に脱リン酸化されて、シロシンになる[Dinis-Oliveira, R. J. Drug Metab. Rev. 2017, 49, 84-91]。シロシン(4-ヒドロキシ-N,N-ジメチルトリプタミン)は4-OH-DMTとしても知られており、最も顕著なシロシビンの活性代謝産物であり、血液脳関門(BBB)を透過することができ、他の標的の中でも5-HT2A受容体と相互作用して、幻覚作用を生じる。その化学式C1216Oは厳密な分子量が204.126263g/molであり、2個の水素結合供与体、2個の水素結合受容体数、及び39.3ÅのTPSAを含有する(式II)。
シロシビンとシロシンの化学構造はかなり単純でアキラルであり、神経伝達物質セロトニン[5‐ヒドロキシトリプタミン(5‐HT)]と密接に関連している。
シロシビンは例えば、精神医学的疾患及び障害、オピオイド使用障害(OUD)、睡眠障害、不安障害、大うつ病性障害及びがん関連精神医学的苦痛における幻覚補助療法において、及び幻覚剤として、多くの医薬的な治療的潜在的価値を有することが示されている。その治療的価値は、レクリエーション薬としての世界的な人気の増加と相まって、シロシビンを用いたより厳格な研究の必要性を保証する。結果として、シロシビンの製造のためのより費用効果的で再現可能な方法を創出するために、科学的研究努力が増加している。具体的には、ヒトへの使用に適した純粋であり、比較的経済的な方法で調製することができる治験物質が強く求められている。
現在、シロシビンは、(i)発酵などの生物学的プロセスによる方法、(ii)マジックマッシュルームからの抽出による方法、または(iii)有機合成法による方法の、3種類の異なる方法のうちの1つを使用して生成され得る。
シロシビンは、ある種のキノコにおいて生合成されるので、天然源から抽出することができる。しかしながら、この方法は、その生産に一貫性がなく制御が困難であり得るキノコの供給に依存する。さらに、シロシビンは、その主要な代謝産物であり高い極性を有するシロシンに容易に分解するため、天然に存在するキノコの抽出物からヒト試験における使用に十分かつ純粋な量でシロシビンを製造することは、その安定性から非常に困難である。したがって、この方法は、薬物の有用な製造ではない。加えて、報告されている天然源からのシロシビン収率は、典型的には非常に低く、例えば、Psilocybe serbicaの乾燥質量の0.85%、P.semilanceataの約1.0%、及びP.azurescensの約1.5~1.8%である[Tyls, T. et al. Eur. Neuropsychopharm. 2014, 24, 342-356; Hoffmeister, Chem. Eur. J. 2019, 25, 897-903]。したがって、この方法は、治療的使用のためのシロシビンの商業的製造のための有用な製造方法ではない。
別途、シロシビン含有真菌に由来する酵素を用いた生合成シロシビン産生が最近になって同定され、L-トリプトファン(A)からの生化学的変換を介する4段階(図式1)で概説されており、これはいくつかの酵素反応を伴う。脱炭酸がトリプタミン(B)をもたらし;エチルアミン側鎖のアミンのジメチル化がN,N-ジメチルトリプタミン(C)をもたらし;酸化を介する4-ヒドロキシル化が4-ヒドロキシトリプタミン、シロシン(II)をもたらし;その後のO-リン酸化がシロシビン(I)をもたらす[Fricke, J. et al., Angew. Chem., Int. Ed. 2017, 56, 12352-12355]。
単離された酵素の最近の分析では、O-リン酸化がP.cubensisにおける第3段階であることを示している。中間酵素ステップのシークエンスはP.cubensis及びP.cyanescensにおいて4種の異なる酵素(PsiD、PsiH、PsiK、及びPsiM)を含むことが示されているが、生合成経路は種間で異なり得る。これらの酵素は、Psilocybe、Panaeolus及びGymnopilusにおいて遺伝子クラスターでコードされている[Fricke J. et al. (Angew. Chem., 2017, 56(40): 12352-12355; Reynolds H, et al., Evolution Letters. 2018, 2 (2): 88-101]。
より最近の研究では、別のモジュール式生合成シロシビン産生プラットフォームがモデル微生物、大腸菌において開発されている。複数の遺伝的最適化技術を用いて経路性能を最適化及び改善するための努力を評価し、シロシビン力価の3.2倍の改善をもたらした。この遺伝的に優れた株に対するさらなる増強が発酵最適化によって達成され、最終的に、現在進行中の臨床試験で使用するための1.16g/Lのシロシビンの産生力価を備えた流加発酵研究(fed-batch fermentation study)をもたらした[Adams et al. Metabolic Engineering, 2019, 56, 111-119]。
あるいはこの生合成過程はまた、4-ヒドロキシ-L-トリプトファンから開始してもよく、これはPsiDを介して脱炭酸を受けて4-ヒドロキシトリプタミンを生じ、シロシビンの生合成はスキーム1のように、この時点から継続する[Fricke, J. et al., Angew. Chem., Int. Ed. 56, 2017, 12352-12355]。
同様に、Psilocybe cubensis由来の2つの酵素が、青色生成物をもたらす酸化的オリゴマー化のためのシロシビンを調製する2段階カスケードを実施することが、最近報告された。ホスファターゼPsiPが4-O-リン酸基を除去してシロシンを生じ、一方PsiLはその4-ヒドロキシ基を酸化する。PsiL反応はin situ13C-NMR分光法によりモニタリングされ、このことは、プシロシル残基の酸化的カップリングが主にC-5を介して起こることを示した。MS及びIR分光法でプシロシル3-~13-merが優先的である不均一混合物の形成が示され、酸化力及び基質濃度に依存する複数のオリゴマー化経路が示唆された。この結果はまた、シロシビンのリン酸エステルが可逆的な保護機能を果たすことを示唆している[Claudius L. et al., Angew. Chem. Int. Ed. 2020, 59, 1450-1454]。
国際出願公開第WO2019/180309号では、シロシビンの生合成のための酵素経路が開示されている。この経路は、最初の基質としてアミノ酸L-トリプトファンを使用する。L-トリプトファンは、PsiD酵素によって触媒される最初の酵素反応においてトリプタミンとCOに変換される。トリプタミンは、PsiH酵素によって触媒される第2の酵素反応において4-ヒドロキシトリプタミンに変換され、ここで酸素が反応に使用されてヒドロキシル基を形成する。4-ヒドロキシトリプタミンは、PsiK酵素によって触媒される第3の酵素反応においてノルバエオシスチンに変換され、ここでアデノシン三リン酸(ATP)がリン酸基の供与体として使用される。ノルバエオシスチンは、PsiM酵素によって触媒される第4及び第5の酵素反応において、バエオシスチン、及び最終的にシロシビンに変換され、ここで、S-アデノシルメチオニン(SAM)がメチル基のドナーとして使用される。シロシビンは天然の宿主ホスファターゼによって触媒される反応において、または自然に(spontaneously)、シロシンに変換され得る。シロシンは、PsiK酵素によって再リン酸化されて、再びシロシビンを形成しうる。
また、シロシビンは、合成的に調製することもできる。実際、その元の合成方法は、スキーム2に示されるように、Hofmann及び共同研究者によって報告された[Hofmann, A. et al. Experientia 1958, 14, 397-399; Helv. Chim. Acta 1959. 42, 2073-2103]。この合成は4-ヒドロキシインドール(E)のベンジル化で始まり、ベンジル保護4-ヒドロキシインドール(F)をもたらし、これを塩化オキサリル及びジメチルアミンで処理して、2-(4-(ベンジルオキシ)-1H-インドール-3-イル)-N,N-ジメチル-2-オキソアセトアミド(G)を生成する。続いて、生成物を水素化アルミニウムリチウムで還元して、ベンジル保護シロシン(H)を得る。水素ガス下、炭素上でパラジウムで脱保護すると、シロシン(II)が得られる。次いで、この生成物は、O,O-ジベンジルホスホリルクロリドでリン酸化されて、ベンジル保護されたシロシビン(IIa)を生じる。炭素上でパラジウムを用いる水素ガス下での脱ベンジル化により、最終生成物、シロシビン(I)が得られる[Hofmann, A. et al. Experientia 1958, 14, 397-399; Helv. Chim. Acta 1959. 42, 2073-2103]。
Hofmannの合成法は、以来、全体的な純度及び収率を改善するためのプロセスに多くの貢献をした様々なグループによって改変されてきた。例えば、近年、シロシビン(1)の合成中に、O,O-ジベンジルホスフェート誘導体(IIa)から対応する双性イオン性N,O-ジベンジルホスフェート誘導体(IIb)を形成するために、(IIa)上のベンジル基の1つが自然に分子内移動することによって副生成物が形成されることが示された(スキーム3)[Shirota, O. et al., J. Nat. Prod. 2003, 66, 885-887]。
4-ヒドロキシ-N,N-ジメチルトリプタミン、シロシン(II)のO-リン酸化を達成するための改良された手順は、インドール部分のO-リチウム塩と、塩基としてn-ブチルリチウムと、テトラ-O-ベンジルピロリン酸との間の反応を利用することが報告されている。次いで、O-ベンジル基を、パラジウム/炭素上での触媒的水素化により除去して、シロシビンを得ている。シロシビンの調製において遭遇する困難を考慮すれば、4-アセトキシ-N,N-ジメチルトリプタミンが薬理学的研究のための有用な代替物であり得ることが示唆されている。後者は無水酢酸及び酢酸ナトリウムの存在下での4-ベンジルオキシ-N,N-ジメチルトリプタミンの触媒的O-脱ベンジル化後に得られている[Nichols, D. et al., Synthesis 1999, 935-938]。
Hoffmann及び共同研究者によって開発されたものと同じ合成経路に基づくが、開始材料としてベンジルオキシ-インドールに代えてアセトキシ-インドールを使用する、シロシビン(I)の調製のためのわずかに改善されたプロセスが国際出願公開WO2019/073379号に開示されている。
同様に、クロマトグラフィーまたは水性後処理を使用しない5段階での、シロシビン(I)の最近の小規模合成が開示されており、全収率が23%となる[Sherwood A. M. Synthesis 2020, 52, 688-694]。
シロシン(I)のキログラム規模の合成も開示されており、ここで、シロシンは、保護基を使用することなく、オキシ塩化リンで直接リン酸化される[Sherwood et at on ACS Omega 2020, 5, 27, 16959-16966]。
酢酸タリウムを用いる、4-ヨードインドールを経由してのインドールからの4-ヒドロキシインドールの別の合成法が報告されており、これを用いてシロシン(II)が調製されている[Yamada. F. et al., M. Heterocycles 1998, 49, 451]。
N-tert-ブトキシカルボニル-2-ヨード-3-メトキシアニリン(J)から3段階でタリウム塩を使用しないシロシン(II)の製造方法も報告されている(スキーム4)。
上記方法における重要な工程は、パラジウム触媒環化によるインドールコアの形成である。環化に必要な2つのフラグメントは(J)及びアルキン(K)である。中間体(J)は、文献の手順に従って、Boc-保護3-メトキシアニリンから、指向リチウム化及びヨウ素化を介して調製された[Snieckus V. Chem. ReV. 1990, 90, 879]。(K)の調製は、以前に報告されたように3-ブチン-1-オールから達成された[Smith, A. L. GB23.28941, 1999]。トシル化、N,N-ジメチルアミンによる置換、及びn-ブチルリチウム、トリメチルシリルクロリドによる処理により、必要なアルキンが得られた。Pd(OAc)、トリフェニルホスフィン、テトラエチルアンモニウムクロリド、及びN,N-ジイソプロピルエチルアミンをDMF中、80℃で48時間使用して、重要なパラジウム触媒環化工程を得た。
シロシンの合成を完了するために、(L)のBoc及びトリメチルシリル基を、ニートTFAでの処理によって切断して(M)を得て、これを、三臭化ホウ素を用いてのO-脱メチル化に供して、シロシン(II)を得た[Scammells P. J. et al. Org. Lett., 5, 6, 2003]。
この後者の合成における主な欠点は、高価で腐食性であるヨウ素中間体、及び有害で高価なブチルリチウムの取り扱いである。酢酸パラジウムは非常に高価である。また、この方法で使用される3-ブチン-l-オールは高価であり、商業規模で容易に入手できない。シロシビンの前駆体であるシロシンの純度は低く、精製のために複数のカラムクロマトグラフィープロセスを必要とする。したがって、この方法は、シロシビンの商業的生産のためには実行可能ではない。
上記のシロシン及びシロシビンの調製方法の商業化の難しさを考慮して、シロシン及び/またはシロシビンの商業的製造のための簡潔で経済的な方法を開発する必要がある。
本出願人は、(4-ホスホリルオキシ-N,N-ジメチルトリプタミン)であるシロシビン(式Iの化合物)及び(4-ヒドロキシ-N,N-ジメチルトリプタミン)であるその主要な代謝産物であるシロシン(式IIの化合物)を調製するための、新規で、費用効果が高く、実用的で、規模改変可能な経路を開発した。
したがって、本出願は、シロシン(式IIの化合物)を調製するためのプロセスを含む。
前記プロセスは:
非保護4-ヒドロキシインドール(式IIIの化合物)
を塩化オキサリルと反応させて、式(IV)の化合物を提供すること;
前記式(IV)の化合物をジメチルアミン(HN(CH)と反応させて、式Vの化合物を提供すること;
及び
前記式(V)の化合物を還元試薬で還元して、シロシン(式IIの化合物)を提供することを含む。
本出願はまた、シロシビン(式Iの化合物)を調製する方法であって:
シロシン(式IIの化合物)
を塩基の存在下で(a)ジ-tert-ブチルホスファイト
と反応させて、または
シロシンを(b)クロロジ-tert-ブチルホスファイト
と反応させて、式(VI)の化合物を提供すること;
及び
式VIの化合物を加水分解して、シロシビン(式Iの化合物)を提供すること
を含む。
本出願はまた、シロシン(式IIの化合物)を調製する方法であって:
非保護4-ヒドロキシインドール(式IIIの化合物)
を塩化オキサリルと反応させて、式(IV)の化合物を提供すること;
式(IV)の化合物をジメチルアミン(HN(CH)と反応させて、式Vの化合物を提供すること;
及び
式(V)の化合物を還元試薬で還元して、シロシン(式IIの化合物)を提供することを含む方法を提供する。
本出願の他の特徴及び利点は、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。しかしながら、詳細な説明及び具体的実施例は本出願の実施形態を示しているが、例示の目的で与えられるのみのものであって、特許請求の範囲はこれらの実施形態によって限定されるべきではなく、全体としての説明と一致する最も広い解釈を与えられるべきであることを理解されたい。
本出願の実施形態は、添付の図面を参照してより詳細に説明される。
図1は、式IVの化合物のHPLCクロマトグラムを示す。 図2は、式Vの化合物のHPLCクロマトグラムを示す。 図3は、式Vの化合物のH-NMRスペクトルを示す。 図4は、シロシン(式IIの化合物)のH-NMRスペクトルを示す。 図5は、クロロジ-tert-ブチルホスファイトのH-NMRスペクトルを示す。 図6は、シロシビン(式Iの化合物)のHPLCクロマトグラムである。 図7は、シロシビン(式Iの化合物)の質量スペクトルである。 図8は、シロシビン(式Iの化合物)のH-NMRスペクトルを示す。
I.定義
別段の指示がない限り、本セクション及び他のセクションに記載される定義及び実施形態は、当業者によって理解されるように、それらが適切で本明細書に記載される本出願のすべての実施形態及び態様に適用可能であることが意図される。
本明細書で使用される「本出願の方法」などの用語は、本明細書に記載されるように、シロシビン、シロシン、シロシビンの酸塩、及び/またはシロシンの酸塩を調製する方法を指す。
本明細書で使用される「及び/または」という用語は、列挙された項目が存在するか、または個々にもしくは組合せて使用されることを意味する。事実上、この語は、列挙された項目の「のうちの少なくとも1つ」または「1つ以上」が使用されるまたは存在することを意味する。
本出願で使用される単数形「a」、「an」及び「the」は、内容が明らかに別段の指示をしない限り、複数形の参照を含む。例えば、「溶媒(a solvent)」を含む実施形態は、1種類の溶媒、または2種類以上の追加の溶媒を用いて特定の態様を提示すると理解されるべきである。
「追加の(additional)」または「第2の(second)」成分、例えば追加の溶媒または第2の溶媒を含む実施形態では、本明細書で使用される第2の成分は、もう一つの(the other)成分または第1の成分と化学的に異なるものである。「第3の(third)」成分はもう一つの成分、第1の成分、及び第2の成分とも異なるものであり、さらに列挙されるまたは「追加の」成分も、同様に異なるものである。
本出願及び請求項において使用される「含んでいる(comprising)」(及び「含む(comprise)」及び「含む(comprises)」などの任意の形態を含む)、「有している(having)」(及び「有する(have)」及び「有する(has)」などの任意の形態を含む)、「含む(including)」(及び「含む(include)」及び「含む(includes)」などの任意の形態を含む)、または「含有する(containing)」(及び「含有する(contain)」及び「及び「含有する(contains)」などの任意の形態を含む)という用語は、包括的または開放的であり、追加の、引用されていない要素または処理を除外しない。
本明細書で使用される「からなる(consisting)」という用語及びその派生語は、記載された特徴、要素、成分、群、整数、及び/またはステップの存在を特定する閉じた用語であることが意図され、また、他の記載されていない特徴、要素、成分、群、整数、及び/またはステップの存在を除外することも意図される。
本明細書で使用される「から本質的になる(consisting essentially of)」という用語は、記載された特徴、要素、成分、群、整数、及び/またはステップの存在、並びにこれらの特徴、要素、成分、群、整数、及び/またはステップの基本的及び新規な特徴に実質的に影響を及ぼさない特徴の存在を特定することを意図する。
本明細書で使用される「適する」「適切な」(suitable)という用語は、特定の化合物または状態の選択が実施される具体的な合成操作、変換される分子のアイデンティティ、及び/または化合物の具体的な使用に依存することを意味するが、選択は十分に当業者の技能の範囲内である。本明細書に記載される全てのプロセス/方法ステップは、示される生成物を提供するための条件下で行われるべきである。当業者であれば、別段の指示がない限り、例えば、反応溶媒、反応時間、反応温度、反応圧力、反応物比、及び反応が無水雰囲気下または不活性雰囲気下で行われるべきか否かを含むすべての反応条件は、所望の生成物の収率を最適化するために変更することができ、そのようにすることはその技能の範囲内であることを理解するであろう。
本明細書で使用される「約」、「実質的に」及び「およそ」という用語は、最終結果が有意に変化しないような、修飾された用語の妥当な量の偏差を意味する。これらの程度の用語は、この逸脱が単語の意味を打ち消さない場合、修飾された用語の少なくとも±5%の逸脱を含むと解釈されるべきである。
本明細書は、当業者によって使用される多くの化学用語及び略語に言及する。それにもかかわらず、選択された用語の定義が、明確性及び一貫性のために提供される。
「利用可能な水素原子」または「利用可能な原子」における「利用可能(available)」という用語は、置換基によって置き換えることができることが当業者に知られているであろう原子を指す。
本明細書で使用される「シロシビン(psilocybin)」または「式Iの化合物(compound of Formula I)」または「(I)」という用語は、IUPAC名:3-[2-(ジメチルアミノ)エチル]-1H-インドール-4-イルリン酸二水素または化学名4-ホスホリルオキシ-N,N-ジメチルトリプタミンを有し、下記の化学式を有する。
本明細書で使用される「シロシン(psilocin)」または「式IIの化合物(compound of Formula II)」または「(II)」という用語は、IUPAC名:4-ヒドロキシ-N,N-ジメチルトリプタミンを有し、下記の化学式を有する。
本明細書で使用される「還元剤」という用語は、所望の官能基を還元する任意の化合物または化合物の組合せを意味する。還元剤は電子の全体的な付加、または有機化学の場合には官能基への水素原子の付加をもたらす。
本明細書で使用される「不活性溶媒」という用語は、反応を妨害しないか、さもなければ阻害しない溶媒を意味する。したがって、不活性溶媒のアイデンティティは、実施される反応に応じて変わる。不活性溶媒の選択は、当業者の技術の範囲内である。
用語「溶媒」は、単一種類の溶媒及び2種類以上の溶媒を含む混合物の両方を含む。
本明細書で使用される用語「保護基」または「PG」などの用語は、分子の異なる部分を操作または反応させながら、分子の反応性部分を保護またはマスクして、分子のかかる反応性部分における副反応を防止する化学部分を指す。操作または反応が完了した後、保護基は、分子のその他の部分を分解または分解しない条件下で除去される。適切な保護基の選択は、当業者によって行うことができる。例えば「有機化学における保護基(Protective Groups in Organic Chemistry)」McOmie, J.F.W. Ed., Plenum Press, 1973, in Greene, T.W. and Wuts, P.G.M.、「有機合成における保護基(Protective Groups in Organic Synthesis)」John Wiley & Sons, 3rdEdition, 1999、及びKocienski, P.「保護基 第3編集(Protecting Groups, 3rd Edition)」2003, Georg Thieme Verlag (The Americas)に記載されているように、多くの従来の保護基が当該技術分野において公知である。
本明細書で使用される「Atherton-Todd反応」という用語は、1945年にF.R.Atherton、H.T.Openshaw及びA.R.Toddによって最初に記載された、塩基の存在下でのテトラクロロメタン(四塩化炭素)の反応を通じて亜リン酸ジアルキルをジアルキルクロロホスフェートへ変換するための反応を指す(Journal of the Chemical Society, pp. 660-663)。塩基は、通常、第一級アミン、第二級アミンまたは第三級アミンである。
本出願の方法の生成物は公知の方法に従って単離することができ、例えば、化合物は、溶媒の蒸発、濾過、遠心分離、クロマトグラフィーまたは他の適切な方法によって単離することができる。
「医薬的に許容される」手段という用語は、対象の処置に適合することを意味する。
「医薬的に許容されるキャリア」という用語は、活性成分と混合されて、医薬組成物、すなわち、対象への投与が可能な剤形の生成を可能にするための、非毒性の溶剤、分散剤、添加剤(excipient)、補助剤または他の物質を指す。
「医薬的に許容される塩」という用語は、対象の処置に適しているか、または対象の処置に適合する、酸付加塩または塩基付加塩のいずれかを意味する。
対象の処置に適するまたは対象の処置に適合する酸付加塩とは、任意の塩基性化合物の任意の非毒性の有機または無機酸付加塩である。
本明細書で使用される「対象」という用語は、哺乳動物を含む動物界の全てのメンバーを含み、適切にはヒトを指す。
II.本出願のプロセス
本出願人は、4-ホスホリルオキシ-N,N-ジメチルトリプタミンであるシロシビン(式Iの化合物)、及びその主要な代謝産物である4-ヒドロキシ-N,N-ジメチルトリプタミンであるシロシン(式IIの化合物)の、新規で費用効果があり、実用的かつ規模改変可能な合成経路を開発した。本出願のプロセスは高純度のシロシビンまたはシロシンを調製するための新規な方法を提供し、純度及び収率における高度の一貫性を伴い、商業的製造に容易に採用することができる。調製されたシロシビンまたはシロシンはその後、剤形調製のために、任意の適切な医薬的に許容される塩、例えば、シュウ酸塩、コハク酸塩または安息香酸塩に変換され得る。
本出願のシロシビン及びシロシンを調製する新規な合成経路は、(i)穏やかな反応条件、(ii)簡便な操作、(iii)容易に入手可能な市販の原料、及び(iv)数キログラム規模(multi-kilogram scale)の製造への適正などのいくつかの利点を有する。さらなる利点は、収率、純度及び再現性が改善されたシロシビン及びシロシンを生成する能力である。
非保護4-ヒドロキシトリプタミンから出発して、シロシビン(式I)は、4-ヒドロキシインドールと塩化オキサリルとの直接縮合から出発するシロシン(式II)を介した5段階の手順によって合成することができる。本出願人は、驚くべきことに、この縮合工程が、4-ヒドロキシインドールのOH上に保護基を必要とせずになし得ること、例えば、メチルtert-ブチルエーテル(MTBE)またはジエチルエーテルなどの有機溶媒中で塩化オキサリルを非保護4-ヒドロキシインドールと直接反応させて、ジ2-クロロ-2-オキソアセチル中間体(式IVの化合物)が得られることを見出した。非保護4-ヒドロキシインドールを塩化オキサリルと直接反応させることは、例えば前述の方法のような当技術分野において公知のシロシンまたはシロシビンの合成方法において使用される、4-ヒドロキシインドール保護及びその後の脱保護工程を回避し、さらに、さらなる保護及び脱保護工程から生じる望ましくない副生成物の生成を回避する点で有利である。さらに、式IVの化合物を直接的な単離または精製なしに、後続の反応工程において使用することができる、すなわち、縮合工程の生成物(式IVの化合物)がジメチルアミンとの後続の反応に嵌め込まれ、式Vのオキソアセトアミド化合物を提供することができる点で有利である。次いで、式Vの化合物は例えば、水素化アルミニウムリチウムで還元されて、シロシンを提供する。
本出願人は、さらに驚くべきことに、ホスホリル化試薬としてジ-tert-ブチルホスファイトを使用する新規な最適化されたリン酸化反応によって、シロシンをシロシビンに変換して、式VIのジ-tert-ブチルホスファイト化合物を得ることができることを見出した。例えば、シロシンは、四塩化炭素とテトラヒドロフラン(THF)との混合物などの不活性溶媒中において、水酸化ナトリウムまたは4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)と組み合わせた水酸化ナトリウムなどの塩基の存在下で、ジ-tert-ブチルホスファイトを用いてリン酸化することができる。あるいは、シロシンは、クロロジ-tert-ブチルホスファイトを用いてリン酸化することができ、これは例えば、N-クロロスクシンイミドの存在下でジ-tert-ブチルホスファイトを組み合わせることによってin situで生成することができる。後者の選択肢はさらに、Atherton-Todd反応において必要とされる四塩化炭素の使用を回避する点で有利である。次いで、得られた式VIのジ-tert-ブチルホスファイト化合物を酸で単純に加水分解して、シロシビンを提供する。式VIのジ-tert-ブチルホスファイト化合物を直接単離しながら、その後の加水分解工程に嵌め込むことができる点でさらに有利である。さらに、当技術分野で使用されるO,O-ジベンジルホスファイト型試薬(例えば、Hofmann, A. et al. Experientia 1958, 14, 397-399;Helv. Chim. Acta 1959. 42.2073-2103及びShirota, O. et al., J. Nat. Prod. 2003, 66, 885-887を参照のこと)に代えてリン酸化試薬としてジ-tert-ブチルホスファイトを使用することは、O,O-ジベンジルホスファイト型リン酸化試薬で導入されたベンジル基を除去する際に生成される問題のある双イオン性N,O-ジベンジルホスファイト誘導体副生成物(前記のIIbを参照のこと)の形成を回避する点で有利である。代わりに、本明細書に記載のとおりジ-tert-ブチルホスファイト試薬によって導入されたジ-tert-ブチル基は、酸による加水分解によって効率的に除去される。
本出願人は例えば、H-NMR、13C-NMR、IR、HPLC及び/またはLCMSによって、シロシビン及びその代謝産物シロシンの両方の化学構造の真正性を確認した。
本出願の新規な合成経路は、改善された収率、純度及び再現性、穏やかな反応条件、環境に優しい、などの利点を有する。
本出願人はジ-tert-ブチルホスファイトとの新規な最適化リン酸化反応を介して、シロシンをシロシビンに変換することができることを見出したので、本出願はシロシビン(式Iの化合物)を調製するためのプロセスを含む。
前記プロセスは:
非保護シロシン(式IIの化合物)
を塩基の存在下で(a)ジ-tert-ブチルホスファイト
と反応させて、または
非保護シロシンを(b)クロロジ-tert-ブチルホスファイト
と反応させて、式(VI)の化合物を提供すること;
及び
式VIの化合物を加水分解して、シロシビン(式Iの化合物)を提供すること
を含む。
本出願人は、例えば、非保護4-ヒドロキシインドールを塩化オキサリルと直接反応させることによって、シロシンを調製することができることを見出したので、本出願は、シロシン(式IIの化合物)を調製するためのプロセスも含む。
前記プロセスは:
非保護4-ヒドロキシインドール(式IIIの化合物)
を塩化オキサリルと反応させて、式(IV)の化合物を提供すること;
式(IV)の化合物をジメチルアミン(HN(CH)と反応させて、式Vの化合物を提供すること;
及び
式(V)の化合物を還元試薬で還元して、シロシン(式IIの化合物)を提供することを含む。
したがって、本出願人は、非保護4-ヒドロキシトリプタミンから出発して、シロシン(式I)を、シロシンを経由して5段階の手順によって合成することができることを見出した。したがって、本出願は、シロシビン(式Iの化合物)を調製するためのプロセスを含む。
前記プロセスは:
非保護4-ヒドロキシインドール(式IIIの化合物)
を塩化オキサリルと反応させて、式(IV)の化合物を提供すること;
式(IV)の化合物をジメチルアミン(HN(CH)と反応させて、式(V)の化合物を提供すること;
式(V)の化合物を還元試薬で還元して、シロシン(式IIの化合物)を提供すること;
シロシンを塩基の存在下で(a)ジ-tert-ブチルホスファイト
と反応させて、または
シロシンを(b)クロロジ-tert-ブチルホスファイト
と反応させて、式(VI)の化合物を提供すること;
及び
式(VI)の化合物を加水分解して、シロシビン(式Iの化合物)を提供すること
を含む。
いくつかの実施形態では、非保護4-ヒドロキシインドール(式IIIの化合物)を過剰量の塩化オキサリルと反応させて、式(IV)の化合物を提供する。いくつかの実施形態では、非保護4-ヒドロキシインドール(式IIIの化合物)を、過剰量(例えば、約2~約5モル当量、約2~約4モル当量、約2~約3モル当量、約3~約5モル当量、約3~約4モル当量約3モル当量または約2.2モル当量)の塩化オキサリルと反応させて、式(IV)の化合物を提供する。いくつかの実施形態では、非保護4-ヒドロキシインドール(式IIIの化合物)を過剰量(例えば、約2~約4モル当量、約3モル当量または約2.2モル当量)の塩化オキサリルと反応させて、式(IV)の化合物を提供する。
いくつかの実施形態では、非保護4-ヒドロキシインドール(式IIIの化合物)と過剰量の塩化オキサリルとを反応させて式(IV)の化合物を提供することは、非保護4-ヒドロキシインドール(式IIIの化合物)を、非保護4-ヒドロキシインドールと塩化オキサリルとの反応のための温度及び時間にわたって不活性溶媒中の過剰量の塩化オキサリルに添加して式(IV)の化合物を提供することを含む。いくつかの実施形態では、非保護4-ヒドロキシインドール(式IIIの化合物)を過剰量の塩化オキサリルと反応させて式(IV)の化合物を提供することは、非保護4-ヒドロキシインドールと塩化オキサリルとの反応のための温度及び時間にわたって不活性溶媒中で過剰量の塩化オキサリルを非保護4-ヒドロキシインドール(式IIIの化合物)に添加して式(IV)の化合物を提供することを含む。いくつかの実施形態では、不活性溶媒は、ジエチルエーテル、メチルtert-ブチルエーテル(MTBE)及びテトラヒドロフランなどのエーテル、酢酸エチルなどのエステル、トルエンなどの炭化水素溶媒、並びに塩化メチレン及び四塩化炭素などのハロゲン化溶媒、並びにそれらの混合物から選択される。いくつかの実施形態では、不活性溶媒は、ジエチルエーテル、メチルt-ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、トルエン、塩化メチレン、及び四塩化炭素、並びにそれらの混合物から選択される。いくつかの実施形態において、不活性溶媒は、ジエチルエーテルまたはMBTEである。いくつかの実施形態において、不活性溶媒は、MBTEである。いくつかの実施形態では、非保護4-ヒドロキシインドール(式IIIの化合物)を過剰量の塩化オキサリルと反応させて式(IV)の化合物を提供することは、非保護4-ヒドロキシインドール(式IIIの化合物)を、ジエチルエーテルまたはMTBEなどの不活性溶媒中、非保護4-ヒドロキシインドールと塩化オキサリルとの反応のための温度及び時間にわたって過剰量の塩化オキサリルに添加して式(IV)の化合物を提供することを含む。いくつかの実施形態では、不活性溶媒はジエチルエーテルである。いくつかの実施形態では、非保護4-ヒドロキシインドール(式IIIの化合物)を過剰量の塩化オキサリルと反応させて式(IV)の化合物を提供することは、ジエチルエーテル中の非保護4-ヒドロキシインドール(式IIIの化合物)に、非保護4-ヒドロキシインドールと塩化オキサリルとの反応の温度及び時間にわたって過剰量の塩化オキサリルを添加して式(IV)の化合物を提供することを含む。
代表的な非限定的な例として、非保護4-ヒドロキシインドール(式IIIの化合物)をオキサリルクロリドと反応させて式(IV)の化合物を提供するための温度及び時間は、約0℃~約15℃、約0℃~約10℃、約5℃~約10℃、または約0℃~約5℃で、約6時間~約24時間、約10時間~約20時間、約12時間~約20時間、約14時間~約18時間、または約16時間である。いくつかの実施形態では、非保護4-ヒドロキシインドールをオキサリルクロリドと反応させて式(IV)の化合物を提供するための温度及び時間は、約0℃~約10℃、約5℃~約10℃、または約0℃~約5℃で、約12時間~約20時間、約14時間~約18時間、または約16時間である。
したがって、いくつかの実施形態において、本方法は、約0℃~約5℃で約14時間~約18時間または約16時間、不活性溶剤中、非保護4-ヒドロキシインドールを約3~約5モル当量、約3~約4モル当量または約3モル当量のオキサリルクロリドと反応させて、式(IV)の化合物を提供することを含む。いくつかの実施形態において、本方法は、約3~約5モル当量、約3~約4モル当量または約3モル当量のオキサリルクロリドをジエチルエーテル中、約0℃~約5℃で約14時間~約18時間または約16時間反応させて、式(IV)の化合物を提供することを含む。
いくつかの実施形態において、本方法は、約0℃~約10℃または約5℃~約10℃の温度で、約1時間~約4時間または約2時間~約3時間、MTBEなどの不活性溶剤中で、非保護4-ヒドロキシインドールを、例えば、約2~約4モル当量、約2~約3モル当量または約2.2モル当量のオキサリルクロリドと反応させて、式(IV)の化合物を提供することを含む。いくつかの実施形態において、本方法は、約5℃~約10℃または約5℃の温度で、約2~約3モル当量または約2.2モル当量のオキサリルクロリドと、MTBEなどの不活性溶媒中で、約2時間~約3時間、非保護4-ヒドロキシインドールと反応させて、式(IV)の化合物を提供することを含む。
いくつかの実施形態では、ジメチルアミン塩酸塩などのジメチルアミンの酸塩を塩基と反応させることによって、ジメチルアミン(N(CH)がin situで生成される。したがって、いくつかの実施形態では、式(IV)の化合物を、塩基の存在下でジメチルアミンの酸塩と反応させて、式(V)の化合物を提供する。いくつかの実施形態において、式(V)の化合物は、ジメチルアミン塩酸塩(N(CH・HCl)を塩基の存在下で反応させて、式(V)の化合物を提供する。いくつかの実施形態では、塩基は有機アミン塩基である。いくつかの実施形態では、有機アミン塩基は、ピリジン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリフェニルアミン、トリプロピルアミン、トリペンチルアミン、tert-ブチルアミン、シクロヘキシルアミン、シクロオクチルアミン、ペンチルアミンまたはオクチルアミンから選択される。いくつかの実施形態において、有機アミン塩基は、トリエチルアミンまたはピリジンである。いくつかの実施形態では、有機アミン塩基はトリエチルアミンである。いくつかの実施形態では、有機アミン塩基はピリジンである。
いくつかの実施形態では、式(IV)の化合物を、塩基の存在下で過剰量のジメチルアミンの酸塩と反応させて、式(V)の化合物を提供する。いくつかの実施形態では、式(IV)の化合物を、塩基の存在下で、約2~約6モル当量、約3~約5モル当量、約3モル当量、約4モル当量、約5モル当量または約6モル当量のジメチルアミンの酸塩と反応させて、式(V)の化合物を提供する。いくつかの実施形態では、式(IV)の化合物を、塩基の存在下で、約3~約5モル当量、約3モル当量、約4モル当量または約5モル当量のジメチルアミンの酸塩と反応させて、式(V)の化合物を提供する。いくつかの実施形態では、式(IV)の化合物を、塩基の存在下で、約3~約5モル当量、または約5モル当量のジメチルアミンの酸塩と反応させて、式(V)の化合物を提供する。
いくつかの実施形態では、式(IV)の化合物を、塩基の存在下、不活性溶媒中で、過剰量のジメチルアミンの酸塩と、式(IV)の化合物が塩基の存在下でジメチルアミンの酸塩と反応する温度及び時間にわたって反応させて、式(V)の化合物を提供する。いくつかの実施形態では、不活性溶媒は、ジエチルエーテル及びテトラヒドロフランなどのエーテル、酢酸エチルなどのエステル、トルエンなどの炭化水素溶媒、並びに塩化メチレン及び四塩化炭素などのハロゲン化溶媒、並びにそれらの混合物から選択される。いくつかの実施形態では、不活性溶媒はジエチルエーテルである。いくつかの実施形態では、塩基は、ピリジンなどの、室温で液体である有機アミン塩基である。一実施形態では、塩基は、ジメチルアミンの酸塩を中和する量、すなわち酸塩を遊離塩基に変換する量で存在するいくつかの実施形態において、塩基は、式(IV)の化合物及びジメチルアミンの酸塩の両方に対して過剰量で存在する。いくつかの実施形態において、塩基は、溶媒または共溶媒として使用される。
代表的な非限定的な例として、式(V)の化合物を提供するために塩基の存在下で式(IV)の化合物をジメチルアミンの酸塩と反応させるための温度及び時間は、約18℃~約25℃、約20℃~約25℃または室温で、約15分~約2時間、約15分~約1時間、約15分~約45分、約30分~約45分または約30分である。
したがって、いくつかの実施形態では、式(IV)の化合物を、塩基の存在下、室温で、約30分~約45分または約30分間、約3~約5モル当量、または約5モル当量のジメチルアミンの酸塩と反応させて、式(V)の化合物を提供する。
いくつかの実施形態では、式(V)の化合物を提供するために塩基の存在下でジメチルアミンの酸塩と反応させる式(IV)の化合物は、粗製(crude)である若しくは精製されず(not purified)、または、式(V)の化合物は、式(V)の化合物を提供するために塩基の存在下でジメチルアミンの酸塩と反応する前に単離されていない。
いくつかの実施形態では、式(IV)の化合物をジメチルアミンと反応させて、式(V)の化合物を提供する。
いくつかの実施形態では、式(IV)の化合物を、過剰量のジメチルアミンと、塩基の存在下で反応させて、式(V)の化合物を提供する。いくつかの実施形態において、式(IV)の化合物は、塩基の存在下で、約2~約6モル当量、約2~約4モル当量、約2モル当量、約3モル当量、約4モル当量または約5モル当量または約3.2モル当量のジメチルアミンと反応して、式(V)の化合物を提供する。いくつかの実施形態では、式(IV)の化合物を、塩基の存在下で、約3~約4モル当量、または約3.2モル当量のジメチルアミンと反応させて、式(V)の化合物を提供する。
いくつかの実施形態では、式(IV)の化合物を、過剰量のジメチルアミンと、過剰量(例えば、約2~約4モル当量、約2モル当量、約3モル当量、約4モル当量または約5モル当量または約3.2モル当量)の塩基の存在下で、式(IV)の化合物がジメチルアミンと反応する温度及び時間にわたって塩基の存在下で反応させて、式(V)の化合物を提供する。いくつかの実施形態では、塩基は、室温で液体である有機アミン塩基、例えば、トリエチルアミンまたはピリジンである。いくつかの実施形態において、塩基は、溶媒または溶媒として使用される。いくつかの実施形態では、塩基はトリエチルアミン(TEA)である。いくつかの実施形態では、塩基はTEAであり、該TEAは溶媒または共溶媒として使用される。いくつかの実施形態において、ジメチルアミン及び塩基は、等量で使用される。
したがって、いくつかの実施形態では、式(IV)の化合物を、過剰量(例えば、3~約4モル当量、または約3.2モル当量)のジメチルアミンと、過剰量(例えば、約3~約4モル当量、または約3.2モル当量)のトリエチルアミンの存在下で反応させて、式(V)の化合物を提供する。
いくつかの実施形態では、ジメチルアミンを塩基と混合して塩基中にジメチルアミンがある溶液を形成し、該溶液を約0℃~約15℃、約0℃~約10℃または約5℃~約10℃または約5℃の温度で式(IV)の化合物に添加して反応混合物を形成し、次いで反応混合物を約18℃~約25℃、約20℃~約25℃または室温に温め、反応混合物を約2時間~約5時間、約3時間~約5時間、約3時間~約4時間、または約3時間撹拌することにより、式(IV)の化合物を、過剰量の塩基、例えばTEAの存在下で、過剰量のジメチルアミンと反応させて、式(V)の化合物を提供する。したがって、いくつかの実施形態では、式(IV)の化合物を、過剰量の塩基、例えばTEAの存在下で、約0℃~約10℃または約5℃~約10℃の温度で過剰量のジメチルアミンと反応させて、反応混合物を形成し、反応混合物を室温まで温め、反応混合物を約3時間~約5時間攪拌して、式(V)の化合物を提供する。
いくつかの実施形態では、ジメチルアミンと反応させて式(V)の化合物を提供する式(IV)の化合物は、粗製であるかまたは精製されておらず、または、式(IV)の化合物は、式(V)の化合物を提供するためにジメチルアミンと反応させる前に単離されていない。
いくつかの実施形態において、式(V)の化合物からシロシン(II)を提供する還元剤は、式(V)の化合物のケトン基をアルカンに還元する任意の適切な還元剤である。
いくつかの実施形態では、式(V)の化合物を還元剤で還元してシロシンを提供するための当技術分野で公知の任意の適切な条件を用いて、式(V)の化合物を還元剤で還元し、シロシン(式IIの化合物)を提供する。
いくつかの実施形態では、過剰量(例えば、約1.5~約3モル当量または約1.5~約2モル当量または約2モル当量)の還元剤を用いて、不活性溶媒中で、式(V)の化合物を還元剤で還元してシロシンを提供する温度及び時間で、式(V)の化合物が還元される。いくつかの実施形態では、不活性溶媒は、ジエチルエーテル及びテトラヒドロフランなどのエーテル、トルエンなどの炭化水素溶媒、及びそれらの混合物から選択される。いくつかの実施形態では、不活性溶媒がジエチルエーテル及びトルエンから選択される。いくつかの実施形態では、不活性溶媒はテトラヒドロフランである。温度及び反応時間の代表的な非限定的な例として、沸点(還流)まで加熱された反応は、約1時間~約6時間、約2時間~約6時間、約3時間~約5時間、約4時間~約5時間、または約4時間、沸点に維持される。
いくつかの実施形態において、式(V)の化合物を還元するための適切な還元剤は、金属水素化物である。いくつかの実施形態では、金属水素化物は、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素ナトリウム及び水素化アルミニウムリチウムから選択される。いくつかの実施形態では、金属水素化物は水素化アルミニウムリチウムである。いくつかの実施形態において、水素化アルミニウムリチウムは、不活性溶媒中の溶液(a solution in an inert solvent)として提供される。したがって、いくつかの実施形態において、水素化アルミニウムリチウムは、水素化アルミニウムリチウム溶液である。いくつかの実施形態において、水素化アルミニウムリチウムは、THF中の水素化アルミニウムリチウム溶液(a lithium aluminum hydride solution in THF)である。いくつかの実施形態では、水素化アルミニウムリチウムはTHF中の1.0M水素化アルミニウムリチウム溶液である。
したがって、いくつかの実施形態では、式(V)の化合物を、還流温度でTHF中、約1.5~約2モル当量、または約2モル当量の水素化アルミニウムリチウムと、約3時間~約5時間、約4時間~約5時間、または約4時間反応させて、シロシン(II)を提供する。
いくつかの実施形態では、シロシンを、改変されたAtherton-Todd反応条件下で塩基の存在下でジ-tert-ブチルホスファイトと反応させて、式(VI)の化合物を提供する。いくつかの実施形態では、シロシンを、わずかに過剰な量(例えば、約1.1~約1.5モル当量)のジ-tert-ブチルホスファイトと、不活性溶媒中の過剰な塩基(例えば、約1.5~約2.5モル当量または約2モル当量)の存在下、不活性溶媒中で、シロシンがジ-tert-ブチルホスファイトと反応する温度及び時間にわたって反応させて、式(VI)の化合物を提供する。いくつかの実施形態では、不活性溶媒は、ジエチルエーテル及びテトラヒドロフランなどのエーテル、酢酸エチルなどのエステル、トルエンなどの炭化水素溶媒、塩化メチレン及び四塩化炭素などのハロゲン化溶媒、及びそれらの混合物から選択される。いくつかの実施形態では、不活性溶媒は、テトラヒドロフラン及び四塩化炭素及びそれらの混合物から選択される。いくつかの実施形態において、不活性溶媒は、テトラヒドロフランと四塩化炭素との混合物である。いくつかの実施形態では、不活性溶媒は、テトラヒドロフランと四塩化炭素との1:1v/v混合物である。いくつかの実施形態では、塩基は弱塩基である。いくつかの実施形態では、塩基は、(1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン)(DABCO);1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU);4-ジメチルアミノピリジン(DMAP);トリエチルアミン及びジエチルアミンなどのアルキルアミン;炭酸ナトリウム及び炭酸カリウムなどの炭酸塩;重炭酸ナトリウム及び重炭酸カリウムなどの重炭酸塩;及び水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムなどの水酸化物、並びにそれらの組み合わせから選択される。いくつかの実施形態では、塩基は水酸化ナトリウムである。いくつかの実施形態において、塩基は、DMAPと組み合わせた水酸化ナトリウムである。いくつかの実施形態において、温度及び反応時間の代表的な非限定的な例として、シロシンは約18℃~約50℃、約20℃~約5℃または室温で、約12時間~約20時間、約14時間~約18時間または約16時間、ジ-tert-ブチルホスファイトと反応させる。
したがって、いくつかの実施形態では、過剰量(例えば、約2モル当量)の水酸化ナトリウムまたは約0.1モル当量の4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)と過剰量(例えば、約2モル当量)の水酸化ナトリウムと組み合わせてなる組み合わせの存在下で、テトラヒドロフランと四塩化炭素との混合物中で、室温で、約12時間~約20時間、約14時間~約18時間または約16時間、シロシンを、わずかに過剰な量(例えば、約1.1~約1.5モル当量)のジ-tert-ブチルホスファイトと反応させて、式VIの化合物を得る。
いくつかの実施形態では、シロシンを、クロロジ-tert-ブチルホスファイトと反応させて、式(VI)の化合物を提供する。いくつかの実施形態において、クロロジ-tert-ブチルホスファイトは、ジtert-ブチルホスファイトをN-クロロスクシンイミド(NCS)と反応させてクロロジ-tert-ブチルホスファイトを提供することによって、in situで調製される。したがって、いくつかの実施形態では、前記プロセスは、シロシンをジ-tert-ブチルホスファイト及びN-クロロスクシンイミド(NCS)と反応させて、式(VI)の化合物を提供することを含む。したがって、いくつかの実施形態では、シロシンをジ-tert-ブチルホスファイト及びN-クロロスクシンイミドと反応させて、式(VI)の化合物を提供するステップは:
ジ-tert-ブチルホスファイトをN-クロロスクシンイミド(NCS)と反応させて、クロロジ-tert-ブチルホスファイトを提供すること;及び
シロシンをクロロジ-tert-ブチルホスファイトと反応させて、式(VI)の化合物を提供すること、
を含む。
いくつかの実施形態では、ジ-tert-ブチルホスファイトを、THFなどの不活性溶媒中で、わずかに過剰な(例えば、1.1~約2モル当量、または約1.2モル当量の)NCSと、クロロジ-tert-ブチルホスファイトを提供するための温度及び時間で反応させる。温度及び反応時間の代表的な非限定的な例として、いくつかの実施形態では、tert-ブチルホスファイトを、わずかに過量(例えば、約1.1~約2モル当量または約1.2モル当量)のNCSと、約0℃~約15℃、約5℃~約10℃または約10℃で、約1時間~約4時間、約2時間~約4時間、約2時間~約3時間または約2時間反応させる。
いくつかの実施形態では、シロシンをクロロジ-tert-ブチルホスファイトと反応させて式(VI)の化合物を提供することは、約0℃~約15 ℃または約5℃~約10 ℃または5℃で、約2時間~約8時間、約2時間~約6時間、約3時間~約6時間、わずかに過剰(例えば、約1.1~約2モル当量または約1.1~約1.5モル当量)のクロロジ-tert-ブチルホスファイトをシロシンに組み合わせて、式(VI)の化合物を提供することを含む。
いくつかの実施形態において、シロシビン(I)は、式(VI)の化合物を加水分解してシロシビンを提供するための当技術分野で公知の任意の適切な条件を使用して調製される。
いくつかの実施形態において、式(VI)の化合物は、酸を使用して加水分解されて、シロシビンを提供する。したがって、いくつかの実施形態では、前記プロセスは、式(VI)の化合物を酸で加水分解してシロシビンを提供することを含む。いくつかの実施形態では、酸は塩酸である。いくつかの実施形態において、式(VI)の化合物は、シロシビンを提供するための温度及び時間で、適切な溶媒中で過剰量の酸(例えば、約1.1~約1.5モル当量)と反応させられる。代表的な非限定的な例として、式(VI)の化合物を酸で加水分解してシロシビンを提供するための温度及び時間は、約18℃~約25 ℃、約20℃~約25 ℃または室温で、約1時間~約4時間、約1時間~約3時間、約1.5時間~約2.5時間、または約2時間である。
したがって、いくつかの実施形態において、式(VI)の化合物は、アセトン中、室温で、約1時間~約3時間または約2時間塩酸で加水分解されて、シロシビンを提供する。
いくつかの実施形態において、加水分解されてシロシビンを提供する式(VI)の化合物は、粗製であるかまたは精製されておらず、または、式(IV)の化合物は、シロシビンを提供するために加水分解する前に単離されていない。
いくつかの実施形態では、式(VI)の化合物が、適切な溶媒中において、ある温度及び時間で酸で加水分解されて、シロシビンを含む反応混合物を形成し、反応混合物からシロシビンが単離される。したがって、いくつかの実施形態では、前記プロセスは、式(VI)の化合物を加水分解して、シロシビンを含む反応混合物を提供すること、及びシロシビンを単離することを含む。
いくつかの実施形態では、シロシビンは、反応混合物からシロシビンなどの生成物を単離するための当技術分野で公知の任意の適切な条件を使用して、反応混合物から単離される。
いくつかの実施形態では、シロシビンを単離するステップは:
反応混合物のpHをpH6~7に調整すること;
適切な第1の溶媒を用いて反応混合物から不純物を抽出すること:
反応混合物から適切な第2の溶媒を用いてシロシビンを抽出して、シロシビン溶液を提供すること;
シロシビン溶液を濃縮し、シロシビン溶液からシロシビンを結晶化させること:及び
粗製シロシビン溶液(crude psilocybin solution)からシロシビンを分離して、シロシビンを提供すること
を含む。
いくつかの実施形態において、反応混合物のpHは、塩基を使用して調整される。
いくつかの実施形態では、適切な第1の溶媒は、イソプロピルアルコール、2-メチルテトラヒドロフランまたは水、それらの混合物である。
いくつかの実施形態では、適切な第2の溶媒は、水またはヘプタンである。
いくつかの実施形態では、第1の溶媒はイソプロピルアルコールであり、第2の溶媒は水である。いくつかの実施形態では、第1の溶媒は2-メチルテトラヒドロフランであり、第2の溶媒はヘプタンである。いくつかの実施形態では、第1の溶媒は水であり、第2の溶媒はヘプタンである。
いくつかの実施形態では、シロシビン溶液を濃縮するステップは、蒸留または回転蒸発による。
いくつかの実施形態では、シロシビン溶液からのシロシビンの分離は、濾過によるものである。いくつかの実施形態では、シロシビン溶液からシロシビンを分離することは、濾過助剤を使用する濾過によるものである。いくつかの実施形態では、濾過助剤は、珪藻土(DE)、パーライト、セルロース、及びそれらの組み合わせである。
いくつかの実施形態では、前記プロセスは、シロシビンを精製することをさらに含む。いくつかの実施形態では、シロシビンは、当技術分野で公知の、シロシビンなどの生成物を精製するための任意の適切な条件を用いて、精製される。
いくつかの実施形態では、シロシビンを精製することは、
シロシビンを水に溶解して、シロシビン水溶液を提供すること;
シロシビン水溶液を中和すること;
適切な溶媒を用いてシロシビン水溶液からシロシビンを抽出して、純粋なシロシビン溶液を形成すること;
純粋なシロシビン溶液を濃縮し、純粋なシロシビン溶液から純粋なシロシビンを結晶化すること:及び
純粋なシロシビン溶液から純粋なシロシビンを分離して、純粋なシロシビンを提供すること
を含む。
いくつかの実施形態では、水性シロシビン溶液の中和が酸によるものである。
いくつかの実施形態では、純粋なシロシビン溶液を濃縮するステップが蒸留または回転蒸発による。
いくつかの実施形態では、純粋なシロシビン溶液から純粋なシロシビンを分離することが濾過によるものである。
いくつかの実施形態では、本出願のプロセスは、所望の多形形態(polymorphic form)のシロシンを含む中間体を提供する。
いくつかの実施形態では、純粋なシロシビンを結晶化するステップは、所望の多形形態のシロシビンを提供する。
いくつかの実施形態では、純粋なシロシビンを結晶化することは、ヒト対象への投与のための、一定の多形形態の(of consistent polymorphic form)純粋なシロシビンを提供する。
いくつかの実施形態において、本方法は、シロシンを含むがこれに限られない中間体、シロシビンの種々の多形形態、並びにそのプロドラッグ及び類似体、並びに医薬における使用のためのそれらの製剤を提供する。
本出願のプロセスの例示的な実施形態において、本出願は、シロシビン(式Iの化合物)を調製するためのプロセスを含む。
前記プロセスは:
非保護4-ヒドロキシインドール(式IIIの化合物)
を過剰量の塩化オキサリルと反応させて、式(IV)の化合物を提供すること;
式(IV)の化合物を、塩基の存在下で、過剰量のジメチルアミン塩酸塩(HN(CH・HCl)と反応させて、式(V)の化合物を提供すること;
式(V)の化合物を還元試薬で還元して、シロシン(式IIの化合物)を提供すること;
シロシンをジ-tert-ブチルホスファイト
と塩基の存在下で反応させて、式VIの化合物を提供すること;
及び
式VIの化合物を加水分解して、シロシビン(式Iの化合物)を提供すること
を含む。
いくつかの実施形態では、非保護4-ヒドロキシインドール(式IIIの化合物)をジエチルエーテル中で塩化オキサリルと反応させて、式(IV)の化合物を提供する。
いくつかの実施形態では、非保護4-ヒドロキシインドール(式IIIの化合物)を、メチルtert-ブチルエーテル(MTBE)中で塩化オキサリルと反応させて、式(IV)の化合物を提供する。
いくつかの実施形態では、式IVの化合物は、塩基の存在下で過剰量のジメチルアミン塩酸塩と反応させる前に単離されていない。
いくつかの実施形態では、式(IV)の化合物を、ピリジンの存在下で、過剰量のジメチルアミン塩酸塩(HN(CH・HCl)と反応させて、式VIの化合物を提供する。
いくつかの実施形態において、シロシンは、テトラヒドロフランと四塩化炭素との混合物中で、水酸化ナトリウムの存在下で、または4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)と組み合わせた水酸化ナトリウムの組み合わせの存在下で、ジ-tert-ブチルホスファイトと反応して、式(VI)の化合物を提供する。
いくつかの実施形態において、式VIの化合物は、シロシビンを提供するために酸で加水分解する前に単離されていない。
本出願のプロセスの例示的な実施形態において、本出願は、シロシビン(式Iの化合物)を調製するためのプロセスを含む。
前記プロセスは:
非保護4-ヒドロキシインドール(式IIIの化合物)
を過剰量の塩化オキサリルと反応させて、式(IV)の化合物を提供すること;
前記式(IV)の化合物を、過剰量のジメチルアミンと反応させて、式(V)の化合物を提供すること;
前記式(V)の化合物を還元試薬で還元して、シロシン(式IIの化合物)を提供すること;
シロシンをクロロジ-tert-ブチルホスファイト
と反応させて、式VIの化合物を提供すること;
及び
前記式VIの化合物を加水分解して、シロシビン(式Iの化合物)を提供すること
を含む。
いくつかの実施形態において、クロロジ-tert-ブチルホスファイトは、ジ-tert-ブチルホスファイトをN-クロロスクシンイミド(NCS)と反応させて、クロロジ-tert-ブチルホスファイトを提供することによって、in situで調製される。したがって、いくつかの実施形態では、前記プロセスは、シロシンをジ-tert-ブチルホスファイト及びN-クロロスクシンイミド(NCS)と反応させて、式(VI)の化合物を提供することを含む。したがって、本出願のプロセスの例示的な実施形態において、本出願は、シロシビン(式Iの化合物)を調製するためのプロセスを含む。
前記プロセスは:
非保護4-ヒドロキシインドール(式IIIの化合物)
を過剰量の塩化オキサリルと反応させて、式(IV)の化合物を提供すること;
前記式(IV)の化合物を、過剰量のジメチルアミンと反応させて、式(V)の化合物を提供すること;
前記式(V)の化合物を還元試薬で還元して、シロシン(式IIの化合物)を提供すること;
シロシンをジ-tert-ブチルホスファイト
及びN-クロロスクシンイミド(NCS)と反応させて、式VIの化合物を提供すること;
及び
前記式VIの化合物を加水分解して、シロシビン(式Iの化合物)を提供すること
を含む。
いくつかの実施形態では、非保護4-ヒドロキシインドール(式IIIの化合物)を、メチルtert-ブチルエーテル(MTBE)中で塩化オキサリルと反応させて、式(IV)の化合物を提供する。
いくつかの実施形態において、式IVの化合物は、過剰量のジメチルアミンと反応させる前に単離されていない。
いくつかの実施形態では、式(IV)の化合物を、塩基の存在下で過剰量のジメチルアミンと反応させて、式VIの化合物を得る。いくつかの実施形態において、式(IV)の化合物を、トリエチルアミンの存在下で過剰量のジメチルアミンと反応させて、式VIの化合物を得る。いくつかの実施形態では、トリエチルアミンは溶媒である。
いくつかの実施形態において、式VIの化合物は、シロシビンを提供するために酸で加水分解する前に単離されていない。
本出願のプロセスの例示的な実施形態では、本出願は、式(I)のシロシビン及びその活性代謝物である式(II)シロシンのそれぞれを調製するためのプロセスを含む。
前記プロセスは:
式IIIの非保護4-ヒドロキシインドール
を約3当量の塩化オキサリルと約0℃で約16時間反応させて、式(IV)の化合物を提供すること;
式(IV)の粗製化合物(crude compound)を、ジエチルエーテル中で、ピリジンの存在下で、過剰量のジメチルアミン塩酸塩と室温で約30分間反応させて、式(V)の化合物を提供すること;
テトラヒドロフラン(THF)中の1.0M純粋シロシビン溶液中で、還流温度で約4時間、過剰の水素化アルミニウムリチウムを用いて、式(V)の化合物を還元して、式(II)のシロシンである化合物を提供すること;
CCl対THFの比率が1:1(v/v)である四塩化炭素(CCl)及びテトラヒドロフラン(THF)中で、弱塩基の存在下、約室温で約6時間、シロシンを約1.1当量のジ-tert-ブチルホスファイトと反応させて、式(VI)のジ-tert-ブチル化合物を提供すること:
アセトン中の約6Mの塩化水素で、式(VI)の化合物を加水分解して、反応混合物を形成し、反応混合物を室温で約2時間撹拌すること;
反応混合物を塩基でpH6~7に中和すること;
反応混合物から遊離した不純物を、第1の適切な有機溶媒を用いて抽出すること;
反応混合物から粗製シロシビンを、第2の適切な有機溶媒を用いて抽出して、シロシビン溶液を形成すること;
シロシビン溶液を濃縮して、粗製シロシビンを結晶化すること;
濾過によって粗製シロシビンを単離すること;
粗製シロシビンを水に溶解して、シロシビン水溶液を形成し、シロシビン水溶液を弱酸で中和すること;
シロシビン水溶液から適切な溶媒を用いて純粋なシロシビン塩基を抽出して、純粋なシロシビン溶液を形成すること;
純粋なシロシビン溶液を濃縮して、純粋なシロシビン溶液から純粋なシロシビンを結晶化させること;及び
純粋なシロシビン溶液から濾過によって純粋なシロシビンを単離すること、を含む。
いくつかの実施形態では、本出願は、式(I)のシロシビン及びその活性代謝物である式(II)のシロシンのそれぞれを調製するための新規なプロセス合成経路も含む。
前記プロセスは:
(i)式(III)の非保護4-ヒドロキシインドールを反応させること;
(ii)約0℃の温度で約16時間、非保護4-ヒドロキシインドールの有機溶媒溶液に約3当量の塩化オキサリルを添加して、式(IV)の3-(2-クロロ-2-オキソアセチル)-1H-インドール-4-イル2-クロロ-2-オキソアセテートを得ること;
(iii)室温で約30分間、式(IV)の粗製3-(2-クロロ-2-オキソアセチル)-1H-インドール-4-イル2-クロロ-2-オキソアセテートのジエチル-エーテル/ピリジン溶液に、過剰のジメチルアミン塩酸塩を添加して、式Vの2-(4-ヒドロキシ-1H-インドール-3-イル)-N,N-ジメチル-2-オキソアセトアミドのみを提供する(provide exclusively)こと;
(iv)THF還流下で約4時間、式Vの2-(4-ヒドロキシ-1H-インドール-3-イル)-N,N-ジメチル-2-オキソアセトアミドに、過剰のテトラヒドロフラン(THF)中の1.0M水素化アルミニウムリチウム溶液を添加して、式IIの3-(2-(ジメチルアミノ)エチル)-1H-インドール-4-オール(シロシン)を提供すること、
室温で約6時間、CCl対THFの比率が1:1(v/v)である四塩化炭素(CCl)及びテトラヒドロフラン(THF)の溶液中の弱塩基に、1.1当量のジ-tert-ブチルホスファイトを添加して、粗製の式(VI)のジ-tert-ブチル(3-(2-(ジメチルアミノ)エチル)-1H-インドール-4-イル)ホスフェートを得ること;
(vii)アセトン中の約6Mの塩化水素を、粗製ジ-tert-ブチル(3-(2-(ジメチルアミノ)エチル)-1H-インドール-4-イル)ホスフェートに添加すること;
(viii)室温で反応塊(reaction mass)を撹拌し、反応塊を室温で2時間維持すること;
(ix)塩基でpH6~7に中和すること;
(x)有機溶媒中への抽出によって、反応混合物から遊離した不純物を除去すること;
(xi)粗製シロシビン塩基(crude psilocybin base)を、有機溶媒中へ抽出すること;
(xii)溶媒を蒸留し、有機溶媒中の粗製シロシビン溶液を形成すること;
(xiii)濾過によって粗製シロシビン溶液を単離すること;
(xiv)粗製シロシビンを水媒体中に溶解し、弱酸により中和すること;
(xv)純粋なシロシビン塩基(pure psilocybin base)を溶媒へ抽出すること;
(xvi)溶媒を部分蒸留(partial distillation)し、同じ溶媒からシロシビン塩基を結晶化すること;及び
(xvii)濾過によって純粋なシロシビン塩基を単離すること、を含む。
いくつかの実施形態では、ステップ(i)の反応温度は、0~100℃、より好ましくは0~5℃である。
いくつかの実施形態において、ステップ(i)における有機溶媒はジエチルエーテルである。いくつかの実施形態において、ステップ(i)における有機溶媒はメチルtert-ブチルエーテルである。
いくつかの実施形態では、ステップ(ii)で使用される過剰のジメチルアミン塩酸塩は、3当量、好ましくは5当量である。
いくつかの実施形態では、ステップ(i)、(ii)、または(iii)で使用される有機溶媒は、テトラドロフランなどの不活性溶媒、トルエンなどの炭化水素溶媒から選択され、好ましくはトルエンである。
いくつかの実施形態では、ステップ(iii)で使用される過剰のリチウムアルミニウムは2当量である。
いくつかの実施形態では、ステップ(iv)で使用される弱塩基は、(1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン)(DABCO)、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)、またはトリエチルアミン及びジエチルアミンなどのアルキルアミン、炭酸塩または重炭酸塩から選択され、好ましくは炭酸ナトリウム若しくは炭酸カリウムまたは水酸化ナトリウム若しくは水酸化カリウムであり、好ましくは水酸化ナトリウムであり、好ましくは水酸化ナトリウムである。
いくつかの実施形態では、ステップ(iv)で加水分解に使用される有機溶媒はケトンから選択され、好ましくはアセトンである。
いくつかの実施形態では、ステップ(iv)で精製に使用される溶媒は、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール、アセトンなどのケトン、アセトニトリルなどのメチルエチルニトリルから選択され、水と組み合わせられているかまたは水と組み合わせられていない。
いくつかの実施形態では、精製は、所望の多形形態のシロシビンを結晶化する方法を提供する。
いくつかの実施形態では、結晶化は、ヒト対象への投与のための、一定の多形形態の(of consistent polymorphic form)、化学的に純粋なシロシビンを提供する。
いくつかの実施形態では、4-ヒドロキシインドールから出発する本出願の方法によって得られる粗製シロシビン(例えば、精製ステップの前のシロシビン)の純度は約95%超であり、ここで、任意の不純物1種類は約1.5%未満である。いくつかの実施形態では、本出願のプロセスによって得られる粗製シロシビン(例えば、精製ステップの前のシロシビン)の純度は約90%超、約91%超、約92%超、約93%超、約94%超、約95%超、約96%超、約97%超、または約98%超であり、ここで、任意の不純物1種類は約1.5%未満である。
いくつかの実施形態では、本方法によって得られる粗製シロシビンは、約5%未満のシロシン、約4%未満のシロシン、約3%未満のシロシン、約2%未満のシロシン、または約1%未満のシロシンを含む。
いくつかの実施形態において、4-ヒドロキシインドールから出発する本出願の方法によって得られる純粋なシロシビンの純度は約98.0%超であり、ここで、任意の不純物1種類は約0.2%未満、または約0.15%であり、シロシビンの純度は約98.0%超、または約99%超であり、総不純物は、約0.15%未満、または約0.10%である。
いくつかの実施形態において、本方法によって得られる純粋なシロシビンは、約1%未満のシロシンを含む。
いくつかの実施形態では、本出願はまた、シロシビン、シロシン、並びに式(III)、(IV)、(V)及び(VI)の中間化合物の分析及びアッセイのためのHPLC方法を含む。いくつかの実施形態では、本出願は、以下を含む、シロシビンをアッセイするためのHPLC方法を含む:
シロシビン試料を、アセトニトリル:水(1:1)中の0.1%HPO希釈液に溶解すること;
試料溶液(約10μl)を100mm×4mm、3μm RP-18 HPLCカラムに注入すること;
溶出液としてアセトニトリル(28vol%)とアンモニウムフォーマットバッファー(72vol%、0.005M、pH-4)の混合物を用いてカラムから試料を1ml/分で溶出すること;及び
UV検出器を用いて関連試料のシロシビン含量を波長245nmで測定すること。
当業者は、上記のスキームにおける中間体及び最終化合物に対する置換基のさらなる操作が公知の化学を用いて実施され、本出願の代替化合物を提供することができることを理解するであろう。
シロシビン及びシロシンは、医薬的に許容される塩の形成で使用することができる。当業者は、本発明のシロシビン及びシロシンが塩を形成し得る例を認識するであろう。そのようなシロシビン及びシロシンの例は、可能な塩を参照して本明細書に記載されている。このような参照は、例示のためだけのものである。対象を処置するために、医薬的に許容される塩を、シロシビン及びシロシンと共に使用することができる。しかしながら、非医薬的塩は、シロシビン及びシロシン中間体の調製に有用であり得る。「医薬的に許容される塩」という用語は、親化合物と同様の有効性を有し、生物学的にまたは他の点で望ましくないものではない(例えば、そのレシピエントに対して毒性でも有害でもない)塩(双性イオンなどの内部塩を含む)を指す。したがって、本発明の実施形態は、シロシビン及び/またはシロシンの医薬的に許容される塩を提供する。本明細書で使用される「塩」という用語は、無機酸及び/または有機酸で形成された酸性塩、並びに無機塩基及び/または有機塩基で形成された塩基性塩のうちいずれかを意味する。
シロシビン及び/またはシロシンの塩は当業者に公知の方法によって、例えば、塩が沈殿するような媒体中または水性媒体中で、シロシビン及び/またはシロシンを、ある量、例えば等量の、酸または塩基と反応させ、続いて凍結乾燥することによって、形成され得る。
ある実施形態では、医薬的に許容される塩は、酸付加塩または塩基付加塩である。適切な塩の選択は当業者によってなされるであろう(例えば、S. M. Berge, et aI., "Pharmaceutical Salts," J. Pharm. Sci. 1977, 66, 1-19を参照されたい)。
対象の処置に適した、または対象の処置に適合する、酸付加塩は、任意の塩基性化合物の、任意の非毒性の有機酸付加塩または無機酸付加塩である。化合物(I)及び(II)の両方がアミン基を有するので、酸付加塩が形成されうる。適切な塩を形成する例示的な無機酸としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸及びリン酸、並びにオルトリン酸一水素ナトリウム及び硫酸水素カリウムなどの酸性金属塩が挙げられる。適切な塩を形成する例示的な有機酸としては、モノ-、ジ-及びトリ-カルボン酸が挙げられる。そのような有機酸の例は例えば、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、乳酸、ピルビン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、フェニル酢酸、ケイ皮酸、マンデル酸、サリチル酸、2-フェノキシ安息香酸、p-トルエンスルホン酸、及び他のスルホン酸、例えばメタンスルホン酸、エタンスルホン酸及び2-ヒドロキシエタンスルホン酸である。ある実施形態では、一酸塩または二酸塩が形成され、このような塩は水和形態、溶媒和形態または実質的に無水物の形態で存在する。一般に、酸付加塩は水及び様々な親水性有機溶媒により可溶性であり、一般に、それらの遊離塩基形態と比較してより高い融点を示す。適切な塩の選択基準は、当業者に知られている。他の医薬的に許容されない塩、例えば、限定されないが、シュウ酸塩を、例えば、実験室での使用のための本出願の化合物の単離において、またはその後の医薬的に許容される酸付加塩への変換のために、使用することができる。例示的な酸付加塩としては、酢酸塩、アスコルビン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、カンファー酸塩、カンファースルホン酸塩、フマル酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩(「メシレート」)、ナフタレンスルホン酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、リン酸塩、プロピオン酸塩、サリチル酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トルエンスルホン酸塩(トシレートとしても知られる)が挙げられる。適切な塩としては、例えば、化合物の溶液を、塩酸、硫酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、または安息香酸などの医薬的に許容される酸の溶液と混合することによって形成され得る酸付加塩が挙げられる。さらに、塩基性医薬化合物からの薬学的に有用な塩の形成に一般に適していると考えられる酸は例えば、P. Stahl et al, Camille G. (eds.)及びHandbook of Pharmaceutical Salts. Properties, Selection and Use. (2002) Zurich:Wiley VCH;S. Berge et al, Journal of Pharmaceutical Sciences 1977 66(1) 1-19;P. Gould, International J. of Pharmaceutics (1986) 33 201-217;Anderson et al, The Practice of Medicinal Chemistry (1996), Academic Press, New York;及びThe Orange Book (Food & Drug Administration, Washington, D.C. on their website)において議論されている。これらの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
全てのそのような酸塩は、本発明の範囲内の医薬的に許容される塩であることが意図され、全ての酸及び塩基塩は本発明の目的のために、対応する化合物の遊離形態と等価であると考えられる。さらに、本発明のシロシビン及びシロシンは酸性部分及び塩基性部分の両方を含有し、したがって、本発明のシロシビンは同じシロシビン内にアニオン中心及びカチオン中心の両方を有し、正味の中性電荷を有する双性イオン形態で存在し得ることが理解される。このような双性イオンは、本発明に含まれる。
溶媒和物の形成は、化合物及び溶媒和物に応じて変化する。一般に、溶媒和物は化合物を適切な溶媒に溶解し、冷却または逆溶媒を用いて溶媒和物を単離することによって形成される。溶媒和物は、典型的には周囲条件下で乾燥または共沸される。特定の溶媒和物を形成するための適切な条件の選択は、当業者によって行うことができる。適切な溶媒の例は、エタノール、水などである。水が溶媒である場合、分子は「水和物」と呼ばれる。本出願の化合物の溶媒和物の形成は、化合物及び溶媒和物に応じて変化する。一般に、溶媒和物は化合物を適切な溶媒に溶解し、冷却または逆溶媒を用いて溶媒和物を単離することによって形成される。溶媒和物は、典型的には周囲条件下で乾燥または共沸される。特定の溶媒和物を形成するための適切な条件の選択は、当業者によって行うことができる。
同位体濃縮された本出願の化合物並びにその医薬的に許容される塩、溶媒和物及び/またはプロドラッグは、当業者に周知の従来の技術によって、または本明細書のスキーム及び実施例に記載されているものと類似のプロセスによって、適切な同位体濃縮された試薬及び/または中間体を使用して、過度の実験なしに調製することができる。
本明細書に記載されるプロセスを通して、適切な場合、適切な保護基が、当業者によって容易に理解される方法で、様々な反応物及び中間体に添加され、その後、それらから除去されることが理解されるべきである。そのような保護基を使用するための従来の手順並びに適切な保護基の例は例えば、“Protective Groups in Organic Synthesis”(T.W. Green, P.G.M. Wuts, Wiley-Interscience, New York, (1999))に記載されている。最終生成物に向かう合成経路上の任意の中間体または最終生成物に対して、化学的操作による基または置換基の別の基または置換基への変換を行うことができ、この場合、変換の可能なタイプは、その段階で分子によって運ばれる他の官能基の、変換に使用される条件または試薬に対する固有の不適合性によってのみ制限されることも理解されたい。適切な変換及び合成工程を適切な順序で実施することによって、そのような固有の不適合性及びそれらを回避する方法は、当業者には容易に理解されるであろう。変換の例が本明細書に示されており、記載される変換は、変換が例示される一般的な基または置換基のみに限定されないことが理解されるべきである。他の適切な変換の参考文献及び説明は、“Comprehensive Organic Transformations - A Guide to Functional Group Preparations”(R.C. Larock, VHC Publishers, Inc. (1989))に記載されている。他の適切な反応の参考文献及び説明は有機化学の教科書、例えば、“Advanced Organic Chemistry”(March, 4th ed. McGraw Hill (1992))または“Organic Synthesis”(Smith, McGraw Hill, (1994)に記載されている。中間体及び最終生成物の精製のための技術としては、例えば、カラムまたは回転プレート上でのストレート及び逆相クロマトグラフィー(straight and reversed phase chromatography)、再結晶、蒸留及び液-液または固-液抽出が挙げられ、これらは当業者には容易に理解されるであろう。
III.化合物及び組成物
本出願は、シロシビン及びシロシンの調製方法を提供する。したがって、本出願は、上記の本出願のプロセスによって調製されたシロシビンを含む。本出願はまた、上記の本出願のプロセスによって調製されたシロシンを含む。
本出願はまた、式IVの化合物を含む。
本出願はまた、式VIの化合物を含む。
いくつかの実施形態において、シロシビン、シロシン及びそれらの中間体、またはそれらの医薬的に許容される塩は、以下に例示される通りである。
シロシビン及びシロシンは、上記のような医薬的に許容される塩の形成で使用することができる。
及び/またはシロシンは、様々な多形形態でさらに存在してもよく、任意の多形またはその混合物が本出願の範囲内に含まれることが企図される。
シロシビン及び/またはシロシンは、さらに放射性標識されてもよく、したがって、シロシビン及び/またはシロシンの放射性標識されたバージョンのすべてが本出願の範囲内に含まれる。シロシビン及び/またはシロシンはまた、1つまたは複数の放射性原子がそれらの構造内に組み込まれているものを含む。
本出願のシロシビン及び/またはシロシンは、1つまたは複数のキャリアを使用して、従来の方法で組成物へと適切に製剤化される。本出願のシロシビン及びシロシンは、インビボでの投与に適した生物学的に適合する形態で対象に投与するための医薬組成物に適切に製剤化される。本出願の実施形態では、医薬組成物がとりわけCNS障害の中でも、大うつ病性障害、不安及び嗜癖障害などの精神衛生障害などの疾患、障害または状態のいずれかの処置に使用される。
以下の非限定的な実施例は、本出願の例示である。
一般的な方法
本明細書で使用される全ての出発物質は、市販されているか、または文献に以前に記載されている。H-NMRスペクトル及び13C-NMRスペクトルは、H-NMRについてそれぞれ300、400及び400MHzで動作するBruker 300、Bruker DPX400またはVarian +400分光計のいずれかで、別段の指示がない限り、溶媒として重水素化クロロホルム中で、TMSまたは内部基準としての残留溶媒シグナルを用いて、記録した。全ての報告された化学シフトはデルタスケールでppmであり、記録に現れるようなシグナルの細かい分裂は一般に、例えば、s:一重線、br s:ブロード一重線、d:二重線、t:三重線、q:四重線、m:多重線として示される。別段の指示がない限り、以下の表において、H-NMRデータは、溶剤としてCDClを使用して、400MHzで得られた。
生成物の精製は、Chem Elut Extraction Columns(Varian、カタログ番号1219-8002)、Mega BE-SI(Bond Elut Silica)SPE Columns(Varian、カタログ番号12256018;12256026;12256034)を用いて、またはシリカ充填ガラスカラム中のフラッシュクロマトグラフィーによって行った。
実施例1:シロシン(II)及びシロシビン(I)の例示的な調製
ステップ1:3-(2-クロロ-2-オキソアセチル)-1H-インドール-4-イル2-クロロ-2-オキソアセテート(式IVの化合物)
塩化オキサリル(2.1当量)を2Vのメチルtert-ブチルエーテル(MTBE)に溶解し、5℃に冷却した。非保護4-ヒドロキシインドール(1等量)を8VのMTBEに溶解し、滴下カラムを介して、冷却した塩化オキサリル溶液にゆっくりと添加した。反応混合物を2~3時間撹拌した。0.05mlを抜き取り、20mlのHPLCグレードのアセトニトリル中に希釈することによって、工程内コントロール(IPC)試料を採取した。IPCは4-ヒドロキシインドール5%未満で通過する(HPLC、図1参照)。反応混合物をステップ2に嵌め込んだ。
ステップ2:2-(4-ヒドロキシ-1H-インドール-3-イル)-N,N-ジメチル-2-オキソアセトアミド(式Vの化合物)
3.2当量のジメチルアミン(THF中2.0M)及び3.2当量のトリエチルアミンの溶液を滴下カラムに入れた。ジメチルアミン溶液を、5℃で撹拌しながら、粗製のステップ1の反応混合物にゆっくりと添加した。発熱を制御した(液温<10℃)。反応混合物を20℃に加温し、3時間撹拌した。IPCはステップ1の残りの中間体5%未満で通過する。n-ヘプタン(13.3V)をゆっくり添加し、5℃に冷却し、約1時間撹拌する。スラリーを濾過し、全ての保持された固体を、ウェットケーキ質量に対して4Vの2-MeTHFに再溶解した。2-MeTHF/生成物溶液を濾過して塩を除去し、次いで5Vに濃縮した。有機層を5Vの5%ブラインで洗浄して、テトラメチルオキサルアミド不純物をパージし、続いて5VのHP水で洗浄した。次いで、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させた。n-ヘプタン(10 V)をゆっくりと添加して生成物を沈殿させた。生成物を濾過し、真空オーブン中で乾燥させて、中間体(V)を生成した。
HPLC:図2を参照、H-NMR(300MHz、DMSO-D6):図3を参照
ステップ3:3-(2-(ジメチルアミノ)エチル)-1H-インドール-4-オール(シロシン、式IIの化合物)
2-(4-ヒドロキシ-1H-インドール-3-イル)-N,N-ジメチル-2-オキソアセトアミド(V)のTHF溶液に、テトラヒドロフラン(THF)中1.0Mの水素化アルミニウムリチウム(LiAlH4)溶液2当量を、THF還流下で4時間添加して、3-(2-(ジメチルアミノ)エチル)-1H-インドール-4-オール(シロシン)を得た。
H-NMR(300MHz、DMSO-D6):図4参照
ステップ4:ジ-tert-ブチル(3-(2-(ジメチルアミノ)エチル)-1H-インドール-4-イル)ホスフェート(式VIの化合物)
1gのジ-tertブチルホスファイトを5VのTHFに溶解し、5℃で、1.2等量のN-クロロスクシンイミド(NCS)/5VのTHFに添加して、in situでクロロジ-tertブチルホスファイトを生成した。
H-NMR(300MHz、CDCl);図5を参照
シロシンをリチウムジイソプロピルアミド及び触媒量のTHF中のDMAPで0℃で処理し、続いて粗製クロロジ-tert-ブチルホスファイトを滴下して、対応するジ-tert-ブチル(3-(2-(ジメチルアミノ)エチル)-1H-インドール-4-イル)ホスフェートを提供する。
ステップ5:シロシビン
アセトン中の6M塩化水素(HCl)を、粗製ジ-tert-ブチル(3-(2-(ジメチルアミノ)エチル)-1H-インドール-4-イル)ホスフェートに添加し;(ii)反応塊を撹拌して室温で2時間維持し;(iii)次いで反応塊を塩基でpH6~7に中和し;(iv)有機溶媒への抽出によって遊離不純物を反応塊から除去し;(v)粗製シロシビン塩基を有機溶媒中へと抽出し;(vi)溶媒を蒸留して、有機溶媒中の粗製シロシビン溶液を提供し;粗製シロシビン溶液を濾過により単離し;(vii)粗製シロシビンを水媒体に溶解し、弱酸で中和し;(viii)純粋なシロシビン塩基を溶媒へと抽出し;(ix)溶媒を部分的に蒸留し、同じ溶媒からシロシビンを結晶化し;(x)純粋なシロシビンを濾過により単離する。
実施例2:シロシン(II)及びシロシビン(I)の例示的な調製
ステップ1:3-(2-クロロ-2-オキソアセチル)-1H-インドール-4-イル2-クロロ-2-オキソアセテート(式IVの化合物)
3.0当量の塩化オキサリルを、非保護4-ヒドロキシインドールのジエチルエーテル溶液に添加し、0℃の温度で16時間撹拌して、3-(2-クロロ-2-オキソアセチル)-1H-インドール-4-イル2-クロロ-2-オキソアセテート(IV)を得た(図1と同じ、HPLCを参照)
ステップ2:2-(4-ヒドロキシ-1H-インドール-3-イル)-N,N-ジメチル-2-オキソアセトアミド(式Vの化合物)
過剰(5.0当量)のジメチルアミン塩酸塩を、(2)の粗製3-(2-クロロ-2-オキソアセチル)-1H-インドール-4-イル2-クロロ-2-オキソアセテートのジエチル-エーテル/ピリジン溶液に室温で30分間添加して、2-(4-ヒドロキシ-1H-インドール-3-イル)-N,N-ジメチル-2-オキソアセトアミド(V)のみを提供した。
HPLC:図2と同じ、H-NMR(300MHz、DMSO-D6):図3と同じ
ステップ3:3-(2-(ジメチルアミノ)エチル)-1H-インドール-4-オール(シロシン、式IIの化合物)
2-(4-ヒドロキシ-1H-インドール-3-イル)-N,N-ジメチル-2-オキソアセトアミド(V)のTHF溶液に、2当量のテトラヒドロフラン(THF)中の1.0Mの水素化アルミニウムリチウム(LiAlH4)溶液を、THF還流下で4時間添加して、3-(2-(ジメチルアミノ)エチル)-1H-インドール-4-オール(シロシン)を得た。
H-NMR(300MHz、DMSO-D6):図4と同じ
ステップ4:ジ-tert-ブチル(3-(2-(ジメチルアミノ)エチル)-1H-インドール-4-イル)ホスフェート(式VIの化合物)
1.1当量のジ-tert-ブチルホスファイトを、四塩化炭素(CCl)及びテトラヒドロフラン(THF)1:1v/vの溶液中の水酸化ナトリウム(2.0当量)に室温で16時間添加して、粗製ジ-tert-ブチル(3-(2-(ジメチルアミノ)エチル)-1H-インドール-4-イル)ホスフェートを得た。
ステップ5:シロシビン
アセトン中の6M塩化水素(HCl)を、粗製ジ-tert-ブチル(3-(2-(ジメチルアミノ)エチル)-1H-インドール-4-イル)ホスフェートに添加し;(ii)反応塊を撹拌して室温で2時間維持し;(iii)次いで反応塊を塩基でpH6~7に中和し;(iv)有機溶媒への抽出によって遊離不純物を反応塊から除去し;(v)粗製シロシビン塩基を有機溶媒中へと抽出し;(vi)溶媒を蒸留して、有機溶媒中の粗製シロシビン溶液を提供し;粗製シロシビン溶液を濾過により単離し;(vii)粗製シロシビンを水媒体に溶解し、弱酸で中和し;(viii)純粋なシロシビン塩基を溶媒へと抽出し;(ix)溶媒を部分的に蒸留し、同じ溶媒からシロシビンを結晶化し;(x)純粋なシロシビンを濾過により単離する。
ステップ(vi)からの生成物:HPLC:図6と同じ;質量スペクトル:図7と同じ; H-NMR(300MHz、CDCl):図8と同じ。
実施例3:塩基の存在下におけるジ-tert-ブチル(3-(2-(ジメチルアミノ)エチル)-1H-インドール-4-イル)ホスフェートの調製の最適化
種々の塩基の存在下でのジ-tert-ブチルホスファイトとのシロシンの反応。表1は、DMAPを伴う水酸化ナトリウムまたは水酸化ナトリウムの存在下でのジ-tert-ブチルホスファイトとのシロシンの反応で、四塩化炭素とテトラヒドロフラン(THF)との溶媒混合物中で、主要生成物として(3-(2-(ジメチルアミノ)エチル)-1H-インドール-4-イル)ホスフェートが提供されたことを示す。
実施例4:クロロジ-tert-ブチルホスファイトを用いたインドールの例示的なリン酸化
ジ-tertブチルホスファイトを5VのTHFに溶解し、5℃で1.2等量のN-クロロスクシンイミド(NCS)/5VのTHFに添加して、in situでクロロジ-tertブチルホスファイトを生成した。非保護4-ヒドロキシインドールを、リチウムジイソプロピルアミド及びTHF中の触媒量のDMAPで0℃で処理し、続いて粗製クロロジ-tert-ブチルホスファイトを滴下して、対応するジ-tert-ブチル1H-インドール-4-イルホスフェートを得た。
実施例を参照して本出願を説明してきたが、特許請求の範囲は実施例に記載の実施形態によって限定されるべきではなく、全体としての説明と一致する最も広い解釈が与えられるべきであることが理解されるべきである。
全ての公開公報、特許及び特許出願は、それぞれの公開公報、特許または特許出願が具体的かつ個別にその全体を参照により取り込まれることが記された場合と同程度に、本明細書に参照により取り込まれる。本出願における用語が参照により本明細書に組み込まれる文書において異なるように定義されることが見出される場合、本明細書に提供される定義が、その用語の定義として機能する。

Claims (57)

  1. シロシン(式IIの化合物)を調製するためのプロセスであって:

    前記プロセスは:
    非保護4-ヒドロキシインドール(式IIIの化合物)

    を塩化オキサリルと反応させて、式(IV)の化合物を提供すること;

    前記式(IV)の化合物をジメチルアミン(HN(CH)と反応させて、式Vの化合物を提供すること;

    及び
    前記式(V)の化合物を還元試薬で還元して、シロシン(式IIの化合物)を提供することを含むプロセス。
  2. 前記非保護4-ヒドロキシインドール(III)を過剰量の前記塩化オキサリルと反応させて、前記式(IV)の化合物を提供する、請求項1に記載のプロセス。
  3. 前記非保護4-ヒドロキシインドール(III)を、不活性溶媒中で、前記非保護4-ヒドロキシインドールと塩化オキサリルとの反応のための温度及び時間の間、前記塩化オキサリルと反応させて、前記式(IV)の化合物を提供する、請求項1または請求項2に記載のプロセス。
  4. 前記不活性溶媒が、ジエチルエーテル、メチルt-ブチルエーテル(MTBE)テトラヒドロフラン、酢酸エチル、トルエン、塩化メチレン、及び四塩化炭素、並びにそれらの混合物から選択される、請求項3に記載のプロセス。
  5. 前記非保護4-ヒドロキシインドール(III)を、約2~約3モル当量の前記塩化オキサリルと反応させ、前記非保護4-ヒドロキシインドール(III)を前記塩化オキサリルと反応させて前記式(IV)の化合物を提供するための前記温度及び時間が、約0℃~約15℃で約6時間~約24時間である、請求項3に記載のプロセス。
  6. 前記非保護4-ヒドロキシインドール(III)を、MBTE中で約2~約3モル当量の前記塩化オキサリルと反応させ、前記非保護4-ヒドロキシインドール(III)を前記塩化オキサリルと反応させて前記式(IV)の化合物を提供するための前記温度及び時間が、約0℃~約10℃で約2時間~約3時間であって前記式(IV)の化合物を提供する、請求項3に記載のプロセス。
  7. ジメチルアミンの酸塩を塩基と反応させることによって前記ジメチルアミン(N(CH)をin situで生成させ、
    前記式(IV)の化合物を、前記塩基の存在下で前記ジメチルアミンの酸塩と反応させて、前記式(V)の化合物を提供する、請求項1~請求項6のいずれか一項に記載のプロセス。
  8. 前記式(IV)の化合物を、前記塩基の存在下でジメチルアミン塩酸塩(N(CH・HCl)と反応させて、前記式(V)の化合物を提供する、請求項7に記載のプロセス。
  9. 前記塩基がピリジンである、請求項8に記載のプロセス。
  10. 前記塩基が、前記ジメチルアミンの酸塩及び前記式(IV)の化合物に対して過剰量で存在する、請求項7~請求項9のいずれか一項に記載のプロセス。
  11. 前記式(IV)の化合物を、過剰量の前記塩基の存在下で、過剰量のジメチルアミンの酸塩と反応させて、前記式(V)の化合物を提供する、請求項7~請求項10のいずれか一項に記載のプロセス。
  12. 前記式(IV)の化合物を、前記塩基の存在下で、約2~約6モル当量の前記ジメチルアミンの酸塩と反応させる、請求項11に記載のプロセス。
  13. 前記式(IV)の化合物が前記式(V)の化合物を提供するための温度及び時間で、前記式(IV)の化合物を、前記塩基の存在下、不活性溶媒中で、過剰量の前記ジメチルアミンの酸塩と反応させる、請求項7~請求項12のいずれか一項に記載のプロセス。
  14. 前記不活性溶媒が、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、トルエン、塩化メチレン、及び四塩化炭素、並びにそれらの混合物から選択される、請求項13に記載のプロセス。
  15. 前記塩基の存在下で前記式(IV)の化合物を前記ジメチルアミンの酸塩と反応させて前記式(V)の化合物を提供するための前記温度及び時間が、約18℃~約25℃で約15分間~約2時間である、請求項13または請求項14に記載のプロセス。
  16. 前記塩基の存在下で前記ジメチルアミンの酸塩と反応させられて前記式(V)の化合物を提供する前記式(IV)の化合物が粗製であるか、または前記塩基の存在下で前記ジメチルアミンの酸塩と反応して前記式(V)の化合物を提供する前に前記式(IV)の化合物が精製されていない、請求項7~請求項15のいずれか一項に記載のプロセス。
  17. 前記ジメチルアミンがジメチルアミン遊離塩基である、請求項1~請求項6のいずれか一項に記載のプロセス。
  18. 前記式(IV)の化合物が前記ジメチルアミンと反応して前記式(V)の化合物を提供するための温度及び時間で、前記式(IV)の化合物を過剰量の塩基の存在下で過剰量の前記ジメチルアミンと反応させる、請求項17に記載のプロセス。
  19. 前記式(IV)の化合物を、約2~約6モル当量の前記ジメチルアミン及び約2~約4モル当量の塩基と反応させて、前記式(V)の化合物を提供する、請求項18に記載のプロセス。
  20. 前記式(IV)の化合物を塩基の存在下で前記ジメチルアミンと反応させて前記式(V)の化合物を提供するための前記温度及び時間が、反応混合物の形成には約0℃~約15℃であり、前記反応混合物は約18℃~約25℃に加温され、前記反応混合物は約3時間~約5時間攪拌される、請求項18または請求項19に記載のプロセス。
  21. 前記塩基がトリエチルアミンである、請求項18~請求項20のいずれか一項に記載のプロセス。
  22. 前記塩基が溶媒として使用される、請求項18~請求項21のいずれか一項に記載のプロセス。
  23. 前記ジメチルアミンと反応させられて前記式(V)の化合物を提供する前記式(IV)の化合物が粗製であるか若しくは精製されておらず、または、前記式(V)の化合物が、前記式(V)の化合物を提供するために前記ジメチルアミンと反応する前に単離されていない、請求項17~請求項22のいずれか一項に記載のプロセス。
  24. 前記式(V)の化合物からシロシン(II)を提供する前記還元剤が、前記式(V)の化合物のケトン基をアルカンに還元する任意の適切な還元剤である、請求項1~請求項23のいずれか一項に記載のプロセス。
  25. 前記式(V)の化合物を前記還元剤で還元して前記シロシン(II)を提供するための温度及び時間で、前記式(V)の化合物を不活性溶媒中で約1.5~約3モル当量の前記還元剤と反応させる、請求項24に記載のプロセス。
  26. 前記不活性溶媒が、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、及びトルエン、並びにそれらの混合物から選択される、請求項25に記載のプロセス。
  27. 前記式(V)の化合物を不活性溶媒中で約1.5~約3モル当量の前記還元剤と反応させて反応混合物を形成し、
    前記式(V)の化合物を前記還元剤で還元して前記シロシン(II)を提供するための前記温度及び時間が、前記反応混合物の沸点で約1時間~約6時間である、
    請求項25または請求項26に記載のプロセス。
  28. 前記式(V)の化合物を還元するための前記適切な還元剤が金属水素化物である、請求項24~請求項27のいずれか一項に記載のプロセス。
  29. 前記金属水素化物が、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素ナトリウム及び水素化アルミニウムリチウムから選択される、請求項28に記載のプロセス。
  30. 前記式(V)の化合物を約1.5~約2モル当量の水素化アルミニウムリチウムと還流温度で約3時間~約5時間反応させて、シロシン(II)を提供する、請求項29に記載のプロセス。
  31. シロシビン(式Iの化合物)を調製するためのプロセスであって:

    前記プロセスは:
    シロシン(式IIの化合物)

    を塩基の存在下で(a)ジ-tert-ブチルホスファイト

    と反応させて、または
    シロシンを(b)クロロジ-tert-ブチルホスファイト

    と反応させて、式(VI)の化合物を提供すること;

    及び
    前記式VIの化合物を加水分解して、シロシビン(式Iの化合物)を提供すること
    を含むプロセス。
  32. 前記シロシンを、塩基の存在下、Atherton-Todd反応条件下でジ-tert-ブチルホスファイトと反応させて、前記式(VI)の化合物を提供する、請求項31に記載のプロセス。
  33. 前記シロシンを前記ジ-tert-ブチルホスファイトと反応させて前記式(VI)の化合物を提供するための温度及び時間において、不活性溶媒中、過剰の塩基の存在下で、前記シロシンを約1.1~約1.5モル当量の前記ジ-tert-ブチルホスファイトと反応させる、請求項31または請求項32に記載のプロセス。
  34. 前記不活性溶媒が、テトラヒドロフランと四塩化炭素との混合物である、請求項31~請求項33のいずれか一項に記載のプロセス。
  35. 前記塩基が、水酸化ナトリウム、及びジメチルアミノピリジン(DMAP)と組み合わせた水酸化ナトリウムから選択される、請求項31~請求項34のいずれか一項に記載のプロセス。
  36. 前記シロシンを、約18℃~約50℃で約2時間~約8時間、ジ-tertブチルホスファイトと反応させる、請求項31~請求項35のいずれか一項に記載のプロセス。
  37. シロシンをクロロジ-tert-ブチルホスファイトと反応させて、式(VI)の化合物を提供する、請求項31に記載のプロセス。
  38. ジ-tert-ブチルホスファイトをN-クロロスクシンイミド(NCS)と反応させることによって前記クロロジ-tert-ブチルホスファイトがin situで調製され、
    前記プロセスがシロシンをジ-tert-ブチルホスファイト及びN-クロロスクシンイミド(NCS)と反応させて式(VI)の化合物を提供することを含む、
    請求項37に記載のプロセス。
  39. 前記ジ-tert-ブチルホスファイトを、不活性溶媒中で、前記クロロジ-tert-ブチルホスファイトを提供するための温度及び時間において、わずかに過剰のNCSと反応させる、請求項38に記載のプロセス。
  40. 前記不活性溶媒がテトラヒドロフランである、請求項39に記載のプロセス。
  41. 前記tert-ブチルホスファイトを、約0℃~約15℃で約2時間~3時間、前記NCSと反応させる、請求項39または請求項40に記載のプロセス。
  42. 前記式(VI)の化合物を、酸を使用して加水分解してシロシビンを提供する、請求項31~41のいずれか一項に記載のプロセス。
  43. 前記酸が塩酸である、請求項42に記載のプロセス。
  44. 前記式(VI)の化合物を、適切な溶媒中で、前記シロシビンを提供するための温度及び時間で過剰量の前記酸と反応させる、請求項41または請求項42に記載のプロセス。
  45. 前記式(VI)の化合物を前記酸で加水分解してシロシビンを提供するための前記温度及び時間が、約18℃~約25℃、約1時間~約4時間である、請求項44に記載のプロセス。
  46. 前記式(VI)の化合物が粗製である(crude)か若しくは精製されておらず、または、前記式(VI)の化合物が、シロシビンを提供するために加水分解される前に単離されていない、請求項31~請求項45のいずれか一項に記載のプロセス。
  47. 前記シロシン(II)が、請求項1~請求項30のいずれか一項に記載のプロセスを用いて調製される、請求項31~46のいずれか一項に記載のプロセス。
  48. シロシビン(式Iの化合物)を調製するためのプロセスであって:

    前記プロセスは:
    非保護4-ヒドロキシインドール(式IIIの化合物)

    を塩化オキサリルと反応させて、式(IV)の化合物を提供すること;

    前記式(IV)の化合物を、ジメチルアミン(HN(CH)と反応させて、式(V)の化合物を提供すること;

    前記式(V)の化合物を還元試薬で還元して、シロシン(式IIの化合物)を提供すること;

    シロシンを塩基の存在下でジ-tert-ブチルホスファイト

    と反応させて、式(VI)の化合物を提供すること;

    及び
    前記式(VI)の化合物を加水分解して、シロシビン(式Iの化合物)を提供すること
    を含むプロセス。
  49. 前記シロシンを、水酸化ナトリウムの存在下、または4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)と組み合わせた水酸化ナトリウムの組み合わせの存在下で、テトラヒドロフランと四塩化炭素との混合物中で、ジ-tert-ブチルホスファイトと反応させて、式(VI)の化合物を提供する、請求項48に記載のプロセス。
  50. シロシビン(式Iの化合物)を調製するためのプロセスであって:

    前記プロセスは:
    非保護4-ヒドロキシインドール(式IIIの化合物)

    を過剰量の塩化オキサリルと反応させて、式(IV)の化合物を提供すること;

    前記式(IV)の化合物を、過剰量のジメチルアミンと反応させて、式(V)の化合物を提供すること;

    前記式(V)の化合物を還元試薬で還元して、シロシン(式IIの化合物)を提供すること;

    シロシンをクロロジ-tert-ブチルホスファイト

    と反応させて、式VIの化合物を提供すること;

    及び
    前記式VIの化合物を、酸を用いて加水分解して、シロシビン(式Iの化合物)を提供すること
    を含むプロセス。
  51. ジ-tert-ブチルホスファイトをN-クロロスクシンイミド(NCS)と反応させることによって前記クロロジ-tert-ブチルホスファイトがin situで調製され、
    前記プロセスがシロシンをジ-tert-ブチルホスファイト及びN-クロロスクシンイミド(NCS)と反応させて式(VI)の化合物を提供することを含む、
    請求項50に記載のプロセス。
  52. 前記非保護4-ヒドロキシインドール(式IIIの化合物)を、メチルtert-ブチルエーテル(MTBE)中で塩化オキサリルと反応させて、式(IV)の化合物を提供する、請求項50または請求項51に記載のプロセス。
  53. 前記式(IV)の化合物を、塩基の存在下で過剰量のジメチルアミンと反応させて、式VIの化合物を得る、請求項50~請求項52のいずれか一項に記載のプロセス。
  54. 塩基がトリエチルアミンである、請求項53に記載のプロセス。
  55. 前記塩基が前記溶媒として使用される、請求項53または請求項54に記載のプロセス。
  56. 式IVの化合物。
  57. 式VIの化合物。


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