JP2023042364A - 積層フィルム及び包装体 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来よりも成形性が高く、再利用適性が高い積層フィルムの提供。【解決手段】積層フィルム1であって、積層フィルム1は、第1樹脂層11と第2樹脂層12を備え、第1樹脂層11と第2樹脂層12は、同種のポリオレフィン系樹脂を含み、積層フィルム1について、動的粘弾性測定を行ったとき、振動周波数が1Hzである場合の110℃での弾性率EF’(110)が1.5×107Pa以下である、積層フィルム1。【選択図】図1

Description

本発明は、積層フィルム及び包装体に関する。
複数層の樹脂層が積層されて構成された積層フィルムは、包装体の材料として幅広く利用されている。典型的な積層フィルムとしては、シール対象物と加熱シールするために設けられたシーラント層と、シーラント層側とは反対側に設けられた外層と、を少なくとも備えたものが挙げられる。
一方、このような包装体用途の積層フィルムは、その利便性の高さから、世界中で毎日大量に生産及び消費されており、使用後には大量の廃棄物が発生する。廃棄物の発生は、地球環境の改善の観点では、解決すべき重要な課題となっており、近年は、廃棄物の発生量の低減とともに、廃棄物の再利用(リサイクル)の方法について、盛んに検討されている。
例えば、積層フィルム中の複数層の樹脂層の主要構成材料を同種とすれば、各樹脂層を分離して別々に再利用する必要性がなくなり、積層フィルム全体を容易に再利用することができることから、有用性が高くなる。
このような積層フィルムとしては、例えば、延伸ポリエチレンフィルムと、接着層と、ヒートシール性ポリエチレン層とを少なくとも備え、前記接着層が無溶剤型接着剤を含む、包装材料用ポリエチレン積層体が開示されている(特許文献1参照)。
特開2019-189333号公報
しかし、特許文献1で開示されている包装材料用ポリエチレン積層体では、成形性が必ずしも十分ではないという問題点があった。食品等を始めとする各種対象物を包装するためには、対象物(収納物)の形状を考慮して、積層フィルムを成形し、収納物を収納するための空間を形成することがある。しかし、目的とする形状に成形することが難しく、成形性が不十分である積層フィルムは、その用途が限定されてしまう。
本発明は上記事情に鑑みてなされ、従来よりも成形性が高く、再利用適性が高い積層フィルムを提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明は、以下の構成を採用する。
[1].積層フィルムであって、前記積層フィルムは、第1樹脂層と第2樹脂層を備え、前記第1樹脂層と前記第2樹脂層は、同種のポリオレフィン系樹脂を含み、前記積層フィルムについて、動的粘弾性測定を行ったとき、振動周波数が1Hzである場合の110℃での弾性率E’(110)が1.5×10Pa以下である、積層フィルム。
[2].前記第2樹脂層の試験片として、前記第2樹脂層と組成が同一であり、かつ前記積層フィルムと厚さが同一である第2試験片を用意し、前記第2試験片について、動的粘弾性測定を行ったとき、振動周波数が1Hzである場合の110℃での弾性率E’(110)が5.0×10Pa以上である、[1]に記載の積層フィルム。
[3].前記積層フィルムが、前記第1樹脂層と前記第2樹脂層との間に、さらに、第3樹脂層を備え、前記第1樹脂層と、前記第2樹脂層と、前記第3樹脂層が、同種のポリオレフィン系樹脂を含む、[1]又は[2]に記載の積層フィルム。
[4].前記第1樹脂層の試験片として、前記第1樹脂層と組成が同一であり、かつ前記積層フィルムと厚さが同一である第1試験片を用意し、前記第2樹脂層の試験片として、前記第2樹脂層と組成が同一であり、かつ前記積層フィルムと厚さが同一である第2試験片を用意し、前記第1試験片について、動的粘弾性測定を行ったときの、振動周波数が1Hzである場合の85℃での弾性率E’(85)と、前記第2試験片について、動的粘弾性測定を行ったときの、振動周波数が1Hzである場合の85℃での弾性率E’(85)とが、下記式:
’(85)/E’(85)≦0.80
を満たす、[1]~[3]のいずれか一項に記載の積層フィルム。
[5].前記第2樹脂層が前記同種のポリオレフィン系樹脂を2種以上含む、[1]~[4]のいずれか一項に記載の積層フィルム。
[6].前記積層フィルム全体の厚さに対する、前記第2樹脂層の厚さの割合が、40%以下である、[1]~[5]のいずれか一項に記載の積層フィルム。
[7].前記積層フィルムが深絞り包装体用である、[1]~[6]のいずれか一項に記載の積層フィルム。
[8].[1]~[7]のいずれか一項に記載の積層フィルムを用いて構成された、包装体。
本発明によれば、従来よりも成形性が高く、再利用適性が高い積層フィルムが提供される。
本発明の一実施形態に係る積層フィルムの一例を模式的に示す断面図である。 本発明の一実施形態に係る積層フィルムを用いて構成された包装体の一例を模式的に示す断面図である。
<<積層フィルム>>
本発明の一実施形態に積層フィルムは、第1樹脂層と第2樹脂層を備え、前記第1樹脂層と前記第2樹脂層は、同種のポリオレフィン系樹脂を含み、前記積層フィルムについて、動的粘弾性測定を行ったとき、振動周波数が1Hzである場合の110℃での弾性率E’(110)が1.5×10Pa以下である。
本明細書において、「弾性率」とは、特に断りのない限り「貯蔵弾性率」を意味する。
本実施形態の積層フィルムは、第1樹脂層と第2樹脂層が、同種のポリオレフィン系樹脂を含んでいるため、再利用適性が高い。
また、本実施形態の積層フィルムは、そのE’(110)が1.5×10Pa以下であることで、目的とする形状に成形することが容易であり、成形性が高い。このように成形性が高い前記積層フィルムは、例えば、深絞り包装体用として好適である。
<第1樹脂層>
前記第1樹脂層は、ポリオレフィン系樹脂を含む。
第1樹脂層が含む前記ポリオレフィン系樹脂は、オレフィンから誘導された構成単位を有していれば、特に限定されず、1種のオレフィンの単独重合体であってもよいし、2種以上のオレフィンの共重合体であってもよい。
前記オレフィンの単独重合体としては、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、メタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレン(mLLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)等のポリエチレン;ポリプロピレン(ホモポリプロピレン)等が挙げられる。
直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)及びメタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレン(mLLDPE)は、いずれも、低密度ポリエチレン(LDPE)の1種である。
ポリエチレンの、その密度ごとの分類は、例えば、旧JIS K 6748:1995において定義されていた。本明細書においては、この定義によって、ポリエチレンを、その密度ごとに分類する。
すなわち、本明細書において、低密度ポリエチレン(LDPE)とは、密度が0.91g/cm以上、0.93g/cm未満であるポリエチレンを意味する。
また、中密度ポリエチレン(MDPE)とは、密度が0.93g/cm以上、0.942g/cm未満であるポリエチレンを意味する。
また、高密度ポリエチレン(HDPE)とは、密度が0.942g/cm以上であるポリエチレンを意味する。
前記オレフィンの共重合体としては、例えば、エチレンから誘導された構成単位を少なくとも有するエチレン系共重合体と、プロピレンから誘導された構成単位を少なくとも有するプロピレン系共重合体と、が挙げられる。
前記エチレン系共重合体は、エチレンから誘導された構成単位と、エチレン以外のモノマーから誘導された構成単位と、を有する。ただし、エチレンから誘導された構成単位と、プロピレンから誘導された構成単位と、を有するオレフィンの共重合体のうち、プロピレンから誘導された構成単位の数が、エチレンから誘導された構成単位の数よりも多い共重合体は、便宜上、プロピレン系共重合体に分類する。
エチレン系共重合体としては、例えば、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH、別名:エチレン-酢酸ビニル共重合体ケン化物)、エチレン-ビニルアルコール-酢酸ビニル共重合体(別名:エチレン-酢酸ビニル共重合体部分ケン化物、本明細書においては「EVA部分ケン化物」と称することがある)、エチレン-アクリル酸メチル共重合体(EMA)、エチレン-メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)、エチレン-アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン-アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン-メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン-アクリル酸エチル-無水マレイン酸共重合体(E-EA-MAH)、アイオノマー(ION)等が挙げられる。
前記アイオノマーとしては、例えば、エチレンと少量のアクリル酸又はメタクリル酸との共重合体が、その中の酸部分と、金属イオンと、の塩形成によって、イオン橋かけ構造を有している樹脂が挙げられる。
前記プロピレン系共重合体は、プロピレンから誘導された構成単位と、プロピレン以外のモノマーから誘導された構成単位と、を有する。
プロピレン系共重合体としては、例えば、プロピレン-エチレンランダム共重合体(別名:ポリプロピレンランダムコポリマー(rPP))、プロピレン-エチレンブロック共重合体(別名:ポリプロピレンブロックコポリマー(bPP))等が挙げられる。
第1樹脂層が含む前記ポリオレフィン系樹脂は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
本明細書においては、ポリエチレン(エチレンの単独重合体)と前記エチレン系共重合体を包括して、「ポリエチレン系樹脂」と称する。同様に、ポリプロピレン(ホモポリプロピレン、プロピレンの単独重合体)と前記プロピレン系共重合体を包括して、「ポリプロピレン系樹脂」と称する。
第1樹脂層が含む前記ポリオレフィン系樹脂は、ポリエチレン系樹脂であることが好ましく、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、メタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレン及びエチレン-酢酸ビニル共重合体からなる群より選択される1種又は2種以上であることがより好ましい。
第1樹脂層は、本発明の効果を損なわない範囲で、前記ポリオレフィン系樹脂以外に、他の成分を含んでいてもよい。
前記他の成分は、樹脂成分(本明細書においては、「他の樹脂成分」と称することがある)及び非樹脂成分(本明細書においては、「他の非樹脂成分」と称することがある)のいずれであってもよい。
前記他の樹脂成分は、前記ポリオレフィン系樹脂以外の樹脂であれば、特に限定されない。
前記他の非樹脂成分としては、例えば、当該分野で公知の添加剤が挙げられる。
前記添加剤としては、例えば、防曇剤、アンチブロッキング剤、酸化防止剤、帯電防止剤、結晶核剤、無機粒子、減粘剤、増粘剤、熱安定化剤、滑剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤等が挙げられる。
第1樹脂層が含む前記他の成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
第1樹脂層において、第1樹脂層の総質量に対する、前記ポリオレフィン系樹脂の含有量(第2樹脂層が含むポリオレフィン系樹脂と同種のポリオレフィン系樹脂と、第2樹脂層が含むポリオレフィン系樹脂と同種ではないポリオレフィン系樹脂と、の合計含有量)の割合は、90~100質量%であることが好ましく、95~100質量%であることがより好ましく、例えば、97~100質量%、及び99~100質量%のいずれかであってもよい。前記割合が前記下限値以上であることで、第1樹脂層がポリオレフィン系樹脂を含んでいることによる効果が、より顕著に得られる。
前記割合は、通常、後述する第1樹脂組成物における、常温で気化しない成分の総含有量(質量部)に対する、ポリオレフィン系樹脂の含有量(第2樹脂層が含むポリオレフィン系樹脂と同種のポリオレフィン系樹脂と、第2樹脂層が含むポリオレフィン系樹脂と同種ではないポリオレフィン系樹脂と、の合計含有量)(質量部)の割合、と同じである。
本明細書において、「常温」とは、特に冷やしたり、熱したりしない温度、すなわち平常の温度を意味し、例えば、15~25℃の温度等が挙げられる。
第1樹脂層と第2樹脂層は、同種のポリオレフィン系樹脂を含む。
本実施形態においては、ポリオレフィン系樹脂の場合に限らず、「同種の樹脂」とは、共通の構成単位を有する樹脂同士を比較したとき、どちらの樹脂においても、構成単位の全量(モル)に対する、共通の構成単位の量(モル)の割合が、20モル%以上であるものを意味する。例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、メタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレン(mLLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、エチレン-アクリル酸メチル共重合体(EMA樹脂)、エチレン-メタクリル酸メチル共重合体(EMMA樹脂)、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-ビニルアルコール-酢酸ビニル共重合体(EVA部分ケン化物)等は、すべて、構成単位の全量(モル)に対する、エチレンから誘導された構成単位の量(モル)の割合が、20モル%以上であるため、同種であるとする。一方、例えば、プロピレン-エチレンランダム共重合体及びプロピレン-エチレンブロック共重合体等のうち、構成単位の全量(モル)に対する、エチレンから誘導された構成単位の量(モル)の割合が、20モル%未満であるものは、上述の低密度ポリエチレン等とは、同種ではないとする。
本実施形態において、同種の樹脂は、どちらの樹脂においても、構成単位の全量(モル)に対する、共通の構成単位の量(モル)の割合が、好ましくは30モル%以上、より好ましくは40モル%以上、さらに好ましくは50モル%以上であり、例えば、60モル%以上、70モル%以上、及び80モル%以上のいずれかであってもよい。
第1樹脂層において、第1樹脂層の総質量に対する、第2樹脂層が含むポリオレフィン系樹脂と同種のポリオレフィン系樹脂の含有量の割合は、80~100質量%であることが好ましく、90~100質量%であることがより好ましく、例えば、95~100質量%、及び99~100質量%のいずれかであってもよい。前記割合が前記下限値以上であることで、前記積層フィルムの再利用適性がより高くなる。
第1樹脂層が低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、メタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレン及びエチレン-酢酸ビニル共重合体からなる群より選択される1種又は2種以上を含む場合、第1樹脂層において、第1樹脂層の総質量に対する、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、メタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレン及びエチレン-酢酸ビニル共重合体の合計含有量の割合は、70~100質量%であることが好ましく、80~100質量%であることがより好ましく、90~100質量%であることがさらに好ましい。前記割合が前記下限値以上であることで、第1樹脂層が低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、メタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレン又はエチレン-酢酸ビニル共重合体を含んでいることにより得られる効果が、より高くなる。
第1樹脂層の試験片として、第1樹脂層と組成が同一であり、かつ前記積層フィルムと厚さが同一である第1試験片を用意し、前記第1試験片について、動的粘弾性測定(DMA:Dynamic Mechanical. Analysis)を行ったとき、振動周波数が1Hzである場合の85℃での弾性率E’(85)は、後述するE’(85)/E’(85)値が目的値となる値であることが好ましく、5.0×10~1.0×10 Paであることが好ましく、8.0×10~5.0×10Paであることがより好ましく、1.0×10~6.0×10Paであることがさらに好ましい。E’(85)がこのような範囲であることで、前記積層フィルムの成形性がより向上し、かつ、第1樹脂層がシーラント層である場合のシール強度が、より良好となる。
動的粘弾性測定を行う前記第1試験片としては、幅が4mmであり、長さが5cm以上であるものが挙げられる。このような第1試験片を用い、その動的粘弾性測定を行う測定対象部位の長さを2cmとなるように、第1試験片を設置して、第1試験片を、昇温速度3℃/minで昇温させて、動的粘弾性測定を行うことが好ましい。このような条件とすることで、E’(85)をより高精度に測定できる。
’(85)は、第1樹脂層の含有成分の種類、含有成分の量又は厚さ等を調節することで、調節できる。
第1樹脂層は、1層(単層)からなるものであってもよいし、2層以上の複数層からなるものであってもよい。第1樹脂層が複数層からなる場合、これら複数層は互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。
本明細書においては、第1樹脂層の場合に限らず、「複数層が互いに同一でも異なっていてもよい」とは、「すべての層が同一であってもよいし、すべての層が異なっていてもよいし、一部の層のみが同一であってもよい」ことを意味し、さらに「複数層が互いに異なる」とは、「各層の構成材料及び厚さの少なくとも一方が互いに異なる」ことを意味する。
第1樹脂層の厚さは、前記積層フィルムの用途に応じて任意に設定でき、特に限定されない。
第1樹脂層の厚さは、通常、5~145μmであることが好ましく、5~98μmであることがより好ましく、5~95μmであることがさらに好ましく、例えば、5~30μmであってもよい。第1樹脂層の厚さが前記下限値以上であることで、第1樹脂層の強度がより向上するとともに、積層フィルムが第1樹脂層を備えていることによる効果が、より顕著に得られる。第1樹脂層の厚さが前記上限値以下であることで、過剰な厚さとなることが抑制される。
第1樹脂層が複数層からなる場合には、これら複数層の合計の厚さが、上記の数値範囲内であることが好ましい。
前記積層フィルム全体の厚さに対する、第1樹脂層の厚さの割合は、特に限定されず、例えば、3~95%、3~90%、3~80%、5~30%、及び5~15%のいずれかであってもよい。前記割合がこのような範囲であることで、第1樹脂層の厚さが上述の範囲である場合と同様の効果が得られる。
第1樹脂層は、無延伸の層(フィルム)であることが好ましい。第1樹脂層が無延伸の層であることで、前記積層フィルムの成形性が向上する。
第1樹脂層は、例えば、シーラント層として好適である。
<第2樹脂層>
前記第2樹脂層は、第1樹脂層が含むポリオレフィン系樹脂と同種のポリオレフィン系樹脂を含む。
第2樹脂層が含む、前記同種のポリオレフィン系樹脂は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
第2樹脂層は、前記同種のポリオレフィン系樹脂として、ポリエチレン系樹脂を含むことが好ましく、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン及びメタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレンからなる群より選択される1種又は2種以上を含むことがより好ましい。第2樹脂層がポリエチレン系樹脂、特に高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン及びメタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレンからなる群より選択される1種又は2種以上を含んでいることで、E’(110)を目的とする値に調節することが容易となり、さらに、E’(110)を目的とする値に調節することが容易となる。
第2樹脂層は、前記同種のポリオレフィン系樹脂を2種以上含む場合、そのE’(110)を目的とする値に調節することがより容易となり、さらに、E’(110)を目的とする値に調節することがより容易となる。
第2樹脂層は、前記同種のポリオレフィン系樹脂として、高密度ポリエチレンを含む場合、さらに、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン及びメタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレンからなる群より選択される1種又は2種以上を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。第2樹脂層は、高密度ポリエチレンを含む場合、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン及びメタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレンの合計含有量によって、そのE’(110)を目的とする値に調節することがより容易となり、さらに、E’(110)を目的とする値に調節することがより容易となる。
第2樹脂層が、高密度ポリエチレンと、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン及びメタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレンからなる群より選択される1種又は2種以上と、を含む場合、第2樹脂層において、[高密度ポリエチレンの含有量(質量部)]:[低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン及びメタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレンの合計含有量(質量部)]の質量比は、80:20~20:80であることが好ましく、例えば、80:20~60:40、20:80~40:60、及び60:40~40:60のいずれかであってもよい。
第2樹脂層は、本発明の効果を損なわない範囲で、第1樹脂層が含むポリオレフィン系樹脂と同種のポリオレフィン系樹脂以外に、他の成分を含んでいてもよい。
第2樹脂層における前記他の成分は、樹脂成分(本明細書においては、「他の樹脂成分」と称することがある)及び非樹脂成分(本明細書においては、「他の非樹脂成分」と称することがある)のいずれであってもよい。
第2樹脂層における前記他の樹脂成分は、第1樹脂層が含むポリオレフィン系樹脂と同種のポリオレフィン系樹脂以外の樹脂であれば、特に限定されない。
第2樹脂層における前記他の樹脂成分としては、第1樹脂層が含むポリオレフィン系樹脂と同種ではないポリオレフィン系樹脂と、ポリオレフィン系樹脂以外の樹脂と、が挙げられる。
第1樹脂層が含むポリオレフィン系樹脂と同種ではないポリオレフィン系樹脂としては、第1樹脂層が含むポリオレフィン系樹脂として先に挙げたものと同様のものが挙げられる。
第2樹脂層における前記非樹脂成分としては、第1樹脂層における前記非樹脂成分と同様のものが挙げられる。
第2樹脂層が含む前記他の成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
第2樹脂層において、第2樹脂層の総質量に対する、ポリオレフィン系樹脂の含有量(第1樹脂層が含むポリオレフィン系樹脂と同種のポリオレフィン系樹脂と、第1樹脂層が含むポリオレフィン系樹脂と同種ではないポリオレフィン系樹脂と、の合計含有量)の割合は、90~100質量%であることが好ましく、95~100質量%であることがより好ましく、例えば、97~100質量%、及び99~100質量%のいずれかであってもよい。前記割合が前記下限値以上であることで、第2樹脂層がポリオレフィン系樹脂を含んでいることによる効果が、より顕著に得られる。
前記割合は、通常、後述する第2樹脂組成物における、常温で気化しない成分の総含有量(質量部)に対する、ポリオレフィン系樹脂の含有量(第1樹脂層が含むポリオレフィン系樹脂と同種のポリオレフィン系樹脂と、第1樹脂層が含むポリオレフィン系樹脂と同種ではないポリオレフィン系樹脂と、の合計含有量)(質量部)の割合、と同じである。
第2樹脂層において、第2樹脂層の総質量に対する、第1樹脂層が含むポリオレフィン系樹脂と同種のポリオレフィン系樹脂の含有量の割合は、80~100質量%であることが好ましく、90~100質量%であることがより好ましく、例えば、95~100質量%、及び99~100質量%のいずれかであってもよい。前記割合が前記下限値以上であることで、前記積層フィルムの再利用適性がより高くなる。
第2樹脂層が高密度ポリエチレンを含む場合、第2樹脂層において、第2樹脂層の総質量に対する、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン及びメタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレンの合計含有量の割合は、80~100質量%であることが好ましく、90~100質量%であることがより好ましく、例えば、95~100質量%であってもよい。前記割合が前記下限値以上であることで、前記積層フィルムの成形性が顕著に向上する。
第2樹脂層の試験片として、第2樹脂層と組成が同一であり、かつ前記積層フィルムと厚さが同一である第2試験片を用意し、前記第2試験片について、動的粘弾性測定(DMA)を行ったとき、振動周波数が1Hzである場合の110℃での弾性率E’(110)は、5.0×10Pa以上であることが好ましく、5.0×10Pa以上であることがより好ましく、1.0×10Pa以上であることがさらに好ましい。E’(110)が前記下限値以上であることで、前記積層フィルムの成形性がより向上する。
’(110)の上限値は、特に限定されない。例えば、E’(110)が5.0×10Pa以下である第2樹脂層は、より容易に形成できる。
’(110)は、例えば、5.0×10~5.0×10Pa、5.0×10~5.0×10Pa、及び1.0×10~5.0×10Paのいずれかであってもよい。
動的粘弾性測定を行う前記第2試験片しては、幅が4mmであり、長さが5cm以上であるものが挙げられる。このような第2試験片を用い、その動的粘弾性測定を行う測定対象部位の長さを2cmとなるように、第2試験片を設置して、第2試験片を、昇温速度3℃/minで昇温させて、動的粘弾性測定を行うことが好ましい。このような条件とすることで、E’(110)をより高精度に測定できる。
第2試験片について、動的粘弾性測定(DMA)を行ったとき、振動周波数が1Hzである場合の85℃での弾性率E’(85)は、後述するE’(85)/E’(85)値が目的値となる値であることが好ましく、5.0×10~1.0×10Paであることが好ましく、5.0×10~7.0×10Paであることがより好ましく、1.0×10~4.0×10Paであることがさらに好ましい。E’(85)がこのような範囲であることで、前記積層フィルムの成形性がより向上する。
’(85)は、その測定時の第2試験片の温度が異なる点以外は、E’(110)の場合と同じ方法で測定できる。E’(85)を測定する第2試験片は、E’(110)を測定する第2試験片と同じである。
’(110)及びE’(85)は、第2樹脂層の含有成分の種類、含有成分の量又は厚さ等を調節することで、調節できる。
第2樹脂層は、電子線照射されていてもよい。すなわち、前記積層フィルムは、電子線照射されていてもよく、その第2樹脂層側から電子線照射されていることが好ましい。例えば、第2樹脂層が高密度ポリエチレンを含んでいなくても、第2樹脂層は、電子線照射することにより、そのE’(110)を目的とする値に調節することが容易となり、さらに、E’(110)を目的とする値に調節することが容易となる。その理由は、電子線照射によって、第2樹脂層中の樹脂の架橋密度が増大するためであると推測される。
電子線照射された第2樹脂層で好ましいものとしては、例えば、低密度ポリエチレンを含む、電子線未照射の第2樹脂層(本明細書においては、この場合の第2樹脂層を、電子線照射後のものと区別するために、「未照射第2樹脂層」と称することがある)が、電子線照射されたものが挙げられる。
すなわち、電子線照射された前記積層フィルムで好ましいものとしては、例えば、前記未照射第2樹脂層として、低密度ポリエチレンを含むものを備えた前記積層フィルム(本明細書においては、この場合の積層フィルムを、電子線照射後のものと区別するために、「未照射積層フィルム」と称することがある)が、電子線照射されたものが挙げられる。
前記未照射第2樹脂層において、未照射第2樹脂層の総質量に対する、低密度ポリエチレンの含有量の割合は、70~100質量%であることが好ましく、80~100質量%であることがより好ましく、90~100質量%であることがさらに好ましい。前記割合が前記下限値以上であることで、電子線照射の効果がより顕著に得られる。
未照射第2樹脂層又は未照射積層フィルムに対する電子線照射は、吸収線量20~300kGyの条件で行うことが好ましい。吸収線量が前記下限値以上であることで、電子線照射の効果がより顕著に得られる。吸収線量が前記上限値以下であることで、第2樹脂層中の樹脂が、過剰に架橋することが抑制される。
すなわち、電子線照射された積層フィルムで好ましいものとしては、吸収線量20~300kGyの条件で電子線照射されたものが挙げられる。
未照射第2樹脂層又は未照射積層フィルムに対する電子線照射時の加速電圧は、100~300kVであることが好ましく、120~280kVであることがより好ましく、140~260kVであることがさらに好ましい。前記加速電圧が前記下限値以上であることで、電子線照射の効果がより顕著に得られる。前記加速電圧が前記上限値以下であることで、第2樹脂層中の樹脂が、過剰に架橋することが抑制される。
前記積層フィルムは、電子線照射によって、例えば、ゲル分率が増大する。すなわち、積層フィルムのゲル分率は、未照射積層フィルムのゲル分率よりも大きい。
前記積層フィルムのゲル分率は、30%以上であることが好ましく、例えば、30~90%、32~78%、及び34~76%のいずれかであってもよい。このような積層フィルムは、目的とする弾性率が得られ易い。
前記積層フィルムのゲル分率は、JIS K 6769に準拠して測定できる。すなわち、積層フィルムをキシレン等の有機溶媒中に浸漬し、溶解せずに残った不溶物を乾燥後、その質量を求めて、溶解前の積層フィルムの質量と、乾燥後の積層フィルム由来の不溶物の質量と、からゲル分率を算出できる。より具体的には、例えば、Xgの積層フィルムを、Ygのステンレス製金網で包み込み、加熱された有機溶媒中で浸漬し、積層フィルム由来の不溶物を、ステンレス製金網ごと、有機溶媒中から取り出す。次いで、前記不溶物を包み込んでいるステンレス製金網を真空乾燥させ、乾燥後の前記不溶物とステンレス製金網の合計質量(Zg)を測定する。下記式(1)から、積層フィルムのゲル分率を算出する。
積層フィルムのゲル分率(質量%)=(Z-Y)/X×100 (1)
前記積層フィルムは、電子線照射によって、例えば、熱機械分析時の特性が変化する。
例えば、積層フィルムについて熱機械分析を行ったとき、2000μmの変位を示す温度(本明細書においては、「2000μm変位温度」と略記することがある)は、120℃以上であることが好ましく、例えば、125~200℃、及び130~195℃のいずれかであってもよい。このような積層フィルムは、目的とする弾性率が得られ易い。
例えば、積層フィルムについて熱機械分析を行ったとき、温度が100℃での変位が500μm以下であることが好ましく、例えば、50~490μm、及び100~480μm以下のいずれかであってもよい。このような積層フィルムは、目的とする弾性率が得られ易い。
積層フィルムの熱機械分析は、例えば、JIS K 7196に準拠して、標準試料と、目的とする試料とを、一定速度で昇温したときの熱膨張量の差から、試料の熱膨張量を測定する方法によって、行うことができる。
第2樹脂層は、1層(単層)からなるものであってもよいし、2層以上の複数層からなるものであってもよい。第2樹脂層が複数層からなる場合、これら複数層は互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。
第2樹脂層の厚さは、前記積層フィルムの用途に応じて任意に設定でき、特に限定されない。
第2樹脂層の厚さは、通常、3~65μmであることが好ましく、3~55μmであることがより好ましく、3~40μmであることがさらに好ましく、例えば、3~30μmであってもよい。第2樹脂層の厚さが前記下限値以上であることで、第2樹脂層の強度がより向上するとともに、積層フィルムが第2樹脂層を備えていることによる効果が、より顕著に得られる。第2樹脂層の厚さが前記上限値以下であることで、過剰な厚さとなることが抑制される。
第2樹脂層が複数層からなる場合には、これら複数層の合計の厚さが、上記の数値範囲内であることが好ましい。
前記積層フィルム全体の厚さに対する、第2樹脂層の厚さの割合は、40%以下であることが好ましく、30%以下であることがより好ましく、例えば、20%以下、及び15%以下のいずれかであってもよい。前記割合が前記上限値以下であることで、前記積層フィルムの成形性がより向上する。
第2樹脂層の強度がより向上するとともに、積層フィルムが第2樹脂層を備えていることによる効果が、より顕著に得られる点では、前記割合は3%以上であることが好ましい。
前記割合は、例えば、3~40%、3~30%、及び3~15%のいずれかであってもよい。
第2樹脂層は、無延伸の層(フィルム)であることが好ましい。第2樹脂層が無延伸の層であることで、前記積層フィルムの成形性が向上する。
第2樹脂層は、耐熱性を有するため、例えば、外層(シーラント層側とは反対側の最表層)として好適である。
前記積層フィルムにおいては、E’(85)とE’(85)が、下記式:
’(85)/E’(85)≦0.80
を満たすことが好ましい。E’(85)/E’(85)値が前記上限値以下であることで、前記積層フィルムの成形性がより向上する。
このような効果がより高くなる点では、E’(85)/E’(85)値は、0.77以下であることがより好ましく、0.75以下であることがさらに好ましい。
’(85)/E’(85)値の下限値は、特に限定されない。例えば、E’(85)/E’(85)値が0.0005以上である積層フィルムは、より容易に製造できる。
’(85)/E’(85)値は、例えば、0.0005~0.80、0.0005~0.77、及び0.0005~0.75のいずれかであってもよい。
好ましい前記積層フィルムとしては、例えば、第1樹脂層と第2樹脂層が、前記同種のポリオレフィン系樹脂として、ともにポリエチレン系樹脂を含み、第1樹脂層が前記ポリエチレン系樹脂として、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、メタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレン及びエチレン-酢酸ビニル共重合体からなる群より選択される1種又は2種以上を含み、第2樹脂層が、前記ポリエチレン系樹脂として、高密度ポリエチレンを含み、第2樹脂層が、さらに、前記ポリエチレン系樹脂として、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン及びメタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレンからなる群より選択される1種又は2種以上を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい、積層フィルムが挙げられる。
前記積層フィルムにおいて、[第1樹脂層の厚さ]/[第2樹脂層の厚さ]の比率(厚さ比率)は、特に限定されないが、後述する第3樹脂層の有無によらず、例えば、0.15~10.0であってもよく、0.15~3.0であることが好ましい。前記厚さ比率がこのような範囲であることで、積層フィルムが第1樹脂層を備えていることにより得られる効果と、第2樹脂層を備えていることにより得られる効果とが、よりバランスよく得られる。
<第3樹脂層>
前記積層フィルムは、前記第1樹脂層と前記第2樹脂層との間に、さらに、これら以外の第3樹脂層を備えていてもよい。
前記第3樹脂層は、第1樹脂層及び第2樹脂層が含むポリオレフィン系樹脂と、同種のポリオレフィン系樹脂を含む。すなわち、第3樹脂層を備えた積層フィルムにおいて、第1樹脂層と、第2樹脂層と、第3樹脂層は、同種のポリオレフィン系樹脂を含む。
本実施形態においては、ポリオレフィン系樹脂の場合に限らず、「同種の樹脂」とは、共通の構成単位を有する樹脂同士を比較したとき、どちらの樹脂においても、構成単位の全量(モル)に対する、共通の構成単位の量(モル)の割合が、20モル%以上であるものを意味する。例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、メタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレン(mLLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、エチレン-アクリル酸メチル共重合体(EMA樹脂)、エチレン-メタクリル酸メチル共重合体(EMMA樹脂)、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-ビニルアルコール-酢酸ビニル共重合体(EVA部分ケン化物)等は、すべて、構成単位の全量(モル)に対する、エチレンから誘導された構成単位の量(モル)の割合が、20モル%以上であるため、同種であるとする。一方、例えば、プロピレン-エチレンランダム共重合体及びプロピレン-エチレンブロック共重合体等のうち、構成単位の全量(モル)に対する、エチレンから誘導された構成単位の量(モル)の割合が、20モル%未満であるものは、上述の低密度ポリエチレン等とは、同種ではないとする。
本実施形態において、同種の樹脂は、どちらの樹脂においても、構成単位の全量(モル)に対する、共通の構成単位の量(モル)の割合が、好ましくは30モル%以上、より好ましくは40モル%以上、さらに好ましくは50モル%以上であり、例えば、60モル%以上、70モル%以上、及び80モル%以上のいずれかであってもよい。
第3樹脂層を備えた積層フィルムは、第3樹脂層を備えていることによる効果を有するとともに、再利用適性が高い。
第3樹脂層が含む、前記同種のポリオレフィン系樹脂は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
第3樹脂層が含む、前記同種のポリオレフィン系樹脂は、ポリエチレン系樹脂であることが好ましい。
すなわち、第1樹脂層と、第2樹脂層と、第3樹脂層は、いずれもポリエチレン系樹脂を含むことが好ましい。
第3樹脂層が含む、前記同種のポリオレフィン系樹脂は、直鎖状低密度ポリエチレン及びメタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレンのいずれか一方又は両方であることが好ましい。第3樹脂層が直鎖状低密度ポリエチレン及びメタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレンのいずれか一方又は両方を含んでいることで、前記積層フィルムは、良好な耐ピンホール性を有する。
第3樹脂層は、本発明の効果を損なわない範囲で、第1樹脂層及び第2樹脂層が含むポリオレフィン系樹脂と同種のポリオレフィン系樹脂以外に、他の成分を含んでいてもよい。
第3樹脂層における前記他の成分は、樹脂成分(本明細書においては、「他の樹脂成分」と称することがある)及び非樹脂成分(本明細書においては、「他の非樹脂成分」と称することがある)のいずれであってもよい。
第3樹脂層における前記他の樹脂成分は、第1樹脂層及び第2樹脂層が含むポリオレフィン系樹脂と同種のポリオレフィン系樹脂以外の樹脂であれば、特に限定されない。
第3樹脂層における前記他の樹脂成分としては、第1樹脂層及び第2樹脂層が含むポリオレフィン系樹脂と同種ではないポリオレフィン系樹脂と、ポリオレフィン系樹脂以外の樹脂と、が挙げられる。
第3樹脂層に使用する(第3樹脂層が含む)ポリオレフィン系樹脂としては、αオレフィンコポリマー等のエラストマー成分;エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH);エチレン-ビニルアルコール-酢酸ビニル共重合体(EVA部分ケン化物)も挙げられる。エラストマーを含む第3樹脂層を備えた積層フィルムは、ナイロン等のポリアミドを含んでいなくても、耐ピンホール性が高く、高強度となる。EVOHを含む第3樹脂層を備えた積層フィルムは、酸素バリア性を有する。
第1樹脂層及び第2樹脂層が含むポリオレフィン系樹脂と同種ではないポリオレフィン系樹脂としては、第1樹脂層が含むポリオレフィン系樹脂として先に挙げたものと同様のもの;αオレフィンコポリマー等のエラストマー等が挙げられる。
前記エラストマーを含む第3樹脂層を備えた積層フィルムは、ナイロン等のポリアミドを含んでいなくても、耐ピンホール性が高く、高強度となる。
第3樹脂層における、ポリオレフィン系樹脂以外の樹脂としては、例えば、スチレン-エチレン・ブチレン-エチレンブロック共重合体等のエラストマーが挙げられる。
前記エラストマーを含む第3樹脂層を備えた積層フィルムは、ナイロン等のポリアミドを含んでいなくても、耐ピンホール性が高く、高強度となる。
第3樹脂層における前記非樹脂成分としては、第1樹脂層における前記非樹脂成分と同様のものが挙げられる。
第3樹脂層が含む前記他の成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
第3樹脂層において、第3樹脂層の総質量に対する、ポリオレフィン系樹脂の含有量(第1樹脂層及び第2樹脂層が含むポリオレフィン系樹脂と同種のポリオレフィン系樹脂と、第1樹脂層及び第2樹脂層が含むポリオレフィン系樹脂と同種ではないポリオレフィン系樹脂と、の合計含有量)の割合は、90~100質量%であることが好ましく、95~100質量%であることがより好ましく、例えば、97~100質量%、及び99~100質量%のいずれかであってもよい。前記割合が前記下限値以上であることで、第3樹脂層がポリオレフィン系樹脂を含んでいることによる効果が、より顕著に得られる。
前記割合は、通常、後述する第3樹脂組成物における、常温で気化しない成分の総含有量(質量部)に対する、ポリオレフィン系樹脂の含有量(第1樹脂層及び第2樹脂層が含むポリオレフィン系樹脂と同種のポリオレフィン系樹脂と、第1樹脂層及び第2樹脂層が含むポリオレフィン系樹脂と同種ではないポリオレフィン系樹脂と、の合計含有量)(質量部)の割合、と同じである。
第3樹脂層において、第3樹脂層の総質量に対する、第1樹脂層及び第2樹脂層が含むポリオレフィン系樹脂と同種のポリオレフィン系樹脂の含有量の割合は、80~100質量%であることが好ましく、90~100質量%であることがより好ましく、例えば、95~100質量%、及び99~100質量%のいずれかであってもよい。前記割合が前記下限値以上であることで、前記積層フィルムの再利用適性がより高くなる。
第3樹脂層は、1層(単層)からなるものであってもよいし、2層以上の複数層からなるものであってもよい。第3樹脂層が複数層からなる場合、これら複数層は互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。
複数層からなる第3樹脂層においては、すべての層が、第1樹脂層及び第2樹脂層が含むポリオレフィン系樹脂と、同種のポリオレフィン系樹脂を含む。
第3樹脂層の厚さは、前記積層フィルムの用途に応じて任意に設定でき、特に限定されない。
第3樹脂層の厚さは、通常、15~200μmであることが好ましく、30~160μmであることがより好ましく、50~120μmであることがさらに好ましい。第3樹脂層の厚さが前記下限値以上であることで、第3樹脂層の強度がより向上するとともに、積層フィルムが第3樹脂層を備えていることによる効果が、より顕著に得られる。第3樹脂層の厚さが前記上限値以下であることで、過剰な厚さとなることが抑制される。
第3樹脂層が複数層からなる場合には、これら複数層の合計の厚さが、上記の数値範囲内であることが好ましい。
前記積層フィルムが第3樹脂層を備えている場合、積層フィルム全体の厚さに対する、第3樹脂層の厚さの割合は、特に限定されないが、3~90%であることが好ましく、例えば、55~90%、及び70~90%のいずれかであってもよい。前記割合が前記下限値以上であることで、積層フィルムが第3樹脂層を備えていることにより得られる効果が、より高くなる。前記割合が前記上限値以下であることで、積層フィルムが第1樹脂層及び第2樹脂層を備えていることにより得られる効果が、より高くなる。
前記積層フィルムが第3樹脂層を備えている場合、積層フィルム全体の厚さに対する、第1樹脂層及び第2樹脂層の合計の厚さの割合は、特に限定されないが、10~97%であることが好ましく、例えば、10~45%、及び10~30%のいずれかであってもよい。前記割合が前記下限値以上であることで、積層フィルムが第1樹脂層及び第2樹脂層を備えていることにより得られる効果が、より高くなる。前記割合が前記上限値以下であることで、積層フィルムが第3樹脂層を備えていることにより得られる効果が、より高くなる。
第3樹脂層は、無延伸の層(フィルム)であることが好ましい。第3樹脂層が無延伸の層であることで、前記積層フィルムの成形性が向上する。
第3樹脂層は、例えば、耐ピンホール層、酸素バリア層等の中間層として好適である。
前記積層フィルムは、ナイロン等のポリアミドを含んでいなくても、耐ピンホール性が高く、高強度となる。
例えば、先端部の曲率半径が0.5mmである針の前記先端部を、500mm/分の速度で、前記積層フィルムに対して垂直に押し込んだとき、前記針が前記積層フィルムを貫通した瞬間に、前記針に加えられていた荷重を突き刺し強度(N)としたとき、この突き刺し強度が高いほど、積層フィルムの耐ピンホール性が高いといえる。
前記針としては、例えば、ステンレス鋼製のものが挙げられる。
前記積層フィルムの前記突き刺し強度は、3N以上であることが好ましく、例えば、3.5N以上、及び4N以上のいずれかであってもよい。
前記突き刺し強度の上限値は、特に限定されないが、例えば、前記突き刺し強度が12N以下である積層フィルムは、より容易に実現できる。
上記のような突き刺し強度が高い積層フィルムは、例えば、第3樹脂層を備えているもので、より容易に実現できる。第1樹脂層及び第2樹脂層、並びに、場合によっては第3樹脂層が含有する樹脂の種類と含有量を調節することによって、積層フィルムの突き刺し強度を調節できる。
エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)を含む樹脂層は、高い酸素バリア性を有する。したがって、例えば、エチレン-ビニルアルコール共重合体を含む第3樹脂層を備えた前記積層フィルムは、酸素バリア性を有する。
一方、エチレン-ビニルアルコール共重合体は、通常、エチレン-酢酸ビニル共重合体と、エチレン-ビニルアルコール-酢酸ビニル共重合体と(換言すると、エチレン-酢酸ビニル共重合体とその部分ケン化物)、のいずれにも該当しないポリオレフィン系樹脂との相溶性が低い。エチレン-ビニルアルコール-酢酸ビニル共重合体(エチレン-酢酸ビニル共重合体部分ケン化物)は、通常、エチレン-ビニルアルコール共重合体との相溶性を有し、さらに、エチレン-ビニルアルコール共重合体と、エチレン-酢酸ビニル共重合体と、エチレン-ビニルアルコール-酢酸ビニル共重合体と、のいずれにも該当しないポリオレフィン系樹脂(本明細書においては、「非ビニル系ポリオレフィン系樹脂」と称することがある)との相溶性を有する。したがって、第3樹脂層が、前記非ビニル系ポリオレフィン系樹脂と、エチレン-ビニルアルコール共重合体と、を含む場合には、この第3樹脂層は、これら樹脂以外にさらに、エチレン-ビニルアルコール-酢酸ビニル共重合体を含む樹脂層(本明細書においては、「樹脂層(I)」と称することがある)であることが好ましい。前記樹脂層(I)である第3樹脂層は、高い酸素バリア性を有する。
前記樹脂層(I)において、前記非ビニル系ポリオレフィン系樹脂は、第1樹脂層及び第2樹脂層が含むポリオレフィン系樹脂と、同種のポリオレフィン系樹脂であり、ポリエチレン系樹脂であることが好ましい。
前記樹脂層(I)において、エチレン-ビニルアルコール共重合体及びエチレン-ビニルアルコール-酢酸ビニル共重合体は、いずれも、第1樹脂層及び第2樹脂層が含むポリオレフィン系樹脂と、同種のポリオレフィン系樹脂であることが好ましい。
樹脂層(I)(エチレン-ビニルアルコール共重合体と、前記非ビニル系ポリオレフィン系樹脂と、エチレン-ビニルアルコール-酢酸ビニル共重合体と、を含む第3樹脂層)中の、エチレン-ビニルアルコール共重合体において、構成単位の全量(モル)に対する、エチレンから誘導された構成単位の量(モル)の割合は、20モル%以上であることが好ましく、20~80モル%であることがより好ましく、例えば、20~70モル%、20~60モル%、及び20~50モル%のいずれかであってもよいし、30~80モル%、40~80モル%、及び50~80モル%のいずれかであってもよいし、30~70モル%、及び40~60モル%のいずれかであってもよい。
樹脂層(I)において、樹脂層(I)の総質量に対する、エチレン-ビニルアルコール共重合体の含有量の割合は、例えば、25~70質量%であってもよい。ただし、樹脂層(I)の均一性と酸素バリア性がより高くなる点では、前記割合は、40~70質量%であることが好ましく、50~70質量%であることがより好ましく、例えば、55~65質量%であってもよい。
前記割合は、通常、樹脂層(I)を形成するための樹脂組成物(後述する第3樹脂組成物)における、常温で気化しない成分の総含有量(質量部)に対する、エチレン-ビニルアルコール共重合体の含有量(質量部)の割合、と同じである。
樹脂層(I)において、樹脂層(I)の総質量に対する、前記非ビニル系ポリオレフィン系樹脂の含有量の割合は、例えば、5~50質量%であってもよい。ただし、樹脂層(I)の均一性と酸素バリア性がより高くなる点では、前記割合は、5~35質量%であることが好ましく、5~20質量%であることがより好ましく、例えば、5~15質量%であってもよい。
前記割合は、通常、樹脂層(I)を形成するための樹脂組成物(後述する第3樹脂組成物)における、常温で気化しない成分の総含有量(質量部)に対する、前記非ビニル系ポリオレフィン系樹脂の含有量(質量部)の割合、と同じである。
樹脂層(I)において、樹脂層(I)の総質量に対する、エチレン-ビニルアルコール-酢酸ビニル共重合体の含有量の割合は、20~40質量%であることが好ましく、例えば、25~35質量%であってもよい。前記割合がこのような範囲であることで、エチレン-ビニルアルコール-酢酸ビニル共重合体を用いたことによる効果が、より顕著に得られる。
前記割合は、通常、樹脂層(I)を形成するための樹脂組成物(後述する第3樹脂組成物)における、常温で気化しない成分の総含有量(質量部)に対する、エチレン-ビニルアルコール-酢酸ビニル共重合体の含有量(質量部)の割合、と同じである。
樹脂層(I)において、樹脂層(I)の総質量に対する、エチレン-ビニルアルコール共重合体と、前記非ビニル系ポリオレフィン系樹脂と、エチレン-ビニルアルコール-酢酸ビニル共重合体と、の合計含有量の割合は、90~100質量%であることが好ましく、95~100質量%であることがより好ましく、例えば、97~100質量%、及び99~100質量%のいずれかであってもよい。前記割合が前記下限値以上であることで、樹脂層(I)の酸素バリア性がより高くなる。
前記割合は、通常、樹脂層(I)を形成するための樹脂組成物(後述する第3樹脂組成物)における、常温で気化しない成分の総含有量(質量部)に対する、エチレン-ビニルアルコール共重合体と、前記非ビニル系ポリオレフィン系樹脂と、エチレン-ビニルアルコール-酢酸ビニル共重合体と、の合計含有量(質量部)の割合、と同じである。
前記積層フィルムは、第3樹脂層として樹脂層(I)を備えている場合、樹脂層(I)を1層のみ備えていてもよいし、2層以上備えていてもよい。前記積層フィルムが樹脂層(I)を2層以上備えている場合、これら2層以上の樹脂層(I)は、互いに同一でも異なっていてもよく、これら樹脂層(I)の組み合わせは、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。
第3樹脂層として樹脂層(I)を備えた前記積層フィルムとしては、例えば、1層の樹脂層(I)と、前記樹脂層(I)の第1樹脂層側及び第2樹脂層側のいずれか一方又は両方に、1層又は2層の樹脂層(I)以外の第3樹脂層と、を備えたものが挙げられる。
このような前記積層フィルムとして、より具体的には、例えば、第1樹脂層と、1層の樹脂層(I)(第3樹脂層)と、1層又は2層の樹脂層(I)以外の第3樹脂層と、第2樹脂層と、がこの順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された、第3樹脂層が合計で2層又は3層の積層フィルム;第1樹脂層と、1層又は2層の樹脂層(I)以外の第3樹脂層と、1層の樹脂層(I)(第3樹脂層)と、第2樹脂層と、がこの順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された、第3樹脂層が合計で2層又は3層の積層フィルム;第1樹脂層と、1層又は2層の樹脂層(I)以外の第3樹脂層と、1層の樹脂層(I)(第3樹脂層)と、1層又は2層の樹脂層(I)以外の第3樹脂層と、第2樹脂層と、がこの順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された、第3樹脂層が合計で3~5層の積層フィルムが挙げられる。
ここで例示した積層フィルムにおいて、第1樹脂層と、樹脂層(I)と、樹脂層(I)以外の第3樹脂層と、第2樹脂層とは、すべて同種のポリオレフィン系樹脂を含む。
ここで例示した積層フィルムにおいて、第1樹脂層及び第2樹脂層は、いずれも1層のみであってもよいし、2層以上であってもよい。
前記積層フィルムで好ましいものとしては、例えば、酸素バリア性を有するという点では、前記第3樹脂層が3層以上の複数層からなり、そのうちの少なくとも1層が、前記非ビニル系ポリオレフィン系樹脂と、エチレン-ビニルアルコール共重合体と、エチレン-ビニルアルコール-酢酸ビニル共重合体と、を含む(すなわち、前記樹脂層(I)である)ものが挙げられる。
このような前記樹脂層(I)である第3樹脂層においては、前記非ビニル系ポリオレフィン系樹脂と、エチレン-ビニルアルコール共重合体と、エチレン-ビニルアルコール-酢酸ビニル共重合体と、からなる群より選択される1種又は2種以上が、第1樹脂層及び第2樹脂層が含むポリオレフィン系樹脂と、同種のポリオレフィン系樹脂であればよい。
例えば、前記非ビニル系ポリオレフィン系樹脂が前記同種のポリオレフィン系樹脂である場合には、エチレン-ビニルアルコール共重合体と、エチレン-ビニルアルコール-酢酸ビニル共重合体と、のいずれか一方又は両方が、前記同種のポリオレフィン系樹脂であってもよいし、エチレン-ビニルアルコール共重合体と、エチレン-ビニルアルコール-酢酸ビニル共重合体と、の両方が、前記同種のポリオレフィン系樹脂でなくてもよい。
第3樹脂層として樹脂層(I)を備えた前記積層フィルムにおいて、積層フィルム全体の厚さに対する、樹脂層(I)の厚さの割合は、特に限定されないが、4~15%であることが好ましい。前記割合が前記下限値以上である樹脂層(I)は、厚さの均一性がより高い。前記割合が前記上限値以下であることで、積層フィルムの再利用適性がより高くなる。
前記積層フィルムが第3樹脂層として樹脂層(I)を備えている場合、JIS K 7126-2:2006に準拠して測定された、温度23℃、相対湿度(RH)50%の条件下での、前記積層フィルムの酸素透過量は、500ml/(m・24h・atm)以下であってもよいが、100ml/(m・24h・atm)以下であることが好ましく、50ml/(m・24h・atm)以下であることよりが好ましく、25ml/(m・24h・atm)以下であることがさらに好ましく、例えば、10ml/(m・24h・atm)以下であってもよい。一方、前記積層フィルムの酸素透過量は、0ml/(m・24h・atm)以上である。
前記積層フィルムの酸素透過量は、積層フィルムを構成するいずれかの層において、その含有成分の種類、含有成分の量又は厚さ等を調節することで、調節できる。
例えば上述のとおり、積層フィルムを、EVOHを含む第3樹脂層を備えて構成することによって、積層フィルムの酸素透過量を容易に低減できる。ただし、これは一例であり、積層フィルムの酸素透過量の調節は、他の層の調節によって行うこともできる。
前記積層フィルムが第3樹脂層として樹脂層(I)を備えている場合、前記積層フィルムの、その第2樹脂層側の外部から測定したヘーズは、35%以下、及び30%以下のいずれかであってもよいが、20%以下であることが好ましい。前記ヘーズが前記上限値以下である積層フィルムの酸素バリア性は、より高い。これは、樹脂層(I)の均一性が高く、樹脂層(I)の酸素バリア性が高いことによる。また、前記ヘーズが前記上限値以下であることで、前記積層フィルムを用いて得られた包装体においては、内容物の視認性がより良好となる。
本明細書において、「ヘーズ」とは、JIS K 7136:2000に準拠して測定されたものを意味する。
第3樹脂層を備えた好ましい前記積層フィルムとしては、例えば、第1樹脂層と、第2樹脂層と、第3樹脂層とが、前記同種のポリオレフィン系樹脂として、いずれもポリエチレン系樹脂を含み、第1樹脂層が前記ポリエチレン系樹脂として、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、メタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレン及びエチレン-酢酸ビニル共重合体からなる群より選択される1種又は2種以上を含み、第2樹脂層が、前記ポリエチレン系樹脂として、高密度ポリエチレンを含み、第2樹脂層が、さらに、前記ポリエチレン系樹脂として、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン及びメタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレンからなる群より選択される1種又は2種以上を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよく、第3樹脂層が、前記ポリエチレン系樹脂として、直鎖状低密度ポリエチレン及びメタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレンのいずれか一方又は両方を含む、積層フィルムが挙げられる。
前記積層フィルムは、これを構成する各層(第1樹脂層及び第2樹脂層、並びに、場合によっては第3樹脂層)が、同種のポリオレフィン系樹脂を含んでいるため、再利用適性が高いだけでなく、各層を、接着層を介さずに、密着させることができる。すなわち、前記積層フィルムは、接着層を備えていなくても、各層の密着性が高い。また、このように接着層を備えていない積層フィルムは、低コストで製造できる。
前記積層フィルムにおいて、前記積層フィルムの総質量に対する、前記同種のポリオレフィン系樹脂の含有量の割合は、90%以上であることが好ましく、92%以上であることがより好ましく、95%以上であることがさらに好ましい。前記割合が前記下限値以上であることで、前記積層フィルムのモノマテリアル化(積層フィルムを単一の素材で構成すること)が実現でき、前記積層フィルム全体を容易に再利用することができる。
前記積層フィルムについて、動的粘弾性測定(DMA)を行ったとき、振動周波数が1Hzである場合の110℃での弾性率E’(110)は、1.5×10Pa以下であり、1.0×10Pa以下であることが好ましく、9.5×10Pa以下であることがより好ましい。E’(110)が前記上限値以下であることで、前記積層フィルムの成形性が高くなっている。
’(110)の下限値は、特に限定されない。例えば、E’(110)が5.0×10Pa以上である積層フィルムは、より容易に製造できる。
’(110)は、例えば、5.0×10~1.5×10Pa、5.0×10~1.0×10Pa、及び5.0×10~9.5×10Paのいずれかであってもよい。
動的粘弾性測定を行う前記積層フィルム、すなわち、積層フィルム試験片としては、幅が4mmであり、長さが5cm以上であるものが挙げられる。このような積層フィルム試験片を用い、その動的粘弾性測定を行う測定対象部位の長さを2cmとなるように、積層フィルム試験片を設置して、積層フィルム試験片を、昇温速度3℃/minで昇温させて、動的粘弾性測定を行うことが好ましい。このような条件とすることで、E’(110)をより高精度に測定できる。
’(110)は、積層フィルムを構成するいずれかの層において、その含有成分の種類、含有成分の量又は厚さ等を調節することで、調節できる。特に上述のE’(85)、E’(110)、又はE’(85)を調節することで、E’(110)をより容易に調節できる。
前記積層フィルムの全体の厚さは、特に限定されない。
例えば、全体の厚さが、好ましくは50~350μm、より好ましくは50~160μm、さらに好ましくは80~150μmである積層フィルムの成形性は、より高い。
前記積層フィルムにおいては、これを構成するすべての層(例えば、第1樹脂層~第3樹脂層)が、無延伸の層(フィルム)であることが好ましい。このような、無延伸の積層フィルムは、成形性に特に優れ、例えば、深絞り包装体を構成するのに特に適している。
図1は、本実施形態の積層フィルムの一例を模式的に示す断面図である。
ここに示す積層フィルム1は、第1樹脂層11と、第1樹脂層11の一方の面(本明細書においては「第1面」と称することがある)11a上に設けられた第2樹脂層12と、を備えて、構成されている。
積層フィルム1は、さらに、第1樹脂層11と第2樹脂層12との間に、第3樹脂層13を備えている。
すなわち、積層フィルム1は、第1樹脂層11、第3樹脂層13及び第2樹脂層12がこの順に、これらの厚さ方向において積層されて、構成されている。
第1樹脂層11、第2樹脂層12及び第3樹脂層13は、いずれも、先に説明したものである。
第3樹脂層13は、任意の構成であり、積層フィルム1は、第3樹脂層13を備えていなくてもよい。
第1樹脂層11の一方の面(第2樹脂層12側とは反対側の面、本明細書においては「第2面」と称することがある)11bは、露出面である。
第2樹脂層12の一方の面(第1樹脂層11側とは反対側の面、本明細書においては「第1面」と称することがある)12aは、露出面である。
積層フィルム1のE’(110)は、1.5×10Pa以下である。
前記積層フィルムは、本発明の効果を損なわない範囲で、第1樹脂層と、第2樹脂層と、第3樹脂層と、のいずれにも該当しない、他の層を備えていてもよいが、前記他の層を備えていないことが好ましい。
前記他の層は、ポリオレフィン系樹脂を含まない層であり、このような他の層を備えていないことにより、前記積層フィルムの再利用適性が、より高くなる。
<<積層フィルムの製造方法>>
前記積層フィルムは、例えば、数台の押出機を用いて、各層の形成材料となる樹脂又は樹脂組成物等を溶融押出するフィードブロック法や、マルチマニホールド法等の共押出Tダイ法、空冷式又は水冷式共押出インフレーション法等により、製造できる。
また、前記積層フィルムは、そのうちのいずれか2層以上を構成するための2枚以上のフィルムをあらかじめ別々に作製しておき、接着剤を用いずに、サーマル(熱)ラミネート法等によって貼り合わせて積層し、必要に応じて、これら以外の層を目的とする配置形態となるようにさらに積層することでも、製造できる。
前記積層フィルム中のいずれかの層の形成材料となる前記樹脂組成物は、形成する層が目的とする成分を、目的とする含有量で含むように、含有成分の種類と含有量を調節して、製造すればよい。例えば、前記樹脂組成物中の、常温で気化しない成分同士の含有量の比率は、通常、この樹脂組成物から形成された層中の、前記成分同士の含有量の比率と同じとなる。
第1樹脂層(図1に示す積層フィルム1においては第1樹脂層11)を形成するための樹脂組成物(本明細書においては、「第1樹脂組成物」と称することがある)としては、例えば、前記ポリオレフィン系樹脂と、必要に応じてそれ以外の他の成分と、を含有するものが挙げられる。前記他の成分は、先に説明した成分である。
第2樹脂層(図1に示す積層フィルム1においては第2樹脂層12)を形成するための樹脂組成物(本明細書においては、「第2樹脂組成物」と称することがある)としては、例えば、前記ポリオレフィン系樹脂と、必要に応じてそれ以外の他の成分と、を含有するものが挙げられる。前記他の成分は、先に説明した成分である。
第3樹脂層(図1に示す積層フィルム1においては第3樹脂層13)を形成するための樹脂組成物(本明細書においては、「第3樹脂組成物」と称することがある)としては、例えば、前記ポリオレフィン系樹脂と、必要に応じてそれ以外の他の成分と、を含有するものが挙げられる。前記他の成分は、先に説明した成分である。
<<包装体>>
前記積層フィルムは、包装体の材料として好適である。
すなわち、好ましい包装体としては、前記積層フィルムを用いて構成されたものが挙げられる。
本実施形態の包装体は、前記積層フィルムを用いて、包装対象物を包装することで、製造できる。包装体の製造時には、前記積層フィルム中の第1樹脂層を包装対象物側に配置し、第2樹脂層を包装対象物側とは反対側に配置して、包装対象物を包装することが好ましい。
例えば、前記積層フィルムは、深絞り包装体用として好適であり、深絞り包装体の蓋材と底材のどちらを構成するのにも好適である。特に、成形性が良好な前記積層フィルムは、収納部を構成するための凹部を有する底材を構成するのに好適である。
図2は、本実施形態の積層フィルムを備えた包装体の一例を模式的に示す断面図である。
ここに示す包装体101は、蓋材8と、底材10と、を備えており、樹脂フィルムを深絞り成形して得られた深絞り包装体である。
蓋材8及び底材10のいずれか一方又は両方は、図1に示す積層フィルム1を用いて、構成されている。
図2中の蓋材8又は底材10においては、これを構成している積層フィルム1中の各層の区別を省略している。
底材10には、凹部100が形成されている。
底材10の凹部100を除く領域の一方の面(本明細書においては、「第2面」と称することがある)10bと、蓋材8の一方の面(本明細書においては、「第2面」と称することがある)8bとは、いずれもシール面であり、互いに対向している。
包装体101は、蓋材8及び底材10のシールによって構成されている。より具体的には、底材10の凹部100を除く領域の第2面10bと、蓋材8の第2面8bは、重ね合わされ、互いにこれらの周縁部近傍の領域においてシールされている。その結果、底材10の凹部100の領域において、底材10の第2面10bと、蓋材8の第2面8bと、の間に、収納部101aが形成されている。この収納部101a内に、収納物9が収納されている。
底材10が積層フィルム1を用いて構成されている場合、底材10の一方の面(第2面)10bは、積層フィルム1中の第1樹脂層11の第2面11bと同じであることが好ましい。底材10の他方の面(本明細書においては、「第1面」と称することがある)10aは、積層フィルム1中の第2樹脂層12の第1面12aと同じであることが好ましい。
蓋材8が積層フィルム1を用いて構成されている場合、蓋材8の一方の面(第2面)8bは、積層フィルム1中の第1樹脂層11の第2面11bと同じであることが好ましい。蓋材8の他方の面(本明細書においては、「第1面」と称することがある)8aは、積層フィルム1中の第2樹脂層12の第1面12aと同じであることが好ましい。
図2においては、包装体101の収納部101a内において、収納物9と底材10との間、並びに、収納物9と蓋材8との間には、一部隙間が見られるが、これら隙間の存在は、収納物9を収納した状態の包装体101において、必須ではない。
底材10のその平坦部における厚さと、蓋材8の厚さは、いずれも、先に説明した積層フィルム1の厚さと同様であってもよい。
ここまでは、前記積層フィルムを備えた包装体として、深絞り包装体を例に挙げて説明したが、前記積層フィルムを備えた包装体は、深絞り包装体に限定されず、他の包装体であってもよい。
ここまでは、前記包装体として、図1に示す積層フィルム1を用いて構成された包装体を例に挙げて説明したが、前記包装体は、これに限定されず、積層フィルム1以外の本実施形態の積層フィルムを用いて構成されていてもよい。
<<包装体の製造方法>>
前記包装体は、例えば、前記積層フィルム同士、又は、前記積層フィルムと、前記積層フィルム以外の他の樹脂フィルムと、によって、包装対象物(換言すると収納物)を収納するための収納部を形成しながら、包装対象物を収納して行き、これらフィルムの前記収納部以外の領域を加熱シールすることにより、製造できる。
以下、具体的実施例により、本発明についてさらに詳しく説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施例に何ら限定されるものではない。
[実施例1]
<<積層フィルムの製造>>
以下に示す手順により、図1に示す構成の積層フィルムを製造した。
すなわち、第1樹脂層を構成する樹脂として、低密度ポリエチレン(LDPE)(住友化学社製「スミカセン(登録商標)L211」、密度0.924g/cm)を用意した。
第2樹脂層を構成する樹脂として、高密度ポリエチレン(HDPE)(東ソー社製「ニポロンハード(登録商標)4010」、密度0.964g/cm、メルトマスフローレイト5.4g/10min)を用意した。
第3樹脂層を構成する樹脂として、メタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレン(mLLDPE)(宇部丸善ポリエチレン社製「ユメリット(登録商標)1520F」、密度0.913g/cm)を用意した。
前記LDPEと、前記mLLDPEと、前記HDPEとを、この順で共押出しすることにより、第1樹脂層(厚さ10μm)と、第3樹脂層(厚さ80μm)と、第2樹脂層(厚さ10μm)とが、この順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された積層フィルム(厚さ100μm)を得た。第1樹脂層と、第3樹脂層と、第2樹脂層は、いずれも無延伸の層である。
<<積層フィルムの評価>>
<E’(110)の測定>
上記で得られた積層フィルムから、長さ15cm、幅4mmの積層フィルム試験片を切り出し、測定対象部位の長さが2cmとなるように、この積層フィルム試験片をサンプルホルダー内に設置した。
次いで、動的粘弾性測定装置(日立ハイテクサイエンス社製「DMA 7100」)を用いて、引っ張りモードで、25℃から135℃の温度範囲において、変位10μm、振動周波数1Hz、昇温速度3℃/minの条件で、積層フィルム試験片の動的粘弾性測定を行い、E’(110)を測定した。結果を表1に示す。
<E’(110)及びE’(85)の測定>
前記HDPEを押出成形することにより、試験用樹脂フィルム(厚さ100μm)を得た。
この試験用樹脂フィルムから、長さ15cm、幅4mmの第2試験片(厚さ100μm)を切り出し、測定対象部位の長さが2cmとなるように、この第2試験片をサンプルホルダー内に設置した。
次いで、動的粘弾性測定装置(日立ハイテクサイエンス社製「DMA 7100」)を用いて、引っ張りモードで、25℃から135℃の温度範囲において、変位10μm、振動周波数1Hz、昇温速度3℃/minの条件で、第2試験片の動的粘弾性測定を行い、E’(110)及びE’(85)を測定した。結果を表1に示す。
<E’(85)の測定>
前記LDPEを押出成形することにより、試験用樹脂フィルム(厚さ100μm)を得た。
この試験用樹脂フィルムから、長さ15cm、幅4mmの第1試験片(厚さ100μm)を切り出し、測定対象部位の長さが2cmとなるように、この第1試験片をサンプルホルダー内に設置した。
次いで、上記の第2試験片の場合と同じ方法で、第1試験片の動的粘弾性測定を行い、E’(85)を測定した。さらに、E’(85)/E’(85)値を算出した。結果を表1に示す。
<積層フィルムの成形性の評価>
深絞り成形機(MULTIVAC社製「R535」)を用い、下記成形条件で、上記で得られた積層フィルムに凹部(ポケット)を形成して深絞り成形することにより、6個の成形体を製造した。
[成形条件]
成形温度:110℃
加熱時間:1.5秒
成形時間:2.0秒
使用型サイズ:幅110mm、長さ150mm、深さ30mm、4箇所の角部のうちの3箇所の曲率半径が10mm、残りの1箇所の曲率半径が35mm。
得られた6個の成形体のうち3個について、これらの凹部の四隅における厚さを、マイクロメータを用いて測定し、下記基準に従って、積層フィルムの成形性を評価した。結果を表1に示す。
[評価基準]
A:最も薄い部位の厚さが18μm以上であり、成形性に優れている。
B:最も薄い部位の厚さが13μm以上18μm未満であり、成形性が不良である。
C:最も薄い部位の厚さが13μm未満であり、成形性がより不良である。
D:成形時にフィルムが溶融変形しており、成形性が特に不良である。
<<積層フィルムの製造及び評価>>
[実施例2]
第2樹脂層を構成する樹脂として、前記mLLDPE(宇部丸善ポリエチレン社製「ユメリット(登録商標)1520F」、密度0.913g/cm)を用意した。
前記HDPE(70質量部)と、前記mLLDPE(30質量部)と、を混合することにより、第2樹脂組成物(1)を準備した。
前記HDPEに代えて、この第2樹脂組成物(1)を用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、第1樹脂層(厚さ10μm)と、第3樹脂層(厚さ80μm)と、第2樹脂層(厚さ10μm)とが、この順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された積層フィルム(厚さ100μm)を得た。第1樹脂層と、第3樹脂層と、第2樹脂層は、いずれも無延伸の層である。
この積層フィルムについて、実施例1の場合と同じ方法で評価した。結果を表1に示す。
[実施例3]
第2樹脂層を構成する樹脂として、前記mLLDPE(宇部丸善ポリエチレン社製「ユメリット(登録商標)1520F」、密度0.913g/cm)を用意した。
前記HDPE(50質量部)と、前記mLLDPE(50質量部)と、を混合することにより、第2樹脂組成物(2)を準備した。
前記HDPEに代えて、この第2樹脂組成物(2)を用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、第1樹脂層(厚さ10μm)と、第3樹脂層(厚さ80μm)と、第2樹脂層(厚さ10μm)とが、この順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された積層フィルム(厚さ100μm)を得た。第1樹脂層と、第3樹脂層と、第2樹脂層は、いずれも無延伸の層である。
この積層フィルムについて、実施例1の場合と同じ方法で評価した。結果を表1に示す。
[実施例4]
第2樹脂層を構成する樹脂として、前記mLLDPE(宇部丸善ポリエチレン社製「ユメリット(登録商標)1520F」、密度0.913g/cm)を用意した。
前記HDPE(30質量部)と、前記mLLDPE(70質量部)と、を混合することにより、第2樹脂組成物(3)を準備した。
前記HDPEに代えて、この第2樹脂組成物(3)を用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、第1樹脂層(厚さ10μm)と、第3樹脂層(厚さ80μm)と、第2樹脂層(厚さ10μm)とが、この順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された積層フィルム(厚さ100μm)を得た。第1樹脂層と、第3樹脂層と、第2樹脂層は、いずれも無延伸の層である。
この積層フィルムについて、実施例1の場合と同じ方法で評価した。結果を表1に示す。
[実施例5]
第1樹脂層を構成する樹脂として、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)(三井・ダウポリケミカル社製「エバフレックス(登録商標)V5714C」、密度0.940g/cm)を準備した。
第2樹脂層を構成する樹脂として、前記mLLDPE(宇部丸善ポリエチレン社製「ユメリット(登録商標)1520F」、密度0.913g/cm)を用意した。
前記HDPE(50質量部)と、前記mLLDPE(50質量部)と、を混合することにより、第2樹脂組成物(2)を準備した。
前記LDPEに代えて前記EVAを用いた点と、前記HDPEに代えて前記第2樹脂組成物(2)を用いた点、以外は、実施例1の場合と同じ方法で、第1樹脂層(厚さ10μm)と、第3樹脂層(厚さ80μm)と、第2樹脂層(厚さ10μm)とが、この順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された積層フィルム(厚さ100μm)を得た。第1樹脂層と、第3樹脂層と、第2樹脂層は、いずれも無延伸の層である。
この積層フィルムについて、実施例1の場合と同じ方法で評価した。結果を表1に示す。
[比較例1]
樹脂の共押出し時の条件を変更した点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、第1樹脂層(厚さ20μm)と、第3樹脂層(厚さ70μm)と、第2樹脂層(厚さ10μm)とが、この順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された積層フィルム(厚さ100μm)を得た。第1樹脂層と、第3樹脂層と、第2樹脂層は、いずれも無延伸の層である。
この積層フィルムについて、実施例1の場合と同じ方法で評価した。結果を表1に示す。
[実施例6]
第2樹脂層を構成する樹脂として、前記LDPE(住友化学社製「スミカセン(登録商標)L211」、密度0.924g/cm)を用意した。
前記HDPE(70質量部)と、前記LDPE(30質量部)と、を混合することにより、第2樹脂組成物(4)を準備した。
前記HDPEに代えて、この第2樹脂組成物(4)を用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、第1樹脂層(厚さ10μm)と、第3樹脂層(厚さ80μm)と、第2樹脂層(厚さ10μm)とが、この順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された積層フィルム(厚さ100μm)を得た。第1樹脂層と、第3樹脂層と、第2樹脂層は、いずれも無延伸の層である。
この積層フィルムについて、実施例1の場合と同じ方法で評価した。結果を表2に示す。
[実施例7]
第2樹脂層を構成する樹脂として、前記LDPE(住友化学社製「スミカセン(登録商標)L211」、密度0.924g/cm)を用意した。
前記HDPE(50質量部)と、前記LDPE(50質量部)と、を混合することにより、第2樹脂組成物(5)を準備した。
前記HDPEに代えて、この第2樹脂組成物(5)を用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、第1樹脂層(厚さ10μm)と、第3樹脂層(厚さ80μm)と、第2樹脂層(厚さ10μm)とが、この順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された積層フィルム(厚さ100μm)を得た。第1樹脂層と、第3樹脂層と、第2樹脂層は、いずれも無延伸の層である。
この積層フィルムについて、実施例1の場合と同じ方法で評価した。結果を表2に示す。
[実施例8]
第2樹脂層を構成する樹脂として、前記LDPE(住友化学社製「スミカセン(登録商標)L211」、密度0.924g/cm)を用意した。
前記HDPE(30質量部)と、前記LDPE(70質量部)と、を混合することにより、第2樹脂組成物(6)を準備した。
前記HDPEに代えて、この第2樹脂組成物(6)を用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、第1樹脂層(厚さ10μm)と、第3樹脂層(厚さ80μm)と、第2樹脂層(厚さ10μm)とが、この順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された積層フィルム(厚さ100μm)を得た。第1樹脂層と、第3樹脂層と、第2樹脂層は、いずれも無延伸の層である。
この積層フィルムについて、実施例1の場合と同じ方法で評価した。結果を表2に示す。
[実施例9]
第1樹脂層を構成する樹脂として、前記EVA(三井・ダウポリケミカル社製「エバフレックス(登録商標)V5714C」、密度0.940g/cm)を用意した。
第2樹脂層を構成する樹脂として、前記LDPE(住友化学社製「スミカセン(登録商標)L211」、密度0.924g/cm)を用意した。
前記HDPE(50質量部)と、前記LDPE(50質量部)と、を混合することにより、第2樹脂組成物(5)を準備した。
前記LDPEに代えて前記EVAを用いた点と、前記HDPEに代えて前記第2樹脂組成物(5)を用いた点、以外は、実施例1の場合と同じ方法で、第1樹脂層(厚さ10μm)と、第3樹脂層(厚さ80μm)と、第2樹脂層(厚さ10μm)とが、この順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された積層フィルム(厚さ100μm)を得た。第1樹脂層と、第3樹脂層と、第2樹脂層は、いずれも無延伸の層である。
この積層フィルムについて、実施例1の場合と同じ方法で評価した。結果を表2に示す。
[比較例2]
第2樹脂層を構成する樹脂として、前記mLLDPE(宇部丸善ポリエチレン社製「ユメリット(登録商標)1520F」、密度0.913g/cm)を用意した。
前記LDPEと、前記mLLDPEとを、この順で共押出しすることにより、第1樹脂層(厚さ10μm)と、第2樹脂層(厚さ90μm)とが、これらの厚さ方向において積層されて構成された積層フィルム(厚さ100μm)を得た。第1樹脂層と第2樹脂層は、いずれも無延伸の層である。
この積層フィルムについて、実施例1の場合と同じ方法で評価した。結果を表2に示す。
[実施例10]
樹脂の共押出し時の条件を変更した点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、第1樹脂層(厚さ5μm)と、第3樹脂層(厚さ85μm)と、第2樹脂層(厚さ10μm)とが、この順に、これらの厚さ方向において積層されて構成された積層フィルム(厚さ100μm)を得た。第1樹脂層と、第3樹脂層と、第2樹脂層は、いずれも無延伸の層である。
この積層フィルムについて、実施例1の場合と同じ方法で評価した。結果を表3に示す。
[実施例11]
第1樹脂層及び第2樹脂層を構成する樹脂として、前記mLLDPE(宇部丸善ポリエチレン社製「ユメリット(登録商標)1520F」、密度0.913g/cm)を用意した。
前記HDPE(50質量部)と、前記mLLDPE(50質量部)と、を混合することにより、第2樹脂組成物(2)を準備した。
前記mLLDPEと、前記第2樹脂組成物(2)とを、この順で共押出しすることにより、第1樹脂層(厚さ90μm)と、第2樹脂層(厚さ10μm)とが、これらの厚さ方向において積層されて構成された積層フィルム(厚さ100μm)を得た。第1樹脂層と第2樹脂層は、いずれも無延伸の層である。
この積層フィルムについて、実施例1の場合と同じ方法で評価した。結果を表3に示す。
<<単層フィルムの製造及び評価>>
[比較例3]
前記HDPEを押出し成形することにより、HDPEで構成された無延伸の単層フィルム(厚さ199μm)を得た。
そして、この単層フィルムについて、実施例1の場合と同じ方法で評価した。結果を表3に示す。
なお、表3中では、便宜上、この単層フィルムを第2樹脂層として示している。
Figure 2023042364000002
Figure 2023042364000003
Figure 2023042364000004
上記結果から明らかなように、実施例1~10においては、積層フィルムが第1樹脂層、第2樹脂層及び第3樹脂層を備え、第1樹脂層、第2樹脂層及び第3樹脂層が、PEを含んでおり、主たる含有成分が同種のポリオレフィン系樹脂であって、再利用適性が高かった。さらに、実施例1~11においては、積層フィルムの成形性が良好であった。
実施例11においては、積層フィルムが第1樹脂層及び第2樹脂層を備え、第1樹脂層及び第2樹脂層が、PEを含んでおり、主たる含有成分が同種のポリオレフィン系樹脂であって、再利用適性が高かった。さらに、実施例11においては、積層フィルムの成形性が良好であった。
実施例1~11において、E’(110)は、9.04×10Pa以下(1.87×10~9.04×10Pa)であった。
実施例1~11において、E’(110)は、1.71×10Pa以上(1.71×10~1.29×10Pa)であり、E’(85)は、5.55×10~2.90×10Paであった。
実施例1~11において、E’(85)は、1.24×10~4.12×10Paであった。
実施例1~11において、E’(85)/E’(85)値は、0.74Pa以下(0.001~0.74Pa)であった。
実施例1~11において、積層フィルム全体の厚さに対する、第2樹脂層の厚さの割合は、10%以下(5~10%)であった。
これに対して、比較例1においては、積層フィルムの成形性が不良であった。比較例1において、E’(110)は、1.86×10Paであった。比較例1においては、積層フィルムの第2樹脂層が前記HDPEで構成されており、かつ、積層フィルム全体の厚さに対する、第2樹脂層の厚さの割合が、20%であった。
比較例2においては、積層フィルムの成形性の評価時に、積層フィルムが溶融してしまい、成形性を評価できなかった。また、比較例2においては、積層フィルム及び第2試験片が溶融してしまい、E’(110)及びE’(110)を測定できなかった。比較例2においては、積層フィルムの第2樹脂層が前記LLDPEで構成されていた。
比較例3においては、単層フィルムの成形性が不良であった。比較例3において、積層フィルムの場合と同様にして測定したE’(110)は、1.29×10Paであった。比較例3においては、単層フィルムが前記HDPEで構成されていた。
本発明は、使用後の再利用が可能な各種包装体の製造に利用可能であり、特に、深絞り包装体の製造に好適に利用可能である。
1・・・積層フィルム
11・・・第1樹脂層
12・・・第2樹脂層
13・・・第3樹脂層
101・・・包装体(深絞り包装体)
8・・・蓋材
9・・・収納物
10・・・底材

Claims (8)

  1. 積層フィルムであって、
    前記積層フィルムは、第1樹脂層と第2樹脂層を備え、
    前記第1樹脂層と前記第2樹脂層は、同種のポリオレフィン系樹脂を含み、
    前記積層フィルムについて、動的粘弾性測定を行ったとき、振動周波数が1Hzである場合の110℃での弾性率E’(110)が1.5×10Pa以下である、積層フィルム。
  2. 前記第2樹脂層の試験片として、前記第2樹脂層と組成が同一であり、かつ前記積層フィルムと厚さが同一である第2試験片を用意し、前記第2試験片について、動的粘弾性測定を行ったとき、振動周波数が1Hzである場合の110℃での弾性率E’(110)が5.0×10Pa以上である、請求項1に記載の積層フィルム。
  3. 前記積層フィルムが、前記第1樹脂層と前記第2樹脂層との間に、さらに、第3樹脂層を備え、
    前記第1樹脂層と、前記第2樹脂層と、前記第3樹脂層が、同種のポリオレフィン系樹脂を含む、請求項1又は2に記載の積層フィルム。
  4. 前記第1樹脂層の試験片として、前記第1樹脂層と組成が同一であり、かつ前記積層フィルムと厚さが同一である第1試験片を用意し、
    前記第2樹脂層の試験片として、前記第2樹脂層と組成が同一であり、かつ前記積層フィルムと厚さが同一である第2試験片を用意し、
    前記第1試験片について、動的粘弾性測定を行ったときの、振動周波数が1Hzである場合の85℃での弾性率E’(85)と、前記第2試験片について、動的粘弾性測定を行ったときの、振動周波数が1Hzである場合の85℃での弾性率E’(85)とが、下記式:
    ’(85)/E’(85)≦0.80
    を満たす、請求項1~3のいずれか一項に記載の積層フィルム。
  5. 前記第2樹脂層が前記同種のポリオレフィン系樹脂を2種以上含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の積層フィルム。
  6. 前記積層フィルム全体の厚さに対する、前記第2樹脂層の厚さの割合が、40%以下である、請求項1~5のいずれか一項に記載の積層フィルム。
  7. 前記積層フィルムが深絞り包装体用である、請求項1~6のいずれか一項に記載の積層フィルム。
  8. 請求項1~7のいずれか一項に記載の積層フィルムを用いて構成された、包装体。
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