JP2023004748A - 金属顔料組成物の梱包体 - Google Patents

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Abstract

【課題】新規な金属顔料組成物の梱包体を提供する。【解決手段】本発明は、梱包容器に、金属粒子及び被覆層を有する複合粒子を含む金属顔料組成物を梱包した梱包体であって、複合粒子が所定の特性を満たし、少なくとも部分的に金属を含む基材を備えた梱包容器の金属顔料組成物と接触する部分に下記a)、b)より選ばれる1種類以上の保護層が形成されている梱包体である:a)グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、環状オキシラン型エポキシ樹脂、ノボラックフェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、及びフェノール樹脂で熱硬化させたエポキシ樹脂から成る群より選択される少なくとも一つを含む樹脂から形成された、厚みが1~200μmである保護層;b)燐酸金属塩から形成された、単位面積当たりの重量が0.1g/m2~10g/m2である保護層。【選択図】なし

Description

本発明は、新規な複合粒子を含む金属顔料組成物の梱包体ならびに梱包体の保存方法及び運搬方法に関する。さらに具体的には、本発明は、長期間保管しても個々の粒子の凝集性が小さく、優れた隠ぺい力、色調などを維持できる新規な複合粒子を含む金属顔料組成物の梱包体ならびに梱包体の保存方法及び運搬方法に関する。
従来から、メタリック塗料用、印刷インキ用、プラスチック練り込み用等に、メタリック感を重視する美粧効果を得る目的で金属顔料が使用されている。
近年、塗料分野においては、省資源、無公害化対策として、有機溶剤の使用量の少ない水性塗料への転換の必要性が高まっているが、金属顔料を含むメタリック塗料においては、未だ、実用可能な水性塗料の種類は十分ではない。この理由として、金属顔料は水性塗料中で腐食し易いことが挙げられる。水性塗料中に金属粉末が存在する場合には、各種金属の性質に基づいて、酸性、中性、塩基性のいずれか、あるいは複数の領域において水による腐食が起こり、水素ガスが発生する。これは塗料メーカーやインキメーカーにおける塗料やインキの製造工程や、自動車、家電メーカー、印刷メーカー等における塗装工程や印刷工程において、安全上極めて重大な問題である。また、腐食によって金属表面の平滑性が失われたり、顔料粒子同士が凝集したり、顔料粒子が変形したりするために色調低下は避けられない。
特許文献1(特開2003-147226号公報)には、無機モリブデン被膜を有し、更に該被膜を被覆する非晶質シリカからなる被膜を有するアルミニウム顔料が開示されている。また、特許文献2(国際公開第2004/096921号パンフレット)には、無機モリブデン被膜を有し、更に該被膜を被覆する非晶質シリカからなる被膜及び/又はシランカップリング剤から形成される被膜を有するアルミニウム顔料が開示されている。
しかしながら、これらの特許文献に記載のいずれの方法も、金属顔料の色調変化は避けられない。また、これらの方法では、特に、高温や多湿などの管理されていない環境下で長期間保存および/または運搬している間に、金属顔料の凝集や色調変化が進んでしまうという問題がある。
特許文献3(国際公開第2018/180936号パンフレット)には、凝集体が比較的少ない状態で分散された被覆顔料(金属顔料組成物)を提供することを目的として、金属粒子及びケイ素含有化合物層である被覆層を含み、4個以上の粒子が互い固着した集合体の割合が小さい複合粒子の被覆顔料が開示されている。
しかし、特許文献3には、攪拌レイノルズ数を所定範囲に調整することが好ましいこと以外に、目的とする凝集体が少ない被覆顔料をいかにして得ることができるのか具体的な教示を見出すことができない。また、特許文献3に規定された特性パラメーターの範囲を充足してもなお、それだけでは十分に満足な水素ガス発生の抑制性能、低凝集性、隠ぺい力、色調を得ることは困難である。また、その被覆顔料によっても、高温や多湿などの管理されていない環境下で長期間保存および/または運搬している間に、凝集や色調変化が進んでしまうという問題を解決することはできない。
特開2003-147226号公報 国際公開第2004/096921号パンフレット 国際公開第2018/180936号パンフレット
本発明の目的は、従来技術にない新規な複合粒子を含む金属顔料組成物の梱包体ならびに梱包体の保存方法及び運搬方法を提供することである。
本発明の更なる目的は、従来技術の不都合が解消された、すなわち、貯蔵安定性に優れ、個々の粒子の凝集性が小さく、優れた隠ぺい力、色調などを有し、かつ、高温や多湿などの管理されていない環境下で長期間保存および/または運搬してもこれらの特徴を維持できる新規な技術を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、梱包容器に金属粒子及びその表面上にある1層以上の被覆層を有する複合粒子を含む金属顔料組成物を梱包した梱包体において、梱包容器の該金属顔料組成物と接触する部分に特定の保護層を形成することにより、梱包体中の該金属顔料組成物の凝集や色調変化の進行を抑制することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の諸態様は以下のとおりである。
[1].
梱包容器に、金属粒子及びその表面上にある1層以上の被覆層を有する複合粒子を含む金属顔料組成物を梱包した梱包体であって、下記(1)~(4)を満足する梱包体:
(1)複合粒子の形状が鱗片状であること、
(2)レーザー回折式粒度分布計にて粒度分布を測定した場合の複合粒子の体積基準のD50が1~30μmであること、
(3)複合粒子の平均厚みが20~400nmであること、
(4)梱包容器が、少なくとも部分的に金属を含む基材を備え、且つ、梱包容器の該金属顔料組成物と接触する部分に下記a)、b)より選ばれる1種類以上の保護層が形成されていること:
(a)グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、環状オキシラン型エポキシ樹脂、ノボラックフェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂、ポリエステル樹脂及び、フェノール樹脂で熱硬化させたエポキシ樹脂から成る群より選択される少なくとも一つを含む樹脂から形成された、厚み1~200μmの保護層;
(b)燐酸金属塩から形成された、単位面積当たりの重量が0.1g/m~10g/mである保護層。
[2].前記被覆層の少なくとも1層がケイ素化合物含有層である、上記[1]に記載の梱包体。
[3].金属粒子がアルミニウム又はアルミニウム合金である、上記[1]又は[2]に記載の梱包体。
[4].梱包体中の金属顔料組成物に含まれる水分が金属顔料組成物の質量に対して0~1000ppmである、上記[1]~[3]のいずれかに記載の梱包体。
[5].金属顔料組成物のpHが6~8の範囲である、上記[1]~[4]のいずれかに記載の梱包体。
[6].密閉された前記梱包体を20℃の屋内倉庫で1年間保管したとき、保管後の金属顔料組成物の残渣が0.05重量%以下である、上記[1]~[5]のいずれかに記載の梱包体。
[7].密閉された前記梱包体を60℃の加温室で3か月保管したとき、保管後の金属顔料組成物の残渣が0.05重量%以下である、上記[1]~[5]のいずれかに記載の梱包体。
[8].上記[1]~[7]のいずれかに記載の梱包体によって0~50℃にて金属顔料組成物を保管する保管方法。
[9].上記[1]~[7]のいずれかに記載の梱包体によって0~50℃にて金属顔料組成物を運搬する運搬方法。
本発明によれば、金属粒子及びその表面上にある1層以上の被覆層を有する複合粒子を含む金属顔料組成物を長期間保存および/または運搬しても、粒子の凝集や色調変化の進行を抑制することができる。また、このように粒子の凝集や色調変化の進行が抑制された高品質の金属顔料組成物は、水性塗料の原料として好適に使用することができる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
<梱包体>
本発明に係る梱包体は、梱包容器に、金属粒子及びその表面上にある1層以上の被覆層を有する複合粒子を含む金属顔料組成物を梱包した梱包体であって、下記(1)~(4)を満足する梱包体である。
(1)複合粒子の形状が鱗片状であること。
(2)レーザー回折式粒度分布計にて粒度分布を測定した場合の複合粒子の体積基準のD50が1~30μmであること。
(3)複合粒子の平均厚みが20~400nmであること。
(4)梱包容器が、少なくとも部分的に金属を含む基材を備え、且つ、金属顔料組成物と接触する部分に下記a)、b)より選ばれる1種類以上の保護層が形成されていること:
a)グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、環状オキシラン型エポキシ樹脂、ノボラックフェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、及びフェノール樹脂で熱硬化させたエポキシ樹脂から成る群より選択される少なくとも一つを含む樹脂から形成された、厚みが1~200μmである保護層;
b)燐酸金属塩から形成された、単位面積当たりの重量が0.1g/m~10g/mである保護層。
1.金属顔料組成物に含まれる複合粒子
本発明による金属顔料組成物は、金属粒子と、その表面上にある1層以上の被覆層とを有する複合粒子を含む。
本明細書において、用語「金属顔料組成物」は、金属粒子及びその表面上にある1層以上の被覆層を含む複合粒子が親水性溶媒を含む溶媒に分散され、または複合粒子が親水性溶媒を含む溶媒を同伴しており、任意選択でその他の成分を含み得る組成物を指す。
1)金属粒子
本発明の金属顔料組成物に含まれる複合粒子は、金属粒子と、その表面に形成されている1層以上の被覆層を含む。
複合粒子を構成する金属粒子の材質は、特に限定されず、例えばアルミニウム、アルミニウム合金、亜鉛、鉄、マグネシウム、ニッケル、銅、銀、錫、クロム、ステンレス鋼等のように、公知又は市販の金属顔料として使用されている金属のいずれであってもよい。本明細書において、複合粒子を構成する金属粒子の金属には、金属単体だけでなく、合金、金属間化合物も包含される。
このように、金属粒子は、1種のみの金属元素からなる金属を単独で使用してもよいし、2種以上の金属元素からなる金属を使用してもよい。
本発明における金属粒子は、アルミニウム元素を主成分とする金属が好ましく、例えば、アルミニウム又はアルミニウム合金であることが好ましく、アルミニウムであることがより好ましい。
金属粒子の形状は鱗片状(フレーク状)であることが好ましい。これにより、本発明の金属顔料組成物に含まれる複合粒子も鱗片状の形状を有することができる結果、高い隠蔽性等をより確実に得ることが容易となる。鱗片状の金属粒子のアスペクト比(平均粒径を平均厚みで割った形状係数)は、20以上400以下であることが好ましい。金属粒子のアスペクト比が20以上であることによって、より高い光輝感を得ることができる。また、金属粒子のアスペクト比が400以下であることによって、機械的強度が維持され、安定した色調を得ることができる。ここで、本発明に用いる金属粒子の平均厚みは公知の方法にて求めることができ、例えば、金属粒子の水面拡散面積および密度から算出する方法などを用いて求めることができる。
金属粒子の平均粒径は、後述する複合粒子の粒度分布におけるD50をもたらすことができるような平均粒径になる限りは特に制限されない。すなわち、複合粒子においてレーザー回折式粒度分布計にて体積分布を測定した場合のD50が1μm以上30μm以下となるように金属粒子の平均粒径を設定するのが望ましい。
金属粒子の平均粒径は、ボールミル等を用いて原料アトマイズド金属粉(例えばアルミニウム粉)を磨砕および篩分・ろ過する工程で、原料アトマイズド金属粉の粒径、ボールミルを用いる場合の磨砕ボールの1個あたりの質量、磨砕装置の回転数、篩分およびフィルタープレスの程度等を適宜調整することによって、制御することができる。
また、金属粒子は必ずしも金属のみで構成される必要はなく、本発明の効果を阻害しない限り、例えば合成樹脂の粒子、マイカ、ガラス等のような無機粒子の表面が金属で被覆された粒子等も使用することができる。本発明では、特に高い耐候性、小さい比重、入手のし易さ等の点で、アルミニウム又はアルミニウム合金から形成された粒子であることが望ましい。
複合粒子を構成する金属粒子として特に好適なのは、メタリック用顔料として一般に多用されているアルミニウムフレークである。アルミニウムフレークとしては、表面光沢性、白度、光輝性等、メタリック用顔料に要求される表面性状、粒径、形状を有するものが適している。アルミニウムフレークは、通常ペースト状態で市販されている。ペースト状のアルミニウムフレークは、通常、鱗片状のアルミニウム粉末、ならびに、粉砕時に用いられたミネラルスピリット(脂肪族系炭化水素)、脂肪酸の残存分、および、ソルベントナフサ、キシレン等の有機溶剤を含んでいてよい。ペースト状のアルミニウムフレークは、そのまま用いてもよいし、あるいは予め有機溶剤等で表面の脂肪酸等を除去して用いてもよい。
また、金属粒子として、複合粒子の状態で体積平均粒径(D50)が1μm以上30μm以下で平均厚みが20nm以上400nm以下となる、いわゆるアルミニウム蒸着箔も使用可能である。
2)金属顔料組成物
本発明による金属顔料組成物は、以下の物性要件をさらに満たすことを特徴とする。
(1)複合粒子の形状が鱗片状であること。
(2)レーザー回折式粒度分布計にて複合粒子の粒度分布を測定した場合の体積基準のD50が1μm以上30μm以下であること。
(3)複合粒子の平均厚みが20nm以上400nm以下であること。
(1)複合粒子の形状が鱗片状であること
本発明による金属顔料組成物の複合粒子の形状は、鱗片状(フレーク状)である。これにより、金属顔料組成物を用いて形成された塗膜は、高い光輝度、高いフリップフロップ感、高い隠蔽性等を発揮することができる。本明細書において、複合粒子の形状が「鱗片状」(フレーク状)であるとは、複合粒子の平均アスペクト比(平均粒径を平均厚みで割った形状係数)が20以上であることを指すものとする。高い光輝度、フリップフロップ感、隠蔽性等を得る観点から、鱗片状の複合粒子の平均アスペクト比は、20以上400以下であることが好ましい。平均アスペクト比が20以上であることによって、十分な光輝感を奏することができる一方、平均アスペクト比が400以下であることによって、フレークの機械的強度が維持され安定した色調を得ることができる。アスペクト比は25以上がより好ましく、30以上が更に好ましい。また350以下であることがより好ましく、300以下であることが更に好ましい。
本物性要件(1)における「複合粒子」は、複数の複合粒子が凝集・固着している場合にはその凝集物(集合体)を指す。
ここで、複合粒子の平均アスペクト比を算出するための平均粒径は、メディアン径と称される体積基準D50であり、この点については、後述の要件(2)に関する説明で詳述する。また、複合粒子の平均アスペクト比を算出するための平均厚みは、後述の要件(3)に関する説明で詳述する。
(2)レーザー回折式粒度分布計にて複合粒子の粒度分布を測定した場合の体積基準のD50が1μm以上30μm以下であること
レーザー回折式粒度分布計にて複合粒子の粒度分布を測定した場合の体積基準のD50は、1μm以上30μm以下である。これにより、金属顔料組成物を用いて形成された塗膜が、高い光輝度、高いフリップフロップ感、高い隠蔽性等を発揮すると共に、当該金属顔料組成物を構成する個々の粒子の凝集が抑制されてその凝集性は小さくなり得る。この体積基準のD50は、一般にメディアン径とも称される。
このような高い光輝度、高いフリップフロップ感、高い隠蔽性および個々の粒子の小さい凝集性を得る観点から、レーザー回折式粒度分布計にて複合粒子の粒度分布を測定した場合の体積基準のD50は、下限値としては1μm以上で、好ましくは2μm以上、より好ましくは3μm以上あり、上限値としては30μm以下で、好ましくは25μm以下、より好ましくは20μm以下である。
本物性要件(2)における「複合粒子」は、複数の複合粒子が凝集・固着している場合にはその凝集物(集合体)を指す。
ここで、レーザー回折式粒度分布計にて複合粒子の粒度分布を測定した場合の体積基準のD50は、体積累積粒度分布における累積度50%の粒径を指す。レーザー回折式粒度分布計としては、特に限定されないが、例えば「LA-300」(株式会社堀場製作所製)を使用することができる。測定溶剤としてはミネラルスピリットが使用され得る。例えば、試料の複合粒子を含む金属顔料組成物に対し、前処理として2分間の超音波分散を行った後、分散槽の中に投入し適当に分散されたことを確認後、D50を測定することができる。
金属顔料組成物に対して樹脂を添加して得られた樹脂組成物中の複合粒子の粒径は、この方法では測定できない。そのため、この場合の代替法として、例えば光学顕微鏡、レーザー顕微鏡等で樹脂組成物中の複合粒子を塗膜表面から撮影し、市販の画像解析ソフトを使用して、円相当径の分布を得ることにより粒径を求めるという方法を採用することができる。
金属顔料組成物に含まれる複合粒子の体積基準のD50は、後述する金属顔料組成物の製造方法において、ボールミル等を用いて原料アトマイズド金属粉(例えばアルミニウム粉)を磨砕および篩分・ろ過する工程で、原料アトマイズド金属粉の粒径、ボールミルを用いる場合の磨砕ボールの1個あたりの質量、磨砕装置の回転数、篩分およびフィルタープレスの程度等を適宜調整することによって、ならびに、例えばケイ素化合物含有層(および必要に応じてその他の被覆層)を被覆する工程で、用いる有機ケイ素化合物の種類、被覆工程(有機ケイ素化合物を加水分解させて用いる場合は、その工程も含む)でのpH、濃度、攪拌温度、攪拌時間、攪拌装置の種類、攪拌の動力/程度(攪拌翼の種類および直径、回転数、外部攪拌の有無等)等を適宜調整することによって、制御することができる。
(3)複合粒子の平均厚みが20nm以上400nm以下であること
本発明による金属顔料組成物に含まれる、金属粒子とその表面上にある1層以上の被覆層とを有する複合粒子の平均厚みは、20nm以上400nm以下である。これにより、上記要件(1)および(2)の充足と相俟って、金属顔料組成物を用いて形成された塗膜が、高い光輝度、高いフリップフロップ感、高い隠蔽性等を発揮することができる。
複合粒子の平均厚みは、上記観点から、下限値としては、20nm以上であり、好ましくは25nm以上であり、より好ましくは30nm以上である。上限値としては、400nm以下であり、350nm以下が好ましく、300nm以下がより好ましい。
本物性要件における「複合粒子」は、複数の複合粒子が凝集・固着している場合にはその凝集物(集合体)を指す。
ここでの複合粒子の平均厚みは、複合粒子の水面拡散面積および密度から算出することができる。水面拡散面積は、リーフィング現象を利用して乾燥した複合粒子を水面上に均一に拡散し、すきまのない状態に被覆したとき、単位質量当たりの乾燥複合粒子が占める面積を指す。水面拡散面積の計測は、JIS K5906:1998の規定に従って行うことができる。
但し、本発明の複合粒子では、表面の親水性が強い場合は上記水面拡散面積を求めることが困難な場合がある。この場合は、後述する実施例にて説明された方法に従って複合粒子の平均厚みを測定することができる。すなわち、複合粒子をメトキシプロパノール等のアルコール系溶媒及び水の混合物に分散させた金属顔料組成物を用いて被膜(薄膜)を形成し、走査電子顕微鏡(SEM)にて複合粒子(100個以上)の厚みを観察することで複合粒子の平均厚みを求めることができる。
金属顔料組成物に含まれる複合粒子の平均厚みは、体積基準D50と同様に、後述する金属顔料組成物の製造方法において、ボールミル等を用いて原料アトマイズド金属粉(例えばアルミニウム粉)を磨砕および篩分・ろ過する工程で、原料アトマイズド金属粉の粒径、ボールミルを用いる場合の磨砕ボールの1個あたりの質量、磨砕装置の回転数、篩分およびフィルタープレスの程度等を適宜調整することによって、ならびに、例えばケイ素化合物含有層(および必要に応じてその他の被覆層)を被覆する工程で、用いる有機ケイ素化合物の種類、被覆工程(有機ケイ素化合物を加水分解させて用いる場合は、その工程も含む)でのpH、濃度、攪拌温度、攪拌時間、攪拌装置の種類、攪拌の動力/程度(例えば、攪拌翼の種類および直径、回転数、外部攪拌の有無)等を適宜調整することによって、制御することができる。
3)被覆層
本発明による金属顔料組成物は、複合粒子のコアとなる金属粒子の表面に形成された1層以上の被覆層を有する必要がある。被覆層としては、ケイ素化合物、金属(アルカリ金属;アルカリ土類金属;マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、銀などの金属等)、金属酸化物(酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化鉄等)、金属水和物、及び樹脂(アクリル樹脂、アルキッド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ニトロセルロース樹脂、フッ素樹脂などの合成樹脂等)の少なくとも1種を含んでなるものがあげられ、このうち、被覆層として、ケイ素化合物含有層、特にSi-O結合を含む構造体よりなる層を含むことが望ましい。これにより、水性塗料中でのガス発生を抑制することができ、良好な貯蔵安定性(すなわち、耐食性)が得られ、また塗膜にしたときに優れた耐水性が得られる。被覆層は2層以上形成している場合も含み、この場合も少なくとも1層がケイ素化合物含有層であることが好ましい。
ケイ素化合物含有層は、特にSi-O-結合(シロキサン結合)を含む化合物から構成される層であることが望ましい。このような層としては、例えば、有機ケイ素化合物の加水分解・縮合によって形成されたポリシロキサン、シラン系化合物及びケイ素酸化物の少なくとも1種を含む層を挙げることができる。このような化合物としては、ポリシロキサン以外に、シラン系化合物[HSiO(HSiO)SiH](但し、nは任意の正の整数を示す。)のほか、SiO、SiO・nHO(但し、nは任意の正の整数を示す。)等で示されるケイ素酸化物が例示される。これらのシラン系化合物及びケイ素酸化物は、結晶質又は非晶質のいずれでもよいが、特に非晶質であることが好ましい。従って、ケイ素酸化物(シリカ等)を含む層として、例えば非晶質シリカを含む層も好適に採用することができる。
また、Si-O結合を含む化合物から構成される層は、有機ケイ素化合物(シランカップリング剤を含む)を出発原料として形成される層であってよい。この場合、ケイ素化合物含有層は、本発明の効果を妨げない範囲内において、有機ケイ素化合物又はその由来成分を含んでいてもよい。典型例では、Si-O結合を含む化合物から構成される層は、有機ケイ素化合物を加水分解することによって形成され得る。
ケイ素化合物含有層は、本発明の特性を損なわない範囲において、ケイ素化合物以外の添加物、不純物等を含んでいてもよい。
本発明による金属顔料組成物に含まれる複合粒子の被覆層は、特に親水性であることが好ましい。複合粒子は、通常、水系溶媒(水又は水及び有機溶剤を含む混合溶媒)中に分散された形態の金属顔料組成物を形成しているが、被覆層が親水性表面を有する場合、複合粒子がこのような水系溶媒中に高度に分散することができる。しかも、Si-O結合を含む化合物(ポリシロキサン、非晶質シリカ等)は、水系溶媒中で非常に安定であるため、水系溶媒中で高度に安定した複合粒子を含む金属顔料組成物を提供することができる。このような観点から、本発明による金属顔料組成物に含まれる複合粒子では、少なくとも最外層がケイ素化合物含有層(特にSi-O結合を含む化合物から構成される層)であることが望ましい。被覆層が複数の層から構成される場合、最外層のケイ素化合物含有層に加えて、最外層以外の層としてケイ素化合物含有層(特にSi-O系被覆層)を別途に形成してもよい。
個々の複合粒子の被覆層の厚みは、前記したように複合粒子の平均厚みが20nm以上400nm以下の範囲になる限りは特に制限されないが、通常10から80nm程度、特に15nm以上70nm以下、さらには20nm以上60nm以下の範囲内とすることが好ましい。被覆層の厚みが10nm以上であることによって、十分な耐水性を有し、水性塗料中での金属粒子の腐食又は変色の発生が抑制された塗膜を得ることができる。一方、被覆層の厚みが約80nm以下であることによって、塗膜の明度、鮮映性、隠蔽性が高いレベルに維持され得る。
個々の複合粒子の被覆層にケイ素化合物含有層が含まれる場合のその厚みも、複合粒子の平均厚みが20nm以上400nm以下の範囲になる限りは特に制限されないが、当該層の機能発揮の観点から、通常10nm以上80nm以下の範囲であってよく、特に15nm以上70nm以下の範囲であることが好ましい。
本発明に用いられ得る有機ケイ素化合物の具体例を以下にて更に説明するが、有機ケイ素化合物はこれらの具体例に限定されるわけではない。
有機ケイ素化合物は、下記一般式(1)で表される有機ケイ素化合物の少なくとも一種と、下記一般式(2)、(3)及び(4)のいずれかで表されるシランカップリング剤、並びにそれらの部分縮合物から選ばれる少なくとも一種とを含有してよい。
Si(OR ・・・ (1)
(式中、Rは水素原子、又は炭素原子数1から8の炭化水素基であり、Rは全てが同一でも、一部が同一でも、全てが異なっていてもよい。)
Si(OR4-m ・・・ (2)
(式中、Rは水素原子、又は炭素原子数1から30の、任意にハロゲン基を含んでもよい炭化水素基であり、R3は水素原子、又は炭素原子数1から8の炭化水素基である。RとRは同一でも異なっていてもよく、R、又はRが2つ以上ある場合は、全てが同一でも、一部が同一でも、全てが異なっていてもよい。1≦m≦3である。)
Si(OR4-p-q ・・・ (3)
(式中、Rは他の官能基と化学結合し得る反応基を含む基であり、Rは水素原子、又は炭素原子数1から30の、任意にハロゲン基を含んでもよい炭化水素基であり、Rは水素原子、又は炭素原子数1から8の炭化水素基である。R、R、又はRが2つ以上ある場合は、全てが同一でも、一部が同一でも、全てが異なっていてもよい。1≦p≦3であり、0≦q≦2であり、1≦p+q≦3である。)
SiCl4-r ・・・ (4)
(式中、Rは水素原子、又は炭素原子数1から30の、任意にハロゲン基を含んでもよい炭化水素基であり、Rが2つ以上ある場合は、全てが同一でも、一部が同一でも、全てが異なっていてもよい。0≦r≦3である。)
式(1)のRにおける炭化水素基の例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、オクチル等が挙げられ、これらは分岐していても直鎖状であってもよい。これらの炭化水素基の中でも、とくにメチル、エチル、プロピル、及びブチルが好ましい。また、4つのRは、全てが同一でも、一部が同一でも、全てが異なっていてもよい。
このような式(1)の有機ケイ素化合物の好ましい例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等が挙げられる。この中でも特に、テトラエトキシシランが好ましい。
式(2)のRにおける炭化水素基の例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、オクチル、デシル、ドデシル、オレイル、ステアリル、シクロヘキシル、フェニル、ベンジル、ナフチル等が挙げられ、これらは分岐していても直鎖状であっても、フッ素、塩素、臭素等のハロゲン基を含んでいてもよい。これらの中でも、とくに炭素数が1から18の炭化水素基が好ましい。また、Rが2つ以上ある場合には、それらは全てが同一でも、一部が同一でも、全てが異なっていてもよい。分子中のRの数は、式(2)において、m=1から3、すなわち1から3個であるが、m=1又は2であることがより好ましい。
式(2)のRにおける炭化水素基の例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、オクチル等が挙げられ、これらは分岐していても直鎖状であってもよい。これらの炭化水素基の中でも、特にメチル、エチル、プロピル、及びブチルが好ましい。また、Rが2つ以上ある場合には、それらは全てが同一でも、一部が同一でも、全てが異なっていてもよい。
このような式(2)の有機ケイ素化合物(シランカップリング剤)の好ましい例としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジブトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、n-プロピルトリメトキシシラン、n-プロピルトリエトキシシラン、n-プロピルトリブトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ブチルトリブトキシシラン、ジブチルジメトキシシラン、ジブチルジエトキシシラン、ジブチルジブトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、ジヘキシルジメトキシシラン、ジヘキシルジエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ジオクチルジメトキシシラン、ジオクチルジエトキシシラン、ジオクチルエトキシブトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、ジデシルジメトキシシラン、ジデシルジエトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、ジオクタデシルジメトキシシラン、ジオクタデシルジエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリエトキシシラン、3-クロロプロピルトリメトキシシラン、3-クロロプロピルトリエトキシシラン、3-クロロプロピルトリブトキシシラン等が挙げられる。
式(3)のRにおける他の官能基と化学結合し得る反応基の例としては、ビニル基、エポキシ基、スチリル基、メタクリロキシ基、アクリロキシ基、アミノ基、ウレイド基、メルカプト基、ポリスルフィド基、イソシアネート基等が挙げられる。
また、Rが2つ以上ある場合には、それらは全てが同一でも、一部が同一でも、全てが異なっていてもよい。分子中のRの数は、式(3)において、p=1から3、すなわち1から3個であるが、p=1であることがより好ましい。
式(3)のRの炭化水素基の例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、オクチル、デシル、ドデシル、オレイル、ステアリル、シクロヘキシル、フェニル、ベンジル、ナフチル等が挙げられ、これらは分岐していても直鎖状であっても、フッ素、塩素、臭素等のハロゲン基を含んでいてもよい。これらの中でも、とくに炭素数が1から18の炭化水素基が好ましい。また、Rが2つ以上ある場合には、それらは全てが同一でも、一部が同一でも、全てが異なっていてもよい。
式(3)のRにおける炭化水素基の例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、オクチル等が挙げられ、これらは分岐していても直鎖状であってもよい。これらの炭化水素基の中でも、とくにメチル、エチル、プロピル、及びブチルが好ましい。また、Rが2つ以上ある場合には、それらは全てが同一でも、一部が同一でも、全てが異なっていてもよい。
このような式(3)の有機ケイ素化合物(シランカップリング剤)の好ましい例としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニル-トリス(2-メトキシエトキシ)シラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p-スチリルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N-メチル-3-アミノプロピル-トリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(ビニルベンジル)-2-アミノエチル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン、3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピル-トリエトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
式(4)のRにおける炭化水素基の例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、オクチル、デシル、ドデシル、オレイル、ステアリル、シクロヘキシル、フェニル、ベンジル、ナフチル等が挙げられ、これらは分岐していても直鎖状であっても、フッ素、塩素、臭素等のハロゲン基を含んでいてもよい。これらの中でも、とくに炭素数が1から12の炭化水素基が好ましい。また、Rが2つ以上ある場合には、それらは全てが同一でも、一部が同一でも、全てが異なっていてもよい。分子中のRの数は、式(4)において、r=0から3、すなわち0から3個であるが、r=1から3であることがより好ましい。
このような式(4)の有機ケイ素化合物(シランカップリング剤)の好ましい例としては、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、オクチルジメチルクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ビニルトリクロロシラン、テトラクロロシラン等が挙げられる。
上記一般式(1)で表される有機ケイ素化合物は、1種のみを単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、一般式(2)、(3)及び(4)のいずれかで表されるシランカップリング剤も、1種のみを単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。2種以上を組み合わせて使用する場合には、(2)、(3)及び(4)のいずれかで表されるシランカップリング剤のみを、2種以上を組み合わせて使用してもよいし、異なる2以上の一般式で表されるシランカップリング剤を組み合わせて用いてもよい。
有機ケイ素化合物の加水分解物及び/又はその縮合反応物は、有機ケイ素化合物と、加水分解反応を行うのに必要な量の水と、加水分解触媒とともに攪拌混合することにより得られる。その際、必要に応じて親水性溶剤を使用することもできる。加水分解反応(すなわちケイ素化合物含有層形成のための反応)の諸条件については後述する。
有機ケイ素化合物の加水分解物及び/又はその縮合反応物を得るための加水分解反応及び/又はその縮合反応の原料として、予め一部縮合したオリゴマーを用いてもよい。
有機ケイ素化合物の加水分解物の縮合反応は、有機ケイ素化合物の加水分解反応と同時に行ってもよいし、工程を分けて、かつ必要であれば触媒を替えて行ってもよい。その際、必要に応じて加温してもよい。
本発明による金属顔料組成物に含まれる複合粒子の被覆層は、少なくとも1層がケイ素化合物含有層であることが好ましいが、前記のケイ素化合物含有層以外の被覆層(以下、「その他の被覆層」と称す)を単独、あるいは、ケイ素化合物含有層とともに形成することもある。
その他の被覆層としては、例えば、金属(アルカリ金属;アルカリ土類金属;マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、銀等の金属)、金属酸化物(酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化鉄等)、金属水和物、及び樹脂(アクリル樹脂、アルキッド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ニトロセルロース樹脂、フッ素樹脂等の合成樹脂)の少なくとも1種を含んでなるものであってよい。その他の被覆層として、例えば、モリブデン含有被膜、リン酸化合物被膜等を形成することができる。その他の被覆層を設けることによって、金属粒子の耐食性を向上させられる。
その他の被覆層が形成される場合、これは金属粒子とケイ素化合物含有層との間に形成されることが好ましい。従って、例えば「金属粒子/その他の被覆層/ケイ素化合物含有層」という層構成を好適に採用することができる。特に限定されないが、モリブデン含有被膜の例としては、特開2003-147226号公報、国際公開第2004/096921号パンフレット、特許第5979788号、特開2019-151678号公報に開示されたものを挙げることができる。リン酸化合物被膜の例としては、特許第4633239号に開示されたものを挙げることができる。モリブデン含有被膜を構成するモリブデン含有物の好ましい例としては、特開2019-151678号公報に開示された混合配位型ヘテロポリアニオン化合物が挙げられる。
別の変形形態では、その他の被覆層は、金属粒子およびケイ素化合物含有層の外側に形成され得る。また更なる別の変形形態では、ケイ素化合物含有層の構成成分(モリブデン含有化合物やリン酸化合物等)は、ケイ素化合物含有層中にケイ素化合物と共に包含され得る。
本発明による金属顔料組成物に含まれる複合粒子のケイ素化合物含有層以外のその他の被覆層(典型例としてはモリブデン含有被膜)を形成する態様に使用される混合配位型ヘテロポリアニオン化合物は、特に限定されないが、具体的に以下の例が挙げられる。
使用され得る混合配位型ヘテロポリアニオン化合物の混合配位型ヘテロポリアニオンは、一種類の元素から成るヘテロポリアニオンのポリ原子のうちのいくつかを、別の元素で置換した構造を持つものであり、それぞれのヘテロポリアニオンの混合物とは異なる物性を示すものである。
化学式で表記する場合、混合配位型ヘテロポリアニオンを[Xと表すと、ヘテロポリアニオンは[Xとなり、更にイソポリアニオン[Mとも区別される。但し、ヘテロ原子であるXはB、Si、Ge、P、As等のIIIB、IVB、VB族の元素を表し、それらの中でもB、Si、Pが好ましい。ポリ原子であるM、NはTi、Zr、V、Nb、Ta、Mo、W等の遷移金属を表し、Ti、Zr、V、Nb、Mo、Wが好ましい。
また、p、q、r、sは原子の数を表し、tは酸化数を表す。
ヘテロポリアニオン化合物は数多くの構造を持つため、混合配位型ヘテロポリアニオン化合物は更に数多くの構造を持ち得るが、代表的かつ好ましい混合配位型ヘテロポリアニオン化合物としては、以下の混合配位型へテロポリ酸:HPWMo12-x40・nHO(リンタングストモリブデン酸・n水和物)、H3+xPVMo12-x40・nHO(リンバナドモリブデン酸・n水和物)、HSiWMo12-x40・nHO(ケイタングストモリブデン酸・n水和物)、H4+xSiVMo12-x40・nHO(ケイバナドモリブデン酸・n水和物)等が例示される。(但し、1≦x≦11、n≧0)
これらのヘテロポリアニオン化合物の中で好ましい具体例として、HPWMo40・nHO、HPWMo40・nHO、HPWMo40・nHO、HPVMo1140・nHO、HPVMo40・nHO、HSiWMo40・nHO、HSiWMo40・nHO、HSiWMo40・nHO、HSiVMo1140・nHO、HSiVMo40・nHO等の混合配位型へテロポリ酸が例示される。(但し、n≧0)
混合配位型ヘテロポリアニオン化合物は、酸(いわゆる、混合配位型へテロポリ酸)の形で用いてもよいし、特定のカチオンを対イオンとする(部分若しくは完全な)塩の形で用いてもよい。
混合配位型ヘテロポリアニオン化合物を特定のカチオンを対イオンとする塩の形で用いる場合の対カチオン源としては、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム等のアルカリ金属;マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等のアルカリ土類金属;マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、銀、カドミウム、鉛、アルミニウム等の金属;アンモニア等の無機成分;及び有機成分であるアミン化合物等から選ばれる少なくとも一種が挙げられる。無機成分の中では、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニアの塩が好ましい。
更にこれらアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニアから選ばれる少なくとも一種を対カチオン源とする場合、HPWMo12-x40・nHO(リンタングストモリブデン酸・n水和物)、H3+xPVMo12-x40・nHO(リンバナドモリブデン酸・n水和物)、HSiWMo12-x40・nHO(ケイタングストモリブデン酸・n水和物)、H4+xSiVMo12-x40・nHO(ケイバナドモリブデン酸・n水和物)から選ばれる少なくとも一種との塩の形で用いるのがより好ましい。
また、混合配位型ヘテロポリアニオン化合物の対カチオン源として、有機成分であるアミン化合物も好ましく用いられ、具体例としては、下記一般式(5)で表されるものが好ましい。
(R-N(-R10)-)-R ・・・ (5)
(式中、R、R及びR10は同じでも異なってもよく、水素原子、又は炭素原子数1から30の、任意にエーテル結合、エステル結合、水酸基、カルボニル基、チオール基を含んでもよい1価若しくは2価の炭化水素基であり、任意にRとRは一緒になって5員若しくは6員のシクロアルキル基を形成するか、又は架橋員として付加的に窒素若しくは酸素原子を含むことができる5員若しくは6員環を形成してもよく、又は任意にR、R及びR10は一緒になって、1個以上の付加的な窒素原子及び/又は酸素原子を架橋員として含むことができる多員の多重環を形成してもよい。R、R及びR10は同時に水素原子にはならない。nは1から2の整数を表す。)
混合配位型ヘテロポリアニオン化合物の対カチオン源である上記アミン化合物としては、例えば、直鎖や分岐の一級アミン類、直鎖や分岐、非対称の二級アミン類、直鎖や分岐、混合炭化水素基を有する三級アミン類等の他に、脂環一級アミン類、芳香環置換基を持つ一級アミン類、脂環二級アミン類、芳香環置換基を持つ二級アミン類、脂環非対称二級アミン類、脂環三級アミン類、芳香環置換基を持つ三級アミン類、エーテル結合を有するアミン類、アルカノールアミン類、ジアミン類、環状アミン類、芳香族アミン類等、若しくはこれらの任意の混合物が例示される。
これらのアミン化合物の中で好ましい例としては、炭素数4から20の直鎖又は分岐アルキルの一級、二級、又は三級のアミン類、又はアルカノールアミン類から選ばれる少なくとも一種が挙げられる。具体的には、例えばブチルアミン、ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、オクチルアミン、トリデシルアミン、ステアリルアミン、ジヘキシルアミン、ジ-2-エチルヘキシルアミン、直鎖又は分岐ジトリデシルアミン、ジステアリルアミン、トリブチルアミン、トリオクチルアミン、直鎖又は分岐トリトリデシルアミン、トリステアリルアミン、N,N-ジメチルエタノールアミン、N-メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン等が挙げられる。
これら一般式(5)で示されるアミン化合物から選ばれる少なくとも一種と、HPWMo12-x40・nHO(リンタングストモリブデン酸・n水和物)、H3+xPVMo12-x40・nHO(リンバナドモリブデン酸・n水和物)、HSiWMo12-x40・nHO(ケイタングストモリブデン酸・n水和物)、H4+xSiVMo12-x40・nHO(ケイバナドモリブデン酸・n水和物)から選ばれる少なくとも一種との塩の形で用いるのがより好ましい。
上記の混合配位型ヘテロポリアニオン化合物の中でも、HPWMo12-x40・nHO(リンタングストモリブデン酸・n水和物)、H3+xPVMo12-x40・nHO(リンバナドモリブデン酸・n水和物)、HSiWMo12-x40・nHO(ケイタングストモリブデン酸・n水和物)の混合配位型へテロポリ酸、若しくはこれら混合配位型へテロポリ酸の有機アミン塩が最も好ましい。
本発明による金属顔料組成物に含まれる複合粒子のケイ素化合物含有層以外のその他の被覆層は(形成される場合)、コアとなる金属粒子(好ましくはアルミニウム粒子又はアルミニウム合金粒子)の耐食性をさらに改善するため、他の腐食抑制剤を含む層であってよい。添加する腐食抑制剤としては、特に限定されず、公知のいずれの腐食抑制剤も用いることができる。その使用量は、本発明の所望の効果を阻害しない範囲であればよい。このような腐食抑制剤としては、例えば、酸性燐酸エステル、ダイマー酸、有機リン化合物、モリブデン酸の金属塩等を挙げることができる。
金属顔料組成物に含まれる複合粒子のケイ素化合物含有層および/またはその他の被覆層中に、あるいは別途の層として、塗膜を形成した際の密着性および耐薬品性の観点から、更に有機オリゴマーまたはポリマーを含有することができる。
また、複合粒子のケイ素化合物含有層および/またはその他の被覆層中に、あるいは別途の層として、貯蔵安定性の観点から、無機リン酸類及びその塩類、並びに酸性有機(亜)リン酸エステル類及びその塩類よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含有してもよい。
これらの化合物は、特に限定されないが、例えば特開2019-151678号公報に開示されているものを用いることができる。
2.金属顔料組成物の製造方法
本発明による金属顔料組成物は、例えば、顔料業界で常用されている方法を用いて鱗片状の金属粒子とし、この工程後、篩分(分級)、ろ過、洗浄、混合等の工程を経て金属粒子を製造し、次いで、水および/親水性溶媒を含む溶媒を用いた攪拌下において、被覆層を形成する工程を含む製造方法によって好適に製造することができる。より具体的には、以下の方法が挙げられるが、これに限定されるわけではない。
以降では、典型例として、金属顔料組成物に含まれる複合粒子の被覆層の少なくとも1層がケイ素化合物含有層である場合について説明する。
本発明による金属顔料組成物は、例えば、(a)金属粒子、(b)有機ケイ素化合物の少なくとも1種を含むケイ素含有原料、(c)溶媒(水および/または親水性溶媒)、並びに必要に応じて他の任意成分を含む混合液において、有機ケイ素化合物を加水分解/(部分)縮合反応させることによって金属粒子の表面にケイ素化合物含有層を形成する工程(ケイ素化合物含有層形成工程)を含む方法によって好適に製造することができる。この工程は、通常攪拌下で実施され得る。
粉砕および篩分・ろ過工程
ここでは、金属粒子としてアルミニウム粉末を用いる場合を例に挙げて説明する。
アルミニウム粉末は、一般的には、アトマイズドアルミニウム粉および/またはアルミニウム箔を乾式ボールミル法、湿式ボールミル法、アトライター法、スタンプミル法等の顔料業界で常用されている方法を用い、粉砕助剤や不活性溶剤の存在下で粉砕して、いわゆる鱗片状にし、さらにこの工程後、篩分(分級)、ろ過、洗浄、混合等の必要とする工程を経て得られる。
ここでの粉砕助剤の例としては、脂肪酸、脂肪族アミン、脂肪族アミド、脂肪族アルコール等が挙げられる。一般には、オレイン酸、ステアリン酸、ステアリルアミン等が好ましい。また、不活性溶剤の例としては、ミネラルスピリット、ソルベントナフサ、LAWS、HAWS、トルエン、キシレン等の疎水性を示すものが挙げられ、これらを単独または混合して使用することができる。粉砕助剤および不活性溶剤は、これらに限定されるものではない。
粉砕工程としては、粉塵爆発を防止し安全性を確保する観点から、湿式ボールミル法による粉砕が好ましい。
本発明に係る金属顔料組成物の製造における金属粒子としてアルミニウム粒子を採用する場合、このような粉砕および篩分・ろ過を経て得られた市販のペースト状アルミニウムフレークを用いることができる。ペースト状アルミニウムフレークは、そのまま用いてもよいし、あるいは予め有機溶剤等で表面の脂肪酸等を除去して用いてもよい。
また、本発明の金属顔料組成物の製造における金属粒子として、物理蒸着(PVD)によって樹脂フィルム等の担体材料上に蒸着させた金属層を担体材料から剥離し、粉砕して製造された、いわゆる蒸着アルミニウム箔の顔料を用いることもできる。
ケイ素化合物含有層の形成工程
上述の(a)金属粒子、(b)有機ケイ素化合物の少なくとも1種を含むケイ素含有原料、および(c)溶媒、並びに必要に応じて他の任意成分を含む混合液は、これらの成分を混合することにより調製することができる。混合の順序は特に限定されない。
金属粒子としては、上述した金属粒子を用いることができるが、特に、アルミニウム又はアルミニウム合金の粒子を好適に用いることができる。また、上述したとおり、鱗片状の金属粒子が用いられる。金属粒子として、公知又は市販のもの(典型的にはペースト状アルミニウムフレーク)を使用することができる。
上記混合液中における金属粒子の含有量(固形分量)は、特に制限されず、用いる金属粒子の種類、粒度等に応じて適宜設定することができる。
ケイ素含有原料としては有機ケイ素化合物を用いる。有機ケイ素化合物としては、限定的ではないが、好ましくは上述したものを用いることができる。
上記式(1)で表される有機ケイ素化合物(典型例としてはテトラアルコキシシラン)および/またはその縮合物、ならびに上記式(2)~(4)のいずれかで表されるシランカップリング剤の少なくとも1種を好適に用いることができる。
以降では、上記式(1)で表される有機ケイ素化合物としてテトラアルコキシシランを用いる場合を例に挙げて説明する。なお、以下では、テトラアルコキシシランおよび/またはその縮合物を単に「テトラアルコキシシラン」とまとめて称する場合がある。
上記式(1)で表されるテトラアルコキシシランと上記式(2)~(4)のいずれかで表されるシランカップリング剤とを併用する場合、両者を混合して用いる方法(「第1方法」と称する)を採用することができる。あるいは、金属粒子に対して一方による処理を施して第1ケイ素化合物含有層を形成し、他方による処理を施して第2ケイ素化合物含有層を形成する工程を含む方法(「第2方法」と称する)を採用することもできる。
第1方法としては、例えば、金属粒子、上記式(1)で表されるテトラアルコキシシラン及び上記式(2)~(4)のいずれかで表されるシランカップリング剤を含む混合液のpHを適宜調整することにより、テトラアルコキシシラン及びシランカップリング剤を加水分解/縮合反応させて、ケイ素化合物含有層を形成する工程を含む方法が挙げられる。
第2方法として、例えば、金属粒子及び上記式(1)で表されるテトラアルコキシシランを含む混合液のpHを適宜調整することによりテトラアルコキシシランを加水分解/縮合反応させて、金属粒子の表面に第1ケイ素化合物含有層(例えば非晶質シリカからなるシリカ被膜)を形成する工程、ならびに、金属粒子及び上記式(2)~(4)のいずれかで表されるシランカップリング剤を含む混合液のpHを調整することによりシランカップリング剤を加水分解/縮合反応させて第1ケイ素化合物含有層の表面に第2ケイ素化合物含有層を形成する工程を含む方法が挙げられる。
上記式(1)で表されるテトラアルコキシシラン又はその縮合物の使用量は、用いるテトラアルコキシシランの種類等に応じて適宜設定することができる。その使用量は、例えば、被覆処理効果の観点から、ならびに金属粒子の凝集又は光輝感の低下を抑制する観点から、金属粒子(固形分)100質量部に対して2~200質量部であってよく、5~100質量部であることがより好ましい。
上記式(2)~(4)のいずれかで表されるシランカップリング剤の使用量は、特に限定されないが、通常は金属粒子(固形分)100質量部に対して0.1~20質量部程度であってよく、特に1~10質量部であることが好ましい。この使用量が0.1~20質量部程度であることによって、所望の被覆処理効果、望ましい塗膜物性を得ることができる。
混合液における溶媒、すなわち、有機ケイ素化合物の加水分解反応及び/又は縮合反応のための溶媒としては、用いるケイ素含有原料の種類等に応じて適宜選択すれば良いが、通常は、水、親水性有機溶剤、またはこれらの混合溶媒を用いることができる。これらの溶媒を用いることによって、反応の均一性や、得られる加水分解物及び/又は縮合反応物の均一性を高めることができる。ケイ素化合物含有層を金属粒子上に直接形成する態様においては、金属粒子と水との反応が急速に進行するのを避けるという観点から、混合液の溶媒は親水性有機溶剤を含むことが特に好ましい。本発明では、水と親水性有機溶剤との混合溶媒を好適に用いることができる。
親水性有機溶剤としては、特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロパノール、オクタノール等のアルコール類;エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテルアルコール類及びそのエステル類;エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、エチレンプロピレングリコールのグリコール類;エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、アセトン、メトキシプロパノール、エトキシプロパノール、その他のアルコキシアルコール類などが挙げられる。これらは1種又は2種以上で用いることができる。
また、前記溶媒として水と親水性有機溶剤との混合溶媒を用いる場合、両者の比率は特に限定されない。ケイ素化合物含有層を金属粒子上に直接形成する態様においては、金属粒子と水との反応が急速に進行するのを避けるという観点から、ケイ素化合物を投入する前は、両者の合計を100質量%として水の含有量を20質量%以下とすることが好ましい。この場合の水の含有量の下限値は限定されない。
ケイ素化合物含有層の形成工程における溶媒の使用量(金属粒子の事前分散を行う場合はそのための溶媒量を除く)は、限定的ではないが、通常は金属粒子(固形分)100質量部に対して100~10000質量部程度であれば良く、特に200~1000質量部であることが好ましい。溶媒の使用量が100質量部以上であることによって、混合液(スラリー)の粘度の上昇が抑制され、適当な攪拌が可能になる。また、溶媒の使用量が10000質量部以下であることによって、処理液の回収、再生コストが高くなることが防止され得る。なお、ここでの溶媒の使用量は、上記第2方法の場合、第1ケイ素化合物含有層の形成および第2ケイ素化合物含有層の形成のために用いられる溶媒量の合計を指す。
上記混合液においては、本発明の効果を妨げない範囲内において、必要に応じて他の添加剤を配合しても良い。例えば、加水分解触媒、脱水縮合触媒等の触媒のほか、界面活性剤、金属腐食防止剤等が挙げられる。
これらの中でも、加水分解触媒を好適に用いることができる。加水分解触媒の配合により、混合液のpHを調整するとともに、有機ケイ素化合物を効率的に加水分解及び脱水縮合させることができ、その結果、金属粒子の表面にケイ素化合物含有層を効率的良くかつ確実に形成することが可能となる。
加水分解触媒は、公知又は市販のものを使用すれば良く、特に限定されない。加水分解触媒としては、例えば、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸等の無機酸類;安息香酸、酢酸、クロロ酢酸、サリチル酸、シュウ酸、ピクリン酸、フタル酸、マロン酸等の有機酸類;ビニルホスホン酸、2-カルボキシエタンホスホン酸、2-アミノエタンホスホン酸、オクタンホスホン酸等のホスホン酸類等を用いることができる。これらの加水分解触媒は、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、加水分解触媒としては、例えば、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機アルカリ類;炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等の無機アルカリ塩類;モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N,N-ジメチルエタノールアミン、エチレンジアミン、ピリジン、アニリン、コリン、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、グアニジン等のアミン類;蟻酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、蟻酸モノメチルアミン、酢酸ジメチルアミン、乳酸ピリジン、グアニジノ酢酸、酢酸アニリン等の有機酸の塩類を用いることもできる。これらの加水分解触媒は、1種又は2種以上で用いることができる。
加水分解触媒の添加量は、特に限定されないが、通常は金属粒子(固形分)100質量部に対して0.01~20質量部とすれば良く、特に0.02~10質量部とすることが好ましい。前記添加量が0.01質量部以上であることによって、ケイ素化合物含有層の析出量が十分となり得る。また、前記添加量が20質量部以下であることによって、金属粒子の凝集が効果的に抑制され得る。
上記混合液の調製に際しては、これらの各成分が混合液中で均一になるように混合すれば良く、その配合順序も特に制限されない。
本発明による金属顔料組成物の製造は、上記混合液の調製は適度な攪拌下で行うことが好ましい。
混合液を撹拌するための撹拌機としては、特に限定されず、アルミニウム粒子と有機ケイ素化合物とを含む混合液を効率良く均一に撹拌することのできる公知の撹拌機を用いることができる。具体例としては、ニーダー、混練機、回転容器撹拌機、撹拌式反応槽、V型撹拌機、二重円錐型撹拌機、スクリューミキサー、シグマミキサー、フラッシュミキサー、気流撹拌機、ボールミル、エッジランナー等が挙げられる。撹拌機の更なる説明は、後述する。
金属粒子と有機ケイ素化合物とを含む混合液を撹拌する際の混合液の温度は、通常10~80℃程度とすれば良く、特に20~70℃とすることが好ましい。この温度が10℃以上であることによって、十分な処理効果を得るための反応時間を短くすることができる。また、この温度が80℃以下であることによって、所望の金属顔料組成物を得るための反応の制御がより容易になる。
混合液の撹拌時間は、所望のケイ素化合物含有層が形成されるのに十分な時間である限り特に限定されない。この攪拌時間は、例えば0.5~20時間とすることが好ましく、1~10時間とすることがより好ましい。撹拌時間が0.5時間以上であることによって、十分な処理効果を得ることができる。また、撹拌時間が20時間以下によって、処理コストの増大を抑制することができる。
上記混合液において、ケイ素含有原料を加水分解/縮合反応させることにより金属粒子の表面に(あるいはその他の被覆層を介して)ケイ素化合物含有層が形成される。この加水分解/縮合反応は、特に混合液のpH調整等により行うことができる。
pH調整に際しては、特にケイ素化合物含有層が金属粒子表面に(あるいはその他の被覆層を介して)形成される段階において、混合液のpH値が変化するので、pH値が一定の範囲内を維持できるように適宜調整することが望ましい。その際、加水分解触媒を添加することによりpH値を調整することが望ましいが、本発明による金属顔料組成物の特性を損なわない限り、他の酸性又はアルカリ性の化合物を用いてpH値を調整しても良い。
加水分解触媒として塩基性の加水分解触媒を用いる場合は、pH値を7~11とすることが好ましく、特に7.5~10とすることがより好ましい。pH値が7以上であることによって、ケイ素化合物含有層が迅速に形成され得る。一方、pH値が11以下であることによって、金属粒子の凝集や光輝性の低下が抑制され得、また、腐食による水素ガスの発生が防止され得る。
加水分解触媒として酸性の加水分解触媒を用いる場合は、pH値を1.5~4とすることが好ましく、特に2~3とすることがより好ましい。pH値が1.5以上であることによって、反応が適当に制御され、所望の複合粒子を含む金属顔料組成物を得ることが容易になる。他方、pH値が4以下であることによって、ケイ素化合物含有層の析出速度を高く保持することができる。
上記第1の方法および第2の方法のいずれを採用する場合であっても、上記の一般式(1)で表される有機ケイ素化合物の加水分解物及び/又はその縮合物は、金属粒子(固形分)100質量部に対し、加水分解及び縮合反応が完了した状態換算で0.01から50質量部添加することが好ましく、1から30質量部添加することが更に好ましい。また、上記の一般式(2)から(4)のいずれかで表されるシランカップリング剤、及び/又はそれらの部分縮合物由来の加水分解物及び/又はその縮合物は、金属粒子(固形分)100質量部に対し、加水分解及び縮合反応が完了した状態換算で、合計で0.01から0.8質量部添加され、0.01から0.7質量部添加することが更に好ましい。
一般式(1)で表される有機ケイ素化合物の加水分解物及び/又はその縮合物の添加量は、金属顔料組成物の製造にあたって使用した一般式(1)で表される有機ケイ素化合物の質量に、当該有機ケイ素化合物が全て加水分解し、縮合反応した場合の反応前後の質量比を乗ずることにより、算出することができる。
例えば、一般式(1)で表される有機ケイ素化合物としてテトラエトキシシラン(TEOS)を使用した場合には、以下の加水分解及び縮合反応前後の質量比を用いて、有機ケイ素化合物の加水分解物及び/又はその縮合物の添加量を算出することができる。
(加水分解)
Si(OC (分子量:208) + 4H
→ Si(OH) (分子量:96) + (COH)
(縮合)
Si(OH) (分子量:96)+ Si(OH) (分子量:96)
→ (SiO (分子量:60×2) + 4H
以上の加水分解及び縮合反応前後で、質量は60/208=0.288倍となるので、例えば金属粒子(固形分)100質量部に対して、TEOSを10質量部使用した場合には、その加水分解物及び/又はその縮合物の添加量は、その0.288倍、すなわち2.88質量部になる。
同様に、一般式(2)から(4)のいずれかで表されるシランカップリング剤等の加水分解物及び/又はその縮合物の添加量も、金属顔料組成物の製造にあたって使用した一般式(2)から(4)のいずれかで表されるシランカップリング剤、及び/又はその部分縮合物の質量に、当該シランカップリング剤及び/又はその部分縮合物が全て加水分解し、縮合反応した場合の反応前後の質量比を乗ずることにより、算出することができる。
例えば、一般式(2)で表されるシランカップリング剤としてメチルトリメトキシシシランを使用した場合には、以下の加水分解及び縮合反応前後の質量比を用いて、シランカップリング剤の加水分解物及び/又はその縮合物の添加量を算出することができる。
(加水分解)
CHSi(OCH(分子量:136) + 3H
→ CHSi(OH)(分子量:94) + (CHOH)
(縮合)
CHSi(OH)(分子量:94) + CHSi(OH)(分子量:94)
→ (SiCH1.5(分子量:67×2) + 3H
以上の加水分解/縮合反応の前後で、質量は67/136=0.49倍となるので、例えば金属粒子(固形分)100質量部に対して、メチルトリメトキシシシランを1.23質量部使用した場合には、その加水分解物及び/又はその縮合物の添加量は、その0.49倍、すなわち0.60質量部になる。
また、上記第1の方法および第2の方法のいずれを採用する場合であっても、金属粒子は、ケイ素化合物源である有機ケイ素化合物と合わせる前に(あるいは、その他の被覆層を形成する場合は典型的にはモリブデン化合物と合わせる前に)、水、親水性有機溶剤、またはこれらの混合溶媒中に十分に分散させておくことが好ましい。この事前分散(初期分散)において、好ましくは、分散液の一部(例えば、1分あたり、分散液全体の0.5~30質量%、好ましくは1~20質量%、より好ましくは1~15質量%)を分散槽の外部にいったん抜き出してから分散槽中に再度に戻す外部循環を行うことによって、分散の程度をより高めることができる。外部循環の流路の途中で、分散槽の外部にて超音波処理を行うことによって、分散性を更に高めることができる。
超音波処理は、特に限定されないが、通常10~1000W,好ましくは50~800Wで、通常20秒~10分、好ましくは30秒~5分程度行うことができる。また、この事前分散のための溶媒の使用量は、攪拌の強度を適切に調節して十分な分散を得る観点から、金属粒子(固形分)100質量部に対して通常100~10000質量部程度であってよく、200~5000質量部であることが好ましい、300~1000質量部であることがより好ましい。
このような金属粒子の事前分散は、通常は10~80℃、好ましくは15~60℃、最も好ましくは室温前後(20~40℃程度)にて行うことができる。また、金属粒子の事前分散は、(超音波処理を行う場合はそれも含めて)5分~10時間の間、好ましくは10分~5時間の間行うことができる。
その他の被覆層の形成工程
上述のとおり、その他の被覆層は、(形成される場合には)特に金属粒子とケイ素化合物含有層との間に形成されることが好ましい。従って、「金属粒子/その他の覆層/ケイ素化合物含有層」という層構成を好適に採用することができる。
その他の被覆層は、特に限定されないが、モリブデン含有被膜、リン酸化合物被膜等であってよい。モリブデン含有被膜を構成するモリブデン含有物の好ましい例としては、特開2019-151678号公報に開示された混合配位型ヘテロポリアニオン化合物が挙げられる。混合配位型ヘテロポリアニオン化合物を含め、その他の被覆層の構成成分の例については上述したとおりである。
以降では、金属粒子とケイ素化合物含有層との間にその他の被覆層としてモリブデン含有被膜を形成する態様を例に挙げて説明する。
金属粒子とケイ素化合物含有層との間にその他の被覆層としてモリブデン含有被膜を形成する場合、ケイ素化合物含有層の形成に先立って、金属粒子とモリブデン化合物(典型的には混合配位型ヘテロポリアニオン化合物)とを含む混合液を撹拌することにより、金属粒子表面にモリブデン含有被膜を形成することができる。
金属粒子表面にモリブデン含有被膜を形成する方法としては、特に限定されず、水系溶媒中に金属粒子とモリブデン化合物とを含む混合液を均一に撹拌することのできる方法であれば良い。例えば、金属粒子とモリブデン化合物を含む混合液をスラリー状態又はペースト状態で撹拌又は混練することにより、金属粒子表面にモリブデン含有被膜を形成することができる。混合液中においては、モリブデン化合物は溶解していても、あるいは分散していても良い。
また、金属粒子とモリブデン化合物とを含む混合液を撹拌するための撹拌機としては、特に限定されず、アルミニウム粒子とモリブデン化合物とを含む混合液を効率良く均一に撹拌することのできる公知の撹拌機を用いることができる。具体例としては、ニーダー、混練機、回転容器撹拌機、撹拌式反応槽、V型撹拌機、二重円錐型撹拌機、スクリューミキサー、シグマミキサー、フラッシュミキサー、気流撹拌機、ボールミル、エッジランナー等が挙げられる。撹拌機の攪拌翼の例は、特に限定されないが、アンカー翼、パドル翼、プロペラ翼、タービン翼などを挙げることができる。
その他の被覆層としてモリブデン含有被膜を形成する場合、モリブデン化合物の使用量は、用いるモリブデン化合物の種類等に応じて適宜設定できる。この使用量は、一般的には金属粒子(固形分)100質量部に対して0.02~20質量部とすれば良く、特に0.1~10質量部とすることが好ましい。前記含有量が0.02質量部以上であることによって、十分な処理効果を得ることができる。また、前記含有量が20質量部以下であることによって、得られる金属顔料組成物の光輝性を高く保持することができる。
金属粒子とモリブデン化合物との混合に用いる溶媒としては、通常は、水、親水性有機溶剤、またはこれらの混合溶媒を用いることができる。
親水性有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロパノール、オクタノール等のアルコール類;エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテルアルコール類及びそのエステル類;エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、エチレンプロピレングリコールのグリコール類;エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、アセトン、メトキシプロパノール、エトキシプロパノール、その他のアルコキシアルコール類などが挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
その他の被覆層の形成工程における溶媒の使用量(金属粒子の事前分散を行う場合はそのための溶媒量を除く)は、特に制限されないが、通常は金属粒子(固形分)100質量部に対して50~5000質量部であることが好ましく、100~2000質量部であることがより好ましい。溶媒の使用量が50質量部以上であることによって、モリブデン化合物の偏在および金属粒子の凝集を抑制することができる。また、溶媒の使用量が5000質量部以下であることによって、金属粒子に対してモリブデン化合物による十分な処理効果を得ることができる。
金属粒子とモリブデン化合物とを含む混合液を撹拌する際の混合液の温度は、通常10~80℃程度とすれば良く、特に30~70℃とすることが好ましい。この温度が10℃以上であることによって、十分な処理効果を得るための反応時間を短くすることができる。また、この温度が80℃以下であることによって、所望の金属顔料組成物を得るための反応の制御がより容易になる。
混合液の撹拌時間は、所望のモリブデン含有被膜が形成されるのに十分な時間である限り特に限定されない。この攪拌時間は、例えば0.5~10時間とすることが好ましく、1~5時間とすることがより好ましい。撹拌時間が0.5時間以上であることによって、十分な処理効果を得ることができる。また、撹拌時間が10時間以下によって、処理コストの増大を抑制することができる。
金属粒子とモリブデン化合物とを含む混合液の撹拌が終了した後、その他の被覆層が形成された粒子を回収することができる。この場合、必要に応じて公知の洗浄、固液分離等を適宜実施することができる。例えば、親水性溶有機剤を用いて混合液を洗浄した後、フィルター等を用いて濾過して、モリブデン含有被膜を有する金属粒子を含有するケーキから水と未反応物を除去することが好ましい。このようにしてその他の被覆層であるモリブデン含有被膜を形成することができる。他のその他の被覆層を形成する場合も、上記の方法に準じて実施することができる。
金属粒子上にその他の被覆層(モリブデン含有被膜)に次いでケイ素化合物含有層を形成する態様においては、金属粒子とモリブデン化合物とを含む混合液の撹拌が終了した後、その他の被覆層が形成された粒子を回収することなく、その系中に、ケイ素化合物源(典型的には、上記式(1)で表される有機ケイ素化合物、例えばテトラアルコキシシランおよび/またはその縮合物、ならびに上記式(2)~(4)のいずれかで表されるシランカップリング剤の少なくとも1種)の水および/または親水性有機溶剤の分散液を直接添加・攪拌してよい。このとき、その他の被覆層が形成された粒子を含む系中に、上記式(1)で表される有機ケイ素化合物、例えばテトラアルコキシシランおよび/またはその縮合物の分散液を添加し、次いで上記式(2)~(4)のいずれかで表されるシランカップリング剤の少なくとも1種の分散液を添加・攪拌してもよい(上述の「ケイ素化合物含有層の形成工程」における第2方法を参照)。
攪拌条件
本発明に係る金属顔料組成物の製造においては、少なくとも複合粒子の被覆層、典型的にはケイ素化合物含有層の形成工程を攪拌下で実施することが必要である。また、本発明に係る金属顔料組成物の製造においては、ケイ素化合物含有層の形成工程だけでなく、その他の被覆層の形成工程も、攪拌下で実施することが好ましい。上述の金属粒子の事前分散を行う態様においては、これも攪拌下で実施することがより好ましい。また、本発明に係る金属顔料組成物の製造においては、金属粒子の事前分散、その他の被覆層の形成工程、ケイ素化合物含有層の形成工程を含めて全行程を攪拌下で実施することが更に好ましい。
本発明に係る金属顔料組成物の製造において、少なくとも複合粒子の被覆層、典型的にはケイ素化合物含有層の形成工程を適切に制御された攪拌下で実施することによって、ケイ素化合物含有層を介して複合粒子どうしが付着したり、あるいは金属粒子からなる凝集粒子ごとケイ素化合物含有層で被覆される現象を効果的に抑制ないしは防止したりすることが可能である。また、金属粒子の事前分散、その他の被覆層の形成工程、ケイ素化合物含有層の形成工程を含めて(金属粒子表面に形成すべき層がすべて形成され終わる時点まで)、全行程を攪拌下で実施することによって、上記の物性要件の全てを満たす本発明に係る金属顔料組成物をより容易に得ることが可能になる。
以下に述べる攪拌条件の説明は、本発明に係る金属顔料組成物の製造におけるいずれの工程にも当てはまり得る。
攪拌は、公知又は市販の攪拌装置により実施することが可能である。例えば、ニーダー、混練機、回転容器撹拌機、撹拌式反応槽、V型撹拌機、二重円錐型撹拌機、スクリューミキサー、シグマミキサー、フラッシュミキサー、気流撹拌機、ボールミル、エッジランナー等の少なくとも1つを用いることができる。
これらの攪拌機の中でも、攪拌翼(インペラ)によって攪拌する攪拌槽型の装置を用いることが好ましい。攪拌翼によって、液相を含む反応系全体を流動させる循環作用と共に、圧力剪断作用を発揮する結果、複合粒子の凝集の生成をより効果的に抑制することができる。
攪拌翼の形状は、特に限定されず、例えば、アンカー型、プロペラ形、タービン形、傾斜タービン形、ファンタービン形、パドル形、傾斜パドル形、ゲート形を用いることができる。マックスブレンド翼(住友重機械プロセス機器(株)社製)やフルゾーン翼((株)神鋼環境ソリューション社製)なども好適である。また、これら形状の攪拌翼を多段で組み合わせることもできる。
攪拌速度は、攪拌によって生じる渦(ボルテックス)により攪拌翼が露出しない程度で攪拌されることが好ましい。また、攪拌により生じる渦を抑えるために、円筒型槽、角型槽又は邪魔板を設置した槽等を好適に用いることができる。
本発明に係る複合粒子を含む金属顔料組成物の製造においては、混合液の量、物性(密度、粘度など)との関係で最適な攪拌槽や攪拌翼のサイズ、攪拌翼の速度を設定することが望ましい。攪拌槽のサイズは一連の工程で用いる混合液の最大量が攪拌槽の20~80%となるように選択することが良い。円筒形の攪拌槽の場合は、攪拌槽の高さ(L)と内径(D)の比がL/Dが0.5~3.0の範囲とすることが一般的であり、通常1~2の範囲とする。また、攪拌翼のサイズは、最大直径が攪拌槽の内径の0.2~0.9の範囲とすることが一般的であり、0.4~0.6程度とすることが良い。攪拌翼の形状(長さを含む)は、混合液の物性によって適切に選ぶのが望ましく、工程全般において攪拌槽全体が攪拌されていることが重要である。特に液面や攪拌槽の底面近くに攪拌されていない滞留部ができないように上下流が発生しやすい傾斜パドル型や傾斜タービン型、プロペラ型を多段に組み合わせたり、マックスブレンド翼やフルゾーン翼を用いたりするのが好ましい。この際、攪拌翼と攪拌槽内面(邪魔板を含む)との距離は5mm以上離すことが望ましい。このようにすることで金属粒子の破損や変形を抑制することが容易となる。
攪拌翼の速度は、先端が0.5~50m/sであることが好ましく、1~20m/sであることがより好ましく、2~10m/sであることがさらに好ましい。攪拌翼先端の速度が0.5~50m/sの範囲内であることによって、生成される金属顔料組成物中の複合粒子の分散性を高めることができ、ひいては、個々の粒子の凝集性が小さく、優れた隠ぺい力、色調を有し、ガスの発生が少ない金属顔料組成物を得ることがより容易になる。また、攪拌の線速が上記範囲内であることによって、金属粒子(例えば鱗片状のアルミニウム粉)の破損が防止されると共に、加水分解/縮合反応の速度が適度に制御され、複合粒子の凝集が効果的に抑制され得る。
複合粒子の回収工程
金属粒子にケイ素化合物含有層(及び任意選択でその他の被覆層)を形成する工程が終了した後は、得られた複合粒子を回収することができる。回収にあたり、必要に応じて、洗浄、固液分離等の公知の処理を実施することもできる。例えば、有機溶剤を用いて分散液を洗浄した後にフィルターを用いて濾過し、複合粒子を含有するケーキから水と未反応物を除去することが好ましい。また、その後、必要に応じて、複合粒子を含有するケーキを例えば100~500℃の範囲の温度で加熱処理しても良い。このように回収された複合粒子は、後述のとおり、通常、製造過程で用いられた微量の水/親水性溶媒を含む溶媒が残存し同伴した金属顔料組成物を構成し得る。
3.金属顔料組成物
上述のようにして得られた本発明の金属顔料組成物は、金属粒子及びその表面上にある1層以上の被覆層を含む複合粒子を含み、また、固形分(不揮発分)の残分として、製造過程で用いられた水/親水性溶媒などの溶媒を含む金属顔料組成物を成していると捉えられる。
金属顔料組成物には、通常、有機ケイ素化合物(例えば、上記一般式(1)で表される有機ケイ素化合物の少なくとも一種と、上記一般式(2)、(3)及び(4)のいずれかで表されるシランカップリング剤、並びにそれらの部分縮合物から選ばれる少なくとも一種)の加水分解物及び/又はその縮合物であるケイ素化合物が、金属粒子100質量部に対して、加水分解/縮合反応が完了した状態換算で0.02から50質量部存在し得る。
金属顔料組成物には、任意選択のその他の被覆層を形成する化合物(その他の被覆層としてモリブデン含有被膜を形成する任意選択の態様にあってはモリブデン含有化合物、例えば混合配位型ヘテロポリアニオン化合物)が、金属粒子100質量部に対して、0.01から10質量部存在し得る。
金属顔料組成物には、任意選択の有機オリゴマーまたはポリマーが、金属粒子100質量部に対して、0.01から50質量部存在し得る。
金属顔料組成物には、任意選択の無機リン酸類及びその塩類、並びに酸性有機(亜)リン酸エステル類及びその塩類よりなる群から選ばれる少なくとも1種が、金属粒子100質量部に対して、0.01から20質量部存在し得る。
金属顔料組成物には、上記成分(不揮発分)の残分として、製造過程で用いられた水/親水性溶媒を含む溶媒が存在し得る。水/親水性溶媒を含む溶媒の量は、例えば、金属顔料組成物の0.5~95質量%であってよい。あるいは、水/親水性溶媒を含む溶媒の量は、金属顔料組成物の1~90質量%、または2~80質量%、または5~70質量%であってよい。
金属顔料組成物は、任意選択で、上記以外の任意成分を含み得る。任意成分の例としては、酸化防止剤、光安定剤、重合禁止剤、界面活性剤の少なくとも1種が挙げられる。
酸化防止剤としては、フェノール系化合物、リン系化合物、イオウ系化合物に代表されるものを使用することができる。
光安定剤としては、先述した酸化防止剤として使用されるものも使用可能であるが、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、サリチレート系化合物、シアノアクリレート系、蓚酸誘導体、ヒンダードアミン系化合物(HALS)、ヒンダードフェノール系化合物に代表されるものを使用することができる。
界面活性剤としては、例えばポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、オキシアルキレンアルキルアミノエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステルに代表される非イオン性界面活性剤が挙げられ、硫酸エステル塩、スルホン酸塩、リン酸エステル塩類に代表される陰イオン性界面活性剤が挙げられ、四級アンモニウム塩に代表される陽イオン性界面活性剤などが挙げられ、これらから選ばれた1種若しくは2種以上が使用できる。これらの中で特に好ましい例としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル又はそれらの混合物が例示される。
4.梱包容器
本発明の梱包容器は、金属顔料組成物を梱包するものであり、金属顔料組成物と接触する部分にa)、b)より選ばれる1種類以上の保護層が形成されている。
a)グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、環状オキシラン型エポキシ樹脂、ノボラックフェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、及びフェノール樹脂で熱硬化させたエポキシ樹脂から成る群より選択される少なくとも一つを含む樹脂から形成された、厚みが1~200μmである保護層。
b)燐酸金属塩から形成された、単位面積当たりの重量が0.1g/m~10g/mである保護層。
本発明の梱包容器の基材(保護層によって保護される基体部分)は、少なくとも部分的に金属を含んでおり、実質的に金属から形成されていることがより好ましい。梱包容器の基材が金属であると、衝撃に強く輸送中に漏洩や外気との接触を受けにくく、また保存中の内温の温度変化が緩やかになるという利点がある。なお、本発明の梱包容器には、基材などの主要構成部分が金属製であり、蓋のシール部など一部分(基材やその保護層以外の付属部品等)が金属以外の樹脂で形成されている場合も包含される。
基材を構成する金属としては、鉄、ステンレス、アルミニウムであることが好ましく、鉄、ステンレスであることがより好ましく、鉄であることがさらに好ましい。
基材の厚みは、特に限定されないが、通常約500μm~50mmであってよく、より典型的には約800μm~20mmであってよい。基材の厚みは、概ね全体において一定であることが好ましいが、頂部、底部、またはそれらの周囲箇所において他の箇所よりも厚く構成されていてよい。
本発明の梱包体において、梱包容器の金属顔料組成物と接触する部分に前記したような保護層が形成されていると、梱包体中の金属顔料組成物に含まれる複合粒子の凝集や色調変化の進行をより一層抑制することができる。
a)のエポキシ樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ビスフェノールA型、ビスフェノールF 型、水添ビスフェノールA型、フェノールノボラック型等からなるグリシジルエーテル型、ヘキサヒドロフタル酸グリシジルエステル、グリシジルメタクリレートコポリマー等からなるグリシジルエステル型、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン等からなるグリシジルアミン型、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート等からなる環状オキシラン型が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。これらのエポキシ樹脂は、脂肪酸変性による常温硬化対応や、メラミン樹脂やアミン等の硬化剤を用い熱硬化させたり、紛体塗料化や乳化させてカチオン電着型としたりするなど、一般的に知られた方法で塗料として使用される。
フェノール樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ノボラックフェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂等が挙げられる。これらのフェノール樹脂は、アミン系の硬化剤による硬化や熱による硬化方法を用いて塗料として使用される。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
エポキシ樹脂とフェノール樹脂とを含む樹脂としては、特に限定されないが、例えば、エポキシ樹脂の硬化剤としてフェノール樹脂を用い、熱硬化させた樹脂が挙げられる。該樹脂はそのままの形で塗料として使用される。
ポリエステル樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンイソフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂、及び、これらを共重合させた樹脂があげられる。これらのポリエステル樹脂は、フィルムとして金属にラミネートする形で使用されてもよく、粉体塗料として使用されてもよい。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
また、前記樹脂は、エポキシ樹脂を含むことがより好ましく、フェノール樹脂を含むことがより好ましい。
a)の樹脂の層は、被覆膜厚として1μm~200μmである。当該樹脂の被覆膜厚が1μm以上であることで被覆の欠陥を防止しやすく、着色防止効果がより好適に発現する傾向にある。当該樹脂の被覆膜厚が100μm以下であることで、コスト、生産性の観点から好ましい。当該樹脂の被覆膜厚は、より好ましくは2μm~50μmであり、さらに好ましくは3μm~40μmである。
なお、ここでの膜厚は、例えば、実際の適用工程に起因する僅少な変動を含む任意の5箇所の厚みの平均値を指す。
b)の燐酸金属塩としては、燐酸鉄又は燐酸亜鉛であることが好ましい。
b)の燐酸金属塩から形成された層は、面積当たりの重量が0.1g/m~10g/mである。当該燐酸金属塩の被覆量が0.1g/m以上であることで被覆の欠陥を防止しやすく、着色防止効果がより好適に発現する傾向にある。当該燐酸金属塩の被覆量が10g/m以下であることで、コスト、生産性の観点から好ましい。当該燐酸金属塩の被覆量は、より好ましくは0.2~7g/mであり、さらに好ましくは0.3~5g/mである。
保護層はa)、b)より選ばれる1種類以上であれば良く、a)とb)を組み合わせて用いても良く、組み合わせる場合は、b)が梱包容器の基材(典型的には金属製)と接し、その上にa)の樹脂の層を形成するのが好ましい。
a)の樹脂の層は、例えば、溶剤系の各種樹脂コーティング剤を金属板に塗布、乾燥し、所定の温度・時間(例えば、エポキシフェノール樹脂であれば210℃で10分間)にて焼付けて形成することができる。梱包容器としてペール缶を採用する場合は、上記の樹脂の層を形成した金属板を成形してペール缶として得ることができる。
本発明の梱包体は、前記梱包容器が密閉可能であることが望ましい。梱包容器が密閉可能であると、梱包体中の金属顔料の凝集や色調変化の進行をより一層抑制することができる。通常、梱包体は、金属顔料組成物を例えば1時間以上または1日以上の長時間に渡って保管する際、あるいは運搬する際には密閉される。
本発明の梱包容器の形状は、特に限定されないが、例えば、概ね四角柱型、概ね円柱型であってよく、好ましくは概ね円柱型であってよい。梱包容器は、概ね円柱型の中でも、ペール缶又はドラム缶と称されるものであることが好ましい。前記梱包容器がペール缶又はドラム缶であると、一般的な容器で物流面また保管の際の省スペース、倉庫の出し入れに便利でありながら、内容物を安定的に保存できるという特徴を持つ。
(水分率)
本発明の梱包体中の金属顔料組成物に含まれる水分率は、(質量基準で)金属顔料組成物に対して(0ppm以上)2000ppm以下であることが望ましい。このような水分率とすることで、梱包体中の金属顔料組成物の複合粒子の凝集や色調変化の進行をより一層抑制することができる。水分率は1000ppm以下であることがより好ましく、500ppm以下であることが更に好ましく、300ppm以下であることが特に好ましい。水分率の下限値はなく、低ければ低いほど良い。
このような水分率とするためには、金属顔料組成物を製造する工程において、金属粒子にケイ素化合物含有層(及び/又は、任意選択でその他の被覆層)を形成する工程が終了した後に、洗浄、固液分離等の公知の処理を行い、この際に、例えば、水分率が2000ppm以下の有機溶剤を用いて分散液を洗浄した後にフィルターを用いて濾過し、場合によってはこの操作を複数回繰り返し、複合粒子を含有する組成物から水と未反応物を除去することが好ましい。また、その後、必要に応じて、複合粒子を含有するケーキを水分率の低い窒素などの気体雰囲気にて、例えば100~500℃の範囲の温度で加熱脱水処理しても良い。このように回収された複合粒子は、上述のとおり、通常、製造過程で用いられた少量の水/親水性溶媒を含む溶媒が残存し同伴した金属顔料組成物を構成し得る。
また、組成物の固形分割合を調整する場合も水分率が2000ppm以下の有機溶剤(例えば上述された親水性溶媒)を用いることが望ましい。
これらの洗浄や固形分調整に用いる有機溶剤の水分率は2000ppm以下が好ましいが、より好ましくは1000ppm以下であり、更に好ましくは500ppm以下であり、300ppm以下であることが特に好ましい。
なお、梱包体中には気相部分にも水分が含まれうる。梱包体の気相部分の水分は、梱包容器に梱包された金属顔料組成物に含まれる水分に由来し、および梱包容器の容積内の金属顔料組成物以外の部分の空気中の水分に由来する。気相部分に水分が多いと、金属顔料組成物がこの水分を吸って水分率が高くなってしまう。このため、、梱包容器に金属顔料組成物を入れる際は乾燥空気を用いることが好ましい。また、梱包容器に蓋をする前に乾燥空気で気相部を置換するのも好ましい方法である。梱包容器に金属顔料組成物を入れる際に乾燥空気を用いるか、または梱包容器に蓋をする前に乾燥空気で気相部を置換し、同時に密閉したとき、梱包体中の水分率は、金属顔料組成物中の水分率に実質的に等しく、保管中に金属顔料組成物中の水分率が有意に上昇することは無い。金属顔料組成物中の水分率は、実施例にて後述された方法によって測定することができる。
(pH)
本発明の梱包体中の金属顔料組成物はpHが5~9の範囲であることが好ましい。この範囲のpHとすることで、梱包体中の金属顔料組成物の複合粒子の凝集や色調変化の進行をより一層抑制することができる。金属顔料組成物のpHは6~8の範囲であることがより好ましく、6.5~7.5の範囲であることが更に好ましい。
このような金属顔料組成物のpHとするためには、金属粒子にケイ素化合物含有層(及び/又は、任意選択でその他の被覆層)を形成する工程が終了した後に、十分量の有機溶剤にて洗浄、固液分離等の公知の処理を繰り返し行い、被覆層を形成させる際に用いた触媒等の極性化合物を十分洗浄・除去することが望ましい。
(残渣)
本発明の梱包体は、密閉された状態で20℃の屋内倉庫で1年間保管したとき、保管後の金属顔料組成物の残渣が(そのときの金属顔料組成物の全重量に基づいて)0.05重量%以下であることが好ましい。また、本発明の梱包体は、密閉された状態で20±10℃、好ましくは20±20℃の屋内倉庫で1年間保管したときでも(すなわち、この温度範囲内の一定温度の屋内倉庫で、または、この温度範囲内にて手動で適宜、もしくは自然下で変動させた温度の屋内倉庫で1年間保管したときでも)、保管後の金属顔料組成物の残渣が0.05重量%以下であることがより好ましい。このような金属顔料組成物の残渣量とすることで、ブツの無い良好な塗膜を形成可能な塗料を得ることが容易となる。金属顔料組成物の残渣量は、複合粒子における金属粒子に対する被覆状態、金属顔料組成物中の水分率などが影響するため、上記したような所定要件を満たす被覆、梱包体中の所定範囲内の水分率とすることによって、上記したような残渣量に制御することが容易となる。残渣量は0.02重量%以下であることがより好ましく、0.01重量%以下であることが更に好ましい。
なお、ここでの用語「残渣」は、後述の実施例に記載された測定方法にて得られた残渣を指すものとする。
また、本発明の梱包体は、密閉された状態で前記梱包体を60℃℃の加温室で3か月保管したとき、保管後の金属顔料組成物の残渣が0.05重量%以下であることが好ましい。また、本発明の梱包体は、密閉された状態で前記梱包体を60℃±10℃の加温室で3か月保管したときでも(すなわち、この温度範囲内の一定温度の加温室で、または、この温度範囲内にて手動で適宜変動させた温度の加温室で3か月保管したときでも)、保管後の金属顔料組成物の残渣が0.05重量%以下であることが好ましい。このような金属顔料組成物の残渣量とすることで、ブツの無い良好な塗膜を形成可能な塗料を得ることが容易となる。金属顔料組成物の残渣量は、複合粒子における金属粒子に対する被覆状態、金属顔料組成物中の水分率などが影響するため、上記したような所定要件を満たす被覆、梱包体中の金属顔料組成物を所定範囲内の水分率とすることによって、上記したような残渣量に制御することが容易となる。残渣量は0.02重量%以下であることがより好ましく、0.01重量%以下であることが更に好ましい。
(保管・運搬方法)
本発明の保存方法は、上述の梱包体によって金属顔料組成物を保存する方法である。
本発明の保存方法において、金属顔料組成物を保存する際の梱包容器内の温度は、0~50℃であることが好ましく、10~40℃であることがより好ましく、15~25℃であることがさらに好ましい。
一実施形態の保存方法において、金属顔料組成物を保存する期間は、5年以下であることが好ましく、2年以下であることがより好ましく、1年以下であることがさらに好ましい。
一実施形態の保存方法において、保管する倉庫は0~50℃または10~40℃の範囲に制御できる倉庫であることが好ましく、15~25℃の範囲で制御できる定温倉庫であることがより好ましい。倉庫の温度は、保存期間の全体に渡り、一定の温度に制御され得ることが好ましい。
本発明の運搬方法は、上述の梱包体によって金属顔料組成物を運搬する方法である。
一実施形態の運搬方法において、金属顔料組成物を運搬する際の梱包容器内の温度は、0~50℃であることが好ましく、10~40℃であることがより好ましく、15~25℃であることがさらに好ましい。
一実施形態の運搬方法において、運搬するコンテナや荷室は0~50℃または10~40℃の範囲に制御できることが好ましく、15~25℃の範囲で制御できる定温コンテナや荷室であることがより好ましい。倉庫の温度は、運搬期間の全体に渡り、一定の温度に制御され得ることが好ましい。
また、保管、運搬のいずれの場合も、梱包体に直射日光が当たらないことが望ましい。直射日光があたることで、梱包体の一部分の温度が上昇する可能性が高くなることを防ぐためである。
次に、実施例及び比較例によって、本発明を具体的に説明する。
以下の実施例は、本発明を例示するために記載するものであって、本発明の範囲を何ら限定するものではない。
[参考例1]金属顔料組成物
翼径0.5mのパドル型攪拌翼を有する直径0.8mの0.75mの反応槽に、市販のアルミペースト(旭化成株式会社製、商品名「GX-3100(平均粒径11μm、揮発分74%)」)67kgに230kgのメトキシプロパノール(以下、「PM」と略す。)を加え、混合物を100rpmで攪拌翼にて攪拌し、且つ、底部から抜き出した10L/分の分散液を反応槽上部から反応槽にもどす外部循環をしながら、アルミペーストをPM中に均一に分散させた。
次いで、リンタングストモリブデン酸(HPWMo40)水和物0.5kgをメトキシプロパノール2.5kgに溶解した液を徐々に加え、スラリー温度を40℃に保ちながら1時間攪拌した。
その後、有機珪素化合物として5kgのテトラエトキシシランを添加した後、5kgの25%アンモニア水と100kgの精製水を3時間かけて添加した。その後更に、シランカップリング剤として0.7kgのメチルトリメトキシシランを添加し、2時間攪拌した。反応終了後、冷却してからスラリーを濾過した。
ろ過したスラリーを水分率が200ppmのPMで5回(すなわち十分に)洗浄して水分率を下げ、被覆層の形成に用いた原料や触媒等を十分に除去した後、再度、加圧ろ過し、不揮発分60%のアルミニウム顔料組成物を得た。ここで加圧ろ過などのスラリー取扱い時には露点が-40℃の乾燥空気を用いた。
[参考例2]金属顔料組成物
アルミペースト(旭化成株式会社製、商品名「FD-5090(平均粒径9μm、揮発分7%)」)に変更した以外は参考例1と同様に行い、不揮発分60%のアルミニウム顔料組成物を得た。
[実施例1]
金属顔料組成物を梱包する梱包容器として内容量20リットルの鋼製ペール缶(20リットルストレートペール缶、新邦工業株式会社製)を用意した。該梱包容器の金属顔料組成物と接触する部分は平均厚み7μmのエポキシフェノール樹脂(ダイトロン♯5301、大日本塗料株式会社製)の層が形成されていた。なお、エポキシフェノール樹脂は、エポキシ樹脂20質量%とフェノール樹脂30質量%と溶剤50%とを混合したコーティング剤として塗布し、溶剤を室温で揮発させた後、210℃で10分間焼き付けて樹脂の層とした。該梱包容器に参考例1で準備した金属顔料組成物を15kg仕込み、密閉して梱包体を得た。この際、ペール缶の気相部は参考例で用いたのと同じ乾燥空気(露点:-40℃)で満たした。なお、ここでの保護層の「平均厚み」は、任意の5箇所の厚みの平均を指す。
[比較例1]
金属顔料組成物を梱包する梱包容器として、金属顔料組成物と接触する部分に樹脂を含む層が形成されていない未処理の鋼製ペール缶を用いた以外は実施例1と同様にして梱包体を得た。
[実施例2]
参考例2で準備した金属顔料組成物を用いた以外は実施例1と同様にして梱包体を得た。
[比較例2]
参考例2で準備した金属顔料組成物を用いた以外は比較例1と同様にして梱包体を得た。
[実施例3]
エポキシフェノール樹脂の層の平均厚みが50μmである梱包容器を用いた以外は実施例1と同様にして梱包体を得た。
[実施例4]
エポキシフェノール樹脂の層の平均厚みが3μmである梱包容器を用いた以外は実施例1と同様にして梱包体を得た。
[実施例5]
ろ過したスラリーの洗浄に水分率が2000ppmのPMを用いた以外は実施例1と同様にして梱包体を得た。
[実施例6]
ろ過したスラリーの洗浄回数を1回に減らした以外は実施例1と同様にして梱包体を得た。
[比較例3]
金属顔料組成物を梱包する梱包容器として、金属顔料組成物と接触する部分に樹脂を含む層が形成されていない未処理の鋼製ペール缶を用いた以外は実施例5と同様にして梱包体を得た。
[実施例7]
平均厚み100μmのポリエチレン樹脂の層が形成されている内容量20リットルの鋼製ペール缶(特殊ペール缶PS-20、新邦工業株式会社製)を用いた以外は実施例1と同様にして梱包体を得た。なおポリエチレン樹脂の層は、ブロー成形法にて形成して金属缶の内面に熱融着させて形成した。
[実施例8]
平均厚み7μmのエポキシ樹脂の層が形成されている内容量13リットルの鋼製ペール缶(13L白ペール、株式会社高村商会製)を用いて金属顔料組成物を10kg仕込んだ以外は、実施例1と同様にして梱包体を得た。
[比較例4]
金属顔料組成物を梱包する梱包容器として、金属顔料組成物と接触する部分に平均厚み0.5μmのエポキシフェノール樹脂の層が形成されている鋼製ペール缶を用いた以外は実施例5と同様にして梱包体を得た。
[実施例9]
3g/mの燐酸鉄の層が形成されている200リットル鋼製ドラム缶(オープンヘッドドラム、JFEコンテイナー製)に金属顔料組成物を150kg仕込んだ以外は実施例1と同様にして梱包体を得た。
[実施例10]
3g/mの燐酸亜鉛の層が形成されている鋼製ドラム缶(JFEコンテイナー製)に金属顔料組成物を150kg仕込んだ以外は実施例1と同様にして梱包体を得た。
(金属顔料組成物の評価)
(平均粒子径:D50
金属顔料組成物中の複合粒子の平均粒子径(D50)を、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置(LA-300/株式会社堀場製作所製)を用いて測定した。
測定溶剤としては、イソプロパノールを使用した。
測定は機器取扱説明書に従い実施したが、留意事項として、試料となる複合粒子に対して前処理として2分間の超音波分散を行った後、分散槽の中に投入し適正濃度に分散されたのを確認後、測定を開始した。測定終了後、D50は機器のソフトウェアにより計算され、自動表示された。
(水分率)
金属顔料組成物中の水分率はJIS K 0068に準じてカールフィッシャー法にて測定した。
(pH)
金属顔料組成物のpHは、温度25℃にて、ガラス電極式pH測定装置(PH METER F-15型、堀場製作所製)を用いて測定した。
(梱包体保管後の金属顔料組成物の残渣割合)
上記各実施例/比較例において得られた金属顔料組成物の梱包体を20±10℃の(保管庫周囲の大気の影響により自然に変動させた温度下の)保管庫で1年保管した後、梱包体より取り出した金属顔料組成物50gを1000mlのミネラルスピリットにスパチュラで分散させた後、200メッシュのナイロン網(NBC社製)にてろ過し、残渣をアセトンで十分洗浄した後、105℃で10分間乾燥した後、質量を測定し、これを残渣の質量としてその割合を求めた。
(梱包体保管前後の金属顔料組成物から得られた塗膜の評価)
上記各実施例及び比較例で得られた金属顔料組成物の梱包体の保管前と、梱包体を20±10℃の(保管庫周囲の大気の影響により自然に変動させた温度下の)保管庫で1年保管した後とで、梱包体より取り出した金属顔料組成物を用いて、下記の組成で水性メタリック塗料を調製し、下記の方法で塗料及びそれから得られた塗膜の評価をそれぞれ行った。
<水性メタリック塗料の組成>
・金属顔料組成物:不揮発分として12.0g
・メトキシプロパノール:18.0g
・ポリオキシエチレンラウリルエーテル(非イオン性界面活性剤、松本油脂製薬株式会社製、商品名「マーポンL5」):6.0g
・精製水:12.0g
・水溶性アクリル樹脂(※1):110.0g
・メラミン樹脂(※2):18.0g
※1:三井化学株式会社製、アルマテックスWA911
※2:日本サイテックインダストリーズ株式会社製、サイメル350
上記成分を混合後、ジメチルエタノールアミンでpHを7.7から7.8に調整し、カルボン酸系増粘剤と精製水とで粘度を650から750mPa・s(B型粘度計、No.3ローター、60回転、2℃)に調整した。
(塗膜評価)
上記処方で調製された水性メタリック塗料を、中塗り塗装がなされた12cm×6cmの鋼板(三木コーティング株式会社製)に乾燥膜厚6μmとなるようにエアスプレー塗装し、90℃で10分間予備乾燥した後、下記組成の有機溶剤型トップコート用塗料を、スパチェラで3分間分散後、フォードカップNo4にて20.0秒になるように塗料粘度を調整し、乾燥膜厚20μmとなるようにエアスプレー塗装し、140℃で30分間乾燥させて塗装板を作製し、以下の評価に供した。
(有機溶剤型トップコート用塗料の組成)
・アクリディック44-179(DIC社製、アクリルクリヤー樹脂)141g
・スーパーベッカミン J-820(DIC社製、メラミン樹脂)35.3g
・トルエン123.5g
(塗膜ブツ)
得られた塗装板のトップコート塗膜の表面全面のブツの数を計測し、下記の指標で評価した。
〇: ブツが視認できなかった。
△: ブツが10個以下であった。
×: ブツが10個より多かった。
(輝度)
得られた塗装板について、関西ペイント株式会社製のレーザー式メタリック感測定装置アルコープLMR-200を用いて評価した。光学的条件は、入射角45度のレーザー光源、および受光角0度と-35度に受光器をもつ。測定値としては、レーザーの反射光のうち、塗膜表面で反射する鏡面反射領域の光を除いて最大光強度が得られる受光角-35度でIV値を求めた。IV値は塗膜からの正反射光強度に比例するパラメーターであり、光輝度の大小を表す。
得られたIV値から、以下の基準に基づいて評価した。
〇:基準(保管前)からの低下幅が20未満であった。
△:基準(保管前)からの低下幅が20以上40未満であった。
×:基準(保管前)からの低下幅が40以上であった。
(隠蔽性)
調製された水性メタリック塗料をポリエチレンテレフタレート製シート(PETシート)上に、乾燥膜厚15μmとなるように2ミルのアプリケーターで塗布し、140℃で30分間乾燥させた塗膜を目視で判定した。
○:基準(保管前)と同等からやや低めであった。
△:基準(保管前)より低めであった。
×:基準(保管前)より大幅に低かった。
(複合粒子の平均厚み、被覆層の平均厚み)
粒子の厚み等の測定を容易にするため、保管前の梱包体より取り出した金属顔料組成物を用いて作成した、上記「塗膜評価」に使用した塗料の配合における金属顔料組成物の量を1/10にした以外は同一の条件で上記水性メタリック塗料を作製し、上記「塗膜評価」に記載された条件で塗装板を作製した。
上記の塗装板を、シャーリング機を用いて1cm四方に切断した。
得られた塗膜断面を、イオンミリング装置(日本電子製/IB-09010CP)を使用して、塗膜断面から20μm離れた部分までイオンビーム照射が可能なよう設定し、イオンミリング処理により、精密研磨断面試料を作製した。
得られた塗膜断面(塗装板)を、FE-SEM(HITACHI製/S-4700)で観察することで複合粒子の厚みを評価した。
FE-SEM観察・取得の条件は、加速電圧の設定を5.0kVで調整し、像倍率は1万倍で測定を行った。
得られたFE-SEM像(1万倍)より画像解析ソフトWin Roof version 5.5(MITANI CORPORATION製)を用いて、複合粒子断面における任意の100個の粒子の厚みを計測し、平均厚みを算出した。なお、複合粒子の厚み均一性は高く、粒子の切断部位による厚みの差異は小さい。よって粒子の切断部位の違いが、平均厚み測定に与える影響は無視できる。
上記のFE-SEM像取得のために作製した塗装板について、HR-STEM(高分解能走査型透過電子顕微鏡、HITACHI製/S-5500)を使用して、加速電圧の設定を30kVで調整し、倍率20万倍で画像を得て、複合粒子の被覆層の厚みを計測した。被覆層表面に凹凸がある場合は、画像解析ソフトWin Roof version 5.5を用いて、被覆層の面積を計測し、これを被覆されている粒子の周囲長で除することにより、被覆層の厚みとした。また粒子が大きい場合には必ずしも被覆層全ての面積を計測する必要はなく、粒子表面に沿って1μm程度の領域の被覆層の面積を計測し、これを粒子表面長で除することにより、十分な精度で被覆層の厚みが得られる。また被覆層の厚みは粒子に依らずほぼ均一であるので、10個の粒子について平均値を求めた。
[実施例11]
実施例1おいて得られた金属顔料組成物の梱包体を60℃の(±10℃以内の一時的な変動を含む実質的に一定温度下の)保管庫(加温室)で3か月保管した後、梱包体より取り出した金属顔料組成物を用いて、保管条件以外は実施例1と同様の評価を行った。
評価結果を表1に示す。各実施例にて得られた上記項目(1)~(4)の要件の全てを満たす本発明に係る梱包体では、梱包体中の金属顔料組成物の凝集や着色の進行を抑制することができることが分かった。
Figure 2023004748000001
本発明に係る梱包体、本発明の保管・運搬方法により保管・運搬された後の梱包体に含まれる金属顔料組成物、並びにそれらを用いて得られる塗膜等は、低VOC、水性塗料等に用いた場合の貯蔵安定性、ブツの抑制、意匠性、隠蔽性等の塗膜の優れた特性等を、従来技術の限界を超えて高いレベルで兼ね備える。したがって、これらの金属顔料組成物および塗膜は、塗料、インキ、樹脂練り込み剤等、従来から金属顔料が用いられる各種用途、より具体的には自動車ボディー、自動車補修材料、自動車部品、家電等、プラスチック部品、PCM用塗料、高耐候性塗料、耐熱塗料、防食塗料、船底用塗料、オフセット印刷インキ、グラビア印刷インキ、スクリーン印刷インキ等において好適に使用することができる。または、これらの金属顔料組成物および塗膜は、自動車等の輸送機械産業、家電等の電気電子産業、塗料産業、印刷業などの産業の各分野において高い利用可能性を有する。

Claims (9)

  1. 梱包容器に、金属粒子及びその表面上にある1層以上の被覆層を有する複合粒子を含む金属顔料組成物を梱包した梱包体であって、下記(1)~(4)を満足する梱包体:
    (1)複合粒子の形状が鱗片状であること、
    (2)複合粒子は、レーザー回折式粒度分布計にて粒度分布を測定した場合の体積基準のD50が1~30μmであること、
    (3)複合粒子の平均厚みが20~400nmであること、
    (4)少なくとも部分的に金属を含む基材を備えた梱包容器の該金属顔料組成物と接触する部分に下記a)、b)より選ばれる1種類以上の保護層が形成されていること:
    a)グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、環状オキシラン型エポキシ樹脂、ノボラックフェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、及びフェノール樹脂で熱硬化させたエポキシ樹脂から成る群より選択される少なくとも一つを含む樹脂から形成された、厚みが1~200μmである保護層;
    b)燐酸金属塩から形成された、単位面積当たりの重量が0.1g/m~10g/mである保護層。
  2. 前記被覆層の少なくとも1層がケイ素化合物含有層である、請求項1に記載の梱包体。
  3. 金属粒子がアルミニウム又はアルミニウム合金である、請求項1又は請求項2に記載の梱包体。
  4. 梱包体中の金属顔料組成物に含まれる水分が金属顔料組成物の質量に対して0~1000ppmである、請求項1~請求項3のいずれかに記載の梱包体。
  5. 金属顔料組成物のpHが6~8の範囲である、請求項1~請求項4のいずれかに記載の梱包体。
  6. 密閉された前記梱包体を20℃の屋内倉庫で1年間保管したとき、保管後の金属顔料組成物の残渣が0.05重量%以下である、請求項1~請求項5のいずれかに記載の梱包体。
  7. 密閉された前記梱包体を60℃の加温室で3か月保管したとき、保管後の金属顔料組成物の残渣が0.05重量%以下である、請求項1~請求項5のいずれかに記載の梱包体。
  8. 請求項1~請求項7のいずれかに記載の梱包体によって0~50℃にて金属顔料組成物を保管する保管方法。
  9. 請求項1~請求項7のいずれかに記載の梱包体によって0~50℃にて金属顔料組成物を運搬する運搬方法。

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