JP2022529742A - 神経修復方法 - Google Patents

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Abstract

本開示は、アミロイドβ関連疾患におけるアミロイドβ毒性を逆転させるためのインドール誘導体化合物の使用方法を提供する。【選択図】なし

Description

本開示は、アミロイドβ(Aβ)毒性を逆転させる方法であって、Aβ毒性を逆転させて、アルツハイマー病(AD)、緑内障、及び網膜の黄斑変性を含むAβ関連疾患における細胞機能を迅速に改善する方法に関する。
アミロイドβ(Aβ)関連疾患または状態には、凝集によって誤って折り畳まれた(ミスフォールドした)Aβモノマーから形成された毒性Aβ凝集体の存在によって、神経細胞及び非神経細胞の機能が影響を受ける疾患及び状態が含まれる。Aβ関連疾患または状態としては、眼または神経の疾患または状態、これに限定しないが、例えば、アルツハイマー病(AD)、緑内障、及び網膜の加齢黄斑変性が挙げられる。図1は、正常に折り畳まれたAβモノマーから毒性Aβオリゴマーへの進行を示す概略図である。
アルツハイマー病(AD)は、認知症の最も一般的な病型であり、その発症率は世界中で驚くべき速さで増加している。ADの病態生理は、初期のシナプス毒性を伴う、慢性・進行性の神経変性によって特徴付けられる。ADの最も明白な病理学的特徴の1つは、脳内に沈着したアミロイドβ(Aβ)の蓄積である。正常な神経細胞機能には正常なAβが不可欠であるが、ミスフォールドしたAβは、しばしばAβの過剰産生と関連しており、初期のシナプス病理の根底にあると考えられている。したがって、正常なAβ機能を損なうことなく、脳内の毒性Aβオリゴマーを減少させることが、AD関連機能障害を改善または逆転させるための有望な治療戦略であり得る。
緑内障は米国における失明原因の第2位であり、神経変性疾患であることが研究により明らかになっており、その発症機序にAβ毒性が重要な役割を果たしていることを示す証拠が増えている。緑内障の病態は、視神経を形成する網膜神経節細胞(RGC)とその軸索の進行性変性である。緑内障の分類としては、原発性閉塞隅角緑内障、続発性開放隅角緑内障、ステロイド誘発性緑内障、外傷性緑内障、色素分散症候群、偽性剥離症候群、続発性閉塞隅角緑内障、血管新生緑内障、ぶどう膜炎による緑内障、及び、他の特定されない眼疾患が挙げられる。近年、Aβが網膜神経節細胞の死と共局在化することが見出された。また、動物実験により、特に可溶性Aβ1-42オリゴマーが、網膜神経節細胞にとって非常に強力な毒素であることが実証された。したがって、ADと同様に、緑内障及びその関連疾患においても、Aβ毒性が重要な役割を果たしていると考えられる。
同様に、網膜の乾燥型加齢黄斑変性(乾燥型AMD)は、網膜の病態を伴う疾患であり、網膜色素上皮及び光受容体におけるAβ毒性の発生と密接に関連しており、進行性の視力喪失を引き起こし、最終的には失明に至る。
AD、緑内障、及び乾燥型AMDなどの神経変性疾患における病理の現在の理解によれば、罹患した神経細胞または神経感覚細胞は、時間とともに、Aβオリゴマーの毒性に苦しむ。これらの細胞はすぐに死ぬのではなく、まず、代謝及び膜電位が低下したサバイバルモードに入る。この状態では、例えば網膜においては、細胞は正常に機能せず、そのため、視覚プロセスへの寄与が少なくなる。これにより、細胞は、生きてはいるものの完全には機能していない状態となり、このことを「昏睡状態にある細胞」と呼ぶ研究者もいる。網膜内のAβオリゴマーの毒性の影響を除去または逆転させることができる薬剤があれば、十分に機能していない細胞機能を回復させて、昏睡状態にある細胞を完全に機能する細胞に変化させることができ、その結果、細胞の数及びそれらの視覚プロセスに対する正味の寄与を増加させることができる。この逆転の結果は、患者の視覚機能を改善することができる。同じことが、Aβオリゴマーの毒性に苦しむアルツハイマー患者の脳の昏睡状態にある細胞にも当てはまり、上記の場合と同様に、十分に機能していない細胞機能を回復させることができれば、認知機能の改善につながる。しかしながら、そのような薬剤は、現在のところ存在しない。
したがって、Aβ毒性によって引き起こされる症状を逆転させ、Aβ関連神経変性疾患、これに限定しないが、例えば、乾燥型AMD、緑内障、及びADにおける、神経細胞または神経感覚細胞の機能を回復させることができる方法に対する、重大なアンメット・メディカル・ニーズが存在している。
本開示は、アミロイドβ毒性を逆転させて、神経細胞、非神経細胞、神経感覚細胞、またはそれらの任意の組み合わせの機能を迅速に改善するために、下記の式Iで表される化合物Iを使用する方法であって、それを必要とする対象に対して、化合物I、または、アミロイドβ1-42と化合物Iとを含む非毒性の非βシート非晶質アミロイドβクラスタを投与するステップを含む方法を提供する。
一態様では、本開示は、アミロイドβ毒性を逆転させて、神経細胞、非神経細胞、神経感覚細胞、またはそれらの任意の組み合わせの機能を迅速に改善する方法であって、それを必要とする対象に対して、下記の式Iで表される化合物I、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくは多形体を、薬学的に有効な量で投与するステップを含む方法を提供する。
Figure 2022529742000001
式中、
は、キラル中心を指し、
**は、RとRとが異なる場合のキラル中心を指し、
は、水素、-C1-6-アルキル、シクロC3-12-アルキル、-C(O)R、または-C(O)ORであり、
は、水素、C1-6-アルキル、またはシクロC3-12-アルキルであり、
は、-OR、-NHR、または-N(R)であり、
は、水素、ハロゲン、シアノ、トリフルオロメチル、-C1-6-アルキル、-C6-10-アリール、ヘテロアリール、-OR、-NHR、-N(R)、-C(O)R、または-C(O)-NHRであり、
は、水素、-C1-6-アルキル、または、-C2-6-アルケニルであるか、あるいは、R及びRは、それらを担持する炭素原子と共に、3~6個の炭素原子を有する環状系を形成し、
は、水素、-C1-6-アルキル、または-C2-6-アルケニルであり、
は、水素、メチル、エチル、プロピル、またはシクロプロピルであり、
Rは、水素、-C1-6-アルキル、または-C6-10-アリールであり、
Xは、-C(O)CH-、-CH(OH)CH-、-CH=CH-、-CH-NR-C(O)-、または-C(O)NRである。
関連する一態様では、上記の化合物Iは、下記の式IAで表される化合物IA、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくは多形体を含む。
Figure 2022529742000002
式中、R、R、R、R、R、R、R、及びXは、上記の化合物Iにおけるそれらと同様である。
関連する別の態様では、上記の化合物Iまたは上記の化合物IAは、下記の化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、または、それらの薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくは多形体から選択される。
Figure 2022529742000003
関連する別の態様では、神経細胞、非神経細胞、神経感覚細胞、またはそれらの任意の組み合わせの機能の迅速な改善は、神経細胞、非神経細胞、神経感覚細胞、またはそれらの任意の組み合わせにおける、損なわれた神経細胞機能の迅速な回復、または細胞死の減少を含む。関連する別の態様では、神経細胞、非神経細胞、または神経感覚細胞は、網膜神経節細胞(RGC)、網膜色素上皮(RPE)細胞、桿体細胞及び錐体細胞を含む光感覚細胞、海馬細胞、皮質細胞、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
関連する一態様では、対象は、アミロイドβ関連疾患に罹患している。関連する別の態様では、アミロイドβ関連疾患は、眼の疾患または状態、または、神経の疾患または状態を含む。関連する別の態様では、眼の疾患または状態は、原発性閉塞隅角緑内障、続発性開放隅角緑内障、広隅角緑内障、ステロイド誘発性緑内障、外傷性緑内障、色素分散症候群、偽性剥離症候群、続発性閉塞隅角緑内障、血管新生緑内障、早期または中期の乾燥型(非滲出性)加齢黄斑変性、地図状萎縮を伴う黄斑変性、滲出性(湿潤型)黄斑変性、糖尿病性網膜症、またはそれらの任意の組み合わせを含む。関連する別の態様では、神経細胞、非神経細胞、神経感覚細胞、またはそれらの任意の組み合わせにおいて迅速に改善される機能は、対象における、視力、低輝度視力、コントラスト感度、錐体コントラスト感度、色覚、及び、明所視(明順応)または暗所視(暗順応)条件における焦点または一般的な網膜光感度を含む視覚機能、並びに、姿勢安定性、歩行バランス、及び移動性を含む。
関連する一態様では、神経の疾患または状態は、II型糖尿病、糖尿病、アルツハイマー病(AD)、早発型アルツハイマー病、遅発型アルツハイマー病、発症前アルツハイマー病、SAAアミロイドーシス、遺伝性アイスランド症候群、多発性骨髄腫、髄様癌、大動脈中膜アミロイドーシス、インスリン注射アミロイドーシス、プリオン全身性アミロイドーシス、慢性炎症性アミロイドーシス、老人性全身性アミロイドーシス、下垂体アミロイドーシス、遺伝性腎アミロイド症、家族性英国認知症、フィンランド遺伝性アミロイドーシス、家族性非神経障害性アミロイドーシス、プリオン病、またはそれらの任意の組み合わせを含む。関連する別の態様では、神経の疾患または状態がアルツハイマー病(AD)、早発型アルツハイマー病、遅発型アルツハイマー病、または発症前アルツハイマー病を含む場合、神経細胞、非神経細胞、神経感覚細胞、またはそれらの任意の組み合わせの機能の迅速な改善は、対象における、認知障害の改善、記憶障害の改善、異常行動の減少、幻覚の減少、空間識の喪失の減少、失行の減少、攻撃性の減少、日常生活動作を行う能力の改善、認知症の他の症状の改善、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
関連する一態様では、対象への投与は、経口投与、局所投与、経鼻投与、静脈内投与、皮下投与、埋込型の徐放性デポ剤による投与、留置カテーテルを使用した直接投与、髄腔内投与、または眼内投与により行われる。関連する別の態様では、対象への投与は、予め定められた期間にわたって投与される複数回投与の形態で行われ、上記の期間は、予め定められた日数、予め定められた週数、予め定められた月数、予め定められた年数、または対象の寿命を含む。関連する別の態様では、複数回投与の各回の用量は、薬学的に有効な量の100%以上を含む。関連する別の態様では、複数回投与の各回の用量は、薬学的に有効な量の20~75%を含む。関連する別の態様では、複数回投与の各回の用量は、薬学的に有効な量の100%、薬学的に有効な量の75~100%、薬学的に有効な量の20~75%、またはそれらの任意の組み合わせを含む。関連する別の態様では、上記の期間中の投与のパターンは、規則的な間隔での投与、不規則な間隔での投与、または、規則的な間隔での投与と不規則な間隔での投与との組み合わせを含む。
関連する一態様では、上記の化合物Iは、アミロイドβ1-42と化合物Iとを含む非毒性の非βシート非晶質アミロイドβクラスタを含む。
関連する一態様では、上記の化合物Iは、薬学的に許容される組成物中に含まれる。
一態様では、本開示は、アミロイドβ毒性を逆転させて、神経細胞、非神経細胞、神経感覚細胞、またはそれらの任意の組み合わせの機能を迅速に改善する方法であって、それを必要とする対象に対して、非毒性の非βシート非晶質アミロイドβクラスタを薬学的に有効な量で投与するステップを含み、上記のクラスタは、アミロイドβ1-42と、下記の式Iで表される化合物I、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくは多形体とを、500:1の比で含む、方法を提供する。
Figure 2022529742000004
式中、
は、キラル中心を指し、
**は、RとRとが異なる場合のキラル中心を指し、
は、水素、-C1-6-アルキル、シクロC3-12-アルキル、-C(O)R、または-C(O)ORであり、
は、水素、C1-6-アルキル、またはシクロC3-12-アルキルであり、
は、-OR、-NHR、または-N(R)であり、
は、水素、ハロゲン、シアノ、トリフルオロメチル、-C1-6-アルキル、-C6-10-アリール、ヘテロアリール、-OR、-NHR、-N(R)、-C(O)R、または-C(O)-NHRであり、
は、水素、-C1-6-アルキル、または、-C2-6-アルケニルであるか、あるいは、R及びRは、それらを担持する炭素原子と共に、3~6個の炭素原子を有する環状系を形成し、
は、水素、-C1-6-アルキル、または-C2-6-アルケニルであり、
は、水素、メチル、エチル、プロピル、またはシクロプロピルであり、
Rは、水素、-C1-6-アルキル、または-C6-10-アリールであり、
Xは、-C(O)CH-、-CH(OH)CH-、-CH=CH-、-CH-NR-C(O)-、または-C(O)NRである。
関連する一態様では、アミロイドβ1-42の濃度は、50nMであり、上記の化合物Iの濃度は、0.1nMである。関連する別の態様では、上記の非毒性の非βシート非晶質アミロイドβクラスタは、薬学的に許容される組成物中に含まれる。
関連する一態様では、上記の非毒性の非βシート非晶質アミロイドβクラスタは、上記の化合物Iをアミロイドβ1-42の溶液中で連続的に希釈することを含む製造方法によって製造され、製造方法は、上記の化合物Iを少なくとも0.1nMの最終濃度まで段階的に希釈することを含む。関連する別の態様では、段階的な希釈は、5回の段階的希釈を含む。
式Iで表される化合物Iの使用方法に関する本開示の主題は、本明細書の結論部分で特に指摘され、明確に主張されている。しかしながら、本開示の使用方法は、その構成及び操作方法の両方に関して、また、その目的、特徴、及び利点と共に、添付の図面を参照して、以下の詳細な説明を読むことによって最もよく理解されるであろう。
図1は、アミロイドβ(Aβ)モノマーから毒性Aβオリゴマーへの進行を示す概略図である。式Iの化合物、または、式Iの化合物とAβ1-42とを含む非毒性の非βシート非晶質Aβクラスタは、ミスフォールドしたAβの凝集を引き起こして非毒性の非βシート非晶質Aβクラスタを形成し、毒性Aβオリゴマーの形成を逆転させる。ミスフォールドしたAβモノマー及び毒性Aβオリゴマーの解毒は、式Iの化合物が存在しないか、またはほとんど存在しない状況下で、自己増殖プロセスによって起こる。いくつかの実施形態では、式Iの化合物は、化合物1を含む。 図2A及び図2Bは、海馬組織における化合物1による神経回復効果を、2つの刺激電極を使用した海馬スライスにおける細胞外-二重入力長期増強(LTP)記録の結果によって示したものである。図2Aは、同一の海馬組織スライスからの2つの一連の条件下でのLTP記録を示す。すなわち、第1の条件は、アミロイドβ1-42(Aβ1-42)を単独で投与した場合(50nM;黒色の円)であり、第2の条件は、アミロイドβ1-42(50nM)と化合物1とを共に投与した場合(連続希釈(SD)後、0.1nM;灰色の円)であった。Aβ1-4250nMを、浴溶液を介して90分間投与した後(このベースラインの最後の20分間のみを示す)、第1の電極を介して100Hzで1秒間の高周波テタヌスを与えてLTPを誘導することを試みた。LTPを60分間記録した後、浴溶液を、化合物1で連続希釈したものと交換した。この溶液は、依然として50nMのAβ1-42を含有しているが、化合物1の最終濃度は0.1nMであった。これをさらに90分間インキュベートし(この場合も、第2のベースラインの最後の20分間のみを示す)、第2の入力でLTPを誘導することを試み、さらに60分間記録した。 図2Bは、各フィールド興奮性シナプス後電位(fEPSP)記録条件、最後の10分間の増強%を示す(50nMのアミロイドβ1-42単独の場合(黒色のバー)、連続希釈(DS)によって調製した50nMアミロイドβ1-42及び0.1nM化合物1の場合(灰色のバー))。 図3A及び図3Bは、海馬組織における化合物2による神経回復効果を、2つの刺激電極を使用した海馬スライスにおける細胞外-二重入力長期増強(LTP)記録の結果によって示したものである。図3Aは、同一の海馬組織スライスからの2つの一連の条件下でのLTP記録を示す。すなわち、第1の条件は、アミロイドβ1-42(Aβ1-42)を単独で投与した場合(50nM;黒色の円)であり、第2の条件は、アミロイドβ1-42(50nM)と化合物1とを共に投与した場合(連続希釈(SD)後、0.1nM;灰色の円)であった。Aβ1-4250nMを、浴溶液を介して90分間投与した後(このベースラインの最後の20分間のみを示す)、第1の電極を介して100Hzで1秒間の高周波テタヌスを与えてLTPを誘導しようと試みた。LTPを60分間記録した後、浴溶液を、化合物2で連続希釈したものと交換した。この溶液は、依然として50nMのAβ1-42を含有しているが、化合物2の最終濃度は0.1nMであった。これをさらに90分間インキュベートし(この場合も、第2のベースラインの最後の20分間のみを示す)、第2の入力でLTPを誘導することを試み、さらに60分間記録した。 図3Bは、各フィールド興奮性シナプス後電位(fEPSP)記録条件、最後の10分間の増強%を示す(50nMのアミロイドβ1-42単独の場合(黒色のバー)、連続希釈(DS)によって調製した50nMアミロイドβ1-42及び0.1nM化合物2の場合(灰色のバー))。 図4A及び図4Bは、緑内障患者の網膜におけるアミロイドβ1-42(Aβ)の増加を示す。図4Aは、対照(n=5)及び緑内障(n=5)患者におけるアミロイドβ1-42を比較したデータを示す。 図4Bは、緑内障患者の網膜神経節細胞(矢印)におけるAβ(赤色蛍光)の局在を示す網膜切片の免疫染色を示す。Aβは、緑内障患者の視神経線維層(三角形)にも見られた。 図5A及び図5Bは、加齢黄斑変性(AMD;早期中間AMD)をシミュレートするマウスモデルの網膜(光受容体層)において、化合物1が、毒性アミロイドβ1-42の用量依存的減少を提供することを示すデータを示す。図5Aは、5~6ヵ月齢のAMDマウス(網膜の光受容体層にアミロイドβ1-42を蓄積させた遺伝モデル)に、3ヵ月間毎日投与した結果を示す棒グラフである。化合物1の2種類の用量のうちの一方の用量を含む点眼剤を毎日3回投与した。対照点眼剤は、ビヒクルのみで構成した。0.5%または2.0%の化合物1を含有する点眼剤を使用した場合は、対照と比較して、沈着したアミロイドβの有意な減少が観察された。 図5Bは、Aβ1-42及びC3bの凝集を有する24ヶ月齢のC57BL/6マウスの一連の網膜切片における免疫染色を示す(赤色はAβ;黄色/緑色はC3b)。23ヶ月目から、マウスを毎日、対照(ビヒクルのみ)、0.5%の化合物、または2%の化合物1のいずれかで処置した。対照マウスでは、沈着したAβは、ブルッフ膜に沿って厚くかつ線状に存在し、その上の網膜色素上皮(RPE)にも拡散して染色された。一方、2種類の濃度の化合物1(HD1:0.5%、HD2:2.0%)のいずれかで処置したマウスでは、沈着したAβは、非常に有意に減少し、RPEでは孤立した凝集体(丸で囲んだ部分)のみを示し、染色は認められなかった。同じ切片の黄色/緑色の染色に対応するパターンは、化合物1を投与した眼では、対照と比較して、C3b反応の共局在化した減少を示した。C3bは、毒性Aβによって引き起こされる炎症に応答すると考えられるので、C3b染色の減少は、化合物1によって毒性Aβが減少したためであると考えられる(スケールバー=10μm)。 図6は、Aβでの化合物1(Cmpd1)の連続希釈の一実施形態の概略を示す。Aβの濃度を50nMに維持しながら、化合物1は、1μMから0.1nMまで連続的に希釈される。Aβ1-42と化合物1との混合物を20分間インキュベートした後、10%(5mL)を、Aβ(50nM)を含有する新たに調製した溶液に移す。この希釈ステップを5回繰り返し、最終的に、Aβ1-42が化合物1に対して1000:1の化学量論的過剰を得た。
以下の詳細な説明では、アミロイドβ(Aβ)関連疾患に罹患している対象の神経回復(neurorestoration)のための、インドール誘導体である式Iで表される化合物I及びその使用についての十分な理解を提供するために、様々な具体的な詳細を示す。場合によっては、本開示を不明瞭にしないように、よく知られた方法、手順、及び構成要素については詳細に説明しない。
本開示の使用方法は、治療を必要としている対象における神経細胞、非神経細胞、または神経感覚細胞のアミロイドβ(Aβ)機能毒性を逆転させる。本開示のAβ機能毒性を逆転させる方法は、いくつかの実施形態では、対症療法を提供し、それによって、治療を必要としている対象における神経細胞、非神経細胞、または神経感覚細胞の機能を改善する。いくつかの実施形態では、改善される機能は、アミロイドβ関連疾患または状態によって損傷した、減少した、阻害された、または変化した機能を含む。
本開示の使用方法は、治療を必要としている対象における神経細胞、非神経細胞、または神経感覚細胞のアミロイドβ(Aβ)毒性を逆転させる。本開示のAβ毒性を逆転させる方法は、いくつかの実施形態では、対症療法を提供し、それによって、治療を必要としている対象における神経細胞、非神経細胞、または神経感覚細胞の機能を改善する。いくつかの実施形態では、改善される機能は、アミロイドβ関連疾患または状態によって損傷した、減少した、阻害された、または変化した機能を含む。いくつかの実施形態では、本開示の方法は、Aβ毒性を逆転させて、神経細胞、非神経細胞、神経感覚細胞、またはそれらの任意の組み合わせの機能を迅速に改善する。
本開示のアミロイドβ機能毒性を逆転させる方法は、いくつかの実施形態では、インドール誘導体、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくは多形体、あるいはそれらの組成物を投与するステップを含む。本開示のアミロイドβ毒性を逆転させる方法は、いくつかの実施形態では、インドール誘導体、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくは多形体、あるいはそれらの組成物を投与するステップを含む。本明細書では、神経細胞、非神経細胞、または神経感覚細胞のアミロイドβ機能毒性を逆転させるインドール誘導体、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくは多形体、あるいはそれらの組成物のいくつかの実施形態を開示する。いくつかの実施形態では、本開示のインドール誘導体、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくは多形体、あるいはそれらの組成物は、アミロイドβ関連疾患または状態に対する対症療法を提供する。いくつかの実施形態では、本開示のインドール誘導体、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくは多形体、あるいはそれらの組成物は、アミロイドβ関連疾患または状態に罹患している対象における症状の機能を改善する。
いくつかの実施形態では、「アミロイドβ」、「Aβペプチド」、「Aβ1-42」、及び「Aβ」という用語は、互換的に使用され、互いに同一の意味及び質を有する。Aβ1-42は、毒性Aβペプチドの一例である。Aβペプチドにおける、より一般的な型であり、毒性が若干低い型は、例えば、Aβ1-40である。また、他の長さのペプチドや、翻訳後に修飾された型もあり、それらの中にはAβ1-42よりも毒性が高いとされるものもある。Aβ1-42は、Aβの中で最も毒性が高い型であると考えられているが、毒性が高い他の型も存在する。当業者であれば、「Aβ」への言及が、アミロイドβペプチドの毒性型を含むことを理解できるであろう。いくつかの実施形態では、Aβは、Aβ1-42ペプチドを含む。いくつかの実施形態では、Aβは、Aβ1-42ペプチドに加えて、他の型の毒性Aβペプチドを含む。対照的に、「Aβクラスタ」という用語は、非毒性の非βシート非晶質Aβクラスタ形成を含む。
本開示は、神経細胞、非神経細胞、または神経感覚細胞のアミロイドβ機能毒性を逆転させる方法であって、それを必要とする対象に対して、下記の式Iで表される化合物I、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくは多形体を、薬学的に有効な量で投与するステップを含む方法を提供する。
Figure 2022529742000005
式中、
は、キラル中心を指し、
**は、RとRとが異なる場合のキラル中心を指し、
は、水素、-C1-6-アルキル、シクロC3-12-アルキル、-C(O)R、または-C(O)ORであり、
は、水素、C1-6-アルキル、またはシクロC3-12-アルキルであり、
は、-OR、-NHR、または-N(R)であり、
は、水素、ハロゲン、シアノ、トリフルオロメチル、-C1-6-アルキル、-C6-10-アリール、ヘテロアリール、-OR、-NHR、-N(R)、-C(O)R、または-C(O)-NHRであり、
は、水素、-C1-6-アルキル、または、-C2-6-アルケニルであるか、あるいは、R及びRは、それらを担持する炭素原子と共に、3~6個の炭素原子を有する環状系を形成し、
は、水素、-C1-6-アルキル、または-C2-6-アルケニルであり、
は、水素、メチル、エチル、プロピル、またはシクロプロピルであり、
Rは、水素、-C1-6-アルキル、または-C6-10-アリールであり、
Xは、-C(O)CH-、-CH(OH)CH-、-CH=CH-、-CH-NR-C(O)-、または-C(O)NRである。
式I中の及び**で示すように、上記の式Iの構造を有する化合物Iは、少なくとも1つのキラル中心、場合によっては2つのキラル中心を有し得る。及び**は、互いに独立して、(R)配置または(S)配置を示す。短いペプチド様断片を治療に使用する際の主な障害の1つは、立体特異的な細胞プロテアーゼによるタンパク質分解である。したがって、特定の立体特異的プロテアーゼによる治療の有効成分の代謝を回避するために、本開示の治療方法では、いずれかの立体異性体を使用することに利点がある。本開示の方法のいくつかの実施形態では、任意選択の不斉炭素(式I中で、及び**で示す)の一方または両方が(R)配置を有する。本開示の方法のいくつかの実施形態では、不斉炭素(式I中で、で示す)は、(R)配置を有する。
本開示は、アミロイドβ毒性を逆転させて、神経細胞、非神経細胞、神経感覚細胞、またはそれらの任意の組み合わせの機能を迅速に改善する方法であって、それを必要とする対象に対して、下記の式Iで表される化合物I、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくは多形体を、薬学的に有効な量で投与するステップを含む方法を提供する。
Figure 2022529742000006
式中、
は、キラル中心を指し、
**は、RとRとが異なる場合のキラル中心を指し、
は、水素、-C1-6-アルキル、シクロC3-12-アルキル、-C(O)R、または-C(O)ORであり、
は、水素、C1-6-アルキル、またはシクロC3-12-アルキルであり、
は、-OR、-NHR、または-N(R)であり、
は、水素、ハロゲン、シアノ、トリフルオロメチル、-C1-6-アルキル、-C6-10-アリール、ヘテロアリール、-OR、-NHR、-N(R)、-C(O)R、または-C(O)-NHRであり、
は、水素、-C1-6-アルキル、または、-C2-6-アルケニルであるか、あるいは、R及びRは、それらを担持する炭素原子と共に、3~6個の炭素原子を有する環状系を形成し、
は、水素、-C1-6-アルキル、または-C2-6-アルケニルであり、
は、水素、メチル、エチル、プロピル、またはシクロプロピルであり、
Rは、水素、-C1-6-アルキル、または-C6-10-アリールであり、
Xは、-C(O)CH-、-CH(OH)CH-、-CH=CH-、-CH-NR-C(O)-、または-C(O)NRである。
いくつかの実施形態では、炭素は、(R)配置を有する不斉炭素である。
いくつかの実施形態では、本開示の方法は、下記の式IAで表される化合物IA、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくは多形体の使用を含む。
Figure 2022529742000007
式中、R、R、R、R、R、R、R、及びXは、上記の化合物IAにおけるそれらと同様である。
本開示の化合物を使用して、アミロイドβ毒性、または、神経細胞及び/または神経感覚細胞の機能毒性を逆転させる方法は、それを必要とする対象において、アミロイド関連疾患または障害の経過を逆転させるのに有益である。アミロイド関連疾患または障害の経過を逆転させることが、下記の(1)~(5)を含むことは、当業者であれば理解できるであろう。
(1)病理学的状態において存在するアミロイドプラーク沈着の減少。
(2)神経細胞及び/または神経感覚細胞の機能の逆転;これに限定しないが、例えば、神経細胞及び/または神経感覚細胞における長期増強の逆転。
(3)神経細胞及び/または神経感覚細胞の機能の回復;これに限定しないが、例えば、病理学的状態において存在する神経細胞及び/または神経感覚細胞の長期増強の促進。
(4)眼のアミロイドβ病理学的状態(これに限定しないが、緑内障や乾燥型加齢黄斑変性など)に罹患している対象における、神経細胞及び/または神経感覚細胞の機能の回復;これに限定しないが、例えば、視力、低輝度視力、網膜光感度、またはそれらの任意の組み合わせの改善。
(5)神経のアミロイドβ病理学的状態(これに限定しないが、アルツハイマー病など)に罹患している対象における、神経細胞及び/または神経感覚細胞の機能の回復;これに限定しないが、例えば、認知障害、記憶障害、日常生活動作を行う能力、またはそれらの任意の組み合わせの改善。
いくつかの実施形態では、アミロイド関連疾患または障害の経過の逆転は、アミロイドプラークの減少に加えて、ドルーゼンの減少を含む。乾燥型加齢黄斑変性では、網膜下または視神経内にドルーゼンが形成される。
本開示の化合物の使用方法を説明する前に、以下のセクションでは、本開示のインドール誘導体化合物について説明する。
インドール誘導体
一実施形態では、本開示の方法は、下記の式Iで表される化合物I、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくは多形体を使用する。
Figure 2022529742000008
式中、
は、キラル中心を指し、
**は、RとRとが異なる場合のキラル中心を指し、
は、水素、-C1-6-アルキル、シクロC3-12-アルキル、-C(O)R、または-C(O)ORであり、
は、水素、C1-6-アルキル、またはシクロC3-12-アルキルであり、
は、-OR、-NHR、または-N(R)であり、
は、水素、ハロゲン、シアノ、トリフルオロメチル、-C1-6-アルキル、-C6-10-アリール、ヘテロアリール、-OR、-NHR、-N(R)、-C(O)R、または-C(O)-NHRであり、
は、水素、-C1-6-アルキル、または、-C2-6-アルケニルであるか、あるいは、R及びRは、それらを担持する炭素原子と共に、3~6個の炭素原子を有する環状系を形成し、
は、水素、-C1-6-アルキル、または-C2-6-アルケニルであり、
は、水素、メチル、エチル、プロピル、またはシクロプロピルであり、
Rは、水素、-C1-6-アルキル、または-C6-10-アリールであり、
Xは、-C(O)CH-、-CH(OH)CH-、-CH=CH-、-CH-NR-C(O)-、または-C(O)NRである。
一実施形態では、本開示の方法は、下記の式IAで表される化合物IAを使用する。
Figure 2022529742000009
式中、R、R、R、R、R、R、R、及びXは、上記の化合物Iにおけるそれらと同様である。
一実施形態では、本開示の方法は、下記の式IIで表される化合物IIを使用する。
Figure 2022529742000010
式中、R、R、R、及びXは、上記の化合物Iにおけるそれらと同様である。
一実施形態では、本開示の方法は、下記の式IIAで表される化合物IIAを使用する。
Figure 2022529742000011
式中、R、R、R、及びXは、上記の化合物Iにおけるそれらと同様である。
一実施形態では、Rは、水素である。別の実施形態では、Rは、-C1-6-アルキルである。一実施形態では、Rは、-C(O)Rである。特定の実施形態では、Rは、-C(O)-CHである。一実施形態では、Rは、-C(O)-t-ブチルである。一実施形態では、Rは、-C(O)-2、2-ジメチルプロピルである。一実施形態では、Rは、-C(O)ORである。別の実施形態では、Rは、-C(O)OCHである。
一実施形態では、Rは、水素である。別の実施形態では、Rは、-C1-6-アルキルである。
一実施形態では、Rは水素であり、Rは水素である。別の実施形態では、Rは-C(O)Rであり、Rは水素である。
一実施形態では、Rは、-OHである。一実施形態では、Rは、-OCHである。一実施形態では、Rは、-NHである。一実施形態では、Rは、-NH-CHである。一実施形態では、Rは、-NH-t-ブチルである。一実施形態では、Rは、-N(CHである。
いくつかの実施形態では、R及びRは、互いに独立して、水素、または、-C1-3-アルキルである。
一実施形態では、Rは、水素である。
一実施形態では、Rは、水素、または、-C1-6-アルキルである。一実施形態では、Rは、水素、または、-C1-6-アルキルである。
一実施形態では、R及びRは、互いに同一である。一実施形態では、R及びRは、-CHである。
一実施形態では、2つの置換基R及びRは、それらを担持する炭素原子と共に、3~6個の炭素原子を有する環状系を形成することができる。一実施形態では、この環状系は、-O-、-S-、及びNH-からなる群から選択される1つの環要素を含むことができる。一実施形態では、環状系には、これに限定しないが、シクロヘキサン、シクロペンタン、シクロブタン、シクロプロパン、オキセタン、及びアセチジン環が含まれる。
一実施形態では、Xは、-C(O)CH-、-CH(OH)CH-、-CH=CH-、-CHCHNRC(O)-、または-C(O)NR-である。一実施形態では、Xは、-CH=CH-を表す。一実施形態では、Xは、-CHNRC(O)-を表す。一実施形態では、Xは、-C(O)NR-を表す。
一実施形態では、X基は、その左側が、アミノ基を担持するキラル炭素原子と結合した配向を有する。
一実施形態では、Rは、水素またはメチルである。一実施形態では、Rは、水素である。
一実施形態では、本開示の方法で使用される化合物は、式I、式IA、式II、または式IIAで表される化合物(化合物I、化合物IA、化合物II、または化合物IIA)の全ての光学異性体、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくは多形体を含む。また、本開示の使用のための化合物は、化合物I、化合物IA、化合物II、または化合物IIAの類似体及び誘導体に関する。
本明細書で使用するとき、一実施形態では、「C1-6-アルキル」という用語は、メチル、エチル、n-プロピル、2-プロピル、n-ブチル、及びtert-ブチルなどの直鎖または分枝鎖のアルキル基を表す。一実施形態では、アルキル基は、任意選択で、ハロゲン、アミノ、ヒドロキシル、及びCFから選択される1~5個の置換基で置換してもよい。
本明細書で使用するとき、一実施形態では、「C2-6-アルケニル」という用語は、直鎖または分枝鎖のアルケニル基を表す。
本明細書で使用するとき、一実施形態では、「シクロC3-12-アルキル」という用語は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、及びシクロヘキシルを含む、単環式または二環式のアルキル基を表す。一実施形態では、シクロアルキル基は、任意選択で、C1-6-アルキル、ハロゲン、アミノ、及びヒドロキシルから選択される1~5個の置換基で置換してもよい。
本明細書で使用するとき、一実施形態では、「C6-10-アリール」という用語は、フェニルまたはナフチルを表し、一実施形態では、フェニル基またはナフチル基は、任意選択で、C1-6-アルキル、シクロC3-12-アルキル、ハロゲン、アミノ、及びヒドロキシルから選択される1~5個の置換基で置換してもよい。
本明細書で使用するとき、一実施形態では、「ヘテロアリール」という用語は、酸素、硫黄、及び窒素から選択される1~4個のヘテロ原子を含む芳香族5~6員環、または、ベンゼン環、もしくは、酸素、硫黄、及び窒素から選択される1~4個のヘテロ原子を含有する5~6員環と縮合した、酸素、硫黄、及び窒素から選択される1~4個のヘテロ原子を含む5~6員環を含む二環式基を表す。一実施形態では、ヘテロアリール基は、任意選択で、C1-6-アルキル、シクロC3-12-アルキル、ハロゲン、アミノ、及びヒドロキシルから選択される1つまたは2つの置換基によって置換してもよい。
本明細書で使用するとき、一実施形態では、「ハロゲン」という用語は、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素を表す。
いくつかの実施形態では、本開示の化合物は、薬学的に許容される塩の形態をとる。「薬学的に許容される塩」が、親化合物の生物学的有効性及び特性を有し、かつ生物学的または他の点で望ましくないものではない塩を指すことは、当業者であれば理解できるであろう。塩または異性体の性質は、非毒性であり、かつ所望の薬理活性を実質的に阻害しないものであれば、重要ではない。
本明細書で使用するとき、一実施形態では、「類似体」または「誘導体」という用語は、参照分子と構造的に類似しているが、参照分子の1つまたは複数の特定の置換基を代替置換基で置換するように標的化及び制御された態様で修飾され、それによって、参照分子と構造的に類似する分子を生成する分子を指す。類似体を合成及びスクリーニングして、既知の化合物の若干改良されたバージョン(例えば、特定の標的受容体/タンパク質の種類に対するより高い効力及び/または選択性、眼へのより高い浸透能力、より少ない副作用を有するバージョン)を同定することは、薬物設計の一般的なアプローチである。
本開示の方法で使用される化合物Iまたは化合物IA、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくは多形体は、上記の式Iまたは式IAで表され、上記の式中、
は、水素、-C1-6-アルキル、-C(O)R、または-C(O)ORであり、
は、水素、またはC1-6-アルキルであり、
は、-OR、-NHR、または-N(R)であり、
は、水素、ハロゲン、シアノ、トリフルオロメチル、または-C1-6-アルキルであり、
は、水素、または-C1-6-アルキル、とりわけ、-C1-3-アルキルであり、
は、水素、または-C1-6-アルキル、とりわけ、-C1-3-アルキルであるか、あるいは、R及びRは、それらを担持する炭素原子と共に、3~6個の炭素原子を有する環状系を形成し、
Rは、水素、または-C1-6-アルキル、とりわけ、-C1-3-アルキルであり、
Xは、-C(O)CH-、-CH=CH-、-CH-NR-C(O)-、または-C(O)NRであり、
は、水素、またはメチルである。
一実施形態では、本開示の方法で使用される化合物Iまたは化合物IA、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくは多形体は、上記の式Iまたは式IAで表され、上記の式中、
は、水素、-C1-6-アルキル、または-C(O)-CHであり、
は、水素、または-C1-3-アルキルであり、
は、-OR、-NHR、または-NRであり、
は、水素、またはハロゲンであり、
は、-C1-3-アルキルであり、
は、-C1-3-アルキルであり、
Rは、水素、または-C1-3-アルキルであり、
Xは、-C(O)CH-、-CH=CH-、-CH-NR-C(O)-、または-C(O)NRであり、
は、水素である。
一実施形態では、本開示の方法で使用される化合物Iまたは化合物IA、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくは多形体は、上記の式Iまたは式IAで表され、上記の式中、
は、水素、-C1-3-アルキル、または-C(O)-CHであり、
は、水素であり、
は、-OR、または-NHRであり、
は、水素であり、
は、水素、または-C1-3-アルキルであり、
は、水素、または-C1-3-アルキルであり、
Rは、水素、または-C1-3-アルキルであり、
Xは、-C(O)CH-、-CH=CH-、-CH-NR-C(O)-、または-C(O)NRであり、
は、水素である。
一実施形態では、本開示の方法で使用される化合物Iまたは化合物IA、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくは多形体は、上記の式Iまたは式IAで表され、上記の式中、
は、水素、または-C(O)-CHであり、
は、水素であり、
は、-OR、または-NHRであり、
は、水素であり、
は、-C1-3-アルキルであり、
は、-C1-3-アルキルであり、
Rは、水素、または-C1-3-アルキルであり、
Xは、-C(O)CH-、-CH=CH-、-CH-NR-C(O)-、または-C(O)NRであり、
は、水素である。
一実施形態では、「光学異性体」という用語は、式I、式IA、式II、または式IIAで表されるインドール誘導体化合物の光学異性体を含むことを意味する。本開示のインドール誘導体化合物は、少なくとも1つのキラル中心を含み得ることは、当業者であれば理解できるであろう。したがって、本開示の方法で使用されるインドール誘導体化合物は、光学活性形態またはラセミ体の形態で存在してもよいし、または、そのような形態で単離されてもよい。いくつかの化合物は、多型を示すものもある。本開示の化合物の使用は、本明細書に記載されたアミロイドβ疾患または状態の治療において有用な特性を有する、任意のラセミ体、光学活性体、多形体、立体異性体、またはそれらの組み合わせの使用方法を含むことを理解されたい。
別の実施形態では、本開示の使用方法は、式I、式IA、式II、または式IIAで表される化合物(化合物I、化合物IA、化合物II、または化合物IIA)及び化合物1~25のいずれかの水和物の使用を含む。一実施形態では、「水和物」という用語は、当技術分野で知られているように、半水和物、一水和物、二水和物、三水和物などを指す。
一実施形態では、本開示の方法で使用される式Iまたは式IIで表される化合物Iまたは化合物IIにおいて、アミノ基及びX基を担持するキラル中心は、R配置を有する。
一実施形態では、本開示の方法で使用される化合物は、下記の式1~4で表される化合物1~4である。
Figure 2022529742000012
一実施形態では、本開示の方法で使用される化合物は、上記の化合物1~4、または、それらの薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくは多形体である。
一実施形態では、本開示の方法で使用される化合物は、下記の式5~25で表される化合物5~25である。
Figure 2022529742000013
Figure 2022529742000014
一実施形態では、本開示の方法で使用される化合物は、上記の化合物5~25、または、それらの薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくは多形体である。
一実施形態では、本開示の方法で使用される化合物は、上記の化合物5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、または25、または、それらの薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくは多形体である。
また、本開示の方法で使用される化合物は、上記の化合物1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、または25の類似体もしくは誘導体である。
いくつかの実施形態では、本開示は、Aβ毒性を逆転させて、神経細胞、非神経細胞、神経感覚細胞、またはそれらの任意の組み合わせの機能を迅速に改善する方法であって、上記の式Iで表される化合物I、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくは多形体と、Aβ1-42とを含む非毒性の非βシート非晶質Aβクラスタを投与するステップを含む方法を提供する。
化合物の調製
本開示の方法で使用される化合物、例えば式I、式IA、式II、または式IIAで表される化合物(化合物I、化合物IA、化合物II、または化合物IIA)、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくは多形体は、当技術分野で既知の方法を用いて調製することができる。一実施形態では、本開示の方法で使用される化合物は、特許文献1(国際公開WO2012/066549号)、及び特許文献2(国際公開WO2012/055945A1号)などの公開された特許出願に記載された調製手順に基づいて調製することができる。
例えば、いくつかの実施形態では、本明細書では化合物1と称しているペプチドD-Trp-Aibは、特許文献1の実施例1、及び、「Frydman-Marom, A., Rechter, M., Shefler, I., Bram, Y., Shalev, D.E. and Gazit, E. (2009). Cognitive-performance recovery of Alzheimer's disease model mice by modulation of early soluble amyloidal clusters. Angew Chem Int Ed Engl 48(11): 1981-1986, supplementary information」に開示されているようにして合成することができる(上記の両文献は、参照により、その全体が本明細書に組み込まれるものとする)。簡潔に説明すると、D-Trp-Aibの合成は次のように行われる。ペプチドは、古典的な液相ペプチド合成法にしたがって、標準的なアミド結合形成法を含むカスタマイズされたプロトコルを用いて合成した。すなわち、N-末端アミン及びC-末端カルボン酸機能の保護、2つの保護されたアミノ酸のカップリング、及び、保護基の開裂を行って、遊離ペプチド形態の所望の生成物を得た。粗生成物を逆相分取HPLCによって精製し、逆相分析HPLC分析によって純度を求め(>95%)、質量分析によって構造を確認した(MW289.33)。
特許文献1には、化合物2の合成のいくつかの実施形態が記載されている。特許文献1では、本明細書に記載の化合物2を、化合物「D」と称している(特許文献1の実施例1における、スキーム8を用いて調製した化合物の記載を参照)。化合物2の合成に関する特許文献1に記載されている説明は、参照により、その全体が本明細書に組み込まれるものとする。簡潔に説明すると、化合物2は、下記のスキーム1に示すようにして調製される。
Figure 2022529742000015
加えて、特許文献2には、化合物3及び化合物4の合成のいくつかの実施形態が記載されている。特許文献2では、本明細書に記載の化合物3を、化合物「171」と称している(特許文献2の実施例2の「化合物(171)の合成」を参照)。簡潔に説明すると、化合物3は、下記のステップにしたがって調製される。
Figure 2022529742000016
また、特許文献2では、本明細書に記載の化合物4は、化合物「121」と称している(特許文献2の実施例1の「化合物(121)の合成」を参照)。簡潔に説明すると、化合物4は、下記のステップにしたがって調製される。
Figure 2022529742000017
いくつかの実施形態では、本開示の方法で使用される化合物I、化合物IA、化合物II、または化合物IIAは、有効成分(活性成分)を提供する。いくつかの実施態様では、本開示の方法で使用される化合物1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、または25は、有効成分を提供する。
当業者であれば、「薬学的活性剤」または「活性剤」、「薬学的有効成分」、または「有効成分」という用語は互換的に使用され、成分が生物学的に有効である薬剤を包含することを理解できるであろう。
非毒性の非βシート非晶質Aβクラスタの調製
Aβ1-42と、式Iで表される化合物Iとを含む非毒性の非βシート非晶質Aβクラスタを調製する方法を、以下に詳細に説明し、かつ、図6に概略的に示す。
いくつかの実施形態では、本開示の非毒性の非βシート非晶質Aβクラスタは、Aβ1-42と、式Iで表される化合物I、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくは多形体とを含む。いくつかの実施形態では、本開示の非毒性の非βシート非晶質Aβクラスタは、Aβ1-42と、式IAで表される化合物IA、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくは多形体とを含む。いくつかの実施形態では、本開示の非毒性の非βシート非晶質Aβクラスタは、Aβ1-42と、式IIで表される化合物II、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくは多形体とを含む。いくつかの実施形態では、本開示の非毒性の非βシート非晶質Aβクラスタは、Aβ1-42と、式IIAで表される化合物IIA、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくは多形体とを含む。いくつかの実施形態では、本開示の非毒性の非βシート非晶質Aβクラスタは、Aβ1-42と、式1~25で表される化合物1~25のいずれか、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくは多形体とを含む。いくつかの実施形態では、本開示の非毒性の非βシート非晶質Aβクラスタは、Aβ1-42と、式1の化合物1、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくは多形体とを含む。いくつかの実施形態では、本開示の非毒性の非βシート非晶質Aβクラスタは、Aβ1-42と、式2の化合物2、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくは多形体とを含む。いくつかの実施形態では、本開示の非毒性の非βシート非晶質Aβクラスタは、Aβ1-42と、式3の化合物3、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくは多形体とを含む。いくつかの実施形態では、本開示の非毒性の非βシート非晶質Aβクラスタは、Aβ1-42と、式4の化合物4、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくは多形体とを含む。
いくつかの実施形態では、本開示の非毒性の非βシート非晶質Aβクラスタは、Aβ1-42を含み、式Iの化合物I、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくは多形体を本質的に含まない。
いくつかの実施形態では、式Iの化合物I、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくは多形体をAβ1-42と混合し、連続的に希釈し、Aβ1-42の濃度を維持し、式Iの化合物Iの濃度を低下させる。いくつかの実施形態では、式IAの化合物IA、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくは多形体をAβ1-42と混合し、連続的に希釈し、Aβ1-42の濃度を維持し、式IAの化合物IAの濃度を低下させる。いくつかの実施形態では、式IIの化合物II、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくは多形体をAβ1-42と混合し、連続的に希釈し、Aβ1-42の濃度を維持し、式IIの化合物IIの濃度を低下させる。いくつかの実施形態では、式IIAの化合物IIA、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくは多形体をAβ1-42と混合し、連続的に希釈し、Aβ1-42の濃度を維持し、式IIAの化合物IIAの濃度を低下させる。いくつかの実施形態では、化合物1~25のいずれか、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくは多形体をAβ1-42と混合し、連続的に希釈し、Aβ1-42の濃度を維持し、化合物1~25の濃度を低下させる。
いくつかの実施形態では、一連の希釈は、式Iの化合物I、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくは多形体が、Aβ1-42に対する比が20:1の化学量論的に過剰な状態から開始される。いくつかの実施形態では、一連の希釈は、式Iの化合物I、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくは多形体が、Aβ1-42に対する比が約20:1の化学量論的に過剰な状態から開始される。いくつかの実施形態では、一連の希釈は、式Iの化合物I、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくは多形体が、Aβ1-42に対する比が約30:1~20:1の化学量論的に過剰な状態から開始される。いくつかの実施形態では、一連の希釈は、式Iの化合物I、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくは多形体が、Aβ1-42に対する比が約20:1~10:1の化学量論的に過剰な状態から開始される。
いくつかの実施形態では、一連の希釈は、約2~10段階の希釈ステップを含む。いくつかの実施形態では、一連の希釈は、約3~10段階の希釈ステップを含む。いくつかの実施形態では、一連の希釈は、約4~10段階の希釈ステップを含む。いくつかの実施形態では、一連の希釈は、約5~10段階の希釈ステップを含む。いくつかの実施形態では、一連の希釈は、約2~5段階の希釈ステップを含む。いくつかの実施形態では、一連の希釈は、約3~5段階の希釈ステップを含む。いくつかの実施形態では、一連の希釈は、約4~5段階の希釈ステップを含む。いくつかの実施形態では、一連の希釈は、2段階の希釈ステップを含む。いくつかの実施形態では、一連の希釈は、3段階の希釈ステップを含む。いくつかの実施形態では、一連の希釈は、4段階の希釈ステップを含む。いくつかの実施形態では、一連の希釈は、5段階の希釈ステップを含む。いくつかの実施形態では、一連の希釈は、6段階の希釈ステップを含む。いくつかの実施形態では、一連の希釈は、7段階の希釈ステップを含む。いくつかの実施形態では、一連の希釈は、8段階の希釈ステップを含む。いくつかの実施形態では、一連の希釈は、9段階の希釈ステップを含む。いくつかの実施形態では、一連の希釈は、10段階の希釈ステップを含む。
いくつかの実施形態では、式Iの化合物I、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくは多形体の開始濃度は1μMであり、Aβ1-42の維持濃度は50nMであり、一連の希釈は、化合物IがAβ1-42に対する比が20:1の化学量論的に過剰な状態で開始され、5段階の希釈ステップで行われる。
いくつかの実施形態では、Aβ毒性を逆転させて、神経細胞、非神経細胞、神経感覚細胞、またはそれらの任意の組み合わせの機能を迅速に改善する方法において使用される最終希釈混合物は、式Iの化合物I、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくは多形体に対する比が500:1の化学量論的に過剰なAβ1-42を含む。いくつかの実施形態では、Aβ毒性を逆転させて、神経細胞、非神経細胞、神経感覚細胞、またはそれらの任意の組み合わせの機能を迅速に改善する方法において使用される最終希釈混合物は、式Iの化合物I、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくは多形体に対する比が250:1~500:1の化学量論的に過剰なAβ1-42を含む。いくつかの実施形態では、最終希釈混合物は、式Iの化合物I、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくは多形体に対する比が250:1~1000:1の化学量論的に過剰なAβ1-42を含む。いくつかの実施形態では、最終希釈混合物は、式Iの化合物I、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくは多形体に対する比が250:1~500:1の化学量論的に過剰なAβ1-42を含む。
いくつかの実施形態では、最終希釈混合物は、式Iの化合物I、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくは多形体に対する比が250:1の化学量論的に過剰なAβ1-42を含む。いくつかの実施形態では、最終希釈混合物は、式Iの化合物I、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくは多形体に対する比が300:1の化学量論的に過剰なAβ1-42を含む。いくつかの実施形態では、最終希釈混合物は、式Iの化合物I、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくは多形体に対する比が350:1の化学量論的に過剰なAβ1-42を含む。いくつかの実施形態では、最終希釈混合物は、式Iの化合物I、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくは多形体に対する比が400:1の化学量論的に過剰なAβ1-42を含む。いくつかの実施形態では、最終希釈混合物は、式Iの化合物I、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくは多形体に対する比が450:1の化学量論的に過剰なAβ1-42を含む。いくつかの実施形態では、最終希釈混合物は、式Iの化合物I、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくは多形体に対する比が500:1の化学量論的に過剰なAβ1-42を含む。いくつかの実施形態では、最終希釈混合物は、式Iの化合物I、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくは多形体に対する比が550:1の化学量論的に過剰なAβ1-42を含む。いくつかの実施形態では、最終希釈混合物は、式Iの化合物I、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくは多形体に対する比が650:1、700:1、750:1、800:1、850:1、900:1、950:1、または1000:1の化学量論的に過剰なAβ1-42を含む。いくつかの実施形態では、最終希釈混合物は、式Iの化合物I、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくは多形体に対する比が250:1超の化学量論的に過剰なAβ1-42を含む。いくつかの実施形態では、最終希釈混合物は、式Iの化合物I、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくは多形体に対する比が500:1超の化学量論的に過剰なAβ1-42を含む。いくつかの実施形態では、最終希釈混合物は、式Iの化合物I、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくは多形体に対する比が1000:1超の化学量論的に過剰なAβ1-42を含む。いくつかの実施形態では、最終希釈混合物は、式Iの化合物I、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくは多形体を無視できる程度の濃度で含む。いくつかの実施形態では、最終希釈混合物は、式Iの化合物I、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくは多形体を無視できる程度の量で含む。
いくつかの実施形態では、非晶質クラスタ中に含まれる式Iの化合物I、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくは多形体の最終濃度は、約0.1nMである。いくつかの実施形態では、非晶質クラスタ中に含まれる式Iの化合物I、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくは多形体の最終濃度は、約0.5nMである。いくつかの実施形態では、非晶質クラスタ中に含まれる式Iの化合物I、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくは多形体の最終濃度は、約0.5nM~0.05nMである。いくつかの実施形態では、非晶質クラスタ中に含まれる式Iの化合物I、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくは多形体の最終濃度は、約0.1nM~0.01nMである。いくつかの実施形態では、非晶質クラスタ中に含まれる式Iの化合物I、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくは多形体の最終濃度は、0.5nM未満である。いくつかの実施形態では、非晶質クラスタ中に含まれる式Iの化合物I、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくは多形体の最終濃度は、0.1nM未満である。いくつかの実施形態では、非晶質クラスタ中に含まれる式Iの化合物I、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくは多形体の最終濃度は、0.05nM未満である。いくつかの実施形態では、非晶質クラスタ中に含まれる式Iの化合物I、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくは多形体の最終濃度は、0.01nM未満である。いくつかの実施形態では、非晶質クラスタ中に含まれる式Iの化合物I、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくは多形体の最終濃度は、0.005nM未満である。いくつかの実施形態では、非晶質クラスタ中に含まれる式Iの化合物I、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくは多形体の最終濃度は、0.001nM未満である。いくつかの実施形態では、非晶質クラスタ中に含まれる式Iの化合物I、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくは多形体の最終濃度は、無視できる程度の濃度である。
いくつかの実施形態では、本開示は、アミロイドβ毒性を逆転させて、神経細胞、非神経細胞、神経感覚細胞、またはそれらの任意の組み合わせの機能を迅速に改善する方法であって、式Iの化合物I、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくは多形体を約0.5nM~0.05nMの濃度で含む非毒性の非βシート非晶質Aβクラスタを投与するステップを含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、アミロイドβ毒性を逆転させて、神経細胞、非神経細胞、神経感覚細胞、またはそれらの任意の組み合わせの機能を迅速に改善する方法であって、式Iの化合物I、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくは多形体を約0.1nM~0.01nMの濃度で含む非毒性の非βシート非晶質Aβクラスタを投与するステップを含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、アミロイドβ毒性を逆転させて、神経細胞、非神経細胞、神経感覚細胞、またはそれらの任意の組み合わせの機能を迅速に改善する方法であって、式Iの化合物I、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくは多形体を約0.005nM~0.0005nMの濃度で含む非毒性の非βシート非晶質Aβクラスタを投与するステップを含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、アミロイドβ毒性を逆転させて、神経細胞、非神経細胞、神経感覚細胞、またはそれらの任意の組み合わせの機能を迅速に改善する方法であって、式Iの化合物I、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくは多形体を約0.001nM~0.0001nMの濃度で含む非毒性の非βシート非晶質Aβクラスタを投与するステップを含む方法を提供する。
いくつかの実施形態では、本開示は、アミロイドβ毒性を逆転させて、神経細胞、非神経細胞、神経感覚細胞、またはそれらの任意の組み合わせの機能を迅速に改善する方法であって、式Iの化合物I、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくは多形体を約0.5nMの濃度で含む非毒性の非βシート非晶質Aβクラスタを投与するステップを含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、アミロイドβ毒性を逆転させて、神経細胞、非神経細胞、神経感覚細胞、またはそれらの任意の組み合わせの機能を迅速に改善する方法であって、式Iの化合物I、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくは多形体を約0.1nMの濃度で含む非毒性の非βシート非晶質Aβクラスタを投与するステップを含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、アミロイドβ毒性を逆転させて、神経細胞、非神経細胞、神経感覚細胞、またはそれらの任意の組み合わせの機能を迅速に改善する方法であって、式Iの化合物I、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくは多形体を約0.05nMの濃度で含む非毒性の非βシート非晶質Aβクラスタを投与するステップを含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、アミロイドβ毒性を逆転させて、神経細胞、非神経細胞、神経感覚細胞、またはそれらの任意の組み合わせの機能を迅速に改善する方法であって、式Iの化合物I、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくは多形体を約0.01nMの濃度で含む非毒性の非βシート非晶質Aβクラスタを投与するステップを含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、アミロイドβ毒性を逆転させて、神経細胞、非神経細胞、神経感覚細胞、またはそれらの任意の組み合わせの機能を迅速に改善する方法であって、式Iの化合物I、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくは多形体を約0.005nMの濃度で含む非毒性の非βシート非晶質Aβクラスタを投与するステップを含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、アミロイドβ毒性を逆転させて、神経細胞、非神経細胞、神経感覚細胞、またはそれらの任意の組み合わせの機能を迅速に改善する方法であって、式Iの化合物I、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくは多形体を約0.001nMの濃度で含む非毒性の非βシート非晶質Aβクラスタを投与するステップを含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、アミロイドβ毒性を逆転させて、神経細胞、非神経細胞、神経感覚細胞、またはそれらの任意の組み合わせの機能を迅速に改善する方法であって、式Iの化合物I、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくは多形体を無視できる程度の濃度で含む非毒性の非βシート非晶質Aβクラスタを投与するステップを含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、アミロイドβ毒性を逆転させて、神経細胞、非神経細胞、神経感覚細胞、またはそれらの任意の組み合わせの機能を迅速に改善する方法であって、式Iの化合物I、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくは多形体を含まない非毒性の非βシート非晶質Aβクラスタを投与するステップを含む方法を提供する。
いくつかの実施形態では、本開示の非毒性の非βシート非晶質Aβクラスタの使用は、ミスフォールドしたアミロイドβモノマーを解毒する。いくつかの実施形態では、本開示の非毒性の非βシート非晶質Aβクラスタの使用は、ミスフォールドしたアミロイドβオリゴマーを解毒する。
いくつかの実施形態では、本開示の非毒性の非βシート非晶質Aβクラスタは、薬学的に許容される組成物中に含まれる。
組成物
一実施形態では、「医薬組成物」とは、本明細書に記載されている1または複数の有効成分を、生理学的に適切な担体及び賦形剤などの他の化学成分と配合した製剤を指す。医薬組成物の目的は、化合物の生体への投与を容易にすることである。特定の実施形態では、「医薬組成物」は、薬物の薬剤学的な投薬形態(剤形)を提供する。特定の実施形態では、「医薬組成物」は、当該技術分野で既知の任意の投薬形態を含む。本明細書で使用するとき、「医薬組成物」、「組成物」、または「製剤」という用語は、すべて同じ意味及び質を持って、交換的に使用され得る。
当業者であれば、本明細書に記載された組成物に関連して使用される「薬学的に許容される」という表現は、哺乳動物(例えば、ヒト)に投与した場合に、生理学的に許容され、通常は有害な反応を引き起こさない組成物の分子実体及び他の成分を指すことを理解できるであろう。また、「薬学的に許容される」という用語は、哺乳動物、特にヒトへの使用が、連邦政府または州政府の規制機関によって承認されていること、または米国薬局方または他の一般的に認められた薬局方に記載されていることを意味する。
本開示の方法で使用するための、有効成分、例えば、化合物I、化合物IA、化合物II、または化合物IIA、これに限定しないが、例えば、化合物1~25のいずれかと、1種以上の従来の賦形剤(アジュバント、担体、希釈剤)とを組み合わせて、医薬組成物及びその単位用量の形態にすることができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される医薬組成物は、無菌製剤を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される医薬組成物は、賦形剤を含む。
本開示の組成物は、コーティングされたもしくはコーティングされていない錠剤や該組成物を充填したカプセルなどの固体、または、溶液、懸濁液、エマルション、もしくはそれらを充填したカプセルなどの液体、または、噴霧もしくはミストなどのエアロゾルとして使用することができる。また、本開示の組成物は、経口投与用に調製してもよい。また、本開示の組成物は、直腸投与用の坐剤またはカプセルの形態であってもよい。いくつかの実施形態では、本開示の組成物は、鼻腔投与用に調製してもよく、例えば、鼻腔スプレーまたはミストの形態であってもよい。いくつかの実施形態では、本開示の組成物は、眼に使用するために、点眼剤の形態であってもよいし、または、眼内投与のための滅菌注射液として調製してもよい。いくつかの実施形態では、本開示の組成物は、全身使用のために注射液の形態で調製され、これに限定しないが、例えば、髄腔内投与、皮下投与、埋込型の徐放性デポ剤による投与、留置カテーテルを使用した直接投与、筋肉内投与、または静脈内投与のために調製される。いくつかの実施形態では、本開示の組成物は、全身的または局所的な使用のために、局所軟膏、パッチ、または皮膚パッチの形態で調製される。
本開示の組成物は、非経口使用(髄腔内投与、皮下投与、筋肉内投与、留置カテーテルを使用した直接投与、埋込型の徐放性デポ剤による投与、または静脈内投与を含む)のための滅菌注射液の形態であり得る。また、本開示の組成物は、眼に適用する場合は、液体または半液体の形態(点眼剤または眼内注射剤を含む)であり得る。いくつかの実施形態では、本開示の組成物は、眼に適用する場合は、点眼剤、眼用クリーム、及び眼内デポ製剤の形態であり得る。いくつかの実施形態では、本開示の組成物は、眼疾患の治療のための鼻用スプレーまたはミストの形態である。いくつかの実施形態では、本開示の組成物は、神経疾患の治療のための鼻用スプレーまたはミストの形態である。
そのような医薬組成物及びその単位剤形は、従来のまたは新規の成分を従来のまたは特別な比率で含んでもよいし、また、追加の活性化合物を含んでもよいし含まなくてもよい。このような単位剤形は、使用が意図される投与量の範囲に見合った、式I、式IA、式II、または式IIAの化合物の有効成分の任意の適切な有効量を含み得る。いくつかの実施形態では、単位剤形は、使用が意図される投薬量の範囲に見合った、化合物1~25の有効成分の任意の適切な有効量を含み得る。いくつかの実施形態では、単位剤形は、使用が意図される投薬量の範囲に見合った、化合物1~4の有効成分の任意の適切な有効量を含み得る。
いくつかの実施形態では、投与単位当たり0.5~1000mg、好ましくは1~100mgの有効成分を含有する組成物が、適切な代表的な単位剤形である。いくつかの実施形態では、経口投与では約0.01~10mg/kg体重、非経口投与では0.001~10mg/kg体重の有効成分を含有する組成物が、適切な単位剤形である。
一実施形態では、本明細書で使用するとき、本開示の方法のための医薬組成物に適用される「賦形剤」という用語は、式I、式IA、式II、もしくは式IIAの活性化合物、または化合物1~25の投与に使用される希釈剤、アジュバント、または担体を指す。このような医薬賦形剤は、多くの場合、水や生理食塩水などの滅菌液体である。他の賦形剤としては、投与の種類に応じて、デキストロース水溶液、グリセロール水溶液、及び、油、例えば、動物、植物、または合成由来の油などが挙げられる(「Remington and AR. Gennaro, 20th Edition, (2000) "Remington: The Science and Practice of Pharmacy", published by Lippincott, Williams, and Wilkins」参照)。いくつかの実施形態では、式I、式IA、式II、または式IIAの活性化合物、あるいは、化合物1~25のいずれかを含む医薬組成物は、賦形剤であるシクロデキストリンを含む。
眼科的用途(眼の疾患または状態への適用)では、多くの場合、局所製剤が適用される。局所製剤は、多くの場合、水性溶液または分散液である。なお、水を含まない溶液や懸濁液を使用することもできる。
化合物I、化合物IA、化合物II、もしくは化合物IIA、または、化合物1~25のいずれかは、カプセルや錠剤などの形態で経口投与することもできる。このような経口投与用組成物は、時間制御放出ビヒクル、例えば、拡散制御システム、浸透圧デバイス、溶解制御マトリックス、及び腐食性/分解性マトリックスなどの形態で投与することができる。
錠剤またはカプセルの形態での経口投与の場合、式I、式IA、式II、または、式IIAの化合物、または化合物1~25のいずれか(これに限定しないが、例えば、化合物1~4)は、非毒性の薬学的に許容される賦形剤、例えば、結合剤(例えば、アルファ化トウモロコシデンプン、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、充填剤(例えば、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、ソルビトール、他の還元糖または非還元糖、微結晶セルロース、硫酸カルシウム、リン酸水素カルシウム)、潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク、シリカ、ステアリン酸、フマル酸ステアリルナトリウム、ベヘン酸グリセリル、ステアリン酸カルシウム)、崩壊剤(例えば、ジャガイモデンプン、デンプングリコール酸ナトリウム)、湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)、着色剤、香料、ゼラチン、甘味料、天然ゴム、合成ゴム(例えば、アカシア、トラガカント、アルギン酸塩)、緩衝塩、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、または、ワックスなどと組み合わせてもよい。化合物I、化合物IA、化合物II、もしくは化合物IIA、または、化合物1~25のいずれか(これに限定しないが、例えば、化合物1~4)を含有する錠剤は、当技術分野で既知の方法によってコーティングしてもよい。
液体形態での経口投与の場合、薬剤成分は、非毒性の薬学的に許容される不活性担体または溶媒(例えば、エタノール、グリセロール、水)、懸濁剤(例えば、ソルビトールシロップ、セルロース誘導体、水素化食用脂)、乳化剤(例えば、レシチン、アカシア)、非水性ビヒクル(例えば、アーモンド油、油性エステル、エチルアルコール、分別植物油)、または、保存剤(例えば、メチルまたはプロピルフィドロキシ安息香酸またはソルビン酸)と組み合わせてもよい。また、剤形を安定化させるために、抗酸化剤(BRA、BRT、没食子酸プロピル、アスコルビン酸ナトリウム、クエン酸)などの安定化剤を加えてもよい。
また、化合物I、化合物IA、化合物II、もしくは化合物IIA、または、化合物1~25のいずれか(これに限定しないが、例えば、化合物1~4)を含有する、本開示の方法で使用される組成物は、例えば、ポリグリコール酸/乳酸(PGLA)から作製されたビーズ、ミクロスフェア、またはマイクロカプセルに導入してもよい。経口投与用の液体製剤は、溶液、シロップ、エマルション、または懸濁液の形態であってもよいし、または、使用前に水または他の適切なビヒクルで戻して再構成する乾燥製品として提供してもよい。経口投与用の製剤は、活性化合物の制御されたまたは延期された放出を提供するように適切に調製され得る。
また、式I、式IA、式II、もしくは式IIAの活性化合物、または、化合物1~25のいずれか、これに限定しないが、例えば、化合物1~4は、小単層リポソーム、大単層リポソーム、または多重層リポソームなどのリポソーム送達系の形態で投与してもよい。よく知られているように、リポソームは、コレステロール、ステアリルアミン、またはホスファチジルコリンなどの様々なリン脂質から形成することができる。
また、式I、式IA、式II、もしくは式IIAの活性化合物、または、化合物1~25のいずれか、これに限定しないが、例えば、化合物1~4は、標的化可能な薬物担体としての可溶性ポリマーと結合させてもよい。そのような可溶性ポリマーとしては、ポリビニルピロリドン、ピランコポリマー、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミドフェノール、ポリヒドロキシエチル-アスパルタミドフェノール、または、パルミトイル残基で置換されたポリエチレンオキシドポリリジンなどが挙げられる。さらに、化合物I、化合物IA、化合物II、または化合物IIAは、薬物の制御放出を達成するのに有用な生分解性ポリマーのクラス、例えば、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ乳酸とポリグリコール酸とのコポリマー、ポリイプシロンカプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリヒドロピラン、ポリシアノアクリレート、または、ヒドロゲルの架橋性もしくは両親媒性ブロックコポリマーなどと結合させてもよい。
吸入による投与の場合、化合物I、化合物IA、化合物II、もしくは化合物IIA、または、化合物1~25のいずれか(これに限定しないが、例えば、化合物1~4)を活性化合物として含有する、本開示の方法で使用される製剤(治療剤)は、好適な噴霧剤、例えばジクロロジフルオロメタンまたは他の適切なガスを使用して、加圧パックまたは噴霧器からエアロゾルスプレーの形態で便利に送達され得る。
エアロゾルスプレー(例えば、これに限定しないが、鼻腔スプレーまたはミスト)による投与の場合、化合物I、化合物IA、化合物II、もしくは化合物IIA、または、化合物1~25のいずれか(これに限定しないが、例えば、化合物1~4)を活性化合物として含有する、本開示の方法で使用される製剤(治療剤)は、好適な噴霧剤、例えば、ジクロロジフルオロメタンまたは他の適切なガスを使用して、加圧パックまたは噴霧器からエアロゾルスプレーまたはミストの形態で便利に送達され得る。
化合物I、化合物IA、化合物II、もしくは化合物IIA、または、化合物1~25のいずれか(これに限定しないが、例えば、化合物1~4)を含有する、本開示の方法で使用される製剤は、非経口投与、すなわち、静脈内投与(i.v.)、脳室内投与(i.c.v.)、皮下投与(s.c.)、腹腔内投与(i.p.)、筋肉内投与(i.m.)、真皮下投与(s.d.)、髄腔内投与(i.th.)、眼内投与(硝子体内投与)、眼周囲投与、埋込型の徐放性デポ剤による投与、留置カテーテルを使用した直接投与、皮内投与(i.d.)、直接投与(例えば、ボーラス投与または持続投与)によって投与される。
注射による投与の場合(特に、眼への適用のための眼内投与の場合)、化合物I、化合物IA、化合物II、もしくは化合物IIA、または、化合物1~25のいずれか(これに限定しないが、例えば、化合物1~4)を含有する、本開示の方法で使用される製剤は、保存剤を添加した単位剤形、例えば、アンプルまたは複数回投与容器で提供してもよい。このような組成物は、例えば水性ビヒクル中の懸濁液、溶液、またはエマルションであってよく、また、懸濁剤、安定化剤、及び/または分散剤などの賦形剤を含有してもよい。あるいは、式IA、式II、もしくは式IIAの化合物、または、化合物1~25のいずれか(これに限定しないが、例えば、化合物1~4)は、適切な賦形剤、例えば、滅菌パイロジェンフリー水で再構成するための粉末形態であってもよい。
注射による投与の場合、化合物I、化合物IA、化合物II、もしくは化合物IIA、または、化合物1~25のいずれか(これに限定しないが、例えば、化合物1~4)を含有する、本開示の方法で使用される製剤は、保存剤を添加した単位剤形、例えば、アンプルまたは複数回投与容器で提供してもよい。このような組成物は、例えば水性ビヒクル中の懸濁液、溶液、またはエマルションであってよく、また、懸濁剤、安定化剤、及び/または分散剤などの賦形剤を含有してもよい。あるいは、式IA、式II、もしくは式IIAの化合物、または、化合物1~25のいずれか(これに限定しないが、例えば、化合物1~4)は、適切な賦形剤、例えば、滅菌パイロジェンフリー水で再構成するための粉末形態であってもよい。
直腸投与の場合、化合物I、化合物IA、化合物II、もしくは化合物IIA、または、化合物1~25のいずれか(これに限定しないが、例えば、化合物1~4)を含有する、本開示の方法で使用される製剤は、例えば、座薬または停留浣腸剤(例えば、ココアバターや他のグリセリドなどの従来の坐剤基剤を含む)として製剤化してもよい。
化合物I、化合物IA、化合物II、もしくは化合物IIA、または、化合物1~25のいずれか(これに限定しないが、例えば、化合物1~4)を含有する組成物は、パックまたはディスペンサー装置に入れて提供してもよい。パックまたはディスペンサー装置は、有効成分を含有する1つ以上の単位剤形を含有するか、あるいは、投与量の滴定を容易にするために互いに異なる用量レベルを含み得る。パックは、ブリスターパックなどの金属またはプラスチック箔を含み得る。パックまたはディスペンサー装置は、投与のための説明書を備え得る。また、本開示の方法のための組成物は、混合可能な医薬担体中に配合して調製し、適切な容器に入れ、指示された状態の処置のために容器にラベルを貼ってもよい。
本明細書に開示されるように、本開示の使用方法のための組成物中の成分の用量は、連続的または断続的に投与される用量が、実験動物における結果及び患患者の状態を考慮した上で決定された量を超えないように決定される。具体的な投与量は、投与方法、患者または被験動物の条件または状態、例えば、年齢、体重、性別、感受性、飼料、投与期間、併用する薬剤、疾患の重症度など、に応じて必然的に異なる。特定の条件下での適切な投与量及び投与時間は、上記の指標に基づく試験によって決定することができるが、標準的な臨床技術にしたがって、医師の判断及び各患者の状況(年齢、全身状態、症状の重症度、性別など)に応じて洗練し、最終的に決定することができる。
本開示の方法のための組成物の毒性作用及び治療効果は、実験動物における標準的な薬学的手順によって、例えば、LD50(集団の50%に致死的な用量)及びED50(集団の50%に治療的に有効な用量)を求めることによって決定することができる。治療効果と毒性作用の用量比は治療指数であり、ED50/LD50の比で表すことができ、治療指数の大きい医薬組成物が好ましい。
いくつかの実施形態では、本開示の方法で使用される各用量は、治療有効用量(薬学的に有効な量)の100%を含む。いくつかの実施形態では、本開示の方法で使用される各用量は、治療有効用量の20~75%を含む。いくつかの実施形態では、本開示の方法で使用される各用量は、治療有効用量の20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、または75%を含む。
本明細書で使用するとき、単数形の「1つの(a)」、「1つの(an)」、[その(the)]は、文脈が他の意味を明確に示さない限り、その指示対象の複数形も含む。例えば、「化合物」または「少なくとも1つの化合物」という用語は、複数の化合物、例えばそれらの混合物など、を含み得る。
本出願の全体を通じて、本発明の様々な実施形態を範囲形式で示すことがある。範囲形式での記載は単に便宜性及び簡潔性のためのであり、本発明の範囲に対する柔軟性のない限定(これに限定しないが、例えば治療有効量のパーセント)と解釈されるべきではないことを理解されたい。したがって、範囲に関する記載は、その範囲内に含まれる個々の数値だけでなく、その範囲内に含まれる可能なすべての部分的な範囲を具体的に開示したものと見なされるべきである。例えば、1から6までという範囲の記載は、1から3まで、1から4まで、1から5まで、2から4まで、2から6まで、3から6まで、・・・、という部分的な範囲、並びに、その範囲内に含まれる個々の数値(例えば、1、2、3、4、5、及び6)を具体的に開示したものと見なされるべきである。このことは、範囲の幅に関係なく適用される。
本明細書において数値範囲を指定している場合は常に、指定された数値範囲内に含まれるすべての数値(分数または整数)を含むことを意味する。第1の指定数と第2の指定数と「の間の範囲」という表現、及び第1の指定数「から」第2の指定数「までの範囲」という表現は、本明細書では相互交換的に使用されており、第1の指定数及び第2の指定数、並びにこれらの間のすべての分数及び整数を含むことを意味する。
本明細書で使用するとき、「約」という用語は、記載された値の±10%を指す。
いくつかの実施形態では、複数回投与の各回の用量は、治療有効用量(薬学的に有効な量)の100%、治療有効用量の75~100%、または治療有効用量の20~75%、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
いくつかの実施形態では、本開示の使用方法は、化合物I、化合物IA、化合物II、もしくは化合物IIA、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくは多形体を投与するステップを含み、上記の化合物は薬学的に許容される組成物に含まれる。いくつかの実施形態では、本開示の使用方法は、化合物1~25のいずれか、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくは多形体を投与するステップを含み、上記の化合物は薬学的に許容される組成物に含まれる。いくつかの実施形態では、本開示の使用方法は、化合物1~4のいずれか、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくは多形体を投与するステップを含み、上記の化合物は薬学的に許容される組成物に含まれる。いくつかの実施形態では、本開示の使用方法は、化合物1、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくは多形体を投与するステップを含み、上記の化合物は薬学的に許容される組成物に含まれる。いくつかの実施形態では、本開示の使用方法は、化合物2、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくは多形体を投与するステップを含み、上記の化合物は薬学的に許容される組成物に含まれる。いくつかの実施形態では、本開示の使用方法は、化合物3、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくは多形体を投与するステップを含み、上記の化合物は薬学的に許容される組成物に含まれる。いくつかの実施形態では、本開示の使用方法は、化合物4、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくは多形体を投与するステップを含み、上記の化合物は薬学的に許容される組成物に含まれる。いくつかの実施形態では、本開示の使用方法は、薬学的に許容される組成物に含まれる非毒性の非βシート非晶質Aβクラスタを投与するステップを含む。
使用方法
ミスフォールドした(誤って折り畳まれた)アミロイドβ1-42(Aβ1-42)は、アミロイドβ疾患または状態の病因の根底にある主要な内因性病原体である。ミスフォールドしたAβ1-42モノマーは、互いに結合して毒性を有する可溶性Aβオリゴマーを形成し、アミロイドβ疾患または状態においてシナプス機能障害及び神経変性を引き起こす。このような毒性を有する可溶性Aβ1-42オリゴマーは、アミロイドβ疾患または状態に罹患した神経細胞、非神経細胞、及び/または感覚細胞の損傷、機能低下、機能阻害、または機能変化を引き起こし得る。
いくつかの実施形態では、本開示は、神経細胞、非神経細胞、または神経感覚細胞のアミロイドβ機能毒性を逆転させる方法であって、それを必要とする対象に対して、下記の式Iで表される化合物I、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくは多形体を薬学的に有効な量で投与するステップを含む方法を提供する。
Figure 2022529742000018
式中、
は、キラル中心を指し、
**は、RとRとが異なる場合のキラル中心を指し、
は、水素、-C1-6-アルキル、シクロC3-12-アルキル、-C(O)R、または-C(O)ORであり、
は、水素、C1-6-アルキル、またはシクロC3-12-アルキルであり、
は、-OR、-NHR、または-N(R)であり、
は、水素、ハロゲン、シアノ、トリフルオロメチル、-C1-6-アルキル、-C6-10-アリール、ヘテロアリール、-OR、-NHR、-N(R)、-C(O)R、または-C(O)-NHRであり、
は、水素、-C1-6-アルキル、または、-C2-6-アルケニルであるか、あるいは、R及びRは、それらを担持する炭素原子と共に、3~6個の炭素原子を有する環状系を形成し、
は、水素、-C1-6-アルキル、または-C2-6-アルケニルであり、
は、水素、メチル、エチル、プロピル、またはシクロプロピルであり、
Rは、水素、-C1-6-アルキル、または-C6-10-アリールであり、
Xは、-C(O)CH-、-CH(OH)CH-、-CH=CH-、-CH-NR-C(O)-、または-C(O)NRである。
いくつかの実施形態では、本開示は、神経細胞、非神経細胞、神経感覚細胞、またはそれらの任意の組み合わせのアミロイドβ機能毒性を逆転させる方法であって、それを必要とする対象に対して、下記の式Iで表される化合物I、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくは多形体を含む非毒性の非βシート非晶質Aβクラスタを薬学的に有効な量で投与するステップを含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、神経細胞、非神経細胞、または神経感覚細胞、またはそれらの任意の組み合わせのアミロイドβ機能毒性を逆転させる方法であって、それを必要とする対象に対して、下記の式Iで表される化合物I、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくは多形体を含まない非毒性の非βシート非晶質Aβクラスタを薬学的に有効な量で投与するステップを含む方法を提供する。
いくつかの実施形態では、本開示は、アミロイドβ毒性を逆転させて、神経細胞、非神経細胞、神経感覚細胞、またはそれらの任意の組み合わせの機能を迅速に改善する方法であって、それを必要とする対象に対して、下記の式Iで表される化合物I、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくは多形体を薬学的に有効な量で投与するステップを含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、アミロイドβ毒性を逆転させて、神経細胞、非神経細胞、神経感覚細胞、またはそれらの任意の組み合わせの機能を迅速に改善する方法であって、それを必要とする対象に対して、下記の式Iで表される化合物I、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくは多形体を含む非毒性の非βシート非晶質Aβクラスタを薬学的に有効な量で投与するステップを含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、アミロイドβ毒性を逆転させて、神経細胞、非神経細胞、神経感覚細胞、またはそれらの任意の組み合わせの機能を迅速に改善する方法であって、それを必要とする対象に対して、下記の式Iで表される化合物I、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくは多形体を含まない非毒性の非βシート非晶質Aβクラスタを薬学的に有効な量で投与するステップを含む方法を提供する。
式Iの化合物の詳細な実施形態は、上記の通りである。上記の式Iの化合物の実施形態は、その全体が本明細書に組み込まれるものとする。無毒の非βシートの非晶質Aβクラスタの詳細な実施形態は、上記の通りである。上記の非βシートの非晶質Aβクラスタの実施形態は、その全体が本明細書に組み込まれるものとする。
いくつかの実施形態では、化合物I、化合物IA、化合物II、または化合物IIAは、アミロイドβ(Aβ)機能毒性を逆転させる。いくつかの実施形態では、化合物I、化合物IA、化合物II、または化合物IIAは、インビボでのAβ機能毒性を逆転させる。いくつかの実施形態では、化合物I、化合物IA、化合物II、または化合物IIAは、神経細胞、非神経細胞、または神経感覚細胞に対するAβ機能毒性を逆転させる。いくつかの実施形態では、化合物I、化合物IA、化合物II、または化合物IIAは、中枢神経系、これに限定しないが、例えば、海馬や大脳皮質の錐体神経細胞や他の興奮性神経細胞などにおける、神経細胞に対するAβ機能毒性を逆転させる。いくつかの実施形態では、化合物I、化合物IA、化合物II、または化合物IIAは、網膜神経節細胞(RGC)に対するAβ機能毒性を逆転させる。いくつかの実施形態では、化合物I、化合物IA、化合物II、または化合物IIAは、網膜色素上皮(RPE)細胞に対するAβ機能毒性を逆転させる。
いくつかの実施形態では、化合物I、化合物IA、化合物II、または化合物IIAは、桿体細胞及び錐体細胞を含む光感覚細胞に対するAβ機能毒性を逆転させる。いくつかの実施形態では、化合物I、化合物IA、化合物II、または化合物IIAは、海馬細胞に対するAβ機能毒性を逆転させる。
いくつかの実施形態では、神経細胞には、海馬細胞、皮質錐体細胞、抑制性介在神経細胞、場所細胞、バスケット細胞、顆粒細胞、網膜神経節細胞(RGC)、双極細胞、水平細胞、及びアマクリン細胞が含まれる。いくつかの実施形態では、非神経細胞には、網膜色素上皮(RPE)細胞、アストロサイト(星状膠細胞)、及びオリゴデンドロサイト(乏突起膠細胞)が含まれる。いくつかの実施形態では、神経感覚細胞には、光感覚細胞、これに限定しないが、例えば、桿体細胞及び錐体細胞が含まれる。
いくつかの実施形態では、本開示は、神経細胞、非神経細胞、または神経感覚細胞のアミロイドβ機能毒性を逆転させる方法であって、それを必要とする対象に対して、下記の式IAで表される化合物IA、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくは多形体を、薬学的に有効な量で投与するステップを含む方法を提供する。
Figure 2022529742000019
式中、R、R、R、R、R、R、R、及びXは、上記の化合物IAにおけるそれらと同様である。
いくつかの実施形態では、本開示は、神経細胞、非神経細胞、または神経感覚細胞のアミロイドβ機能毒性を逆転させる方法であって、それを必要とする対象に対して、下記の式1で表される化合物1、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくは多形体を、薬学的に有効な量で投与するステップを含む方法を提供する。
Figure 2022529742000020
いくつかの実施形態では、本開示は、神経細胞、非神経細胞、または神経感覚細胞のアミロイドβ機能毒性を逆転させる方法であって、それを必要とする対象に対して、下記の式2で表される化合物2、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくは多形体を、薬学的に有効な量で投与するステップを含む方法を提供する。
Figure 2022529742000021
いくつかの実施形態では、本開示は、神経細胞、非神経細胞、または神経感覚細胞のアミロイドβ機能毒性を逆転させる方法であって、それを必要とする対象に対して、下記の式3で表される化合物3、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくは多形体を、薬学的に有効な量で投与するステップを含む方法を提供する。
Figure 2022529742000022
いくつかの実施形態では、本開示は、神経細胞、非神経細胞、または神経感覚細胞のアミロイドβ機能毒性を逆転させる方法であって、それを必要とする対象に対して、下記の式4で表される化合物4、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくは多形体を、薬学的に有効な量で投与するステップを含む方法を提供する。
Figure 2022529742000023
いくつかの実施形態では、本開示は、神経細胞、非神経細胞、または神経感覚細胞のアミロイドβ機能毒性を逆転させる方法であって、それを必要とする対象に対して、下記の式5~25で表される化合物5~25、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくは多形体を、薬学的に有効な量で投与するステップを含む方法を提供する。
Figure 2022529742000024
Figure 2022529742000025
当業者であれば、神経細胞には、これに限定しないが、網膜神経節細胞(RGC)、海馬細胞、皮質錐体細胞、抑制性介在神経細胞、場所細胞、バスケット細胞、顆粒細胞、双極細胞、水平細胞、及びアマクリン細胞が含まれることを理解できるであろう。アミロイドβ関連疾患または状態に罹患した対象は、上記の神経細胞の機能の損傷、低下、阻害、または変化が起こり得る。いくつかの実施形態では、神経細胞は、RGCを含む。
当業者であれば、非神経細胞には、非神経細胞には、網膜色素上皮(RPE)細胞、アストロサイト(星状膠細胞)、及びオリゴデンドロサイト(乏突起膠細胞)が含まれることを理解できるであろう。アミロイドβ関連疾患または状態に罹患した対象は、上記の非神経細胞の機能の損傷、低下、阻害、または変化が起こり得る。いくつかの実施形態では、非神経細胞は、RPE細胞を含む。
当業者であれば、神経感覚細胞には、受容体を介して特定の種類の刺激を活動電位または段階的電位に変換する神経細胞が含まれることを理解できるであろう。神経感覚細胞の例は、眼の光感覚細胞である桿体細胞及び錐体細胞である。アミロイドβ関連疾患または状態に罹患した対象は、上記の神経感覚細胞の機能の損傷、低下、阻害、または変化が起こり得る。いくつかの実施形態では、神経感覚細胞は、網膜神経節細胞(RGC)、錐体細胞、及び桿体細胞を含む。
いくつかの実施形態では、化合物1~25のいずれかは、アミロイドβ(Aβ)機能毒性を逆転させる。いくつかの実施形態では、化合物1~25いずれかは、インビボでのAβ機能毒性を逆転させる。いくつかの実施形態では、化合物1~25いずれかは、神経細胞、非神経細胞、または神経感覚細胞に対するAβ機能毒性を逆転させる。いくつかの実施形態では、化合物1~25いずれかは、網膜神経節細胞(RGC)に対するAβ機能毒性を逆転させる。いくつかの実施形態では、化合物1~25いずれかは、網膜色素上皮(RPE)細胞に対するAβ機能毒性を逆転させる。いくつかの実施形態では、化合物1~25いずれかは、錐体細胞に対するAβ機能毒性を逆転させる。いくつかの実施形態では、化合物1~25いずれかは、桿体細胞に対するAβ機能毒性を逆転させる。
いくつかの実施形態では、化合物1は、アミロイドβ(Aβ)機能毒性を逆転させる。いくつかの実施形態では、化合物1は、インビボでのAβ機能毒性を逆転させる。いくつかの実施形態では、化合物1は、神経細胞、非神経細胞、または神経感覚細胞に対するAβ機能毒性を逆転させる。いくつかの実施形態では、化合物1は、網膜神経節細胞(RGC)に対するAβ機能毒性を逆転させる。いくつかの実施形態では、化合物1は、網膜色素上皮(RPE)細胞に対するAβ機能毒性を逆転させる。いくつかの実施形態では、化合物1は、錐体細胞に対するAβ機能毒性を逆転させる。いくつかの実施形態では、化合物1は、桿体細胞に対するAβ機能毒性を逆転させる。
いくつかの実施形態では、化合物2は、アミロイドβ(Aβ)機能毒性を逆転させる。いくつかの実施形態では、化合物2は、インビボでのAβ機能毒性を逆転させる。いくつかの実施形態では、化合物2は、神経細胞、非神経細胞、または神経感覚細胞に対するAβ機能毒性を逆転させる。いくつかの実施形態では、化合物2は、網膜神経節細胞(RGC)に対するAβ機能毒性を逆転させる。いくつかの実施形態では、化合物2は、網膜色素上皮(RPE)細胞に対するAβ機能毒性を逆転させる。いくつかの実施形態では、化合物2は、錐体細胞に対するAβ機能毒性を逆転させる。いくつかの実施形態では、化合物2は、桿体細胞に対するAβ機能毒性を逆転させる。
いくつかの実施形態では、化合物3は、アミロイドβ(Aβ)機能毒性を逆転させる。いくつかの実施形態では、化合物3は、インビボでのAβ機能毒性を逆転させる。いくつかの実施形態では、化合物3は、神経細胞、非神経細胞、または神経感覚細胞に対するAβ機能毒性を逆転させる。いくつかの実施形態では、化合物3は、網膜神経節細胞(RGC)に対するAβ機能毒性を逆転させる。いくつかの実施形態では、化合物3は、網膜色素上皮(RPE)細胞に対するAβ機能毒性を逆転させる。いくつかの実施形態では、化合物3は、錐体細胞に対するAβ機能毒性を逆転させる。いくつかの実施形態では、化合物3は、桿体細胞に対するAβ機能毒性を逆転させる。
いくつかの実施形態では、化合物4は、アミロイドβ(Aβ)機能毒性を逆転させる。いくつかの実施形態では、化合物4は、インビボでのAβ機能毒性を逆転させる。いくつかの実施形態では、化合物4は、神経細胞、非神経細胞、または神経感覚細胞に対するAβ機能毒性を逆転させる。いくつかの実施形態では、化合物4は、網膜神経節細胞(RGC)に対するAβ機能毒性を逆転させる。いくつかの実施形態では、化合物4は、網膜色素上皮(RPE)細胞に対するAβ機能毒性を逆転させる。いくつかの実施形態では、化合物4は、錐体細胞に対するAβ機能毒性を逆転させる。いくつかの実施形態では、化合物4は、桿体細胞に対するAβ機能毒性を逆転させる。
いくつかの実施形態では、本開示の方法において、化合物1、化合物2、化合物3、または化合物4は、治療を必要としている対象におけるアミロイドβ機能毒性を逆転させる。当業者であれば、いくつかの実施形態では、アミロイドβ機能毒性の逆転は、損なわれた神経細胞機能の回復を含むことを理解できるであろう。
いくつかの実施形態では、アミロイドβ機能毒性の逆転は、損なわれた神経細胞機能の迅速な回復をもたらす。いくつかの実施形態では、神経細胞機能は、感覚器官(例えば、目)の細胞に影響を与える光に反応して、脊髄または脳に信号を送ることを含む。いくつかの実施形態では、神経細胞機能は、脳及び脊髄からの信号を受信して、筋収縮から腺出力までのすべてを制御することを含む。いくつかの実施形態では、神経細胞機能は、これに限定しないが、例えば、活動電位(電位)などの信号の送信または受信を含む。
いくつかの実施形態では、損なわれた神経細胞機能の回復は、光に対する反応の回復を含む。いくつかの実施形態では、損なわれた神経細胞機能の回復は、電位の信号を送信する能力の回復を含む。いくつかの実施形態では、損なわれた神経細胞機能の回復は、電位の信号を受信する能力の回復を含む。
当業者であれば、神経細胞機能の回復は迅速に回復されると、電位の信号を送信または受信する能力の回復が数分以内に起こることを理解できるであろう。神経細胞機能の回復が迅速であることは、疾患または状態において迅速であることを、当業者であれば理解できるであろう。いくつかの実施形態では、神経細胞機能の迅速な回復、例えば電位の信号を送信または受信する能力の回復は、数時間以内に起こる。いくつかの実施形態では、神経細胞機能の迅速な回復、例えば電位の信号を送信または受信する能力の回復は、数日以内に起こる。いくつかの実施形態では、神経細胞機能の迅速な回復、例えば電位の信号を送信または受信する能力の回復は、数ヶ月以内に起こる。眼の網膜などの神経細胞機能の回復を検出するための非侵襲的方法は、当技術分野では既知であり、そのような方法としては、これに限定しないが、例えば、微小視野測定、低輝度視力の測定、暗順応の測定、及び低輝度読み取り速度の測定などが挙げられる。
いくつかの実施形態では、神経細胞機能の回復は、25~100%の回復である。いくつかの実施形態では、神経細胞機能の回復は、50~100%の回復である。いくつかの実施形態では、神経細胞機能の回復は、75~100%の回復である。いくつかの実施形態では、神経細胞機能の回復は、50~75%の回復である。いくつかの実施形態では、神経細胞機能の回復は、少なくとも25%の回復を含む。いくつかの実施形態では、神経細胞機能の回復は、少なくとも35%の回復を含む。いくつかの実施形態では、神経細胞機能の回復は、少なくとも45%の回復を含む。いくつかの実施形態では、神経細胞機能の回復は、少なくとも55%の回復を含む。いくつかの実施形態では、神経細胞機能の回復は、少なくとも65%の回復を含む。いくつかの実施形態では、神経細胞機能の回復は、少なくとも75%の回復を含む。いくつかの実施形態では、神経細胞機能の回復は、少なくとも85%の回復を含む。いくつかの実施形態では、神経細胞機能の回復は、少なくとも95%の回復を含む。
いくつかの実施形態では、神経細胞機能の回復は、約25~35%の回復を含む。いくつかの実施形態では、神経細胞機能の回復は、約35~45%の回復を含む。いくつかの実施形態では、神経細胞機能の回復は、約45~55%の回復を含む。いくつかの実施形態では、神経細胞機能の回復は、約55~65%の回復を含む。いくつかの実施形態では、神経細胞機能の回復は、約65~75%の回復を含む。いくつかの実施形態では、神経細胞機能の回復は、約75~85%の回復を含む。いくつかの実施形態では、神経細胞機能の回復は、約85~95%の回復を含む。いくつかの実施形態では、神経細胞機能の回復は、約90~100%の回復を含む。
いくつかの実施形態では、神経細胞機能の回復は、約25%の回復を含む。いくつかの実施形態では、神経細胞機能の回復は、約35%の回復を含む。いくつかの実施形態では、神経細胞機能の回復は、約45%の回復を含む。いくつかの実施形態では、神経細胞機能の回復は、約55%の回復を含む。いくつかの実施形態では、神経細胞機能の回復は、約65%の回復を含む。いくつかの実施形態では、神経細胞機能の回復は、約75%の回復を含む。いくつかの実施形態では、神経細胞機能の回復は、約85%の回復を含む。いくつかの実施形態では、神経細胞機能の回復は、約95%の回復を含む。いくつかの実施形態では、神経細胞機能の回復は、約100%の回復を含む。
いくつかの実施形態では、アミロイドβ機能毒性の逆転は、神経細胞、非神経細胞、神経感覚細胞、またはそれらの任意の組み合わせの細胞死の減少をもたらす。いくつかの実施形態では、本開示の方法は、神経細胞の細胞死を減少させる。いくつかの実施形態では、本開示の方法は、網膜神経節細胞(RGC)の細胞死を減少させる。いくつかの実施形態では、本開示の方法は、非神経細胞の細胞死を減少させる。いくつかの実施形態では、本開示の方法は、網膜色素上皮(RPE)細胞の細胞死を減少させる。いくつかの実施形態では、本開示の方法は、アストロサイト(星状膠細胞)の細胞死を減少させる。いくつかの実施形態では、本開示の方法は、神経感覚細胞の細胞死を減少させる。例えば眼における細胞死を検出するための非侵襲的方法は、当技術分野では既知であり、そのような方法としては、これに限定しないが、例えば、眼底自家蛍光撮影や、アポトーシス性網膜細胞(DARC)の検出などが挙げられる。
いくつかの実施形態では、化合物I、化合物IA、化合物II、または化合物IIAは、ミスフォールドした毒性Aβ1-42モノマーと結合する。いくつかの実施形態では、化合物I、化合物IA、化合物II、または化合物IIAのAβ1-42への結合は、ミスフォールドしたAβ1-42モノマーが互いに対して有する親和性よりも高い親和性を有する。化合物I、化合物IA、化合物II、または化合物IIAがミスフォールドした毒性Aβ1-42モノマーに対して結合すると、ミスフォールドしたAβモノマー(非晶質Aβ)の無害な非毒性クラスタが形成され、形成された非毒性クラスタは、循環系、細胞内空間、または細胞外空間から自然に除去される。さらに、いくつかの実施形態では、ミスフォールドした毒性Aβ1-42モノマーへの上記化合物の結合は、アミロイドβ(Aβ)の正常な機能を妨げることはないし、また、他の方法で毒性を引き起こすこともない。
いくつかの実施形態では、化合物I、化合物IA、化合物II、または化合物IIAが、ミスフォールドした毒性Aβ1-42モノマーと結合する。いくつかの実施形態では、化合物1~25のいずれかが、ミスフォールドした毒性Aβ1-42モノマーと結合する。いくつかの実施形態では、化合物1が、ミスフォールドした毒性Aβ1-42モノマーと結合する。いくつかの実施形態では、化合物2が、ミスフォールドした毒性Aβ1-42モノマーと結合する。いくつかの実施形態では、化合物3が、ミスフォールドした毒性Aβ1-42モノマーと結合する。いくつかの実施形態では、化合物4が、ミスフォールドした毒性Aβ1-42モノマーと結合する。
いくつかの実施形態では、化合物I、化合物IA、化合物II、または化合物IIAは、既存の毒性Aβ1-42の存在下で非晶質Aβクラスタを形成し、それによって、Aβ1-42の毒性を逆転させる(図1)。このような非晶質Aβクラスタは、非毒性の非βシート非晶質Aβクラスタを含む。本明細書で使用するとき、「非毒性の非βシート非晶質Aβクラスタ」という用語は、すべて同じ意味及び性質を有する、「Aβブロブ」、「ブロブ」、「Aβ集合体」、「集合体」、「非毒性Aβ凝集体」、「非毒性凝集体」、「非毒性Aβクラスタ」、「非毒性クラスタ」、「非晶質クラスタ」、「非晶質Aβクラスタ」、「非晶質凝集体」、「非晶質Aβ凝集体」、または「Aβクラスタ」などと互換的に使用される。いずれの場合でも、当業者であれば、非毒性の非βシート非晶質Aβクラスタがアミロイドβ(Aβ)の非毒性形成を含むことを理解できるであろう。いくつかの実施形態では、このようなクラスタは、毒性Aβオリゴマー形成を防止する能力を有している。いくつかの実施形態では、このようなクラスタは、下記の実施例2に例示されるAβ機能毒性の逆転によって見られるように、毒性Aβオリゴマー形成を逆転させる能力を有している。
いくつかの実施形態では、化合物I、化合物IA、化合物II、または化合物IIAは、既存の毒性Aβ1-42の存在下で非晶質Aβクラスタを形成し、それによって、インビボでのAβ1-42の毒性を逆転させる。いくつかの実施形態では、化合物I、化合物IA、化合物II、または化合物IIAは、既存の毒性Aβ1-42の存在下で非晶質Aβクラスタを形成し、それによって、神経細胞、非神経細胞、または神経感覚細胞に対するAβ1-42の毒性を逆転させる。いくつかの実施形態では、化合物I、化合物IA、化合物II、または化合物IIAは、既存の毒性Aβ1-42の存在下で非晶質Aβクラスタを形成し、それによって、網膜神経節細胞(RGC)に対するAβ1-42の毒性を逆転させる。いくつかの実施形態では、化合物I、化合物IA、化合物II、または化合物IIAは、既存の毒性Aβ1-42の存在下で非晶質Aβクラスタを形成し、それによって、網膜色素上皮(RPE)細胞/ブルック膜へのAβ1-42の毒性蓄積を逆転させる。
いくつかの実施形態では、化合物1~25のいずれかは、既存の毒性Aβ1-42の存在下で非晶質Aβクラスタを形成し、それによって、Aβ1-42の毒性を逆転させる。いくつかの実施形態では、化合物1~25のいずれかの化合物は、既存の毒性Aβ1-42の存在下で非晶質Aβクラスタを形成し、それによって、インビボでのAβ1-42の毒性を逆転させる。いくつかの実施形態では、化合物1~25のいずれかの化合物は、既存の毒性Aβ1-42の存在下で非晶質Aβクラスタを形成し、それによって、神経細胞、非神経細胞、または神経感覚細胞に対するAβ1-42の毒性を逆転させる。いくつかの実施形態では、化合物1~25のいずれかの化合物は、既存の毒性Aβ1-42の存在下で非晶質Aβクラスタを形成し、それによって、網膜神経節細胞(RGC)に対するAβ1-42の毒性を逆転させる。いくつかの実施形態では、化合物1~25のいずれかの化合物は、既存の毒性Aβ1-42の存在下で非晶質Aβクラスタを形成し、それによって、網膜色素上皮(RPE)細胞/ブルック膜へのAβ1-42の毒性蓄積を逆転させる。いくつかの実施形態では、化合物1~25のいずれかの化合物は、既存の毒性Aβ1-42の存在下で非晶質Aβクラスタを形成し、それによって、錐体細胞に対するAβ1-42の毒性を逆転させる。いくつかの実施形態では、化合物1~25のいずれかの化合物は、既存の毒性Aβ1-42の存在下で非晶質Aβクラスタを形成し、それによって、桿体細胞に対するAβ1-42の毒性を逆転させる。
いくつかの実施形態では、化合物1は、既存の毒性Aβ1-42の存在下で非晶質Aβクラスタを形成し、それによって、Aβ1-42の毒性を逆転させる。いくつかの実施形態では、化合物1は、既存の毒性Aβ1-42の存在下で非晶質Aβクラスタを形成し、それによって、インビボでのAβ1-42の毒性を逆転させる。いくつかの実施形態では、化合物1は、既存の毒性Aβ1-42の存在下で非晶質Aβクラスタを形成し、それによって、神経細胞、非神経細胞、または神経感覚細胞に対するAβ1-42の毒性を逆転させる。いくつかの実施形態では、化合物1は、既存の毒性Aβ1-42の存在下で非晶質Aβクラスタを形成し、それによって、網膜神経節細胞(RGC)に対するAβ1-42の毒性を逆転させる。いくつかの実施形態では、化合物1は、既存の毒性Aβ1-42の存在下で非晶質Aβクラスタを形成し、それによって、網膜色素上皮(RPE)細胞/ブルック膜へのAβ1-42の毒性蓄積を逆転させる。いくつかの実施形態では、化合物1は、既存の毒性Aβ1-42の存在下で非晶質Aβクラスタを形成し、それによって、錐体細胞に対するAβ1-42の毒性を逆転させる。いくつかの実施形態では、化合物1は、既存の毒性Aβ1-42の存在下で非晶質Aβクラスタを形成し、それによって、桿体細胞に対するAβ1-42の毒性を逆転させる。
いくつかの実施形態では、化合物2は、既存の毒性Aβ1-42の存在下で非晶質Aβクラスタを形成し、それによって、Aβ1-42の毒性を逆転させる。いくつかの実施形態では、化合物2は、既存の毒性Aβ1-42の存在下で非晶質Aβクラスタを形成し、それによって、インビボでのAβ1-42の毒性を逆転させる。いくつかの実施形態では、化合物2は、既存の毒性Aβ1-42の存在下で非晶質Aβクラスタを形成し、それによって、神経細胞、非神経細胞、または神経感覚細胞に対するAβ1-42の毒性を逆転させる。いくつかの実施形態では、化合物2は、既存の毒性Aβ1-42の存在下で非晶質Aβクラスタを形成し、それによって、網膜神経節細胞(RGC)に対するAβ1-42の毒性を逆転させる。いくつかの実施形態では、化合物2は、既存の毒性Aβ1-42の存在下で非晶質Aβクラスタを形成し、それによって、網膜色素上皮(RPE)細胞/ブルック膜へのAβ1-42の毒性蓄積を逆転させる。いくつかの実施形態では、化合物2は、既存の毒性Aβ1-42の存在下で非晶質Aβクラスタを形成し、それによって、錐体細胞に対するAβ1-42の毒性を逆転させる。いくつかの実施形態では、化合物2は、既存の毒性Aβ1-42の存在下で非晶質Aβクラスタを形成し、それによって、桿体細胞に対するAβ1-42の毒性を逆転させる。
いくつかの実施形態では、化合物3は、既存の毒性Aβ1-42の存在下で非晶質Aβクラスタを形成し、それによって、Aβ1-42の毒性を逆転させる。いくつかの実施形態では、化合物3は、既存の毒性Aβ1-42の存在下で非晶質Aβクラスタを形成し、それによって、インビボでのAβ1-42の毒性を逆転させる。いくつかの実施形態では、化合物3は、既存の毒性Aβ1-42の存在下で非晶質Aβクラスタを形成し、それによって、神経細胞、非神経細胞、または神経感覚細胞に対するAβ1-42の毒性を逆転させる。いくつかの実施形態では、化合物3は、既存の毒性Aβ1-42の存在下で非晶質Aβクラスタを形成し、それによって、網膜神経節細胞(RGC)に対するAβ1-42の毒性を逆転させる。いくつかの実施形態では、化合物3は、既存の毒性Aβ1-42の存在下で非晶質Aβクラスタを形成し、それによって、網膜色素上皮(RPE)細胞/ブルック膜へのAβ1-42の毒性蓄積を逆転させる。いくつかの実施形態では、化合物3は、既存の毒性Aβ1-42の存在下で非晶質Aβクラスタを形成し、それによって、錐体細胞に対するAβ1-42の毒性を逆転させる。いくつかの実施形態では、化合物3は、既存の毒性Aβ1-42の存在下で非晶質Aβクラスタを形成し、それによって、桿体細胞に対するAβ1-42の毒性を逆転させる。
いくつかの実施形態では、化合物4は、既存の毒性Aβ1-42の存在下で非晶質Aβクラスタを形成し、それによって、Aβ1-42の毒性を逆転させる。いくつかの実施形態では、化合物4は、既存の毒性Aβ1-42の存在下で非晶質Aβクラスタを形成し、それによって、インビボでのAβ1-42の毒性を逆転させる。いくつかの実施形態では、化合物4は、既存の毒性Aβ1-42の存在下で非晶質Aβクラスタを形成し、それによって、神経細胞、非神経細胞、または神経感覚細胞に対するAβ1-42の毒性を逆転させる。いくつかの実施形態では、化合物4は、既存の毒性Aβ1-42の存在下で非晶質Aβクラスタを形成し、それによって、網膜神経節細胞(RGC)に対するAβ1-42の毒性を逆転させる。いくつかの実施形態では、化合物4は、既存の毒性Aβ1-42の存在下で非晶質Aβクラスタを形成し、それによって、網膜色素上皮(RPE)細胞/ブルック膜へのAβ1-42の毒性蓄積を逆転させる。いくつかの実施形態では、化合物4は、既存の毒性Aβ1-42の存在下で非晶質Aβクラスタを形成し、それによって、錐体細胞に対するAβ1-42の毒性を逆転させる。いくつかの実施形態では、化合物4は、既存の毒性Aβ1-42の存在下で非晶質Aβクラスタを形成し、それによって、桿体細胞に対するAβ1-42の毒性を逆転させる。
いくつかの実施形態では、化合物I、化合物IA、化合物II、または化合物IIAは、細胞表面から毒性アミロイドβ沈着物を除去する。いくつかの実施形態では、化合物I、化合物IA、化合物II、または化合物IIAは、細胞表面からアミロイドβ沈着物を減少させる。いくつかの実施形態では、化合物I、化合物IA、化合物II、または化合物IIAの使用は、細胞表面に沿ったアミロイドβの非晶質凝集体の形成をもたらす。いくつかの実施形態では、化合物I、化合物IA、化合物II、または化合物IIAの使用は、神経細胞表面に沿ったアミロイドβの非晶質凝集体の形成をもたらす。いくつかの実施形態では、化合物I、化合物IA、化合物II、または化合物IIAの使用は、非神経細胞表面に沿ったアミロイドβの非晶質凝集体の形成をもたらす。いくつかの実施形態では、化合物I、化合物IA、化合物II、または化合物IIAの使用は、神経感覚細胞表面に沿ったアミロイドβの非晶質凝集体の形成をもたらす。いくつかの実施形態では、化合物I、化合物IA、化合物II、または化合物IIAの使用は、網膜神経節細胞(RGC)に沿ったアミロイドβの非晶質凝集体の形成をもたらす。いくつかの実施形態では、化合物I、化合物IA、化合物II、または化合物IIAの使用は、網膜色素上皮(RPE)細胞/ブルック膜に沿ったアミロイドβの非晶質凝集体の形成をもたらす。いくつかの実施形態では、化合物I、化合物IA、化合物II、または化合物IIAの使用は、錐体細胞に沿ったアミロイドβの非晶質凝集体の形成をもたらす。いくつかの実施形態では、化合物I、化合物IA、化合物II、または化合物IIAの使用は、桿体細胞に沿ったアミロイドβの非晶質凝集体の形成をもたらす。
いくつかの実施形態では、化合物1~25のいずれかは、細胞表面から毒性アミロイドβ沈着物を除去する。いくつかの実施形態では、化合物1~25のいずれかは、細胞表面からアミロイドβ沈着物を減少させる。いくつかの実施形態では、化合物1~25のいずれかの使用は、細胞表面に沿ったアミロイドβの非晶質凝集体の形成をもたらす。いくつかの実施形態では、化合物1~25のいずれかの使用は、神経細胞表面に沿ったアミロイドβの非晶質凝集体の形成をもたらす。いくつかの実施形態では、化合物1~25のいずれかの使用は、非神経細胞表面に沿ったアミロイドβの非晶質凝集体の形成をもたらす。いくつかの実施形態では、化合物1~25のいずれかの使用は、神経感覚細胞表面に沿ったアミロイドβの非晶質凝集体の形成をもたらす。いくつかの実施形態では、化合物1~25のいずれかの使用は、網膜神経節細胞(RGC)に沿ったアミロイドβの非晶質凝集体の形成をもたらす。いくつかの実施形態では、化合物1~25のいずれかの使用は、網膜色素上皮(RPE)細胞/ブルック膜に沿ったアミロイドβの非晶質凝集体の形成をもたらす。いくつかの実施形態では、化合物1~25のいずれかの使用は、錐体細胞に沿ったアミロイドβの非晶質凝集体の形成をもたらす。いくつかの実施形態では、化合物1~25のいずれかの使用は、桿体細胞に沿ったアミロイドβの非晶質凝集体の形成をもたらす。
いくつかの実施形態では、化合物1は、細胞表面から毒性アミロイドβ沈着物を除去する。いくつかの実施形態では、化合物1は、細胞表面からアミロイドβ沈着物を減少させる。いくつかの実施形態では、化合物1の使用は、細胞表面に沿ったアミロイドβの非晶質凝集体の形成をもたらす。いくつかの実施形態では、化合物1の使用は、神経細胞表面に沿ったアミロイドβの非晶質凝集体の形成をもたらす。いくつかの実施形態では、化合物1の使用は、非神経細胞表面に沿ったアミロイドβの非晶質凝集体の形成をもたらす。いくつかの実施形態では、化合物1の使用は、神経感覚細胞表面に沿ったアミロイドβの非晶質凝集体の形成をもたらす。いくつかの実施形態では、化合物1の使用は、網膜神経節細胞(RGC)に沿ったアミロイドβの非晶質凝集体の形成をもたらす。いくつかの実施形態では、化合物1の使用は、網膜色素上皮(RPE)細胞/ブルック膜に沿ったアミロイドβの非晶質凝集体の形成をもたらす。いくつかの実施形態では、化合物1の使用は、錐体細胞に沿ったアミロイドβの非晶質凝集体の形成をもたらす。いくつかの実施形態では、化合物1の使用は、桿体細胞に沿ったアミロイドβの非晶質凝集体の形成をもたらす。
いくつかの実施形態では、化合物2は、細胞表面から毒性アミロイドβ沈着物を除去する。いくつかの実施形態では、化合物2は、細胞表面からアミロイドβ沈着物を減少させる。いくつかの実施形態では、化合物2の使用は、細胞表面に沿ったアミロイドβの非晶質凝集体の形成をもたらす。いくつかの実施形態では、化合物2の使用は、神経細胞表面に沿ったアミロイドβの非晶質凝集体の形成をもたらす。いくつかの実施形態では、化合物2の使用は、非神経細胞表面に沿ったアミロイドβの非晶質凝集体の形成をもたらす。いくつかの実施形態では、化合物2の使用は、神経感覚細胞表面に沿ったアミロイドβの非晶質凝集体の形成をもたらす。いくつかの実施形態では、化合物2の使用は、網膜神経節細胞(RGC)に沿ったアミロイドβの非晶質凝集体の形成をもたらす。いくつかの実施形態では、化合物2の使用は、網膜色素上皮(RPE)細胞/ブルック膜に沿ったアミロイドβの非晶質凝集体の形成をもたらす。いくつかの実施形態では、化合物2の使用は、錐体細胞に沿ったアミロイドβの非晶質凝集体の形成をもたらす。いくつかの実施形態では、化合物2の使用は、桿体細胞に沿ったアミロイドβの非晶質凝集体の形成をもたらす。
いくつかの実施形態では、化合物3は、細胞表面から毒性アミロイドβ沈着物を除去する。いくつかの実施形態では、化合物3は、細胞表面からアミロイドβ沈着物を減少させる。いくつかの実施形態では、化合物3の使用は、細胞表面に沿ったアミロイドβの非晶質凝集体の形成をもたらす。いくつかの実施形態では、化合物3の使用は、神経細胞表面に沿ったアミロイドβの非晶質凝集体の形成をもたらす。いくつかの実施形態では、化合物3の使用は、非神経細胞表面に沿ったアミロイドβの非晶質凝集体の形成をもたらす。いくつかの実施形態では、化合物3の使用は、神経感覚細胞表面に沿ったアミロイドβの非晶質凝集体の形成をもたらす。いくつかの実施形態では、化合物3の使用は、網膜神経節細胞(RGC)に沿ったアミロイドβの非晶質凝集体の形成をもたらす。いくつかの実施形態では、化合物3の使用は、網膜色素上皮(RPE)細胞/ブルック膜に沿ったアミロイドβの非晶質凝集体の形成をもたらす。いくつかの実施形態では、化合物3の使用は、錐体細胞に沿ったアミロイドβの非晶質凝集体の形成をもたらす。いくつかの実施形態では、化合物3の使用は、桿体細胞に沿ったアミロイドβの非晶質凝集体の形成をもたらす。
いくつかの実施形態では、化合物4は、細胞表面から毒性アミロイドβ沈着物を除去する。いくつかの実施形態では、化合物4は、細胞表面からアミロイドβ沈着物を減少させる。いくつかの実施形態では、化合物4の使用は、細胞表面に沿ったアミロイドβの非晶質凝集体の形成をもたらす。いくつかの実施形態では、化合物4の使用は、神経細胞表面に沿ったアミロイドβの非晶質凝集体の形成をもたらす。いくつかの実施形態では、化合物4の使用は、非神経細胞表面に沿ったアミロイドβの非晶質凝集体の形成をもたらす。いくつかの実施形態では、化合物4の使用は、神経感覚細胞表面に沿ったアミロイドβの非晶質凝集体の形成をもたらす。いくつかの実施形態では、化合物4の使用は、網膜神経節細胞(RGC)に沿ったアミロイドβの非晶質凝集体の形成をもたらす。いくつかの実施形態では、化合物4の使用は、網膜色素上皮(RPE)細胞/ブルック膜に沿ったアミロイドβの非晶質凝集体の形成をもたらす。いくつかの実施形態では、化合物4の使用は、錐体細胞に沿ったアミロイドβの非晶質凝集体の形成をもたらす。いくつかの実施形態では、化合物4の使用は、桿体細胞に沿ったアミロイドβの非晶質凝集体の形成をもたらす。
いくつかの実施形態では、化合物I、化合物IA、化合物II、または化合物IIAは、既存の毒性Aβ1-42凝集体によって引き起こされる長期増強(LTP)の阻害を逆転させ、それによって、Aβ1-42の毒性を逆転させる。いくつかの実施形態では、化合物I、化合物IA、化合物II、または化合物IIAは、インビボでの既存の毒性Aβ1-42凝集体によって引き起こされる長期増強(LTP)の阻害を逆転させる。いくつかの実施形態では、化合物I、化合物IA、化合物II、または化合物IIAは、神経感覚細胞における既存の毒性Aβ1-42凝集体によって引き起こされる長期増強(LTP)の阻害を逆転させる。
いくつかの実施形態では、化合物1~25のいずれかは、既存の毒性Aβ1-42凝集体によって引き起こされる長期増強(LTP)の阻害を逆転させ、それによって、Aβ1-42の毒性を逆転させる。いくつかの実施形態では、化合物1~25のいずれかは、インビボでの既存の毒性Aβ1-42凝集体によって引き起こされる長期増強(LTP)の阻害を逆転させる。いくつかの実施形態では、化合物1~25のいずれかは、神経感覚細胞における既存の毒性Aβ1-42凝集体によって引き起こされる長期増強(LTP)の阻害を逆転させる。いくつかの実施形態では、神経感覚細胞は、網膜神経節細胞(RGC)、網膜色素上皮(RPE)細胞、錐体細胞、及び桿体細胞を含む。
いくつかの実施形態では、化合物1は、既存の毒性Aβ1-42凝集体によって引き起こされる長期増強(LTP)の阻害を逆転させ、それによって、Aβ1-42オリゴマーの毒性を逆転させる。いくつかの実施形態では、化合物1は、インビボでの既存の毒性Aβ1-42凝集体によって引き起こされる長期増強(LTP)の阻害を逆転させる。いくつかの実施形態では、化合物1は、神経細胞、非神経細胞、または神経感覚細胞における既存の毒性Aβ1-42凝集体によって引き起こされる長期増強(LTP)の阻害を逆転させる。いくつかの実施形態では、神経細胞、非神経細胞、または神経感覚細胞は、網膜神経節細胞(RGC)を含む。
いくつかの実施形態では、化合物2は、既存の毒性Aβ1-42凝集体によって引き起こされる長期増強(LTP)の阻害を逆転させ、それによって、Aβ1-42オリゴマーの毒性を逆転させる。いくつかの実施形態では、化合物2は、インビボでの既存の毒性Aβ1-42凝集体によって引き起こされる長期増強(LTP)の阻害を逆転させる。いくつかの実施形態では、化合物2は、神経細胞、非神経細胞、または神経感覚細胞における既存の毒性Aβ1-42凝集体によって引き起こされる長期増強(LTP)の阻害を逆転させる。いくつかの実施形態では、神経細胞、非神経細胞、または神経感覚細胞は、網膜神経節細胞(RGC)を含む。
いくつかの実施形態では、化合物3は、既存の毒性Aβ1-42凝集体によって引き起こされる長期増強(LTP)の阻害を逆転させ、それによって、Aβ1-42オリゴマーの毒性を逆転させる。いくつかの実施形態では、化合物3は、インビボでの既存の毒性Aβ1-42凝集体によって引き起こされる長期増強(LTP)の阻害を逆転させる。いくつかの実施形態では、化合物3は、神経細胞、非神経細胞、または神経感覚細胞における既存の毒性Aβ1-42凝集体によって引き起こされる長期増強(LTP)の阻害を逆転させる。いくつかの実施形態では、神経細胞、非神経細胞、または神経感覚細胞は、網膜神経節細胞(RGC)を含む。
いくつかの実施形態では、化合物4は、既存の毒性Aβ1-42凝集体によって引き起こされる長期増強(LTP)の阻害を逆転させ、それによって、Aβ1-42オリゴマーの毒性を逆転させる。いくつかの実施形態では、化合物4は、インビボでの既存の毒性Aβ1-42凝集体によって引き起こされる長期増強(LTP)の阻害を逆転させる。いくつかの実施形態では、化合物4は、神経細胞、非神経細胞、または神経感覚細胞における既存の毒性Aβ1-42凝集体によって引き起こされる長期増強(LTP)の阻害を逆転させる。いくつかの実施形態では、神経細胞、非神経細胞、または神経感覚細胞は、網膜神経節細胞(RGC)を含む。
いくつかの実施形態では、本開示の方法において、対象は、アミロイドβ関連疾患または状態に罹患している。当業者であれば、アミロイドβ関連疾患または状態は、アミロイド線維として知られている異常タンパク質が組織内に蓄積する疾患群を含むことを理解できるであろう。例えば、これに限定しないが、いくつかの実施形態では、アミロイドβ関連疾患または状態は、目または神経の疾患または状態を含む。
いくつかの実施形態では、アミロイドβ眼疾患または状態は、原発性閉塞隅角緑内障、続発性開放隅角緑内障、広隅角緑内障、ステロイド誘発性緑内障、外傷性緑内障、色素分散症候群、偽性剥離症候群、続発性閉塞隅角緑内障、血管新生緑内障、早期または中期の乾燥型(非滲出性)加齢黄斑変性、地図状萎縮を伴う黄斑変性、滲出性(湿潤型)黄斑変性、糖尿病性網膜症、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、アミロイドβ機能毒性を逆転させる本開示の方法は、対象における、視力、低輝度視力、コントラスト感度、錐体コントラスト感度、色覚、明所視(明順応)または暗所視(暗順応)条件における焦点または一般的な網膜光感度を比較的迅速に改善し、また、間接的に、対象の姿勢安定性、歩行バランス、及び移動性を改善する。
本開示の使用方法が、全ての種類の緑内障に罹患している対象に対して実施する場合、網膜眼細胞、例えば網膜神経節細胞(RGC)または網膜色素上皮(RPE)細胞のアミロイドβ機能毒性の逆転は、OCT、視野検査、微小視野測定、低輝度視力の測定、暗順応の測定、または低輝度読み取り速度の測定を用いて測定することができる。
いくつかの実施形態では、アミロイドβ神経疾患または状態は、II型糖尿病、糖尿病、アルツハイマー病(AD)、早発型アルツハイマー病、遅発型アルツハイマー病、発症前アルツハイマー病、SAAアミロイドーシス、遺伝性アイスランド症候群、多発性骨髄腫、髄様癌、大動脈中膜アミロイドーシス、インスリン注射アミロイドーシス、プリオン全身性アミロイドーシス、慢性炎症性アミロイドーシス、老人性全身性アミロイドーシス、下垂体アミロイドーシス、遺伝性腎アミロイド症、家族性英国認知症、フィンランド遺伝性アミロイドーシス、家族性非神経障害性アミロイドーシス、プリオン病、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
いくつかの実施形態では、アミロイドβ神経疾患または状態は、糖尿病を含む。いくつかの実施形態では、アミロイドβ神経疾患または状態は、II型糖尿病を含む。
アミロイドβ神経疾患または状態がアルツハイマー病(AD)、早発型アルツハイマー病、遅発型アルツハイマー病、または症候性前アルツハイマー病を含む場合、いくつかの実施形態では、本開示の方法は、対象における、認知障害の改善、記憶障害の改善、異常行動の減少、幻覚の減少、空間識の喪失の減少、失行の減少、攻撃性の減少、日常生活動作を行う能力の改善、認知症の他の症状の改善、またはそれらの任意の組み合わせを提供する。
化合物I、化合物IA、化合物II、もしくは化合物IIA、または、化合物1~25のいずれかは、生物活性が高く、かつ局所的及び全身的毒性が低いことにより、好ましい治療指数を示すので、それらの化合物に対して感受性を有する症状または状態、または本明細書中に記載された症状または状態を、治療、軽減、寛解、緩和、逆転、または除去するために、対象(例えば、ヒトを含む生きた哺乳動物)の身体に、好ましくは、1種以上の薬学的に許容される賦形剤と同時にまたは共に、とりわけ、医薬組成物の形態で、経口投与、経腸投与、経皮投与、または局所投与によって、有効量で投与される。いくつかの実施形態では、本開示の化合物は、経口投与、局所投与、経鼻投与によって投与される。いくつかの実施形態では、本開示の化合物は、静脈内投与、皮下投与、埋込型の徐放性デポ剤による投与、留置カテーテルを使用した直接投与、髄腔内投与、または眼内投与によって投与される。
本明細書で使用するとき、「方法」という用語は、所与のタスクを達成するための方法、手段、技術、及び手順を指し、そのようなものとしては、これに限定しないが、例えば、化学的、薬理学的、生物学的、生化学的及び医学的な分野の専門家に既知であるか、または容易に導かれる方法、手段、技術、及び手順が挙げられる。
適切な投与量の範囲は、1日1~1000mg、好ましくは1日5~500mg、特に1日10~500mgであり、通常は、正確な投与方法、投与形態、対象の症状、対象及び対象の体重、並びに、担当する医師または獣医の好み及び経験に応じて決定される。一実施形態では、投与量または用量に適用される「治療上有効な」という用語は、それを必要とする生体に投与したときに、所望の活性をもたらすのに十分な量の化合物または医薬組成物を指す。
いくつかの実施形態では、本開示の方法で使用される化合物I、化合物IA、化合物II、もしくは化合物IIA、または、化合物1~25のいずれかは、従来の非毒性の薬学的に許容される賦形剤を含有する投与単位製剤で、経口投与、経鼻投与、局所投与、非経口投与、または経粘膜投与(例えば、口腔、吸入、または経腸)によって投与することができる。いくつかの実施形態では、本開示の方法で使用される化合物I、化合物IA、化合物II、もしくは化合物IIA、または、化合物1~25のいずれかは、従来の非毒性の薬学的に許容される賦形剤を含有する投与単位製剤で、静脈内投与、皮下投与、埋込型の徐放性デポ剤による投与、留置カテーテルを使用した直接投与、髄腔内投与、または眼内投与によって投与することができる。
いくつかの実施形態では、投与は、所定期間にわたって投与される複数回投与の形態であり、所定期間は、予め定められた日数、予め定められた週数、予め定められた月数、または、予め定められた年数を含む。いくつかの実施形態では、投与は、1~7日間にわたって投与される複数回投与の形態である。いくつかの実施形態では、投与は、1~4週間にわたって投与される複数回投与の形態である。いくつかの実施形態では、投与は、1~12ヶ月間にわたって投与される複数回投与の形態である。いくつかの実施形態では、投与は、多くても1年間、または数年間にわたって投与される複数回投与の形態である。いくつかの実施形態では、投与は、対象の生涯にわたって投与される複数回投与の形態である。いくつかの実施形態では、投与は、アミロイドβ機能毒性が持続する限り続けられる複数回投与の形態であり、投与は、毒性の持続を逆転させるために必要とされる。いくつかの実施形態では、投与は、アミロイドβ機能毒性が持続する限り続けられる複数回投与の形態であり、投与は、毒性を低下させるために必要とされる。
いくつかの実施形態では、本開示の使用方法は、本開示の化合物を、所定の期間内に、所定のパターンの投与量で投与することを含む。いくつかの実施形態では、投与は、規則的な間隔での投与、不規則な間隔での投与、またはそれらの組み合わせであってもよい。いくつかの実施形態では、投与は、一定の間隔で行われる。いくつかの実施形態では、投与は、不規則な間隔で行われる。間隔間欠治療のいくつかの実施形態は、特許文献3(国際公開WO2013/018960号)に詳細に記載されている(この特許文献は、参照により、その全体が本明細書に組み込まれるものとする)。
本明細書で使用される「間隔間欠投与」という表現は、第2の投与量が第1の投与量の所定のパーセンテージ(%)に等しい間隔投与の特定の実施形態を包含する。多くの場合、2番目の期間は、1番目の期間よりも長い期間にされる。例えば、第1の期間は1日とすることができ、第2の期間は1週間以上または1ヵ月以上とすることができる。または、第1の期間は1週間とすることができ、第2の期間は2週間以上または1ヵ月以上とすることができる。多くの場合、2番目の期間は、1年以下の期間にされる。いくつかの実施形態では、間隔またはその一部は、それ自体を繰り返す。
本明細書で使用するとき、「連続投与」または「非間隔投与」という用語は、所定用量を等しい期間で定期的に投与することを含む。
実施例
実施例1:アミロイドβ1-42の存在下での式(I)の化合物(I)の薬理学的特性の試験
目的:アミロイドβ1-42(Aβ1-42)の存在下での式(IA)の4つの化合物の薬理学的特性を比較する。具体的には、化合物1、化合物2、化合物3、及び化合物4の、(1)Aβ1-42と結合する能力、(2)Aβ1-42と非晶質凝集体を形成する能力(Aβ1-42を解毒する能力)、(3)インビトロ及びインビボでのAβ1-42の存在によって引き起こされるLTP阻害を逆転させる能力、及び、(4)静止膜電位の脱分極を引き起こす能力、を比較した。
方法:
ここに提示する方法は、少なくとも、「Parsons, C.G., et al. (2015), MRZ-99030 - A novel modulator of Abeta aggregation: I - Mechanism of action (MoA) underlying the potential neuroprotective treatment of Alzheimer's disease, glaucoma and age-related macular degeneration (AMD). Neuropharmacology 92: 158-169」に記載されている。以下に簡単に説明する。MRZ-99030は、化合物1の旧コードである。
表面プラズモン共鳴
表面プラズモン共鳴(SPR)実験は、低濃度のアミロイドβ1-42(Aβ1-42)への化合物の結合の調査を可能にし、そのような結合の親和性を直接評価する可能性を提供する。
原子間力顕微鏡法(AFM)
AFMは、毒性オリゴマーAβ1-42種の消失速度や、Aβ1-42からの大きな非晶質の非毒性凝集体の形成の促進に対する、様々な化合物の効果を測定する方法の1つである。
動的光散乱(DLS)
DLSは、Aβ1-42からの大きな球状の非毒性凝集体の形成の促進に対する、様々な化合物の効果を測定する別の方法である。
インビトロ及びインビボでの長期増強(LTP)
LTPを測定する方法の詳細は、少なくとも、「Rammes, G., Gravius, A., Ruitenberg, M., Wegener, N., Chambon, C., Sroka-Saidi, K., Jeggo, R., Staniaszek, L., Spanswick, D., O'Hare, E., Palmer, P., Kim, E.M., Bywalez, W., Egger, V. and Parsons, C.G. (2015). MRZ-99030 - A novel modulator of Abeta aggregation: II - Reversal of Abeta oligomer-induced deficits in long-term potentiation (LTP) and cognitive performance in rats and mice. Neuropharmacology 92: 170-182」に記載されている。LTPは、2つのニューロン間のシナプス活動の評価基準を提供する。MRZ-99030は、化合物1の旧コードである。
結果:下記の表1は、式(IA)の化合物IAの薬理学的特性の比較概要を示し、化合物1~4が、アミロイドβ疾患または状態の症状を成功裏に逆転または改善する効果を示す。アミロイドβ疾患または状態などの慢性疾患における症状の改善は、既存の病理の逆転または症状の緩和的治療と見なされる。
表1:化合物1、2、3、4の薬理学的性質の概要
Figure 2022529742000026
下線は、化合物1と同等以上であることを示し、二重下線は、化合物1と比較して異なることを示す。
要約:表1に示した前臨床データは、化合物2、化合物3、及び化合物4が、化合物1と比較して異なる作用機序を有している可能性を示唆する。加えて、活性測定は、化合物2が、化合物1より優れていると思われることを示す。
実施例2:海馬におけるアミロイドβ1-42機能毒性の逆転
目的:脳、特に海馬における、さらには、シナプス可塑性及び/または学習に関与する他の脳領域における、アミロイドβ1-42(Aβ1-42)機能毒性に対する式(IA)の化合物IAの効果を調べる。
方法:
フィールド興奮性シナプス後電位(fEPSP)及び興奮性シナプス後電流(EPSC)を記録するための脳スライスの作製
実験プロトコルは、ドイツ国のバイエルン州政府の動物の管理及び使用に関する倫理委員会によって承認された。C57Bl/6マウスの成体(約2ヶ月)をイソフルランで麻酔した後に断頭して、海馬の矢状スライス(厚さ350mM)を得た。海馬の矢状スライスは、直ちに、カルボゲンガス(95%O、5%CO;以降、単に、カルボゲンと称する)を飽和させた、氷冷したリンガー溶液-組成物中(125mMのNaCl、2.5mMのKCl、25mMのNaHCO、2mMのCaCl、1mMのMgCl、25mMのD-グルコース、及び1.25mMのNaHPOを、95%O/5%CO混合物でバブリングし、7.3の最終pHを得た)に入れた。組織はこのリンガー溶液中に保存され、その後の全ての処置に使用された。断頭後1分以内に脳を取り出し、小脳を切断し、残りの脳をカミソリ刃で2つの半球に分離した。
ミクロトーム(HM650V;ドイツ国ヴァルドルフ、Microm Internationa社製)を使用して、横方向スライス(厚さ350μm)を作製した。このスライスは、34°Cで45分間、標準人工脳脊髄液(aCSF)に浸して戻した後、記録チャンバに移した。ナイロンフィラメントを有する白金リングを使用して、このスライスを記録チャンバの底部に固定し、aCSFで連続的に潅流した(8mL/分)。
fEPSPの記録
fEPSPの細胞外記録は、海馬のCA1放射状層において、aCSFで満たされ、1~2MΩの開放先端抵抗が得られるホウケイ酸ガラスマイクロピペット(ドイツ国March-Hugstetten、Hugo Sachs Elektronik-Harvard Apparatus社製)を使用して行った。fEPSPは、この記録ピペットの両側に配置された2つの双極タングステン電極(Hugo Sachs Elektronik-Harvard Apparatus社製、先端まで絶縁されている;先端直径は50μm)の一方を介して交互に試験刺激(50μs、5~20V)を送達し、Schaffer側枝連合交連経路を刺激することにより誘起させた。刺激周波数は、1つの電極当たり、0.033Hzであった。
ベースライン記録では、刺激強度は、最大応答の約25~30%の応答を誘起する値に調節した。長期電位(LTP)の入力特異性を利用することのよって、同一スライス内の内部対照の測定を可能するために、両方の刺激電極を使用した。50nMのAβ1-42を、浴溶液を介して90分間適用し、その後、第1の電極を介して高周波刺激(HFS)を行い、LTPを誘導した。
LTPを60分間記録した後、浴溶液を、連続希釈したものと交換した(下記のプロトコル参照)。この溶液は、依然として50nMのAβ1-42を含有しているが、化合物1または化合物2は0.1nMしか含有していない。スライスをさらに90分間インキュベートした後、第2の入力にLTPを誘導しようと試み、その後さらに60分間記録した。
対照実験の結果、LTPの程度は、スライスがチャンバ内に入れられた時間、少なくとも、本実験で用いられた最大5時間の最大持続時間に依存しないことが確認された。記録は、実験室用インターフェースボード(ITC-16、米国ニューヨーク州、Instrutech Corp社製)と、「LTPプログラム」ソフトウェア(「Anderson and Collingridge (2001) The LTP Program: a data acquisition program for on-line analysis of long-term potentiation and other synaptic events. Journal of Neuroscience Methods 108, 71-83, available from https://www/ltp-program.com.」を使用して、増幅、フィルタリング(3kHz)、及びデジタル化(9kHz)した。刺激は、各入力に対して、交互に加えた。各入力の2つの信号を1つにして平均化し、1分毎に1回の解析を行った。データは、分析プログラムIgor Pro v6.1(米国オレゴン州レイクオスウィーゴ、Wavemetrics社製)ソフトウェアを使用して、オフラインで再分析した。fEPSPの勾配の測定は、ピーク振幅の20%と80%との間で行った。fEPSPsの勾配は、テタヌス刺激前の30分間の対照期間に対して正規化した。
アミロイドβ1-42(Aβ1-42)の調製
Aβ1-42(注文番号H-1368;Bachem、CH-Bubendorf)を100%ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)(Sigma Aldrich社)に懸濁し、50μgの分量に分注し、次いで、Speedvacを使用してHFIPを約30分間除去し、完全に乾燥させ、ペプチドを-20°Cで保存した。Aβ1-42を乾燥DMSO(Sigma Aldrich社)中に溶解させ、超音波水浴を用いて100μMの濃度にした。この溶液をリンゲル液でさらに希釈した。
プリオン様播種仮説、及び、LTPにおける既存のAβ1-42誘導欠損の逆転を試験するために、化合物1(1μM)または化合物2(1μM)の連続希釈を、50nMのAβ1-42に対する比が20:1の化学量論的に過剰な状態から開始した。Aβ1-42/化合物1または化合物2の化合物混合物を20分間インキュベートした後、その混合物を、Aβ1-42を含有する調製した溶液に移した。この希釈ステップを5回繰り返し、最終的に、化合物1または化合物2に対するAβ1-42の化学量論的過剰が、500:1になるようにした。その後、最終溶液(0.1nMの化合物1または化合物2のみを含有し、かつ、依然として、50nMのAβ1-42を含有する)について、海馬スライスにおける長期増強(LTP)の欠損を逆転する能力を試験した。図6は、連続希釈ステップの一実施形態の概略図である。
全ての実験は、室温で実施した。
結果:化合物1または化合物2を使用せず、海馬スライスを、連続希釈条件下で凝集させた50nMのαβ1-42と共に事前インキュベーションすると、LTPの強い阻害が生じた(図2A及び図3Aの黒丸)。驚くべきことに、LTPのこの阻害は、同一の海馬スライスにおいて、連続希釈条件(化合物1または化合物2の開始濃度=1μM、化合物1または化合物2の最終濃度=0.1nM)での化合物1または化合物2との「播種(seeding)」後に凝集したαβ1-4250nMを添加すると逆転した。LTP記録間のパーセント差の測定結果は、図2B及び図3Bに示されており、αβ1-42単独、またはその後の、αβ1-42と化合物1または化合物2との記録の最後の10分間からのLTPパーセントを比較している。式Xまたは式Yの化合物の存在下で、有意な解毒作用(LTP活性の逆転)が観察された。
これらの結果は、化合物1または化合物2の投与によって生じる、fEPSPに対するαβ1-42の毒性作用の逆転、及びそれに対応する神経回復を示す。したがって、化合物1及び化合物2は、Aβによって引き起こされる神経可塑性の既存の欠損を逆転させる能力を有する。これらのデータの新規な側面は、これらのAβ誘導性欠損を単純に予防するのではなく、むしろ、実際に逆転させることである。いくつかの実施形態では、化合物1または化合物2は、Aβによって誘導される神経学的欠損を回復させる。さらに、LTPは、記憶形成や学習の基礎となるシナプス可塑性の機能的、電気生理学的モデルでもある。ここで観察された毒性作用の逆転は、化合物1または化合物2の使用によって達成される記憶喪失の逆転または学習の改善の可能性の指標である。
結論:毒性作用の逆転は、驚くべき、かつ予想外のことであった。これらの化合物は、ミスフォールドしたAβモノマーに結合して、通常は凝集を促進するβシート構造をとるのを防ぐように設計されている。進行中のAβオリゴマーの毒性の逆転は、これらの化合物がこれらのオリゴマーが形成された後もさらに毒性を逆転させることができることを示す。換言すれば、式(I)の化合物、例えば、化合物1及び化合物2は、古典的なβシートブレイカーではない。さらに、反応の逆転の程度は予想外に大きく、例えば、対照レベルに復帰することもあった。
実施例3:緑内障マウスモデルの網膜における、式(IA)の化合物IAによる毒性Aβ1-42の減少
目的:緑内障に蓄積したアミロイドβ1-42(Aβ1-42)沈着物に対する、式(IA)の化合物、例えば化合物1、化合物2、化合物3、または化合物4の作用を調べる。
方法:緑内障のインビボのラットモデルである、緑内障のMorrisonラットモデルを用いて、網膜に沿って視神経線維層領域にAβ1-42が蓄積する進行中の病理学的過程の逆転を調べた。図4A及び図4Bは、対照に対する、ヒト患者の網膜におけるアミロイドβの増加(図4A)、または免疫染色によるその局在化(図4B)を示す代表的な画像である。Morrisonラットモデルの網膜でも、同様の分布パターンが観察されると予想される。
式(IA)の化合物、例えば化合物1、化合物2、化合物3、または化合物4を、Morrisonラットモデルに、例えば点眼剤及び/または眼内注射の形態で投与した。点眼剤中の化合物1、化合物2、化合物3、または化合物4の開始濃度は0.5%または2.0%であり、対照の点眼剤はビヒクルのみであった。
結果:期待通りの結果は、対照と比較した、Morrisonモデルラットの緑内障眼の網膜と視神経線維層に沿って存在する病理の逆転を示す。
実施例4:加齢黄斑変性(AMD)マウスモデルの網膜における、化合物1による毒性Aβ1-42及び補体成分C3bの減少
目的:加齢黄斑変性(AMD)における、蓄積したアミロイドβ1-42(Aβ1-42)沈着物に対する化合物1の作用を調べる。
方法:加齢黄斑変性のインビボのマウスモデルであるC57BL/6(C57)マウスを用いて、網膜(網膜色素上皮(RPE)細胞層/ブルッフ膜)に沿って視神経線維層領域にAβ1-42が蓄積する進行中の病理学的過程の逆転を調べた。
1日3回、3ヵ月間処置した5~6ヵ月齢のAMDマウスにおいて、Aβ1-42の網膜発現(光受容体層)を分析した。処置方法:ビヒクルのみ、0.5%の化合物1、または、2.0%の化合物1を含む点眼剤を投与した。網膜色素上皮(RPE)細胞/ブルッフ膜に沿ってアミロイドβが大量に沈着した24ヵ月齢C57BL/6(C57)マウスにおいて、網膜における毒性Aβ1-42沈着物及び補体成分C3bの減少を分析した。マウスを、0.5%の化合物1、または2.0%の化合物1で、1日3回、1ヵ月間処置した。免疫染色では、摘出眼球(各群n=10)をpH7.4のリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中4%パラホルムアルデヒド中に1時間静置し、PBS中30%スクロース中で凍結保存し、OCT化合物(Agar Scientific Ltd)に包埋した。使用した抗体は、Alexa Fluor 568と結合したアミロイドβ(Aβ)4G8に対するマウスモノクローナル抗体、補体C3に対するヤギポリクローナル抗体、及び、Alexa Fluor 568と結合したアミロイドβ(Aβ)12F4に対するマウスモノクローナル抗体であった。
結果:Aβ1-42の網膜発現と局在を分析するために両実験で使用したマウスは、治療開始前にすでに網膜に病理学的変化を有していた。図5A:ビヒクルのみでは、化合物1を含有する点眼剤の投与後と比較して、開始時点でのAβ1-42の測定値が有意に高いことを示す。図5B:左右の一番下の顕微鏡写真は、網膜色素上皮(RPE)細胞/ブルッフ膜に沿って、Aβ(赤色蛍光)が大量に沈着していることを示す。化合物1を含有する点眼剤を投与すると、ブルッフ膜(BM)に沿った毒性Aβ1-42発現の総量が減少した。高用量で処置したマウスでは、凝集した(無毒の)アミロイドβ(丸で囲んだ部分)が見られるが、ビヒクルで処置したマウスでは、Aβ分布は依然として厚く、線形であった。
結論:これらの動物における病理学的状態の逆転は、様々な理由から驚くべきことであり、かつ、予想外であった。これらの化合物は、ミスフォールドしたAβモノマーに結合して、通常は凝集を促進するβシート構造をとるのを防ぐように設計されている。進行中のAβオリゴマー毒性の逆転は、式(I)の化合物、例えば化合物1が、これらのオリゴマーの形成後に、さらに毒性を逆転させることができること、すなわち、この化合物が古典的なβシートブレイカーではないことを示す。さらに、効果の程度は、予想外に大きかった。
本明細書では、本発明の特定の特徴を図示し、説明したが、様々な改変、置換、変更、及び均等物が、当業者であれば想到し得るであろう。したがって、添付の特許請求の範囲は、本発明の要旨の範囲内に含まれるそのような全ての改変及び変更を包含することを意図していることを理解されたい。

Claims (36)

  1. アミロイドβ毒性を逆転させて、神経細胞、非神経細胞、神経感覚細胞、またはそれらの任意の組み合わせの機能を迅速に改善する方法であって、
    それを必要とする対象に対して、下記の式Iで表される化合物I、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくは多形体を、薬学的に有効な量で投与するステップを含む、方法。
    Figure 2022529742000027
    式中、
    は、キラル中心を指し、
    **は、RとRとが異なる場合のキラル中心を指し、
    は、水素、-C1-6-アルキル、シクロC3-12-アルキル、-C(O)R、または-C(O)ORであり、
    は、水素、C1-6-アルキル、またはシクロC3-12-アルキルであり、
    は、-OR、-NHR、または-N(R)であり、
    は、水素、ハロゲン、シアノ、トリフルオロメチル、-C1-6-アルキル、-C6-10-アリール、ヘテロアリール、-OR、-NHR、-N(R)、-C(O)R、または-C(O)-NHRであり、
    は、水素、-C1-6-アルキル、または、-C2-6-アルケニルであるか、あるいは、R及びRは、それらを担持する炭素原子と共に、3~6個の炭素原子を有する環状系を形成し、
    は、水素、-C1-6-アルキル、または-C2-6-アルケニルであり、
    は、水素、メチル、エチル、プロピル、またはシクロプロピルであり、
    Rは、水素、-C1-6-アルキル、または-C6-10-アリールであり、
    Xは、-C(O)CH-、-CH(OH)CH-、-CH=CH-、-CH-NR-C(O)-、または-C(O)NRである。
  2. 請求項1に記載の方法であって、
    前記化合物Iは、下記の式IAで表される化合物IA、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくは多形体を含む、方法。
    Figure 2022529742000028
    式中、R、R、R、R、R、R、R、及びXは、前記化合物Iにおけるそれらと同様である。
  3. 請求項1または2に記載の方法であって、
    前記化合物Iまたは前記化合物IAは、下記の化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、またはそれらの薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくは多形体から選択される、方法。
    Figure 2022529742000029
  4. 請求項1~3のいずれかに記載の方法であって、
    前記神経細胞、前記非神経細胞、前記神経感覚細胞、またはそれらの任意の組み合わせの機能の迅速な改善は、
    前記神経細胞、前記非神経細胞、前記神経感覚細胞、またはそれらの任意の組み合わせにおける、損なわれた神経細胞機能の迅速な回復、または細胞死の減少を含む、方法。
  5. 請求項1~4のいずれかに記載の方法であって、
    前記神経細胞、前記非神経細胞、または前記神経感覚細胞は、網膜神経節細胞(RGC)、網膜色素上皮(RPE)細胞、桿体細胞及び錐体細胞を含む光感覚細胞、海馬細胞、皮質細胞、またはそれらの任意の組み合わせを含む、方法。
  6. 請求項1~5のいずれかに記載の方法であって、
    前記対象は、アミロイドβ関連疾患に罹患している、方法。
  7. 請求項6に記載の方法であって、
    前記アミロイドβ関連疾患は、眼の疾患または状態、または、神経の疾患または状態を含む、方法。
  8. 請求項7に記載の方法であって、
    前記眼の疾患または状態は、原発性閉塞隅角緑内障、続発性開放隅角緑内障、広隅角緑内障、ステロイド誘発性緑内障、外傷性緑内障、色素分散症候群、偽性剥離症候群、続発性閉塞隅角緑内障、血管新生緑内障、早期または中期の乾燥型(非滲出性)加齢黄斑変性、地図状萎縮を伴う黄斑変性、滲出性(湿潤型)黄斑変性、糖尿病性網膜症、またはそれらの任意の組み合わせを含む、方法。
  9. 請求項8に記載の方法であって、
    前記神経細胞、前記非神経細胞、前記神経感覚細胞、またはそれらの任意の組み合わせにおいて迅速に改善される機能は、
    前記対象における、視力、低輝度視力、コントラスト感度、錐体コントラスト感度、色覚、及び、明所視(明順応)または暗所視(暗順応)条件における焦点または一般的な網膜光感度を含む視覚機能、並びに、姿勢安定性、歩行バランス、及び移動性を含む、方法。
  10. 請求項7に記載の方法であって、
    前記神経の疾患または状態は、II型糖尿病、糖尿病、アルツハイマー病(AD)、早発型アルツハイマー病、遅発型アルツハイマー病、発症前アルツハイマー病、SAAアミロイドーシス、遺伝性アイスランド症候群、多発性骨髄腫、髄様癌、大動脈中膜アミロイドーシス、インスリン注射アミロイドーシス、プリオン全身性アミロイドーシス、慢性炎症性アミロイドーシス、老人性全身性アミロイドーシス、下垂体アミロイドーシス、遺伝性腎アミロイド症、家族性英国認知症、フィンランド遺伝性アミロイドーシス、家族性非神経障害性アミロイドーシス、プリオン病、またはそれらの任意の組み合わせを含む、方法。
  11. 請求項10に記載の方法であって、
    前記神経の疾患または状態がアルツハイマー病(AD)、早発型アルツハイマー病、遅発型アルツハイマー病、または発症前アルツハイマー病を含む場合、
    前記神経細胞、前記非神経細胞、前記神経感覚細胞、またはそれらの任意の組み合わせの機能の迅速な改善は、
    前記対象における、認知障害の改善、記憶障害の改善、異常行動の減少、幻覚の減少、空間識の喪失の減少、失行の減少、攻撃性の減少、日常生活動作を行う能力の改善、認知症の他の症状の改善、またはそれらの任意の組み合わせを含む、方法。
  12. 請求項1~11のいずれかに記載の方法であって、
    前記対象への投与は、経口投与、局所投与、経鼻投与、静脈内投与、皮下投与、埋込型の徐放性デポ剤による投与、留置カテーテルを使用した直接投与、髄腔内投与、または眼内投与により行われる、方法。
  13. 請求項1~12のいずれかに記載の方法であって、
    前記対象への投与は、予め定められた期間にわたって投与される複数回投与の形態で行われ、
    前記期間は、予め定められた日数、予め定められた週数、予め定められた月数、予め定められた年数、または前記対象の寿命を含む、方法。
  14. 請求項13に記載の方法であって、
    前記複数回投与の各回の用量は、前記薬学的に有効な量の100%以上を含む、方法。
  15. 請求項13に記載の方法であって、
    前記複数回投与の各回の用量は、前記薬学的に有効な量の20~75%を含む、方法。
  16. 請求項13に記載の方法であって、
    前記複数回投与の各回の用量は、前記薬学的に有効な量の100%、前記薬学的に有効な量の75~100%、前記薬学的に有効な量の20~75%、またはそれらの任意の組み合わせを含む、方法。
  17. 請求項13~16のいずれかに記載の方法であって、
    前記期間中の投与のパターンは、規則的な間隔での投与、不規則な間隔での投与、または、規則的な間隔での投与と不規則な間隔での投与との組み合わせを含む、方法。
  18. 請求項1~17のいずれかに記載の方法であって、
    前記化合物Iは、薬学的に許容される組成物中に含まれる、方法。
  19. アミロイドβ毒性を逆転させて、神経細胞、非神経細胞、神経感覚細胞、またはそれらの任意の組み合わせの機能を迅速に改善する方法であって、
    それを必要とする対象に対して、非毒性の非βシート非晶質アミロイドβクラスタを薬学的に有効な量で投与するステップを含み、
    前記クラスタは、アミロイドβ1-42と、下記の式Iで表される化合物I、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくは多形体とを、500:1の比で含む、方法。
    Figure 2022529742000030
    式中、
    は、キラル中心を指し、
    **は、RとRとが異なる場合のキラル中心を指し、
    は、水素、-C1-6-アルキル、シクロC3-12-アルキル、-C(O)R、または-C(O)ORであり、
    は、水素、C1-6-アルキル、またはシクロC3-12-アルキルであり、
    は、-OR、-NHR、または-N(R)であり、
    は、水素、ハロゲン、シアノ、トリフルオロメチル、-C1-6-アルキル、-C6-10-アリール、ヘテロアリール、-OR、-NHR、-N(R)、-C(O)R、または-C(O)-NHRであり、
    は、水素、-C1-6-アルキル、または、-C2-6-アルケニルであるか、あるいは、R及びRは、それらを担持する炭素原子と共に、3~6個の炭素原子を有する環状系を形成し、
    は、水素、-C1-6-アルキル、または-C2-6-アルケニルであり、
    は、水素、メチル、エチル、プロピル、またはシクロプロピルであり、
    Rは、水素、-C1-6-アルキル、または-C6-10-アリールであり、
    Xは、-C(O)CH-、-CH(OH)CH-、-CH=CH-、-CH-NR-C(O)-、または-C(O)NRである。
  20. 請求項19に記載の方法であって、
    前記アミロイドβ1-42の濃度は、50nMであり、
    前記化合物Iの濃度は、0.1nMである、方法。
  21. 請求項19または20に記載の方法であって、
    前記化合物Iは、下記の式IAで表される化合物IA、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくは多形体を含む、方法。
    Figure 2022529742000031
    式中、R、R、R、R、R、R、R、及びXは、前記化合物Iにおけるそれらと同様である。
  22. 請求項19~21のいずれかに記載の方法であって、
    前記化合物Iまたは前記化合物IAは、下記の化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、またはそれらの薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくは多形体から選択される、方法。
    Figure 2022529742000032
  23. 請求項19~22のいずれかに記載の方法であって、
    前記神経細胞、前記非神経細胞、前記神経感覚細胞、またはそれらの任意の組み合わせの機能の迅速な改善は、
    前記神経細胞、前記非神経細胞、前記神経感覚細胞、またはそれらの任意の組み合わせにおける、損なわれた神経細胞機能の迅速な回復、または細胞死の減少を含む、方法。
  24. 請求項19~22のいずれかに記載の方法であって、
    前記神経細胞、前記非神経細胞、または前記神経感覚細胞は、網膜神経節細胞(RGC)、網膜色素上皮(RPE)細胞、桿体細胞及び錐体細胞を含む光感覚細胞、海馬細胞、皮質細胞、またはそれらの任意の組み合わせを含む、方法。
  25. 請求項19~24のいずれかに記載の方法であって、
    前記対象は、アミロイドβ関連疾患に罹患している、方法。
  26. 請求項25に記載の方法であって、
    前記アミロイドβ関連疾患は、眼の疾患または状態、または、神経の疾患または状態を含む、方法。
  27. 請求項26に記載の方法であって、
    前記眼の疾患または状態は、原発性閉塞隅角緑内障、続発性開放隅角緑内障、広隅角緑内障、ステロイド誘発性緑内障、外傷性緑内障、色素分散症候群、偽性剥離症候群、続発性閉塞隅角緑内障、血管新生緑内障、早期または中期の乾燥型(非滲出性)加齢黄斑変性、地図状萎縮を伴う黄斑変性、滲出性(湿潤型)黄斑変性、糖尿病性網膜症、またはそれらの任意の組み合わせを含む、方法。
  28. 請求項27に記載の方法であって、
    前記神経細胞、前記非神経細胞、前記神経感覚細胞、またはそれらの任意の組み合わせにおいて迅速に改善される機能は、
    前記対象における、視力、低輝度視力、コントラスト感度、錐体コントラスト感度、色覚、及び、明所視(明順応)または暗所視(暗順応)条件における焦点または一般的な網膜光感度を含む視覚機能、並びに、姿勢安定性、歩行バランス、及び移動性を含む、方法。
  29. 請求項26に記載の方法であって、
    前記神経の疾患または状態は、II型糖尿病、糖尿病、アルツハイマー病(AD)、早発型アルツハイマー病、遅発型アルツハイマー病、発症前アルツハイマー病、SAAアミロイドーシス、遺伝性アイスランド症候群、多発性骨髄腫、髄様癌、大動脈中膜アミロイドーシス、インスリン注射アミロイドーシス、プリオン全身性アミロイドーシス、慢性炎症性アミロイドーシス、老人性全身性アミロイドーシス、下垂体アミロイドーシス、遺伝性腎アミロイド症、家族性英国認知症、フィンランド遺伝性アミロイドーシス、家族性非神経障害性アミロイドーシス、プリオン病、またはそれらの任意の組み合わせを含む、方法。
  30. 請求項29に記載の方法であって、
    前記神経の疾患または状態がアルツハイマー病(AD)、早発型アルツハイマー病、遅発型アルツハイマー病、または発症前アルツハイマー病を含む場合、
    前記神経細胞、前記非神経細胞、前記神経感覚細胞、またはそれらの任意の組み合わせの機能の迅速な改善は、
    前記対象における、認知障害の改善、記憶障害の改善、異常行動の減少、幻覚の減少、空間識の喪失の減少、失行の減少、攻撃性の減少、日常生活動作を行う能力の改善、認知症の他の症状の改善、またはそれらの任意の組み合わせを含む、方法。
  31. 請求項19~30のいずれかに記載の方法であって、
    前記対象への投与は、経口投与、局所投与、経鼻投与、静脈内投与、皮下投与、埋込型の徐放性デポ剤による投与、留置カテーテルを使用した直接投与、髄腔内投与、または眼内投与により行われる、方法。
  32. 請求項19~31のいずれかに記載の方法であって、
    前記対象への投与は、予め定められた期間にわたって投与される複数回投与の形態で行われ、
    前記期間は、予め定められた日数、予め定められた週数、予め定められた月数、予め定められた年数、または前記対象の寿命を含む、方法。
  33. 請求項32に記載の方法であって、
    前記期間中の投与のパターンは、規則的な間隔での投与、不規則な間隔での投与、または、規則的な間隔での投与と不規則な間隔での投与との組み合わせを含む、方法。
  34. 請求項19~33のいずれかに記載の方法であって、
    前記非毒性の非βシート非晶質アミロイドβクラスタは、薬学的に許容される組成物中に含まれる、方法。
  35. 請求項19~34のいずれかに記載の方法であって、
    前記非毒性の非βシート非晶質アミロイドβクラスタは、前記化合物Iを前記アミロイドβ1-42の溶液中で連続的に希釈することを含む製造方法によって製造され、
    前記製造方法は、前記化合物Iを少なくとも0.1nMの最終濃度まで段階的に希釈することを含む、方法。
  36. 請求項35に記載の方法であって、
    前記段階的な希釈は、5回の段階的希釈を含む、方法。
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