JP2022000359A - 船舶用二重反転プロペラ及び船舶 - Google Patents

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Abstract

【課題】既存の船舶への適用が容易で信頼性に優れた二重反転プロペラの提供【解決手段】船長方向に平行な軸中心に船体5の船尾に回転可能に設けられ、主機6の主機プロペラ軸21の動力が伝達される主機プロペラ9と、主機プロペラ9に同軸線上に配置され主機プロペラ9と逆向きに回転する副プロペラ7を備える船舶用二重反転プロペラ3であって、副プロペラ7は、船体5に保持された円筒状のステータ47と、船外に設けられステータ47の径方向に対向配置されて回転する円筒状のロータ45とを備える円筒モータ13と、円筒モータ13のロータ45を保持する円筒状の副プロペラ基部7aと、副プロペラ基部7aからロータ45の径方向に突設する副プロペラ翼7bを備える。【選択図】図1

Description

本発明は船舶用二重反転プロペラ及び当該船舶用二重反転プロペラを備える船舶に関する。
二重反転プロペラは2つのプロペラを前後に同軸配置し、相互に逆回転させるプロペラである。二重反転プロペラはカウンタートルクを相殺できることや、前方のプロペラのプロペラ後流の旋回流を後方のプロペラの推進に利用でき推進効率に優れることから、主に航空機に使用されている。
一方で船舶への二重反転プロペラの適用は、航空機ほど進んでいない。これは、駆動機構が複雑になりやすく、機械的信頼性が保証し難いことが大きな理由である。
例えば公知の二重反転プロペラは、一方のプロペラを駆動する中空の駆動軸を他方のプロペラを駆動する駆動軸回りに設ける(特許文献1)。このような構造では駆動軸回りの構造が複雑になり維持管理が難しいという問題がある。また、一方の駆動軸が他方の中空軸の内部に配置されるため、何れかの駆動軸に偏心や撓み等の不具合が生じると、2つの駆動軸が互いに接触して2つのプロペラが同時に故障する恐れがある。そのため、プロペラが故障すると漂流、遭難になる可能性が高い外航船のような船舶に用いるには、冗長性の確保が課題になる。
これに対して、2つのプロペラの動力伝達機構を分離して冗長性を確保することで信頼性を向上させた二重反転プロペラもある。例えば船長方向後方の副プロペラをポッド推進器として主プロペラ後方に設けた構造がある(特許文献2)。船長方向後方の副プロペラを固定舵板の舵バルブに設け、舵バルブ内のモータで副プロペラを駆動する構造もある(特許文献3)。
特開2004−168222号公報 特開2011−025816号公報 特開2014−019199号公報
特許文献2、3の構造は2つのプロペラの動力伝達機構が分離されており、一方のプロペラが故障で動作しなくても、他方のプロペラで航行可能である点で冗長性に優れる。
しかしながら特許文献2、3の構造は後方のプロペラを駆動するモータを収納するポッドや舵バルブが必要であり、これらの装置を搭載していない船舶や、これらの装置にモータを収納する十分なスペースがない船舶には適用できなかった。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、既存の船舶への適用が容易で信頼性に優れた二重反転プロペラの提供を目的とする。
本発明は、船長方向に平行な軸中心に回転可能に船体の船尾に設けられ、主機の出力軸の動力が伝達される主機プロペラと、前記主機プロペラに同軸線上に配置され前記主機プロペラと逆向きに回転する副プロペラを備える船舶用二重反転プロペラであって、前記副プロペラは、前記船体に保持された円筒状のステータと、船外に設けられ前記ステータの径方向に対向配置されて回転する円筒状のロータとを備える円筒モータと、前記円筒モータの前記ロータを保持する円筒状の副プロペラ基部と、前記副プロペラ基部から前記ロータの径方向に突設する副プロペラ翼を備えることを特徴とする。
本発明では、二重反転プロペラの主機プロペラは主機の動力で回転し、副プロペラの副プロペラ翼は船外のロータに保持されて回転する。
この構成では副プロペラ翼を駆動するモータのロータが船外にあり、ロータが円筒なので、船外のスタンチューブ外周、及び副プロペラ翼の外周のように、従来はデッドスペースである部分にロータを配置できる。
そのため、モータの設置スペースを別途用意する必要が無く、副プロペラ翼を駆動するモータが舵や主機プロペラに干渉しないので、既存の船舶への適用が容易で信頼性に優れる。
本発明によれば、既存の船舶への適用が容易で信頼性に優れた二重反転プロペラを提供できる。
本発明の第1の実施形態に係る船舶の船尾付近の概略図である。 図1の領域Aの拡大図である。 本発明の第2の実施形態に係る船舶の船尾付近の概略図であって、(a)はダクト保持部を介してダクトを船体に固定した例、(b)はダクトを船体に直結した例を示す。 第2の実施形態に係る船舶の船尾付近の部分拡大図であって、(a)は図3(a)の領域B1の拡大図、(b)は(a)の領域B2の拡大図である。 本発明の第3の実施形態に係る船舶の船尾付近の概略図である。
以下、図面に基づき本発明に好適な実施形態を詳細に説明する。
まず図1及び図2を参照して本発明の第1の実施形態に係る船舶1の構成を説明する。
図1に示すように船舶1は船体5、舵31、主機6、及び船舶用二重反転プロペラ3を備える。
船体5は船舶1の船殻となる構造体であり、船底、側壁、暴露甲板で船内を囲むように構成される。具体的な船形や船殻構造、あるいは水密隔壁の配置等は船舶1の用途に応じて適宜設計される。例えば図1では船尾構造としてトランサムスターンを例示しているが、クルーザースターンやカウンタースターンでもよい。
舵31は船舶1の針路を設定する際に鉛直方向であるZ方向を軸中心として回動する水中板である。図1では舵31としてマリナー型と呼ばれる構造を例示しているが、吊舵型や高揚力舵でもよい。舵31は固定舵33及び可動舵35を備える。
固定舵33は舵31を構成する他の部材を船体5に固定する部材であり、回動しない部材である。マリナー型の場合、固定舵33はラダーホーンとも呼ばれる。図1の固定舵33は船体5の船尾船底から下方に突設された板状部材であり、板の主面である側面が鉛直方向であるZ方向及び船長方向であるX方向に平行である。
固定舵33は船尾端から船長方向後方に突設された固定部33a、33bを備える。固定部33a、33bは可動舵35を回動可能に保持する板状部材であり、回動軸であるラダーストック37が固定部33aをZ方向に挿通する。
可動舵35は固定舵33の船首尾方向後端に設けられ、ラダーストック37の軸を中心に回動可能な板状部材である。
可動舵35の船首方向前端には固定部33aと固定部33bの間に挿入される挿入板部35aが設けられ、挿入板部35aにはラダーストック37が挿通されて固定部33aと連結される。固定部33bは図示しないピントルでZ方向を中心軸に可動舵35が回動可能に挿入板部35aと連結される。可動舵35はラダーストック37の動力が伝達されて回動する。
主機6は船舶1の推進力を発生させる機関であり、図1では船舶用二重反転プロペラ3の少なくとも一方を駆動する機関である。
主機6は図1では船体5の船尾近傍に配置されたディーゼル機関であるが、船舶用二重反転プロペラ3の少なくとも一方を駆動できるのであれば蒸気タービンやモータ駆動でもよい。
船舶用二重反転プロペラ3は回転することで船舶1を推進させる推進器である。
図1及び図2に示すように船舶用二重反転プロペラ3は主機プロペラ9と副プロペラ7を備える。
主機プロペラ9は主機6の動力が直接またはギヤ等の動力伝達機構を介して伝達されるプロペラである。主機プロペラ9は船長方向であるX方向を向く軸中心に船舶1の船体5の船尾に回転可能に設けられ、主機6の出力軸である主機プロペラ軸21の船尾側の端部に連結される。図1及び図2に示すように主機プロペラ9は主機プロペラボス9a及び主機プロペラ翼9bを備える。
主機プロペラボス9aは主機プロペラ9の回転軸となる部分であり、船体5の主機プロペラ軸21の船尾側の端部が図示しないキー等で連結、固定されて動力が伝達され、伝達された動力で軸中心に回転する。
主機プロペラ翼9bは主機プロペラボス9aの外周から径方向に突設された複数の羽根状の板材である。
主機プロペラ軸21にはスタンチューブ41が設けられる。スタンチューブ41とは、船体5と主機プロペラ軸21の隙間から水が船内に漏洩するのを防止する水密構造である。図2のスタンチューブ41は、船体5の船尾側の端部から船長方向後方に突設されて主機プロペラ軸21の船尾側の端部の軸回りに設けられる円筒状の部材である。
副プロペラ7は主機プロペラ9の船長方向に同軸線上に配置され、主機プロペラ9と逆向きに回転するプロペラである。図1及び図2では副プロペラ7は主機プロペラ9の船長方向前方に設けられる。ここでいう船長方向前方とは、船長方向であるX方向において、船尾から船首に向かう向きにおける前方を意味する。逆に船長方向後方とは、船長方向であるX方向において、船尾から船首に向かう向きにおける後方を意味する。
主機プロペラ9は副プロペラ7のプロペラ後流の旋回流を推進力として利用することで、推進効率を向上させることができる。
また、主機プロペラ9は副プロペラ7と互いに逆向きに回転することでカウンタートルクを相殺する。
図2に示すように副プロペラ7は、円筒モータ13、副プロペラ基部7a、及び副プロペラ翼7bを備える。
円筒モータ13は副プロペラ7の副プロペラ翼7bを回転させる電動機である。図2に示すように円筒モータ13は、ステータ47及びロータ45を備える。
ステータ47はロータ45を回転させる磁場を発生させる円筒状の外形の磁性体であり、船体5に保持される。
ロータ45はステータ47の磁場で回転する円筒状の磁性体であり、船外に設けられる。図2ではステータ47の軸回り、つまりステータ47の径方向外周に設けられて径方向にロータ45と対向配置される。
副プロペラ基部7aは副プロペラ7の回転軸であり、円筒モータ13のロータ45を保持する円筒状の部材である。図2では副プロペラ基部7aの内周にロータ45が固定される。
副プロペラ翼7bは回転することで船舶1の推進力を得る複数の羽根状の板材であり、副プロペラ基部7aの外周から径方向に突設する。図2では副プロペラ翼7bは副プロペラ基部7aの回転中心Cから離れる向きに突設する。
この構造では船舶用二重反転プロペラ3の主機プロペラ9は主機6の動力で回転し、副プロペラ7の副プロペラ翼7bが船外に設けられたロータ45に保持されて回転する。
また、この構造では副プロペラ7を駆動するロータ45が船外にあり、円筒形状なので、スタンチューブ41の外周にロータ45を取り付けられる。
スタンチューブ41の外周は、従来の船舶では船外のデッドスペースであり、他の装置が設けられていない。そのためロータ45を配置しても船外の舵31や主機プロペラ9等の他の装置と干渉する恐れはなく、これらの水密構造にも影響しない。そのため、副プロペラ7が主機プロペラ9や舵31の形状や水密構造に大きな影響を与えないので、本発明の船舶用二重反転プロペラ3は既存の船舶に適用が容易である。
図2ではスタンチューブ41回りにロータ45が回転可能に保持され、ステータ47がスタンチューブ41に固定される。具体的にはステータ47は船体5のスタンチューブ41の外周に固定される。よってステータ47はロータ45の内周側に配置される。
副プロペラ基部7aはロータ保持部55aとフランジ55bを備える。ロータ保持部55aはロータ45を保持する円筒部材であり、その内周にロータ45が固定される。フランジ55bはロータ保持部55aの軸方向の端部、ここでは両端に設けられた薄肉円筒状の部分である。フランジ55bは内径がロータ保持部55aの内径よりも大きいが、外径はロータ保持部55aの外径と同じである。
図2に示すスタンチューブ41は、ステータ保持部43とスラスト保持段部57を備える。
ステータ保持部43はスタンチューブ41の外周に形成された円周溝であり、ロータ保持部55aが収納される溝である。よって径方向の溝深さがロータ保持部55aの径方向厚さよりも若干深い。溝の軸方向長さはロータ保持部55aの軸方向長さよりも若干長い。ステータ保持部43はステータ47を保持する部分でもあり、その周面にステータ47が固定され、ロータ45と離間して対向配置される。
スラスト保持段部57はステータ保持部43の軸方向の端部、ここでは両端に形成された円周溝であり、フランジ55bを収納する溝である。よって径方向の溝深さはフランジ55bの肉厚より若干深いが、ステータ保持部43の径方向の溝深さよりも浅い。そのためスラスト保持段部57はステータ保持部43との間に段差が生じる。
ロータ保持部55aとステータ保持部43の間には円筒状の軸受であるラジアル軸受49が間挿される。これによりロータ保持部55aとステータ保持部43が離間し、かつロータ保持部55aが回転可能となる。
スラスト保持段部57とフランジ55bの間には円筒状の水密シール53が間挿され、ロータ45とステータ47の間に水が侵入するのを防止する。
さらにステータ保持部43とスラスト保持段部57の間の船長方向の隙間である段差部分には円筒状の軸受であるスラスト軸受51が間挿され、副プロペラ翼7bの回転で生じた推力を受け止める。
スタンチューブ41にステータ保持部43を設けて副プロペラ基部7aを収納することで、スタンチューブ41と副プロペラ基部7aの外周の段差を小さくできる。
副プロペラ基部7aが収納されるステータ保持部43は、従来のスタンチューブ41では利用されないデッドスペースであるため、副プロペラ基部7aを収納しても他の装置と干渉する恐れもない。よってこの構造は既存の船舶に適用が容易である。
また、スタンチューブ41にステータ保持部43よりも溝が浅いスラスト保持段部57を設けることで、ステータ保持部43とスラスト保持段部57の段差で副プロペラ7の回転で生じた推力を受け止められる。そのため推力を受け止める部分を別途設置する必要が無い。
さらに、スラスト保持段部57とフランジ55bの間に水密シール53が設けられるため、船外にロータ45を設けても水密が容易である。
ステータ47とロータ45は一方が永久磁石で、他方が電磁石である。ロータ45を永久磁石にすると、回転しないステータ47に電力を供給すればよいので、ブラシ等の構造が不要になる点では有利である。この場合、ステータ47に電力を供給する電力線をスタンチューブ41内に設けて、その電力線を船内の図示しない電源に接続すればよい。ロータ45を電磁石にする場合、ロータ45に電力を供給するブラシ等を介してスタンチューブ41内の電力線とロータ45を電気的に接続する。
円筒モータ13に電力を供給する電源は主機6でもよいし、主機以外の船内の発電機でもよい。供給する電力の大小は、副プロペラ7に要求される推力に応じて適宜設定すればよい。
ステータ47とロータ45は円筒状であるが、板状の磁石を円周状に配置した構造でもよい。あるいは線材をコイル状に巻きまわした構造でもよい。つまりここでいう円筒状とは、円筒状の外観を有する構造を含む。
このように第1の実施形態の船舶用二重反転プロペラ3は円筒モータ13が船外のデッドスペースに設けられた円筒状のロータ45を備え、ロータ45に保持された副プロペラ基部7aからロータ45の径方向に副プロペラ翼7bが突設する。
そのため、円筒モータ13の設置スペースを別途用意する必要が無く、副プロペラ翼7bや円筒モータ13が舵31や主機プロペラ9に干渉しないので、既存の船舶への適用が容易で信頼性に優れる。
次に第2の実施形態について図3及び図4を参照して説明する。
第2の実施形態は、第1の実施形態と同様に船舶用二重反転プロペラ3の円筒モータ13の円筒状のロータ45を船外のデッドスペースであるスタンチューブ41の外周に設けたものである。ただし、第1の実施形態とは異なり、副プロペラ7をリムドライブ方式のダクテッドプロペラとしてスタンチューブ41の外周に設けたものである。
なお、第2の実施形態において、第1の実施形態と同様の機能を果たす要素については同一の番号を付し、主に第1の実施形態と異なる部分を説明する。
図3(a)及び図4に示すように第2の実施形態に係る船舶1aの船舶用二重反転プロペラ3aは、副プロペラ7がリムドライブ方式のダクテッドプロペラである。
リムドライブ方式とは、プロペラ翼の回転中心ではなく、回転する際の外周端がプロペラの基部に保持される方式である。図4では副プロペラ翼7bの外周端が、ロータ45を保持する円筒状の副プロペラ基部7aの内周に固定される。つまり副プロペラ基部7aの内周から回転中心Cに向けて副プロペラ翼7bが径方向に突設される。なおロータ45は副プロペラ基部7aの外周に配置され、ステータ47はロータ45の外周側に配置される。
リムドライブ方式は副プロペラ翼7bを保持する副プロペラ基部7aや回転軸等の部材をプロペラ翼の回転中心に設ける必要がない。例えば図3(a)では副プロペラ翼7bの回転中心Cには副プロペラ7を構成する部材が設けられていない。そのため、回転中心Cに副プロペラ7以外の装置を設けられる。図3(a)では回転中心Cをスタンチューブ41が挿通する。つまりロータ45を含む副プロペラ7の構成部材がスタンチューブ41の外周に配置されている。
スタンチューブ41の外周は従来の船舶ではデッドスペースであるため、リムドライブ方式を利用することで、スタンチューブ41の外周に副プロペラ7を設けられる。
ダクテッドプロペラとは、図4の副プロペラ7のように、プロペラ翼の回転円の径方向外側に円筒状のダクト61を設けた構造を意味する。ダクト61はダクト保持部63で船体5の船尾のスタンチューブ41の上方に固定される。ダクト保持部63はダクト61と船体5を連結する柱である。ただし、ダクト保持部63を設けずに、図3(b)に示すようにダクト61の船長方向先端61aを船体5に食い込ませるように固定することで、ダクト61を船体5に直結する構造でもよい。
ダクテッドプロペラではプロペラの回転の際に進行方向に直交する方向成分を有する水流がダクト61の内周に衝突すると進行方向後方に整流される。そのため、ダクト61のないプロペラと比べてエネルギー効率を向上させられる。
また、船舶用二重反転プロペラ3aは副プロペラ7がリムドライブ方式なので、副プロペラ7の回転円の外周にロータ45が配置され、ステータ47がロータ45の外周側に設けられる。そのため、スタンチューブ41以外にステータ47を保持する部材が必要である。一方でダクテッドプロペラは副プロペラ7の回転円の外周にダクト61を備える。そのため、副プロペラ7をリムドライブ方式にする場合、ダクテッドプロペラとしてダクト61にステータ47を保持させれば、ステータ47を保持する部材を別途設ける必要がない点で有利である。
第2の実施形態に係る船舶用二重反転プロペラ3aの円筒モータ13aの構造は、ステータ47がロータ45の外周側に配置され、ステータ47がダクト61に保持されること以外は、第1の実施形態に係る円筒モータ13と同様である。
具体的には図4(b)に示すように副プロペラ基部7aはロータ保持部55aとフランジ55bを備えるが、フランジ55bは内径ではなく外径がロータ保持部55aの外径よりも小さい。内径はロータ保持部55aの内径と同じである。
図4に示すように第2の実施形態に係る船舶用二重反転プロペラ3aの円筒モータ13aでは、スタンチューブ41ではなくダクト61がステータ保持部43とスラスト保持段部57を備える。
第2の実施形態に係る船舶用二重反転プロペラ3aの円筒モータ13aでは、ステータ保持部43とスラスト保持段部57はダクト61の内周に形成される。スラスト保持段部57の径方向の溝深さは、ステータ保持部43の径方向の溝深さよりも浅い。
ロータ保持部55aとステータ保持部43の間には第1の実施形態と同様にラジアル軸受49が間挿される。スラスト保持段部57とフランジ55bの間にも第1の実施形態と同様に円筒状の水密シール53が間挿される。
さらにステータ保持部43とスラスト保持段部57の間の船長方向の隙間である段差部分には円筒状の軸受であるスラスト軸受51が間挿される。
ロータ45とステータ47は一方が永久磁石で他方が電磁石である。ステータ47を電磁石とする場合、ステータ47に電力を供給する電力線をダクト61及びダクト保持部63の内部に設けて、その電力線を船内の図示しない電源に接続すればよい。ロータ45を電磁石とする場合は、ロータ45に電力を供給するブラシ等を介してダクト61内の電力線とロータ45を電気的に接続する。
このように、ロータ45の外周側にステータ47を設けてダクト61に保持させる構造でも、第1の実施形態のようにロータ45の内周側にステータ47を設けてスタンチューブ41に保持させる構造と、2重反転プロペラとしては同様の効果を奏する。
また、ダクト61が設けられるプロペラ回転円の外周は、既存の船舶でも他の装置が設けられていない船外のデッドスペースである。そのためダクト61を設けたとしても舵31や主機プロペラ9と干渉しないので、本発明の船舶用二重反転プロペラ3aは既存の船舶への適用が容易で信頼性に優れる。
なお、ここでいう「2重反転プロペラとして同様の効果が得られる」というのは、前方のプロペラのプロペラ後流の旋回流を後方のプロペラの推進に利用できる効果がいずれの形態でも得られるという意味である。
第1の実施形態と第2の実施形態で、同じ寸法・形状の主機プロペラ9と副プロペラ7を用いても同程度の推進効率が得られるという意味ではない。
第1の実施形態のようにスタンチューブ41にステータ47を保持させる構造と、第2の実施形態のようにダクト61にステータ47を保持させる構造の何れを採用するかは、各々の利点を考慮して決定すればよい。
例えば第1の実施形態はステータ47を保持するダクト61が不要であるため第2の実施形態よりも船舶用二重反転プロペラ3を軽量にできる点で有利である。
一方で第2の実施形態はダクト61が副プロペラ7の水流を整流してエネルギー効率を向上させられる点で有利である。
また、第2の実施形態はロータ45とステータ47の両方が船外に設けられる。
そのため、第2の実施形態は第1の実施形態のステータ保持部43やスラスト保持段部57のように、ステータ47の保持や副プロペラ7の推力の受け止めのための構造をスタンチューブ41の外周に設ける必要がない。よって、スタンチューブ41の加工や設計変更が不要な点で第1の実施形態と比べて有利である。
以上が第2の実施形態の説明である。
次に第3の実施形態について図5を参照して説明する。
第3の実施形態は第2の実施形態と同様に船舶用二重反転プロペラ3bの一方のプロペラをリムドライブ方式のダクテッドプロペラにしたものである。ただし、船長方向前方のプロペラではなく、後方のプロペラをリムドライブ方式のダクテッドプロペラにした点で第2の実施形態と異なる。
なお第3の実施形態において、第2の実施形態と同様の機能を果たす要素については同一の番号を付し、主に第2の実施形態と異なる部分を説明する。
図5に示すように第3の実施形態に係る船舶1bに設けられた船舶用二重反転プロペラ3bは、主機プロペラ9の船長方向後方に副プロペラ7を備える。
具体的には船長方向であるX方向において、主機プロペラ9と舵31の間に副プロペラ7が設けられる。
副プロペラ7は主機プロペラ9の船長方向後方に設けられること以外は第2の実施形態の副プロペラ7と同じ構造である。
このように副プロペラ7をリムドライブ方式のダクテッドプロペラとする場合、設置位置は主機プロペラ9の船長方向前方でも後方でも二重反転プロペラとしては同様の効果が得られる。
なお、第2の実施形態と第3の実施形態が「二重反転プロペラとして同様の効果が得られる」というのは、前方のプロペラのプロペラ後流の旋回流を後方のプロペラの推進に利用できる効果がいずれの形態でも得られるという意味である。
第2の実施形態又は第3の実施形態の一方の実施形態で、同じ寸法、形状、構造の主機プロペラ9と副プロペラ7を前後入れ替えて他方の実施形態にしても同程度の推進効率が得られるという意味ではない。
これは、旋回流を回収する後方のプロペラと、回収される前方のプロペラでは所望の推進効率を得るための直径をはじめとしたプロペラ要目が異なるためである。そのため第2の実施形態と第3の実施形態で所望の推進効率を得るためには、主機プロペラ9と副プロペラ7が、前方または後方のプロペラとしての要目を満たすように各々設計する必要がある。
第2の実施形態と第3の実施形態の何れを採用するか、つまりリムドライブ方式のダクテッドプロペラを主機プロペラ9の船長方向の前方に設けるか、後方に設けるかは、各々の利点を考慮して決定すればよい。
例えば第2の実施形態では副プロペラ7をスタンチューブ41の外周に設けるため、スタンチューブ41の船尾側の端部と舵31の間の船長方向の間隔が、主機プロペラ9と副プロペラ7の両方を設けるのには短い場合に有利である。また第2の実施形態ではダクト61で整流した水流を後方の主機プロペラ9が利用できるため、推進効率の点で第3の実施形態よりも有利である。
一方で第3の実施形態では主機プロペラ9の駆動軸である主機プロペラ軸21と、副プロペラ7の駆動軸である副プロペラ基部7a(図4参照)が、軸方向にも径方向にも対向せず、完全に分離されている。そのため、主機プロペラ軸21と副プロペラ基部7aが干渉する可能性がほとんどなく、機械的信頼性の点で第2の実施形態よりも有利である。
また、第3の実施形態では主機プロペラ軸21もスタンチューブ41も副プロペラ7の回転中心Cを挿通しない。そのため、主機プロペラ軸21やスタンチューブ41の寸法や形状を考慮せずに副プロペラ翼7bの寸法や形状を設計できる点も第2の実施形態よりも有利である。
以上が第3の実施形態の説明である。
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は実施形態に限定されない。当業者であれば、本発明の技術思想の範囲内において各種変形例及び改良例に想到するのは当然のことであり、これらも本発明に含まれる。
1、1a、1b :船舶
3、3a、3b :船舶用二重反転プロペラ
5 :船体
6 :主機
7 :副プロペラ
7a :副プロペラ基部
7b :副プロペラ翼
9 :主機プロペラ
9a :主機プロペラボス
9b :主機プロペラ翼
13、13a :円筒モータ
21 :主機プロペラ軸
31 :舵
33 :固定舵
33a、33b :固定部
35 :可動舵
35a :挿入板部
37 :ラダーストック
41 :スタンチューブ
43 :ステータ保持部
45 :ロータ
47 :ステータ
49、51 :スラスト軸受
53 :水密シール
55a :ロータ保持部
55b :フランジ
57 :スラスト保持段部
61 :ダクト
61a :ダクトの船長方向先端
63 :ダクト保持部

Claims (8)

  1. 船長方向に平行な軸中心に回転可能に船体の船尾に設けられ、主機の出力軸の動力が伝達される主機プロペラと、前記主機プロペラに同軸線上に配置され前記主機プロペラと逆向きに回転する副プロペラを備える船舶用二重反転プロペラであって、
    前記副プロペラは、
    前記船体に保持された円筒状のステータと、船外に設けられ前記ステータの径方向に対向配置されて回転する円筒状のロータとを備える円筒モータと、
    前記円筒モータの前記ロータを保持する円筒状の副プロペラ基部と、
    前記副プロペラ基部から前記ロータの径方向に突設する副プロペラ翼を備えることを特徴とする船舶用二重反転プロペラ。
  2. 前記副プロペラは前記主機プロペラの船長方向前方に設けられ、
    前記ロータは、前記出力軸の水密構造であり前記船体の船尾に設けられたスタンチューブの外周に回転可能に保持されて前記副プロペラ基部の内周に保持され、
    前記ステータは、前記ロータの内周側に配置されて前記スタンチューブの外周に固定され、
    前記副プロペラは、プロペラ翼が前記副プロペラ基部の外周から径方向で回転中心から離れる向きに突設される請求項1に記載の船舶用二重反転プロペラ。
  3. 前記副プロペラ基部は、
    前記ロータを保持する円筒状のロータ保持部と、
    前記ロータ保持部の軸方向の端部に設けられ、内周が前記ロータ保持部よりも大きい薄肉円筒状のフランジを備え、
    前記スタンチューブは、
    前記ロータ保持部を収納する円周溝であり、周面に前記ステータが設けられるステータ保持部と、
    前記ステータ保持部の軸方向の端部に設けられ、前記フランジを収納する円周溝であり、径方向の溝深さが前記ステータ保持部よりも浅いスラスト保持段部を備える請求項2に記載の船舶用二重反転プロペラ。
  4. 前記副プロペラはリムドライブ方式のダクテッドプロペラであり、
    前記船体に保持されて前記ロータの外周側に配置された円筒状のダクトを備え、
    前記ステータは、前記ロータの外周側に配置されて前記ダクトの内周に保持され、
    前記ロータは前記副プロペラ基部の外周に固定され、
    前記副プロペラ翼が前記副プロペラ基部の内周から回転中心に向けて突設される請求項1又は2に記載の船舶用二重反転プロペラ。
  5. 前記副プロペラ基部は、
    前記ロータを保持する円筒状のロータ保持部と、
    前記ロータ保持部の軸方向の端部に設けられ、外周が前記ロータ保持部よりも小さい薄肉円筒状のフランジを備え、
    前記ダクトの内周には、
    前記ロータ保持部を収納する円周溝であり、周面に前記ステータが設けられるステータ保持部と、
    前記ステータ保持部の軸方向の端部に設けられ前記フランジを収納する円周溝であり、径方向の溝深さが前記ステータ保持部よりも浅いスラスト保持段部が設けられる請求項4に記載の船舶用二重反転プロペラ。
  6. 前記副プロペラは前記主機プロペラの船長方向前方に設けられ、
    前記出力軸の水密構造であり前記船体の船尾に設けられたスタンチューブが、前記ダクトにおける前記副プロペラの回転中心を挿通する請求項4又は5に記載の船舶用二重反転プロペラ。
  7. 前記副プロペラは前記主機プロペラの船長方向後方に設けられる請求項4又は5に記載の船舶用二重反転プロペラ。
  8. 請求項1〜7の何れか一項に記載の船舶用二重反転プロペラを備える船舶。
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